説明

機能性飲食品

米エキス及び/又は米・米エキス発酵物を含有する機能性飲食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、米エキスや米・米エキス発酵物を利用した機能性飲食品、例えば抗潰瘍性飲食品に関する。
【背景技術】
近年、食品のもつ健康機能の働きと用途を表示した特定保健用食品を含め、様々な機能性飲食品が提案されている。
しかしながら、これまでの機能性飲食品は、食品に化学物質を添加するものが多く、必ずしも安心して摂取できないという問題があった。そこで、本発明は、様々な薬理効果をもつ天然物由来の成分を利用した機能性飲食品の提供を目的とする。
【発明の開示】
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、米エキスや米・米エキス発酵物を各種飲食品に添加することにより、様々な薬理作用を有する飲食品を得ることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明(1)は、米エキス及び/又は米・米エキス発酵物を含有する機能性飲食品である。
また、本発明(2)は、更に塩を含有する、前記発明(1)の機能性飲食品である。
更に、本発明(3)は、該飲食品が、穀類又は穀類加工食品である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
また、本発明(4)は、該穀類が、大麦、小麦、ライ麦、はと麦、トウモロコシ、もろこし、そば、えん麦、あわ、きび、ひえ及び/又は米である、前記発明(3)の機能性飲食品である。
更に、本発明(5)は、該飲食品が、パン、菓子、麺類、麩、パン粉、コーンスターチ、小麦粉である、前記発明(3)又は(4)の機能性飲食品である。
また、本発明(6)は、該飲食品が、豆類又は豆類加工食品である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
更に、本発明(7)は、該豆類が、大豆、小豆、エンドウ豆、インゲン豆、そら豆、グリーンピース、ひよこ豆及び/又はりょくとうである、前記発明(6)の機能性飲食品である。
また、本発明(8)は、該飲食品が、豆腐、油揚げ、生揚げ、がんもどき、凍り豆腐、納豆、味噌、おから、豆乳又はゆばである、前記発明(6)又は(7)の機能性飲食品である。
更に、本発明(9)は、該飲食品が、調味料又は調味料含有食品である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
また、本発明(10)は、該調味料が、醤油、酢、味醂、ソース、風味調味料(例えば、だしの素、焼き肉のタレ)、化学調味料、めんつゆ、トマト加工品(例えば、ケチャップ、トマトソース、チリソース)又はマヨネーズである、前記発明(9)の機能性飲食品である。
更に、本発明(11)は、該飲食品が、アルコール類である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
また、本発明(12)は、該アルコール類が、醸造酒、蒸留酒又は再製酒である、前記発明(11)の機能性飲食品である。
更に、本発明(13)は、該醸造酒が、清酒、ビール、発泡酒、ブドウ酒等の果実酒又は雑酒であり、該蒸留酒が、焼酎、ウイスキー、ブランデー又はスピリッツであり、該再製酒が、梅酒、合成清酒、スイートワイン、シェリー、ベルモット、キュラソー、白酒、薬味酒又はリキュールである、前記発明(12)の機能性飲食品である。
また、本発明(14)は、該飲食品が、嗜好飲料類である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
更に、本発明(15)は、該嗜好飲料類が、緑茶(玉露、抹茶、かぶせ茶、煎茶、かまいり茶、番茶、ほうじ茶、玄米茶)、発酵茶(ウーロン茶、紅茶)、麦茶、甘酒、ココア、コーヒー、昆布茶、炭酸飲料、清涼飲料、粉末清涼飲料又はスポーツドリンクである、前記発明(14)の機能性飲食品である。
また、本発明(16)は、該飲食品が、砂糖又は甘味類である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
更に、本発明(17)は、該砂糖又は甘味類が、砂糖、デンプン糖、果糖、はちみつ又はメープルシロップである、前記発明(16)の機能性飲食品である。
また、本発明(18)は、該飲食品が、牛乳、乳製品又は乳類加工食品である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
更に、本発明(19)は、該牛乳、乳製品又は乳類加工食品が、液状乳(例えば、牛乳、生乳、加工乳、脱脂乳、乳飲料)、クリーム類(例えば、コーヒー用クリーム、ホイップ用クリーム)、発酵乳(ヨーグルト)、乳酸菌飲料、アイスクリーム類(例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ソフトクリーム、アイスミックスパウダー)、粉乳(例えば、全粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、クリーミングパウダー)、練乳(例えば、無糖練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳)、チーズ類(例えば、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、チーズスプレットチーズ)又はカゼインである、前記発明(18)の機能性飲食品である。
また、本発明(20)は、該飲食品が、魚介類又は魚介類加工食品類である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
更に、本発明(21)は、該魚介類又は魚介類加工食品類が、缶詰、塩辛、佃煮又は水練り製品(例えば、かまぼこ、ちくわ、なると、はんぺん、さつま揚げ、つみれ、魚肉ソーセージ、魚肉ハム)である、前記発明(21)の機能性飲食品である。
また、本発明(22)は、該飲食品が、獣鳥鯨肉又は獣鳥類加工食品である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
更に、本発明(23)は、該獣鳥鯨肉又は獣鳥類加工食品が、缶詰、ハム、ソーセージ又はウインナーである、前記発明(22)の機能性飲食品である。
また、本発明(24)は、該飲食品が、調理加工品食品類(例えば、エビフライ、カレー、餃子、コーンスープ、コロッケ、シチュー、シュウマイ、ハンバーグ、フライドポテト、麻婆豆腐のもと、ミートソース、ミートボール、ミンチカツ)である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
その他、本発明(25−1)は、該飲食品が、菓子類である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。ここで、菓子類とは、例えば、和菓子類、例えば、生・半生菓子類(例えば、まんじゅう、かすてら、ういろう、ようかん、もなか、タルト、団子、もち、かのこ、かるかん、きんつば)、干菓子類(例えば、あめ玉、かりんとう、打ち物菓子、おこし、ぼーろ)、せんべい・あられ類、洋菓子類{例えば、生・半生菓子類(例えば、ケーキ、パイ、ゼリー、ババロア、プリン)、焼き菓子(例えば、ウエハース、クラッカー、サブレ、ビスケット、クッキー、ホットケーキ、ワッフル、カスタードプリン)、キャンデー類(例えば、キャンデー、キャラメル、錠菓、ゼリーキャンデー、ゼリービーンズ、ドロップ、ヌガー、マシュマロ)、チョコレート類、チューンガム類}、氷菓子類(例えば、アイスキャンデー、シャーベット、ジェラード、かき氷)、スナック菓子類を指す。また、本発明(25−2)は、該飲食品が、芋類(例えば、こんにゃくいも、さといも、じゃがいも、さつまいも、やまのいも)、デンプン類及び芋類、又はデンプン類加工食品(例えば、片栗粉、はるさめ、くず粉、キャッサバ、米デンプン、小麦デンプン、さらしデンプン)である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。更に、本発明(25−3)は、該飲食品が、油脂類(例えば、植物油、牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、ショートニング、マーガリン、バター)及び油脂類加工食品である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。また、本発明(25−4)は、該飲食品が、種実類(例えば、落花生、アーモンド、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、マカデミアナッツ、栗、ぎんなん、ごま、ココナッツ)である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。更に、本発明(25−5)は、該飲食品が、卵類(例えば、卵豆腐)である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。また、本発明(25−6)は、該飲食品が、野菜類又は野菜類加工食品(例えば、水煮、冷凍食品、油炒め、塩漬け、乾燥品、ヌカミソ漬け、味噌漬け、奈良漬他漬け物、酢漬、缶詰、ピューレ、ペースト、清涼飲料、炭酸飲料)である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。更に、本発明(25−7)は、該飲食品が、果実類又は果実類加工食品(例えば、干果、冷凍食品、缶詰、ジャム、砂糖漬、清涼飲料、炭酸飲料)である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。また、本発明(25−8)は、該飲食品が、藻類(例えば、ところてん、寒天)である、前記発明(1)又は(2)の機能性飲食品である。
更に、本発明(26)は、該機能が、抗高脂血、糖尿病の予防・治療、抗潰瘍、抗腫瘍、粘膜保護、ストレス解消、皮膚健全化、ヘリコバクターピロリ生育阻止、塩害防止、飲食品の味、香及び/又は食感改善である、前記発明(1)〜(25−8)のいずれか一つの機能性飲食品である。
【発明を実施するための最良の形態】
まず、本明細書の各用語につき説明する。「米エキス」とは、米の加水物を酵素分解または麹を作用させたものあるいは、米からの水抽出物又は有機溶媒抽出物をいう。ここで、水抽出物に関しては、酸・アルカリ抽出でもよく、更に、その抽出前、抽出と同時又は抽出後に、米の組織に働く酵素(例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ)や前記酵素を含むもの(例えば、麹、細菌、バクテリアなどの微生物)で処理したものも含む概念である。但し、単なる水抽出物は含まない概念である。なお、「米エキス」の製造方法は、例えば、特開平4−210645号公報や特開平6−305977号公報に記載されている。
次に、「米・米エキス発酵物」とは、米発酵物又は米エキス発酵物を意味し、糖化酵素やその酵素を含むもので処理された米または米エキスを更にアルコール発酵、乳酸発酵及び/又は有機酸発酵させたものをいう。この「米・米エキス発酵物」の製造方法は、例えば、特開平7−157435号公報や特開平8−119873号公報に記載されている。
米エキスや米・米エキス発酵物が添加される「飲食品」は、特に限定されないが、特に相乗効果が認められたものとして、穀類が原料である飲食品(即ち、穀類を主原料乃至は一原料として製造された飲食品)、例えば、アルコール飲料、例えば、ビール、発泡酒、清酒、雑種(リキュール)、果実酒、薬味酒、蒸留酒;豆類が原料である飲食品(即ち、豆類を主原料乃至は一原料として製造された飲食品)、例えば、豆腐、油揚げ、生揚げ、がんもどき、凍り豆腐、納豆、味噌、おから、豆乳、ゆばが好適である。尚、これら以外の飲食品として、飲料、例えば、炭酸飲料、コーヒー、甘酒、お茶、ジュース、ココア、乳酸菌飲料、乳飲料、スポーツドリンク;塩分含有食品、例えば、かまぼこ、漬物、ハム、ソーセージ;調味料(発酵調味料を含む)、例えば、醤油、ソース、味噌、みりん、化学調味料、酢、マヨネーズ、ケチャップ;たれ;だし;発酵食品;穀物加工品、例えば、米、麦、トウモロコシ、豆、イモ、野菜の加工品;その他加工食品、例えば、豆腐、納豆、油揚げ;菓子、氷菓子、例えば、ケーキ、アイスキャンディー、アイスクリーム、氷;乳製品、例えば、ヨーグルト、チーズ、バター、練乳、ホイップクリーム、脱脂粉乳、クリーミングパウダー;糖類加工品、例えば、飴、ジャムを挙げることができる。
また、米エキス及び/又は米・米エキス発酵物を食品に添加する方法として、完成された飲食品に米エキス及び/又は米・米エキス発酵物を添加する方法でも、未完成の飲食品に米エキス及び/又は米・米エキス発酵物を添加し、その後に飲食品を完成させる方法のいずれでもよい。
なお、米エキス及び/又は米・米エキス発酵物の添加量は、添加対象となる飲食品の種類にもよるが、一般的に、飲食品100重量部当たり、米エキス及び/又は米・米エキス発酵物を0.001〜90重量部添加する。例えば、ビールに添加する場合、ビール100重量部当たり、好適には0.01〜40重量部添加する。塩に添加する場合は、塩100重量部当り、好適には0.01〜2%重量部添加する。
米エキス及び/又は米・米エキス発酵物を飲食品に添加することによりその飲食品が奏する機能(効果)としては、例えば、ストレスやストレスが原因で起こる諸症状の予防・治療、抗高脂血症、抗動脈硬化、糖尿病予防・治療、肥満予防・治療、潰瘍の発生を予防・改善・治療する(抗潰瘍)、ヘリコバクター・ピロリの生育を阻止する、腫瘍を予防・改善・治療する(抗腫瘍)、粘膜を保護する、のどの痛み、はれ、たん、のどの炎症による声がれ、のどの荒れ、のどの不快感を予防・改善・治療する、口内炎を治療する、悪酔を防止する、胸やけ、胸つかえ、胃重、胃の不快感、胃もたれ、胃のむかつき、胃痛、胃弱を予防・改善・治療する、皮膚を健全化する(例えば、皮膚水分保持能の改善、ドライスキンの改善、美肌、肌理が整う、肌がしっとりする、ハリ・弾力がでる、美白、しわ改善、皮膚の老化防止・若返り、肌のあれが改善される)、塩分の害を抑制する等の薬理的効果の他、薬の副作用と抑制(胃の荒れ、抗がん剤の副作用の抑制)、苦味が軽くなる、炭酸による刺激が緩和される、酸味が軽くなる、香りがよくなる、味がまるくなる、味が熟成される等の副次的効果が挙げられる。
【実施例】
米エキス及び米・米エキス発酵物の製造
米エキス▲1▼
白米を粉砕機にかけ、白米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に澱粉分解酵素10gと水1500mLを添加した。その後、徐々に温度を上げていき5分間煮沸抽出した後、冷却した。その後、絞り機で絞り、米エキス▲1▼を得た。
米エキス▲2▼
白米を粉砕機にかけ白米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に米麹300gと水1500mLを添加し、55℃で20時間放置した。その後絞り機で絞り、米エキス▲2▼を得た。
米発酵物▲3▼
白米を粉砕機にかけ白米の粉砕物500gを得た。この粉砕物にタンパク質分解酵素2g、脂肪分解酵素2g、繊維分解酵素2g、澱粉分解酵素2g、ペクチン分解酵素2gと水1500mLを添加し、50℃で20時間放置した。その後徐々に温度を上げていき5分間煮沸抽出した後冷却した。この酵素分解抽出物に酵母を添加し、7日間アルコール発酵した。その後、絞り機で絞り米発酵物▲3▼を得た。
米発酵物▲4▼
白米を粉砕機にかけ白米の粉砕物500gを得た。この粉砕物にタンパク質分解酵素2g、脂肪分解酵素2g、繊維分解酵素2g、澱粉分解酵素2g、ペクチン分解酵素2gと水1500mLを添加し、50℃で20時間放置した。その後徐々に温度を上げていき5分間煮沸抽出した後冷却した。この酵素分解抽出物に乳酸菌を添加し、2日間乳酸発酵した。その後、絞り機で絞り米発酵物▲4▼を得た。
米エキス発酵物▲5▼
米エキス▲1▼で得た米エキス1500mLに乳酸菌を添加し、2日間乳酸発酵を行った。その後、濾過器で乳酸菌を濾別し、米エキス発酵物▲5▼を得た。
米エキス発酵物▲6▼
米エキス▲2▼で得た米エキス1500mLに酵母を添加し、7日間アルコール発酵を行った。その後、濾過器で酵母を濾別し、米エキス発酵物▲6▼を得た。
【実施例1】
ビール:粉砕麦芽1kgを50℃の湯6Lに混合して2時間保ち、65℃に昇温して3時間保った。更に昇温して75℃として3時間保った後、これをろ過し麦汁を得た。この麦汁煮沸させ、ホップ10gおよび米発酵物▲4▼200mLを添加し、2時間煮沸を行った。この後、熱水を加えてBrix10.5とし、熱いうちにこれを濾して冷却した後ろ過を行った。この麦汁を5℃まで冷却した後、ビール下面酵母を添加し、5℃恒温槽で10日間発酵を行った。沈降した酵母を除いた後圧力計付圧力容器に移し、0℃恒温槽で2ヶ月後発酵、熟成を行った。この間、圧力計コックにより、0.3〜0.5kg/cmの圧力に調整を行った。後発酵、熟成を完了して冷却時ろ過した。
【実施例2】
ビール:市販のビール100mL当たり米エキス発酵物▲5▼を4mLおよび0.4mL添加した。
【実施例3】
清酒:汲み水540mLに乳酸1.4mL、米麹130g、清酒酵母0.8gを加えて、よく撹拌した。(仕込温度15℃として)翌日、蒸米300gを加えた。2日後、冷汲み水810mL、米麹135g、蒸米460gを加えて撹拌する。(仕込温度10℃として)その翌日、同様に冷汲み水1150mL、米発酵物▲4▼1000mL、米麹175g、蒸米800gを加えて撹拌した。(仕込温度9℃として)9〜11℃で発酵を行い28日目に搾った。
【実施例4】
清酒:市販の清酒100mL当たり米エキス発酵物▲6▼を4mLおよび0.4mL添加した。
【実施例5】
果実酒:マスカットベリーA2kgの梗を取り除き果粒を潰してピロ亜硫酸カリウム0.2gを加えた。12時間後にワイン酵母および米エキス▲1▼100mLを添加し、25〜30℃で7日間発酵させた。発酵終了後、これを搾り1300mLの酒を得た。これをろ過した後、瓶にとり打栓し、熟成させた。
【実施例6】
果実酒:市販白ワイン100mL当たり、米エキス▲1▼を4mL添加した。
【実施例7】
薬味酒:市販薬味酒100mLに米発酵物▲3▼4mLを添加した。
【実施例8】
蒸留酒:市販のホワイトリカー(25%)100mLに米発酵物▲3▼20mLおよび水5mLを添加し、アルコール分20%とした。
【実施例9】
炭酸飲料水:米発酵物▲3▼20mLに砂糖10g、クエン酸1.4gを加えて加熱溶解し、冷却後炭酸水を加えて100mLとした。
【実施例10】
炭酸飲料水:市販の清涼飲料水100mLにつき米発酵物▲3▼4mLを添加した。
【実施例11】
コーヒー:市販の粉砕されたコーヒー豆大さじ2杯に米発酵物▲3▼10%量を添加したお湯250mLを注ぎ、ドリップしてコーヒーを入れた。
【実施例12】
甘酒:水540mLに米エキス▲2▼60mLを加えて60℃とし、米麹200gを加えて55℃恒温槽で12時間反応させた後に加熱殺菌した。
【実施例13】
醤油:大豆2kgを水洗した後、40℃3時間浸漬し、圧力釜で1kg/cmの蒸気圧で1時間蒸煮した。小麦2kgを160℃1分砂炒し、砂をふるい分けした後に割砕した。次いで蒸煮大豆、焙炒割砕小麦および種麹8gをよく混合した。これを25℃にて4日麹で仕上げた。水4.5Lに米エキス▲2▼2Lを加え、これに塩1.7kgを加えて溶解したものに麹を添加して撹拌した。15℃で1ヶ月保ち、1週間毎に撹拌した。以降25℃に保って6ヶ月撹拌発酵した後に搾った。
【実施例14】
醤油:市販の淡口醤油100mLにつき米エキス▲2▼20mLを加えた。
【実施例15】
かまぼこ:原料魚としてタチウオを用い、すり鉢ですり身にした。これにタチウオのすり身100gあたり塩2.5g、みりん3mL、米エキス▲2▼4mLを加えて、粘りが出るまでよくかき混ぜた。これを型に入れて蒸し上げ、蒸し上がったら冷水をかけて型から取りだして冷ました。
【実施例16】
漬物:梅1kgをよく水洗した後、水を切り塩250gおよび粉体にした米発酵物▲3▼25gを振り、塩漬けにした。
【実施例17】
ソース:トマト1kg、ニンジン300g、タマネギ500g、ニンニク150g、ショウガ300g、コンブ60g、煮干し100g細かく細断した後に水7Lとともに3時間蒸煮した。蒸煮開始後、2時間経過した時点で唐辛子30g、陳皮60g、桂皮1g、丁字1g、セイジ1g、タイム1g、ニクズク1gを入れた。蒸煮終了後、常温に達したら50%の氷酢酸を適当量加えて、ろ過した。これをソース母液とした。それとは別に米エキス▲1▼80mL、糖蜜500g、砂糖500g、食塩900g、氷酢酸80gに水を加えて1時間蒸煮し、放冷後残さを沈殿させて、その上澄みを味付け液とした。上記ソース母液と味付け液を混合し、50%氷酢酸80g、コショウ10gを温水によく攪拌させたものを加えた。
【実施例18】
ソース:市販のウスターソース100mLにつき米発酵物▲3▼20mLを混合する。
【実施例19】
みりん:55%アルコール1300mLに米エキス▲2▼500mLを加えて、アルコール分40%とし、これに米麹500gおよび荒いきを抜いた餅米の蒸米2500gを均等に混合、撹拌しながら加えた。仕込温度を30℃とし、密封して2ヶ月熟成を行った。この間1週間毎に撹拌を行った。熟成後、搾り袋でしぼり液4500mLを得た。これを75℃火入れを行った。
【実施例20】
化学調味料:市販の味の素に粉体にした米発酵物▲3▼を20:1の割合で混和した。
【実施例21】
たれ:市販の焼き肉のたれ100mL当たり米発酵物▲4▼20mLを混合した。
【実施例22】
だし:市販のダシの素に粉体にした米発酵物▲3▼を4:1の割合で混和した。
【実施例23】
食酢:市販の米酢100mLに対して米発酵物▲4▼を4mLの割合で混合した。
【実施例24】
強化米:米エキス▲1▼を1%酢酸溶液と混合して25℃に保ちながら、その中に精米を浸漬した。これを蒸し器に入れて30分蒸して米粒表層のデンプンを糊化した後に、100℃1時間加熱乾燥した。この強化米を用いて通常通り炊飯した。
【実施例25】
豆腐:大豆を一晩浸漬し、これに原料大豆1kgに対して1.5Lの水を加えてミキサーで磨砕した。次いで、鍋に移して原料大豆1kgに対して水を8.5L加えてかき混ぜながら加熱した。沸騰したら5分間加熱する。加熱を終えたら布袋に入れてよく絞った(豆乳)。この豆乳を容器に入れて、そこに米エキス▲1▼80mLを添加してよく撹拌した後に0.5%量の硫酸カルシウムを水に混ぜて懸濁状にしたものを30mL添加して撹拌した。
【実施例26】
納豆:大豆を20℃で12時間浸漬した後に、30分間加圧釜で加圧蒸煮した。
米エキス▲1▼33mLに納豆菌シード0.05mLを加えたものを蒸煮大豆が高温時に散布混合した。これを40℃、湿度90%の発酵室に入れ、16時間発酵させた。発酵終了後、冷蔵保存した。
【実施例27】
油揚げ:大豆を一晩浸漬し、これに原料大豆1kgに対して1.5Lの水を加えてミキサーで磨砕した。次いで、鍋に移して原料大豆1kgに対して水を8.5L加えてかき混ぜながら加熱した。沸騰したら5分間加熱する。加熱を終えたら布袋に入れてよく絞った(豆乳)。この豆乳を容器に入れ55℃に冷ましてから、そこに米エキス▲1▼80mLを添加してよく撹拌した後に0.5%量の硫酸カルシウムを水に混ぜて懸濁状にしたものを30mL添加して撹拌した。できあがった豆腐を5cmの厚さに切り、食用油で揚げた。
【実施例28】
ケーキ:ホットケーキミックス200g、卵1個、牛乳110mLに米エキス▲1▼25mLを混合してよく混ぜた。これをバターを敷いたフライパンで焼いた。
【実施例29】
アイスキャンデー:イチゴ1kgを水洗いした後によく水切りをした。蔕を取ってよく潰して、米エキス▲1▼200mL、砂糖250g、レモン1.5個分の搾り汁を加え、まんべんなく混ぜた。これを容器に入れて−5℃で冷凍した。
【実施例30】
ヨーグルト:米エキス▲1▼40mL、水160mL、スキムミルク30g、砂糖18.6gを混合して煮沸した。冷却後に乳酸菌を加えて、瓶に分注した。これを16時間32℃で発酵させて冷蔵庫で保存した。
【実施例31】
飴:米エキス▲1▼500mLと砂糖100gを鍋でかき混ぜながら煮詰めていき、品温が135〜138℃になったところで、型に流し込み冷却した。
【実施例32】
ジャム:水洗いしたイチゴ850gを除蔕し、細かく破砕した。米エキス▲1▼200mLを煮詰めて、これに破砕したイチゴおよび砂糖580mLを加えて約1kgになるまで煮詰めて80℃にして瓶詰めした。
【実施例33】
食パン:表1、表2の配合割合で各原料を秤量、混合し、ホームベーカリー(ナショナルホームベーカリーSD−BT101、松下電器産業(株)製)にて食パンを焼いた。


【実施例34】
米エキス配合の塩:表3、表4の配合割合で各原料を秤量、混合、加温溶解した後、ロータリーエバポレーターで60℃にて蒸発乾固させた。その後乳鉢に取り細かく砕いた。


抗潰瘍試験
標記試験は、8週齢のddY系雄性マウス(一群15匹)を用い、渡辺らの方法に準じて行った。すなわち、24時間絶食後、実施例品をマウス体重(g)当0.01ml経口投与した。実施例品中アルコールを含有するものは、2〜3倍減圧濃縮し、アルコールを留去した後、加水してもとの量に合わせたものをサンプルとした。また実施例品中、固形分あるいは、固形分を含むものは、3〜5倍の水を加え懸濁(磨砕)し、固液分離、遠心分離した後、液層をもとの量まで濃縮したものをサンプルとした。また、対照群は、実施例品にかえて同量の水を、陽性対照群は、リンゴ酸クレボプリド1%水溶液をマウス体重(g)当0.01ml経口投与した。投与60分後、ストレスゲージに入れ、15℃の水中に剣状突起まで浸漬し、ストレスを負荷した。5時間後に胃を摘出し、1%ホルマリン溶液で胃組織を軽く固定した後、大弯に沿って切開し、腺胃部に発生した潰瘍面積(cm)を測定し、一群15匹の潰瘍面積の総和を潰瘍係数とした。潰瘍抑制率(%)は以下の計算式により算出した。
潰瘍抑制率(%)=
(1−実施例品投与群の潰瘍係数/対照群の潰瘍係数)×100
試験結果を表5〜7に示す。



官能試験
官能データ1
実施例1で得られたサンプルと米・米エキス発酵物無添加サンプルをモニター10人に試飲して貰い、その炭酸による刺激と苦味について評価して貰った。その結果を表8に示した。

表8で示したように米・米エキス発酵物無添加のサンプルでは、炭酸の刺激を強く感じるモニターが多くいたが、米・米エキス発酵物を添加することで、その刺激が大幅に緩和されることが示された。また、苦味についても、適度に緩和されることが示唆された。このように米・米エキス発酵物を添加するにより、ビールの刺激、トゲが緩和され非常に飲みやすくなることが判明した。その他、後口が良くなった、泡が甘く量が飲める等の意見も出された。
官能データ2
実施例3で得られたサンプルと米・米エキス発酵物無添加サンプルをモニター7人に試飲して貰い、香りについて評価して貰った。その結果を表9に示した。

表9で示したように米・米エキス発酵物を添加しなかったサンプルをスタンダードとして比較すると、米・米エキス発酵物添加サンプルは全員が香りが良いとし、その内6人までが桃様の香りがするとした。この様に米・米エキス発酵物を添加することにより、清酒の香りを良くすることが判明した。また、パネラー中、酒に弱い人が2名いたが2名共、量を飲んでも酒が頭まで回らなかったとした。そこで酒に弱い人4名を含む、6名で量飲テストをしてみたところ、酒に弱い人全員を含み、5名までが量が飲める、飲んでも頭はスッキリしている悪酔いしないとした。残る1名については、変わらないとした。
官能データ3
実施例5で得られたサンプルと米エキス無添加サンプルを11名で試飲して貰い、その酸味と渋みについて評価して貰った。その結果を表10に記載した。

表10で示したように米エキス無添加サンプルでは、酸味、渋みを強く感じるモニターが多くいたが、米エキスを添加することで、その酸味が大幅に緩和されることが示された。また、渋味が適度に緩和され味がまろやかになることが示された。このように米エキスを添加することにより、ワインの酸味、渋味が緩和され、飲みやすくなることが判明した。
官能データ4
実施例8で得られたサンプルと米・米エキス発酵物無添加サンプルを7名で試飲して貰い、アルコールの刺激について評価して貰った。その結果を表11に記載した。

表11で示したように、米・米エキス発酵物無添加サンプルでは全員がアルコールの刺激が強く、ピリピリするとしたが、米・米エキス発酵物添加サンプルではアルコール刺激が大幅に緩和されることが示された。また、全員が味が丸く、ソフトになったとした。また、パネラー中酒に弱い人が3名いたが全員が量を飲んでも、頭はスッキリしている、悪酔いしなかったとした。
官能データ5
実施例10で得られたサンプルと米・米エキス発酵物無添加サンプルを10人で試飲して貰い、炭酸による刺激について評価して貰った。その結果を表12に示した。

表12に示すように、米・米エキス発酵物無添加サンプルでは炭酸の刺激を強く感じるパネラーが多くいたが、米・米エキス発酵物を添加することにより、その刺激が大幅に緩和されたことが示された。
官能データ6
実施例11で得られたサンプルと米・米エキス発酵物無添加サンプルを11名で試飲して貰い、渋みについて評価して貰った。その結果を表13に記載した。

表13が示すように米・米エキス発酵物無添加サンプルでは、ほとんどのモニター渋みが強いと評価した。渋みが中、弱と答えたモニターも2人いたが、これらのモニターはコーヒーを1日3杯以上飲むとのことで、コーヒーの渋みに慣れているモニターと考えられた。一方、米エキス添加サンプルでは、渋みの程度が中と答えたモニターが最も多く、次いで弱と答えたモニターが多かった。しかし、渋みの程度が中であると答えたモニターの内、6人はちょうど良い渋みであると答え、弱と答えたモニターの内、1人は物足りないと答えた。このことから、ある程度の渋みはコーヒーの旨さの一つと考えられ、米・米エキス発酵物の添加により、ほど良い渋みを得られるものと考えられた。
官能データ7
実施例13で得られたサンプルと米エキス無添加サンプルを8人できき味して貰い、塩辛さと旨味について評価して貰った。その結果を表14に記載した。

表14で示したように米エキス無添加サンプルでは、塩辛さを強く感じるパネラーが多くいたが、米エキスを添加することにより、味がまるくなり、塩辛さが大幅に緩和されることが示された。また、旨味についても、増していることが示された。
官能データ8
実施例17で得られたサンプルと米エキス無添加のサンプルを8名できき味して貰い、味について評価して貰った。その結果を表15に記載した。

表15に示したように、米エキス無添加サンプルをスタンダードとして比較すると、米エキス添加サンプルは、味が良くなったと答えたパネラーが半数以上の5名に上がった。この内容について聞いてみたところ、味が丸くなった、トゲがとれた、旨味が出ている、酸味が柔らかい等、いろいろな意見が出された。
官能データ9
実施例20で得られたサンプルと米・米エキス発酵物無添加サンプルを11名できき味して貰い、味について評価して貰った。その結果を表16に記載した。

表16に示したように、9人にモニターが米・米エキス発酵物無添加のサンプルについて強いエグ味を感じた。それに対して米・米エキス発酵物添加サンプルでは、エグ味の程度が中であるとしたモニターが多く、弱であるとしたモニターも2人あった。
官能データ10
実施例23で得られたサンプルと米・米エキス発酵物無添加サンプル(米・米エキス発酵物と同量の水を添加)を10名できき味して貰い、酸味について評価して貰った。その結果を表17に記載した。

表17で示すように、米・米エキス発酵物無添加サンプルでは、酢であるだけに全員が強い酸味を感じるとした。それに対して米・米エキス発酵物を添加したサンプルでは、酸味を強く感じるパネラーは大幅に減少することが示された。また、この時ツーンとくる酢酸臭も和らいだと答えたパネラーが9名いた。更に全員が味が丸くなるとした。
官能データ11
実施例27で得られたサンプルと米エキス無添加を11名で、軽く火で焙った後試食して貰い、風味について評価して貰った。その結果を表18に記載した。

表18に示したように、米エキス無添加のサンプルでは、普通、悪いがほぼ半々であったが、米エキス添加サンプルでは、良い、普通がほぼ半々と大幅に改善されることが示された。この内容について聞いたところ、油臭、油っこさが緩和された、胸焼けしなかった等の意見が出された。
官能データ12
実施例28で得られたサンプルと米エキス無添加サンプルを12名で試食して貰い、風味と胸焼けについて評価して貰った。その結果を表19に記載した。

表19で示したように米エキス無添加サンプルと比較して、米エキス添加サンプルは風味が良くなることが示された。内容について聞いてみると、粉っぽさ、粉くささが軽減された、バターの油っぽさが緩和された、生地がしっかりした等の意見がでた。また、試食後米エキス無添加サンプルは胸焼けしたとしたが、米エキス添加サンプルは殆ど胸焼けしないとした。
実施例30で得られたサンプルと、米エキス無添加サンプルを11名で試食して貰い、風味について評価して貰った。その結果を表20に記載した。

表20で示したように米エキスの無添加のサンプルでは、概して風味が悪いが米エキス添加サンプルは、風味が良くなることを示した。内容についてきいてみると、米エキス無添加サンプルは、ヨーグルト特有の臭い(乳酸発酵臭)が強い、味が荒い等の意見が出された。米エキス添加サンプルは、この嫌な臭いが軽減されている、味がソフトである等の意見が出された。
実施例31で得られたサンプルと米エキス無添加サンプルをのどに痛みを訴える10名が試食し、評価した。その結果を表21に記載した。

表21で示したように、米エキス無添加あめでは、のどの痛みが改善されなかったが、米エキス配合あめでは全員のどの痛みが治まった。さらにモニターの中口内炎を患っていた1名については、翌日には口内炎も治った。そこで、口内炎を患ったモニター4名に1日に15g(飴3粒に相当)の米エキス添加サンプルを試食して貰ったところ、全員が翌日には完治したとした。また、その中で早く完治した者では、3時間で完治したとした。
官能データ13
実施例33で得られた、米エキス▲1▼・▲2▼及び米発酵物▲3▼・▲4▼各20g添加食パンと、米エキス無添加食パンを7名で試食し、味・香りその他について5段階で評価した。その結果を表22に記載した。

表22に示すように、米エキス▲1▼・▲2▼及び米発酵物▲3▼・▲4▼を添加することにより、食パンの味、香り、食感が改善され、しっとり感、もちもち感が付与されることが明らかとなった。また、官能試験前、胃痛を訴える者がいたが、米エキス配合食パンは胃痛の時でも難なく食べられ、また食べた後は胃の痛みが緩和されたと評価した。さらに、試食した全員が、食べた後胃がすっきりした、と評価した。この試作食パンを、試作1日後、2日後に試食したところ、米エキス無添加では、味、香り、食感ともに落ち、トーストしないと美味しくないが、米エキス配合食パンではトーストしなくても、そのままでも美味しいことが判った。
塩害防止能試験
実施例14の醤油(塩分15%相当)と米エキス無添加醤油(米エキス添加に替えて同量の水を添加し、塩分濃度15%とした)を用いた。
(1)醤油投与による血中の塩濃度の減少
米エキス添加醤油の血中塩濃度量減少効果をみるために、食塩投与による方法で調べた。即ち、1群5匹の7週令ddyマウスに米エキス添加醤油を1日体重1g当たり0.01mL胃ゾンテで7日間投与した。7日後血清を採取し、血中の塩化ナトリウム量をN/50硝酸銀溶液で定量する。同様に米エキス無添加醤油および2.6M食塩水、水を対照群として比較した。その結果を表23に示した。

表23からわかるように、米エキス添加醤油は米エキス無添加醤油および食塩投与と比較して、マウスは血清中のクロール量が減少していることが判明した。
(2)胃発癌プロモーター防止効果
米エキス添加醤油の胃発癌プロモーター防止効果をみるために、食塩による複製DNA合成促進をどの程度抑えるかを調べた。その方法は1群5匹の8週令F344雄性ラットに米エキス添加醤油または米エキス無添加醤油、または15%食塩水1mLを胃ゾンテで投与し、17時間後に胃幽門腺粘膜を取り出して細切し、Hチミジン存在下で2時間器官培養した。その後、組織からDNAを抽出して、複製DNA合成を液体シンチレーションカウンターで定量した。
高濃度の食塩水を投与すると胃粘膜が傷害される。胃粘膜は直ちに修復しようとDNA合成を行うが、損傷が激しいため、DNA合成が異常に増大し、突然変異を起して癌化する。塩による胃粘膜の傷害が少なければDNAの異常合成は起こらない。即ち、DNA合成の異常増大を阻害すれば、食塩の害が少ないことになる。

表24からわかるように、米エキス添加醤油を投与した群は胃発癌DNAの合成が明らかに阻害されることが判明した。
美容効果試験
実施例12で得られたサンプルを7名のモニターに200mL/日、1ヶ月間続けて飲用させ、また米エキス無添加サンプルを5名のモニターに同様に飲用させた。
(1)水分保持能の増大効果
飲用前、1ヶ月飲用後の水分保持能を測定し、飲用前の水分保持能を1とした際の水分保持能の比率を求めた。その結果を表25に示した。

表25で示したように、米エキス添加サンプルを1ヶ月飲用で、全てのモニターにおいて、水分保持能は増大しており、米エキス無添加サンプルではあまり変化をしていないことが明した。このことより、米エキスを添加することにより、みずみずしい潤いのある肌になることが示された。即ち、皮膚の健全化効果が示された。
(2)スンプ
飲用前の肌表面の状態および1ヶ月飲用後の肌の状態をスンプでとり調べた。
米エキス無添加サンプルでは、あまり変化が見られなかったが、米エキス添加サンプル飲用後では、皮溝、皮丘がハッキリし、皮溝の線が細かく規則性を示し、落屑による角質層のぬけが無いのが認められる。即ち、肌荒れ状態が改善され、キメが整ってくることが判明した。以上のことから、米エキス添加サンプルにおいては、皮膚の健全化効果が示された。また、この1ヶ月飲用において美白効果があるとしたモニターが7名中5名あった。また、モニター中2名がアトピーを持っていたが、2名ともこの1ヶ月飲用によって改善されたとした。
抗高脂血症試験
実施例2の米エキス発酵物添加ビールと米エキス発酵物無添加ビール、実施例4の米エキス発酵物添加清酒と米エキス発酵物無添加清酒を用い、血中脂質に及ぼす影響を調べた。
4週齢のddY系雄性マウスを、室温25℃、湿度60%に保たれた動物室で、1週間通常の試料及び水を自由摂取させて飼育した後実験に供した。実験は1群10匹で行った。ビールは2倍希釈し、1日1回1群あたり20mLを給水瓶にいれ、自由に摂取させた。清酒は5倍希釈し、1日1回1群あたり20mLを給水瓶にいれ、自由に摂取させた。またコントロール群は、水を1日1回1群あたり20mL給水瓶にいれ自由に摂取させた。投与6週間後にエーテル麻酔下頸動脈より全血採取し、定量に必要な処理をした後、血液成分を測定した。
コントロール群の成分量を100とした場合の、各群の成分量を%で表した。

表26に示すように、米エキス発酵物添加ビール及び清酒投与群は、米エキス発酵物無添加ビール、清酒群と比較して、血液中のLDL、VLDL、中性脂肪(トリグリセリド)、過酸化脂質、総脂質が顕著に減少し、HDL−コレステロールは増加した。
この結果から、本発明品は抗高脂血症、抗動脈硬化効果をもつことが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米エキス及び/又は米・米エキス発酵物を含有する機能性飲食品。
【請求項2】
更に塩を含有する、請求の範囲第1項記載の機能性飲食品。
【請求項3】
該飲食品が、穀類又は穀類加工食品である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項4】
該穀類が、大麦、小麦、ライ麦、はと麦、トウモロコシ、もろこし、そば、えん麦、あわ、きび、ひえ及び/又は米である、請求の範囲第3項記載の機能性飲食品。
【請求項5】
該飲食品が、パン、菓子、麺類、麩、パン粉、コーンスターチ、小麦粉である、請求の範囲第3項又は第4項記載の機能性飲食品。
【請求項6】
該飲食品が、豆類又は豆類加工食品である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項7】
該豆類が、大豆、小豆、エンドウ豆、インゲン豆、そら豆、グリーンピース、ひよこ豆及び/又はりょくとうである、請求の範囲第6項記載の機能性飲食品。
【請求項8】
該飲食品が、豆腐、油揚げ、生揚げ、がんもどき、凍り豆腐、納豆、味噌、おから、豆乳又はゆばである、請求の範囲第6項又は第7項記載の機能性飲食品。
【請求項9】
該飲食品が、調味料又は調味料含有食品である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項10】
該調味料が、醤油、酢、味醂、ソース、風味調味料、化学調味料、めんつゆ、トマト加工品又はマヨネーズである、請求の範囲第9項記載の機能性飲食品。
【請求項11】
該飲食品が、アルコール類である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項12】
該アルコール類が、醸造酒、蒸留酒又は再製酒である、請求の範囲第11項記載の機能性飲食品。
【請求項13】
該醸造酒が、清酒、ビール、発泡酒、果実酒又は雑酒である、請求の範囲第12項記載の機能性飲食品。
【請求項14】
該飲食品が、嗜好飲料類である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項15】
該嗜好飲料類が、緑茶、発酵茶、麦茶、甘酒、ココア、コーヒー、昆布茶、炭酸飲料、清涼飲料、粉末清涼飲料又はスポーツドリンクである、請求の範囲第14項記載の機能性飲食品。
【請求項16】
該飲食品が、砂糖又は甘味類である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項17】
該砂糖又は甘味類が、砂糖、デンプン糖、果糖、はちみつ又はメープルシロップである、請求の範囲第16項記載の機能性飲食品。
【請求項18】
該飲食品が、牛乳、乳製品又は乳類加工食品である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項19】
該牛乳、乳製品又は乳類加工食品が、液状乳、クリーム類、発酵乳(ヨーグルト)、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、粉乳、練乳、チーズ類又はカゼインである、請求の範囲第18項記載の機能性飲食品。
【請求項20】
該飲食品が、魚介類又は魚介類加工食品類である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項21】
該魚介類又は魚介類加工食品類が、缶詰、塩辛、佃煮又は水練り製品である、請求の範囲第21項記載の機能性飲食品。
【請求項22】
該飲食品が、獣鳥鯨肉又は獣鳥類加工食品である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項23】
該獣鳥鯨肉又は獣鳥類加工食品が、缶詰、ハム、ソーセージ又はウインナーである、請求の範囲第22項記載の機能性飲食品。
【請求項24】
該飲食品が、調理加工品食品類である、請求の範囲第1項又は第2項記載の機能性飲食品。
【請求項25】
該機能が、抗高脂血、糖尿病の予防・治療、抗潰瘍、抗腫瘍、粘膜保護、ストレス解消、皮膚健全化、ヘリコバクターピロリ生育阻止、塩害防止、飲食品の味、香及び/又は食感改善である、請求の範囲第1項〜第24項のいずれか一項記載の機能性飲食品。

【国際公開番号】WO2004/049829
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【発行日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556772(P2004−556772)
【国際出願番号】PCT/JP2002/012518
【国際出願日】平成14年11月29日(2002.11.29)
【出願人】(591002795)株式会社創研 (4)
【Fターム(参考)】