説明

液圧作動ブームの調整方法、装置およびコンピュータプログラム

本発明は、液圧作動ブームの動作を調整する方法および装置ならびにコンピュータプログラムに関するものであり、ブーム(1)は、液圧アクチュエータ(5a〜5b、7a〜7b)によって相対的に動くように連結された少なくとも2つの可動的相互連結ブーム部(1a、1b)と、液圧アクチュエータを制御する制御手段(13、14)と、ブーム部(1a、1b)間の位置を検出する検出器(15)とを含み、それにより、ブーム(1)の動作を調整するために、制御手段にある継ぎ手制御装置の、動きに固有の調整パラメータを個々の動きごとに設定することができる。本発明では、ブーム部(1a、1b)の相対的動きをブーム部(1a、1b)間の所定の位置に対してその両側において制御し、制御信号に応じて検出器(15)から取得した実際の位置および運動速度の値を理論上の位置および運動速度の値と比較し、これらの値の間の差に基づいて継ぎ手制御装置の調整パラメータを調整する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、液圧作動ブームの動作を調整する方法に関するものであり、このブームは、少なくとも2つの可動的に相互連結されたブーム部を含み、各ブーム部は軸を中心に相対的に回転するように、または液圧アクチュエータによって直線運動で移動するように可動的に連結され、
−液圧アクチュエータを制御する制御手段と、
−ブーム部間の動きおよび位置を検出する検出器とを含み、
−各動きは制御手段に含まれる継ぎ手制御装置によって制御され、ブームの動作を調整するために、制御手段にある継ぎ手制御装置の、動きに固有の調整パラメータを個々の動きごとに設定することができる。
【0002】
本発明はまた、液圧作動ブームの動作の調整装置に関するものであり、このブームは、少なくとも2つの可動的に相互連結されたブーム部を含み、各ブーム部は、軸を中心に相対的に回転するように、または液圧アクチュエータによって直線運動で移動するように可動的に連結され、ブームはさらに、液圧アクチュエータを制御する制御手段と、ブーム部間の動きおよび位置を検出する検出器とを含み、各動きは制御手段に含まれる継ぎ手制御装置によって制御され、ブームの動作を調整するために、制御手段にある継ぎ手制御装置の、動きに固有の調整パラメータを個々の動きごとに設定することができる。
【0003】
また、本発明は、液圧作動ブームの動作の調整装置に含まれる処理装置を制御するコンピュータプログラムを含み、このブームは少なくとも2つの可動的に相互連結されたブーム部を含み、各ブーム部は軸を中心に相対的に回転するように、または液圧アクチュエータによって直線運動で移動するように可動的に連結され、前述の調整装置は液圧アクチュエータを制御する制御手段と、ブーム部間の動きおよび位置を検出する検出器とを含み、各動きは制御手段に含まれる継ぎ手制御装置によって制御され、ブームの動作を調整するために、制御手段にある継ぎ手制御装置の、動きに固有の調整パラメータを個々の動きに対して設定でき、このコンピュータプログラムはブームの動作を調整するプログラムコードを含む。
【0004】
多段の液圧作動ブームは様々な装置に使用される。液圧式ブームは「開鎖」型のマニピュレータであり、2つ以上の連続する継ぎ手からなり、この継ぎ手は連結アームによって接続されている。継ぎ手は回転自在な回転継ぎ手または柱状継ぎ手でよく、連結アームの相対的動きは直線的、つまり一直線である。ブーム端部のデカルト位置を達成するためには、逆運動学で算出した角度値にブーム継ぎ手の連結角度を調整する必要がある。継ぎ手の位置の情報を検出器で求め、これにより作成した位置データを、各継ぎ手を調整する際、該当する継ぎ手の位置を調整する継ぎ手制御装置に入力する。継ぎ手制御装置は、一般的にはデジタル処理装置アプリケーションであり、これは、継ぎ手の位置を変更するアクチュエータを制御して所期の継ぎ手の位置と検出器が測定した実際の位置との差分をできるだけ零に近けるものである。
【0005】
ブーム制御の目的は、ブーム端に位置する工具を十分な精度で所望の位置に置くことにある。その一方で、ブームの動きの動特性をできるだけ良好にすることを目的とする。良好な動特性とは、アクチュエータおよび調整可能な継ぎ手における所望の位置に対する、また最小振動量に対する継ぎ手の、またそれによりブーム全体の位置決め率を言う。
【0006】
液圧式ブームの場合、ソフトウェアで実現される、または制御機器に含まれる継ぎ手制御装置パラメータを調整して、用いた調整アルゴリズムによってブームを望み通りに動作させる、すなわち、できるだけ完全に設定値の変化に追従させようとすることは、かなり困難な作業である。液圧式ブームの複雑な力学はモデル化するのが難しいため、調整装置を調整するのが困難である。また、液圧式ブームは構造上、可撓性および弾性を特徴とするため、継ぎ手制御装置のパラメータ調整も難しい。複数のブーム継ぎ手を同時に動かす必要がある場合、継ぎ手制御装置の最適な調整は、1自由度の場合とは大きく異なる。一般的な調整方法を多段マニピュレータの継ぎ手制御装置に適用するのは、まったく不可能ではないであろうが、難しい。ブーム制御および調整の管理は、1つの継ぎ手を調整すると、他の継ぎ手の加速および位置の変化に加え、調整可能な継ぎ手に対するブーム連結アームの慣性モーメントの変化によって、調整対象の継ぎ手の調整特性が影響を受けることから、さらに複雑である。
【0007】
調整装置の実験的な調整に代わるものとして、調整すべき系の正確な数学モデルを作成して、このモデルに基づいて継ぎ手制御装置を調整する。しかしこれには、モデルを作成しても1つの特定のブームのみを正確に表すにすぎず、各ブームのモデルを個々にモデル化しなければならないという問題点がある。これは、たとえもっと簡単な実験方式を用いることができたとしても、現実面において経済的に実行不可能である。
【0008】
現在、ブーム調整制御は、1自由度の場合について種々のパラメータの近似値を求めることで調整し、次に、所望の動作が実現するまで、継ぎ手制御装置パラメータを暗探法を用いて継ぎ手ごとに調整する。調整者が調整技術について情報不足であると、実際において、継ぎ手制御装置パラメータの役割を果たす数値を与えることができない。結局、調整の最終結果の評価について適切な方法および指標がないと、最終結果は視覚的な判断のみに基づくことになる。
【発明の簡単な説明】
【0009】
本発明は、公知の技術よりも簡便で、継ぎ手の数および型に関係なくいろいろなブームに適用可能な液圧作動ブームの動作を調整する方法および装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の方法は、ブーム部の相対的動きを、ブーム部の間の所定の位置に対してその両側で、対称的で反復する制御信号を用いて制御し、制御信号に応じて検出器から取得した実際の位置値および運動速度値を、制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値と比較し、これらの値の間の差に基づいて、継ぎ手制御装置の調整パラメータを調整し、検出器から取得した実際の位置値および運動速度値と制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値との差が所期の大きさになるまでこの調整を続けることを特徴とする。
【0011】
本発明の装置は、ブーム部の相対的動きを、ブーム部の間の所定の位置に対してその両側で、対称的で反復する制御信号を用いて制御するように構成可能であり、制御手段は、制御信号に応じて検出器から取得した実際の位置値および運動速度値を、制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値と比較する手段と、これらの値の間の差に基づいて、継ぎ手制御装置の調整パラメータを調整し、検出器から取得した実際の位置値および運動速度値と制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値との差が所期の大きさになるまでこの調整を続ける手段とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明のコンピュータプログラムは、
ブーム部の相対的動きを、ブーム部の間の所定の位置に対してその両側で、対称的な反復する制御信号を用いて制御し、制御信号に応じて検出器から取得した実際の位置値および運動速度値を、制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値と比較し、これらの値の間の差に基づいて、継ぎ手制御装置の調整パラメータを調整し、検出器から取得した実際の位置値および運動速度値と制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値との差が所期の大きさになるまでこの調整を続けるプログラムコードを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の基本概念は、ブーム部運動の調整可能な継ぎ手制御装置の設定値の役割を果たす対称的で、好ましくは正弦波の制御信号を、開始位置、すなわち零位置の両側に供給してブーム部を往復運動させ、同時にブーム部の相対的位置を角度または位置検出器で測定することにある。また、実施例の基本概念は、動きの位置および速度を表示装置に位置および速度の座標系で示すことであり、表示結果は実質的に楕円状のパターンとなる。さらに別の基本概念は、設定値および運動速度に基づいて作成されるパターンを、位置および速度の座標系に示す測定した継ぎ手の現在値およびその運動速度に基づいて作成されるパターンと比較して、その差に基づいて、継ぎ手制御装置の調整パラメータ、例えば制御装置利得を変更することにある。測定して実現したパターンが十分な精度で設定値パターンと一致すると、調整が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明を添付図面と関連付けて詳細に述べる。
【図1a】液圧式ブームの概略側面図である。
【図1b】同じくその概略上面図である。
【図2】ブームの動作を制御する制御装置接続部の概略図である。
【図3a】ないし
【図3c】1ブーム継ぎ手の制御装置の調整において可能なユーザインタフェースの表示を概略的に示す図である。
【図4】ブーム位置決め精度の測定値を概略的に示す図である。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0015】
図1aおよび図1bは、液圧作動ブーム1の概略側面および同様に概略上面を示す図であり、ブーム1は、例えば、複数のブーム部1aおよび1bを有する削岩装置ブームである。ブーム部1a〜1bは相互に連結され、また他方において、概略的に図示したキャリア2に継ぎ手3aによって連結され、先端のブーム部1bの端部には工具4が継ぎ手3bによって取り付けてある。工具4の位置決めは、ブーム部1a〜1bをキャリア2および互いに対して回転させ、また工具をブーム部1bに対して回転させて行う。ブームは、キャリアおよびブーム部の継ぎ手3a〜3cに作用するアクチュエータ5a〜5bを用いて制御する。同様に、図1bは継ぎ手6a〜6cを示し、これら継ぎ手の各軸は継ぎ手3aおよび3bと直交関係にあり、これらの軸を中心にブーム部がアクチュエータ7a〜7cによってキャリアおよび互いに対して回転する。
【0016】
図2は、ブームを1つの継ぎ手3aに関連して制御する接続部を概略的に示す。これは、継ぎ手3aによってキャリア2に連結されたブーム部1aを含む。キャリア2とブーム部1aの間には液圧アクチュエータ5aを設けてあり、このアクチュエータは例えば液圧シリンダである。ポンプ8は、液圧流体を制御弁11から液圧流体路9および10を通って液圧シリンダに供給し、また同様に、液圧流体を液圧流体容器12に戻す。制御弁11は継ぎ手制御装置13によって制御されるように接続され、継ぎ手制御装置13は、制御ユニット14の一部として概略的に図示するが、制御ユニット14によって制御される。継ぎ手3aは角度検出器15を含み、角度検出器はブーム部1aとキャリアの間の回転角度を検出するものであり、破線で示すように、継ぎ手制御装置13および適宜、制御ユニット14にも接続されて回転角度を検出する。継ぎ手制御装置は、独立した電子的に動作する調整装置でよく、電子的に動作する制御ユニットの一部または制御用のソフトウェアの一部であり、本特許出願明細書および特許請求の範囲においては、継ぎ手制御装置とは上述のすべてを指す。継ぎ手制御装置13は実時間で、制御ユニット14の与える設定値と検出器15の生成する位置情報との差に基づいて、選択された調整アルゴリズムに従って制御弁11の制御を選択する。
【0017】
また、継ぎ手は角柱状でもよく、その場合、検出器は角度の代わりに連結アーム間の直線的な動きを測定する。さらに、制御装置は一般的に表示装置16を備え、この表示装置に、ブーム継ぎ手の連結角度および/またはブーム端または工具のデカルト位置を表示してもよい。実際には、現存のコンピュータ制御による装置では、継ぎ手制御装置と制御ユニットとは一般に同一の処理装置、すなわちマイクロプロセッサであり、制御機能および継ぎ手制御装置機能をソフトウェアによって行う。当然のことながら、本発明の適用において、本来知られている他のいろいろな方式を用いることも可能である。
【0018】
図3aないし図3cは、一例として図2の1継ぎ手のモデルを使用して、継ぎ手制御装置を調整するブーム制御におけるユーザインタフェース表示を概略的に示す。図3aは、あるブーム継ぎ手の理論上の位置/速度記述子を表示装置に示す表示例を示している。ブーム継ぎ手の記述子は原則的に、設定値およびその導関数として与えられる正弦波信号の特性に由来する楕円である。理論上の、すなわち目標記述子17は、継ぎ手制御装置を調整するのに求める目標である。
【0019】
継ぎ手の調整において、正弦波信号を継ぎ手制御装置13の設定値として入力し、それにより、往復運動における該当のブーム継ぎ手の連結角度が変わる。例えば、継ぎ手の動きの駆動時における位置に対していずれかの側に±2.5度、変化する。この連結角度の変化は、表示装置において横軸に示される。同様に、制御信号を微分して理論的に求めた継ぎ手の運動速度は、正弦波状位置変化の場合、運動の端位置で零となり、また継ぎ手が正弦波状位置変化の中間点にあると最高となる。そこで速度は、表示装置には縦軸方向、すなわちy軸に示される。位置/速度座標系で位置値および速度値を実時間でプロットすることで、形成された記述子は理論的には、楕円を描く。実際には、継ぎ手位置の測定値から得られた記述子は、正確には理論的な楕円形記述子にならない。調整の目的は、実現された位置から作成されるパターンと設定値から作成される理論的楕円パターンの差を最小限にすることである。
【0020】
図3aに示すように、ブームの位置および運動速度の実際の記述子18は、例えばほぼ楕円形である。実現パターン、すなわち記述子18は、設定値のパターンの外側でなく内側に見られることが極めて重要である。したがって、継ぎ手の位置は変動する設定値にきちんと追従するのではなく、遅れをとることになる。この場合、継ぎ手制御装置の利得を高くする必要がある。操作者は単に+および−キーを使って継ぎ手制御装置の利得を変更してもよく、それにより新たなパラメータをすぐに使用できる。操作者は、継ぎ手が経路を追従できる様子を記述子同士の比較によって実時間で観察でき、継ぎ手制御装置パラメータをパターンの差に基づいて調整できる。実現パターンが設定値パターンの内側でなく外側にある場合、この状況は図3bに示されているが、操作者は継ぎ手制御装置の利得を−キーを使用して下げて、記述子が互いに接近するようにする。理論上では、この段階におけるブーム運動の記述子18は、図3cに示すように、目標記述子17の大きさの楕円である。実際には、現実の記述子は理論上の楕円に対する様々な偏差を含み、完璧な楕円形の記述子を実現することは不可能である。しかし、記述子をできるだけ目標楕円に近くして、この特定の継ぎ手についてのブーム調整の精度を極力高めることがとても重要である。各記述子の大きさおよび形状が同じ場合、継ぎ手の位置に基づいて形成される経路は、たとえ継ぎ手制御装置の設定値と実現された位置との間に時間遅延が生じたとしても、時間/位置平面においても設定値に基づいて形成される経路に十分に一致する。同様に、実現パターンと設定値パターンの間の距離を比較することで、継ぎ手の利得を自動的に調整することも可能である。速度および位置が楕円を描くことが分かっていて、この楕円の大きさおよび形状を観察して継ぎ手制御装置の調整の良好さを判断することができれば、実際の楕円の大きさを理想の大きさと自動的に比較することもできる。
【0021】
調整を自動的に行う場合、何ら記述子を作成する必要はないが、理論上位置値および速度値ならびに検出器で得られる実際の位置値および速度値を数学的に相互に比較してもよく、それにより、表示装置が描き出す記述子に基づいて手動調整において調整者が行なうのと同じ作業を計算によって自動制御で実行する。
【0022】
検出器の読み取りによって継ぎ手の位置データ、すなわち継ぎ手の位置および速度の値を与える場合、またはある時刻における一連の位置データ項目およびそれらの間の遷移の経過時間に基づいて速度を算出する場合、各サンプル時刻における現実の点と理論上の設定値の間の最短距離を計算することで、実際の値を予定値と比較してもよい。継ぎ手が可能な限り正弦波経路を辿った場合、1周期にわたる測定値と理論上の設定値の間の距離の平均値は零である。
【0023】
位置および速度の値と設定値の間の誤差をサンプル時間ごとに計算して、十分な設定値変化シーケンスが得られたらその平均を求める。誤差の平均値を求めることで、測定した位置値および速度値と設定値との間の誤差の方向および大きさを得ることができる。この情報を、該当する継ぎ手制御装置のパラメータの調整に使用して誤差の平均値を最小限にすることもできる。誤差を算出後、継ぎ手制御装置の利得を変更して、利得の変化を誤差の大きさに比例させる。
【0024】
誤差が十分に零に近くなると、調整は完了する。このとき、実際の位置値および速度値は、設定値より低いときほど、設定値よりも高い同じ値をとる。この場合、経路は、可能な限り最良の経路を採る。
【0025】
他の継ぎ手も、同様の方法で垂直および水平方向の両方において調整する。できるだけ最高の精度を実現するためには、これも行って、1つのブーム継ぎ手を調整するのと同時に他の継ぎ手を駆動させ、これによって他の継ぎ手の動作による当該継ぎ手の動作への妨害を最小限にすることができる。これにより、最終結果として、ブームの全体的な動作および運動は最良の形で意図したものに即する。
【0026】
上述の方法を用いたブーム継ぎ手制御装置の調整によって最良のブーム位置結果が得られ、調整中はこの位置の付近でブームが制御される。ブームの作業領域の様々な部分で最良のパラメータ値を得るために、作業領域の様々な部分において複数の異なる位置でブームを調整してもよい。
【0027】
ブームの動作を調整したら、さらにブーム継ぎ手の静的精度を検査する必要がある。この検査は、本例では、継ぎ手を操作して位置選定をすることで行う。ここで、各位置間における継ぎ手経路は、正弦波信号の半周期に相当する。そこで、表示装置では、どんな精度でブーム部が所望の位置に設定されたか、また例えば、最終位置に対するブームまたはブーム部の時間関数としての振動を確認できる。これは図4に図示してあるが、図4ではブーム部の動き記述子を時間関数として概略的且つ理論的に示している。
【0028】
図4に示すように、ブームまたはブーム部は継ぎ手に対して回転して、実質的に目標記述子に従って、最端位置を示す線19aと19bの間で零位置の両側を動き、これは、時刻t1において、制御信号で決まる最端位置で、つまり理論上は線19aでブームが停止するまで、続く。この位置から先は、設定値に過不足なしに追従すればブーム位置は一定になり、位置記述子18は線19aをなぞるであろう。しかし、ブーム位置を表す線18は、すぐに線19aと同じレベルになるわけではなく、その両側で振動する。そこで、時刻t1以降は、ブーム位置は線19aが画定する位置よりも上になり、その後、時刻t2において線19aより下になり、それ以降は線19a近くに戻る。つまり、時刻t3において実質的に所期の位置に戻る。
【0029】
本発明をコンピュータプログラムを使用して実現した場合、このプログラムは上述の方法でブームの動作の調整を行うプログラムコードを含むものである。そのため、プログラムコードは、継ぎ手制御装置の制御装置利得の調整、およびブームのキャリアから始めてブームの遠位端に向かう個々のブーム部の間の動きの調整を実現するものであってよい。さらに、プログラムコードは、x/y座標系における記述子を位置および運動速度の値を用いた表示として実現してもよく、その場合、記述子の一方の軸は位置値を表し、他方の軸は運動速度値を表す。またプログラムコードは、
−制御信号として正弦波信号を使用し、
−制御信号に基づいて目標パターンを表示装置上に形成し、この目標パターンにおいて、位置値および運動速度値を直角座標系の別々の軸に配置して、制御装置の利得を、検出器から得た実際の位置値および運動速度値に基づいて定義した対応する記述子に基づいて調整し、
−円形または楕円形の記述子を作成し、
−調整を自動的に実行し、
−削岩装置のブームを制御してもよい。
【0030】
図面およびそれに関連する記載は、発明の概念を例証するためだけのものである。本発明の詳細は、特許請求の範囲において変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を中心として相対的に回転するように、または液圧アクチュエータによって直線運動で移動するように可動的に連結された少なくとも2つの可動的相互連結ブーム部と、該液圧アクチュエータを制御する制御手段と、前記ブーム部間の動きおよび位置を検出する検出器とを含み、各動きは前記制御手段に含まれる継ぎ手制御装置によって制御され、液圧作動ブームの動作を調整するために、前記制御手段にある継ぎ手制御装置の、動きに固有の調整パラメータを個々の動きごとに設定することができる液圧作動ブームの動作を調整する方法において、該方法は、前記ブーム部の相対的動きを、該ブーム部の間の所定の位置に対してその両側で、対称的で反復する制御信号を用いて制御し、該制御信号に応じて前記検出器から取得した実際の位置値および運動速度値を該制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値と比較し、これらの値の間の差に基づいて、継ぎ手制御装置の調整パラメータを調整し、前記検出器から取得した実際の位置値および運動速度値と前記制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値との差が所期の大きさになるまでこの調整を続けることを特徴とする液圧作動ブームの動作を調整する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該方法はブーム調整装置の制御装置利得を前記調整パラメータとして用いることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記個々のブーム部間の動きの調整は、ブームキャリアから始めて前記ブームの遠位端に向かって行うことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、前記ブーム部は軸を中心に回転可能に相互連結され、位置検出器が該軸を中心とする回転角を検出することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、前記ブーム部は直線運動で移動可能に相互連結され、前記位置検出器は動く距離を検出することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記位置値および運動速度値を用いてx/y座標系における記述子を作成し、該x/y座標系の一方の軸は位置値を示し、他方の軸は運動速度値を示すことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は前記制御信号として正弦波信号を用いることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、前記制御信号に基づいて、目標パターンを表示装置に形成し、前記位置値および運動速度値を直角座標系の別々の軸に配置し、これに対応して前記検出器から取得した実際の位置値および運動速度値に基づいて定義した記述子に基づいて、前記制御装置の利得を調整することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の方法において、前記記述子は円形または楕円形であることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、前記調整は制御手段によって自動的に行うことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は前記ブームとして削岩装置のブームを使用することを特徴とする方法。
【請求項12】
軸を中心として相対的に回転するように、または液圧アクチュエータによって直線運動で移動するように可動的に連結された少なくとも2つの可動的相互連結ブーム部と、該液圧アクチュエータを制御する制御手段と、前記ブーム部の間の動きおよび位置を検出する検出器とを含み、各動きは前記制御手段に含まれる継ぎ手制御装置によって制御され、液圧作動ブームの動作を調整するために、前記制御手段にある継ぎ手制御装置の、動きに固有の調整パラメータを個々の動きごとに設定することができる液圧作動ブームの動作の調整装置において、該装置は、前記ブーム部の相対的動きを、該ブーム部の間の所定の位置に対してその両側で、対称的な制御信号を用いて制御するように構成可能であり、前記制御手段は、該制御信号に応じて前記検出器から取得した実際の位置値および運動速度値を該制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値と比較する手段と、これらの値の間の差に基づいて、前記制御手段に設けられた継ぎ手制御装置の調整パラメータを調整し、前記検出器から取得した実際の位置値および運動速度値と前記制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値との差が所期の大きさになるまでこの調整を続ける手段とを含むことを特徴とする液圧作動ブームの動作の調整装置。
【請求項13】
請求項12に記載の調整装置において、該装置で使用する前記継ぎ手制御装置の調整パラメータは該継ぎ手制御装置の制御装置利得であることを特徴とする調整装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の調整装置において、該装置は、個々のブーム部間の動きをブームキャリアから始めて該ブームの遠位端に向かって調整するように構成されていることを特徴とする調整装置。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれかに記載の調整装置において、前記ブーム部は軸を中心に回転可能に相互連結され、位置検出器が軸を中心に検出するように構成されていることを特徴とする調整装置。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれかに記載の調整装置において、前記ブーム部は直線運動で移動可能に相互連結され、前記位置検出器は動く距離を検出するように構成されていることを特徴とする調整装置。
【請求項17】
請求項12ないし16のいずれかに記載の調整装置において、前記制御手段は、位置値および運動速度値を用いてx/y座標系における記述子を与えるように構成され、該x/y座標系の一方の軸は位置値を示し、他方の軸は運動速度値を示すことを特徴とする調整装置。
【請求項18】
請求項12ないし17のいずれかに記載の調整装置において、前記制御手段は正弦波信号を制御信号として使用するよう構成されていることを特徴とする調整装置。
【請求項19】
請求項12ないし18のいずれかに記載の調整装置において、前記制御手段は表示装置を含み、また該制御手段は、前記制御信号に基づいて目標パターンを該表示装置に形成し、該目標パターンにおいて前記位置値および運動速度値は直角座標系の別々の軸に配置され、これに対応する記述子を前記検出器から取得した実際の位置値および運動速度値に基づいて作成して、制御装置利得を該記述子に基づいて調整できるように構成されていることを特徴とする調整装置。
【請求項20】
請求項18または19に記載の調整装置において、前記制御手段は円形または楕円形の記述子を作成するよう構成されていることを特徴とする調整装置。
【請求項21】
請求項12ないし20のいずれかに記載の調整装置において、前記制御手段は調整を自動的に実行するよう構成されていることを特徴とする調整装置。
【請求項22】
請求項12ないし21のいずれかに記載の調整装置において、前記ブームは削岩装置のブームであることを特徴とする調整装置。
【請求項23】
可動的に相互連結された少なくとも2つのブーム部を含み、該ブーム部は軸を中心として相対的に回転するように、または液圧アクチュエータによって直線運動で移動するように可動的に連結され、さらに、前記液圧アクチュエータを制御する制御手段と、前記ブーム部の間の動きおよび位置を検出する検出器とを含み、各動きは前記制御手段に含まれる継ぎ手制御装置によって制御され、液圧作動ブームの動作を調整するために、前記制御手段にある継ぎ手制御装置の、動きに固有の調整パラメータを個々の動きごとに設定できる液圧作動ブームの動作の調整を行う装置に含まれる処理装置を制御するコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムは前記ブームの動作を調整するプログラムコードを含み、該コンピュータプログラムは、前記ブーム部の相対的動きを、ブーム部の間の所定の位置に対してその両側で、対称的な制御信号を用いて制御し、該制御信号に応じて前記検出器から取得した実際の位置値および運動速度値を該制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値と比較し、これらの値の間の差に基づいて継ぎ手制御装置の調整パラメータを調整し、前記検出器から取得した実際の位置値および運動速度値と前記制御信号に基づいて決定した理論上の位置値および運動速度値との差が所期の大きさになるまでこの調整を続けるプログラムコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項24】
請求項23に記載のコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムは、前記継ぎ手制御装置の制御装置利得を調整するプログラムコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項25】
請求項23または24に記載のコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムは、個々のブーム部間の動きをブームキャリアから始めて前記ブームの遠位端に向かって調整するプログラムコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項26】
請求項23ないし25のいずれかに記載のコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムは、前記位置値および運動速度値を用いてx/y座標系における記述子を与えるプログラムコードを含み、該x/y座標系の一方の軸は位置値を示し、他方の軸は運動速度値を示すことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項27】
請求項23ないし26のいずれかに記載のコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムは前記制御信号として正弦波信号を使用するプログラムコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項28】
請求項23ないし27のいずれかに記載のコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムは、前記制御信号に基づいて、目標パターンを表示装置に形成し、該目標パターンにおいて前記位置値および運動速度値を直角座標系の別々の軸に配置し、これに対応して前記検出器から取得した実際の位置値および運動速度値に基づいて定義した記述子に基づいて、前記制御装置の利得を調整するプログラムコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項29】
請求項27または28に記載のコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムは円形または楕円形の記述子を作成するプログラムコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項30】
請求項23ないし29のいずれかに記載のコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムは前記調整を自動的に実行するプログラムコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項31】
請求項23ないし30のいずれかに記載のコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムは削岩装置のブームを制御するように構成されていることを特徴とするコンピュータプログラム。


【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−505029(P2011−505029A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527481(P2010−527481)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050541
【国際公開番号】WO2009/043969
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】