測定システム
【課題】 被検体と非接触で被検体の立体形状を測定することができるコモンパス型の測定システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 測定システム(100A)は測定ビーム(L1)と測定ビームに対して基準となる基準ビーム(L2)とを出射する光源部11と、被検物体に隣接して配置され、基準ビームを反射させ測定ビームを被検物体へ透過させる平板状の参照素子(13)と、被検物体で反射された測定ビームと参照素子で反射された基準ビームとが干渉した干渉ビームを各波長に分光する分光素子(20)と、分光素子で分光された各波長を検出する検出部(24)と、光源部から被検物体および分光素子を介して検出部に至る測定ビームの光路長と、光源部から参照素子および分光素子を介して検出部に至る基準ビームの光路長とを揃える迂回路を有する測定光学系(12)を備える。
【解決手段】 測定システム(100A)は測定ビーム(L1)と測定ビームに対して基準となる基準ビーム(L2)とを出射する光源部11と、被検物体に隣接して配置され、基準ビームを反射させ測定ビームを被検物体へ透過させる平板状の参照素子(13)と、被検物体で反射された測定ビームと参照素子で反射された基準ビームとが干渉した干渉ビームを各波長に分光する分光素子(20)と、分光素子で分光された各波長を検出する検出部(24)と、光源部から被検物体および分光素子を介して検出部に至る測定ビームの光路長と、光源部から参照素子および分光素子を介して検出部に至る基準ビームの光路長とを揃える迂回路を有する測定光学系(12)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検物体の三次元表面形状を測定する測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定システムとして、光コヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography、OCT)装置が広く使用されている。特許文献1では、低コヒーレンス干渉において共通の光路を有する(コモンパスな)干渉計は困難であることを示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4038560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、被検体を参照ガラスに直接載置することによって、共通の光路を有する(コモンパス型の)干渉計を実現している。これにより、振動には非常に強くなっているが、細胞などの試料にしか有効ではない。特許文献1に記載された干渉計では非接触での計測ができず、奥行きのある被検体の形状計測も不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被検体と非接触で被検体の立体形状を測定することができるコモンパス型の測定システムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の第1態様は、被検物体の凹凸を測定するための測定システムである。この測定システムは、被検物体の凹凸を測定するための測定ビームと測定ビームに対して基準となる基準ビームとを出射する光源部と、被検物体に隣接して配置され、基準ビームを反射させ測定ビームを被検物体へ透過させる平板状の参照素子と、被検物体で反射された測定ビームと参照素子で反射された基準ビームとが干渉した干渉ビームを各波長に分光する分光素子と、分光素子で分光された各波長の強度を検出する検出部と、光源部から被検物体および分光素子を介して検出部に至る測定ビームの光路長と、光源部から参照素子および分光素子を介して検出部に至る基準ビームの光路長とを揃える迂回路を有する測定光学系とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の測定システムは、被検体と非接触で被検体の立体形状を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態の第1測定システム100Aの全体構成を示した図であり、送光系の光路を示した図である。
【図2】光源部11を示した斜視図である。
【図3】(a)は、光源部11を+Y軸方向から見た側面図である。 (b)は、光源部11を+Z軸方向から見た上面図である。
【図4】(a)は、第1実施形態の迂回部22の拡大図である。 (b)は、別例の第2迂回部32を示した拡大図である。
【図5】(a)は、図1の破線Aに囲まれた部分の拡大図である。 (b)は、(a)のB−B矢視図である。
【図6】+Z側から見た被検物体Tの測定面Hoの断面図であり、走査鏡127による測定ビームL1の走査を示した図である。
【図7】第1実施形態の第1測定システム100Aの全体構成を示した図であり、受光系の光路を示した図である。
【図8】面Hiと面Heとの共役関係を説明するための図である。
【図9】面Hiと面Heとの共役関係を説明するための別の図である。
【図10】SLD光源111の波長と強度との関係を示したグラフである。
【図11】第1測定システム100Aが測定するZ軸方向の範囲を示した図である。
【図12】測定ビームL1の波長と強度との関係を示したグラフである。
【図13】スペクトルを一次元フーリエ変換することで得られた被検物体Tの一次元(Y軸方向)の測定結果を示したグラフである。
【図14】電動ステージ15で被検物体TをZ軸方向に移動させ、その移動毎に被検物体Tの一次元の測定結果を組み合わせたグラフである。
【図15】光源部11、測定光学系12が参照素子13のXY平面に対して移動することを示した図である。
【図16】XY平面での広い領域に対する測定範囲を示した図である。
【図17】第2実施形態の第2測定システム100Bの全体構成を示した図であり、送光系の光路を示した図である。
【図18】第2実施形態の第2測定システム100Bの全体構成を示した図であり、受光系の光路を示した図である。
【図19】第3実施形態の第3測定システム100Cの全体構成を示した図であり、送光系の光路を示した図である。
【図20】第3実施形態の第3測定システム100Cの全体構成を示した図であり、受光系の光路を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態の第1測定システム100Aは、測定ビームL1と基準ビームL2とが共通の光路を有するフィゾー(Fizeau)干渉計を適用した一例である。
【0010】
<第1測定システム100Aの構成>
まず、第1測定システム100Aの送光光学系について、図1〜図6を参照しながら説明する。
<<送光光学系の構成>>
図1は、第1実施形態の第1測定システム100Aの全体構成を示した図である。図1に示されたように、第1測定システム100Aの送光光学系は光源部11、測定光学系12及び参照素子13を備えている。図1において、参照素子13と平行である面をXY平面とし、XY平面に垂直な方向をZ方向とする。
【0011】
なお、図1では、測定ビームL1のSLD光源111から被検物体Tの測定面Hoまでの光路及び基準ビームL2のSLD光源111から参照素子13のフィゾー面FMまでの光路が示されている。
【0012】
光源部11は、スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescence Diode:SLD)光源111(以下はSLD光源111と称する。)、1/2波長板112、平凸シリンドリカルレンズ113及び平凸シリンドリカルレンズ114により構成されている。
【0013】
具体的には、図2及び図3を参照しながら光源部11について説明する。図2は、光源部11を示した斜視図である。図3(a)は光源部11を+Y軸方向から見た側面図であり、図3(b)は光源部11を+Z軸方向から見た上面図である。
【0014】
図2及び図3において、SLD光源111はたとえば波長帯域が850nm〜900nm又は1250nm〜1300nmなどの広帯域の低コヒーレント光を照射する。SLD光源111の半値幅は30nm以上あることが好ましい。1/2波長板112は、入射光線に1/2波長の位相差を生じさせる機能を有する。第1実施形態においては、例えば1/2波長板112を光軸に対して回転させて配置することで、1/2波長板112がSLD光源111からの直線偏光の照射光をP偏光とS偏光とに振り分ける。
【0015】
平凸シリンドリカルレンズ113は、図2に示されたように、+Y側から見ると+X軸方向に向かった凸型の曲面であり、その他の面は平面である。したがって、平凸シリンドリカルレンズ113は、図3(a)に示されたように入射されたビームLを線S1で集光することができる。このため、例えば断面が円形のビームLは、平凸シリンドリカルレンズ113を通過すると断面がZ軸方向に圧縮された楕円状のビームとなって射出される。
【0016】
平凸シリンドリカルレンズ114は、図2に示されたように、+Z側から見ると+X軸方向に向かった凸型の曲面であり、その他の面は平面である。したがって、平凸シリンドリカルレンズ114は、平凸シリンドリカルレンズ114に入射された楕円状のビームLを一直線状に集光することができる。すなわち、図3(b)に示されたように入射されたビームLを線S1においてY軸方向に一直線状に集光することができる。線S1を含んだYZ平面を面Hiとして描いてある。
【0017】
図1に戻り、測定光学系12は迂回部22を有している。迂回部22について図4を参照しながら説明する。図4(a)は第1実施形態の迂回部22の拡大図で、図4(b)は別例の第2迂回部32を示した拡大図である。
【0018】
図4(a)に示された迂回部22は、2つのブロック状の偏光ビームスプリッタ121、122と、その偏光ビームスプリッタ121、122とZ軸方向で距離dを離れて配置された平面ミラー123、124とを有している。ここで、偏光ビームスプリッタ121、122は例えばP偏光を通過しS偏光を反射し、偏光面PM11、PM12はX軸方向に対して45度傾いている。平面ミラー123、124もX軸方向に対して45度傾いて配置されている。偏光ビームスプリッタ121の偏光面PM11と平面ミラー123の反射面RM11とは距離dだけ離れて配置されている。同様に、偏光ビームスプリッタ122の偏光面PM12と平面ミラー124の反射面RM12とは距離dだけ離れて配置されている。
【0019】
以下、迂回部22による迂回路について説明する。説明をしやすくするため、迂回部22に入射したP偏光又はS偏光の光軸のみで説明する。まず、偏光ビームスプリッタ121の偏光面PM11の点A1において、例えば+X軸方向に沿って迂回部22に入射されたP偏光は偏光面PM11をそのまま通過し、S偏光は偏光面PM11で−Z軸方向に反射する。
【0020】
偏光面PM11を通過したP偏光は、点B1で+X軸方向に偏光ビームスプリッタ121から射出し、点C1で偏光ビームスプリッタ122に入射される。また偏光ビームスプリッタ122の偏光面PM12における点D1をそのまま通過して迂回部22から射出する。
【0021】
一方、偏光面PM11に反射されたS偏光は、点E1で−Z軸方向に偏光ビームスプリッタ121から射出し、平面ミラー123の反射面RM11における点F1で再び+X軸方向に反射される。平面ミラー123の反射面RM11に反射されたS偏光はまた平面ミラー124の反射面RM12における点J1反射されて+Z軸方向に点K1で偏光ビームスプリッタ122に入射される。偏光ビームスプリッタ122に入射されたS偏光はその偏光面PM12に反射されて迂回部22に入射するときと同じ方向の+X軸方向となって迂回部22から射出する。
【0022】
ここで、線分F1−J1において、点G1は点B1から線分F1−J1までの垂直線と線分F1−J1との交差点であり、点H1は点C1から線分F1−J1までの垂直線と線分F1−J1との交差点である。
【0023】
したがって、P偏光の光路は以下のとおりである。
ガラス中の距離 大気中の距離
A1−B1=d2 B1−C1
C1−D1=d2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 2×d2 合計 B1−C1
【0024】
一方、S偏光の光路は以下のとおりである。
ガラス中の距離 大気中の距離
A1−E1=d3 E1−F1=d1
K1−D1=d3 F1−G1=d2
G1−H1
H1−J1=d2
J1−K1=d1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 2×d3 合計 2×(d1+d2)、G1−H1(=B1−C1)
【0025】
ここで、d2=d3より、ガラス中の距離の差は0となり、大気中の距離の差は、2×(d1+d2)=2×(d1+d3)=2×dとなる。したがって、P偏光に比べて、S偏光が迂回したことによる光路長は2dだけ長くなる。
【0026】
また、測定光学系12の迂回部22は、図4(b)に示されたように第2迂回部32の構成であってもよい。第2迂回路32は、1又は2以上のガラスブロックで構成されている。第2迂回路32はP偏光とS偏光との一方を通過し他方を反射する偏光面PM21、PM22を有し、また反射面RM21、RM22を有している。偏光面PM21、PM22はX軸方向に対して45度傾いている。反射面RM21、RM22もX軸方向に対して45度傾いている。偏光面PM1と反射面RM21とは距離dだけ離れて配置され、偏向面PM22と反射面RM22とは距離dだけ離れて配置されている。
【0027】
上述の迂回部22に対する説明によれば、長さd2と長さd3は同じであるため、第2迂回部32において迂回した光路長は線分C2−D2、線分D2−H2、線分H2−E2及び線分E2−F2の合計長さとなる。すなわち、迂回した光路長は2倍の(d1+d2)となる。また、長さ(d1+d3)を長さdとすると、迂回した光路長は2dとなっている。
【0028】
再び図1に戻り、迂回部22の+X側にはリレーレンズ125、ハーフビームスプリッタ126及び走査鏡127が順次に配置され、走査鏡127の−Z側にはもう1つのリレーレンズ128が配置されている。ここで、走査鏡127が図示しない駆動部により振動軸Oを中心として矢印ARに沿って振動する。また、2つのリレーレンズ125、128は互いに焦点距離の等しいレンズであればよい。両側テレセントリックとなっている。さらに、走査鏡127の振動軸Oはリレーレンズ125の+X側の焦点位置とリレーレンズ128の+Z側の焦点位置とが一致した箇所に配置されている。
【0029】
参照素子13は、例えばフィゾー面FMを有しているワイヤグリッドであればよい。ワイヤグリッドは、ビームLの波長よりも十分小さい間隔で並行に配置されたワイヤー(又は溝)が形成されたガラス板である。ワイヤグリッドは測定ビームL1を透過し、基準ビームL2を反射することができる。ここで、参照素子13のフィゾー面FMと測定面Hoとは距離dだけ離れている。
【0030】
<<送光光学系の光路の説明>>
図1に示されたように、SLD光源111からのビームLは1/2波長板112によってP偏光とS偏光とに振り分けられる。そして、平凸シリンドリカルレンズ113及び平凸シリンドリカルレンズ114を通過することによりY軸方向に伸びる線S1に集光される。
【0031】
P偏光とS偏光とに振り分けられたビームLは、測定光学系12の偏光ビームスプリッタ121に入射する。すると、例えばP偏光である測定ビームL1は偏光ビームスプリッタ121、122を通過してリレーレンズ125に入射する。S偏光である基準ビームL2は、偏光ビームスプリッタ121で−Z軸方向に反射される。偏光ビームスプリッタ121に反射された基準ビームL2は、平面ミラー123及び平面ミラー124に順次に反射されて偏光ビームスプリッタ122に入射する。偏光ビームスプリッタ122に入射された基準ビームL2は偏光ビームスプリッタ122に反射されて測定ビームL1と同じ光路となってリレーレンズ125に入射する。
【0032】
基準ビームL2は測定ビームL1に比べて迂回部22内で迂回されたので、基準ビームL2の迂回部22内での光路長は、測定ビームL1の迂回部22内での光路長より距離2d程長くなっている。
【0033】
リレーレンズ125を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2は、ハーフビームスプリッタ126を通過し、走査鏡127に入射される。測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡127の反射によってその軸Axが+X軸方向から−Z側に変更される。軸Axが−Z側向きなった測定ビームL1及び基準ビームL2は、リレーレンズ128によりその軸Axが−Z軸方向に変更されて参照素子13に入射する。
【0034】
ここで、上述のように迂回部22によって測定ビームL1及び基準ビームL2は距離2d程の距離差が発生する。このため、測定ビームL1は参照素子13のフィゾー面FMから−Z側で距離d離れた測定面Hoの集光点T1で集光する。一方、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMから+Z側で距離d離れた基準面Hbの集光点T2で集光する。図1では、集光点T1及び集光点T2で描かれているが、測定ビームL1および基準ビームL2はY軸方向に沿って伸びた一直線状で集光している(図5を参照)。
【0035】
また、参照素子13に入射した測定ビームL1は参照素子13を通過して被検物体Tで反射される。基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMで反射される。測定ビームL1の集光点T1から参照素子13のフィゾー面FMまでの距離dと、基準ビームL2の集光点T2から参照素子13のフィゾー面FMまでの距離dとが同じである。測定ビームL1の被検物体Tの集光点T1にある部分からの反射ビームと、基準ビームL2の参照素子13のフィゾー面FMでの反射ビームとは同一の箇所から射出されたようになり、測定ビームL1と基準ビームL2との光路長も等しいので、後述するように、低コヒーレント光であっても測定ビームL1と基準ビームL2とが干渉する。具体的には、図5および図6を参照しながら説明する。
【0036】
図5(a)は、図1の破線Aに囲まれた部分の拡大図であり、図5(b)は図5(a)のB−B矢視図である。図6は、+Z側から見た被検物体Tの測定面Hoの断面図であり、走査鏡127による測定ビームL1の走査を示した図である。
【0037】
図5(a)に示されたように、測定ビームL1は例えば参照素子13のフィゾー面FMを通過して参照素子13のフィゾー面FMから−Z側で距離d離れた集光点T1(測定面Ho)で集光する。また、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMから+Z側で距離d離れた集光点T2で集光した後、参照素子13のフィゾー面FMで反射される。
【0038】
したがって、被検物体Tの集光点T1にある部分で反射された測定ビームL1と、参照素子13のフィゾー面FMで反射された基準ビームL2とは重なり合い、あたかも、測定ビームL1及び基準ビームL2は集光点T1から射出されたようになる。
【0039】
また、測定ビームL1及び基準ビームL2を+X軸方向から見ると、図5(b)に示されたとおりである。つまり、測定ビームL1は参照素子13を通過して被検物体Tで反射され、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMで反射されている。
【0040】
さらに図6に示されたように、第1測定システム100Aは走査鏡127を振動させることで、測定面Hoにおいて被検物体TをX軸方向でより幅広く測定することができる。
【0041】
例えば、一直線状の測定ビームL1が測定位置P1(x=x0)を照射すると、測定位置P1の被検物体Tの高さ(Z軸方向)を測定することができる。また、測定ビームL1が走査鏡127の振動によって測定位置P2(x=+x1)を照射すると、測定位置P1の被検物体Tの高さを測定することができる。すなわち、測定ビームL1は走査鏡127を振動させることで、測定位置P2(x=+x1)から測定位置P3(x=−x1)までの領域を測定することができる。
【0042】
<<受光光学系の構成>>
次に、第1測定システム100Aの受光光学系について、図7を参照しながら説明する。
図7は、図1で示した第1測定システム100Aの全体構成を示した図であり、測定ビームL1の被検物体Tの測定面Hoから検出部24までの光路及び基準ビームL2の参照素子13のフィゾー面FMから検出部24までの光路を示した図である。
【0043】
図7に示されたように、ハーフビームスプリッタ126の+Z側にリレーレンズ16をさらに有している。そのリレーレンズ16の+Z軸方向の焦点位置である点S2には迷光を除去するようにスリット孔が形成されたスリット板17が設けられている。ここで、点S2を含んだXY平面を面Heとする。また、スリット板17の+Z側には焦点位置をスリット板17の位置(点S2)に合わせたリレーレンズ18が配置されている。
【0044】
また、リレーレンズ18の+Z軸方向には偏光子19及び分光素子20が順次に設けられている。ここで、偏光子19はP偏光とS偏光の中から共通の偏光成分を透過させるものである。分光素子20は例えば干渉されたビームのスペクトルに応じた角度に回折させる反射型の回折光学素子などであればよい。また、分光素子20の−X側には結像レンズ21が配置され、その結像レンズ21の−X側の焦点位置には検出部24が配置されている。ここで、検出部24としては例えばInGaAsイメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOSイメージセンサを2次元に配列したものである。
【0045】
<<受光光学系の光路>>
図7に示されたように、被検物体Tで反射された測定ビームL1及び参照素子13のフィゾー面FMで反射された基準ビームL2は、同一の箇所から射出されたように再び測定光学系12のリレーレンズ128に入射する。リレーレンズ128を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡127に反射されてハーフビームスプリッタ126に入射する。そして、測定ビームL1及び基準ビームL2はハーフビームスプリッタ126に反射されて+Z軸方向に沿って射出する。
【0046】
ハーフビームスプリッタ126を射出した測定ビームL1及び基準ビームL2は偏光子19に入射する。偏光子19では、P偏光である測定ビームL1及びS偏光である基準ビームL2の中から共通の偏光成分を透過させる。測定ビームL1の面Hiから偏光子19までの光路長と、基準ビームL2の面Hiから偏光子19までの光路長とが揃っているため、測定ビームL1と基準ビームL2とは、低コヒーレント光であっても互いに干渉する。
【0047】
干渉された測定ビームL1及び基準ビームL2はリレーレンズ16によって集光され、スリット板17のスリット孔の位置(面He)でY軸方向に伸びた一直線状となる。また、スリット板17により測定ビームL1及び基準ビームL2に含まれた迷光が除去される。
【0048】
ここで、迂回部22を備えることにより、測定ビームL1と基準ビームL2とのどちらの光路に対しても、面Hiと面Heとは共役関係となり、且つ、両者の光路長は等しいので両者とも面Heで集光することができる。面Hiと面Heとの共役関係については、図8及び図9を参照しながら詳しく説明する。
【0049】
スリット板17によって迷光が除去された干渉ビームILは、広帯域(たとえば30nm以上)であり、回折光学素子などの分光素子20によって、波長に応じた角度に分光される。
【0050】
波長に応じて分光された干渉ビームILは、結像レンズ21を通過して検出部24に入射されて結像する。検出部24は分光素子20でスペクトルに分光された干渉ビームILをそれぞれに検出する。
【0051】
以下、面Hiと面Heとの共役関係に関するリレーレンズ125、リレーレンズ128及びリレーレンズ16による投影光学系について詳しく説明する。
まず、図1に戻り、干渉及び迷光の除去のためには面Hiの点S1(線S1を示す)から集光点T1を経てスリット板17にいたる測定ビームL1に沿った光路長と、面Hiの点S1から集光点T2を経てスリット板17にいたる基準ビームL2に沿った光路長とは等しくすることが必要である。
【0052】
リレーレンズ128から集光点T1までの測定ビームL1に沿った光路長と、リレーレンズ128から集光点T2までの基準ビームL2に沿った光路長とを比較すると前者が2dだけ長い。このため、迂回部22によってS偏光の基準ビームL2に対して2dだけ余計な光路長を加える(図4(a)を参照)ことで、測定ビームL1及び基準ビームL2における面Hiの点S1と集光点T1および集光点T2とが共役となり、面Hiの点S1から集光点T1および集光点T2までの光路長を揃える。
【0053】
また、図1及び図7において集光点T1からスリット板17(面He)までの光路長と、集光点T2からスリット板17(面He)までの光路長は等しい。
【0054】
さらに、干渉縞の明瞭なコントラストを得るためには、測定ビームL1の集光点T1とスリット板17(面He)とが共役であり、かつ基準ビームL2の集光点T2とスリット板17(面He)とが共役であることが望ましい。
【0055】
共役関係はリレーレンズ125とリレーレンズ128とから構成されるリレー光学系、又はリレーレンズ128とリレーレンズ16とから構成されるリレー光学系によって実現される。但し、任意のdの値で上述の同一光路長条件と共役関係を成立させるためには、リレーレンズ125、リレーレンズ128の焦点距離を等しい正の値に備えることが望ましい。また、リレーレンズ125、リレーレンズ128をそれぞれ薄肉レンズで表現したとき、リレーレンズ125とリレーレンズ128と、及びリレーレンズ128とリレーレンズ16との配列間隔がそれらの焦点距離の2倍になるようにすることが必要がある。以下、理由ついて図8及び図9を参照しながら説明する。
【0056】
図8では、簡単のために薄肉レンズ700を一例として、リレーレンズ125、リレーレンズ128について説明する。図8に示された焦点距離fの薄肉レンズ700については、以下の数式(1)のニュートン式が成立する。
x*x’=f2 … (1)
【0057】
なお、xの符号は物点Obが焦点Fより左側にあるときが正とし、x’の符号は像点Iが焦点F’より右側にあるときを正とする。
【0058】
次に、図9でも簡単のために薄肉レンズで考えることにし、焦点距離fの薄肉レンズ701と焦点距離fの薄肉レンズ702とを間隔2fで配列する。薄肉レンズ701について数式(2)のニュートン式が成立する。
x1*x1’=f2 … (2)
【0059】
薄肉レンズ702について数式(3)のニュートン式が成立する。
x2*x2’=f2 … (3)
【0060】
ここで、物点Obが薄肉レンズ701の左側焦点F1から左側にある場合、図示しないが物点Obの薄肉レンズ701による中間像は焦点F1’の右側にできるので、図示しないがx1’の符号は、数式(4)を満たす。
x1’>0 … (4)
【0061】
また、図示しないがx2については、数式(5)が成立する。
x1’=−x2 … (5)
【0062】
したがって、数式(5)を数式(3)に代入して数式(2)と比較すれば、数式(6)が得られる。
x1=−x2’ … (6)
【0063】
すなわち、物点Obと薄肉レンズ701及び薄肉レンズ702によって形成された像点Iとの間隔は、物点Obの位置にかかわらず恒等的に4fとなる。
【0064】
次に、物点Obと像点I間の投影倍率Mは、数式(7)のとおりである。
【数1】
… (7)
すなわち、物点Obの位置にかかわらず恒等的に1倍となる。
【0065】
また、物体−像投影光束の主光線が焦点F1’または焦点F2を通過するものとすれば、物点Obから薄肉レンズ701へ入射する主光線群は当然すべて光軸に平行となり、薄肉レンズ702から像点Iへ向かう主光線群もすべて光軸に平行となる。すなわち、両テレセントリックになる。
【0066】
ここで、図1に示された送光光学系に上述の関係をあてはめると、薄肉レンズ701がリレーレンズ125に相当し、薄肉レンズ702がリレーレンズ128に相当することになる。
【0067】
それぞれの焦点距離は等しい正の値に設定されており、図1においてリレーレンズ125とリレーレンズ128とを薄肉レンズで表現したときのレンズ間隔は、リレーレンズ125とリレーレンズ128との間に配置されたハーフプリズム126中の光路の長さを空気換算して、等価的に前記焦点距離の2倍に設定されている。物点Obは点S1に相当し、像点Iは集光点T1または集光点T2に相当する。
【0068】
測定ビームL1の光路長についての図9におけるx1相当光路長と、基準ビームL2の光路長についての同じくx1相当光路長の差が、図4(a)の迂回部22によって発生した迂回距離2dに相当し、同様に測定ビームL1の光路長についてのx2’と基準ビームL2の光路長についてのx2’の差が、図1の集光点T1と集光点T2間の光路差2dに相当する。すなわち、点S1から集光点T1までの光路長と点S1から集光点T2までの光路長は常に等しくなる。投影倍率は迂回光路長によらず常に1倍を維持する。
【0069】
図9使って説明した通り、点S1を通過する光束がテレセントリックならばリレーレンズ128から射出される光束もテレセントリックである。図3に示すように、点S1を含む面Hiに向かって線状に集光するビームLが、XY平面内では平行光束になるようにすれば、いずれの主光線も軸Axに対して平行になるので、リレーレンズ125とリレーレンズ128とによって形成される投影光学系、又はリレーレンズ128とリレーレンズ16とは両テレセントリックになる。リレーレンズ125とリレーレンズ128との共通焦点位置、又はリレーレンズ128とリレーレンズ16との共通焦点位置、あるいはそれに共役な位置に開口絞りを設置することでも両テレセントリックになることは言うまでもない。
【0070】
したがって、走査鏡127は反射面と振動軸Oがリレーレンズ125とリレーレンズ128の共通焦点を含むように設置する。このため、走査鏡127の振動軸O周り角度が変化しても、光束主光線はリレーレンズ128の焦点を通過するのでリレーレンズ128光軸に平行なままであり、リレーレンズ128から被検物体Tおよび参照素子13へ向かう光束のテレセントリック性は保持される。
【0071】
<第1測定システム100Aの電動ステージ15>
第1測定システム100Aは被検物体Tを載置するテーブル14を有している。テーブル14は、そのテーブル14を矢印AR1に示されたようにZ軸方向に沿って駆動できる電動ステージ15を有している。また、参照素子13とテーブル14との相対距離を検出する距離センサ装置EXをさらに備えている。
【0072】
<第1測定システム100Aの演算部23>
第1測定システム100Aの演算部23は、検出部24が干渉信号としてのスペクトルを検出した結果に基づいて、被検物体Tの三次元形状を演算する。演算部23は、図7に示されたように変換部231と、距離組み合わせ部232とにより構成されている。
【0073】
変換部231は、検出されたスペクトルの干渉信号に対して一次元フーリエ変換をすることにより、被検物体TのZ軸方向の位置を演算する。距離組み合わせ部232は、被検物体Tを載置したテーブル14が電動ステージ15によりZ軸方向で移動された場合、変換部231で変換された凹凸の距離と距離センサ装置EXで検出されたテーブル14の移動距離とを組み合わせる。具体的には、図10〜図14を参照しながら説明する。
【0074】
図10は、SLD光源111の波長と強度との関係を示したグラフである。図11は、第1測定システム100Aが測定するZ軸方向の範囲を示した拡大図である。ここで、測定する範囲は、測定ビームL1が例えば図6で示した測定位置P1(x=x0)にある際に、測定する範囲である。
【0075】
図10に示されたように、SLD光源111は波長範囲がλ0〜λ3であり、その波長と強度との関係グラフは一般に山型となる。また、波長λ1及び波長λ2は、波長範囲λ0〜λ3に属されている。図11は、図9に示されたようなSLD光源111で被検物体Tを照射する際の拡大図である。
【0076】
図11において、第1測定システム100AのZ軸方向での測定範囲は、測定面Hoから−Z軸方向で微小距離△Z離れている面H1までである。測定面Hoから面H1までの微小距離△Zは、分光素子20、結像レンズ21、検出部24から構成される分光系の波長分解能によって変化するが、たとえば広くても数mm程度である。
【0077】
図12は、測定ビームL1の測定点T21又は測定点T22での波長に対する強度分布との関係を示したグラフである。図12に示されたように波長と強度分布との関係は正弦波形に近い形状である。また、全体が山形になっているのは、図10に示されたSLD光源111自体の波長スペクトルを反映しているからである。さらに、検出部24は波長と強度分布の関係を検出する。
【0078】
検出部24は、干渉ビームILを検出すると、図12のグラフに示されたような強度分布を検出する。そして、変換部231(図7を参照)が得られたスペクトルについて一次元フーリエ変換をすることで、被検物体TのZ軸方向の高さを求めることができる。
【0079】
したがって、変換部231がスペクトルを複数の測定点(T21、T22を含むY軸方向の点)毎に一次元フーリエ変換をすることで、図13に示されたような微小距離△Zの範囲内のY軸方向(x=x0)における測定結果が得られる。微小距離△Zの範囲は、分光素子20、結像レンズ21、検出部24から構成される分光系の波長分解能によって変化するが、たとえば広くても数mm程度である。被検物体Tが高さ(Z軸方向)が微小距離△Zの範囲以上である場合には、被検物体Tの高さが計測できない。図13では被検物体Tの一部の高さしか測定できていない。そこで、電動ステージ15により被検物体Tを載置しているテーブル14をZ軸方向で微小距離△Zより小さい距離を移動させる。この移動距離は距離センサ装置EXで検出される。テーブル14が移動した状態で検出部24が干渉ビームILを検出する。距離組み合わせ部232(図7を参照)は、変換部231で変換された微小な凹凸情報と距離センサ装置EXで検出された距離とに基づいて、図14に示されたようなYZ平面での被検物体Tの全体グラフを求めることができる。
【0080】
図10から図14では、Y軸方向に伸びる測定ビームL1が測定位置P1(x=x0)のあるときのみを説明したが、走査鏡127で測定ビームL1が測定位置P2(x=+x1)から測定位置P3(x=−x1)まで走査されることで、第1測定システム100Aは被検物体TのX軸方向の高さも求める。
【0081】
<XY平面での広領域測定>
図15は、破線Cに囲まれた光源部11、測定光学系12が参照素子13のXY平面に対して平行に移動することを示した図である。図16は、被検物体TのXY平面での広い領域に対する測定範囲を示した図である。
【0082】
被検物体TがXY平面に大きい場合、走査鏡127及びリレーレンズ128で測定ビームL1を走査する範囲を超えることがある。このような場合には、光源部11、測定光学系12を一体的に参照素子13のXY平面に対して平行に移動させることが好ましい。図15で示される第1測定システム100Aは、光源部11及び測定光学系12を矢印AR2に示されるX軸方向に移動させ又は矢印AR3に示されるX軸方向に移動させる平面移動部25を有している。平面移動部25は、たとえばリニアガイドおよびステッピングモータなどを備えた平面駆動ステージである。
【0083】
また、第1測定システム100Aの演算部23は、平面組み合わせ部233をさらに有している。平面組み合わせ部233は、測定ビームL1及び基準ビームL2がXY平面で移動された場合、平面移動部25が移動させた距離を組み合わせて、XY平面に大きな被検物体Tの形状を組み合わせる。
【0084】
第1測定システム100Aにおいて、平面移動部25により光源部11及び測定光学系12など、をXY平面に沿って移動させることで、測定ビームL1及び測定ビームL2の走査範囲も移動する。したがって、第1測定システム100AのXY平面での測定範囲をより広くすることができる。図15に示されたように参照素子13は例えば電動ステージ15の底面などに固定され、参照素子13と被検物体TのXY平面との相対位置は変わらない。
【0085】
例えば、図16では矩形の大きな面積の被検物体Tmが示される。また、走査鏡127(図15)が測定ビームL1を走査することで、第1測定システム100Aは図16に示された矩形の測定領域DAを測定する。
【0086】
平面移動部25が測定光学系12などをXY平面に沿って移動させると(図15を参照)、被検物体Tmの全体形状を測定することができる。具体的には、測定領域DAが矢印AR2に沿って移動すると、第1測定システム100Aは測定領域DA1を測定することができる。同様に測定領域DAが矢印AR2に沿って移動して被検物体Tmの端まで測定すると、測定領域DA1が矢印AR3に沿ってさらに移動する。すると、第1測定システム100Aは測定領域DA2を測定することができる。そして。平面組み合わせ部233は測定領域DA、DA1、・・・・DA2・・・に対応する測定データを重ね合わせることで、被検物体Tm全体を測定することができる。
【0087】
(第2実施形態)
<第2測定システム100Bの送光光学系>
まず、第2測定システム100Bの送光光学系について、図17を参照しながら説明する。ここで、第1実施形態と同じ構成要件については、同じ符号を付けて説明する。
<<送光光学系の構成>>
図17は、第2実施形態の第2測定システム100Bの全体構成を示した図である。図17は、測定ビームL1のSLD光源111から被検物体Tの測定面Hoまでの光路及び基準ビームL2のSLD光源111から参照素子13のフィゾー面FMまでの光路を示している。
【0088】
図17に示されたように、第2測定システム100Bの送光光学系は、光源部11、測定光学系42及び参照素子13を備えている。特に測定光学系42が第1実施形態と異なるため、その構成について説明する。
【0089】
測定光学系42は、ハーフビームスプリッタ421と、互いに焦点距離の等しい2つのリレーレンズ422、423と、走査鏡424とを含んでいる。ここで、走査鏡424が図示しない駆動部により振動軸Oを中心として矢印ARに沿って振動することにより、XZ平面において走査鏡424に入射されたビームを偏向することができる。
【0090】
<<送光光学系の光路>>
図17に示されたように、SLD光源111からのビームLは1/2波長板112によってP偏光とS偏光とに振り分けられる。そして、平凸シリンドリカルレンズ113及び平凸シリンドリカルレンズ114を通過することによりXZ平面で点S3(Y軸方向に沿って伸びた一直線)に集光される。このとき点S3を含んだYZ平面を面Hiとする。
【0091】
P偏光とS偏光とに振り分けられたビームL(測定ビームL1および基準ビームL2)は、ハーフビームスプリッタ421を通過してリレーレンズ422に入射される。そして、ビームLはリレーレンズ422により集光されて走査鏡424に入射し、走査鏡424で軸Axが−Z側に向かったビームLとなって反射される。
【0092】
測定光学系42を射出したビームLは、その−Z側に設けられた参照素子13に入射される。このとき、例えばP偏光である測定ビームL1は参照素子13を通過して被検物体Tに入射し、S偏光である基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMで反射される。
【0093】
また、被検物体Tに入射された測定ビームL1は、参照素子13のフィゾー面FMから−Z側で距離d離れている被検物体TのXZ平面の集光点T1(Y軸方向に沿って伸びている一直線)で集光する。このため、測定ビームL1の光路長は基準ビームL2の光路長より距離dだけ長く形成されている。
【0094】
<第2測定システム100Bの受光光学系>
次に、第2測定システム100Bの受光光学系について、図18を参照しながら説明する。
<<受光光学系の構成>>
図18は、第2実施形態の第2測定システム100Bの全体構成を示した図である。図18は、測定ビームL1の被検物体Tの測定面Hoから検出部24までの光路及び基準ビームL2の参照素子13のフィゾー面FMから検出部24までの光路を示している。
【0095】
図18に示されたように、測定光学系42は迂回部52をさらに有している。図18において、迂回路52は2つの偏光ビームスプリッタ425、426と、その偏光ビームスプリッタ425、426からX軸方向に距離d離れて配置された平面ミラー427、428とをそれぞれ有している。ここで、偏光ビームスプリッタ425、426は例えばP偏光を通過し、S偏光を反射するものである。また、測定光学系42の迂回部52は第1実施形態の図4に示されたようなブロックで一体に構成された第2迂回部32の形状となってもよい。
【0096】
図18に示されたように、第2測定システム100Bは測定光学系42の迂回部52の+Z側のリレーレンズ422の焦点位置である点S4(Y軸方向に沿って伸びた一直線)に迷光を除去するようにスリット板17が設けられている。
【0097】
<<受光光学系の光路>>
図18に示されたように、被検物体Tで反射された測定ビームL1はリレーレンズ423に入射する。また参照素子13のフィゾー面FMで反射された基準ビームL2もリレーレンズ423に入射する。したがって、測定ビームL1の光路長は、参照素子13から測定面Hoまでの往復の距離2dだけ基準ビームL2の光路長より長くなる。リレーレンズ422を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2はハーフビームスプリッタ421により+Z側に反射されて迂回部52に入射する。
【0098】
測定ビームL1及び基準ビームL2は、迂回部52の偏光ビームスプリッタ425に入射し、例えばP偏光である測定ビームL1は偏光ビームスプリッタ425を通過する。S偏光である基準ビームL2は偏光ビームスプリッタ425で−X軸方向に反射される。偏光ビームスプリッタ425に反射された基準ビームL2は、平面ミラー427及び平面ミラー428に順次に反射されて+X軸方向に向かって偏光ビームスプリッタ426に入射する。偏光ビームスプリッタ426に入射された基準ビームL2は偏光ビームスプリッタ426に反射されて偏光ビームスプリッタ426を通過した測定ビームL1と同じ方向、すなわち+Z軸方向に沿って迂回部52を射出する。迂回部52を射出した測定ビームL1及び基準ビームL2はリレーレンズ422の焦点位置である点S4で集光される。
【0099】
ここで、基準ビームL2が迂回部52内で距離2dだけ迂回したので、その光路長は迂回部52内で測定ビームL1の光路長より距離2dだけ長く形成されている(図4(a)を参照)。このため、上述の送光光学系及び受光光学系に対する説明から分かれるように、迂回部52を備えることにより、測定ビームL1と基準ビームL2とのどちらの光路に対しても、面Hiと面Heとは共役関係となり、且つ、両者の光路長は等しい。
【0100】
(第3実施形態)
<第3測定システム100Cの送光光学系>
まず、第3測定システム100Cの送光光学系について、図19を参照しながら説明する。ここで、第1実施形態と同じ構成要件については、同じ符号を付けている。
<<送光光学系の構成>>
図19は、第3実施形態の第3測定システム100Cの全体構成を示した図である。図19は、測定ビームL1のSLD光源111から被検物体Tの測定面Hoまでの光路及び基準ビームL2のSLD光源111から参照素子13のフィゾー面FMまでの光路を示している。
【0101】
図19に示されたように、第3測定システム100Cの送光光学系は、光源部11、測定光学系62及び参照素子13を備えている。第3実施形態において参照素子13のフィゾー面FMから測定面Hoまでの距離は2dとなっている点が、第1実施形態または第2実施形態と特に異なる。
【0102】
測定光学系62は、迂回部72と、互いに焦点距離の等しい2つのリレーレンズ625、627と、走査鏡626とを含んでいる。図19において、迂回路72はハーフビームスプリッタ621と、偏光ビームスプリッタ622と、そのハーフビームスプリッタ621及び偏光ビームスプリッタ622とZ軸方向で距離dを離れて配置された平面ミラー623、624とをそれぞれ有している。ここで、偏光ビームスプリッタ622は例えばP偏光を通過し、S偏光を反射するものである。また、測定光学系62の迂回部72は第1実施形態の図4に示されたように一体に形成されてもよい。
【0103】
迂回部72の+X側には、リレーレンズ625及び走査鏡626が順次に配置されている。走査鏡626の−Z側にはもう1つのリレーレンズ627が配置されている。ここで、走査鏡626が図示しない駆動部により振動軸Oを中心として矢印ARに沿って振動することにより、XZ平面において走査鏡626に入射されたビームを偏向する。
【0104】
さらに、走査鏡626はリレーレンズ627の+Z側の焦点面に配置され、リレーレンズ627の−Z側の焦点面が第3測定システム100Cの測定面Hoとなる。
【0105】
<<送光光学系の光路>>
図19に示されたように、SLD光源111からのビームLは1/2波長板112によってP偏光とS偏光とに振り分けられる。そして、平凸シリンドリカルレンズ113及び平凸シリンドリカルレンズ114を通過することによりXZ平面で点S5(Y軸方向に沿って伸びた一直線)に集光される。点S5を含んだYZ平面を面Hiとする。
【0106】
P偏光とS偏光とに振り分けられたビームL(測定ビームL1および基準ビームL2)は、測定光学系62のハーフビームスプリッタ621に入射し、ビームLの一部がハーフビームスプリッタ621を通過し、ビームLの残りがハーフビームスプリッタ621で−Z側に反射される。
【0107】
ハーフビームスプリッタ621を通過して偏光ビームスプリッタ622に入射したビームL(測定ビームL1および基準ビームL2)は、その中に含まれたP偏光成分のみが偏光ビームスプリッタ622を通過して+X軸方向に向かう測定ビームL1となる。S偏光成分は+Z方向に反射され不図示の光吸収体で吸収される。一方、ハーフビームスプリッタ621に反射されたビームL(測定ビームL1および基準ビームL2)は、平面ミラー623及び平面ミラー624に順次に反射されて+Z軸方向に向かって偏光ビームスプリッタ622に入射する。−Z側から偏光ビームスプリッタ622に入射されたビームLは、その中に含まれたS偏光成分のみが偏光ビームスプリッタ622に反射されて+X軸方向に向かう基準ビームL2となる。P偏光成分は+Z方向に通過して不図示の光吸収体で吸収される。
【0108】
ここで、基準ビームL2は迂回部72内で迂回されたので、基準ビームL2の迂回部72内での光路長は、測定ビームL1の迂回部72内での光路長より距離2dだけ長くなっている。
【0109】
リレーレンズ625を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡626に入射する。測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡626の反射によってその軸Axが+X軸方向から−Z側に変更される。軸Axが−Z側向きなった測定ビームL1及び基準ビームL2は、リレーレンズ627によりその軸Axが−Z軸方向に変更されて参照素子13に入射する。
【0110】
ここで、上述のように迂回部72によって測定ビームL1及び基準ビームL2は2dだけの光路長差がある。このため、測定ビームL1は参照素子13のフィゾー面FMから−Z側で距離2d離れた測定面Hoの集光点T1(Y軸方向に沿って伸びている一直線)で集光し、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMの集光点T2(Y軸方向に沿って伸びている一直線)で集光する。また、参照素子13に入射した測定ビームL1は参照素子13を通過して被検物体Tで反射され、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMで反射される。
【0111】
<第3測定システム100Cの受光光学系>
次に、第3測定システム100Cの受光光学系について、図20を参照しながら説明する。
<<受光光学系の構成>>
図20は、第3実施形態の第3測定システム100Cの全体構成を示した図である。図20は、測定ビームL1の被検物体Tの測定面Hoから検出部24までの光路及び基準ビームL2の参照素子13のフィゾー面FMから検出部24までの光路を示している。
【0112】
図20に示されたように、第3測定システム100Cは測定光学系62のハーフビームスプリッタ621の+Z側のリレーレンズ625の焦点位置である点S6(Y軸方向に沿って伸びた一直線)に迷光を除去するようにスリット板17が設けられている。点S6を含んだXY平面を面Heとする。また、スリット板17の+Z側には焦点位置をスリット板17の位置に合わせたリレーレンズ18が配置されている。
【0113】
<<受光光学系の光路>>
図20に示されたように、被検物体Tで反射された測定ビームL1及び参照素子13のフィゾー面FMで反射された基準ビームL2は、再び測定光学系62のリレーレンズ627に入射する。ここで、参照素子13のフィゾー面FMから被検物体Tの測定面Hoまでの距離は2dであるため、上述の送光光学系の迂回路を合わせて、測定ビームL1は基準ビームL2より2dだけ長い光路長である。また、リレーレンズ627を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡626で−X側に反射されて再び迂回部72に入射する。
【0114】
迂回部72に入射したP偏光である測定ビームL1は、偏光ビームスプリッタ622をそのまま通過してハーフビームスプリッタ621に入射する。一方、迂回部72に入射したS偏光である基準ビームL2は、偏光ビームスプリッタ622に反射され、平面ミラー624及び平面ミラー623に順次に反射されて+Z軸方向に向かってハーフビームスプリッタ621に入射する。そして、ハーフビームスプリッタ621で反射された測定ビームL1とハーフビームスプリッタ621を通過した基準ビームL2は+Z方向に沿って迂回部72を射出する。迂回部72に入射するまでは、測定ビームL1は基準ビームL2より光路長が2dだけ長かったが、迂回部72から射出する際には、基準ビームL2の光路長と測定ビームL1の光路長とが揃っている(図4(a)を参照)。
【0115】
迂回部72を射出した測定ビームL1及び基準ビームL2は、偏光子19に入射する。偏光子19では、例えばP偏光である測定ビームL1及びS偏光である基準ビームL2の中から共通の偏光成分を透過させる。
【0116】
その後、リレーレンズ625の焦点位置(面He)に設けられたスリット板17でY軸方向に伸びた一直状となる。また、スリット板17により測定ビームL1及び基準ビームL2に含まれた迷光が除去される。
【0117】
迂回部72を備えることにより、測定ビームL1と基準ビームL2とのどちらの光路に対しても、面Hiと面Heとは共役関係となり、且つ、両者の光路長は等しい。
【0118】
偏光子19により干渉された干渉ビームILは回折光学素子などの分光素子20によって、スペクトルに応じた角度に分光される。
【0119】
スペクトルに応じて分光された干渉ビームILは、結像レンズ21を通過して検出部24に入射されて結像する。検出部24は分光素子20でスペクトルに分光された干渉ビームILをそれぞれに検出する。
【0120】
また、第3実施形態においても、偏光子19による測定ビームL1と基準ビームL2との干渉、その干渉ビームを分光素子20で分光することなどは、第1実施形態と同じである。
【0121】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0122】
11 … 光源部
12、42、62 … 測定光学系
13 … 参照素子
14 … テーブル
15 … 電動ステージ
16、18、125、128、422、423、625、627 … リレーレンズ
17 … スリット板
19 … 偏光子
20 … 分光素子
21 … 結像レンズ
22、32、52、72 … 迂回部
23 … 演算部
24 … 検出部
100A、100B、100C … 測定システム
111 … SLD光源
112 … 1/2波長板
113、114 … 平凸シリンドリカルレンズ
121、122、425、426、622 … 偏光ビームスプリッタ
123、124、427、428、623、624 … 平面ミラー
126、421、621 … ハーフビームスプリッタ
127、424、626 … 走査鏡
231 … 変換部
232 … 距離組み合わせ部
233 … 平面組み合わせ部
Ax … 軸
FM … フィゾー面
L1 … 測定ビーム
L2 … 基準ビーム
T … 被検物体
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検物体の三次元表面形状を測定する測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定システムとして、光コヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography、OCT)装置が広く使用されている。特許文献1では、低コヒーレンス干渉において共通の光路を有する(コモンパスな)干渉計は困難であることを示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4038560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、被検体を参照ガラスに直接載置することによって、共通の光路を有する(コモンパス型の)干渉計を実現している。これにより、振動には非常に強くなっているが、細胞などの試料にしか有効ではない。特許文献1に記載された干渉計では非接触での計測ができず、奥行きのある被検体の形状計測も不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被検体と非接触で被検体の立体形状を測定することができるコモンパス型の測定システムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の第1態様は、被検物体の凹凸を測定するための測定システムである。この測定システムは、被検物体の凹凸を測定するための測定ビームと測定ビームに対して基準となる基準ビームとを出射する光源部と、被検物体に隣接して配置され、基準ビームを反射させ測定ビームを被検物体へ透過させる平板状の参照素子と、被検物体で反射された測定ビームと参照素子で反射された基準ビームとが干渉した干渉ビームを各波長に分光する分光素子と、分光素子で分光された各波長の強度を検出する検出部と、光源部から被検物体および分光素子を介して検出部に至る測定ビームの光路長と、光源部から参照素子および分光素子を介して検出部に至る基準ビームの光路長とを揃える迂回路を有する測定光学系とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の測定システムは、被検体と非接触で被検体の立体形状を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態の第1測定システム100Aの全体構成を示した図であり、送光系の光路を示した図である。
【図2】光源部11を示した斜視図である。
【図3】(a)は、光源部11を+Y軸方向から見た側面図である。 (b)は、光源部11を+Z軸方向から見た上面図である。
【図4】(a)は、第1実施形態の迂回部22の拡大図である。 (b)は、別例の第2迂回部32を示した拡大図である。
【図5】(a)は、図1の破線Aに囲まれた部分の拡大図である。 (b)は、(a)のB−B矢視図である。
【図6】+Z側から見た被検物体Tの測定面Hoの断面図であり、走査鏡127による測定ビームL1の走査を示した図である。
【図7】第1実施形態の第1測定システム100Aの全体構成を示した図であり、受光系の光路を示した図である。
【図8】面Hiと面Heとの共役関係を説明するための図である。
【図9】面Hiと面Heとの共役関係を説明するための別の図である。
【図10】SLD光源111の波長と強度との関係を示したグラフである。
【図11】第1測定システム100Aが測定するZ軸方向の範囲を示した図である。
【図12】測定ビームL1の波長と強度との関係を示したグラフである。
【図13】スペクトルを一次元フーリエ変換することで得られた被検物体Tの一次元(Y軸方向)の測定結果を示したグラフである。
【図14】電動ステージ15で被検物体TをZ軸方向に移動させ、その移動毎に被検物体Tの一次元の測定結果を組み合わせたグラフである。
【図15】光源部11、測定光学系12が参照素子13のXY平面に対して移動することを示した図である。
【図16】XY平面での広い領域に対する測定範囲を示した図である。
【図17】第2実施形態の第2測定システム100Bの全体構成を示した図であり、送光系の光路を示した図である。
【図18】第2実施形態の第2測定システム100Bの全体構成を示した図であり、受光系の光路を示した図である。
【図19】第3実施形態の第3測定システム100Cの全体構成を示した図であり、送光系の光路を示した図である。
【図20】第3実施形態の第3測定システム100Cの全体構成を示した図であり、受光系の光路を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態の第1測定システム100Aは、測定ビームL1と基準ビームL2とが共通の光路を有するフィゾー(Fizeau)干渉計を適用した一例である。
【0010】
<第1測定システム100Aの構成>
まず、第1測定システム100Aの送光光学系について、図1〜図6を参照しながら説明する。
<<送光光学系の構成>>
図1は、第1実施形態の第1測定システム100Aの全体構成を示した図である。図1に示されたように、第1測定システム100Aの送光光学系は光源部11、測定光学系12及び参照素子13を備えている。図1において、参照素子13と平行である面をXY平面とし、XY平面に垂直な方向をZ方向とする。
【0011】
なお、図1では、測定ビームL1のSLD光源111から被検物体Tの測定面Hoまでの光路及び基準ビームL2のSLD光源111から参照素子13のフィゾー面FMまでの光路が示されている。
【0012】
光源部11は、スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescence Diode:SLD)光源111(以下はSLD光源111と称する。)、1/2波長板112、平凸シリンドリカルレンズ113及び平凸シリンドリカルレンズ114により構成されている。
【0013】
具体的には、図2及び図3を参照しながら光源部11について説明する。図2は、光源部11を示した斜視図である。図3(a)は光源部11を+Y軸方向から見た側面図であり、図3(b)は光源部11を+Z軸方向から見た上面図である。
【0014】
図2及び図3において、SLD光源111はたとえば波長帯域が850nm〜900nm又は1250nm〜1300nmなどの広帯域の低コヒーレント光を照射する。SLD光源111の半値幅は30nm以上あることが好ましい。1/2波長板112は、入射光線に1/2波長の位相差を生じさせる機能を有する。第1実施形態においては、例えば1/2波長板112を光軸に対して回転させて配置することで、1/2波長板112がSLD光源111からの直線偏光の照射光をP偏光とS偏光とに振り分ける。
【0015】
平凸シリンドリカルレンズ113は、図2に示されたように、+Y側から見ると+X軸方向に向かった凸型の曲面であり、その他の面は平面である。したがって、平凸シリンドリカルレンズ113は、図3(a)に示されたように入射されたビームLを線S1で集光することができる。このため、例えば断面が円形のビームLは、平凸シリンドリカルレンズ113を通過すると断面がZ軸方向に圧縮された楕円状のビームとなって射出される。
【0016】
平凸シリンドリカルレンズ114は、図2に示されたように、+Z側から見ると+X軸方向に向かった凸型の曲面であり、その他の面は平面である。したがって、平凸シリンドリカルレンズ114は、平凸シリンドリカルレンズ114に入射された楕円状のビームLを一直線状に集光することができる。すなわち、図3(b)に示されたように入射されたビームLを線S1においてY軸方向に一直線状に集光することができる。線S1を含んだYZ平面を面Hiとして描いてある。
【0017】
図1に戻り、測定光学系12は迂回部22を有している。迂回部22について図4を参照しながら説明する。図4(a)は第1実施形態の迂回部22の拡大図で、図4(b)は別例の第2迂回部32を示した拡大図である。
【0018】
図4(a)に示された迂回部22は、2つのブロック状の偏光ビームスプリッタ121、122と、その偏光ビームスプリッタ121、122とZ軸方向で距離dを離れて配置された平面ミラー123、124とを有している。ここで、偏光ビームスプリッタ121、122は例えばP偏光を通過しS偏光を反射し、偏光面PM11、PM12はX軸方向に対して45度傾いている。平面ミラー123、124もX軸方向に対して45度傾いて配置されている。偏光ビームスプリッタ121の偏光面PM11と平面ミラー123の反射面RM11とは距離dだけ離れて配置されている。同様に、偏光ビームスプリッタ122の偏光面PM12と平面ミラー124の反射面RM12とは距離dだけ離れて配置されている。
【0019】
以下、迂回部22による迂回路について説明する。説明をしやすくするため、迂回部22に入射したP偏光又はS偏光の光軸のみで説明する。まず、偏光ビームスプリッタ121の偏光面PM11の点A1において、例えば+X軸方向に沿って迂回部22に入射されたP偏光は偏光面PM11をそのまま通過し、S偏光は偏光面PM11で−Z軸方向に反射する。
【0020】
偏光面PM11を通過したP偏光は、点B1で+X軸方向に偏光ビームスプリッタ121から射出し、点C1で偏光ビームスプリッタ122に入射される。また偏光ビームスプリッタ122の偏光面PM12における点D1をそのまま通過して迂回部22から射出する。
【0021】
一方、偏光面PM11に反射されたS偏光は、点E1で−Z軸方向に偏光ビームスプリッタ121から射出し、平面ミラー123の反射面RM11における点F1で再び+X軸方向に反射される。平面ミラー123の反射面RM11に反射されたS偏光はまた平面ミラー124の反射面RM12における点J1反射されて+Z軸方向に点K1で偏光ビームスプリッタ122に入射される。偏光ビームスプリッタ122に入射されたS偏光はその偏光面PM12に反射されて迂回部22に入射するときと同じ方向の+X軸方向となって迂回部22から射出する。
【0022】
ここで、線分F1−J1において、点G1は点B1から線分F1−J1までの垂直線と線分F1−J1との交差点であり、点H1は点C1から線分F1−J1までの垂直線と線分F1−J1との交差点である。
【0023】
したがって、P偏光の光路は以下のとおりである。
ガラス中の距離 大気中の距離
A1−B1=d2 B1−C1
C1−D1=d2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 2×d2 合計 B1−C1
【0024】
一方、S偏光の光路は以下のとおりである。
ガラス中の距離 大気中の距離
A1−E1=d3 E1−F1=d1
K1−D1=d3 F1−G1=d2
G1−H1
H1−J1=d2
J1−K1=d1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 2×d3 合計 2×(d1+d2)、G1−H1(=B1−C1)
【0025】
ここで、d2=d3より、ガラス中の距離の差は0となり、大気中の距離の差は、2×(d1+d2)=2×(d1+d3)=2×dとなる。したがって、P偏光に比べて、S偏光が迂回したことによる光路長は2dだけ長くなる。
【0026】
また、測定光学系12の迂回部22は、図4(b)に示されたように第2迂回部32の構成であってもよい。第2迂回路32は、1又は2以上のガラスブロックで構成されている。第2迂回路32はP偏光とS偏光との一方を通過し他方を反射する偏光面PM21、PM22を有し、また反射面RM21、RM22を有している。偏光面PM21、PM22はX軸方向に対して45度傾いている。反射面RM21、RM22もX軸方向に対して45度傾いている。偏光面PM1と反射面RM21とは距離dだけ離れて配置され、偏向面PM22と反射面RM22とは距離dだけ離れて配置されている。
【0027】
上述の迂回部22に対する説明によれば、長さd2と長さd3は同じであるため、第2迂回部32において迂回した光路長は線分C2−D2、線分D2−H2、線分H2−E2及び線分E2−F2の合計長さとなる。すなわち、迂回した光路長は2倍の(d1+d2)となる。また、長さ(d1+d3)を長さdとすると、迂回した光路長は2dとなっている。
【0028】
再び図1に戻り、迂回部22の+X側にはリレーレンズ125、ハーフビームスプリッタ126及び走査鏡127が順次に配置され、走査鏡127の−Z側にはもう1つのリレーレンズ128が配置されている。ここで、走査鏡127が図示しない駆動部により振動軸Oを中心として矢印ARに沿って振動する。また、2つのリレーレンズ125、128は互いに焦点距離の等しいレンズであればよい。両側テレセントリックとなっている。さらに、走査鏡127の振動軸Oはリレーレンズ125の+X側の焦点位置とリレーレンズ128の+Z側の焦点位置とが一致した箇所に配置されている。
【0029】
参照素子13は、例えばフィゾー面FMを有しているワイヤグリッドであればよい。ワイヤグリッドは、ビームLの波長よりも十分小さい間隔で並行に配置されたワイヤー(又は溝)が形成されたガラス板である。ワイヤグリッドは測定ビームL1を透過し、基準ビームL2を反射することができる。ここで、参照素子13のフィゾー面FMと測定面Hoとは距離dだけ離れている。
【0030】
<<送光光学系の光路の説明>>
図1に示されたように、SLD光源111からのビームLは1/2波長板112によってP偏光とS偏光とに振り分けられる。そして、平凸シリンドリカルレンズ113及び平凸シリンドリカルレンズ114を通過することによりY軸方向に伸びる線S1に集光される。
【0031】
P偏光とS偏光とに振り分けられたビームLは、測定光学系12の偏光ビームスプリッタ121に入射する。すると、例えばP偏光である測定ビームL1は偏光ビームスプリッタ121、122を通過してリレーレンズ125に入射する。S偏光である基準ビームL2は、偏光ビームスプリッタ121で−Z軸方向に反射される。偏光ビームスプリッタ121に反射された基準ビームL2は、平面ミラー123及び平面ミラー124に順次に反射されて偏光ビームスプリッタ122に入射する。偏光ビームスプリッタ122に入射された基準ビームL2は偏光ビームスプリッタ122に反射されて測定ビームL1と同じ光路となってリレーレンズ125に入射する。
【0032】
基準ビームL2は測定ビームL1に比べて迂回部22内で迂回されたので、基準ビームL2の迂回部22内での光路長は、測定ビームL1の迂回部22内での光路長より距離2d程長くなっている。
【0033】
リレーレンズ125を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2は、ハーフビームスプリッタ126を通過し、走査鏡127に入射される。測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡127の反射によってその軸Axが+X軸方向から−Z側に変更される。軸Axが−Z側向きなった測定ビームL1及び基準ビームL2は、リレーレンズ128によりその軸Axが−Z軸方向に変更されて参照素子13に入射する。
【0034】
ここで、上述のように迂回部22によって測定ビームL1及び基準ビームL2は距離2d程の距離差が発生する。このため、測定ビームL1は参照素子13のフィゾー面FMから−Z側で距離d離れた測定面Hoの集光点T1で集光する。一方、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMから+Z側で距離d離れた基準面Hbの集光点T2で集光する。図1では、集光点T1及び集光点T2で描かれているが、測定ビームL1および基準ビームL2はY軸方向に沿って伸びた一直線状で集光している(図5を参照)。
【0035】
また、参照素子13に入射した測定ビームL1は参照素子13を通過して被検物体Tで反射される。基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMで反射される。測定ビームL1の集光点T1から参照素子13のフィゾー面FMまでの距離dと、基準ビームL2の集光点T2から参照素子13のフィゾー面FMまでの距離dとが同じである。測定ビームL1の被検物体Tの集光点T1にある部分からの反射ビームと、基準ビームL2の参照素子13のフィゾー面FMでの反射ビームとは同一の箇所から射出されたようになり、測定ビームL1と基準ビームL2との光路長も等しいので、後述するように、低コヒーレント光であっても測定ビームL1と基準ビームL2とが干渉する。具体的には、図5および図6を参照しながら説明する。
【0036】
図5(a)は、図1の破線Aに囲まれた部分の拡大図であり、図5(b)は図5(a)のB−B矢視図である。図6は、+Z側から見た被検物体Tの測定面Hoの断面図であり、走査鏡127による測定ビームL1の走査を示した図である。
【0037】
図5(a)に示されたように、測定ビームL1は例えば参照素子13のフィゾー面FMを通過して参照素子13のフィゾー面FMから−Z側で距離d離れた集光点T1(測定面Ho)で集光する。また、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMから+Z側で距離d離れた集光点T2で集光した後、参照素子13のフィゾー面FMで反射される。
【0038】
したがって、被検物体Tの集光点T1にある部分で反射された測定ビームL1と、参照素子13のフィゾー面FMで反射された基準ビームL2とは重なり合い、あたかも、測定ビームL1及び基準ビームL2は集光点T1から射出されたようになる。
【0039】
また、測定ビームL1及び基準ビームL2を+X軸方向から見ると、図5(b)に示されたとおりである。つまり、測定ビームL1は参照素子13を通過して被検物体Tで反射され、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMで反射されている。
【0040】
さらに図6に示されたように、第1測定システム100Aは走査鏡127を振動させることで、測定面Hoにおいて被検物体TをX軸方向でより幅広く測定することができる。
【0041】
例えば、一直線状の測定ビームL1が測定位置P1(x=x0)を照射すると、測定位置P1の被検物体Tの高さ(Z軸方向)を測定することができる。また、測定ビームL1が走査鏡127の振動によって測定位置P2(x=+x1)を照射すると、測定位置P1の被検物体Tの高さを測定することができる。すなわち、測定ビームL1は走査鏡127を振動させることで、測定位置P2(x=+x1)から測定位置P3(x=−x1)までの領域を測定することができる。
【0042】
<<受光光学系の構成>>
次に、第1測定システム100Aの受光光学系について、図7を参照しながら説明する。
図7は、図1で示した第1測定システム100Aの全体構成を示した図であり、測定ビームL1の被検物体Tの測定面Hoから検出部24までの光路及び基準ビームL2の参照素子13のフィゾー面FMから検出部24までの光路を示した図である。
【0043】
図7に示されたように、ハーフビームスプリッタ126の+Z側にリレーレンズ16をさらに有している。そのリレーレンズ16の+Z軸方向の焦点位置である点S2には迷光を除去するようにスリット孔が形成されたスリット板17が設けられている。ここで、点S2を含んだXY平面を面Heとする。また、スリット板17の+Z側には焦点位置をスリット板17の位置(点S2)に合わせたリレーレンズ18が配置されている。
【0044】
また、リレーレンズ18の+Z軸方向には偏光子19及び分光素子20が順次に設けられている。ここで、偏光子19はP偏光とS偏光の中から共通の偏光成分を透過させるものである。分光素子20は例えば干渉されたビームのスペクトルに応じた角度に回折させる反射型の回折光学素子などであればよい。また、分光素子20の−X側には結像レンズ21が配置され、その結像レンズ21の−X側の焦点位置には検出部24が配置されている。ここで、検出部24としては例えばInGaAsイメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOSイメージセンサを2次元に配列したものである。
【0045】
<<受光光学系の光路>>
図7に示されたように、被検物体Tで反射された測定ビームL1及び参照素子13のフィゾー面FMで反射された基準ビームL2は、同一の箇所から射出されたように再び測定光学系12のリレーレンズ128に入射する。リレーレンズ128を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡127に反射されてハーフビームスプリッタ126に入射する。そして、測定ビームL1及び基準ビームL2はハーフビームスプリッタ126に反射されて+Z軸方向に沿って射出する。
【0046】
ハーフビームスプリッタ126を射出した測定ビームL1及び基準ビームL2は偏光子19に入射する。偏光子19では、P偏光である測定ビームL1及びS偏光である基準ビームL2の中から共通の偏光成分を透過させる。測定ビームL1の面Hiから偏光子19までの光路長と、基準ビームL2の面Hiから偏光子19までの光路長とが揃っているため、測定ビームL1と基準ビームL2とは、低コヒーレント光であっても互いに干渉する。
【0047】
干渉された測定ビームL1及び基準ビームL2はリレーレンズ16によって集光され、スリット板17のスリット孔の位置(面He)でY軸方向に伸びた一直線状となる。また、スリット板17により測定ビームL1及び基準ビームL2に含まれた迷光が除去される。
【0048】
ここで、迂回部22を備えることにより、測定ビームL1と基準ビームL2とのどちらの光路に対しても、面Hiと面Heとは共役関係となり、且つ、両者の光路長は等しいので両者とも面Heで集光することができる。面Hiと面Heとの共役関係については、図8及び図9を参照しながら詳しく説明する。
【0049】
スリット板17によって迷光が除去された干渉ビームILは、広帯域(たとえば30nm以上)であり、回折光学素子などの分光素子20によって、波長に応じた角度に分光される。
【0050】
波長に応じて分光された干渉ビームILは、結像レンズ21を通過して検出部24に入射されて結像する。検出部24は分光素子20でスペクトルに分光された干渉ビームILをそれぞれに検出する。
【0051】
以下、面Hiと面Heとの共役関係に関するリレーレンズ125、リレーレンズ128及びリレーレンズ16による投影光学系について詳しく説明する。
まず、図1に戻り、干渉及び迷光の除去のためには面Hiの点S1(線S1を示す)から集光点T1を経てスリット板17にいたる測定ビームL1に沿った光路長と、面Hiの点S1から集光点T2を経てスリット板17にいたる基準ビームL2に沿った光路長とは等しくすることが必要である。
【0052】
リレーレンズ128から集光点T1までの測定ビームL1に沿った光路長と、リレーレンズ128から集光点T2までの基準ビームL2に沿った光路長とを比較すると前者が2dだけ長い。このため、迂回部22によってS偏光の基準ビームL2に対して2dだけ余計な光路長を加える(図4(a)を参照)ことで、測定ビームL1及び基準ビームL2における面Hiの点S1と集光点T1および集光点T2とが共役となり、面Hiの点S1から集光点T1および集光点T2までの光路長を揃える。
【0053】
また、図1及び図7において集光点T1からスリット板17(面He)までの光路長と、集光点T2からスリット板17(面He)までの光路長は等しい。
【0054】
さらに、干渉縞の明瞭なコントラストを得るためには、測定ビームL1の集光点T1とスリット板17(面He)とが共役であり、かつ基準ビームL2の集光点T2とスリット板17(面He)とが共役であることが望ましい。
【0055】
共役関係はリレーレンズ125とリレーレンズ128とから構成されるリレー光学系、又はリレーレンズ128とリレーレンズ16とから構成されるリレー光学系によって実現される。但し、任意のdの値で上述の同一光路長条件と共役関係を成立させるためには、リレーレンズ125、リレーレンズ128の焦点距離を等しい正の値に備えることが望ましい。また、リレーレンズ125、リレーレンズ128をそれぞれ薄肉レンズで表現したとき、リレーレンズ125とリレーレンズ128と、及びリレーレンズ128とリレーレンズ16との配列間隔がそれらの焦点距離の2倍になるようにすることが必要がある。以下、理由ついて図8及び図9を参照しながら説明する。
【0056】
図8では、簡単のために薄肉レンズ700を一例として、リレーレンズ125、リレーレンズ128について説明する。図8に示された焦点距離fの薄肉レンズ700については、以下の数式(1)のニュートン式が成立する。
x*x’=f2 … (1)
【0057】
なお、xの符号は物点Obが焦点Fより左側にあるときが正とし、x’の符号は像点Iが焦点F’より右側にあるときを正とする。
【0058】
次に、図9でも簡単のために薄肉レンズで考えることにし、焦点距離fの薄肉レンズ701と焦点距離fの薄肉レンズ702とを間隔2fで配列する。薄肉レンズ701について数式(2)のニュートン式が成立する。
x1*x1’=f2 … (2)
【0059】
薄肉レンズ702について数式(3)のニュートン式が成立する。
x2*x2’=f2 … (3)
【0060】
ここで、物点Obが薄肉レンズ701の左側焦点F1から左側にある場合、図示しないが物点Obの薄肉レンズ701による中間像は焦点F1’の右側にできるので、図示しないがx1’の符号は、数式(4)を満たす。
x1’>0 … (4)
【0061】
また、図示しないがx2については、数式(5)が成立する。
x1’=−x2 … (5)
【0062】
したがって、数式(5)を数式(3)に代入して数式(2)と比較すれば、数式(6)が得られる。
x1=−x2’ … (6)
【0063】
すなわち、物点Obと薄肉レンズ701及び薄肉レンズ702によって形成された像点Iとの間隔は、物点Obの位置にかかわらず恒等的に4fとなる。
【0064】
次に、物点Obと像点I間の投影倍率Mは、数式(7)のとおりである。
【数1】
… (7)
すなわち、物点Obの位置にかかわらず恒等的に1倍となる。
【0065】
また、物体−像投影光束の主光線が焦点F1’または焦点F2を通過するものとすれば、物点Obから薄肉レンズ701へ入射する主光線群は当然すべて光軸に平行となり、薄肉レンズ702から像点Iへ向かう主光線群もすべて光軸に平行となる。すなわち、両テレセントリックになる。
【0066】
ここで、図1に示された送光光学系に上述の関係をあてはめると、薄肉レンズ701がリレーレンズ125に相当し、薄肉レンズ702がリレーレンズ128に相当することになる。
【0067】
それぞれの焦点距離は等しい正の値に設定されており、図1においてリレーレンズ125とリレーレンズ128とを薄肉レンズで表現したときのレンズ間隔は、リレーレンズ125とリレーレンズ128との間に配置されたハーフプリズム126中の光路の長さを空気換算して、等価的に前記焦点距離の2倍に設定されている。物点Obは点S1に相当し、像点Iは集光点T1または集光点T2に相当する。
【0068】
測定ビームL1の光路長についての図9におけるx1相当光路長と、基準ビームL2の光路長についての同じくx1相当光路長の差が、図4(a)の迂回部22によって発生した迂回距離2dに相当し、同様に測定ビームL1の光路長についてのx2’と基準ビームL2の光路長についてのx2’の差が、図1の集光点T1と集光点T2間の光路差2dに相当する。すなわち、点S1から集光点T1までの光路長と点S1から集光点T2までの光路長は常に等しくなる。投影倍率は迂回光路長によらず常に1倍を維持する。
【0069】
図9使って説明した通り、点S1を通過する光束がテレセントリックならばリレーレンズ128から射出される光束もテレセントリックである。図3に示すように、点S1を含む面Hiに向かって線状に集光するビームLが、XY平面内では平行光束になるようにすれば、いずれの主光線も軸Axに対して平行になるので、リレーレンズ125とリレーレンズ128とによって形成される投影光学系、又はリレーレンズ128とリレーレンズ16とは両テレセントリックになる。リレーレンズ125とリレーレンズ128との共通焦点位置、又はリレーレンズ128とリレーレンズ16との共通焦点位置、あるいはそれに共役な位置に開口絞りを設置することでも両テレセントリックになることは言うまでもない。
【0070】
したがって、走査鏡127は反射面と振動軸Oがリレーレンズ125とリレーレンズ128の共通焦点を含むように設置する。このため、走査鏡127の振動軸O周り角度が変化しても、光束主光線はリレーレンズ128の焦点を通過するのでリレーレンズ128光軸に平行なままであり、リレーレンズ128から被検物体Tおよび参照素子13へ向かう光束のテレセントリック性は保持される。
【0071】
<第1測定システム100Aの電動ステージ15>
第1測定システム100Aは被検物体Tを載置するテーブル14を有している。テーブル14は、そのテーブル14を矢印AR1に示されたようにZ軸方向に沿って駆動できる電動ステージ15を有している。また、参照素子13とテーブル14との相対距離を検出する距離センサ装置EXをさらに備えている。
【0072】
<第1測定システム100Aの演算部23>
第1測定システム100Aの演算部23は、検出部24が干渉信号としてのスペクトルを検出した結果に基づいて、被検物体Tの三次元形状を演算する。演算部23は、図7に示されたように変換部231と、距離組み合わせ部232とにより構成されている。
【0073】
変換部231は、検出されたスペクトルの干渉信号に対して一次元フーリエ変換をすることにより、被検物体TのZ軸方向の位置を演算する。距離組み合わせ部232は、被検物体Tを載置したテーブル14が電動ステージ15によりZ軸方向で移動された場合、変換部231で変換された凹凸の距離と距離センサ装置EXで検出されたテーブル14の移動距離とを組み合わせる。具体的には、図10〜図14を参照しながら説明する。
【0074】
図10は、SLD光源111の波長と強度との関係を示したグラフである。図11は、第1測定システム100Aが測定するZ軸方向の範囲を示した拡大図である。ここで、測定する範囲は、測定ビームL1が例えば図6で示した測定位置P1(x=x0)にある際に、測定する範囲である。
【0075】
図10に示されたように、SLD光源111は波長範囲がλ0〜λ3であり、その波長と強度との関係グラフは一般に山型となる。また、波長λ1及び波長λ2は、波長範囲λ0〜λ3に属されている。図11は、図9に示されたようなSLD光源111で被検物体Tを照射する際の拡大図である。
【0076】
図11において、第1測定システム100AのZ軸方向での測定範囲は、測定面Hoから−Z軸方向で微小距離△Z離れている面H1までである。測定面Hoから面H1までの微小距離△Zは、分光素子20、結像レンズ21、検出部24から構成される分光系の波長分解能によって変化するが、たとえば広くても数mm程度である。
【0077】
図12は、測定ビームL1の測定点T21又は測定点T22での波長に対する強度分布との関係を示したグラフである。図12に示されたように波長と強度分布との関係は正弦波形に近い形状である。また、全体が山形になっているのは、図10に示されたSLD光源111自体の波長スペクトルを反映しているからである。さらに、検出部24は波長と強度分布の関係を検出する。
【0078】
検出部24は、干渉ビームILを検出すると、図12のグラフに示されたような強度分布を検出する。そして、変換部231(図7を参照)が得られたスペクトルについて一次元フーリエ変換をすることで、被検物体TのZ軸方向の高さを求めることができる。
【0079】
したがって、変換部231がスペクトルを複数の測定点(T21、T22を含むY軸方向の点)毎に一次元フーリエ変換をすることで、図13に示されたような微小距離△Zの範囲内のY軸方向(x=x0)における測定結果が得られる。微小距離△Zの範囲は、分光素子20、結像レンズ21、検出部24から構成される分光系の波長分解能によって変化するが、たとえば広くても数mm程度である。被検物体Tが高さ(Z軸方向)が微小距離△Zの範囲以上である場合には、被検物体Tの高さが計測できない。図13では被検物体Tの一部の高さしか測定できていない。そこで、電動ステージ15により被検物体Tを載置しているテーブル14をZ軸方向で微小距離△Zより小さい距離を移動させる。この移動距離は距離センサ装置EXで検出される。テーブル14が移動した状態で検出部24が干渉ビームILを検出する。距離組み合わせ部232(図7を参照)は、変換部231で変換された微小な凹凸情報と距離センサ装置EXで検出された距離とに基づいて、図14に示されたようなYZ平面での被検物体Tの全体グラフを求めることができる。
【0080】
図10から図14では、Y軸方向に伸びる測定ビームL1が測定位置P1(x=x0)のあるときのみを説明したが、走査鏡127で測定ビームL1が測定位置P2(x=+x1)から測定位置P3(x=−x1)まで走査されることで、第1測定システム100Aは被検物体TのX軸方向の高さも求める。
【0081】
<XY平面での広領域測定>
図15は、破線Cに囲まれた光源部11、測定光学系12が参照素子13のXY平面に対して平行に移動することを示した図である。図16は、被検物体TのXY平面での広い領域に対する測定範囲を示した図である。
【0082】
被検物体TがXY平面に大きい場合、走査鏡127及びリレーレンズ128で測定ビームL1を走査する範囲を超えることがある。このような場合には、光源部11、測定光学系12を一体的に参照素子13のXY平面に対して平行に移動させることが好ましい。図15で示される第1測定システム100Aは、光源部11及び測定光学系12を矢印AR2に示されるX軸方向に移動させ又は矢印AR3に示されるX軸方向に移動させる平面移動部25を有している。平面移動部25は、たとえばリニアガイドおよびステッピングモータなどを備えた平面駆動ステージである。
【0083】
また、第1測定システム100Aの演算部23は、平面組み合わせ部233をさらに有している。平面組み合わせ部233は、測定ビームL1及び基準ビームL2がXY平面で移動された場合、平面移動部25が移動させた距離を組み合わせて、XY平面に大きな被検物体Tの形状を組み合わせる。
【0084】
第1測定システム100Aにおいて、平面移動部25により光源部11及び測定光学系12など、をXY平面に沿って移動させることで、測定ビームL1及び測定ビームL2の走査範囲も移動する。したがって、第1測定システム100AのXY平面での測定範囲をより広くすることができる。図15に示されたように参照素子13は例えば電動ステージ15の底面などに固定され、参照素子13と被検物体TのXY平面との相対位置は変わらない。
【0085】
例えば、図16では矩形の大きな面積の被検物体Tmが示される。また、走査鏡127(図15)が測定ビームL1を走査することで、第1測定システム100Aは図16に示された矩形の測定領域DAを測定する。
【0086】
平面移動部25が測定光学系12などをXY平面に沿って移動させると(図15を参照)、被検物体Tmの全体形状を測定することができる。具体的には、測定領域DAが矢印AR2に沿って移動すると、第1測定システム100Aは測定領域DA1を測定することができる。同様に測定領域DAが矢印AR2に沿って移動して被検物体Tmの端まで測定すると、測定領域DA1が矢印AR3に沿ってさらに移動する。すると、第1測定システム100Aは測定領域DA2を測定することができる。そして。平面組み合わせ部233は測定領域DA、DA1、・・・・DA2・・・に対応する測定データを重ね合わせることで、被検物体Tm全体を測定することができる。
【0087】
(第2実施形態)
<第2測定システム100Bの送光光学系>
まず、第2測定システム100Bの送光光学系について、図17を参照しながら説明する。ここで、第1実施形態と同じ構成要件については、同じ符号を付けて説明する。
<<送光光学系の構成>>
図17は、第2実施形態の第2測定システム100Bの全体構成を示した図である。図17は、測定ビームL1のSLD光源111から被検物体Tの測定面Hoまでの光路及び基準ビームL2のSLD光源111から参照素子13のフィゾー面FMまでの光路を示している。
【0088】
図17に示されたように、第2測定システム100Bの送光光学系は、光源部11、測定光学系42及び参照素子13を備えている。特に測定光学系42が第1実施形態と異なるため、その構成について説明する。
【0089】
測定光学系42は、ハーフビームスプリッタ421と、互いに焦点距離の等しい2つのリレーレンズ422、423と、走査鏡424とを含んでいる。ここで、走査鏡424が図示しない駆動部により振動軸Oを中心として矢印ARに沿って振動することにより、XZ平面において走査鏡424に入射されたビームを偏向することができる。
【0090】
<<送光光学系の光路>>
図17に示されたように、SLD光源111からのビームLは1/2波長板112によってP偏光とS偏光とに振り分けられる。そして、平凸シリンドリカルレンズ113及び平凸シリンドリカルレンズ114を通過することによりXZ平面で点S3(Y軸方向に沿って伸びた一直線)に集光される。このとき点S3を含んだYZ平面を面Hiとする。
【0091】
P偏光とS偏光とに振り分けられたビームL(測定ビームL1および基準ビームL2)は、ハーフビームスプリッタ421を通過してリレーレンズ422に入射される。そして、ビームLはリレーレンズ422により集光されて走査鏡424に入射し、走査鏡424で軸Axが−Z側に向かったビームLとなって反射される。
【0092】
測定光学系42を射出したビームLは、その−Z側に設けられた参照素子13に入射される。このとき、例えばP偏光である測定ビームL1は参照素子13を通過して被検物体Tに入射し、S偏光である基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMで反射される。
【0093】
また、被検物体Tに入射された測定ビームL1は、参照素子13のフィゾー面FMから−Z側で距離d離れている被検物体TのXZ平面の集光点T1(Y軸方向に沿って伸びている一直線)で集光する。このため、測定ビームL1の光路長は基準ビームL2の光路長より距離dだけ長く形成されている。
【0094】
<第2測定システム100Bの受光光学系>
次に、第2測定システム100Bの受光光学系について、図18を参照しながら説明する。
<<受光光学系の構成>>
図18は、第2実施形態の第2測定システム100Bの全体構成を示した図である。図18は、測定ビームL1の被検物体Tの測定面Hoから検出部24までの光路及び基準ビームL2の参照素子13のフィゾー面FMから検出部24までの光路を示している。
【0095】
図18に示されたように、測定光学系42は迂回部52をさらに有している。図18において、迂回路52は2つの偏光ビームスプリッタ425、426と、その偏光ビームスプリッタ425、426からX軸方向に距離d離れて配置された平面ミラー427、428とをそれぞれ有している。ここで、偏光ビームスプリッタ425、426は例えばP偏光を通過し、S偏光を反射するものである。また、測定光学系42の迂回部52は第1実施形態の図4に示されたようなブロックで一体に構成された第2迂回部32の形状となってもよい。
【0096】
図18に示されたように、第2測定システム100Bは測定光学系42の迂回部52の+Z側のリレーレンズ422の焦点位置である点S4(Y軸方向に沿って伸びた一直線)に迷光を除去するようにスリット板17が設けられている。
【0097】
<<受光光学系の光路>>
図18に示されたように、被検物体Tで反射された測定ビームL1はリレーレンズ423に入射する。また参照素子13のフィゾー面FMで反射された基準ビームL2もリレーレンズ423に入射する。したがって、測定ビームL1の光路長は、参照素子13から測定面Hoまでの往復の距離2dだけ基準ビームL2の光路長より長くなる。リレーレンズ422を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2はハーフビームスプリッタ421により+Z側に反射されて迂回部52に入射する。
【0098】
測定ビームL1及び基準ビームL2は、迂回部52の偏光ビームスプリッタ425に入射し、例えばP偏光である測定ビームL1は偏光ビームスプリッタ425を通過する。S偏光である基準ビームL2は偏光ビームスプリッタ425で−X軸方向に反射される。偏光ビームスプリッタ425に反射された基準ビームL2は、平面ミラー427及び平面ミラー428に順次に反射されて+X軸方向に向かって偏光ビームスプリッタ426に入射する。偏光ビームスプリッタ426に入射された基準ビームL2は偏光ビームスプリッタ426に反射されて偏光ビームスプリッタ426を通過した測定ビームL1と同じ方向、すなわち+Z軸方向に沿って迂回部52を射出する。迂回部52を射出した測定ビームL1及び基準ビームL2はリレーレンズ422の焦点位置である点S4で集光される。
【0099】
ここで、基準ビームL2が迂回部52内で距離2dだけ迂回したので、その光路長は迂回部52内で測定ビームL1の光路長より距離2dだけ長く形成されている(図4(a)を参照)。このため、上述の送光光学系及び受光光学系に対する説明から分かれるように、迂回部52を備えることにより、測定ビームL1と基準ビームL2とのどちらの光路に対しても、面Hiと面Heとは共役関係となり、且つ、両者の光路長は等しい。
【0100】
(第3実施形態)
<第3測定システム100Cの送光光学系>
まず、第3測定システム100Cの送光光学系について、図19を参照しながら説明する。ここで、第1実施形態と同じ構成要件については、同じ符号を付けている。
<<送光光学系の構成>>
図19は、第3実施形態の第3測定システム100Cの全体構成を示した図である。図19は、測定ビームL1のSLD光源111から被検物体Tの測定面Hoまでの光路及び基準ビームL2のSLD光源111から参照素子13のフィゾー面FMまでの光路を示している。
【0101】
図19に示されたように、第3測定システム100Cの送光光学系は、光源部11、測定光学系62及び参照素子13を備えている。第3実施形態において参照素子13のフィゾー面FMから測定面Hoまでの距離は2dとなっている点が、第1実施形態または第2実施形態と特に異なる。
【0102】
測定光学系62は、迂回部72と、互いに焦点距離の等しい2つのリレーレンズ625、627と、走査鏡626とを含んでいる。図19において、迂回路72はハーフビームスプリッタ621と、偏光ビームスプリッタ622と、そのハーフビームスプリッタ621及び偏光ビームスプリッタ622とZ軸方向で距離dを離れて配置された平面ミラー623、624とをそれぞれ有している。ここで、偏光ビームスプリッタ622は例えばP偏光を通過し、S偏光を反射するものである。また、測定光学系62の迂回部72は第1実施形態の図4に示されたように一体に形成されてもよい。
【0103】
迂回部72の+X側には、リレーレンズ625及び走査鏡626が順次に配置されている。走査鏡626の−Z側にはもう1つのリレーレンズ627が配置されている。ここで、走査鏡626が図示しない駆動部により振動軸Oを中心として矢印ARに沿って振動することにより、XZ平面において走査鏡626に入射されたビームを偏向する。
【0104】
さらに、走査鏡626はリレーレンズ627の+Z側の焦点面に配置され、リレーレンズ627の−Z側の焦点面が第3測定システム100Cの測定面Hoとなる。
【0105】
<<送光光学系の光路>>
図19に示されたように、SLD光源111からのビームLは1/2波長板112によってP偏光とS偏光とに振り分けられる。そして、平凸シリンドリカルレンズ113及び平凸シリンドリカルレンズ114を通過することによりXZ平面で点S5(Y軸方向に沿って伸びた一直線)に集光される。点S5を含んだYZ平面を面Hiとする。
【0106】
P偏光とS偏光とに振り分けられたビームL(測定ビームL1および基準ビームL2)は、測定光学系62のハーフビームスプリッタ621に入射し、ビームLの一部がハーフビームスプリッタ621を通過し、ビームLの残りがハーフビームスプリッタ621で−Z側に反射される。
【0107】
ハーフビームスプリッタ621を通過して偏光ビームスプリッタ622に入射したビームL(測定ビームL1および基準ビームL2)は、その中に含まれたP偏光成分のみが偏光ビームスプリッタ622を通過して+X軸方向に向かう測定ビームL1となる。S偏光成分は+Z方向に反射され不図示の光吸収体で吸収される。一方、ハーフビームスプリッタ621に反射されたビームL(測定ビームL1および基準ビームL2)は、平面ミラー623及び平面ミラー624に順次に反射されて+Z軸方向に向かって偏光ビームスプリッタ622に入射する。−Z側から偏光ビームスプリッタ622に入射されたビームLは、その中に含まれたS偏光成分のみが偏光ビームスプリッタ622に反射されて+X軸方向に向かう基準ビームL2となる。P偏光成分は+Z方向に通過して不図示の光吸収体で吸収される。
【0108】
ここで、基準ビームL2は迂回部72内で迂回されたので、基準ビームL2の迂回部72内での光路長は、測定ビームL1の迂回部72内での光路長より距離2dだけ長くなっている。
【0109】
リレーレンズ625を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡626に入射する。測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡626の反射によってその軸Axが+X軸方向から−Z側に変更される。軸Axが−Z側向きなった測定ビームL1及び基準ビームL2は、リレーレンズ627によりその軸Axが−Z軸方向に変更されて参照素子13に入射する。
【0110】
ここで、上述のように迂回部72によって測定ビームL1及び基準ビームL2は2dだけの光路長差がある。このため、測定ビームL1は参照素子13のフィゾー面FMから−Z側で距離2d離れた測定面Hoの集光点T1(Y軸方向に沿って伸びている一直線)で集光し、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMの集光点T2(Y軸方向に沿って伸びている一直線)で集光する。また、参照素子13に入射した測定ビームL1は参照素子13を通過して被検物体Tで反射され、基準ビームL2は参照素子13のフィゾー面FMで反射される。
【0111】
<第3測定システム100Cの受光光学系>
次に、第3測定システム100Cの受光光学系について、図20を参照しながら説明する。
<<受光光学系の構成>>
図20は、第3実施形態の第3測定システム100Cの全体構成を示した図である。図20は、測定ビームL1の被検物体Tの測定面Hoから検出部24までの光路及び基準ビームL2の参照素子13のフィゾー面FMから検出部24までの光路を示している。
【0112】
図20に示されたように、第3測定システム100Cは測定光学系62のハーフビームスプリッタ621の+Z側のリレーレンズ625の焦点位置である点S6(Y軸方向に沿って伸びた一直線)に迷光を除去するようにスリット板17が設けられている。点S6を含んだXY平面を面Heとする。また、スリット板17の+Z側には焦点位置をスリット板17の位置に合わせたリレーレンズ18が配置されている。
【0113】
<<受光光学系の光路>>
図20に示されたように、被検物体Tで反射された測定ビームL1及び参照素子13のフィゾー面FMで反射された基準ビームL2は、再び測定光学系62のリレーレンズ627に入射する。ここで、参照素子13のフィゾー面FMから被検物体Tの測定面Hoまでの距離は2dであるため、上述の送光光学系の迂回路を合わせて、測定ビームL1は基準ビームL2より2dだけ長い光路長である。また、リレーレンズ627を通過した測定ビームL1及び基準ビームL2は、走査鏡626で−X側に反射されて再び迂回部72に入射する。
【0114】
迂回部72に入射したP偏光である測定ビームL1は、偏光ビームスプリッタ622をそのまま通過してハーフビームスプリッタ621に入射する。一方、迂回部72に入射したS偏光である基準ビームL2は、偏光ビームスプリッタ622に反射され、平面ミラー624及び平面ミラー623に順次に反射されて+Z軸方向に向かってハーフビームスプリッタ621に入射する。そして、ハーフビームスプリッタ621で反射された測定ビームL1とハーフビームスプリッタ621を通過した基準ビームL2は+Z方向に沿って迂回部72を射出する。迂回部72に入射するまでは、測定ビームL1は基準ビームL2より光路長が2dだけ長かったが、迂回部72から射出する際には、基準ビームL2の光路長と測定ビームL1の光路長とが揃っている(図4(a)を参照)。
【0115】
迂回部72を射出した測定ビームL1及び基準ビームL2は、偏光子19に入射する。偏光子19では、例えばP偏光である測定ビームL1及びS偏光である基準ビームL2の中から共通の偏光成分を透過させる。
【0116】
その後、リレーレンズ625の焦点位置(面He)に設けられたスリット板17でY軸方向に伸びた一直状となる。また、スリット板17により測定ビームL1及び基準ビームL2に含まれた迷光が除去される。
【0117】
迂回部72を備えることにより、測定ビームL1と基準ビームL2とのどちらの光路に対しても、面Hiと面Heとは共役関係となり、且つ、両者の光路長は等しい。
【0118】
偏光子19により干渉された干渉ビームILは回折光学素子などの分光素子20によって、スペクトルに応じた角度に分光される。
【0119】
スペクトルに応じて分光された干渉ビームILは、結像レンズ21を通過して検出部24に入射されて結像する。検出部24は分光素子20でスペクトルに分光された干渉ビームILをそれぞれに検出する。
【0120】
また、第3実施形態においても、偏光子19による測定ビームL1と基準ビームL2との干渉、その干渉ビームを分光素子20で分光することなどは、第1実施形態と同じである。
【0121】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0122】
11 … 光源部
12、42、62 … 測定光学系
13 … 参照素子
14 … テーブル
15 … 電動ステージ
16、18、125、128、422、423、625、627 … リレーレンズ
17 … スリット板
19 … 偏光子
20 … 分光素子
21 … 結像レンズ
22、32、52、72 … 迂回部
23 … 演算部
24 … 検出部
100A、100B、100C … 測定システム
111 … SLD光源
112 … 1/2波長板
113、114 … 平凸シリンドリカルレンズ
121、122、425、426、622 … 偏光ビームスプリッタ
123、124、427、428、623、624 … 平面ミラー
126、421、621 … ハーフビームスプリッタ
127、424、626 … 走査鏡
231 … 変換部
232 … 距離組み合わせ部
233 … 平面組み合わせ部
Ax … 軸
FM … フィゾー面
L1 … 測定ビーム
L2 … 基準ビーム
T … 被検物体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物体の凹凸を測定するための測定システムにおいて、
前記被検物体の凹凸を測定するための測定ビームと前記測定ビームに対して基準となる基準ビームとを射出する光源部と、
前記被検物体に隣接して配置され、前記基準ビームを反射させ前記測定ビームを前記被検物体へ透過させる平板状の参照素子と、
前記被検物体で反射された前記測定ビームと前記参照素子で反射された前記基準ビームとが干渉した干渉ビームを各波長に分光する分光素子と、
前記分光素子で分光された前記各波長を検出する検出部と、
前記光源部から前記被検物体および前記分光素子を介して前記検出部に至る前記測定ビームの光路長と、前記光源部から前記参照素子および前記分光素子を介して前記検出部に至る前記基準ビームの光路長とを揃える迂回路を有する測定光学系と、
を備える測定システム。
【請求項2】
前記測定ビームの光路で前記光源部側にある第1面と、前記参照素子よりも前記被検物体側に置かれた第2面と、前記分光素子側にある第3面とが互いに光学的共役関係を成す際、
前記基準ビームの光路で前記第1面と前記第3面とが互いに光学的共役関係を成す請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記光源部は、前記測定ビーム及び前記基準ビームを射出する光源と、前記光源からの前記測定ビーム及び前記基準ビームを前記第1面に1次元方向に集光させる第1凸シリンドリカルレンズ及び第2凸シリンドリカルレンズと、を含む請求項1又は請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記測定光学系は、前記第3面に配置され前記各波長の検出に不要な迷光を除去するスリットを含む請求項2に記載の測定システム。
【請求項5】
前記測定光学系は、前記光源部側に配置され正の屈折力を有する第1光学系と、前記第1光学系と同一の正の屈折力を有し前記第1光学系の2つの焦点の内前記光源側とは反対側に存在する焦点に焦点位置を合わせて設置される第2光学系とを有し、
前記参照素子は前記第2光学系と前記被検物体との間に設置される請求項1から請求項4のいずれに記載の測定システム。
【請求項6】
前記第1光学系と前記第2光学系とは、前記光源側および前記参照素子側で両側テレセントリックの関係をなす請求項5に記載の測定システム。
【請求項7】
前記第2光学系は前記測定ビームを前記被検物体に一直線状に集光させ、
前記測定光学系は前記一直線状の前記測定ビームを前記一直線と直交する方向に走査する走査鏡を含む請求項5又は請求項6に記載の測定システム。
【請求項8】
前記走査鏡は回転軸を中心に回転する平面鏡を含む、前記平面鏡は前記第1光学系と前記第2光学系との共通焦点を反射面内および前記回転軸内に含む請求項7に記載の測定システム。
【請求項9】
前記測定光学系の迂回路は、ブロック状の光学プリズムまたは平板状の反射鏡で構成され、一体構造となっている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項10】
前記光源部は、所定帯域を有する光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームの偏光方向を回転させる波長板とを含み、
前記干渉ビームは、前記所定帯域を有する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項11】
前記測定ビームと前記基準ビームとは互いに異なる偏光方向の直線偏光ビームであり、
前記参照素子は、前記偏光ビームの波長よりも短いグリッド間隔を有するワイヤグリッドを含む請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項12】
前記分光素子は、前記干渉ビームを前記各波長に応じた角度に回折させる回折部材を備え、
前記検出部は、前記回折部材で回折された各波長を検出する二次元センサを含む請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項13】
前記各波長の強度分布を、前記測定ビームの前記被検物体側での前記測定面から前記被検物体の各部までの距離に変換する変換部を備える請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項14】
前記被検物体の凹凸が前記検出部で検出される範囲を超える場合に、前記被検物体の凹凸を測定するために、前記被検物体と前記参照素子との距離を可変させる高さ可変部と,
前記高さ可変部で前記被検物体と前記参照素子との距離が変えられた状態で、前記変換部で変換された凹凸の距離を組み合わせる距離組み合わせ部と、
を備える請求項13に記載の測定システム。
【請求項15】
前記参照素子と平行な平面内において前記被検物体が前記検出部で検出される範囲を超える場合に、前記光源部、前記測定光学系を前記平面に沿って移動させる平面移動部と、
前記平面移動部によって前記被検物体及び前記参照素子に対する前記測定ビーム及び前記基準ビームの照射位置が変えられた状態で、前記変換部で変換された距離を前記平面内で組み合わせる平面組み合わせ部と、
を備える請求項13または請求項14に記載の測定システム。
【請求項1】
被検物体の凹凸を測定するための測定システムにおいて、
前記被検物体の凹凸を測定するための測定ビームと前記測定ビームに対して基準となる基準ビームとを射出する光源部と、
前記被検物体に隣接して配置され、前記基準ビームを反射させ前記測定ビームを前記被検物体へ透過させる平板状の参照素子と、
前記被検物体で反射された前記測定ビームと前記参照素子で反射された前記基準ビームとが干渉した干渉ビームを各波長に分光する分光素子と、
前記分光素子で分光された前記各波長を検出する検出部と、
前記光源部から前記被検物体および前記分光素子を介して前記検出部に至る前記測定ビームの光路長と、前記光源部から前記参照素子および前記分光素子を介して前記検出部に至る前記基準ビームの光路長とを揃える迂回路を有する測定光学系と、
を備える測定システム。
【請求項2】
前記測定ビームの光路で前記光源部側にある第1面と、前記参照素子よりも前記被検物体側に置かれた第2面と、前記分光素子側にある第3面とが互いに光学的共役関係を成す際、
前記基準ビームの光路で前記第1面と前記第3面とが互いに光学的共役関係を成す請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記光源部は、前記測定ビーム及び前記基準ビームを射出する光源と、前記光源からの前記測定ビーム及び前記基準ビームを前記第1面に1次元方向に集光させる第1凸シリンドリカルレンズ及び第2凸シリンドリカルレンズと、を含む請求項1又は請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記測定光学系は、前記第3面に配置され前記各波長の検出に不要な迷光を除去するスリットを含む請求項2に記載の測定システム。
【請求項5】
前記測定光学系は、前記光源部側に配置され正の屈折力を有する第1光学系と、前記第1光学系と同一の正の屈折力を有し前記第1光学系の2つの焦点の内前記光源側とは反対側に存在する焦点に焦点位置を合わせて設置される第2光学系とを有し、
前記参照素子は前記第2光学系と前記被検物体との間に設置される請求項1から請求項4のいずれに記載の測定システム。
【請求項6】
前記第1光学系と前記第2光学系とは、前記光源側および前記参照素子側で両側テレセントリックの関係をなす請求項5に記載の測定システム。
【請求項7】
前記第2光学系は前記測定ビームを前記被検物体に一直線状に集光させ、
前記測定光学系は前記一直線状の前記測定ビームを前記一直線と直交する方向に走査する走査鏡を含む請求項5又は請求項6に記載の測定システム。
【請求項8】
前記走査鏡は回転軸を中心に回転する平面鏡を含む、前記平面鏡は前記第1光学系と前記第2光学系との共通焦点を反射面内および前記回転軸内に含む請求項7に記載の測定システム。
【請求項9】
前記測定光学系の迂回路は、ブロック状の光学プリズムまたは平板状の反射鏡で構成され、一体構造となっている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項10】
前記光源部は、所定帯域を有する光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームの偏光方向を回転させる波長板とを含み、
前記干渉ビームは、前記所定帯域を有する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項11】
前記測定ビームと前記基準ビームとは互いに異なる偏光方向の直線偏光ビームであり、
前記参照素子は、前記偏光ビームの波長よりも短いグリッド間隔を有するワイヤグリッドを含む請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項12】
前記分光素子は、前記干渉ビームを前記各波長に応じた角度に回折させる回折部材を備え、
前記検出部は、前記回折部材で回折された各波長を検出する二次元センサを含む請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項13】
前記各波長の強度分布を、前記測定ビームの前記被検物体側での前記測定面から前記被検物体の各部までの距離に変換する変換部を備える請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項14】
前記被検物体の凹凸が前記検出部で検出される範囲を超える場合に、前記被検物体の凹凸を測定するために、前記被検物体と前記参照素子との距離を可変させる高さ可変部と,
前記高さ可変部で前記被検物体と前記参照素子との距離が変えられた状態で、前記変換部で変換された凹凸の距離を組み合わせる距離組み合わせ部と、
を備える請求項13に記載の測定システム。
【請求項15】
前記参照素子と平行な平面内において前記被検物体が前記検出部で検出される範囲を超える場合に、前記光源部、前記測定光学系を前記平面に沿って移動させる平面移動部と、
前記平面移動部によって前記被検物体及び前記参照素子に対する前記測定ビーム及び前記基準ビームの照射位置が変えられた状態で、前記変換部で変換された距離を前記平面内で組み合わせる平面組み合わせ部と、
を備える請求項13または請求項14に記載の測定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−179950(P2011−179950A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44142(P2010−44142)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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