説明

測定方法および測定装置

【課題】 複数の受光素子により光ビームの暗線の位置(全反射減衰角θSP)の検出を行う測定装置において、測定精度を向上させる。
【解決手段】 光ビームを検出する各フォトダイオード17a、17b、17c……に接続された差動アンプ18a、18b、18c……の中から、全反射減衰角θSPに対応する微分値I´=0に最も近い出力が得られているものを選択し、次に、選択した差動アンプを中心として前後2ch分の合計5chの作動アンプの出力に基づいて3次の近似式を算出し、この近似式を作動アンプの出力(微分値)と全反射減衰角θSP(暗線)の位置との関係を示す関係式として、この関係式と上記で選択した作動アンプの出力とに基づいて全反射減衰角θSPの位置を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料等の測定対象物に接した薄膜層と誘電体ブロックとの界面で光ビームを全反射させてエバネッセント波を発生させ、それにより全反射した光ビームの強度に表れる変化を測定して試料の分析を行う測定方法および測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エバネッセント波を利用した測定装置の1つとして、表面プラズモンセンサーが知られている。金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。表面プラズモンセンサーは、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、試料の特性を分析するものであり、種々のタイプのセンサーが提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記の系を用いる表面プラズモンセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、該光検出手段の検出結果に基づいて表面プラズモン共鳴の状態を測定する測定手段とを備えてなるものである。
【0004】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサーによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサーによって検出することができる。
【0005】
上記構成の表面プラズモンセンサーにおいて、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角θSPで入射させると、該金属膜に接している試料中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と試料との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。
【0006】
なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0007】
この光強度の低下が生じる全反射角以上の特定入射角θSP(以後全反射減衰角θSPと記載)より表面プラズモンの波数が解ると、試料の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εmとεsをそれぞれ金属、試料の誘電率とすると、以下の関係がある。
【数1】

【0008】
試料の誘電率εsが分かれば、所定の較正曲線等に基づいて試料の屈折率等が分かるので、結局、全反射減衰角θSPを知ることにより、試料の誘電率つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。なお、全反射減衰角θSPは表面プラズモンセンサーにおいて暗線として観測される。
【0009】
なおこの種の表面プラズモンセンサーにおいては、全反射減衰角θSP(暗線の位置)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特許文献2に示されているように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
【0010】
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段により微分された微分値の中から全反射減衰角θSPを検出した受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を特定し、この微分値および全反射減衰角θSPの位置と微分値との関係を示す関係式に基づいて全反射減衰角θSPの位置を求めることが多い。
【0011】
また、エバネッセント波を利用した類似のセンサーとして、漏洩モードセンサーも知られている(例えば非特許文献1参照)。この漏洩モードセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定する光検出手段と、該光検出手段の検出結果に基づいて導波モードの励起状態を測定する測定手段とを備えてなるものである。
【0012】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の試料の屈折率に依存するので、全反射減衰角θSPを知ることによって、試料の屈折率や、それに関連する試料の特性を分析することができる。
【特許文献1】特開平6-167443号公報
【特許文献2】特開平11-326194号公報
【非特許文献1】「分光研究」第47巻 第1号(1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述の特許文献2に記載されているような表面プラズモンセンサー等の測定装置においては、アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、受光素子の配設方向に関して微分し、この微分値の中から全反射減衰角θSPを検出した受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を特定し、この微分値および全反射減衰角θSPの位置と微分値との関係を示す関係式に基づいて全反射減衰角θSPの位置を求めることにより、受光素子の配設ピッチ以下の精度で全反射減衰角θSPの位置を特定することが可能である。
【0014】
例えば一つの受光素子の検出範囲を1000RUとした場合、1000RU以下の精度のデータも、隣接する2つの受光素子の出力信号の微分値、および全反射減衰角θSPの位置と微分値との関係を示す関係式に基づいて算出することが可能である。
【0015】
このように上記の測定装置においては原理的には受光素子の配設ピッチ以下の精度で全反射減衰角θSPの位置を特定することが可能であるが、実際には測定結果に誤差が生じる場合がある。
【0016】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、複数の受光素子により光ビームの暗線の位置(全反射減衰角θSP)の検出を行う測定装置において、測定精度を向上した測定方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、上述の特許文献2に記載されているような、アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を受光素子の配設方向に関して微分し、この微分値の中から全反射減衰角θSPを検出した受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を特定し、この微分値および全反射減衰角θSPの位置と微分値との関係を示す関係式に基づいて全反射減衰角θSPの位置を求める表面プラズモンセンサー等の測定装置において、測定結果に誤差が生じる場合があることを確認したため、この原因を探るべく微分値と暗線の位置との関係について詳細に調査を行った。
【0018】
その結果これらの間には図10(3)に示すような関係があることが分かった。図10(3)は、互いに隣接する多数の受光素子の出力信号を受光素子の配設方向に関して微分した微分値と、暗線の位置との関係を示したグラフである。なお、縦軸を微分値(2つの受光素子から出力される信号の差分電圧)、横軸を位置としている。
【0019】
従来は暗線の位置と微分値との関係を1次の式に近似させていたが、図10(3)に示す通り、複数の受光素子の出力を受光素子の配設方向に関して微分する作動アンプアレイ18の中から暗線を検出した受光素子の出力を微分する対象に含む作動アンプ18dを中心として広範囲(例えば作動アンプ18dを中心として前後2ch分の計5ch)にわたって微分値と暗線の位置との関係を観察してみると、1次の式ではこれらの関係を正確に反映させることができず、3次の式に近似させることによりこれらの関係をより正確に反映させることができることを見出した。
【0020】
本発明は上記の新たな知見に基づいてなされたものであり、本発明の測定方法は、光ビームを薄膜層が形成された誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させ、複数の受光素子が所定方向に並設されてなる光検出手段により、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光するようして検出し、光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、受光素子の並設方向に関して微分し、微分した微分値の中から、前記界面での反射光強度が極小値となる暗線を検出した受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を特定し、この微分値および暗線の位置と微分値との関係を示す関係式に基づいて暗線の位置を求める測定方法において、暗線を検出した受光素子を含む互いに隣接する少なくとも5つの受光素子から得られる4つの微分値に基づいて算出した3次の近似式を関係式とすることを特徴とする方法である。
【0021】
本発明による測定方法においては、暗線の位置を複数回測定し、これらの移動平均に基づいて暗線位置の経時変化を求めてもよい。
【0022】
また、本発明による測定装置は、薄膜層が形成された誘電体ブロック、および薄膜層上に試料を保持する試料保持機構を備えた測定ユニットと、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる入射光学系と、複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設された光検出手段と、光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、受光素子の並設方向に関して微分する微分手段と、微分手段により微分された微分値の中から、前記界面での反射光強度が極小値となる暗線を検出した受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を特定し、この微分値および暗線の位置と微分値との関係を示す関係式に基づいて暗線の位置を求める演算手段とを備えてなる測定装置において、演算手段が、暗線を検出した受光素子を含む互いに隣接する少なくとも5つの受光素子から得られる4つの微分値に基づいて算出した3次の近似式を関係式とするものであることを特徴とするものである。
【0023】
本発明による測定装置において演算手段は、暗線の位置を複数回測定し、これらの移動平均に基づいて暗線位置の経時変化を求めるものとしてもよい。
【0024】
本発明による測定方法および測定装置において、複数の微分値の中から前記界面での反射光強度が極小値となる暗線を検出した受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を特定する方法は、複数の微分値の数列中の極大値と極小値の間にある微分値の中で最も0に近いものを選択したり、検出信号が最も小さい受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を選択する等、どのような方法であってもよい。
【0025】
また、3次の近似式は、4つ以上の微分値であればいくつの微分値に基づいて算出してもよい。なお、4つ以上の微分値から3次の近似式を算出する方法としては、例えば最小二乗法等どのような方法を用いてもよい。
【0026】
さらに、移動平均を算出する場合のデータの数についても特に限定はなく、何点のデータから算出してもよい。また、算出するデータ群についても、ある位置においてその位置から前のデータのみから算出したり、または、ある位置においてその位置の前後のデータから算出する等、どのような態様としてもよい。
【0027】
また、本発明の測定方法における測定装置および本発明の測定装置は、薄膜層を、金属膜からなるものとし、前述の表面プラズモン共鳴による効果を利用して測定を行う、所謂表面プラズモンセンサーとして構成されたものとすることができる。また、薄膜層を、誘電体ブロックの前記一面に形成されたクラッド層とクラッド層上に形成された光導波層からなるものとし、光導波層における導波モードの励起による効果を利用して測定を行う、所謂漏洩モードセンサーとして構成されたものとすることができる。
【0028】
また、薄膜層上の状態の測定方法は、誘電体ブロックと薄膜層との界面に対して種々の入射角度で入射させた光ビームの該界面での反射光を検出して、全反射減衰角もしくはその角度変化を検出することにより屈折率もしくは屈折率変化を測定するものであってもよいし、また、D.V.Noort,K.johansen,C.-F.Mandenius, Porous Gold in Surface Plasmon Resonance Measurement, EUROSENSORS XIII, 1999, pp.585-588 に記載されているように、複数の波長の光ビームを前記界面で全反射条件が得られる入射角で入射させ、各波長毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、各波長毎の全反射減衰の程度を検出することにより屈折率もしくは屈折率変化を測定するものであってもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の測定方法および測定装置によれば、光ビームを薄膜層が形成された誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させ、複数の受光素子が所定方向に並設されてなる光検出手段により、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光するようして検出し、光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、受光素子の並設方向に関して微分し、微分した微分値の中から、前記界面での反射光強度が極小値となる暗線を検出した受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を特定し、この微分値および暗線の位置と微分値との関係を示す関係式に基づいて暗線の位置を求める場合において、暗線を検出した受光素子を含む互いに隣接する少なくとも5つの受光素子から得られる4つの微分値に基づいて算出した3次の近似式を関係式とすることにより、上記関係式をより現実に近い形とすることができるため、より正確に暗線の位置を算出することが可能となる。
【0030】
また、上記測定方法および測定装置において、暗線の位置を複数回測定し、これらの移動平均に基づいて暗線位置の経時変化を求めるようにすることにより、光検出手段の各受光素子の感度誤差等に起因する測定誤差を吸収してより正確に暗線の位置を算出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本発明の第1の実施の形態の測定装置は、測定ユニットの複数の測定部に光ビームを並列的に入射させることにより複数の試料の分析を同時に行うことが可能な表面プラズモンセンサーであり、図1は本実施の形態の表面プラズモンセンサーの概略構成を示す平面図、図2はこの表面プラズモンセンサーの測定系の平面図、図3はこの表面プラズモンセンサーの測定系の側面図、図8は図2中のVIII−VIII線断面図である。
【0032】
この表面プラズモンセンサー1は、図1に示すように、測定ユニット10に設けられた複数の測定部毎に光ビームを並列的に入射させることにより複数の試料の分析を同時に行うことが可能な表面プラズモンセンサーであり、同様の構成の複数の表面プラズモン測定系1A、1B…により構成されている。各測定系の構成について、個別の要素を表す符号であるA、B…の符号は省略して説明する。
【0033】
図2、図3および図8に示すように、各測定系は、1本の光ビーム13を発生させる半導体レーザ等からなる光源14(以下、レーザ光源14という)と、上記光ビーム13を測定ユニット10に通し、流路60(測定部)の下の誘電体ブロック50と金属膜55との2箇所の界面50fおよび50gに対して、種々の入射角が得られるように並列的に入射させる光学系15と、上記界面50fおよび50gで全反射した光ビーム13を各々平行光化する2つのコリメーターレンズ16と、この平行光化された光ビーム13を各々検出する2つのフォトダイオードアレイ17と、2つのフォトダイオードアレイ17に接続された差動アンプアレイ18と、ドライバ19と、コンピュータシステム等からなる信号処理部20と、この信号処理部20に接続された表示部21とを備えている。なお、信号処理部20は、暗線の位置を算出する演算手段としても機能するものである。この演算手段の処理の詳細については後述する。
【0034】
まず、測定ユニット10について説明する。図4は測定ユニット10の斜視図、図5は上記測定ユニットの分解斜視図、図6は上記測定ユニットの上面図、図7は図6中のVII−VII線断面図である。
【0035】
測定ユニット10は、光ビームに対して透明であり、平滑な上面50aに薄膜層としての金属膜55が形成された誘電体ブロック50と、この誘電体ブロック50の金属膜55上に密接される流路部材(試料供給機構)51と、誘電体ブロック50と係合して、流路部材51を誘電体ブロック50の上面50a上に保持する保持部材52とから構成される。
【0036】
誘電体ブロック50は、例えば透明樹脂等からなるものであり、長手方向に直交する断面が上底よりも下底の方が短い台形状の本体を有し、この本体の長手方向の両端部に上面(もしくは下面)方向から見たときの幅が本体よりも薄く形成された保持部50bが形成されたもので、後述の測定装置の光源から出射された光ビームを誘電体ブロック50と金属膜55との界面に入射させるとともに、この界面で全反射した光ビームを測定装置の光検出手段に向けて出射させるプリズム部が一体的に形成されたものである。本体の長手方向の両側面には後述の保持部材52に形成された係合孔52cに係合させるための係合凸部50cと側面が垂直に形成された垂直凸部50dとが両側面で各々互いに対向するように形成されており、底面には長手方向に平行に延びる摺動溝50eが形成されている。
【0037】
流路部材51は、入口61から測定部63に至る供給路62、および測定部63から出口65に至る排出路64から構成される流路60が、流路部材51の長手方向に渡って複数形成されており、この複数の流路60は直線状に配置されている。
【0038】
図7に示すように、流路部材51の下部部分には、供給路62の出口と排出路64の入口が開口され、また流路部材51の下面に位置する金属膜55の表面と接する領域に、この供給路62の出口と排出路64の入口を囲むシール部51aが形成されており、このシール部51aの内側が測定部63となる。このため、流路部材51を誘電体ブロック50の金属膜55上に密接させた場合に、このシール部51a内の測定部63が流路として機能するようになる。なお、シール部51aは、流路部材51の上部部分と一体形成されたものであってもよいし、上部部分とは異なる素材により形成され、後付されたものであってもよく、例えばOリング等を流路部材51の下部部分に取り付けたものであってもよい。
【0039】
本発明の測定ユニットを使用する表面プラズモンセンサー等の測定装置では、蛋白質を含む液体試料が使用されることが想定されるが、流路60内で液体試料中の蛋白質が固着してしまうと測定を正確に行うことが困難となってしまうため、流路部材51の材料としては蛋白質に対する非特異吸着性を有しないことが好ましく、具体的にはシリコン、ポリプロピレン等を用いるとよい。また、流路部材51をこのような弾性材料からなるものとすることにより、流路部材51を金属膜55上に確実に密接させることができるため、接触面からの液体試料の液漏れを防止することができる。
【0040】
保持部材52は、ポリプロピレン等の弾性材料からなり、長手方向と直交する方向の断面が略冂字形状をしており、保持部材52の上板(保持板部)の流路部材51の入口61および出口65と対向する位置には流路部材51に向けて狭くなるテーパー状のピペット挿入孔52aが形成されており、保持部材52の上面の各ピペット挿入孔52aの中間、および両端のピペット挿入孔52aのさらに外側には位置決め用のボス52bが形成されている。
【0041】
また、この保持部材52の上面には、蒸発防止部材54が両面テープ(接着部材)53により貼付されている。図5に示すように、両面テープ53のピペット挿入孔52aと対向する位置にはピペット挿入用の孔53aが形成され、ボス52bと対向する位置には位置決め用の孔53bが形成されており、同様に、蒸発防止部材54のピペット挿入孔52aと対向する位置にはスリット54aが形成され、ボス52bと対向する位置には位置決め用の孔54bが形成されており、ボス52bに両面テープ53の孔53bおよび蒸発防止部材54の孔54bを挿通した状態で、蒸発防止部材54を保持部材52の上面に貼付することにより、蒸発防止部材54のスリット54aと流路部材51の入口61および出口65とが対向するように構成される。この蒸発防止部材54は、スリット54aからピペットを挿入できるように弾性を有する材料である必要があり、具体的にはシリコンまたはポリプロピレン等を用いるとよい。なお、上記の保持部材52と蒸発防止部材54とは一体的に形成してもよく、これに加えてさらに流路部材51も一体的に形成してもよい。
【0042】
さらに、保持部材52の長手方向側板には、誘電体ブロック50に形成された係合凸部50cに係合させるための係合孔52cが形成されており、この係合孔52cを係合凸部50cに係合させて保持部材52と誘電体ブロック50とを係合させた状態で、流路部材51が保持部材52と誘電体ブロック50とに挟持され、流路部材51が誘電体ブロック50の上面50a上に保持されるように構成されている。
【0043】
図7に示すように、流路部材51が保持部材52と誘電体ブロック50とに挟持された状態では、流路部材51の入口61および出口65は、蒸発防止部材54のスリット54aにより外気から遮断され、流路60内に注入された液体試料の蒸発を防止するように構成されている。
【0044】
入射光学系15は、レーザ光源14から発散光状態で出射した光ビーム13を平行光化するコリメーターレンズ15aと、該平行光化された光ビーム13を分割するハーフミラー15cと、ハーフミラー15cにより反射された光ビーム13を測定ユニット10方向に反射させるミラー15dと、ハーフミラー15cを透過した光ビーム13、およびミラー15dにより反射された光ビーム13を上記界面50fおよび50g上で各々収束させる2つの集光レンズ15bとから構成されている。
【0045】
光ビーム13は、上述のように集光されるので、界面50fおよび50gに対して種々の入射角θで入射する成分を含むことになる。なおこの入射角θは、全反射角以上の角度とされる。そこで、光ビーム13は界面50fおよび50gで全反射し、この反射した光ビーム13には、種々の反射角で反射する成分が含まれることになる。なお、上記光学系15は、光ビーム13を界面50fおよび50gにデフォーカス状態で入射させるように構成されてもよい。そのようにすれば、表面プラズモン共鳴の状態検出の誤差が平均化されて、測定精度が高められる。
【0046】
なお光ビーム13は、界面50fおよび50gに対してp偏光で入射させる。そのようにするためには、予めレーザ光源14をその偏光方向が所定方向となるように配設すればよい。その他、波長板で光ビーム13の偏光の向きを制御してもよい。
【0047】
図8に示すように、本実施の形態において、測定ユニット10の各流路60の測定部63
には2箇所の界面50fおよび50gに対して光ビーム13が並列的に入射されるが、このうち一方の界面50f上の金属膜55上は何も固定していない参照領域とし、他方の界面50g上の金属膜55上はリガンド73を固定した検出領域とし、後述のリファレンス法による測定結果の校正を行うことができるようにしている。
【0048】
以下、上記構成の表面プラズモンセンサー1による試料分析について説明する。測定に先立ち、恒温室2からチップ保持部11上の測定位置へ向けて測定ユニット10が移動される。チップ保持部11には誘電体ブロック50に形成された摺動溝50eと係合するレール11aが形成されており、測定ユニット10を移動させる際に高い位置精度を確保することができるようになっている。さらに、測定ユニット10がチップ保持部11上に載置された後、誘電体ブロック50に形成された垂直凸部50dが不図示の固定機構により挟持されてチップ保持部11上の測定位置に固定される。その後、図8に示すように流路部材51の入口61に液体試料供給用ピペットチップ70を挿入し、出口65に液体試料吸入用ピペットチップ71を挿入し、液体試料供給用ピペットチップ70から液体試料としてアナライトを含有するバッファー72を流路60の測定部63に供給した後、測定を開始する。
【0049】
図3に示す通り、レーザ光源14から発散光状態で出射した光ビーム13は、光学系15の作用により、測定部63の下の誘電体ブロック50と金属膜55との界面50fおよび50g上で収束する。この際、光ビーム13は、界面50fおよび50gに対して種々の入射角θで入射する成分を含むことになる。なおこの入射角θは、全反射角以上の角度とされる。そこで、光ビーム13は界面50fおよび50gで全反射し、この反射した光ビーム13には、種々の反射角で反射する成分が含まれることになる。
【0050】
界面50fおよび50gで全反射した後、2つのコリメーターレンズ16によって各々平行光化された2本の光ビーム13は、2つのフォトダイオードアレイ17により各々検出される。本例におけるフォトダイオードアレイ17は、複数のフォトダイオード17a、17b、17c……が1列に並設されてなり、図3の図示面内において、平行光化された光ビーム13の進行方向に対してフォトダイオード並設方向がほぼ直角となる向きに配設されている。したがって、上記界面50fおよび50gにおいて種々の反射角で全反射した光ビーム13の各成分を、それぞれ異なるフォトダイオード17a、17b、17c……が受光することになる。
【0051】
図9は、この表面プラズモンセンサーの電気的構成を示すブロック図である。図示の通り上記ドライバ19は、差動アンプアレイ18の各差動アンプ18a、18b、18c……の出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路22a、22b、22c……、これらのサンプルホールド回路22a、22b、22c……の各出力が入力されるマルチプレクサ23、このマルチプレクサ23の出力をデジタル化して信号処理部20に入力するA/D変換器24、マルチプレクサ23とサンプルホールド回路22a、22b、22c……とを駆動する駆動回路25、および信号処理部20からの指示に基づいて駆動回路25の動作を制御するコントローラ26から構成されている。なお、差動アンプアレイ18、ドライバ19、信号処理部20は、2つのフォトダイオードアレイ17からの入力に対して、同様の処理を並列的に行うように構成されている。
【0052】
上記フォトダイオード17a、17b、17c……の各出力は、差動アンプアレイ18の各差動アンプ18a、18b、18c……に入力される。この際、互いに隣接する2つのフォトダイオードの出力が、共通の差動アンプに入力される。したがって各差動アンプ18a、18b、18c……の出力は、複数のフォトダイオード17a、17b、17c……が出力する光検出信号を、それらの並設方向に関して微分したものと考えることができる。
【0053】
各差動アンプ18a、18b、18c……の出力は、それぞれサンプルホールド回路22a、22b、22c……により所定のタイミングでサンプルホールドされ、マルチプレクサ23に入力される。マルチプレクサ23は、サンプルホールドされた各差動アンプ18a、18b、18c……の出力を、所定の順序に従ってA/D変換器24に入力する。A/D変換器24はこれらの出力をデジタル化して信号処理部20に入力する。
【0054】
図10は、界面50f(または50g)で全反射した光ビーム13の入射角θ毎の光強度と、差動アンプ18a、18b、18c……の出力との関係を説明するものである。ここで、光ビーム13の界面50f(または50g)への入射角θと上記光強度Iとの関係は、同図(1)のグラフに示すようなものであるとする。
【0055】
界面50f(または50g)にある特定の入射角θSPで入射した光は、金属膜55とバッファー72との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光については反射光強度Iが鋭く低下する。つまりθSPが全反射減衰角であり、この角度θSPにおいて反射光強度Iは最小値を取る。この反射光強度Iの低下は、図3にDで示すように、反射光中の暗線として観察される。
【0056】
また図10の(2)は、フォトダイオード17a、17b、17c……の並設方向を示しており、先に説明した通り、これらのフォトダイオード17a、17b、17c……の並設方向位置は上記入射角θと一義的に対応している。
【0057】
そしてフォトダイオード17a、17b、17c……の並設方向位置、つまりは入射角θと、差動アンプ18a、18b、18c……の出力I´(反射光強度Iの微分値)との関係は、同図(3)に示すようなものとなる。
【0058】
信号処理部20は、A/D変換器24から入力された微分値I´の値に基づいて、差動アンプ18a、18b、18c……の中から、全反射減衰角θSPに対応する微分値I´=0に最も近い出力が得られているもの、すなわち全反射減衰角θSPを検出したフォトダイオードを含むように接続された作動アンプを選択する。図10の例では、全反射減衰角θSPを検出したフォトダイオード17eとこのフォトダイオード17eに隣接するフォトダイオード17dとに接続された差動アンプ18dが選択される。次に、選択した差動アンプを中心として前後2ch分の合計5chの作動アンプの出力(図10の例では差動アンプ18b〜18f)に基づいて図11に示すような3次の近似式Eを算出する。
【0059】
ここで近似式について説明する。図11は作動アンプの出力(微分値)と全反射減衰角θSP(暗線)の位置との関係を示すグラフである。なお、縦軸を差動アンプの出力電圧(V)、横軸を全反射減衰角θSPの位置(RU)としている。この図に示す通り、作動アンプの出力(微分値)と全反射減衰角θSP(暗線)の位置との関係は1次の式では正確に反映させることができず、3次の式に近似させることによりこれらの関係をより正確に反映させることができる。なお、5chの作動アンプの出力から3次の近似式を求める方法については、例えば最小二乗法を用いる等、どのような方法を用いてもよい。
【0060】
上記のようにして得た近似式Eを作動アンプの出力(微分値)と全反射減衰角θSP(暗線)の位置との関係を示す関係式Eとして、この関係式Eと上記で微分値I´=0に最も近い出力が得られているものとして選択した作動アンプ(本実施の形態においては作動アンプ18d)の出力とに基づいて全反射減衰角θSPの位置を求め、その結果を表示部21に表示させる。
【0061】
以後、所定時間が経過する毎に上記の処理が行われて、全反射減衰角θSP、すなわち暗線の位置の経時変化が表示部21に表示される。図12にその表示例を示す。図12は全反射減衰角θSP(暗線)の位置の経時変化を示すグラフである。なお、縦軸を全反射減衰角θSPの位置(RU)、横軸を時間(t)としている。
【0062】
グラフ中の補正前のデータライン(点線)に示す通り、暗線が移動することによって暗線を検出している作動アンプが変わった場合、作動アンプに接続されているフォトダイオードの感度誤差等によって、作動アンプの切り替わり部分において測定データが綺麗に連続しないことがある。そのため、暗線の位置の経時変化を求める場合には、複数の測定で得られたデータの移動平均を求めることにより、グラフ中の補正後のデータライン(実線)に示す通り、フォトダイオードの感度誤差等に起因する測定誤差を吸収してより正確に暗線の位置を算出することが可能となる。なお、移動平均を算出する場合のデータの数については特に限定はなく、何点のデータから算出してもよい。また、算出するデータ群についても、ある位置においてその位置から前のデータのみから算出したり、または、ある位置においてその位置の前後のデータから算出する等、どのような態様としてもよい。
【0063】
本実施形態では検出領域において、バッファー72に含まれるアナライトがリガンド73と結合する特定物質であれば、リガンド73とアナライトとの結合状態に応じてリガンド73の屈折率が変化するので、暗線の位置を測定し続けることにより、アナライトがリガンド73と結合する特定物質であるか否かを検出することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態においては、リファレンス法を行うべく検出領域と参照領域の2つの領域を有し、この2つの領域の測定を同時に行っているため、リガンド73の変形により生じた誤差を校正した結果に対して、さらにリファレンス法によりバッファー73の温度変化や、光源変動等の外乱による誤差を校正することができる。
【0065】
本実施の形態においては、5ch分の作動アンプの出力に基づいて3次の近似式を算出したが、特にこれに限定されるものではなく、3次の近似式を算出する場合には少なくとも4つの値があればよいため、4ch分以上であれば何ch分の作動アンプの出力に基づいて3次の近似式を算出してもよい。
【0066】
また、金属膜55上の参照領域には何も固定していないが、参照領域はバッファー72中のアナライトと結合しない機能を有している方が好ましい。そのような態様とするためには、例えばアルキルチオール、アミノアルコールまたはアミノエーテル等を金属膜55上に固定すればよい。また、リガンド固定機能のない有機膜や、測定に用いるアナライトと反応しないことが分かっているタンパク質を参照面として使ってもよい。
【0067】
また、測定装置については、複数の表面プラズモン測定系により測定ユニットに設けられた全ての流路に対して同時に測定を行う態様に限定されるものではなく、一つの表面プラズモン測定系のみを備え、測定ユニットの位置を測定系に対して相対的に移動させることによって測定ユニットに設けられた複数の流路の測定を順次行う態様としてもよい。
【0068】
次に、図13を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なおこの図13において、図3中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。この第2の実施の形態の測定ユニットは漏洩モードセンサーに対応したものであり、測定系は第1の実施の形態の表面プラズモンセンサーと同じ構成である。
【0069】
この測定ユニット10´の誘電体ブロック50の一面(図中の上面)には薄膜層としてのクラッド層56および光導波層57が順に積層されている。誘電体ブロック50は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層56は、誘電体ブロック50よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層57は、クラッド層56よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層56の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層57の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
【0070】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、レーザ光源14から出射した光ビーム13を誘電体ブロック50を通してクラッド層56に対して全反射角以上の入射角で入射させると、光ビーム13が誘電体ブロック50とクラッド層56との界面50fおよび50gで全反射するが、クラッド層56を透過して光導波層57に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層57を導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層57に取り込まれるので、上記界面50fおよび50gで全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
【0071】
光導波層57における導波光の波数は、該光導波層57の上のバッファー72もしくはリガンド73の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、バッファー72もしくはリガンド73の屈折率を知ることができる。また、差動アンプアレイ18の各差動アンプが出力する微分値I´に基づいてリガンド73とバッファー72の中の被検体との結合状態の変化の様子を調べることができる。
【0072】
上記第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施の形態による表面プラズモンセンサーの概略構成を示す平面図
【図2】上記表面プラズモンセンサーの測定系の平面図
【図3】上記表面プラズモンセンサーの測定系の側面図
【図4】上記表面プラズモンセンサーの測定ユニットの斜視図
【図5】上記測定ユニットの分解斜視図
【図6】上記測定ユニットの上面図
【図7】図6中のVII−VII線断面図
【図8】図2中のVIII−VIII線断面図
【図9】上記表面プラズモンセンサーの測定系の電気的構成を示すブロック図
【図10】上記表面プラズモンセンサーの測定系における光ビーム入射角と検出光強度との関係、並びに光ビーム入射角と光強度検出信号の微分値との関係を示す概略図
【図11】作動アンプの出力(微分値)と全反射減衰角θSP(暗線)の位置との関係を示すグラフ
【図12】全反射減衰角θSP(暗線)の位置の経時変化を示すグラフ
【図13】本発明の第2の実施の形態による漏洩モードセンサーの測定系の側面図
【符号の説明】
【0074】
10 測定ユニット
13 光ビーム
14 レーザ光源
15 光学系
16 コリメーターレンズ
17 フォトダイオードアレイ
17a、17b、17c…… フォトダイオード
18 差動アンプアレイ
18a、18b、18c…… 差動アンプ
19 ドライバ
20 信号処理部
21 表示部
22a、22b、22c…… サンプルホールド回路
23 マルチプレクサ
24 A/D変換器
25 駆動回路
26 コントローラ
50 誘電体ブロック
51 流路部材
52 保持部材
53 両面テープ
54 蒸発防止部材
55 金属膜
56 クラッド層
57 光動波層
60 流路
61 入口
62 供給路
63 測定部
64 排出路
65 出口
70、71 ピペット
72 液体試料
73 リガンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを薄膜層が形成された誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させ、
複数の受光素子が所定方向に並設されてなる光検出手段により、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光するようして検出し、
前記光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の並設方向に関して微分し、
該微分した微分値の中から、前記界面での反射光強度が極小値となる暗線を検出した受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を特定し、該微分値および前記暗線の位置と微分値との関係を示す関係式に基づいて前記暗線の位置を求める測定方法において、
前記暗線を検出した受光素子を含む互いに隣接する少なくとも5つの受光素子から得られる4つの微分値に基づいて算出した3次の近似式を前記関係式とすることを特徴とする測定方法。
【請求項2】
前記暗線の位置を複数回測定し、これらの移動平均に基づいて暗線位置の経時変化を求めることを特徴とする請求項1記載の測定方法。
【請求項3】
薄膜層が形成された誘電体ブロック、および前記薄膜層上に試料を保持する試料保持機構を備えた測定ユニットと、
光ビームを発生させる光源と、
前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる入射光学系と、
複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設された光検出手段と、
該光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の並設方向に関して微分する微分手段と、
該微分手段により微分された微分値の中から、前記界面での反射光強度が極小値となる暗線を検出した受光素子の出力を微分する対象に含む微分値を特定し、該微分値および前記暗線の位置と微分値との関係を示す関係式に基づいて前記暗線の位置を求める演算手段とを備えてなる測定装置において、
前記演算手段が、前記暗線を検出した受光素子を含む互いに隣接する少なくとも5つの受光素子から得られる4つの微分値に基づいて算出した3次の近似式を前記関係式とするものであることを特徴とする測定装置。
【請求項4】
前記演算手段が、前記暗線の位置を複数回測定し、これらの移動平均に基づいて暗線位置の経時変化を求めるものであることを特徴とする請求項3記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−200922(P2006−200922A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10324(P2005−10324)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】