説明

湿度センサモジュールおよび湿度センサの実装構造

【課題】 湿度センサを回路基板へ実装するにあたって、他部品と一括して容易に実装できるようにする。
【解決手段】 基板10の一面11側にセンシング部70を有してなる湿度センサ100と、湿度センサ100と電気的に接続される回路基板400とを備え、回路基板400には、基板厚さ方向に貫通する基板貫通穴440が形成され、湿度センサ100は、基板10の一面11を回路基板400に対向させつつ、基板貫通穴440を覆うように、回路基板400上に搭載され、湿度センサ100においては、センシング部70が基板貫通穴440に臨んでおり、基板貫通穴440の周囲にて基板10と回路基板400とが導電性接合部材410を介して電気的に接続されていることを特徴とする湿度センサの実装構造を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度センサをケースに一体化してなる湿度センサモジュールおよび湿度センサを回路基板に実装してなる湿度センサの実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の湿度センサとしては、一般的に、半導体やセラミックなどの基板により構成され、この基板の一面側に電極や感湿膜などからなるセンシング部を設けてなるものが知られている。
【0003】
このような湿度センサは、たとえば、自動車のオートエアコンシステムに組み込まれ、車室内の湿度を検出するものとして適用される。この場合、たとえば、検出された車室内湿度に基づいて送風状態を調整することにより、フロントガラスの曇り防止を行うことができる。
【0004】
この湿度センサは、通常、回路基板に実装して用いられる。そして、湿度センサからの出力信号は、当該回路基板にて適宜処理され、処理された信号に基づいて統合システムにおける制御などが行われるようになっている。
【0005】
一方、従来では、湿度センサを外部と接続可能な構成として、湿度センサにリード線を接続した構成、たとえばリード線を有するコネクタおよびケースに湿度センサを一体化させたモジュールが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、このようなリード線を組み込んだセンサモジュールを、回路基板に実装しようとすると、実際には、回路基板にリード線の挿入孔を設けたり、長いリード線を折り曲げて搭載を行ったり、リード線にさらに別の配線部材を接続した上で搭載を行ったりするなどの必要がある。
【特許文献1】特開2002−267626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、回路基板上への部品などの実装においては、表面実装部品(SMD、Surface Mounted Devices)が主流となってきており、湿度センサについても、抵抗やコンデンサなどの他の電子部品と同時に、はんだや導電性接着剤などの導電性接合部材により搭載して接続できることが、望まれている。
【0008】
しかしながら、上記従来のリード線付きの湿度センサモジュールでは、上述したような手間を経て回路基板へ実装するため、表面実装を行うことは困難であり、また、取り扱いも不便であった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑み、湿度センサを回路基板へ実装するにあたって、他部品と一括して容易に実装できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、一面(11)側にセンシング部(70)が設けられた基板(10)を有してなる湿度センサ(100)と、外部接続可能な端子(210)を表面に有するケース(200)とを備え、湿度センサ(100)は、ケース(200)の内面と基板(10)の一面(11)とを対向させた状態でケース(200)に収納されるとともに、ケース(200)内にて端子(210)と電気的に接続されており、ケース(200)におけるセンシング部(70)と対向する部位には、ケース(200)の内外を連通する貫通穴(230)が設けられていることを特徴とする湿度センサモジュールを提供するものである。
【0011】
それによれば、外部接続可能な端子(210)をケース(200)の表面に設けたものとし、このケース(200)に湿度センサ(100)を収納しているため、このケース(200)を回路基板(400)上にはんだなどの導電性接合部材(410)を介して搭載するだけで、本湿度センサモジュール(300)は、その端子(210)において当該導電性接合部材(410)による接続が可能となる。つまり、本湿度センサモジュール(300)は、表面実装部品として構成することができる。
【0012】
また、本発明では、ケース(200)の内面と、湿度センサ(100)におけるセンシング部(70)が設けられている基板(10)の一面(11)と、を対向させ、ケース(200)におけるセンシング部(70)と対向する部位に、貫通穴(230)を設けている。
【0013】
そのため、この貫通穴(230)からセンシング部(70)が、外部測定環境に臨んだ状態となり、湿度センサ(100)による適切な湿度検出が可能となる。
【0014】
以上のように、本発明の湿度センサモジュール(300)によれば、湿度センサ(100)を回路基板(400)へ実装するにあたって、他部品(420、430)と一括して容易に実装することができる。
【0015】
ここで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の湿度センサモジュールにおいて、端子(210)は、ケース(200)にインサート成形されることにより一体化されたものであることを特徴としている。
【0016】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の湿度センサモジュールにおいて、湿度センサ(100)は、感湿膜(20)を備え、この感湿膜(20)を挟む電極(41、42)間の容量変化に基づいて湿度を検出する容量式のものであることを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明では、一面(11)側にセンシング部(70)が設けられた基板(10)を有してなる湿度センサ(100)をケース(200)に組み込んで湿度センサモジュール(300)とし、この湿度センサモジュール(300)を回路基板(400)上に実装してなる湿度センサ(100)の実装構造であって、次のような特徴点を有するものである。
【0018】
すなわち、本実装構造においては、ケース(200)は、外部接続可能な端子(210)を表面に有するものであり、湿度センサ(100)は、ケース(200)の内面と基板(10)の一面(11)とを対向させた状態でケース(200)に収納されるとともに、ケース(200)内にて端子(210)と電気的に接続されており、ケース(200)におけるセンシング部(70)と対向する部位には、ケース(200)の内外を連通する貫通穴(230)が設けられており、ケース(200)の端子(210)と回路基板(400)とは、導電性接合部材(410)を介して電気的に接続されていることを特徴としている。
【0019】
本発明は、請求項1に記載の湿度センサモジュール(300)を回路基板(400)に実装することにより形成される実装構造を提供するものであり、その効果は、上記請求項1に記載の発明と同様である。
【0020】
つまり、本発明の湿度センサの実装構造によっても、湿度センサ(100)を回路基板(400)へ実装するにあたって、他部品(420、430)と一括して容易に実装することができる。
【0021】
ここで、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の湿度センサの実装構造において、ケース(200)における貫通穴(230)は、ケース(200)のうち回路基板(400)と対向する部位に設けられていることを特徴としている。
【0022】
それによれば、湿度センサモジュール(300)を回路基板(400)上に、はんだや導電性接着剤などの導電性接合部材(410)を介して、搭載するとき、ケース(200)における貫通穴(230)は、下向きになるため、はんだフラックスなどによる湿度センサ(100)の汚染を、極力抑制することができる。
【0023】
さらに、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の湿度センサの実装構造において、回路基板(400)のうちケース(200)における貫通穴(230)と対向する部位には、基板厚さ方向に貫通する基板貫通穴(440)が設けられていることを特徴としている。
【0024】
本発明のように、ケース(200)における貫通穴(230)を、ケース(200)のうち回路基板(400)と対向する部位に設けた場合、回路基板(400)に基板貫通穴(440)を設ければ、この基板貫通穴(440)からケース(200)における貫通穴(230)を介して、外部の湿度雰囲気が湿度センサ(100)のセンシング部(70)へ導入されやすくなり、好ましい。
【0025】
また、請求項7に記載の発明では、請求項4〜請求項6に記載の湿度センサの実装構造において、端子(210)は、ケース(200)にインサート成形されることにより一体化されたものであることを特徴としている。
【0026】
また、請求項8に記載の発明では、請求項4〜請求項7に記載の湿度センサの実装構造において、湿度センサ(100)は、感湿膜(20)を備え、この感湿膜(20)を挟む電極(41、42)間の容量変化に基づいて湿度を検出する容量式のものであることを特徴としている。
【0027】
請求項9に記載の発明では、基板(10)の一面(11)側にセンシング部(70)を有してなる湿度センサ(100)と、湿度センサ(100)と電気的に接続される回路基板(400)とを備え、回路基板(400)には、基板厚さ方向に貫通する基板貫通穴(440)が形成され、湿度センサ(100)は、基板(10)の一面(11)を回路基板(400)に対向させつつ、基板貫通穴(440)を覆うように、回路基板(400)上に搭載され、湿度センサ(100)においては、センシング部(70)が基板貫通穴(440)に臨んでおり、基板貫通穴(440)の周囲にて基板(10)と回路基板(400)とが導電性接合部材(410)を介して電気的に接続されていることを特徴とする湿度センサの実装構造を提供するものである。
【0028】
本発明では、回路基板(400)上に湿度センサ(100)を、導電性接合部材(410)を介して直に接続した形となっているため、その実装工程は非常に簡便なものにできる。
【0029】
また、本発明では、回路基板(400)のうち湿度センサ(100)のセンシング部(70)と対向する部位に基板貫通穴(440)が設けられているため、この基板貫通穴(440)から外部の湿度雰囲気が湿度センサ(100)のセンシング部(70)へ導入され、湿度の検出が可能になる。
【0030】
よって、本発明の湿度センサの実装構造によれば、湿度センサ(100)を回路基板(400)へ実装するにあたって、他部品(420、430)と一括して容易に実装することができる。
【0031】
また、請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の湿度センサの実装構造において、湿度センサ(100)は、感湿膜(20)を備え、この感湿膜(20)を挟む電極(41、42)間の容量変化に基づいて湿度を検出する容量式のものであることを特徴としている。
【0032】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る湿度センサ100の回路基板400への実装構造を示す概略断面図である。また、図2は、湿度センサ100をその基板10の一面11からみた概略平面図、図3は図2中のA−A断面に沿った概略断面図である。なお、図2中のハッチングは識別のためであり、断面を示すものではない。
【0035】
本実施形態の湿度センサ100は、たとえば、オートエアコンの湿度制御に用いられ室内の湿度を検出したりするセンサや、それ以外にも、たとえば気象観測用として屋外の湿度を検出する等の用途に供される。
【0036】
本実施形態の実装構造は、一面11側にセンシング部60が設けられた基板10を有してなる湿度センサ100をケース200に組み込んで湿度センサモジュール300とし、この湿度センサモジュール300を回路基板400上に実装してなる湿度センサ100の実装構造である。
【0037】
ケース200は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)などの樹脂を成形してなるものである。図1に示されるように、このケース200の表面には、外部接続可能な端子210が設けられている。
【0038】
この端子210は、黄銅や42アロイなどの導電性金属からなり、本実施形態では、ケース200にインサート成形されることによりケース200に一体化されているものである。
【0039】
また、図1に示されるように、端子210は、中間部がケース200に埋設されており、一端側がケース200の表面すなわと外面に露出し、他端側がケース200の内面に露出している。
【0040】
また、ケース200の上端開口部には、ケース200と同様の樹脂から形成されるカバー220が接着や溶着あるいはネジ締めなどの手段により取り付けられ、当該上端開口部は、このカバー220により被覆され遮蔽されている。
【0041】
そして、図1に示されるように、湿度センサ100は、ケース200の内面と基板10の一面11とを対向させた状態でケース200に収納されている。
【0042】
また、湿度センサ100は、ケース200内にて端子210と電気的に接続されている。具体的には、端子210のうちケース200の内面に露出した露出部と、湿度センサ100とが電気的に接続されている。
【0043】
また、図1に示されるように、ケース200におけるセンシング部60と対向する部位には、ケース200の内外を連通する貫通穴230が設けられている。そして、この貫通穴230を介して、湿度センサ100のセンシング部60は、ケース200の外部に臨んでいる。
【0044】
このように、本実施形態の湿度センサモジュール300は、一面11側にセンシング部60が設けられた基板10を有してなる湿度センサ100と、外部接続可能な端子210を表面に有するケース200とを備え、湿度センサ100は、ケース100の内面と基板10の一面11とを対向させた状態でケース200に収納されるとともに、ケース200内にて端子210と電気的に接続されており、ケース200におけるセンシング部60と対向する部位には、ケース200の内外を連通する貫通穴230が設けられている構成となっている。
【0045】
そして、図1に示されるように、この湿度センサモジュール300は回路基板400上に実装されている。具体的には、ケース200の端子210と回路基板400とは、はんだや導電性接着剤あるいは銀ペーストなどの導電性接合部材410を介して電気的に接続されている。
【0046】
ここで、回路基板400としては、プリント基板やセラミック基板など、一般的な回路基板を採用することができる。また、回路基板400は、単層基板であってもよいし、積層基板であってもよい。
【0047】
また、この回路基板400上には、抵抗420やコンデンサ430などの他の部品420、430が、湿度センサモジュール300と同様に、導電性接合部材410を介して搭載されている。こうして、回路基板400上には、湿度センサモジュール300および他の部品420、430が表面実装されている。
【0048】
また、本実施形態では、図1に示されるように、ケース200における貫通穴230は、ケース200のうち回路基板400と対向する部位に設けられている。そして、回路基板400のうちケース200における貫通穴230と対向する部位には、基板厚さ方向に貫通する基板貫通穴440が設けられている。
【0049】
次に、図2、図3を参照して、湿度センサ100の詳細を述べる。湿度センサ100は、基板10を有し、この基板10の一面11側には、湿度に応じて容量値が変化する感湿膜20が設けられている。
【0050】
本例の湿度センサ100は、基板10として半導体基板としてのN型のシリコン基板10を採用し、このシリコン基板10の一面11側に、各種の膜、電極、素子等を形成することにより構成されている容量式タイプの湿度センサである。。
【0051】
図3に示されるように、このシリコン基板10の一面11の上には、シリコン酸化膜(第1の絶縁膜)30が形成されており、シリコン酸化膜30の上には、同一平面上にて離間して対向するように2個のセンシング電極41、42が形成されている。
【0052】
このセンシング電極41、42は、感湿膜20の容量値変化を検出するためのものであり、形状は特に限定されないが、本例では、各センシング電極41、42は互いに櫛歯状をなし、互いの櫛歯部が噛み合って対向したものである。
【0053】
このような櫛歯状の電極構成を採用することにより、電極の配置面積を極力小さくしつつ、2個のセンシング電極41、42間の対向面積を大きくすることができ、電極間の容量値を稼ぐことができる。
【0054】
ここで、センシング電極41、42としては、AlまたはAl合金を主成分とする材料(例えばAlにSiを微量(例えば0.数%程度)含有させたAl−Si)よりなるものを採用でき、その他、Ti、Au、Cu、Poly−Si等の通常の半導体製造ラインで使用可能な材料を採用することができる。本例では、両センシング電極41、42はAl−Siより構成している。
【0055】
これら2個のセンシング電極41、42の上には、保護膜としてのシリコン窒化膜(第2の絶縁膜)50が形成されている。
【0056】
本例では、シリコン窒化膜50は、両センシング電極41、42および両センシング電極41、42の間(櫛歯の間)を覆っている。なお、シリコン窒化膜50は、少なくとも両センシング電極41、42を覆っていればよく、センシング電極41、42の間には存在していなくともよい。
【0057】
シリコン窒化膜50の上には、両センシング電極41、42および両センシング電極41、42の間を覆うように、上記感湿膜20が形成されている。この感湿膜20としては、たとえば、吸湿性の高分子有機材料よりなるものを採用することができ、より具体的には、ポリイミドや酪酸酢酸セルロースなど(本例では、ポリイミド)を用いることができる。
【0058】
そして、上記したケース200の貫通穴230を介して測定環境に露出する感湿膜20において、膜中に水分子が侵入すると、水分子は誘電率が大きいので侵入した水分量に応じて感湿膜20の誘電率も大きく変化し、結果、両センシング電極41、42間の容量値も変化するようになっている。
【0059】
ここで、シリコン基板10の一面11側において、感湿膜20が配置されている領域が、感湿部としてのセンシング部60として構成されている。
【0060】
したがって、センシング部60においては、センサ100の周囲の湿度変化に応じて2個のセンシング電極41、42間の容量値が変化するため、この容量値変化に基づいて湿度検出が可能となっている。
【0061】
また、本実施形態の湿度センサ10では、シリコン基板10の一面11側のうちセンシング部60以外の部位(本例では、図2中の破線ハッチング領域に示されるセンシング部60の外周囲)には、周囲の湿度の変化に応じた2個のセンシング電極41、42間の容量値の変化(センシング電極からの信号)を、信号処理するための回路素子部70が形成されている。
【0062】
この回路素子部70は、図3に示される断面図では、C−MOSトランジスタ71として表されている。ここで、72はC−MOSトランジスタ71におけるPoly−Siよりなるゲート電極73は、ソース、ドレインと導通するAlよりなる配線電極として構成されている。
【0063】
なお、回路素子部70には、上記したC−MOSトランジスタ71以外の回路素子(例えば、Bi−CMOSトランジスタなどの素子)が形成されていてもよいことはもちろんである。
【0064】
この配線電極73に代表される回路素子部70の電極も、センシング電極41、42と同様に、保護膜としてのシリコン窒化膜50にて被覆されており、また、センシング電極41、42と同様の材料を採用して形成することができる。
【0065】
ここで、回路素子部70とセンシング電極41、42とは、電気的に接続されて、たとえばスイッチドキャパシタ回路を構成しており、周囲の湿度変化に応じて変化する両センシング電極41、42間の容量変化を、電圧に変換して出力することにより、湿度を検出することができるようになっている。
【0066】
また、湿度センサ100において、シリコン基板10の一面11側において、シリコン基板10の周辺部には、バンプ80が設けられている。このバンプ80は、半田、Au、Cu等よりなるものにできるが、本例では、半田バンプを採用している。
【0067】
バンプ80は、図3に示されるように、シリコン窒化膜50に形成された開口部を介して、回路素子部70の電極73と電気的に接続されている。つまり、センシング電極41、42とバンプ(接続用電極)80とは、回路素子部70の電極73を介して電気的に接続されている。
【0068】
上述したように、端子210のうちケース200の内面に露出した露出部と、湿度センサ100とが電気的に接続されている(図1参照)。この端子210と湿度センサ100との電気的接続の詳細構成は、図3に示される。
【0069】
図3に示されるように、バンプ80は、ケース200の端子210と、はんだ接続により電気的に接続されている。また、Auからなどからなるバンプ80の場合、さらにはんだや導電性接着剤などを介して湿度センサ100と端子210とを電気的に接続するようにしてもよい。
【0070】
ここで、上記した本例の湿度センサ100の製造方法について、図3を参照して述べる。本例の湿度センサ100は、通常行われている半導体プロセスを用いて製造することができる。
【0071】
まず、通常のイオン注入、熱拡散工程にて、シリコン基板10の一面11に、回路素子部70を構成するための拡散層および熱酸化膜等を形成する。その上に、CVD法等にて、Poly−Siの各電極72、ソース、ドレインの拡散層を通常のイオン注入、熱拡散工程にて形成する。こうして、回路素子部70が形成される。
【0072】
続いて、シリコン酸化膜30をCVD法等にて形成する。さらに、回路素子部70と回路素子部70の配線電極73との導通をとるためのコンタクトホールを、シリコン酸化膜30にフォトリソグラフ法を用いたエッチングにより形成する。
【0073】
次に、回路素子部70の配線電極73および湿度変化検出用の2個のセンシング電極41、42を、Al等を用いてスパッタ法や蒸着法等にて形成する。その上に、シリコン窒化膜(保護膜)50をプラズマCVD法等にて形成する。
【0074】
続いて、回路素子部70の配線電極73とバンプ80とをつなぐ部位(パッド部)に位置するシリコン窒化膜50を、フォトリソグラフ法を用いたエッチングにより除去する。そして、めっきや蒸着法等によりバンプ80を形成し、バンプ80と回路素子部70の配線電極73とを接続する。
【0075】
次に、シリコン窒化膜50の上に、ポリイミドをスピンコート法にて塗布した後硬化させフォトエッチする方法や、印刷法にて塗布した後硬化させる方法を用いることにより、感湿膜20を形成する。
【0076】
このように、上記製造方法によれば、感湿膜20を形成する前までは、通常の半導体製造ラインを用いて、図2、図3に示される湿度センサ100を適切に完成させることができる。
【0077】
そして、できあがった湿度センサ100を、バンプ80とケース200の内面に露出する端子210とが接触するように、ケース200の上端開口部からケース200内に投入し、加熱して半田よりなるバンプ80をリフローさせる等により、バンプ80と端子210とを接合する。
【0078】
次に、カバー220をケース200に取り付けることにより、湿度センサモジュール300が完成する。
【0079】
そして、この湿度センサモジュール300、および他の部品420、430を導電性接合部材410を介して回路基板400上に搭載し、はんだリフローや導電性接着剤の硬化などを行うことにより、回路基板400に接合する。こうして、図1に示される実装構造ができあがる。
【0080】
ところで、本実施形態によれば、一面11側にセンシング部70が設けられた基板10を有してなる湿度センサ100と、外部接続可能な端子210を表面に有するケース200とを備え、湿度センサ100は、ケース200の内面と基板10の一面11とを対向させた状態でケース200に収納されるとともに、ケース200内にて端子210と電気的に接続されており、ケース200におけるセンシング部70と対向する部位には、ケース200の内外を連通する貫通穴230が設けられていることを特徴とする湿度センサモジュール300が提供される。
【0081】
それによれば、外部接続可能な端子210をケース200の表面に設けたものとし、このケース200に湿度センサ100を収納しているため、このケース200を回路基板400上にはんだなどの導電性接合部材410を介して搭載するだけで、本湿度センサモジュール300の端子210において導電性接合部材410による接続が可能となる。つまり、本湿度センサモジュール300は、表面実装部品として構成することができる。
【0082】
また、本湿度センサモジュール300では、ケース200の内面と、湿度センサ100におけるセンシング部70が設けられている基板10の一面11と、を対向させ、ケース200におけるセンシング部70と対向する部位に、貫通穴230を設けている。
【0083】
そのため、この貫通穴230からセンシング部70が、外部測定環境に臨んだ状態となり、湿度センサ100による適切な湿度検出が可能となる。
【0084】
以上のように、本実施形態の湿度センサモジュール300によれば、湿度センサ100を回路基板400へ実装するにあたって、他部品420、430と一括して容易に実装することができる。
【0085】
また、本例では、上記図2、図3に示されるように、湿度センサ100を、感湿膜20を備え、この感湿膜20を挟む電極41、42間の容量変化に基づいて湿度を検出する容量式のものとしている。
【0086】
本実施形態における湿度センサ100は、感湿膜20を挟む電極41、42間の抵抗変化に基づいて湿度を検出する抵抗式のものであってもよいが、容量式とすることにより、より精度のよい湿度検出が可能になる。
【0087】
また、本実施形態によれば、上記図1に示されるように、一面11側にセンシング部70が設けられた基板10を有してなる湿度センサ100をケース200に組み込んで湿度センサモジュール300とし、この湿度センサモジュール300を回路基板400上に実装してなる湿度センサ100の実装構造が提供される。
【0088】
そして、この実装構造においても、上記湿度センサモジュール300に備えられた特徴点、すなわち、ケース200は、外部接続可能な端子210を表面に有すること、湿度センサ100は、ケース200の内面と基板10の一面11とを対向させた状態でケース200に収納されるとともに、ケース200内にて端子210と電気的に接続されていること、ケース200におけるセンシング部70と対向する部位に、ケース200の内外を連通する貫通穴230が設けられていること、これら特徴点が備えられている。
【0089】
また、本実装構造においては、ケース200の端子210と回路基板400とは、導電性接合部材410を介して電気的に接続されていることも特徴点である。
【0090】
本実装構造は、本実施形態における上記特徴点を備えた湿度センサモジュール300を回路基板400に実装することにより形成される実装構造を提供するものであり、その効果は、上記した湿度センサモジュール300による効果と同様である。
【0091】
つまり、本実施形態の湿度センサの実装構造によっても、湿度センサ100を回路基板400へ実装するにあたって、他部品420、430と一括して容易に実装することができる。
【0092】
特に、本実施形態の実装構造では、図1に示されるように、ケース200における貫通穴230は、ケース200のうち回路基板400と対向する部位に設けられていることも特徴点である。
【0093】
それによれば、湿度センサモジュール300を回路基板400上に、はんだや導電性接着剤などの導電性接合部材410を介して、搭載するとき、ケース200における貫通穴230は、下向きになるため、はんだフラックスなどによる湿度センサ100の汚染を、極力抑制することができる。
【0094】
さらに、本実施形態の実装構造では、図1に示されるように、回路基板400のうちケース200における貫通穴230と対向する部位に、基板厚さ方向に貫通する基板貫通穴440が設けられていることも特徴点である。
【0095】
本実施形態の実装構造のように、ケース200における貫通穴230を、ケース200のうち回路基板400と対向する部位に設けた場合、回路基板400に上記基板貫通穴440を設ければ、この基板貫通穴440からケース200における貫通穴230を介して、外部の湿度雰囲気が湿度センサ100のセンシング部70へ導入されやすくなり、好ましい。なお、この基板貫通穴440は無いものであってもよい。
【0096】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る湿度センサ100の回路基板400への実装構造を示す概略断面図である。上記実施形態との相違点を中心に述べる。
【0097】
上記第1実施形態では、ケース200における貫通穴230を、ケース200のうち回路基板400と対向する部位に設けていたが、本実施形態では、図4に示されるように、ケース200における貫通穴230を、ケース200のうち回路基板400と対向しない部位に設けたものである。この場合、回路基板400には上記基板貫通穴は無いものとできる。
【0098】
具体的には、上記図1に示される湿度センサモジュール300において、ケース200の側面に設けられている端子210を、回路基板400との接続に用いている。
【0099】
ここで、図示しないが、本実施形態において、一端側がケース200の側面に露出している端子210については、中間部がケース200に埋設されつつ他端側が、ケース200における貫通穴230が設けられた内面に露出するように引き出されている。このことは、ケース200にインサート成形される端子210の形状を変えることにより容易に実現できる。
【0100】
そして、本実施形態においても、端子210の上記露出部と湿度センサ100とが電気的に接続されている。この接続形態は、上記図3に示されるようなバンプ80を用いた例と同じようなものにすることができる。
【0101】
このように、本実施形態では、湿度センサの実装構造において、湿度センサモジュール300の実装形態を変形したものであり、その効果は、上記第1実施形態にて述べた湿度センサの実装構造の効果と同様である。
【0102】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る湿度センサ100の回路基板400への実装構造を示す概略断面図である。上記実施形態との相違点を中心に述べる。
【0103】
上記実施形態における実装構造では、湿度センサ100をケース200に組み込んで湿度センサモジュール300とし、この湿度センサモジュール300を回路基板400上に実装してなるものとしていたが、本実施形態の実装構造は、ケース200を介さずに湿度センサ100を直に回路基板400に実装したものである。
【0104】
すなわち、本実施形態によれば、基板10の一面11側にセンシング部70を有してなる湿度センサ100と、湿度センサ100と電気的に接続される回路基板400とを備え、回路基板400には、基板厚さ方向に貫通する基板貫通穴440が形成され、湿度センサ100は、基板10の一面11を回路基板400に対向させつつ、基板貫通穴440を覆うように、回路基板400上に搭載され、湿度センサ100においては、センシング部70が基板貫通穴440に臨んでおり、基板貫通穴440の周囲にて基板10と回路基板400とが導電性接合部材410を介して電気的に接続されていることを特徴とする湿度センサの実装構造が提供される。
【0105】
本実施形態の実装構造では、回路基板400上に湿度センサ100を、導電性接合部材410を介して直に接続した形となっているため、その実装工程は非常に簡便なものにできる。
【0106】
また、本実施形態の実装構造では、回路基板400のうち湿度センサ100のセンシング部70と対向する部位に基板貫通穴440が設けられているため、この基板貫通穴440から外部の湿度雰囲気が湿度センサ100のセンシング部70へ導入され、湿度の検出が可能になる。
【0107】
よって、本実施形態の湿度センサの実装構造によれば、湿度センサ100を回路基板400へ実装するにあたって、他部品420、430と一括して容易に実装することができる。
【0108】
また、本実装構造によれば、湿度センサ100を回路基板400に直に付けているため、上記のケース200が不要になり、組付けの手間の減少やコストダウンを期待にすることができる。
【0109】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態に係る湿度センサ100のフロントガラス500への実装構造を示す概略断面図である。
【0110】
上記実施形態に示されるような湿度センサモジュール300は、回路基板400上に実装すること以外にも、回路基板400に代えて、応用例として、たとえば図5に示されるようなフロントガラス500に取り付けられて用いられる。
【0111】
図6に示される例では、端子210とフロントガラス500との接続は接着などにより、行うことができる。そして、フロントガラス500には、図示しない配線が設けられ、この配線と湿度センサ200とが、端子210を介するなどにより、電気的に接続されている。
【0112】
(他の実施形態)
なお、湿度センサとしては、上記図2、図3に示されるような容量式の構成、あるいは上記抵抗式のものに限定されるものではなく、一面側にセンシング部が設けられた基板を有してなるものであれば、採用が可能である。
【0113】
また、上記実施形態では、端子210は、ケース200にインサート成形されることにより一体化されたものであるが、端子210はケース200に接着などにより一体化されたものであってもよい。また、ケース200は、樹脂などの成形体でなくてもよく、たとえば金属やセラミックなどであってもよい。
【0114】
また、上記した実施形態では、ケース200に設けられた端子210は、ケース200の表面側から内面へ露出し、表面側にて回路基板400に接続され、内面側の露出部にて湿度センサ100と接続されているが、端子210の構成はこれに限定されるものではない。
【0115】
それ以外にも、たとえば、ケース200の内面に導体配線を設けるとともに、ケース200の表面から内面へ貫通するスルーホールを設け、ケース200の表面に位置する端子と内面側に位置する上記導体配線とを、上記スルーホールを介して電気的に接続させた構成としてもよい。この場合、湿度センサ100は、当該導体配線に電気的に接続すればよい。
【0116】
要するに、本発明は、一面11側にセンシング部70が設けられた基板10を有してなる湿度センサ100と、外部接続可能な端子210を表面に有するケース200とを備え、湿度センサ100を、ケース200の内面と基板10の一面11とを対向させた状態でケース200に収納するとともに、ケース200内にて端子210と電気的に接続し、ケース200におけるセンシング部70と対向する部位に、ケース200の内外を連通する貫通穴230を設けたこと要部とする湿度センサモジュールおよびこの湿度センサモジュールを用いた実装構造、さらには、湿度センサ100をフェースダウンで回路基板400に実装する実装構造を要部とするものであり、その他の部分については、適宜設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の第1実施形態に係る湿度センサの回路基板への実装構造を示す概略断面図である。
【図2】図1に示される湿度センサをその基板の一面からみた概略平面図である。
【図3】図2中のA−A断面に沿った概略断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る湿度センサの回路基板への実装構造を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る湿度センサの回路基板への実装構造を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る湿度センサのフロントガラスへの実装構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0118】
10…基板としてのシリコン基板、11…基板の一面、20…感湿膜、
41、42…センシング電極、70…センシング部、100…湿度センサ、
200…ケース、210…端子、230…ケースの貫通穴、
300…湿度センサモジュール、400…回路基板、410…導電性接合部材、
440…基板貫通穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面(11)側にセンシング部(70)が設けられた基板(10)を有してなる湿度センサ(100)と、
外部接続可能な端子(210)を表面に有するケース(200)とを備え、
前記湿度センサ(100)は、前記ケース(200)の内面と前記基板(10)の前記一面(11)とを対向させた状態で前記ケース(200)に収納されるとともに、前記ケース(200)内にて前記端子(210)と電気的に接続されており、
前記ケース(200)における前記センシング部(70)と対向する部位には、前記ケース(200)の内外を連通する貫通穴(230)が設けられていることを特徴とする湿度センサモジュール。
【請求項2】
前記端子(210)は、前記ケース(200)にインサート成形されることにより一体化されたものであることを特徴とする請求項1に記載の湿度センサモジュール。
【請求項3】
前記湿度センサ(100)は、感湿膜(20)を備え、この感湿膜(20)を挟む電極(41、42)間の容量変化に基づいて湿度を検出する容量式のものであることを特徴とする請求項1または2に記載の湿度センサモジュール。
【請求項4】
一面(11)側にセンシング部(70)が設けられた基板(10)を有してなる湿度センサ(100)をケース(200)に組み込んで湿度センサモジュール(300)とし、この湿度センサモジュール(300)を回路基板(400)上に実装してなる湿度センサ(100)の実装構造であって、
前記ケース(200)は、外部接続可能な端子(210)を表面に有するものであり、
前記湿度センサ(100)は、前記ケース(200)の内面と前記基板(10)の前記一面(11)とを対向させた状態で前記ケース(200)に収納されるとともに、前記ケース(200)内にて前記端子(210)と電気的に接続されており、
前記ケース(200)における前記センシング部(70)と対向する部位には、前記ケース(200)の内外を連通する貫通穴(230)が設けられており、
前記ケース(200)の前記端子(210)と前記回路基板(400)とは、導電性接合部材(410)を介して電気的に接続されていることを特徴とする湿度センサの実装構造。
【請求項5】
前記ケース(200)における前記貫通穴(230)は、前記ケース(200)のうち前記回路基板(400)と対向する部位に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の湿度センサの実装構造。
【請求項6】
前記回路基板(400)のうち前記ケース(200)における前記貫通穴(230)と対向する部位には、基板厚さ方向に貫通する基板貫通穴(440)が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の湿度センサの実装構造。
【請求項7】
前記端子(210)は、前記ケース(200)にインサート成形されることにより一体化されたものであることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載の湿度センサの実装構造。
【請求項8】
前記湿度センサ(100)は、感湿膜(20)を備え、この感湿膜(20)を挟む電極(41、42)間の容量変化に基づいて湿度を検出する容量式のものであることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1つに記載の湿度センサの実装構造。
【請求項9】
基板(10)の一面(11)側にセンシング部(70)を有してなる湿度センサ(100)と、
前記湿度センサ(100)と電気的に接続される回路基板(400)とを備え、
前記回路基板(400)には、基板厚さ方向に貫通する基板貫通穴(440)が形成され、
前記湿度センサ(100)は、前記基板(10)の一面(11)を前記回路基板(400)に対向させつつ、前記基板貫通穴(440)を覆うように、前記回路基板(400)上に搭載され、
前記湿度センサ(100)においては、前記センシング部(70)が前記基板貫通穴(440)に臨んでおり、前記基板貫通穴(440)の周囲にて前記基板(10)と前記回路基板(400)とが導電性接合部材(410)を介して電気的に接続されていることを特徴とする湿度センサの実装構造。
【請求項10】
前記湿度センサ(100)は、感湿膜(20)を備え、この感湿膜(20)を挟む電極(41、42)間の容量変化に基づいて湿度を検出する容量式のものであることを特徴とする請求項9に記載の湿度センサの実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−10547(P2006−10547A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189409(P2004−189409)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】