無線ICタグおよびその製造方法
【課題】ICチップ内に圧力センサを内蔵した小型無線ICタグを提供する。
【解決手段】無線ICタグのICチップ103は、シリコン基板層110とその上部のシリコンデバイス層111との間に、膜厚が0.01μm〜5μm程度の薄い酸化シリコン層112を形成したSOI構造を有している。シリコンデバイス層111には、空隙116とその上下に配置された第1メタル配線114および第2メタル配線115とによって、圧力センサの容量素子201が形成されている。容量素子201の下部のシリコン基板層110には、ゴム状弾性体118が充填された開口部117が形成されている。
【解決手段】無線ICタグのICチップ103は、シリコン基板層110とその上部のシリコンデバイス層111との間に、膜厚が0.01μm〜5μm程度の薄い酸化シリコン層112を形成したSOI構造を有している。シリコンデバイス層111には、空隙116とその上下に配置された第1メタル配線114および第2メタル配線115とによって、圧力センサの容量素子201が形成されている。容量素子201の下部のシリコン基板層110には、ゴム状弾性体118が充填された開口部117が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグおよびその製造技術に関し、特に無線ICタグのICチップ内に圧力センサを設けた無線ICタグに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平09−128118号公報(特許文献1)には、無線によって開閉状態を伝えるスイッチ技術が開示されている。特開2000−306188号公報(特許文献2)には、抵抗膜によるブリッジ回路が圧力により特性が変化することを利用して圧力を検出し、その変化をデジタル化して無線で送信するセンサ技術が示されている。特開2003−014572号公報(特許文献3)には、ピエゾ素子により圧力を検出し、その値を無線で送信するセンサ技術が示されている。特開平05−150771号公報(特許文献4)には、グローブの先に圧力センサを装着し、信号線により無線装置に送り、そこから各指の圧力値を無線により送信する技術が示されている。特開2001−228042号公報(特許文献5)には、圧力センサモジュールからの信号を無線で送信する技術が示されている。
【特許文献1】特開平09−128118号公報
【特許文献2】特開2000−306188号公報
【特許文献3】特開2003−014572号公報
【特許文献4】特開平05−150771号公報
【特許文献5】特開2001−228042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開平09−128118号公報(特許文献1)は、無線スイッチ技術であり、圧力値をセンシングしてバッテリレスで無線で信号を送信するための小型化技術については述べられていない。
【0004】
特開2000−306188号公報(特許文献2)に記載された抵抗膜は、半導体チップの外部に形成されており、抵抗膜を半導体チップ内に形成して小型化を図る技術については述べられていない。
【0005】
特開2003−014572号公報(特許文献3)に記載されたピエゾ素子は、半導体チップの外部に形成されており、ピエゾ素子を半導体チップ内に形成して小型化を図る技術については述べられていない。
【0006】
特開平05−150771号公報(特許文献4)の圧力センサは、グローブの指先に信号線が接続されているので、取り扱いが不便であり、小型化を図る技術についても述べられていない。
【0007】
特開2001−228042号公報(特許文献5)には、個別部品を用いて形成した圧力センサの出力を無線で送信する技術が開示されているが、バッテリレスで小型化するための技術については述べられていない。
【0008】
このように、上記従来技術は、半導体チップの内部に圧力センサを形成してワンチップ化、小型化を図る技術については、開示されていない。
【0009】
本発明は、ICチップ内に圧力センサを内蔵した小型無線ICタグを提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
本発明の無線ICタグは、支持基板と、前記支持基板の一面に形成されたアンテナと、前記支持基板に搭載されたICチップと、前記ICチップに内蔵された圧力センサを備えており、前記ICチップは、シリコン基板層とシリコンデバイス層との間に酸化シリコン層を形成したSOI構造を有し、前記圧力センサは、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線とそれらの間に形成された空隙とを備え、外部から前記ICチップに加わる圧力によって前記空隙の容積が変化する容量素子を含んでいる。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0014】
SOI構造のICチップに形成された薄い酸化シリコン層を利用することにより、ICチップに加わるわずかな圧力変動を検出することができるので、外形寸法が0.5mm角以下のICチップに圧力センサを組み込むことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の無線ICタグの全体平面図、図2は、図1に示す無線ICタグのICチップを示す主要部平面図、図3は、図2のA−A線に沿ったICチップの主要部を示す断面図、図4は、ICチップに形成された回路のブロック図である。
【0017】
図1に示すように、無線ICタグ100は、支持基板101と、支持基板101の一面に形成された小型アンテナ102と、支持基板101上に搭載されたICチップ103とで構成されている。ICチップ103は、単結晶シリコンからなり、その主面には、図4に示すような容量素子201、容量検出回路202、ディジタル変換回路203、ROM204および送信回路205が形成されている。
【0018】
ICチップ103のROM204には、無線ICタグ100に固有の認識番号が書き込まれている。容量素子201の容量値は、容量検出回路202によって検出され、電圧、電流、周波数などにアナログ変換された後、ディジタル変換回路203によってディジタル変換される。ROM204に書き込まれた認識番号およびディジタル変換された容量値は、送信回路205に送信され、小型アンテナ102によって外部に無線で送信される。
【0019】
図3に示すように、ICチップ103は、シリコン基板層110とその上部のシリコンデバイス層111との間に、膜厚が0.01μm〜5μm程度の薄い酸化シリコン層112を形成したSOI(Silicon On Insulator)構造を有している。SOI構造のICチップ103は、例えば2枚のシリコンウエハを酸化シリコン膜を挟んで接合する周知の貼り合わせ法によって形成される。
【0020】
図示は省略するが、ICチップ103のシリコンデバイス層111には、前述した容量検出回路202、ディジタル変換回路203、ROM204および送信回路205を構成するMOSトランジスタおよび抵抗素子などが形成されている。また、シリコンデバイス層111の上部には、これらのトランジスタおよび抵抗素子を電気的に接続する配線および層間絶縁膜からなる配線層113が形成されている。SOI構造のICチップ103は、通常のシリコンチップに比べてトランジスタの寄生容量を小さくできるので、トランジスタ同士の間隔を縮小し、ひいてはチップサイズを0.5mm角以下に縮小することができる。
【0021】
図2および図3に示すように、ICチップ103のシリコンデバイス層111には、第1メタル配線114および第2メタル配線115が形成されている。第1メタル配線114は、その一部が酸化シリコン層112と接するように形成されており、第2メタル配線115は、その一部が第1メタル配線114の一部と重なるように配置されている。また、第1メタル配線114と第2メタル配線115との間には空隙116が形成されており、この空隙116と、その上下に配置された第1メタル配線114および第2メタル配線115とによって、容量素子201が形成されている。
【0022】
上記容量素子201の下部のシリコン基板層110には、酸化シリコン層112に達する1μm角〜300μm角程度の開口部117が形成されており、開口部117の内部にはゴム状弾性体118が充填されている。開口部117に充填されたゴム状弾性体118は、外部からICチップ103に加わる圧力を酸化シリコン層112に伝える媒体として機能する。
【0023】
すなわち、ゴム状弾性体118に外部から圧力が加わると、この圧力がゴム状弾性体118の内部を伝って酸化シリコン層112に達する。前述したように、酸化シリコン層112は、その膜厚が極めて薄い(0.01μm〜5μm程度)ので、僅かな圧力が加わっただけでも容易に変形する。そして、酸化シリコン層112が変形すると、酸化シリコン層112と接する第1メタル配線114が変位するので空隙116の容積が変化し、これに伴って容量素子201の容量値が変化する。前述したように、容量値の変化は、容量素子201に接続された容量検出回路202によって検出され、ディジタル変換回路203によってディジタル変換された後、送信回路205に伝達される。このように、容量素子201、酸化シリコン層112およびゴム状弾性体118は、ICチップ103に加わる圧力を検出する圧力センサを構成している。ゴム状弾性体118が充填された開口部117は、この圧力センサの構造を強固にする支持体として機能する。
【0024】
図5に示すように、ICチップ103のROM204に書き込まれた認識番号を読み取る際には、無線ICタグ100にリーダ300を近接させる。このリーダ300には、無線LAN、ブルーツース、携帯電話など、5m〜10km以上離れた遠方とのマイクロ波通信に利用されている高誘電体セラミックアンテナが内蔵されている。この高誘電体セラミックアンテナを通じて無線ICタグ100のICチップ103に電磁波エネルギーを供給すると、ICチップ103が動作を開始し、ROM204に書き込まれた認識番号が小型アンテナ102を通じてリーダ300に無線送信される。
【0025】
一方、図6に示すように、リーダ300を無線ICタグ100に密着させ、ICチップ103のゴム状弾性体118に圧力を加えると、前述したように、容量素子201の容量値が変化する。この容量値の変化は、容量検出回路202、ディジタル変換回路203を経て送信回路205に送信され、小型アンテナ102を通じてリーダ300に無線送信される。これにより、ICチップ103に加わる圧力値がリーダ300によって読み取られる。
【0026】
無線ICタグ100のICチップ103に圧力センサを形成するには、図7に示すように、シリコン基板層110とシリコンデバイス層111との間に酸化シリコン層112を形成したSOI構造の半導体ウエハ120を用意する。そして、まずシリコンデバイス層111に図示しないMOSトランジスタおよび抵抗素子などの半導体素子を形成した後、シリコンデバイス層111の一部をエッチングして溝121を形成し、溝121の底部に酸化シリコン層112を露出させる。
【0027】
次に、図8に示すように、一端が溝121の底部の酸化シリコン層112に接するような第1メタル配線114を形成する。第1メタル配線114を形成するには、シリコンデバイス層111の上部にアルミニウムなどのメタル膜を堆積した後、周知のフォトリソグラフィ技術を用いてこのメタル膜をパターニングする。
【0028】
次に、図9に示すように、溝121の内部にシリコン層122を埋め込む。溝121の内部にシリコン層122を埋め込むには、例えばシリコンデバイス層111の上部に多結晶シリコン膜を堆積した後、溝121の外部の多結晶シリコン膜をエッチバックして除去する。
【0029】
次に、図10に示すように、一端が溝121の上部に延在するような第2メタル配線115を形成する。第2メタル配線115を形成するには、シリコンデバイス層111の上部にアルミニウムなどのメタル膜を堆積した後、周知のフォトリソグラフィ技術を用いてこのメタル膜をパターニングする。
【0030】
次に、図11に示すように、溝121の内部に埋め込んだシリコン層122をウェットエッチングで除去する。シリコン層122をウェットエッチングするには、例えばヒドラジン、アンモニア、水酸化カリウムなどの水溶液を使用する。なお、溝121の内部に埋め込む材料は多結晶シリコン膜に限定されるものではなく、シリコンデバイス層111および酸化シリコン層112に対して充分なエッチング選択比を持った絶縁材料などを使用してもよい。
【0031】
次に、図12に示すように、シリコンデバイス層111の上部に配線層113を形成すると、溝121の内部に空隙116が形成され、この空隙116と、その上下に配置された第1メタル配線114および第2メタル配線115とによって、容量素子201が形成される。なお、第1メタル配線114および第2メタル配線115は、配線層113に配線を形成する工程を利用して形成することもできる。
【0032】
次に、図13に示すように、シリコン基板層110をエッチングして酸化シリコン層112に達する開口部117を形成した後、図14に示すように、開口部117の内部にゴム状弾性体118を充填する。開口部117の内部に充填する材料は、外部からICチップ103に加わる圧力を酸化シリコン層112に伝える媒体として機能できるものであれば、ゴム状弾性体118に限定されない。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、無線ICタグ100の内部に小型で高感度の圧力センサを組み込むことが可能となる。
【0034】
(実施の形態2)
図15は、本実施の形態の無線ICタグに搭載されたICチップを示す主要部平面図、図16は、図15のB−B線に沿ったICチップの主要部を示す断面図である。
【0035】
ICチップ103のシリコンデバイス層111には、第1メタル配線124および第2メタル配線125が形成されている。第1メタル配線124と第2メタル配線125とは対向して配置され、それぞれの一部が酸化シリコン層112と接するように形成されている。第1メタル配線124と第2メタル配線125との間には空隙126が形成されており、この空隙126と、その左右に配置された第1メタル配線124および第2メタル配線125とによって、容量素子211が形成されている。
【0036】
容量素子211の下部のシリコン基板層110には、酸化シリコン層112に達する1μm角〜300μm角程度の開口部117が形成されており、開口部117の内部には、外部からICチップ103に加わる圧力を酸化シリコン層112に伝えるゴム状弾性体118が充填されている。
【0037】
ゴム状弾性体118に外部から圧力が加わると、この圧力がゴム状弾性体118の内部を伝って酸化シリコン層112に達する。前述したように、酸化シリコン層112は、その膜厚が極めて薄いので、僅かな圧力が加わっただけでも容易に変形する。そして、酸化シリコン層112が変形すると、酸化シリコン層112と接する第1メタル配線124および第2メタル配線125が変位するので空隙126の容積が変化し、これに伴って容量素子211の容量値が変化する。すなわち、容量素子211、酸化シリコン層112およびゴム状弾性体118は、ICチップ103に加わる圧力を検出する圧力センサを構成している。ICチップ103の上記した以外の構造は、前記実施の形態1と同じである。
【0038】
本実施の形態の圧力センサを形成するには、図17に示すように、SOI構造を有する半導体ウエハ120のシリコンデバイス層111に図示しないMOSトランジスタおよび抵抗素子などの半導体素子を形成した後、シリコンデバイス層111の一部をエッチングして溝131を形成し、溝131の底部に酸化シリコン層112を露出させる。
【0039】
次に、図18に示すように、それぞれの一端が溝131の底部の酸化シリコン層112に接するような第1メタル配線124および第2メタル配線125を対向して形成する。第1メタル配線124および第2メタル配線125を形成するには、シリコンデバイス層111の上部にアルミニウムなどのメタル膜を堆積した後、周知のフォトリソグラフィ技術を用いてこのメタル膜をパターニングする。
【0040】
次に、図19に示すように、シリコンデバイス層111の上部に配線層113を形成した後、配線層113をエッチングして空隙126を形成することにより、この空隙126と、その左右に配置された第1メタル配線124および第2メタル配線125とによって、容量素子211が形成される。なお、第1メタル配線124および第2メタル配線125は、配線層113に配線を形成する工程を利用して形成することもできる。
【0041】
次に、図20に示すように、シリコン基板層110をエッチングして酸化シリコン層112に達する開口部117を形成した後、開口部117の内部にゴム状弾性体118を充填する。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、無線ICタグ100の内部に小型で高感度の圧力センサを組み込むことが可能となる。
【0043】
(実施の形態3)
図21は、本実施の形態の無線ICタグに搭載されたICチップの主要部を示す断面図である。
【0044】
ICチップ103のシリコンデバイス層111には、第1メタル配線114および第2メタル配線115が形成されている。前記実施の形態1と同じように、第1メタル配線114は、その一部が酸化シリコン層112と接するように形成されており、第2メタル配線115は、その一部が第1メタル配線114の一部と重なるように配置されている。
【0045】
また、第1メタル配線114と第2メタル配線115との間には空隙127が形成されており、この空隙127と、第1メタル配線114および第2メタル配線115とによって、容量素子221が形成されている。前記実施の形態2と同じように、空隙127は、シリコンデバイス層111とその上部の配線層113とに形成されている。
【0046】
本実施の形態の容量素子221は、前記実施の形態1の容量素子201および前記実施の形態2の容量素子211に比べて、第1メタル配線114と第2メタル配線115とが重なる領域の面積が大きいので、容量値を大きくすることができる。また、空隙127の容積も大きいので、圧力変動による容量値の変動を大きくすることができる。容量素子221は、前記実施の形態1の容量素子201の製造方法および前記実施の形態2の容量素子211の製造方法に準じて製造することができる。
【0047】
(実施の形態4)
図22は、前記無線ICタグ100の一使用例を示す説明図である。ここでは、無線ICタグ100を人の指400の先端に取り付けた例を示している。
【0048】
例えば10本の指のそれぞれに無線ICタグ100を取り付けて楽器の鍵盤を叩く。鍵盤には、前記図6に示すようなリーダ300を取り付けておく。このようにすると、それぞれの鍵盤に取り付けたリーダ300からの電磁エネルギーによって指先の無線ICタグ100が動作し、ROM204の認識番号と、圧力センサによって検知された圧力値とをリーダ300に送信するので、どの指がどんな圧力で鍵盤を叩いたかを検出することができる。
【0049】
(実施の形態5)
図23は、前記無線ICタグ100の他の使用例を示す説明図である。ここでは、無線ICタグ100を可撓性の媒体401に貼り付けた例を示している。
【0050】
可撓性の媒体401の一部に無線ICタグ100を取り付けておくと、外部圧力によって媒体401が湾曲した場合、ICチップ103に内蔵された容量素子201の容量値が変化する。そこで、容量値の変化をリーダ300に送信することにより、媒体401に印加された外部圧力の大きさや、媒体401の湾曲量を検出することができる。
【0051】
(実施の形態6)
図24は、前記無線ICタグ100の他の使用例を示す説明図である。ここでは、無線ICタグ100を手袋402の先端に貼り付けた例を示している。
【0052】
手袋402の先端に貼り付けた無線ICタグ100は、固有の認識番号と圧力センサを備えているので、この手袋402を装着した指でリーダ300が内蔵された物体を接触すると、どの指がどんな圧力で物体に触れたかを検出することができる。これにより、ゲーム、音楽、痴ほう防止訓練、リハビリ訓練などに応用することができる。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、圧力センサを備えた小型無線ICタグに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態である無線ICタグの全体平面図である。
【図2】図1に示す無線ICタグのICチップの主要部を示す平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿ったICチップの主要部を示す断面図である。
【図4】ICチップに形成された回路のブロック図である。
【図5】ICチップのROMに書き込まれた認識番号の読み取り方法を説明する図である。
【図6】ICチップに加わる圧力の検出方法を説明する図である。
【図7】本発明の一実施の形態である無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図8】図7に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図9】図8に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図10】図9に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図11】図10に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図12】図11に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図13】図12に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図14】図13に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図15】本発明の他の実施の形態である無線ICタグに搭載されたICチップの主要部を示す平面図である。
【図16】図15のB−B線に沿ったICチップの主要部を示す断面図である。
【図17】本発明の他の実施の形態である無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図18】図17に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図19】図18に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図20】図19に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図21】本発明の他の実施の形態である無線ICタグに搭載されたICチップの主要部を示す断面図である。
【図22】本発明の無線ICタグの一使用例を示す説明図である。
【図23】本発明の無線ICタグの他の使用例を示す説明図である。
【図24】本発明の無線ICタグの他の使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
100 無線ICタグ
101 支持基板
102 小型アンテナ
103 ICチップ
110 シリコン基板層
111 シリコンデバイス層
112 酸化シリコン層
113 配線層
114 第1メタル配線
115 第2メタル配線
116 空隙
117 開口部
118 ゴム状弾性体
120 半導体ウエハ
121 溝
122 シリコン層
124 第1メタル配線
125 第2メタル配線
126、127 空隙
131 溝
201 容量素子
202 容量検出回路
203 ディジタル変換回路
204 ROM
205 送信回路
211 容量素子
221 容量素子
300 リーダ
400 指
401 媒体
402 手袋
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグおよびその製造技術に関し、特に無線ICタグのICチップ内に圧力センサを設けた無線ICタグに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平09−128118号公報(特許文献1)には、無線によって開閉状態を伝えるスイッチ技術が開示されている。特開2000−306188号公報(特許文献2)には、抵抗膜によるブリッジ回路が圧力により特性が変化することを利用して圧力を検出し、その変化をデジタル化して無線で送信するセンサ技術が示されている。特開2003−014572号公報(特許文献3)には、ピエゾ素子により圧力を検出し、その値を無線で送信するセンサ技術が示されている。特開平05−150771号公報(特許文献4)には、グローブの先に圧力センサを装着し、信号線により無線装置に送り、そこから各指の圧力値を無線により送信する技術が示されている。特開2001−228042号公報(特許文献5)には、圧力センサモジュールからの信号を無線で送信する技術が示されている。
【特許文献1】特開平09−128118号公報
【特許文献2】特開2000−306188号公報
【特許文献3】特開2003−014572号公報
【特許文献4】特開平05−150771号公報
【特許文献5】特開2001−228042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開平09−128118号公報(特許文献1)は、無線スイッチ技術であり、圧力値をセンシングしてバッテリレスで無線で信号を送信するための小型化技術については述べられていない。
【0004】
特開2000−306188号公報(特許文献2)に記載された抵抗膜は、半導体チップの外部に形成されており、抵抗膜を半導体チップ内に形成して小型化を図る技術については述べられていない。
【0005】
特開2003−014572号公報(特許文献3)に記載されたピエゾ素子は、半導体チップの外部に形成されており、ピエゾ素子を半導体チップ内に形成して小型化を図る技術については述べられていない。
【0006】
特開平05−150771号公報(特許文献4)の圧力センサは、グローブの指先に信号線が接続されているので、取り扱いが不便であり、小型化を図る技術についても述べられていない。
【0007】
特開2001−228042号公報(特許文献5)には、個別部品を用いて形成した圧力センサの出力を無線で送信する技術が開示されているが、バッテリレスで小型化するための技術については述べられていない。
【0008】
このように、上記従来技術は、半導体チップの内部に圧力センサを形成してワンチップ化、小型化を図る技術については、開示されていない。
【0009】
本発明は、ICチップ内に圧力センサを内蔵した小型無線ICタグを提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
本発明の無線ICタグは、支持基板と、前記支持基板の一面に形成されたアンテナと、前記支持基板に搭載されたICチップと、前記ICチップに内蔵された圧力センサを備えており、前記ICチップは、シリコン基板層とシリコンデバイス層との間に酸化シリコン層を形成したSOI構造を有し、前記圧力センサは、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線とそれらの間に形成された空隙とを備え、外部から前記ICチップに加わる圧力によって前記空隙の容積が変化する容量素子を含んでいる。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0014】
SOI構造のICチップに形成された薄い酸化シリコン層を利用することにより、ICチップに加わるわずかな圧力変動を検出することができるので、外形寸法が0.5mm角以下のICチップに圧力センサを組み込むことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の無線ICタグの全体平面図、図2は、図1に示す無線ICタグのICチップを示す主要部平面図、図3は、図2のA−A線に沿ったICチップの主要部を示す断面図、図4は、ICチップに形成された回路のブロック図である。
【0017】
図1に示すように、無線ICタグ100は、支持基板101と、支持基板101の一面に形成された小型アンテナ102と、支持基板101上に搭載されたICチップ103とで構成されている。ICチップ103は、単結晶シリコンからなり、その主面には、図4に示すような容量素子201、容量検出回路202、ディジタル変換回路203、ROM204および送信回路205が形成されている。
【0018】
ICチップ103のROM204には、無線ICタグ100に固有の認識番号が書き込まれている。容量素子201の容量値は、容量検出回路202によって検出され、電圧、電流、周波数などにアナログ変換された後、ディジタル変換回路203によってディジタル変換される。ROM204に書き込まれた認識番号およびディジタル変換された容量値は、送信回路205に送信され、小型アンテナ102によって外部に無線で送信される。
【0019】
図3に示すように、ICチップ103は、シリコン基板層110とその上部のシリコンデバイス層111との間に、膜厚が0.01μm〜5μm程度の薄い酸化シリコン層112を形成したSOI(Silicon On Insulator)構造を有している。SOI構造のICチップ103は、例えば2枚のシリコンウエハを酸化シリコン膜を挟んで接合する周知の貼り合わせ法によって形成される。
【0020】
図示は省略するが、ICチップ103のシリコンデバイス層111には、前述した容量検出回路202、ディジタル変換回路203、ROM204および送信回路205を構成するMOSトランジスタおよび抵抗素子などが形成されている。また、シリコンデバイス層111の上部には、これらのトランジスタおよび抵抗素子を電気的に接続する配線および層間絶縁膜からなる配線層113が形成されている。SOI構造のICチップ103は、通常のシリコンチップに比べてトランジスタの寄生容量を小さくできるので、トランジスタ同士の間隔を縮小し、ひいてはチップサイズを0.5mm角以下に縮小することができる。
【0021】
図2および図3に示すように、ICチップ103のシリコンデバイス層111には、第1メタル配線114および第2メタル配線115が形成されている。第1メタル配線114は、その一部が酸化シリコン層112と接するように形成されており、第2メタル配線115は、その一部が第1メタル配線114の一部と重なるように配置されている。また、第1メタル配線114と第2メタル配線115との間には空隙116が形成されており、この空隙116と、その上下に配置された第1メタル配線114および第2メタル配線115とによって、容量素子201が形成されている。
【0022】
上記容量素子201の下部のシリコン基板層110には、酸化シリコン層112に達する1μm角〜300μm角程度の開口部117が形成されており、開口部117の内部にはゴム状弾性体118が充填されている。開口部117に充填されたゴム状弾性体118は、外部からICチップ103に加わる圧力を酸化シリコン層112に伝える媒体として機能する。
【0023】
すなわち、ゴム状弾性体118に外部から圧力が加わると、この圧力がゴム状弾性体118の内部を伝って酸化シリコン層112に達する。前述したように、酸化シリコン層112は、その膜厚が極めて薄い(0.01μm〜5μm程度)ので、僅かな圧力が加わっただけでも容易に変形する。そして、酸化シリコン層112が変形すると、酸化シリコン層112と接する第1メタル配線114が変位するので空隙116の容積が変化し、これに伴って容量素子201の容量値が変化する。前述したように、容量値の変化は、容量素子201に接続された容量検出回路202によって検出され、ディジタル変換回路203によってディジタル変換された後、送信回路205に伝達される。このように、容量素子201、酸化シリコン層112およびゴム状弾性体118は、ICチップ103に加わる圧力を検出する圧力センサを構成している。ゴム状弾性体118が充填された開口部117は、この圧力センサの構造を強固にする支持体として機能する。
【0024】
図5に示すように、ICチップ103のROM204に書き込まれた認識番号を読み取る際には、無線ICタグ100にリーダ300を近接させる。このリーダ300には、無線LAN、ブルーツース、携帯電話など、5m〜10km以上離れた遠方とのマイクロ波通信に利用されている高誘電体セラミックアンテナが内蔵されている。この高誘電体セラミックアンテナを通じて無線ICタグ100のICチップ103に電磁波エネルギーを供給すると、ICチップ103が動作を開始し、ROM204に書き込まれた認識番号が小型アンテナ102を通じてリーダ300に無線送信される。
【0025】
一方、図6に示すように、リーダ300を無線ICタグ100に密着させ、ICチップ103のゴム状弾性体118に圧力を加えると、前述したように、容量素子201の容量値が変化する。この容量値の変化は、容量検出回路202、ディジタル変換回路203を経て送信回路205に送信され、小型アンテナ102を通じてリーダ300に無線送信される。これにより、ICチップ103に加わる圧力値がリーダ300によって読み取られる。
【0026】
無線ICタグ100のICチップ103に圧力センサを形成するには、図7に示すように、シリコン基板層110とシリコンデバイス層111との間に酸化シリコン層112を形成したSOI構造の半導体ウエハ120を用意する。そして、まずシリコンデバイス層111に図示しないMOSトランジスタおよび抵抗素子などの半導体素子を形成した後、シリコンデバイス層111の一部をエッチングして溝121を形成し、溝121の底部に酸化シリコン層112を露出させる。
【0027】
次に、図8に示すように、一端が溝121の底部の酸化シリコン層112に接するような第1メタル配線114を形成する。第1メタル配線114を形成するには、シリコンデバイス層111の上部にアルミニウムなどのメタル膜を堆積した後、周知のフォトリソグラフィ技術を用いてこのメタル膜をパターニングする。
【0028】
次に、図9に示すように、溝121の内部にシリコン層122を埋め込む。溝121の内部にシリコン層122を埋め込むには、例えばシリコンデバイス層111の上部に多結晶シリコン膜を堆積した後、溝121の外部の多結晶シリコン膜をエッチバックして除去する。
【0029】
次に、図10に示すように、一端が溝121の上部に延在するような第2メタル配線115を形成する。第2メタル配線115を形成するには、シリコンデバイス層111の上部にアルミニウムなどのメタル膜を堆積した後、周知のフォトリソグラフィ技術を用いてこのメタル膜をパターニングする。
【0030】
次に、図11に示すように、溝121の内部に埋め込んだシリコン層122をウェットエッチングで除去する。シリコン層122をウェットエッチングするには、例えばヒドラジン、アンモニア、水酸化カリウムなどの水溶液を使用する。なお、溝121の内部に埋め込む材料は多結晶シリコン膜に限定されるものではなく、シリコンデバイス層111および酸化シリコン層112に対して充分なエッチング選択比を持った絶縁材料などを使用してもよい。
【0031】
次に、図12に示すように、シリコンデバイス層111の上部に配線層113を形成すると、溝121の内部に空隙116が形成され、この空隙116と、その上下に配置された第1メタル配線114および第2メタル配線115とによって、容量素子201が形成される。なお、第1メタル配線114および第2メタル配線115は、配線層113に配線を形成する工程を利用して形成することもできる。
【0032】
次に、図13に示すように、シリコン基板層110をエッチングして酸化シリコン層112に達する開口部117を形成した後、図14に示すように、開口部117の内部にゴム状弾性体118を充填する。開口部117の内部に充填する材料は、外部からICチップ103に加わる圧力を酸化シリコン層112に伝える媒体として機能できるものであれば、ゴム状弾性体118に限定されない。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、無線ICタグ100の内部に小型で高感度の圧力センサを組み込むことが可能となる。
【0034】
(実施の形態2)
図15は、本実施の形態の無線ICタグに搭載されたICチップを示す主要部平面図、図16は、図15のB−B線に沿ったICチップの主要部を示す断面図である。
【0035】
ICチップ103のシリコンデバイス層111には、第1メタル配線124および第2メタル配線125が形成されている。第1メタル配線124と第2メタル配線125とは対向して配置され、それぞれの一部が酸化シリコン層112と接するように形成されている。第1メタル配線124と第2メタル配線125との間には空隙126が形成されており、この空隙126と、その左右に配置された第1メタル配線124および第2メタル配線125とによって、容量素子211が形成されている。
【0036】
容量素子211の下部のシリコン基板層110には、酸化シリコン層112に達する1μm角〜300μm角程度の開口部117が形成されており、開口部117の内部には、外部からICチップ103に加わる圧力を酸化シリコン層112に伝えるゴム状弾性体118が充填されている。
【0037】
ゴム状弾性体118に外部から圧力が加わると、この圧力がゴム状弾性体118の内部を伝って酸化シリコン層112に達する。前述したように、酸化シリコン層112は、その膜厚が極めて薄いので、僅かな圧力が加わっただけでも容易に変形する。そして、酸化シリコン層112が変形すると、酸化シリコン層112と接する第1メタル配線124および第2メタル配線125が変位するので空隙126の容積が変化し、これに伴って容量素子211の容量値が変化する。すなわち、容量素子211、酸化シリコン層112およびゴム状弾性体118は、ICチップ103に加わる圧力を検出する圧力センサを構成している。ICチップ103の上記した以外の構造は、前記実施の形態1と同じである。
【0038】
本実施の形態の圧力センサを形成するには、図17に示すように、SOI構造を有する半導体ウエハ120のシリコンデバイス層111に図示しないMOSトランジスタおよび抵抗素子などの半導体素子を形成した後、シリコンデバイス層111の一部をエッチングして溝131を形成し、溝131の底部に酸化シリコン層112を露出させる。
【0039】
次に、図18に示すように、それぞれの一端が溝131の底部の酸化シリコン層112に接するような第1メタル配線124および第2メタル配線125を対向して形成する。第1メタル配線124および第2メタル配線125を形成するには、シリコンデバイス層111の上部にアルミニウムなどのメタル膜を堆積した後、周知のフォトリソグラフィ技術を用いてこのメタル膜をパターニングする。
【0040】
次に、図19に示すように、シリコンデバイス層111の上部に配線層113を形成した後、配線層113をエッチングして空隙126を形成することにより、この空隙126と、その左右に配置された第1メタル配線124および第2メタル配線125とによって、容量素子211が形成される。なお、第1メタル配線124および第2メタル配線125は、配線層113に配線を形成する工程を利用して形成することもできる。
【0041】
次に、図20に示すように、シリコン基板層110をエッチングして酸化シリコン層112に達する開口部117を形成した後、開口部117の内部にゴム状弾性体118を充填する。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、無線ICタグ100の内部に小型で高感度の圧力センサを組み込むことが可能となる。
【0043】
(実施の形態3)
図21は、本実施の形態の無線ICタグに搭載されたICチップの主要部を示す断面図である。
【0044】
ICチップ103のシリコンデバイス層111には、第1メタル配線114および第2メタル配線115が形成されている。前記実施の形態1と同じように、第1メタル配線114は、その一部が酸化シリコン層112と接するように形成されており、第2メタル配線115は、その一部が第1メタル配線114の一部と重なるように配置されている。
【0045】
また、第1メタル配線114と第2メタル配線115との間には空隙127が形成されており、この空隙127と、第1メタル配線114および第2メタル配線115とによって、容量素子221が形成されている。前記実施の形態2と同じように、空隙127は、シリコンデバイス層111とその上部の配線層113とに形成されている。
【0046】
本実施の形態の容量素子221は、前記実施の形態1の容量素子201および前記実施の形態2の容量素子211に比べて、第1メタル配線114と第2メタル配線115とが重なる領域の面積が大きいので、容量値を大きくすることができる。また、空隙127の容積も大きいので、圧力変動による容量値の変動を大きくすることができる。容量素子221は、前記実施の形態1の容量素子201の製造方法および前記実施の形態2の容量素子211の製造方法に準じて製造することができる。
【0047】
(実施の形態4)
図22は、前記無線ICタグ100の一使用例を示す説明図である。ここでは、無線ICタグ100を人の指400の先端に取り付けた例を示している。
【0048】
例えば10本の指のそれぞれに無線ICタグ100を取り付けて楽器の鍵盤を叩く。鍵盤には、前記図6に示すようなリーダ300を取り付けておく。このようにすると、それぞれの鍵盤に取り付けたリーダ300からの電磁エネルギーによって指先の無線ICタグ100が動作し、ROM204の認識番号と、圧力センサによって検知された圧力値とをリーダ300に送信するので、どの指がどんな圧力で鍵盤を叩いたかを検出することができる。
【0049】
(実施の形態5)
図23は、前記無線ICタグ100の他の使用例を示す説明図である。ここでは、無線ICタグ100を可撓性の媒体401に貼り付けた例を示している。
【0050】
可撓性の媒体401の一部に無線ICタグ100を取り付けておくと、外部圧力によって媒体401が湾曲した場合、ICチップ103に内蔵された容量素子201の容量値が変化する。そこで、容量値の変化をリーダ300に送信することにより、媒体401に印加された外部圧力の大きさや、媒体401の湾曲量を検出することができる。
【0051】
(実施の形態6)
図24は、前記無線ICタグ100の他の使用例を示す説明図である。ここでは、無線ICタグ100を手袋402の先端に貼り付けた例を示している。
【0052】
手袋402の先端に貼り付けた無線ICタグ100は、固有の認識番号と圧力センサを備えているので、この手袋402を装着した指でリーダ300が内蔵された物体を接触すると、どの指がどんな圧力で物体に触れたかを検出することができる。これにより、ゲーム、音楽、痴ほう防止訓練、リハビリ訓練などに応用することができる。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、圧力センサを備えた小型無線ICタグに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態である無線ICタグの全体平面図である。
【図2】図1に示す無線ICタグのICチップの主要部を示す平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿ったICチップの主要部を示す断面図である。
【図4】ICチップに形成された回路のブロック図である。
【図5】ICチップのROMに書き込まれた認識番号の読み取り方法を説明する図である。
【図6】ICチップに加わる圧力の検出方法を説明する図である。
【図7】本発明の一実施の形態である無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図8】図7に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図9】図8に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図10】図9に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図11】図10に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図12】図11に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図13】図12に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図14】図13に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図15】本発明の他の実施の形態である無線ICタグに搭載されたICチップの主要部を示す平面図である。
【図16】図15のB−B線に沿ったICチップの主要部を示す断面図である。
【図17】本発明の他の実施の形態である無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図18】図17に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図19】図18に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図20】図19に続く無線ICタグの製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
【図21】本発明の他の実施の形態である無線ICタグに搭載されたICチップの主要部を示す断面図である。
【図22】本発明の無線ICタグの一使用例を示す説明図である。
【図23】本発明の無線ICタグの他の使用例を示す説明図である。
【図24】本発明の無線ICタグの他の使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
100 無線ICタグ
101 支持基板
102 小型アンテナ
103 ICチップ
110 シリコン基板層
111 シリコンデバイス層
112 酸化シリコン層
113 配線層
114 第1メタル配線
115 第2メタル配線
116 空隙
117 開口部
118 ゴム状弾性体
120 半導体ウエハ
121 溝
122 シリコン層
124 第1メタル配線
125 第2メタル配線
126、127 空隙
131 溝
201 容量素子
202 容量検出回路
203 ディジタル変換回路
204 ROM
205 送信回路
211 容量素子
221 容量素子
300 リーダ
400 指
401 媒体
402 手袋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、前記支持基板の一面に形成されたアンテナと、前記支持基板に搭載されたICチップと、前記ICチップに内蔵された圧力センサを備えた無線ICタグであって、
前記ICチップは、シリコン基板層とシリコンデバイス層との間に酸化シリコン層を形成したSOI構造を有し、
前記圧力センサは、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線とそれらの間に形成された空隙とを備え、外部から前記ICチップに加わる圧力によって前記空隙の容積が変化する容量素子を含むことを特徴とする無線ICタグ。
【請求項2】
前記容量素子が形成された領域の近傍の前記シリコン基板層には、前記酸化シリコン層に達する開口部が設けられ、前記開口部の内部には、外部から前記ICチップに加わる圧力を前記酸化シリコン層に伝える媒体が充填されていることを特徴とする請求項1記載の無線ICタグ。
【請求項3】
前記媒体は、ゴム状弾性体からなることを特徴とする請求項2記載の無線ICタグ。
【請求項4】
前記ICチップの前記シリコンデバイス層には、前記無線ICタグに固有の認識番号が書き込まれたROMが形成されていることを特徴とする請求項1記載の無線ICタグ。
【請求項5】
支持基板と、前記支持基板の一面に形成されたアンテナと、前記支持基板に搭載されたICチップとを備えた無線ICタグであって、
前記ICチップは、シリコン基板層とシリコンデバイス層との間に酸化シリコン層を形成したSOI構造を有し、
前記ICチップには、外部から前記ICチップに加わる圧力を感知する圧力センサと、前記無線ICタグに固有の認識番号が書き込まれたROMとが形成され、
前記圧力センサは、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線とそれらの間に形成された空隙とを有し、かつ外部から前記ICチップに加わる圧力によって前記空隙の容積が変化する容量素子を含み、
外部から電磁エネルギーが供給されることによって、前記ROMに書き込まれた前記認識番号と、前記容量素子の容量値の変化をそれぞれ外部に無線送信することを特徴とする無線ICタグ。
【請求項6】
前記ICチップの外形寸法は、0.5mm角以下であることを特徴とする請求項5記載の無線ICタグ。
【請求項7】
前記容量素子が形成された領域の近傍の前記シリコン基板層には、前記酸化シリコン層に達する開口部が設けられ、前記開口部の内部には、外部から前記ICチップに加わる圧力を前記酸化シリコン層に伝えるゴム状弾性体からなる媒体が充填されていることを特徴とする請求項5記載の無線ICタグ。
【請求項8】
支持基板と、前記支持基板の一面に形成されたアンテナと、前記支持基板に搭載されたICチップと、前記ICチップに内蔵された圧力センサを備え、
前記ICチップは、シリコン基板層とシリコンデバイス層との間に酸化シリコン層を形成したSOI構造を有し、
前記圧力センサは、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線とそれらの間に形成された空隙とを備え、外部から前記ICチップに加わる圧力によって前記空隙の容積が変化する容量素子を含む無線ICタグの製造方法であって、
前記ICチップに前記圧力センサを形成する工程は、
(a)前記シリコンデバイス層の一部をエッチングして溝を形成し、前記溝の底部に前記酸化シリコン層を露出させる工程と、
(b)前記(a)工程の後、前記シリコンデバイス層の上部に堆積したメタル膜をパターニングすることによって、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線を形成すると共に、前記一対の配線の間に前記空隙を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後、前記シリコン基板層をエッチングして前記酸化シリコン層に達する開口部を形成した後、前記開口部の内部にゴム状弾性体からなる媒体を充填する工程と、
を含むことを特徴とする無線ICタグの製造方法。
【請求項9】
前記酸化シリコン層の膜厚は、0.01μm〜5μmであることを特徴とする請求項8記載の無線ICタグの製造方法。
【請求項1】
支持基板と、前記支持基板の一面に形成されたアンテナと、前記支持基板に搭載されたICチップと、前記ICチップに内蔵された圧力センサを備えた無線ICタグであって、
前記ICチップは、シリコン基板層とシリコンデバイス層との間に酸化シリコン層を形成したSOI構造を有し、
前記圧力センサは、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線とそれらの間に形成された空隙とを備え、外部から前記ICチップに加わる圧力によって前記空隙の容積が変化する容量素子を含むことを特徴とする無線ICタグ。
【請求項2】
前記容量素子が形成された領域の近傍の前記シリコン基板層には、前記酸化シリコン層に達する開口部が設けられ、前記開口部の内部には、外部から前記ICチップに加わる圧力を前記酸化シリコン層に伝える媒体が充填されていることを特徴とする請求項1記載の無線ICタグ。
【請求項3】
前記媒体は、ゴム状弾性体からなることを特徴とする請求項2記載の無線ICタグ。
【請求項4】
前記ICチップの前記シリコンデバイス層には、前記無線ICタグに固有の認識番号が書き込まれたROMが形成されていることを特徴とする請求項1記載の無線ICタグ。
【請求項5】
支持基板と、前記支持基板の一面に形成されたアンテナと、前記支持基板に搭載されたICチップとを備えた無線ICタグであって、
前記ICチップは、シリコン基板層とシリコンデバイス層との間に酸化シリコン層を形成したSOI構造を有し、
前記ICチップには、外部から前記ICチップに加わる圧力を感知する圧力センサと、前記無線ICタグに固有の認識番号が書き込まれたROMとが形成され、
前記圧力センサは、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線とそれらの間に形成された空隙とを有し、かつ外部から前記ICチップに加わる圧力によって前記空隙の容積が変化する容量素子を含み、
外部から電磁エネルギーが供給されることによって、前記ROMに書き込まれた前記認識番号と、前記容量素子の容量値の変化をそれぞれ外部に無線送信することを特徴とする無線ICタグ。
【請求項6】
前記ICチップの外形寸法は、0.5mm角以下であることを特徴とする請求項5記載の無線ICタグ。
【請求項7】
前記容量素子が形成された領域の近傍の前記シリコン基板層には、前記酸化シリコン層に達する開口部が設けられ、前記開口部の内部には、外部から前記ICチップに加わる圧力を前記酸化シリコン層に伝えるゴム状弾性体からなる媒体が充填されていることを特徴とする請求項5記載の無線ICタグ。
【請求項8】
支持基板と、前記支持基板の一面に形成されたアンテナと、前記支持基板に搭載されたICチップと、前記ICチップに内蔵された圧力センサを備え、
前記ICチップは、シリコン基板層とシリコンデバイス層との間に酸化シリコン層を形成したSOI構造を有し、
前記圧力センサは、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線とそれらの間に形成された空隙とを備え、外部から前記ICチップに加わる圧力によって前記空隙の容積が変化する容量素子を含む無線ICタグの製造方法であって、
前記ICチップに前記圧力センサを形成する工程は、
(a)前記シリコンデバイス層の一部をエッチングして溝を形成し、前記溝の底部に前記酸化シリコン層を露出させる工程と、
(b)前記(a)工程の後、前記シリコンデバイス層の上部に堆積したメタル膜をパターニングすることによって、少なくとも一方が前記酸化シリコン層に接触する一対の配線を形成すると共に、前記一対の配線の間に前記空隙を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後、前記シリコン基板層をエッチングして前記酸化シリコン層に達する開口部を形成した後、前記開口部の内部にゴム状弾性体からなる媒体を充填する工程と、
を含むことを特徴とする無線ICタグの製造方法。
【請求項9】
前記酸化シリコン層の膜厚は、0.01μm〜5μmであることを特徴とする請求項8記載の無線ICタグの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図19】
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【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−101285(P2007−101285A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289641(P2005−289641)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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