説明

物品収納設備

【課題】搬送能力の向上を図ることができながら、部品の交換作業やメンテナンス作業の複雑化を抑制できる物品収納設備の提供。
【解決手段】制御手段8が、一部作動モードにおいては、複数台の移動体3のうちの走行経路6の長手方向に沿う並び順序において物品支持部5に近接する側の一部のものを物品搬送作動用の移動体3として選択する状態で、その選択された一部の移動体3を物品支持部5と複数の収納部4のうちの移動体3が移載対象とする収納部4との間を走行させ且つ複数台の移動体3のうちの物品搬送作動用の移動体3として選択されない移動体3を物品搬送作動用の移動体3として選択された移動体3の走行範囲から退避させた退避位置30に走行させる形態で物品Bの搬送を行わせるように、複数台の移動体3の作動を制御する一部移動体作動搬送処理を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部を水平方向に複数並べて備えた物品収納部と、前記物品収納部とその物品収納部の側脇に設けられた入出庫用の物品支持部との間で物品を搬送すべく、水平方向に沿う走行経路を走行自在で且つ物品移載手段を備えた複数台の物品搬送用の移動体と、複数台の前記移動体の作動を制御する制御手段とが設けられている物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品収納設備は、収納部と物品支持部との間で物品を搬送する物品搬送作動を移動体に行わせることにより、物品支持部の物品を物品収納部の収納部に収納する入庫作業、及び、物品収納部の収納部に収納されている物品を物品支持部に取り出す出庫作業を行うものである。
そして、このような物品収納設備では、移動体を複数台設けることにより、搬送能力の向上を図るようにしている。
【0003】
従来の物品収納設備では、移動体が2台設けられ、走行経路の長手方向において物品収納部の両側に物品支持部が設けられ、制御手段が、走行経路の長手方向において物品収納部の両側に設けられた一方の物品支持部と収納部との間で物品を搬送する物品搬送作動を2台の移動体のうちの一方に行わせ、且つ、走行経路の長手方向において物品収納部の両側に設けられた他方の物品支持部と収納部との間で物品を搬送する物品搬送作動を2台の移動体のうちの他方に行わせるべく、2台の移動体の作動を制御するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
この従来の物品収納設備では、2台の移動体のいずれもが侵入可能であるが、2台の移動体が同時に侵入することを制限する共有範囲を走行経路の長手方向において物品収納部の中央部分に設け、且つ、2台の移動体の一方のみが侵入可能な単独範囲を走行経路の長手方向において共有範囲の両側に設けている。そして、制御手段が、共有範囲においては侵入する移動体を1台に制限し且つ単独範囲においては2台の移動体の一方のみを侵入させる形態で、2台の移動体の作動を制御するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−175117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の物品収納設備では、共有範囲に2台の移動体を侵入させることができないので、その共有範囲における収納部に対して2台の移動体が同時に物品を搬送することができない。したがって、共有範囲における収納部に対する物品の搬送については、1台の移動体の搬送能力しか得られず、搬送能力の向上を図ることができない虞がある。
【0006】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、搬送能力の向上を図ることができる物品収納設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品収納設備の第1特徴構成は、収納部を水平方向に複数並べて備えた物品収納部と、前記物品収納部とその物品収納部の側脇に設けられた入出庫用の物品支持部との間で物品を搬送すべく、水平方向に沿う走行経路を走行自在で且つ物品移載手段を備えた複数台の物品搬送用の移動体と、複数台の前記移動体の作動を制御する制御手段とが設けられている物品収納設備において、
前記物品支持部が、前記走行経路の長手方向において前記物品収納部の一方側に配置され、且つ、複数台の前記移動体を前記走行経路の長手方向に並んで位置させて、夫々に備えさせた前記物品移載手段により物品を移載することができるように構成され、前記制御手段が、前記収納部と前記物品支持部との間で物品を搬送する物品搬送作動を行わせる物品搬送作動用の移動体を複数台の前記移動体の全てとする全作動モードと、前記物品搬送作動用の移動体を複数台の前記移動体の一部とする一部作動モードとに切換自在に構成され、且つ、前記全作動モードにおいては、複数台の前記移動体のうちの前記走行経路の長手方向に沿う並ぶ順序において前記物品支持部から離れる側のものほど複数の前記収納部のうちの前記物品支持部から離れる側に位置する前記収納部を移載対象として割り当てる状態で、複数台の前記移動体の全てを前記物品支持部と複数の前記収納部のうちの各移動体の夫々が移載対象とする収納部との間を同時に走行させる形態で物品の搬送を行わせるように、複数台の前記移動体の作動を制御する全移動体作動搬送処理を実行するように構成され、かつ、前記一部作動モードにおいては、複数台の前記移動体のうちの前記走行経路の長手方向に沿う並び順序において前記物品支持部に近接する側の一部のものを前記物品搬送作動用の移動体として選択する状態で、その選択された一部の移動体を前記物品支持部と複数の前記収納部のうちの移動体が移載対象とする収納部との間を走行させ且つ複数台の前記移動体のうちの前記物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体を前記物品搬送作動用の移動体として選択された移動体の走行範囲から退避させた退避位置に走行させる形態で物品の搬送を行わせるように、複数台の前記移動体の作動を制御する一部移動体作動搬送処理を実行するように構成されている点にある。
【0008】
すなわち、制御手段は、全作動モードに切り換えて全移動体作動搬送処理を実行することができる。前記全移動体作動処理では、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並ぶ順序において物品支持部から離れる側のものほど複数の収納部のうちの物品支持部から離れる側に位置する収納部を移載対象として、複数台の移動体の全てが物品支持部と移載対象とする収納部との間を同時に走行することになる。そして、複数台の移動体の全てが物品支持部との間で物品を移載するときに、複数台の移動体の全てを走行経路の長手方向に並んで位置させる状態で複数台の移動体の夫々に備えさせた物品移載手段により物品を移載することができるので、複数台の移動体の全てが物品支持部との間での物品の移載を同時に行うことができる。
したがって、複数台の移動体の全てが物品支持部と収納部との間での物品の搬送を同時に行うことができることとなって、搬送能力の向上を図ることができる。
【0009】
前記全移動体作動搬送処理では、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並ぶ順序において物品支持部から離れる側のものほど複数の収納部のうちの物品支持部から離れる側に位置する収納部を移載対象と割り当てるので、複数台の移動体の全てを物品支持部と移載対象とする収納部との間で同時に走行させる際に、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並び順序において物品支持部に近接する側の一部の移動体よりも物品支持部から離れる側の一部の移動体の方が、走行経路に沿って走行する走行距離が長くなる。その為に、制御手段が、常時、全作動モードに切り換えて全移動体作動搬送処理を実行すると、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並び順序において物品支持部に近接する側の一部の移動体における積算走行距離よりも物品支持部から離れる側の一部の移動体における積算走行距離が長くなる。したがって、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並び順序において物品支持部から離れる側の一部の移動体の消耗が早く、その物品支持部から離れる側の一部の移動体について部品の交換作業やメンテナンス作業を頻繁に行う必要が生じる。その結果、部品の交換作業やメンテナンス作業の複雑化を招くとともに、それらの作業を行う度に物品の搬送を中断しなければならず、搬送能力の低下を招く虞がある。
【0010】
前記制御手段が、全作動モードに加えて、一部作動モードにも切換自在に構成され、その一部作動モードでは一部移動体作動搬送処理を実行するように構成されている。この一部移動体作動搬送処理では、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並び順序において物品支持部に近接する側の一部の移動体を物品搬送作動用の移動体として選択して、その選択された一部の移動体を物品支持部と複数の収納部のうちの移動体が移載対象とする収納部との間を走行させるとともに、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並び順序において物品支持部から離れる側の一部の移動体を物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体として、複数台の移動体のうちの物品搬送作動用の移動体として選択された移動体の走行範囲から退避させた退避位置に走行させることになる。したがって、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並び順序において物品支持部から離れる側の一部の移動体を物品の搬送のためには走行させることなく、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並び順序において物品支持部に近接する側の一部の移動体にて物品を搬送することができ、複数台の移動体のうちの走行経路の長手方向に沿う並び順序において物品支持部から離れる側の一部の移動体の消耗が早くなるのを抑制できる。その結果、部品の交換作業やメンテナンス作業の複雑化を抑制できるとともに、それらの作業を行うために物品の搬送を中断することを極力少なくして、搬送能力の低下を抑制できる。
また、一部移動体作動搬送処理では、複数台の移動体のうちの物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体を退避位置に走行させているので、物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体が邪魔になることなく、物品搬送作動用の移動体として選択された移動体が物品を搬送するために走行経路に沿って走行することができ、物品の搬送を効率よく行うことができることになる。
【0011】
このように、制御手段が、全作動モードに切り換えて全移動体作動搬送処理を実行する、又は、一部作動モードに切り換えて一部移動体作動搬送処理を実行することにより、搬送能力の向上を図ることができながら、部品の交換作業やメンテナンス作業の複雑化を抑制できるとともに、それらの作業を行うために物品の搬送を中断することを極力少なくして、搬送能力の低下を抑制できる物品収納設備を提供できるに至った。
【0012】
本発明にかかる物品収納設備の第2特徴構成は、前記制御手段が、前記一部移動体作動搬送処理において、前記走行経路の長手方向において前記物品支持部が存在する側とは反対側であって且つ前記物品収納部より外側となる位置を、複数台の前記移動体のうちの前記物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体の前記退避位置と定めるように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、制御手段は、一部移動体作動搬送処理において、走行経路の長手方向において物品支持部が存在する側とは反対側であって且つ物品収納部より外側となる位置を退避位置と定めて、その退避位置に複数台の移動体のうちの物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体を走行させることになる。このときの退避位置は、走行経路の長手方向において物品支持部が存在する側とは反対側であって且つ物品収納部より外側であるので、複数の収納部のうちどの収納部を移載対象とする収納部として割り当てても、物品搬送作動用の移動体として選択された一部の移動体を物品支持部と複数の収納部のうちの移載対象とする収納部との間を走行させる際に、退避位置に走行させた移動体が邪魔になることはない。
したがって、物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体を走行経路の長手方向において物品支持部が存在する側とは反対側であって且つ物品収納部より外側となる位置に走行させるだけで、その後においても、物品搬送作動用の移動体として選択された移動体の走行範囲から退避させた退避位置に物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体を位置させることができ、物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体の退避位置への走行を確実に且つ容易に行うことができる。
【0014】
本発明にかかる物品収納設備の第3特徴構成は、前記制御手段が、前記物品収納部と前記物品支持部との間で搬送する物品搬送処理量を管理して、その物品搬送処理量が設定処理量よりも多いときには、前記全移動体作動搬送処理を実行し且つその物品搬送処理量が設定処理量よりも少ないときには、前記一部移動体作動搬送処理を実行するように構成されている点にある。
【0015】
すなわち、制御手段が、物品搬送処理量が設定処理量よりも多いときには全移動体作動搬送処理を実行するので、複数台の移動体の全てが収納部と物品支持部との間での物品の搬送を同時に行うことができ、物品搬送処理量が設定処理量よりも多いときに要求される搬送能力の向上を的確に図ることができる。
前記制御手段が、物品搬送処理量が設定処理量よりも少ないときには一部移動体作動搬送処理を実行するので、複数台の移動体の一部が収納部と物品支持部との間での物品の搬送を行いながら、部品の交換作業やメンテナンス作業の複雑化を抑制できるとともに、それらの作業を行うために物品の搬送を中断することを極力少なくして、搬送能力の低下を抑制できる。そして、物品搬送処理量が設定処理量よりも少ないときには、物品搬送処理量が設定処理量よりも多いときよりも搬送能力の向上を要求されないので、複数台の移動体の一部にて収納部と物品支持部との間での物品の搬送を行うようにしても、要求に応じた搬送能力を発揮させることができることになる。
したがって、制御手段が、全移動体作動搬送処理を実行するか又は一部作動体作動搬送処理を実行するかを物品搬送処理量に応じて的確に切り換えることができ、搬送能力の向上及び部品の交換作業やメンテナンス作業の複雑化の抑制を的確に行うことができる。
【0016】
本発明にかかる物品収納設備の第4特徴構成は、前記物品収納部が、前記収納部を水平方向及び上下方向に複数並べて備えた物品収納棚にて構成され、前記移動体は、前記走行経路を走行自在な走行体と、前記物品移載手段を装備して前記走行体に立設された昇降案内マストに沿って昇降自在な昇降体とを備えたスタッカークレーンにて構成され、前記スタッカークレーンが、2台設けられている点にある。
【0017】
すなわち、走行体を走行経路に沿って走行させ及び昇降体を昇降案内マストに沿って昇降させて物品移載手段にて物品を移載することにより、物品収納棚に水平方向及び上下方向に並べて備えられた複数の収納部に物品を搬送することができるので、スタッカークレーンにて物品の搬送を的確に行うことができる。そして、スタッカークレーンを2台設けているので、全移動体作動搬送処理では2台のスタッカークレーンにて物品の搬送を行い、搬送能力を向上することができ、且つ、一部移動体作動搬送処理では2台のスタッカークレーンのうちの走行経路の長手方向に沿う並び順序において物品収納棚に近接する側の一部のスタッカークレーンにて物品の搬送を行い、スタッカークレーンにおける部品の交換作業やメンテナンス作業の複雑化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明にかかる物品収納設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
この物品収納設備は、図1及び図2に示すように、物品Bを出し入れする前面が互いに対向するように間隔を隔てて設置した2つの物品収納棚1と、2つの物品収納棚1同士の間に形成した作業通路2を往復移動する物品搬送用の移動体としてのスタッカークレーン3とを設けて構成されている。
【0019】
各物品収納棚1は、棚横幅方向(水平方向)に間隔を隔てて複数立設された前後一対の支柱1aと、前後一対の支柱1aに亘る状態で設けられ物品Bを載置支持する複数の載置支持部1bとから構成されている。
そして、収納部4は、棚横幅方向に隣接する左右一対の載置支持部1bにて1つの物品Bを載置支持するように構成されており、このような収納部4が、縦横に並ぶ方向に複数設けられている。
【0020】
前記作業通路2には、水平方向に沿って走行レール6が設けられ、その走行レール6と平行となるようにガイドレール7が上方側に設けられている。そして、スタッカークレーン3がガイドレール7にて案内されながら走行レール6上を水平移動するように設けられている。
前記走行レール6の長手方向において一端側には、スタッカークレーン3の作動を制御する制御手段としての地上側コントローラ8が設けられている。前記地上側コントローラ8は、どの収納部4にどの物品Bを収納しているか及びどの収納部4に物品Bが収納されているかなどの収納情報を管理している。
【0021】
前記走行レール6の長手方向において物品収納棚1の一方側(地上側コントローラ8が設置されている側)には、走行レール6を挟んで互いに対向するように、物品収納棚1に入庫する物品Bを外部から搬入する搬入コンベヤ51と物品収納棚1から出庫された物品Bを外部に搬出する搬出コンベヤ52とが設けられている。そして、搬入コンベヤ51において、走行レール6の長手方向において物品収納棚1に隣接する位置に入庫用の物品支持部5が設けられ、且つ、搬出コンベヤ52において、走行レール6の長手方向において物品収納棚1に隣接する位置に出庫用の物品支持部5が設けられている。
【0022】
前記搬入コンベヤ51には、入庫用の物品支持部5に搬送する物品Bを検出する投受光式の搬入物品検出センサ53が設けられている。そして、搬入コンベヤ51は、例えば、物品支持部5に対応する位置に装備のストッパにて物品Bを受け止めることにより、又は、物品支持部5に対応する位置に装備の物品検出センサにより物品支持部5に物品Bが搬送されたことを検出するとコンベヤの作動を停止させることにより、物品Bを物品支持部5に位置させるように構成されている。また、搬出コンベヤ52は、出庫用の物品支持部5に対応する位置に装備の物品検出センサにより物品支持部5に物品Bが載置されたことを検出するとコンベヤを作動させて外部に物品Bを搬送するように構成されている。
【0023】
前記物品支持部5として、走行レール6の長手方向に沿って並ぶ状態で、走行レール6の長手方向において地上側コントローラ8に近接する側の第1物品支持部5aと、走行レール6の長手方向において地上側コントローラ8から離れる側の第2物品支持部5bとの2つが設けられている。そして、物品支持部5は、2台のスタッカークレーン3を走行レール6の長手方向に並んで位置させて、夫々に備えさせた物品移載装置12により物品Bを移載することができるように構成されている。ちなみに、搬入される物品Bは、搬送方向下手側の第2物品支持部5bが空いているときには、この第2物品支持部5bに搬送する前詰め搬送状態で、第1物品支持部5a及び第2物品支持部5bに搬入されるようになっている。
【0024】
前記スタッカークレーン3は、同一の走行レール6を走行するように走行レール6の長手方向に並ぶ状態で2台設けられている。この実施形態では、走行レール6の長手方向に沿う並び順序において、物品支持部5に近接する側を第1スタッカークレーン3aとし、物品支持部5から離れる側を第2スタッカークレーン3bとして説明する。
【0025】
2台のスタッカークレーン3の夫々は、図3に示すように、走行レール6に沿って往復走行自在な走行体としての走行台車9、その走行台車9に立設された昇降案内マスト10に沿って昇降自在な昇降体としての昇降台11、その昇降台11に装備の物品移載手段としての物品移載装置12を備えて構成されている。ちなみに、物品移載装置12については、図示は省略するが、走行レール6の長手方向とは直交する方向に物品Bを搬送自在なコンベヤを昇降台11に対して走行レール6の長手方向とは直交する方向に出退自在に備え、コンベヤを昇降台11から突出させた状態で作動させることにより移載対象から物品Bを受け取る又は移載対象に物品Bを卸すことが可能な物品移載装置を適応することができる。
【0026】
2台のスタッカークレーン3の夫々には、単一の昇降案内マスト10が設けられており、この単一の昇降案内マスト10は、走行レール6の長手方向に隣り合うスタッカークレーン3から離れる側の走行台車9の端部部分に立設されている。
そして、昇降案内マスト10の上端部には、ガイドレール7にて案内されるように上部フレーム13が設けられている。
【0027】
前記昇降台11は、走行台車9に立設した昇降案内マスト10にて昇降自在に案内支持されており、昇降用ワイヤ14にて吊下げ支持されている。
前記昇降用ワイヤ14は、上部フレーム13に設けた案内プーリ15と一方の昇降案内マスト10に設けた案内プーリ16とに巻き掛けられて、走行台車9の一端に装備した巻き取りドラム17に連結されている。
そして、巻き取りドラム17をインバータ式の昇降用電動モータ18にて正逆に回転駆動させて、昇降用ワイヤ14の繰り出し操作又は巻き取り操作によって昇降台11を昇降させるように構成されている。
【0028】
前記昇降台11には、昇降台11の昇降位置を検出する昇降用ロータリエンコーダ19が設けられている。この昇降用ロータリエンコーダ19は、昇降案内マスト10の長手方向における基準昇降位置からの昇降台11の昇降距離を検出する昇降距離検出手段として構成されている。
前記基準昇降位置は、昇降台11が走行台車9上に位置するときの物品移載装置12の位置に定められている。この基準昇降位置については、図示は省略するが、昇降台11側に装備のリミットスイッチなどの検出体にて走行台車9側に装備の被検出ドグを検出することにより基準昇降位置を検出するようにしている。そして、昇降用ロータリエンコーダ19の回転軸には、昇降案内マスト10の長手方向に沿って設けられたチェーンに歯合するスプロケットが設けられ、基準昇降位置を検出してからの昇降台11の昇降距離を検出している。
【0029】
2台のスタッカークレーン3の夫々において、走行台車9には、走行レール6の長手方向に間隔を隔てて前後一対の走行車輪20が配置されている。
また、前後一対の走行車輪20の夫々には、走行レール6に対して下方側から接触することにより、走行レール6に対して上方への移動が規制されるように接触して走行車輪20の走行レール6からの浮上を規制するバックアップローラ29が設けられている。
【0030】
前後一対の走行車輪20のうち、走行レール6の長手方向に隣り合うスタッカークレーン3から離れる側に位置する走行車輪20aを駆動するインバータ式の走行用電動モータ21が設けられ、この走行車輪20aが推進用の走行車輪として構成されている。一対の走行車輪20のうち、走行レール6の長手方向に隣り合うスタッカークレーン3に近い側に位置する走行車輪20bが遊転自在な従動車輪として構成されている。
【0031】
前記走行レール6の両端部には、図1及び図3に示すように、走行レール6の長手方向に測距用のビーム光を投射する走行用レーザ測距計22が1つずつ設けられている。この走行用レーザ測距計22は、走行台車9に設置されている反射体23に向けて投射して走行台車9までの距離を検出している。
そして、地上側コントローラ8が設置された側の端部に配設された第1走行用レーザ測距計22aは、第1スタッカーク3aにおける走行台車9の走行位置を検出し、且つ、地上側コントローラ8が設置された側とは反対側の端部に配設された第2走行用レーザ測距計22bは、第2スタッカークレーン3bにおける走行台車9の走行位置を検出するように構成されている。
【0032】
2台のスタッカークレーン3の夫々には、図4に示すように、走行用電動モータ21を作動させる状態と物品移載装置12を作動させる状態とに切換自在な走行用インバータ24、昇降用電動モータ18を作動させる昇降用インバータ25、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報を出力可能な入出力装置26が設けられている。
【0033】
地上側に設けられた地上側コントローラ8、2台のスタッカークレーン3の夫々に設けられた走行用インバータ24、昇降用インバータ25、入出力装置26の夫々には、通信コントローラ(図示は省略)が備えられている。また、地上側コントローラ8と第1スタッカークレーン3aとの間で情報の授受を行うための第1光伝送装置27と、地上側コントローラ8と第2スタッカークレーン3bとの間で情報の授受を行うための第2光伝送装置28とが設けられている。
【0034】
第1光伝送装置27及び第2光伝送装置28は、地上側の光伝送装置27a,28aとスタッカークレーン3側の光伝送装置27b,28bとの間で光伝送により情報の授受を行うように構成されている。地上側の光伝送装置27a,28aは、図1に示すように、走行レール6の端部に配設されている。第1光伝送装置27における地上側の光伝送装置27aは、第1走行用レーザ測距計22aの側脇に配設され、第2光伝送装置28における地上側の光伝送装置28aは、第2走行用レーザ測距計22bの側脇に配設されている。
【0035】
そして、地上側コントローラ8に備えられた通信コントローラ、走行用インバータ24、昇降用インバータ25及び入出力装置26の夫々に備えられた通信コントローラ、第1光伝送装置27、第2光伝送装置28によって、通信ネットワークが構成されている。この通信ネットワークでは、地上側コントローラ8をマスタとし、走行用インバータ24、昇降用インバータ25、入出力装置26をスレーブとして構成されている。
【0036】
前記第1走行用レーザ測距計22a及び第2走行用レーザ測距計22bの検出情報が地上側コントローラ8に入力されており、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aにおける走行台車9の走行位置、及び、第2スタッカークレーン3bにおける走行台車9の走行位置を管理するように構成されている。
また、2台のスタッカークレーン3の夫々に設けられた昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報が上述の通信ネットワークを介して地上側コントローラ8に入力されており、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11の昇降位置、及び、第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11の昇降位置を管理するように構成されている。
【0037】
前記地上側コントローラ8は、上述の通信ネットワークを介して、2台のスタッカークレーン3の夫々における走行用インバータ24及び昇降用インバータ25に各種の指令を与えて、2台のスタッカークレーン3の夫々における走行台車9の走行作動、昇降台11の昇降作動及び物品移載装置12の物品移載作動を制御することにより、2台のスタッカークレーン3の作動を制御するように構成されている。
【0038】
そして、地上側コントローラ8は、収納部4と物品支持部5との間で物品Bを搬送する物品搬送作動を行わせる物品搬送作動用のスタッカークレーン3を2台のスタッカークレーン3の全てとする全作動モードと、物品搬送作動用のスタッカークレーン3を2台のスタッカークレーン3の一部とする一部作動モードとに切換自在に構成されている。
【0039】
以下、全作動モードについて説明する。
前記地上側コントローラ8は、図5に示すように、2台のスタッカークレーン3のうちの走行レール6の長手方向に沿う並び順序において物品支持部5から離れる側のものほど複数の収納部4のうちの物品支持部5から離れる側に位置する収納部4を移載対象として割り当てる状態で、2台のスタッカークレーン3の全てを物品支持部5と複数の収納部4のうちの各スタッカークレーン3の夫々が移載対象とする収納部4との間を同時に走行させる形態で物品Bの搬送を行わせるように、2台のスタッカークレーン3の作動を制御する全移動体作動搬送処理を実行するように構成されている。
【0040】
前記全移動体作動搬送処理について説明を加える。
前記地上側コントローラ8が、2台のスタッカークレーン3の夫々について複数の収納部4のうちから移載対象の収納部4を割り当てるのであるが、第1スタッカークレーン3aよりも第2スタッカークレーン3bの方が複数の収納部4のうちの物品支持部5から離れる側に位置する収納部4を移載対象の収納部として割り当てるように構成されている。また、物品支持部5については、第1スタッカークレーン3aにおける移載対象を第1物品支持部5aに割り当て且つ第2スタッカークレーン3aにおける移載対象を第2物品支持部5bに割り当てるように構成されている。
【0041】
前記物品支持部5の物品Bを収納部4に搬送する場合には、地上側コントローラ8が、まず、第1スタッカークレーン3aに備えさせた物品移載装置12を第1物品支持部5aに対応する目標停止位置に位置させ且つ第2スタッカークレーン3bに備えさせた物品移載装置12を第2物品支持部5bに対応する目標停止位置に位置させるべく、2台のスタッカークレーン3の夫々に備えさせた2つの走行台車9の走行作動及び2つの昇降台11の昇降作動を制御し、且つ、2つの物品移載装置12の夫々にて物品支持部5から2つの物品Bを各別に受け取るべく、2台のスタッカークレーン3の夫々に備えさせた2つの物品移載装置12の物品移載作動を制御するように構成されている。
そして、物品支持部5から2つの物品Bを受け取ると、地上側コントローラ8が、物品支持部5と移載対象の収納部4との間を2つの走行台車9を同時に走行させる状態で、第1スタッカークレーン3aに備えさせた物品移載装置12を第1スタッカークレーン3aにおける移載対象の収納部4に対応する目標停止位置に移動させ且つ第2スタッカークレーン3bに備えさせた物品移載装置12を第2スタッカークレーン3bにおける移載対象の収納部4に対応する目標停止位置に移動させるべく、2台のスタッカークレーン3の夫々に備えさせた2つの走行台車9の走行作動及び2つの昇降台11の昇降作動を制御し、且つ、2台のスタッカークレーン3の夫々に備えさせた2つの物品移載装置12の夫々が移載対象の収納部4に物品Bを収納すべく、2台のスタッカークレーン3の夫々に備えさせた2つの物品移載装置12の物品移載作動を制御するように構成されている。
【0042】
前記収納部4に収納されている物品Bを物品支持部5に搬送する場合には、物品支持部5の物品Bを収納部4に搬送する場合とは逆の動作を行うだけであるので、簡略して説明する。
前記地上側コントローラ8が、2台のスタッカークレーン3の夫々に備えさせた2つの物品移載装置12の夫々が移載対象の収納部4から物品Bを受け取り、その受け取った物品Bを2つの物品移載装置12の夫々が物品支持部5に移載すべく、2台のスタッカークレーン3の夫々に備えさせた2つの走行台車9の走行作動、2つの昇降台11の昇降作動、及び、2つの物品移載装置の物品移載作動を制御するように構成されている。
【0043】
前記地上側コントローラ8による走行台車9の走行作動の制御について説明を加える。
前記地上側コントローラ8は、走行用レーザ測距計22の検出情報から求めた走行速度が設定走行速度パターンにしたがって推移すべく、通信ネットワークを介して目標走行速度を指令する走行速度指令情報を設定時間が経過するごとに走行用インバータ24に指令する。前記走行用インバータ24は、走行台車9の走行速度が走行速度指令情報にて指令された目標走行速度になるように走行用電動モータ21に与える電流値を調整する。
そして、地上側コントローラ8は、走行用レーザ測距計22の検出情報に基づいて、走行台車9が目標停止位置に対応する位置に達すると、通信ネットワークを介して走行停止を指令する走行停止指令情報を走行用インバータ24に指令する。前記走行用インバータ24は、走行停止指令情報により、走行用電動モータ21の作動を停止させ且つブレーキをかけて、走行台車9の走行作動を停止させる。
【0044】
ちなみに、設定走行速度パターンは、走行台車9の目標走行速度を時間経過に対応させた状態で定めたものである。そして、走行台車9の走行の初期においては走行台車9の走行速度を設定加速度で定常速度に増速し、その後においてはその走行速度を定常速度に維持する。走行台車9の走行を開始してからの経過時間が減速開始用経過時間に達すると、走行速度を設定減速度で停止用速度(クリープ速度)に減速し、その後においては走行速度を停止用速度に維持し、走行台車9が目的の走行位置に到達することにより走行台車9の走行を停止させる。このときの設定加速度、定常速度、設定減速度、停止用速度は、予め実験などにより定めた設定値である。
【0045】
前記地上側コントローラ8による昇降台11の昇降作動の制御について説明を加える。
前記地上側コントローラ8は、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報から求めた昇降速度が設定昇降速度パターンにしたがって推移すべく、通信ネットワークを介して目標昇降速度を指令する昇降速度指令情報を設定時間が経過するごとに昇降用インバータ25に指令する。前記昇降用インバータ25は、昇降台11の昇降速度が昇降速度指令情報にて指令された目標昇降速度になるように昇降用電動モータ18に与える電流値を調整する。
そして、地上側コントローラ8は、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、昇降台11の昇降位置が目標停止位置に対応する位置に達すると、通信ネットワークを介して昇降停止を指令する昇降停止指令情報を昇降用インバータ25に指令する。前記昇降用インバータ25は、昇降停止指令情報により、昇降用電動モータ18の作動を停止させ且つブレーキをかけて、昇降台11の昇降作動を停止させる。
ちなみに、設定昇降速度パターンは、上述の設定走行速度パターンと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0046】
前記地上側コントローラ8による物品移載装置12の物品移載作動の制御について説明を加えると、地上側コントローラ8は、物品移載装置12にて物品Bを移載させるべく、通信ネットワークを介して移載指令情報を走行用インバータ24に指令する。そして、走行用インバータ24は、移載指令情報により、物品移載装置12を物品移載作動させて、移載対象との間で物品Bを移載させる。
【0047】
以下、一部作動モードについて説明する。
前記地上側コントローラ8は、図6に示すように、2台のスタッカークレーン3のうちの走行レール6の長手方向に沿う並び順序において物品支持部5に近接する側の一部のものを物品搬送作動用のスタッカークレーン3として選択する状態で、その選択された一部のスタッカークレーンを物品支持部5と複数の収納部4のうちのスタッカークレーン3が移載対象とする収納部4との間を走行させ且つ2台のスタッカークレーン3のうちの物品搬送作動用のスタッカークレーン3として選択されないスタッカークレーン3を物品搬送作動用のスタッカークレーン3として選択されたスタッカークレーン3の走行範囲から退避させた退避位置に走行させる形態で物品Bの搬送を行わせるように、2台のスタッカークレーン3の作動を制御する一部移動体作動搬送処理を実行するように構成されている。
そして、地上側コントローラ8は、一部移動体作動搬送処理において、図1及び図6に示すように、走行レール6の長手方向において物品支持部5が存在する側とは反対側であって且つ物品収納棚1より外側となる退避用設定位置30を、2台のスタッカークレーン3のうちの物品搬送作動用の移動体として選択されないスタッカークレーン3の退避位置として定めるように構成されている。
【0048】
前記一部移動体作動搬送処理について説明を加える。
前記地上側コントローラ8は、第1スタッカークレーン3aを物品搬送作動用のスタッカークレーン3として選択し且つ第2スタッカークレーン3bを物品搬送作動用のスタッカークレーン3として選択しない。そして、地上側コントローラ8は、第1スタッカークレーン3aにおける移載対象の物品支持部5を第2物品支持部5bに割り当て且つ第1スタッカークレーン3aにおける移載対象の収納部4を複数の収納部4のいずれかを割り当てるように構成されている。
【0049】
前記地上側コントローラ8は、第2スタッカークレーン3bを退避用設定位置30に走行させるべく、第2スタッカークレーン3bの作動を制御するとともに、物品支持部5と収納部4との間での物品搬送作動を第1スタッカークレーン3aに行わせるべく、第1スタッカークレーン3aの作動を制御するように構成されている。
【0050】
前記地上側コントローラ8による第2スタッカークレーン3bの作動の制御について説明を加えると、地上側コントローラ8は、上述の走行台車9の走行作動の制御と同様に、地上側コントローラ8が、走行用レーザ測距計22の検出情報から求めた走行速度が設定走行速度パターンにしたがって推移すべく、通信ネットワークを介して目標走行速度を指令する走行速度指令情報を設定時間が経過するごとに走行用インバータ24に指令する状態で、走行台車9を走行作動させるように構成されている。
そして、地上側コントローラ8は、第2走行用レーザ測距計22bの検出情報に基づいて、走行台車9が退避用設定位置30に対応する位置に達すると、通信ネットワークを介して走行停止を指令する走行停止指令情報を走行用インバータ24に指令して、走行台車9の走行作動を停止させるように構成されている。ちなみに、退避用設定位置30に対応する位置は予め設定されている。
【0051】
前記地上側コントローラ8による第1スタッカークレーン3aの作動の制御について説明を加える。
前記物品支持部5の物品Bを収納部4に搬送する場合には、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aに備えさせた物品移載装置12を第2物品支持部5bに対応する目標停止位置に位置させるべく、第1スタッカークレーン3aに備えさせた走行台車9の走行作動及び昇降台11の昇降作動を制御し、且つ、第1スタッカークレーン3aに備えさせた物品移載装置12にて第2物品支持部5bから物品Bを受け取るべく、第1スタッカークレーン3aに備えさせた物品移載装置12の物品移載作動を制御するように構成されている。
そして、物品移載装置12にて物品Bを受け取ると、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aに備えさせた物品移載装置12を移載対象の収納部4に対応する目標停止位置に位置させるべく、第1スタッカークレーン3aに備えさせた走行台車9の走行作動及び昇降台11の昇降作動を制御し、且つ、移載対象の収納部4に物品Bを収納すべく、第1スタッカークレーン3aに備えさせた物品移載装置12の物品移載作動を制御するように構成されている。
【0052】
前記収納部4に収納されている物品Bを物品支持部5に搬送する場合には、物品支持部5の物品Bを収納部4に搬送する場合とは逆に、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3に備えさせた物品移載装置12にて移載対象の収納部4から物品Bを受け取り、その受け取った物品Bを第1スタッカークレーン3に備えさせた物品移載装置12にて第2物品支持部5bに移載すべく、第1スタッカークレーン3の夫々に備えさせた走行台車9の走行作動、昇降台11の昇降作動、及び、物品移載装置の物品移載作動を制御するように構成されている。
【0053】
前記地上側コントローラ8による全作動モードと一部作動モードとの切換について説明すると、地上側コントローラ8は、物品収納棚1と物品支持部5との間で搬送する物品搬送処理量を管理している。
説明を加えると、地上側コントローラ8は、搬入コンベヤ51における搬入物品検出センサ53の検出情報に基づいて、搬入物品検出センサ53の設置位置から物品支持部5までの間の物品数を求めて、単位時間当りの入庫用物品搬送処理量を管理するように構成されている。また、地上側コントローラ8は、収納部4に収納された物品Bを物品支持部5に出庫することを要求する出庫要求情報に基づいて、収納部4から物品支持部5に搬送する物品数を単位時間ごとに求めて、単位時間当りの出庫用物品搬送処理量を管理するように構成されている。このようにして、地上側コントローラ8は、単位時間当りの入庫用物品搬送処理量と単位時間当りの出庫用物品搬送処理量とを管理する状態で、単位時間当りの物品搬送処理量を管理するように構成されている。
ちなみに、物品搬送処理量の管理については、例えば、地上側コントローラ8が、どの時間帯に何個の物品を入庫するかを示す入庫要求情報及びどの時間帯に物品を何個出庫するかを示す出庫要求情報に基づいて、どの時間にどの物品の搬送を行うかを定めた1日の物品搬送処理スケジュールを管理して、その物品搬送処理スケジュールに基づいて、単位時間当りの物品搬送処理量を管理することもでき、その他各種の構成により物品搬送処理量を管理することができる。
【0054】
図7のフローチャートにて示すように、地上側コントローラ8は、単位時間が経過するごとに単位時間当りの物品搬送処理量が設定処理量以上であるか否かを判別する(ステップ1)。そして、地上側コントローラ8は、単位時間当りの物品搬送処理量が設定処理量以上であるときには、全移動体作動搬送処理を実行する(ステップ2)。また、地上側コントローラ8は、単位時間当りの物品搬送処理量が設定処理量よりも少ないときには、一部移動体作動搬送処理を実行する(ステップ3)。
【0055】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、地上側コントローラ8が、一部移動体作動搬送処理において、退避用設定位置30を物品搬送作動用のスタッカークレーン3として選択されないスタッカークレーン3の退避位置と定めて、その退避用設定位置30に物品搬送作動用のスタッカークレーン3として選択されないスタッカークレーン3を走行させるようにしているが、物品搬送作動用のスタッカークレーン3として選択されないスタッカークレーン3の退避位置は、物品搬送作動用のスタッカークレーン3として選択されたスタッカークレーン3の走行範囲から退避させた位置であればよく、退避用設定位置30に限るものではない。
【0056】
(2)上記実施形態では、地上側コントローラ8が、物品搬送処理量を管理して、その物品搬送処理量が設定処理量以上であるか否かによって、全移動体作動搬送処理を実行するか又は一部移動体作動搬送処理を実行するかを切り換えるようにしているが、例えば、1日のうちで、全移動体作動搬送処理を実行する時間帯と一部移動体作動搬送処理を実行する時間帯とを設定しておき、地上側コントローラ8が、現在どちらの時間帯にあるかを判別することにより、全移動体作動搬送処理を実行するか又は一部移動体作動搬送処理を実行するかを切り換えるようにすることもできる。
このように、地上側コントローラ8が、どのような条件に基づいて、全移動体作動搬送処理を実行するか又は一部移動体作動搬送処理を実行するかを切り換えるかは適宜変更が可能である。
【0057】
(3)上記実施形態では、2台のスタッカークレーン3の作動を制御するに当り、1つの地上側コントローラ8を設けているが、2台のスタッカークレーン3の作動をどのような構成にて制御するかは適宜変更が可能である。例えば、地上側コントローラに加えて、2台のスタッカークレーン3の夫々にクレーン側コントローラを備え、地上側コントローラとクレーン側コントローラとの間で各種の情報を通信することにより、2台のスタッカークレーン3の作動を制御することができる。
【0058】
(4)上記実施形態では、走行レール6における走行台車9の走行位置を検出する手段として、走行用レーザ測距計22を例示しているが、例えば、走行台車9の走行に伴って回転自在なロータリエンコーダなどを適応することができ、その他各種の構成を適応することができる。
また、昇降台11の昇降位置を検出する手段についても、昇降用ロータリエンコーダ19に限らず、レーザ測距計を適応することができ、その他各種の構成を適応することができる。
【0059】
(5)上記実施形態では、コンベヤ51の一部を物品支持部5としているが、物品支持部5として、単に、物品Bを載置支持する荷載置台を設けることもでき、物品支持部5をどのように構成するかは適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、第2物品支持部5bに搬送する前詰め搬送状態で、第1物品支持部5a及び第2物品支持部5bに搬入するようにしているが、第1物品支持部5a及び第2物品支持部5bのどちらに搬入するかを選択しながら、第1物品支持部5a及び第2物品支持部5bに物品Bを搬入することもできる。この場合、地上側コントローラ8は、一部移動体作動搬送処理においては、第1物品支持部5a及び第2物品支持部5bのうち、物品Bが搬入される側を移載対象の物品支持部5として割り当てるように構成されている。
【0060】
(6)上記実施形態では、スタッカークレーン3を2台設けた例を示したが、例えば、スタッカークレーン3を3台設けることもでき、スタッカークレーン3の台数は適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】物品収納設備の平面図
【図2】物品収納設備の側面図
【図3】スタッカークレーンの側面図
【図4】物品収納設備の制御ブロック図
【図5】全移動体作動搬送処理における動作を示す図
【図6】一部移動体作動搬送処理における動作を示す図
【図7】地上側のコントローラの動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0062】
1 物品収納部としての物品収納棚
3 物品搬送用の移動体としてのスタッカークレーン
4 収納部
5 入出庫用の物品支持部
6 走行経路
8 制御手段
9 走行体
10 昇降案内マスト
11 昇降体
12 物品移載手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部を水平方向に複数並べて備えた物品収納部と、
前記物品収納部とその物品収納部の側脇に設けられた入出庫用の物品支持部との間で物品を搬送すべく、水平方向に沿う走行経路を走行自在で且つ物品移載手段を備えた複数台の物品搬送用の移動体と、
複数台の前記移動体の作動を制御する制御手段とが設けられている物品収納設備であって、
前記物品支持部が、前記走行経路の長手方向において前記物品収納部の一方側に配置され、且つ、複数台の前記移動体を前記走行経路の長手方向に並んで位置させて、夫々に備えさせた前記物品移載手段により物品を移載することができるように構成され、
前記制御手段が、
前記収納部と前記物品支持部との間で物品を搬送する物品搬送作動を行わせる物品搬送作動用の移動体を複数台の前記移動体の全てとする全作動モードと、前記物品搬送作動用の移動体を複数台の前記移動体の一部とする一部作動モードとに切換自在に構成され、且つ、
前記全作動モードにおいては、複数台の前記移動体のうちの前記走行経路の長手方向に沿う並ぶ順序において前記物品支持部から離れる側のものほど複数の前記収納部のうちの前記物品支持部から離れる側に位置する前記収納部を移載対象として割り当てる状態で、複数台の前記移動体の全てを前記物品支持部と複数の前記収納部のうちの各移動体の夫々が移載対象とする収納部との間を同時に走行させる形態で物品の搬送を行わせるように、複数台の前記移動体の作動を制御する全移動体作動搬送処理を実行するように構成され、かつ、
前記一部作動モードにおいては、複数台の前記移動体のうちの前記走行経路の長手方向に沿う並び順序において前記物品支持部に近接する側の一部のものを前記物品搬送作動用の移動体として選択する状態で、その選択された一部の移動体を前記物品支持部と複数の前記収納部のうちの移動体が移載対象とする収納部との間を走行させ且つ複数台の前記移動体のうちの前記物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体を前記物品搬送作動用の移動体として選択された移動体の走行範囲から退避させた退避位置に走行させる形態で物品の搬送を行わせるように、複数台の前記移動体の作動を制御する一部移動体作動搬送処理を実行するように構成されている物品収納設備。
【請求項2】
前記制御手段が、前記一部移動体作動搬送処理において、前記走行経路の長手方向において前記物品支持部が存在する側とは反対側であって且つ前記物品収納部より外側となる位置を、複数台の前記移動体のうちの前記物品搬送作動用の移動体として選択されない移動体の前記退避位置と定めるように構成されている請求項1に記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記制御手段が、前記物品収納部と前記物品支持部との間で搬送する物品搬送処理量を管理して、その物品搬送処理量が設定処理量よりも多いときには、前記全移動体作動搬送処理を実行し且つその物品搬送処理量が設定処理量よりも少ないときには、前記一部移動体作動搬送処理を実行するように構成されている請求項1又は2に記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記物品収納部が、前記収納部を水平方向及び上下方向に複数並べて備えた物品収納棚にて構成され、
前記移動体は、前記走行経路を走行自在な走行体と、前記物品移載手段を装備して前記走行体に立設された昇降案内マストに沿って昇降自在な昇降体とを備えたスタッカークレーンにて構成され、
前記スタッカークレーンが、2台設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品収納設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−63036(P2008−63036A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240322(P2006−240322)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】