説明

画像処理システムおよび画像処理装置、端末装置

【課題】外部端末から合成対象の画像データを着脱などの作業を伴うことなく簡単に入手して元画像上の指定位置へ合成することのできる画像処理システムを提供する。
【解決手段】合成対象の画像データと照合用の指紋データは端末装置30に予め記憶されている。複合機10はタッチパネルを備えた表示部を備え、表示部に元画像を表示し、該元画面上でユーザが合成希望位置を指で押下すると、その押下位置を認識しかつ指の指紋を読み取る。押下中はそのユーザの指および体が通信路となって複合機10と端末装置30が通信可能に接続され、指紋データが授受されて指紋照合が行われる。照合に成功すると複合機10は端末装置30から画像データを入手し、この画像データを元画像の指定された合成位置に合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ中の指定位置に別の画像データを合成する画像処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示部に表示されている画像にスタンプなどの小画像を合成し、その合成後の画像をファクシミリ送信したり、プリントアウトしたりすることのできる複合機がある。
【0003】
たとえば、複合機に印鑑データ(印鑑画像)を予め登録しておき、画像データの中の指定位置に印鑑データを合成するものがある。詳細には、事前準備として、各ユーザの指紋情報とそのユーザの印鑑データとを複合機に登録する。実際の貼り付け作業では、タッチパネル機能を有する表示部に印鑑データを貼り付けるべき画像データの全体を表示する。そして、この画像データの表示領域内にユーザの指が触れたことをタッチパネルが感知すると、当該接触情報から、指の位置を認識して印鑑データの貼付位置を決定すると共に、接触情報から取得した指紋情報に対応付けされた印鑑データを、登録されている印鑑データの中から選出し、該印鑑データを画像データに貼り付けるようになっている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−92490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示部を指で触れるだけで、その触れた位置にその触れたユーザの印鑑画像が合成されることは便利であるが、多人数に共用される複合機に予めユーザの指紋情報や印鑑データを登録することは、セキュリティ上好ましくない。
【0006】
また、指紋情報や印鑑データを予め複合機に登録しておかなければ、上記の機能を利用できないので不便である。また、合成後の画像の控えが必要であっても、それを残す方法がなかった。
【0007】
複合機の内部に指紋情報や印鑑データを登録する代わりに、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのリムーバブルの記憶媒体に指紋情報や印鑑データを予め記憶させておき、これを複合機に挿着する方法も想定されるが、USBメモリなどの着脱作業が煩雑であると共に、抜き忘れによる情報漏洩が懸念される。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、合成対象のデータを着脱などの作業を伴うことなく外部端末から簡単に入手して指定の位置へ画像合成することのできる画像処理システムおよびこれに含まれる画像処理装置、端末装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]画像データに基づく画像を表示する表示部と、
前記表示部の画面の押下された位置を検出する検出部と、
前記表示部の画面を押下している人体を通信路にして接続された端末装置と通信する通信部と、
前記表示部の画面が押下されている間に前記通信部に前記端末装置から所定のデータを取得させると共に、前記表示部に表示されている画像の画像データに対して、取得した前記データに基づく画像データを、前記検出部によって検出された前記押下の位置に対応する合成位置に合成する制御部と、
を備えた画像処理装置と、
前記データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記データを前記表示部の画面を押下している人体を通信路にして前記画像処理装置へ送信する通信部と、
を備えた端末装置と
を有する
ことを特徴とする画像処理装置システム。
【0011】
上記発明では、画像処理装置の表示部の画面が押下されたとき、画像処理装置はその押下位置を検出すると共にその押下したユーザの指および体を通信路にして接続された端末装置から合成対象の画像に係るデータを取得し、表示部に表示されている画像内の押下位置に合成対象の画像を合成する。これにより、ユーザは、元画像の表示された表示部の画面上を指で押下するだけで、該ユーザが携帯する端末装置に予め記憶されているデータに基づく合成対象の画像を、元画像内の押下位置に合成することができ、きわめて高い利便性が提供される。また、合成対象の画像に係るデータは個人の端末装置に記憶され、共用される画像処理装置に記憶されないので、セキュリティを確保することができる。
【0012】
[2]前記画像処理装置は、前記表示部の画面を押下している指の指紋情報を取得する指紋検出部をさらに備え、前記制御部は、前記通信路で接続された前記端末装置に前記指紋検出部が取得した指紋情報を送信し、
前記端末装置は、前記記憶部に照合用の指紋情報をさらに記憶しており、前記画像処理装置から受信した前記指紋情報と前記記憶部に記憶されている前記照合用の指紋情報とを照合し、その照合結果を前記画像処理装置に前記通信路を通じて送信し、
前記画像処理装置は、前記端末装置から照合成功の照合結果を受信した場合は前記合成を行い、照合成功の照合結果を受信しない場合は前記合成を行わない
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理システム。
【0013】
上記発明では、画像処理装置は、表示部が指で押下されたときに指紋情報を読み取ってその指紋情報を端末装置に人体を通じて送信し、端末装置は自装置に予め記憶している照合用の指紋情報と画像処理装置から受信した指紋情報とを照合してその照合結果を画像処理装置に返信する。画像処理装置が照合成功の場合のみ、その端末装置から入手される画像の合成を行う。照合用の指紋情報を記憶している端末装置で指紋照合が行われるので、照合用の指紋情報の漏洩が防止される。
【0014】
[3]前記画像処理装置は、前記表示部の画面を押下している指の指紋情報を取得する指紋検出部をさらに備え、前記制御部は、前記通信路で接続された前記端末装置に対して照合用の指紋情報の送信要求を送信し、
前記端末装置は、前記記憶部に照合用の指紋情報をさらに記憶しており、前記送信要求に応じて前記照合用の指紋情報を前記画像処理装置に前記通信路を通じて送信し、
前記画像処理装置は、前記端末装置から受信した前記照合用の指紋情報と前記指紋検出部が取得した指紋情報とを照合し、該照合結果が照合成功の場合は前記合成を行い、照合成功でない場合は前記合成を行わない
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理システム。
【0015】
上記発明では、画像処理装置は、表示部が指で押下されたときに指紋情報を読み取ると共に、端末装置が予め記憶している照合用の指紋情報を該端末装置から受け取り、この照合用指紋情報と読み取った指紋情報との指紋照合を行う。そして、照合成功の場合のみ、端末装置から入手される画像の合成を行う。画像処理装置側で指紋照合を行うので、端末装置の処理負担が軽減される。
【0016】
[4]前記画像処理装置は、前記合成した後の画像データを前記端末装置へ前記通信路を通じて送信し、
前記画像データを受信した前記端末装置は該画像データを前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【0017】
上記発明では、合成後の画像データが端末装置に控えとして記憶される。
【0018】
[5]前記画像処理装置は、前記合成位置を微調整する操作を受ける微調整設定部をさらに有する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【0019】
上記発明では、指で押下した位置を微調整して合成位置を決定することができる。
【0020】
[6]前記画像処理装置は、前記端末装置から受信した複数のデータの中から前記合成の対象にするデータの選択操作を受ける合成対象選択部をさらに有する
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【0021】
上記発明では、端末装置に記憶されている複数のデータの中から、合成対象の画像を選択することができる。
【0022】
[7]前記画像処理装置が前記端末装置から取得する合成対象のデータは、テキストデータであり、
前記制御部は、前記テキストデータを2次元バーコード化して得た画像データを合成する
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【0023】
上記発明では、端末装置に記憶されているテキストデータが2次元バーコード化されて元画像に合成される。
【0024】
[8][1]乃至[7]のいずれか一項に記載の画像処理システムに含まれる画像処理装置。
【0025】
[9][1]乃至[7]のいずれか一項に記載の画像処理システムに含まれる端末装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る画像処理システム、画像形成装置、端末装置によれば、合成対象のデータを着脱などの作業を伴うことなく外部端末から簡単に入手して指定の位置へ画像合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理システムのシステム構成例を示す説明図である。
【図2】画像処理装置としての複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】非認証モードかつ端末装置に1つのデータのみが登録されている場合における画像合成のシーケンスを示す説明図である。
【図5】図4のシーケンスにおける複合機の動作を示す流れ図である。
【図6】図4のシーケンスにおける端末装置の動作を示す流れ図である。
【図7】非認証モードかつ端末装置に複数のデータが登録されている場合における画像合成のシーケンスを示す説明図である。
【図8】図7のシーケンスにおける複合機の動作を示す流れ図である。
【図9】図7のシーケンスにおける端末装置の動作を示す流れ図である。
【図10】非認証モードかつ端末装置にデータが1つのみ登録され、かつ合成位置の微調整を受ける場合における画像合成のシーケンスを示す説明図である。
【図11】図10のシーケンスにおける複合機の動作を示す流れ図である。
【図12】合成位置の指定を受ける画面が表示された操作パネルの一例を示す正面図である。
【図13】端末装置で指紋照合を行う場合の画像合成のシーケンスを示す説明図である。
【図14】図13のシーケンスにおける複合機の動作を示す流れ図である。
【図15】図13のシーケンスにおける端末装置の動作を示す流れ図である。
【図16】複合機で指紋照合を行う場合の画像合成のシーケンスを示す説明図である。
【図17】図16のシーケンスにおける複合機の動作を示す流れ図である。
【図18】図16のシーケンスにおける端末装置の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理システム5のシステム構成例を示している。画像処理システム5は、画像処理装置としての複合機10と、この複合機10を操作するユーザがポケットに入れたり身に付けたりして携帯する端末装置30とから構成される。
【0030】
複合機10は、原稿画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へ送信したりするスキャン機能、パーソナルコンピュータなどの外部端末から受信した印刷ジョブに係る画像を記録紙上に形成して出力するPCプリント機能、画像データを送受信するファクシミリ機能などを備えた複合機と称される装置である。
【0031】
さらに複合機10は、表示している文書などの元画像にスタンプや印影等の合成対象の画像を挿入・合成して送信やプリントアウトする機能を備えている。合成対象画像に係るデータは端末装置30に予め記憶されている。この端末装置30を身に着けたユーザが、元画像の表示された複合機10の表示部画面上の合成希望位置に指で触れると、該ユーザの人体が通信路となって複合機10と端末装置30とが接続される。複合機10はこの人体通信路を通じて端末装置30からデータを取得する。複合機10は、ユーザが指で押下した位置を検出する検出部としてのタッチパネルを表示部画面上に備えており、検出した押下位置から画像の合成位置を決定し、表示部に表示されている元画像上の該合成位置に、端末装置30から取得したデータに基づく画像を合成する機能を備えている。
【0032】
さらに印影データのようにセキュリティが求められる画像を合成する場合には、指紋照合により本人認証を行うようになっている。画像処理システム5では、端末装置30に照合用の指紋データが予め記憶されており、複合機10はユーザが表示部を指で押下したときにその指の指紋を読み取る機能を有している。そして、複合機10が読み取った指紋の指紋データと端末装置30に予め記憶されている照合用の指紋データとを複合機10もしくは端末装置30で照合し、本人認証に成功した場合にのみ、元画像への画像合成が行われるようになっている。
【0033】
人体を通信路とする通信方法(人体通信とも称する)には、電流方式と電界方式とがある。人体通信は、人体を通信路として近距離のデータ通信を行う技術であり、電流方式は、人体に微弱な電流(交流)を流し、その電流にデータ(情報)をのせることで通信する方式である。腕時計型などの通信機を装着した手で情報端末の電極にタッチするだけでデータ通信が可能となるものである。電界方式では、人体の近傍に電界を発生させる事で誘電体である人体が誘電分極し、人体全体が電界をまとった通信路になる。電界方式は、この電界の変動を信号として検出するので、送受信機と人体は直接触れている必要がなく、信号経路の間に絶縁体があっても通信が成立する。端末装置30は、人体通信の機能を備えており、カード型(例えば従業員証に埋め込む)、腕時計型、鍵型などの形態とすることができる。
【0034】
図2は、複合機10の概略構成を示すブロック図である。複合機10は、当該複合機10の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)11にバス12を介して、読取部13と、記録部14と、ROM(Read Only Memory)15と、RAM(Random Access Memory)16と、表示部17と、操作部18と、画像処理部21と、外部端末通信部22と、ネットワーク通信部23と、通信制御部24と、電源制御部25と、ハードディスク装置26と、モデム27などが接続されて構成されている。モデム27の配下にはNCU(Network Control Unit)28が接続されている。
【0035】
読取部13は、原稿画像を光学的に読み取って画像データを取得する。読取部13は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学系のほか、ミラーや光源を移動させてライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動機構などを備えて構成されている。
【0036】
記録部14は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。記録部14は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0037】
ROM15には各種プログラムや固定データが格納され、CPU11はこれらのプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM16はCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを一時記憶する画像メモリとして使用される。ハードディスク装置26は、読取部13で読み取られた原稿の画像データや、外部PC(パーソナルコンピュータ)などから受信した印刷データや、ファクシミリ受信した画像データなどの保存に使用される。
【0038】
表示部17は、液晶ディスプレイなどで構成され、操作画面、設定画面、案内画面、通信履歴画面などの各種の画面を表示する。操作部18は、モード選択ボタン、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成された押下位置検出部19と、表示部17の画面上を押下した指の指紋を読み取る指紋検出部20などで構成される。指紋検出部20は、たとえば、タッチパネル(押下位置検出部19)が検出した情報を利用して指紋を読み取るように構成される。指紋の読み取りは他の方式でもかまわない。
【0039】
画像処理部21は画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す。また、画像データに別の画像データを合成する画像合成処理なども行う。端末装置30から入手した合成対象画像を元画像へ合成する処理は画像処理部21もしくはCPU11が行うようになっている。
【0040】
外部端末通信部22は、人体を通信路として端末装置30と各種のデータを送受信する機能を果たす。人体との接続点となる電極(アンテナ)は、電流方式では表示部17の表面に設けられ、電界方式では、たとえば、表示部17の表面あるいは表示部17の画面の周辺に設けられる。
【0041】
ネットワーク通信部23は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて外部PCなどと各種のデータを送受信する機能を果たす。通信制御部24は、ファクシミリ通信に係るプロトコル制御などを行う。モデム27は、ディジタル信号をアナログ信号で伝送可能とするための変調やその復調を行い、NCU28は公衆電話回線と接続されて発呼や着呼に関する制御や検出を行う。
【0042】
電源制御部25は、複合機10の各部への電力供給を制御し、複合機10の全部分へ電力供給する通常モードと、ユーザ操作の開始や着呼を検出する部分以外への電力供給を停止させた省電力モードとの切り替え制御などを行う。
【0043】
このほか複合機10は、「ピ」音などを鳴動させたり、音声アナウンスを行ったりするための音声発生部を備えている。
【0044】
図3は、端末装置30の概略構成を示すブロック図である。端末装置30は、当該端末装置30の動作を統括制御するCPU31にバス32を通じてROM33と、RAM34と、記憶部35と、データ入力部36と、表示部37と、操作部38と、本体通信部39などを接続して構成される。
【0045】
ROM33には、CPU31によって実行される各種プログラムや各種の固定データが記憶されている。RAM34は、CPU31がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや送受信に係るデータを一時的に保存する通信バッファなどとして使用される。
【0046】
記憶部35は、不揮発メモリであり、合成に使用されるデータおよび照合用の指紋データが記憶される。合成用のデータは、任意のスタンプの画像データ、ウォータマークとして使用される画像データ、印影データ(印影の画像データ)などの画像データ、あるいは合成される画像の元になるテキストデータなどが記憶される。テキストデータは、たとえば、複合機10において二次元バーコード化され、その画像が合成対象の画像として使用される。
【0047】
データ入力部36は、記憶部35に記憶されるデータを外部から入力するインターフェース部である。表示部37は、液晶ディスプレイなどで構成され、操作画面、設定画面などを表示する。操作部38は液晶ディスプレイ上のタッチパネルや操作スイッチなどで構成される。本体通信部39は、人体を通信路として複合機10と各種のデータを送受信する機能を果たす。
【0048】
次に、画像処理システム5においてスタンプや印影などを元画像に貼り付け合成する場合の動作について説明する。なお、以下、端末装置30は記憶部35に合成対象のデータとして画像データを記憶しているものとする。
【0049】
スタンプや印影などの画像が合成される元画像には、読取部13で読み取って得た画像、外部PCから受信した画像、外部PCから受信した印刷データをラスタライズして得た画像、ハードディスク装置26に保存されている画像などが使用される。複合機10は、ユーザから元画像の取り込みあるいは指定操作を受け、その指定された元画像(指定された画像データに対応する画像)を表示部17に表示する。
【0050】
表示部17に表示されている元画像へ合成対象画像を合成する動作には、本人認証を行わない非認証モードと、指紋による本人認証を行う認証モードがある。非認証モードはセキュリティ管理を必要としない画像を合成対象とする場合の利用に適している。認証モードはセキュリティ管理を必要とする画像を合成対象とする場合の利用に適している。たとえば、合成対象画像が印影のような場合に好適である。
【0051】
さらに非認証モード、認証モードのそれぞれにおいて、端末装置30に合成対象として1つの画像データのみが登録されている場合、複数登録されている場合、合成位置を微調整する場合などの動作があり、以下それぞれの場合について説明する。
【0052】
まず、非認証モードかつ端末装置30に1つのデータ(合成対象の画像データ)のみが登録されている場合について説明する。
【0053】
図4は非認証モードかつ端末装置30に1つのデータのみが登録されている場合における画像合成のシーケンスを、図5はその場合の複合機10の動作の流れを、図6はその場合の端末装置30の動作の流れをそれぞれ示している。
【0054】
複合機10は表示部17に元画像を表示する(図5:ステップS101)。この状態で複合機10は端末装置30を身に着けたユーザが表示部17に表示した元画像上に触れるのを待機する(図5:ステップS102;No)。ユーザは、表示部17に表示されている元画像上で、スタンプの合成を希望する位置を押下する(触れる)。
【0055】
複合機10は、押下位置検出部19が表示部17の画面のユーザによる押下を検出すると(図5:ステップS102;Yes、図4:P1)、押下された位置を示す押下位置情報を認識して記憶する(図5:ステップS103)。押下位置情報は、たとえば、表示部17の画面上の左下を原点とした座標情報で表わされる。
【0056】
続いて複合機10は、合成対象の画像データの送信を要求する画像データ送信要求を端末装置30に対して送信し(図5:ステップS104、図4:P2)、端末装置30からの返信を待機する(図5:ステップS105;No)。
【0057】
画像データ送信要求を受信した端末装置30は(図6:ステップS201;Yes、S202;Yes)、記憶部35に記憶されている合成対象画像の画像データを複合機10へ送信する(図6、ステップS203、図4:P3)。
【0058】
複合機10は合成対象画像の画像データを端末装置30から受信すると(図5:ステップS105;Yes)、その受信した画像データをステップS103で認識し記憶した押下位置情報に対応する合成位置で元画像に合成する(図5:ステップS106、図4:P4)。さらに複合機10は、該合成により生成された合成画像の画像データを該合成画像の格納要求と共に端末装置30に送信し(図5:ステップS107、図4:P5)、端末装置30からの格納完了通知の返信を待機する(図5:ステップS108;No)。
【0059】
合成画像の画像データおよび合成画像の格納要求を受信した端末装置30は(図6:ステップS201;Yes、S202;No、S204;Yes)、受信した合成画像の画像データを記憶部35に格納した(図4:P6)後、格納完了通知を複合機10に送信する(図6:ステップS205、図4:P7)。
【0060】
複合機10は、端末装置30から格納完了通知を受信すると(図5:ステップS108;Yes)、「ピ」音を鳴動させる等によって、ユーザに対して、押下している指を離しても良い状態となったことを通知し(図5:ステップS109)、また控え(合成画像)の格納が完了した旨のメッセージを表示部17に表示して(図5:ステップS110、図4:P8)処理を終了する(エンド)。該メッセージは、合成対象画像が合成された部分を避けた位置に表示されたり、専用のメッセージエリアに表示されたりすることが望ましい。
【0061】
複合機10では、合成後の合成画像に対して、ユーザの指示に応じた動作、たとえば、ファクシミリ送信やプリントアウトなどが行われる。
【0062】
このように、端末装置30を身に着けたユーザは、表示部17に表示された元画像上で希望の合成位置を指で押下するだけで、端末装置30に記憶されている合成対象の画像データがその押下位置に自動的に合成されるので、簡単な操作で元画像内の指定位置にスタンプなどの合成対象画像を合成することができる。また、合成後の画像が控えとして自動的に端末装置30に記憶されるので、手間をかけることなく控えをとることができる。
【0063】
また、合成対象画像の画像データを端末装置30から取得するので、該画像データを予め複合機10に登録しておく必要がなく、登録に関する作業が軽減され、特に複数の複合機10を使用する場合に有効である。
【0064】
また、指を離すタイミングを通知するので、ユーザが通信中に指を離してしまうエラーを防止することができる。また、ユーザは、通知を受けることにより、安心して指を離すことができる。
【0065】
次に、非認証モードかつ端末装置30に複数のデータ(合成対象の画像データ)が登録されている場合について説明する。
【0066】
図7は非認証モードかつ端末装置30に複数のデータが登録されている場合における画像合成のシーケンスを、図8はその場合の複合機10の動作の流れを、図9はその場合の端末装置30の動作の流れをそれぞれ示している。
【0067】
複合機10は表示部17に元画像を表示する(図8:ステップS301)。この状態で複合機10は、端末装置30を身に着けたユーザが表示部17に表示した元画像上に触れるのを待機する(図8:ステップS302;No)。ユーザは、表示部17に表示されている元画像上でスタンプの合成を希望する位置を押下する(触れる)。
【0068】
複合機10は、押下位置検出部19がユーザによる表示部17画面の押下を検出すると(図8:ステップS302;Yes、図7:P1)、押下された位置を示す押下位置情報を認識して記憶する(図8:ステップS303)。
【0069】
続いて複合機10は、合成対象の画像データの送信を要求する画像データ送信要求を端末装置30に対して送信し(図8:ステップS304、図7:P2)、端末装置30からの返信を待機する(図8:ステップS305;No)。
【0070】
画像データ送信要求を受信した端末装置30は(図9:ステップS401;Yes、S402;Yes)、記憶部35に記憶されている複数の合成対象画像の画像データを全て複合機10へ送信する(図9、ステップS403、図7:P3)。
【0071】
複合機10は合成対象画像の画像データを端末装置30から受信すると(図8:ステップS305;Yes)、「ピ」音を鳴動させる等によって、ユーザに対して、押下している指を離しても良い状態となったことを通知する(図8:ステップS306)。さらに、受信した全ての合成対象画像をポップアップ画面に表示し(図8:ステップS307、図7:P4)、それらの中から合成対象とする画像の選択操作をユーザから受け付ける(図8:ステップS308)。
【0072】
ポップアップ表示した複数の合成対象画像の中から画像の選択を受けると(ステップS308;Yes、図7:P5)、その選択された画像の画像データをステップS303で認識し記憶した押下位置情報に対応する合成位置で元画像に合成する(図8:ステップS309、図7:P6)。さらに複合機10は、該合成により生成された合成画像の画像データを該合成画像の格納要求と共に端末装置30に送信し(図8:ステップS310、図7:P7)、端末装置30からの格納完了通知の返信を待機する(ステップS311;No)。
【0073】
合成画像の画像データおよび合成画像の格納要求を受信した端末装置30は(図9:ステップS401;Yes、S402;No、S404;Yes)、受信した合成画像の画像データを記憶部35に格納した(図7:P8)後、格納完了通知を複合機10に送信する(図9:ステップS405、図7:P9)。
【0074】
複合機10は、端末装置30から格納完了通知を受信すると(図8:ステップS311;Yes)、「ピ」音を鳴動させる等によって、ユーザに対して、押下している指を離すタイミングを通知し(図8:ステップS312)、また控え(合成画像)の格納が完了した旨のメッセージを表示部17に表示して(図8:ステップS313、図7:P10)処理を終了する(エンド)。
【0075】
複合機10では、合成後の合成画像に対して、ユーザの指示に応じた動作、たとえば、ファクシミリ送信やプリントアウトなどが行われる。
【0076】
このように、端末装置30に複数の合成対象画像が記憶されている場合でも、それらが人体を通信路として複合機10に取り込まれて表示部17に表示され、該表示された複数の中からユーザは希望の画像を合成対象に選択することができるので、利便性が向上する。また、指を離すタイミングを通知するので、ユーザが通信中に指を離してしまうエラーを防止することができる。また、ユーザは、通知を受けることにより、安心して指を離すことができる。
【0077】
次に、非認証モードかつ合成位置を微調整する場合について説明する。
【0078】
図10は非認証モードかつ端末装置30にデータ(合成対象の画像データ)が1つのみ登録され、かつ合成位置の微調整を受ける場合における画像合成のシーケンスを、図11はその場合の複合機10の動作の流れを示している。端末装置30の動作は図6と同一である。
【0079】
複合機10は表示部17に元画像を表示する(図11:ステップS501)。この状態で複合機10は、端末装置30を身に着けたユーザが表示部17に表示した元画像上に触れるのを待機する(図11:ステップS502;No)。ユーザは、表示部17に表示されている元画像上でスタンプの合成を希望する位置を押下する(触れる)。
【0080】
複合機10は、押下位置検出部19がユーザによる表示部17画面の押下を検出すると(図11:ステップS502;Yes、図10:P1)、押下された位置を示す押下位置情報を認識して記憶する(図11:ステップS503)。
【0081】
続いて複合機10は、合成対象の画像データの送信を要求する画像データ送信要求を端末装置30に対して送信し(図11:ステップS504、図10:P2)、端末装置30からの返信を待機する(図11:ステップS505;No)。
【0082】
画像データ送信要求を受信した端末装置30は(図6:ステップS201;Yes、S202;Yes)、記憶部35に記憶されている合成対象画像の画像データを複合機10へ送信する(図6、ステップS203、図10:P3)。
【0083】
複合機10は合成対象画像の画像データを端末装置30から受信すると(図11:ステップS505;Yes)、「ピ」音を鳴動させる等によって、ユーザに対して、押下している指を離しても良い状態となったことを通知する(図11:ステップS506)。そして、ステップS503で記憶した押下位置情報の示す合成位置(座標情報)を仮合成位置とし、元画像に対してこの仮合成位置が示す位置に合成対象画像を仮合成(表示上で合成するのみで、実際の合成は行わない)した画像を表示部17に表示する(図11:ステップS507、図10:P4)。
【0084】
操作部18には、図12に例示するように、合成位置を微調整するための微調整釦51と、合成位置を確定させるための位置確定釦52が設けられる。図12の例では、表示部17の画面の中で元画像と重複しないエリアに微調整釦51および位置確定釦52を配置してある。微調整釦51は、移動方向を上、下、左、右に個別に指示可能な十字キーとなっている。
【0085】
微調整釦51の操作によりユーザから合成位置の移動指示を受けると(図11:ステップS508;Yes)、その移動指示に従って仮合成位置(座標)を変更すると共に、この変更後の仮合成位置に対応する位置へ合成対象画像の表示位置を移動させる(図11:ステップS509、図10:P5)。
【0086】
位置確定釦52の操作を受けると(図11:ステップS510;Yes、図10:P6)、その時点の仮合成位置を、確定した合成位置とし、元画像上のこの確定した合成位置に合成対象画像を合成した合成画像を生成する(図11:ステップS511、図10:P7)。
【0087】
複合機10は、該合成により生成された合成画像の画像データを該合成画像の格納要求と共に端末装置30に送信し(図11:ステップS512、図10:P8)、端末装置30からの格納完了通知の返信を待機する(ステップS513;No)。
【0088】
合成画像の画像データおよび合成画像の格納要求を受信した端末装置30は(図6:ステップS201;Yes、S202;No、S204;Yes)、受信した合成画像の画像データを記憶部35に格納した(図10:P9)後、格納完了通知を複合機10に送信する(図6:ステップS205、図10:P10)。
【0089】
複合機10は、端末装置30から格納完了通知を受信すると(図11:ステップS513;Yes)、「ピ」音を鳴動させる等によって、ユーザに対して、押下している指を離すタイミングを通知し(図11:ステップS514)、また控え(合成画像)の格納が完了した旨のメッセージを表示部17に表示して(図11:ステップS515、図10:P11)処理を終了する(エンド)。
【0090】
このように、合成位置の微調整が可能なので、最初に指で押下した位置が希望する合成位置からずれた場合でも、適正な位置に合成位置を調整してスタンプなどの画像を合成することができる。
【0091】
次に、認証モードの動作を説明する。認証モードはセキュリティ管理を必要とする画像を合成対象とする場合の利用に適しており、ここでは、合成対象画像が印影の場合を例に説明する。認証モードには、指紋の照合を複合機10で行う場合と、端末装置30で行う場合がある。まず端末装置30で指紋の照合を行う場合について説明する。
【0092】
図13は、端末装置30で指紋照合を行う場合の画像合成シーケンスを、図14はその場合の複合機10の動作の流れを、図15はその場合の端末装置30の動作の流れをそれぞれ示している。
【0093】
複合機10は表示部17に元画像を表示する(図14:ステップS601)。この状態で複合機10は、端末装置30を身に着けたユーザが表示部17に表示した元画像上に触れるのを待機する(図14:ステップS602;No)。ユーザは、表示部17に表示されている元画像上で印影の合成を希望する位置を押下する(触れる)。
【0094】
複合機10は、押下位置検出部19がユーザによる押下操作を検出すると(図14:ステップS602;Yes、図13:P1)、その押下された位置を示す押下位置情報を認識して記憶する(図14:ステップS603)。また、このとき指紋検出部20はそのユーザの指紋を読み取る。該読み取りで得た指紋データはRAM16に記憶される(図14:ステップS604、図13:P1)。
【0095】
続いて複合機10は、合成対象の画像データである印影データの送信を要求する印影データ送信要求に先ほどの指紋データを付加したものを端末装置30に対して送信し(図14:ステップS605、図13:P2)、端末装置30からの返信を待機する(図14:ステップS606;No)。
【0096】
指紋データの付加された印影データ送信要求を受信した端末装置30は(図15:ステップS701;Yes、S702;No、S704;Yes)、受信した指紋データと記憶部35に予め記憶されている照合用の指紋データとを照合する(図15:ステップS705、図13:P3)。ここでは、照合用の指紋データとその指紋データで照合に成功した場合に複合機10へ送信すべき印影データとを対応付けて一組としたものを1または複数組、記憶部35に登録することが可能になっている。端末装置30は、受信した指紋データを、登録されている各照合用の指紋データとそれぞれ照合して一致するものを検索する。
【0097】
照合の結果、一致するものがあれば(図15:ステップS706;Yes)、一致した指紋に対応した印影データを複合機10に対して送信する(図15:ステップS707、図13:P4)。一致するものがなければ(図15:ステップS706;No)、照合不成功(エラー)を示す応答を複合機10に送信する(図15:ステップS708)。
【0098】
端末装置30から応答を受信した複合機10は(図14:ステップS606;Yes)、その受信内容が印影データの場合は(ステップS607;Yes)、該受信した印影データをステップS603で認識し記憶した押下位置情報に対応する合成位置で元画像に合成する(図14:ステップS611、図13:P5)。さらに複合機10は、該合成により生成された合成画像の画像データを該合成画像の格納要求と共に端末装置30に送信し(図14:ステップS612、図13:P6)、端末装置30からの格納完了通知の返信を待機する(図14:ステップS613;No)。
【0099】
合成画像の画像データおよび合成画像の格納要求を受信した端末装置30は(図15:ステップS701;Yes、S702;Yes)、受信した合成画像の画像データを記憶部35に格納した(図13:P7)後、格納完了通知を複合機10に送信する(図15:ステップS703、図13:P8)。
【0100】
複合機10は、端末装置30から格納完了通知を受信すると(図14:ステップS613;Yes)、「ピ」音を鳴動させる等によって、ユーザに対して、押下している指を離しても良い状態となったことを通知し(図14:ステップS614)、また控え(合成画像)の格納が完了した旨のメッセージを表示部17に表示して(図14:ステップS615、図13:P9)処理を終了する(エンド)。
【0101】
一方、端末装置30から受信した応答がエラーの場合は(図14:ステップS608;Yes)、「ピ」音を鳴動させる等によって、ユーザに対して、押下している指を離しても良い状態となったことを通知し(図14:ステップS609)、また印影を押印できなかった旨のエラーメッセージを表示部17に表示して(図14:ステップS610)処理を終了する(エンド)。
【0102】
次に、指紋の照合を複合機10で行う場合について説明する。
【0103】
図16は、複合機10で指紋照合を行う場合の画像合成シーケンスを、図17はその場合の複合機10の動作の流れを、図18はその場合の端末装置30の動作の流れをそれぞれ示している。
【0104】
複合機10は表示部17に元画像を表示する(図17:ステップS801)。この状態で複合機10は、端末装置30を身に着けたユーザが表示部17に表示した元画像上に触れるのを待機する(図17:ステップS802;No)。ユーザは、表示部17に表示されている元画像上で印影の合成を希望する位置を押下する(触れる)。
【0105】
複合機10は、押下位置検出部19がユーザによる押下操作を検出すると(図17:ステップS802;Yes、図16:P1)、その押下された位置を示す押下位置情報を認識して記憶する(図17:ステップS803)。また、このとき指紋検出部20はそのユーザの指紋を読み取り、該読み取りで得た指紋データを記憶する(図17:ステップS804、図16:P1)。
【0106】
続いて複合機10は、個人認証情報である照合用の指紋データの送信要求を端末装置30に対して送信し(図17:ステップS805、図16:P2)、該要求に対する応答の受信を待機する(図17:ステップS806;No)。
【0107】
個人認証情報の送信要求を受けた端末装置30は(図18:ステップS901;Yes、S902;Yes)、予め記憶部35に記憶してある照合用の指紋データを複合機10に対して送信する(図18:ステップS903、図16:P3)。ここでは、照合用の指紋データとその識別番号とその指紋データで照合に成功した場合に複合機10へ送信すべき印影データとを対応付けて一組としたものを、記憶部35に1または複数組登録することが可能になっている。端末装置30は、記憶部35に照合用指紋データが1つのみ記憶されている場合はそれを送信する。複数の照合用指紋データが記憶されている場合は、それら全てついて、照合用指紋データとその識別番号とを対応付けて複合機10に送信する。
【0108】
複合機10は、端末装置30から照合用の指紋データを受信すると(図17:ステップS806;Yes)、受信した各照合用の指紋データとステップS804で読み取った指紋データとをそれぞれ照合し、一致するものを検索する(図17:ステップS807、図16:P4)。一致するものがあれば(図17:ステップS808;Yes)、端末装置30に対して、その一致した照合用指紋データに対応する印影データの送信を要求する(図17:ステップS811、図16:P5)、すなわち、一致した照合用指紋データに対応する識別番号を、印影データの送信要求に付加して送信する。そして、該要求に対する応答の受信を待機する(図17:ステップS812;No)。
【0109】
印影データの送信要求を受信した端末装置30は(図18:ステップS901;Yes、S902;No、S904;Yes)、該要求に付加されている識別番号に対応する印影データを複合機10に送信する(図18:ステップS905、図16:P6)。なお、端末装置30に照合用指紋データが1つのみ登録されている場合には、識別番号が無くても印影データを特定できるので、識別番号の授受は行わなくてもよい。
【0110】
複合機10は端末装置30から印影データを受信すると(図17:ステップS812;Yes)、該受信した印影データをステップS803で認識し記憶した押下位置情報に対応する合成位置で元画像に合成する(図17:ステップS813、図16:P7)。さらに複合機10は、該合成により生成された合成画像の画像データを該合成画像の格納要求と共に端末装置30に送信し(図17:ステップS814、図16:P8)、端末装置30からの格納完了通知の返信を待機する(図17:ステップS815;No)。
【0111】
合成画像の画像データおよび合成画像の格納要求を受信した端末装置30は(図18:ステップS901;Yes、S902;No、S904;No、S906;Yes)、受信した合成画像の画像データを記憶部35に格納した(図16:P9)後、格納完了通知を複合機10に送信する(図18:ステップS907、図16:P10)。
【0112】
複合機10は、端末装置30から格納完了通知を受信すると(図17:ステップS815;Yes)、「ピ」音を鳴動させる等によって、ユーザに対して、押下している指を離しても良い状態となったことを通知し(図17:ステップS816)、また控え(合成画像)の格納が完了した旨のメッセージを表示部17に表示して(図17:ステップS817、図16:P11)処理を終了する(エンド)。
【0113】
一方、指紋照合で一致するものがない場合は(図17:ステップS808;No)、「ピ」音を鳴動させる等によって、ユーザに対して、押下している指を離しても良い状態となったことを通知し(図17:ステップS809)、また印影を押印できなかった旨のエラーメッセージを表示部17に表示して(図17:ステップS810)処理を終了する(エンド)。
【0114】
このように、希望の合成位置を指で押下するという一度の操作で、合成位置の指定と指紋の読み取り、さらには端末装置30と複合機10との間での指紋データや印影データの人体通信による授受が行われるので、指紋認証によるセキュリティを確保しつつ、簡単な操作で指定位置に印影を画像合成することができる。
【0115】
また、人体通信により端末装置30と複合機10との間の通信が行われるので、USBメモリなどリムーバブル記憶媒体を利用する場合に生じ得る抜き忘れによる情報漏洩が生じることはない。また着脱の手間もなく利便性が向上する。
【0116】
指紋データや印影データは自分が所有する端末装置30に格納され、多人数で共用される複合機10には登録しないので、高いセキュリティを確保することができる。また通信も、触ったその時に、触った本人(がもつ端末装置30)からのみデータが伝えられるので高いセキュリティが確保される。
【0117】
なお、認証モードにおいても合成位置の微調整は可能となっている。
【0118】
図12は、病院に設置される複合機10において、先日受診した患者に対して診断結果確認書を押印入りでファクシミリ送信するに際して、表示部17に表示された診断結果確認書上で担当医と病院長の押印操作を受ける場合の画面例を示している。
【0119】
診断結果確認書内の「印」マークの箇所を担当医と病院長がそれぞれ指で押下すれば、押下時に(指紋を読み取ると同時に)その指および人体を通信路にして複合機10と各々の(たとえば、ポケット内の)端末装置30との間で通信が行われる。この通信により指紋データ等の送受信が行われ、複合機10または端末装置30のいずれかで指紋照合による本人認証が行われる。照合に成功すると印影データの送受信が人体通信にて行われ、担当医の印影は担当医が押下した位置(X、Y1)に、病院長の印影は病院長が押下した位置(X、Y2)にそれぞれ画像合成されて電子印が押印される。
【0120】
なお、押下位置を合成位置にするか、押下位置を仮位置としてさらに位置の微調整を許可するかは、別途の設定で切り替えられるようになっている。微調整を許可するモードが設定されている場合には、図12に示すように、文書の表示領域53を避けた領域に、微調整釦51と位置確定釦52が表示される。なお、微調整釦51や位置確定釦52が操作されているときには、指紋の読み取りは行わないようになっている。
【0121】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0122】
たとえば、実施の形態では端末装置30の記憶部35に記憶されている画像データを元画像に合成するようにしたが、記憶部35に記憶されているデータはテキストデータであってもかまわない。この場合、複合機10のCPU11は、テキストデータをラスタライズした画像データを合成する。あるいはテキストデータが示す内容を二次元バーコードに変換し、この二次元バーコードの画像を元画像に合成する、としてもよい。また、画像合成の日時情報などを二次元バーコードに含めてもよい。また、端末装置30から合成対象画像として画像データを受信した場合にも日時情報などをさらに合成するように構成されてもよい。
【0123】
また実施の形態では、合成後の画像を控えとして端末装置30に送信して記憶するようにしたが、控えの格納まで行うかどうかは、複合機10側で設定変更可能に構成されるとよい。すなわち、控えを格納する設定がなされている場合にのみ、複合機10から端末装置30へ合成画像およびその格納要求を送信するようにし、端末装置30を複合機10から格納要求があれば控えを記憶する仕組みにしておけば、複合機10側の設定のみで控えを格納するか否かを切り替えることができる。
【0124】
逆に、端末装置30側でその切り替えを行うように構成されてもよい。たとえば、端末装置30から複合機10に控えの送信を要求するようにすれば、端末装置30毎に、すなわち、個人毎に、控えを残す/残さないを切り替えることができる。
【0125】
指を離すタイミングの通知は「ピ」音の鳴動に限定されるものではなく、表示で行われてもかまわない。また、端末装置30にも音声発生部を設けておき、人体を通じた通信の成否などを音声で通知するように構成されてもよい。
【0126】
複合機10と端末装置30との間の通信は、端末装置30はいつでも複合機10からの要求に応答できる状態にしておき、複合機10は、通信の必要な期間のみ外部端末通信部22を稼動させるように構成するとよい。たとえば、画像合成にかかわる機能が選択された後、「押印して下さい等」のアナウンスを行った後、もしくはその後の画面押下を検出した段階で外部端末通信部22を稼動させて端末装置30との通信を開始するように構成するとよい。なお、端末装置30は複合機10との通信によって電力供給を受けて動作するように構成されてもよい。
【0127】
このほか実施の形態では複合機10を例に説明したが、元画像を表示するための表示部、押下位置の検出部、指紋検出部などの機能を備えた画像処理装置であれば他の種類の装置であってもかまわない。たとえば、ファクシミリ装置でも複写機でも良いし、電子印用の専用装置でもかまわない。
【0128】
なお、端末装置30から複合機10に送信された合成対象画像に係るデータ(画像データや印影データ)および照合用の指紋データなどは、使用後(たとえば、照合後や画像の合成完了後など)に複合機10から消去される。
【符号の説明】
【0129】
5…画像処理システム
10…複合機
11…CPU
12…バス
13…読取部
14…記録部
15…ROM
16…RAM
17…表示部
18…操作部
19…押下位置検出部
20…指紋検出部
21…画像処理部
22…外部端末通信部
23…ネットワーク通信部
24…通信制御部
25…電源制御部
26…ハードディスク装置
27…モデム
28…NCU
30…端末装置
31…CPU
32…バス
33…ROM
34…RAM
35…記憶部
36…データ入力部
37…表示部
38…操作部
39…本体通信部
51…微調整釦
52…位置確定釦
53…文書の表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づく画像を表示する表示部と、
前記表示部の画面の押下された位置を検出する検出部と、
前記表示部の画面を押下している人体を通信路にして接続された端末装置と通信する通信部と、
前記表示部の画面が押下されている間に前記通信部に前記端末装置から所定のデータを取得させると共に、前記表示部に表示されている画像の画像データに対して、取得した前記データに基づく画像データを、前記検出部によって検出された前記押下の位置に対応する合成位置に合成する制御部と、
を備えた画像処理装置と、
前記データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記データを前記表示部の画面を押下している人体を通信路にして前記画像処理装置へ送信する通信部と、
を備えた端末装置と
を有する
ことを特徴とする画像処理装置システム。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記表示部の画面を押下している指の指紋情報を取得する指紋検出部をさらに備え、前記制御部は、前記通信路で接続された前記端末装置に前記指紋検出部が取得した指紋情報を送信し、
前記端末装置は、前記記憶部に照合用の指紋情報をさらに記憶しており、前記画像処理装置から受信した前記指紋情報と前記記憶部に記憶されている前記照合用の指紋情報とを照合し、その照合結果を前記画像処理装置に前記通信路を通じて送信し、
前記画像処理装置は、前記端末装置から照合成功の照合結果を受信した場合は前記合成を行い、照合成功の照合結果を受信しない場合は前記合成を行わない
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像処理装置は、前記表示部の画面を押下している指の指紋情報を取得する指紋検出部をさらに備え、前記制御部は、前記通信路で接続された前記端末装置に対して照合用の指紋情報の送信要求を送信し、
前記端末装置は、前記記憶部に照合用の指紋情報をさらに記憶しており、前記送信要求に応じて前記照合用の指紋情報を前記画像処理装置に前記通信路を通じて送信し、
前記画像処理装置は、前記端末装置から受信した前記照合用の指紋情報と前記指紋検出部が取得した指紋情報とを照合し、該照合結果が照合成功の場合は前記合成を行い、照合成功でない場合は前記合成を行わない
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記画像処理装置は、前記合成した後の画像データを前記端末装置へ前記通信路を通じて送信し、
前記画像データを受信した前記端末装置は該画像データを前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記合成位置を微調整する操作を受ける微調整設定部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記画像処理装置は、前記端末装置から受信した複数のデータの中から前記合成の対象にするデータの選択操作を受ける合成対象選択部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記画像処理装置が前記端末装置から取得する合成対象のデータは、テキストデータであり、
前記制御部は、前記テキストデータを2次元バーコード化して得た画像データを合成する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理システムに含まれる画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理システムに含まれる端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−219785(P2010−219785A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63223(P2009−63223)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】