説明

画像形成ユニットおよびそれを用いた画像形成装置

【課題】画像濃度が低い場合にはDS間距離を小さくすることによって画像濃度を高め、画像濃度ムラ(バンディング)が発生した場合にはDS間距離を大きくすることによってバンディング現象を防止する。
【解決手段】感光体ドラム3を回転自在に支持する感光体フレーム120と、現像ローラ114を回転自在に支持する現像槽111と、その接合部に設けられる接合部弾性部材121(121a、121b)と、押圧力調整部材123と、を備え、接合部弾性部材121により感光体ドラム3と現像ローラ114の間の距離(DSD)を調節する。押圧力調整部材123は、接合部弾性部材121よりヤング率の小さいコイルバネ123aと、コイルバネ123aの全長を調整するバネ長調整部材123bからなり、コイルバネ123aの全長を調整し、突起部材122に対する押圧力を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した画像形成ユニットとそれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子写真方式を用いた画像形成装置において、カラー化、高画質化の流れが加速している。これに伴い、プロセスコントロールを行い、画質を高品位な状態に安定して保つための制御が実施されている。プロセスコントロールとしては、感光体ドラムあるいは中間転写体上に基準となるパッチ画像を形成し、そのトナー付着量(画像濃度とよぶこともある)に基づいて、所望の現像トナー量を得るための現像バイアス条件などを調節する方法が知られている。
【0003】
このようなプロセスコントロールにより画像を安定化する方法としては、例えば、特許文献1には、感光体上に形成されたパッチ画像を中間転写ベルト上に転写し、転写したパッチ画像のトナー付着量(画像濃度)を画像濃度センサで測定し、その測定したトナー付着量に基づいて、所望のトナー付着量(画像濃度)が得られるように、現像条件や転写条件を制御する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2004−93972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置を長時間使用すると、熱膨張や偏磨耗、あるいは駆動トルクによるフレームのゆがみなどにより感光体ドラムと現像ローラとの間の距離(DS間距離またはDSDと呼ぶ)が変化し、現像条件や転写条件を変更するだけでは、画像濃度を安定させることができないといった問題があった。
【0005】
特に、DS間距離が狭くなると、感光体ドラムと現像ローラとの間に供給される二成分現像剤にストレスがかかり、得られる画像濃度が周期的に変化する現象(バンディング現象とよぶ)が生じる問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、バンディング現象がなく画像濃度の安定した画像形成ユニット、およびこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため下記のような構成とし、以下のような特徴を有する。
上記課題を解決する本発明の画像形成ユニットは、軸心周りに回転する感光体ドラムと、現像ローラとを有し、該感光体ドラムにトナーを供給して静電潜像上にトナー画像を形成させる現像装置と、該トナー画像を担持する中間転写ベルトと、を備える画像形成ユニットにおいて、前記感光体ドラムの副走査方向に複数のパッチ画像を形成するように、指示する制御部と、前記パッチ画像の画像濃度値を検出するパッチ画像濃度検出部と、前記パッチ画像濃度検出部により検出した前記パッチ画像の前記画像濃度値から、前記制御部により算出する画像濃度差値に基づいて、前記感光体ドラムと前記現像ローラとの間の距離を調整するDSD調整機構部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決する本発明の画像形成ユニットにおいて、前記DSD調整機構部は、前記感光体ドラムを回転自在に支持する感光体フレーム及び前記現像ローラを回転自在に支持する前記現像装置の現像槽との接合部に設けられる接合部弾性部材と、該接合部弾性部材に押圧力を付与する押圧力調整部材と、を備え、前記押圧力調整部材は、前記接合部弾性部材に付与した押圧力を変化させることによって、前記感光体ドラムと前記現像ローラとの間の距離を調整することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決する本発明の画像形成ユニットにおいて、前記押圧力調整部材は、前記接合部弾性部材よりヤング率の小さいコイルバネと、該コイルバネの全長を調整するバネ長調整部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決する本発明の画像形成ユニットにおいて、前記制御部は、前記感光体ドラムの副走査方向に複数のパッチ画像を形成するように制御する際に、前記感光体ドラムの軸心方向における両端部の近傍に、前記複数のパッチ画像を設けるように指示し、該両端部の近傍に設けられた前記複数のパッチ画像の画像濃度値の最大値と最小値から前記画像濃度差値を算出し、該画像濃度差値を前記DSD調整機構部に制御情報として、送出することを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決する本発明の画像形成装置は、上記いずれかに記載される画像形成ユニットを備え、電子写真方式により画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成された本発明に係る画像形成ユニット及びこれを用いた画像形成装置によれば、現像条件や転写条件を変更するだけでは、十分な画像濃度を安定させることができないDS間距離の変動による動作環境条件であっても、画像濃度が高く、画像濃度画像濃度が周期的に変化する現象(バンディング現象)のない画像が得られる。すなわち、画像濃度が低い場合にはDS間距離を小さくすることによって画像濃度を高め、画像濃度ムラ(バンディング)が発生した場合にはDS間距離を大きくすることによってバンディング現象を防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る画像形成ユニット及びこれを用いた画像形成装置によれば、押圧力調整部材により、接合部弾性部材に加える力を調整し、接合部弾性部材の長さを変化させる簡易なDSD調整機構部とすることで、DSD調整のために大掛かりな装置を用いることなくDSDを制御できる。さらに、前記押圧力調整部材は、前記接合部弾性部材よりヤング率の小さいコイルバネと、該コイルバネの全長を調整するバネ長調整部材と、を備えた簡易な構造を有しており、DSD調整機構部の全体構造を簡易化することができる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成ユニット及びこれを用いた画像形成装置によれば、感光体ドラムの軸心方向(フロント側とリア側)におけるDSDが、それぞれ異なる距離になった場合であっても、それぞれのDSD(フロント側とリア側)を調整することにより、フロント側とリア側の画像濃度差(FR画像濃度差とよぶ)を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成ユニット、およびこれを用いた画像形成装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1〜図8は、本発明の一実施形態に係る画像形成ユニット、およびこれを用いた画像形成装置の一例を示す図であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わすものである。
図1は、本実施形態に係るカラー画像形成装置1の全体構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係るカラー画像形成装置1は、4つの画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yを備える、タンデム方式のカラー画像形成装置である。
【0018】
画像形成ユニット22Kは、黒トナー像を形成するための画像形成ユニットであり、画像形成ユニット22Cは、シアントナー像を形成するための画像形成ユニットであり、また、画像形成ユニット22Mは、マゼンタトナー像を形成するための画像形成ユニットであり、画像形成ユニット22Yは、イエロートナー像を形成するための画像形成ユニットである。なお、これら画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yの詳細な構成については後述する。
【0019】
上記4つの画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yの下方には、レーザスキャナユニット(以下、「LSU」という。)24が配設されている。このLSU24は、半導体レーザを含むレーザ発振部26と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含み、レーザ発振部26を制御するFR画像補正装置28と、レーザ光を感光体ドラム表面に向けて反射するポリゴンミラー(図示しない)を備え、ポリゴンミラーを介して、出力画像データ信号に応じたレーザ走査を、各画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yに対して行う。また、前記ポリゴンミラーには、ポリゴンミラーの回転軸を変位させる変位部材が備えられている。変位部材は、ポリゴンミラーとその回転軸を回転自在に収容するケースを所定の方向に付勢するカムと、カムを回転させるモータを含む。
【0020】
また、上記4つの画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yの上方には、無端状の中間転写ベルト30が配設されている。この中間転写ベルト30は、左右に間隔を隔てて設けられた2つの支持ローラ32に巻き掛けられ、図1において矢印Rにて示すように反時計方向に回転するようになっている。この中間転写ベルト30の材料としては、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂に電子伝導性導電材を適当量含有させたものが使用可能である。
【0021】
中間転写ベルト30を挟んで、一方の支持ローラ32(図1の紙面に向かって左側)と対をなす2次転写ローラ34が配置されている。そして、中間転写ベルト30において、回転方向Rの上流側から下流側に向かって、イエロートナー像形成用の画像形成ユニット22Y、マゼンダトナー像形成用の画像形成ユニット22M、シアントナー像形成用の画像形成ユニット22C、及び黒トナー像形成用の画像形成ユニット22Kがこの順に配置されている。
【0022】
上記画像形成ユニット22Kの位置を基準に、回転方向Rの下流側には、中間転写ベルト30上に形成されるパッチ画像のトナー像濃度値を検出するための検出装置Dが設けられている。後述するように、中間転写ベルト30上に形成されるパッチ画像は、中間転写ベルト30の幅方向の両端部(図1の紙面に向かって手前側をF側、奥側をR側と呼ぶ)近傍に2組形成され、これに伴い、この検出装置Dも、これらのパッチ画像のトナー像濃度値を検出するために、中間転写ベルト30のF側及びR側、近傍に近接して2個配置される。
【0023】
中間転写ベルト30の上方には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)等を含むコンピュータから構成されるシーケンス制御装置36が設けられている。本カラー画像形成装置1全体の動作は、このシーケンス制御装置36によりシーケンス制御される。
【0024】
中間転写ベルト30の内側には、各画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yで形成された単色トナー像を中間転写ベルト30上に転写する1次転写ローラ40が、各画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yに対向するように各々設けられている。各画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yで形成された単色トナー像は、中間転写ベルト30上に重ね合うように転写され、1つのカラー画像を形成する。
【0025】
さらに、検出装置Dよりも中間転写ベルト30の回転方向R、下流側には、中間転写ベルト30上に形成されたカラー画像を用紙に転写する上記の2次転写ローラ34が配設されている。また、中間転写ベルト30を挟んで、他方の支持ローラ32(図1の紙面に向かって右側)の対向側に、中間転写ベルト30の表面をクリーニングするためのベルトクリーニングユニット42が設けられている。
【0026】
ベルトクリーニングユニット42は、中間転写ベルト30に接触する、ベルトクリーニングブラシ44及びベルトクリーニングブレード46を有している。このベルトクリーニングブレード46は、ベルトクリーニングブラシ44より中間転写ベルト30の回転方向R、下流側に配置される。
【0027】
LSU24の下方には、用紙を収容するトレー48が配設されている。このトレー48内の用紙は、複数組(本実施形態においては4組)の給紙ローラ対54によって、2次転写ローラ34が中間転写ベルト30と対向する2次転写位置まで搬送される。なお、図1においては、用紙の搬送方向を矢印Pで示す。
【0028】
2次転写ローラ34の用紙搬送方向P、下流側には、用紙に転写されたカラー画像を用紙上に定着するための定着ユニット50が設けられている。この定着ユニット50の更に用紙搬送方向P、下流側には、カラー画像が定着された用紙をカラー画像形成装置1から排出する排紙ローラ52が設けられている。
【0029】
上記のような構成のカラー画像形成装置1において、各画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yで形成された各単色トナー像は、中間転写ベルト30上へ順次転写されて、中間転写ベルト30上にカラー画像が形成される。中間転写ベルト30上のカラー画像は、2次転写位置において、複数組の給紙ローラ対54にて搬送される用紙へと2次転写され、その後、定着ユニット50にて用紙に定着される。カラー画像が定着された用紙は、排紙ローラ52にてカラー画像形成装置1から排出される。一方、2次転写後、用紙に転写されないまま中間転写ベルト30上に残ったトナーは、ベルトクリーニングユニット42にて取り除かれる。
【0030】
なお、以下の説明において、画像形成ユニット22K,22C,22M,22Yを総称するときは「画像形成ユニット22」と称し、この画像形成ユニット22は、上記パッチ画像のトナー像濃度値を検出するための2つの検出装置Dも構成要件として含む。
【0031】
図2は、図1における画像形成ユニット22の構成を簡略化して示す断面図であり、図3は、図2における現像槽のA−A断面矢視図である。
【0032】
画像形成ユニット22は、感光体ドラム3を含み、この感光体ドラム3の周囲には、感光体ドラム3を帯電する帯電器62、感光体ドラム3上の静電潜像を可視化する現像装置2、1次転写後に感光体ドラム3上に残留するトナーを含む残留物を除去する感光体ドラムクリーナ66が感光体ドラム60の回転方向Rdに沿ってこの順で配置されている。
【0033】
帯電器62は、例えば、スコロトロン帯電器からなり、感光体ドラム3に対しコロナ放電を行なって感光体ドラム3を所定の電位に帯電させる。なお、帯電器62としては、帯電ローラ若しくは帯電ブラシを用いた接触型帯電器を適用することもできる。この帯電器62にて所定の電位に帯電された感光体ドラム3の外周面上には、LSU24からのレーザ走査による露光が行われ静電潜像が形成される。
【0034】
現像装置2は、図2に示すように、現像槽111内に、感光体ドラム3と対向するように配置された現像ローラ114を有し、現像ローラ114によって感光体ドラム3の表面にトナーを供給して、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を現像(顕像化)する装置である。
【0035】
現像装置2は、現像ローラ114の他に、現像槽111、現像槽カバー115、トナー供給口115a、ドクターブレード116、第1搬送部材112、第2搬送部材113、仕切り板(仕切り壁)117、トナー濃度検知センサ118を備えている。
【0036】
現像槽111は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を収容する槽である。また、現像槽111には、現像ローラ114、第1搬送部材112、第2搬送部材113等が配設されている。なお、本実施形態のキャリアは、磁性を有する磁性キャリアである。
【0037】
現像ローラ114は、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動するマグネットローラであり、現像槽111内の二成分現像剤を感光体ドラム3へと搬送するものである。また、現像ローラ114は、感光体ドラム3に対向し、感光体ドラム3に対して間隙(DSD)を有して離隔するように設けられる。現像ローラ114で搬送される二成分現像剤は最近接部分で感光体ドラム3と接触する。この接触領域が現像ニップ部であり、現像ニップ部では、現像ローラ114に接続される図示しない電源から現像ローラ114に対して現像バイアス電圧が印加され、現像ローラ114表面の二成分現像剤から感光体ドラム3表面の静電潜像へトナーが供給される。
【0038】
ドクターブレード116は現像ローラ114の軸線方向に平行に延びる板状部材であり、現像ローラ114の鉛直方向下方において、その短手方向の一端が現像槽111によって支持され、かつ他端が現像ローラ114表面に対して間隙を有して離隔するように設けられる。ドクターブレード116の材料としては、ステンレス鋼が使用できるが、アルミニウムや合成樹脂なども使用できる。
【0039】
トナー濃度検知センサ118は、第2搬送部材113の鉛直方向下方の現像槽111底面に装着され、センサ面が現像槽111の内部に露出するように設けられる。トナー濃度検知センサ118は図示しないトナー濃度制御手段に電気的に接続される。トナー濃度制御手段は、トナー濃度検知センサ118が検知するトナー濃度測定値に応じて、図示しないトナー補給装置から現像槽111内部にトナーを供給するように制御する。
【0040】
トナー濃度検知センサ118によるトナー濃度測定値がトナー濃度設定値よりも低いと判定すると、現像槽111の上部に取り付けられているトナー補給装置(図示せず)内のトナー排出部材を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送り、トナー排出部材を回転駆動させる。トナー濃度検知センサ118には一般的なトナー濃度検知センサを使用でき、たとえば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサなどが挙げられる。これらの中でも、透磁率検知センサが好ましい。
【0041】
透磁率検知センサには図示しない電源が接続される。電源は、透磁率検知センサを駆動させるための駆動電圧およびトナー濃度の検知結果を制御手段に出力するための制御電圧を透磁率検知センサに印加する。電源による透磁率検知センサへの電圧の印加は、制御手段によって制御される。透磁率検知センサは、制御電圧の印加を受けてトナー濃度の検知結果を出力電圧値として出力する型式のセンサであり、基本的に出力電圧の中央値近傍の感度がよいため、その付近の出力電圧が得られるような制御電圧を印加して用いられる。このような型式の透磁率検知センサは市販されており、たとえば、TS−L、TS−A、TS−K(いずれも商品名、TDK(株)社製)などが挙げられる。
【0042】
また、現像槽111の上側には、図2に示すように、取り外し可能な現像槽カバー115が設けられている。さらに、現像槽カバー115には、図2に示すように、現像槽111に未使用のトナーを補給するためのトナー供給口115aが形成されている。図1に示すように、トナー補給装置に収容されているトナーは、トナー移送機構102及びトナー供給口115aを介して現像槽111に移送され、これにより現像槽111にトナーが補給されるようになっている。
【0043】
図3に示すように、第1搬送部材112は、螺旋状の第1搬送羽根122aと第1回転軸112bからなるスクリューオーガにより構成されており、第2搬送部材113は、螺旋状の第2搬送羽根113aと第2回転軸113bからなるスクリューオーガにより構成されている。第1搬送部材112及び第2搬送部材113は、回転することにより二成分現像剤を撹拌すると共に搬送するようになっている。
【0044】
なお、112cは、第1搬送部材112を回転させるための駆動ギアであり、113cは、第2搬送部材113を回転させるための駆動ギアである。
【0045】
現像槽111には、第1搬送部材112と第2搬送部材113との間に仕切り板117が配設されている。仕切り板117は、第1搬送部材112及び第2搬送部材113の各軸方向(各回転軸方向)に平行に延設されている。現像槽111の内部は、仕切り板117によって、第1搬送部材112が配されている第1搬送路Pと、第2搬送部材113が配されている第2搬送路Qとに区画される。
【0046】
仕切り板117は、第1搬送部材112及び第2搬送部材113の各軸方向の両端部において、現像槽111の内側の壁面から離間して配置されている。これにより、現像槽111には、第1搬送部材112及び第2搬送部材113の各軸方向の両端部付近において、第1搬送路Pと第2搬送路Qとを連通する連通路が形成されている。以下では、矢印X方向側に形成されている連通路を第1連通路a、矢印Y方向側に形成されている連通路を第2連通路bと称する。
【0047】
第1搬送部材112及び第2搬送部材113は、互いの周面同士が仕切り板117を介して対向するように且つ互いの軸同士が平行になるように並列され、互いに逆方向に回転するように設定されている。そして、第1搬送部材112は、図3に示すように、矢印X方向に二成分現像剤を搬送し、第2搬送部材113は、矢印X方向とは逆の矢印Y方向に二成分現像剤を搬送するように設定されている。
【0048】
また、トナー供給口115a(点線で囲む部分)は、第1搬送路P内の領域にあり、且つ第2連通路bよりも矢印X方向側の位置に形成されている。つまり、第1搬送路Pにおいて、第2連通路bの下流側にトナーが補給されることになる。
【0049】
現像槽111において、第1搬送部材112及び第2搬送部材113は、それぞれ図示しない搬送部材駆動モータによって回転駆動され、二成分現像剤を搬送する。
【0050】
具体的には、第1搬送路Pにおいて、二成分現像剤は、第1搬送部材112によって撹拌されながら矢印X方向へ搬送され、第1連通路aに到達する。第1連通路aに到達した二成分現像剤は、第1連通路aを通過して第2搬送路Qへ搬送される。
【0051】
一方、第2搬送路Qにおいて、二成分現像剤は、第2搬送部材113によって、撹拌されながら矢印Y方向へ搬送され、第2連通路bに到達する。そして、第2連通路bに到達した二成分現像剤は、第2連通路bを通過して第1搬送路Pへ搬送される。
【0052】
つまり、第1搬送部材112と第2搬送部材113とは、互いに逆方向に二成分現像剤を撹拌しながら搬送している。
【0053】
このようにして、二成分現像剤は、現像槽111において、第1搬送路Pと第1連通路aと第2搬送路Qと第2連通路bとを、第1搬送路P→第1連通路a→第2搬送路Q→第2連通路b、という順序にて循環移動していることになる。そして、二成分現像剤は、第2搬送路Qにて搬送されている間に、現像ローラ114の回転にてその表面に担持されて汲み上げられ、汲み上げられた二成分現像剤中のトナーが感光体ドラム3へと移動して、順次消費されていく。
【0054】
このように消費されるトナーを補うべく、未使用のトナーがトナー供給口115aから第1搬送路Pへ補給される。補給されたトナーは第1搬送路Pにおいて従前より存在する二成分現像剤と混合撹拌される。
【0055】
次に、本実施形態に係る画像形成ユニットの特徴点である画像濃度ムラ補正駆動機構部の構成及びその処理動作の説明について以下に詳述する。
【0056】
図4は、感光体ドラムと現像ローラとの間の距離を調整する画像濃度ムラ補正駆動機構部を示す構成図である。
【0057】
本実施形態に係る画像形成ユニット22の画像濃度ムラ補正駆動機構部は、図4に示すように、感光体ドラム3を回転自在に支持する感光体フレーム120と、現像ローラ114を回転自在に支持する現像槽111と、その接合部に設けられる接合部弾性部材121(121a、121b)と、押圧力調整部材123と、を備え、接合部弾性部材121により感光体ドラム3と現像ローラ114の間の距離(DSD)が調節できるようになっている。なお、感光体ドラム3、現像ローラ114は、それぞれのドラム本体を回転させる駆動軸3a、114aと、駆動ギア3b、114bを備えている。
【0058】
接合部弾性部材121としては、厚さが500μmから3mmのフィルム状のゴム材料が使用できる。ゴム材料としては特に耐久性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。
【0059】
ここで、現像槽111には、その側面に、接合部弾性部材121(121a、121b)に押圧力を付与するための作用点となる突起部材122(122a、122b)が設けられ、該突起部材122(122a、122b)に押圧力を付与するための押圧力調整部材123(123a、123b)が本体側フレーム1aに設けられる。
【0060】
押圧力調整部材123は、接合部弾性部材121よりヤング率の小さいコイルバネ123aと、コイルバネ123aの全長を調整するバネ長調整部材123bからなる。バネ長調整部材123bは、図示しないモータの回転駆動により全長を変化させることによって、コイルバネ123aの全長を調整し、突起部材122に対する押圧力を調整する。
【0061】
続いて、感光体ドラム3と現像ローラ114の間の距離(DSD)による画像濃度ムラの発生(バンディング現象の発生)を検出するための画像パッチの生成、この画像パッチの濃度検出器の構成及び検出方法について説明する。
【0062】
図5は、転写ベルト上に、形成される画像パッチの配置及び画像パッチ濃度の検出位置を示す図である。
【0063】
図6は、転写ベルト30上のフロント側とリア側に形成されるパッチ画像の拡大図である。
【0064】
転写ベルト30上のフロント側(F側)とリア側(R側)にパッチ画像200a、bを形成する。具体的には、図5、図6に示すように、中間転写ベルト30上にレーザパワー(0〜255の階調数)として、例えば、レベル「230」で、本実施形態では、3つの同色のパッチ画像B1,B2,B3を、所定の間隔で中間転写ベルト30の進行方向(副走査方向)の直線上に、黒トナー像形成用の画像形成ユニット22Kにおいて形成させる。同様に、シアントナー像形成用の画像形成ユニット22Cにおいて、シアンラインC1,C2,C3、マゼンダトナー像形成用の画像形成ユニット22Mにおいて、マゼンタラインM1,M2,M3、イエロートナー像形成用の画像形成ユニット22Yにおいて、イエローラインY1,Y2,Y3を上記の順に形成させる。
【0065】
また、中間転写ベルト30上で、それぞれの各色の1番目のラインB1,C1,M1,Y1が等間隔で並ぶパッチ画像を、F側とR側に形成させる。なお、レーザパワー並びに、パッチ画像の間隔及び長さは任意に設定できる。
【0066】
図7は、検出装置Dの構成を簡略化して示す図である。
【0067】
図7に示すように、検出装置Dは、筐体90と、この筐体90内に、発光素子としての半導体レーザ92、集光用レンズ94、及び受光素子としてのフォトセンサ96を備えている。
【0068】
半導体レーザ92は、中間転写ベルト30のトナー像を読取るためのレーザ光を発生し、集光用レンズ94は、上記半導体レーザ92からの光を中間転写ベルト30上に絞り込む。フォトセンサ96は、フォトトランジスタ又はフォトダイオード等により構成され、中間転写ベルト30からの反射光を受光してその光量に応じた電気信号を画像形成ユニット22の制御部(図示していない)に出力する。なお、画像形成装置1の統括制御部であるシーケンス制御装置36(図1に示す)に出力するようにしてもよい。
【0069】
検出装置Dは、画像形成ユニット22の制御部の制御の下、半導体レーザ92のレーザ光を集光用レンズ94にて絞り込んで(本実施形態においてはスポット径が0.1mm)、中間転写ベルト30の検出位置表面に照射し、その反射光をフォトセンサ96にて受光することによって、中間転写ベルト30の表面に上記形成され、進行方向(副走査方向)Rに移動する各パッチ画像の画像濃度値を測定する。また、中間転写ベルト30のF側とR側に設けられた2つの検出装置Dは、中間転写ベルト30のF側とR側に形成される各パッチ画像を略同時に濃度検出を行う。
【0070】
続いて、上記のように構成された画像形成ユニット22による画像濃度ムラ補正処理の動作について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0071】
図8は、本発明の実施形態に係る画像形成ユニットの画像濃度ムラ補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
ここでは、画像形成ユニット22の4つのユニットの内、黒トナー像形成用の画像形成ユニット22Kのユニットを代表して、動作説明を行う。
【0073】
まず、上記説明した転写ベルト30上のフロント側とリア側に各色のパッチ画像を形成する(ステップS1)。
【0074】
F側及びR側の黒色のパッチ画像(B1〜B3)の3個分の画像濃度を検出装置Dで読取り、読み取ったF側及びR側の3つのパッチ画像の平均画像濃度値をそれぞれ算出する(ステップS2)。
【0075】
ステップS2の処理で算出したF側の黒色のパッチ画像(B1〜B3)の平均画像濃度値が閾値Th1より小さいか否かを判定する(ステップS3)。F側の上記平均画像濃度値が閾値より小さいと判断した場合は(ステップS3;Yes)、算出した平均画像濃度値に基づいて、対象となる画像形成ユニット22のF側DSDを所定量短くするように、押圧力調整部材123に対して制御指令信号を出力し、ステップS1に戻る(ステップS4)。
【0076】
また、上記平均画像濃度が閾値Th1より大きいと判定した場合は(ステップS3;No)、検出した中間転写ベルト30上のF側に形成される黒色の3つのパッチ画像(B1〜B3)の画像濃度値から最大濃度値と最小濃度値を求め、この最大値から最小値を引いた画像濃度差分値を算出する(ステップS5)。
【0077】
ステップS5の処理において算出した画像濃度差が閾値Th2以上か否かを判定する(ステップS6)。画像濃度差が閾値Th2より大きいと判定した場合は(ステップS6;Yes)、バンディングが発生したとみなして、これを取り除くために、算出した画像濃度差に基づいて、対象となる画像形成ユニット22KのF側DSDを所定量長くするように制御信号を送出し(ステップS7)、ステップS1に戻る。
【0078】
画像濃度差が閾値Th2未満と判定した場合は(ステップS6;No)、ステップ8の処理に移行する。ステップ8以降の処理では、R側についてF側の処理と同様な処理を行う。
【0079】
ステップS8において、R側のパッチ画像の平均画像濃度値が閾値Th3より以上か否かを判定する。平均画像濃度値が閾値Th3以上と判定した場合は(ステップS8;Yes)、算出したこの平均画像濃度値に基づいて、対象となる画像形成ユニット22KのR側DSDを所定量短くするように制御信号を送出し(ステップS9)、ステップS1に戻る。
【0080】
ステップS8において、R側の平均画像濃度値が閾値Th3未満と判定した場合は(ステップS8;No)、検出した中間転写ベルト30上のR側に形成される黒色の3つのパッチ画像(B1〜B3)の画像濃度値から最大濃度値と最小濃度値を求め、この最大値から最小値を引いた画像濃度差分値を算出する(ステップS10)。
【0081】
ステップS10の処理において算出した画像濃度差が閾値Th4以上か否かを判定する(ステップS11)。この画像濃度差が閾値Th4より大きいと判定した場合は(ステップS11;Yes)、算出した画像濃度差に基づいて、対象となる画像形成ユニット22KのR側DSDを所定量長くし(ステップS12)、ステップS1に戻る。
【0082】
ステップS10の処理において、画像濃度差が閾値Th4未満と判定した場合は、バンディング現象を取り除いたとみなして本処理を終了する。
【0083】
以上説明したように、本画像形成ユニットによれば、バンディング現象がなく、安定した画像濃度の画像を形成することが可能である。
【0084】
尚、本発明の画像形成装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施形態に係るカラー画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1における画像形成ユニットの構成を簡略化して示す断面図である。
【図3】図2における現像槽のA−A断面矢視図である。
【図4】感光体ドラムと現像ローラとの間の距離を調整する画像濃度ムラ補正駆動機構部を示す構成図である。
【図5】転写ベルト上に、形成される画像パッチの配置及び画像パッチの濃度を検出する位置を示す図である。
【図6】転写ベルト上のフロント側とリア側に形成されるパッチ画像の拡大図である。
【図7】検出装置の構成を簡略化して示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成ユニットの画像濃度ムラ補正処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
1a 本体側フレーム
2 現像装置
3 感光体ドラム
22K、22C、22M、22Y 画像形成ユニット
30 中間転写ベルト
32 支持ローラ
34 2次転写ローラ
R 中間転写ベルトの回転方向
D 検出装置
36 シーケンス制御装置
40 1次転写ローラ
42 ベルトクリーニングユニット
62 帯電器
66 感光体ドラムクリーナ
90 筐体
92 半導体レーザ
94 集光用レンズ
96 フォトセンサ
111 現像槽
114 現像ローラ
120 感光体フレーム
121a、121b 接合部弾性部材
122a、122b 突起部材
123 押圧力調整部材
123a コイルバネ
123b バネ長調整部材
200a、200b パッチ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心周りに回転する感光体ドラムと、現像ローラとを有し、該感光体ドラムにトナーを供給して静電潜像上にトナー画像を形成させる現像装置と、該トナー画像を担持する中間転写ベルトと、を備える画像形成ユニットにおいて、
前記感光体ドラムの副走査方向に複数のパッチ画像を形成するように、指示する制御部と、
前記パッチ画像の画像濃度値を検出するパッチ画像濃度検出部と、
前記パッチ画像濃度検出部により検出した前記パッチ画像の前記画像濃度値から、前記制御部により算出する画像濃度差値に基づいて、前記感光体ドラムと前記現像ローラとの間の距離を調整するDSD調整機構部と、
を備えることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項2】
前記DSD調整機構部は、前記感光体ドラムを回転自在に支持する感光体フレーム及び前記現像ローラを回転自在に支持する前記現像装置の現像槽との接合部に設けられる接合部弾性部材と、該接合部弾性部材に押圧力を付与する押圧力調整部材と、
を備え、
前記押圧力調整部材は、前記接合部弾性部材に付与した押圧力を変化させることによって、前記感光体ドラムと前記現像ローラとの間の距離を調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成ユニット。
【請求項3】
前記押圧力調整部材は、前記接合部弾性部材よりヤング率の小さいコイルバネと、該コイルバネの全長を調整するバネ長調整部材と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成ユニット。
【請求項4】
前記制御部は、前記感光体ドラムの副走査方向に複数のパッチ画像を形成するように制御する際に、前記感光体ドラムの軸心方向における両端部の近傍に、前記複数のパッチ画像を設けるように指示し、該両端部の近傍に設けられた前記複数のパッチ画像の画像濃度値の最大値と最小値から前記画像濃度差値を算出し、該画像濃度差値を前記DSD調整機構部に制御情報として、送出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載される画像形成ユニットを備え、電子写真方式により画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−107833(P2010−107833A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281249(P2008−281249)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】