説明

画像形成装置およびカートリッジ

【課題】簡易な構成でカートリッジ側端子と本体側端子の安定した接触を得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、感光体ドラムに対向して配置された現像ローラと、トナーを収容し、現像ローラを間に挟んで感光体ドラムとは反対側に配置されたトナーホッパと、トナーホッパが形成された現像フレーム33Aと、ICチップ53と、現像フレーム33Aにおける装着方向上流側の端部に設けられた現像フレーム側係合部511と、現像フレーム側係合部511の凹部の底面に設けられるとともにICチップ53と電気的に接続された現像フレーム側端子52と、を有する現像カートリッジ33と、本体に設けられ、現像フレーム側係合部511と係合する本体側係合部111と、本体側係合部111の先端に設けられ、本体に設けられた制御部と電気的に接続されるとともに現像フレーム側端子52に当接される本体側端子19と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置としてのレーザプリンタやデジタル複写機においては、印刷すべき画像のデータに対応して感光体に対しレーザ光線を走査させて、感光体上に静電潜像を形成している。そして、これらの装置は、この静電潜像にトナーを供給して画像を形成し、この画像を用紙へ転写した後、熱定着させている。
【0003】
画像形成に必要なトナーは通常、カートリッジに収容されているが、画像形成装置に間違ったカートリッジを装着すると画像形成が適切に行われないばかりか、画像形成装置本体にもダメージを与えるおそれがある。そこで、カートリッジの誤装着を防止するため、正しいカートリッジには、カートリッジフレームにカートリッジ側係合部が形成され、画像形成装置本体に形成された本体側係合部と正常に係合するように構成されている。
【0004】
また、カートリッジには、カートリッジの交換やメンテナンスを容易かつ適切な時期に行うために有用な情報、例えば、トナー量や印刷可能枚数などを記憶させたメモリ手段が取り付けられることがある。そして、このようなメモリ手段としては、性能やコスト軽減の要請から接触式のICチップが採用されることがある。
【0005】
さらに、画像形成装置には制御部が設けられており、この制御部と電気的に接続された本体側端子と、メモリ手段と電気的に接続されたカートリッジ側端子とが接触することによって、メモリ手段に記憶された情報を画像形成装置の制御部が読み込んで適切な制御が行われるように構成されている。メモリ手段が正常に機能するためには、カートリッジ側端子と本体側端子が安定して接触している必要がある。そこで、例えば、特許文献1には、プロセスカートリッジを画像形成装置本体へ装着して開閉カバーを閉じることで、プロセスカートリッジに取り付けられたメモリ手段の電気接点部と、画像形成装置本体の電気接点部とが当接する機構が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−177650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のカートリッジは、例えば、カートリッジの一端部における片方側にカートリッジ側係合部が設けられ、他方側にメモリ手段の端子が設けられているので、カートリッジが大型化するとともに、このようなカートリッジを装着するため、画像形成装置本体内の装着スペースも大きくなり、装置全体が大型化するという問題が発生する。
【0008】
また、カートリッジ側係合部に対応した本体側係合部と、カートリッジ側端子に対応した本体側端子とを画像形成装置本体にそれぞれ設ける必要があり、カートリッジおよび画像形成装置本体の構成が複雑になるという問題が発生する。
【0009】
そこで、本発明は、画像形成装置本体へのカートリッジの誤装着の発見を容易にしつつ、簡易な構成でカートリッジ側端子(第1端子またはメモリ端子)と本体側端子(第2端子)の安定した接触を得ることができる画像形成装置およびカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、本体と、感光体ドラムと、前記感光体ドラムに対向配置された現像ローラと、現像剤を収容し、前記現像ローラを間に挟んで前記感光体ドラムとは反対側に配置された現像剤収容部と、少なくとも前記現像剤収容部が形成されたカートリッジフレームと、メモリ手段と、前記カートリッジフレームにおける装着方向上流側の端部に設けられた第1係合部と、前記第1係合部の少なくとも一部に設けられるとともに前記メモリ手段と電気的に接続された第1端子と、を有するカートリッジと、前記本体に設けられ、前記第1係合部と係合する第2係合部と、前記第2係合部の少なくとも一部に設けられ、前記本体に設けられた制御部と電気的に接続されるとともに前記第1端子に当接される第2端子と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
このように構成された画像形成装置によれば、カートリッジに設けられた第1係合部に第1端子が設けられ、本体に設けられた第2係合部に第2端子が設けられているため、第1係合部と第2係合部とが係合した場合にのみ、第1端子と第2端子とが電気的に接続される。したがって、画像形成装置本体へのカートリッジの誤装着の発見を容易にしつつ、簡易な構成で第1端子と第2端子の安定した接触を得ることができる。
【0012】
また、本発明のカートリッジは、少なくとも現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤を供給する開口部とが形成されたカートリッジフレームと、メモリ手段と、前記カートリッジフレームにおける前記開口部とは前記現像剤収容部を挟んで反対側の端部に設けられた凹部と、前記凹部の少なくとも一部に設けられるとともに前記メモリ手段と電気的に接続されたメモリ端子と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
このように構成されたカートリッジによれば、カートリッジに形成された凹部の少なくとも一部にメモリ端子が設けられているため、カートリッジの着脱時にメモリ端子にユーザが触れることによる汚損や損傷、および、メモリ端子と他の部材との干渉によるメモリ端子の損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置およびカートリッジによれば、簡易な構成でカートリッジに設けられたメモリ手段と画像形成装置本体に設けられた制御部との電気的接続を得ることができる。また、カートリッジの第1係合部と画像形成装置本体の第2係合部とが正常に係合しなければ、第1端子と第2端子とが電気的に接続しない。これにより、画像形成装置本体へのカートリッジの誤装着の発見を容易にしつつ、簡易な構成で第1端子と第2端子の安定した接触を得ることができる。さらに、第1係合部に第1端子が設けられるため、カートリッジの小型化を図ることができるとともに、このようなカートリッジを装着する画像形成装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
<画像形成装置の全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、画像形成装置を示す側断面図であり、図2は、感光体カートリッジと、現像カートリッジを示す斜視図である。なお、以下の説明において、図1における右を前、左を後として説明する。また、後記するプロセスカートリッジ30、感光体カートリッジ31および現像カートリッジ33についても、これらが画像形成装置本体内に装着された状態(図1参照)における方向で説明する。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置1は、本体ケーシング2(本体)内に用紙3を供給するためのフィーダ部4と、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5とを主に備えている。
本体ケーシング2の前側には、開閉自在なフロントカバー11(開閉部材)が設けられており、フロントカバー11を開いたときにできる開口から、後記するプロセスカートリッジ30が着脱自在となっている。
【0017】
<フィーダ部の構成>
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に着脱可能に装着される給紙トレイ12と、給紙トレイ12内に設けられた用紙押圧板13とを備えている。また、フィーダ部4は、給紙トレイ12の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ14と、給紙パット15と、給紙ローラ14に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられる紙粉取りローラ16,17とを備えている。さらに、フィーダ部4は、紙粉取りローラ16,17に対して下流側に設けられるレジストローラ18を備えている。
【0018】
このように構成されるフィーダ部4では、給紙トレイ12内の用紙3が、用紙押圧板13によって給紙ローラ14側に寄せられ、この給紙ローラ14および給紙パット15で送り出されて紙粉取りローラ16,17、レジストローラ18を通った後、一枚ずつ画像形成部5に搬送されるようになっている。
【0019】
<画像形成部の構成>
画像形成部5は、スキャナ部20と、プロセスカートリッジ30と、定着装置40とを主に備えている。
【0020】
<スキャナ部の構成>
スキャナ部20は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず)と、回転駆動されるポリゴンミラー21と、レンズ22,23と、反射鏡24,25,26とを主に備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー21、レンズ22、反射鏡24,25、レンズ23、反射鏡26の順に反射または通過して、プロセスカートリッジ30の感光体ドラム32の表面上に高速走査にて照射される。
【0021】
<プロセスカートリッジの構成>
プロセスカートリッジ30は、スキャナ部20の下方に配置され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される構造となっている。このプロセスカートリッジ30は、感光体カートリッジ31と、カートリッジの一例としての現像カートリッジ33とを備えている。
【0022】
<現像カートリッジの構成>
現像カートリッジ33は、感光体カートリッジ31の外枠を構成する中空の感光体フレーム31Aに対して着脱自在に装着されており(図2参照)、現像ローラ36と、層厚規制ブレード37と、供給ローラ38と、現像剤収容部の一例としてのトナーホッパ39とを備えている。現像ローラ36は、現像カートリッジ33の外枠を構成する中空の現像フレーム33A(カートリッジフレーム)に回転可能に支持されている。
【0023】
トナーホッパ39内に収容された現像剤の一例としてのトナー(図示せず)は、供給ローラ38の矢印方向(反時計方向)への回転により現像ローラ36に供給される。このとき、トナーは供給ローラ38と現像ローラ36との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ36上に供給されたトナーは、現像ローラ36の矢印方向(反時計方向)への回転に伴って、層厚規制ブレード37と現像ローラ36との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ36上に担持される。
【0024】
<感光体カートリッジの構成>
感光体カートリッジ31は、感光体ドラム32と、スコロトロン型帯電器34と、転写ローラ35とを主に備えている。感光体ドラム32は、感光体フレーム31Aに、矢印方向(時計方向)へ回転可能に支持されている。この感光体ドラム32は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面部分が例えばポリカーボネートからなる正帯電性の感光層により形成されている。
【0025】
スコロトロン型帯電器34は、感光体ドラム32の上方に、感光体ドラム32に接触しないように、所定間隔を隔てて対向配置されている。このスコロトロン型帯電器34は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム32の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
【0026】
転写ローラ35は、感光体ドラム32の下方において、この感光体ドラム32に対向して接触するように配置され、感光体フレーム31Aに、矢印方向(反時計方向)へ回転可能に支持されている。この転写ローラ35は、金属製のローラ軸に導電性のゴム材料が被覆されて構成されている。この転写ローラ35には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0027】
このように構成される感光体カートリッジ31では、感光体ドラム32の表面が、スコロトロン型帯電器34により一様に正帯電された後、スキャナ部20からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
ここで、「静電潜像」とは、一様に正帯電されている感光体ドラム32の表面のうち、レーザビームによって露光されて電位が下がっている露光部分をいう。
【0028】
次いで、現像ローラ36の回転により、現像ローラ36上に担持されているトナーが、感光体ドラム32に対向して接触するときに、感光体ドラム32の表面上に形成される静電潜像に供給される。このようにトナーが、感光体ドラム32の表面上で選択的に担持されることにより可視像化され、反転現像によってトナー像が形成される。
【0029】
その後、感光体ドラム32と転写ローラ35とが、用紙3を両者間で挟持して搬送するように回転駆動する。感光体ドラム32と転写ローラ35との間を用紙3が搬送されることにより、感光体ドラム32の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0030】
<定着装置の構成>
定着装置40は、プロセスカートリッジ30の下流側に配置され、加熱ローラ41と、加熱ローラ41と対向配置され加熱ローラ41を押圧する加圧ローラ42と、加熱ローラ41および加圧ローラ42の下流側に設けられる一対の搬送ローラ43とを備えている。
【0031】
このように構成される定着装置40では、用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させ、その後、用紙3を搬送ローラ43およびフラッパ49によって排紙パス44に搬送するようにしている。排紙パス44に送られた用紙3は、排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙される。なお、本体ケーシング2の後側の一部は、開閉して定着装置40を露出させ、または覆うカバーとなっている。
【0032】
<押圧部材の構成>
図3は、プロセスカートリッジを本体ケーシングに装着してフロントカバーを閉じた状態におけるプロセスカートリッジの前部とフロントカバーの後部を示す側断面図である。図4は、現像フレーム側係合部、現像フレーム側端子、本体側係合部および本体側端子の配置を示す図3のIV−IV断面図である。
【0033】
図1ないし図3に示すように、感光体フレーム31Aには、現像ローラ36の軸方向における2箇所(複数箇所)に押圧部材60(押圧手段)が設けられている。具体的には、押圧部材60は、感光体フレーム31Aの現像ローラ36の軸に直交する側面それぞれ(両側壁)の内側に左右対称に設けられている。これにより、後記するように、現像カートリッジ33を感光体ドラム32側に、軸方向に均一な配分の力で押圧するようになっている。
【0034】
図3に示すように、押圧部材60は、感光体フレーム31Aから突出して設けられた押圧部材支持部601と、バネ602と、バネカバー603とを備えている。押圧部材支持部601は、前方から後方へ伸び、先端が2つに分かれて若干上下に広がる凹形状に形成されている。この凹形状の底部には、バネ602が取り付けられている。バネカバー603は、バネ602を取り付けた押圧部材支持部601の先端に被せられ、押圧部材支持部601に対して前後方向にスライド可能に係合している。なお、本実施形態においてバネ602は圧縮コイルバネを採用している。
【0035】
このように構成される押圧部材60は、現像カートリッジ33が感光体フレーム31Aに完全に装着されると、現像フレーム33Aの両側面外側にそれぞれ突出して形成された角柱状の突起61に、バネ602が押し縮められた状態で当接する。なお、突起61は、その下面が前方から後方に向かって下方に傾斜する傾斜面となっているため、現像カートリッジ33を感光体フレーム31Aに上方から押し込んだときに、この傾斜面が押圧部材60のバネ602を縮めながら下方へ移動するようになっている。
【0036】
<本体側係合部・本体側端子の構成>
図3および図4に示すように、フロントカバー11の内面、すなわち、プロセスカートリッジ30に対向する面には、第2係合部の一例としての本体側係合部111、112、113が設けられている。本体側係合部111は、前記した押圧部材60と同様の構成を備え、本体側係合部112,113は凸形状に形成されている。さらに、本体側係合部111の先端部には、本体ケーシング2内に設けられた制御部(図示せず)と電気的に接続された第2端子の一例としての本体側端子19が設けられている。
【0037】
なお、本体側係合部111は、フロントカバー11から突出して設けられた支持部111aと、バネ111bと、バネカバー111cとを備えているが、これらは押圧部材60の押圧部材支持部601、バネ602およびバネカバー603のそれぞれと同様の構成であるから説明を省略する。
【0038】
<現像フレーム側係合部・現像フレーム側端子の構成>
図3および図4に示すように、現像フレーム33Aのフロントカバー11に対向する外側表面には、本体側係合部111,112,113とそれぞれ係合する第1係合部(または凹部)の一例としての凹形状の現像フレーム側係合部511,512,513が設けられている。より詳細には、現像フレーム側係合部511,512,513は、現像フレーム33Aの装着方向における上流側の端部、すなわち、現像ローラ36が設けられた位置とはトナーホッパ39を挟んで反対側の端部(図1参照)に形成された把持部33B(図2参照)に設けられている。なお、把持部33Bは、現像カートリッジ33を感光体カートリッジ31に着脱する際にユーザによって把持される部分である。
【0039】
さらに、現像フレーム側係合部511は、現像ローラ36の軸方向における中央に設けられ、その右側に現像フレーム側係合部512,513が並列に設けられている。
ここで、「現像ローラ36の軸方向における中央」とは、図4に示す回転軸36Aと、回転軸36Aの回りに被覆されたローラ部36Bとからなる現像ローラ36において、「回転軸36Aの軸方向における中央」、「ローラ部36Bの軸方向における中央」または「ローラ部36Bの画像形成領域の軸方向における中央」のいずれかをいう。特に、ローラ部36Bの画像形成領域の軸方向における中央に設けられるのが最も望ましい。
【0040】
ここで、前記した本体側係合部111,112,113は、それぞれ現像フレーム側係合部511,512,513に係合する位置に設けられている。これにより、プロセスカートリッジ30を本体ケーシング2に装着してフロントカバー11を閉じるときに、本体側係合部と現像フレーム側係合部とが係合するようになっている。このような構成により、現像フレーム側係合部の形成位置が、本体側係合部の形成位置とは異なる現像カートリッジ(図示せず)を、本体ケーシング2に装着してフロントカバー11を閉じようとしても、フロントカバー11は正常に閉まらないようになっている。
【0041】
現像ローラ36の軸方向における中央に設けられた現像フレーム側係合部511の凹部の底面には、現像フレーム33Aに設けられたメモリ手段の一例としてのICチップ53と電気的に接続された、第1端子(またはメモリ端子)の一例としての現像フレーム側端子52が設けられている。この現像フレーム側端子52は、本体側係合部111が現像フレーム側係合部511に正常に係合されたときに、本体側端子19と当接するようになっている。
【0042】
なお、複数の現像フレーム側係合部の配設位置は適宜変更することができる。また、複数の現像フレーム側係合部の形状はすべて同じであってもよいし、異なる形状であってもよい。複数の本体側係合部も、対応する現像フレーム側係合部と係合可能であれば同様である。
【0043】
以上のように構成された感光体カートリッジ31、現像カートリッジ33および画像形成装置1の動作について説明する。図5は、フロントカバーとプロセスカートリッジの位置関係を示す斜視図である。
【0044】
まず、図2および図5に示すように、現像カートリッジ33は、感光体フレーム31Aに装着されてプロセスカートリッジ30を構成する。現像カートリッジ33が、感光体フレーム31Aに装着されるときには、感光体フレーム31Aに設けられた押圧部材60のバネ602が、現像フレーム33Aに設けられた突起61に押し付けられて縮められる。
【0045】
そして、図3に示すように、現像カートリッジ33が、感光体フレーム31Aに完全に装着されると、押圧部材60のバネ602の伸び圧が突起61に常に加えられるため、現像フレーム33Aに感光体ドラム32側(図3の下側の矢印方向)への押圧力が加えられる。この押圧力により、現像フレーム33Aに支持されている現像ローラ36が、感光体ドラム32に対して押圧された状態で当接する。なお、押圧部材60は、感光体フレーム31Aの現像ローラの36の軸方向の2箇所に左右対称に設けられているため、現像ローラ36は軸方向に均一に感光体ドラム32に押圧される。
【0046】
次に、フロントカバー11を開き、開口からプロセスカートリッジ30を本体ケーシング2に装着し、フロントカバー11を閉じる。図3ないし図5に示すように、フロントカバー11を閉じると、フロントカバー11に設けられた本体側係合部111,112,113と、現像フレーム33Aに設けられた現像フレーム側係合部511,512,513とがそれぞれ係合する。さらに、フロントカバー11が正常に閉まると、図3に示すように、本体側係合部111に設けられた本体側端子19と、現像フレーム側係合部511に設けられた現像フレーム側端子52とが当接する。
【0047】
ここで、現像フレーム側端子52と本体側端子19とが当接した状態においては、本体側係合部111のバネ111bが押し縮められるため、その伸び圧が現像フレーム側係合部511の底面(現像フレーム側端子52)に常に加えられる。これにより、現像フレーム側端子52と本体側端子19との当接部分に押圧力が作用することになるため、これらが安定して接触することができる。
【0048】
以上のように構成される本実施形態に係る画像形成装置1によれば、以下のような効果を得ることができる。
画像形成装置1によれば、現像フレーム側係合部511と本体側係合部111とが正常に係合することで、現像フレーム側端子52と本体側端子19とを電気的に接続することができる。これにより、簡易な構成でICチップ53と本体ケーシング2内に設けられた制御部との電気的接続を得ることができる。
【0049】
画像形成装置1によれば、本体側係合部111と係合しない現像フレーム側係合部を備える現像カートリッジ(図示せず)を本体ケーシング2に装着した場合、たとえフロントカバー11を閉じることができたとしても、現像フレーム側端子(図示せず)と本体側端子19とが当接しない。これにより、例えば、画像形成装置1が、エラーを出力したり、動作しなかったりすることで、ユーザは画像形成装置1の異常に気づくことができ、画像形成装置1へのカートリッジの誤装着を容易に発見することができる。
【0050】
画像形成装置1によれば、現像フレーム側係合部511の凹部の底面に現像フレーム側端子52が設けられているため、装着のときに、本体ケーシング2内の他の部材の干渉による現像フレーム側端子52の破損や、ユーザの取り扱いによる汚損の可能性を低減することができる。
【0051】
画像形成装置1によれば、本体側係合部111が、フロントカバー11に設けられているため、フロントカバー11を閉じるだけで本体側端子19と現像フレーム側端子52とを電気的に接続させることができる。すなわち、簡易な構成でICチップ53と本体ケーシング2内に設けられた制御部との電気的接続を得ることができる。
【0052】
画像形成装置1によれば、現像フレーム側端子52が、現像ローラ36が設けられた側とはトナーホッパ39を挟んで反対側の端部(現像フレーム33Aの装着方向における上流側の端部)に設けられているため、現像ローラ36と感光体ドラム32との均一な押圧に与える影響を低減することができる。
すなわち、現像フレーム側端子52と本体側端子19との当接部分には押圧力が作用しているため、この押圧力が、押圧部材60の押圧バランスを崩して、現像ローラ36が軸方向で均一に感光体ドラム32に対して押圧されないおそれがある。そこで、画像形成装置1においては、現像フレーム側端子52を現像ローラ36が設けられた側とはトナーホッパ39を挟んで反対側に設けることで、端子同士の押圧力が現像ローラ36から遠い位置で生じるようにし、端子同士の押圧力の影響を低減している。
【0053】
なお、本体側係合部111,112,113の先端部と現像フレーム側係合部511,512,513の凹部の底面は、係合した場合においても当接しないような寸法に設定されている。したがって、本体側係合部112,113と現像フレーム側係合部512,513とが係合することにより、現像ローラ36と感光体ドラム32との均一な押圧に影響を与えることはない。
【0054】
画像形成装置1によれば、本体側端子19が現像フレーム側端子52に対して、押圧部材60による押圧方向(図3の下側の矢印方向)と平行な方向(図3の上側の矢印方向)に当接するため、現像ローラ36と感光体ドラム32との均一な押圧に与える影響を低減することができる。
【0055】
画像形成装置1によれば、現像フレーム側端子52が、現像ローラ36の軸方向における中央(図4の破線)に配置されているため、現像ローラ36と感光体ドラム32との均一な押圧に与える影響を低減することができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1実施形態に係る画像形成装置1の一部の構成、具体的には、現像フレーム側端子と本体側端子の配設位置が異なるものであるため、この点について説明する。参照する図面において、図6は、本実施形態における現像フレーム側係合部、現像フレーム側端子、本体側係合部および本体側端子の配置を示す断面図である。
【0057】
図6に示すように、フロントカバー11の内面には、本体側係合部111,112,113が設けられ、さらに、本体側係合部112,113の先端部に、本体ケーシング2内に設けられた制御部(図示せず)と電気的に接続された本体側端子19がそれぞれ設けられている。なお、本実施形態における本体側係合部112,113の構成は、前記した第1実施形態における本体側係合部111(図3参照)と同様であるから説明を省略する。
【0058】
また、現像フレーム33Aの装着方向における上流側の端部、すなわち、現像ローラ36が設けられた位置とはトナーホッパ39を挟んで反対側の端部(図1参照)には、本体側係合部111,112,113とそれぞれ係合する凹形状の現像フレーム側係合部511,512,513が設けられている。さらに説明すると、現像フレーム側係合部511,512は、現像ローラ36の軸方向における中心位置(図6の破線)の左側に設けられ、現像フレーム側係合部513は、現像ローラ36の軸方向における中心位置の右側に設けられている。
【0059】
現像フレーム側係合部512,513の凹形状(凹部)の底面には、ICチップ53(図3参照)と電気的に接続された現像フレーム側端子52がそれぞれ設けられている。2つの現像フレーム側端子52は、現像ローラ36の軸方向における中心位置を基準にして左右対称(d1=d2)に配置されている。これらの現像フレーム側端子52は、本体側係合部112,113が現像フレーム側係合部512,513にそれぞれ係合されたときに、本体側端子19とそれぞれ押圧力が作用した状態で当接するようになっている。
【0060】
このように構成される本実施形態に係る画像形成装置によれば、現像フレーム側端子52が、現像ローラ36の軸方向における中心位置を基準にして左右対称に配置されているため、現像ローラ36と感光体ドラム32との均一な押圧に与える影響を低減することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0062】
前記した実施形態では、現像フレーム側端子52を1箇所または2箇所に設けた構成を示したが、これに限定されず、例えば、現像フレーム側端子を3つ以上設ける構成としてもよい。なお、この場合であっても、現像ローラ36と感光体ドラム32との均一な押圧に与える影響を低減するため、例えば、左右対称に配置することが望ましい。
【0063】
前記した実施形態では、現像フレーム側係合部511,512,513を凹形状とした構成を示したが、これに限定されず、例えば、凸形状に形成してもよいし、凹凸を組み合わせた形状に形成してもよい。なお、本体側係合部の形状についても、対応する現像フレーム側係合部と係合可能であれば適宜変更可能である。
【0064】
前記した実施形態では、現像フレーム側係合部を3つ設けた構成を示したが、これに限定されず、例えば、現像フレーム側係合部を1つまたは2つ設ける構成としてもよいし、4つ以上設ける構成としてもよい。すなわち、現像フレーム側係合部は、少なくとも1つ設けられていればよく、複数設けられる場合には適宜その数を決めることができる。なお、本体側係合部についても、対応する現像フレーム側係合部と係合可能であれば同様である。
【0065】
前記した実施形態(第1実施形態)では、本体側係合部111として、フロントカバー11から突出して設けられた支持部111aと、バネ111bと、バネカバー111cとを組み合わせた構成を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本体側端子19を現像フレーム側端子52に精度よく当接させられる部材であれば使用することができる。
【0066】
前記した実施形態では、押圧部材60を感光体フレーム31Aの側面内側に設け、その押圧部材60が現像フレーム33Aの側面外側に突出して形成された角柱状の突起61を押圧する構成を示したが、これに限定されるものではない。例えば、現像フレーム33Aの側に押圧部材を設け、その押圧部材が感光体フレーム31Aを押すことによって、結果として現像フレーム33Aが感光体ドラム32の側に押される構成としてもよい。また、現像フレーム33Aを感光体ドラム32の側に押す押圧部材が本体ケーシング2に設けられる構成としてもよい。
【0067】
前記した実施形態では、現像ローラ36を備えた現像カートリッジ33を、本発明のカートリッジの一例として示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明のカートリッジとしては、例えば、現像ローラの他に感光体ドラムも備えたプロセスカートリッジであってもよいし、少なくともトナーホッパを備えたトナーカートリッジであってもよい。
【0068】
ここで、前記したトナーカートリッジとしては、例えば、図7に示すようなトナーカートリッジ100を示すことができる。図7は、本発明の他の実施形態に係るカートリッジを示す側断面図である。
トナーカートリッジ100は、トナーを収容する現像剤収容部の一例としてのトナーホッパ139と、現像動作のためにトナーを供給する開口部101とが形成されたカートリッジフレーム100Aと、メモリ手段の一例としてのICチップ153とを主に備えている。カートリッジフレーム100Aには、開口部101とはトナーホッパ139を挟んで反対側の端部の一部に、トナーカートリッジ100の着脱時にユーザによって把持される把持部100Bが形成されている。さらに、把持部100Bには、凹部151が形成され、この凹部151の底面にICチップ153に電気的に接続されたメモリ端子152が設けられている。
【0069】
以上のように構成されるトナーカートリッジ100によれば、以下のような効果を得ることができる。
トナーカートリッジ100によれば、凹部151と本体側係合部とが正常に係合することで、メモリ端子152と本体側端子とを電気的に接続することができる。これにより、簡易な構成でICチップ153と画像形成装置本体内に設けられた制御部との電気的接続を得ることができる。
【0070】
トナーカートリッジ100によれば、本体側係合部と係合しない凹部を備えるトナーカートリッジ(図示せず)を画像形成装置本体に装着した場合、たとえフロントカバー(図1参照)を閉じることができたとしても、メモリ端子152と本体側端子とが当接しない。これにより、例えば、画像形成装置が、エラーを出力したり、動作しなかったりすることで、ユーザは画像形成装置の異常に気づくことができ、画像形成装置へのカートリッジの誤装着を容易に発見することができる。
【0071】
トナーカートリッジ100によれば、凹部151の底面にメモリ端子152が設けられているため、装着のときに、画像形成装置本体内の他の部材の干渉によるメモリ端子152の破損や、ユーザの取り扱いによる汚損の可能性を低減することができる。
【0072】
なお、メモリ端子152は、カートリッジフレーム100Aの幅方向における中央に配置されることが望ましい(図4参考)。これによれば、現像ローラと感光体ドラムとの均一な押圧に与える影響を低減することができる。また、同様の効果は、メモリ端子152を、カートリッジフレーム100Aの幅方向における中心位置を基準にして左右対称に配置することでも得ることができる(図6参考)。
ここで、「カートリッジフレーム100Aの幅方向」とは、トナーの供給方向(図7の矢印方向)に水平に直交する方向(図7における手前・奥方向。前記した現像ローラ36の軸方向と同一方向)をいう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す側断面図である。
【図2】感光体カートリッジと現像カートリッジを示す斜視図である。
【図3】プロセスカートリッジを本体ケーシングに装着しフロントカバーを閉じた状態におけるプロセスカートリッジの前部とフロントカバーの後部を示す側断面図である。
【図4】現像フレーム側係合部、現像フレーム側端子、本体側係合部および本体側端子の配置を示す図3のIV−IV断面図である。
【図5】フロントカバーとプロセスカートリッジの位置関係を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態における現像フレーム側係合部、現像フレーム側端子、本体側係合部および本体側端子の配置を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るカートリッジを示す側断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
2 本体ケーシング(本体)
11 フロントカバー(開閉部材)
19 本体側端子(第2端子)
32 感光体ドラム
33 現像カートリッジ(カートリッジ)
33A 現像フレーム(カートリッジフレーム)
33B,100B 把持部
36 現像ローラ
36A 回転軸(軸)
39,139 トナーホッパ(現像剤収容部)
52 現像フレーム側端子(第1端子またはメモリ端子)
53,153 ICチップ(メモリ手段)
60 押圧部材(押圧手段)
100 トナーカートリッジ(カートリッジ)
100A カートリッジフレーム
101 開口部
111,112,113 本体側係合部(第2係合部)
151 凹部
152 メモリ端子
511,512,513 現像フレーム側係合部(第1係合部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムに対向配置された現像ローラと、
現像剤を収容し、前記現像ローラを間に挟んで前記感光体ドラムとは反対側に配置された現像剤収容部と、
少なくとも前記現像剤収容部が形成されたカートリッジフレームと、メモリ手段と、前記カートリッジフレームにおける装着方向上流側の端部に設けられた第1係合部と、前記第1係合部の少なくとも一部に設けられるとともに前記メモリ手段と電気的に接続された第1端子と、を有するカートリッジと、
前記本体に設けられ、前記第1係合部と係合する第2係合部と、
前記第2係合部の少なくとも一部に設けられ、前記本体に設けられた制御部と電気的に接続されるとともに前記第1端子に当接される第2端子と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1係合部は凹部を有し、前記第1端子は前記凹部内に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2係合部は、前記本体において前記カートリッジの着脱時に開閉される開閉部材に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1係合部は、前記端部の少なくとも一部に形成されるとともに前記カートリッジの着脱時に把持される把持部に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像ローラを前記感光体ドラムに向かって押圧する押圧手段をさらに備え、
前記第2端子は、前記押圧手段による押圧方向と平行な方向に前記第1端子に対して当接することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1端子は、前記現像ローラの軸方向における中央に配置されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1端子は、前記現像ローラの軸方向における中心位置を基準にして左右対称に配置されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
少なくとも現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤を供給する開口部とが形成されたカートリッジフレームと、
メモリ手段と、
前記カートリッジフレームにおける前記開口部とは前記現像剤収容部を挟んで反対側の端部に設けられた凹部と、
前記凹部の少なくとも一部に設けられるとともに前記メモリ手段と電気的に接続されたメモリ端子と、
を備えたことを特徴とするカートリッジ。
【請求項9】
前記凹部は、前記端部の少なくとも一部に形成されるとともに前記カートリッジの着脱時に把持される把持部に設けられたことを特徴とする請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記メモリ端子は、前記カートリッジフレームの幅方向における中央に配置されたことを特徴とする請求項8または請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記メモリ端子は、前記カートリッジフレームの幅方向における中心位置を基準にして左右対称に配置されたことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載のカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−276138(P2008−276138A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122706(P2007−122706)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】