説明

画像形成装置

【課題】 カブリの発生を防止することが可能な電子写真方式の画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置1を構成するプリンタコントローラ70は、画像形成プロセスを停止する際に、帯電バイアス印加回路50を制御して帯電バイアスHVCNの印加を停止した後に、現像バイアス印加回路51を制御して現像バイアスHVBNの印加を停止すると同時に現像逆バイアスHVBPの印加を開始する。その後、プリンタコントローラ70は、転写バイアス印加回路52を制御して転写逆バイアスHVTNの印加を停止した後にメインモータ56を停止し、その後、現像逆バイアスHVBPの印加を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感光体ドラムの表面を帯電して露光することで静電潜像を形成し、該静電潜像にトナーを付着させて可視像化し用紙に転写することで画像形成を行う電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。このような画像形成装置では、画像形成に必要な処理として、帯電、露光、現像、転写、定着といった画像形成プロセスが行われ、各プロセスでは印加電圧を制御して感光体ドラムの表面にトナーを付着又は離脱させるようにコントロールしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−338328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の画像形成装置では、プリントジョブが終了すると、感光体ドラムを回転駆動するモータを制御する制御信号がOFFされる。また、これに同期して、帯電バイアスを制御する帯電バイアス信号、現像バイアスを制御する現像バイアス信号、及び転写バイアスを制御する転写バイアス信号がそれぞれOFFされる。すなわち、モータの停止命令が発せられると同時に、帯電バイアスと現像バイアスと転写バイアスの印加が停止される。ここで、モータ制御信号がOFFされてからモータが完全に停止するまでには遅れがある。そのため、モータ制御信号と同時に帯電バイアス及び現像バイアスがOFFされると、感光体ドラムの表面電位V0と現像ローラの電位VBとの電位差が小さくなりモータが完全停止するときに感光体ドラム上のカブリが発生することがあった。一方、モータが完全に停止するまで帯電バイアス及び現像バイアスをONしておけば完全停止時の感光体ドラム上のカブリを防ぐことはできるが、次回起動時に表面電位の乱れで逆帯電トナーによるカブリが起きるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、電子写真方式の画像形成装置において、カブリの発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、表面に感光層が形成され、モータにより駆動される感光体ドラムと、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電手段と、帯電手段により帯電された感光体ドラムの表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、感光体ドラムの外周面に当接して配置され、露光手段により形成された静電潜像に非磁性一成分トナーを付着させてトナー像を形成する現像手段と、感光体ドラムの外周面に当接して配置され、現像手段により形成されたトナー像を用紙に転写させる転写手段と、帯電手段に帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加手段と、現像手段に現像バイアス又は該現像バイアスと逆極性の現像逆バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、モータ、帯電バイアス印加手段、及び現像バイアス印加手段を制御して画像形成プロセスを実行する制御手段とを備え、制御手段が、画像形成プロセスを停止する際に、帯電バイアスの印加を停止した後に、現像バイアスの印加を停止すると同時に現像逆バイアスの印加を開始し、その後、モータを停止した後に、現像逆バイアスの印加を停止するようにモータ、帯電バイアス印加手段、及び現像バイアス印加手段を制御することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る画像形成装置によれば、画像形成プロセスが停止される際に、帯電バイアスの印加が停止された後に現像バイアスの印加が停止される。そのため、例えば、帯電バイアスの印加が停止された感光体ドラム上の領域が現像手段に到達するまで現像バイアスを印加することにより、現像時の電位が維持されるため、トナーの感光体ドラムへの移動が防止され、カブリの発生を防止することができる。また、現像バイアスの印加が停止されると同時に現像逆バイアスの印加が開始された後、モータが停止され、その後現像逆バイアスの印加が停止される。そのため、現像逆バイアスが印加されている間、正規チャージトナーを現像手段上に留めることができる。また、未帯電の感光体ドラムの表面電位と現像手段の電位との電位差を保持することにより、逆チャージトナーの現像手段から感光体ドラムへの移動を防止することができる。よって、カブリの発生を防止することが可能となる。
【0008】
本発明に係る画像形成装置では、制御手段が、帯電手段に印加される帯電バイアスが停止されたときに帯電手段と対向する位置にあった感光体ドラムの表面領域が現像手段に到達したときに、現像バイアスの印加を停止するとともに現像逆バイアスの印加を開始するように現像バイアス印加手段を制御することが好ましい。
【0009】
この場合、帯電手段に印加される帯電バイアスが停止されたときに帯電手段と対向する位置にあった感光体ドラムの表面領域、すなわち感光体ドラム上の未帯電部の先端が現像手段に到達したときに、現像バイアスの印加が停止される。そのため、感光体ドラム上の未帯電部の先端が現像ニップ部に到達するまでは現像時の電位が維持されるため、トナーの感光体ドラムへの移動が防止され、カブリの発生を防止することができる。また、上記未帯電部の先端が現像ニップ部に到達したときに、現像バイアスの印加が停止されると同時に現像逆バイアスの印加が開始される。そのため、現像逆バイアスが印加されている間、正規チャージトナーを現像手段上に留めることができる。また、未帯電の感光体ドラムの表面電位と現像手段の電位との電位差を保持することにより、逆チャージトナーの現像手段から感光体ドラムへの移動を防止することができる。よって、カブリの発生を防止することが可能となる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置では、制御手段が、感光体ドラムの上記表面領域が帯電手段に到達したとき又はその後に、現像逆バイアスの印加を停止するように現像バイアス印加手段を制御することが好ましい。
【0011】
この場合、感光体ドラム上の未帯電部の先端が帯電手段を通過するまで現像逆バイアスが印加されるため、その間、上述したように、正規チャージトナーを現像手段上に留めるとともに、逆チャージトナーの現像手段から感光体ドラムへの移動を防止することができる。また、感光体ドラム上の未帯電領域の先端が帯電手段を通過しているため、次回のプリント時において帯電バイアスを印加したとしても感光体ドラム上に表面電位乱れが生じることを防止できる。そのため、逆チャージトナーによるカブリの発生を防止することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、転写手段に転写バイアス又は該転写バイアスと逆極性の転写逆バイアスを印加する転写バイアス印加手段を備え、制御手段が、感光体ドラムの上記表面領域が転写手段に到達する前に、転写逆バイアスの印加を開始するとともに、上記表面領域が転写手段に到達したとき又はその後に、転写逆バイアスの印加を停止するように転写バイアス印加手段を制御することが好ましい。
【0013】
この場合、感光体ドラム上の未帯電部の先端が転写手段を通過するまでの間、転写逆バイアスが印加されるため、その間に、転写手段上の正規チャージトナーを感光体ドラム上に戻すことができる。そのため、転写手段に付着した正規チャージトナーによるカブリの発生を防止することが可能となる。
【0014】
本発明に係る画像形成装置では、転写手段が、回転駆動される転写ローラであり、制御手段が、転写ローラが一回転するのに要する時間よりも長い時間、転写ローラに転写逆バイアスを印加するように転写バイアス印加手段を制御することが好ましい。
【0015】
この場合、転写ローラが一回転以上回転する間、転写逆バイアスが印加されるため、転写ローラの全周にわたって正規チャージトナーを感光体ドラム上に戻すことができる。そのため、転写手段に付着した正規チャージトナーによるカブリの発生をより確実に防止することが可能となる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置は、感光体ドラムの回転方向に対して転写手段の下流側に設けられ、感光体ドラム上のトナーを回収するクリーニング手段を備え、制御手段が、感光体ドラムの上記表面領域がクリーニング手段に到達したとき又はその後に、モータの駆動を停止することが好ましい。
【0017】
このようにすれば、感光体ドラム上に残留していたトナー及び感光体ドラム上に戻されたトナーをクリーニング手段によって回収することができるため、カブリの発生を防止することが可能となる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置では、帯電手段として、感光体ドラムに対して離間配置されるコロナ帯電器が好適に用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子写真方式の画像形成装置において、カブリの発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る画像形成装置による画像形成プロセスの停止処理のタイミングチャートである。
【図4】図3中の時刻t3における感光体ドラム上の未帯電領域の先端位置を示す図である。
【図5】図3中の時刻t4における感光体ドラム上の未帯電領域の先端位置を示す図である。
【図6】図3中の時刻t5における感光体ドラム上の未帯電領域の先端位置を示す図である。
【図7】図3中の時刻t6における感光体ドラム上の未帯電領域の先端位置を示す図である。
【図8】図3中の時刻t7における感光体ドラム上の未帯電領域の先端位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
まず、図1及び図2を併せて用いて、実施形態に係る画像形成装置1の構成について説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を示す概略断面図である。図2は、画像形成装置1の回路構成を示すブロック図である。
【0023】
画像形成装置1は、接触型非磁性一成分現像方式を用いた電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置1の上部には原稿読取部2が配置され、その下部には、給紙部3、及び記録部4が配されている。
【0024】
原稿読取部2では、原稿カバー10に設けられた原稿トレイ11にセットされた原稿が原稿搬送機構12により読取装置9と対向する位置に搬送されて読み取られ、その後、原稿排紙トレイ13に排出される。書籍等を読み取る場合には、原稿カバー10を上方に回動してプラテン14に書籍等の被読取部分を配置し読取装置9による読取動作を行う。なお、読み取られた原稿の画像情報は、後述するプリントコントローラ70に送られる。
【0025】
給紙部3には、給紙カセット15が配設されており、フラッパ16に所定のサイズの用紙が複数枚積載されている。給紙カセット15の端部には、ピックアップローラ17が配置されている。フラッパ16は、積載された用紙の上面がピックアップローラ17に圧接するようにバネ部材により上方に付勢されている。この状態でピックアップローラ17が回転駆動すると、摩擦力により用紙が一枚ずつ用紙搬送路に給紙される。図1において、用紙搬送路を一点鎖線で示した。
【0026】
給紙カセット15から給紙された用紙は、まずレジストローラ対18,19により記録部4に搬送される。記録部4には、搬送された用紙に画像情報を記録するために、主として感光体ドラム20、帯電器21、露光ヘッド22、現像器23、転写ローラ24、クリーニングブレード25、及び定着ローラ26等が備えられている。
【0027】
感光体ドラム20は、円筒状で、外周面に感光体として所定膜厚の光導電膜が設けられている。感光体ドラム20はメインモータ56により回転駆動される。感光体ドラム20の周囲には、その回転方向に沿って帯電器21、露光ヘッド22、現像器23、転写ローラ24、及びクリーニングブレード25が順に配列されており、帯電器21、露光ヘッド22、及び現像器23によってその表面に像形成が行われる。
【0028】
帯電器21は、タングステン等の細線からなるコロナワイヤがケーシングで包囲された所謂スコロトロン帯電器(コロナ帯電器)であり、感光体ドラム20の表面を一様に帯電させる。帯電器21には、帯電バイアス印加回路50が接続されており、負の帯電バイアスHVCNが印加される。プリンタコントローラ70からの制御信号に基づいて帯電バイアス印加回路50が帯電バイアスHVCNを帯電器21に印加すると感光体ドラム20の表面は約−750Vに一様に帯電された状態となる。すなわち、帯電器21は、特許請求の範囲に記載の帯電手段に相当し、帯電バイアス印加回路50は、帯電バイアス印加手段に相当する。
【0029】
露光ヘッド(露光器)22は、レーザー光を感光体ドラム20の表面に照射して露光し、静電潜像を形成する。より具体的には、露光ヘッド22は、プリンタコントローラ70から入力される画像情報に基づいてレーザー光を一様に帯電された感光体ドラム20の表面に照射し、感光体ドラム20の表面を露光して画像情報に対応した静電潜像を形成する。露光されることで除電され、感光体ドラム20の表面電位は約−100Vの露光後電位となる。すなわち、露光ヘッド22は、特許請求の範囲に記載の露光手段として機能する。
【0030】
現像器23は、感光体ドラム20の回転方向に沿って露光ヘッド22の下流側に設けられている。現像器23は、その内部に非磁性一成分のマイナス帯電トナーが貯留されており、供給ローラ27及び現像ローラ28によってトナーを感光体ドラム20表面に転移して表面に形成された静電潜像を可視像化する。現像器23内の供給ローラ27及び現像ローラ28には現像バイアス印加回路51が接続されている。現像バイアス印加回路51は、プリンタコントローラ70からの制御信号に基づいて、供給ローラ27及び現像ローラ28それぞれにバイアス電圧を印加する。供給ローラ27には所定の供給バイアス(例えば−350V)が印加されて、現像器23内のトナーを負に帯電させながら現像ローラ28に供給する。現像ローラ28には所定の現像バイアスHVBN(例えば−300V)が印加され、感光体ドラム20の表面に接触しながら露光部分との電位差を利用してトナーを移転する。また、現像バイアス印加回路51は、現像器23(供給ローラ27、現像ローラ28)に現像バイアスHVBNと逆極性の現像逆バイアスHVBP(例えば+300V)を印加する。すなわち、現像器23(供給ローラ27、現像ローラ28)は、特許請求の範囲に記載の現像手段として機能し、現像バイアス印加回路51は、現像バイアス印加手段として機能する。
【0031】
転写ローラ24は、感光体ドラム20の回転方向に沿って現像器23の下流側に感光体ドラム20と当接して設けられ、転写ニップを形成し、現像器23により形成されたトナー像を用紙に転写する。転写ローラ24には、電子導電性ローラ又はイオン導電性ローラが主に用いられる。転写ローラ24には転写バイアス印加回路52が接続されている。転写バイアス印加回路52は、プリンタコントローラ70からの制御信号に基づいて転写バイアスHVTP(例えば+10μA)を転写ローラ24に印加し、感光体ドラム20の表面に形成されたトナー像を電界吸引力により用紙に転写する。また、転写バイアス印加回路52は、転写ローラ24に転写バイアスHVTPと逆極性の転写逆バイアスHVTN(例えば−1000V)を印加する。すなわち、転写ローラ24は、特許請求の範囲に記載の転写手段として機能し、転写バイアス印加回路52は、転写バイアス印加手段として機能する。なお、トナー像が転写された用紙は除電ブラシ(図示せず)により電荷が除かれる。
【0032】
転写されたトナー像は、定着ローラ26及びプレスローラ29によって挟持されて加熱・プレスされ用紙に定着される。定着ローラ26にはヒータ駆動回路53が接続されている。ヒータ駆動回路53は、プリンタコントローラ70からの制御信号に基づいて定着ローラ26内のヒータランプを発熱させる。定着ローラ26の表面温度を検知するためにサーミスタが表面に接触して配置されており、サーミスタの検知信号に基づいてプリンタコントローラ70はヒータ駆動回路53を制御し、定着ローラ26の表面温度を所定温度に維持する。なお、定着された用紙は、排紙ローラ対30,31の間に挟持されて用紙排紙トレイ32に搬出される。
【0033】
感光体ドラム20の回転方向に対して転写ローラ24の下流側には、感光体ドラム20上のトナーを回収するクリーニングブレード25が設けられている。クリーニングブレード25は、例えばゴム製のブレードであり、感光体ドラム20に当接して、感光体ドラム20上の残留トナーを掻き取り回収する。すなわち、クリーニングブレード25は、特許請求の範囲に記載のクリーニング手段として機能する。
【0034】
メインモータ56は、プリンタコントローラ70からの制御信号に基づいて、現像プロセス部を構成する感光体ドラム20、供給ローラ27、現像ローラ28、転写ローラ24を回転駆動させる。また、用紙搬送部を構成するピックアップローラ17、レジストローラ対18,19、定着ローラ26、プレスローラ29、及び排紙ローラ対30,31は、サブモータ57からの回転駆動力により用紙を排紙する方向に回転されるようになっている。サブモータ57は、プリンタコントローラ70からの制御信号に基づいて、排紙ローラ30を電磁クラッチを介して用紙を搬送する方向に回転駆動する。
【0035】
プリンタコントローラ70は、上述したようにメインモータ56及びサブモータ57の駆動制御を行うとともに、露光ヘッド22、帯電バイアス印加回路50、現像バイアス印加回路51、転写バイアス印加回路52、及びヒータ駆動回路53を制御して画像形成プロセスを実行する。また、プリンタコントローラ70は、画像形成プロセスを停止する際に、帯電バイアスの印加を停止した後に、現像バイアスの印加を停止すると同時に現像逆バイアスの印加を開始し、その後、転写逆バイアスの印加を停止した後にメインモータ56を停止し、その後、現像逆バイアスの印加を停止するようにメインモータ56、帯電バイアス印加回路50、現像バイアス印加回路51、及び転写バイアス印加回路52を制御する。すなわち、プリンタコントローラ70は、特許請求の範囲に記載の制御手段として機能する。プリンタコントローラ70は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM、及びデータがバックアップされているバックアップRAM等により構成されている。プリンタコントローラ70は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、上述した画像形成装置1を構成するハードウェアを統合的に制御する。
【0036】
次に、図3〜8を併せて用いて、画像形成装置1の動作について説明する。図3は、画像形成装置1による画像形成プロセスの停止処理のタイミングチャートを示している。ここで、図3では、横軸を時刻とし、上段から順に、メインモータ56、帯電バイアスHVCN、現像バイアスHVBN、現像逆バイアスHVBP、及び転写逆バイアスHVTNの制御信号のオン/オフ状態が示されている。また、図4〜図8それぞれは、図3中の時刻t3、時刻t4、時刻t5、時刻t6、時刻t7それぞれにおける感光体ドラム20上の未帯電領域の先端位置を示している。
【0037】
画像形成プロセス(プリントジョブ)が実行される際、時刻t0にメインモータ56へ駆動信号が出力され感光体ドラム20が回転を始めるとともに、帯電バイアスHVCNの印加が開始され画像形成が開始される。そして時刻t1で用紙への転写が終了すると、そこ(時刻t1)から転写後クリーニングタイマーT9が起動され、転写逆バイアスHVTN(例えば−1000V)の印加が開始される。転写後クリーニングタイマーT9が終了する時刻t2を基準として、帯電OFFタイマーC2、現像延長タイマーB5、転写後クリーニングタイマーT11、及びメインモータ後回転延長タイマーP3が起動される。ここで、各タイマーの設定値は、「帯電OFFタイマーC2<現像延長タイマーB5<転写後クリーニングタイマーT11<メインモータ後回転延長タイマーP3」の関係が成立するように設定される。
【0038】
帯電OFFタイマーC2が終了(タイムアップ)したとき(時刻t3)に、帯電器21に対する帯電バイアスHVCNの印加が停止される。帯電バイアスHVCNの印加が停止されることにより、感光体ドラム20上の帯電されていない領域(未帯電領域)の表面電位は略0Vになる。ここで、時刻t3における未帯電領域の先端の位置を図4に黒丸「●」で示す。
【0039】
現像延長タイマーB5が終了したとき(時刻t4)に、現像ローラ28に対する現像バイアスHVBN(例えば−300V)の印加が停止される。同時に、現像逆バイアスタイマーB7がセットされ、現像逆バイアスHVBP(例えば+300V)の印加が開始される。なお、現像逆バイアスHVBPは、逆チャージトナー(及び正規チャージトナー)が現像ローラ28から感光体ドラム20に移動しない程度の電圧に設定される。
【0040】
ここで時刻t4における未帯電領域の先端の位置を図5に黒丸「●」で示す。図5に示されるように、時刻t4では、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端は現像ニップ部に到達している。よって、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端が現像ニップ部に到達したときに、現像バイアスHVBNの印加が停止されるとともに現像逆バイアスHVBPの印加が開始される。そのため、感光体ドラム20上の未帯電部の先端が現像ニップ部に到達するまでは現像時の電位(感光体ドラム20の表面電位−750V、現像ローラ28の電位−300V)が維持されるため、正規チャージトナーの感光体ドラム20への移動が防止され、正規チャージトナーによるカブリが防止される。また、上記未帯電部の先端が現像ニップ部を通過した後は、現像逆バイアスHVBPが印加される(感光体ドラム20の表面電位V0≒0V、現像ローラ28の電位VB=+300V)ため、正規チャージトナーは現像ローラ28に留まり感光体ドラム20に移動しない。また、未帯電の感光体ドラム20の表面電位と現像ローラ28の電位との電位差が逆チャージトナーが移動するために必要な電位差に比べて小さいため、逆チャージトナーも感光体ドラム20へ移動することなく現像ローラ28に留まり、逆チャージトナーによるカブリも防止される。
【0041】
その後、転写後クリーニングタイマーT11が終了したとき(時刻t5)に、転写ローラ24に対する転写逆バイアスHVTN(例えば−1000V)の印加が停止される。ここで時刻t5における未帯電領域の先端の位置を図6に黒丸「●」で示す。図6に示されるように、時刻t5では、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端は転写ニップ部を通過している。すなわち、感光体ドラム20上の未帯電部の先端が転写ローラ24を越えるまでの間、転写逆バイアスHVTNが印加される。そのため、転写逆バイアスHVTNが印加されている間、感光体ドラム20の表面電位と転写ローラ24の電位との電位差(感光体ドラム20の表面電位V0=−750V又は0V、転写ローラ24の電位VT=−1000V)により、転写ローラ24上の正規チャージトナーが感光体ドラム20上に戻される。
【0042】
一方、転写逆バイアスHVTNの印加は時刻t1(感光体ドラム20上の未帯電領域の先端が転写ローラ24に到達する前)から開始されている。ここで、転写後クリーニングタイマーT9及び転写後クリーニングタイマーT11それぞれの設定値は、「転写後クリーニングタイマーT9+転写後クリーニングタイマーT11>転写ローラ24が一回転するのに要する時間」となるように設定される。そのため、転写逆バイアスHVTNの印加が開始された時刻t1から、印加が停止される時刻t5までの時間は、転写ローラ24が一回転するのに要する時間よりも長くなる。よって、転写ローラ24が一回転以上回転する間、転写ローラ24に転写逆バイアスHVTNが印加されるため、転写ローラ24の全周にわたって正規チャージトナーが感光体ドラム20上に戻される。
【0043】
その後、メインモータ後回転延長タイマーP3が終了したとき(時刻t6)に、メインモータ56に対する駆動信号がオフされる。ここで時刻t6における未帯電領域の先端の位置を図7に黒丸「●」で示す。図7に示されるように、時刻t6では、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端はクリーニングブレード25を通過している。すなわち、メインモータ56は、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端がクリーニングブレード25を越えた後に、駆動が停止され、その後慣性で回転した後に完全停止する。そのため、本停止処理の前から感光体ドラム20上に残留していたトナー及び感光体ドラム20上に戻されたトナーがクリーニングブレード25によって回収される。
【0044】
その後、現像逆バイアスタイマーB7が終了したとき(時刻t7)に、現像ローラ28に対する現像逆バイアスHVBPの印加が停止される。なお、現像逆バイアスタイマーB7は、メインモータ後回転延長タイマーP3がタイムアップした後に終了するように設定される。
【0045】
ここで時刻t7における未帯電領域の先端の位置を図8に黒丸「●」で示す。図8に示されるように、時刻t7では、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端は帯電器21を通過している。すなわち、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端が帯電器21を通過した後に、現像逆バイアスの印加が停止される。感光体ドラム20上の未帯電部の先端が帯電器21を通過するまで現像逆バイアスHVBPが印加されるため、その間、上述したように、正規チャージトナーは感光体ドラム20に移動することなく現像ローラ28に留まる。また、逆チャージトナーも感光体ドラム20へ移動することなく現像ローラ28に留まる。さらに、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端が帯電器21を通過しているため、次回のプリント時において帯電バイアスが印加されたとしても感光体ドラム20上にスパイクが生じることはない。
【0046】
そして、その後、メインモータ56が完全停止し、すなわち感光体ドラム20が完全停止し、本停止処理が終了する。
【0047】
本実施形態によれば、感光体ドラム20上の未帯電部の先端が現像ニップ部に到達するまでは現像時の電位(感光体ドラム20の表面電位−750V、現像ローラ28の電位−300V)が維持されるため、正規チャージトナーの感光体ドラム20への移動が防止され、カブリの発生を防止することができる。また、上記未帯電部の先端が現像ニップ部を通過した後は、現像逆バイアスHVBPが印加される(感光体ドラム20の表面電位V0=0V、現像ローラ28の電位VB=+300V)ため、正規チャージトナーを現像ローラ28に留めることができる。また、未帯電の感光体ドラム20の表面電位と現像ローラ28の電位との電位差が逆チャージトナーが移動するために必要な電位差に比べて小さいため、逆チャージトナーの現像ローラ28から感光体ドラム20への移動を防止することができる。よって、カブリの発生を防止することが可能となる。
【0048】
本実施形態によれば、感光体ドラム20上の未帯電部の先端が帯電器21を通過するまで現像逆バイアスHVBPが印加されるため、その間、上述したように、正規チャージトナーを現像ローラ28に留めるとともに、逆チャージトナーの感光体ドラム20への移動を防止することができる。また、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端が帯電器21を通過しているため、次回のプリント時において帯電バイアスが印加されたとしても感光体ドラム20上に表面電位乱れが生じることを防止できる。そのため、逆チャージトナーによるカブリの発生を防止することが可能となる。
【0049】
本実施形態によれば、感光体ドラム20上の未帯電部の先端が転写ローラ24を越えるまでの間、転写逆バイアスHVTNが印加される。そのため、転写逆バイアスHVTNが印加されている間、感光体ドラム20の表面電位と転写ローラ24の電位との電位差(感光体ドラム20の表面電位V0=−750V又は0V、転写ローラ24の電位VT=−1000V)により、転写ローラ24上の正規チャージトナーを感光体ドラム20上に戻すことができる。そのため、正規チャージトナーによるカブリの発生を防止することが可能となる。
【0050】
本実施形態によれば、転写ローラ24が一回転以上回転する間、転写ローラ24に転写逆バイアスHVTNが印加されるため、転写ローラ24の全周にわたって正規チャージトナーを感光体ドラム20上に戻すことができる。そのため、転写ローラ24に付着した正規チャージトナーによるカブリの発生をより確実に防止することが可能となる。
【0051】
本実施形態によれば、感光体ドラム20上の未帯電領域の先端がクリーニングブレード25を越えた後に、メインモータ56の駆動が停止されるため、本停止処理の前から感光体ドラム20上に残留していたトナー及び感光体ドラム20上に戻されたトナーをクリーニングブレード25によって回収することができる。そのため、カブリの発生を防止することが可能となる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、帯電器21として、スコロトロン帯電器(コロナ帯電器)を用いたが、これに代えて、感光体ドラム20の表面に接触した状態で感光体ドラム20の外周面を一様に帯電する帯電ローラ、又は帯電ブラシ等を用いてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、露光ヘッド22としてレーザー光を利用するものを用いたが、これに代えて、LED光を利用するLEDヘッドを用いることもできる。
【0054】
本発明は、クリーニングブレード25を有していないクリーナーレスの画像形成装置に適用することもできる。その場合には、帯電器21に感光体ドラム20上の未帯電部の先端が到着したときにメインモータ56の駆動を停止することが好ましい。
【0055】
上記実施形態では、負帯電性トナーを用いたが、正帯電性トナーを用いることもできる。その場合には、上述した帯電バイアスHVCN、現像バイアスHVBN、現像逆バイアスHVBP、及び転写逆バイアスHVTNそれぞれを逆極性にして印加する。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置
2 原稿読取部
3 給紙部
4 記録部
20 感光体ドラム
21 帯電器
22 露光ヘッド
23 現像器
24 転写ローラ
25 クリーニングブレード
26 定着ローラ
27 供給ローラ
28 現像ローラ
50 帯電バイアス印加回路
51 現像バイアス印加回路
52 転写バイアス印加回路
56 メインモータ
57 サブモータ
70 プリンタコントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光層が形成され、モータにより駆動される感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された前記感光体ドラムの表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記感光体ドラムの外周面に当接して配置され、前記露光手段により形成された前記静電潜像に非磁性一成分トナーを付着させてトナー像を形成する現像手段と、
前記感光体ドラムの外周面に当接して配置され、前記現像手段により形成されたトナー像を用紙に転写させる転写手段と、
前記帯電手段に帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加手段と、
前記現像手段に現像バイアス又は該現像バイアスと逆極性の現像逆バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、
前記モータ、前記帯電バイアス印加手段、及び前記現像バイアス印加手段を制御して画像形成プロセスを実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、画像形成プロセスを停止する際に、前記帯電バイアスの印加を停止した後に、前記現像バイアスの印加を停止すると同時に前記現像逆バイアスの印加を開始し、その後、前記モータを停止した後に、前記現像逆バイアスの印加を停止するように前記モータ、前記帯電バイアス印加手段、及び前記現像バイアス印加手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記帯電手段に印加される帯電バイアスが停止されたときに前記帯電手段と対向する位置にあった前記感光体ドラムの表面領域が前記現像手段に到達したときに、前記現像バイアスの印加を停止するとともに前記現像逆バイアスの印加を開始するように前記現像バイアス印加手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記感光体ドラムの前記表面領域が前記帯電手段に到達したときに、前記現像逆バイアスの印加を停止するように前記現像バイアス印加手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写手段に転写バイアス又は該転写バイアスと逆極性の転写逆バイアスを印加する転写バイアス印加手段を備え、
前記制御手段は、前記感光体ドラムの前記表面領域が前記転写手段に到達する前に、前記転写逆バイアスの印加を開始するとともに、前記感光体ドラムの前記表面領域が前記転写手段に到達したとき又はその後に、前記転写逆バイアスの印加を停止するように前記転写バイアス印加手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写手段は、回転駆動される転写ローラであり、
前記制御手段は、前記転写ローラが一回転するのに要する時間よりも長い時間、前記転写ローラに前記転写逆バイアスを印加するように前記転写バイアス印加手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体ドラムの回転方向に対して前記転写手段の下流側に設けられ、前記感光体ドラム上のトナーを回収するクリーニング手段を備え、
前記制御手段は、前記感光体ドラムの前記表面領域が前記クリーニング手段に到達したとき又はその後に、前記モータの駆動を停止することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記帯電手段は、前記感光体ドラムに対して離間配置されるコロナ帯電器であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−197466(P2010−197466A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39251(P2009−39251)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】