画像形成装置
【課題】 選択現像やトナー劣化によるガサツキ、画像濃度低下、カブリ等を防ぎ、トナー消費量を増加させることなく、ダウンタイムも抑えつつ、良好な画像出力を高速度で安定して提供可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、コントローラ60が出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを現像装置4から感光ドラム1の表面に転移可能である画像形成装置100において、コントローラ60は、トナー濃度センサ9が検知したトナーdの濃度に基づいて、帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能である画像形成装置100を構成する。
【解決手段】 出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、コントローラ60が出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを現像装置4から感光ドラム1の表面に転移可能である画像形成装置100において、コントローラ60は、トナー濃度センサ9が検知したトナーdの濃度に基づいて、帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能である画像形成装置100を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電記録方式又は電子写真方式の複写装置、画像形成記録装置、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図23は、従来の画像形成装置90の構成を示す断面図である。図23に示されるように、画像形成装置90は、『潜像担持部材』である回転ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)1が配置されている。ここでは、非晶質シリコン感光体を使用している。感光ドラム1は、回転方向R1の方向に、所定の周速度で回転駆動され、その表面にて後述の出力画像形成の画像形成プロセスが繰り返し行われる。感光ドラム1は、コロナ放電方式等の一次帯電装置2により、所定の極性、所定の表面電位に帯電される。次いで、感光ドラム1は、カラー原稿画像の色分解に基づく結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャナによる走査露光光学系にて構成された露光装置3による画像露光Limを受け取る。これにより目的の画像に対応した静電像が形成される。
【0003】
図24は、感光ドラム1の中心部分の導電性支持体101から表面保護層103までの部分断面図である。感光ドラム1では、中心部にはAl等の導電性支持体101が設けられ、その上層には、導電性支持体101からの反射を防止する為の長波長光吸収層105が設けられる。その上層に導電性支持体101と同様の導電性支持体104が設けられる。そして、導電性支持体104の上層に設けられ、導電性支持体104からの電荷の注入を阻止する為の『電荷注入阻止層』である光導電層102は、少なくとも非晶質シリコン系の材料で構成され、光導電性を示す層である。また、光導電層102を保護する為の表面保護層103が最表層に設けられている。
【0004】
図2は、静電像を現像するために固定的に配置された現像装置4の断面図である。現像容器40は、現像剤dを収容し、画像形成装置の長手方向(図2のシート面に直角方向)に延在する開口を有し、その開口に『現像剤担持部材』としての現像スリーブ41が設置される。現像スリーブ41は、例えばアルミニウム、SUS等の材料にて中空の円筒状に形成される。現像スリーブ41は、開口の図で見て左略半周面を現像容器40内に突入し、右略半周面を現像容器40外へ露出し、感光ドラム1と対向するようにして、回転自在に横設されている。
【0005】
現像スリーブ41と感光ドラム1との間には、微小な間隙GSDが設けられ、現像スリーブ41は、感光ドラム1の回転方向R1に対し、対向部において同方向である矢印R2方向に回転駆動される。現像スリーブ41内には、『磁界発生手段』としてマグネット42が設けられており、現像スリーブ41の回転に拘らず、固定的な磁界を発生すべく、現像スリーブ41内に非回転に配置されている。現像容器40内の現像スリーブ41の近傍には、現像容器40の開口に固定端を支持されて対向する自由端を現像スリーブ41に近接させた『現像剤規制部材』としての板状のドクターブレード43が設けられる。このドクターブレード43に、マグネット42の磁極の一が略対向するように配置されている。
【0006】
現像剤攪拌搬送部材により現像スリーブ41上に搬送され担持された現像剤dは、その後の現像スリーブ41の回転に伴い、ドクターブレード43の現像スリーブ41の対向部に搬送される。そして、ドクターブレード43と現像スリーブ41の間隙GSBに形成された磁界の作用で層厚を規制されて、現像スリーブ41上に薄層に形成された後、感光ドラム1との間隙GSDへと搬送され、現像が行われる。現像スリーブ41に現像バイアス電源47より現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ41上に担持された現像剤d中のトナーが感光ドラム1上の静電像に対向して転移、付着して、静電像をトナー像として可視化する。ここで、現像容器40に収容されている現像剤dは、磁性トナー等から構成され、ドクターブレード43と現像スリーブ41の表面との間で摩擦帯電される。
【0007】
次に、図23を参照して、現像装置4の現像動作も含めて、前述の画像形成装置90による画像形成工程について説明する。先ず感光ドラム1の表面を、一次帯電装置2により一様に帯電する。次いで、露光装置3が発生するレーザ光等による画像露光を行い、感光ドラム1上に静電像を形成する。続いて、前述した現像装置4により現像を行い、トナー像として可視化する。
【0008】
次いで、給シートカセットから給シートローラによってシートmが、1枚毎に分離搬送されて、レジストローラ対、転写ガイドを経て、感光ドラム1と二次転写ローラ52の対向部である転写部Ztrへと所定のタイミングで給送される。転写バイアス電源57により、転写バイアスが転写装置5に印加され、シートm上にトナー像が転写される。前述の一連の画像形成プロセスを繰り返すことにより、トナー像は、転写部Ztrに次々と送られてくる後続のシートmに転写されていく。
【0009】
感光ドラム1上のトナー像が転写されたシートmは、搬送ガイドを経て定着装置6へ搬送され、所定値に加熱温調された定着ローラ6aと加圧ローラ6bとの接触部に搬送される。これにより、加熱・加圧されることによりトナー像の定着処理を受け、最終的な画像形成物として出力される。一方、トナー像転写後の感光ドラム1上の残トナー等は、清掃装置7によって清掃される。
【0010】
しかしながら、図2のような構成の一成分磁性トナーを含む現像剤を収容する現像装置4にて行われている、所謂『ジャンピング現像』の本質的な問題として、現像装置4の内部でのトナーの粗粉化が挙げられる。『粗粉化』とは、トナーが電界からの力によって現像されるため、各トナー粒子に働く電界が等しい場合、粒度分布をもったトナーのうち、帯電量の大きいものから選択的に感光ドラム1上に転移することにより、現像装置内のトナーの粒径が大きくなる現象である。又、トナーの帯電量と粒度には相関があり、粒径の大きい、即ち質量の多いトナーほど帯電量が小さく、又、粒径の小さいトナーはその逆となる。
【0011】
粗粉化の直接的弊害は、画像がガサついてしまうことである。さらに、粗粉化されたトナーは帯電極性が正規のものから反転しやすく、新たに補給された正規帯電極性のトナーと静電的に吸着することである。これにより現像性が著しく悪化することで、特にベタ黒濃度低下などの画質の劣化、更にトナーの帯電極性が反転することで、本来現像すべきでない白地部にカブリが生じやすい。しかも、粗粉化されているために通常のカブリ画像よりも顕在化しやすく、この現像方式での耐久における主要問題の一つとなっている。
【0012】
前述の通り、選択現像によってトナー粒度分布がトナー粗粉化し、画像反射濃度が低下している。具体的には、トナーの重量平均粒径が未使用時の9.0μmから13.2μmに増加し、ベタ画像反射濃度は、1.42から1.08に減少し(図25参照)、かぶりによる画像反射率低下量は、0.5%から5%に増加している。25万枚平均の1枚あたりのトナー消費量は、32mgである。
【0013】
図25は、従来の画像形成装置における耐刷時の画像反射濃度の推移を示すグラフである。図25には、画像面積率が5%のA4サイズ画像を、23℃60%RHの環境で、毎時5000枚の速度で、25万枚連続出力した際に、最高濃度部における画像反射濃度の推移の一例を示される。
【0014】
また、粗粉化が発生しない場合でも、特に高速度の画像形成装置においては、トナー帯電量が低い又は極端に高いトナーが現像装置内部に滞留して現像装置の内部で繰り返し強い圧縮や熱を受ける。そして、トナーの外添剤がトナーの母体に埋め込まれたりトナーの母体から遊離する。このことによりトナーの流動性が低下し、現像装置を構成する現像スリーブ表面等にトナーが融着・固着する問題も発生し、画像濃度低下・かぶり悪化・ムラの発生等の画像欠陥を招来していた。
【0015】
このような問題を解決するために、特許文献1に記載の発明では、粗大化した極性反転トナーの排出を行っている。また、特許文献2に記載の発明では、現像装置の内部のトナー状態が画質欠陥に至る状態にあるか否かに基づいて劣化トナー排出モードの実行要否を選定可能である。
【0016】
【特許文献1】特開2004−333709号公報
【特許文献2】特開2006−47651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1のように、『単純に、粗大化した極性反転トナーの吐き出しを行う』と、トナー消費量が増える。また、清掃装置の負担が増えたり、清掃装置から溢れたトナーが出力画像上に落下及び付着したりする。さらに、清掃装置の駆動トルク増加による振動等の問題が発生する。
【0018】
また、特許文献2のように、劣化トナー排出モードの実行が要と判断された場合には、『劣化トナーの排出期間として一律な実行時間等が設定されている』ので、現像性の回復に必要な時間より実行時間が不足したり、実行時間が過剰だったりすることがあった。劣化トナー排出モードの実行時間が不足すると、現像性が回復しないので画像濃度が低かったりかぶりが多い状態が解消されなかったりする。逆に、劣化トナー排出モードの実行時間が過剰だと、画像形成に使えない時間(ダウンタイム)が増え、トナー消費量が増えるだけでなく、劣化トナーを回収する清掃装置に起因する問題を招来する。
【0019】
本発明は、上記実情に鑑み、トナーの無駄な消費を低減できると共にダウンタイムを抑制できることに加えて、良好な画像を高速度で安定して出力することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、前記潜像担持部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能であることを特徴とする。
【0021】
本発明の他の画像形成装置は、潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、前記潜像担持部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量を決定可能であることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の画像形成装置は、潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、中間転写部材と、前記潜像担持部材の表面のトナー像を前記中間転写部材の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能な転写バイアス電源と、前記中間転写部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアス及び前記転写バイアス電源の転写バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更することにより、帯電極性が反転したトナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能であることを特徴とする。
【0023】
本発明の他の画像形成装置は、潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、中間転写部材と、前記潜像担持部材の表面のトナー像を前記中間転写部材の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能な転写バイアス電源と、前記中間転写部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアス及び前記転写バイアス電源の転写バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更することにより、帯電極性が反転したトナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量を決定可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の画像形成装置によれば、トナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』が決定される。したがって、帯電極性反転トナーを転移させるための期間が柔軟に変更されることにより、帯電極性反転トナーの排出期間が短すぎることによる選択現像やトナーの劣化に基づくガサツキ、画像濃度の低下、カブリ等が防止される。同時に、帯電極性反転トナーを転移させるための期間が長すぎることによる画像形成に使用できない期間すなわちダウンタイムが短縮化されつつ帯電極性反転トナーの無駄な排出は抑制される。その結果、トナーの無駄な消費を低減できると共にダウンタイムを抑制できることに加えて、良好な画像を高速度で安定して出力することができる。
【0025】
本発明の他の画像形成装置によれば、トナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるための量』が決定される。したがって、帯電極性反転トナーを転移させるため量が柔軟に変更されることにより、帯電極性反転トナーの排出量が不足することによる選択現像やトナーの劣化に基づくガサツキ、画像濃度の低下、カブリ等が防止される。同時に、帯電極性反転トナーの排出量が過剰となることによる帯電極性反転トナーの無駄な排出は抑制される。その結果、トナーの無駄な消費を低減できると共にダウンタイムを抑制できることに加えて、良好な画像を高速度で安定して出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置100を図面に基づき詳しく説明する。但し、この実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、特に特定的な記載が無い限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものはない。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の構成図である。図1に示されるように、画像形成装置100は、『潜像担持部材』である回転ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)1を備える。ここでは、非晶質シリコン感光体を使用している。感光ドラム1は、回転方向R1の方向に、所定の周速度で回転駆動され、その表面にて後述の出力画像形成の画像形成プロセスが繰り返し行われる。
【0028】
感光ドラム1の周囲には、回転方向R1に示す感光ドラム1の回転方向に順に、一次帯電装置2、露光装置3、現像装置4、二次転写ローラ52、トナー濃度センサ9、清掃装置7が配置される。現像装置4は感光ドラム1の表面にトナーを転移可能である。現像装置4は現像部材4aを有する。現像部材4aには、現像装置4に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源47が接続される。二次転写ローラ52には転写バイアス電源57が接続される。感光ドラム1及び二次転写ローラ52の間には転写部Ztrが確保され、シートmの搬送方向の下流には定着装置6が配置される。また、『トナー濃度検知手段』であるトナー濃度センサ9は、感光ドラム1の表面から15mm離れ、かつ、清掃装置7の外下底70bから10mm下方の位置に配置される。トナー濃度センサ9は、感光ドラム1の表面に存在するトナーの濃度を検知可能である。また、現像バイアス電源47及び転写バイアス電源57は、『制御部』であるコントローラ60に接続されている。
【0029】
コントローラ60は、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更可能である。これにより、コントローラ60は、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを現像装置4から感光ドラム1の表面に転移するよう制御可能である。
【0030】
また、コントローラ60は、トナー濃度センサ9が検知したトナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』、又は、『帯電極性反転トナーを転移させるべき量』を決定可能である。コントローラ60は、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』の変更を決定する場合には、現像バイアスの印加時間を変更する。コントローラ60は、『帯電極性反転トナーを転移させるべき量』の変更を決定する場合には、現像バイアスの直流成分の電圧を変更する。
【0031】
このような画像形成装置100によう画像形成工程について以下に簡単に説明する。感光ドラム1は、コロナ放電方式等の一次帯電装置2により、所定の極性、所定の表面電位に一様に帯電する。次いで、感光ドラム1は、カラー原稿画像の色分解に基づく結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャナによる走査露光光学系にて構成された露光装置3による画像露光Limを受け取る。このことにより、感光ドラム1の上には、目的の画像に対応した静電像が形成される。続いて、前述した現像装置4により現像を行い、トナー像として可視化する。
【0032】
次いで、図示しない給シートカセットから給シートローラによってシートmが、1枚毎に分離搬送されて、レジストローラ対、転写ガイドを経て、感光ドラム1と転写装置5の対向部である転写部Ztrへと所定のタイミングで給送される。転写バイアス電源57により、転写バイアスが転写装置5に印加され、シートm上にトナー像が転写される。
【0033】
これらの一連の画像形成プロセスを繰り返すことにより、トナー像は、転写部Ztrに次々と送られてくる後続のシートmに転写されていく。感光ドラム1上のトナー像が転写されたシートmは、搬送ガイドを経て定着装置6へ搬送され、所定値に加熱温調された定着ローラ6aと加圧ローラ6bとの接触部に搬送される。これにより、加熱及び加圧されることによりトナー像の定着処理を受け、最終的な画像形成物として出力される。一方、トナー像転写後の感光ドラム1上の残トナー等は、清掃装置7によって清掃される。
【0034】
なお、出力画像の形成時においては、先ず感光ドラム1の表面を、コロナ帯電方式の一次帯電装置2によりVd=+400Vに一様に帯電する。次いで、波長680μmの半導体レーザの露光装置3により1200dpiでPWMによる画像露光を行う。レーザ強度は、照射部のVl=+150Vになるように設定している。
【0035】
図2は、静電像を現像するために固定的に配置された現像装置4の断面図である。現像装置4は現像容器40を備える。現像容器40には現像剤dが収容される。現像容器40には、感光ドラム1の長手方向(図2のシート面に直交する方向)に開口部40aが形成される。開口部40aの長手方向の一方の辺(図2の2つの『40』の符号のうちの上側)には、開口部40aに固定端を支持された『現像剤規制部材』としての板状のドクターブレード43が設けられる。
【0036】
ドクターブレード43、及び、開口部40aの長手方向の他方の辺(図2の2つの『40』の符号のうちの下側)に囲まれる領域には、現像部材4aが配置される。現像部材4aは、中空円筒状に形成される『現像剤担持部材』である現像スリーブ41、及び、円柱状に形成される『磁界発生手段』であるマグネット42を備える。現像スリーブ41の中にマグネット42が挿入されている。現像スリーブ41は、例えば、アルミニウム、SUS等の材料で成形されれば良い。現像スリーブ41はマグネット42の周りを回転可能となっている。現像スリーブ41の回転方向は、矢印R2に示すように感光ドラム1の回転方向と反対方向となっている。マグネット42は、固定的な磁界を発生すべく現像スリーブ41の内部に非回転に配置される。また、図2に示されるように、現像スリーブ41は、左略半周面を現像容器40の内部に突入し、右略半周面を現像容器40の外部に露出する。そして、現像スリーブ41は、感光ドラム1と対向する位置に配置される。
【0037】
現像スリーブ41及びドクターブレード43の間には、間隙GSBが設けられる。また、現像スリーブ41及び感光ドラム1との間には、微小の間隙GSDが設けられる。現像剤dは、まず、第一現像剤撹拌搬送部材441及び第二現像剤撹拌搬送部材442(図12で後述)によって現像スリーブ41の上に搬送されて担持される。現像剤dは、現像スリーブ41の回転に伴って、ドクターブレード43及び現像スリーブ41の対向部に搬送される。そして、現像剤dは、間隙GSBに形成された磁界の作用で層厚を規制されて、現像スリーブ41の上で薄層に形成される。その後に、現像剤dは、微小の間隙GSDへと搬送されて現像が行われる。
【0038】
現像バイアス電源47は現像スリーブ41に現像バイアスを印加する。これにより、現像スリーブ41の上に担持された現像剤dの中のトナーは、感光ドラム1の上の静電像に対して転移及び付着し、静電像をトナー像として可視化する。例えば、現像スリーブ41に印加される現像バイアスは、+200Vの直流電圧に対して、周波数2700Hz及び振幅1200Vの矩形交流電圧を重畳したものである。
【0039】
ドクターブレード43は厚さ1mmのSPCC製であり、間隙はGSB=250μm、GSD=250μmとした。現像スリーブ41に内蔵されたマグネット42には、周方向に6つの磁極が形成されており、そのうちの一は、ドクターブレード43との対向位置から、R2と逆方向に5°離れた位置にある。感光ドラム1の外径は108mmであり、80mm/sの周速度で回転する。
【0040】
現像スリーブ41は、外径が30mmであり、600mm/sの周速度で回転する。厚さ0.75mmのAl合金の基層に、球形ガラス粒子吹き付けによる粗面化処理をしたのち、厚さ19μmのNiPメッキを施し、さらにその上に厚さ1.5μmのCrメッキを施してある。Crメッキ後の表面粗さは6μmRzである。
【0041】
現像剤dは磁性トナー等から構成される。現像剤dはドクターブレード43及び現像スリーブ41の間で摩擦帯電される。この磁性トナーは、少なくとも結着樹脂と磁性体を含有するトナー粒子を有する。結着樹脂としては、例えば、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂が挙げられる。これらは単独で使用しても良く、又は混合して使用しても良いが、混合して使用する場合は、少なくともその一部が反応していることが好ましい。スチレン系重合体又はスチレン系共重合体は、架橋されていてもよく、又、他の樹脂と混合して用いても良い。結着樹脂の架橋剤としては、主として二個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いても良い。一方、磁性体としては、マグネタイトが好ましく用いられる。
【0042】
このトナーは、荷電制御剤を含有させることによって、帯電性を保持させ、帯電特性を制御することができる。例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効である。このような錯体や化合物としては、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸金属錯体、芳香族ジカルボン酸金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸等が挙げられる。また、その他、錯体や化合物としては、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類等が挙げられる。荷電制御剤をトナーに含有させる方法として、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。
【0043】
トナー粒子は、着色剤を含有していて良い。このような着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。例えば顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、等が挙げられる。又、前記染料としては、例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料が挙げられる。
【0044】
本実施形態においては、トナーに離型性を与える観点から、トナー粒子がワックス類を含有することが好ましい。更に、このワックス類は、ビニル系モノマーによりブロック共重合体、グラフト変性等を施した変性ワックスでも良く、又、酸化処理を施した酸化ワックスでも良い。これらワックスは、トナーの製造に際し、予め重合体成分中に添加・混合しておくこともできる。その場合は、重合体成分の調製時に、ワックスと高分子量重合体とを溶剤に予備溶解した後、低分子重合体溶液と混合する方法が好ましい。これによりミクロな領域での相分離が緩和され、高分子量成分の再凝集が制御され、低分子重合体との良好な分散状態が得られる。尚、二種類以上のワックスを併用して添加しても良い。
【0045】
また、本実施形態においては、トナーは、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末をトナー粒子に外添することが好ましい。シリカ微粉末は、必要に応じて、疎水化、帯電性のコントロール等の目的で、次のような処理が施されていることが好ましい。即ち、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることが好ましい。
【0046】
トナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。このような外部添加剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子等が挙げられる。
【0047】
本実施形態においては、未使用トナーの重量平均径は7.5μm、23℃60%RHでの耐刷前の現像スリーブ上のトナーの平均帯電量は-8μC/g、トナー塗布量は0.8mg/cm2である。
【0048】
なお、トナーに関しては、重量平均粒径は、MULTISIZER(米国商標)(米国COULTER社製)を用い、電解液はISOTON R−II(米国商標)(米国COULTER社製)を用いて測定した。測定法としては、電解水溶液の100〜150ml中に分散剤として界面活性剤を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、体積、個数を測定して、重量平均粒径を算出する。重量平均粒径が6.0μmより大きい場合は、100μmのアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子を測定する。重量平均粒径が3.0〜6.0μmの場合は、50μmのアパーチャーを用いて1〜30μmの粒子を測定する。
【0049】
図3は、出力画像形成時における現像バイアス電源47の現像バイアス及び感光ドラム1の表面電位の関係を示すグラフである。図3に示すように、本実施形態の通常の出力画像形成時における現像バイアスは、現像電位差Vdev=200V、カブリ取り電位差Vdef=100Vの設定となる。図3中で、V1=100Vは露光電位を示し、Vdc=200Vは現像バイアスを示し、Vd=400Vは感光ドラム1の表面電位を示す。なお、本実施形態では、トナーは、画像露光強度が弱い部分すなわち感光ドラム1の表面電位の高い部分に多く付着する。
【0050】
図4は、トナー濃度センサ9の概略構成を示す概略構成図である。トナー濃度センサ9は、感光ドラム1の表面に形成されたトナー像itの濃度を検出するためのものである。トナー濃度センサ9は、LED等の赤外発光素子91と、フォトダイオード、CdS等の受光素子92a、92bと、受光データを処理するIC(不図示)と、これらを収容するハウジング93等から構成されている。なお、ここでいうトナー濃度は、画像反射濃度と同義である。
【0051】
赤外発光素子91は、感光ドラム1の表面に形成されたトナー像itに赤外光Lirを照射可能である。受光素子92aは、前記トナー像itからの散乱光Lirdの強度を検出する。受光素子92bは、正反射光Lirrの強度と散乱光Lirdの強度の両方を検出することにより、トナー像itが高濃度でも低濃度でも精度よく濃度を検出することができる。受光素子92a、92bは、検出した光の量に応じて出力値を変化させる所謂A/D変換(10ビット)によりデジタル信号に変換する。
【0052】
本実施形態においては、現像装置4の使用開始から、連続出力時に隣り合うシートmの間に対応する期間(以下「シート間」という。)毎に、帯電極性反転トナーの排出をTte間行い、感光ドラム1上のトナー濃度Ctdを測定する。トナー濃度Ctdは、次式(1)で示される。トナー濃度Ctdは、画像形成装置の工場出荷時又はユーザ使用環境での感光ドラム1の交換時に、現像装置4を画像形成装置100から離脱して、トナーが転移しない状態で感光ドラム1の1周にわたって測定・記憶したCtdiと測定値Ctdmの差分である。
【0053】
【数1】
本実施の形態において、Tte=10msであるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0054】
図5は、画像形成装置100の排出のフローチャートである。トナーのシート間排出頻度Fteは、予め決定されているものではない。随時、トナー濃度Ctdは測定される。トナー濃度センサ9が測定するトナー濃度Ctdの測定結果に基づいて、コントローラ60は、トナーの排出を継続するか否かを決定する。なお、図5のフローチャートに示されるように、『シート間』とは、搬送されて来るシートmとシートmの間に対応する期間をいう。また、『毎シート間』とは、全てのシート間をいう。『シート間排出頻度』とは、シート間に排出するトナーの排出時間をいい、シート間排出頻度Fteで表す。
【0055】
まず、コントローラ60は、現像装置4の駆動を開始する(ステップ0『S0』、以下、「ステップ」を単に「S」と表す)。コントローラ60は、毎シート間に対応する感光ドラム1の位置に向かって現像装置4がトナーを排出するように指令する(S1)。コントローラ60は、トナー濃度センサ9が検知するトナー濃度Ctdに基づいて、トナー濃度Ctdが所定値Ctd0以下か否かを判断する(J1)。YESの場合には、シート間にトナーを排出する必要がないことから、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを1/2倍に設定する(S2)。NOの場合には、シート間にトナーを排出必要があることから、コントローラ60は、毎シート間に現像装置4が感光ドラム1にトナーを排出するように指令する(S1)。コントローラ60は、トナー濃度Ctdが所定値Ctd0以下であるか否かの判断、及び、NOの場合における毎シート間でのトナーの排出を反復する(S1、J1、図5中の点線の範囲内)。
【0056】
コントローラ60がシート間排出頻度Fteを1/2倍に設定した場合には(S2)、コントローラ60は、再度、トナー濃度Ctdが所定値Ctd0以下か否かを判断する(J2)。YESの場合には、シート間にトナーを排出する必要がないことから、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを1/2倍に設定する(S3)。NOの場合には、シート間にトナーを排出する必要があることから、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを2倍に設定する(S4)。
【0057】
コントローラ60がシート間排出頻度Fteを1/2倍に設定した場合には(S3)、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteが下限値Ftemin以下か否かを判断する(J3)。YESの場合には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteが下限値Fteminに設定されていると認識し(S6)、シート間排出頻度Fteを2倍に設定する(S4)。NOの場合には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを1/2倍に設定する(S3)。コントローラ60は、シート間排出頻度Fteが下限値Fteminになるまで、シート間排出頻度Fteの調整を反復する(J2、S3、J3、S6、S4)。
【0058】
コントローラ60がシート間排出頻度Fteを2倍に設定した場合には(S4)、コントローラ60は、再度、トナー濃度Ctdが所定値Ctd0以下か否かを判断判断する(J4)。NOの場合には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを2倍に設定する(S5)。YESの場合には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを1/2倍に設定する(S3)。
【0059】
シート間排出頻度Fteが1回でも1/2倍に設定された後に、シート間排出頻度Fteが2倍に設定された場合(S4、S5)には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteが毎シート間にトナーを排出した頻度以上であるか否かを判断する(J5)。YESの場合にはS1に戻る。NOの場合にはS4に戻る。本実施の形態において、シート間排出頻度Fteの下限は、下限値Ftemin=1/8192(回/シート間)であるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0060】
前述したように、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを調節することにより、帯電極性反転トナーを転移させるための『期間』や『量』を決定する。
【0061】
図6は、画像形成装置100の排出のフローチャートである。なお、図6のフローチャートに示されるように、『通常シート間時間』とは、シートmの最後部が通過してから次のシートmの最前部が通過するまでの時間をいう。まず、コントローラ60は、現像装置4の駆動を開始する(ステップ0『S0』、以下、「ステップ」を単に「S」と表す。)。コントローラ60は、通常シート間時間でトナーを排出する(S11)。
【0062】
コントローラ60は、前述の図5におけるS1及びJ1の反復回数Ntebmが所定値Ntebm0以上であるか否かを判断する(J11)。すなわち、コントローラ60は、『毎シート間でのトナーの排出(S1)及びトナー濃度が所定値以下であるか否かの判断(J1)の反復回数Ntebm』が所定値Ntebm0以上であるか否かを判断する(J11)。YESであれば、コントローラ60は、トナーの排出が不足することから、シート間時間Ttebmを1.1倍に延長し、その延長された時間内に現像装置4がトナーを排出するように指令する(S12)。NOであれば、コントローラ60は、シート間時間Ttebmを延長することなく通常シート間時間でトナーを排出する(S11)。
【0063】
コントローラ60がシート間時間Ttebmを1.1倍に延長してトナーを排出した場合には(S12)、コントローラ60は、トナー濃度が所定値Ttebm0以下か否かを判断する(J12)。NOであれば、コントローラ60は、シート間時間Ttebmが所定値Ttebm0以上であるか否かを判断する(J13)。YESの場合にはS11に戻る。
【0064】
コントローラ60が、シート間時間Ttebmが所定値Ttebm0以上であるか否かを判断し(J13)、YESの場合には、コントローラ60は、帯電極性反転トナーの電界による排出では対応不能と判断し、現像装置4の保守を指示する(S14)。NOの場合には、コントローラ60は、シート間時間Ttebmを1.1倍に延長してトナーを排出させる(S12)。
【0065】
コントローラ60が現像装置4の保守を指示した場合には(S14)、コントローラ60は、現像装置4の保守が完了したか否かを判断する(J14)。YESの場合にはS0に戻る。NOの場合にはS14に戻る。
【0066】
本実施の形態において、Ntebm0=100(回)、Ttebm0=55(s)であるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0067】
帯電極性反転トナーの排出時においては、現像バイアスの直流成分Vdcを、出力画像形成時の+200Vから+400Vに変更する。
【0068】
前述したように、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを調節することにより、帯電極性反転トナーを転移させるための『期間』や『量』を決定する。
【0069】
図7は、トナーの濃度と出力画像の画質の諸特性の関係を示すグラフである。横軸はトナーの濃度Ctdを示し、左側の縦軸は画像反射濃度を示し、右側の縦軸はかぶりを示す。発明者等が行った実験によれば、トナー濃度Ctdと、出力画像の画質の諸特性の関係は、図7のとおりである。図7に示されるように、トナー濃度Ctdが高いほど、画質は低い。トナー濃度Ctdが高いということは、帯電極性が反転した暗色(黒色)のトナーが感光ドラム1の表面に大量に排出されて付着していることを意味する。
【0070】
図8は、画像反射濃度及び累積耐刷枚数の関係を示すグラフである。ここでは、画像形成装置100で、画像面積率が5%のA4サイズ画像を、23℃60%RHの環境で、毎分5100枚の速度で、25万枚連続出力した際の、最高濃度部の画像反射濃度推移の一例を示す。図8に示されるように、画像反射濃度はほぼ不変である。トナーの重量平均粒径が未使用時の7.5μmから7.6μmに増加したに過ぎず、ベタ画像反射濃度は、1.42から1.40に減少したに過ぎず、かぶりによる画像反射率低下量は、0.5%から0.6%に増加したに過ぎない。25万枚平均の1枚あたりのトナー消費量は32mgである。
【0071】
図21は、各種の画像形成装置100の性能等を示したグラフであり、図22は、各種の画像形成装置100の仕様を示したグラフである。いずれの画像形成装置も、23℃60%RHの環境で耐刷前の画像反射濃度は1.38〜1.2、かぶりによる画像反射率低下量は、0.5〜0.8%である。これらによれば、本実施の形態に係る画像形成装置100の生産性、現像器寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。
【0072】
(第2実施形態)
図9は、この発明の第2実施形態に係る画像形成装置200の構成を示す断面図である。第1実施形態の画像形成装置100と同様の部分については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、第2実施形態に係る画像形成装置200の特徴部分のみ説明する。画像形成装置200は、ベルト状の中間転写部材59を有する転写装置50を備えることにより、幅広い種類の転写剤に安定した画像を形成することが可能である点が特徴である。
【0073】
転写装置50は、感光ドラム1の表面に当接されるように配設された中間転写部材59と、これが掛け渡される複数のローラ58a〜58eとを有している。このうちローラ58a、58cは、感光ドラム1の近傍に配置されて中間転写部材59の平坦な面を感光ドラム1に当接させて、感光ドラム1と中間転写部材59との間に一次転写部Ztr1を形成している。また、ローラ58bは中間転写部材59の張力を一定に維持するためのテンションローラであり、加圧バネ(不図示)により付勢されている。ローラ58dは中間転写部材59を回転させるためのものである。また、二次転写対向ローラ58eは、後述の二次転写ローラ52との間に中間転写部材59を挟み込むためのものである。
【0074】
中間転写部材59としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂にカーボンブラックを適当量含有させられたものを使用した。また、その中間転写部材59は、その体積抵抗率を1×108〜1×1013Ω・cm、厚みを70〜100μmに形成した無端ベルト状のものを使用した。
【0075】
さらに、中間転写部材59の内側には、感光ドラム1との間に中間転写部材59を挟み込んで、一次転写部Ztr1を形成する一次転写ローラ51が配設されている。この一次転写ローラ51には、出力画像形成時において、一次転写バイアス電源571によって、トナーの正規帯電極性と逆の極性の一次転写バイアスが印加され、これにより、感光ドラム1上のトナー像が中間転写部材59上に転写されるようになっている。
【0076】
二次転写部Ztr2には、中間転写部材59のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ローラ52と、中間転写ベルト10の内面側に配設されて二次転写ローラ52の対向電極をなす接地された二次転写対向ローラ58eが配設される。二次転写ローラ52には、出力画像形成時において、二次転写バイアス電源572により、トナーの正規帯電極性と逆の極性の二次転写バイアスが印加される。
【0077】
前述の一次転写バイアス電源571及び二次転写バイアス電源572は、感光ドラム1の表面のトナー像を中間転写部材59の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能である。
【0078】
現像バイアス電源47、一次転写バイアス電源571、二次転写バイアス電源572は、『制御部』であるコントローラ61に接続されている。このコントローラ61は、現像バイアス電源47の現像バイアス、一次転写バイアス電源571及び二次転写バイアス電源572の転写バイアスを変更可能である。また、コントローラ61は、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更する。これにより、帯電極性が反転したトナーを現像装置から感光ドラム1の表面に転移可能である。さらに、コントローラ61は、後述のトナー濃度センサ9が検知したトナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』を決定可能である。加えて、コントローラ61は、トナー濃度センサ9が検知したトナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるべき量』を決定可能である。コントローラ61は、帯電極性反転トナーを転移させるための期間や量の変更にあたっては、現像バイアス及び転写バイアスの印加時間を変更する。
【0079】
さらに、中間転写部材59の回転方向R3に沿っての二次転写部Ztr2の下流側には、二次転写後の中間転写部材59上に残留したトナーを除去する中間転写部材清掃装置56が設けられている。なお、上述の二次転写ローラ52及び中間転写部材清掃装置56は、中間転写部材59に対して接離可能に配設されている。
【0080】
本実施の形態においては、ローラ58dの表面から水平右方に20mm離れた位置に、トナー濃度センサ9を備える。赤外発光素子91は、中間転写部材59の表面に形成されたトナー像itに赤外光Lrを照射する。こうしてトナー濃度センサ9は、中間転写部材59の表面に存在するトナーの濃度を検知可能となっている。
【0081】
本実施形態においては、現像装置4の使用開始から、シート間毎に帯電極性反転トナーの排出をTte間行い、中間転写部材59上のトナー濃度Ctitmを測定する。トナー濃度Ctitmは、画像形成ジョブ完了直後に、中間転写部材59を感光ドラム1から離間してトナーが中間転写部材59に転移しない状態で中間転写部材59の1周にわたって測定及び記憶したCtitmntと測定値Ctitmmの差分である。
【0082】
【数2】
排出のシート間排出頻度Fteは、予め決定してあるのではなく、随時、トナー濃度Ctitmを測定しその結果に基づいて排出を継続するか否かを決定する。この場合にも、図5のフローチャートで前述したのと同様に、コントローラ60は制御する。すなわち、現像装置の使用開始(S0)直後は、毎シート間で排出する(S1)。トナー濃度Ctitmが所定値Ctitm0以下ならばシート間排出頻度Fteを1/2にし(S2、S3)、これをシート間排出頻度が下限値Ftemnになるまで反復する(S3、J3、S6)。
【0083】
現像装置の使用開始(S0)直後のトナー濃度Ctitmが所定値Ctitm0以下でないならば毎シート間での排出を反復する(S1、J1、図5中の点線四角内)。シート間排出頻度Fteを1回でも1/2にした後に、シート間排出頻度Fteを2倍にする際(S4、S5)のシート間排出頻度の上限は毎シート間である(J5、S1)。
【0084】
本実施の形態において、シート間排出頻度Fteの下限は、下限値Ftemn=1/096(回/シート間)であるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0085】
また、毎シート間でのトナーの排出の反復回数Ntebmが所定値Ntebm0を超える場合に関しては、図6のフローチャートで前述したのと同様に、コントローラ60は制御する。すなわち、毎シート間でのトナーの排出の反復回数Ntebmが所定値Ntebm0を超えると(J11)、排出が不足したと判断しシート間時間Ttebmを1.1倍に延長して(S12)、排出を反復する。延長したシート間時間Ttebmが、所定値TNtebm0を超えると(J13)、帯電極性反転トナーの電界による排出では対応不能と判断し、現像装置保守指示を出す(S14)。
【0086】
本実施の形態において、Ntebm0=60(回)、Ttebm0=30(s)であるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0087】
帯電極性反転トナーの一次排出時においては、現像バイアスの直流成分Vdcを、出力画像形成時の+200Vから+500Vに変更する。同時に、一次転写バイアスの直流成分Vdctr1も、出力画像形成時の+3000Vから−4000Vに、二次転写バイアスの直流成分Vdctr2も、出力画像形成時の+3500Vから−4000Vに変更する。
【0088】
図10は、中間転写部材59の表面に存在するトナー濃度及び出力画像の画質の諸特性の関係を示すグラフである。横軸はトナーの濃度Ctdを示し、左側の縦軸は画像反射濃度を示し、右側の縦軸はかぶりを示す。図10に示されるように、トナー濃度Ctitmが高いほど、画質は低い。トナー濃度Ctitmが高いということは、帯電極性が反転した暗色(黒色)のトナーが感光ドラムの表面に大量に排出されて付着していることを意味する。
【0089】
帯電極性反転トナーの二次排出時においても、現像バイアスの直流成分Vdc、一次転写バイアスの直流成分Vdctr1、二次転写バイアスの直流成分Vdctr2を、一次排出時と同様に、出力画像形成時から変更する。
【0090】
図11は、画像反射濃度及び累積耐刷枚数の関係を示すグラフである。ここでは、画像形成装置の使用によって、画像面積率が5%のA4サイズの画像が、23℃60%RHの環境で、毎分5100枚の速度で25万枚連続出力された場合に、最高濃度部の画像反射濃度の推移を示す。トナー粒度分布及び画像反射濃度は共にほぼ不変である。具体的には、トナーの重量平均粒径が未使用時の7.5μmから7.9μmに増加したに過ぎず、ベタ画像反射濃度は、1.40から1.41にわずかに増加し、かぶりによる画像反射率低下量は、0.5%から不変である。25万枚平均の1枚あたりのトナー消費量は32mgである。
【0091】
前述した図21及び図22によれば、本実施の形態に係る画像形成装置の生産性、現像器寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。
【0092】
(第3実施形態)
第3実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述したのと同様の部分についての詳細な説明を省略し、第3実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第3実施形態の画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置100において、現像剤が磁性キャリア粒子と非磁性トナーから構成されている二成分型であることにより、優れた出力画像濃度均一性等を有する点に特徴がある。
【0093】
図12は第3実施形態の画像形成装置に設けられる現像装置4の断面図である。現像装置4の現像容器40の内部は、鉛直方向に延在する隔壁40wによって第一現像室40c1と第二現像室40c2とに区画されており、これら現像室内に現像剤dが収容されている。
【0094】
第一現像室40c1の内部には、スクリュー型の第一現像剤撹拌搬送部材441が配置される。第二現像室40c2の内部には、スクリュー型の第二現像剤撹拌搬送部材442が配置される。第一現像剤撹拌搬送部材441は第一現像室40c1内の現像剤を攪拌・搬送する。又、第二現像剤撹拌搬送部材442は、自動トナー補給装置の制御のもとで、トナー補給容器(図示せず)からトナー補給口(図示せず)を介して供給されるトナーと、既に第二現像室40c2内にある現像剤とを攪拌し且つ搬送して、トナー濃度を均一化する。トナー補給口は、通常、第二現像剤撹拌搬送部材442による第二現像室40c2内の現像剤搬送方向の上流端近傍に設けられている。
【0095】
第一現像剤撹拌搬送部材441は、図12のシート面の前側から奥側に向けて、又、第二現像剤撹拌搬送部材442は図12のシート面の奥側から前側に向けて現像剤を搬送する。隔壁40wには、図12における前側と奥側の端部において、第一現像室40c1と第二現像室40c2とを相互に連通させる現像剤通路(図示せず)が形成されている。従って、第一現像剤撹拌搬送部材441及び第二現像剤撹拌搬送部材442の搬送力により、現像工程でトナーが消費されてトナー濃度の低下した第一現像室40c1内の現像剤が、一方の現像剤通路を介して第二現像室40c2へ移動する。また、トナーが補給されて攪拌された第二現像室40c2内の現像剤が他方の現像剤通路を介して第一現像室40c1へ移動する。
【0096】
現像装置4は、さらに、発光ダイオードなどの光源とフォトダイオードなどの光電変換素子とを有する光学反射光量検知方式のトナー濃度検知センサ49を、現像容器40内の現像スリーブ41に対向する位置に有する。
【0097】
磁性キャリアには、樹脂中に磁性材料としてマグネタイトを分散し、導電化及び抵抗調整のためにカーボンブラックを分散して形成した磁性キャリア、或いはフェライト等のマグネタイト単体表面を樹脂でコーティングして、抵抗調整したもの等を用いても良い。これら磁性キャリアの製造法は特に制限されない。磁性キャリアの重量平均粒径は20〜100μm、好ましくは20〜70μmである。
【0098】
2成分現像剤に用いる非磁性トナーとしては、特にトナーの形状係数SF−1が100〜130、SF−2が100〜115であるものが好適である。この形状係数SF−1、SF−2とは、トナーの粒子像を無作為に100個サンプリングし、その画像情報をインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入して解析を行い、下式より算出した値として定義した。サンプリングに当たっては、日立製作所社製FE−SEM(S−800)を用いられた。
【0099】
【数3】
【0100】
【数4】
トナーの形状係数SF−1はトナーの球形度合いを示し、140より大きいと、球形から徐々に不定形となる。SF−2はトナー表面の凸凹の度合いを示し、120より大きいと、トナー表面の凸凹が顕著になる。また、トナーの体積平均粒径は4〜15μmのものが好適に使用できる。さらに、トナーは表面を外添剤で被覆して、一次帯電装置2による影響をある程度、外添剤に逃がすようにすることが好ましい。外添剤の粒径は、トナーに外添したときの耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下であることが好ましい。
【0101】
上記の外添剤としては、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化スズ、酸化亜鉛など)等が用いられる。その他では、外添剤としては、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)等が用いられる。また、その他の外添剤としては、脂肪族金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)、カーボンブラック、シリカなどが用いられる。
【0102】
これら外添剤は単独で用いても、複数併用してもよい。それぞれ疎水化処理したものがより好ましい。外添剤の使用量は、トナーの100重量部あたり0.01〜10重量部であり、好ましくは0.05〜5重量部である。そして、磁性キャリアと非磁性トナーを重量比が93:7になるように混合したものを現像剤として用いた。
【0103】
なお、本実施形態では、トナーは、画像露光強度が強い部分すなわち感光ドラム1の表面電位の低い部分に多く付着する。画像形成条件は、一次帯電後の感光ドラム表面電位Vd=+500V、現像バイアスの交流成分の振幅1700V、現像バイアスの交流成分の周波数6000Hzとする。また、画像形成条件は、現像バイアスの直流成分の電圧300V、画像露光後の感光ドラム表面電位V1=+100V、GSD=400μmとした。
【0104】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の生産性、画質に関する優位性が理解できる。現像装置の寿命が、第1実施形態に係る画像形成装置100より劣るのは、耐刷によりトナー粒子への帯電性が低下した現像剤のキャリア粒子及び磨耗して現像剤搬送力が低下した現像スリーブ41の交換が必要だからである。トナー消費量が、第1実施形態に係る画像形成装置100より多いのは、現像スリーブ41上の担持されるトナー量が多いため、出力画像上を形成するトナー量が多く(約20mg/cm2)、現像スリーブ41から飛散するトナーも多いからである。
【0105】
(第4実施形態)
第4実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述したのと同様の部分についての詳細な説明を省略し、第4実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第4実施形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置において、転移させるべき帯電極性反転トナーの量の変更を、帯電極性反転トナー排出時における現像バイアスの交流成分の振幅Vppteの変更により行う点が特徴である。
【0106】
図13は、第4実施形態の画像形成装置に関し、現像バイアスの交流成分の振幅Vppte及びトナー濃度Ctdの関係を示すグラフである。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tteは50sである。交流成分の振幅Vppteは、図13に示す関係に基づいて決定する。すなわち、トナー濃度Ctdが高いほどトナーの劣化は少ないので、Vppteを低減して排出量を低減する。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tte及び、図13に示す関係は、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0107】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。生産性が、第1実施形態に係る画像形成装置100より若干劣るのは、現像バイアスの交流成分の振幅を変更した後、安定するまでに時間がかかるからである。
【0108】
(第5実施形態)
第5実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述した構成及び作用と同様の部分についての詳細な説明を適宜省略し、第5実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第5実施形態の画像形成装置では、帯電極性反転トナーの排出時に現像バイアスの高電圧時間Tdevbhが変更されると、転移させるべき帯電極性反転トナーの量が変更される点に特徴がある。
【0109】
図14は、本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、トナーの排出時の現像バイアスの波形を示すグラフである。図14に示されるように、帯電極性反転トナーの排出時における現像バイアスの波形は矩形である。現像バイアスの低電圧時間Tdevbl及び現像バイアスの高電圧時間Tdevbhが異なる。現像バイアスの高電圧の期間において、帯電極性反転トナーは現像装置4から感光ドラム1へと転移する。
【0110】
図15は、本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、出力画像形成時の現像バイアスの波形を示すグラフである。図15に示されるように、出力画像形成時における現像バイアスの波形は矩形である。現像バイアスの低電圧時間Tdevbl及び現像バイアスの高電圧時間Tdevbhは等しい。現像バイアスの低電圧の期間において、正規帯電極性トナーは現像装置4から感光ドラム1へと転移する。
【0111】
図16は、本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、排出時の現像バイアスの高電圧時間Tdevbhの関係を示すグラフである。図16に示す関係に基づいて、トナー濃度Ctdから現像バイアスの高電圧時間Tdevbhが決定される。すなわち、例えば、トナー濃度Ctdが高いほどトナーの劣化は少ないので、トナー濃度Ctdが高いと、現像バイアスの高電圧時間Tdevbhが低減されて排出量が低減される。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tte2及び、図16に示す関係は、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0112】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。生産性が、第1実施形態に係る画像形成装置100より若干劣るのは、現像バイアスの高電圧時間を変更した後、安定するまでに時間がかかるからである。
【0113】
(第6実施形態)
第6実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述した構成及び作用と同様の部分についての詳細な説明を適宜省略し、第6実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第6実施形態の画像形成装置では、帯電極性反転トナー排出時に現像スリーブの周速VSLVが変更されると、転移させるべき帯電極性反転トナーの量が変更される点に特徴がある。
【0114】
図17は、本発明の第6実施形態に係る画像形成装置に関し、感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、排出時の現像スリーブの周速VSLVteの関係を示すグラフである。図17に示す関係に基づいて、トナー濃度Ctdから現像スリーブの周速VSLVteが決定される。すなわち、例えば、トナー濃度Ctdが高いほどトナーの劣化は少ないので、トナー濃度Ctdが高いと、現像スリーブの周速VSLVteが低減されて排出量が低減される。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tte3及び図17に示す関係は、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0115】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。生産性が、第1実施形態に係る画像形成装置100より若干劣るのは、現像スリーブの周速を変更した後、安定するまでに時間がかかるからである。
【0116】
(第7実施形態)
第7実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述した構成及び作用と同様の部分についての詳細な説明を適宜省略し、第7実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第7実施形態の画像形成装置では、極性反転トナー排出時に現像装置の感光ドラム1への加圧力FSDte2が変更されると、転移させるべき帯電極性反転トナーの量が変更される点に特徴がある。
【0117】
図18は、本発明の第7実施形態に係る画像形成装置に適用される現像装置4の構成を示す断面図である。図18に示されるように、そもそも、前述の間隙GSDを保証し、安定した現像を行うために、現像装置は感光ドラム1に対して加圧されている。加圧は、カム951、バネ952、カム951を回転するカム駆動モータ953等によって構成される加圧部材95によりなされる。加圧力が過小だと、現像装置が振動するため、出力画像に周期的なムラが生じ、逆に加圧力が過大だと、感光ドラム1表面の磨耗等が生じる。
【0118】
間隙GSDを保証する手段の一が、現像スリーブ41の回転軸と同軸に配設され、現像スリーブ41の外径よりも大きな外径を有するSDローラ46である。SDローラ46は、加圧に対して変形の少ない樹脂で構成され、感光ドラム表面に圧接するが、加圧力を増やすと、つぶれ量は大きくなり、結果として間隙GSDが減少し、現像スリーブ41から感光ドラム1へ転移するトナー量は増加する。
【0119】
図19は、感光ドラム1の表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、帯電極性反転トナーの排出時の現像装置の加圧力FSDteの関係を示すグラフである。図19に示す関係に基づいて、トナー濃度Ctdから現像装置の加圧力FSDteが決定される。すなわち、例えば、トナー濃度Ctdが高いほどトナーの劣化は少ないので、トナーの濃度が高いと、現像装置の加圧力FSDteが低減されて排出量が低減される。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tte2及び図19に示す関係は、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0120】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の、現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。生産性が、第1実施形態に係る画像形成装置より若干劣るのは、加圧力の変更に時間がかかるからである。
【0121】
(第8実施形態)
第8実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述した構成及び作用と同様の部分についての詳細な説明を適宜省略し、第8実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第8実施形態の画像形成装置では、現像装置における一の現像容器に二の現像スリーブが備えられたことにより、高速度での現像性が改善された点に特徴がある。
【0122】
図20は、本発明の第8実施形態に係る画像形成装置に適用される現像装置4の構成を示す断面図である。この画像形成装置では、例えば、Aサイズの毎時連続出力枚数は8100である。この生産性を実現すべく、感光ドラム1の周速度を700mm/sとしている。
【0123】
第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412は、現像容器40の感光ドラム1に対向した開口部に互いに近接してR1方向に沿って並設されている。第一現像スリーブ411と感光ドラム1との間では、間隔GSD1=200μmに設定される。第二現像スリーブ412と感光ドラム1との間では、間隔GSD2=250μmに設定される。第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412の回転速度はともに700mm/sである。
【0124】
第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412が感光ドラム1と対向する対向部における感光ドラム1の回転方向R1に対し上流側に第一現像スリーブ411が位置し、同方向に対し下流側に第二現像スリーブ412が位置する。第一現像スリーブ411の内部には『磁界発生手段』としての第一現像マグネット421が固定配置されている。第二現像スリーブ412は外径20mmであり、内部には『磁界発生手段』としての第二現像マグネット422が固定配置されている。
【0125】
第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412は、ともに矢印R2方向に回転する。そして、第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412が近接して対向する部分の間隔Gssでは、第一現像スリーブ411の移動方向と第二現像スリーブ412との移動方向は逆方向である。
【0126】
第二現像スリーブ412の近傍に搬送された現像剤は、第二現像スリーブ412の図示した矢印R2方向の回転に伴って、前記対向部としての間隔Gssの近傍に送られる。それと共に、現像剤は、第一現像スリーブ411に送られる。間隔Gss=400μmである。第二現像スリーブ412上のトナーの塗布量は0.6g/cm2である。
【0127】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。トナー消費量が、第1実施形態に係る画像形成装置100より優れているのは、第二現像スリーブ412が、第一現像スリーブ411から感光ドラム1へ過剰に転移したトナーを回収するからである。
【0128】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0129】
例えば、帯電極性反転トナーの排出の期間の長さ・量・排出頻度に関しては、周辺の温度・湿度を考慮してもよい。
【0130】
潜像担持部材は、ドラム状のものに限定されるものではなく、ベルト状或いはシート状であっても良いし、その個数についても一に限定されるものではなく、フルカラー画像出力を可能とすべく、二以上としてもよい。
【0131】
現像装置の個数についても、一に限定されるものではなく、異なった色のトナーを収容した現像装置を複数備えてもよい。
【0132】
一の現像装置が有する現像剤担持部材についても、二に限定されるものではなく、三以上でもよい。
【0133】
現像剤についても、非磁性トナーのみから構成してもよい。
【0134】
その他、潜像担持部材の外径・周速度・表面電位、現像剤担持部材の外径・周速度、間隙GSD・GSS・GSBの大きさ、現像バイアスの直流成分の電圧値等に関しても、現像剤の特性等に応じて最適な値に設定することができる。
【0135】
本発明の優位性の理解を容易にすべく、従来の技術を、比較形態として簡単に説明する。
【0136】
(第1比較形態)
第1比較形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置において、帯電極性反転トナーの排出を行わない点が特徴である。前述した図21及び図22によれば、本比較の形態に係る画像形成装置の、現像装置の寿命と画質に関する劣位性が理解できる。帯電極性反転トナーの排出を行わないために生産性とトナー消費量は遜色ないが、画質の安定性に関しては大きく劣る。
【0137】
(第2比較形態)
第2比較形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置において、帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わない点が特徴である。前述した図21及び図22によれば、本比較の形態に係る画像形成装置の、生産性とトナー消費量に関する劣位性が理解できる。帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わないために、生産性とトナー消費量が劣る。
【0138】
(第3比較形態)
第3比較形態に係る画像形成装置は、実施形態に係る画像形成装置において、帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わない点が特徴である。前述した図21及び図22によれば、本比較の形態に係る画像形成装置の、生産性とトナー消費量に関する劣位性が理解できる。帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わないために、生産性とトナー消費量が劣る。
【0139】
(第4比較形態)
第4比較形態に係る画像形成装置は、第8実施形態に係る画像形成装置において、帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わない点が特徴である。前述した図21及び図22によれば、本比較の形態に係る画像形成装置の、生産性とトナー消費量に関する劣位性が理解できる。帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わないために、生産性とトナー消費量が劣る。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】この発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】静電像を現像するために固定的に配置された現像装置の断面図である。
【図3】出力画像形成時における現像バイアス電源の現像バイアス及び感光ドラムの表面電位の関係を示すグラフである。
【図4】トナー濃度センサの概略構成を示す概略構成図である。
【図5】画像形成装置の排出のフローチャートである。
【図6】画像形成装置の排出のフローチャートである。
【図7】トナーの濃度と出力画像の画質の諸特性の関係を示すグラフである。
【図8】画像反射濃度及び累積耐刷枚数の関係を示すグラフである。
【図9】この発明の第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図10】中間転写部材の表面に存在するトナー濃度及び出力画像の画質の諸特性の関係を示すグラフである。
【図11】画像反射濃度及び累積耐刷枚数の関係を示すグラフである。
【図12】第3実施形態の画像形成装置に設けられる現像装置の断面図である。
【図13】第4実施形態の画像形成装置に関し、現像バイアスの交流成分の振幅Vppte及びトナー濃度の関係を示すグラフである。
【図14】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、トナーの排出時の現像バイアスの波形を示すグラフである。図
【図15】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、出力画像形成時の現像バイアスの波形を示すグラフである。
【図16】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、排出時の現像バイアスの高電圧時間Tdevbhの関係を示すグラフである。
【図17】本発明の第6実施形態に係る画像形成装置に関し、感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、排出時の現像スリーブの周速VSLVteの関係を示すグラフである。
【図18】本発明の第7実施形態に係る画像形成装置に適用される現像装置の構成を示す断面図である。
【図19】感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、帯電極性反転トナーの排出時の現像装置の加圧力FSDteの関係を示すグラフである。
【図20】本発明の第8実施形態に係る画像形成装置に適用される現像装置の構成を示す断面図である。
【図21】各種の画像形成装置の性能等を示したグラフである。
【図22】各種の画像形成装置の仕様を示したグラフである。
【図23】従来の画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図24】感光ドラムの中心部分の導電性支持体から表面保護層までの部分断面図である。
【図25】従来の画像形成装置における耐刷時の画像反射濃度の推移を示すグラフである。
【符号の説明】
【0141】
1 感光ドラム(潜像担持部材)
4 現像装置
9 トナー濃度センサ(トナー濃度検知手段)
41 現像剤担持部材
47 現像バイアス電源
57 転写バイアス電源
59 中間転写部材
60 コントローラ(制御部)
100、200・・・画像形成装置
571 一次転写バイアス電源(転写バイアス電源)
572 二次転写バイアス電源(転写バイアス電源)
d トナー
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電記録方式又は電子写真方式の複写装置、画像形成記録装置、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図23は、従来の画像形成装置90の構成を示す断面図である。図23に示されるように、画像形成装置90は、『潜像担持部材』である回転ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)1が配置されている。ここでは、非晶質シリコン感光体を使用している。感光ドラム1は、回転方向R1の方向に、所定の周速度で回転駆動され、その表面にて後述の出力画像形成の画像形成プロセスが繰り返し行われる。感光ドラム1は、コロナ放電方式等の一次帯電装置2により、所定の極性、所定の表面電位に帯電される。次いで、感光ドラム1は、カラー原稿画像の色分解に基づく結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャナによる走査露光光学系にて構成された露光装置3による画像露光Limを受け取る。これにより目的の画像に対応した静電像が形成される。
【0003】
図24は、感光ドラム1の中心部分の導電性支持体101から表面保護層103までの部分断面図である。感光ドラム1では、中心部にはAl等の導電性支持体101が設けられ、その上層には、導電性支持体101からの反射を防止する為の長波長光吸収層105が設けられる。その上層に導電性支持体101と同様の導電性支持体104が設けられる。そして、導電性支持体104の上層に設けられ、導電性支持体104からの電荷の注入を阻止する為の『電荷注入阻止層』である光導電層102は、少なくとも非晶質シリコン系の材料で構成され、光導電性を示す層である。また、光導電層102を保護する為の表面保護層103が最表層に設けられている。
【0004】
図2は、静電像を現像するために固定的に配置された現像装置4の断面図である。現像容器40は、現像剤dを収容し、画像形成装置の長手方向(図2のシート面に直角方向)に延在する開口を有し、その開口に『現像剤担持部材』としての現像スリーブ41が設置される。現像スリーブ41は、例えばアルミニウム、SUS等の材料にて中空の円筒状に形成される。現像スリーブ41は、開口の図で見て左略半周面を現像容器40内に突入し、右略半周面を現像容器40外へ露出し、感光ドラム1と対向するようにして、回転自在に横設されている。
【0005】
現像スリーブ41と感光ドラム1との間には、微小な間隙GSDが設けられ、現像スリーブ41は、感光ドラム1の回転方向R1に対し、対向部において同方向である矢印R2方向に回転駆動される。現像スリーブ41内には、『磁界発生手段』としてマグネット42が設けられており、現像スリーブ41の回転に拘らず、固定的な磁界を発生すべく、現像スリーブ41内に非回転に配置されている。現像容器40内の現像スリーブ41の近傍には、現像容器40の開口に固定端を支持されて対向する自由端を現像スリーブ41に近接させた『現像剤規制部材』としての板状のドクターブレード43が設けられる。このドクターブレード43に、マグネット42の磁極の一が略対向するように配置されている。
【0006】
現像剤攪拌搬送部材により現像スリーブ41上に搬送され担持された現像剤dは、その後の現像スリーブ41の回転に伴い、ドクターブレード43の現像スリーブ41の対向部に搬送される。そして、ドクターブレード43と現像スリーブ41の間隙GSBに形成された磁界の作用で層厚を規制されて、現像スリーブ41上に薄層に形成された後、感光ドラム1との間隙GSDへと搬送され、現像が行われる。現像スリーブ41に現像バイアス電源47より現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ41上に担持された現像剤d中のトナーが感光ドラム1上の静電像に対向して転移、付着して、静電像をトナー像として可視化する。ここで、現像容器40に収容されている現像剤dは、磁性トナー等から構成され、ドクターブレード43と現像スリーブ41の表面との間で摩擦帯電される。
【0007】
次に、図23を参照して、現像装置4の現像動作も含めて、前述の画像形成装置90による画像形成工程について説明する。先ず感光ドラム1の表面を、一次帯電装置2により一様に帯電する。次いで、露光装置3が発生するレーザ光等による画像露光を行い、感光ドラム1上に静電像を形成する。続いて、前述した現像装置4により現像を行い、トナー像として可視化する。
【0008】
次いで、給シートカセットから給シートローラによってシートmが、1枚毎に分離搬送されて、レジストローラ対、転写ガイドを経て、感光ドラム1と二次転写ローラ52の対向部である転写部Ztrへと所定のタイミングで給送される。転写バイアス電源57により、転写バイアスが転写装置5に印加され、シートm上にトナー像が転写される。前述の一連の画像形成プロセスを繰り返すことにより、トナー像は、転写部Ztrに次々と送られてくる後続のシートmに転写されていく。
【0009】
感光ドラム1上のトナー像が転写されたシートmは、搬送ガイドを経て定着装置6へ搬送され、所定値に加熱温調された定着ローラ6aと加圧ローラ6bとの接触部に搬送される。これにより、加熱・加圧されることによりトナー像の定着処理を受け、最終的な画像形成物として出力される。一方、トナー像転写後の感光ドラム1上の残トナー等は、清掃装置7によって清掃される。
【0010】
しかしながら、図2のような構成の一成分磁性トナーを含む現像剤を収容する現像装置4にて行われている、所謂『ジャンピング現像』の本質的な問題として、現像装置4の内部でのトナーの粗粉化が挙げられる。『粗粉化』とは、トナーが電界からの力によって現像されるため、各トナー粒子に働く電界が等しい場合、粒度分布をもったトナーのうち、帯電量の大きいものから選択的に感光ドラム1上に転移することにより、現像装置内のトナーの粒径が大きくなる現象である。又、トナーの帯電量と粒度には相関があり、粒径の大きい、即ち質量の多いトナーほど帯電量が小さく、又、粒径の小さいトナーはその逆となる。
【0011】
粗粉化の直接的弊害は、画像がガサついてしまうことである。さらに、粗粉化されたトナーは帯電極性が正規のものから反転しやすく、新たに補給された正規帯電極性のトナーと静電的に吸着することである。これにより現像性が著しく悪化することで、特にベタ黒濃度低下などの画質の劣化、更にトナーの帯電極性が反転することで、本来現像すべきでない白地部にカブリが生じやすい。しかも、粗粉化されているために通常のカブリ画像よりも顕在化しやすく、この現像方式での耐久における主要問題の一つとなっている。
【0012】
前述の通り、選択現像によってトナー粒度分布がトナー粗粉化し、画像反射濃度が低下している。具体的には、トナーの重量平均粒径が未使用時の9.0μmから13.2μmに増加し、ベタ画像反射濃度は、1.42から1.08に減少し(図25参照)、かぶりによる画像反射率低下量は、0.5%から5%に増加している。25万枚平均の1枚あたりのトナー消費量は、32mgである。
【0013】
図25は、従来の画像形成装置における耐刷時の画像反射濃度の推移を示すグラフである。図25には、画像面積率が5%のA4サイズ画像を、23℃60%RHの環境で、毎時5000枚の速度で、25万枚連続出力した際に、最高濃度部における画像反射濃度の推移の一例を示される。
【0014】
また、粗粉化が発生しない場合でも、特に高速度の画像形成装置においては、トナー帯電量が低い又は極端に高いトナーが現像装置内部に滞留して現像装置の内部で繰り返し強い圧縮や熱を受ける。そして、トナーの外添剤がトナーの母体に埋め込まれたりトナーの母体から遊離する。このことによりトナーの流動性が低下し、現像装置を構成する現像スリーブ表面等にトナーが融着・固着する問題も発生し、画像濃度低下・かぶり悪化・ムラの発生等の画像欠陥を招来していた。
【0015】
このような問題を解決するために、特許文献1に記載の発明では、粗大化した極性反転トナーの排出を行っている。また、特許文献2に記載の発明では、現像装置の内部のトナー状態が画質欠陥に至る状態にあるか否かに基づいて劣化トナー排出モードの実行要否を選定可能である。
【0016】
【特許文献1】特開2004−333709号公報
【特許文献2】特開2006−47651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1のように、『単純に、粗大化した極性反転トナーの吐き出しを行う』と、トナー消費量が増える。また、清掃装置の負担が増えたり、清掃装置から溢れたトナーが出力画像上に落下及び付着したりする。さらに、清掃装置の駆動トルク増加による振動等の問題が発生する。
【0018】
また、特許文献2のように、劣化トナー排出モードの実行が要と判断された場合には、『劣化トナーの排出期間として一律な実行時間等が設定されている』ので、現像性の回復に必要な時間より実行時間が不足したり、実行時間が過剰だったりすることがあった。劣化トナー排出モードの実行時間が不足すると、現像性が回復しないので画像濃度が低かったりかぶりが多い状態が解消されなかったりする。逆に、劣化トナー排出モードの実行時間が過剰だと、画像形成に使えない時間(ダウンタイム)が増え、トナー消費量が増えるだけでなく、劣化トナーを回収する清掃装置に起因する問題を招来する。
【0019】
本発明は、上記実情に鑑み、トナーの無駄な消費を低減できると共にダウンタイムを抑制できることに加えて、良好な画像を高速度で安定して出力することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、前記潜像担持部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能であることを特徴とする。
【0021】
本発明の他の画像形成装置は、潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、前記潜像担持部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量を決定可能であることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の画像形成装置は、潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、中間転写部材と、前記潜像担持部材の表面のトナー像を前記中間転写部材の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能な転写バイアス電源と、前記中間転写部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアス及び前記転写バイアス電源の転写バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更することにより、帯電極性が反転したトナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能であることを特徴とする。
【0023】
本発明の他の画像形成装置は、潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、中間転写部材と、前記潜像担持部材の表面のトナー像を前記中間転写部材の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能な転写バイアス電源と、前記中間転写部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアス及び前記転写バイアス電源の転写バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更することにより、帯電極性が反転したトナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量を決定可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の画像形成装置によれば、トナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』が決定される。したがって、帯電極性反転トナーを転移させるための期間が柔軟に変更されることにより、帯電極性反転トナーの排出期間が短すぎることによる選択現像やトナーの劣化に基づくガサツキ、画像濃度の低下、カブリ等が防止される。同時に、帯電極性反転トナーを転移させるための期間が長すぎることによる画像形成に使用できない期間すなわちダウンタイムが短縮化されつつ帯電極性反転トナーの無駄な排出は抑制される。その結果、トナーの無駄な消費を低減できると共にダウンタイムを抑制できることに加えて、良好な画像を高速度で安定して出力することができる。
【0025】
本発明の他の画像形成装置によれば、トナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるための量』が決定される。したがって、帯電極性反転トナーを転移させるため量が柔軟に変更されることにより、帯電極性反転トナーの排出量が不足することによる選択現像やトナーの劣化に基づくガサツキ、画像濃度の低下、カブリ等が防止される。同時に、帯電極性反転トナーの排出量が過剰となることによる帯電極性反転トナーの無駄な排出は抑制される。その結果、トナーの無駄な消費を低減できると共にダウンタイムを抑制できることに加えて、良好な画像を高速度で安定して出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置100を図面に基づき詳しく説明する。但し、この実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、特に特定的な記載が無い限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものはない。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の構成図である。図1に示されるように、画像形成装置100は、『潜像担持部材』である回転ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)1を備える。ここでは、非晶質シリコン感光体を使用している。感光ドラム1は、回転方向R1の方向に、所定の周速度で回転駆動され、その表面にて後述の出力画像形成の画像形成プロセスが繰り返し行われる。
【0028】
感光ドラム1の周囲には、回転方向R1に示す感光ドラム1の回転方向に順に、一次帯電装置2、露光装置3、現像装置4、二次転写ローラ52、トナー濃度センサ9、清掃装置7が配置される。現像装置4は感光ドラム1の表面にトナーを転移可能である。現像装置4は現像部材4aを有する。現像部材4aには、現像装置4に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源47が接続される。二次転写ローラ52には転写バイアス電源57が接続される。感光ドラム1及び二次転写ローラ52の間には転写部Ztrが確保され、シートmの搬送方向の下流には定着装置6が配置される。また、『トナー濃度検知手段』であるトナー濃度センサ9は、感光ドラム1の表面から15mm離れ、かつ、清掃装置7の外下底70bから10mm下方の位置に配置される。トナー濃度センサ9は、感光ドラム1の表面に存在するトナーの濃度を検知可能である。また、現像バイアス電源47及び転写バイアス電源57は、『制御部』であるコントローラ60に接続されている。
【0029】
コントローラ60は、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更可能である。これにより、コントローラ60は、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを現像装置4から感光ドラム1の表面に転移するよう制御可能である。
【0030】
また、コントローラ60は、トナー濃度センサ9が検知したトナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』、又は、『帯電極性反転トナーを転移させるべき量』を決定可能である。コントローラ60は、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』の変更を決定する場合には、現像バイアスの印加時間を変更する。コントローラ60は、『帯電極性反転トナーを転移させるべき量』の変更を決定する場合には、現像バイアスの直流成分の電圧を変更する。
【0031】
このような画像形成装置100によう画像形成工程について以下に簡単に説明する。感光ドラム1は、コロナ放電方式等の一次帯電装置2により、所定の極性、所定の表面電位に一様に帯電する。次いで、感光ドラム1は、カラー原稿画像の色分解に基づく結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャナによる走査露光光学系にて構成された露光装置3による画像露光Limを受け取る。このことにより、感光ドラム1の上には、目的の画像に対応した静電像が形成される。続いて、前述した現像装置4により現像を行い、トナー像として可視化する。
【0032】
次いで、図示しない給シートカセットから給シートローラによってシートmが、1枚毎に分離搬送されて、レジストローラ対、転写ガイドを経て、感光ドラム1と転写装置5の対向部である転写部Ztrへと所定のタイミングで給送される。転写バイアス電源57により、転写バイアスが転写装置5に印加され、シートm上にトナー像が転写される。
【0033】
これらの一連の画像形成プロセスを繰り返すことにより、トナー像は、転写部Ztrに次々と送られてくる後続のシートmに転写されていく。感光ドラム1上のトナー像が転写されたシートmは、搬送ガイドを経て定着装置6へ搬送され、所定値に加熱温調された定着ローラ6aと加圧ローラ6bとの接触部に搬送される。これにより、加熱及び加圧されることによりトナー像の定着処理を受け、最終的な画像形成物として出力される。一方、トナー像転写後の感光ドラム1上の残トナー等は、清掃装置7によって清掃される。
【0034】
なお、出力画像の形成時においては、先ず感光ドラム1の表面を、コロナ帯電方式の一次帯電装置2によりVd=+400Vに一様に帯電する。次いで、波長680μmの半導体レーザの露光装置3により1200dpiでPWMによる画像露光を行う。レーザ強度は、照射部のVl=+150Vになるように設定している。
【0035】
図2は、静電像を現像するために固定的に配置された現像装置4の断面図である。現像装置4は現像容器40を備える。現像容器40には現像剤dが収容される。現像容器40には、感光ドラム1の長手方向(図2のシート面に直交する方向)に開口部40aが形成される。開口部40aの長手方向の一方の辺(図2の2つの『40』の符号のうちの上側)には、開口部40aに固定端を支持された『現像剤規制部材』としての板状のドクターブレード43が設けられる。
【0036】
ドクターブレード43、及び、開口部40aの長手方向の他方の辺(図2の2つの『40』の符号のうちの下側)に囲まれる領域には、現像部材4aが配置される。現像部材4aは、中空円筒状に形成される『現像剤担持部材』である現像スリーブ41、及び、円柱状に形成される『磁界発生手段』であるマグネット42を備える。現像スリーブ41の中にマグネット42が挿入されている。現像スリーブ41は、例えば、アルミニウム、SUS等の材料で成形されれば良い。現像スリーブ41はマグネット42の周りを回転可能となっている。現像スリーブ41の回転方向は、矢印R2に示すように感光ドラム1の回転方向と反対方向となっている。マグネット42は、固定的な磁界を発生すべく現像スリーブ41の内部に非回転に配置される。また、図2に示されるように、現像スリーブ41は、左略半周面を現像容器40の内部に突入し、右略半周面を現像容器40の外部に露出する。そして、現像スリーブ41は、感光ドラム1と対向する位置に配置される。
【0037】
現像スリーブ41及びドクターブレード43の間には、間隙GSBが設けられる。また、現像スリーブ41及び感光ドラム1との間には、微小の間隙GSDが設けられる。現像剤dは、まず、第一現像剤撹拌搬送部材441及び第二現像剤撹拌搬送部材442(図12で後述)によって現像スリーブ41の上に搬送されて担持される。現像剤dは、現像スリーブ41の回転に伴って、ドクターブレード43及び現像スリーブ41の対向部に搬送される。そして、現像剤dは、間隙GSBに形成された磁界の作用で層厚を規制されて、現像スリーブ41の上で薄層に形成される。その後に、現像剤dは、微小の間隙GSDへと搬送されて現像が行われる。
【0038】
現像バイアス電源47は現像スリーブ41に現像バイアスを印加する。これにより、現像スリーブ41の上に担持された現像剤dの中のトナーは、感光ドラム1の上の静電像に対して転移及び付着し、静電像をトナー像として可視化する。例えば、現像スリーブ41に印加される現像バイアスは、+200Vの直流電圧に対して、周波数2700Hz及び振幅1200Vの矩形交流電圧を重畳したものである。
【0039】
ドクターブレード43は厚さ1mmのSPCC製であり、間隙はGSB=250μm、GSD=250μmとした。現像スリーブ41に内蔵されたマグネット42には、周方向に6つの磁極が形成されており、そのうちの一は、ドクターブレード43との対向位置から、R2と逆方向に5°離れた位置にある。感光ドラム1の外径は108mmであり、80mm/sの周速度で回転する。
【0040】
現像スリーブ41は、外径が30mmであり、600mm/sの周速度で回転する。厚さ0.75mmのAl合金の基層に、球形ガラス粒子吹き付けによる粗面化処理をしたのち、厚さ19μmのNiPメッキを施し、さらにその上に厚さ1.5μmのCrメッキを施してある。Crメッキ後の表面粗さは6μmRzである。
【0041】
現像剤dは磁性トナー等から構成される。現像剤dはドクターブレード43及び現像スリーブ41の間で摩擦帯電される。この磁性トナーは、少なくとも結着樹脂と磁性体を含有するトナー粒子を有する。結着樹脂としては、例えば、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂が挙げられる。これらは単独で使用しても良く、又は混合して使用しても良いが、混合して使用する場合は、少なくともその一部が反応していることが好ましい。スチレン系重合体又はスチレン系共重合体は、架橋されていてもよく、又、他の樹脂と混合して用いても良い。結着樹脂の架橋剤としては、主として二個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いても良い。一方、磁性体としては、マグネタイトが好ましく用いられる。
【0042】
このトナーは、荷電制御剤を含有させることによって、帯電性を保持させ、帯電特性を制御することができる。例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効である。このような錯体や化合物としては、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸金属錯体、芳香族ジカルボン酸金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸等が挙げられる。また、その他、錯体や化合物としては、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類等が挙げられる。荷電制御剤をトナーに含有させる方法として、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。
【0043】
トナー粒子は、着色剤を含有していて良い。このような着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。例えば顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、等が挙げられる。又、前記染料としては、例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料が挙げられる。
【0044】
本実施形態においては、トナーに離型性を与える観点から、トナー粒子がワックス類を含有することが好ましい。更に、このワックス類は、ビニル系モノマーによりブロック共重合体、グラフト変性等を施した変性ワックスでも良く、又、酸化処理を施した酸化ワックスでも良い。これらワックスは、トナーの製造に際し、予め重合体成分中に添加・混合しておくこともできる。その場合は、重合体成分の調製時に、ワックスと高分子量重合体とを溶剤に予備溶解した後、低分子重合体溶液と混合する方法が好ましい。これによりミクロな領域での相分離が緩和され、高分子量成分の再凝集が制御され、低分子重合体との良好な分散状態が得られる。尚、二種類以上のワックスを併用して添加しても良い。
【0045】
また、本実施形態においては、トナーは、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末をトナー粒子に外添することが好ましい。シリカ微粉末は、必要に応じて、疎水化、帯電性のコントロール等の目的で、次のような処理が施されていることが好ましい。即ち、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることが好ましい。
【0046】
トナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。このような外部添加剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子等が挙げられる。
【0047】
本実施形態においては、未使用トナーの重量平均径は7.5μm、23℃60%RHでの耐刷前の現像スリーブ上のトナーの平均帯電量は-8μC/g、トナー塗布量は0.8mg/cm2である。
【0048】
なお、トナーに関しては、重量平均粒径は、MULTISIZER(米国商標)(米国COULTER社製)を用い、電解液はISOTON R−II(米国商標)(米国COULTER社製)を用いて測定した。測定法としては、電解水溶液の100〜150ml中に分散剤として界面活性剤を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、体積、個数を測定して、重量平均粒径を算出する。重量平均粒径が6.0μmより大きい場合は、100μmのアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子を測定する。重量平均粒径が3.0〜6.0μmの場合は、50μmのアパーチャーを用いて1〜30μmの粒子を測定する。
【0049】
図3は、出力画像形成時における現像バイアス電源47の現像バイアス及び感光ドラム1の表面電位の関係を示すグラフである。図3に示すように、本実施形態の通常の出力画像形成時における現像バイアスは、現像電位差Vdev=200V、カブリ取り電位差Vdef=100Vの設定となる。図3中で、V1=100Vは露光電位を示し、Vdc=200Vは現像バイアスを示し、Vd=400Vは感光ドラム1の表面電位を示す。なお、本実施形態では、トナーは、画像露光強度が弱い部分すなわち感光ドラム1の表面電位の高い部分に多く付着する。
【0050】
図4は、トナー濃度センサ9の概略構成を示す概略構成図である。トナー濃度センサ9は、感光ドラム1の表面に形成されたトナー像itの濃度を検出するためのものである。トナー濃度センサ9は、LED等の赤外発光素子91と、フォトダイオード、CdS等の受光素子92a、92bと、受光データを処理するIC(不図示)と、これらを収容するハウジング93等から構成されている。なお、ここでいうトナー濃度は、画像反射濃度と同義である。
【0051】
赤外発光素子91は、感光ドラム1の表面に形成されたトナー像itに赤外光Lirを照射可能である。受光素子92aは、前記トナー像itからの散乱光Lirdの強度を検出する。受光素子92bは、正反射光Lirrの強度と散乱光Lirdの強度の両方を検出することにより、トナー像itが高濃度でも低濃度でも精度よく濃度を検出することができる。受光素子92a、92bは、検出した光の量に応じて出力値を変化させる所謂A/D変換(10ビット)によりデジタル信号に変換する。
【0052】
本実施形態においては、現像装置4の使用開始から、連続出力時に隣り合うシートmの間に対応する期間(以下「シート間」という。)毎に、帯電極性反転トナーの排出をTte間行い、感光ドラム1上のトナー濃度Ctdを測定する。トナー濃度Ctdは、次式(1)で示される。トナー濃度Ctdは、画像形成装置の工場出荷時又はユーザ使用環境での感光ドラム1の交換時に、現像装置4を画像形成装置100から離脱して、トナーが転移しない状態で感光ドラム1の1周にわたって測定・記憶したCtdiと測定値Ctdmの差分である。
【0053】
【数1】
本実施の形態において、Tte=10msであるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0054】
図5は、画像形成装置100の排出のフローチャートである。トナーのシート間排出頻度Fteは、予め決定されているものではない。随時、トナー濃度Ctdは測定される。トナー濃度センサ9が測定するトナー濃度Ctdの測定結果に基づいて、コントローラ60は、トナーの排出を継続するか否かを決定する。なお、図5のフローチャートに示されるように、『シート間』とは、搬送されて来るシートmとシートmの間に対応する期間をいう。また、『毎シート間』とは、全てのシート間をいう。『シート間排出頻度』とは、シート間に排出するトナーの排出時間をいい、シート間排出頻度Fteで表す。
【0055】
まず、コントローラ60は、現像装置4の駆動を開始する(ステップ0『S0』、以下、「ステップ」を単に「S」と表す)。コントローラ60は、毎シート間に対応する感光ドラム1の位置に向かって現像装置4がトナーを排出するように指令する(S1)。コントローラ60は、トナー濃度センサ9が検知するトナー濃度Ctdに基づいて、トナー濃度Ctdが所定値Ctd0以下か否かを判断する(J1)。YESの場合には、シート間にトナーを排出する必要がないことから、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを1/2倍に設定する(S2)。NOの場合には、シート間にトナーを排出必要があることから、コントローラ60は、毎シート間に現像装置4が感光ドラム1にトナーを排出するように指令する(S1)。コントローラ60は、トナー濃度Ctdが所定値Ctd0以下であるか否かの判断、及び、NOの場合における毎シート間でのトナーの排出を反復する(S1、J1、図5中の点線の範囲内)。
【0056】
コントローラ60がシート間排出頻度Fteを1/2倍に設定した場合には(S2)、コントローラ60は、再度、トナー濃度Ctdが所定値Ctd0以下か否かを判断する(J2)。YESの場合には、シート間にトナーを排出する必要がないことから、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを1/2倍に設定する(S3)。NOの場合には、シート間にトナーを排出する必要があることから、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを2倍に設定する(S4)。
【0057】
コントローラ60がシート間排出頻度Fteを1/2倍に設定した場合には(S3)、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteが下限値Ftemin以下か否かを判断する(J3)。YESの場合には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteが下限値Fteminに設定されていると認識し(S6)、シート間排出頻度Fteを2倍に設定する(S4)。NOの場合には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを1/2倍に設定する(S3)。コントローラ60は、シート間排出頻度Fteが下限値Fteminになるまで、シート間排出頻度Fteの調整を反復する(J2、S3、J3、S6、S4)。
【0058】
コントローラ60がシート間排出頻度Fteを2倍に設定した場合には(S4)、コントローラ60は、再度、トナー濃度Ctdが所定値Ctd0以下か否かを判断判断する(J4)。NOの場合には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを2倍に設定する(S5)。YESの場合には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを1/2倍に設定する(S3)。
【0059】
シート間排出頻度Fteが1回でも1/2倍に設定された後に、シート間排出頻度Fteが2倍に設定された場合(S4、S5)には、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteが毎シート間にトナーを排出した頻度以上であるか否かを判断する(J5)。YESの場合にはS1に戻る。NOの場合にはS4に戻る。本実施の形態において、シート間排出頻度Fteの下限は、下限値Ftemin=1/8192(回/シート間)であるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0060】
前述したように、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを調節することにより、帯電極性反転トナーを転移させるための『期間』や『量』を決定する。
【0061】
図6は、画像形成装置100の排出のフローチャートである。なお、図6のフローチャートに示されるように、『通常シート間時間』とは、シートmの最後部が通過してから次のシートmの最前部が通過するまでの時間をいう。まず、コントローラ60は、現像装置4の駆動を開始する(ステップ0『S0』、以下、「ステップ」を単に「S」と表す。)。コントローラ60は、通常シート間時間でトナーを排出する(S11)。
【0062】
コントローラ60は、前述の図5におけるS1及びJ1の反復回数Ntebmが所定値Ntebm0以上であるか否かを判断する(J11)。すなわち、コントローラ60は、『毎シート間でのトナーの排出(S1)及びトナー濃度が所定値以下であるか否かの判断(J1)の反復回数Ntebm』が所定値Ntebm0以上であるか否かを判断する(J11)。YESであれば、コントローラ60は、トナーの排出が不足することから、シート間時間Ttebmを1.1倍に延長し、その延長された時間内に現像装置4がトナーを排出するように指令する(S12)。NOであれば、コントローラ60は、シート間時間Ttebmを延長することなく通常シート間時間でトナーを排出する(S11)。
【0063】
コントローラ60がシート間時間Ttebmを1.1倍に延長してトナーを排出した場合には(S12)、コントローラ60は、トナー濃度が所定値Ttebm0以下か否かを判断する(J12)。NOであれば、コントローラ60は、シート間時間Ttebmが所定値Ttebm0以上であるか否かを判断する(J13)。YESの場合にはS11に戻る。
【0064】
コントローラ60が、シート間時間Ttebmが所定値Ttebm0以上であるか否かを判断し(J13)、YESの場合には、コントローラ60は、帯電極性反転トナーの電界による排出では対応不能と判断し、現像装置4の保守を指示する(S14)。NOの場合には、コントローラ60は、シート間時間Ttebmを1.1倍に延長してトナーを排出させる(S12)。
【0065】
コントローラ60が現像装置4の保守を指示した場合には(S14)、コントローラ60は、現像装置4の保守が完了したか否かを判断する(J14)。YESの場合にはS0に戻る。NOの場合にはS14に戻る。
【0066】
本実施の形態において、Ntebm0=100(回)、Ttebm0=55(s)であるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0067】
帯電極性反転トナーの排出時においては、現像バイアスの直流成分Vdcを、出力画像形成時の+200Vから+400Vに変更する。
【0068】
前述したように、コントローラ60は、シート間排出頻度Fteを調節することにより、帯電極性反転トナーを転移させるための『期間』や『量』を決定する。
【0069】
図7は、トナーの濃度と出力画像の画質の諸特性の関係を示すグラフである。横軸はトナーの濃度Ctdを示し、左側の縦軸は画像反射濃度を示し、右側の縦軸はかぶりを示す。発明者等が行った実験によれば、トナー濃度Ctdと、出力画像の画質の諸特性の関係は、図7のとおりである。図7に示されるように、トナー濃度Ctdが高いほど、画質は低い。トナー濃度Ctdが高いということは、帯電極性が反転した暗色(黒色)のトナーが感光ドラム1の表面に大量に排出されて付着していることを意味する。
【0070】
図8は、画像反射濃度及び累積耐刷枚数の関係を示すグラフである。ここでは、画像形成装置100で、画像面積率が5%のA4サイズ画像を、23℃60%RHの環境で、毎分5100枚の速度で、25万枚連続出力した際の、最高濃度部の画像反射濃度推移の一例を示す。図8に示されるように、画像反射濃度はほぼ不変である。トナーの重量平均粒径が未使用時の7.5μmから7.6μmに増加したに過ぎず、ベタ画像反射濃度は、1.42から1.40に減少したに過ぎず、かぶりによる画像反射率低下量は、0.5%から0.6%に増加したに過ぎない。25万枚平均の1枚あたりのトナー消費量は32mgである。
【0071】
図21は、各種の画像形成装置100の性能等を示したグラフであり、図22は、各種の画像形成装置100の仕様を示したグラフである。いずれの画像形成装置も、23℃60%RHの環境で耐刷前の画像反射濃度は1.38〜1.2、かぶりによる画像反射率低下量は、0.5〜0.8%である。これらによれば、本実施の形態に係る画像形成装置100の生産性、現像器寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。
【0072】
(第2実施形態)
図9は、この発明の第2実施形態に係る画像形成装置200の構成を示す断面図である。第1実施形態の画像形成装置100と同様の部分については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、第2実施形態に係る画像形成装置200の特徴部分のみ説明する。画像形成装置200は、ベルト状の中間転写部材59を有する転写装置50を備えることにより、幅広い種類の転写剤に安定した画像を形成することが可能である点が特徴である。
【0073】
転写装置50は、感光ドラム1の表面に当接されるように配設された中間転写部材59と、これが掛け渡される複数のローラ58a〜58eとを有している。このうちローラ58a、58cは、感光ドラム1の近傍に配置されて中間転写部材59の平坦な面を感光ドラム1に当接させて、感光ドラム1と中間転写部材59との間に一次転写部Ztr1を形成している。また、ローラ58bは中間転写部材59の張力を一定に維持するためのテンションローラであり、加圧バネ(不図示)により付勢されている。ローラ58dは中間転写部材59を回転させるためのものである。また、二次転写対向ローラ58eは、後述の二次転写ローラ52との間に中間転写部材59を挟み込むためのものである。
【0074】
中間転写部材59としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂にカーボンブラックを適当量含有させられたものを使用した。また、その中間転写部材59は、その体積抵抗率を1×108〜1×1013Ω・cm、厚みを70〜100μmに形成した無端ベルト状のものを使用した。
【0075】
さらに、中間転写部材59の内側には、感光ドラム1との間に中間転写部材59を挟み込んで、一次転写部Ztr1を形成する一次転写ローラ51が配設されている。この一次転写ローラ51には、出力画像形成時において、一次転写バイアス電源571によって、トナーの正規帯電極性と逆の極性の一次転写バイアスが印加され、これにより、感光ドラム1上のトナー像が中間転写部材59上に転写されるようになっている。
【0076】
二次転写部Ztr2には、中間転写部材59のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ローラ52と、中間転写ベルト10の内面側に配設されて二次転写ローラ52の対向電極をなす接地された二次転写対向ローラ58eが配設される。二次転写ローラ52には、出力画像形成時において、二次転写バイアス電源572により、トナーの正規帯電極性と逆の極性の二次転写バイアスが印加される。
【0077】
前述の一次転写バイアス電源571及び二次転写バイアス電源572は、感光ドラム1の表面のトナー像を中間転写部材59の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能である。
【0078】
現像バイアス電源47、一次転写バイアス電源571、二次転写バイアス電源572は、『制御部』であるコントローラ61に接続されている。このコントローラ61は、現像バイアス電源47の現像バイアス、一次転写バイアス電源571及び二次転写バイアス電源572の転写バイアスを変更可能である。また、コントローラ61は、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更する。これにより、帯電極性が反転したトナーを現像装置から感光ドラム1の表面に転移可能である。さらに、コントローラ61は、後述のトナー濃度センサ9が検知したトナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』を決定可能である。加えて、コントローラ61は、トナー濃度センサ9が検知したトナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるべき量』を決定可能である。コントローラ61は、帯電極性反転トナーを転移させるための期間や量の変更にあたっては、現像バイアス及び転写バイアスの印加時間を変更する。
【0079】
さらに、中間転写部材59の回転方向R3に沿っての二次転写部Ztr2の下流側には、二次転写後の中間転写部材59上に残留したトナーを除去する中間転写部材清掃装置56が設けられている。なお、上述の二次転写ローラ52及び中間転写部材清掃装置56は、中間転写部材59に対して接離可能に配設されている。
【0080】
本実施の形態においては、ローラ58dの表面から水平右方に20mm離れた位置に、トナー濃度センサ9を備える。赤外発光素子91は、中間転写部材59の表面に形成されたトナー像itに赤外光Lrを照射する。こうしてトナー濃度センサ9は、中間転写部材59の表面に存在するトナーの濃度を検知可能となっている。
【0081】
本実施形態においては、現像装置4の使用開始から、シート間毎に帯電極性反転トナーの排出をTte間行い、中間転写部材59上のトナー濃度Ctitmを測定する。トナー濃度Ctitmは、画像形成ジョブ完了直後に、中間転写部材59を感光ドラム1から離間してトナーが中間転写部材59に転移しない状態で中間転写部材59の1周にわたって測定及び記憶したCtitmntと測定値Ctitmmの差分である。
【0082】
【数2】
排出のシート間排出頻度Fteは、予め決定してあるのではなく、随時、トナー濃度Ctitmを測定しその結果に基づいて排出を継続するか否かを決定する。この場合にも、図5のフローチャートで前述したのと同様に、コントローラ60は制御する。すなわち、現像装置の使用開始(S0)直後は、毎シート間で排出する(S1)。トナー濃度Ctitmが所定値Ctitm0以下ならばシート間排出頻度Fteを1/2にし(S2、S3)、これをシート間排出頻度が下限値Ftemnになるまで反復する(S3、J3、S6)。
【0083】
現像装置の使用開始(S0)直後のトナー濃度Ctitmが所定値Ctitm0以下でないならば毎シート間での排出を反復する(S1、J1、図5中の点線四角内)。シート間排出頻度Fteを1回でも1/2にした後に、シート間排出頻度Fteを2倍にする際(S4、S5)のシート間排出頻度の上限は毎シート間である(J5、S1)。
【0084】
本実施の形態において、シート間排出頻度Fteの下限は、下限値Ftemn=1/096(回/シート間)であるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0085】
また、毎シート間でのトナーの排出の反復回数Ntebmが所定値Ntebm0を超える場合に関しては、図6のフローチャートで前述したのと同様に、コントローラ60は制御する。すなわち、毎シート間でのトナーの排出の反復回数Ntebmが所定値Ntebm0を超えると(J11)、排出が不足したと判断しシート間時間Ttebmを1.1倍に延長して(S12)、排出を反復する。延長したシート間時間Ttebmが、所定値TNtebm0を超えると(J13)、帯電極性反転トナーの電界による排出では対応不能と判断し、現像装置保守指示を出す(S14)。
【0086】
本実施の形態において、Ntebm0=60(回)、Ttebm0=30(s)であるが、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0087】
帯電極性反転トナーの一次排出時においては、現像バイアスの直流成分Vdcを、出力画像形成時の+200Vから+500Vに変更する。同時に、一次転写バイアスの直流成分Vdctr1も、出力画像形成時の+3000Vから−4000Vに、二次転写バイアスの直流成分Vdctr2も、出力画像形成時の+3500Vから−4000Vに変更する。
【0088】
図10は、中間転写部材59の表面に存在するトナー濃度及び出力画像の画質の諸特性の関係を示すグラフである。横軸はトナーの濃度Ctdを示し、左側の縦軸は画像反射濃度を示し、右側の縦軸はかぶりを示す。図10に示されるように、トナー濃度Ctitmが高いほど、画質は低い。トナー濃度Ctitmが高いということは、帯電極性が反転した暗色(黒色)のトナーが感光ドラムの表面に大量に排出されて付着していることを意味する。
【0089】
帯電極性反転トナーの二次排出時においても、現像バイアスの直流成分Vdc、一次転写バイアスの直流成分Vdctr1、二次転写バイアスの直流成分Vdctr2を、一次排出時と同様に、出力画像形成時から変更する。
【0090】
図11は、画像反射濃度及び累積耐刷枚数の関係を示すグラフである。ここでは、画像形成装置の使用によって、画像面積率が5%のA4サイズの画像が、23℃60%RHの環境で、毎分5100枚の速度で25万枚連続出力された場合に、最高濃度部の画像反射濃度の推移を示す。トナー粒度分布及び画像反射濃度は共にほぼ不変である。具体的には、トナーの重量平均粒径が未使用時の7.5μmから7.9μmに増加したに過ぎず、ベタ画像反射濃度は、1.40から1.41にわずかに増加し、かぶりによる画像反射率低下量は、0.5%から不変である。25万枚平均の1枚あたりのトナー消費量は32mgである。
【0091】
前述した図21及び図22によれば、本実施の形態に係る画像形成装置の生産性、現像器寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。
【0092】
(第3実施形態)
第3実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述したのと同様の部分についての詳細な説明を省略し、第3実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第3実施形態の画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置100において、現像剤が磁性キャリア粒子と非磁性トナーから構成されている二成分型であることにより、優れた出力画像濃度均一性等を有する点に特徴がある。
【0093】
図12は第3実施形態の画像形成装置に設けられる現像装置4の断面図である。現像装置4の現像容器40の内部は、鉛直方向に延在する隔壁40wによって第一現像室40c1と第二現像室40c2とに区画されており、これら現像室内に現像剤dが収容されている。
【0094】
第一現像室40c1の内部には、スクリュー型の第一現像剤撹拌搬送部材441が配置される。第二現像室40c2の内部には、スクリュー型の第二現像剤撹拌搬送部材442が配置される。第一現像剤撹拌搬送部材441は第一現像室40c1内の現像剤を攪拌・搬送する。又、第二現像剤撹拌搬送部材442は、自動トナー補給装置の制御のもとで、トナー補給容器(図示せず)からトナー補給口(図示せず)を介して供給されるトナーと、既に第二現像室40c2内にある現像剤とを攪拌し且つ搬送して、トナー濃度を均一化する。トナー補給口は、通常、第二現像剤撹拌搬送部材442による第二現像室40c2内の現像剤搬送方向の上流端近傍に設けられている。
【0095】
第一現像剤撹拌搬送部材441は、図12のシート面の前側から奥側に向けて、又、第二現像剤撹拌搬送部材442は図12のシート面の奥側から前側に向けて現像剤を搬送する。隔壁40wには、図12における前側と奥側の端部において、第一現像室40c1と第二現像室40c2とを相互に連通させる現像剤通路(図示せず)が形成されている。従って、第一現像剤撹拌搬送部材441及び第二現像剤撹拌搬送部材442の搬送力により、現像工程でトナーが消費されてトナー濃度の低下した第一現像室40c1内の現像剤が、一方の現像剤通路を介して第二現像室40c2へ移動する。また、トナーが補給されて攪拌された第二現像室40c2内の現像剤が他方の現像剤通路を介して第一現像室40c1へ移動する。
【0096】
現像装置4は、さらに、発光ダイオードなどの光源とフォトダイオードなどの光電変換素子とを有する光学反射光量検知方式のトナー濃度検知センサ49を、現像容器40内の現像スリーブ41に対向する位置に有する。
【0097】
磁性キャリアには、樹脂中に磁性材料としてマグネタイトを分散し、導電化及び抵抗調整のためにカーボンブラックを分散して形成した磁性キャリア、或いはフェライト等のマグネタイト単体表面を樹脂でコーティングして、抵抗調整したもの等を用いても良い。これら磁性キャリアの製造法は特に制限されない。磁性キャリアの重量平均粒径は20〜100μm、好ましくは20〜70μmである。
【0098】
2成分現像剤に用いる非磁性トナーとしては、特にトナーの形状係数SF−1が100〜130、SF−2が100〜115であるものが好適である。この形状係数SF−1、SF−2とは、トナーの粒子像を無作為に100個サンプリングし、その画像情報をインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入して解析を行い、下式より算出した値として定義した。サンプリングに当たっては、日立製作所社製FE−SEM(S−800)を用いられた。
【0099】
【数3】
【0100】
【数4】
トナーの形状係数SF−1はトナーの球形度合いを示し、140より大きいと、球形から徐々に不定形となる。SF−2はトナー表面の凸凹の度合いを示し、120より大きいと、トナー表面の凸凹が顕著になる。また、トナーの体積平均粒径は4〜15μmのものが好適に使用できる。さらに、トナーは表面を外添剤で被覆して、一次帯電装置2による影響をある程度、外添剤に逃がすようにすることが好ましい。外添剤の粒径は、トナーに外添したときの耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下であることが好ましい。
【0101】
上記の外添剤としては、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化スズ、酸化亜鉛など)等が用いられる。その他では、外添剤としては、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)等が用いられる。また、その他の外添剤としては、脂肪族金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)、カーボンブラック、シリカなどが用いられる。
【0102】
これら外添剤は単独で用いても、複数併用してもよい。それぞれ疎水化処理したものがより好ましい。外添剤の使用量は、トナーの100重量部あたり0.01〜10重量部であり、好ましくは0.05〜5重量部である。そして、磁性キャリアと非磁性トナーを重量比が93:7になるように混合したものを現像剤として用いた。
【0103】
なお、本実施形態では、トナーは、画像露光強度が強い部分すなわち感光ドラム1の表面電位の低い部分に多く付着する。画像形成条件は、一次帯電後の感光ドラム表面電位Vd=+500V、現像バイアスの交流成分の振幅1700V、現像バイアスの交流成分の周波数6000Hzとする。また、画像形成条件は、現像バイアスの直流成分の電圧300V、画像露光後の感光ドラム表面電位V1=+100V、GSD=400μmとした。
【0104】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の生産性、画質に関する優位性が理解できる。現像装置の寿命が、第1実施形態に係る画像形成装置100より劣るのは、耐刷によりトナー粒子への帯電性が低下した現像剤のキャリア粒子及び磨耗して現像剤搬送力が低下した現像スリーブ41の交換が必要だからである。トナー消費量が、第1実施形態に係る画像形成装置100より多いのは、現像スリーブ41上の担持されるトナー量が多いため、出力画像上を形成するトナー量が多く(約20mg/cm2)、現像スリーブ41から飛散するトナーも多いからである。
【0105】
(第4実施形態)
第4実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述したのと同様の部分についての詳細な説明を省略し、第4実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第4実施形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置において、転移させるべき帯電極性反転トナーの量の変更を、帯電極性反転トナー排出時における現像バイアスの交流成分の振幅Vppteの変更により行う点が特徴である。
【0106】
図13は、第4実施形態の画像形成装置に関し、現像バイアスの交流成分の振幅Vppte及びトナー濃度Ctdの関係を示すグラフである。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tteは50sである。交流成分の振幅Vppteは、図13に示す関係に基づいて決定する。すなわち、トナー濃度Ctdが高いほどトナーの劣化は少ないので、Vppteを低減して排出量を低減する。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tte及び、図13に示す関係は、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0107】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。生産性が、第1実施形態に係る画像形成装置100より若干劣るのは、現像バイアスの交流成分の振幅を変更した後、安定するまでに時間がかかるからである。
【0108】
(第5実施形態)
第5実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述した構成及び作用と同様の部分についての詳細な説明を適宜省略し、第5実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第5実施形態の画像形成装置では、帯電極性反転トナーの排出時に現像バイアスの高電圧時間Tdevbhが変更されると、転移させるべき帯電極性反転トナーの量が変更される点に特徴がある。
【0109】
図14は、本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、トナーの排出時の現像バイアスの波形を示すグラフである。図14に示されるように、帯電極性反転トナーの排出時における現像バイアスの波形は矩形である。現像バイアスの低電圧時間Tdevbl及び現像バイアスの高電圧時間Tdevbhが異なる。現像バイアスの高電圧の期間において、帯電極性反転トナーは現像装置4から感光ドラム1へと転移する。
【0110】
図15は、本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、出力画像形成時の現像バイアスの波形を示すグラフである。図15に示されるように、出力画像形成時における現像バイアスの波形は矩形である。現像バイアスの低電圧時間Tdevbl及び現像バイアスの高電圧時間Tdevbhは等しい。現像バイアスの低電圧の期間において、正規帯電極性トナーは現像装置4から感光ドラム1へと転移する。
【0111】
図16は、本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、排出時の現像バイアスの高電圧時間Tdevbhの関係を示すグラフである。図16に示す関係に基づいて、トナー濃度Ctdから現像バイアスの高電圧時間Tdevbhが決定される。すなわち、例えば、トナー濃度Ctdが高いほどトナーの劣化は少ないので、トナー濃度Ctdが高いと、現像バイアスの高電圧時間Tdevbhが低減されて排出量が低減される。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tte2及び、図16に示す関係は、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0112】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。生産性が、第1実施形態に係る画像形成装置100より若干劣るのは、現像バイアスの高電圧時間を変更した後、安定するまでに時間がかかるからである。
【0113】
(第6実施形態)
第6実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述した構成及び作用と同様の部分についての詳細な説明を適宜省略し、第6実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第6実施形態の画像形成装置では、帯電極性反転トナー排出時に現像スリーブの周速VSLVが変更されると、転移させるべき帯電極性反転トナーの量が変更される点に特徴がある。
【0114】
図17は、本発明の第6実施形態に係る画像形成装置に関し、感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、排出時の現像スリーブの周速VSLVteの関係を示すグラフである。図17に示す関係に基づいて、トナー濃度Ctdから現像スリーブの周速VSLVteが決定される。すなわち、例えば、トナー濃度Ctdが高いほどトナーの劣化は少ないので、トナー濃度Ctdが高いと、現像スリーブの周速VSLVteが低減されて排出量が低減される。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tte3及び図17に示す関係は、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0115】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。生産性が、第1実施形態に係る画像形成装置100より若干劣るのは、現像スリーブの周速を変更した後、安定するまでに時間がかかるからである。
【0116】
(第7実施形態)
第7実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述した構成及び作用と同様の部分についての詳細な説明を適宜省略し、第7実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第7実施形態の画像形成装置では、極性反転トナー排出時に現像装置の感光ドラム1への加圧力FSDte2が変更されると、転移させるべき帯電極性反転トナーの量が変更される点に特徴がある。
【0117】
図18は、本発明の第7実施形態に係る画像形成装置に適用される現像装置4の構成を示す断面図である。図18に示されるように、そもそも、前述の間隙GSDを保証し、安定した現像を行うために、現像装置は感光ドラム1に対して加圧されている。加圧は、カム951、バネ952、カム951を回転するカム駆動モータ953等によって構成される加圧部材95によりなされる。加圧力が過小だと、現像装置が振動するため、出力画像に周期的なムラが生じ、逆に加圧力が過大だと、感光ドラム1表面の磨耗等が生じる。
【0118】
間隙GSDを保証する手段の一が、現像スリーブ41の回転軸と同軸に配設され、現像スリーブ41の外径よりも大きな外径を有するSDローラ46である。SDローラ46は、加圧に対して変形の少ない樹脂で構成され、感光ドラム表面に圧接するが、加圧力を増やすと、つぶれ量は大きくなり、結果として間隙GSDが減少し、現像スリーブ41から感光ドラム1へ転移するトナー量は増加する。
【0119】
図19は、感光ドラム1の表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、帯電極性反転トナーの排出時の現像装置の加圧力FSDteの関係を示すグラフである。図19に示す関係に基づいて、トナー濃度Ctdから現像装置の加圧力FSDteが決定される。すなわち、例えば、トナー濃度Ctdが高いほどトナーの劣化は少ないので、トナーの濃度が高いと、現像装置の加圧力FSDteが低減されて排出量が低減される。帯電極性反転トナーの二次排出の時間Tte2及び図19に示す関係は、保守者が必要に応じて変更可能である。
【0120】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の、現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。生産性が、第1実施形態に係る画像形成装置より若干劣るのは、加圧力の変更に時間がかかるからである。
【0121】
(第8実施形態)
第8実施形態の画像形成装置の説明にあたっては、前述した構成及び作用と同様の部分についての詳細な説明を適宜省略し、第8実施形態に係る画像形成装置の特徴部分のみ説明する。第8実施形態の画像形成装置では、現像装置における一の現像容器に二の現像スリーブが備えられたことにより、高速度での現像性が改善された点に特徴がある。
【0122】
図20は、本発明の第8実施形態に係る画像形成装置に適用される現像装置4の構成を示す断面図である。この画像形成装置では、例えば、Aサイズの毎時連続出力枚数は8100である。この生産性を実現すべく、感光ドラム1の周速度を700mm/sとしている。
【0123】
第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412は、現像容器40の感光ドラム1に対向した開口部に互いに近接してR1方向に沿って並設されている。第一現像スリーブ411と感光ドラム1との間では、間隔GSD1=200μmに設定される。第二現像スリーブ412と感光ドラム1との間では、間隔GSD2=250μmに設定される。第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412の回転速度はともに700mm/sである。
【0124】
第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412が感光ドラム1と対向する対向部における感光ドラム1の回転方向R1に対し上流側に第一現像スリーブ411が位置し、同方向に対し下流側に第二現像スリーブ412が位置する。第一現像スリーブ411の内部には『磁界発生手段』としての第一現像マグネット421が固定配置されている。第二現像スリーブ412は外径20mmであり、内部には『磁界発生手段』としての第二現像マグネット422が固定配置されている。
【0125】
第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412は、ともに矢印R2方向に回転する。そして、第一現像スリーブ411及び第二現像スリーブ412が近接して対向する部分の間隔Gssでは、第一現像スリーブ411の移動方向と第二現像スリーブ412との移動方向は逆方向である。
【0126】
第二現像スリーブ412の近傍に搬送された現像剤は、第二現像スリーブ412の図示した矢印R2方向の回転に伴って、前記対向部としての間隔Gssの近傍に送られる。それと共に、現像剤は、第一現像スリーブ411に送られる。間隔Gss=400μmである。第二現像スリーブ412上のトナーの塗布量は0.6g/cm2である。
【0127】
前述した図21及び図22によれば、本実施形態に係る画像形成装置の現像装置の寿命、画質、トナー消費量に関する優位性が理解できる。トナー消費量が、第1実施形態に係る画像形成装置100より優れているのは、第二現像スリーブ412が、第一現像スリーブ411から感光ドラム1へ過剰に転移したトナーを回収するからである。
【0128】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0129】
例えば、帯電極性反転トナーの排出の期間の長さ・量・排出頻度に関しては、周辺の温度・湿度を考慮してもよい。
【0130】
潜像担持部材は、ドラム状のものに限定されるものではなく、ベルト状或いはシート状であっても良いし、その個数についても一に限定されるものではなく、フルカラー画像出力を可能とすべく、二以上としてもよい。
【0131】
現像装置の個数についても、一に限定されるものではなく、異なった色のトナーを収容した現像装置を複数備えてもよい。
【0132】
一の現像装置が有する現像剤担持部材についても、二に限定されるものではなく、三以上でもよい。
【0133】
現像剤についても、非磁性トナーのみから構成してもよい。
【0134】
その他、潜像担持部材の外径・周速度・表面電位、現像剤担持部材の外径・周速度、間隙GSD・GSS・GSBの大きさ、現像バイアスの直流成分の電圧値等に関しても、現像剤の特性等に応じて最適な値に設定することができる。
【0135】
本発明の優位性の理解を容易にすべく、従来の技術を、比較形態として簡単に説明する。
【0136】
(第1比較形態)
第1比較形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置において、帯電極性反転トナーの排出を行わない点が特徴である。前述した図21及び図22によれば、本比較の形態に係る画像形成装置の、現像装置の寿命と画質に関する劣位性が理解できる。帯電極性反転トナーの排出を行わないために生産性とトナー消費量は遜色ないが、画質の安定性に関しては大きく劣る。
【0137】
(第2比較形態)
第2比較形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置において、帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わない点が特徴である。前述した図21及び図22によれば、本比較の形態に係る画像形成装置の、生産性とトナー消費量に関する劣位性が理解できる。帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わないために、生産性とトナー消費量が劣る。
【0138】
(第3比較形態)
第3比較形態に係る画像形成装置は、実施形態に係る画像形成装置において、帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わない点が特徴である。前述した図21及び図22によれば、本比較の形態に係る画像形成装置の、生産性とトナー消費量に関する劣位性が理解できる。帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わないために、生産性とトナー消費量が劣る。
【0139】
(第4比較形態)
第4比較形態に係る画像形成装置は、第8実施形態に係る画像形成装置において、帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わない点が特徴である。前述した図21及び図22によれば、本比較の形態に係る画像形成装置の、生産性とトナー消費量に関する劣位性が理解できる。帯電極性反転トナーの排出する時間及び量の変更をともに行わないために、生産性とトナー消費量が劣る。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】この発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】静電像を現像するために固定的に配置された現像装置の断面図である。
【図3】出力画像形成時における現像バイアス電源の現像バイアス及び感光ドラムの表面電位の関係を示すグラフである。
【図4】トナー濃度センサの概略構成を示す概略構成図である。
【図5】画像形成装置の排出のフローチャートである。
【図6】画像形成装置の排出のフローチャートである。
【図7】トナーの濃度と出力画像の画質の諸特性の関係を示すグラフである。
【図8】画像反射濃度及び累積耐刷枚数の関係を示すグラフである。
【図9】この発明の第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図10】中間転写部材の表面に存在するトナー濃度及び出力画像の画質の諸特性の関係を示すグラフである。
【図11】画像反射濃度及び累積耐刷枚数の関係を示すグラフである。
【図12】第3実施形態の画像形成装置に設けられる現像装置の断面図である。
【図13】第4実施形態の画像形成装置に関し、現像バイアスの交流成分の振幅Vppte及びトナー濃度の関係を示すグラフである。
【図14】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、トナーの排出時の現像バイアスの波形を示すグラフである。図
【図15】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、出力画像形成時の現像バイアスの波形を示すグラフである。
【図16】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に関し、感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、排出時の現像バイアスの高電圧時間Tdevbhの関係を示すグラフである。
【図17】本発明の第6実施形態に係る画像形成装置に関し、感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、排出時の現像スリーブの周速VSLVteの関係を示すグラフである。
【図18】本発明の第7実施形態に係る画像形成装置に適用される現像装置の構成を示す断面図である。
【図19】感光ドラムの表面に存在するトナー濃度Ctd、及び、帯電極性反転トナーの排出時の現像装置の加圧力FSDteの関係を示すグラフである。
【図20】本発明の第8実施形態に係る画像形成装置に適用される現像装置の構成を示す断面図である。
【図21】各種の画像形成装置の性能等を示したグラフである。
【図22】各種の画像形成装置の仕様を示したグラフである。
【図23】従来の画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図24】感光ドラムの中心部分の導電性支持体から表面保護層までの部分断面図である。
【図25】従来の画像形成装置における耐刷時の画像反射濃度の推移を示すグラフである。
【符号の説明】
【0141】
1 感光ドラム(潜像担持部材)
4 現像装置
9 トナー濃度センサ(トナー濃度検知手段)
41 現像剤担持部材
47 現像バイアス電源
57 転写バイアス電源
59 中間転写部材
60 コントローラ(制御部)
100、200・・・画像形成装置
571 一次転写バイアス電源(転写バイアス電源)
572 二次転写バイアス電源(転写バイアス電源)
d トナー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、前記潜像担持部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、
前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、前記潜像担持部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、
前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量を決定可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、中間転写部材と、前記潜像担持部材の表面のトナー像を前記中間転写部材の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能な転写バイアス電源と、前記中間転写部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアス及び前記転写バイアス電源の転写バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更することにより、帯電極性が反転したトナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、
前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、中間転写部材と、前記潜像担持部材の表面のトナー像を前記中間転写部材の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能な転写バイアス電源と、前記中間転写部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアス及び前記転写バイアス電源の転写バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更することにより、帯電極性が反転したトナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、
前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量を決定可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間の変更にあたって、現像バイアスの印加時間を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量の変更にあたって、現像バイアスの直流成分の電圧を変更することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間の変更にあたって、現像バイアス及び転写バイアスの印加時間を変更することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量の変更にあたって、現像バイアス及び転写バイアスの直流成分の電圧を変更することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記トナーは磁性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記現像装置は、一の現像容器及び複数の現像剤担持部材を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、前記潜像担持部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、
前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、前記潜像担持部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更することにより、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、
前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量を決定可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、中間転写部材と、前記潜像担持部材の表面のトナー像を前記中間転写部材の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能な転写バイアス電源と、前記中間転写部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアス及び前記転写バイアス電源の転写バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更することにより、帯電極性が反転したトナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、
前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間を決定可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
潜像担持部材と、前記潜像担持部材の表面にトナーを転移可能な現像装置と、前記現像装置に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源と、中間転写部材と、前記潜像担持部材の表面のトナー像を前記中間転写部材の表面に転移させるための転写バイアスを印加可能な転写バイアス電源と、前記中間転写部材の表面に存在するトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知手段と、前記現像バイアス電源の現像バイアス及び前記転写バイアス電源の転写バイアスを変更可能な制御部と、を備え、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、前記制御部が前記出力画像形成期間内の現像バイアス及び転写バイアスから所定の値の現像バイアス及び転写バイアスに変更することにより、帯電極性が反転したトナーを前記現像装置から前記潜像担持部材の表面に転移可能である画像形成装置において、
前記制御部は、前記トナー濃度検知手段が検知したトナーの濃度に基づいて、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量を決定可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間の変更にあたって、現像バイアスの印加時間を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量の変更にあたって、現像バイアスの直流成分の電圧を変更することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記帯電極性反転トナーを転移させるための期間の変更にあたって、現像バイアス及び転写バイアスの印加時間を変更することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記帯電極性反転トナーを転移させるべき量の変更にあたって、現像バイアス及び転写バイアスの直流成分の電圧を変更することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記トナーは磁性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記現像装置は、一の現像容器及び複数の現像剤担持部材を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−72580(P2010−72580A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243054(P2008−243054)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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