説明

画像形成装置

【課題】廃棄トナーの廃棄時の作業性を向上させる。
【解決手段】画像形成装置は、異なる4色に対応する感光体ドラムを個々に有するドラムユニットと、各ドラムユニット相互間の位置決めを行うドラムユニット位置決め装置と、各感光体ドラム上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像ユニットとを備える。各ドラムユニットは、装置本体に対して、各感光体ドラムのドラム軸方向に着脱可能に設けられている。ドラムユニット位置決め装置は、装置本体に対して回動可能に設けられている。該画像形成装置は、各ドラムユニットの各クリーニング装置で回収されるトナーを回収容器120に搬送する廃棄トナー搬送装置110をさらに備えている。廃棄トナー搬送装置110は、装置本体に対して回動可能に設けられているとともに、ドラムユニット位置決め装置よりも、各感光体ドラムのドラム軸方向外側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる4色に対応する感光体ドラムを個々に有するドラムユニット相互間の位置決めを行うドラムユニット位置決め装置を備えてフルカラーの画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを用い、電子写真プロセスでフルカラーの画像を形成する画像形成装置として、いわゆる4連タンデム型のものが従来から種々提案されている。この種の画像形成装置は、上記各色に対応する4つの感光体ドラムを並行して配置し、各色ごとに感光体ドラム上の静電潜像をトナーで現像した後、各色のトナー像を用紙上で順次重ね合わせることにより、フルカラー画像を得るものである。
【0003】
このような4連タンデム型の画像形成装置においては、用紙上における各色のトナー像の色ずれを防止するため、各感光体ドラムを個々に有するドラムユニット相互間の位置決め精度を高精度に保つことが必要とされる。通常、各感光体ドラムのドラム軸は、各ドラム軸が嵌る軸受孔を有する位置決め板で支持されており、これによって各ドラムユニットを高精度に位置決めすることが可能となる。
【0004】
ところで、各ドラムユニットにおいては、機械寿命により、印字枚数が所定の枚数(例えば数万枚)となったところで、ユーザ側で交換を行うことが必要とされている。このため、位置決め板を装置本体に対して脱着可能な構成とし、各ドラムユニットの交換ができるようにすることが必要とされる。
【0005】
この点、例えば特許文献1に開示された画像形成装置では、位置決め板に把手を形成し、ユーザが把手を握って位置決め板を各ドラム軸に嵌め込んだり(位置決め板の軸受孔にドラム軸を嵌め込んだり)、各ドラム軸から引き抜いたり(軸受孔へのドラム軸の嵌め込みを解除したり)することが可能となっている。各ドラム軸から引き抜いた位置決め板は、装置本体外部の別の場所に載置され、装置本体とは完全に分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−306566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像形成装置において、廃棄トナーを回収容器に搬送する廃棄トナー搬送装置を設ける場合は、ドラムユニットを位置決めする装置との位置関係を適切に規定しないと、廃棄トナーの廃棄作業を行うときに、ドラムユニットの位置決め装置を操作する必要が生じ、廃棄トナーの廃棄作業を効率よく行うことができず、その作業性が低下する。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、廃棄トナーの廃棄時の作業性を向上させることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る画像形成装置は、異なる4色に対応する感光体ドラムを個々に有するドラムユニットと、前記各ドラムユニット相互間の位置決めを行うドラムユニット位置決め装置とを備えた画像形成装置であって、前記各ドラムユニットに対応して設けられ、前記各感光体ドラム上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像ユニットをさらに備え、前記各ドラムユニットは、装置本体に対して、前記各感光体ドラムのドラム軸方向に着脱可能に設けられており、前記ドラムユニット位置決め装置は、装置本体に対して回動可能に設けられており、前記各ドラムユニットは、前記各感光体ドラム上でトナー像の転写後に残留するトナーを回収するクリーニング装置をそれぞれ有しており、該画像形成装置は、前記各ドラムユニットのトナー廃棄口と着脱され、前記各クリーニング装置で回収されて前記トナー廃棄口から排出される前記トナーを回収容器に搬送する廃棄トナー搬送装置をさらに備え、前記廃棄トナー搬送装置は、装置本体に対して回動可能に設けられているとともに、前記ドラムユニット位置決め装置よりも、前記各感光体ドラムのドラム軸方向外側に設けられていることを特徴としている。
【0010】
前記廃棄トナー搬送装置の回動軸は、前記各ドラムユニットの前記各トナー廃棄口が並ぶ方向に平行に位置しており、かつ、前記各ドラムユニットの各トナー廃棄口よりも下方に位置していることが望ましい。
【0011】
前記ドラムユニット位置決め装置の回動軸は、前記各ドラムユニットの各ドラム軸が並ぶ方向に平行に位置しており、かつ、前記各ドラム軸よりも上方に位置していることが望ましい。
【0012】
前記画像形成装置は、前記各現像ユニットに対応して設けられ、各トナーカートリッジから前記各現像ユニットにトナーを供給するトナー供給部をさらに備え、前記各トナー供給部は、前記各現像ユニットにおける前記廃棄トナー搬送装置とは反対側の端部に対応して設けられていてもよい。
【0013】
前記各トナー供給部は、各トナーカートリッジから供給されるトナーが自重によって内部を落下する筒状部を有していてもよい。
【0014】
なお、本発明の他の側面に係るドラムユニット位置決め装置および画像形成装置は、以下のように表現することができる。
【0015】
本発明のドラムユニット位置決め装置は、異なる4色に対応する感光体ドラムを個々に有するドラムユニット相互間の位置決めを行うドラムユニット位置決め装置において、前記4つの感光体ドラムの個々のドラム軸が嵌め込まれる軸受孔が形成された平板部を有する位置決め板と、前記位置決め板の前記平板部と対向する対向壁部を有し、前記位置決め板を保持しながら回動することにより、前記軸受孔に対して前記ドラム軸を相対的に挿抜させるホルダー部と、前記ホルダー部の前記対向壁部から前記位置決め板の前記平板部が離れる方向に、前記平板部を付勢する付勢部材とを備え、前記ホルダー部は、回動による前記軸受孔への前記ドラム軸の嵌め込み時に、前記軸受孔と前記ドラム軸との接触により、前記付勢部材による付勢に抗して前記対向壁部に対する前記平板部の位置が変化するように、前記位置決め板を保持していてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、ホルダー部が位置決め板を保持しながら回動することによって、位置決め板の軸受孔に対してドラム軸を相対的に挿抜させる。これにより、各ドラムユニットが装填される画像形成装置の本体側でホルダー部の回動軸を支持すれば、各ドラムユニットの交換前後で、位置決め板はホルダー部で保持されたまま本体側に残る。したがって、位置決め板を装置本体から完全に分離する構成に比べて、位置決め板の装置本体に対する取り付け/取り外しの際の移動距離は短く、装置本体に近い位置で位置決め板の取り付け/取り外しの作業を行うことができる。また、ホルダー部の回動軌跡は一定なので、各ドラムユニットの交換後は、ホルダー部を回動させることで位置決め板を正規の位置に取り付けることができ、位置決め板の取り付け位置を手感覚で探す必要もない。したがって、各ドラムユニットの交換時における位置決め板の取り付け/取り外しの作業をスムーズに行うことができ、位置決め板を完全に本体側から取り外す作業と、位置決め板を手感覚で取り付ける作業とを行う従来よりも、各ドラムユニットの交換時の作業性を向上させることができる。
【0017】
また、上記のように、ホルダー部の回動によって位置決め板の取り付け/取り外しを行う構成では、ホルダー部および位置決め板の移動軌跡が円弧状となり、軸受孔へのドラム軸の嵌め込み方向がドラム軸方向と完全に一致しないため、軸受孔へのドラム軸の嵌め込み時にこじりが生じやすい状況となる。しかし、ホルダー部は、回動による位置決め板の嵌め込み時に、軸受孔とドラム軸との接触により、付勢部材による付勢に抗して対向壁部に対する平板部の位置が変化するように、位置決め板を保持している。なお、平板部の位置の変化には、付勢方向における平板部の位置の変化、および付勢方向に対する平板部の傾きの変化の少なくとも一方が含まれる。
【0018】
この構成では、軸受孔とドラム軸との接触時に、付勢部材による付勢に抗して平板部が対向壁部に相対的に近づいたり、対向壁部に対する平板部の傾きが変化するので、上記接触時の摩擦抵抗や応力を、対向壁部に対する平板部の相対的でかつ連続的な位置変化によって軽減することができ、これによって両部材のこじりを軽減することができる。したがって、ホルダー部を回動させる構成であっても、軸受孔へのドラム軸の嵌め込みをスムーズに行うことができる。
【0019】
本発明のドラムユニット位置決め装置において、前記ホルダー部は、前記各ドラムユニットが装填される装置本体と係合するフックと、前記フックの回動軸に固定され、前記フックを回動させることにより、前記フックの前記装置本体との係合を解除するレバーとを有していることが望ましい。
【0020】
この構成では、レバーを操作してフックを回動させることにより、フックと装置本体との係合が解除され、ホルダー部を回動させることが可能となる。また、レバー操作という簡単な操作でホルダー部を回動させ、位置決め板の取り付け/取り外しを行うことができるので、各ドラムユニットの交換時の作業性をさらに向上させることができる。
【0021】
本発明のドラムユニット位置決め装置において、前記位置決め板は、前記平板部に立設され、前記フックの回動軸が隙間を介して挿通される挿通口が形成された挿通部を有していることが望ましい。
【0022】
この構成では、ホルダー部のフックの回動軸と、位置決め板の挿通部の挿通口との間に隙間が形成されているので、この隙間の分だけ、位置決め板の平板部はホルダー部の対向壁部に対して相対的に変位可能に支持される。これにより、ホルダー部の回動による軸受孔とドラム軸との接触時に、上記接触を保ちながら、対向壁部に対して平板部の位置を確実に変化させることが可能となる。したがって、ホルダー部を回動させる構成では、ホルダー部の回動方向と、軸受孔へのドラム軸の嵌め込み方向とが異なるにもかかわらず、平板部の位置変化によって軸受孔とドラム軸とのこじりを確実に軽減しながら、軸受孔に対してドラム軸を確実にスムーズに嵌め込むことができる。
【0023】
本発明のドラムユニット位置決め装置において、前記付勢部材は、前記ホルダー部の回動軸に垂直な断面内で、前記位置決め板の前記平板部の中央からずれた位置を付勢することが望ましい。
【0024】
この場合、付勢部材による付勢により、ホルダー部の回動軸に垂直な断面内で、位置決め板の平板部に反りを与えることができる。これにより、位置決め板の軸受孔へのドラム軸の嵌め込みが完了した状態で、両者の間にわずかの隙間があっても、上記の反りによって両者が確実に線接触または面接触することとなり、両者を確実に密着させることができる。その結果、位置決め完了状態におけるドラム軸のがたつきを防止できるとともに、ドラム軸と位置決め板とをアースする際の電気的な導通を安定させることができる。
【0025】
本発明のドラムユニット位置決め装置において、前記位置決め板は、前記各ドラムユニットが装填される装置本体の位置決め用の穴部に嵌め込まれる位置決めピンをさらに有しており、前記位置決めピンは、前記位置決め板の前記平板部を貫通して該平板部に固定されており、前記付勢部材は、前記位置決めピンを後端から付勢することが望ましい。
【0026】
装置本体側の位置決め用の穴部に位置決めピンを嵌め込むことにより、装置本体に対する位置決め板の位置決めを行うことができる。このとき、付勢部材は、平板部を貫通して設けられる位置決めピンを後端から付勢しているので、付勢部材の付勢力を位置決めピンに効率よく与えることができる。これにより、ホルダー部を回動させる構成であっても、装置本体側穴部への位置決めピンの嵌め込みを、両者のこじりを抑えながらスムーズに行うことができ、位置決め板の位置決めをスムーズに行うことができる。
【0027】
本発明のドラムユニット位置決め装置において、前記位置決め板の前記各軸受孔と前記位置決めピンとは、同一直線上に位置していることが望ましい。
【0028】
ホルダー部の回動軸を各ドラム軸が並ぶ方向と平行に位置させたときには、ホルダー部の回動によって、位置決め板の各軸受孔への各ドラム軸の嵌め込みと、装置本体側穴部への位置決めピンの嵌め込みとを同時に行うことができる。しかも、嵌め込み時における付勢部材の付勢に抗した平板部の位置の変化が、それぞれの嵌め込み部分に対して同じように作用するので、それぞれの嵌め込みを全て同時にスムーズに行うことができる。
【0029】
本発明の画像形成装置は、上述した本発明のドラムユニット位置決め装置と、異なる4色に対応する感光体ドラムを個々に有するドラムユニットとを備え、前記ドラムユニット位置決め装置によって前記各ドラムユニット相互間の位置決めを行う構成であることが望ましい。
【0030】
上記の構成によれば、ホルダー部の回動による位置決め板の脱着により、ドラムユニットの交換時の作業性を従来よりも格段に向上させつつ、ホルダー部の回動構成でも位置決め板の脱着を、こじりを生じさせずにスムーズに行うことが可能な画像形成装置を実現できる。
【0031】
本発明の画像形成装置は、前記各ドラムユニットに対応して設けられ、前記各感光体ドラム上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像ユニットをさらに備え、前記各ドラムユニットは、前記各感光体ドラム上でトナー像の転写後に残留するトナーを回収するクリーニング装置をそれぞれ有しており、該画像形成装置は、前記各ドラムユニットのトナー廃棄口と着脱され、前記各クリーニング装置で回収されて前記トナー廃棄口から排出される前記トナーを回収容器に搬送する廃棄トナー搬送装置をさらに備え、前記廃棄トナー搬送装置は、前記ドラムユニット位置決め装置よりも、前記各感光体ドラムのドラム軸方向外側に設けられていることが望ましい。
【0032】
廃棄トナー搬送装置をドラムユニット位置決め装置よりもドラム軸方向外側(各ドラムユニットとは反対側)に位置させることにより、廃棄トナー搬送装置によって搬送されて回収容器に回収された廃棄トナーの廃棄作業を行うときに、ドラムユニット位置決め装置を操作しなくても済む。すなわち、ドラムユニット位置決め装置を操作しなくても、回収容器だけを取り出す構成にできる。これにより、廃棄トナーの廃棄作業を効率よく行うことができ、その作業性を向上させることができる。
【0033】
本発明の画像形成装置において、前記廃棄トナー搬送装置は、前記各ドラムユニットの前記各トナー廃棄口が並ぶ方向に平行に位置する回動軸を有しており、前記回動軸は、前記各ドラムユニットの各トナー廃棄口よりも下方に位置していることが望ましい。
【0034】
廃棄トナー搬送装置の回動軸は、各トナー廃棄口が並ぶ方向と平行に位置しているので、回動する廃棄トナー搬送装置とトナー廃棄口との着脱を、全てのトナー廃棄口について同時に行うことができる。
【0035】
また、廃棄トナー搬送装置の回動軸は、各トナー廃棄口よりも下方に位置していることから、廃棄トナー搬送装置は、上記の回動軸を支点として上開きとなる。このような構成により、廃棄トナー搬送装置を開状態としたときに(各トナー廃棄口との結合を解除したときに)、各トナー廃棄口から落下する廃棄トナーを、廃棄トナー搬送装置で受け止めることができ、画像形成装置の設置面(フロアー)が廃棄トナーで汚れるのを防止することができる。
【0036】
本発明の画像形成装置において、前記ドラムユニット位置決め装置の前記ホルダー部の回動軸は、前記各ドラムユニットの各ドラム軸が並ぶ方向に平行に位置しており、前記回動軸は、前記各ドラム軸よりも上方に位置していることが望ましい。
【0037】
ドラムユニット位置決め装置のホルダー部の回動軸は、各ドラム軸が並ぶ方向に平行に位置しているので、ドラムユニット位置決め装置(ホルダー部)の回動時に、位置決め板の各軸受孔への各ドラム軸の嵌め込みを同時に行うことができる。
【0038】
また、ドラムユニット位置決め装置(ホルダー部)の回動軸は、各ドラム軸よりも上方に位置していることから、ドラムユニット位置決め装置は、上記の回動軸を支点として下開きとなる。このように、ドラムユニット位置決め装置の回動支点を、廃棄トナー搬送装置の回動支点と逆にすることにより、互いの回動軸の間が露出するように、ドラムユニット位置決め装置および廃棄トナー搬送装置をそれぞれ回動させる構成とすることができる。これにより、ドラムユニット位置決め装置および廃棄トナー搬送装置の両者を開状態としたときでも、両者が干渉し合うことがなく、各ドラムユニットおよび各現像ユニットの出し入れ空間(出し入れするための開口部)も広く確保することができ、各ドラムユニットおよび各現像ユニットの交換作業もしやすくなる。
【0039】
本発明の画像形成装置は、前記各現像ユニットに対応して設けられ、各トナーカートリッジから前記各現像ユニットにトナーを供給するトナー供給部をさらに備え、前記各トナー供給部は、前記各現像ユニットにおける前記廃棄トナー搬送装置とは反対側の端部に対応して設けられていることが望ましい。
【0040】
各トナー供給部が各現像ユニットにおける廃棄トナー搬送装置側の端部に対応して位置すると、各トナー供給部が廃棄トナー搬送装置と干渉するのを防ぐために、各トナー供給部を複雑な形状で構成せざるを得ず、また、トナーの供給を確実に行うために、各トナー供給部の内部にトナーの送り機構(例えばスクリュー)を設ける必要がある。
【0041】
しかし、各トナー供給部が各現像ユニットにおける廃棄トナー搬送装置とは反対側の端部に対応して位置することにより、各トナー供給部が廃棄トナー搬送装置と干渉することがないので、各トナー供給部を単純な形状(例えば上下に長い筒状部を有する形状)で構成することができる。これにより、各トナー供給部の内部にトナーの送り機構を設けなくても、各トナーカートリッジからのトナーを各現像ユニットに供給することが可能となる。
【0042】
本発明の画像形成装置において、前記各トナー供給部は、各トナーカートリッジから供給されるトナーが自重によって内部を落下する筒状部を有していることが望ましい。
【0043】
この場合、各トナー供給部の内部にトナーの送り機構を設けることなく、各トナーカートリッジから筒状部を介して各現像ユニットにトナーを供給することができ、各トナー供給部の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、廃棄トナー搬送装置をドラムユニット位置決め装置よりもドラム軸方向外側(各ドラムユニットとは反対側)に位置させることにより、廃棄トナー搬送装置によって搬送されて回収容器に回収された廃棄トナーの廃棄作業を行うときに、ドラムユニット位置決め装置を操作しなくても済む。すなわち、ドラムユニット位置決め装置を操作しなくても、回収容器だけを取り出す構成にできる。これにより、廃棄トナーの廃棄作業を効率よく行うことができ、その作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す断面図である。
【図2】上記画像形成装置の画像形成部付近を拡大して示す断面図である。
【図3】(a)および(b)は、上記画像形成装置の他の構成例を示す斜視図であって、(a)は、位置決め装置によるドラムユニットの位置決め前の状態での斜視図であり、(b)はドラムユニットの位置決め後の状態での斜視図である。
【図4】上記位置決め装置による位置決めの対象となるドラムユニットの外観を示す斜視図である。
【図5】上記ドラムユニットと併用される現像ユニットの外観を示す斜視図である。
【図6】上記位置決め装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図7】位置決め完了状態における上記位置決め装置の位置決め板の斜視図である。
【図8】上記位置決め装置のホルダー部のフックの回動軸に挿通された状態での上記位置決め板の斜視図である。
【図9】上記位置決め板の挿通部を拡大して示す斜視図である。
【図10】上記ホルダー部の概略の構成を示す斜視図である。
【図11】(a)および(b)は、上記位置決め装置の断面図であって、(a)は、位置決め完了前の状態での断面図であり、(b)は、位置決め完了状態での断面図である。
【図12】(a)および(b)は、上記位置決め装置の回動によって、上記位置決め板の平板部の軸受孔にドラム軸の先端が接触したときの上記平板部の変位を示す断面図であって、(a)は、上記平板部がコイルバネの付勢方向とは反対方向に移動した場合の断面図であり、(b)は、上記平板部の傾きが変化した場合の断面図である。
【図13】(a)および(b)は、上記位置決め装置の回動によって、装置本体の前側板の穴部に位置決めピンの先端が接触したときの上記平板部の変位を示す断面図であって、(a)は、上記平板部がコイルバネの付勢方向とは反対方向に移動した場合の断面図であり、(b)は、上記平板部の傾きが変化した場合の断面図である。
【図14】上記平板部の軸受孔とドラム軸との接触部を拡大して示す断面図である。
【図15】上記画像形成装置の廃棄トナー搬送装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図16】上記廃棄トナー搬送装置の搬送部の構成を示す斜視図である。
【図17】上記廃棄トナー搬送装置を装置本体に対して回動させる前の斜視図である。
【図18】上記廃棄トナー搬送装置を装置本体に対して回動させたときの斜視図である。
【図19】上記位置決め装置を装置本体に対して回動させたときの斜視図である。
【図20】上記ドラムユニットを装置本体から引き出したときの斜視図である。
【図21】上記画像形成装置の現像ユニット、トナー供給部、トナーカートリッジの位置関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。本発明のドラムユニット位置決め装置について説明する前に、まず、その位置決め装置が適用される画像形成装置について説明する。
【0047】
(1.画像形成装置全体の構成)
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置200の概略の構成を示す断面図である。画像形成装置200は、本実施形態では、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタおよびブラック)に対応する4つの感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dを並行配置して画像形成を行う、4連タンデム型のカラープリンタで構成されている。
【0048】
画像形成装置200の装置本体内には、4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、図1では右側から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの画像を順次形成する。
【0049】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する上記した感光体ドラム1a〜1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において用紙P上に一度に転写され、さらに、定着装置7において用紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0050】
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12aおよびレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。中間転写ベルト8および二次転写ローラ9は、ベルト駆動モータ(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dと同一線速で回転駆動される。また、画像形成部Paから見て中間転写ベルト8の移動方向の上流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのベルトクリーニング装置19が配置されている。
【0051】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a〜1dに対して画像データに基づく露光を行う露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像ユニット3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a〜1d上でトナー像の転写後に残留した現像剤(トナー)を回収、除去するクリーニング装置5a、5b、5cおよび5dとが設けられている。
【0052】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって画像データに基づいて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像ユニット3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラ(現像剤担持体)を備え、それぞれイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像ユニット3a〜3dの現像ローラにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4の露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0053】
そして、一次転写ローラ6a〜6dに所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。一次転写ローラ6a〜6dは、一次転写駆動モータ(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8と同一線速で回転駆動される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置5a〜5dにより除去される。
【0054】
中間転写ベルト8は、従動ローラ10、駆動ローラ11およびテンションローラ20に掛け渡されており、上記ベルト駆動モータによる駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、ニップ部において用紙P上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着装置7へと搬送される。
【0055】
定着装置7に搬送された用紙Pは、定着ローラ対13のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱および加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0056】
一方、用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置7を通過した用紙Pの一部を一旦排出ローラ15から装置外部にまで突出させる。その後、用紙Pは排出ローラ15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着装置7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0057】
画像形成部Pdの下流側で、かつ、二次転写ローラ9の上流側直近には、濃度検知センサ35が配置されている。濃度検知センサ35は、画像形成部Pa〜Pdにおいて中間転写ベルト8上に形成される基準画像に測定光を照射し、基準画像からの反射光量を検出する。検出結果は受光出力信号として制御部(図示せず)に送信される。濃度検知センサ35としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサが用いられる。基準画像の濃度を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上の基準画像に対し順次測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、およびベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
【0058】
トナーの付着量が多い場合には、ベルト表面からの反射光がトナーによって遮光されるので、受光素子の受光量が減少する。一方、トナーの付着量が少ない場合には、逆にベルト表面からの反射光が多くなる結果、受光素子の受光量が増大する。したがって、受光した反射光量に基づく受光信号の出力値により各色の基準画像のトナー付着量(画像濃度)を検知し、予め定められた基準濃度と比較して露光量や現像バイアスの特性値などを調整することにより、各色について濃度補正が行われる。
【0059】
濃度検知センサ35は、測定対象物である基準画像までの距離を厳密に規定しておく必要があるため、図1に示すように、中間転写ベルト8表面までの距離変動の少ない駆動ローラ11に対向するような位置に配置されている。
【0060】
なお、濃度検知センサ35は中間転写ベルト8上の基準画像を検知可能な他の位置に配置しても良いが、例えば二次転写ローラ9よりも下流側に配置した場合、画像形成部Pa〜Pdにより基準画像が形成されてから濃度検知が行われるまでの時間が長くなり、さらに基準画像が二次転写ローラ9と接触することにより基準画像の表面状態が変化するおそれもある。そのため、図1のように中間転写ベルト8の移動方向に対し画像形成部Pdよりも下流側で、かつ、二次転写ローラ9の接触位置よりも上流側に配置することが好ましい。
【0061】
(2.画像形成部の詳細について)
次に、上述した画像形成部Paの詳細について説明する。なお、画像形成部Pb〜Pdについては、基本的に画像形成部Paと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0062】
図2は、図1における画像形成部Pa付近を拡大して示す断面図である。感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図2の反時計回り)に沿って、上述した帯電装置2a、現像ユニット3a、一次転写ローラ6a、クリーニング装置5aが配設されている。このうち、一次転写ローラ6aは、感光体ドラム1aと中間転写ベルト8を挟んで対向する位置に配置されている。
【0063】
また、感光体ドラム1aと、帯電装置2aと、クリーニング装置5aとはユニット化されている。なお、画像形成部Pa〜Pdにおいて、感光体ドラムと、帯電装置と、クリーニング装置とからなるユニットを、以下では、ドラムユニット50a〜50d(図3(a)、図4等参照)と称することとする。
【0064】
さらに、感光体ドラム1aに対して中間転写ベルト8の回転方向上流側には、中間転写ベルト8を挟んで従動ローラ10に対向するブラシローラ19aを備えたベルトクリーニング装置19が配置されている。ブラシローラ19aは、中間転写ベルト8との当接面において中間転写ベルト8の線速よりも速い(ここでは1.2倍)線速で同一方向(順回転)に回転駆動される。
【0065】
帯電装置2aは、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラ21と、帯電ローラ21をクリーニングするための帯電クリーニングローラ23とを有している。現像ユニット3aは、2本の攪拌搬送スクリュー25と、磁気ローラ27と、現像ローラ29とを有するタッチダウン現像式であり、現像ローラ29にトナーの帯電極性と同極性(正)の現像バイアスを印加してドラム表面にトナーを飛翔させる。
【0066】
クリーニング装置5aは、摺擦ローラ(研磨部材)30、クリーニングブレード31、および回収スパイラル33を有している。摺擦ローラ30は、感光体ドラム1aに所定の圧力で圧接されており、カラードラムクリーニングモータ(図示せず)により感光体ドラム1aとの当接面において同一方向に回転駆動されるが、その線速は感光体ドラム1aの線速よりも速く(ここでは1.2倍)制御されている。摺擦ローラ30としては、例えば金属シャフトの周囲にローラ体としてEPDMゴム製でアスカーC硬度で55°の発泡体層を形成した構造が挙げられる。ローラ体の材質としてはEPDMゴムに限定されず、他の材質のゴムや発泡ゴム体であっても良く、アスカーC硬度が10〜90°の範囲のものが好適に使用される。
【0067】
なお、アスカーCとは、日本ゴム協会標準規格に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)の一つで、硬さを測定するための測定器のことである。アスカーC硬度とは、上記の測定器で測定された硬度を指し、数値が大きいほど硬い材料であることを示す。
【0068】
感光体ドラム1a表面の、摺擦ローラ30との当接面よりも回転方向下流側には、クリーニングブレード31が感光体ドラム1aに当接した状態で固定されている。クリーニングブレード31としては、例えばJIS硬度が78°のポリウレタンゴム製のブレードが用いられ、その当接点において感光体接線方向に対し所定の角度で取り付けられている。なお、クリーニングブレード31の材質および硬度、寸法、感光体ドラム1aへの食い込み量および圧接力等は、感光体ドラム1aの仕様に応じて適宜設定される。なお、JIS硬度とは、日本工業規格(JIS;Japanese Industrial Standards )で規定された硬度を指す。
【0069】
摺擦ローラ30およびクリーニングブレード31によって感光体ドラム1a表面から除去された残留トナーは、回収スパイラル33の回転に伴ってクリーニング装置5a(図2参照)の外部に排出される。本発明に用いられるトナーとしては、トナー粒子表面にシリカ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等から選択される研磨剤が埋め込まれて表面に一部突出するように保持されたものや、研磨剤がトナー表面に静電的に付着しているものが用いられる。
【0070】
このように摺擦ローラ30を感光体ドラム1aに対し速度差を持って回転させることで研磨剤を含む残留トナーによって感光体ドラム1aの表面を研磨し、摺擦ローラ30およびクリーニングブレード31によってドラム表面の水分や汚染物質を残留トナーと共に除去する。
【0071】
なお、装置本体内部のレイアウトは、適宜変更可能である。例えば、感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8の回転方向を、本実施形態とは逆にするとともに、ドラムユニット50a〜50dと現像ユニット3a〜3dとの位置関係を、本実施形態とは逆にし、これに合わせて用紙Pの搬送経路を設定することも勿論可能である。
【0072】
例えば、図3(a)(b)は、画像形成装置200の他の構成例を示す斜視図であって、図3(a)は、後述する位置決め装置60によるドラムユニット50a〜50dの位置決め前の状態での斜視図を示し、図3(b)はドラムユニット50a〜50dの位置決め後の状態での斜視図を示している。感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8の回転方向や、用紙Pの搬送経路を適切に設定できるのであれば、図3(a)(b)に示すように、ドラムユニット50a〜50dと現像ユニット3a〜3dとの位置関係を図1とは逆にしたレイアウトも勿論可能である。
【0073】
ここで、後述する位置決め装置60による位置決めの対象となるドラムユニット50a〜50dについて、説明を補足しておく。図4は、位置決め装置60による位置決めの対象となるドラムユニット50aの外観を示す斜視図である。ドラムユニット50aは、上述した感光体ドラム1a、クリーニング装置5a、帯電装置2aのほかに、トナー廃棄口51aを有している。クリーニング装置5aにて回収された廃棄用のトナーは、トナー廃棄口51aから排出され、後述する廃棄トナー搬送装置110(図15参照)を介して回収容器120(図16参照)に搬送される。また、ドラムユニット50b〜50dについても同様に、トナー廃棄口51b〜51dを有しており、クリーニング装置5b〜5dにて回収された廃棄用のトナーが、トナー廃棄口51b〜51dから排出され、廃棄トナー搬送装置110を介して回収容器120に搬送される。
【0074】
また、図5は、上記のドラムユニット50aと併用される現像ユニット3aの外観を示す斜視図である。現像ユニット3aは、上述した2本の攪拌搬送スクリュー25、磁気ローラ27、現像ローラ29を内部に有しているとともに、後述するトナー供給部130a(図21参照)と接続されるトナー供給口40aを有している。このトナー供給口40aを介して対応する色のトナーが現像ユニット3aの内部に供給され、静電潜像の現像に供される。また、現像ユニット3b〜3dについても同様に、トナー供給口40b〜40dをそれぞれ有しており、トナー供給口40a〜40dを介して対応する色のトナーが現像ユニット3b〜3dの内部に供給され、静電潜像の現像に供される。
【0075】
(3.ドラムユニット位置決め装置について)
次に、本発明のドラムユニット位置決め装置について説明する。なお、以下での説明の便宜上、方向を以下のように定義しておく。まず、上記した画像形成装置200において、感光体ドラム1a〜1dのドラム軸が並ぶ方向をX方向とし、各ドラム軸を含む平面に垂直な方向をY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(ドラム軸方向)をZ方向とする。すなわち、図1の画像形成装置200においては、X方向は左右方向に対応し、Y方向は上下方向に対応し、Z方向は前後方向に対応する。なお、X、Y、Zの各方向は、ドラムユニット位置決め装置による位置決めが完了した状態(以下、位置決め完了状態とも称する)での方向を指すものとする。なお、X、Y、Zの各方向の正負の向きは、ここでは問わない。
【0076】
図6は、位置決め装置60の概略の構成を示す斜視図である。位置決め装置60は、感光体ドラム1a〜1dを個々に有するドラムユニット50a〜50dの相互間の位置決めを行うドラムユニット位置決め装置であり、位置決め板70と、ホルダー部80と、コイルバネ90(図8参照)とを有している。以下、各構成の詳細について説明する。
【0077】
(3−1.位置決め板)
図7は、位置決め完了状態における位置決め板70の斜視図であり、図8は、ホルダー部80の後述するフック83の回動軸83aに挿通された状態での位置決め板70の斜視図である。位置決め板70は、平板部71と、挿通部72・72とを有して構成されている。
【0078】
図6に示すように、平板部71は、軸受孔73a、73b、73c、73d、位置決めピン74・74および凹部75a、75b、75c、75dが形成された板状の平板である。軸受孔73a〜73dは、平板部71においてX方向に所定間隔をおいて一列に形成されているとともに、Y方向の中央よりも下側に形成されている。凹部75a〜75dは、平板部71において、軸受孔73a、73b、73c、73dからX方向に沿ってずれた位置に形成されている。ホルダー部80の回動時には、ドラムユニット50a〜50dのトナー廃棄口51a〜51d(図7参照)が平板部71の凹部75a〜75dの内側を通ることになり、トナー廃棄口51a〜51dと平板部71との干渉が避けられる。このように、平板部71は、ホルダー部80の回動時に、ドラムユニット50a〜50dのトナー廃棄口51a〜51dとの接触を回避できる形状で形成されている。
【0079】
位置決めピン74・74は、これらの間に軸受孔73a〜73dおよび凹部75a〜75dが位置するように、平板部71を貫通して平板部71に固定されている。したがって、位置決めピン74・74は、軸受孔73a〜73dとX方向の同一直線上に位置している。このような位置決めピン74・74は、それぞれの後端がプレート74a・74a(図11(a)(b)参照)にかしめられて平板部71に固定されており、各ドラムユニット50a〜50dが装填される装置本体の前側板41に形成された位置決め用の穴部42・42(図3(a)参照)に嵌め込まれることによって、装置本体との位置決めを行う。
【0080】
挿通部72・72は、平板部71のX方向両端部を、前側板41との接触側とは反対側の方向に折り曲げることによって形成されている(図7参照)。したがって、2つの挿通部72・72は、平板部71を介して対向した位置関係にある。
【0081】
挿通部72・72には、挿通口72a・72aがそれぞれ形成されている。ここで、図9は、一方の挿通部72を拡大して示す斜視図である。挿通口72aには、ホルダー部80のフック83の回動軸83aが若干の隙間tを介して挿通される。なお、他方の挿通部72についても同様である。上記の隙間tの平均は、((挿通口72aの内径)−(回動軸83aの外径))/2である。
【0082】
つまり、回動軸83aが挿通口72aに隙間を介して挿通される場合、回動軸83aの外面と挿通口72aの内面との間に均等な隙間tができるわけではなく、回動軸83aが挿通口72aの中心から挿通口72aの半径方向に相対的にずれて位置して挿通口72aの内面と接することにより、挿通部72が回動軸83aに保持される。したがって、上記の隙間tの最小値は0(接点における値)であり、最大値は(挿通口72aの内径)−(回動軸83aの外径)となるため、隙間tの平均は、((挿通口72aの内径)−(回動軸83aの外径))/2となる。
【0083】
このように、挿通口72aの内面と回動軸83aの外面との間に隙間tが存在することにより、位置決め板70(特に平板部71)は、多少の変位が可能な状態でホルダー部80(特に回動軸83a)に保持される。つまり、位置決め板70は、ホルダー部80に完全に固定されるわけではなく、多少のぐらつきが生じるように保持される。なお、平板部71の変位には、平板部71の平行移動も含まれるし、平板部71の傾きの変化も含まれる。
【0084】
なお、挿通部72・72は、平板部71とは別部材で構成されて平板部71のX方向両端部に固着される構成であってもよい。要は、挿通部72・72は、平板部71にX方向両端部でZ方向に立設されていればよい。
【0085】
(3−2.ホルダー部)
次に、ホルダー部80について、図6、図10および図11(a)(b)に基づいて説明する。図10は、ホルダー部80の概略の構成を示す斜視図である。また、図11(a)(b)は、位置決め装置60の概略の構成を示す断面図であり、図11(a)は、位置決め完了前の状態での断面図を示し、図11(b)は、位置決め完了状態での断面図を示している。
【0086】
ホルダー部80は、回動軸80aを中心に位置決め板70を保持しながら回動することにより、位置決め板70の軸受孔73a、73b、73c、73dに対して、ドラム軸1a1、1b1、1c1、1d1を相対的に挿抜させる保持部材である。このホルダー部80は、回動軸80aの両端部と本体81とを連結部82・82で連結して構成されるとともに、フック83・83と、レバー84とを有している。
【0087】
回動軸80aは、ドラムユニット50a〜50dのドラム軸1a1〜1d1が並ぶX方向に平行に位置し、かつ、ドラム軸1a1〜1d1よりも上方に位置するように装置本体に支持される。回動軸80aがドラム軸1a1〜1d1よりも上方に位置することは、図6において、ドラム軸1a1〜1d1が嵌め込まれる軸受孔73a〜73dよりもY方向上側に回動軸80aが位置していることから明らかである。したがって、位置決め装置60は、装置本体の正面に対して下開きとなるように回動軸80aを支点として回動することが可能となる。
【0088】
本体81は、全体としてX方向に長尺状であり、回動軸80aに垂直な断面内での形状が、位置決め完了状態において前側板41に近い側が開口した凹状となっている。上記した位置決め板70の平板部71は、本体81の上記の開口に位置する。ただし、平板部71は、上述したように挿通部72・72を介して回動軸83aに変位可能に保持されており、本体81に固定されているわけではない。本体81は、位置決め完了状態において回動軸80aよりもY方向の下方に位置する。
【0089】
このような本体81は、対向壁部85と、底面部86と、側面部87・87と、上面部88と、フック保護部89・89とを有して構成されている。
【0090】
対向壁部85は、位置決め板70の平板部71と間隙を介して対向する壁部である。この対向壁部85には、平板部71の凹部75a、75b、75c、75dと対応する凹部85a、85b、85c、85dが形成されている。これにより、ホルダー部80の回動時には、ドラムユニット50a〜50dのトナー廃棄口51a〜51dが対向壁部85の凹部85a〜85dの内側を通ることになり、トナー廃棄口51a〜51dと対向壁部85との干渉が避けられる。また、図11(a)(b)に示すように、対向壁部85におけるY方向の長さ(高さ)は、平板部71のY方向の長さ(高さ)よりも短い。さらに、対向壁部85には、位置決め完了状態において、平板部71が当接する当たり部85pが立設されている。
【0091】
底面部86は、対向壁部85のY方向下端部と連結され、本体81の底面を構成する。したがって、底面部86は、対向壁部85と凹部85a〜85d以外の連結部位では平板であるが、凹部85a〜85dとの連結部位では凹部85a〜85dに沿った曲面を有する形状となっている。
【0092】
側面部87・87は、対向壁部85および底面部86とX方向両端でこれらに垂直に連結されている。上面部88は、対向壁部85のY方向上端部と連結されており、対向壁部85側から開口側(平板部71側)に向かうにつれて、底面部86との間隔が階段状または連続的に広がる形状となっている(図11(a)(b)参照)。上記した連結部82・82は、この上面部88のX方向両端にそれぞれ設けられている。
【0093】
フック保護部89・89は、それぞれ、回動軸80aに垂直な面内でフック83・83を覆うように、対向壁部85、側面部87および上面部88のX方向両端に、側面部87からX方向にややはみ出るように設けられており、フック83・83を保護している。ただし、フック保護部89・89は、位置決め完了状態で前側板41に近い側が開口しており、この開口からフック83・83の先端が露出している。
【0094】
フック83・83は、各ドラムユニット50a〜50dが装填される装置本体(前側板41の穴部43・43(図3(a)参照))と係合する係合部材であり、本体81に支持された回動軸83aの両端に設けられており、この回動軸83aを支点として回動する。フック83・83は、図示しないバネにより、装置本体と係合する回動方向に付勢されている。なお、フック83・83の回動軸83aは、ホルダー部80の回動軸80aと平行(位置決め完了状態でX方向)に設けられている。
【0095】
レバー84は、フック83・83の回動軸83aのX方向中央部に固定されており、回動軸83aを支点として装置本体と係合する回動方向とは逆方向にフック83・83を回動させることにより、フック83・83の装置本体との係合を解除する。
【0096】
(3−3.コイルバネ)
次に、コイルバネ90について、図11(a)(b)に基づいて説明する。コイルバネ90は、ホルダー部80の対向壁部85から位置決め板70の平板部71が離れる方向に、平板部71を付勢する付勢部材であり、対向壁部85と平板部71との間に設けられている。特に、コイルバネ90は、ホルダー部80の回動軸80aに垂直な断面内で、平板部71の中央からずれた位置を付勢している。具体的には、例えば図11(b)の位置決め完了状態で言うと、コイルバネ90は、平板部71の中央よりもY方向下側にずれた位置を付勢している。また、コイルバネ90は、2つの位置決めピン74に対応して2つ設けられており(図8参照)、それぞれ、プレート74aとともに位置決めピン74を後端から付勢している。
【0097】
なお、付勢部材は、対向壁部85から平板部71が離れる方向に平板部71を付勢できるのであれば、上記のコイルバネ90に限定されるわけではなく、例えば板バネであってもよいし、ゴム状の弾性体であってもよい。
【0098】
(3−4.位置決め動作について)
次に、位置決め装置60を用いて各ドラムユニット50a〜50dの位置決めを行う動作について説明する。なお、以下では、装置本体に対して位置決め装置60を開く方向、すなわち、各ドラムユニット50a〜50dが露出するように、装置本体に対して位置決め装置60が回動する方向をA方向と称し、その反対方向をB方向と称する(図11(a)参照)。
【0099】
まず、各ドラムユニット50a〜50dの交換前の初期状態、すなわち、各ドラムユニット50a〜50dの装置本体への装填状態では、図7に示したように、各ドラムユニット50a〜50dのドラム軸1a1〜1d1が位置決め装置60の平板部71の軸受孔73a〜73d(図6参照)に嵌め込まれており、各ドラムユニット50a〜50d相互間の位置決めが適切になされている。また、位置決めピン74・74は、装置本体の前側板41の穴部42・42(図3(a)参照)に嵌め込まれており、装置本体に対する位置決め装置60の位置決めも適切になされている。このような初期状態での装置本体に対する位置決め装置60の位置は、先の図3(b)で示した位置決め完了状態での位置と同じである。
【0100】
このとき、平板部71は、図11(b)に示すように、ホルダー部80の対向壁部85に立設された当たり部85pの先端と当接しており、対向壁部85と平板部71との距離が、当たり部85pのZ方向の長さd(mm)に保たれている。なお、平板部71は、コイルバネ90によって対向壁部85から離れる方向に付勢されているが、装置本体の前側板41との接触によって上記付勢方向の移動が規制されている。
【0101】
次に、各ドラムユニット50a〜50dを交換する際には、位置決め装置60による位置決めを解除すべく、使用者は、ホルダー部80のレバー84を操作して、回動軸83aを支点としてフック83・83を回動させ、フック83・83による装置本体(前側板41の穴部43・43)との係合を解除する。これにより、使用者は、ホルダー部80の回動軸80aを支点として位置決め装置60をA方向に回動させて、軸受孔73a〜73dへのドラム軸1a1〜1d1の嵌め込みおよび穴部42・42への位置決めピン74・74の嵌め込みを解除することが可能となる。図3(a)に示すように、使用者は、各ドラムユニット50a〜50dのドラム軸1a1〜1d1側が露出するまで位置決め装置60をA方向に回動させることにより、装置本体から各ドラムユニット50a〜50dを取り出して交換することが可能となる。
【0102】
このとき、平板部71は、コイルバネ90によって対向壁部85から離れる方向に付勢されているが、前側板41との接触が解除され、上記接触による上記付勢方向の移動の規制も解除されるため、図11(a)に示すように、対向壁部85と平板部71との距離がd+α(mm)となり、位置決め完了状態のときよりも上記距離が増大し、平板部71と当たり部85pとの当接も解除される。なお、αは、挿通口72aと回動軸83aとの隙間tの最大(隙間tの平均の2倍)の長さに相当する。
【0103】
各ドラムユニット50a〜50dの交換後は、位置決め装置60をB方向に回動させて各ドラムユニット50a〜50dの位置決めを行う。ここで、図12(a)(b)は、位置決め装置60のB方向への回動によって、平板部71の軸受孔73aにドラム軸1a1の先端が接触した状態を示している。ドラム軸1a1はZ方向に伸びているため、軸受孔73aへのドラム軸1a1への嵌め込み方向もZ方向である。しかし、位置決め装置60の回動方向は、回動軸80aに垂直な断面内で円弧状の軌跡を描くため、厳密には上記の嵌め込み方向とは異なる。したがって、軸受孔73aへのドラム軸1a1の嵌め込み時にこじりが生じやすくなる。
【0104】
しかし、平板部71は、隙間tの存在によって変位可能な状態で挿通部72・72を介してホルダー部80(回動軸83a)に保持されているので、軸受孔73aとドラム軸1a1との接触時に、図12(a)に示すように、コイルバネ90の付勢に抗して、平板部71が上記付勢方向とは反対方向に移動したり(対向壁部85に相対的に近づいたり)、図12(b)に示すように、平板部71自身が回動して付勢方向に対する平板部71の傾きが変化する。このような平板部71の動き、すなわち、対向壁部85に対する平板部71の相対的でかつ連続的な位置変化により、軸受孔73aとドラム軸1a1との接触時の摩擦抵抗や応力が軽減され、軸受孔73aにドラム軸1a1を嵌め込むことが容易となる。なお、軸受孔73b〜73dへのドラム軸1b1〜1d1の嵌め込みについても、上記と同様である。
【0105】
また、図13(a)(b)は、位置決め装置60のB方向の回動によって、前側板41の穴部42に位置決めピン74の先端が接触した状態を示している。穴部42への位置決めピン74の嵌め込みについても上記と同様である。すなわち、位置決めピン74と穴部42との接触時に、図13(a)に示すように、コイルバネ90の付勢に抗して、平板部71が上記付勢方向とは反対方向に移動したり(対向壁部85に相対的に近づいたり)、図13(b)に示すように、平板部71自身が回動して付勢方向に対する平板部71の傾きが変化することにより、穴部42と位置決めピン74との接触時の摩擦抵抗や応力が軽減され、穴部42に位置決めピン74を嵌め込むことが容易となる。
【0106】
このようにして、軸受孔73a〜73dへのドラム軸1a1〜1d1の嵌め込み、および穴部42・42への位置決めピン74・74の嵌め込みが完了すると、図11(b)に示すように、当たり部85pの先端が平板部71に当接し、位置決めが完了する。このとき、フック83・83の先端が前側板41の穴部43・43に嵌って係合し、位置決め装置60が装置本体に完全に固定される。
【0107】
以上のように、本実施形態の位置決め装置60によれば、ホルダー部80の回動軸80aを装置本体側で支持しておけば、回動前後のいずれにおいても、位置決め装置60は装置本体側に残り、装置本体から完全に分離されることはない。これにより、装置本体に近い位置で位置決め板70の取り付け/取り外し作業を行うことができる。また、位置決め装置60は回動軸80aを支点として同一軌跡で回動を繰り返すので、各ドラムユニット50a〜50dの交換ごとに、位置決め装置60の回動によって位置決め板70を正規の位置に確実に取り付けることができ、上記交換ごとに位置決め板70の取り付け位置を手感覚で探す必要もない。したがって、各ドラムユニット50a〜50dの交換時における位置決め板70の取り付け/取り外しの作業をスムーズに行うことができ、各ドラムユニット50a〜50dの交換時の作業性を格段に向上させることができる。
【0108】
また、位置決め装置60のホルダー部80は、回動による軸受孔73a〜73dへのドラム軸1a1〜1d1の嵌め込み時に、軸受孔73a〜73dとドラム軸1a1〜1d1との接触により、コイルバネ90による付勢に抗して対向壁部85に対する平板部71の位置が相対的に変化するように、位置決め板70を保持している。これにより、上記接触時の摩擦抵抗や応力を、対向壁部85に対する平板部71の相対的でかつ連続的な位置変化によって軽減することができ、これによって両部材のこじりを軽減することができる。したがって、ホルダー部80を回動させる構成であっても、軸受孔73a〜73dへのドラム軸1a1〜1d1の嵌め込みをスムーズに行うことができる。しかも、コイルバネ90を用いた簡単な構成でこじりを軽減することができるので、ホルダー部80の回動によって位置決め板70の取り付け/取り外しを行う構成を容易に実現することができる。
【0109】
また、レバー84を用いた簡単な操作によってホルダー部80を回動させ、位置決め板70の取り付け/取り外しを行うことができるので、各ドラムユニット50a〜50dの交換時の作業性がさらに向上する。
【0110】
また、位置決め板70の挿通部72の挿通口72aと回動軸83aとの間に隙間tが形成されているので、この隙間tの分だけ、平板部71は対向壁部85に対して相対的に変位可能(平行移動可能および回動可能)に支持される。これにより、平板部71の位置変化によって軸受孔73a〜73dとドラム軸1a1〜1d1とのこじりを確実に軽減しながら、軸受孔73a〜73dに対してドラム軸1a1〜1d1を確実にスムーズに嵌め込むことができる。
【0111】
また、上記のコイルバネ90は、ホルダー部80の回動軸80aに垂直な断面内で平板部71の中央からずれた位置を付勢している(図11(a)(b)参照)。これにより、上記断面内で平板部71に若干の反りを与えることができる。ここで、図14は、平板部71の軸受孔73aとドラム軸1a1との接触部を拡大して示す断面図である。同図に示すように、位置決め完了状態において、軸受孔73aとドラム軸1a1との間にわずかの隙間があっても、平板部71の上記の反りにより、軸受孔73aとドラム軸1a1とが確実に線接触または面接触することとなる。なお、軸受孔73b〜73dとドラム軸1b1〜1d1との接触部についても同様である。その結果、位置決め完了状態におけるドラム軸1a1〜1d1のがたつきを防止することができるとともに、ドラム軸1a1〜1d1と位置決め板70とをアースする際の電気的な導通を安定させることができる。
【0112】
また、上記のコイルバネ90は、位置決めピン74を後端から付勢しているので、コイルバネ90の付勢力を位置決めピン74に効率よく与えることができる。これにより、ホルダー部80を回動させる構成であっても、装置本体の前側板41の穴部42への位置決めピン74の嵌め込みを、両者のこじりを抑えながらスムーズに行うことができ、位置決め板70の位置決めをスムーズに行うことができる。
【0113】
また、位置決め板70において、軸受孔73a〜73dおよび位置決めピン74・74は、X方向に同一直線上に位置しているので、ホルダー部80の回動によって、軸受孔73a〜73dへのドラム軸1a1〜1d1の嵌め込みと、穴部42・42への位置決めピン74・74の嵌め込みとを同時に行うことができる。しかも、嵌め込み時におけるコイルバネ90の付勢に抗した平板部71の位置の変化が、それぞれの嵌め込み部分に対して同じように作用するので、それぞれの嵌め込みを全て同時にスムーズに行うことができる。
【0114】
(4.廃棄トナー搬送装置)
次に、画像形成装置200が備える廃棄トナー搬送装置について説明する。図15は、廃棄トナー搬送装置110の概略の構成を示す斜視図である。廃棄トナー搬送装置110は、各ドラムユニット50a〜50dのトナー廃棄口51a〜51d(図7参照)と着脱され、各クリーニング装置(図1のクリーニング装置5a〜5dに対応)で回収されてトナー廃棄口51a〜51dから排出されるトナーを回収容器120(図16参照)に搬送する装置である。この廃棄トナー搬送装置110は、回動軸110aと、接続口111a〜111dと、搬送部112(図16参照)と、凸部113と、フック114・114と、レバー115とを有している。
【0115】
回動軸110aは、ドラムユニット50a〜50dのトナー廃棄口51a〜51dが並ぶX方向に平行に位置するように装置本体に支持されている。この回動軸110aは、接続口111a〜111dよりもY方向下側に位置しており、それゆえ、接続口111a〜111dと接続されるトナー廃棄口51a〜51dよりもY方向下側に位置している。このように回動軸110aが位置していることにより、廃棄トナー搬送装置110は、装置本体の正面に対して上開きとなるように回動軸110aを支点として回動することが可能となる。
【0116】
接続口111a〜111dは、各ドラムユニット50a〜50dのトナー廃棄口51a〜51dと着脱される部分である。ここで、図16は、搬送部112の斜視図である。なお、図16では、便宜上、ドラムユニット50a〜50dのうち、ドラムユニット50dのみを図示している。トナー廃棄口51a〜51dから上記の接続口111a〜111dを介して内部に搬送された廃棄用のトナーは、搬送部112によってX方向に沿って搬送され、排出口112a(図15参照)を介して回収容器120に排出される。
【0117】
凸部113は、装置本体の前側板41の穴部44(図18参照)に嵌め込まれ、装置本体に対する廃棄トナー搬送装置110の位置決めを行う。図15に示すように、接続口111a〜111dおよび凸部113は、X方向に同一直線上に位置している。
【0118】
フック114・114は、装置本体の前側板41の穴部45・45(図18参照)と係合する係合部材であり、廃棄トナー搬送装置110の側面部を貫通する回動軸114aの両端に設けられており、この回動軸114aを支点として回動する。フック114・114は、図示しないバネにより、装置本体と係合する回動方向に付勢されている。なお、フック114・114の回動軸114aは、廃棄トナー搬送装置110の回動軸110aと平行に設けられているとともに、回動軸110aよりもY方向上方に設けられている。
【0119】
レバー115は、フック114・114と連動するように設けられており、レバー115を引くと、回動軸114aを支点として、装置本体と係合する回動方向とは逆方向にフック114・114が回動する。これにより、フック114・114による装置本体との係合が解除され、廃棄トナー搬送装置110を回動させることができる。
【0120】
上述した構成の廃棄トナー搬送装置110は、位置決め装置60に対して、各ドラムユニット50a〜50dとは反対側に設けられている。すなわち、各ドラムユニット50a〜50dのZ方向外側(正面側)に位置決め装置60が位置し、さらにそのZ方向外側(正面側)に廃棄トナー搬送装置110が位置している。したがって、廃棄トナー搬送装置110を先に回動させて開かなければ、次に位置決め装置60を回動させて開くことができず、逆に、位置決め装置60を先に回動させて閉じなければ、廃棄トナー搬送装置110を回動させて閉じることができない構成となっている。
【0121】
次に、廃棄トナー搬送装置110の操作も含めた、各ドラムユニット50a〜50dの交換作業の手順について説明する。図17は、装置本体に対する廃棄トナー搬送装置110の初期状態での位置を示す斜視図である。各ドラムユニット50a〜50dを交換する際には、まず、装置本体の図示しないフロントカバーを開いた後、廃棄トナー搬送装置110のレバー115を引いてフック114・114による装置本体との係合を解除し、回動軸110aを支点として廃棄トナー搬送装置110を回動させる。このとき、回動軸110aとトナー廃棄口51a〜51dとの上述した位置関係から、図18に示すように、廃棄トナー搬送装置110は装置本体の正面に対して上開きとなって回動する。
【0122】
廃棄トナー搬送装置110を回動させると、それよりも内側の位置決め装置60が露出する。したがって、位置決め装置60を回動させることが可能となり、上述した手法によって位置決め装置60を回動させる。このとき、回動軸80aとドラム軸1a1〜1d1との上述した位置関係から、図19に示すように、位置決め装置60は装置本体の正面に対して下開きとなって回動する。これにより、ドラムユニット50a〜50dの位置決めが解除されるので、図20に示すように、例えばドラムユニット50aを取り出して交換することが可能となる。なお、現像ユニット3a〜3dについても図20の状態で交換することが可能となる。交換後は、上記と逆の手順によって通常の状態に戻すことができる。
【0123】
以上のように、画像形成装置200において、廃棄トナー搬送装置110は、位置決め装置60に対して、各ドラムユニット50a〜50dとは反対側に設けられている。このように、廃棄トナー搬送装置110を位置決め装置60よりもドラム軸方向外側に位置させることにより、廃棄トナー搬送装置110によって搬送されて回収容器120に溜まった廃棄用のトナーを捨てるべく、回収容器120を装置本体から取り外す場合に、位置決め装置60を操作しなくて済む。つまり、位置決め装置60を開かなくても、例えば図17の状態で回収容器120を装置本体から取り外す構成にできる。これにより、廃棄トナーの廃棄作業を効率よく行うことができ、その作業性を向上させることができる。特に、廃棄トナーの廃棄作業は、例えば、トナーカートリッジの交換と同時に行われることが多く、その頻度は、ドラムユニット50a〜50dの交換頻度よりも格段に高いので、上記の効果は非常に高いものとなる。
【0124】
また、位置決め装置60は、廃棄トナー搬送装置110よりも内側(各ドラムユニット側)に配置されるので、各ドラムユニット50a〜50dにおいて各ドラム軸1a1〜1d1が長くなることによる撓みを少しでも軽減することができる。
【0125】
また、廃棄トナー搬送装置110の回動軸110aは、各トナー廃棄口51a〜51dが並ぶX方向と平行に位置しているので、回動する廃棄トナー搬送装置110とトナー廃棄口51a〜51dとの着脱を、全てのトナー廃棄口51a〜51dについて同時に行うことができる。さらに、回動軸110aは各トナー廃棄口51a〜51dよりも下方に位置しており、廃棄トナー搬送装置110は回動軸110aを支点として上開きとなるので、廃棄トナー搬送装置110を開状態としたときに、各トナー廃棄口51a〜51dから画像形成装置200の設置面に向かって落下する廃棄トナーを、廃棄トナー搬送装置110で受け止めることができ、設置面が廃棄トナーで汚れるのを防止することができる。
【0126】
また、位置決め装置60の回動軸80aは、各ドラムユニット50a〜50dの各ドラム軸1a1〜1d1よりも上方に位置しており、位置決め装置60は回動軸80aを支点として下開きである。このように廃棄トナー搬送装置110と位置決め装置60とで、装置本体に対して開く方向を逆にすることにより、本実施形態のように、廃棄トナー搬送装置110については位置決め装置60の回動軸80a側を開き、位置決め装置60については廃棄トナー搬送装置110の回動軸110a側を開く構成にできる。つまり、互いの回動軸110aと回動軸80aとの間が露出するように、廃棄トナー搬送装置110および位置決め装置60を回動させる構成にできる。この場合、廃棄トナー搬送装置110および位置決め装置60を両方とも開状態としたときでも、両者が干渉し合うことがなく、また、各ドラムユニット50a〜50dおよび各現像ユニット3a〜3dの出し入れ空間も広く確保することができる。その結果、各ドラムユニット50a〜50dおよび各現像ユニット3a〜3dの交換作業もしやすくなる。
【0127】
(5.トナー供給部について)
ところで、画像形成装置200においては、トナーカートリッジから現像ユニット3a〜3dにトナーを供給するトナー供給部が設けられている。本実施形態では、上述のように、廃棄トナー搬送装置110を装置本体の正面側に位置させているが、これと同様にトナー供給部を装置本体の正面側に位置させると、トナー供給部が廃棄トナー搬送装置110と干渉するのを防ぐために、トナー供給部を複雑な形状で構成せざるを得ず、また、トナーの供給を確実に行うために、トナー供給部の内部にトナーの送り機構(例えばスクリュー)を設ける必要がある。したがって、トナー供給部の構成、装置の設計が複雑になる。そこで、本実施形態では、トナー供給部を装置本体後方側に位置させることで、上記の不都合を回避している。以下、トナー供給部の配置位置の詳細について説明する。
【0128】
図21は、現像ユニット3a、トナー供給部130a、トナーカートリッジ140aの位置関係を示す斜視図である。なお、現像ユニット3b〜3d、トナー供給部130b〜130d、トナーカートリッジ140b〜140dの位置関係についても同様である。各トナーカートリッジ140a〜140dと各現像ユニット3a〜3dとの間には、上述した中間転写ベルト8(図1参照)が位置する。
【0129】
トナー供給部130a〜130dは、現像ユニット3a〜3dに対応して設けられており、各トナーカートリッジ140a〜140dから各現像ユニット3a〜3dに所定の色のトナーを供給する。各トナー供給部130a〜130dは、各現像ユニット3a〜3dにおける廃棄トナー搬送装置110とは反対側の端部に対応して設けられている。したがって、各トナー供給部130a〜130dは、Z方向において、中間転写ベルト8(図1参照)に対して廃棄トナー搬送装置110とは反対側に位置する。なお、各トナー供給部130a〜130dのトナー排出側は、現像ユニット3a〜3dのトナー供給口40a〜40d(図5参照)と連結されている。
【0130】
このように、各トナー供給部130a〜130dを位置させることにより、各トナー供給部130a〜130dが廃棄トナー搬送装置110と干渉することがなくなり、各トナー供給部130a〜130dを単純な形状で構成することが可能となる。例えば、本実施形態では、各トナー供給部130a〜130dは、筒状部131a〜131dを有して構成されている。筒状部131a〜131dは、各トナーカートリッジ140a〜140dから供給されるトナーが自重によって内部を落下するように、上下方向にストレートに伸びた筒状の供給部であり、その設計は比較的簡単である。
【0131】
このように筒状部131a〜131dを有する簡単な形状で各トナー供給部130a〜130dを形成できるので、各トナー供給部130a〜130dの内部にトナーの送り機構を設けなくても、各トナーカートリッジ140a〜140dからのトナーを各現像ユニット3a〜3dに供給することが可能となる。
【0132】
特に、各トナー供給部130a〜130dが上述した筒状部131a〜131dを有していることにより、筒状部131a〜131dの内部でのトナーの自由落下を利用して、トナーを各現像ユニット3a〜3dに供給することができるので、各トナー供給部130a〜130dの構成を簡素化することができる。
【0133】
本発明は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、本発明は、図1に示したようなカラープリンタ以外にも、複写機、ファクシミリ、複合機(コピー、ファクシミリ、スキャナ、プリンタ等の諸機能を併せ持つもので、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ばれる)などの他の画像形成装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、電子写真プロセスを用いてカラー画像の形成を行う4連タンデム型の画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0135】
1a〜1d 感光体ドラム
1a1〜1d1 ドラム軸
3a〜3d 現像ユニット
5a〜5d クリーニング装置
42 穴部
50a〜50d ドラムユニット
51a〜51d トナー廃棄口
60 位置決め装置(ドラムユニット位置決め装置)
70 位置決め板
71 平板部
72 挿通部
72a 挿通口
73a〜73d 軸受孔
74 位置決めピン
80 ホルダー部
80a 回動軸
83 フック
83a 回動軸
84 レバー
85 対向壁部
90 コイルバネ(付勢部材)
110 廃棄トナー搬送装置
110a 回動軸
120 回収容器
130a〜130d トナー供給部
131a〜131d 筒状部
140a〜140d トナーカートリッジ
200 画像形成装置
Pa〜Pd 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる4色に対応する感光体ドラムを個々に有するドラムユニットと、
前記各ドラムユニット相互間の位置決めを行うドラムユニット位置決め装置とを備えた画像形成装置であって、
前記各ドラムユニットに対応して設けられ、前記各感光体ドラム上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像ユニットをさらに備え、
前記各ドラムユニットは、装置本体に対して、前記各感光体ドラムのドラム軸方向に着脱可能に設けられており、
前記ドラムユニット位置決め装置は、装置本体に対して回動可能に設けられており、
前記各ドラムユニットは、前記各感光体ドラム上でトナー像の転写後に残留するトナーを回収するクリーニング装置をそれぞれ有しており、
該画像形成装置は、
前記各ドラムユニットのトナー廃棄口と着脱され、前記各クリーニング装置で回収されて前記トナー廃棄口から排出される前記トナーを回収容器に搬送する廃棄トナー搬送装置をさらに備え、
前記廃棄トナー搬送装置は、装置本体に対して回動可能に設けられているとともに、前記ドラムユニット位置決め装置よりも、前記各感光体ドラムのドラム軸方向外側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記廃棄トナー搬送装置の回動軸は、前記各ドラムユニットの前記各トナー廃棄口が並ぶ方向に平行に位置しており、かつ、前記各ドラムユニットの各トナー廃棄口よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ドラムユニット位置決め装置の回動軸は、前記各ドラムユニットの各ドラム軸が並ぶ方向に平行に位置しており、かつ、前記各ドラム軸よりも上方に位置していることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記各現像ユニットに対応して設けられ、各トナーカートリッジから前記各現像ユニットにトナーを供給するトナー供給部をさらに備え、
前記各トナー供給部は、前記各現像ユニットにおける前記廃棄トナー搬送装置とは反対側の端部に対応して設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記各トナー供給部は、各トナーカートリッジから供給されるトナーが自重によって内部を落下する筒状部を有していることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−29869(P2013−29869A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−245773(P2012−245773)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【分割の表示】特願2010−15067(P2010−15067)の分割
【原出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】