画像表示装置およびその製造方法
【課題】樹脂基板あるいは樹脂層上に無機膜を形成する場合において、前記無機膜にクラックあるいはしわの発生を回避させ、これによりTFT回路層を信頼性よく形成できる画像表示装置の製造方法の提供。
【解決手段】樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置の製造方法にあって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜を形成する工程を備え、
前記無機膜は、室温から前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以下の温度で形成し、
前記TFT回路層は、前記樹脂基板のガラス転移点(Tg)以上の温度で形成する。
【解決手段】樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置の製造方法にあって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜を形成する工程を備え、
前記無機膜は、室温から前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以下の温度で形成し、
前記TFT回路層は、前記樹脂基板のガラス転移点(Tg)以上の温度で形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置およびその製造方法に係り、特に、基板がフレキシブルな樹脂基板によって構成される画像表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像表示装置は、その基板がたとえばガラスで形成されたものと比較して、軽量、耐衝撃性、および可とう性に優れたものとして構成される。
【0003】
たとえば液晶表示装置の場合、液晶を挟持した一対の基板を有し、これらの基板を樹脂基板で構成するようにしている。この場合、一方の樹脂基板の液晶側の面には、パターン化された導電膜、半導体膜、絶縁膜等を所定の順序で積層させ、これにより、ゲート信号線、ドレイン信号線、薄膜トランジスタ、画素電極等を形成するようになっている。なお、この明細書では、前記積層体をTFT回路層と称する場合がある。
【0004】
そして、このような構成からなる画像表示装置において、樹脂基板とTFT回路層との間にバッファ層が形成されたものが知られている。画像表示装置の形成において、最初にガラス基板を仮基板として用いる転写方式において、ガラス基板内の不純物をTFT回路層に侵入するのを回避するために前記バッファ層が用いられるようになっている。また、画像表示装置の形成において、樹脂基板上に直接にTFT回路層を形成する直接形成方式において、樹脂基板とTFT回路層の最下層にある金属層(たとえばゲート信号線)との密着性を向上させるために前記バッファ層が用いられるようになっている。このバッファ層としてはたとえばシリコン窒化膜等の緻密な膜が用いられる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−254541号公報参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、樹脂基板あるいは樹脂層の上面にバッファ層を形成した段階で、前記バッファ層にクラックやしわが発生してしまうことが確認された。
【0007】
本発明者等は、この原因を究明した結果、次のことが判明した。すなわち、これまで、バッファ層を形成する際の温度は、樹脂基板のガラス転移点(Tg)以上の温度になっていた。樹脂基板がガラス転移点(Tg)以下では樹脂基板の機械的強度が高いために、その上面に形成されている前記バッファ層が応力を持っていても前記バッファ層の変形が抑制されている。しかし、樹脂基板がTgを超えてゴム状態となり軟化すると、樹脂基板の機械的強度が低下し、前記バッファ層の応力を解放するように変形が起きる。前記応力が引っ張り応力の場合、前記バッファ層は収縮方向に力が働くため、樹脂基板が前記バッファ層の収縮に追従できず前記バッファ層にクラックが発生する。一方、前記応力が圧縮応力の場合、前記バッファ層は膨張する方向に力が働くため、樹脂基板の軟化に伴い前記バッファ層にしわが発生するようになる。
【0008】
本発明の目的は、樹脂基板あるいは樹脂層上に、クラックあるいはしわの発生が抑制された無機膜が形成され、これによりTFT回路層が信頼性よく形成されている画像表示装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、樹脂基板あるいは樹脂層上に無機膜を形成する場合において、前記無機膜にクラックあるいはしわの発生を回避させ、これによりTFT回路層を信頼性よく形成できる画像表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像表示装置の製造方法は、樹脂基板あるいは樹脂層上に無機膜を形成する場合において、前記無機膜を前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以下の温度で形成するようにしたものである。さらに、前記無機膜の応力を前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)においてほぼ0となるように構成したものである。
【0011】
本発明の構成は、たとえば、以下のようなものとすることができる。
【0012】
(1)本発明は、樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置であって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜が形成され、
前記無機膜の応力が、前記基板のガラス転移点(Tg)において、−300MPa以上、200MPa以下であり、室温において、−400MPa以上、50MPa以下であることを特徴とする。
【0013】
(2)本発明は、樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置の製造方法にあって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜を形成する工程を備え、
前記無機膜は、室温から前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以下の温度で形成し、
前記TFT回路層は、前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以上の温度で形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【0014】
なお、上記した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、上記した構成以外の本発明の構成の例は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成された画像表示装置は、樹脂基板あるいは樹脂層上に、クラックあるいはしわの発生が抑制された無機膜が形成され、これによりTFT回路層が信頼性よく形成されるようになる。
【0016】
また、このように構成された画像表示装置の製造方法は、樹脂基板あるいは樹脂層上に無機膜を形成する場合において、前記無機膜にクラックあるいはしわの発生を回避させ、これによりTFT回路層を信頼性よく形成できるようになる。
【0017】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の表示装置に形成される無機膜の特性を説明するグラフである。
【図2】本発明の表示装置の実施例1を示す要部断面図である。
【図3】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図4ないし図8とともに一連の工程を示す図である。
【図4】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3、図5ないし図8とともに一連の工程を示す図である。
【図5】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3、図4、図6ないし図8とともに一連の工程を示す図である。
【図6】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3ないし図5、図7、図8とともに一連の工程を示す図である。
【図7】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3ないし図6、図8とともに一連の工程を示す図である。
【図8】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3ないし図7とともに一連の工程を示す図である。
【図9】本発明の表示装置の製造方法の他の実施例を示す図で、図10とともに一連の工程を示す図である。
【図10】本発明の表示装置の製造方法の他の実施例を示す図で、図9とともに一連の工程を示す図である。
【図11】樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点を定義を示すグラフである。
【図12】無機膜を形成する装置してたとえば誘導結合型プラズマCVD装置を示した図である。
【図13】無機膜の形成において樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点との関係を示すグラフである。
【図14】無機膜の組成と当該無機膜の室温における形成による圧力との関係を示すグラフである。
【図15】液晶表示装置の全体的な概略を示す構成図である。
【図16】本発明の適用の一例を示した図である。
【図17】本発明の適用の他の例を示した図である。
【図18】本発明の適用の他の例を示した図である。
【図19】本発明の適用の他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。なお、各図および各実施例において、同一または類似の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【実施例1】
【0020】
〈要部の構成〉
図2は、本発明の表示装置の実施例1を示す要部断面図である。図2は、たとえば液晶表示装置の液晶を挟持して対向される一対の基板のうち薄膜トランジスタTFTが形成されている側の基板(図中符号SUB1で示す)を示し、前記薄膜トランジスタTFTを含む面における断面をとった図となっている。
【0021】
図1において、まず、基板SUB1がある。この基板SUB1は樹脂材(プラスチック)によって構成されている。図示していないが、この基板SUB1と液晶を挟持して対向配置される他方の基板SUB2(図15参照)もたとえば樹脂材(プラスチック)によって構成され、本実施例の液晶表示装置はいわゆるフレキシブル表示装置となっている。
【0022】
基板SUB1の液晶側の面には、無機膜IOLが形成されている。この無機膜IOLは、たとえば、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等によって形成されている。しかし、これらの膜に限定されることはなく、金属膜、半金属膜、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜等をも適用することができる。そして、このような無機膜IOLは、この上方の面にTFT回路層TCLを信頼性よく形成するために設けられ、この無機膜IOLにおいてクラックあるいはしわ等が形成されていないものとなっている。この無機膜IOLは、その応力が、基板SUB1のガラス転移点Tgにおいて−300MPa以上で200MPa以下となっており、室温(20℃〜80℃)において−400MPa以上で50MPa以下となっている。この無機膜IOLについては後においてさらに詳述する。
【0023】
無機膜IOLの上面には、たとえばシリコン窒化膜からなるバッファ層BFLが形成され、このバッファ層BFLの上面には前記TFT回路層TCLが形成されている。バッファ層BFLは、たとえば、基板SUB1と後述のゲート信号線(ゲート電極GT)との密着性を向上させるために設けられ、緻密な層として構成されている。TFT回路層TCLは、図2に示す薄膜トランジスタTFTの他に、前記薄膜トランジスタTFTを駆動させるゲート電極と接続されるゲート信号線、前記薄膜トランジスタTFTのドレイン電極に接続されるドレイン信号線、前記薄膜トランジスタTFTのソース電極に接続される画素電極等を備えたものとなっている。そして、これら薄膜トランジスタTFT、各信号線、電極は、パターン化された導電膜、半導体膜、絶縁膜が所定の順序で積層されて構成されたものとなっている。すなわち、図2に示す薄膜トランジスタTFTは、前記バッファ層BFLに形成されたゲート電極GT、このゲート電極GTをも被って形成されたゲート絶縁膜GI、このゲート絶縁膜GIの上面であって前記ゲート電極GTと重なりを有して形成されたたとえばアモルファスシリコン等の半導体層AS、この半導体層ASの上面に互いに対向配置されたドレイン電極DT、およびソース電極STによって形成されている。なお、ドレイン電極DTと半導体層ASとの間、およびソース電極STと半導体層ASとの間には、たとえばn型の高濃度のアモルファスシリコンからなるコンタクト層CNが形成され、薄膜トランジスタTFTは、たとえばシリコン窒化膜からなる保護膜PASによって被われている。また、図2に示す薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極GTが半導体層ASよりも下層に位置づけられるボトムゲート型と称されるものであるが、これに限定されることはなく、ゲート電極GTが半導体層ASよりも上層に位置づけられるトップゲート型であってもよい。
【0024】
〈製造方法I〉
次に、本発明による画像表示装置の製造方法を、図2に対応づけて示した図によって説明する。本発明の画像表示装置の製造は、概略、図3ないし図8に示す転写方式、図9および図10に示す直接形成方式の2種がある。本発明はいずれの方式においても適用できる。
【0025】
まず、転写方式について、以下説明をする。
【0026】
工程1.(図3)
ガラスからなる仮基板TSBを用意し、この仮基板TSBの表面に樹脂からなる剥離膜STLを形成する。この剥離膜STLは、後の工程において、この剥離膜STLの上面に形成されるTFT回路層TCLと仮基板TSBとを剥離させるために必要となる膜となる。樹脂からなる剥離膜STLは後述の樹脂基板SUB1と接着され、樹脂基板SUB1の一部として構成されるようになる。
【0027】
工程2.(図4)
剥離膜の上面に無機膜IOLを形成する。この無機膜IOLは、たとえば、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属膜、半金属膜、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜等によって形成されるようになっている。そして、この無機膜IOLは、たとえば25℃の室温から前記剥離膜STLのガラス転移点(Tg)以下の範囲の温度で形成するようになっている。これにより、無機膜IOLはクラックあるいはしわの発生していない膜として形成されるようになっている。この無機膜IOLについては後述する。
【0028】
さらに、無機膜IOLの上面には、バッファ層BFLを形成する。このバッファ層BFLは、たとえば、仮基板TSB内の不純物が後述のTFT回路層TCLに侵入するのを回避させために設けられ、たとえば緻密なシリコン窒化膜によって形成されるようになっている。この場合、前記無機膜IOLの存在によって、バッファ膜BFLにはクラックあるいはしわが生ずることなく形成されるようになる。
【0029】
工程3.(図5)
バッファ層BFLの上面にTFT回路層TCLを形成する。このTFT回路層TCLは、たとえば、ゲート電極GT、ゲート絶縁膜GI、半導体層AS、コンタクト層CN、ドレイン電極DTおよびソース電極ST、保護膜PASを順次形成することによって形成される。ゲート電極GTは図示しないゲート信号線の一部として形成され、ドレイン電極は図示しないドレイン信号線に接続され、ソース電極は図示しない画素電極と接続されるようになっている。なお、このTFT回路層TCLの形成において、剥離層STLのガラス転移点(Tg)以上のプロセス温度で行うことができ、TFT回路層TCLの信頼性を確保することができる。
【0030】
工程4.(図6)
仮基板TSBのTFT回路層TCLが形成された側と反対側の面から、UVレーザ光あるいはUVランプ光(図中矢印で示す)を照射する。
【0031】
工程5.(図7)
UVレーザ光あるいはUVランプ光は仮基板TSBを通して剥離膜STLに入射され、ことにより、剥離膜STLに材質変化が生じ、仮基板TSBは剥離膜STLから剥離されるようになる。
【0032】
工程6:(図8)
仮基板TSBが剥離された剥離膜STLの面には、新たに用意した樹脂材からなる樹脂基板SUB1を接着させる。これにより、樹脂基板SUB1を備えるTFT基板を得ることができる。この場合、前記樹脂基板SUB1は、剥離膜STLとともに樹脂材からなる基板として把握することができる。
【0033】
次に、直接形成方式について、以下説明する。
【0034】
工程1.(図9)
樹脂基板SUB1を用意する。樹脂基板SUB1の上面に無機膜IOLを形成する。この無機膜IOLは、たとえば、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属膜、半金属膜、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜等によって形成されるようになっている。そして、この無機膜IOLは、たとえば25℃の室温から前記剥離膜STLのガラス転移点(Tg)以下の範囲の温度で形成するようになっている。この無機膜IOLについては後述する。
【0035】
さらに、無機膜IOLの上面には、バッファ層BFLを形成する。このバッファ層BFLは、たとえば、樹脂基板SUB1とこの樹脂基板SUB1の上面に形成されるTFT回路層TCLのうち最下層にある金属層(たとえばゲート信号線)との密着性を向上させるために形成され、たとえば緻密なシリコン窒化膜によって形成されるようになっている。この場合、前記無機膜IOLの存在によって、バッファ層BFLにはクラックあるいはしわが生ずることなく形成されるようになる。
【0036】
工程2.(図10)
バッファ層BFLの上面にTFT回路層TCLを形成する。このTFT回路層TCLは、たとえば、ゲート電極GT、ゲート絶縁膜GI、半導体層AS、コンタクト層CN、ドレイン電極DTおよびソース電極ST、保護膜PASを順次形成することによって形成される。ゲート電極GTは図示しないゲート信号線の一部として形成され、ドレイン電極は図示しないドレイン信号線に接続され、ソース電極は図示しない画素電極と接続されるようになっている。なお、このTFT回路層TCLの形成において、剥離層STLのガラス転移点(Tg)以上のプロセス温度で行うことができ、TFT回路層TCLの信頼性を確保することができる。
【0037】
〈無機材IOL〉
図2、図3ないし図8、図9および図10にそれぞれ示した無機材IOLについて、以下、説明する。
【0038】
ここで、無機材IOLの説明に先立ち、無機材IOLを形成する樹脂基板あるいは樹脂層におけるガラス転移点(Tg)について図11を用いて説明する。図11は、樹脂基板あるいは樹脂層における温度(℃)と応力(MPa)との関係を示すグラフである。樹脂材はたとえばポリベンゾオキサゾール(PBO)である。図4において、樹脂材に熱を加え、その温度を上昇させると、ある温度(図4では280℃)を境とし、それ以降の温度ではゴム状となる。この温度はガラス転移点(Tg)と定義される。そして、このガラス転移点Tgは、温度を上昇させていく過程において、応力が最小となる(0Paに最も近づく)温度として測定することができる。
【0039】
また、図12は、前記無機膜IOLを形成するための装置で、たとえば誘導結合型プラズマCVD装置を概略的に示した構成図である。図12において、反応ガスRGが供給されるチャンバVSがあり、このチャンバVS内には無機膜を形成する基板(たとえば図4に示した仮基板TSB)を基板台PDS上に載置できるようになっている。チャンバVSには該チャンバVS内にプラズマを発生させるための誘導コイルINCおよび高周波窓WDが備えられ、誘導コイルINCはRF電源(13.56MHz)RFPによって駆動されるようになっている。このような装置において、高密度プラズマによって多くの励起種が発生し、低温での成膜が可能となっている。この装置を用いて、前記無機膜IOLを形成する際に、必要時において、DC電源DCPによって前記基板台PDSにバイアスを印加できるようになっている。これにより、イオンの照射が制御できるようになり、応力が調整された無機膜を形成することができるようになる。
【0040】
そして、図1は、たとえばSiからなる基板の上面に室温(ここでは、20℃〜80℃の範囲とする)で無機膜を形成し、その後、室温から上昇させた温度と、この際に前記無機膜に生じる応力との関係を示したグラフである。横軸に温度(℃)を、縦軸に応力(MPa)をとっている。無機膜はたとえばシリコン窒酸化膜(SiOxNy)とし、酸素(O)と窒素(N)組成を変化させた場合の6種の無機膜(図中(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)で示す)を例として挙げている。
【0041】
それぞれの無機膜(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は、いずれも、温度の上昇に伴って、応力が大きくなる傾向を有する。この傾向は、室温(20℃〜80℃)で形成した無機膜の特徴の一つとなる。これに対して、高温で形成した無機膜は温度を上昇させても応力はほとんど変化しないことが確かめられている。
【0042】
また、前記グラフにおいて、無機膜を形成しようとする樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)をTgとし、横軸に示している。
【0043】
この場合、温度が、たとえば0℃ないし300℃の範囲において、無機膜に発生する応力は約−360MPa〜160MPaの範囲にあることが望ましい。この範囲から外れる場合、すなわち、−360MPaより小さい場合には無機膜にしわが発生するようになり、160MPaより大きな場合にはクラックが発生してしまうからである。
【0044】
この場合において、−360MPa〜160MPaの範囲にある無機膜は、図中(a)、(b)、(c)に示す無機膜となっている。そして、前記グラフにおいて、無機膜を形成しようとする樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)を、図中横軸に示すようにTgとした場合、このTgの温度において、図中(a)、(b)、(c)の各無機膜の応力は、−300MPa以上、200MPa以下となっている。この場合、Tgにおける無機膜の応力は0MPaであることが最も好ましが、上述した幅(−300MPa以上、200MPa以下)の範囲内ならば、クラックもしわも発生しないことが明らかとなる。
【0045】
ちなみに、たとえば図1の(c)の特性を有する無機膜を樹脂基板あるいは樹脂層上に形成するのが好適であるといえるのは、前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)との関係によるものである。図13は、図1において(c)の特性を有する無機膜のみを取り出して示したグラフである。図13の横軸には、図1に示すガラス転移点Tgと同じ値であるガラス転移点TgAの他に、これよりも大きな値を有するガラス転移点TgB(>TgA)をも示している。この場合、ガラス転移点TgBにおける図中(c)の無機膜の応力は200MPa以上となり、クラックが発生してしまうことになる。このことは、ガラス転移点TgBを有する樹脂基板あるいは樹脂層においては、図中(c)の無機膜を形成することは適当でないとすることができる。
【0046】
図1に戻り、ガラス転移点が図中Tgの場合において、クラックあるいはしわの発生を回避できる無機膜は、図中(a)、(b)、(c)に示したものである。そして、図中(a)、(b)、(c)の各無機膜の室温(20℃〜80℃)における形成時における応力は、−400MPa以上、50MPa以下となっていることが判る。このことは、室温(20℃〜80℃)で無機膜を形成する際に、その室温での無機膜が上述した−400MPa以上、50MPa以下の範囲内である場合に、図1のグラフに示す(a)、(b)、(c)の特性を有する各無機膜を形成できることになり、クラックおよびしわの発生を回避させることができることになる。
【0047】
図14は、室温(たとえば25℃)で形成する無機膜の組成比(O/(O+N))と圧力の関係を示したグラフである。所望の組成比をもつ無機膜を形成する場合、図12に示した誘導結合型プラズマCVD装置において、基板バイアスを所定の値にすることによって得られるようになる。このことから、誘導結合型プラズマCVD装置の基板バイアスによって、室温において形成される無機膜の応力を上述した範囲(−400MPa以上、50MPa以下)とすることによって、樹脂膜あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)において0に近い応力(−300MPa以上、200MPa以下)とすることができるようになる。
【0048】
このように、樹脂基板あるいは樹脂層の上面に上述した無機膜IOLを形成することにより、前記無機膜IOLにクラックあるいはしわが生じることがなく、この無機膜IOLの上面にバッファ層を形成する場合においても、前記バッファ層にクラックあるいはしわが生じるのを回避できるようになる。
【0049】
〈液晶表示装置の全体図〉
図15は、本発明を液晶表示装置として構成する場合の概略的な構成を示す斜視分解図である。液晶表示装置は、液晶LCを挟持して対向配置される第1基板SUB1と第2基板SUB2とを備える。第1基板SUB1の液晶LC側の面には無機膜IOLが形成され、この無機膜IOLの上面にはバッファ層BFLを介してTFT回路層TCLが形成されている。このTFT回路層TCLの上面には、図示していないが、液晶と直接に接触する配向膜が形成されている。この配向膜は液晶の分子の初期配向方向を決する膜となっている。また、第1基板SUB1の液晶LCと反対側の面には、第バリア層BRL1を介して第1偏光板POL1が配置されている。第1バリア層BRL1は外部から第1基板SUB1へ水分が侵入してしまうのを回避させ、第1偏光板POL1は後述の第2偏光板POL2とともに、液晶の挙動を可視化できるようになっている。第2基板SUB1の液晶LC側の面にはカラーフィルタCFが形成されている。隣接するたとえば3個の画素に赤色、緑色、および青色を担当させ、カラー表示用の単位画素を構成するためである。このカラーフィルタCFの上面には、図示していないが、液晶LCと直接に接触する配向膜が形成されている。また、第2基板SUB2の液晶と反対側の面には、第2バリア層BRL2を介して第2偏光板POL2が配置されている。
【実施例2】
【0050】
実施例1では、画像表示装置として液晶表示装置を例として挙げたものである。しかし、有機EL表示装置等の他の画像表示装置にも適用することができる。有機EL表示装置は、その画素として自発光の有機EL素子を用いているが、樹脂基板の上面にTFT回路層を形成する場合があり、液晶表示装置と同様の課題を有するからである。
【実施例3】
【0051】
図16は、本発明の表示装置(パネル)PNLが適用されたポータブルゲーム機を示している。表示装置PNLとしては液晶表示装置、あるいは有機EL表示装置であってもよい。図16に示す表示装置PNLは湾曲していないが、それらの基板SUBは樹脂材等で構成され、軽量で耐衝撃性に優れたものとなっている。
【実施例4】
【0052】
図10は、本発明の表示装置(パネル)PNLが適用された携帯端末を示している。表示装置PNLとしては液晶表示装置、あるいは有機EL表示装置であってもよい。図10に示す表示装置PNLは湾曲して構成されている。
【実施例5】
【0053】
図18は、本発明の表示装置(パネル)PNLが適用されたいわゆるローラブルテレビを示している。表示装置PNLとしては液晶表示装置、あるいは有機EL表示装置であってもよい。
【実施例6】
【0054】
図19は、本発明の表示装置(パネル)PNLが適用された電子広告を示している。表示装置PNLとしては液晶表示装置、あるいは有機EL表示装置であってもよい。図19に示す表示装置PNLは湾曲して構成されている。
【0055】
以上、本発明を実施例を用いて説明してきたが、これまでの各実施例で説明した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、それぞれの実施例で説明した構成は、互いに矛盾しない限り、組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0056】
SUB1……第1基板、SUB2……第2基板、IOL……無機膜、BFL……バッファ層、TFT……薄膜トランジスタ、GT……ゲート電極、GI……ゲート絶縁膜、AS……半導体層、CN……コンタクト層、DT……ドレイン電極、ST……ソース電極、TCL……TFT回路層、PAS……保護膜、TSB……仮基板、STL……剥離膜、RG……反応ガス、VS……チャンバ、PDS……基板台、INC……誘導コイル、WD……高周波窓、RFP……RF電源、DCP……DC電源、PNL……表示装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置およびその製造方法に係り、特に、基板がフレキシブルな樹脂基板によって構成される画像表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像表示装置は、その基板がたとえばガラスで形成されたものと比較して、軽量、耐衝撃性、および可とう性に優れたものとして構成される。
【0003】
たとえば液晶表示装置の場合、液晶を挟持した一対の基板を有し、これらの基板を樹脂基板で構成するようにしている。この場合、一方の樹脂基板の液晶側の面には、パターン化された導電膜、半導体膜、絶縁膜等を所定の順序で積層させ、これにより、ゲート信号線、ドレイン信号線、薄膜トランジスタ、画素電極等を形成するようになっている。なお、この明細書では、前記積層体をTFT回路層と称する場合がある。
【0004】
そして、このような構成からなる画像表示装置において、樹脂基板とTFT回路層との間にバッファ層が形成されたものが知られている。画像表示装置の形成において、最初にガラス基板を仮基板として用いる転写方式において、ガラス基板内の不純物をTFT回路層に侵入するのを回避するために前記バッファ層が用いられるようになっている。また、画像表示装置の形成において、樹脂基板上に直接にTFT回路層を形成する直接形成方式において、樹脂基板とTFT回路層の最下層にある金属層(たとえばゲート信号線)との密着性を向上させるために前記バッファ層が用いられるようになっている。このバッファ層としてはたとえばシリコン窒化膜等の緻密な膜が用いられる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−254541号公報参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、樹脂基板あるいは樹脂層の上面にバッファ層を形成した段階で、前記バッファ層にクラックやしわが発生してしまうことが確認された。
【0007】
本発明者等は、この原因を究明した結果、次のことが判明した。すなわち、これまで、バッファ層を形成する際の温度は、樹脂基板のガラス転移点(Tg)以上の温度になっていた。樹脂基板がガラス転移点(Tg)以下では樹脂基板の機械的強度が高いために、その上面に形成されている前記バッファ層が応力を持っていても前記バッファ層の変形が抑制されている。しかし、樹脂基板がTgを超えてゴム状態となり軟化すると、樹脂基板の機械的強度が低下し、前記バッファ層の応力を解放するように変形が起きる。前記応力が引っ張り応力の場合、前記バッファ層は収縮方向に力が働くため、樹脂基板が前記バッファ層の収縮に追従できず前記バッファ層にクラックが発生する。一方、前記応力が圧縮応力の場合、前記バッファ層は膨張する方向に力が働くため、樹脂基板の軟化に伴い前記バッファ層にしわが発生するようになる。
【0008】
本発明の目的は、樹脂基板あるいは樹脂層上に、クラックあるいはしわの発生が抑制された無機膜が形成され、これによりTFT回路層が信頼性よく形成されている画像表示装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、樹脂基板あるいは樹脂層上に無機膜を形成する場合において、前記無機膜にクラックあるいはしわの発生を回避させ、これによりTFT回路層を信頼性よく形成できる画像表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像表示装置の製造方法は、樹脂基板あるいは樹脂層上に無機膜を形成する場合において、前記無機膜を前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以下の温度で形成するようにしたものである。さらに、前記無機膜の応力を前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)においてほぼ0となるように構成したものである。
【0011】
本発明の構成は、たとえば、以下のようなものとすることができる。
【0012】
(1)本発明は、樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置であって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜が形成され、
前記無機膜の応力が、前記基板のガラス転移点(Tg)において、−300MPa以上、200MPa以下であり、室温において、−400MPa以上、50MPa以下であることを特徴とする。
【0013】
(2)本発明は、樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置の製造方法にあって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜を形成する工程を備え、
前記無機膜は、室温から前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以下の温度で形成し、
前記TFT回路層は、前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以上の温度で形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【0014】
なお、上記した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、上記した構成以外の本発明の構成の例は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成された画像表示装置は、樹脂基板あるいは樹脂層上に、クラックあるいはしわの発生が抑制された無機膜が形成され、これによりTFT回路層が信頼性よく形成されるようになる。
【0016】
また、このように構成された画像表示装置の製造方法は、樹脂基板あるいは樹脂層上に無機膜を形成する場合において、前記無機膜にクラックあるいはしわの発生を回避させ、これによりTFT回路層を信頼性よく形成できるようになる。
【0017】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の表示装置に形成される無機膜の特性を説明するグラフである。
【図2】本発明の表示装置の実施例1を示す要部断面図である。
【図3】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図4ないし図8とともに一連の工程を示す図である。
【図4】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3、図5ないし図8とともに一連の工程を示す図である。
【図5】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3、図4、図6ないし図8とともに一連の工程を示す図である。
【図6】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3ないし図5、図7、図8とともに一連の工程を示す図である。
【図7】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3ないし図6、図8とともに一連の工程を示す図である。
【図8】本発明の表示装置の製造方法の一実施例を示す図で、図3ないし図7とともに一連の工程を示す図である。
【図9】本発明の表示装置の製造方法の他の実施例を示す図で、図10とともに一連の工程を示す図である。
【図10】本発明の表示装置の製造方法の他の実施例を示す図で、図9とともに一連の工程を示す図である。
【図11】樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点を定義を示すグラフである。
【図12】無機膜を形成する装置してたとえば誘導結合型プラズマCVD装置を示した図である。
【図13】無機膜の形成において樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点との関係を示すグラフである。
【図14】無機膜の組成と当該無機膜の室温における形成による圧力との関係を示すグラフである。
【図15】液晶表示装置の全体的な概略を示す構成図である。
【図16】本発明の適用の一例を示した図である。
【図17】本発明の適用の他の例を示した図である。
【図18】本発明の適用の他の例を示した図である。
【図19】本発明の適用の他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。なお、各図および各実施例において、同一または類似の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【実施例1】
【0020】
〈要部の構成〉
図2は、本発明の表示装置の実施例1を示す要部断面図である。図2は、たとえば液晶表示装置の液晶を挟持して対向される一対の基板のうち薄膜トランジスタTFTが形成されている側の基板(図中符号SUB1で示す)を示し、前記薄膜トランジスタTFTを含む面における断面をとった図となっている。
【0021】
図1において、まず、基板SUB1がある。この基板SUB1は樹脂材(プラスチック)によって構成されている。図示していないが、この基板SUB1と液晶を挟持して対向配置される他方の基板SUB2(図15参照)もたとえば樹脂材(プラスチック)によって構成され、本実施例の液晶表示装置はいわゆるフレキシブル表示装置となっている。
【0022】
基板SUB1の液晶側の面には、無機膜IOLが形成されている。この無機膜IOLは、たとえば、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等によって形成されている。しかし、これらの膜に限定されることはなく、金属膜、半金属膜、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜等をも適用することができる。そして、このような無機膜IOLは、この上方の面にTFT回路層TCLを信頼性よく形成するために設けられ、この無機膜IOLにおいてクラックあるいはしわ等が形成されていないものとなっている。この無機膜IOLは、その応力が、基板SUB1のガラス転移点Tgにおいて−300MPa以上で200MPa以下となっており、室温(20℃〜80℃)において−400MPa以上で50MPa以下となっている。この無機膜IOLについては後においてさらに詳述する。
【0023】
無機膜IOLの上面には、たとえばシリコン窒化膜からなるバッファ層BFLが形成され、このバッファ層BFLの上面には前記TFT回路層TCLが形成されている。バッファ層BFLは、たとえば、基板SUB1と後述のゲート信号線(ゲート電極GT)との密着性を向上させるために設けられ、緻密な層として構成されている。TFT回路層TCLは、図2に示す薄膜トランジスタTFTの他に、前記薄膜トランジスタTFTを駆動させるゲート電極と接続されるゲート信号線、前記薄膜トランジスタTFTのドレイン電極に接続されるドレイン信号線、前記薄膜トランジスタTFTのソース電極に接続される画素電極等を備えたものとなっている。そして、これら薄膜トランジスタTFT、各信号線、電極は、パターン化された導電膜、半導体膜、絶縁膜が所定の順序で積層されて構成されたものとなっている。すなわち、図2に示す薄膜トランジスタTFTは、前記バッファ層BFLに形成されたゲート電極GT、このゲート電極GTをも被って形成されたゲート絶縁膜GI、このゲート絶縁膜GIの上面であって前記ゲート電極GTと重なりを有して形成されたたとえばアモルファスシリコン等の半導体層AS、この半導体層ASの上面に互いに対向配置されたドレイン電極DT、およびソース電極STによって形成されている。なお、ドレイン電極DTと半導体層ASとの間、およびソース電極STと半導体層ASとの間には、たとえばn型の高濃度のアモルファスシリコンからなるコンタクト層CNが形成され、薄膜トランジスタTFTは、たとえばシリコン窒化膜からなる保護膜PASによって被われている。また、図2に示す薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極GTが半導体層ASよりも下層に位置づけられるボトムゲート型と称されるものであるが、これに限定されることはなく、ゲート電極GTが半導体層ASよりも上層に位置づけられるトップゲート型であってもよい。
【0024】
〈製造方法I〉
次に、本発明による画像表示装置の製造方法を、図2に対応づけて示した図によって説明する。本発明の画像表示装置の製造は、概略、図3ないし図8に示す転写方式、図9および図10に示す直接形成方式の2種がある。本発明はいずれの方式においても適用できる。
【0025】
まず、転写方式について、以下説明をする。
【0026】
工程1.(図3)
ガラスからなる仮基板TSBを用意し、この仮基板TSBの表面に樹脂からなる剥離膜STLを形成する。この剥離膜STLは、後の工程において、この剥離膜STLの上面に形成されるTFT回路層TCLと仮基板TSBとを剥離させるために必要となる膜となる。樹脂からなる剥離膜STLは後述の樹脂基板SUB1と接着され、樹脂基板SUB1の一部として構成されるようになる。
【0027】
工程2.(図4)
剥離膜の上面に無機膜IOLを形成する。この無機膜IOLは、たとえば、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属膜、半金属膜、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜等によって形成されるようになっている。そして、この無機膜IOLは、たとえば25℃の室温から前記剥離膜STLのガラス転移点(Tg)以下の範囲の温度で形成するようになっている。これにより、無機膜IOLはクラックあるいはしわの発生していない膜として形成されるようになっている。この無機膜IOLについては後述する。
【0028】
さらに、無機膜IOLの上面には、バッファ層BFLを形成する。このバッファ層BFLは、たとえば、仮基板TSB内の不純物が後述のTFT回路層TCLに侵入するのを回避させために設けられ、たとえば緻密なシリコン窒化膜によって形成されるようになっている。この場合、前記無機膜IOLの存在によって、バッファ膜BFLにはクラックあるいはしわが生ずることなく形成されるようになる。
【0029】
工程3.(図5)
バッファ層BFLの上面にTFT回路層TCLを形成する。このTFT回路層TCLは、たとえば、ゲート電極GT、ゲート絶縁膜GI、半導体層AS、コンタクト層CN、ドレイン電極DTおよびソース電極ST、保護膜PASを順次形成することによって形成される。ゲート電極GTは図示しないゲート信号線の一部として形成され、ドレイン電極は図示しないドレイン信号線に接続され、ソース電極は図示しない画素電極と接続されるようになっている。なお、このTFT回路層TCLの形成において、剥離層STLのガラス転移点(Tg)以上のプロセス温度で行うことができ、TFT回路層TCLの信頼性を確保することができる。
【0030】
工程4.(図6)
仮基板TSBのTFT回路層TCLが形成された側と反対側の面から、UVレーザ光あるいはUVランプ光(図中矢印で示す)を照射する。
【0031】
工程5.(図7)
UVレーザ光あるいはUVランプ光は仮基板TSBを通して剥離膜STLに入射され、ことにより、剥離膜STLに材質変化が生じ、仮基板TSBは剥離膜STLから剥離されるようになる。
【0032】
工程6:(図8)
仮基板TSBが剥離された剥離膜STLの面には、新たに用意した樹脂材からなる樹脂基板SUB1を接着させる。これにより、樹脂基板SUB1を備えるTFT基板を得ることができる。この場合、前記樹脂基板SUB1は、剥離膜STLとともに樹脂材からなる基板として把握することができる。
【0033】
次に、直接形成方式について、以下説明する。
【0034】
工程1.(図9)
樹脂基板SUB1を用意する。樹脂基板SUB1の上面に無機膜IOLを形成する。この無機膜IOLは、たとえば、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属膜、半金属膜、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜等によって形成されるようになっている。そして、この無機膜IOLは、たとえば25℃の室温から前記剥離膜STLのガラス転移点(Tg)以下の範囲の温度で形成するようになっている。この無機膜IOLについては後述する。
【0035】
さらに、無機膜IOLの上面には、バッファ層BFLを形成する。このバッファ層BFLは、たとえば、樹脂基板SUB1とこの樹脂基板SUB1の上面に形成されるTFT回路層TCLのうち最下層にある金属層(たとえばゲート信号線)との密着性を向上させるために形成され、たとえば緻密なシリコン窒化膜によって形成されるようになっている。この場合、前記無機膜IOLの存在によって、バッファ層BFLにはクラックあるいはしわが生ずることなく形成されるようになる。
【0036】
工程2.(図10)
バッファ層BFLの上面にTFT回路層TCLを形成する。このTFT回路層TCLは、たとえば、ゲート電極GT、ゲート絶縁膜GI、半導体層AS、コンタクト層CN、ドレイン電極DTおよびソース電極ST、保護膜PASを順次形成することによって形成される。ゲート電極GTは図示しないゲート信号線の一部として形成され、ドレイン電極は図示しないドレイン信号線に接続され、ソース電極は図示しない画素電極と接続されるようになっている。なお、このTFT回路層TCLの形成において、剥離層STLのガラス転移点(Tg)以上のプロセス温度で行うことができ、TFT回路層TCLの信頼性を確保することができる。
【0037】
〈無機材IOL〉
図2、図3ないし図8、図9および図10にそれぞれ示した無機材IOLについて、以下、説明する。
【0038】
ここで、無機材IOLの説明に先立ち、無機材IOLを形成する樹脂基板あるいは樹脂層におけるガラス転移点(Tg)について図11を用いて説明する。図11は、樹脂基板あるいは樹脂層における温度(℃)と応力(MPa)との関係を示すグラフである。樹脂材はたとえばポリベンゾオキサゾール(PBO)である。図4において、樹脂材に熱を加え、その温度を上昇させると、ある温度(図4では280℃)を境とし、それ以降の温度ではゴム状となる。この温度はガラス転移点(Tg)と定義される。そして、このガラス転移点Tgは、温度を上昇させていく過程において、応力が最小となる(0Paに最も近づく)温度として測定することができる。
【0039】
また、図12は、前記無機膜IOLを形成するための装置で、たとえば誘導結合型プラズマCVD装置を概略的に示した構成図である。図12において、反応ガスRGが供給されるチャンバVSがあり、このチャンバVS内には無機膜を形成する基板(たとえば図4に示した仮基板TSB)を基板台PDS上に載置できるようになっている。チャンバVSには該チャンバVS内にプラズマを発生させるための誘導コイルINCおよび高周波窓WDが備えられ、誘導コイルINCはRF電源(13.56MHz)RFPによって駆動されるようになっている。このような装置において、高密度プラズマによって多くの励起種が発生し、低温での成膜が可能となっている。この装置を用いて、前記無機膜IOLを形成する際に、必要時において、DC電源DCPによって前記基板台PDSにバイアスを印加できるようになっている。これにより、イオンの照射が制御できるようになり、応力が調整された無機膜を形成することができるようになる。
【0040】
そして、図1は、たとえばSiからなる基板の上面に室温(ここでは、20℃〜80℃の範囲とする)で無機膜を形成し、その後、室温から上昇させた温度と、この際に前記無機膜に生じる応力との関係を示したグラフである。横軸に温度(℃)を、縦軸に応力(MPa)をとっている。無機膜はたとえばシリコン窒酸化膜(SiOxNy)とし、酸素(O)と窒素(N)組成を変化させた場合の6種の無機膜(図中(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)で示す)を例として挙げている。
【0041】
それぞれの無機膜(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は、いずれも、温度の上昇に伴って、応力が大きくなる傾向を有する。この傾向は、室温(20℃〜80℃)で形成した無機膜の特徴の一つとなる。これに対して、高温で形成した無機膜は温度を上昇させても応力はほとんど変化しないことが確かめられている。
【0042】
また、前記グラフにおいて、無機膜を形成しようとする樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)をTgとし、横軸に示している。
【0043】
この場合、温度が、たとえば0℃ないし300℃の範囲において、無機膜に発生する応力は約−360MPa〜160MPaの範囲にあることが望ましい。この範囲から外れる場合、すなわち、−360MPaより小さい場合には無機膜にしわが発生するようになり、160MPaより大きな場合にはクラックが発生してしまうからである。
【0044】
この場合において、−360MPa〜160MPaの範囲にある無機膜は、図中(a)、(b)、(c)に示す無機膜となっている。そして、前記グラフにおいて、無機膜を形成しようとする樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)を、図中横軸に示すようにTgとした場合、このTgの温度において、図中(a)、(b)、(c)の各無機膜の応力は、−300MPa以上、200MPa以下となっている。この場合、Tgにおける無機膜の応力は0MPaであることが最も好ましが、上述した幅(−300MPa以上、200MPa以下)の範囲内ならば、クラックもしわも発生しないことが明らかとなる。
【0045】
ちなみに、たとえば図1の(c)の特性を有する無機膜を樹脂基板あるいは樹脂層上に形成するのが好適であるといえるのは、前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)との関係によるものである。図13は、図1において(c)の特性を有する無機膜のみを取り出して示したグラフである。図13の横軸には、図1に示すガラス転移点Tgと同じ値であるガラス転移点TgAの他に、これよりも大きな値を有するガラス転移点TgB(>TgA)をも示している。この場合、ガラス転移点TgBにおける図中(c)の無機膜の応力は200MPa以上となり、クラックが発生してしまうことになる。このことは、ガラス転移点TgBを有する樹脂基板あるいは樹脂層においては、図中(c)の無機膜を形成することは適当でないとすることができる。
【0046】
図1に戻り、ガラス転移点が図中Tgの場合において、クラックあるいはしわの発生を回避できる無機膜は、図中(a)、(b)、(c)に示したものである。そして、図中(a)、(b)、(c)の各無機膜の室温(20℃〜80℃)における形成時における応力は、−400MPa以上、50MPa以下となっていることが判る。このことは、室温(20℃〜80℃)で無機膜を形成する際に、その室温での無機膜が上述した−400MPa以上、50MPa以下の範囲内である場合に、図1のグラフに示す(a)、(b)、(c)の特性を有する各無機膜を形成できることになり、クラックおよびしわの発生を回避させることができることになる。
【0047】
図14は、室温(たとえば25℃)で形成する無機膜の組成比(O/(O+N))と圧力の関係を示したグラフである。所望の組成比をもつ無機膜を形成する場合、図12に示した誘導結合型プラズマCVD装置において、基板バイアスを所定の値にすることによって得られるようになる。このことから、誘導結合型プラズマCVD装置の基板バイアスによって、室温において形成される無機膜の応力を上述した範囲(−400MPa以上、50MPa以下)とすることによって、樹脂膜あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)において0に近い応力(−300MPa以上、200MPa以下)とすることができるようになる。
【0048】
このように、樹脂基板あるいは樹脂層の上面に上述した無機膜IOLを形成することにより、前記無機膜IOLにクラックあるいはしわが生じることがなく、この無機膜IOLの上面にバッファ層を形成する場合においても、前記バッファ層にクラックあるいはしわが生じるのを回避できるようになる。
【0049】
〈液晶表示装置の全体図〉
図15は、本発明を液晶表示装置として構成する場合の概略的な構成を示す斜視分解図である。液晶表示装置は、液晶LCを挟持して対向配置される第1基板SUB1と第2基板SUB2とを備える。第1基板SUB1の液晶LC側の面には無機膜IOLが形成され、この無機膜IOLの上面にはバッファ層BFLを介してTFT回路層TCLが形成されている。このTFT回路層TCLの上面には、図示していないが、液晶と直接に接触する配向膜が形成されている。この配向膜は液晶の分子の初期配向方向を決する膜となっている。また、第1基板SUB1の液晶LCと反対側の面には、第バリア層BRL1を介して第1偏光板POL1が配置されている。第1バリア層BRL1は外部から第1基板SUB1へ水分が侵入してしまうのを回避させ、第1偏光板POL1は後述の第2偏光板POL2とともに、液晶の挙動を可視化できるようになっている。第2基板SUB1の液晶LC側の面にはカラーフィルタCFが形成されている。隣接するたとえば3個の画素に赤色、緑色、および青色を担当させ、カラー表示用の単位画素を構成するためである。このカラーフィルタCFの上面には、図示していないが、液晶LCと直接に接触する配向膜が形成されている。また、第2基板SUB2の液晶と反対側の面には、第2バリア層BRL2を介して第2偏光板POL2が配置されている。
【実施例2】
【0050】
実施例1では、画像表示装置として液晶表示装置を例として挙げたものである。しかし、有機EL表示装置等の他の画像表示装置にも適用することができる。有機EL表示装置は、その画素として自発光の有機EL素子を用いているが、樹脂基板の上面にTFT回路層を形成する場合があり、液晶表示装置と同様の課題を有するからである。
【実施例3】
【0051】
図16は、本発明の表示装置(パネル)PNLが適用されたポータブルゲーム機を示している。表示装置PNLとしては液晶表示装置、あるいは有機EL表示装置であってもよい。図16に示す表示装置PNLは湾曲していないが、それらの基板SUBは樹脂材等で構成され、軽量で耐衝撃性に優れたものとなっている。
【実施例4】
【0052】
図10は、本発明の表示装置(パネル)PNLが適用された携帯端末を示している。表示装置PNLとしては液晶表示装置、あるいは有機EL表示装置であってもよい。図10に示す表示装置PNLは湾曲して構成されている。
【実施例5】
【0053】
図18は、本発明の表示装置(パネル)PNLが適用されたいわゆるローラブルテレビを示している。表示装置PNLとしては液晶表示装置、あるいは有機EL表示装置であってもよい。
【実施例6】
【0054】
図19は、本発明の表示装置(パネル)PNLが適用された電子広告を示している。表示装置PNLとしては液晶表示装置、あるいは有機EL表示装置であってもよい。図19に示す表示装置PNLは湾曲して構成されている。
【0055】
以上、本発明を実施例を用いて説明してきたが、これまでの各実施例で説明した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、それぞれの実施例で説明した構成は、互いに矛盾しない限り、組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0056】
SUB1……第1基板、SUB2……第2基板、IOL……無機膜、BFL……バッファ層、TFT……薄膜トランジスタ、GT……ゲート電極、GI……ゲート絶縁膜、AS……半導体層、CN……コンタクト層、DT……ドレイン電極、ST……ソース電極、TCL……TFT回路層、PAS……保護膜、TSB……仮基板、STL……剥離膜、RG……反応ガス、VS……チャンバ、PDS……基板台、INC……誘導コイル、WD……高周波窓、RFP……RF電源、DCP……DC電源、PNL……表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置であって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜が形成され、
前記無機膜の応力が、前記基板のガラス転移点(Tg)において、−300MPa以上、200MPa以下であり、室温において、−400MPa以上、50MPa以下であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記無機膜は、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属、半金属、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜のうちいずれか1つの膜によって、あるいは、これらのうちの2以上の積層体によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記室温は、20℃から80℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記無機膜と前記TFT回路層との間に、前記無機膜と異なるバッファ層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
画像表示装置は液晶表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
画像表示装置は有機EL表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置の製造方法にあって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜を形成する工程を備え、
前記無機膜は、室温から前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以下の温度で形成し、
前記TFT回路層は、前記樹脂基板のガラス転移点(Tg)以上の温度で形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記無機膜は、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属、半金属、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜のうちいずれか1つの膜によって、あるいは、これらのうちの2以上の積層体によって形成されていることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記無機膜は、CVD法、スパッタ法、蒸着法うちいずれか1つの方法によって、あるいは、これらのうちの2以上の方法によって形成することを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記室温は、20℃から80℃の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項11】
画像表示装置は液晶表示装置であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項12】
画像表示装置は有機EL表示装置であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項1】
樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置であって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜が形成され、
前記無機膜の応力が、前記基板のガラス転移点(Tg)において、−300MPa以上、200MPa以下であり、室温において、−400MPa以上、50MPa以下であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記無機膜は、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属、半金属、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜のうちいずれか1つの膜によって、あるいは、これらのうちの2以上の積層体によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記室温は、20℃から80℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記無機膜と前記TFT回路層との間に、前記無機膜と異なるバッファ層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
画像表示装置は液晶表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
画像表示装置は有機EL表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
樹脂基板あるいは樹脂層の上面にTFT回路層が形成されている画像表示装置の製造方法にあって、
前記樹脂基板あるいは前記樹脂層の前記TFT回路層が形成される面に無機膜を形成する工程を備え、
前記無機膜は、室温から前記樹脂基板あるいは樹脂層のガラス転移点(Tg)以下の温度で形成し、
前記TFT回路層は、前記樹脂基板のガラス転移点(Tg)以上の温度で形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記無機膜は、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属、半金属、金属酸窒化膜、金属酸化膜、金属窒化膜のうちいずれか1つの膜によって、あるいは、これらのうちの2以上の積層体によって形成されていることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記無機膜は、CVD法、スパッタ法、蒸着法うちいずれか1つの方法によって、あるいは、これらのうちの2以上の方法によって形成することを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記室温は、20℃から80℃の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項11】
画像表示装置は液晶表示装置であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項12】
画像表示装置は有機EL表示装置であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−99920(P2011−99920A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253205(P2009−253205)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]