説明

画像記録装置及びプログラム

【課題】セキュリティを高くしつつ省電力化を図る。
【解決手段】メインCPUに接続されたメインメモリに記憶された画像データが、画像処理CPUに接続された画像処理作業メモリに転送されて駆動データに変換される(S106)。セキュア印刷に係る認証情報が入力される前に(S108:NO)、スリープモードが開始されるに先だって(S110:YES)、画像処理作業メモリに記憶された駆動データをメインメモリに退避させ、画像処理CPU及び画像処理作業メモリに供給する電力を遮断する(S115)。スリープモードが解除されると(S116:YES)、メインメモリに退避させた駆動データを画像処理作業メモリに復帰させる(S117)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する画像記録装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物のセキュリティを高めるため、ユーザが印刷すべき画像の画像データを端末からプリンタに送信した後に、プリンタにおいてユーザが認証手続きを行うことで、当該画像データに係る印刷を実行するプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−61634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のプリンタにおいては、セキュリティの観点より、作業メモリを取り外して電源供給が停止されると、記憶した画像データが抹消されるよう、作業メモリを揮発性メモリとする場合が多い。しかしながら、作業メモリを揮発性メモリとした場合には、画像データを保持する必要があり、ユーザによる認証手続きが行われるまでの待機中は、作業メモリを含む演算処理部に対する電源供給を停止するスリープ状態にすることができなくなるため、この間、省電力化を図ることが困難となる。
【0005】
本発明の目的は、セキュリティを高くしつつ省電力化を図ることができる記録装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像記録装置は、記録媒体に画像を記録する記録手段と、外部から送信される画像に係る画像データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記画像データを、前記記録手段を駆動するための駆動データに変換するための演算を行う演算手段と、前記演算手段により変換された前記駆動データ又は前記画像データが記憶される揮発性メモリである第1メモリと、前記画像データ又は前記駆動データに係る認証情報が入力される入力手段と、前記入力手段によって入力された前記認証情報が所定の情報を具備しているか否かの判断を行う認証判断手段と、前記駆動データ、又は前記画像データを記憶する第2メモリと、前記第1メモリと前記第2メモリとの間で前記駆動データ又は前記画像データの転送を行う転送手段と、前記演算手段及び前記第1メモリに対する電力の供給を制限する制限手段と、前記記録手段、前記転送手段及び前記制限手段を制御する制御手段と、を備えた画像記録装置である。前記制御手段は、前記認証情報が所定の情報を具備していると前記認証判断手段が判断した後に、前記第1メモリに記憶された前記駆動データ又は前記第1メモリに記憶された前記画像データを前記演算手段により変換した前記駆動データに基づいて、記録媒体に前記画像が記録されるように前記記録手段を制御し、且つ、前記認証情報が所定の情報を具備していると前記認証判断手段が判断する前に前記制限手段により前記電力の供給を制限する場合に、前記駆動データ又は前記画像データを前記第1メモリから前記第2メモリに転送させるよう前記転送手段を制御する。
【0007】
本発明のプログラムは、記録媒体に画像を記録する記録手段、外部から送信される画像に係る画像データを受信する受信手段、前記受信手段により受信された前記画像データを、前記記録手段を駆動するための駆動データに変換するための演算を行う演算手段、前記演算手段により変換された前記駆動データ又は前記画像データが記憶される揮発性メモリである第1メモリ、前記画像データ又は前記駆動データに係る認証情報が入力される入力手段、前記入力手段によって入力された前記認証情報が所定の情報を具備しているか否かの判断を行う認証判断手段、前記駆動データ又は前記画像データを記憶する第2メモリ、前記第1メモリと前記第2メモリとの間で前記駆動データ、又は前記画像データの転送を行う転送手段、及び、前記演算手段及び前記第1メモリに対する電力の供給を制限する制限手段を備えた画像記録装置において、前記記録手段、前記転送手段及び前記制限手段を制御する制御手段としてコンピュータを機能させるプログラムである。前記制御手段は、前記認証情報が所定の情報を具備していると前記認証判断手段が判断した後に、前記第1メモリに記憶された前記駆動データ又は前記第1メモリに記憶された前記画像データを前記演算手段により変換した前記駆動データに基づいて、記録媒体に前記画像が記録されるように前記記録手段を制御し、且つ、前記認証情報が所定の情報を具備していると前記認証判断手段が判断する前に前記制限手段により前記電力の供給を制限する場合に、前記駆動データ又は前記画像データを前記第1メモリから前記第2メモリに転送させるよう前記転送手段を制御する。
【0008】
本発明によると、認証判断を行う前に演算装置及び第1メモリに対する電力の供給が制限されることで第1メモリに記憶された駆動データ又は画像データが消失しても、第2メモリに当該駆動データ又は画像データが残されているので、制限が解除された後に当該駆動データ又は画像データについての画像記録が可能であり、セキュリティを高くしつつ省電力化を図ることができる。また、演算装置及び第1メモリに対して電力の供給を制限する場合のみ、第2メモリに画像データ又は駆動データを記憶させるため、第2メモリが無駄に使用されるのを抑制することができる。
【0009】
本発明においては、前記制御手段が、前記制限手段による当該制限を解除したときに、前記第2メモリに記憶された前記駆動データ又は前記画像データを、前記第1メモリに転送させるよう前記転送手段を制御することが望ましい。制限が解除された後に駆動データ又は画像データを元の第1メモリに復帰させることにより、特別な処理を必要とせず当該駆動データ又は画像データについての画像記録が可能となる。
【0010】
さらに、本発明においては、前記転送手段が、画像データ又は前記駆動データを圧縮及び解凍する機能をさらに有し、前記制御手段は、前記第1メモリに記憶された前記画像データ又は前記駆動データが圧縮されつつ前記第2メモリに転送されるように、且つ、前記第2メモリに圧縮された状態で記憶された前記画像データ又は前記駆動データが解凍されつつ前記第1メモリに転送されるように、前記転送手段を制御することが好ましい。これによると、第2メモリの容量を小さくすることができる。
【0011】
本発明においては、前記第2メモリが、揮発性メモリであることが好ましい。これによると、装置の移動や盗難などにより第2メモリの電力供給が切られると、第2メモリに記憶されている内容が消去されるため、セキュリティをさらに高くすることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記制限手段が、前記演算手段及び前記第1メモリの少なくともいずれかに対する電力の供給を完全に遮断することが好ましい。これによると、さらなる省電力化を図ることができる。
【0013】
加えて、本発明においては、前記制限手段が、前記第1メモリに記憶された前記画像データ又は前記駆動データを記憶させる空き領域が前記第2メモリに存在しないときは、前記演算装置及び前記第1メモリに対する電力の供給を制限しないことが好ましい。これによると、第2メモリに記憶された画像データ又は駆動データに関する画像の記録を確実に行うことができる。
【0014】
また、本発明においては、前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリに記憶させることができる最大記憶時間を記憶する最大記憶時間記憶手段をさらに備えており、前記制御手段は、新たな前記画像データ又は前記駆動データを記憶させる空き領域が前記第2メモリに存在しないとき、前記第2メモリに記憶されてからの経過時間が、関連付けられた前記最大記憶時間を超えていれば、先に記憶された前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリから削除して、前記新たな前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリに転送させるよう前記転送手段を制御することが好ましい。これによると、新たな画像の記録を優先的に行うことができる。
【0015】
さらに、本発明においては、前記第2メモリが、前記画像データ又は前記駆動データと、その優先度とを記憶しており、前記制御手段は、新たな前記画像データ又は前記駆動データを記憶させる空き領域が前記第2メモリに存在しないとき、前記画像データ又は前記駆動データに関連付けられた前記優先度の低い順に対応する前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリから削除して、前記新たな前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリに転送させるよう前記転送手段を制御することが好ましい。これによると、優先度の高い画像の記録を優先的に行うことができる。
【0016】
本発明においては、不揮発性の第3メモリをさらに備えており、前記制御手段は、前記第2メモリから前記画像データ又は前記駆動データを削除したことを前記第3メモリに記憶させることがより好ましい。これによると、記録装置への電源供給が遮断されたとしても、第3メモリの情報は消去されないので、強制的に削除された画像データ又は駆動データをユーザが知ることができる。
【0017】
さらに、本発明においては、前記第3メモリに記憶された情報を表示する表示手段、又は、前記情報を外部に送信する送信手段をさらに有することがより好ましい。これによると、強制的に削除された画像データ又は駆動データをユーザが容易に知ることができる。
【0018】
さらに、本発明においては、前記制御手段が、前記記録手段による画像の記録が完了するまで、前記第2メモリに記憶された前記画像データ又は前記駆動データを消去しないことが好ましい。これによると、記録媒体のジャムなどが発生して画像記録が中断しても、その後、画像記録をリトライできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、認証判断を行う前に演算装置及び第1メモリに対する電力の供給が制限されることで第1メモリに記憶された駆動データ又は画像データが消失しても、第2メモリに当該駆動データ又は画像データが残されているので、制限が解除された後に当該駆動データ又は画像データについての画像記録が可能であり、セキュリティを高くしつつ省電力化を図ることができる。また、演算装置及び第1メモリに対して電力の供給を制限する場合のみ、第2メモリに画像データ又は駆動データを記憶させるため、第2メモリが無駄に使用されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態によるインクジェットプリンタを含むネットワーク図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの概略側面図である。
【図3】図2に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図4】図1に示すインクジェットプリンタの印刷動作を示すフローチャートである。
【図5】第1変形例に係る印刷動作を示すフローチャートである。
【図6】第2変形例に係る印刷動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、複数のクライアント端末71と共にLAN(Local Area Network)70に接続されている共有プリンタである。ユーザはクライアント端末71からLAN70を介してインクジェットプリンタ1に所望の画像を用紙Pに印刷するための印刷指令を送信する。
【0023】
図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、搬送機構20と、搬送機構20によって搬送された用紙Pに、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのインク滴をそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2と、搬送機構20と、制御装置16とを有している。搬送機構20において、ベルトローラ6、7と共に搬送ベルト8が回転することにより、搬送ベルト8上に載置された用紙Pが、4つのインクジェットヘッド2とプラテン10との間を通過するように搬送される。このとき、各インクジェットヘッド2から用紙Pにインク滴が吐出されることで、用紙P上に所望の画像が印刷される。
【0024】
また、インクジェットプリンタ1は、タッチパネルディスプレイが配置された操作パネル61(図3参照)を有している。
【0025】
次に、図3を参照しつつ、制御装置16について説明する。図3に示すように、制御装置16は、受信部41と、メインCPU(Central Processing Unit)42と、メインメモリ(第2メモリ)43と、ステータス記憶部(第3メモリ、最大記憶時間記憶手段)44と、画像処理CPU(演算手段)45と、画像処理作業メモリ(第1メモリ)46と、電源部47とを有している。メインCPU42及び画像処理CPU45が実行するプログラムが、不揮発メモリ56に記憶され、制御装置16を構成する各機能部は、これらハードウェアと不揮発メモリ56内のソフトウェアとが協働して構築されている。このプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の各種記録媒体に保存されており、これらの記録媒体から不揮発メモリ56にインストールされる。なお、記録媒体に記録された制御プログラムは、メインCPU42及び画像処理CPU45で直接実行可能なものであってもよいし、不揮発メモリ56にインストールすることによって初めて実行可能となるものでもよい。また、暗号化されていたり、圧縮されていたりしてもよい。
【0026】
受信部41は、LAN70を介してクライアント端末71からの印刷指令を受信する。印刷指令には、印刷モードを示すデータと用紙Pに印刷されるべき画像に係る画像データとが含まれている。印刷モードにはセキュア印刷と通常印刷とがある。セキュア印刷とは、クライアント端末71からインクジェットプリンタ1に印刷指令を送信したユーザが、インクジェットプリンタ1において認証情報を入力するまで、インクジェットプリンタ1が当該印刷指令に係る印刷を開始しない印刷動作である。このように、セキュア印刷においては、ユーザ監視の元で印刷が開始されるため、印刷物のセキュリティが高くなる。また、通常印刷とは、インクジェットプリンタ1がクライアント端末71から送信された印刷指令を受信したとき、当該印刷指令に係る印刷を即座に開始する印刷動作である。
【0027】
メインCPU42は、インクジェットプリンタ1の動作全般を制御するための演算を行う汎用CPUである。メインメモリ43は、メインCPU42とデータバスで接続されたDRAM(Dynamic Random Access Memory:揮発性メモリ)である。メインメモリ43は、メインCPU42の作業メモリとして機能する。
【0028】
ステータス記憶部44は、インクジェットプリンタ1の各種ステータスを記憶する不揮発性メモリである。ステータスには、インクジェットヘッド2を駆動するための駆動データ(後述)をメインメモリ43に記憶させることができる最大記憶時間と、各駆動データについて、メインメモリ43に退避された退避時刻と、退避時刻から最大記憶時間が経過することによって駆動データがメインメモリ43から削除されたか否かを示すログとが含まれる。なお、駆動データがメインメモリ43から削除されたとき、当該ログが操作パネル61に表示されると共に、複数のクライアント端末71に当該ログを通知する信号が送信される。これにより、認証待ちの駆動データが削除されたことをユーザが容易に知ることができる。
【0029】
画像処理CPU45は、用紙Pに印刷すべき画像を示す画像データを、インクジェットヘッド2を駆動するための駆動データに変換する画像処理に関する演算を行う画像処理専用CPUである。画像処理作業メモリ46は、画像処理CPU45と高速のデータバスで接続されたDRAM(揮発性メモリ)である。画像処理CPU45によって画像データから変換された駆動データは、画像処理作業メモリ46に記憶される。このように、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46が、単独で画像処理を行うことができる構成とすることにより、メインCPU42がメインメモリ43を占有して効率よく使用することができる。駆動データについて、インクジェットヘッドの場合、駆動データはインクジェットヘッドから記録媒体の単位領域毎に吐出するインクの量を表すデータとなり、既知の誤差拡散処理などを用いて画像データ(例えばPDLなどで記述されたデータ)から駆動データに変換される。(いわゆる多値化処理などが行われる。)また、記録装置がいわゆるレーザプリンタの場合、既知のディザ処理などを用いて印刷データ(PDLデータ)から駆動データ(レーザ記録部の駆動データ)に変換される。また、駆動データは記録媒体の単位領域毎に記録される量的データ(インク量や濃度値などのいわゆる印字データなど)のデータのみならず、印字部66の駆動を制御するデータを含んでいてもよい。
【0030】
電源部47は、外部から受けている電力を元に、メインCPU42、メインメモリ43、ステータス記憶部44、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46に3.3V電圧の電力を供給する。また、電源部47は、スリープ部55がスリープモード開始信号を出力したとき、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46に供給する電力のみを完全に遮断する。その後、スリープ部55がスリープモード開始信号の出力を停止したとき、遮断した電力を復旧させる(後述)。画像処理を短時間に行うため、画像処理CPU45はメインCPU42よりも演算処理速度が速いCPUが用いられる場合が多く、その場合は、画像処理CPU45の消費電力及び画像処理CPU45により頻繁にアクセスされる画像処理作業メモリ46の消費電力が、メインCPU42及びメインメモリ43の消費電力よりも大きくなるので、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46に供給する電力を完全に遮断するスリープモードを行うことにより、より効率的に消費電力削減を図ることができる。
【0031】
メインCPU42は、メインメモリ43と協働することで、認証判断部51、データ変換部52、転送部53、制御部54及びスリープ部55として機能する。以下、各機能部について説明する。
【0032】
認証判断部51は、受信部41が印刷指令を受信したとき、当該印刷指令がセキュア印刷か通常印刷かを判断する。通常、印刷指令に含まれる識別データ(印刷モードを示すデータ)や画像データの形式などに基づいてこの判断がなされる。また、認証判断部51は、セキュア印刷と判断したときに、ユーザに操作パネル61を介して入力された認証情報が、所定の情報を具備しているか否かの判断をさらに行う。所定の情報は、印刷指令に含まれたパスワードとの一致や、プリンタに記憶されたユーザ情報との一致などが該当する。なお、ユーザによる入力については、操作パネル61による入力の他、カードなどに記憶された情報を、インクジェットプリンタ1に接続された読取装置で読み取らせることにより入力してもよい。
【0033】
転送部53は、メインメモリ43と画像処理作業メモリ46との間でデータの転送を行う。また、転送部53は、受信部41が受信した画像データを、メインメモリ43を経由して画像処理作業メモリ46に記憶させる。その後、画像処理作業メモリ46に記憶された画像データは、画像処理CPU45により駆動データに変換され、再び、画像処理作業メモリ46に記憶される。このように後述する認証前に受信した画像データがインクジェットヘッド2用の駆動データに変換されることにより、ユーザによる認証手続きが完了した後に素早く印刷を実行することができる。さらに、転送部53は、スリープモードが開始されるとき、スリープモードの開始に先立って画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データを圧縮しつつ、メインメモリ43に退避させる。なお、駆動データの圧縮作業は、画像処理作業メモリ46上で行われてもよいし、メインメモリ43上で行われてもよい。このとき、転送部53は、当該駆動データに関する退避時刻をステータス記憶部44に記憶する。その後、スリープモードが解除されたとき、転送部53は、メインメモリ43に記憶されている圧縮された駆動データを解凍しつつ、画像処理作業メモリ46に復帰させる。なお、駆動データの解凍作業は、画像処理作業メモリ46上で行われてもよいし、メインメモリ43上で行われてもよい。
【0034】
スリープ部(制限手段)55は、インクジェットプリンタ1に対するユーザの操作やデータの送信が最後に行われてから所定時間が経過したときに、省電力を図るスリープモードを開始することを決定する。スリープ部55は、スリープモードを開始することを決定すると、スリープ開始信号を電源部47に出力する。また、スリープ部55は、スリープモードにおいて、インクジェットプリンタ1に対するユーザの操作やデータの送信が行われたとき、スリープモードを解除することを決定し、電源部47へのスリープ終了信号の出力又はスリープ開始信号の出力停止を行う。
【0035】
制御部54は、搬送機構20、4つのインクジェットヘッド2(なお、図3においては1つのみを示している)、転送部53及びスリープ部55を制御する。制御部54は、受信した印刷指令がセキュア印刷であると認証判断部51が判断したとき、操作パネル61を介してユーザが入力した認証情報が所定の情報を具備していると認証判断部51が判断するまで待機し、その後、操作パネル61を介してユーザが認証情報を入力し、当該認証情報が所定の情報を具備していると認証判断部51が判断したとき、用紙Pが所定の搬送速度で搬送されるように搬送機構20を制御しつつ、セキュア印刷に係る画像データの画像が用紙Pに印刷されるように、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データを各インクジェットヘッド2に送信して、当該駆動データに基づいて各インクジェットヘッド2を駆動させる。そして、制御部54は、用紙Pに対する印刷が完了した後に、画像処理作業メモリ46に記憶された当該駆動データ及びメインメモリ43に退避された当該駆動データを削除する。
【0036】
一方、制御部54は、受信した印刷指令が通常印刷であると認証判断部51が判断したとき、用紙Pが所定の搬送速度で搬送されるように搬送機構20を制御しつつ、通常印刷に係る画像データの画像が用紙Pに印刷されるように、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データを各インクジェットヘッド2に送信して、当該駆動データに基づいて各インクジェットヘッド2を駆動させる。
【0037】
また、制御部54は、スリープ部55がスリープモードを開始することを決定したとき、スリープ開始信号を電源部47に出力するに先だって、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データが圧縮されつつメインメモリ43に退避されるように、転送部53を制御する。そして、制御部54は、スリープ部55がスリープモードの解除を決定して電源部47へのスリープ終了信号の出力又はスリープ開始信号の出力停止後に、メインメモリ43に退避されている圧縮された駆動データが解凍されつつ画像処理作業メモリ46に復帰されるように、転送部53を制御する。
【0038】
制御部54は、画像処理作業メモリ46に新たに記憶された駆動データを退避させる空き領域がメインメモリ43に存在しないときは、ステータス記憶部44を参照し、メインメモリ43に先に記憶されたセキュア印刷に係る駆動データのうち、退避時刻からの経過時間が最大記憶時間を超えている駆動データをメインメモリ43から削除する。その後、新たな駆動データが圧縮されつつメインメモリ43に退避されるように、転送部53を制御する。このとき、メインメモリ43に記憶された駆動データが削除されたことがステータス記憶部44に記憶される。
【0039】
以下、図4を参照しつつ、インクジェットプリンタ1の印刷動作について説明する。図4に示すように、受信部41が、クライアント端末71から送信された印刷指令を受信したか否かを判断する(S101)。受信部41が印刷指令を受信してないとき(S101:NO)、受信部41に先に受信された印刷指令についてユーザによる認証情報の入力待ちがあるか否かを判断する(S102)。ユーザによる認証情報の入力待ちでなければ(S102:NO)、受信部41が印刷指令を受信したか否かの判断に戻る(S101)。ユーザによる認証情報の入力待ちであれば(S102:YES)、認証判断部51が、ユーザに操作パネル61を介して認証情報が入力されたか否かを判断する(S108)。
【0040】
一方、受信部41が印刷指令を受信すると(S101:YES)、スリープ部55が、スリープモードとなっているか否かを判断し(S103)、スリープモードとなっていなければ(S103:NO)、制御部54が、受信部41が受信した画像データが画像処理作業メモリ46に記憶されるように、転送部53を制御する(S105)。スリープモードとなっていれば(S103:YES)、スリープ部55は、スリープモードの解除処理を開始し、電源部47へのスリープ終了信号の出力又はスリープ開始信号の出力停止を行う。これにより、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46に電力の供給が開始される(S104)。
【0041】
そして、制御部54が、受信部41が受信した画像データが画像処理作業メモリ46に記憶されるように、転送部53を制御する(S105)。画像処理CPU45は、画像処理作業メモリ46に記憶された画像データを、駆動データに変換する。これにより、画像処理作業メモリ46に駆動データが記憶される(S106)。
【0042】
そして、認証判断部51が受信した印刷指令がセキュア印刷か通常印刷かを判断する(S107)。受信した印刷指令が通常印刷であれば(S107:NO)、制御部54は、用紙Pが所定の搬送速度で搬送されるように搬送機構20を制御しつつ、通常印刷に係る画像データの画像が用紙Pに印刷されるように、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データを各インクジェットヘッド2に送信して、当該駆動データに基づいて各インクジェットヘッド2を駆動させる。(S118)。
【0043】
受信した印刷指令がセキュア印刷であれば(S107:YES)、認証判断部51は、ユーザに操作パネル61を介して認証情報が入力されたか否かを判断する(S108)。認証情報が入力されていなければ(S108:NO)、スリープ部55が、スリープモードとなっているか否かを判断する(S109)。スリープモードとなっていれば(S109:YES)、受信部41が印刷指令を受信したか否かの判断に戻る(S101)。スリープモードとなっていなければ(S109:NO)、スリープ部55が、インクジェットプリンタ1に対するユーザの操作やデータの送信が最後に行われてから所定時間が経過したときに、省電力を図るスリープモードを開始することを決定する(S110)。スリープ部55がスリープモードを開始しないときは(S110:NO)、受信部41が印刷指令を受信したか否かの判断に戻る(S101)。
【0044】
スリープ部55がスリープモードを開始することを決定すると(S110:YES)、制御部54は、画像処理作業メモリ46に新たに記憶された駆動データを退避させる空き領域がメインメモリ43に存在するか否かを判断する(S111)。制御部54は、空き領域が存在すれば(S111:YES)、スリープ開始処理を開始し、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データが圧縮されつつメインメモリ43に退避されるように、転送部53を制御した後に、スリープ部55が、スリープ開始信号を電源部47に出力する。これにより、スリープモードが開始され、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46に供給される電力のみが完全に遮断される(S115)。
【0045】
一方、制御部54は、空き領域が存在しなければ(S111:NO)、ステータス記憶部44を参照し、メインメモリ43に先に記憶された駆動データのうち、退避時刻からの経過時間が最大記憶時間を超えている駆動データがあるか否かを判断する(S112)。制御部54は、最大記憶時間を超えている駆動データがなければ(S112:NO)、受信部41が印刷指令を受信したか否かの判断に戻る(S101)。制御部54は、最大記憶時間を超えている駆動データがあれば(S112:YES)、当該駆動データをメインメモリ43から削除する(S113)。このとき、メインメモリ43から先に記憶された駆動データを削除したことがステータス記憶部44に記憶される。その後、再度、画像処理作業メモリ46に新たに記憶された駆動データを退避させる空き領域がメインメモリ43に存在するか否かを判断する(S114)。空き領域が存在すれば(S114:YES)、制御部54が、スリープ開始処理を開始する(S115)。一方、制御部54は、空き領域が存在しなければ(S114:NO)、受信部41が印刷指令を受信したか否かの判断に戻る(S101)。スリープ開始処理によりスリープモードが開始されると(S115)、受信部41が印刷指令を受信したか否かの判断に戻る(S101)。
【0046】
一方、セキュア印刷において認証情報が入力されていれば(S108:YES)、スリープ部55が、スリープモードとなっているか否かを判断し(S116)、スリープモードとなっていなければ(S116:YES)、制御部54は、用紙Pが所定の搬送速度で搬送されるように搬送機構20を制御しつつ、セキュア印刷に係る画像データの画像が用紙Pに印刷されるように、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データを各インクジェットヘッド2に送信して、当該駆動データに基づいて各インクジェットヘッド2を駆動させる(S118)。スリープモードとなっていれば(S116:YES)、スリープ解除処理を開始する。このとき、制御部54が、メインメモリ43に退避されている圧縮された駆動データが解凍されつつ画像処理作業メモリ46に復帰されるように、転送部53を制御する(S117)。そして、制御部54は、用紙Pが所定の搬送速度で搬送されるように搬送機構20を制御しつつ、セキュア印刷に係る画像データの画像が用紙Pに印刷されるように、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データを各インクジェットヘッド2に送信して、当該駆動データに基づいて各インクジェットヘッド2を駆動させる(S118)。制御部54は、用紙Pに対する印刷が完了した後に、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データ及びメインメモリ43に退避された駆動データを削除する(S119)。以上で、図4のフローチャートを終了する。
【0047】
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ1によると、セキュア印刷に係る認証を行う前にスリープモードが開始されることで画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46に供給される電力が制限されて、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データが消失しても、メインメモリ43に当該駆動データが残されているので、スリープモードが解除された後に当該駆動データについての画像記録が可能であり、セキュリティを高くしつつ省電力化を図ることができる。また、スリープモードが開始されるときにのみメインメモリ43に駆動データを退避させるため、メインメモリ43が無駄に使用されるのを抑制することができる。
【0048】
また、スリープモードが解除された後に駆動データをメインメモリ43から画像処理作業メモリ46に復帰させるため特別な処理を必要とせず当該駆動データについての画像記録が可能となる。
【0049】
また、メインメモリ43が揮発性メモリであるため、インクジェットプリンタの電源を切ったときに、メインメモリ43に退避された駆動データが消去される。これにより、セキュリティをさらに高くすることができる。
【0050】
さらに、スリープモードが開始されると、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46に供給される電力を完全に遮断するため、さらなる省電力化を図ることができる。
【0051】
加えて、圧縮された駆動データがメインメモリ43に退避されるため、メインメモリ43の容量を小さくすることができる。
【0052】
また、制御部54は、駆動データを退避させる空き領域がメインメモリ43に存在しないときは、退避時刻からの経過時間が最大記憶時間を超えている駆動データをメインメモリ43から削除した後に、当該駆動データをメインメモリ43に退避するため、新たな画像の印刷を優先的に行うことができる。
【0053】
さらに、不揮発性メモリであるステータス記憶部44に、退避時刻から最大記憶時間が経過することによって駆動データがメインメモリ43から削除されたことを示すログが記憶されるため、インクジェットプリンタ1の電源を切られたとしても、認証待ちの駆動データが削除されたことをユーザが知ることができる。
【0054】
さらに、ステータス記憶部44に記憶されたログを操作パネル61に表示、複数のクライアント端末71に通知する信号を送信することにより、認証待ちの駆動データが削除されたことをユーザが容易に知ることができる。
【0055】
加えて、用紙Pに対する印刷が完了するまで、メインメモリ43に退避された駆動データが削除されないため、用紙Pのジャムなどが発生して印刷が中断しても、その後、当該印刷をリトライすることができる。
【0056】
<第1変形例>
上述の実施形態においては、駆動データを退避させる空き領域がメインメモリ43に存在しないときは、退避時刻からの経過時間が最大記憶時間を超えている駆動データがメインメモリ43から削除された後に、駆動データがメインメモリ43に退避される構成であるが、この限りではない。例えば、第1変形例においては、駆動データに優先度を関連付け、図5に示すように、制御部は、駆動データを退避させる空き領域がメインメモリ43に存在しないときは(S111:NO)、メインメモリ43に記憶された駆動データのうち、優先度の低い順に当該優先度が関連付けられた駆動データを削除した後に(S201)、スリープ開始処理を開始する(S115)。これによると、印刷指令の優先度の高い画像の印刷を優先的に行うことができる。
【0057】
<第2変形例>
上述の実施形態及び第1変形例においては、受信した画像データを即座に駆動データに変換し、セキュア印刷においては、当該駆動データをメインメモリ43に退避させる構成であるが、画像データをメインメモリ43に退避させる構成であってもよい。例えば、第2変形例は、図6に示すように、制御部54が、受信部41が受信した画像データがメインメモリ43を経由して画像処理作業メモリ46に記憶されるように、転送部53を制御する(S105)。このとき、画像データはメインメモリ43が削除される。そして、スリープモードを開始するとき、制御部54が、画像処理作業メモリ46に記憶された画像データがメインメモリ43に退避されるように転送部53を制御した後に、スリープ部55が、スリープ開始信号を電源部47に出力する。これにより、スリープモードが開始され、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46に供給される電力のみが完全に遮断される(S301)。このとき、メインメモリ43に画像データを退避させる空き領域が存在していなければ(S111:NO)、スリープモードを開始することなく、受信部41が印刷指令を受信したか否かの判断に戻る(S101)。
【0058】
セキュア印刷においてスリープ解除処理を行うときは、制御部54が、メインメモリ43に退避されている画像データが画像処理作業メモリ46に復帰されるように、転送部53を制御する(S302)。そして、印刷を開始するとき、画像処理CPU45が、画像処理作業メモリ46に記憶された画像データを駆動データに変換して画像処理作業メモリ46に記憶させる(S303)、その後、制御部54が、用紙Pが所定の搬送速度で搬送されるように搬送機構20を制御しつつ、セキュア印刷に係る画像データの画像が用紙Pに印刷されるように、画像処理作業メモリ46に記憶された駆動データを各インクジェットヘッド2に送信して、当該駆動データに基づいて各インクジェットヘッド2を駆動させる(S118)。なお、上述の実施形態のように、画像データではなく駆動データをメインメモリ43に退避させる構成であってもよい。
【0059】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態では、受信部41が受信した画像データを認証入力が完了する前に、画像処理CPU45により駆動データに変換して使用する構成となっているが、いるが、認証入力が完了するまで画像データを駆動データに変換しない構成であってもよい。この場合、画像データをページ記述言語などで構成することにより、メモリに記憶されるデータ量を削減することが可能となる。また、上述の実施形態では、スリープモードが開始されるのに先立って、駆動データがメインメモリ43に退避される構成であるが、画像データがメインメモリ43に退避される構成であってもよい。この場合、スリープモードが解除された後に、画像処理作業メモリメモリ46に当該画像データを復帰させ、認証入力が完了し印刷を解する際に、当該画像データを駆動データに変換すればよい。
【0060】
さらに、上述の実施形態では、メインメモリ43が揮発性メモリであるが、メインメモリ43は不揮発性メモリであってもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では、スリープモード時にメインメモリ43に退避した駆動データを、スリープモードが解除された後に画像処理作業メモリ46に復帰させる構成であるが、画像処理作業メモリ46に復帰させない構成であってもよい。この場合、制御部54は、印刷時にメインメモリ43に記憶された駆動データを各インクジェットヘッド2に送信して、当該駆動データに基づいて各インクジェットヘッド2を駆動させることになる。
【0062】
また、上述の実施形態では、スリープモードが開始されると、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46に供給される電力を完全に遮断する構成であるが、スリープモードが開始されると、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46のいずれかのみに供給される電力が完全に遮断される構成であってもよいし、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46の少なくともいずれかに供給する電力を完全に遮断されない範囲で制限する構成であってもよい。例えば、画像処理CPU45が、一部の機能部のみが動作させるスリープ機能を有している場合、画像処理CPU45のスリープ機能を使用する構成であってもよい。具体的には、画像処理作業メモリ46のリフレッシュ動作を停止すると共に、画像処理CPU45の動作も停止させるスリープ機能を使用してもよい。この場合、メインCPU42からの復帰割込信号の入力だけを監視する低消費電力状態となっており、電源を切る場合と比較して高速に復帰可能である。
【0063】
さらに、上述の実施形態では、スリープモードを開始するに先立って、転送部53が、駆動データを圧縮しつつメインメモリ43に退避させる構成であるが、転送部は、駆動データを圧縮することなくメインメモリ43に退避させる構成であってもよい。
【0064】
上述の実施形態では、画像処理作業メモリ46に新たに記憶された駆動データを退避させる空き領域がメインメモリ43に存在しないときは、スリープモードが開始されない構成であるが、当該空き領域が確保されるまで、メインメモリ43に先に記憶されたセキュア印刷に係る駆動データをメインメモリ43から削除してもよい。この場合に、退避時刻からの経過時間が長い順に駆動データを削除してもよい。
【0065】
加えて、上述の実施形態では、不揮発性メモリであるステータス記憶部44に、駆動データがメインメモリ43から削除されたことを示すログが記憶される構成であるが、当該ログは、メインメモリ43に記憶させてもよいし、記憶させなくてもよい。
【0066】
また、上述の実施形態では、用紙Pに対する印刷が完了するまで、メインメモリ43に退避された駆動データが削除されない構成であるが、メインメモリ43に退避された駆動データが、スリープモードが解除されると同時に削除される構成であってもよい。
【0067】
加えて、上述の実施形態では、受信部41が、LAN3を介して画像データ(印刷指令)を受信する構成であるが、インクジェットプリンタが別途備えたメモリーカードリーダなど他の装置を介して入力された画像データを受信する構成であってもよい。
【0068】
上述の実施形態では、操作パネル61にタッチパネルディスプレイが配置された構成であるが、操作パネル61は、タッチパネルディスプレイに限らず、スイッチやボタン等の入力形態であってもよい。
【0069】
上述の実施形態においては、メインCPU42及びメインメモリ43を含むメイン処理部と、画像処理CPU45及び画像処理作業メモリ46を含む画像処理部とが異なる基板上に構成されていてもよいし、同一の基板上に構成されていてもよい。
【0070】
本発明は、インク以外の液体を吐出する液体吐出装置にも適用可能である。また、レーザプリンタにも適用可能である。さらに、プリンタに限定されず、画像記録を行う他の装置、例えば、ファクシミリやコピー機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 インクジェットプリンタ
2 インクジェットヘッド
16 制御装置
41 受信部
42 メインCPU
43 メインメモリ
44 ステータス記憶部
45 画像処理CPU
46 画像処理作業メモリ
47 電源部
51 認証判断部
52 データ変換部
53 転送部
54 制御部
55 スリープ部
61 操作パネル
71 クライアント端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を記録する記録手段と、
外部から送信される画像に係る画像データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記画像データを、前記記録手段を駆動するための駆動データに変換するための演算を行う演算手段と、
前記演算手段により変換された前記駆動データ又は前記画像データが記憶される揮発性メモリである第1メモリと、
前記画像データ又は前記駆動データに係る認証情報が入力される入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記認証情報が所定の情報を具備しているか否かの判断を行う認証判断手段と、
前記駆動データ又は前記画像データを記憶する第2メモリと、
前記第1メモリと前記第2メモリとの間で前記駆動データ又は前記画像データの転送を行う転送手段と、
前記演算手段及び前記第1メモリに対する電力の供給を制限する制限手段と、
前記記録手段、前記転送手段及び前記制限手段を制御する制御手段と、を備えた画像記録装置であって、
前記制御手段は、前記認証情報が所定の情報を具備していると前記認証判断手段が判断した後に、前記第1メモリに記憶された前記駆動データ、又は前記第1メモリに記憶された前記画像データを前記演算手段により変換した前記駆動データに基づいて、記録媒体に前記画像が記録されるように前記記録手段を制御し、且つ、前記認証情報が所定の情報を具備していると前記認証判断手段が判断する前に前記制限手段により前記電力の供給を制限する場合に、前記駆動データ又は前記画像データを前記第1メモリから前記第2メモリに転送させるよう前記転送手段を制御することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記制限手段による当該制限を解除したときに、前記第2メモリに記憶された前記駆動データ又は前記画像データを、前記第1メモリに転送させるよう前記転送手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記転送手段は、画像データ又は前記駆動データを圧縮及び解凍する機能をさらに有し、
前記制御手段は、前記第1メモリに記憶された前記画像データ又は前記駆動データが圧縮されつつ前記第2メモリに転送されるように、且つ、前記第2メモリに圧縮された状態で記憶された前記画像データ又は前記駆動データが解凍されつつ前記第1メモリに転送されるように、前記転送手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記第2メモリは、揮発性メモリであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制限手段は、前記演算手段及び前記第1メモリの少なくともいずれかに対する電力の供給を完全に遮断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記制限手段は、前記第1メモリに記憶された前記画像データ又は前記駆動データを記憶させる空き領域が前記第2メモリに存在しないときは、前記演算装置及び前記第1メモリに対する電力の供給を制限しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリに記憶させることができる最大記憶時間を記憶する最大記憶時間記憶手段をさらに備えており、
前記制御手段は、新たな前記画像データ又は前記駆動データを記憶させる空き領域が前記第2メモリに存在しないとき、前記第2メモリに記憶されてからの経過時間が、関連付けられた前記最大記憶時間を超えていれば、先に記憶された前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリから削除して、前記新たな前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリに転送させるよう前記転送手段を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記第2メモリが、前記画像データ又は前記駆動データと、その優先度とを記憶しており、
前記制御手段は、新たな前記画像データ又は前記駆動データを記憶させる空き領域が前記第2メモリに存在しないとき、前記画像データ又は前記駆動データに関連付けられた前記優先度の低い順に対応する前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリから削除して、前記新たな前記画像データ又は前記駆動データを前記第2メモリに転送させるよう前記転送手段を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項9】
不揮発性の第3メモリをさらに備えており、
前記制御手段は、前記第2メモリから前記画像データ又は前記駆動データを削除したことを前記第3メモリに記憶させることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記第3メモリに記憶された情報を表示する表示手段、又は、前記情報を外部に送信する送信手段をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記記録手段による画像の記録が完了するまで、前記第2メモリに記憶された前記画像データ又は前記駆動データを消去しないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項12】
記録媒体に画像を記録する記録手段、外部から送信される画像に係る画像データを受信する受信手段、前記受信手段により受信された前記画像データを、前記記録手段を駆動するための駆動データに変換するための演算を行う演算手段、前記演算手段により変換された前記駆動データ又は前記画像データが記憶される揮発性メモリである第1メモリ、前記画像データ又は前記駆動データに係る認証情報が入力される入力手段、前記入力手段によって入力された前記認証情報が所定の情報を具備しているか否かの判断を行う認証判断手段、前記駆動データ又は前記画像データを記憶する第2メモリ、前記第1メモリと前記第2メモリとの間で前記駆動データ又は前記画像データの転送を行う転送手段、及び、前記演算手段及び前記第1メモリに対する電力の供給を制限する制限手段を備えた画像記録装置において、前記記録手段、前記転送手段及び前記制限手段を制御する制御手段としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記制御手段は、前記認証情報が所定の情報を具備していると前記認証判断手段が判断した後に、前記第1メモリに記憶された前記駆動データ、又は前記第1メモリに記憶された前記画像データを前記演算手段により変換した前記駆動データに基づいて、記録媒体に前記画像が記録されるように前記記録手段を制御し、且つ、前記認証情報が所定の情報を具備していると前記認証判断手段が判断する前に前記制限手段により前記電力の供給を制限する場合に、前記駆動データ又は前記画像データを前記第1メモリから前記第2メモリに転送させるよう前記転送手段を制御することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−139885(P2012−139885A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293415(P2010−293415)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】