説明

発光素子付光導波路および光学式タッチパネル

【課題】発光素子からの入力主路の幅が狭く、複数の分岐路から出射される光線の強度が大きい発光素子付光導波路を提供する。
【解決手段】発光素子付光導波路10は、分岐点16が主路14の導光方向17に沿って順次設けられており、主路14は発光素子11から遠ざかるに従って幅が狭くなっている。この構造の発光素子付光導波路10は、隣り合う分岐路15の間にスペース(クラッド層)が無いため幅W1が狭くできる。また、分岐路15が短かいため光伝送効率が良く、出射される光の強度が大きい。出射される光の均一性は従来の発光素子付光導波路と同等以上となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子付光導波路およびそれを用いた光学式タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一つの発光素子から複数の光線を生成するために、分岐構造を有する光導波路が知られている(例えば特許文献1)。このような光導波路は、光学式タッチパネルの座標入力領域に光線を出射するために、好適に用いられる。しかし、従来の発光素子付光導波路は、幅が広く、出射される光線の強度が小さいという問題点があった。
【0003】
図6に、従来用いられている発光素子付光導波路60の一例を示す。図6に示すように、従来用いられている発光素子付光導波路60は、発光素子61からの光を均一に分配するために、複数の分岐点62が主路63の導光方向64に垂直な一直線上に設けられていた。この構造の発光素子付光導波路60は、隣り合う分岐路65の間にスペース(クラッド層)66があるため、幅W3が広かった。また、分岐路65が長いため光伝送効率が悪く、出射される光の強度が小さかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開2006/0188198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の発光素子付光導波路は、幅が広く、出射される光線の強度が小さいという問題点があった。本発明は、幅が狭く、かつ出射される光線の強度が大きい発光素子付光導波路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)本発明の発光素子付光導波路は、発光素子と、発光素子からの光を導いて複数の光線を生成するコアを含む光導波路とを有する発光素子付光導波路であって、コアは、主路と、主路から分岐点で分岐した複数の分岐路とを有し、分岐点は主路の導光方向に沿って順次設けられており、主路は発光素子から遠ざかるに従って幅が狭くなることを特徴とする。
(2)本発明の発光素子付光導波路は、コアがクラッド層に埋設されており、コアの屈折率がクラッド層の屈折率より高いことを特徴とする。
(3)本発明の発光素子付光導波路は、コアとクラッド層の最大屈折率差が、0.02〜0.2であることを特徴とする。
(4)本発明の発光素子付光導波路は、クラッド層がアンダークラッド層とオーバークラッド層とからなり、コアはアンダークラッド層上に形成され、オーバークラッド層により埋設されていることを特徴とする。
(5)本発明の発光素子付光導波路は、クラッド層の、光線の出射先端部の側断面形状が略1/4円弧状の凸レンズであることを特徴とする。
(6)本発明の光学式タッチパネルは、座標入力領域と、座標入力領域を横断する光線を生成する発光素子付光導波路と、座標入力領域を横断した光線を受光する受光側光導波路と、受光側光導波路で受光した光線の強度を検出する受光素子群とを備えた光学式タッチパネルであって、発光素子付光導波路が上記に記載の発光素子付光導波路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光素子付光導波路のコア(主路)の最大幅W1(図1)を、従来の発光素子付光導波路60の主路63の幅W3よりも、例えば50%以上狭くすることができ、かつ、出射される光線の強度を従来の発光素子付光導波路60の約10倍にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の発光素子付光導波路の一例の模式図
【図2】本発明の発光素子付光導波路の他の例の模式図
【図3】光学式タッチパネルの模式図
【図4】受光側光導波路の模式図
【図5】実施例の発光素子付光導波路の模式図
【図6】従来の発光素子付光導波路の模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の発光素子付光導波路]
図1に本発明の発光素子付光導波路10の一例を示す。図1に示すように、本発明の発光素子付光導波路10は、発光素子11と、発光素子11からの光を導いて複数の光線を生成するコア12を含む光導波路13とを有する。コア12は、主路14と、主路14から枝分かれした複数の分岐路15とを有し、分岐路15の端部から光線を出射する。各分岐路15が主路14から枝分かれする分岐点16は、主路14の導光方向17に沿って順次設けられており、主路14は発光素子11から遠ざかるに従って幅が狭くなる。主路14の形状は、主路14の導光方向17に延びた一辺14aと、それに対向する他の辺14bとのなす角度θが、好ましくは0.1°〜5°となるように設計される。
【0010】
図1に示すように、本発明に用いる発光素子付光導波路10は、分岐点16が主路14の導光方向17に沿って順次設けられており、主路14は発光素子11から遠ざかるに従って幅が狭くなる。この構造の発光素子付光導波路10は、隣り合う分岐路15の間に、従来の発光素子付光導波路60のスペース66(クラッド層)に相当する部分が無いため、主路14の幅W1を50%以上狭くできる。また、分岐路15が短かいため光伝送効率が良く、出射される光の強度が大きい。出射される光の均一性は従来の発光素子付光導波路60と比べて同等以上である。
【0011】
図2に、本発明の発光素子付光導波路20の他の例を示す。本発明の他の例の発光素子付光導波路20は、発光素子21と、発光素子21からの光を導いて複数の光線を生成するコア22を含む光導波路23とを有する。コア22は、主路24と、主路24から枝分かれした複数の分岐路25とを有し、分岐路25の端部から光線を出射する。各分岐路25が主路24から枝分かれする分岐点26は、主路24の導光方向27に沿って順次設けられており、主路24は発光素子21から遠ざかるに従って幅が狭くなる。
【0012】
本発明の一例の発光素子付光導波路10との違いは、主路24の形状において、主路24の導光方向27に延びた一辺24aと、それに対向する他の辺24bとが平行であることである。この形状によっても主路24の幅W2を狭くすることができる。
【0013】
[光学式タッチパネル]
図3に示すように、好ましい実施形態において、本発明の発光素子付光導波路は、光学式タッチパネル30の発光側光導波路31および発光素子34として用いられる。この光学式タッチパネル30は、座標入力領域32と、座標入力領域32を縦方向および横方向に横断する光線33を生成する発光素子34および発光側光導波路31と、座標入力領域32を横断した光線33を受光する受光側光導波路35と、受光側光導波路35で受光した光線33の強度を検出する受光素子群36とを備える。受光素子群36は複数の受光素子の集合体である。
【0014】
このような光学式タッチパネル30は、座標入力領域32を通過する光線33の一部が指やペンで遮断されると、受光素子群36に入る光の強度が低下する。これを検知することで、指やペンの座標位置が認識される。
【0015】
従来の発光素子付光導波路60を発光側光導波路31および発光素子34として用いた場合、例えば、対角サイズが10.4インチの光学式タッチパネル30で、3mm程度の解像度を得るためには、コアの主路63の幅W3は、約40本分の分岐路65と、各分岐路65間のスペース66とを合計した幅となる。
【0016】
一方、本発明の発光素子付光導波路10を用いた場合、コア12の主路14の幅W1は、最も広い位置で、約40本分の分岐路15の合計の幅なので、従来の発光素子付光導波路60より約50%狭くすることができる。
【0017】
[発光素子]
本発明に用いられる発光素子34は、光導波路31を通って座標入力領域32を横断する光線33を生成するものであれば、任意のものが用いられる。
【0018】
発光素子34は、好ましくは発光ダイオードまたは半導体レーザーであり、さらに好ましくはVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)である。VCSELは、基板面に対して垂直方向に光を共振させ、面と垂直方向に光を出射させることができるため、光伝送効率が高い。
【0019】
発光素子34から出射される光の波長は、好ましくは近赤外領域(700nm〜2500nm)のいずれかである。
【0020】
[発光素子付光導波路]
図1に示すように、本発明の発光素子付光導波路10に用いられる光導波路13は、発光素子11からの光を導いて複数の光線を生成するコア12を含む。コア12は、主路14と、主路14から分岐した複数の分岐路15とを有する。各分岐路15が主路14から分岐する分岐点16は、主路14の導光方向17に沿って順次設けられており、主路14は発光素子11から遠ざかるに従って幅が狭くなるように形成されている。
【0021】
コア12の主路14側の端部14cは、通常、発光素子11と光学的に結合(光結合)される。光結合方法は、特に制限はないが、例えば、発光素子11の光強度分布の中心位置がコア12の中心と一致するように調整する方法や、光路変換ミラーを用いる方法が挙げられる。光路変換ミラーは、例えばダイシング加工によるV溝である。
【0022】
コア12の主路14の最大幅W1は、光学式タッチパネル30のサイズや解像度にもよるが、例えば500μm〜5000μmである。主路14の幅W1は、発光素子11から遠ざかるに従って狭くなる。主路14の形状は、主路14の導光方向17に延びた一辺14aと、それに対向する他の辺14bとのなす角度θが、好ましくは0.1°〜5°となるように設計される。
【0023】
主路14から分岐する分岐路15の本数は、光学式タッチパネル30のサイズや解像度にもよるが、好ましくは30本〜500本であり、さらに好ましくは50本〜200本である。主路14の導光方向17に沿って設けられた、隣り合う分岐点16の間隔は、好ましくは100μm〜2000μmである。分岐路15の最大幅は、好ましくは10μm〜100μmである。
【0024】
コア12の、導光方向17に垂直な断面の形状は、特に制限はないが、パターニング性に優れた台形または矩形が好ましい。断面におけるコア12の高さ(コア12の厚み)は、好ましくは30μm〜100μmである。
【0025】
以上の構成の発光素子付光導波路10は、光線33の出射特性に優れている。
【0026】
コア12は、通常、クラッド層18に埋設されており、クラッド層18より屈折率の高い材料からなる。コア12を形成する材料は、好ましくはパターニング性に優れた紫外線硬化樹脂である。紫外線硬化樹脂としては、アクリル系紫外線硬化樹脂、エポキシ系紫外線硬化樹脂、シロキサン系紫外線硬化樹脂、ノルボルネン系紫外線硬化樹脂、ポリイミド系紫外線硬化樹脂などが挙げられる。
【0027】
クラッド層18は、通常、コア12よりも屈折率の低い材料からなる。クラッド層18の材料は、ガラス、シリコン、金属、樹脂などであり、特に制限はない。クラッド層18は単層でもよいし、多層でもよい。多層の場合は、通常、アンダークラッド層とオーバークラッド層とから形成される。クラッド層18の厚みtは、好ましくは5μm〜20μmである。
【0028】
コア12とクラッド層18との最大屈折率差は、好ましくは0.01以上であり、さらに好ましくは0.02〜0.2である。コア12およびクラッド層18を形成する樹脂の屈折率は、樹脂に導入する有機基の種類と含有量を変えることによって、適宜、大きく、または、小さくすることができる。例えば、環状芳香族性の基(フェニル基など)を樹脂分子中に導入するか、あるいは樹脂分子中の含有量を多くすることにより、屈折率を大きくすることができる。他方、例えば直鎖または脂肪族性の基(メチル基、ノルボルネン基など)を樹脂分子中に導入するか、あるいは樹脂分子中の含有量を多くすることにより、屈折率を小さくすることができる。
【0029】
光導波路13の構造は、プラズマを用いたドライエッチング法、転写法、露光・現像法、フォトブリーチ法などの、任意の方法により作製することができる。
【0030】
[座標入力領域]
本発明の光学式タッチパネル30において、座標入力領域32とは、発光側光導波路31から生成される光線33が横断する領域をいう。本発明の光学式タッチパネル30は、座標入力領域32を通過する光線33の一部を指やペンなどで遮ることにより、座標入力を行なう。
【0031】
座標入力領域32は、代表的には液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルの表示画面である。座標入力領域32の前面は、空間でもよいし、ガラスパネルやアクリル板を設けてもよい。ガラスパネルやアクリル板は表示画面の耐傷性を増す。ガラスパネルやアクリル板の表面には、アンチリフレクション(AR)処理やアンチグレア(AG)処理が施されていてもよい。
【0032】
[受光側光導波路]
図4に、本発明に用いられる受光側光導波路40の一例を示す。本発明に用いられる受光側光導波路40は、座標入力領域32を横断した光線33を受光するものであれば、特に制限はない。受光側光導波路40は、好ましくは図4に示すように、複数のコア41と、コア41を埋設するクラッド層42とを有する。受光側光導波路40は、コア41の一方の端部が座標入力領域32に向けて配置され、コア41の他方の端部は、複数の受光素子43と光学的に結合される。
【0033】
原理上、光導波路を用いた光学式タッチパネル30の解像度は、受光素子43と光学的に結合(光結合)する受光側光導波路40の、コア41の本数とピッチとによって決まる。このため、受光素子43と光結合するコア41は複数本必要である。
【0034】
しかし、発光側光導波路13は、座標入力領域32に平行光を出射できればよいため、発光素子11と光結合する端部14cにおいて、コア12は1本でよい。
【0035】
[受光素子]
本発明に用いられる受光素子43は、光信号を電気信号に変換し、受光側光導波路40で受光した光線33の強度を検出するものである。受光素子43により検出される光線33の波長は、好ましくは近赤外領域(700nm〜2500nm)のいずれかである。
【0036】
複数の受光素子43の集合体である受光素子群36の構造は、受光部(例えばフォトダイオード)を横一列に並べた一次元イメージセンサーが好ましい。このような受光素子群36としては、CMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーが挙げられる。
【0037】
[用途]
光学式タッチパネル30の用途は、特に制限はなく、パソコンモニター、ATM、券売機、ゲーム機、タブレットPC、OA機器、FA機器などに広く用いられる。
【実施例】
【0038】
[クラッド層形成用ワニスの調製]
・(成分A)脂環骨格を有するエポキシ系紫外線硬化樹脂(アデカ社製 EP4080E) 100重量部
・(成分B)光酸発生剤(サンアプロ社製CPI−200K) 2重量部
上記の成分を混合してクラッド層形成用ワニスを調製した。
【0039】
[コア形成用ワニスの調製]
・(成分C)フルオレン骨格を含むエポキシ系紫外線硬化樹脂(大阪ガスケミカル社製 オグソールEG) 40重量部
・(成分D)フルオレン骨格を含むエポキシ系紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製 EX−1040) 30重量部
・(成分E)1,3,3−トリス(4−(2−(3−オキセタニル)ブトキシフェニル)ブタン 30重量部(特開2007−070320実施例2に準じて合成)
・上記成分B 1重量部
・乳酸エチル 41重量部
上記の成分を混合してコア形成用ワニスを調製した。
【0040】
[発光素子付光導波路の作製]
厚み188μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムの表面に、上記のクラッド層形成用ワニスを塗布し、紫外線を1000mJ/cm照射し、次に80℃で5分間加熱処理をして、図5に示す、厚み20μmのアンダークラッド層51を得た。波長830nmにおける、アンダークラッド層51の屈折率は1.510であった。
【0041】
アンダークラッド層51の表面に、上記のコア形成用ワニスを塗布し、100℃で5分間乾燥処理をしてコア層を形成した。次に、所定のパターンが印刷されたフォトマスクをコア層に被せ(ギャップ100μm)、紫外線を2500mJ/cm照射し、さらに100℃で10分間加熱処理をした。
【0042】
次にコア層の紫外線未照射部分をγ−ブチロラクトン水溶液で溶解除去し、120℃で5分間加熱処理をして、コア52のパターンを形成した。コア52は主路53(最大幅W1=2030μm、高さ50μm)と、主路53の導光方向54に沿って順次枝分かれした70本の分岐路55(幅55μm、高さ50μm)とからなる。波長830nmにおける、コア52の屈折率は1.592であった。
【0043】
次に、コア52全体を覆うように凹型モールド(石英製)を配置し、凹型モールドの内部にクラッド層形成用ワニスを充填した。凹型モールドの表面から、紫外線を2000mJ/cm照射して、80℃で5分間加熱処理をし、凹型モールドを剥離した。これにより、図5に示すような、先端部56aの側断面形状がほぼ1/4円弧状の凸レンズ(曲率半径1.5mm)である、厚み1mmのオーバークラッド層56を形成した。波長830nmにおける、オーバークラッド層56の屈折率は1.510であった。
【0044】
次に、コア52の主路53の端部53cに、波長850nmの光を出射する発光素子57(オプトウェル社製 VCSELL)を、紫外線硬化樹脂を介して結合し、発光素子付光導波路50を作製した。
【0045】
図5に示すように、この発光素子付光導波路50に含まれるコア52は、主路53と、主路53から分岐した複数の分岐路55とを有する。主路53は、発光素子57に結合された端部53cから遠ざかるに従って、幅W1が狭くなるように形成されている。主路53の導光方向54に延びた一辺53aと、それに対向する他の辺53bとのなす角度θは、0.8°である。
【0046】
[受光側光導波路の作製]
フォトマスクを変更して、コア41を図4に示すような形状にした(分岐路を形成しなかった)こと以外は、実施例の発光素子付光導波路50と同様の方法で、受光側光導波路40を作製した。受光側光導波路40は、70本のコア41と、コア41を埋設するクラッド層42とを有する。
【0047】
[光学式タッチパネルの作製]
上記の発光素子付光導波路50と受光側光導波路40とを各2個ずつ準備した。各受光側光導波路40のコア41の末端には、複数の受光素子43(TAOS社製 CMOSリニアセンサーアレイ)を、紫外線硬化樹脂を介して結合した。これらの光導波路を、図3に示すように、対角サイズ10.4インチの座標入力領域32を囲むように配置して、光学式タッチパネル30を作製した。この光学式タッチパネル30は、座標入力領域32の光線を指で遮ると、座標認識が可能であった。
【0048】
[比較例]
フォトマスクを変更して、図6に示すような、主路63(合計幅W3=4885μm、高さ50μm)と、分岐点62が主路63の導光方向64に垂直な一直線上にある70本の分岐路65(幅55μm、高さ50μm、スペース66が15μm×69個)とを含むコアを形成した。それ以外は、実施例と同様の方法で、発光素子付光導波路60を作製した。この発光素子付光導波路60を用いたこと以外は、実施例と同様の方法で、光学式タッチパネル30を作製した。
【0049】
[評価]
表1は、実施例および比較例の発光素子付光導波路のコアの最大幅W1、W3と、それらを用いた光学式タッチパネル30の受光素子群36で検出した光強度の平均値(相対強度)を示す。
【0050】
【表1】

【0051】
[測定方法]
[屈折率]
クラッド層形成用ワニスとコア形成用ワニスを、それぞれシリコンウェハ上にスピンコートにより成膜して屈折率測定用サンプルを作製し、プリズムカプラー(サイロン社製)を用いて屈折率を測定した。
【0052】
[コア幅、コア高さ]
作製した光導波路をダイサー式切断機(DISCO社製 DAD522)を用いて断面切削し、切削面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製)で観察して、コア幅、コア高さを測定した。
【符号の説明】
【0053】
10 発光素子付光導波路
11 発光素子
12 コア
13 発光側光導波路
14 主路
14a 主路の一辺
14b 主路の他辺
14c 主路の端部
15 分岐路
16 分岐点
17 導光方向
18 クラッド層
20 発光素子付光導波路
21 発光素子
22 コア
23 光導波路
24 主路
24a 主路の一辺
24b 主路の他辺
25 分岐路
26 分岐点
27 導光方向
30 光学式タッチパネル
31 発光側光導波路
32 座標入力領域
33 光線
34 発光素子
35 受光側光導波路
36 受光素子群
40 受光側光導波路
41 コア
42 クラッド層
43 受光素子
50 発光素子付光導波路
51 アンダークラッド層
52 コア
53 主路
53a 主路の一辺
53b 主路の他辺
53c 主路の端部
54 導光方向
55 分岐路
56 オーバークラッド層
56a オーバークラッド層の先端部
57 発光素子
60 発光素子付光導波路
61 発光素子
62 分岐点
63 主路
64 導光方向
65 分岐路
66 スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子からの光を導いて複数の光線を生成するコアを含む光導波路とを有する発光素子付光導波路であって、
前記コアは、主路と、前記主路から分岐点で分岐した複数の分岐路とを有し、
前記分岐点は、前記主路の導光方向に沿って順次設けられており、
前記主路は、前記発光素子から遠ざかるに従って幅が狭くなることを特徴とする発光素子付光導波路。
【請求項2】
前記コアはクラッド層に埋設されており、前記コアの屈折率は、前記クラッド層の屈折率より高いことを特徴とする請求項1に記載の発光素子付光導波路。
【請求項3】
前記コアと前記クラッド層の最大屈折率差が、0.02〜0.2であることを特徴とする請求項2に記載の発光素子付光導波路。
【請求項4】
前記クラッド層がアンダークラッド層とオーバークラッド層とからなり、前記コアは前記アンダークラッド層上に形成され、前記オーバークラッド層により埋設されていることを特徴とする請求項2または3に記載の発光素子付光導波路。
【請求項5】
前記クラッド層の、前記光線の出射先端部の側断面形状が略1/4円弧状の凸レンズであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の発光素子付光導波路。
【請求項6】
座標入力領域と、
前記座標入力領域を横断する光線を生成する発光素子付光導波路と、
前記座標入力領域を横断した光線を受光する受光側光導波路と、
前記受光側光導波路で受光した光線の強度を検出する受光素子群とを備えた光学式タッチパネルであって、
前記発光素子付光導波路が、請求項1から5のいずれかに記載の発光素子付光導波路であることを特徴とする光学式タッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−169943(P2010−169943A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13044(P2009−13044)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】