発光装置、バックライト、照明装置および表示装置
【課題】光の取り出し効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を提供することにある。
【解決手段】棒状のn型GaNからなる半導体コア11と、上記半導体コア11の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層12とを有すると共に、半導体コア11の一部の外周面が露出した棒状構造発光素子10と、棒状構造発光素子10の長手方向が実装面に平行になるように棒状構造発光素子10が実装された絶縁性基板16とを備える。
【解決手段】棒状のn型GaNからなる半導体コア11と、上記半導体コア11の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層12とを有すると共に、半導体コア11の一部の外周面が露出した棒状構造発光素子10と、棒状構造発光素子10の長手方向が実装面に平行になるように棒状構造発光素子10が実装された絶縁性基板16とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光装置、バックライト、照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状構造発光素子としては、基板上部に平坦な第1極性層を形成した後、第1極性層上に発光する活性層に相当するナノオーダーサイズの複数のロッドを形成し、さらにロッドを包む第2極性層を形成するものがある(例えば、特開2006−332650号公報(特許文献1)参照)。この棒状構造発光素子は、活性層である複数のロッドから光が放出される。
【0003】
ところが、上記棒状構造発光素子を備えた発光装置は、基板上に複数のロッドが立設された状態では、ほとんどの光が側方に放射されて、隣接するロッドに吸収されてしまうため、光の取り出し効率が低下するという問題がある。また、上記棒状構造発光素子では、複数のロッドが基板上に立設されているため、放熱効率が悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−332650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、光の取り出し効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を提供することにある。
【0006】
また、この発明の課題は、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよいバックライトを提供することにある。
【0007】
また、この発明の課題は、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよい照明装置を提供することにある。
【0008】
また、この発明の課題は、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよい表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の発光装置は、
棒状の第1導電型の半導体コアと、上記半導体コアを覆うように形成された第2導電型の半導体層とを有すると共に、上記半導体コアの長手方向の一部において上記半導体コアの外周面が露出した棒状構造発光素子と、
上記棒状構造発光素子の長手方向が実装面に平行になるように上記棒状構造発光素子が実装された基板と
を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、棒状の第1導電型の半導体コアと、半導体コアを覆うように形成された第2導電型の半導体層とを有すると共に、半導体コアの一部の外周面が露出した棒状構造発光素子を、その棒状構造発光素子の長手方向が基板の実装面に平行になるように基板に実装する。この棒状構造発光素子は、半導体コアの露出部分に一方の電極を接続し、半導体層に他方の電極を接続して、半導体コアの外周面と半導体層の内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きるように電極間に電流を流すことにより、pn接合部すなわち半導体コアの全周から光が放出される。これにより、上記棒状構造発光素子は、発光領域が広くなるので、発光効率が高い。また、上記棒状構造発光素子の長手方向が基板の実装面に平行になるように基板に実装された棒状構造発光素子は、半導体層の外周面と基板の実装面とが接触するので、棒状構造発光素子で発生した熱を半導体層から基板に効率よく放熱することができる。したがって、発光効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を実現できる。また、上記発光装置では、基板上に棒状構造発光素子を横倒しに配置しているので、基板を含めた厚さを薄くできる。上記発光装置において、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子を用いることにより、使用する半導体の量を少なくでき、この発光装置を用いて薄型化と軽量化が可能なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
【0011】
また、一実施形態の発光装置では、
上記基板上に所定の間隔をあけて電極が形成され、
上記基板上の上記一方の電極に上記棒状構造発光素子の上記半導体コアの露出部分が接続されると共に、上記基板上の上記他方の電極に上記棒状構造発光素子の上記半導体層が接続されている。
【0012】
また、一実施形態の発光装置では、
上記棒状構造発光素子は、上記半導体層と電気的に接続され、上記半導体層を覆うように形成された透明電極をさらに有する。
【0013】
上記実施形態によれば、半導体層を覆うように透明電極を形成することによって、半導体層を透明電極を介して電極に接続することにより、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、透明電極を介した広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。
【0014】
また、一実施形態の発光装置では、
上記半導体コアの一端側の外周面が露出している。
【0015】
上記実施形態によれば、半導体コアの一端側の外周面が露出していることによって、半導体コアの一端側の外周面の露出部分に一方の電極を接続し、半導体コアの他端側の半導体層に電極を接続することが可能となり、両端に電極を離して接続でき、半導体層に接続する電極と半導体コアの露出部分が短絡するのを容易に防止できる。
【0016】
また、一実施形態の発光装置では、
上記半導体コアの他端側の端面を上記半導体層により覆っている。
【0017】
上記実施形態によれば、半導体コアの他端側の端面を半導体層により覆っていることにより、半導体コアの露出領域と反対の側の端面を覆う半導体層の部分に、半導体コアと短絡させることなく電極を容易に接続できる。これにより、微細な棒状構造発光素子の両端に電極を容易に接続することが可能となる。
【0018】
また、一実施形態の発光装置では、
上記半導体コアの露出領域の外周面が、上記半導体層に覆われた領域の最外周面の延長面と略一致している。
【0019】
上記実施形態によれば、半導体コアの露出領域の外周面が、半導体層に覆われた領域の最外周面の延長面と略一致していることによって、微細な棒状構造発光素子を、電極が形成された絶縁性基板上に基板平面に対して長手方向が平行になるように実装するとき、半導体層の外周面と半導体コアの外周面の露出部分との間に段差がないので、半導体コアの露出部分と電極とを確実かつ容易に接続することが可能となる。
【0020】
また、一実施形態の発光装置では、
上記棒状構造発光素子の上記半導体コアと上記半導体層との間に量子井戸層を形成した。
【0021】
上記実施形態によれば、半導体コアと半導体層との間に量子井戸層を形成することによって、量子井戸層の量子閉じ込め効果により発光効率をさらに向上できる。
【0022】
また、一実施形態の発光装置では、
上記棒状構造発光素子の上記透明電極上かつ上記基板側に金属層を形成した。
【0023】
上記実施形態によれば、透明電極上かつ基板側に形成された金属層によって、棒状構造発光素子から基板側に放射された光を金属層により反射するので、光の取り出し効率が向上する。
【0024】
また、一実施形態の発光装置では、
上記基板上の上記電極間かつ上記棒状構造発光素子の下側に金属部を形成した。
【0025】
上記実施形態によれば、基板上に所定の間隔をあけて形成された電極間に棒状構造発光素子の一端側の露出部分と他端側の半導体層を接続し、基板上の電極間かつ棒状構造発光素子の下側に金属部を形成することによって、両端が電極に接続された棒状構造発光素子の中央側を金属部の表面に接触させて支えるので、両持ちの棒状構造発光素子が撓むことなく、金属部により支持されると共に、棒状構造発光素子で発生した熱を半導体層から金属部を介して基板に効率よく放熱することができる。
【0026】
また、この発明のバックライトでは、
上記のいずれか1つの発光装置を備えたことを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよいバックライトを実現できる。また、上記発光装置に微細な棒状構造発光素子を用いることにより、使用する半導体の量を少なくでき、薄型化と軽量化を実現できる。
【0028】
また、この発明の照明装置では、
上記のいずれか1つの発光装置を備えたことを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよい照明装置を実現できる。また、上記発光装置に微細な棒状構造発光素子を用いることにより、使用する半導体の量を少なくでき、薄型化と軽量化を実現できる。
【0030】
また、この発明の表示装置では、
上記のいずれか1つの発光装置を備えたことを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよい表示装置を実現できる。また、上記発光装置に微細な棒状構造発光素子を用いることにより、使用する半導体の量を少なくでき、薄型化と軽量化を実現できる。
【発明の効果】
【0032】
以上より明らかなように、この発明の発光装置によれば、光の取り出し効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を実現することができる。
【0033】
また、この発明のバックライトによれば、発光効率が高く省電力な放熱性のよいバックライトを実現することができる。
【0034】
また、この発明の照明装置によれば、発光効率が高く省電力な放熱性のよい照明装置を実現することができる。
【0035】
また、この発明の表示装置によれば、発光効率が高く省電力な放熱性のよい表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の発光装置の斜視図である。
【図2】図2はこの発明の第2実施形態の発光装置の斜視図である。
【図3】図3はこの発明の第3実施形態の発光装置の斜視図である。
【図4】図4はこの発明の第4実施形態の発光装置の斜視図である。
【図5】図5はこの発明の第5実施形態の発光装置の側面図である。
【図6】図6はこの発明の第6実施形態の発光装置の側面図である。
【図7】図7は上記発光装置の断面図である。
【図8】図8は上記発光装置の他の例の断面図である。
【図9】図9は上記発光装置の他の例の断面図である。
【図10】図10はこの発明の第7実施形態の発光装置の側面図である。
【図11】図11は上記発光装置の斜視図である。
【図12】図12はバックライト、照明装置および表示装置に用いる発光装置の絶縁性基板の平面図である。
【図13】図13は図12のXIII−XIII線から見た断面模式図である。
【図14】図14は上記棒状構造発光素子を配列する原理を説明する図である。
【図15】図15は上記棒状構造発光素子を配列するときに電極に与える電位を説明する図である。
【図16】図16は上記棒状構造発光素子を配列した絶縁性基板の平面図である。
【図17】図17は上記表示装置の平面図である。
【図18】図18は上記表示装置の表示部の要部の回路図である。
【図19】図19はこの発明の第8実施形態の発光装置の平面図である。
【図20】図20は上記発光装置の斜視図である。
【図21】図21は上記発光装置において、隣接する棒状構造発光素子が逆向きの状態の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明の発光装置、バックライト、照明装置および表示装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0038】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の発光装置の斜視図を示している。この第1実施形態の発光装置は、図1に示すように、絶縁性基板16と、絶縁性基板16上に長手方向が絶縁性基板16の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子10とを備えている。上記棒状構造発光素子10は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア11と、上記半導体コア11の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層12とを有する。上記半導体コア11は、一端側の外周面が露出する露出部分11aが形成されている。また、半導体コア11の他端側の端面は、半導体層12に覆われている。
【0039】
上記棒状構造発光素子10の長手方向が絶縁性基板16の実装面に平行になるように絶縁性基板16に実装された棒状構造発光素子10は、半導体層12の外周面と絶縁性基板16の実装面とが接触しているので、棒状構造発光素子10で発生した熱を半導体層12から絶縁性基板16に効率よく放熱することができる。したがって、複数配置しても隣接する棒状発光素子に吸収されにくく、立設された従来技術に比べ光の取り出し効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を実現することができる。また、上記発光装置では、絶縁性基板16上に棒状構造発光素子10を横倒しに配置しているので、絶縁性基板16を含めた厚さを薄くできる。
【0040】
上記棒状構造発光素子10は、次のように製造する。
【0041】
まず、n型GaNからなる基板上に、成長穴を有するマスクを形成する。マスクには、酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)など半導体コア11および半導体層12に対して選択的にエッチング可能な材料を用いる。成長穴の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。
【0042】
次に、マスクの成長穴により露出した基板上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア11を形成する。MOCVD装置の温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH3)を、さらにキャリアガスとして水素(H2)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNの半導体コアを成長させることができる。この際、成長する半導体コア11の直径は、上記マスクの成長穴の径で決めることができる。成長したn型GaNは、六方晶系の結晶成長となり、基板表面に対して垂直方向をc軸方向にして成長させることにより、六角柱形状の半導体コアが得られる。
【0043】
次に、棒状の半導体コア11を覆うように基板全面にp型GaNからなる半導体層を形成する。MOCVD装置の温度を960℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることによってマグネシウム(Mg)を不純物とするp型GaNを成長させることができる。
【0044】
次に、リフトオフにより半導体コアを覆う半導体層の部分を除く領域とマスクを除去して、棒状の半導体コア11の基板側の外周面を露出させて露出部分11aを形成する。この状態で、上記半導体コア11の基板と反対の側の端面は、半導体層12により覆われている。マスクが酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、容易に半導体コアおよび半導体コアを覆う半導体層部分に影響を与えずにマスクをエッチングすることができ、マスクとともにマスク上の半導体コアを覆う半導体層の部分を除く領域をリフトオフにより除去することができる。この実施形態においては、除去されたマスクの膜厚によって、半導体コア11の露出部分11aの長さが決まる。この実施形態の露出工程では、リフトオフを用いたがエッチングにより半導体コアの一部を露出させてもよい。
【0045】
次に、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板を浸し、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板を基板平面に沿って振動させることにより、基板上に立設する半導体コア11の基板側に近い根元を折り曲げるように、半導体層12に覆われた半導体コア11に対して応力が働いて、半導体層12に覆われた半導体コア11が基板から切り離される。
【0046】
こうして、n型GaNからなる基板から切り離なされた微細な棒状構造発光素子を製造することができる。n型GaNからなる基板から切り離なされた棒状構造発光素子はIPA水溶液中に分散した状態で得られるので、この分散液を絶縁性基板16の実装面に塗布して、乾燥させることで、絶縁性基板16の実装面に平行になるように配置することができる。
【0047】
さらに、上記棒状構造発光素子は、半導体層12が半導体コア11の外周面から半径方向外向に結晶成長し、径方向の成長距離が短くかつ欠陥が外向に逃げるため、結晶欠陥の少ない半導体層12により半導体コア11を覆うことができる。したがって、特性の良好な棒状構造発光素子を実現することができる。
【0048】
上記構成の棒状構造発光素子によれば、棒状のn型GaNからなる半導体コア11を覆うように、かつ、半導体コア11の一部の外周面が露出するようにp型GaNからなる半導体層12を形成することによって、マイクロオーダーサイズやナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子であっても、半導体コア11の露出部分11aをn側電極に接続し、半導体コア11を覆う半導体層12の部分にp側電極を接続することが可能となる。この棒状構造発光素子は、半導体コア11の露出部分11aにn側電極を接続し、半導体層12にp側電極を接続して、半導体コア11の外周面と半導体層12の内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きるようにp側電極からn側電極に電流を流すことにより、pn接合部から光が放出される。この棒状構造発光素子では、半導体層12で覆われた半導体コア11の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高い。したがって、簡単な構成で電極接続が容易にできる発光効率の高い微細な棒状構造発光素子を実現することができる。また、上記棒状構造発光素子は、基板と一体でないので、装置への実装の自由度が高い。
【0049】
ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ20μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子である。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
【0050】
また、上記半導体コア11の半導体層12に覆われた領域の外周面と半導体コア11の露出領域の外周面とが連続していることによって、半導体コア11の露出領域が半導体層12の外径よりも細くなっているので、製造工程において基板上に立設するように形成された半導体コア11の露出領域の基板側で折れやすくなり、製造が容易になる。
【0051】
また、上記半導体コア11の一端側の外周面が、例えば5μm程度露出していることによって、リフトオフ法やナノインプリント法など通常の加工精度を有する公知の半導体プロセスを用いて、容易に半導体コア11の一端側の外周面の露出部分11aに一方の電極(配線)を接続し、半導体コア11の他端側の半導体層12に電極(配線)を接続することが可能となり、両端に電極を離して接続でき、半導体層12に接続する電極と半導体コア11の露出部分が短絡するのを容易に防止することができる。
【0052】
また、上記半導体コア11の他端側の端面を半導体層12により覆っていることにより、半導体コア11の露出部分11aと反対の側の端面を覆う半導体層12の部分に、半導体コア11と短絡させることなく電極を容易に接続できる。これにより、微細な棒状構造発光素子の両端に電極を容易に接続することが可能となる。
【0053】
また、上記半導体コア11の半導体層12に覆われた領域の外周面と半導体コア11の露出領域の外周面とが連続していることによって、半導体コア11の露出領域が半導体層12の外径よりも細くなっているので、製造工程において基板上に立設するように形成された半導体コア11の露出領域の基板側で折れやすくなり、製造が容易になる。
【0054】
〔第2実施形態〕
図2はこの発明の第2実施形態の発光装置の斜視図を示している。この第2実施形態の発光装置は、図2に示すように、絶縁性基板26と、絶縁性基板26上に長手方向が絶縁性基板26の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子20とを備えている。上記棒状構造発光素子20は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア21と、上記半導体コア21の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層22と、上記量子井戸層22を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層23とを有する。上記半導体コア21は、一端側の外周面が露出する露出部分21aが形成されている。また、半導体コア21の他端側の端面は、量子井戸層22と半導体層23に覆われている。
【0055】
上記第2実施形態の発光装置では、第1実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同様に、MOCVD装置を用いて、n型GaNからなる基板上にn型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア21を形成する。
【0056】
上記第2実施形態の発光装置は、第1実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0057】
また、上記半導体コア21と半導体層23との間に量子井戸層22を形成することによって、量子井戸層22の量子閉じ込め効果により発光効率をさらに向上できる。MOCVD装置内で前述のようにn型GaNの半導体コア21を成長させた後、発光波長に応じて設定温度を600℃から800℃に変更し、キャリアガスに窒素(N2)、成長ガスにTMGおよびNH3、トリメチルインジウム(TMI)を供給することで、n型GaNの半導体コア21上にInGaN量子井戸層22を形成することができる。その後、さらに設定温度を960℃にし、前述のように、成長ガスとしてTMGおよびNH3を使用し、p型不純物供給用にCp2Mgを用いることによってp型GaNからなる半導体層23を形成することができる。なお、この量子井戸層は、InGaN層とp型GaN層の間に電子ブロック層としてp型AlGaN層を入れてもよい、また、GaNの障壁層とInGaNの量子井戸層を積層した多重量子井戸構造であってもよい。
【0058】
〔第3実施形態〕
図3はこの発明の第3実施形態の発光装置の斜視図を示している。この第3実施形態の発光装置は、図3に示すように、絶縁性基板36と、絶縁性基板36上に長手方向が絶縁性基板36の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子30とを備えている。上記棒状構造発光素子30は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア31と、上記半導体コア31の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層32と、上記半導体層32を覆うように形成された透明電極33とを備えている。上記半導体コア31は、一端側の外周面が露出する露出部分31aが形成されている。また、半導体コア31の他端側の端面は、半導体層32と透明電極33に覆われている。上記透明電極33は、膜厚200nmのITO(錫添加酸化インジウム)により形成されている。MOCVD装置でp型GaNからなる半導体層32まで形成した後、n型GaNからなる基板ごとMOCVD装置から蒸着装置、あるいはスパッタ装置に移して半導体層32を覆うようにITOを成膜する。ITO膜の成膜後、500℃から600℃で熱処理を行うことにより、p型GaNからなる半導体層32とITOからなる透明電極33間の抵抗を下げることができる。なお、透明電極は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。Ag/Niの積層金属膜の成膜には蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。より電極層の抵抗を下げるために、上記ITOを成膜後にAg/Niの積層金属膜を積層してもよい。
【0059】
上記透明電極34の半導体コア31の露出部分31aと反対の側の端に電極(または配線)を接続することにより、その電極と半導体コア31とが短絡するのを容易に防止できると共に、透明電極34に接続される電極(または配線)を太くできるので、電極(または配線)を介して熱を効率よく放熱できる。
【0060】
また、上記棒状構造発光素子30は、半導体コア31の露出部分31aにn側電極(図示せず)を接続し、他端側の透明電極34にp側電極(図示せず)を接続している。p側電極が透明電極34の端に接続されているので、発光領域を電極で遮る面積を最小限にでき、光の取り出し効率を高めることができる。
【0061】
上記第3実施形態の棒状構造発光素子では、第1実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同様に、MOCVD装置を用いて、n型GaNからなる基板上にn型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア31を形成する。
【0062】
上記第3実施形態の発光装置は、第1実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0063】
また、上記半導体層32を覆うように透明電極33を形成することによって、半導体層32を透明電極33を介して電極に接続することにより、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。特に、n型半導体からなる半導体コアとp型半導体からなる半導体層の構成では、p型半導体からなる半導体層が不純物濃度を上げにくく抵抗が大きいため電極接続部分に電流が集中しやすいが、透明電極により広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。
【0064】
〔第4実施形態〕
図4はこの発明の第4実施形態の発光装置の斜視図を示している。この第4実施形態の発光装置は、図4に示すように、絶縁性基板46と、絶縁性基板46上に長手方向が絶縁性基板46の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子40とを備えている。上記棒状構造発光素子40は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア41と、上記半導体コア41の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層42と、上記量子井戸層42を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層43と、上記半導体層43を覆うように形成された透明電極44とを備えている。上記半導体コア41は、一端側の外周面が露出する露出部分41aが形成されている。また、半導体コア41の他端側の端面は、量子井戸層42と半導体層43と透明電極44に覆われている。上記透明電極43は、ITO(錫添加酸化インジウム)により形成されている。なお、透明電極は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。
【0065】
上記透明電極44の半導体コア41の露出部分41aと反対の側の端に電極(または配線)を接続することにより、その電極が半導体コア41側と短絡するのを容易に防止できると共に、透明電極44に接続される電極(または配線)を太く、あるいは断面積を大きくできるので、電極(または配線)を介して熱を効率よく放熱できる。
【0066】
また、上記棒状構造発光素子40は、半導体コア41の露出部分41aにn側電極(図示せず)を接続し、他端側の透明電極44にp側電極(図示せず)を接続している。p側電極が透明電極の端に接続されているので、発光領域を電極で遮る面積を最小限にでき、光の取り出し効率を高めることができる。
【0067】
上記第4実施形態の棒状構造発光素子では、第1実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同様に、MOCVD装置を用いて、n型GaNからなる基板上にn型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア21を形成する。
【0068】
上記第4実施形態の発光装置は、第2実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0069】
また、上記半導体層43を覆うように透明電極44を形成することによって、半導体層43を透明電極44を介してp側電極に接続することにより、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。特に、n型半導体からなる半導体コアとp型半導体からなる半導体層の構成では、p型半導体からなる半導体層が不純物濃度を上げにくく抵抗が大きいため電極接続部分に電流が集中しやすいが、透明電極により広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。
【0070】
〔第5実施形態〕
図5はこの発明の第5実施形態の発光装置の側面図を示している。この第5実施形態の発光装置は、図5に示すように、絶縁性基板56と、絶縁性基板56上に長手方向が絶縁性基板56の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子50とを備えている。上記棒状構造発光素子50は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア51と、上記半導体コア51の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層52と、上記半導体層52を覆うように形成された透明電極53とを備えている。上記半導体コア51は、一端側の外周面が露出する露出部分51aが形成されている。上記透明電極53上かつ絶縁性基板56側にAlからなる金属層54を形成している。上記金属層54は、透明電極53の外周面の下側略半分を覆っている。また、半導体コア51の他端側の端面は、半導体層52と透明電極53に覆われている。上記透明電極53は、ITOにより形成されている。なお、透明電極は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。また、金属層54は、Alに限らず、Cu,W,Ag,Auなどを用いてもよい。上記第5実施形態の棒状構造発光素子では、第3実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同様に、MOCVD装置を用いて、n型GaNからなる基板上にn型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア51を形成し、同MOCVD装置内でp型GaNからなる半導体層52まで形成した後、蒸着装置に移して半導体層52を覆うようにITOからなる透明電極53を形成する。ITO膜の成膜後の500℃から600℃で熱処理を行った後、蒸着装置に移し、透明電極53を覆うようにAlを成膜する。次いで、上記第1実施形態と同様に、リフトオフにより半導体コアを覆う半導体層、透明電極、およびAl層、並びにマスクを取り除き、半導体コア51の一部を露出させた後、超音波を利用してn型GaNからなる基板から棒状構造発光素子を切り離す。そして、絶縁性基板56の実装面に棒状構造発光素子の長手方向が平行に配置する。さらに、異方性ドライエッチングにより、上記Alからなる金属層のうち、透明電極53上かつ絶縁性基板56側ではない部分をエッチバックすることで、透明電極53の外周面の下側略半分を覆う金属層54を形成することができる。Alからなる金属層のエッチバックは、半導体プロセスで使用する公知のAlのドライエッチング方法を使用することができる。
【0071】
上記第5実施形態の発光装置は、第3実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0072】
上記透明電極53上かつ絶縁性基板56側に形成された金属層54によって、棒状構造発光素子50から絶縁性基板56側に放射された光を金属層54により反射するので、光の取り出し効率が向上する。
【0073】
〔第6実施形態〕
図6はこの発明の第6実施形態の発光装置の側面図を示している。この第6実施形態の発光装置は、図6に示すように、絶縁性基板66と、絶縁性基板66上に長手方向が絶縁性基板66の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子60とを備えている。上記棒状構造発光素子60は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア61と、上記半導体コア61の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層62と、上記量子井戸層62を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層63と、上記半導体層63を覆うように形成された透明電極64とを備えている。上記半導体コア61は、一端側の外周面が露出する露出部分61aが形成されている。上記透明電極64上かつ絶縁性基板66側にAlからなる金属層65を形成している。上記金属層65は、透明電極64の外周面の下側略半分を覆っている。上記透明電極64は、ITOにより形成されている。なお、透明電極は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。また、金属層65は、Alに限らず、Cu,W,Ag,Auなどを用いてもよい。
【0074】
また、図7は上記発光装置の断面図を示しており、半導体コア61の他端側の端面は、量子井戸層62と半導体層63と透明電極64に覆われている。
【0075】
上記第6実施形態の発光装置は、第4実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0076】
上記透明電極64上かつ絶縁性基板66側に形成された金属層65によって、棒状構造発光素子60から絶縁性基板66側に放射された光を金属層65により反射するので、光の取り出し効率が向上する。
【0077】
上記第1〜第6実施形態では、Siをドープしたn型GaNとMgをドープしたp型GaNとを用いたが、GaNにドーピングする不純物はこれに限らない。n型ではGe、p型ではZnなどを用いることができる。
【0078】
また、上記第1〜第6実施形態では、断面がほぼ六角形の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子について説明したが、これに限らず、断面が円形または楕円の棒状であってもよいし、断面が三角形などの他の多角形状の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子にこの発明を適用してもよい。成長方向や成長温度などの成長条件に依存するが、成長させる半導体コアの直径が数10nmから数100nm程度の小さい場合に断面がほぼ円形に近い形状になりやすい傾向があり、直径が0.5μm程度から数μmに大きくなると断面がほぼ六角形で成長させることが容易になる傾向がある。
【0079】
例えば、図8に示すように、棒状構造発光素子70は、断面がほぼ円形の棒状のn型GaNからなる半導体コア71と、上記半導体コア71の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層72と、上記半導体層72を覆うように形成された透明電極73とを備えている。上記半導体コア71は、一端側の外周面が露出する露出部分71aが形成されている。上記透明電極73上かつ基板76側にAlからなる金属層74を形成している。また、半導体コア71の他端側の端面は、半導体層72と透明電極73に覆われている。
【0080】
また、図9に示すように、棒状構造発光素子80は、断面がほぼ円形の棒状のn型GaNからなる半導体コア81と、上記半導体コア81の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層82と、上記量子井戸層82を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層83と、上記半導体層83を覆うように形成された透明電極84とを備えている。上記半導体コア81は、一端側の外周面が露出する露出部分81aが形成されている。上記透明電極84上かつ基板86側にAlからなる金属層85を形成している。また、半導体コア81の他端側の端面は、量子井戸層82と半導体層83と透明電極84に覆われている。
【0081】
〔第7実施形態〕
図10はこの発明の第7実施形態の発光装置の側面図を示し、図11は上記発光装置の斜視図を示している。この第7実施形態では、上記第1〜第6実施形態の発光装置の棒状構造発光素子のいずれか1つを用いる。図11では、第2実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同一の構成の棒状構造発光素子を示している。
【0082】
この第7実施形態の発光装置は、図10,図11に示すように、実装面に金属電極151,152が形成された絶縁性基板150と、上記絶縁性基板150上に長手方向が絶縁性基板150の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子160とを備えている。
【0083】
上記棒状構造発光素子160は、図11に示すように、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア171と、上記半導体コア171の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層172と、上記量子井戸層172を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層173とを有する。上記半導体コア171は、一端側の外周面が露出する露出部分171aが形成されている。また、半導体コア171の他端側の端面は、量子井戸層172と半導体層173に覆われている。
【0084】
図10,図11に示すように、棒状構造発光素子160の一端側の露出部分171aが金属電極151に接続され、棒状構造発光素子160の他端側の半導体層173が金属電極152に接続されている。ここで、棒状構造発光素子160は、IPA水溶液の乾燥時に、基板表面と棒状構造発光素子の隙間の液滴が蒸発により縮小する際に発生するスティクションにより中央部分が撓んで絶縁性基板150上に接している。
【0085】
次に、上記棒状構造発光素子160を絶縁性基板150に配列させた発光装置を備えたバックライト、照明装置および表示装置について説明する。この棒状構造発光素子160の配列は、本出願人が特願2007−102848(特開2008−260073号公報)で出願した「微細構造体の配列方法及び微細構造体を配列した基板、並びに集積回路装置及び表示素子」の発明の技術を用いて行う。
【0086】
図12はこの第7実施形態のバックライト、照明装置および表示装置に用いる発光装置の絶縁性基板の平面図を示している。図12に示すように、絶縁性基板150の表面に、金属電極151,152を形成している。絶縁性基板150はガラス、セラミック、酸化アルミニウム、樹脂のような絶縁体、またはシリコンのような半導体表面にシリコン酸化膜を形成し、表面が絶縁性を有するような基板である。ガラス基板を用いる場合は、表面にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような下地絶縁膜を形成するのが望ましい。
【0087】
上記金属電極151,152は、印刷技術を利用して所望の電極形状に形成している。なお、金属膜および感光体膜を一様に積層し、所望の電極パターンを露光し、エッチングして形成してもよい。
【0088】
図12では省略されているが、金属電極151,152には外部から電位を与えられるように、パッドを形成している。この金属電極151,152が対向する部分(配列領域)に棒状構造発光素子を配列する。図12では、棒状構造発光素子を配列する配列領域が2×2個配列されているが、任意の個数を配列してよい。
【0089】
図13は図12のXIII−XIII線から見た断面模式図である。
【0090】
まず、図13に示すように、絶縁性基板150上に、棒状構造発光素子160を含んだイソプロピルアルコール(IPA)161を薄く塗布する。IPA161の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物でもよい。あるいは、IPA161は、他の有機物からなる液体、水などを用いることができる。
【0091】
ただし、液体を通じて金属電極151,152間に大きな電流が流れてしまうと、金属電極151,152間に所望の電圧差を印加できなくなってしまう。そのような場合には、金属電極151,152を覆うように、絶縁性基板150表面全体に、10nm〜30nm程度の絶縁膜をコーティングすればよい。
【0092】
棒状構造発光素子160を含むIPA161を塗布する厚さは、次に棒状構造発光素子160を配列する工程で、棒状構造発光素子160が配列できるよう、液体中で棒状構造発光素子160が移動できる厚さである。したがって、IPA161を塗布する厚さは、棒状構造発光素子160の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。塗布する厚さは薄すぎると、棒状構造発光素子160が移動し難くなり、厚すぎると、液体を乾燥する時間が長くなる。また、IPAの量に対して、棒状構造発光素子160の量は、1×104本/cm3〜1×107本/cm3が好ましい。
【0093】
棒状構造発光素子160を含むIPA161を塗布するために、棒状構造発光素子160を配列させる金属電極の外周囲に枠を形成し、その枠内に棒状構造発光素子160を含むIPA161を所望の厚さになるように充填してもよい。しかしながら、棒状構造発光素子160を含むIPA161が粘性を有する場合は、枠を必要とせずに、所望の厚さに塗布することが可能である。
【0094】
IPAやエチレングリコール、プロピレングリコール、…、またはそれらの混合物、あるいは、他の有機物からなる液体、または水などの液体は、棒状構造発光素子160の配列工程のためには粘性が低いほど望ましく、また加熱により蒸発しやすい方が望ましい。
【0095】
次に、金属電極151,152間に電位差を与える。この第5実施形態では、1Vの電位差とするのが適当であった。金属電極151,152の電位差は、0.1〜10Vを印加することができるが、0.1V以下では棒状構造発光素子160の配列が悪くなり、10V以上では金属電極間の絶縁が問題になり始める。したがって、1〜5Vが好ましく、更には1V程度とするのが好ましい。
【0096】
図14は上記棒状構造発光素子160が金属電極151,152上に配列する原理を示している。図14に示すように、金属電極151に電位VLを印加し、金属電極152に電位VR(VL<VR)を印加すると、金属電極151には負電荷が誘起され、金属電極152には正電荷が誘起される。そこに棒状構造発光素子160が接近すると、棒状構造発光素子160において、金属電極151に近い側に正電荷が誘起され、金属電極152に近い側に負電荷が誘起される。この棒状構造発光素子160に電荷が誘起されるのは静電誘導による。すなわち、電界中に置かれた棒状構造発光素子160は、内部の電界が0となるまで表面に電荷が誘起されることによる。その結果、各電極と棒状構造発光素子160との間に静電力により引力が働き、棒状構造発光素子160は、金属電極151,152間に生じる電気力線に沿うと共に、各棒状構造発光素子160に誘起された電荷がほぼ等しいので、電荷による反発力により、ほぼ等間隔に一定方向に規則正しく配列する。しかしながら、例えば、第1実施形態の図1に示す棒状構造発光素子では、半導体層12に覆われた半導体コア11の露出部分11a側の向きは一定にならず、ランダムになる(他の実施形態の棒状構造発光素子でも同様)。
【0097】
以上のように、棒状構造発光素子160が金属電極151,152間に発生した外部電場により、棒状構造発光素子160に電荷を発生させ、電荷の引力により金属電極151,152に棒状構造発光素子160を吸着させるので、棒状構造発光素子160の大きさは、液体中で移動可能な大きさであることが必要である。したがって、棒状構造発光素子160の大きさは、液体の塗布量(厚さ)により変化する。液体の塗布量が少ない場合は、棒状構造発光素子160はナノオーダーサイズでなければならないが、液体の塗布量が多い場合は、マイクロオーダーサイズであってもかまわない。
【0098】
棒状構造発光素子160が電気的に中性ではなく、正または負に帯電している場合は、金属電極151,152間に静的な電位差(DC)を与えるだけでは、棒状構造発光素子160を安定して配列することができない。例えば、棒状構造発光素子160が正味として正に帯電した場合は、正電荷が誘起されている金属電極152との引力が相対的に弱くなる。そのため、棒状構造発光素子160の配列が非対象になる。
【0099】
そのような場合は、図15に示すように、金属電極151,152間にAC電圧を印加することが好ましい。図15においては、金属電極51に基準電位を、金属電極152には振幅VPPL/2のAC電圧を印加している。こうすることにより、棒状構造発光素子160が帯電している場合でも、配列を対象に保つことができる。なお、この場合の金属電極152に与える交流電圧の周波数は、10Hz〜1MHzとするのが好ましく、50Hz〜1kHzとするのが最も配列が安定し、より好ましい。さらに、金属電極151,152間に印加するAC電圧は、正弦波に限らず、矩形波、三角波、ノコギリ波など、周期的に変動するものであればよい。なお、VPPLは1V程度とするのが好ましかった。
【0100】
次に、金属電極151,152上に、棒状構造発光素子160を配列させた後、絶縁性基板150を加熱することにより、液体を蒸発させて乾燥させ、棒状構造発光素子160を金属電極151,152間の電気力線に沿って等間隔に配列させて固着させる。
【0101】
上記発光装置の製造方法によれば、独立した電位が夫々与えられる2つの電極151,152を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板150を作成し、その絶縁性基板150上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの棒状構造発光素子160を含んだ液体を塗布する。その後、2つの電極151,152に独立した電圧を夫々印加して、微細な棒状構造発光素子160を2つの電極151,152により規定される位置に配列させる。これにより、上記棒状構造発光素子160を所定の絶縁性基板150上に容易に配列させることができる。
【0102】
また、上記発光装置の製造方法では、使用する半導体の量を少なくできると共に、薄型化と軽量化が可能な発光装置を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子160は、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力な放熱性のよい発光装置を実現することができる。
【0103】
図16は上記棒状構造発光素子160を配列した絶縁性基板150の平面図を示している。この棒状構造発光素子160を配列した絶縁性基板150を、液晶表示装置などのバックライトに用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力な放熱性のよいバックライトを実現することができる。また、この棒状構造発光素子160を配列した絶縁性基板150を照明装置として用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力な放熱性のよい照明装置を実現することができる。
【0104】
また、図17は上記棒状構造発光素子160を配列した絶縁性基板を用いた発光装置を備えた表示装置の平面図を示している。図17に示すように、表示装置200は、絶縁性基板210上に、表示部201、論理回路部202、論理回路部203、論理回路部204および論理回路部205を備える構成となっている。上記表示部201には、マトリックス状に配置された画素に棒状構造発光素子260を配列している。
【0105】
図18は上記表示装置200の表示部201の要部の回路図を示しており、上記表示装置200の表示部201は、図18に示すように、互いに交差する複数の走査信号線GL(図18では1本のみを示す)と複数のデータ信号線SL(図18では1本のみを示す)とを備えており、隣接する2本の走査信号線GLと隣接する2本のデータ信号線SLとで包囲された部分に、画素がマトリクス状に配置されている。この画素は、ゲートが走査信号線GLに接続され、ソースがデータ信号線SLに接続されたスイッチング素子Q1と、そのスイッチング素子Q1のドレインにゲートが接続されたスイッチング素子Q2と、上記スイッチング素子Q2のゲートに一端が接続された画素容量Cと、上記スイッチング素子Q2により駆動される複数の発光ダイオードD1〜Dn(棒状構造発光素子160)とを有している。
【0106】
上記棒状構造発光素子160のpnの極性は、一方に揃っておらず、ランダムに配列されている。このため、駆動時は交流電圧により駆動されて、異なる極性の棒状構造発光素子160が交互に発光することになる。
【0107】
〔第8実施形態〕
図19はこの発明の第8実施形態の発光装置の側面図を示し、図20は上記発光装置の斜視図を示している。この第8実施形態では、上記第1〜第7実施形態の発光装置の棒状構造発光素子のいずれか1つを用いる。図20では、第2実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同一の構成の棒状構造発光素子を示している。
【0108】
この第8実施形態の発光装置は、図19,図20に示すように、実装面に金属電極161,162が形成された絶縁性基板150と、上記絶縁性基板150上に長手方向が絶縁性基板150の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子160とを備えている。上記絶縁性基板150には、絶縁性基板150上の金属電極161,162間かつ棒状構造発光素子160の下側に金属部の一例としての第3の金属電極163を形成している。図20では、金属電極161,162,163の一部のみを示している。
【0109】
上記棒状構造発光素子160は、図20に示すように、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア171と、上記半導体コア171の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層172と、上記量子井戸層172を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層173とを有する。上記半導体コア171は、一端側の外周面が露出する露出部分171aが形成されている。また、半導体コア171の他端側の端面は、量子井戸層172と半導体層173に覆われている。
【0110】
図19,図20に示すように、棒状構造発光素子160の一端側の露出部分171aが金属電極161に接続され、棒状構造発光素子160の他端側の半導体層173が金属電極162に接続されている。ここで、棒状構造発光素子160の中央部分が金属電極163に接続されている。
【0111】
また、絶縁性基板150上に所定の間隔をあけて形成された金属電極161,162間に棒状構造発光素子160の両端を接続し、絶縁性基板150上の金属電極161,162間かつ棒状構造発光素子160の下側に金属部を形成することによって、両端が金属電極161,162に接続された棒状構造発光素子160の中央側を第3の金属電極163の表面に接触させて支えるので、両持ちの棒状構造発光素子160が撓むことなく、金属電極163により支持されると共に、棒状構造発光素子160で発生した熱を半導体層173から金属電極163を介して絶縁性基板150に効率よく放熱することができる。
【0112】
なお、図21に示すように、金属電極161と金属電極162夫々は、互いに所定の間隔をあけて略並行な基部161a,162aと、基部161a,162aの対向する位置から基部161a,162a間に延びる複数の電極部161b,162bを有する。金属電極161の電極部161bとされに対向する金属電極162の電極部162bに1つの棒状構造発光素子160が配列される。この金属電極161の電極部161bとそれに対向する金属電極162の電極部162bの間に、中央部分が狭くなった蝶形状の第3の金属電極163を絶縁性基板150上に形成している。
【0113】
上記互いに隣接する第3の金属電極163同士は、電気的に切り離されており、図21に示すように、互いに隣接する棒状構造発光素子160の向きが逆になっても、金属電極163を介して金属電極161と金属電極162が短絡するのを防止できる。
【0114】
上記第1〜第8実施形態では、半導体コア11,21,31,41,51,61,71,81,171の一端側の外周面が露出した露出部分11a,21a,31a,41a,51a,61a,71a,81a,171aを有する棒状構造発光素子について説明したが、これに限らず、半導体コアの両端の外周面が露出した露出部分を有するものでもよいし、半導体コアの中央部分の外周面が露出した露出部分を有するものでもよい。
【0115】
また、上記第1〜第8実施形態では、半導体コア11,21,31,41,51,61,71,81,171と半導体層12,23,32,43,52,63,72,83,173に、GaNを母材とする半導体を用いたが、GaAs,AlGaAs,GaAsP,InGaN,AlGaN,GaP,ZnSe,AlGaInPなどを母材とする半導体を用いた発光素子にこの発明を適用してもよい。また、半導体コアをn型とし、半導体層をp型としたが、導電型が逆の棒状構造発光素子にこの発明を適用してもよい。
【0116】
また、上記第1〜第4実施形態では、棒状構造発光素子の直径を1μmとし長さを20μmのマイクロオーダーサイズとしたが、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子でもよい。上記棒状構造発光素子の半導体コアの直径は500nm以上かつ50μm以下が好ましく、半導体コアの直径が数10nm〜数100nmの棒状構造発光素子に比べて半導体コアの直径のばらつきを抑えることができ、発光面積すなわち発光特性のばらつきを低減でき、歩留まりを向上できる。
【0117】
また、上記第1〜第8実施形態では、MOCVD装置を用いて半導体コア11,21,31,41,51,61,71,81,171を結晶成長させたが、MBE(分子線エピタキシャル)装置などの他の結晶成長装置を用いて半導体コアを形成してもよい。また、成長穴を有するマスクを用いて半導体コアを基板上に結晶成長させたが、基板上に金属種を配置して、金属種から半導体コアを結晶成長させてもよい。
【0118】
また、上記第1〜第8実施形態の棒状構造発光素子10,20,30,40,50,60,70,80,160は、半導体層12,23,32,43,52,63,72,83,173に覆われた半導体コア11,21,31,41,51,61,71,81,171を、超音波を用いて基板から切り離したが、これに限らず、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に折り曲げることによって切り離してもよい。この場合、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
【0119】
また、上記第7実施形態では、絶縁性基板150の表面に形成された2つの金属電極151,152に電位差を与えて、金属電極151,152間に棒状構造発光素子160を配列させたが、これに限らず、絶縁性基板の表面に形成された2つの電極間に、第8実施形態のような第3の電極を形成し、3つの電極に独立した電圧を夫々印加して、棒状構造発光素子を電極により規定される位置に配列させてもよい。
【0120】
また、上記第7実施形態では、発光装置を備えたバックライトと照明装置および表示装置について説明したが、これに限らず、他の装置に適用してもよい。
【0121】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1〜第8実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0122】
11,21,31,41,51,61,71,81,171…半導体コア
11a,21a,31a,41a,51a,61a,71a,81a,171a…露出部分
12,23,32,43,52,63,72,83,173…半導体層
22,42,62,82,172…量子井戸層
33,44,53,64,73,84…透明電極
16,26,36,46,56,66,150…絶縁性基板
151,152,161,162,163…金属電極
10,20,30,40,50,60,70,80,160…棒状構造発光素子
200…表示装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光装置、バックライト、照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状構造発光素子としては、基板上部に平坦な第1極性層を形成した後、第1極性層上に発光する活性層に相当するナノオーダーサイズの複数のロッドを形成し、さらにロッドを包む第2極性層を形成するものがある(例えば、特開2006−332650号公報(特許文献1)参照)。この棒状構造発光素子は、活性層である複数のロッドから光が放出される。
【0003】
ところが、上記棒状構造発光素子を備えた発光装置は、基板上に複数のロッドが立設された状態では、ほとんどの光が側方に放射されて、隣接するロッドに吸収されてしまうため、光の取り出し効率が低下するという問題がある。また、上記棒状構造発光素子では、複数のロッドが基板上に立設されているため、放熱効率が悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−332650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、光の取り出し効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を提供することにある。
【0006】
また、この発明の課題は、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよいバックライトを提供することにある。
【0007】
また、この発明の課題は、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよい照明装置を提供することにある。
【0008】
また、この発明の課題は、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよい表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の発光装置は、
棒状の第1導電型の半導体コアと、上記半導体コアを覆うように形成された第2導電型の半導体層とを有すると共に、上記半導体コアの長手方向の一部において上記半導体コアの外周面が露出した棒状構造発光素子と、
上記棒状構造発光素子の長手方向が実装面に平行になるように上記棒状構造発光素子が実装された基板と
を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、棒状の第1導電型の半導体コアと、半導体コアを覆うように形成された第2導電型の半導体層とを有すると共に、半導体コアの一部の外周面が露出した棒状構造発光素子を、その棒状構造発光素子の長手方向が基板の実装面に平行になるように基板に実装する。この棒状構造発光素子は、半導体コアの露出部分に一方の電極を接続し、半導体層に他方の電極を接続して、半導体コアの外周面と半導体層の内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きるように電極間に電流を流すことにより、pn接合部すなわち半導体コアの全周から光が放出される。これにより、上記棒状構造発光素子は、発光領域が広くなるので、発光効率が高い。また、上記棒状構造発光素子の長手方向が基板の実装面に平行になるように基板に実装された棒状構造発光素子は、半導体層の外周面と基板の実装面とが接触するので、棒状構造発光素子で発生した熱を半導体層から基板に効率よく放熱することができる。したがって、発光効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を実現できる。また、上記発光装置では、基板上に棒状構造発光素子を横倒しに配置しているので、基板を含めた厚さを薄くできる。上記発光装置において、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子を用いることにより、使用する半導体の量を少なくでき、この発光装置を用いて薄型化と軽量化が可能なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
【0011】
また、一実施形態の発光装置では、
上記基板上に所定の間隔をあけて電極が形成され、
上記基板上の上記一方の電極に上記棒状構造発光素子の上記半導体コアの露出部分が接続されると共に、上記基板上の上記他方の電極に上記棒状構造発光素子の上記半導体層が接続されている。
【0012】
また、一実施形態の発光装置では、
上記棒状構造発光素子は、上記半導体層と電気的に接続され、上記半導体層を覆うように形成された透明電極をさらに有する。
【0013】
上記実施形態によれば、半導体層を覆うように透明電極を形成することによって、半導体層を透明電極を介して電極に接続することにより、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、透明電極を介した広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。
【0014】
また、一実施形態の発光装置では、
上記半導体コアの一端側の外周面が露出している。
【0015】
上記実施形態によれば、半導体コアの一端側の外周面が露出していることによって、半導体コアの一端側の外周面の露出部分に一方の電極を接続し、半導体コアの他端側の半導体層に電極を接続することが可能となり、両端に電極を離して接続でき、半導体層に接続する電極と半導体コアの露出部分が短絡するのを容易に防止できる。
【0016】
また、一実施形態の発光装置では、
上記半導体コアの他端側の端面を上記半導体層により覆っている。
【0017】
上記実施形態によれば、半導体コアの他端側の端面を半導体層により覆っていることにより、半導体コアの露出領域と反対の側の端面を覆う半導体層の部分に、半導体コアと短絡させることなく電極を容易に接続できる。これにより、微細な棒状構造発光素子の両端に電極を容易に接続することが可能となる。
【0018】
また、一実施形態の発光装置では、
上記半導体コアの露出領域の外周面が、上記半導体層に覆われた領域の最外周面の延長面と略一致している。
【0019】
上記実施形態によれば、半導体コアの露出領域の外周面が、半導体層に覆われた領域の最外周面の延長面と略一致していることによって、微細な棒状構造発光素子を、電極が形成された絶縁性基板上に基板平面に対して長手方向が平行になるように実装するとき、半導体層の外周面と半導体コアの外周面の露出部分との間に段差がないので、半導体コアの露出部分と電極とを確実かつ容易に接続することが可能となる。
【0020】
また、一実施形態の発光装置では、
上記棒状構造発光素子の上記半導体コアと上記半導体層との間に量子井戸層を形成した。
【0021】
上記実施形態によれば、半導体コアと半導体層との間に量子井戸層を形成することによって、量子井戸層の量子閉じ込め効果により発光効率をさらに向上できる。
【0022】
また、一実施形態の発光装置では、
上記棒状構造発光素子の上記透明電極上かつ上記基板側に金属層を形成した。
【0023】
上記実施形態によれば、透明電極上かつ基板側に形成された金属層によって、棒状構造発光素子から基板側に放射された光を金属層により反射するので、光の取り出し効率が向上する。
【0024】
また、一実施形態の発光装置では、
上記基板上の上記電極間かつ上記棒状構造発光素子の下側に金属部を形成した。
【0025】
上記実施形態によれば、基板上に所定の間隔をあけて形成された電極間に棒状構造発光素子の一端側の露出部分と他端側の半導体層を接続し、基板上の電極間かつ棒状構造発光素子の下側に金属部を形成することによって、両端が電極に接続された棒状構造発光素子の中央側を金属部の表面に接触させて支えるので、両持ちの棒状構造発光素子が撓むことなく、金属部により支持されると共に、棒状構造発光素子で発生した熱を半導体層から金属部を介して基板に効率よく放熱することができる。
【0026】
また、この発明のバックライトでは、
上記のいずれか1つの発光装置を備えたことを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよいバックライトを実現できる。また、上記発光装置に微細な棒状構造発光素子を用いることにより、使用する半導体の量を少なくでき、薄型化と軽量化を実現できる。
【0028】
また、この発明の照明装置では、
上記のいずれか1つの発光装置を備えたことを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよい照明装置を実現できる。また、上記発光装置に微細な棒状構造発光素子を用いることにより、使用する半導体の量を少なくでき、薄型化と軽量化を実現できる。
【0030】
また、この発明の表示装置では、
上記のいずれか1つの発光装置を備えたことを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、上記発光装置を用いることにより発光効率が高く省電力な放熱性のよい表示装置を実現できる。また、上記発光装置に微細な棒状構造発光素子を用いることにより、使用する半導体の量を少なくでき、薄型化と軽量化を実現できる。
【発明の効果】
【0032】
以上より明らかなように、この発明の発光装置によれば、光の取り出し効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を実現することができる。
【0033】
また、この発明のバックライトによれば、発光効率が高く省電力な放熱性のよいバックライトを実現することができる。
【0034】
また、この発明の照明装置によれば、発光効率が高く省電力な放熱性のよい照明装置を実現することができる。
【0035】
また、この発明の表示装置によれば、発光効率が高く省電力な放熱性のよい表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の発光装置の斜視図である。
【図2】図2はこの発明の第2実施形態の発光装置の斜視図である。
【図3】図3はこの発明の第3実施形態の発光装置の斜視図である。
【図4】図4はこの発明の第4実施形態の発光装置の斜視図である。
【図5】図5はこの発明の第5実施形態の発光装置の側面図である。
【図6】図6はこの発明の第6実施形態の発光装置の側面図である。
【図7】図7は上記発光装置の断面図である。
【図8】図8は上記発光装置の他の例の断面図である。
【図9】図9は上記発光装置の他の例の断面図である。
【図10】図10はこの発明の第7実施形態の発光装置の側面図である。
【図11】図11は上記発光装置の斜視図である。
【図12】図12はバックライト、照明装置および表示装置に用いる発光装置の絶縁性基板の平面図である。
【図13】図13は図12のXIII−XIII線から見た断面模式図である。
【図14】図14は上記棒状構造発光素子を配列する原理を説明する図である。
【図15】図15は上記棒状構造発光素子を配列するときに電極に与える電位を説明する図である。
【図16】図16は上記棒状構造発光素子を配列した絶縁性基板の平面図である。
【図17】図17は上記表示装置の平面図である。
【図18】図18は上記表示装置の表示部の要部の回路図である。
【図19】図19はこの発明の第8実施形態の発光装置の平面図である。
【図20】図20は上記発光装置の斜視図である。
【図21】図21は上記発光装置において、隣接する棒状構造発光素子が逆向きの状態の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明の発光装置、バックライト、照明装置および表示装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0038】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の発光装置の斜視図を示している。この第1実施形態の発光装置は、図1に示すように、絶縁性基板16と、絶縁性基板16上に長手方向が絶縁性基板16の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子10とを備えている。上記棒状構造発光素子10は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア11と、上記半導体コア11の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層12とを有する。上記半導体コア11は、一端側の外周面が露出する露出部分11aが形成されている。また、半導体コア11の他端側の端面は、半導体層12に覆われている。
【0039】
上記棒状構造発光素子10の長手方向が絶縁性基板16の実装面に平行になるように絶縁性基板16に実装された棒状構造発光素子10は、半導体層12の外周面と絶縁性基板16の実装面とが接触しているので、棒状構造発光素子10で発生した熱を半導体層12から絶縁性基板16に効率よく放熱することができる。したがって、複数配置しても隣接する棒状発光素子に吸収されにくく、立設された従来技術に比べ光の取り出し効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を実現することができる。また、上記発光装置では、絶縁性基板16上に棒状構造発光素子10を横倒しに配置しているので、絶縁性基板16を含めた厚さを薄くできる。
【0040】
上記棒状構造発光素子10は、次のように製造する。
【0041】
まず、n型GaNからなる基板上に、成長穴を有するマスクを形成する。マスクには、酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)など半導体コア11および半導体層12に対して選択的にエッチング可能な材料を用いる。成長穴の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。
【0042】
次に、マスクの成長穴により露出した基板上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア11を形成する。MOCVD装置の温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH3)を、さらにキャリアガスとして水素(H2)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNの半導体コアを成長させることができる。この際、成長する半導体コア11の直径は、上記マスクの成長穴の径で決めることができる。成長したn型GaNは、六方晶系の結晶成長となり、基板表面に対して垂直方向をc軸方向にして成長させることにより、六角柱形状の半導体コアが得られる。
【0043】
次に、棒状の半導体コア11を覆うように基板全面にp型GaNからなる半導体層を形成する。MOCVD装置の温度を960℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることによってマグネシウム(Mg)を不純物とするp型GaNを成長させることができる。
【0044】
次に、リフトオフにより半導体コアを覆う半導体層の部分を除く領域とマスクを除去して、棒状の半導体コア11の基板側の外周面を露出させて露出部分11aを形成する。この状態で、上記半導体コア11の基板と反対の側の端面は、半導体層12により覆われている。マスクが酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、容易に半導体コアおよび半導体コアを覆う半導体層部分に影響を与えずにマスクをエッチングすることができ、マスクとともにマスク上の半導体コアを覆う半導体層の部分を除く領域をリフトオフにより除去することができる。この実施形態においては、除去されたマスクの膜厚によって、半導体コア11の露出部分11aの長さが決まる。この実施形態の露出工程では、リフトオフを用いたがエッチングにより半導体コアの一部を露出させてもよい。
【0045】
次に、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板を浸し、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板を基板平面に沿って振動させることにより、基板上に立設する半導体コア11の基板側に近い根元を折り曲げるように、半導体層12に覆われた半導体コア11に対して応力が働いて、半導体層12に覆われた半導体コア11が基板から切り離される。
【0046】
こうして、n型GaNからなる基板から切り離なされた微細な棒状構造発光素子を製造することができる。n型GaNからなる基板から切り離なされた棒状構造発光素子はIPA水溶液中に分散した状態で得られるので、この分散液を絶縁性基板16の実装面に塗布して、乾燥させることで、絶縁性基板16の実装面に平行になるように配置することができる。
【0047】
さらに、上記棒状構造発光素子は、半導体層12が半導体コア11の外周面から半径方向外向に結晶成長し、径方向の成長距離が短くかつ欠陥が外向に逃げるため、結晶欠陥の少ない半導体層12により半導体コア11を覆うことができる。したがって、特性の良好な棒状構造発光素子を実現することができる。
【0048】
上記構成の棒状構造発光素子によれば、棒状のn型GaNからなる半導体コア11を覆うように、かつ、半導体コア11の一部の外周面が露出するようにp型GaNからなる半導体層12を形成することによって、マイクロオーダーサイズやナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子であっても、半導体コア11の露出部分11aをn側電極に接続し、半導体コア11を覆う半導体層12の部分にp側電極を接続することが可能となる。この棒状構造発光素子は、半導体コア11の露出部分11aにn側電極を接続し、半導体層12にp側電極を接続して、半導体コア11の外周面と半導体層12の内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きるようにp側電極からn側電極に電流を流すことにより、pn接合部から光が放出される。この棒状構造発光素子では、半導体層12で覆われた半導体コア11の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高い。したがって、簡単な構成で電極接続が容易にできる発光効率の高い微細な棒状構造発光素子を実現することができる。また、上記棒状構造発光素子は、基板と一体でないので、装置への実装の自由度が高い。
【0049】
ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ20μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子である。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
【0050】
また、上記半導体コア11の半導体層12に覆われた領域の外周面と半導体コア11の露出領域の外周面とが連続していることによって、半導体コア11の露出領域が半導体層12の外径よりも細くなっているので、製造工程において基板上に立設するように形成された半導体コア11の露出領域の基板側で折れやすくなり、製造が容易になる。
【0051】
また、上記半導体コア11の一端側の外周面が、例えば5μm程度露出していることによって、リフトオフ法やナノインプリント法など通常の加工精度を有する公知の半導体プロセスを用いて、容易に半導体コア11の一端側の外周面の露出部分11aに一方の電極(配線)を接続し、半導体コア11の他端側の半導体層12に電極(配線)を接続することが可能となり、両端に電極を離して接続でき、半導体層12に接続する電極と半導体コア11の露出部分が短絡するのを容易に防止することができる。
【0052】
また、上記半導体コア11の他端側の端面を半導体層12により覆っていることにより、半導体コア11の露出部分11aと反対の側の端面を覆う半導体層12の部分に、半導体コア11と短絡させることなく電極を容易に接続できる。これにより、微細な棒状構造発光素子の両端に電極を容易に接続することが可能となる。
【0053】
また、上記半導体コア11の半導体層12に覆われた領域の外周面と半導体コア11の露出領域の外周面とが連続していることによって、半導体コア11の露出領域が半導体層12の外径よりも細くなっているので、製造工程において基板上に立設するように形成された半導体コア11の露出領域の基板側で折れやすくなり、製造が容易になる。
【0054】
〔第2実施形態〕
図2はこの発明の第2実施形態の発光装置の斜視図を示している。この第2実施形態の発光装置は、図2に示すように、絶縁性基板26と、絶縁性基板26上に長手方向が絶縁性基板26の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子20とを備えている。上記棒状構造発光素子20は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア21と、上記半導体コア21の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層22と、上記量子井戸層22を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層23とを有する。上記半導体コア21は、一端側の外周面が露出する露出部分21aが形成されている。また、半導体コア21の他端側の端面は、量子井戸層22と半導体層23に覆われている。
【0055】
上記第2実施形態の発光装置では、第1実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同様に、MOCVD装置を用いて、n型GaNからなる基板上にn型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア21を形成する。
【0056】
上記第2実施形態の発光装置は、第1実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0057】
また、上記半導体コア21と半導体層23との間に量子井戸層22を形成することによって、量子井戸層22の量子閉じ込め効果により発光効率をさらに向上できる。MOCVD装置内で前述のようにn型GaNの半導体コア21を成長させた後、発光波長に応じて設定温度を600℃から800℃に変更し、キャリアガスに窒素(N2)、成長ガスにTMGおよびNH3、トリメチルインジウム(TMI)を供給することで、n型GaNの半導体コア21上にInGaN量子井戸層22を形成することができる。その後、さらに設定温度を960℃にし、前述のように、成長ガスとしてTMGおよびNH3を使用し、p型不純物供給用にCp2Mgを用いることによってp型GaNからなる半導体層23を形成することができる。なお、この量子井戸層は、InGaN層とp型GaN層の間に電子ブロック層としてp型AlGaN層を入れてもよい、また、GaNの障壁層とInGaNの量子井戸層を積層した多重量子井戸構造であってもよい。
【0058】
〔第3実施形態〕
図3はこの発明の第3実施形態の発光装置の斜視図を示している。この第3実施形態の発光装置は、図3に示すように、絶縁性基板36と、絶縁性基板36上に長手方向が絶縁性基板36の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子30とを備えている。上記棒状構造発光素子30は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア31と、上記半導体コア31の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層32と、上記半導体層32を覆うように形成された透明電極33とを備えている。上記半導体コア31は、一端側の外周面が露出する露出部分31aが形成されている。また、半導体コア31の他端側の端面は、半導体層32と透明電極33に覆われている。上記透明電極33は、膜厚200nmのITO(錫添加酸化インジウム)により形成されている。MOCVD装置でp型GaNからなる半導体層32まで形成した後、n型GaNからなる基板ごとMOCVD装置から蒸着装置、あるいはスパッタ装置に移して半導体層32を覆うようにITOを成膜する。ITO膜の成膜後、500℃から600℃で熱処理を行うことにより、p型GaNからなる半導体層32とITOからなる透明電極33間の抵抗を下げることができる。なお、透明電極は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。Ag/Niの積層金属膜の成膜には蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。より電極層の抵抗を下げるために、上記ITOを成膜後にAg/Niの積層金属膜を積層してもよい。
【0059】
上記透明電極34の半導体コア31の露出部分31aと反対の側の端に電極(または配線)を接続することにより、その電極と半導体コア31とが短絡するのを容易に防止できると共に、透明電極34に接続される電極(または配線)を太くできるので、電極(または配線)を介して熱を効率よく放熱できる。
【0060】
また、上記棒状構造発光素子30は、半導体コア31の露出部分31aにn側電極(図示せず)を接続し、他端側の透明電極34にp側電極(図示せず)を接続している。p側電極が透明電極34の端に接続されているので、発光領域を電極で遮る面積を最小限にでき、光の取り出し効率を高めることができる。
【0061】
上記第3実施形態の棒状構造発光素子では、第1実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同様に、MOCVD装置を用いて、n型GaNからなる基板上にn型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア31を形成する。
【0062】
上記第3実施形態の発光装置は、第1実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0063】
また、上記半導体層32を覆うように透明電極33を形成することによって、半導体層32を透明電極33を介して電極に接続することにより、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。特に、n型半導体からなる半導体コアとp型半導体からなる半導体層の構成では、p型半導体からなる半導体層が不純物濃度を上げにくく抵抗が大きいため電極接続部分に電流が集中しやすいが、透明電極により広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。
【0064】
〔第4実施形態〕
図4はこの発明の第4実施形態の発光装置の斜視図を示している。この第4実施形態の発光装置は、図4に示すように、絶縁性基板46と、絶縁性基板46上に長手方向が絶縁性基板46の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子40とを備えている。上記棒状構造発光素子40は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア41と、上記半導体コア41の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層42と、上記量子井戸層42を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層43と、上記半導体層43を覆うように形成された透明電極44とを備えている。上記半導体コア41は、一端側の外周面が露出する露出部分41aが形成されている。また、半導体コア41の他端側の端面は、量子井戸層42と半導体層43と透明電極44に覆われている。上記透明電極43は、ITO(錫添加酸化インジウム)により形成されている。なお、透明電極は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。
【0065】
上記透明電極44の半導体コア41の露出部分41aと反対の側の端に電極(または配線)を接続することにより、その電極が半導体コア41側と短絡するのを容易に防止できると共に、透明電極44に接続される電極(または配線)を太く、あるいは断面積を大きくできるので、電極(または配線)を介して熱を効率よく放熱できる。
【0066】
また、上記棒状構造発光素子40は、半導体コア41の露出部分41aにn側電極(図示せず)を接続し、他端側の透明電極44にp側電極(図示せず)を接続している。p側電極が透明電極の端に接続されているので、発光領域を電極で遮る面積を最小限にでき、光の取り出し効率を高めることができる。
【0067】
上記第4実施形態の棒状構造発光素子では、第1実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同様に、MOCVD装置を用いて、n型GaNからなる基板上にn型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア21を形成する。
【0068】
上記第4実施形態の発光装置は、第2実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0069】
また、上記半導体層43を覆うように透明電極44を形成することによって、半導体層43を透明電極44を介してp側電極に接続することにより、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。特に、n型半導体からなる半導体コアとp型半導体からなる半導体層の構成では、p型半導体からなる半導体層が不純物濃度を上げにくく抵抗が大きいため電極接続部分に電流が集中しやすいが、透明電極により広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。
【0070】
〔第5実施形態〕
図5はこの発明の第5実施形態の発光装置の側面図を示している。この第5実施形態の発光装置は、図5に示すように、絶縁性基板56と、絶縁性基板56上に長手方向が絶縁性基板56の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子50とを備えている。上記棒状構造発光素子50は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア51と、上記半導体コア51の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層52と、上記半導体層52を覆うように形成された透明電極53とを備えている。上記半導体コア51は、一端側の外周面が露出する露出部分51aが形成されている。上記透明電極53上かつ絶縁性基板56側にAlからなる金属層54を形成している。上記金属層54は、透明電極53の外周面の下側略半分を覆っている。また、半導体コア51の他端側の端面は、半導体層52と透明電極53に覆われている。上記透明電極53は、ITOにより形成されている。なお、透明電極は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。また、金属層54は、Alに限らず、Cu,W,Ag,Auなどを用いてもよい。上記第5実施形態の棒状構造発光素子では、第3実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同様に、MOCVD装置を用いて、n型GaNからなる基板上にn型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア51を形成し、同MOCVD装置内でp型GaNからなる半導体層52まで形成した後、蒸着装置に移して半導体層52を覆うようにITOからなる透明電極53を形成する。ITO膜の成膜後の500℃から600℃で熱処理を行った後、蒸着装置に移し、透明電極53を覆うようにAlを成膜する。次いで、上記第1実施形態と同様に、リフトオフにより半導体コアを覆う半導体層、透明電極、およびAl層、並びにマスクを取り除き、半導体コア51の一部を露出させた後、超音波を利用してn型GaNからなる基板から棒状構造発光素子を切り離す。そして、絶縁性基板56の実装面に棒状構造発光素子の長手方向が平行に配置する。さらに、異方性ドライエッチングにより、上記Alからなる金属層のうち、透明電極53上かつ絶縁性基板56側ではない部分をエッチバックすることで、透明電極53の外周面の下側略半分を覆う金属層54を形成することができる。Alからなる金属層のエッチバックは、半導体プロセスで使用する公知のAlのドライエッチング方法を使用することができる。
【0071】
上記第5実施形態の発光装置は、第3実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0072】
上記透明電極53上かつ絶縁性基板56側に形成された金属層54によって、棒状構造発光素子50から絶縁性基板56側に放射された光を金属層54により反射するので、光の取り出し効率が向上する。
【0073】
〔第6実施形態〕
図6はこの発明の第6実施形態の発光装置の側面図を示している。この第6実施形態の発光装置は、図6に示すように、絶縁性基板66と、絶縁性基板66上に長手方向が絶縁性基板66の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子60とを備えている。上記棒状構造発光素子60は、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア61と、上記半導体コア61の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層62と、上記量子井戸層62を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層63と、上記半導体層63を覆うように形成された透明電極64とを備えている。上記半導体コア61は、一端側の外周面が露出する露出部分61aが形成されている。上記透明電極64上かつ絶縁性基板66側にAlからなる金属層65を形成している。上記金属層65は、透明電極64の外周面の下側略半分を覆っている。上記透明電極64は、ITOにより形成されている。なお、透明電極は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。また、金属層65は、Alに限らず、Cu,W,Ag,Auなどを用いてもよい。
【0074】
また、図7は上記発光装置の断面図を示しており、半導体コア61の他端側の端面は、量子井戸層62と半導体層63と透明電極64に覆われている。
【0075】
上記第6実施形態の発光装置は、第4実施形態の発光装置と同様の効果を有する。
【0076】
上記透明電極64上かつ絶縁性基板66側に形成された金属層65によって、棒状構造発光素子60から絶縁性基板66側に放射された光を金属層65により反射するので、光の取り出し効率が向上する。
【0077】
上記第1〜第6実施形態では、Siをドープしたn型GaNとMgをドープしたp型GaNとを用いたが、GaNにドーピングする不純物はこれに限らない。n型ではGe、p型ではZnなどを用いることができる。
【0078】
また、上記第1〜第6実施形態では、断面がほぼ六角形の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子について説明したが、これに限らず、断面が円形または楕円の棒状であってもよいし、断面が三角形などの他の多角形状の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子にこの発明を適用してもよい。成長方向や成長温度などの成長条件に依存するが、成長させる半導体コアの直径が数10nmから数100nm程度の小さい場合に断面がほぼ円形に近い形状になりやすい傾向があり、直径が0.5μm程度から数μmに大きくなると断面がほぼ六角形で成長させることが容易になる傾向がある。
【0079】
例えば、図8に示すように、棒状構造発光素子70は、断面がほぼ円形の棒状のn型GaNからなる半導体コア71と、上記半導体コア71の一部を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層72と、上記半導体層72を覆うように形成された透明電極73とを備えている。上記半導体コア71は、一端側の外周面が露出する露出部分71aが形成されている。上記透明電極73上かつ基板76側にAlからなる金属層74を形成している。また、半導体コア71の他端側の端面は、半導体層72と透明電極73に覆われている。
【0080】
また、図9に示すように、棒状構造発光素子80は、断面がほぼ円形の棒状のn型GaNからなる半導体コア81と、上記半導体コア81の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層82と、上記量子井戸層82を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層83と、上記半導体層83を覆うように形成された透明電極84とを備えている。上記半導体コア81は、一端側の外周面が露出する露出部分81aが形成されている。上記透明電極84上かつ基板86側にAlからなる金属層85を形成している。また、半導体コア81の他端側の端面は、量子井戸層82と半導体層83と透明電極84に覆われている。
【0081】
〔第7実施形態〕
図10はこの発明の第7実施形態の発光装置の側面図を示し、図11は上記発光装置の斜視図を示している。この第7実施形態では、上記第1〜第6実施形態の発光装置の棒状構造発光素子のいずれか1つを用いる。図11では、第2実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同一の構成の棒状構造発光素子を示している。
【0082】
この第7実施形態の発光装置は、図10,図11に示すように、実装面に金属電極151,152が形成された絶縁性基板150と、上記絶縁性基板150上に長手方向が絶縁性基板150の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子160とを備えている。
【0083】
上記棒状構造発光素子160は、図11に示すように、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア171と、上記半導体コア171の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層172と、上記量子井戸層172を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層173とを有する。上記半導体コア171は、一端側の外周面が露出する露出部分171aが形成されている。また、半導体コア171の他端側の端面は、量子井戸層172と半導体層173に覆われている。
【0084】
図10,図11に示すように、棒状構造発光素子160の一端側の露出部分171aが金属電極151に接続され、棒状構造発光素子160の他端側の半導体層173が金属電極152に接続されている。ここで、棒状構造発光素子160は、IPA水溶液の乾燥時に、基板表面と棒状構造発光素子の隙間の液滴が蒸発により縮小する際に発生するスティクションにより中央部分が撓んで絶縁性基板150上に接している。
【0085】
次に、上記棒状構造発光素子160を絶縁性基板150に配列させた発光装置を備えたバックライト、照明装置および表示装置について説明する。この棒状構造発光素子160の配列は、本出願人が特願2007−102848(特開2008−260073号公報)で出願した「微細構造体の配列方法及び微細構造体を配列した基板、並びに集積回路装置及び表示素子」の発明の技術を用いて行う。
【0086】
図12はこの第7実施形態のバックライト、照明装置および表示装置に用いる発光装置の絶縁性基板の平面図を示している。図12に示すように、絶縁性基板150の表面に、金属電極151,152を形成している。絶縁性基板150はガラス、セラミック、酸化アルミニウム、樹脂のような絶縁体、またはシリコンのような半導体表面にシリコン酸化膜を形成し、表面が絶縁性を有するような基板である。ガラス基板を用いる場合は、表面にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような下地絶縁膜を形成するのが望ましい。
【0087】
上記金属電極151,152は、印刷技術を利用して所望の電極形状に形成している。なお、金属膜および感光体膜を一様に積層し、所望の電極パターンを露光し、エッチングして形成してもよい。
【0088】
図12では省略されているが、金属電極151,152には外部から電位を与えられるように、パッドを形成している。この金属電極151,152が対向する部分(配列領域)に棒状構造発光素子を配列する。図12では、棒状構造発光素子を配列する配列領域が2×2個配列されているが、任意の個数を配列してよい。
【0089】
図13は図12のXIII−XIII線から見た断面模式図である。
【0090】
まず、図13に示すように、絶縁性基板150上に、棒状構造発光素子160を含んだイソプロピルアルコール(IPA)161を薄く塗布する。IPA161の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物でもよい。あるいは、IPA161は、他の有機物からなる液体、水などを用いることができる。
【0091】
ただし、液体を通じて金属電極151,152間に大きな電流が流れてしまうと、金属電極151,152間に所望の電圧差を印加できなくなってしまう。そのような場合には、金属電極151,152を覆うように、絶縁性基板150表面全体に、10nm〜30nm程度の絶縁膜をコーティングすればよい。
【0092】
棒状構造発光素子160を含むIPA161を塗布する厚さは、次に棒状構造発光素子160を配列する工程で、棒状構造発光素子160が配列できるよう、液体中で棒状構造発光素子160が移動できる厚さである。したがって、IPA161を塗布する厚さは、棒状構造発光素子160の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。塗布する厚さは薄すぎると、棒状構造発光素子160が移動し難くなり、厚すぎると、液体を乾燥する時間が長くなる。また、IPAの量に対して、棒状構造発光素子160の量は、1×104本/cm3〜1×107本/cm3が好ましい。
【0093】
棒状構造発光素子160を含むIPA161を塗布するために、棒状構造発光素子160を配列させる金属電極の外周囲に枠を形成し、その枠内に棒状構造発光素子160を含むIPA161を所望の厚さになるように充填してもよい。しかしながら、棒状構造発光素子160を含むIPA161が粘性を有する場合は、枠を必要とせずに、所望の厚さに塗布することが可能である。
【0094】
IPAやエチレングリコール、プロピレングリコール、…、またはそれらの混合物、あるいは、他の有機物からなる液体、または水などの液体は、棒状構造発光素子160の配列工程のためには粘性が低いほど望ましく、また加熱により蒸発しやすい方が望ましい。
【0095】
次に、金属電極151,152間に電位差を与える。この第5実施形態では、1Vの電位差とするのが適当であった。金属電極151,152の電位差は、0.1〜10Vを印加することができるが、0.1V以下では棒状構造発光素子160の配列が悪くなり、10V以上では金属電極間の絶縁が問題になり始める。したがって、1〜5Vが好ましく、更には1V程度とするのが好ましい。
【0096】
図14は上記棒状構造発光素子160が金属電極151,152上に配列する原理を示している。図14に示すように、金属電極151に電位VLを印加し、金属電極152に電位VR(VL<VR)を印加すると、金属電極151には負電荷が誘起され、金属電極152には正電荷が誘起される。そこに棒状構造発光素子160が接近すると、棒状構造発光素子160において、金属電極151に近い側に正電荷が誘起され、金属電極152に近い側に負電荷が誘起される。この棒状構造発光素子160に電荷が誘起されるのは静電誘導による。すなわち、電界中に置かれた棒状構造発光素子160は、内部の電界が0となるまで表面に電荷が誘起されることによる。その結果、各電極と棒状構造発光素子160との間に静電力により引力が働き、棒状構造発光素子160は、金属電極151,152間に生じる電気力線に沿うと共に、各棒状構造発光素子160に誘起された電荷がほぼ等しいので、電荷による反発力により、ほぼ等間隔に一定方向に規則正しく配列する。しかしながら、例えば、第1実施形態の図1に示す棒状構造発光素子では、半導体層12に覆われた半導体コア11の露出部分11a側の向きは一定にならず、ランダムになる(他の実施形態の棒状構造発光素子でも同様)。
【0097】
以上のように、棒状構造発光素子160が金属電極151,152間に発生した外部電場により、棒状構造発光素子160に電荷を発生させ、電荷の引力により金属電極151,152に棒状構造発光素子160を吸着させるので、棒状構造発光素子160の大きさは、液体中で移動可能な大きさであることが必要である。したがって、棒状構造発光素子160の大きさは、液体の塗布量(厚さ)により変化する。液体の塗布量が少ない場合は、棒状構造発光素子160はナノオーダーサイズでなければならないが、液体の塗布量が多い場合は、マイクロオーダーサイズであってもかまわない。
【0098】
棒状構造発光素子160が電気的に中性ではなく、正または負に帯電している場合は、金属電極151,152間に静的な電位差(DC)を与えるだけでは、棒状構造発光素子160を安定して配列することができない。例えば、棒状構造発光素子160が正味として正に帯電した場合は、正電荷が誘起されている金属電極152との引力が相対的に弱くなる。そのため、棒状構造発光素子160の配列が非対象になる。
【0099】
そのような場合は、図15に示すように、金属電極151,152間にAC電圧を印加することが好ましい。図15においては、金属電極51に基準電位を、金属電極152には振幅VPPL/2のAC電圧を印加している。こうすることにより、棒状構造発光素子160が帯電している場合でも、配列を対象に保つことができる。なお、この場合の金属電極152に与える交流電圧の周波数は、10Hz〜1MHzとするのが好ましく、50Hz〜1kHzとするのが最も配列が安定し、より好ましい。さらに、金属電極151,152間に印加するAC電圧は、正弦波に限らず、矩形波、三角波、ノコギリ波など、周期的に変動するものであればよい。なお、VPPLは1V程度とするのが好ましかった。
【0100】
次に、金属電極151,152上に、棒状構造発光素子160を配列させた後、絶縁性基板150を加熱することにより、液体を蒸発させて乾燥させ、棒状構造発光素子160を金属電極151,152間の電気力線に沿って等間隔に配列させて固着させる。
【0101】
上記発光装置の製造方法によれば、独立した電位が夫々与えられる2つの電極151,152を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板150を作成し、その絶縁性基板150上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの棒状構造発光素子160を含んだ液体を塗布する。その後、2つの電極151,152に独立した電圧を夫々印加して、微細な棒状構造発光素子160を2つの電極151,152により規定される位置に配列させる。これにより、上記棒状構造発光素子160を所定の絶縁性基板150上に容易に配列させることができる。
【0102】
また、上記発光装置の製造方法では、使用する半導体の量を少なくできると共に、薄型化と軽量化が可能な発光装置を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子160は、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力な放熱性のよい発光装置を実現することができる。
【0103】
図16は上記棒状構造発光素子160を配列した絶縁性基板150の平面図を示している。この棒状構造発光素子160を配列した絶縁性基板150を、液晶表示装置などのバックライトに用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力な放熱性のよいバックライトを実現することができる。また、この棒状構造発光素子160を配列した絶縁性基板150を照明装置として用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力な放熱性のよい照明装置を実現することができる。
【0104】
また、図17は上記棒状構造発光素子160を配列した絶縁性基板を用いた発光装置を備えた表示装置の平面図を示している。図17に示すように、表示装置200は、絶縁性基板210上に、表示部201、論理回路部202、論理回路部203、論理回路部204および論理回路部205を備える構成となっている。上記表示部201には、マトリックス状に配置された画素に棒状構造発光素子260を配列している。
【0105】
図18は上記表示装置200の表示部201の要部の回路図を示しており、上記表示装置200の表示部201は、図18に示すように、互いに交差する複数の走査信号線GL(図18では1本のみを示す)と複数のデータ信号線SL(図18では1本のみを示す)とを備えており、隣接する2本の走査信号線GLと隣接する2本のデータ信号線SLとで包囲された部分に、画素がマトリクス状に配置されている。この画素は、ゲートが走査信号線GLに接続され、ソースがデータ信号線SLに接続されたスイッチング素子Q1と、そのスイッチング素子Q1のドレインにゲートが接続されたスイッチング素子Q2と、上記スイッチング素子Q2のゲートに一端が接続された画素容量Cと、上記スイッチング素子Q2により駆動される複数の発光ダイオードD1〜Dn(棒状構造発光素子160)とを有している。
【0106】
上記棒状構造発光素子160のpnの極性は、一方に揃っておらず、ランダムに配列されている。このため、駆動時は交流電圧により駆動されて、異なる極性の棒状構造発光素子160が交互に発光することになる。
【0107】
〔第8実施形態〕
図19はこの発明の第8実施形態の発光装置の側面図を示し、図20は上記発光装置の斜視図を示している。この第8実施形態では、上記第1〜第7実施形態の発光装置の棒状構造発光素子のいずれか1つを用いる。図20では、第2実施形態の発光装置の棒状構造発光素子と同一の構成の棒状構造発光素子を示している。
【0108】
この第8実施形態の発光装置は、図19,図20に示すように、実装面に金属電極161,162が形成された絶縁性基板150と、上記絶縁性基板150上に長手方向が絶縁性基板150の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子160とを備えている。上記絶縁性基板150には、絶縁性基板150上の金属電極161,162間かつ棒状構造発光素子160の下側に金属部の一例としての第3の金属電極163を形成している。図20では、金属電極161,162,163の一部のみを示している。
【0109】
上記棒状構造発光素子160は、図20に示すように、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア171と、上記半導体コア171の一部を覆うように形成されたp型InGaNからなる量子井戸層172と、上記量子井戸層172を覆うように形成されたp型GaNからなる半導体層173とを有する。上記半導体コア171は、一端側の外周面が露出する露出部分171aが形成されている。また、半導体コア171の他端側の端面は、量子井戸層172と半導体層173に覆われている。
【0110】
図19,図20に示すように、棒状構造発光素子160の一端側の露出部分171aが金属電極161に接続され、棒状構造発光素子160の他端側の半導体層173が金属電極162に接続されている。ここで、棒状構造発光素子160の中央部分が金属電極163に接続されている。
【0111】
また、絶縁性基板150上に所定の間隔をあけて形成された金属電極161,162間に棒状構造発光素子160の両端を接続し、絶縁性基板150上の金属電極161,162間かつ棒状構造発光素子160の下側に金属部を形成することによって、両端が金属電極161,162に接続された棒状構造発光素子160の中央側を第3の金属電極163の表面に接触させて支えるので、両持ちの棒状構造発光素子160が撓むことなく、金属電極163により支持されると共に、棒状構造発光素子160で発生した熱を半導体層173から金属電極163を介して絶縁性基板150に効率よく放熱することができる。
【0112】
なお、図21に示すように、金属電極161と金属電極162夫々は、互いに所定の間隔をあけて略並行な基部161a,162aと、基部161a,162aの対向する位置から基部161a,162a間に延びる複数の電極部161b,162bを有する。金属電極161の電極部161bとされに対向する金属電極162の電極部162bに1つの棒状構造発光素子160が配列される。この金属電極161の電極部161bとそれに対向する金属電極162の電極部162bの間に、中央部分が狭くなった蝶形状の第3の金属電極163を絶縁性基板150上に形成している。
【0113】
上記互いに隣接する第3の金属電極163同士は、電気的に切り離されており、図21に示すように、互いに隣接する棒状構造発光素子160の向きが逆になっても、金属電極163を介して金属電極161と金属電極162が短絡するのを防止できる。
【0114】
上記第1〜第8実施形態では、半導体コア11,21,31,41,51,61,71,81,171の一端側の外周面が露出した露出部分11a,21a,31a,41a,51a,61a,71a,81a,171aを有する棒状構造発光素子について説明したが、これに限らず、半導体コアの両端の外周面が露出した露出部分を有するものでもよいし、半導体コアの中央部分の外周面が露出した露出部分を有するものでもよい。
【0115】
また、上記第1〜第8実施形態では、半導体コア11,21,31,41,51,61,71,81,171と半導体層12,23,32,43,52,63,72,83,173に、GaNを母材とする半導体を用いたが、GaAs,AlGaAs,GaAsP,InGaN,AlGaN,GaP,ZnSe,AlGaInPなどを母材とする半導体を用いた発光素子にこの発明を適用してもよい。また、半導体コアをn型とし、半導体層をp型としたが、導電型が逆の棒状構造発光素子にこの発明を適用してもよい。
【0116】
また、上記第1〜第4実施形態では、棒状構造発光素子の直径を1μmとし長さを20μmのマイクロオーダーサイズとしたが、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子でもよい。上記棒状構造発光素子の半導体コアの直径は500nm以上かつ50μm以下が好ましく、半導体コアの直径が数10nm〜数100nmの棒状構造発光素子に比べて半導体コアの直径のばらつきを抑えることができ、発光面積すなわち発光特性のばらつきを低減でき、歩留まりを向上できる。
【0117】
また、上記第1〜第8実施形態では、MOCVD装置を用いて半導体コア11,21,31,41,51,61,71,81,171を結晶成長させたが、MBE(分子線エピタキシャル)装置などの他の結晶成長装置を用いて半導体コアを形成してもよい。また、成長穴を有するマスクを用いて半導体コアを基板上に結晶成長させたが、基板上に金属種を配置して、金属種から半導体コアを結晶成長させてもよい。
【0118】
また、上記第1〜第8実施形態の棒状構造発光素子10,20,30,40,50,60,70,80,160は、半導体層12,23,32,43,52,63,72,83,173に覆われた半導体コア11,21,31,41,51,61,71,81,171を、超音波を用いて基板から切り離したが、これに限らず、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に折り曲げることによって切り離してもよい。この場合、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
【0119】
また、上記第7実施形態では、絶縁性基板150の表面に形成された2つの金属電極151,152に電位差を与えて、金属電極151,152間に棒状構造発光素子160を配列させたが、これに限らず、絶縁性基板の表面に形成された2つの電極間に、第8実施形態のような第3の電極を形成し、3つの電極に独立した電圧を夫々印加して、棒状構造発光素子を電極により規定される位置に配列させてもよい。
【0120】
また、上記第7実施形態では、発光装置を備えたバックライトと照明装置および表示装置について説明したが、これに限らず、他の装置に適用してもよい。
【0121】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1〜第8実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0122】
11,21,31,41,51,61,71,81,171…半導体コア
11a,21a,31a,41a,51a,61a,71a,81a,171a…露出部分
12,23,32,43,52,63,72,83,173…半導体層
22,42,62,82,172…量子井戸層
33,44,53,64,73,84…透明電極
16,26,36,46,56,66,150…絶縁性基板
151,152,161,162,163…金属電極
10,20,30,40,50,60,70,80,160…棒状構造発光素子
200…表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の第1導電型の半導体コアと、上記半導体コアを覆うように形成された第2導電型の半導体層とを有すると共に、上記半導体コアの長手方向の一部において上記半導体コアの外周面が露出した棒状構造発光素子と、
上記棒状構造発光素子の長手方向が実装面に平行になるように上記棒状構造発光素子が実装された基板と
を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
上記基板上に所定の間隔をあけて電極が形成され、
上記基板上の上記一方の電極に上記棒状構造発光素子の上記半導体コアの露出部分が接続されると共に、上記基板上の上記他方の電極に上記棒状構造発光素子の上記半導体層が接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光装置において、
上記棒状構造発光素子は、上記半導体層と電気的に接続され、上記半導体層を覆うように形成された透明電極をさらに有することを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記半導体コアの一端側の外周面が露出していることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光装置において、
上記半導体コアの他端側の端面を上記半導体層により覆っていることを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記半導体コアの露出領域の外周面が、上記半導体層に覆われた領域の最外周面の延長面と略一致していることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記棒状構造発光素子の上記半導体コアと上記半導体層との間に量子井戸層を形成したことを特徴とする発光装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記棒状構造発光素子の上記透明電極上かつ上記基板側に金属層を形成したことを特徴とする発光装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記基板上の上記電極間かつ上記棒状構造発光素子の下側に金属部を形成したことを特徴とする発光装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1つに記載の発光装置を備えたことを特徴とするバックライト。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1つに記載の発光装置を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項1から9までのいずれか1つに記載の発光装置を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項1】
棒状の第1導電型の半導体コアと、上記半導体コアを覆うように形成された第2導電型の半導体層とを有すると共に、上記半導体コアの長手方向の一部において上記半導体コアの外周面が露出した棒状構造発光素子と、
上記棒状構造発光素子の長手方向が実装面に平行になるように上記棒状構造発光素子が実装された基板と
を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
上記基板上に所定の間隔をあけて電極が形成され、
上記基板上の上記一方の電極に上記棒状構造発光素子の上記半導体コアの露出部分が接続されると共に、上記基板上の上記他方の電極に上記棒状構造発光素子の上記半導体層が接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光装置において、
上記棒状構造発光素子は、上記半導体層と電気的に接続され、上記半導体層を覆うように形成された透明電極をさらに有することを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記半導体コアの一端側の外周面が露出していることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光装置において、
上記半導体コアの他端側の端面を上記半導体層により覆っていることを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記半導体コアの露出領域の外周面が、上記半導体層に覆われた領域の最外周面の延長面と略一致していることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記棒状構造発光素子の上記半導体コアと上記半導体層との間に量子井戸層を形成したことを特徴とする発光装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記棒状構造発光素子の上記透明電極上かつ上記基板側に金属層を形成したことを特徴とする発光装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1つに記載の発光装置において、
上記基板上の上記電極間かつ上記棒状構造発光素子の下側に金属部を形成したことを特徴とする発光装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1つに記載の発光装置を備えたことを特徴とするバックライト。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1つに記載の発光装置を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項1から9までのいずれか1つに記載の発光装置を備えたことを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−94885(P2012−94885A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270427(P2011−270427)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2009−240407(P2009−240407)の分割
【原出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2009−240407(P2009−240407)の分割
【原出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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