説明

直噴式内燃機関の制御装置

【課題】直噴式内燃機関の制御装置に関し、減筒運転から全筒運転への切り換え時に、空気が十分に供給されていない気筒内への燃料噴射を防止する。
【解決手段】複数気筒のうち選択的に任意の気筒における吸排気バルブの開閉動作を休止させると共に、該気筒の燃料噴射を停止させる減筒運転が可能な直噴式内燃機関の制御装置において、吸排気バルブの開閉動作を検出する筒内圧センサ16と、エンジン10の運転状態に応じて各気筒の燃料噴射を制御する燃料噴射制御部44とを備え、燃料噴射制御部44は、減筒運転から全筒運転に切り換わる時に、対象気筒の筒内圧センサ16の検出値が所定の閾値に達するまで、対象気筒の燃料噴射を停止させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直噴式内燃機関の制御装置に関し、特に複数気筒のうち選択的に任意の気筒の吸排気バルブの開閉動作を休止させる減筒運転が可能な直噴式内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの燃費を改善する方法として、エンジンの運転状態に応じて選択的に一部の気筒における吸排気バルブの開閉動作を休止させると共に、燃料噴射を停止させることで、エンジンのポンピングフリクションを効果的に低減させる減筒運転が知られている。また、ディーゼルエンジンや一部のガソリンエンジンにおいては、燃料を筒内に直接噴射する直噴式エンジンが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、可変動弁機構を備えて任意の気筒の吸排気バルブの開閉を休止させる減筒運転が可能に構成され、かつ、燃料を各気筒の筒内に直接噴射する直噴式内燃機関の制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−185306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、可変動弁機構による全筒運転や減筒運転への切り換え制御は、可変動弁機構に設けられた油圧式アクチュエータに供給される作動油圧を低圧もしくは高圧に切り換えることでコントロールされている。また、減筒運転時に燃料噴射が停止されていた気筒においては、全筒運転への切り換え指示と同時に対象気筒の燃料噴射を再開するのが一般的である。
【0006】
しかし、減筒運転から全筒運転への切り換え時には、油圧式アクチュエータの応答遅れにより対象気筒における吸排気バルブの開閉動作にも作動遅れが生じるため、全筒運転への切り換えと同時に対象気筒に対する燃料噴射を再開すると、空気が十分に供給されていない気筒内に燃料が噴射されることになる。そのため、その後に吸排気バルブが開閉動作を開始すると、それまでの間に燃焼室内に噴射された燃料の異常燃焼を引き起こし、大きな燃焼音や振動の発生、場合によってはエンジンの破損等を招く可能性がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、減筒運転から全筒運転への切り換え時に、空気が十分に供給されていない気筒内への燃料噴射を効果的に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明の直噴式内燃機関の制御装置は、複数気筒のうち選択的に任意の気筒における吸排気バルブの開閉動作を休止させると共に、該気筒の燃料噴射を停止させる減筒運転が可能な直噴式内燃機関の制御装置であって、前記吸排気バルブの開閉動作を検出するバルブ開閉検出手段と、前記内燃機関の運転状態に応じて各気筒の燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段とを備え、前記燃料噴射制御手段は、減筒運転から全筒運転に切り換わる時に、減筒運転の対象気筒において前記バルブ開閉検出手段が吸排気バルブの開閉動作を検出するまで、該対象気筒の燃料噴射を停止させることを特徴とする。
【0009】
また、前記バルブ開閉検出手段が、各気筒の筒内圧を検出する筒内圧センサであり、前記燃料噴射制御手段が、減筒運転から全筒運転に切り替わる時に、減筒運転の対象気筒において前記筒内圧センサにより検出される筒内圧が所定の閾値に達するまで、該対象気筒の燃料噴射を停止させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の直噴式内燃機関の制御装置によれば、減筒運転から全筒運転への切り換え時に、空気が十分に供給されていない気筒内への燃料噴射を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る直噴式内燃機関の制御装置を示す模式的なブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る直噴式内燃機関の制御装置による制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1,2に基づいて、本発明の一実施形態に係る直噴式内燃機関の制御装置を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る直噴式内燃機関の制御装置は、内燃機関としてのディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)10と、エンジン10の各気筒に対してそれぞれ設けられた筒内圧センサ16と、任意の気筒の稼働を休止させる可変動弁機構(不図示)と、ECU(電子制御ユニット)40とを備えている。なお、本実施形態において、筒内圧センサ16は本発明のバルブ開閉検出手段を構成する。
【0014】
エンジン10は、複数気筒(本実施形態では直列6気筒)を備える多気筒エンジンである。また、エンジン10には、図示しない吸気バルブの開弁により各気筒の燃焼室内に新気を導入する吸気マニホールド10aと、図示しない排気バルブの開弁により各気筒の燃焼室内から排気を導出する排気マニホールド10bとが設けられている。さらに、エンジン10の各気筒には、何れも図示しない燃料タンクからコモンレールに供給された加圧燃料をエンジン10の各気筒の筒内に直接噴射するインジェクタ14が設けられている。
【0015】
インジェクタ14は、ECU40と電気的に接続されており、このECU40から出力される制御信号に応じて図示しない噴射ノズルの芯弁を開閉させることで、燃料噴射量や噴射時期がコントロールされている。また、インジェクタ14には、各噴射ノズルから噴射される燃料の実噴射量を検出する図示しない噴射量センサが設けられている。
【0016】
筒内圧センサ16は、エンジン10の各気筒の筒内圧を検出するもので、検出された筒内圧は電気的に接続されたECU40に出力される。
【0017】
吸気マニホールド10aには、吸気通路11が接続されており、この吸気通路11には、吸気上流側から順にエアフィルタ50と、MAFセンサ51と、ターボチャージャ13のコンプレッサ13bと、インタークーラ53とが設けられている。また、排気マニホールド10bには、排気通路12が接続されており、この排気通路12には、排気上流側から順にターボチャージャ13のタービン13aと、図示しない排気浄化装置とが設けられている。
【0018】
ターボチャージャ13は、吸気通路11に設けられたコンプレッサ13bと、排気通路12に設けられた可変翼を持つVGT型のタービン13aとを備えている。すなわち、ターボチャージャ13は、エンジン10の排気エネルギーによりタービン13aが駆動すると共に、同軸に設けられたコンプレッサ13bが回転することで、吸気通路11内の吸気をエンジン10の各気筒の燃焼室内へと圧送するように構成されている。なお、本実施形態は、ターボ過給システムを一段過給システムとして説明しているが、例えば高圧段ターボと低圧段ターボとを備える多段過給システムに適用することもできる。
【0019】
EGR装置20は、可変翼タービン13aよりも上流側の排気通路12とインタークーラ53よりも下流側の吸気通路11とを連通するEGR通路21と、還流排気を冷却するEGRクーラ22と、還流排気量(以下、EGR量という)を調整可能なEGRバルブ23とを備える高圧EGR装置である。このEGR装置20によるEGR量は、EGRバルブ23の開度が電気的に接続されたECU40により調整されることでコントロールされる。なお、EGR装置20は、高圧EGR装置に限られず、例えば、ターボチャージャ13よりも排気下流側の排気通路12から、ターボチャージャ13よりも吸気上流側の吸気通路11に排気を還流する低圧EGR装置を適用することもできる。
【0020】
可変動弁機構は、公知の可変動弁機構であって、任意の気筒の稼働を休止させることが可能に構成されている。このため、可変動弁機構には、作動油圧を低圧又は高圧に切り換えるための図示しない油圧コントロールバルブが設けられている。この油圧コントロールバルブは、ECU40からの制御信号によって作動する。
【0021】
ECU40は、エンジン10の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。この各種制御を行うために、ECU40には、エンジン回転数センサ54、MAFセンサ51、アクセル開度センサ(不図示)等の各種センサの出力信号がA/D変換された後に入力される。
【0022】
また、ECU40は、目標燃料噴射算出部41と、EGR制御部42と、減筒運転制御部43と、燃料噴射制御部44とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアであるECU40に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
【0023】
目標燃料噴射算出部41は、エンジン10の運転状態に応じた燃料噴射量を算出する。ECU40の記憶部には、予め作成されたエンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとする図示しない燃料噴射マップが記憶されている。目標燃料噴射算出部41は、この燃料噴射マップから、エンジン回転数センサ54で検出されたエンジン回転数及び、アクセル開度センサで検出されたエンジン負荷に対応する値を読み取ることで、エンジン10の運転状態に応じた燃料噴射量を算出する。
【0024】
EGR制御部42は、排気中の窒素化合物(NOx)を効果的に低減すべく、エンジン10の運転状態に応じたEGR量を制御する。ECU40の記憶部には、予め作成されたエンジン回転数と燃料噴射量とをパラメータとする図示しないEGR基本マップが記憶されている。EGR制御部42は、このEGR基本マップから、エンジン回転数センサ54で検出されたエンジン回転数及び、目標燃料噴射算出部41で算出された燃料噴射量に対応する値を読み取って目標EGR量を算出すると共に、実際のEGR量が目標EGR量となるようにEGRバルブ23の開度をフィードバック制御する。
【0025】
減筒運転制御部43は、エンジン10の運転状態に応じて任意の気筒における吸排気バルブの開閉動作を休止させる減筒運転を制御する。ECU40の記憶部には、予め作成されたエンジン回転数とエンジン出力とをパラメータとする図示しない減筒運転基本マップが記憶されている。また、この減筒運転基本マップ上には、エンジン全負荷に対して各気筒のうち半分の気筒(本実施形態では3つの気筒)の稼働を休止させて運転可能な減筒運転領域が設定されている。さらに、この減筒運転領域は、アイドル運転時の振動を防ぐべくアイドル運転領域を含まず、かつ、エンジンブレーキ力の低下を防ぐべくエンジン減速運転領域を含まないように設定されている。
【0026】
そして、減筒運転制御部43は、エンジン回転数センサ54で検出されたエンジン回転数及び、目標燃料噴射算出部41で算出された燃料噴射量が減筒運転基本マップ上の減筒運転領域にある時は、エンジン10の運転状態に応じて任意の気筒の吸排気バルブの開閉動作を休止させる減筒運転が実行されるように可変動弁機構を制御する。すなわち、減筒運転を実行する時は、可変動弁機構の油圧コントロールバルブに開弁信号を出力して、作動油圧を低圧から高圧に切り換えることで、対象気筒の吸排気バルブの開閉動作を休止させる。一方、エンジン回転数センサ54で検出されたエンジン回転数及び、目標燃料噴射算出部41で算出された燃料噴射量が減筒運転基本マップ上の減筒運転領域にない時は、全気筒の吸排気バルブを開閉動作させる全筒運転が実行されるように可変動弁機構を制御する。すなわち、全筒運転を実行する時は、可変動弁機構の油圧コントロールバルブに閉弁信号を出力して、作動油圧を高圧から低圧に切り換えることで、全気筒の吸排気バルブを開閉動作させるように構成されている。
【0027】
燃料噴射制御部44は、目標燃料噴射算出部41で算出された燃料噴射量に応じて、インジェクタ14による燃料噴射を制御する。具体的には、エンジン10の全筒運転時は、各気筒のインジェクタ14から噴射される燃料量を目標燃料噴射算出部41で算出された燃料噴射量にする制御信号を出力する。また、エンジン10の減筒運転時は、稼働気筒のインジェクタ14から噴射される燃料量を目標燃料噴射算出部41で算出された燃料噴射量にする制御信号を出力すると共に、休止気筒のインジェクタ14による燃料噴射を停止(OFF)させる。
【0028】
さらに、この燃料噴射制御部44は、減筒運転から全筒運転に切り換わる時は、可変動弁機構の応答遅れを考慮して、休止状態から稼働を開始する気筒(以下、再稼働気筒という)の吸排気バルブの開閉動作が確実に開始されて、筒内圧が通常状態(例えば、全筒運転時の筒内圧)に復元するまで、この再稼働気筒の燃料噴射を停止させる。より詳しくは、ECU40の記憶部には、予め実験等で算出した各気筒の通常運転時における筒内圧が判定閾値として記憶されており、燃料噴射制御部44は、筒内圧センサ16の検出値がこの判定閾値に達するまで、再稼働気筒のインジェクタ14による燃料噴射を停止させる。すなわち、吸排気バルブの開閉動作の作動遅れ等により空気が十分に供給されない気筒に燃料を噴射することを確実に防止するように構成されている。
【0029】
次に、本実施形態に係る直噴式内燃機関の制御装置による制御フローを図2に基づいて説明する。なお、本制御はエンジン10の始動(イグニッションスイッチのキースイッチON)と同時にスタートする。
【0030】
ステップ(以下、ステップを単にSと記載する)100では、エンジン回転数センサ54で検出されたエンジン回転数及び、アクセル開度センサ(不図示)で検出されたエンジン負荷がECU40に読み込まれる。次にS110では、目標燃料噴射算出部41により、エンジン回転数とエンジン負荷とに対応する燃料噴射量が燃料噴射量マップから読み取られることで、エンジン10の運転状態に応じた燃料噴射量を算出する。
【0031】
S120では、減筒運転制御部43により、エンジン回転数と燃料噴射量とが減筒運転基本マップ上の減筒運転領域にあるか否かが確認される。エンジン10の運転状態が減筒運転領域にある場合(YES)は、S130において、可変動弁機構が任意の気筒の開閉動作を休止するように制御される。すなわち、対象気筒の吸排気バルブの開閉動作を休止させるべく、減筒運転制御部43から可変動弁機構の油圧コントロールバルブに開弁信号が出力されると共に、作動油圧が低圧から高圧に切り換えられる。一方、エンジン10の運転状態が減筒運転基本マップ上の減筒運転領域にない場合(NO)はS100へと戻される。
【0032】
S140では、減筒運転時にエンジン回転数センサ54で検出されたエンジン回転数及び、減筒運転時にアクセル開度センサ(不図示)で検出されたエンジン負荷がECU40に読み込まれる。次にS150では、目標燃料噴射算出部41により、S140で読み込んだエンジン回転数とエンジン負荷とに対応する燃料噴射量が燃料噴射量マップから読み取られることで、減筒運転時における燃料噴射量が算出される。
【0033】
S160では、減筒運転制御部43により、エンジン10の運転状態が減筒運転を継続すべきか否かが確認される。S140で読み込んだエンジン回転数と、S150で算出された燃料噴射量とが、減筒運転基本マップ上の減筒運転領域にない場合(YES)は、全筒運転に切り換えるべくS170へと進む。一方、エンジン回転数と燃料噴射量とが減筒運転基本マップ上の減筒運転領域にある場合(NO)はS140へと戻される。
【0034】
S170では、開閉動作を休止していた吸排気バルブを再稼働させるべく、減筒運転制御部43から可変動弁機構の油圧コントロールバルブに閉弁信号が出力されると共に、作動油圧が高圧から低圧に切り換えられる。また、S180では、再稼働気筒の筒内圧センサ16の検出値が読み込まれる。
【0035】
S190では、再稼働気筒の筒内圧センサ16で検出された筒内圧が判定閾値に達したか否かが確認される。筒内圧が判定閾値に達していない場合(NO)は、S180へと戻される。一方、筒内圧が判定閾値に達した場合(YES)は、S200で燃料噴射制御部44により、再稼働気筒のインジェクタ14による燃料噴射が開始(通常制御)されて本制御はリターンされる。その後、S100〜200の制御フローは、エンジン10が停止(イグニッションスイッチのキースイッチOFF)するまで繰り返し行われる。
【0036】
なお、図2に示す制御フローでは省略されているが、例えば減筒運転を実行するステップの前に、エンジン10の運転状態に応じた目標EGR量を算出すると共に、EGRバルブ23の開度を目標EGR量とするフィードバック制御を実行するステップを設けてもよい。
【0037】
以上のような構成により、本実施形態に係る直噴式内燃機関の制御装置によれば以下のような作用効果を奏する。
【0038】
エンジン10の運転状態が、エンジン全負荷に対して、例えば半分の気筒で運転可能な減筒運転領域にある時は、任意の気筒の吸排気バルブの開閉動作を休止させる減筒運転が実行される。すなわち、対象気筒の吸排気バルブの開閉動作を休止させるべく、減筒運転制御部43から可変動弁機構の油圧コントロールバルブに開弁信号が出力されると共に、作動油圧が低圧から高圧に切り換えられる。
【0039】
その後、エンジン10の運転状態が変化して減筒運転領域から外れると、減筒運転から全筒運転への切り換えが実行される。すなわち、開閉動作を休止していた吸排気バルブを再稼働させるべく、減筒運転制御部43から可変動弁機構の油圧コントロールバルブに閉弁信号が出力されると共に、作動油圧が高圧から低圧に切り換えられる。この時、油圧式アクチュエータの応答遅れにより吸排気バルブの開閉動作にも作動遅れが生じるため、全筒運転への切り換え直後は再稼働気筒の気筒内に空気が十分に供給されない状態となるが、本実施形態の直噴式内燃機関の制御装置によれば、これら再稼働気筒への燃料噴射は、筒内圧が判定閾値に達するまで、すなわち通常状態に復元するまで停止されることになる。
【0040】
したがって、減筒運転から全筒運転への切り換え時において、吸排気バルブの開閉動作の作動遅れ等により空気が十分に供給されない気筒内に対して燃料が噴射されることを確実に防止することが可能となり、その後に吸排気バルブの開閉動作が開始した際の異常燃焼等を効果的に抑止することができる。
【0041】
また、本実施形態の直噴式内燃機関の制御装置は、エンジン10のアイドル運転時及び減速運転時は、所定気筒の吸排気バルブの開閉動作を休止させる減筒運転を実行しないように構成されている。
【0042】
したがって、減筒運転によるアイドル運転時のエンジン振動及び、減筒運転によるエンジンブレーキ力の低下の双方を効果的に抑止することができる。
【0043】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0044】
例えば、上述の実施形態において、再稼働気筒における燃料噴射の停止は筒内圧センサ16の検出値に基づいて判断されるものとして説明したが、各気筒の吸排気バルブのリフト量を検出するリフト量センサを設け、このリフト量センサの検出値に基づいて行うようにしてもよい。この場合は、再稼働気筒におけるリフト量センサが所定のリフト量を検出するまで、インジェクタ14による燃料噴射を停止させるように構成すればよい。
【0045】
また、本実施形態の直噴式内燃機関の制御装置は、ディーゼルエンジンに限定されず、直噴式のガソリンエンジン等に広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 エンジン(直噴式内燃機関)
14 インジェクタ
16 筒内圧センサ
40 ECU
41 目標燃料噴射算出部
43 減筒運転制御部
44 燃料噴射制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数気筒のうち選択的に一部任意の気筒における吸排気バルブの開閉動作を休止させると共に、該気筒の燃料噴射を停止させる減筒運転が可能な直噴式内燃機関の制御装置であって、
前記吸排気バルブの開閉動作を検出するバルブ開閉検出手段と、
前記内燃機関の運転状態に応じて各気筒の燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段とを備え、
前記燃料噴射制御手段は、
減筒運転から全筒運転に切り換わる時に、減筒運転の対象気筒において前記バルブ開閉検出手段が吸排気バルブの開閉動作を検出するまで、該対象気筒の燃料噴射を停止させることを特徴とする直噴式内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記バルブ開閉検出手段が、各気筒の筒内圧を検出する筒内圧センサであり、
前記燃料噴射制御手段が、減筒運転から全筒運転に切り替わる時に、減筒運転の対象気筒において前記筒内圧センサにより検出される筒内圧が所定の閾値に達するまで、該対象気筒の燃料噴射を停止させる請求項1に記載の直噴式内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−72310(P2013−72310A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210477(P2011−210477)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】