説明

移動体の移動経路検出システム及び装身具

【課題】無線タグを用いた簡便な手法で移動体の移動経路を確実に検出し把握する。
【解決手段】生徒Hの移動経路内の異なる位置に設けられた複数の経路タグTkと、当該経路タグTkの情報を読み取るために生徒Hが所持する携帯リーダ1とを有する移動体の移動経路検出システムS1であって、携帯リーダ1は、無線通信を介し経路タグTkより経路タグIDを複数の異なるタイミングで取得可能なタグ検出用アンテナ4を有し、生徒Hの移動に伴って取得される複数の異なるタイミングにおける情報取得結果に基づいて生徒Hの移動経路を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグに対し情報の読み取りを行う無線タグ情報読取装置を用いて移動体の移動経路を検出する移動体の移動経路検出システム、及びこれに使用可能な装身具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。例えばラベル状の無線タグに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、既に様々な分野において実用化が進んでいる。
【0003】
従来、上記のような無線タグを利用し、子供に対する保護者からの保護の面で活用したり、物品の盗難・不正持ちだし防止管理を行うものとして、例えば特許文献1に記載のものがある。この従来技術では、管理対象物品にそれぞれ無線タグを設けるとともに、その無線タグの識別情報(タグID)と、当該管理対象物品の取り扱い責任者の生体情報(指紋など)とを関連づけて予め管理装置のデータベースに登録しておく。一方、当該管理対象物品のある施設の出口付近に無線タグ情報読み取り装置を設けておく。そして、管理対象物品がある人物により持ち出されようとした場合には、当該人物から読み取った生体情報と、無線タグ情報読み取り装置で読み取ったタグIDとを管理装置に問い合わせて、データベースに登録された内容と合致しているかどうかを判定する。
【0004】
【特許文献1】特開2006−107308号公報(図14等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、上記従来技術では、物品に付した無線タグの識別情報を読み取ることで、物品の建物での出入口管理を行うことがきる。ここで、上記のような管理対象(物品)に無線タグを付して管理する手法を応用し、移動体に対し無線タグを付しこれを無線タグ情報読み取り装置で読み取るようにすれば、簡便な手法で移動体の移動経路を検出することができ、非常に便利である。しかしながら、上記従来技術では、基本的に静止配置されている物品を対象としており、そのような点までは配慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、無線タグを用いた簡便な手法で移動体の移動経路を確実に検出し把握することができる移動体の移動経路検出システム及びこれに用いる装身具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、移動体の移動経路内の異なる位置に設けられた複数の第1無線タグと、該第1無線タグの情報を読み取るために前記移動体側に設けられた無線タグ情報読み取り装置とを有する移動体の移動経路検出システムであって、前記無線タグ情報読み取り装置は、無線通信を介し前記第1無線タグより所定の情報を複数の異なるタイミングで取得可能な第1情報取得手段を備え、前記移動体の移動に伴って前記第1情報取得手段によって取得される複数の異なるタイミングにおける情報取得結果に基づいて前記移動体の移動経路を算出する第1移動経路算出手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、移動経路内の異なる位置に第1無線タグを設け、移動体側に無線タグ情報読み取り装置を設ける。そして、移動体が移動するときに、その移動に伴って複数の異なるタイミングで第1情報取得手段により複数の第1無線タグより順次情報取得を行い、それら複数のタイミングの情報取得結果に応じて第1移動経路算出手段が移動体の経路を算出する。
【0009】
このように、移動体が移動するのにしたがって第1無線タグと無線タグ情報読み取り装置との間で複数回の情報取得を順次行い、経路算出を行うことにより、無線タグを用いた簡便な手法で移動体の移動経路を確実に検出し把握することができる。
【0010】
上記目的を達成するために、第2の発明は、移動体側に設けられた第2無線タグと、前記移動体の移動経路内の異なる位置に設けられた複数の無線タグ情報読み取り装置とを有する移動体の移動経路検出システムであって、前記無線タグ情報読み取り装置は、無線通信を介し前記第2無線タグより所定の情報を取得するための第2情報取得手段を備え、前記移動体の移動に伴って、前記第2情報取得手段によって取得される前記異なる位置に配置された前記無線タグ情報読取装置からの情報取得結果に基づいて、前記移動体の移動経路を算出する第2移動経路算出手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
本願第2発明においては、移動体側に第2無線タグを設け、移動体の移動経路内の異なる位置に無線タグ情報読み取り装置をそれぞれ設ける。そして、移動体が移動するときに、その移動に伴って各無線タグ情報読み取り装置の第2情報取得手段で移動体の第2無線タグより順次情報取得を行い、それら取得結果に応じて第2移動経路算出手段が移動体の経路を検出する。
【0012】
このように、移動体が移動するのにしたがって第2無線タグと無線タグ情報読み取り装置との間で複数回の情報取得を順次行い、経路検出を行うことにより、無線タグを用いた簡便な手法で移動体の移動経路を確実に検出し把握することができる。
【0013】
第3発明は、上記第1発明において、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記移動体としての人体に装着可能な略リング状部材に設けられていることを特徴とする。
【0014】
人体に装着した略リング状部材に設けた無線タグ情報読み取り装置で、人体の移動にしたがって第1無線タグと複数回の情報取得を順次行い、経路検出を行うことができる。
【0015】
第4発明は、上記第2発明において、前記第2無線タグは、前記移動体としての人体に装着可能な略リング状部材に設けられていることを特徴とする。
【0016】
人体に装着した略リング状部材に設けた第2無線タグを、人体の移動にしたがって複数の無線タグ情報読み取り装置から情報取得を順次行い、経路検出を行うことができる。
【0017】
第5発明は、上記第4発明において、前記第2無線タグは、ループコイルを備えたコイルアンテナ、若しくは、複数のアンテナ素子を略直線状に配置したダイポールアンテナ、又は、略平面状の平面アンテナを有することを特徴とする。
【0018】
第2無線タグのコイルアンテナ、又はダイポールアンテナ、若しくは平面アンテナを介し、人体の移動にしたがって複数の無線タグ情報読み取り装置から情報取得を順次行い、経路検出を行うことができる。
【0019】
第6発明は、上記第3乃至第5発明のいずれかにおいて、前記略リング状部材に設けられる前記無線タグ情報読み取り装置又は前記第2無線タグは、前記人体への装着状態における前記略リング状部材のうち一方側と他方側との少なくとも2箇所に設けられていることを特徴とする。
【0020】
これにより、人体の移動や姿勢の変化によって略リング状部材の向きが変化したとしても、2箇所のうち少なくとも1箇所の無線タグ情報読み取り装置(又は第2無線タグ)は確実に通信可能な状態とすることができ、検出における信頼性を高めることができる。
【0021】
第7発明は、上記第6発明において、前記無線タグ情報読み取り装置又は前記第2無線タグは、少なくとも、前記装着状態の前記略リング状部材における前記人体の前後方向2箇所に設けられていることを特徴とする。
【0022】
これにより、人体の前後方向いずれか一方側が通信良好な向きに相当し、他方側が通信不良な向きに相当したとしても、いずれか1箇所の無線タグ情報読み取り装置(又は第2無線タグ)は確実に通信良好な状態とすることができ、検出における信頼性を高めることができる。
【0023】
第8発明は、上記第3乃至第7発明のいずれかにおいて、前記略リング状部材は、前記人体への装着・非装着に応じて、前記無線タグ情報読み取り装置又は前記第2無線タグの通信機能による有効化・無効化を切り替えるための通信切替手段を備えることを特徴とする。
【0024】
これにより、人体非装着時には通信機能を無効化することが可能となるので、電力の節約を図ったり、あるいは無用な通信干渉の発生を防止することができる。
【0025】
第9発明は、上記第3乃至第8発明のいずれかにおいて、前記略リング状部材は、前記人体への装着状態における内周側又は外周側に、通信信号強度を低減するためのシールド手段を備えることを特徴とする。
【0026】
これにより、略リング状部材をリバーシブルに使用し、ある向きにして使用したときには移動経路検出可能な状態、その逆向きに裏返して使用した場合には移動経路検出を行わない状態とすることができるので、使用者の利用態様の範囲が広がり使い勝手を向上することができる。
【0027】
第10発明は、上記第1乃至第9発明のいずれかにおいて、前記第1移動経路算出手段又は前記第2移動経路算出手段により算出された前記移動体の経路と、予め定められた所定の経路との一致性を判断する経路判断手段を有することを特徴とする。
【0028】
あらかじめ定められた所定の経路との一致不一致を判断することにより、誤って所定経路から外れていないかどうかを検知することが可能となる。
【0029】
第11発明は、上記第10発明において、前記経路判断手段は、前記第1又は第2情報取得手段が、前記予め定められた所定の経路以外の領域に配置された前記無線タグより前記所定の情報を取得したときに、前記所定の経路と不一致であると判断することを特徴とする。
【0030】
所定経路をたどっていれば送受信を行わないはずの無線タグから情報取得を行ったことで、所定経路から外れたことを確実に検知することができるので、警報発生等の所定の対応をとることが可能となる。
【0031】
第12発明は、上記第10又は第11発明において、前記経路判断手段は、前記第1又は第2情報取得手段による情報取得時刻に応じて、所定の経路との一致性を判断することを特徴とする。
【0032】
これにより、所定経路を通常の速度でたどっていれば通過するはずの時刻と異なる時刻に無線タグから情報取得を行った場合、これによって(少なくとも部分的に)所定経路から外れたことを確実に検知することができるので、警報発生等の所定の対応をとることが可能となる。
【0033】
第13発明は、上記第10乃至第12発明のいずれかにおいて、前記経路判断手段は、前記第1又は第2情報取得手段による情報取得の時間的順序に応じて、所定の経路との一致性を判断することを特徴とする。
【0034】
これにより、所定経路をたどったときの通過順序と異なる順序で無線タグから情報取得を行った場合、これによって(少なくとも部分的に)所定経路から外れたことを確実に検知することができるので、警報発生等の所定の対応をとることが可能となる。
【0035】
第14発明は、上記第10乃至第13発明のいずれかにおいて、前記経路判断手段による前記移動体の経路の前記一致性の判断に応じて、経路異常報知のための信号を出力する経路異常信号出力手段を有することを特徴とする。
【0036】
経路異常信号出力手段から出力された信号によって経路異常報知を行うことにより、所定の経路から外れている旨を報知し認識させることができる。
【0037】
第15発明は、上記第1乃至第14発明のいずれかにおいて、前記第1経路算出手段又は前記第2経路算出手段により算出された前記移動体の経路を、前記移動体が本来通過すべき前記所定の経路として設定し記憶保持するための経路設定手段を有することを特徴とする。
【0038】
あらかじめ移動体を実際に移動させてその経路に沿って第1経路算出手段又は前記第2経路算出手段で経路算出を行わせ、これを所定の経路として経路設定手段で記憶保持することにより、これ以降は、当該記憶保持した所定の経路との一致性に基づき経路異常を判断することが可能となる。
【0039】
上記目的を達成するために、第16の発明は、人体の所定部位に略リング状にして装着可能な装身具であって、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備えた第1無線タグに対し無線通信により情報送受信を行う無線タグ情報読み取り装置を、前記略リング状の周方向複数箇所にそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0040】
装身具に無線タグ情報読み取り装置を設けることにより、その装身具を装着した人体が移動したときに、移動体の移動経路内の異なる位置に設けられた第1無線タグに対し順次情報取得を行うことで、当該人体の移動時の経路算出を行うことが可能となる。このとき、略リング状の周方向複数箇所に無線タグ情報読み取り装置を設けることにより、人体の移動や姿勢の変化によって略リング状の装身具の向きが変化したとしても、少なくとも1箇所の無線タグ情報読み取り装置は通信可能な状態とすることができ、検出における信頼性を高めることができる。
【0041】
第17の発明は、人体の所定部位に略リング状にして装着可能な装身具であって、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備え、無線通信により無線タグ情報読み取り装置と情報の送受信を行う第2無線タグを、前記略リング状の周方向複数箇所にそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0042】
装身具に第2無線タグを設けることにより、その装身具を装着した人体が移動したときに、移動体の移動経路内の異なる位置に設けられた無線タグ情報読み取り装置より第2無線タグに対し順次情報取得を行うことで、当該人体の移動時の経路検出を行うことが可能となる。このとき、略リング状の周方向複数箇所に無線タグを設けることにより、人体の移動や姿勢の変化によって略リング状の装身具の向きが変化したとしても、少なくとも1箇所の無線タグは通信可能な状態とすることができ、検出における信頼性を高めることができる。
【0043】
第18発明は、上記第17発明において、前記第2無線タグは、前記タグ側アンテナとして、ループコイルを備えたコイルアンテナ、若しくは、複数のアンテナ素子を略直線状に配置したダイポールアンテナ、又は、略平面状の平面アンテナを有することを特徴とする。
【0044】
第2無線タグのコイルアンテナ、又はダイポールアンテナ、若しくは平面アンテナを介し、人体の移動にしたがって複数の無線タグ情報読み取り装置から情報取得を順次行い、経路検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、無線タグを用いた簡便な手法で移動体の移動経路を確実に検出し把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明による移動体の移動経路検出システムを、家庭と学校の間を通学する生徒の通学状況を監視するシステム(以下適宜、通学状況監視システムという)に適用した場合の実施形態である。
【0047】
図1は、本実施形態の通学状況監視システムの全体概略を表すシステム構成図である。
【0048】
この図1において、本実施形態における通学状況監視システム(移動体の移動経路検出システム)S1は、生徒(移動体)Hの通学路を含めた地域内の所定位置に設置されている複数の経路タグ(第1無線タグ)Tkと、生徒Hの所持品Mに貼付されている所持品タグTsと、通学する生徒Hが携帯所持する携帯リーダ(無線タグ情報読み取り装置)1と、この携帯リーダ1から送信される報知信号を受信する中継局2と、生徒Hの家庭に設置されて中継局2と広域ネットワークWNを介して報知信号を受信可能に接続されている連絡用PC3とから構成されている。
【0049】
まず、通学路を含めた広い領域において適宜の間隔で配置されている電柱、信号、標識、ポスト、自動販売機などの公共の固定設置物が予め通過検出ポイントとして設定されており(詳しくは後述する)、それら全ての通過検出ポイントにはそれぞれ携帯リーダ1が無線通信を介して各種情報(識別情報など、詳しくは後述する)を読み取り可能な上記経路タグTkが貼付されている。これら経路タグTkは、公共インフラとして予め貼付されているものでもよいし、または生徒Hの父兄などが個人的に貼付したもの等でもよい。
【0050】
また、生徒Hが所持している所持品Mの中でも特に紛失を防ぎたい重要な物品には、同様に携帯リーダ1が各種情報を読み取り可能な所持品タグTsが貼付されている。
【0051】
そして生徒Hが所持している携帯リーダ1は、その周囲の所定の有効通信範囲内に存在する経路タグTk及び所持品タグTsから無線通信を介して各種情報を読み取り、その読み取った情報に基づいて生徒Hの通学状況及び所持品Mの所持状況に関する判断とそれに対応する報知処理を行うものである。またこの例の携帯リーダ1は、生徒Hを中心とした全方位に対して有効無線通信範囲を確保するために複数のタグ検出用アンテナ4を備えており(タグ検出用アンテナ4は生徒Hが着用するアンテナ付き帽子5に備えられている)、また報知処理の際において例えば携帯電話などが利用する長距離無線通信回線を介して中継局2に報知信号を送信する機能も有している。
【0052】
そして中継局2は、携帯リーダ1から受信した上記報知信号を、一般の電話回線またはインターネット回線などの広域ネットワークWNを介して接続されている家庭側の連絡用PC3へ送信するようになっている。
【0053】
図2は、上記通学状況監視システムS1の概略を表すシステム構成図である。この図2において、この通学状況監視システムS1は、上述したように複数の通過検出ポイントに貼付されている経路タグTkと、生徒Hの所持品Mに貼付されている所持品タグTsと、生徒Hが所持する携帯リーダ1と、中継局2と、連絡用PC3とから構成されている。
【0054】
携帯リーダ1は、上記タグ検出用アンテナ4(この例では経路タグ検出用アンテナ4Aと所持品タグ検出用アンテナ4Bとから構成される。詳細は後述)、連絡用アンテナ6、及び携帯リーダ本体7とから構成されている。この例では、携帯リーダ本体7が上記アンテナ付き帽子5に設けられている上記タグ検出用アンテナ4を介して経路タグTk及び所持品タグTsから読み取った各種タグ情報に基づき生徒Hの通学状況と所持品Mの所持状況を判断し、報知処理を行う際には連絡用アンテナ6を介した長距離無線通信により中継局2へ報知信号を送信する。
【0055】
携帯リーダ本体7は、CPU8(中央演算装置)と、例えばRAMやROM等からなるメモリ9と、操作者(生徒H、父兄)からの指示や情報が入力される操作部10と、各種情報やメッセージを表示する表示部11と、時間の計測を行うタイマ12と、大きな音声を発音可能なスピーカ13と、連絡用アンテナ6を介して中継局2との長距離無線通信の制御を行う連絡通信制御部14と、タグ検出用アンテナ4を介して経路タグTk及び所持品タグTsとの無線通信の制御を行うタグ通信制御部15とを備えている。
【0056】
この携帯リーダ1のCPU8は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってタグ検出用アンテナ4を介した経路タグTk及び所持品タグTsの検出と情報の読み取り、生徒Hの通学状況及び所持品Mの所持状況の判断と報知処理、及び連絡用アンテナ6を介した中継局2への報知信号の送信を行うようになっている。
【0057】
経路タグTk及び所持品タグTsはこの例では構成がほぼ同じものであり、タグ側アンテナ151とIC回路部150とを備える無線タグ回路素子Toを貼付用のラベルLに設けた構成のものである(無線タグ回路素子Toについては後に詳述する)。
【0058】
なお、家庭内に設置する連絡用PC3は例えば汎用のパーソナルコンピュータで構成するものであり、中継局2から報知信号を受信した際に対応する報知情報画面の表示及び報知警告音の発音を行うものである。
【0059】
図3は、上記携帯リーダ1におけるCPU8、タグ通信制御部15及びタグ検出用アンテナ4の詳細構成の一例を表す機能ブロック図である。なお、ここでは経路タグTk及び所持品タグTsに対して無線通信を行う部分に関してのみ説明し、公知の携帯電話回線などを利用して長距離無線通信を行う連絡通信制御部14についての説明は省略する。
【0060】
図3において、タグ通信制御部15は上記タグ検出用アンテナ4を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(識別情報であるタグID及び各種伝達情報を含む無線タグ情報)へアクセスするものである。また、CPU8は無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、携帯リーダ1全体の動作を制御するものである。
【0061】
タグ通信制御部15は、CPU8の制御信号により切り替えられるアンテナスイッチ(切替)回路341と、タグ検出用アンテナ4(4つの経路タグ検出用アンテナ4Aと1つの所持品タグ検出用アンテナ4B。詳細は後述)を介し無線タグ回路素子Toに対して信号(質問波)を送信する送信部212と、タグ検出用アンテナ4により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波(応答波)を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0062】
アンテナスイッチ回路341は、例えば周知の高周波用FETやダイオードを用いたスイッチ回路であり、CPU8からの制御信号により4つの経路タグ検出用アンテナ4Aと1つの所持品タグ検出用アンテナ4Bのうちいずれかのアンテナを送受分離器214に接続するものである。
【0063】
送信部212は、CPU8の制御により無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(読み取る)ための搬送波を発生させる(経路タグTkと所持品タグTsのそれぞれに対応する2種類の周波数で発生してもよい)水晶振動子215A、PLL(Phase Locked Loop)215B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記CPU8からの制御により所定の周波数で発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU8からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例ではCPU8からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しタグ検出用アンテナ4に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0064】
受信部213は、タグ検出用アンテナ4で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記タグ検出用アンテナ4で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU8に入力されて処理される。
【0065】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU8に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0066】
図4は、上記タグ検出用アンテナ4を備えたアンテナ付き帽子5と携帯リーダ1の接続構成を表す図である。なお、図示を簡易にするために携帯リーダ1のみ模式的に表している。
【0067】
この図4において、アンテナ付き帽子5はその外周にアンテナ付きリングベルト(略リング状部材)21を設けている。そして、アンテナ付きリングベルト21の左右2カ所及び前後2カ所(つば部22を前方に向けて装着した生徒Hから見た左右方向2カ所及び前後方向2カ所)つまり合計4カ所に、略平面状の平面アンテナで構成する経路タグ検出用アンテナ4Aが携帯リーダ1の一部として取り付けられている。それら4つの経路タグ検出用アンテナ4Aは、それぞれ、アンテナコード23を介して携帯リーダ1のタグ通信制御部15の上記アンテナスイッチ回路341に接続されている。また、携帯リーダ1の近傍には、同じく平面アンテナで構成する1つの所持品タグ検出用アンテナ4Bが同様に1つのアンテナコード23によりアンテナスイッチ回路341に接続されている。
【0068】
前述したように、これら4つの経路タグ検出用アンテナ4Aと1つの所持品タグ検出用アンテナ4Bはこの例では同じ平面アンテナで構成され、これらがタグ検出用アンテナ4を構成している。また、アンテナスイッチ回路341は、CPU8からの制御信号に基づき、4つの経路タグ検出用アンテナ4Aと1つの所持品タグ検出用アンテナ4を所定の切替態様にて(例えば後述のよう経路タグ検出モードにおいては4つの経路タグ検出用アンテナ4Aを所定の時間間隔で順次切り替えて、所持品タグ検出モードでは所持品タグ検出用アンテナへ切り替えて)送受分離器214に接続する。なおこのとき、それぞれ経路タグTkと所持品タグTsとで使い分ける搬送波の周波数(詳しくは後述する)にそれぞれ対応する周波数特性を有するよう構成してもよい。
【0069】
このような構成のアンテナ付き帽子5を装着することで、4つの経路タグ検出用アンテナ4Aが協働して生徒Hの頭部を中心とした左右前後ほぼ全方位に対し無線通信領域を網羅することができる。また、生徒H自身が携帯リーダ1を所持することで、所持品タグ検出用アンテナ4Bが生徒Hの身体のほぼ中央に位置させることができ、生徒Hが所持する物品全部をその無線通信領域内に収めることができる。
【0070】
図5は、上記携帯リーダ1の検出対象である経路タグTk及び所持品タグTsに備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0071】
図5において、無線タグ回路素子Toは、携帯リーダ1の上記タグ検出用アンテナ4とUHF帯、マイクロ波帯等の周波数を用いて非接触で信号の送受信を行う上記タグ側アンテナ151と、このタグ側アンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0072】
IC回路部150は、タグ側アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグ側アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記タグ側アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
【0073】
変復調部156は、タグ側アンテナ151により受信された上記携帯リーダ1のタグ検出用アンテナ4からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、タグ側アンテナ151より受信された搬送波を変調し、タグ側アンテナ151より反射波として再送信する。
【0074】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0075】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0076】
また、経路タグTk及び所持品タグTsはそれぞれのメモリ部155に自己の識別情報である経路タグID及び所持品タグIDを記憶しており、それら経路タグIDと所持品タグIDは経路タグTkと所持品タグTsを区別できるデータ構造となっている。
【0077】
以上において、本実施形態の最も大きな特徴は、生徒Hが通学路を移動する際に携帯リーダ1が検出する経路タグTkの無線タグ情報に基づいてその移動経路や移動時間の異常を判断し、報知することができることにある。以下、その詳細を順次説明する。
【0078】
図6は、本実施形態の例における経路タグTk(通過検出ポイント)と生徒Hの正しい通学路との配置関係を説明する図である。
【0079】
この図6において、本実施形態の例では、家庭から学校までの通学路Rを内包する広い領域内において、(1)〜(12)の番号付けされた12個の通過検出ポイントが全て道の分岐点(図示する例では全て十字路)に設定され、上記経路タグTkが設けられている。例えば経路タグTkが貼付される通過検出ポイントどうしは十分な距離で離間した配置とし、一つの携帯リーダ1の通信範囲内で同時に複数の経路タグTkが検出されないようにしてもよい。なお、通過検出ポイントを設定する場所は道の分岐点に限られず、上述したように他の通過検出ポイントと十分離間した配置であれば道の途中などに設定してもよい。そして、この例においては、生徒Hが家庭から学校へ登校する際の通学路Rは、(10)(家庭)、(7)、(8)、(5)、(2)、(3)(学校)の通過検出ポイントの順で通過する移動経路に予め設定登録(後述)してあるものとする。
【0080】
次に、携帯リーダ本体7のメモリ9に記憶させる登録経路テーブルについて説明する。図7は、携帯リーダ本体7のメモリ9に記憶させる登録経路テーブルであって、上記図6に示した通学路Rに対応する経路タグ情報を登録した例を概念的に表す図である。
【0081】
この図7に示す例の登録経路テーブルは、移動経路中で通過する通過検出ポイントの順番(通過順番号)に対応して、各通過検出ポイントに貼付される経路タグTkのタグID(経路タグID)、各通過検出ポイントが設定されている場所の名称(通過点名称)、前の通過検出ポイントからその通過検出ポイントまでの移動に通常の場合に要する時間(通過所要時間)が格納される相関情報の形式で構成されている。なお後述するようにポイント間の通過所要時間でなく累積所要時間や通過時刻を用いるようにしてもよい。
【0082】
この例においては、上述したように通過順番号1〜6にそれぞれ対応する通過検出ポイントは、上記図6に示す(10)、(7)、(8)、(5)、(2)、(3)(通過順)の通過検出ポイントとなり、通過点名称もそれぞれが設定されている場所の名称となっている。そして通過所要時間については、各通過検出ポイントに対応して、その通過検出ポイントを通過する順番をN番目とした場合の(N−1)番目に通過したもの、つまり一つ前に通過した通過検出ポイントから当該通過検出ポイントまでに生徒Hが実際に歩いて到着するのに必要な時間(通常の歩き方において要するであろう標準時間)が格納される。具体的には、(N−1)番目の経路タグTkが携帯リーダ1に検出された時点から現N番目の経路タグTkが検出されるまでに通常要する相対的な時間差(この例では5秒単位)が、N番目の通過所要時間として予め設定登録されている。
【0083】
なお、図中には登校時の往路についての内容のみを示しているが、下校時の復路については通過順を逆にして、通過所要時間の内容をそれぞれ目的地(家庭)側に一つずつ移せばよい。
【0084】
図8は、上記携帯リーダ1のCPU8によって実行される処理の制御手順を表すフローチャートである。この図8に示すフローは、携帯リーダ1の電源を投入すると開始される。
【0085】
この図8において、まずステップS10で、操作部10から経路監視処理を行う指示が入力されたか否かを判定する。経路監視処理を行う指示入力があった場合、ステップS10の判定が満たされてステップS100の経路監視処理に移り、ラ経路監視処理を行う指示入力がなかった場合、ステップS10の判定が満たされず、ステップS200の経路登録処理に移る。
【0086】
経路監視処理とは、生徒Hの通学中に携帯リーダ1で常に経路タグTkを検出して正しい通学路Rの移動経路を予定時間通りに移動しているかを監視するとともに、生徒Hが所持品Mを所持し続けているか(紛失・盗難されていないか)を監視する処理である。また、経路登録処理とは、実際に生徒Hを通常の移動速度で正しい通学路Rに沿って移動させることで、正常に検出すべき経路タグID及び通過所要時間を通過順に登録経路テーブルに登録する処理である。
【0087】
上記ステップS100又はステップS200を実行したら、このフローを終了する。
【0088】
図9は、上記ステップS100の経路監視処理(前述の経路タグ検出モードに相当)の詳細手順を表すフローチャートである。
【0089】
この図9において、まずステップS105で、通過順に相当するカウンタ変数Nを1に初期設定し、次のステップS110へ移る。
【0090】
ステップS110では、アンテナ付き帽子5に取り付けられている4つの経路タグ検出用アンテナ4Aを介して経路タグTkの検出を行う。具体的には、上述したように経路タグTkに経路タグIDの返信を促す信号(例えば「Scroll All ID」信号や「Ping」信号等)で搬送波を変調させて質問波を生成する。そして(前述のようにしてアンテナスイッチ回路341で適宜切り替えを行いつつ)各経路タグ検出用アンテナ4Aから順次質問波を送信して、それに応答する応答波(経路タグIDを含む)を受信することにより経路タグIDの読み取り動作を行う。
【0091】
次にステップS115へ移り、上記ステップS110の経路タグIDの読み取り動作によって経路タグIDが読み取られたか否か、そして経路タグIDが読み取られた場合にその経路タグIDが登録経路テーブルで通過順番号がカウンタ変数Nに対応する経路タグID(以下、N番目の経路タグIDという)と一致するか否かを判定する。
【0092】
N番目の経路タグID(ここではカウンタ変数Nの値が1であるため、出発点である家庭前の通過検出ポイント(10)の経路タグTkの経路タグIDとなる)が検出された場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hが家庭を出発して通学を開始したものとみなされて次のステップS120へ移る。一方、対応する経路タグTkが検出されない場合には、判定が満たされず、すなわちまだ生徒Hが通学を開始していないものとみなされてステップS110へ戻り、同様の手順を繰り返して待機する。
【0093】
ステップS120では、カウンタ変数Nの値を1増加し、次のステップS125でタイマ12をリセットしてから時間計測を開始する。
【0094】
次にステップS130へ移り、上記ステップS110と同様の制御により経路タグTkの経路タグIDを読み取った後、ステップS135で新たな経路タグID(前回読み取られたものと異なる経路タグID)が検出されたか否かを判定する。経路タグIDが検出された場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hが次の通過検出ポイントに到着したものとみなされ、次のステップS140へ移る。
【0095】
ステップS140では、上記ステップS135の判定で検出されたとみなされた経路タグIDが登録経路テーブルにおけるN番目の経路タグIDと一致するか否かを判定する。検出された経路タグIDがN番目の経路タグIDと一致する場合、判定が満たされ、すなわちこの時点まで生徒Hが正しい移動経路で移動しているものとみなされて次のステップS145へ移る。
【0096】
ステップS145では、その時点でのタイマ12の計時時間が登録経路テーブルにおけるN番目の通過所要時間以内であるか否かを判定する。通過所要時間内である場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hが予定時間通りに所定の通過検出ポイントを通過して移動しているものとみなされて次のステップS150へ移る。
【0097】
ステップS150では、上記ステップS135の判定で検出されたとみなされた経路タグIDが目的地(学校前交差点)の通過検出ポイント(3)に貼付されている経路タグTkの経路タグID(最後の経路タグID)であるか否か、具体的にはカウンタ変数Nの値が6であるか否か(若しくは検出された経路タグIDと最後の6番目の経路タグIDとの一致判断でもよい)を判定する。カウンタ変数Nの値が6である場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hが目的地に到着して通学の監視が不要であるとみなされてこのフローを終了する。カウンタ変数Nの値が6でない場合、判定が満たされず、すなわち生徒Hがまだ目的地に到着しておらず通学の監視がまだ必要であるとみなされ、ステップS120へ戻り同様の手順を繰り返す。
【0098】
一方、上記ステップS135の判定において、経路タグIDが検出されていない場合、判定が満たされず、すなわちまだ生徒Hが次の通過検出ポイントに到着していないものとみなされてステップS155へ移る。
【0099】
ステップS155では、その時点でのタイマ12の計時時間が登録経路テーブルにおけるN番目の通過所要時間以内であるか否かを判定する。通過所要時間内である場合、判定が満たされ、ステップS130へ戻って同様の手順を繰り返す。一方、その時点でのタイマ12の計時時間が通過所要時間を超えている場合、判定が満たされず、すなわち生徒Hに事故などが起きたために移動の停止または遅れが生じた可能性があるみなされてステップS160へ移る。
【0100】
ステップS160では、携帯リーダ1の表示部11に、通学状況の異常を報知する表示とともに最寄りの通過検出ポイントとして(N−1)番目の通過点名称を表示し、報知音をスピーカ13から発音させて生徒H本人及び周囲の人に対する異常の報知を行う。
【0101】
次にステップS165へ移り、(N−1)番目の通過点名称を含む報知信号を連絡用アンテナ6(図2で概念的にのみ図示)を介して長距離無線通信で中継局2に送信してこのフローを終了する。特に詳しい手順は示さないが、この報知信号を受信した中継局2はネットワーク回線を介して家庭の連絡用PC3にそのまま報知信号を送信し、連絡用PC3はその表示部11での報知画面(通過点名称についての情報を含む)の表示と報知音の発音を行わせて家庭の父兄に対し生徒Hの通学状況の異常を報知する。
【0102】
また一方、上記ステップS140の判定において、上記ステップS135の判定で検出されたとみなされた経路タグIDがN番目の経路タグIDと一致しない場合、判定が満たされず、すなわち生徒Hが道順を間違えた場合や事故の発生などを含めた通学状況の異常が生じたものとみなされてステップS160及びステップS165の報知処理へ移る。なおこの場合には、携帯リーダ1及び連絡用PC3の表示部11に表示させる報知画面の情報として、上記ステップS135の判定で検出された経路タグIDに対応する通過点名称(携帯リーダ1及び連絡用PC3に登録経路テーブルに登録されている以外の全ての経路タグID及び対応する通過点名称があらかじめ記憶されているものとする)も含めてもよい。また、特に通学路Rの近辺に位置する通過検出ポイントの経路タグTkの経路タグIDを脇道経路タグIDとして別途登録しておき、それらを検出した場合に報知処理で生徒Hが脇道に入ったものとして報知するようにしてもよい。
【0103】
また一方、上記ステップS145の判定において、その時点でのタイマ12の計時時間が登録経路テーブルにおけるN番目の通過所要時間を超過している場合、判定が満たされず、すなわち生徒Hに事故の発生などの通学状況の異常が生じたものとみなされてステップS160及びステップS165の報知処理へ移る。なおこの場合には、携帯リーダ1及び連絡用PC3の表示部11に表示させる報知画面の情報として、生徒Hがそれより前の通過検出ポイントを通過してからどのくらいの時間が経過したかを示すタイマ12の計時時間も含めてもよい。
【0104】
図10は、生徒Hの通学における移動経路を監視しながらも、生徒Hの所持品Mの所持状況を監視可能な、CPU8の実行する割り込み所持品監視処理(前述の所持品タグ検出モードに相当)の詳細手順を表すフローチャートである。つまり、図9の経路監視処理が動作している際に、この図10の割り込み所持品監視処理も同時に並行して動作していることになる(このような同時並行処理は、例えば、コンピュータのOS等でしばしば行われる、「マルチタスク処理」と同様の公知の方式により、1つのCPU8に行わせることができる)。
【0105】
図10において、まず、ステップS305で、所持品タグ検出用アンテナ4Bを介して生徒Hが所持している所持品タグTsを全て検出し、それらの所持品タグIDを読み取って記憶する。具体的には、上述したように所持品タグTsに所持品タグIDの返信を促す信号で搬送波を変調させて質問波を生成する。そして(前述のようにしてアンテナスイッチ回路341により切り替えを行った後)所持品タグ検出用アンテナ4Bからこの質問波を送信して、それに応答する全ての応答波(所持品タグIDを含む)を受信することにより所持品タグIDの読み取り動作を行う。そして読み取った全ての所持品タグIDを登録して、次のステップS310へ移る。
【0106】
ステップS310では、上記ステップS305と同様の制御により全ての所持品タグTsの所持品タグIDの読み取りだけを行い、ステップS315へ移る。
【0107】
ステップS315では、上記ステップS305で登録した所持品タグIDが上記ステップS310で全て読み取れたか否かを判定する。登録した所持品タグIDが全て読み取れた場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hが所持している所持品(所持品タグTsが貼付されているもの)が全て紛失・盗難されることなく正常な所持状態を維持しているものとみなされてステップS310へ戻り同様の手順を繰り返す。
【0108】
一方、登録されている所持品タグIDのうち一つでも読み取れないものがあった場合、判定が満たされず、すなわち読み取れなかった所持品タグIDに対応する所持品Mが紛失又は盗難された可能性があるとみなされ、次のステップS320で携帯リーダ1の表示部11に報知画面を表示するとともにスピーカ13から報知音を発音させて生徒Hに所持品Mの所持状態の異常を報知しこのフローを終了する。なお、表示部11に表示させる報知情報に読み取れなかった所持品タグIDに対応する物品名(あらかじめ全ての所持品タグIDに対応する物品名が記憶されているものとする)を含めてもよい。また、この所持状態の異常に関しても、報知信号を連絡用アンテナ6を介して中継局2に送信し、家庭の連絡用PC3に報知させるようにしてもよい。
【0109】
図11は、携帯リーダ1に正しい移動経路と各通過検出ポイントを通過する予定時間を登録する際に実行される、上記ステップS200の経路登録処理の詳細手順を表すフローチャートである。なお、この経路登録処理を行う際には、携帯リーダ1を生徒Hに所持させたまま、父兄などが生徒Hに付き添って正しい移動経路に誘導しつつ、実際に生徒Hに移動させて(実際の生徒Hの移動速度で)通学路Rを移動させるものとする。
【0110】
図11において、まずステップS205で、カウンタ変数Nを1に初期設定し、次のステップS210へ移る。
【0111】
ステップS210では、上記ステップS110と同様の制御により経路タグTkの経路タグIDを読み取った後、次のステップS215で経路タグIDが読み取れたか否かを判定し、読み取れた場合には判定がみたされて次のステップS220へ移り、読み取れなかった場合には判定が満たされずステップS210へ戻って読み取れるまで同様の手順を繰り返す。
【0112】
ステップS220では、上記ステップS215で検出されたとみなされた経路タグIDを、N番目の経路タグTk(ここではカウンタ変数Nの値が1であるため、出発点である家庭前の通過検出ポイント(10)の経路タグTkとなる)の経路タグIDとして登録経路テーブルに登録する。この際、経路タグIDに対応する通過点名称が携帯リーダ1のメモリ9に登録されていれば、経路タグIDを検出したと同時にそれに対応する通過点名称を登録経路テーブルに記憶してもよいし、またはこの経路登録処理を終了した後に操作部10からの入力により対応する通過点名称を登録してもよい。又は各経路タグTkに通過点名称を記憶させておき、経路タグIDの読み取りと同時に通過点名称も読み取るようにしてもよい。なお、この最初の登録では通過所要時間は登録されない。
【0113】
次にステップS225へ移り、カウンタ変数Nの値を1増加し、次のステップS230でタイマ12をリセットしてから時間計測を開始する。
【0114】
次にステップS235へ移り、上記ステップS110と同様の制御により経路タグTkの経路タグIDを読み取った後、ステップS240で経路タグIDが検出されたと判定されるまでこれらステップS235とステップS240の手順を繰り返す。経路タグIDが検出された場合、ステップS240の判定が満たされ、すなわち生徒Hが次の通過検出ポイントに到着したものとみなされ、次のステップ255でN番目の経路タグIDとして登録経路テーブルに登録するとともにその時点でのタイマ12の計時時間をN番目の通過所要時間として登録する。
【0115】
次にステップS260へ移り、携帯リーダ1の操作部10を介して操作者から経路登録処理の終了を指示する操作が入力されたか否かを判定する。終了指示の操作が入力されていない場合、判定は満たされず、すなわちまだ生徒Hが通学路Rの途中にいるものとみなされてステップS225へ戻り、同様の手順を繰り返す。一方、終了指示の操作が入力された場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hが目的地に到着して移動経路の登録が不要となったとみなされてこのフローを終了する。
【0116】
以上において、経路タグ検出用アンテナ4Aと、タグ通信制御部15を介しCPU8が実行する図9のフローにおけるステップS110とステップS130の手順とが、各請求項記載の、無線通信を介し経路タグTkより経路タグIDを複数の異なるタイミングで取得可能な第1情報取得手段を構成する。
【0117】
また、図9のフローにおけるステップS115及びステップS135の手順が、取得される複数の異なるタイミングにおける情報取得結果に基づいて生徒Hの移動経路を算出する第1移動経路算出手段として機能する。
【0118】
また、図9のフローにおけるステップS140、ステップS145、及びステップS155の手順が、検出された生徒Hの経路と、予め定められた所定の経路との一致性を判断する経路判断手段として機能する。
【0119】
また、図9のフローにおけるステップS160及びステップS165の手順が、生徒Hの経路の一致性の判断に応じて、経路異常報知のための信号を出力する経路異常信号出力手段として機能する。
【0120】
図11のフローにおけるステップS220及びステップS255の手順は、検出された生徒Hの経路を、生徒Hが本来通過すべき所定の経路として設定し記憶保持するための経路設定手段として機能する。
【0121】
以上のように構成した本実施形態においては、移動経路内の異なる位置に設けられた複数の対象物に経路タグTkを設け、生徒H側に携帯リーダ1を所持させる。そして、生徒Hが移動するときに、その移動に伴って経路タグ検出用アンテナ4Aを介し複数の経路タグTkにより順次情報取得を行い、それら取得結果に応じて図9のフローにおけるステップS115及びステップS135の手順により生徒Hの移動経路を検出する。
【0122】
このように、生徒Hが移動するのにしたがって経路タグTkと携帯リーダ1との間で複数回の情報取得を順次行い、経路検出を行うことにより、無線タグを用いた簡便な手法で移動体の移動経路を確実に検出し把握することができる。なお、移動体は上記生徒Hに限られず、他にも例えば現金輸送車を移動体としたり(この場合、現金を収容するケースなどが所持品となる)、徘徊癖のある老人の行動管理などへの適用にも好適である。
【0123】
また、上記実施形態では特に、図9のフローにおけるステップS115及びステップS135の手順により検出された生徒Hの経路(経路タグID情報)と、予め定められた所定の経路(通学路R)との一致性(一部一致を含む)を、ステップS140、ステップS145、及びステップS155の手順で判断する。このようにあらかじめ定められた所定の経路との一致不一致を判断することにより、生徒Hが誤って所定経路から外れていないかどうかを検知することができる。なお、他にも、携帯リーダ1が検出した経路タグIDを常に中継局2を介して家庭の連絡用PC3に送信し続け、連絡用PC3がその経路タグIDの情報に基づいて所定経路との一致不一致を判断するようにしてもよい。
【0124】
また、この実施形態では特に、図9のフローにおけるステップS135の手順により検出された経路タグIDが、予め定められた通学路R以外の領域に配置された経路タグTkの経路タグIDである場合に、ステップS140で正しい通学路Rの経路と不一致であると判断する。これにより、正しい通学路Rをたどっていれば送受信を行わないはずの経路タグTkから情報取得を行ったことで、所定経路から外れたことを確実に検知することができる。
【0125】
また、この実施形態では特に、図9のフローにおけるステップS130の手順が経路タグIDを読み取った時刻に応じて、ステップS145及びステップS155の手順が正しい通学路Rとの一致性を判断している。これにより、正しい通学路Rを通常の速度でたどっていれば通過するはずの時刻と異なる時刻に経路タグIDを読み取った場合、これによって(少なくとも部分的に)所定経路から外れたことを確実に検知することができる。なお、上記実施形態においては、通過検出ポイント間の移動に必要な相対時間差である通過所要時間を登録経路テーブルに登録していたが、これに限られない。すなわち例えば、最初に出発してからの各通過検出ポイントまでの累積所要時間(図7の通過所要時間の欄が通過順番号ごとに増大していく累積時間となる)や、あるいはその日に各通過検出ポイントを通過する予定の絶対時刻(例えば15時35分など)を通過所要時間の代わりに登録し、これらに基づいて経路移動の時間的一致性を判断してもよい。例えば移動体が現金輸送車の場合には、上記通過予定時刻で移動が管理されているため好適である。
【0126】
また、この実施形態では特に、図9のフローにおけるステップS140、ステップS145及びステップS155の手順で、経路タグIDを読み取った時間的順序(通過順序)に応じて、正しい通学路Rとの一致性を判断している。これにより、正しい通学路Rをたどったときの通過順序と異なる順序で経路タグIDを読み取った場合、これによって(少なくとも部分的に)所定経路から外れたことを確実に検知することができ、所定の対応をとることが可能となる。
【0127】
また、この実施形態では特に、図9のフローにおけるステップS160及びステップS165の手順が、ステップS140、ステップS145及びステップS155の手順により行われる生徒Hの移動経路の一致性の判断に応じて、経路異常報知のための信号を出力することにより、生徒Hが正しい通学路Rから外れている旨を報知し認識させることができる。
【0128】
また、この実施形態では特に、図11のフローにおけるステップS215及びステップS240の手順により検出された生徒Hの移動経路を、生徒Hが本来通過すべき正しい通学路Rの経路としてステップSステップS220及びステップS255の手順で設定し登録経路テーブルに記憶保持している。これにより、あらかじめ生徒Hを実際に移動させてその経路に沿って経路検出を行わせ、これを正しい通学路Rとして記憶保持することにより、これ以降は、当該記憶保持した正しい通学路Rとの一致性に基づき経路異常を判断することができる。なお、父兄などが携帯リーダ1又は連絡用PC3の操作部10を介して手動で経路タグID及び通過点名称などを入力し、登録経路テーブルの設定・登録を行うようにしてもよい。
【0129】
また、この実施形態では特に、携帯リーダ1の経路タグ検出用アンテナ4Aが生徒Hの人体に装着可能な略リング状のアンテナ付きリングベルト21に設けられていることにより、この経路タグ検出用アンテナ4Aで、人体の移動にしたがって経路タグTkと複数回の情報取得を順次行い、経路検出を行うことができる。
【0130】
また、この実施形態では特に、アンテナ付きリングベルト21に設けられる経路タグ検出用アンテナ4Aは、人体への装着状態におけるアンテナ付きリングベルト21のうちの一方側と他方側との少なくとも2箇所(この例では4カ所)に設けられている。これにより、人体の移動や姿勢の変化によってアンテナ付きリングベルト21の向きが変化したとしても、2箇所のうち少なくとも1箇所の経路タグ検出用アンテナ4Aは確実に通信可能な状態とすることができ、検出における信頼性を高めることができる。
【0131】
なお、経路タグ検出用アンテナ4Aを取り付ける装身具としては上記実施形態のような帽子(図4参照)に限られるものではなく、例えば他にも、図12に示すようにベルト本体31を略リング状部材としてその外周面に(前後左右)4つの経路タグ検出用アンテナ4Aを設けた構成のアンテナ付きベルト32でも同様の効果を得ることができる。また、経路タグ検出用アンテナ4Aを設ける配置についても、上記のように装着時における前後左右方向の4カ所に限られず、左右方向の2カ所や、前後方向の2カ所に設けるようにしてもよい。いずれにしてもそれらは略リング状部材の外周方向に均等な配置で設けることが好ましい。
【0132】
また、図12に示しているアンテナ付きベルト32は、人体に着脱させる際に結合・分離させるタング34とバックル35を備えており、バックル35内にはそのタング34の挿脱状態の切り換えを電気的なスイッチングに変換してスイッチコード36を介して携帯リーダ1に伝えるスイッチ機構(通信切替手段;特に図示せず)が備えられている。携帯リーダ1は、このスイッチ機構からの信号に基づくアンテナ付きベルト32の装着と非装着の検出に応じて経路タグTkとの無線通信の有効化・無効化が切り換えられる(例えばベルト32が非装着状態では、携帯リーダ1の電源がOFFとなる、タグ通信制御部15への通電がOFFとなる、VCO215Cから搬送波が出力されなくなる、可変送信アンプ217の増幅率が0になる、アンテナスイッチ341が送受分離器214をいずれのアンテナ4A,4Bにも接続しない、等)。これにより、人体非装着時には通信機能を無効化することが可能となるので、電力の節約を図ったり、あるいは無用な通信干渉の発生を防止することができる。
【0133】
また、図13に示すようにアンテナ付きベルト37のベルト本体38全体をゴムなどの伸縮部材からなる環状部材として構成してもよく、この場合には4つの経路タグ検出用アンテナ4Aを設置している面と逆側の裏面全体に通信信号強度を低減するためのシールド部材(シールド手段)39を備えるとよい。これにより、アンテナ付きベルト37をリバーシブルに使用(表面と裏面とを相互に裏返して利用)し、4つの経路タグ検出用アンテナ4Aを外表面に露出する向きにして使用したときには経路タグTkの検出可能な状態、その逆向きに裏返して4つの経路タグ検出用アンテナ4Aを人体とシールド部材39との間に挟み込んで使用した場合には経路タグTkの検出を行わない状態とすることができるので、使用者の利用態様の範囲が広がり使い勝手を向上することができる。
【0134】
なお、本発明は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0135】
(1)移動経路中に設置したリーダで生徒に所持させた無線タグを検出する場合
上記実施形態では、移動体である生徒Hに所持させた携帯リーダ1で、移動経路中の通過検出ポイントに貼付した経路タグTkを検出しそれらの経路タグIDに基づいて移動状況を監視していたが、本発明はこれに限られず、例えば移動経路中の通過検出ポイントに設置したリーダで生徒Hに所持させた無線タグを検出するようにしてもよい。
【0136】
図14は、本変形例の通学状況監視システムの全体概略を表すシステム構成図であり、上記実施形態の図1に対応する図である。なお、上記実施形態と同等の構成については同じ符号を付して適宜説明を省略する(以下、各図について同様)。
【0137】
この図14において、本変形例における通学状況監視システムS2は、生徒(移動体)Hが装着している帽子103に貼付されている人物タグ(第2無線タグ)Tjと、生徒Hの通学路Rを含めた地域内の所定位置に設置されている複数の固定リーダ(無線タグ情報読み取り装置)101と、例えば管理機関に設置されて複数の固定リーダ1から専用ネットワークENを介して検出信号を受信可能に接続している中央管理装置102と、生徒Hの家庭に設置されて中央管理装置102と広域ネットワークWNを介して報知信号を受信可能に接続されている連絡用PC3とから構成されている。
【0138】
生徒Hは、その外周に複数の人物タグTjを貼付したタグ付き帽子103を着用しており(後述の図16参照)、それら人物タグTjは固定リーダ101によって無線通信を介し人物タグIDなどの情報を読み取り可能なものとなっている。
【0139】
図15は、上記通学状況監視システムS2の概略を表すシステム構成図であり、上記実施形態における図2に対応する図である。この図15において、この通学状況監視システムS2は、上述したように生徒Hが着用するタグ付き帽子103に貼付されている複数の人物タグTjと、複数の通過検出ポイントに設置されている固定リーダ101と、各固定リーダ101と専用ネットワークENを介して接続されている中央管理装置102と、広域ネットワークWNを介して中央管理装置102に接続されている連絡用PC3とから構成されている。
【0140】
固定リーダ101は、タグ検出用アンテナ4及び固定リーダ本体104とから構成されている。固定リーダ本体104は、CPU8と、上記専用ネットワークENを介して中央管理装置102との制御信号及び情報信号の授受の制御を行う専用ネットワーク通信制御部105と、メモリ9と、タグ通信制御部15(但し前述のアンテナスイッチ回路341は省略されている)とを備えている。
【0141】
中央管理装置102は、CPU8と、メモリ9と、タイマ12と、上記広域ネットワークWNを介して家庭の連絡用PC3との情報信号の授受の制御を行う広域ネットワーク通信制御部106と、上記専用ネットワークENを介して複数の上記固定リーダ101との制御信号及び情報信号の授受の制御を行う専用ネットワーク通信制御部105と、ハードディスク装置などの大容量記憶装置107とが設けられている。
【0142】
大容量記憶装置107は、各固定リーダ101の識別情報である固定リーダIDとそれらに対応する各種情報(それらが設置されている通過検出ポイントの通過点名称など)や、人物タグTjの識別情報である人物タグIDとそれに対応する登録経路テーブルなどを記憶するデータベースを構成するものである。
【0143】
人物タグTjは上記実施形態における経路タグTkや所持品タグTsと同じ構成のものであり、固定リーダ101と所定の周波数(例えばUHF帯)で無線通信を行うようになっている。そのためタグ側アンテナ151としては、ループコイルを備えたコイルアンテナ、若しくは、複数のアンテナ素子を略直線状に配置したダイポールアンテナ、又は、略平面状の平面アンテナで構成するとよい。また、そのメモリ部155には自己の識別情報である人物タグIDが記憶されている。
【0144】
図16は、上記人物タグTjを設けた上記タグ付き帽子を表す図であり、前述の図4に対応するものである。図4と同等の部分には同一の符号を付している。
【0145】
この図16において、タグ付き帽子103は上記アンテナ付き帽子5と類似の構造であり、その外周にタグ付きリングベルト(略リング状部材)321を設けている。そして、タグ付きリングベルト321の左右2カ所及び前後2カ所の合計4カ所に、上記人物タグTjが(この例では等間隔に)取り付けられている。
【0146】
なおこれら、4つの人物タグTjは、大部分が共通し一部(例えば末尾の1ビット等)のみが互いに異なる上記人物タグIDを備えており、この結果、上記共通部分のIDを指定した質問波(問いかけ信号)を受信することで4つの人物タグTjすべてが一度に応答可能に構成されている。
【0147】
このような構成のタグ付き帽子103を装着することで、人物タグTjが協働して生徒Hの頭部を中心とした左右前後ほぼ全方位に対し無線通信領域を網羅することができる。
【0148】
なお、人物タグTjは、タグ付き帽子103に限られず、例えば図17(前述の図12に対応)に示すように、ベルト本体31を略リング状部材としてその外周面に(前後左右)4つの人物タグTjを設けた構成のタグ付きベルト332でも同様の効果を得ることができる。この場合に、前述と同様、タグ付きベルト332のバックル35内にそのタング34の挿脱状態の切り換えを行うスイッチ機構を設け、ベルト332の装着と非装着の検出に応じて人物タグTjの無線通信の有効化・無効化が切り換えられるようにしてもよい(例えば人物タグTjの無線タグ回路素子における回路の一部を遮断する、電源を断つ等)。これにより、人体非装着時には通信機能を無効化することが可能となるので、電力の節約を図ったり、あるいは無用な通信干渉の発生を防止することができる。
【0149】
さらにこのとき、図13を用いて前述したのと同様、タグ付きベルト332のベルト本体全体のうち人物タグTjを設置している面と逆側の裏面全体に通信信号強度を低減するためのシールド部材(シールド手段)を設けてもよい。これにより、タグ付きベルト332をリバーシブルに使用(表面と裏面とを相互に裏返して利用)し、人物タグTjを外表面に露出する向きにして使用したときには人物タグTjが検出可能な状態、その逆向きに裏返して人物タグTjを人体とシールド部材との間に挟み込んで使用した場合には人物タグTjが検出不可能な状態とすることができるので、使用者の利用態様の範囲が広がり使い勝手を向上することができる。
【0150】
また、上記図16や図17等の構成において人物タグTjを設ける配置についても、上記のように装着時における前後左右方向の4カ所に限られず、左右方向の2カ所や、前後方向の2カ所に設けるようにしてもよい。いずれにしてもそれらは略リング状部材の外周方向に均等な配置で設けることが好ましい。
【0151】
図18は、本変形例の中央管理装置102の大容量記憶装置107に記憶させる登録経路テーブルを概念的に表す図であって、上記実施形態の図7に対応する図である。なお、記憶している内容としては、上記実施形態の図6に示した通学路Rに対応する固定リーダ情報を登録した例を示している。
【0152】
この図18に示す例の登録経路テーブルは、上記図7に示す登録経路テーブルと比較して経路タグIDの代わりに各通過検出ポイントに設置されている固定リーダ101の固定リーダIDが記憶されている点で異なっている。そして大容量記憶装置107にはこの登録経路テーブルが監視対象となる人物タグIDに対応して記憶されている。なお前述と同様、ポイント間の通過所要時間でなく累積所要時間や通過時刻を用いるようにしてもよい。
【0153】
図19は、上記固定リーダ101のCPU8によって実行される処理の制御手順を表すフローチャートである。この図19のフローは、固定リーダ101の電源を投入すると開始される。
【0154】
この図19において、まずステップS405で、上記実施形態における図9のステップS110と同様の制御(但しアンテナスイッチ回路341による切替動作はない)によりタグ検出用アンテナ4(この例では上記経路タグ検出用アンテナ4A若しくは所持品タグ検出用アンテナ4Bと同等のものである)を介して人物タグTjの検出を行う。具体的には、上述したように4つの人物タグTjそれぞれの人物タグIDのうち上記共通部分を指定して、返信を促す信号(例えば「Scroll All ID」信号や「Ping」信号等)で搬送波を変調させて質問波を生成する。そしてタグ検出用アンテナ4からその質問波を送信して、それに応答する応答波(人物タグIDを含む)を受信することにより人物タグIDの読み取り動作を行う。
【0155】
次にステップS410へ移り、監視対象の人物タグTjの人物タグIDが読み取られたか否かを判定する。監視対象の人物タグIDが検出されない場合、判定が満たされずにステップS405へ戻り、監視対象の人物タグIDが検出されるまで上記ステップ405とステップS410の手順を繰り返す。一方、監視対象の人物タグIDが検出された場合、判定が満たされ、すなわち監視対象の生徒Hがその固定リーダ101が設置されている通過検出ポイントに到着したものとみなされて次のステップS415へ移る。
【0156】
ステップS415では、自己の固定リーダ101に設定されている固定リーダIDとともに検出した人物タグIDを専用ネットワークENを介して中央管理装置102へ送信する。
【0157】
次にステップS420へ移り、操作者(システムの管理者)による終了指示の操作が行われたか否かを判定し、終了操作が行われていない場合には、判定が満たされずステップS405へ移って同様の手順を繰り返し、終了操作が行われている場合には、判定が満たされこのフローを終了する。
【0158】
図20は、上記中央管理装置102のCPU8によって実行される処理の制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態における図9に対応する図である。なお、本変形例においては、上記実施形態における経路登録処理は行わず、経路監視処理のみを行うだけとする。この図20のフローは、中央管理装置102の電源を投入すると開始される。
【0159】
この図20において、まずステップS505で、通過順に相当するカウンタ変数Nの値を1に初期設定し、次のステップS510へ移る。
【0160】
ステップS510では、登録経路テーブルのN番目の固定リーダIDに対応する固定リーダ101から監視対象の人物タグIDを受信したか否かを判定する。N番目の固定リーダID(ここではカウンタ変数Nの値が1であるため、出発点である家庭前の通過検出ポイント(10)の固定リーダ101の固定リーダIDとなる)とともに監視対象の人物タグIDが検出された場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hが家庭を出発して通学を開始したものとみなされて次のステップS515へ移る。一方、対応する固定リーダIDが検出されない場合には、判定が満たされず、すなわちまだ生徒Hが通学を開始していないものとみなされてステップS510の検出手順を繰り返して待機する。
【0161】
ステップS515では、カウンタ変数Nの値を1増加し、次のステップS520でタイマ12をリセットしてから時間計測を開始する。
【0162】
次にステップS525へ移り、設置している全ての固定リーダ101のうちのいずれかからその固定リーダIDとともに監視対象の人物タグIDを受信したか否かを判定する。固定リーダIDと監視対象の人物タグIDを受信している場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hがその固定リーダIDに対応する通過検出ポイントに到着したものとみなされ、次のステップS530へ移る。
【0163】
ステップS530では、上記ステップS525の判定で検出されたとみなされた固定リーダIDが登録経路テーブルにおけるN番目の固定リーダIDと一致するか否かを判定する。検出された固定リーダIDがN番目の固定リーダIDと一致する場合、判定が満たされ、すなわちこの時点まで生徒Hが正しい移動経路で移動しているものとみなされて次のステップS535へ移る。
【0164】
ステップS535では、その時点でのタイマ12の計時時間が登録経路テーブルにおけるN番目の通過所要時間以内であるか否かを判定する。通過所要時間内である場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hが予定時間通りに所定の通過検出ポイントを通過して移動しているものとみなされて次のステップS540へ移る。
【0165】
ステップS540では、上記ステップS525の判定で検出されたとみなされた固定リーダIDが目的地(学校前交差点)の通過検出ポイント(3)に設置されている固定リーダ101の固定リーダID(最後の経路タグID)であるか否か、具体的にはカウンタ変数Nの値が6であるか否か(若しくは検出された固定リーダIDと最後の6番目の固定リーダIDとの一致判断でもよい)を判定する。カウンタ変数Nの値が6である場合、判定が満たされ、すなわち生徒Hが目的地に到着して通学の監視が不要であるとみなされてこのフローを終了する。カウンタ変数Nの値が6でない場合、判定が満たされず、すなわち生徒Hがまだ目的地に到着しておらず通学の監視がまだ必要であるとみなされ、ステップS515へ戻り同様の手順を繰り返す。
【0166】
一方、上記ステップS525の判定において、固定リーダIDと監視対象の人物タグIDが検出されていない場合、判定が満たされず、すなわちまだ生徒Hが次の通過検出ポイントに到着していないものとみなされてステップS545へ移る。
【0167】
ステップS545では、その時点でのタイマ12の計時時間が登録経路テーブルにおけるN番目の通過所要時間以内であるか否かを判定する。通過所要時間内である場合、判定が満たされ、ステップS525へ戻って同様の手順を繰り返す。一方、その時点でのタイマ12の計時時間が通過所要時間を超えている場合、判定が満たされず、すなわち生徒Hに事故などが起きたために移動の停止または遅れが生じた可能性があるみなされてステップS550へ移る。
【0168】
ステップS550では、最寄りの通過検出ポイントとしての(N−1)番目の通過点名称を含む報知信号を広域ネットワークWNを介して家庭の連絡用PC3に送信してこのフローを終了する。特に詳しい手順は示さないが、この報知信号を受信した家庭の連絡用PC3はその表示部11での報知画面(通過点名称についての情報を含む)の表示と報知警告音の発音を行わせて家庭の父兄に対し生徒Hの通学状況の異常を報知する。
【0169】
また一方、上記ステップS530の判定において、上記ステップS525の判定で検出されたとみなされた固定リーダIDがN番目の経路タグIDと一致しない場合、判定が満たされず、すなわち生徒Hが道順を間違えた場合や事故の発生などを含めた通学状況の異常が生じたものとみなされてステップS550の報知処理へ移る。
【0170】
また一方、上記ステップS535の判定において、その時点でのタイマ12の計時時間が登録経路テーブルにおけるN番目の通過所要時間を超過している場合、判定が満たされず、すなわち生徒Hに事故の発生などの通学状況の異常が生じたものとみなされてステップS550の報知処理へ移る。
【0171】
以上において、タグ検出用アンテナ4と、タグ通信制御部15を介し固定リーダ101のCPU8が実行する図19のフローにおけるステップS405の手順とが、無線通信を介し人物タグTjより人物タグIDを取得するための第2情報取得手段を構成する。
【0172】
また、中央管理装置102のCPU8が実行する図20のフローにおけるステップS510及びステップS525の手順が、異なる位置に配置された固定リーダ101からの情報取得結果に基づいて生徒Hの移動経路を算出する第2移動経路算出手段として機能する。
【0173】
また、図20のフローにおけるステップS530、ステップS535、及びステップS545の手順が、検出された生徒Hの経路と、予め定められた所定の経路との一致性を判断する経路判断手段として機能する。
【0174】
また、図20のフローにおけるステップS550の手順が、ステップS530、ステップS535、及びステップS545の手順による生徒Hの経路の一致性の判断に応じて、経路異常報知のための信号を出力する経路異常信号出力手段として機能する。
【0175】
以上のように構成した本変形例においては、生徒H側に人物タグTjを所持させ、移動経路内の異なる位置に設けられた移動経路検出の基準となる複数の対象物に固定リーダ101をそれぞれ設け、またそれら固定リーダ101と情報信号を送受可能に接続された中央管理装置102が設けられている。そして、生徒Hが移動するときに、その移動に伴って固定リーダ101のタグ検出用アンテナ4を用いて生徒Hの人物タグTjより順次情報取得を行い、それら取得結果に応じて中央管理装置102が生徒Hの経路を検出する。
【0176】
このように、生徒Hが移動するのにしたがって人物タグTjと固定リーダ101との間で複数回の情報取得を順次行い、中央管理装置102で経路検出を行うことにより、無線タグを用いた簡便な手法で移動体(生徒H)の移動経路を確実に検出し把握することができる。
【0177】
なお、以上で用いた「Scroll ID」信号、「Ping」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
【0178】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0179】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】本発明の実施形態の通学状況監視システムの全体概略を表すシステム構成図である。
【図2】通学状況監視システムの概略を表すシステム構成図である。
【図3】携帯リーダにおけるCPU、タグ通信制御部及びタグ検出用アンテナの詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図4】複数のタグ検出用アンテナを備えたアンテナ付き帽子と携帯リーダの接続構成を表す図である。
【図5】経路タグ及び所持品タグに備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図6】実施形態の例における経路タグと生徒の正しい通学路との配置関係を説明する図である。
【図7】携帯リーダ本体のメモリに記憶させる登録経路テーブルを概念的に表す図である。
【図8】携帯リーダのCPUによって実行される処理の制御手順を表すフローチャートである。
【図9】携帯リーダのCPUが図8中のステップS100において実行する経路監視処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図10】携帯リーダのCPUが実行する割り込み所持品監視処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図11】携帯リーダのCPUが図8中のステップS200において実行する経路登録処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図12】複数のタグ検出用アンテナを備えたバックルタイプのアンテナ付きベルトと携帯リーダの接続構成を表す図である。
【図13】複数のタグ検出用アンテナを備えたリバーシブルタイプのアンテナ付きベルトと携帯リーダの接続構成を表す図である。
【図14】移動経路中の固定リーダで生徒の人物タグを検出する場合の変形例において通学状況監視システムの全体概略を表すシステム構成図である。
【図15】通学状況監視システムの概略を表すシステム構成図である。
【図16】複数の人物タグを設けたタグ付き帽子を表す図である。
【図17】複数の人物タグを設けたタグ付きベルトを表す図である。
【図18】中央管理装置の大容量記憶装置に記憶させる登録経路テーブルを概念的に表す図である。
【図19】固定リーダのCPUによって実行される処理の制御手順を表すフローチャートである。
【図20】中央管理装置のCPUによって実行される処理の制御手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0181】
1 携帯リーダ(無線タグ情報読み取り装置)
2 中継局
3 連絡用PC
4 タグ検出用アンテナ
4A 経路タグ検出用アンテナ
4B 所持品タグ検出用アンテナ
5 アンテナ付き帽子
8 CPU
12 タイマ
13 スピーカ
15 タグ通信制御部
21 アンテナ付きリングベルト(略リング状部材)
31 ベルト本体(略リング状部材)
32 アンテナ付きベルト
37 アンテナ付きベルト
38 ベルト本体(略リング状部材)
39 シールド部材(シールド手段)
101 固定リーダ(無線タグ情報読み取り装置)
102 中央管理装置
103 タグ付き帽子
105 専用ネットワーク通信制御部
106 広域ネットワーク通信制御部
332 タグ付きベルト
S1 通学状況監視システム(移動体の移動経路検出システム)
S2 通学状況監視システム(移動体の移動経路検出システム)
H 生徒(移動体)
R 通学路
Tk 経路タグ(第1無線タグ)
Ts 所持品タグ
Tj 人物タグ(第2無線タグ)
To 無線タグ回路素子
WN 広域ネットワーク
EN 専用ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動経路内の異なる位置に設けられた複数の第1無線タグと、該第1無線タグの情報を読み取るために前記移動体側に設けられた無線タグ情報読み取り装置とを有する移動体の移動経路検出システムであって、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
無線通信を介し前記第1無線タグより所定の情報を複数の異なるタイミングで取得可能な第1情報取得手段を備え、
前記移動体の移動に伴って前記第1情報取得手段によって取得される複数の異なるタイミングにおける情報取得結果に基づいて前記移動体の移動経路を算出する第1移動経路算出手段を設けたことを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項2】
移動体側に設けられた第2無線タグと、前記移動体の移動経路内の異なる位置に設けられた複数の無線タグ情報読み取り装置とを有する移動体の移動経路検出システムであって、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
無線通信を介し前記第2無線タグより所定の情報を取得するための第2情報取得手段を備え、
前記移動体の移動に伴って、前記第2情報取得手段によって取得される前記異なる位置に配置された前記無線タグ情報読取装置からの情報取得結果に基づいて、前記移動体の移動経路を算出する第2移動経路算出手段を設けたことを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項3】
請求項1記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記移動体としての人体に装着可能な略リング状部材に設けられていることを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項4】
請求項2記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記第2無線タグは、
前記移動体としての人体に装着可能な略リング状部材に設けられていることを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項5】
請求項4記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記第2無線タグは、
ループコイルを備えたコイルアンテナ、若しくは、複数のアンテナ素子を略直線状に配置したダイポールアンテナ、又は、略平面状の平面アンテナを有する
ことを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか1項記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記略リング状部材に設けられる前記無線タグ情報読み取り装置又は前記第2無線タグは、前記人体への装着状態における前記略リング状部材のうち一方側と他方側との少なくとも2箇所に設けられている
ことを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項7】
請求項6記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記無線タグ情報読み取り装置又は前記第2無線タグは、少なくとも、前記装着状態の前記略リング状部材における前記人体の前後方向2箇所に設けられている
ことを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7のいずれか1項記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記略リング状部材は、
前記人体への装着・非装着に応じて、前記無線タグ情報読み取り装置又は前記第2無線タグの通信機能による有効化・無効化を切り替えるための通信切替手段を備える
ことを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項9】
請求項3乃至請求項8のいずれか1項記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記略リング状部材は、
前記人体への装着状態における内周側又は外周側に、通信信号強度を低減するためのシールド手段を備えることを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記第1移動経路算出手段又は前記第2移動経路算出手段により算出された前記移動体の経路と、予め定められた所定の経路との一致性を判断する経路判断手段
を有することを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項11】
請求項10記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記経路判断手段は、
前記第1又は第2情報取得手段が、前記予め定められた所定の経路以外の領域に配置された前記無線タグより前記所定の情報を取得したときに、前記所定の経路と不一致であると判断する
ことを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項12】
請求項10又は請求項11記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記経路判断手段は、
前記第1又は第2情報取得手段による情報取得時刻に応じて、所定の経路との一致性を判断する
ことを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項13】
請求項10乃至請求項12のいずれか1項記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記経路判断手段は、
前記第1又は第2情報取得手段による情報取得の時間的順序に応じて、所定の経路との一致性を判断する
ことを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項14】
請求項10乃至請求項13のいずれか1項記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記経路判断手段による前記移動体の経路の前記一致性の判断に応じて、経路異常報知のための信号を出力する経路異常信号出力手段を有することを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の移動体の移動経路検出システムにおいて、
前記第1経路算出手段又は前記第2経路算出手段により算出された前記移動体の経路を、前記移動体が本来通過すべき前記所定の経路として設定し記憶保持するための経路設定手段を有することを特徴とする移動体の移動経路検出システム。
【請求項16】
人体の所定部位に略リング状にして装着可能な装身具であって、
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備えた第1無線タグに対し無線通信により情報送受信を行う無線タグ情報読み取り装置を、
前記略リング状の周方向複数箇所にそれぞれ設けたことを特徴とする装身具。
【請求項17】
人体の所定部位に略リング状にして装着可能な装身具であって、
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備え、無線通信により無線タグ情報読み取り装置と情報の送受信を行う第2無線タグを、
前記略リング状の周方向複数箇所にそれぞれ設けたことを特徴とする装身具。
【請求項18】
請求項17記載の装身具において、
前記第2無線タグは、
前記タグ側アンテナとして、ループコイルを備えたコイルアンテナ、若しくは、複数のアンテナ素子を略直線状に配置したダイポールアンテナ、又は、略平面状の平面アンテナを有する
ことを特徴とする装身具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−209965(P2008−209965A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43291(P2007−43291)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】