移動体装置、露光装置、及びデバイス製造方法
【課題】複数の光ファイバを接続した光ファイバケーブルを介してエンコーダヘッドから検出器へ出力ビームを接続損失なく送る。
【解決手段】エンコーダから出力ビームを検出器へ送る一系統の受光用ファイバとして、エンコーダ側に位置する光ファイバF1のコアCR1の端面(射出端面)と該射出端面より大きな検出器側に位置する光ファイバF2のコアCR2の端面(受光端面)とを対向して継がれた光ファイバケーブルを用いる。これにより、光ファイバの継ぎ部において光の漏れが生じることがなく、エンコーダの高い計測精度を確保することが可能となる。
【解決手段】エンコーダから出力ビームを検出器へ送る一系統の受光用ファイバとして、エンコーダ側に位置する光ファイバF1のコアCR1の端面(射出端面)と該射出端面より大きな検出器側に位置する光ファイバF2のコアCR2の端面(受光端面)とを対向して継がれた光ファイバケーブルを用いる。これにより、光ファイバの継ぎ部において光の漏れが生じることがなく、エンコーダの高い計測精度を確保することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体装置、露光装置、及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、所定平面内を移動する移動体を備える移動体装置、該移動体装置を備える露光装置、及び該露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが、主として用いられている。
【0003】
この種の露光装置では、ウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、ウエハと総称する)上の複数のショット領域にレチクル(又はマスク)のパターンを転写するために、ウエハを保持するウエハステージが、例えばリニアモータ等により駆動される。ここで、ウエハステージの位置は、一般的に、長期に渡って高い安定性を有するレーザ干渉計を用いて計測されていた。しかし、近年、半導体素子の高集積化に伴うパターンの微細化により重ね合わせ精度の要求が厳しくなり、レーザ干渉計のビーム路上の雰囲気の温度変化や温度勾配の影響で発生する空気揺らぎに起因する計測値の短期的な変動がオーバレイバジェット中の大きなウエイトを占めるようになった。
【0004】
かかる不都合を改善するために、レーザ干渉計と同程度以上の計測分解能を有し、一般的に干渉計に比べて空気揺らぎの影響を受けにくいエンコーダが、ウエハステージの位置計測装置として採用されるようになった。例えば、特許文献1に開示される露光装置では、複数のエンコーダを用いてウエハステージの上面に設けられた回折格子に計測ビームを照射し、それにより発生する回折光を受光して、各計測ビームの投射点における回折格子の周期方向に関するウエハステージの変位を検出することによって、ウエハステージの位置を計測するエンコーダシステムが構築されている。
【0005】
上述のようなエンコーダシステムを採用する場合、熱の問題、あるいは設置スペースの問題などから、光源及び/又は検出器(ディテクタ)を、ヘッド(光学系)から離し、光ファイバケーブルを介して光源及び/又は検出器とヘッド(光学系)とを接続することがある。このような場合に、通常、複数の光ファイバを接続して一体化した光ファイバケーブルが用いられる。しかるに、光ファイバ同士の接続部からの光の漏れ(接続損失)は、エンコーダの位置計測精度の低下の要因となる。エンコーダに限らず、干渉計その他の計測系においても、光ファイバケーブルを同様の目的で用いる場合には、同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0088843号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、所定平面内を移動する移動体を含む移動体装置であって、前記移動体と該移動体の外部との一方に設けられた光源、ヘッド及び検出器を有し、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に前記光源からの光を前記ヘッドから計測光として照射し、前記計測面からの光を前記ヘッドを介して前記検出器で受光し、受光結果に基づいて前記移動体の位置を計測する位置計測系と;前記位置計測系の計測情報に基づいて前記移動体を駆動する駆動系と;を備え、前記光源及び前記検出器の少なくとも一方と前記ヘッドとは、互いに対向する端面同士が当接した状態で接続された複数本の光ファイバから成る光ファイバケーブルを介して接続され、前記光ファイバケーブルを構成する互いに接続された光ファイバ同士の接続面では、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面の全面は、下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面の一部と当接している移動体装置が、提供される。
【0008】
ここで、光ファイバとは、接続部(継ぎ部)のない1つの光ファイバを意味し、光ファイバケーブルとは、複数の光ファイバを接続して(継いで)製作した1本(1系統)のケーブルを意味する。本明細書では、かかる意味で光ファイバ、光ファイバケーブルという用語が用いられている。
【0009】
これによれば、位置計測系の光源及び検出器の少なくとも一方とヘッドとは、互いに対向する端面同士が当接した状態で接続された複数本の光ファイバから成る光ファイバケーブルを介して接続されている。また、光ファイバケーブルを構成する互いに接続された光ファイバ同士の接続面では、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面の全面は、下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面の一部と当接している。従って、光ファイバケーブルを構成する互いに接続された2つの光ファイバでは上流側に位置する光ファイバから射出される光の全てが下流側に位置する光ファイバ内に入射し、接続面において外部への光の漏れが生じない。3つ以上の光ファイバを接続して光ファイバケーブルが製作されている場合も、互いに接続された2つの光ファイバ同士の関係は同様になっている。この結果、光ファイバケーブルにより光を外部に漏らすことなく光源からヘッドへ、及び/又はヘッドから検出器へ送ることができ、結果的に位置計測系による移動体の位置の高精度な計測を実現することが可能となり、ひいては駆動系による移動体の高精度な駆動を行うことが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、物体が前記移動体に載置される本発明の移動体装置と;前記物体に前記エネルギビームを照射する照射システムと;を備える露光装置が、提供される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、本発明の露光装置により物体を露光することと;露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】ウエハステージを示す平面図である。
【図3】図1の露光装置が備えるステージ装置及び干渉計の配置を示す平面図である。
【図4】図1の露光装置が備えるステージ装置及びセンサユニットの配置を示す平面図である。
【図5】エンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)とアライメント系の配置を示す平面図である。
【図6】Zヘッドと多点AF系の配置を示す平面図である。
【図7】エンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)の構成の一例を示す図である。
【図8】エンコーダヘッドと照明系・受光系との間の光ファイバ接続を模式的に示す図である。
【図9】パネルP1,P2(図8参照)上の光ファイバの接続部(光コネクタ)を、模式的に示す一部切り欠いた正面図である。
【図10】図9中の楕円Cの内部を拡大して示す断面図である。
【図11】光ファイバF1,F2の接続前の状態の接続部(光コネクタ)を示す図である。
【図12】光コネクタを構成する可動係止部材を取り出して示す斜視図である。
【図13】Zヘッドの構成の一例を概略的に示す図である。
【図14】Zヘッドの構成の一例を、信号処理選択装置とともに示すブロック図である。
【図15】一実施形態の露光装置の制御系の主要な構成を示すブロック図である。
【図16】図16(A)及び図16(B)はエンコーダの計測結果の解析方法を説明するための図、図16(C)は光漏れにともなう計測誤差の発生原理を説明するための図である。
【図17】変形例における光コネクタ内部の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図16(C)に基づいて説明する。
【0014】
図1には、一実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では投影光学系PLが設けられている。以下においては、投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルRとウエハWとが相対走査される走査方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0015】
露光装置100は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU、ウエハステージWSTを有するステージ装置50、及びこれらの制御系等を備えている。図1では、ウエハステージWST上にウエハWが載置されている。
【0016】
照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステム)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。照明系10の構成は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されている。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられる。
【0017】
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図15参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
【0018】
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)116によって、移動鏡15(又はレチクルステージRSTの端面に形成された反射面)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図15参照)に送られる。
【0019】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられる。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10によってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、その第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
【0020】
ステージ装置50は、図1に示されるように、ベース盤12上に配置されたウエハステージWST、ウエハステージWSTの位置情報を計測する計測システム200(図15参照)、及びウエハステージWSTを駆動するステージ駆動系124(図15参照)等を備えている。計測システム200は、図15に示されるように、干渉計システム118、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180などを含む。
【0021】
ウエハステージWSTは、不図示の非接触軸受、例えばエアベアリングなどにより、数μm程度のクリアランスを介して、ベース盤12の上方に支持されている。また、ウエハステージWSTは、リニアモータ等を含むステージ駆動系124(図15参照)によって、X軸方向及びY軸方向に所定ストロークで駆動可能である。
【0022】
ウエハステージWSTは、ステージ本体91と、該ステージ本体91上に搭載されたウエハテーブルWTBとを含む。このウエハテーブルWTB及びステージ本体91は、リニアモータ及びZ・レベリング機構(ボイスコイルモータなどを含む)を含む駆動系によって、ベース盤12に対し、6自由度方向(X,Y,Z,θx,θy,θz)に駆動可能に構成されている。
【0023】
ウエハテーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。図2に示されるように、ウエハテーブルWTB上面のウエハホルダ(ウエハW)の+Y側には、計測プレート30が設けられている。この計測プレート30には、中央に基準マークFMが設けられ、基準マークFMのX軸方向の両側に一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLPが、設けられている。そして、各空間像計測スリットパターンSLPに対応して、ウエハテーブルWTBの内部には、光学系及び受光素子などが配置されている。すなわち、ウエハテーブルWTB上には、空間像計測スリットパターンSLPを含む一対の空間像計測装置45A,45B(図15参照)が設けられている。
【0024】
また、ウエハテーブルWTB上面には、後述するエンコーダシステムで用いられるスケールが形成されている。詳述すると、ウエハテーブルWTB上面のX軸方向(図2における紙面内左右方向)の一側と他側の領域には、それぞれYスケール39Y1,39Y2が形成されている。Yスケール39Y1,39Y2は、例えば、X軸方向を長手方向とする格子線38が所定ピッチでY軸方向に配列された、Y軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。
【0025】
同様に、ウエハテーブルWTB上面のY軸方向(図2における紙面内上下方向)の一側と他側の領域には、Yスケール39Y1及び39Y2に挟まれた状態で、Xスケール39X1,39X2がそれぞれ形成されている。Xスケール39X1,39X2は、例えば、Y軸方向を長手方向とする格子線37が所定ピッチでX軸方向に配列された、X軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。
【0026】
なお、格子線37,38のピッチは、例えば1μmと設定される。図2及びその他の図においては、図示の便宜のため、格子のピッチは実際のピッチよりも大きく図示されている。
【0027】
また、回折格子を保護するために、低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、そのガラス板の表面がウエハ面と同じ高さ(同一面)になるよう、ウエハテーブルWTB上面に設置される。
【0028】
また、ウエハテーブルWTBの−Y端面,−X端面には、図2に示されるように、後述する干渉計システムで用いられる反射面17a,反射面17bが形成されている。
【0029】
また、ウエハテーブルWTBの+Y側の面には、図2に示されるように、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されるCDバーと同様の、X軸方向に延びるフィデューシャルバー(以下、「FDバー」と略述する)46が取り付けられている。FDバー46の長手方向の一側と他側の端部近傍には、センターラインLLに関して対称な配置で、Y軸方向を周期方向とする基準格子(例えば回折格子)52がそれぞれ形成されている。また、FDバー46の上面には、複数の基準マークMが形成されている。各基準マークMとしては、後述するアライメント系によって検出可能な寸法の2次元マークが用いられている。
【0030】
本実施形態の露光装置100では、図4及び図5に示されるように、投影光学系PLの光軸AXを通るY軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1は、不図示のメインフレームの下面に固定されている。図5に示されるように、プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、可動式の支持部材を介してメインフレーム(不図示)の下面に固定されており、駆動機構601〜604(図15参照)により、X軸方向に関してそれらの検出領域の相対位置が調整可能となっている。
【0031】
本実施形態では、アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれとして、例えば画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれからの撮像信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される。
【0032】
干渉計システム118は、図3に示されるように、反射面17a又は17bにそれぞれ干渉計ビーム(測長ビーム)を照射し、その反射光を受光して、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を計測するY干渉計16と、3つのX干渉計126〜128と、一対のZ干渉計43A,43Bとを備えている。詳述すると、Y干渉計16は、基準軸LVに関して対称な一対の測長ビームB41,B42を含む少なくとも3つのY軸に平行な測長ビームを反射面17a、及び後述する移動鏡41に照射する。また、X干渉計126は、図3に示されるように、光軸AXと基準軸LVとに直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LHに関して対称な一対の測長ビームB51,B52を含む少なくとも3つのX軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計127は、アライメント系AL1の検出中心にて基準軸LVと直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LAを測長軸とする測長ビームB6を含む少なくとも2つのY軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計128は、X軸に平行な測長ビームB7を反射面17bに照射する。
【0033】
干渉計システム118の上記各干渉計からの位置情報は、主制御装置20に供給される。主制御装置20は、Y干渉計16及びX干渉計126又は127の計測結果に基づいて、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)のX,Y位置に加え、θx方向の回転情報(すなわちピッチング)、θy方向の回転情報(すなわちローリング)、及びθz方向の回転情報(すなわちヨーイング)も算出することができる。
【0034】
また、図1に示されるように、ステージ本体91の−Y側の側面に、凹形状の反射面を有する移動鏡41が取り付けられている。移動鏡41は、図2からわかるように、X軸方向の長さがウエハテーブルWTBの反射面17aよりも長い。
【0035】
移動鏡41に対向して、干渉計システム118(図15参照)の一部を構成する一対のZ干渉計43A,43Bが設けられている(図1及び図3参照)。Z干渉計43A,43Bは、移動鏡41を介して、例えば投影ユニットPUを支持するフレーム(不図示)に固定された固定鏡47A,47Bにそれぞれ2つのY軸に平行な測長ビームB1,B2を照射する。そして、それぞれの反射光を受光して、測長ビームB1,B2の光路長を計測する。その結果より、主制御装置20は、ウエハステージWSTの4自由度(Y,Z,θy,θz)方向の位置を算出する。
【0036】
本実施形態の露光装置100には、干渉計システム118とは独立に、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を計測するために、エンコーダシステム150を構成する複数のヘッドユニットが設けられている。
【0037】
図4に示されるように、投影ユニットPUの+X側、+Y側、−X側、及びプライマリアライメント系AL1の−Y側に、4つのヘッドユニット62A、62B、62C、及び62Dが、それぞれ配置されている。また、アライメント系AL1、AL21〜AL24のX軸方向の両外側にヘッドユニット62E、62Fが、それぞれ設けられている。ヘッドユニット62A〜62Fは、支持部材を介して、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)に吊り下げ状態で固定されている。なお、図4において、符号UPは、ウエハステージWST上にあるウエハのアンロードが行われるアンローディングポジションを示し、符号LPは、ウエハステージWST上への新たなウエハのロードが行われるローディングポジションを示す。
【0038】
ヘッドユニット62A、62Cは、図5に示されるように、前述の基準軸LH上に所定間隔で配置された複数(ここでは5個)のYヘッド651〜655、Yヘッド641〜645を、それぞれ備えている。以下では、必要に応じて、Yヘッド651〜655及びYヘッド641〜645を、それぞれ、Yヘッド65及びYヘッド64とも表記する。
【0039】
ヘッドユニット62A,62Cは、Yスケール39Y1,39Y2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼のYリニアエンコーダ70A,70C(図15参照)を構成する。なお、以下では、Yリニアエンコーダを、適宜、「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」と略記する。
【0040】
ヘッドユニット62Bは、図5に示されるように、投影ユニットPUの+Y側に配置され、基準軸LV上に間隔WDで配置された複数(ここでは4個)のXヘッド665〜668を備えている。また、ヘッドユニット62Dは、プライマリアライメント系AL1の−Y側に配置され、基準軸LV上に間隔WDで配置された複数(ここでは4個)のXヘッド661〜664を備えている。以下では、必要に応じて、Xヘッド665〜668及びXヘッド661〜664をXヘッド66とも表記する。
【0041】
ヘッドユニット62B,62Dは、Xスケール39X1,39X2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX軸方向の位置(X位置)を計測する多眼のXリニアエンコーダ70B,70D(図15参照)を構成する。なお、以下では、Xリニアエンコーダを、適宜、「Xエンコーダ」又は「エンコーダ」と略記する。
【0042】
ここで、ヘッドユニット62A,62Cがそれぞれ備える5個のYヘッド65,64(より正確には、Yヘッド65,64が発する計測ビームのスケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、露光の際などに、少なくとも1つのヘッドが、常に、対応するYスケール39Y1,39Y2に対向する(計測ビームを照射する)ように定められている。同様に、ヘッドユニット62B,62Dがそれぞれ備える隣接するXヘッド66(より正確には、Xヘッド66が発する計測ビームのスケール上の照射点)のY軸方向の間隔WDは、露光の際などに、少なくとも1つのヘッドが、常に、対応するXスケール39X1又は39X2に対向する(計測ビームを照射する)ように定められている。
【0043】
なお、ヘッドユニット62Bの最も−Y側のXヘッド665とヘッドユニット62Dの最も+Y側のXヘッド664との間隔は、ウエハステージWSTのY軸方向の移動により、その2つのXヘッド間で切り換え(つなぎ)が可能となるように、ウエハテーブルWTBのY軸方向の幅よりも狭く設定されている。
【0044】
ヘッドユニット62Eは、図5に示されるように、複数(ここでは4個)のYヘッド671〜674を備えている。
【0045】
ヘッドユニット62Fは、複数(ここでは4個)のYヘッド681〜684を備えている。Yヘッド681〜684は、基準軸LVに関して、Yヘッド674〜671と対称な位置に配置されている。以下では、必要に応じて、Yヘッド674〜671及びYヘッド681〜684を、それぞれYヘッド67及びYヘッド68とも記述する。
【0046】
アライメント計測の際には、少なくとも各1つのYヘッド67,68が、それぞれYスケール39Y2,39Y1に対向する。このYヘッド67,68(すなわち、これらYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダ70E,70F)によってウエハステージWSTのY位置(及びθz回転)が計測される。
【0047】
また、本実施形態では、セカンダリアライメント系のベースライン計測時などに、セカンダリアライメント系AL21,AL24にX軸方向で隣接するYヘッド673,682が、FDバー46の一対の基準格子52とそれぞれ対向し、その一対の基準格子52と対向するYヘッド673,682によって、FDバー46のY位置が、それぞれの基準格子52の位置で計測される。以下では、一対の基準格子52にそれぞれ対向するYヘッド673,682によって構成されるエンコーダをYリニアエンコーダ70E2,70F2(図15参照)と呼ぶ。また、識別のため、Yスケール39Y2,39Y1に対向するYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダを、Yエンコーダ70E1、70F1と呼ぶ。
【0048】
各エンコーダヘッド(Yヘッド、Xヘッド)として、例えば、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されている干渉型のエンコーダヘッドが用いられる。
【0049】
図7には、エンコーダ70A〜70Fを代表して、エンコーダ70Cの構成が示されている。図7では、エンコーダ70Cを構成するヘッドユニット62Cの1つのYヘッド64からYスケール39Y2に対し計測ビームが照射されている。
【0050】
Yヘッド64には、5本の光ファイバ840〜844のそれぞれの一端が接続されている。光ファイバ840は送光用ファイバであり、本実施形態では、送光用光ファイバケーブル800(図8参照)の射出側の端部を構成する。送光用光ファイバケーブル800の他端(入射端)は、図8に示されるように、例えば半導体レーザ等の光源を含む照明系64aに光学的に接続されている。ここで、照明系64aは、例えば、ヘッドユニット62A〜62Fを吊り下げ支持するメインフレーム(不図示)又はこれとは別の固定の支持部材上に設置されている。
【0051】
光ファイバ841、842、843、844は受光用ファイバであり、本実施形態では、それぞれ、受光用光ファイバケーブル801、802、803、804(図8参照)の入射側の端部を構成する。受光用光ファイバケーブル801、802、803、804のそれぞれの他端は、例えばフォトマルチプライヤ・チューブ等の光検出器を含む受光系64cに光学的に接続されている。ここで、受光系64cも、照明系64aと同様に、メインフレーム(不図示)又はこれとは別の固定の支持部材上に設置されている。すなわち、照明系64aと受光系64cとは、Yヘッド64本体(後述する光学系64b)と独立に設置されている。
【0052】
送光用光ファイバケーブル800は、図8に示されるように、Yヘッド64(後述する光学系64b)に一端(射出端)が接続された光ファイバ840と、照明系64aにその入射端が接続された光ファイバ820と、光ファイバ840と光ファイバ820とを接続する中継用の光ファイバ830とを有している。光ファイバ830は、一端が光ファイバ840の入射端に接続され、他端が光ファイバ820の射出端に接続されている。光ファイバ840と光ファイバ830とは、Yヘッド64(ヘッドユニット62C)を収容する筐体(不図示)に設けられたパネルP1にその一部が設けられた後述する光コネクタを介して接続されている。また、光ファイバ830と光ファイバ820とは、パネルP2にその一部が設けられた光コネクタを介して接続されている。パネルP2は、例えば照明系64a(及び受光系64c、並びにその他のヘッドに対応する照明系及び受光系(ともに不図示))を収容する筐体(不図示)に設けられている。
【0053】
受光用光ファイバケーブル80k(k=1,2,3,4)は、図8に示されるように、Yヘッド64に一端(入射端)が接続された光ファイバ84kと、受光系64cに射出端が接続された光ファイバ82kと、光ファイバ84kと光ファイバ82kとを接続する中継用の光ファイバ83kとを有している。光ファイバ83kは、一端が光ファイバ84kの射出端に接続され、他端が光ファイバ820の入射端に接続されている。光ファイバ84kと光ファイバ83kとは、パネルP1にその一部が設けられた光コネクタを介して接続されている。また、光ファイバ83kと光ファイバ82kとは、パネルP2にその一部が設けられた光コネクタを介して接続されている。光コネクタを用いての光ファイバ同士の接続については、後で詳述する。
【0054】
図7に戻り、Yヘッド64の内部には、XZ平面と平行な分離面を有する偏光ビームスプリッタPBS、一対の反射ミラーR1a,R1b、レンズL2a,L2b、四分の一波長板(以下、λ/4板と表記する)WP1a,WP1b、反射ミラーR2a,R2b、及びビームスプリッタBS等を含む光学系64bが収容されている。ここで、偏光ビームスプリッタPBSの入射面に対向して光ファイバ840の一端面(射出面)が配置され、ビームスプリッタBSの4つの射出面に対向して光ファイバ841〜844の一端面(入射面)がそれぞれ配置されている。
【0055】
Yヘッド64において、照明系64a(図8参照)内に設けられた光源(不図示)からレーザビームLB0が射出され、送光用光ファイバケーブル800(光ファイバ820,830,840)を介して偏光ビームスプリッタPBSに入射し、偏光分離されて2つの計測ビームLB1,LB2となる。偏光ビームスプリッタPBSを透過したビームLB1は反射ミラーR1aを介してYスケール39Y2に形成された反射型の回折格子RGに到達し、偏光ビームスプリッタPBSで反射されたビームLB2は反射ミラーR1bを介して2次元回折格子RGに到達する。なお、ここで「偏光分離」とは、入射ビームをP偏光成分とS偏光成分に分離することを意味する。
【0056】
ビームLB1,LB2の照射によって回折格子RGから発生する所定次数の回折ビーム、例えば1次回折ビームは、それぞれレンズL2a,L2bを介して、λ/4板WP1a,WP1bにより円偏光に変換された後、反射ミラーR2a,R2bにより反射されて再度λ/4板WP1a,WP1bを通り、往路と同じ光路を逆方向に辿って偏光ビームスプリッタPBSに達する。
【0057】
偏光ビームスプリッタPBSに達した2つのビームは、各々偏光方向が元の方向に対して90度回転している。このため、先に偏光ビームスプリッタPBSを透過したビームLB1の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSで反射される。先に偏光ビームスプリッタPBSで反射されたビームLB2の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSを透過する。それにより、ビームLB1,LB2の両1次回折ビームは同軸上に合成され、合成ビームLB3として、ビームスプリッタBSに入射する。
【0058】
合成ビームLB3は、ビームスプリッタBSを構成する不図示の複数の分割光学素子(ハーフミラー等)により、互いに強度の等しい4つのビームLB31〜LB34に分割(又は分離)される。これら4つのビーム(出力ビームと呼ぶ)LB31〜LB34は、それぞれ、光ファイバ841〜844がそれぞれ一部を構成する受光用光ファイバケーブル801〜804を介して、受光系64cに送光される。
【0059】
出力ビームLB31〜LB34は、受光系64c内に設けられた4つの光検出器によって個別に受光される。出力ビームLB31〜LB34のそれぞれに含まれる2つの回折ビーム(正確には、計測ビームLB1,LB2にそれぞれ由来するS,P偏光成分)は、光検出器の内部において検光子によって偏光方向が揃えられて干渉ビームとなる。さらに、干渉ビーム(出力ビーム)LB31〜LB34は、それぞれの位相が相対的に0,π/2,π,3π/2シフトされた後、光検出器(の内部ディテクタ)によって受光されて、それぞれの強度I1,I2,I3,I4が測定される。
【0060】
干渉ビーム(出力ビーム)LB31〜LB34の強度I1,I2,I3,I4の測定結果は、Yエンコーダ70Cの出力として、主制御装置20に送られる。主制御装置20は、Yエンコーダ70Cの出力から、Yヘッド64とスケール39Y2とのY軸方向に関する相対変位ΔY(ウエハステージWSTの変位(より正確には計測ビームが投射されるスケールの変位)を求める。なお、相対変位ΔYの算出方法については後述する。
【0061】
上述のエンコーダシステム150では、ウエハステージWST上のスケールに照射される計測ビームは、エンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)から離間して配置された照明系64aから、光ファイバケーブル800を介して、Xヘッド、Yヘッドのそれぞれに供給される(図8参照)。また、エンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)については、スケールにて発生する回折光(出力ビーム)が、光ファイバケーブル801〜804のそれぞれを介して、Xヘッド、Yヘッド(及びZヘッド)から離間して配置された受光系(検出器)により検出される(図8参照)。ここで、光ファイバケーブル800〜804は、前述の通り、複数の光ファイバを継いで1本(1系統)の光ファイバケーブルとしてエンコーダヘッドのそれぞれと照明系あるいは受光系との間に延接されている。このため、仮に、光ファイバの継ぎ部において光の漏れが生じた場合には、後に詳述するように、エンコーダシステム150の計測誤差が生じる、すなわち計測精度が低下する。
【0062】
ここで、本実施形態では、図8に示されるように、照明系64aから供給される計測ビームは、光ファイバ820,830,840を順次通って、Yヘッド64に送られる。また、Yヘッド64から出力される出力ビームLB31〜LB34は、それぞれ、光ファイバ841〜844,831〜834,821〜824を順次通って、受光系64cに送られる。従って、本実施形態のエンコーダシステム150及び面位置計測システム180では、各光ファイバケーブルでは一方向のみに光を送る構成となっている。
【0063】
かかる点に着目して、本実施形態では、各光ファイバケーブルを、以下のようにして、複数の光ファイバを光コネクタを介して接続することで作製し、これによって光ファイバの継ぎ部からの光の漏れ(接続損失の発生)を防止している。
【0064】
図9には、パネルP1,P2(図8参照)上の光ファイバの接続部(光コネクタ)が一部切り欠いた正面図にて模式的に示されている。この例では、パネルP(P1又はP2に相当)上で、光コネクタOPを介して、2つの光ファイバF1,F2が接続されている。図10には、図9中の楕円Cの内部が拡大して断面図にて示されている。ここで、光は、光ファイバF1から光ファイバF2(図10中の黒塗り矢印の方向)へ、送られるものとする。また、図11には、光ファイバF1,F2の接続前の状態が示されている。
【0065】
光コネクタOPは、一対の光プラグPG1,PG2と、その外周部に設けられたフランジ部FLGを介してパネルPに固定されたアダプタADと、を含む。一対の光プラグPG1,PG2は、互いに同じ構造を有する。
【0066】
光プラグPG1,PG2のそれぞれは、例えばジルコニアセラミックスから成るフェルールFL1,FL2と、例えばステンレス鋼などからなるフェルールホルダCF1,CF2とで構成されている。光ファイバF1,F2はフェルールFL1,FL2とフェルールホルダCF1,CF2とを貫通しており、フェルールFL1,FL2に接着により固定されている。フェルールFL1,FL2の先端面はそれぞれ光ファイバF1,F2と一体的に凸球面に研磨されている。フェルールホルダCF1,CF2の胴体部には後述するフック95を係合させるための係止溝92が形成されている。
【0067】
アダプタADは、筒状のアダプタケース93と、アダプタケース93内に軸方向摺動自在に装着された互いに対向する2つの可動係止部材94と、圧縮コイルばね98と、整列用スリーブSLとを有している。
【0068】
アダプタケース93は例えば樹脂などで形成されており、例えば2つ割りの半体を中央で超音波融着することにより形成することができる。アダプタケース93は図12に示される形状の可動係止部材94を受け入れるべく、ほぼ四角形の内側断面輪郭を有する。ただし、アダプタケース93は任意の外形を有し、例えば、角柱形又は円柱形にすることができる。
【0069】
図12から良く分かるように、各可動係止部材94は同一構造を有し、例えばステンレス鋼板のプレス加工により製造されている。図12に示されるように、各可動係止部材94は、直径方向に対向する一対のフック95と、光コネクタOPの軸線LLに垂直な基部96と、フック95と基部96とを連結する細長い2つの連結部材97を有する。基部96は、また、圧縮コイルばね98のばね受けとしての機能を有する。基部96には、フェルールFL1,FL2の外径よりも大きく、整列用スリーブSLの外径よりも小さい穴99が形成されており、フェルールFL1,FL2を挿通できるようになっている。
【0070】
各可動係止部材94の連結部材97は、光コネクタOPの軸線LLを通る中央面CPに関して側方にオフセットしてあり、基部96の幅の半分以下の幅とされている。従って、2つの可動係止部材94を軸線LLに沿って整列させた時には図12に示されるように2つの可動係止部材94は互いに差し違いになり、アダプタケース93内にコンパクトに納まる。可動係止部材94の基部96には一対の突起101が形成されている。アダプタケース93の内側面にはこれらの突起101が係合可能な長手方向案内溝102が形成されている。案内溝102に沿って突起101が摺動することにより、可動係止部材94が軸方向に移動する際に可動係止部材94が位置決めされる。
【0071】
差し違い状態に組み合わせた可動係止部材94の内側に圧縮コイルばね98が入れられ、更にその内側に整列用スリーブSLが挿入されている。整列用スリーブSLは軸方向スリ割りを有し、圧縮コイルばね98の内側に浮動状態で収容されている。圧縮コイルばね98は一方の可動係止部材94の基部96の内側面と他方の可動係止部材94の基部96の内側面との間に圧縮状態で配置してある。
【0072】
光プラグPG1,PG2のいずれも挿入しない状態では、図11に示されるように、それぞれの可動係止部材94の基部96の突起101が案内溝102の終端部に突き当たるまで2つの対向する可動係止部材94は圧縮コイルばね98によって押し広げられている。このときのフック95相互間の距離は、フェルールFL1,FL2を相互に突き合わせたときの係止溝間の距離よりも長く設定されている。
【0073】
光ファイバF1と光ファイバF2との接続は、以下のようにして行われる。光プラグPG1のフェルールFL1を可動係止部材94の穴を通って整列用スリーブSLに挿入すると、大径のフェルールホルダCF1が可動係止部材94のフック95を押し広げる。光プラグPG1を更に押し込むと、フェルールホルダCF1が可動係止部材94の基部96に当たって止まる。同様にして反対側から光プラグPG2を挿入すると、この光プラグPG2のフェルールFL2は先に挿入した光プラグPG1のフェルールFL1の端面に当たる。この時、可動係止部材94のフック95間の距離は両光プラグPG1,PG2の係止溝間の距離よりも長いので、可動係止部材94のフック95は後から挿入した光プラグPG2の係止溝に嵌合しない。
【0074】
しかし、後から挿入した光プラグPG2を更に押し込むと、先に挿入した光プラグPG1はアダプタADの外側に押されて移動する。これにより可動係止部材94のフック95間の距離が大きくなり、両光プラグPG1,PG2の係止溝間の距離よりも大きくなったときに、フック95が係止溝に嵌合する。光プラグPG2を更に押し込むと、可動係止部材94の基部96が整列用スリーブSLに当たり、それ以上挿入できなくなる。この状態で光プラグPG2の挿入を停止すると、光コネクタOPは図9に示される状態となる。このときには差し違い状態にある2つの可動係止部材94の基部96は圧縮コイルばね98の作用により外側に押されるので、可動係止部材94のフック95はアダプタADに向かって引きつけられる。これにより、フェルールFL1,FL2相互の接合面に接触圧が発生し(先端が押し付け合い)、それらの端面が微小に潰れて光ファイバF1と光ファイバF2とを安定した接続状態に維持することができる。なお、光プラグPG1と光プラグPG2との挿入順は、上記と逆でも勿論良い。光プラグPG1,PG2をアダプタADから外すときは、適当な治具(図示せず)により可動係止部材94のフック95を広げ、光プラグPG1,PG2を引き抜く。
【0075】
図10より明らかなように、光の進行方向に関して下流側に位置する光ファイバF2のコアCR2の直径d20は、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバF1のコアCR1の直径d10よりも幾分大きい(d20>d10)。すなわち、光が入る光ファイバF2のコアCR2の端面は、光を出す光ファイバF1のコアCR1の端面より大きい。すなわち、光ファイバF1のコアCR1の射出端面は、光ファイバF2のコアCR2の入射端面の一部に当接(圧接)している。ただし、両光ファイバF2,F1のクラッドCL2,CL1の直径d2,d1は互いに等しい(d2=d1)。さらに、光ファイバF2,F1のそれぞれを固定するフェルールFL2,FL1を、整列用スリープSLを用いて固定することにより、光ファイバF2,F1の中心軸がほぼ同軸上に位置決めされている。これらにより、光ファイバF1から光ファイバF2へ、光は、外部に漏れることなく送られる。
【0076】
なお、フェルールFL1,FL2と光ファイバF1,F2との偏心、整列用スリープSLの歪み等により、光ファイバF1,F2の中心軸の位置決め誤差Δdが生じ得る。そこで、少なくとも位置決め誤差Δdの分、光ファイバF2のコアCR2の直径d20を光ファイバF1のコアCR1の直径d10より大きく設計することとする(d20≧d10+Δd)。
【0077】
上述の光コネクタOPを用いて、パネルP1,P2(図8参照)にて光ファイバを接続する。ただし、図8の例において、照明系64aからYヘッド64へ計測ビームを送る光ファイバ820,830,840のコアの直径(順にd820,d830,d840と表す)は、d820<d830<d840と設計する。一方、Yヘッド64から受光系64cへ4つの出力ビームを送る受光用ファイバ841〜834,831〜834,821〜824のコアの直径(順にd84,d83,d82と表す)は、d84<d83<d82と設計する。
【0078】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図4及び図6に示されるように、照射系90a及び受光系90bから成る多点焦点位置検出系(以下、「多点AF系」と略述する)が設けられている。多点AF系としては、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式を採用している。本実施形態では、一例として、ヘッドユニット62Eの−X端部の+Y側に照射系90aが配置され、これに対峙する状態で、ヘッドユニット62Fの+X端部の+Y側に受光系90bが配置されている。なお、多点AF系(90a,90b)は、投影ユニットPUを保持するメインフレームの下面に固定されている。
【0079】
図4及び図6では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点が、個別に図示されず、照射系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域(ビーム領域)AFとして示されている。検出領域AFは、X軸方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY軸方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ軸方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。
【0080】
図6に示されるように、多点AF系(90a,90b)の検出領域AFの両端部近傍に、基準軸LVに関して対称な配置で、面位置計測システム180の一部を構成する各一対のZ位置計測用のヘッド(以下、「Zヘッド」と略述する)72a,72b、及び72c,72dが設けられている。これらのZヘッド72a〜72dは、不図示のメインフレームの下面に固定されている。
【0081】
さらに、前述のヘッドユニット62A,62Cは、図6に示されるように、それぞれが備える5つのYヘッド65j,64i(i,j=1〜5)と同じX位置に、ただしY位置をずらして、それぞれ5つのZヘッド76j,74i(i,j=1〜5)を備えている。そして、ヘッドユニット62A,62Cのそれぞれに属する5つのZヘッド76j,74iは、互いに基準軸LVに関して対称に配置されている。
【0082】
上述したZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765は、図15に示されるように、信号処理・選択装置170を介して主制御装置20に接続されており、主制御装置20は、信号処理・選択装置170を介してZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765の中から任意のZヘッドを選択して作動状態とし、その作動状態としたZヘッドで検出した面位置情報を信号処理・選択装置170を介して受け取る。本実施形態では、Zヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765と、信号処理・選択装置170とを含んでウエハステージWSTのZ軸方向及びXY平面に対する傾斜方向の位置情報を計測する面位置計測システム180が構成されている。
【0083】
次に、Zヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765の構成等について、図13に示されるZヘッド72aを代表的に採り上げて、さらに詳述する。図13では、Zヘッド72aからYスケール39Y2に検出光(計測ビーム)LBZが照射されている。
【0084】
図13に示されるように、Zヘッド72aは、フォーカスセンサFS、フォーカスセンサFSを収納したセンサ本体ZH、及びセンサ本体ZHをZ軸方向に駆動する駆動部DP(図13では不図示、図14参照)、並びにセンサ本体ZHのZ軸方向の変位を計測する計測部ZE等を備えている。Zヘッド72aの詳細な構成等は、例えば米国特許出願公開第2009/0051895号明細書などに開示されている。
【0085】
フォーカスセンサFSとして、計測ビームLBZを計測面(Yスケール39Y2)に投射し、その反射ビームを受光することにより、計測面の変位を光学的に読み取るピックアップ方式のフォーカスセンサが用いられている。
【0086】
フォーカスセンサFS(Zヘッド72a)には、図13に示されるように、光ファイバ845の一端が接続されている。光ファイバ845は送光用ファイバであり、本実施形態では、送光用光ファイバケーブル805(図8参照)の射出側の端部を構成する。送光用光ファイバケーブル805の他端(入射端)は、図8に示されるように、例えば半導体レーザ等の光源を含む照明系64dに光学的に接続されている。ここで、照明系64dは、前述のエンコーダヘッド(Yヘッド64)に対応する照明系64a等とともに、ヘッドユニット62A〜62Fを吊り下げ支持するメインフレーム(不図示)又はこれとは別の固定の支持部材上に設置されている。
【0087】
送光用光ファイバケーブル805は、図8に示されるように、Zヘッド72aに一端(射出端)が接続された光ファイバ845と、照明系64dにその入射端が接続された光ファイバ825と、光ファイバ845と光ファイバ825とを接続する中継用の光ファイバ835とを有している。光ファイバ835は、一端が光ファイバ845の入射端に接続され、他端が光ファイバ825の射出端に接続されている。光ファイバ845と光ファイバ835とは、パネルP1にその一部が設けられた前述した光コネクタ(図9〜図12参照)を用いて接続されている。また、光ファイバ835と光ファイバ825とは、パネルP2にその一部が設けられた光コネクタを介して接続されている。
【0088】
この場合、照明系64dから供給される計測ビームは、光ファイバ825,835,845を順次通って、Zヘッド72aに送られる。従って、前述と同様に、光ファイバの接続部からの光の外部への漏れを防止するため、照明系64dからZヘッド72aへ計測ビームを送る送光用ファイバ825,835,845のコアの直径(順にd825,d835,d845と表す)は、d825<d835<d845と設計されている。
【0089】
フォーカスセンサFSの出力は、第1演算回路CC1(図13では不図示、図14参照)に送られ、該第1演算回路CC1で後述するようにして算出されるフォーカスエラーI(出力信号)が駆動部DPに送られる。ここで、フォーカスセンサFSとしては、例えば上述の米国特許出願公開第2009/0051895号明細書などに開示されているように、計測面からの反射ビームを受光系の一部を構成する4分割受光素子で受光するセンサが用いられている。四分割受光素子の検出面は、例えば全体として正方形で、その2本の対角線を分離線として、4つの検出領域(a,b,c,dとする)に等分割されているものとする。この場合、理想フォーカス状態(ピントの合った状態、デフォーカス量ΔL=0)では、反射ビームの検出面上での断面形状は、4分割受光素子の検出面の中心を中心とする円形となり、いわゆる後ピン状態(ΔL<0)では、反射ビームの検出面上での断面形状は、同心の横長の長円形となり、いわゆる前ピン状態(ΔL>0)では、反射ビームの検出面上での断面形状は、同心の縦長の長円形となる。
【0090】
フォーカスセンサFSの検出部(四分割受光素子)に接続された第1演算回路CC1(図14参照)では、4つの検出領域a,b,c,dで受光する光の強度(それぞれIa,Ib,Ic,Idと表記する)から、次式(1)によって定義されるフォーカスエラーIを算出し、駆動部(図14参照)DPに出力する。
【0091】
I=(Ia+Ic)−(Ib+Id) …(1)
従って、横軸をデフォーカス量ΔL、縦軸にフォーカスエラーIとする直交座標系上にフォーカスエラーI(出力信号)の変化を描画するといわゆるSカーブ信号が得られることになる。
【0092】
駆動部DPは、アクチュエータ、例えばボイスコイルモータを含み、ボイスコイルモータの可動子及び固定子の一方は、センサ本体ZHに、他方はセンサ本体ZH及び計測部ZE等を収容する不図示の筐体の一部に、それぞれ固定されている。駆動部DPは、第1演算回路CC1からの出力信号に従って、センサ本体ZHと計測面との距離を一定に保つように(より正確には、計測面をフォーカスセンサFSの受光光学系のベストフォーカス位置に保つように)、センサ本体ZHをZ軸方向に駆動する。これにより、センサ本体ZHは計測面のZ軸方向の変位に追従し、フォーカスロック状態が保たれる。
【0093】
フォーカスロック状態において、センサ本体ZHのZ位置が計測部ZEによって計測され、Zヘッド72aの計測値(計測結果)Zaとして出力される。
【0094】
計測部ZEとしては、一例として、前述のエンコーダ70A〜70Fと同様の回折干渉方式のエンコーダが用いられている。計測部ZEは、センサ本体ZHの上面に固定されたZ軸方向に延びる支持部材SMの側面に設けられたZ軸方向を周期方向とする反射型の回折格子EGと、回折格子EGに対向して不図示の筐体に取付けられたエンコーダヘッドEHとを含む。エンコーダヘッドEHは、計測ビームELを回折格子EGに投射し、回折格子EGからの反射・回折光を受光して計測ビームELの投射点の変位を読み取ることで、センサ本体ZHのZ軸方向の変位、すなわち計測面のZ軸方向の変位を計測する。このエンコーダヘッドEHの計測値が、Zヘッド72aの計測値Zaとして前述の信号処理・選択装置170を介して主制御装置20に供給される。
【0095】
なお、計測部ZE内のエンコーダに対しても、前述のYヘッド64と同様に、送光用ファイバを介して照明系から計測ビームを計測部ZEに送光し、受光用ファイバを介して計測部ZEからの出力ビームを受光系に送光することができる。
【0096】
その他のZヘッド72b〜72d,741〜745,761〜765も、上述のZヘッド72aと同様に構成され機能する。
【0097】
図15には、露光装置100の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。
【0098】
次に、本実施形態における相対変位ΔYの算出方法について、その原理を含め説明する。簡単のため、計測ビームLB1,LB2の強度は互いに等しいとする。エンコーダの出力I1,I2,I3,I4は、次のように表される。
【0099】
I1=A(1+cos(φ)) …(2a)
I2=A(1+cos(φ+π/2)) …(2b)
I3=A(1+cos(φ+π)) …(2c)
I4=A(1+cos(φ+3π/2)) …(2d)
ここで、φは、計測ビームLB1,LB2(それらに由来する合成ビームLB3のS,P偏光成分)の間の位相差である。
【0100】
まず、主制御装置20は、Yエンコーダ70Cの出力I1,I2,I3,I4を用いて、次式(3a)、(3b)で表される差I13,I42を求める。
【0101】
I13=I1−I3=2Acos(φ) …(3a)
I42=I4−I2=2Asin(φ) …(3b)
【0102】
図16(A)及び図16(B)には、横軸に関して原点Oからの距離が差I13、縦軸に関して原点Oからの距離が差I42、となる点ρ(I13,I42)の軌道が示されている。ここで、点ρ(I13,I42)はベクトルρを用いて表され、点ρ(I13,I42)の位相がφと表記されている。ベクトルρの長さ、すなわち点ρ(I13,I42)の原点Oからの距離は2Aである。
【0103】
点ρ(I13,I42)の動きを考える。理想状態では、合成ビームLB3の強度は常に一定である。従って、出力I1,I2,I3,I4,IRの振幅Aも常に一定である。そのため、点ρ(I13,I42)は、出力I1,I2,I3,I4の変化とともに、原点からの距離(半径)が2Aの円周上を移動する。
【0104】
また、干渉ビーム(出力ビーム)LB31〜LB34の強度I1,I2,I3,I4は、Yスケール39Y2(すなわちウエハステージWST)が計測方向(回折格子の周期方向、すなわちY軸方向)に変位することにより、それぞれ式(2a),(2b),(2c),(2d)のように、正弦的に変化する。従って、位相差φは、図16(A)における点ρ(I13,I42)の位相φと等価である。位相差φは、相対変位ΔYに対し、次のように変化する。
【0105】
φ(ΔY)=2πΔY/(p/4n)+φ0 …(4)
ここで、pはスケール39Y2が有する回折格子のピッチ、nは回折次数(例えばn=1)、φ0は境界条件(例えば変位ΔYの基準位置の定義など)より定まる定位相項である。
【0106】
式(4)より、位相φは、計測ビームLB1,LB2の波長λに依存しないことがわかる。また、位相φは、変位ΔYが計測単位(計測ピッチとも呼ぶ)p/4n増加(減少)すると2π増加(減少)することがわかる。従って、干渉光LB4の強度I及び出力I1,I2,I3,I4は、変位ΔYが計測単位増加又は減少する毎に、振動することがわかる。
【0107】
式(4)によって表わされる位相φと変位ΔYとの関係及び式(2a)〜(2d)によって表される出力I1〜I4と位相φとの関係(すなわち差I13,I42と変位ΔYとの関係)より、変位ΔYの増加に応じて、点ρ(I13,I42)は、半径2Aの円周上を、例えば図16(B)に示されるように点aから点bへと、左回りに回転する。逆に、変位ΔYの減少に応じて、点ρ(I13,I42)は、上記円周上を右回りに回転する。そして、点ρ(I13,I42)は、変位ΔYが計測単位増加(減少)する毎に、円周上を一周する。
【0108】
そこで、主制御装置20は、予め定められた基準位相(例えば定位相φ0)を基準にして、点ρ(I13,I42)の周回数を数える。この周回数は、干渉光LB4の強度Iの振動回数に等しい。その計数値(カウント値)をcΔYと表記する。さらに、主制御装置20は、点ρ(I13,I42)の基準位相に対する位相の変位φ’=φ−φ0を求める。これらのカウント値cΔYと位相変位φ’から、変位ΔYの計測値CΔYが、次のように求められる。
【0109】
CΔY=(p/4n)×(cΔY+φ’/2π) …(5)
ここで、定位相φ0を位相オフセット(ただし、0≦φ0<2πと定義する)とし、変位ΔYの基準位置での位相φ(ΔY=0)を保持することとする。
【0110】
ヘッドユニット62C内のその他のヘッド、ヘッドユニット62A,62B,62D,62E,62Fがそれぞれ備えるヘッド65,66,67,68も、ヘッド64(エンコーダ70C)と同様に構成されている。
【0111】
また、本実施形態では、前述のようなエンコーダヘッドの配置を採用したことにより、常時、Xスケール39X1又は39X2に少なくとも1つのXヘッド66が、Yスケール39Y1に少なくとも1つのYヘッド65(又は68)が、Yスケール39Y2に少なくとも1つのYヘッド64(又は67)が、それぞれ対向する。スケールに対向しているエンコーダヘッドからは、上述の干渉ビーム(出力ビーム)LB31〜LB34の強度I1,I2,I3,I4の測定結果が、主制御装置20に供給される。主制御装置20は、供給された測定結果I1,I2,I3,I4から、それぞれのヘッドの計測方向についてのウエハステージWSTの変位(より正確には計測ビームが投射されるスケールの変位)を求める。求められた結果は、上述のエンコーダ70A、70C及び70B又は70D(又はエンコーダ70E1,70F1及び70B又は70D)の計測値として扱われる。
【0112】
主制御装置20は、エンコーダ70A〜70Dのうちの3つ、又はエンコーダ70E1,70F1,70B及び70Dのうちの3つの計測値に基づいて、例えば米国特許出願公開第2009/0027640号明細書などに開示されるようにして、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出し、この算出結果に基づいて、ウエハステージWSTを駆動(位置制御)する。
【0113】
また、主制御装置20は、リニアエンコーダ70E2,70F2の計測値に基づいて、FDバー46(ウエハステージWST)のθz方向の回転を制御する。
【0114】
また、主制御装置20は、前述の面位置計測システム180(図15参照)を用いて、ウエハステージWSTの有効ストローク領域、すなわち露光及びアライメント計測のためにウエハステージWSTが移動する領域において、その2自由度方向(Z,θy)の位置座標を計測する。かかる位置座標の計測(演算を含む)の詳細については、以下の露光時、及びフォーカスキャリブレーション、フォーカスマッピング時を含み、例えば前述の米国特許出願公開第2009/0051895号明細書などに開示されている。
【0115】
主制御装置20は、露光時には、少なくとも各1つのZヘッド74i,76j(i,jは1〜5のいずれか)の計測値に従って、テーブル面上の基準点(テーブル面と光軸AXとの交点)における、ウエハステージWSTの高さZ0とローリングθyを算出する。
【0116】
主制御装置20は、フォーカスキャリブレーションとフォーカスマッピング時には、4つのZヘッド72a〜72dの計測値(それぞれZa,Zb,Zc,Zdと表記する)を用いて、多点AF系(90a,90b)の複数の検出点の中心におけるウエハテーブルWTBの高さZ0とローリングθyを、算出する。
【0117】
説明は前後するが、ここで、光ファイバの継ぎ部において光の漏れが生じた場合に生じる、エンコーダシステム150(及び面位置計測システム180)の計測誤差の発生(計測精度が低下する)について説明する。
【0118】
一例として、エンコーダヘッドから出力される4つの出力ビームLB31〜LB34(図7参照)のうちの出力ビームLB34が、光ファイバ844,834,824の継ぎ部(パネルP1又はP2)において光漏れが生じ、その強度がI4から次式で表されるI4’に減少した場合を考えてみる。
【0119】
I4’=A’(1+cos(φ+3π/2)) …(2d’)
ただし、振幅A’<Aである。この場合、差I42’は、次のように求まる。
【0120】
I42’=I4’−I2=(A+A’)sin(φ)+(A’−A) …(3b’)
【0121】
図16(C)には、横軸に関して原点Oからの距離が差I13、縦軸に関して原点Oからの距離が差I42’、となる点ρ’(I13,I42’)の軌道が実線を用いて示されている。また、理想状態(光漏れのない状態)における点ρ(I13,I42)の軌道が破線を用いて示されている。図16(C)より明らかなように、点ρ’(I13,I42’)の軌道が点ρ(I13,I42)の軌道からずれ、例えば点cから点c’にずれることにより、位相誤差Δφが発生する。従って、式(4)を通じて位相誤差Δφに対応する変位ΔYの計測誤差が発生することがわかる。このように、特に、エンコーダ(Xヘッド、Yヘッド(、及びZヘッド内の計測部))から受光系(検出器)へ送られる出力ビームの漏れは深刻な計測精度の低下をもたらす。
【0122】
また、照明系からエンコーダ(Xヘッド、Yヘッド)又はZヘッドへ送られる計測ビームの漏れは、それぞれ、出力ビームの強度I1〜I4の低下(式(2a)〜式(2d)内の定数Aの減少及び図16(A)における点ρの軌道半径2Aの減少)、又は式(1)で表されるフォーカスエラーIの低下(Sカーブ信号の振幅の減少)をもたらす。これらにより、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180の計測精度が低下し得る。
【0123】
本実施形態の露光装置100では、主制御装置20は、エンコーダシステム150を用いてウエハステージWSTの(X,Y,θz)位置を計測し、その結果に従ってウエハステージWSTを駆動制御する。また、主制御装置20は、面位置計測システム180を用いてウエハステージWSTの(Z、θy)位置を計測し、その結果に従ってウエハステージWSTをフォーカスレベリング制御する。主制御装置20は、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書の実施形態中に開示されている手順と同様の手順に従って、ウエハステージWSTを用いた通常のシーケンスの処理を実行する。
【0124】
なお、シーケンスの処理の詳細は省略するが、所定の準備作業の後、エンコーダシステム150及びZヘッド72a〜72dを用いてウエハステージWSTの6自由度方向の位置を計測しつつ、アライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、ウエハW上の複数のサンプルショット領域のアライメントマークを検出するアライメント計測が実行され、これと並行して多点AF系(90a、90b)を用いてフォーカスマッピング(Zヘッド72a〜72dの計測値を基準とする、ウエハWの面位置(Z位置)情報の計測)が行われる。
【0125】
そして、アライメント計測及びフォーカスマッピングが終了すると、アライメント計測の結果求められるウエハ上の各ショット領域の位置情報と、最新のアライメント系のベースラインとに基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の複数のショット領域が露光され、レチクルのパターンが転写される。露光動作中、フォーカスマッピングにより得られた情報に基づいて、ウエハWのフォーカスレベリング制御が行われる。なお、露光中のウエハのZ、θyは、Zヘッド74,76の計測値に基づいて制御されるが、θxは、Y干渉計16の計測値に基づいて制御される。
【0126】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100では、エンコーダシステム150の受光系(検出器)64cとエンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)とは、互いに対向する端面同士が当接した状態で接続された複数本の光ファイバからそれぞれ構成される光ファイバケーブル801〜804を介して接続されている。また、光ファイバケーブル801〜804のそれぞれを構成する互いに接続された光ファイバ同士の接続面では、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面の全面は、下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面の一部と当接している。従って、光ファイバケーブル801〜804を構成する互いに接続された2つの光ファイバでは上流側に位置する光ファイバから射出される光の全てが下流側に位置する光ファイバ内に入射し、接続面において外部への光の漏れが生じない(接続損失が発生しない)。この結果、光ファイバケーブル801〜804により光を外部に漏らすことなくエンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)から受光系(検出器)64cへ送ることができ、結果的にエンコーダシステム150によるウエハステージWSTの位置の高精度な計測を実現することが可能となる。
また、エンコーダシステム150では、照明系(光源)64aから光ファイバケーブル800を介してエンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)に接続損失なく光を送ることができ、この点においてもエンコーダシステム150によるウエハステージWSTの位置の高精度な計測を実現している。
【0127】
また、本実施形態では、面位置計測システム180においても、照明系(光源)64aから光ファイバケーブル805を介してZヘッドに外部に漏らすことなく(接続損失なく)光を送ることができるので、高精度なウエハテーブルWTBの位置計測が可能となる
。
【0128】
また、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置20が、エンコーダシステム150、及び面位置計測システム180の計測値に基づいて、ウエハアライメント時、フォーカスマッピング時及び露光時に、ウエハテーブルWTB(及びウエハステージWST)を高精度な駆動を行うことができる。従って、高精度なウエハW上へのレチクルRのパターンの転写が可能になる。
【0129】
なお、上述した光コネクタは、一例であって、本発明がこれに限られないことは勿論である。例えば、可動係止部材94の連結部材97を中心から半分以上の長さにして、可動係止部材94同士を対向して90度回転させて組み合わせることも可能である。あるいは、次の変形例のようにしても良い。
【0130】
《変形例》
図17には、変形例に係る光コネクタの図10に対応する部分、すなわち整列スリーブSL内部の部分が一部断面して示されている。この図17の変形例では、光ガイドLGを介して2つの光ファイバF1,F2が接続されている。ここで、光ガイドLGは、光ファイバF1のコアの径d10よりも幾分大きい径(d01>d10)を有する受光面と光ファイバF2のコアの径d20よりも幾分小さい径(d02<d20)を有する射光面とを有する透光部材である。光ガイドLGは、一例として、長さの非常に短い光ファイバ(コアのみを有する)の一種であるとも言える。この場合、光は、光ファイバF1から光ガイドLGを介して光ファイバF2(図中の黒塗り矢印の方向)へ、送られるとする。なお、光ガイドとして、例えばコアの直径d01の光ファイバとコアの直径d02(d02<d01)の光ファイバとを接続する際に光通信の分野などで用いられるコア拡大ファイバ(TECファイバ)を、本来の使用法とは逆向きで用いても良い。
【0131】
光ガイドLGは、例えばフェルールFL1,FL2と同様にジルコニアセラミックスから構成される固定部材FL0により固定されている。固定部材FL0の外径は、フェルールFL1,FL2の外径に等しい。また、光ガイドLGの端面は、固定部材FL0の端面と一体的に研磨され、一定の曲率を有する凸形状に鏡面加工されている。
【0132】
予めアダプタADの貫通孔(整列用スリープSL)の中央に光ガイドLGが挿入され、その上で、前述と同様の手順により、光プラグPG1、PG2をアダプタADに対して挿入することにより、光ガイドLGと光ファイバF1,F2とが同軸上に位置決めされる。また、両光プラグPG1,PG2の係止溝92に、2つのフック95がそれぞれ嵌合し、圧縮コイルばね98の作用により差し違い状態にある2つの可動係止部材94のフック95はアダプタADに向かって引きつけられ、アダプタADを介して、プラグPG1,PG2が固定される。ここで、圧縮コイルばね98によりフェルールFL1の先端が光ガイドLGの受光面に押し付けられ、それらの端面が微小に潰れて光ファイバF1の先端面と光ガイドLGの受光面とが接触する。同様に、圧縮コイルばね98によりフェルールFL2の先端が光ガイドLGの射光面に押し付けられ、それらの端面が微小に潰れて光ファイバF2の先端面と光ガイドLGの射光面とが接触する。これにより、光ガイドLGを介して、光ファイバF1,F2が光学的に接続され、光ファイバF1から光ファイバF2へ、光は、漏れることなく送られる。
【0133】
なお、フェルールFL1,FL2と光ファイバF1,F2との偏心、固定部材FL0と光ガイドLGとの偏心、整列用スリープSLの歪み等により、光ファイバF1,F2の中心軸の位置決め誤差Δdが生じ得る。そこで、少なくとも位置決め誤差Δdの分、光ガイドLGの受光面の径d01を光ファイバF1のコアの径d10より大きく(d01≧d10+Δd)、光ガイドLGの射光面の径d02を光ファイバF2のコアの径d20より小さく(d02≦d20−Δd)設計することとする。
【0134】
この変形例の光ファイバの接続方法を用いて複数の光ファイバを接続した光ファイバケーブルを、前述の光ファイバケーブル800〜805のいずれかに代えて用いても、前述した実施形態と同様にファイバの接続部(継ぎ部)において光の漏れが生じることがなく、エンコーダシステム及び/又は面位置計測システムの高い計測精度を実現できる他、互いに接続される光ファイバF1,F2のコアの径d10,d20を統一することができる(d10=d20)。
【0135】
なお、干渉計システム118及びレチクル干渉計116についても、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180と同様に、移動鏡に測長ビームを照射して反射ビームを受光するヘッド部と、計測ビームを発生する照明系及び反射ビームを検出する受光系とを離間して設置し、上記実施形態と同様の光ファイバケーブルを用いて照明系からヘッド部へ計測ビームを送光し、ヘッド部から受光系へ反射ビームを送光するように構成することも可能である。
【0136】
また、上記実施形態で説明したエンコーダシステムなどの各計測装置の構成は一例に過ぎず、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えば、上記実施形態では、ウエハテーブル(ウエハステージ)上に格子部(Yスケール、Xスケール)を設け、これに対向してXヘッド、Yヘッドをウエハステージの外部に配置する構成のエンコーダシステムを採用した場合について例示したが、これに限らず、例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハステージにエンコーダヘッドを設け、これに対向してウエハステージの外部に格子部(例えば2次元格子又は2次元に配置された1次元の格子部)を配置する構成のエンコーダシステムを採用しても良い。この場合も、上記実施形態と同様の光ファイバケーブルにより、光源及び検出器の少なくとも一方とヘッドとを、接続することができ、同様の効果が得られる。この場合において、Zヘッドもウエハステージに設け、その格子部の面を、Zヘッドの計測ビームが照射される反射面としても良い。
【0137】
また、上記実施形態では、例えばヘッドユニット62A,62Cの内部にエンコーダヘッドとZヘッドとが、別々に設けられている場合について説明したが、エンコーダヘッドとZヘッドとの機能を備えた単一のヘッドを、エンコーダヘッドとZヘッドの組に代えて用いても良い。
【0138】
また、上述の実施形態では、本発明が、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば欧州特許出願公開第1420298号明細書、国際公開第2004/055803号、米国特許第6,952,253号明細書などに開示されているように、投影光学系とウエハとの間に照明光の光路を含む液浸空間を形成し、投影光学系及び液浸空間の液体を介して照明光でウエハを露光する露光装置にも本発明を適用することができる。また、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示される、液浸露光装置などにも、本発明を適用することができる。
【0139】
また、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置を上記実施形態と同様に、エンコーダを用いて計測することができるので、同様の効果を得ることができる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、又はミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明は適用することができる。さらに、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを備えたマルチステージ型の露光装置にも本発明を適用できる。また、例えば米国特許第7,589,822号明細書などに開示されているように、ウエハステージとは別に、計測部材(例えば、基準マーク、及び/又はセンサなど)を含む計測ステージを備える露光装置にも本発明は適用が可能である。
【0140】
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。また、前述の照明領域及び露光領域はその形状が矩形であるものとしたが、これに限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
【0141】
なお、上記実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、例えば米国特許7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0142】
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられるので、かかる装置にも本発明を好適に適用することができる。この他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
【0143】
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
【0144】
また、例えば干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0145】
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
【0146】
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
【0147】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0148】
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の移動体装置は、所定平面内で移動体を駆動するのに適している。また、本発明の露光装置は、物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、電子デバイスを製造するのに適している。
【符号の説明】
【0150】
10…照明系、20…主制御装置、39X1,39X2…Xスケール、39Y1,39Y2…Yスケール、50…ステージ装置、62A〜62F…ヘッドユニット、64,65…Yヘッド、66…Xヘッド、67,68…Yヘッド、70A,70C…Yエンコーダ、70B,70D…Xエンコーダ、72a〜72d,74,76…Zヘッド、800〜805…光ファイバケーブル、820〜825,830〜835,840〜845…光ファイバ、100…露光装置、118…干渉計システム、124…ステージ駆動系、150…エンコーダシステム、180…面位置計測システム、LG…光ガイド、PL…投影光学系、PU…投影ユニット,RST…レチクルステージ、R…レチクル、W…ウエハ、WST…ウエハステージ、WTB…ウエハテーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体装置、露光装置、及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、所定平面内を移動する移動体を備える移動体装置、該移動体装置を備える露光装置、及び該露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが、主として用いられている。
【0003】
この種の露光装置では、ウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、ウエハと総称する)上の複数のショット領域にレチクル(又はマスク)のパターンを転写するために、ウエハを保持するウエハステージが、例えばリニアモータ等により駆動される。ここで、ウエハステージの位置は、一般的に、長期に渡って高い安定性を有するレーザ干渉計を用いて計測されていた。しかし、近年、半導体素子の高集積化に伴うパターンの微細化により重ね合わせ精度の要求が厳しくなり、レーザ干渉計のビーム路上の雰囲気の温度変化や温度勾配の影響で発生する空気揺らぎに起因する計測値の短期的な変動がオーバレイバジェット中の大きなウエイトを占めるようになった。
【0004】
かかる不都合を改善するために、レーザ干渉計と同程度以上の計測分解能を有し、一般的に干渉計に比べて空気揺らぎの影響を受けにくいエンコーダが、ウエハステージの位置計測装置として採用されるようになった。例えば、特許文献1に開示される露光装置では、複数のエンコーダを用いてウエハステージの上面に設けられた回折格子に計測ビームを照射し、それにより発生する回折光を受光して、各計測ビームの投射点における回折格子の周期方向に関するウエハステージの変位を検出することによって、ウエハステージの位置を計測するエンコーダシステムが構築されている。
【0005】
上述のようなエンコーダシステムを採用する場合、熱の問題、あるいは設置スペースの問題などから、光源及び/又は検出器(ディテクタ)を、ヘッド(光学系)から離し、光ファイバケーブルを介して光源及び/又は検出器とヘッド(光学系)とを接続することがある。このような場合に、通常、複数の光ファイバを接続して一体化した光ファイバケーブルが用いられる。しかるに、光ファイバ同士の接続部からの光の漏れ(接続損失)は、エンコーダの位置計測精度の低下の要因となる。エンコーダに限らず、干渉計その他の計測系においても、光ファイバケーブルを同様の目的で用いる場合には、同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0088843号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、所定平面内を移動する移動体を含む移動体装置であって、前記移動体と該移動体の外部との一方に設けられた光源、ヘッド及び検出器を有し、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に前記光源からの光を前記ヘッドから計測光として照射し、前記計測面からの光を前記ヘッドを介して前記検出器で受光し、受光結果に基づいて前記移動体の位置を計測する位置計測系と;前記位置計測系の計測情報に基づいて前記移動体を駆動する駆動系と;を備え、前記光源及び前記検出器の少なくとも一方と前記ヘッドとは、互いに対向する端面同士が当接した状態で接続された複数本の光ファイバから成る光ファイバケーブルを介して接続され、前記光ファイバケーブルを構成する互いに接続された光ファイバ同士の接続面では、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面の全面は、下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面の一部と当接している移動体装置が、提供される。
【0008】
ここで、光ファイバとは、接続部(継ぎ部)のない1つの光ファイバを意味し、光ファイバケーブルとは、複数の光ファイバを接続して(継いで)製作した1本(1系統)のケーブルを意味する。本明細書では、かかる意味で光ファイバ、光ファイバケーブルという用語が用いられている。
【0009】
これによれば、位置計測系の光源及び検出器の少なくとも一方とヘッドとは、互いに対向する端面同士が当接した状態で接続された複数本の光ファイバから成る光ファイバケーブルを介して接続されている。また、光ファイバケーブルを構成する互いに接続された光ファイバ同士の接続面では、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面の全面は、下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面の一部と当接している。従って、光ファイバケーブルを構成する互いに接続された2つの光ファイバでは上流側に位置する光ファイバから射出される光の全てが下流側に位置する光ファイバ内に入射し、接続面において外部への光の漏れが生じない。3つ以上の光ファイバを接続して光ファイバケーブルが製作されている場合も、互いに接続された2つの光ファイバ同士の関係は同様になっている。この結果、光ファイバケーブルにより光を外部に漏らすことなく光源からヘッドへ、及び/又はヘッドから検出器へ送ることができ、結果的に位置計測系による移動体の位置の高精度な計測を実現することが可能となり、ひいては駆動系による移動体の高精度な駆動を行うことが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、物体が前記移動体に載置される本発明の移動体装置と;前記物体に前記エネルギビームを照射する照射システムと;を備える露光装置が、提供される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、本発明の露光装置により物体を露光することと;露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】ウエハステージを示す平面図である。
【図3】図1の露光装置が備えるステージ装置及び干渉計の配置を示す平面図である。
【図4】図1の露光装置が備えるステージ装置及びセンサユニットの配置を示す平面図である。
【図5】エンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)とアライメント系の配置を示す平面図である。
【図6】Zヘッドと多点AF系の配置を示す平面図である。
【図7】エンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)の構成の一例を示す図である。
【図8】エンコーダヘッドと照明系・受光系との間の光ファイバ接続を模式的に示す図である。
【図9】パネルP1,P2(図8参照)上の光ファイバの接続部(光コネクタ)を、模式的に示す一部切り欠いた正面図である。
【図10】図9中の楕円Cの内部を拡大して示す断面図である。
【図11】光ファイバF1,F2の接続前の状態の接続部(光コネクタ)を示す図である。
【図12】光コネクタを構成する可動係止部材を取り出して示す斜視図である。
【図13】Zヘッドの構成の一例を概略的に示す図である。
【図14】Zヘッドの構成の一例を、信号処理選択装置とともに示すブロック図である。
【図15】一実施形態の露光装置の制御系の主要な構成を示すブロック図である。
【図16】図16(A)及び図16(B)はエンコーダの計測結果の解析方法を説明するための図、図16(C)は光漏れにともなう計測誤差の発生原理を説明するための図である。
【図17】変形例における光コネクタ内部の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図16(C)に基づいて説明する。
【0014】
図1には、一実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では投影光学系PLが設けられている。以下においては、投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルRとウエハWとが相対走査される走査方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0015】
露光装置100は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU、ウエハステージWSTを有するステージ装置50、及びこれらの制御系等を備えている。図1では、ウエハステージWST上にウエハWが載置されている。
【0016】
照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステム)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。照明系10の構成は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されている。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられる。
【0017】
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図15参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
【0018】
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)116によって、移動鏡15(又はレチクルステージRSTの端面に形成された反射面)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図15参照)に送られる。
【0019】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられる。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10によってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、その第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
【0020】
ステージ装置50は、図1に示されるように、ベース盤12上に配置されたウエハステージWST、ウエハステージWSTの位置情報を計測する計測システム200(図15参照)、及びウエハステージWSTを駆動するステージ駆動系124(図15参照)等を備えている。計測システム200は、図15に示されるように、干渉計システム118、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180などを含む。
【0021】
ウエハステージWSTは、不図示の非接触軸受、例えばエアベアリングなどにより、数μm程度のクリアランスを介して、ベース盤12の上方に支持されている。また、ウエハステージWSTは、リニアモータ等を含むステージ駆動系124(図15参照)によって、X軸方向及びY軸方向に所定ストロークで駆動可能である。
【0022】
ウエハステージWSTは、ステージ本体91と、該ステージ本体91上に搭載されたウエハテーブルWTBとを含む。このウエハテーブルWTB及びステージ本体91は、リニアモータ及びZ・レベリング機構(ボイスコイルモータなどを含む)を含む駆動系によって、ベース盤12に対し、6自由度方向(X,Y,Z,θx,θy,θz)に駆動可能に構成されている。
【0023】
ウエハテーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。図2に示されるように、ウエハテーブルWTB上面のウエハホルダ(ウエハW)の+Y側には、計測プレート30が設けられている。この計測プレート30には、中央に基準マークFMが設けられ、基準マークFMのX軸方向の両側に一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLPが、設けられている。そして、各空間像計測スリットパターンSLPに対応して、ウエハテーブルWTBの内部には、光学系及び受光素子などが配置されている。すなわち、ウエハテーブルWTB上には、空間像計測スリットパターンSLPを含む一対の空間像計測装置45A,45B(図15参照)が設けられている。
【0024】
また、ウエハテーブルWTB上面には、後述するエンコーダシステムで用いられるスケールが形成されている。詳述すると、ウエハテーブルWTB上面のX軸方向(図2における紙面内左右方向)の一側と他側の領域には、それぞれYスケール39Y1,39Y2が形成されている。Yスケール39Y1,39Y2は、例えば、X軸方向を長手方向とする格子線38が所定ピッチでY軸方向に配列された、Y軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。
【0025】
同様に、ウエハテーブルWTB上面のY軸方向(図2における紙面内上下方向)の一側と他側の領域には、Yスケール39Y1及び39Y2に挟まれた状態で、Xスケール39X1,39X2がそれぞれ形成されている。Xスケール39X1,39X2は、例えば、Y軸方向を長手方向とする格子線37が所定ピッチでX軸方向に配列された、X軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。
【0026】
なお、格子線37,38のピッチは、例えば1μmと設定される。図2及びその他の図においては、図示の便宜のため、格子のピッチは実際のピッチよりも大きく図示されている。
【0027】
また、回折格子を保護するために、低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、そのガラス板の表面がウエハ面と同じ高さ(同一面)になるよう、ウエハテーブルWTB上面に設置される。
【0028】
また、ウエハテーブルWTBの−Y端面,−X端面には、図2に示されるように、後述する干渉計システムで用いられる反射面17a,反射面17bが形成されている。
【0029】
また、ウエハテーブルWTBの+Y側の面には、図2に示されるように、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されるCDバーと同様の、X軸方向に延びるフィデューシャルバー(以下、「FDバー」と略述する)46が取り付けられている。FDバー46の長手方向の一側と他側の端部近傍には、センターラインLLに関して対称な配置で、Y軸方向を周期方向とする基準格子(例えば回折格子)52がそれぞれ形成されている。また、FDバー46の上面には、複数の基準マークMが形成されている。各基準マークMとしては、後述するアライメント系によって検出可能な寸法の2次元マークが用いられている。
【0030】
本実施形態の露光装置100では、図4及び図5に示されるように、投影光学系PLの光軸AXを通るY軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1は、不図示のメインフレームの下面に固定されている。図5に示されるように、プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、可動式の支持部材を介してメインフレーム(不図示)の下面に固定されており、駆動機構601〜604(図15参照)により、X軸方向に関してそれらの検出領域の相対位置が調整可能となっている。
【0031】
本実施形態では、アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれとして、例えば画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれからの撮像信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される。
【0032】
干渉計システム118は、図3に示されるように、反射面17a又は17bにそれぞれ干渉計ビーム(測長ビーム)を照射し、その反射光を受光して、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を計測するY干渉計16と、3つのX干渉計126〜128と、一対のZ干渉計43A,43Bとを備えている。詳述すると、Y干渉計16は、基準軸LVに関して対称な一対の測長ビームB41,B42を含む少なくとも3つのY軸に平行な測長ビームを反射面17a、及び後述する移動鏡41に照射する。また、X干渉計126は、図3に示されるように、光軸AXと基準軸LVとに直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LHに関して対称な一対の測長ビームB51,B52を含む少なくとも3つのX軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計127は、アライメント系AL1の検出中心にて基準軸LVと直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LAを測長軸とする測長ビームB6を含む少なくとも2つのY軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計128は、X軸に平行な測長ビームB7を反射面17bに照射する。
【0033】
干渉計システム118の上記各干渉計からの位置情報は、主制御装置20に供給される。主制御装置20は、Y干渉計16及びX干渉計126又は127の計測結果に基づいて、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)のX,Y位置に加え、θx方向の回転情報(すなわちピッチング)、θy方向の回転情報(すなわちローリング)、及びθz方向の回転情報(すなわちヨーイング)も算出することができる。
【0034】
また、図1に示されるように、ステージ本体91の−Y側の側面に、凹形状の反射面を有する移動鏡41が取り付けられている。移動鏡41は、図2からわかるように、X軸方向の長さがウエハテーブルWTBの反射面17aよりも長い。
【0035】
移動鏡41に対向して、干渉計システム118(図15参照)の一部を構成する一対のZ干渉計43A,43Bが設けられている(図1及び図3参照)。Z干渉計43A,43Bは、移動鏡41を介して、例えば投影ユニットPUを支持するフレーム(不図示)に固定された固定鏡47A,47Bにそれぞれ2つのY軸に平行な測長ビームB1,B2を照射する。そして、それぞれの反射光を受光して、測長ビームB1,B2の光路長を計測する。その結果より、主制御装置20は、ウエハステージWSTの4自由度(Y,Z,θy,θz)方向の位置を算出する。
【0036】
本実施形態の露光装置100には、干渉計システム118とは独立に、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を計測するために、エンコーダシステム150を構成する複数のヘッドユニットが設けられている。
【0037】
図4に示されるように、投影ユニットPUの+X側、+Y側、−X側、及びプライマリアライメント系AL1の−Y側に、4つのヘッドユニット62A、62B、62C、及び62Dが、それぞれ配置されている。また、アライメント系AL1、AL21〜AL24のX軸方向の両外側にヘッドユニット62E、62Fが、それぞれ設けられている。ヘッドユニット62A〜62Fは、支持部材を介して、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)に吊り下げ状態で固定されている。なお、図4において、符号UPは、ウエハステージWST上にあるウエハのアンロードが行われるアンローディングポジションを示し、符号LPは、ウエハステージWST上への新たなウエハのロードが行われるローディングポジションを示す。
【0038】
ヘッドユニット62A、62Cは、図5に示されるように、前述の基準軸LH上に所定間隔で配置された複数(ここでは5個)のYヘッド651〜655、Yヘッド641〜645を、それぞれ備えている。以下では、必要に応じて、Yヘッド651〜655及びYヘッド641〜645を、それぞれ、Yヘッド65及びYヘッド64とも表記する。
【0039】
ヘッドユニット62A,62Cは、Yスケール39Y1,39Y2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼のYリニアエンコーダ70A,70C(図15参照)を構成する。なお、以下では、Yリニアエンコーダを、適宜、「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」と略記する。
【0040】
ヘッドユニット62Bは、図5に示されるように、投影ユニットPUの+Y側に配置され、基準軸LV上に間隔WDで配置された複数(ここでは4個)のXヘッド665〜668を備えている。また、ヘッドユニット62Dは、プライマリアライメント系AL1の−Y側に配置され、基準軸LV上に間隔WDで配置された複数(ここでは4個)のXヘッド661〜664を備えている。以下では、必要に応じて、Xヘッド665〜668及びXヘッド661〜664をXヘッド66とも表記する。
【0041】
ヘッドユニット62B,62Dは、Xスケール39X1,39X2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX軸方向の位置(X位置)を計測する多眼のXリニアエンコーダ70B,70D(図15参照)を構成する。なお、以下では、Xリニアエンコーダを、適宜、「Xエンコーダ」又は「エンコーダ」と略記する。
【0042】
ここで、ヘッドユニット62A,62Cがそれぞれ備える5個のYヘッド65,64(より正確には、Yヘッド65,64が発する計測ビームのスケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、露光の際などに、少なくとも1つのヘッドが、常に、対応するYスケール39Y1,39Y2に対向する(計測ビームを照射する)ように定められている。同様に、ヘッドユニット62B,62Dがそれぞれ備える隣接するXヘッド66(より正確には、Xヘッド66が発する計測ビームのスケール上の照射点)のY軸方向の間隔WDは、露光の際などに、少なくとも1つのヘッドが、常に、対応するXスケール39X1又は39X2に対向する(計測ビームを照射する)ように定められている。
【0043】
なお、ヘッドユニット62Bの最も−Y側のXヘッド665とヘッドユニット62Dの最も+Y側のXヘッド664との間隔は、ウエハステージWSTのY軸方向の移動により、その2つのXヘッド間で切り換え(つなぎ)が可能となるように、ウエハテーブルWTBのY軸方向の幅よりも狭く設定されている。
【0044】
ヘッドユニット62Eは、図5に示されるように、複数(ここでは4個)のYヘッド671〜674を備えている。
【0045】
ヘッドユニット62Fは、複数(ここでは4個)のYヘッド681〜684を備えている。Yヘッド681〜684は、基準軸LVに関して、Yヘッド674〜671と対称な位置に配置されている。以下では、必要に応じて、Yヘッド674〜671及びYヘッド681〜684を、それぞれYヘッド67及びYヘッド68とも記述する。
【0046】
アライメント計測の際には、少なくとも各1つのYヘッド67,68が、それぞれYスケール39Y2,39Y1に対向する。このYヘッド67,68(すなわち、これらYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダ70E,70F)によってウエハステージWSTのY位置(及びθz回転)が計測される。
【0047】
また、本実施形態では、セカンダリアライメント系のベースライン計測時などに、セカンダリアライメント系AL21,AL24にX軸方向で隣接するYヘッド673,682が、FDバー46の一対の基準格子52とそれぞれ対向し、その一対の基準格子52と対向するYヘッド673,682によって、FDバー46のY位置が、それぞれの基準格子52の位置で計測される。以下では、一対の基準格子52にそれぞれ対向するYヘッド673,682によって構成されるエンコーダをYリニアエンコーダ70E2,70F2(図15参照)と呼ぶ。また、識別のため、Yスケール39Y2,39Y1に対向するYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダを、Yエンコーダ70E1、70F1と呼ぶ。
【0048】
各エンコーダヘッド(Yヘッド、Xヘッド)として、例えば、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されている干渉型のエンコーダヘッドが用いられる。
【0049】
図7には、エンコーダ70A〜70Fを代表して、エンコーダ70Cの構成が示されている。図7では、エンコーダ70Cを構成するヘッドユニット62Cの1つのYヘッド64からYスケール39Y2に対し計測ビームが照射されている。
【0050】
Yヘッド64には、5本の光ファイバ840〜844のそれぞれの一端が接続されている。光ファイバ840は送光用ファイバであり、本実施形態では、送光用光ファイバケーブル800(図8参照)の射出側の端部を構成する。送光用光ファイバケーブル800の他端(入射端)は、図8に示されるように、例えば半導体レーザ等の光源を含む照明系64aに光学的に接続されている。ここで、照明系64aは、例えば、ヘッドユニット62A〜62Fを吊り下げ支持するメインフレーム(不図示)又はこれとは別の固定の支持部材上に設置されている。
【0051】
光ファイバ841、842、843、844は受光用ファイバであり、本実施形態では、それぞれ、受光用光ファイバケーブル801、802、803、804(図8参照)の入射側の端部を構成する。受光用光ファイバケーブル801、802、803、804のそれぞれの他端は、例えばフォトマルチプライヤ・チューブ等の光検出器を含む受光系64cに光学的に接続されている。ここで、受光系64cも、照明系64aと同様に、メインフレーム(不図示)又はこれとは別の固定の支持部材上に設置されている。すなわち、照明系64aと受光系64cとは、Yヘッド64本体(後述する光学系64b)と独立に設置されている。
【0052】
送光用光ファイバケーブル800は、図8に示されるように、Yヘッド64(後述する光学系64b)に一端(射出端)が接続された光ファイバ840と、照明系64aにその入射端が接続された光ファイバ820と、光ファイバ840と光ファイバ820とを接続する中継用の光ファイバ830とを有している。光ファイバ830は、一端が光ファイバ840の入射端に接続され、他端が光ファイバ820の射出端に接続されている。光ファイバ840と光ファイバ830とは、Yヘッド64(ヘッドユニット62C)を収容する筐体(不図示)に設けられたパネルP1にその一部が設けられた後述する光コネクタを介して接続されている。また、光ファイバ830と光ファイバ820とは、パネルP2にその一部が設けられた光コネクタを介して接続されている。パネルP2は、例えば照明系64a(及び受光系64c、並びにその他のヘッドに対応する照明系及び受光系(ともに不図示))を収容する筐体(不図示)に設けられている。
【0053】
受光用光ファイバケーブル80k(k=1,2,3,4)は、図8に示されるように、Yヘッド64に一端(入射端)が接続された光ファイバ84kと、受光系64cに射出端が接続された光ファイバ82kと、光ファイバ84kと光ファイバ82kとを接続する中継用の光ファイバ83kとを有している。光ファイバ83kは、一端が光ファイバ84kの射出端に接続され、他端が光ファイバ820の入射端に接続されている。光ファイバ84kと光ファイバ83kとは、パネルP1にその一部が設けられた光コネクタを介して接続されている。また、光ファイバ83kと光ファイバ82kとは、パネルP2にその一部が設けられた光コネクタを介して接続されている。光コネクタを用いての光ファイバ同士の接続については、後で詳述する。
【0054】
図7に戻り、Yヘッド64の内部には、XZ平面と平行な分離面を有する偏光ビームスプリッタPBS、一対の反射ミラーR1a,R1b、レンズL2a,L2b、四分の一波長板(以下、λ/4板と表記する)WP1a,WP1b、反射ミラーR2a,R2b、及びビームスプリッタBS等を含む光学系64bが収容されている。ここで、偏光ビームスプリッタPBSの入射面に対向して光ファイバ840の一端面(射出面)が配置され、ビームスプリッタBSの4つの射出面に対向して光ファイバ841〜844の一端面(入射面)がそれぞれ配置されている。
【0055】
Yヘッド64において、照明系64a(図8参照)内に設けられた光源(不図示)からレーザビームLB0が射出され、送光用光ファイバケーブル800(光ファイバ820,830,840)を介して偏光ビームスプリッタPBSに入射し、偏光分離されて2つの計測ビームLB1,LB2となる。偏光ビームスプリッタPBSを透過したビームLB1は反射ミラーR1aを介してYスケール39Y2に形成された反射型の回折格子RGに到達し、偏光ビームスプリッタPBSで反射されたビームLB2は反射ミラーR1bを介して2次元回折格子RGに到達する。なお、ここで「偏光分離」とは、入射ビームをP偏光成分とS偏光成分に分離することを意味する。
【0056】
ビームLB1,LB2の照射によって回折格子RGから発生する所定次数の回折ビーム、例えば1次回折ビームは、それぞれレンズL2a,L2bを介して、λ/4板WP1a,WP1bにより円偏光に変換された後、反射ミラーR2a,R2bにより反射されて再度λ/4板WP1a,WP1bを通り、往路と同じ光路を逆方向に辿って偏光ビームスプリッタPBSに達する。
【0057】
偏光ビームスプリッタPBSに達した2つのビームは、各々偏光方向が元の方向に対して90度回転している。このため、先に偏光ビームスプリッタPBSを透過したビームLB1の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSで反射される。先に偏光ビームスプリッタPBSで反射されたビームLB2の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSを透過する。それにより、ビームLB1,LB2の両1次回折ビームは同軸上に合成され、合成ビームLB3として、ビームスプリッタBSに入射する。
【0058】
合成ビームLB3は、ビームスプリッタBSを構成する不図示の複数の分割光学素子(ハーフミラー等)により、互いに強度の等しい4つのビームLB31〜LB34に分割(又は分離)される。これら4つのビーム(出力ビームと呼ぶ)LB31〜LB34は、それぞれ、光ファイバ841〜844がそれぞれ一部を構成する受光用光ファイバケーブル801〜804を介して、受光系64cに送光される。
【0059】
出力ビームLB31〜LB34は、受光系64c内に設けられた4つの光検出器によって個別に受光される。出力ビームLB31〜LB34のそれぞれに含まれる2つの回折ビーム(正確には、計測ビームLB1,LB2にそれぞれ由来するS,P偏光成分)は、光検出器の内部において検光子によって偏光方向が揃えられて干渉ビームとなる。さらに、干渉ビーム(出力ビーム)LB31〜LB34は、それぞれの位相が相対的に0,π/2,π,3π/2シフトされた後、光検出器(の内部ディテクタ)によって受光されて、それぞれの強度I1,I2,I3,I4が測定される。
【0060】
干渉ビーム(出力ビーム)LB31〜LB34の強度I1,I2,I3,I4の測定結果は、Yエンコーダ70Cの出力として、主制御装置20に送られる。主制御装置20は、Yエンコーダ70Cの出力から、Yヘッド64とスケール39Y2とのY軸方向に関する相対変位ΔY(ウエハステージWSTの変位(より正確には計測ビームが投射されるスケールの変位)を求める。なお、相対変位ΔYの算出方法については後述する。
【0061】
上述のエンコーダシステム150では、ウエハステージWST上のスケールに照射される計測ビームは、エンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)から離間して配置された照明系64aから、光ファイバケーブル800を介して、Xヘッド、Yヘッドのそれぞれに供給される(図8参照)。また、エンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)については、スケールにて発生する回折光(出力ビーム)が、光ファイバケーブル801〜804のそれぞれを介して、Xヘッド、Yヘッド(及びZヘッド)から離間して配置された受光系(検出器)により検出される(図8参照)。ここで、光ファイバケーブル800〜804は、前述の通り、複数の光ファイバを継いで1本(1系統)の光ファイバケーブルとしてエンコーダヘッドのそれぞれと照明系あるいは受光系との間に延接されている。このため、仮に、光ファイバの継ぎ部において光の漏れが生じた場合には、後に詳述するように、エンコーダシステム150の計測誤差が生じる、すなわち計測精度が低下する。
【0062】
ここで、本実施形態では、図8に示されるように、照明系64aから供給される計測ビームは、光ファイバ820,830,840を順次通って、Yヘッド64に送られる。また、Yヘッド64から出力される出力ビームLB31〜LB34は、それぞれ、光ファイバ841〜844,831〜834,821〜824を順次通って、受光系64cに送られる。従って、本実施形態のエンコーダシステム150及び面位置計測システム180では、各光ファイバケーブルでは一方向のみに光を送る構成となっている。
【0063】
かかる点に着目して、本実施形態では、各光ファイバケーブルを、以下のようにして、複数の光ファイバを光コネクタを介して接続することで作製し、これによって光ファイバの継ぎ部からの光の漏れ(接続損失の発生)を防止している。
【0064】
図9には、パネルP1,P2(図8参照)上の光ファイバの接続部(光コネクタ)が一部切り欠いた正面図にて模式的に示されている。この例では、パネルP(P1又はP2に相当)上で、光コネクタOPを介して、2つの光ファイバF1,F2が接続されている。図10には、図9中の楕円Cの内部が拡大して断面図にて示されている。ここで、光は、光ファイバF1から光ファイバF2(図10中の黒塗り矢印の方向)へ、送られるものとする。また、図11には、光ファイバF1,F2の接続前の状態が示されている。
【0065】
光コネクタOPは、一対の光プラグPG1,PG2と、その外周部に設けられたフランジ部FLGを介してパネルPに固定されたアダプタADと、を含む。一対の光プラグPG1,PG2は、互いに同じ構造を有する。
【0066】
光プラグPG1,PG2のそれぞれは、例えばジルコニアセラミックスから成るフェルールFL1,FL2と、例えばステンレス鋼などからなるフェルールホルダCF1,CF2とで構成されている。光ファイバF1,F2はフェルールFL1,FL2とフェルールホルダCF1,CF2とを貫通しており、フェルールFL1,FL2に接着により固定されている。フェルールFL1,FL2の先端面はそれぞれ光ファイバF1,F2と一体的に凸球面に研磨されている。フェルールホルダCF1,CF2の胴体部には後述するフック95を係合させるための係止溝92が形成されている。
【0067】
アダプタADは、筒状のアダプタケース93と、アダプタケース93内に軸方向摺動自在に装着された互いに対向する2つの可動係止部材94と、圧縮コイルばね98と、整列用スリーブSLとを有している。
【0068】
アダプタケース93は例えば樹脂などで形成されており、例えば2つ割りの半体を中央で超音波融着することにより形成することができる。アダプタケース93は図12に示される形状の可動係止部材94を受け入れるべく、ほぼ四角形の内側断面輪郭を有する。ただし、アダプタケース93は任意の外形を有し、例えば、角柱形又は円柱形にすることができる。
【0069】
図12から良く分かるように、各可動係止部材94は同一構造を有し、例えばステンレス鋼板のプレス加工により製造されている。図12に示されるように、各可動係止部材94は、直径方向に対向する一対のフック95と、光コネクタOPの軸線LLに垂直な基部96と、フック95と基部96とを連結する細長い2つの連結部材97を有する。基部96は、また、圧縮コイルばね98のばね受けとしての機能を有する。基部96には、フェルールFL1,FL2の外径よりも大きく、整列用スリーブSLの外径よりも小さい穴99が形成されており、フェルールFL1,FL2を挿通できるようになっている。
【0070】
各可動係止部材94の連結部材97は、光コネクタOPの軸線LLを通る中央面CPに関して側方にオフセットしてあり、基部96の幅の半分以下の幅とされている。従って、2つの可動係止部材94を軸線LLに沿って整列させた時には図12に示されるように2つの可動係止部材94は互いに差し違いになり、アダプタケース93内にコンパクトに納まる。可動係止部材94の基部96には一対の突起101が形成されている。アダプタケース93の内側面にはこれらの突起101が係合可能な長手方向案内溝102が形成されている。案内溝102に沿って突起101が摺動することにより、可動係止部材94が軸方向に移動する際に可動係止部材94が位置決めされる。
【0071】
差し違い状態に組み合わせた可動係止部材94の内側に圧縮コイルばね98が入れられ、更にその内側に整列用スリーブSLが挿入されている。整列用スリーブSLは軸方向スリ割りを有し、圧縮コイルばね98の内側に浮動状態で収容されている。圧縮コイルばね98は一方の可動係止部材94の基部96の内側面と他方の可動係止部材94の基部96の内側面との間に圧縮状態で配置してある。
【0072】
光プラグPG1,PG2のいずれも挿入しない状態では、図11に示されるように、それぞれの可動係止部材94の基部96の突起101が案内溝102の終端部に突き当たるまで2つの対向する可動係止部材94は圧縮コイルばね98によって押し広げられている。このときのフック95相互間の距離は、フェルールFL1,FL2を相互に突き合わせたときの係止溝間の距離よりも長く設定されている。
【0073】
光ファイバF1と光ファイバF2との接続は、以下のようにして行われる。光プラグPG1のフェルールFL1を可動係止部材94の穴を通って整列用スリーブSLに挿入すると、大径のフェルールホルダCF1が可動係止部材94のフック95を押し広げる。光プラグPG1を更に押し込むと、フェルールホルダCF1が可動係止部材94の基部96に当たって止まる。同様にして反対側から光プラグPG2を挿入すると、この光プラグPG2のフェルールFL2は先に挿入した光プラグPG1のフェルールFL1の端面に当たる。この時、可動係止部材94のフック95間の距離は両光プラグPG1,PG2の係止溝間の距離よりも長いので、可動係止部材94のフック95は後から挿入した光プラグPG2の係止溝に嵌合しない。
【0074】
しかし、後から挿入した光プラグPG2を更に押し込むと、先に挿入した光プラグPG1はアダプタADの外側に押されて移動する。これにより可動係止部材94のフック95間の距離が大きくなり、両光プラグPG1,PG2の係止溝間の距離よりも大きくなったときに、フック95が係止溝に嵌合する。光プラグPG2を更に押し込むと、可動係止部材94の基部96が整列用スリーブSLに当たり、それ以上挿入できなくなる。この状態で光プラグPG2の挿入を停止すると、光コネクタOPは図9に示される状態となる。このときには差し違い状態にある2つの可動係止部材94の基部96は圧縮コイルばね98の作用により外側に押されるので、可動係止部材94のフック95はアダプタADに向かって引きつけられる。これにより、フェルールFL1,FL2相互の接合面に接触圧が発生し(先端が押し付け合い)、それらの端面が微小に潰れて光ファイバF1と光ファイバF2とを安定した接続状態に維持することができる。なお、光プラグPG1と光プラグPG2との挿入順は、上記と逆でも勿論良い。光プラグPG1,PG2をアダプタADから外すときは、適当な治具(図示せず)により可動係止部材94のフック95を広げ、光プラグPG1,PG2を引き抜く。
【0075】
図10より明らかなように、光の進行方向に関して下流側に位置する光ファイバF2のコアCR2の直径d20は、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバF1のコアCR1の直径d10よりも幾分大きい(d20>d10)。すなわち、光が入る光ファイバF2のコアCR2の端面は、光を出す光ファイバF1のコアCR1の端面より大きい。すなわち、光ファイバF1のコアCR1の射出端面は、光ファイバF2のコアCR2の入射端面の一部に当接(圧接)している。ただし、両光ファイバF2,F1のクラッドCL2,CL1の直径d2,d1は互いに等しい(d2=d1)。さらに、光ファイバF2,F1のそれぞれを固定するフェルールFL2,FL1を、整列用スリープSLを用いて固定することにより、光ファイバF2,F1の中心軸がほぼ同軸上に位置決めされている。これらにより、光ファイバF1から光ファイバF2へ、光は、外部に漏れることなく送られる。
【0076】
なお、フェルールFL1,FL2と光ファイバF1,F2との偏心、整列用スリープSLの歪み等により、光ファイバF1,F2の中心軸の位置決め誤差Δdが生じ得る。そこで、少なくとも位置決め誤差Δdの分、光ファイバF2のコアCR2の直径d20を光ファイバF1のコアCR1の直径d10より大きく設計することとする(d20≧d10+Δd)。
【0077】
上述の光コネクタOPを用いて、パネルP1,P2(図8参照)にて光ファイバを接続する。ただし、図8の例において、照明系64aからYヘッド64へ計測ビームを送る光ファイバ820,830,840のコアの直径(順にd820,d830,d840と表す)は、d820<d830<d840と設計する。一方、Yヘッド64から受光系64cへ4つの出力ビームを送る受光用ファイバ841〜834,831〜834,821〜824のコアの直径(順にd84,d83,d82と表す)は、d84<d83<d82と設計する。
【0078】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図4及び図6に示されるように、照射系90a及び受光系90bから成る多点焦点位置検出系(以下、「多点AF系」と略述する)が設けられている。多点AF系としては、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式を採用している。本実施形態では、一例として、ヘッドユニット62Eの−X端部の+Y側に照射系90aが配置され、これに対峙する状態で、ヘッドユニット62Fの+X端部の+Y側に受光系90bが配置されている。なお、多点AF系(90a,90b)は、投影ユニットPUを保持するメインフレームの下面に固定されている。
【0079】
図4及び図6では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点が、個別に図示されず、照射系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域(ビーム領域)AFとして示されている。検出領域AFは、X軸方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY軸方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ軸方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。
【0080】
図6に示されるように、多点AF系(90a,90b)の検出領域AFの両端部近傍に、基準軸LVに関して対称な配置で、面位置計測システム180の一部を構成する各一対のZ位置計測用のヘッド(以下、「Zヘッド」と略述する)72a,72b、及び72c,72dが設けられている。これらのZヘッド72a〜72dは、不図示のメインフレームの下面に固定されている。
【0081】
さらに、前述のヘッドユニット62A,62Cは、図6に示されるように、それぞれが備える5つのYヘッド65j,64i(i,j=1〜5)と同じX位置に、ただしY位置をずらして、それぞれ5つのZヘッド76j,74i(i,j=1〜5)を備えている。そして、ヘッドユニット62A,62Cのそれぞれに属する5つのZヘッド76j,74iは、互いに基準軸LVに関して対称に配置されている。
【0082】
上述したZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765は、図15に示されるように、信号処理・選択装置170を介して主制御装置20に接続されており、主制御装置20は、信号処理・選択装置170を介してZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765の中から任意のZヘッドを選択して作動状態とし、その作動状態としたZヘッドで検出した面位置情報を信号処理・選択装置170を介して受け取る。本実施形態では、Zヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765と、信号処理・選択装置170とを含んでウエハステージWSTのZ軸方向及びXY平面に対する傾斜方向の位置情報を計測する面位置計測システム180が構成されている。
【0083】
次に、Zヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765の構成等について、図13に示されるZヘッド72aを代表的に採り上げて、さらに詳述する。図13では、Zヘッド72aからYスケール39Y2に検出光(計測ビーム)LBZが照射されている。
【0084】
図13に示されるように、Zヘッド72aは、フォーカスセンサFS、フォーカスセンサFSを収納したセンサ本体ZH、及びセンサ本体ZHをZ軸方向に駆動する駆動部DP(図13では不図示、図14参照)、並びにセンサ本体ZHのZ軸方向の変位を計測する計測部ZE等を備えている。Zヘッド72aの詳細な構成等は、例えば米国特許出願公開第2009/0051895号明細書などに開示されている。
【0085】
フォーカスセンサFSとして、計測ビームLBZを計測面(Yスケール39Y2)に投射し、その反射ビームを受光することにより、計測面の変位を光学的に読み取るピックアップ方式のフォーカスセンサが用いられている。
【0086】
フォーカスセンサFS(Zヘッド72a)には、図13に示されるように、光ファイバ845の一端が接続されている。光ファイバ845は送光用ファイバであり、本実施形態では、送光用光ファイバケーブル805(図8参照)の射出側の端部を構成する。送光用光ファイバケーブル805の他端(入射端)は、図8に示されるように、例えば半導体レーザ等の光源を含む照明系64dに光学的に接続されている。ここで、照明系64dは、前述のエンコーダヘッド(Yヘッド64)に対応する照明系64a等とともに、ヘッドユニット62A〜62Fを吊り下げ支持するメインフレーム(不図示)又はこれとは別の固定の支持部材上に設置されている。
【0087】
送光用光ファイバケーブル805は、図8に示されるように、Zヘッド72aに一端(射出端)が接続された光ファイバ845と、照明系64dにその入射端が接続された光ファイバ825と、光ファイバ845と光ファイバ825とを接続する中継用の光ファイバ835とを有している。光ファイバ835は、一端が光ファイバ845の入射端に接続され、他端が光ファイバ825の射出端に接続されている。光ファイバ845と光ファイバ835とは、パネルP1にその一部が設けられた前述した光コネクタ(図9〜図12参照)を用いて接続されている。また、光ファイバ835と光ファイバ825とは、パネルP2にその一部が設けられた光コネクタを介して接続されている。
【0088】
この場合、照明系64dから供給される計測ビームは、光ファイバ825,835,845を順次通って、Zヘッド72aに送られる。従って、前述と同様に、光ファイバの接続部からの光の外部への漏れを防止するため、照明系64dからZヘッド72aへ計測ビームを送る送光用ファイバ825,835,845のコアの直径(順にd825,d835,d845と表す)は、d825<d835<d845と設計されている。
【0089】
フォーカスセンサFSの出力は、第1演算回路CC1(図13では不図示、図14参照)に送られ、該第1演算回路CC1で後述するようにして算出されるフォーカスエラーI(出力信号)が駆動部DPに送られる。ここで、フォーカスセンサFSとしては、例えば上述の米国特許出願公開第2009/0051895号明細書などに開示されているように、計測面からの反射ビームを受光系の一部を構成する4分割受光素子で受光するセンサが用いられている。四分割受光素子の検出面は、例えば全体として正方形で、その2本の対角線を分離線として、4つの検出領域(a,b,c,dとする)に等分割されているものとする。この場合、理想フォーカス状態(ピントの合った状態、デフォーカス量ΔL=0)では、反射ビームの検出面上での断面形状は、4分割受光素子の検出面の中心を中心とする円形となり、いわゆる後ピン状態(ΔL<0)では、反射ビームの検出面上での断面形状は、同心の横長の長円形となり、いわゆる前ピン状態(ΔL>0)では、反射ビームの検出面上での断面形状は、同心の縦長の長円形となる。
【0090】
フォーカスセンサFSの検出部(四分割受光素子)に接続された第1演算回路CC1(図14参照)では、4つの検出領域a,b,c,dで受光する光の強度(それぞれIa,Ib,Ic,Idと表記する)から、次式(1)によって定義されるフォーカスエラーIを算出し、駆動部(図14参照)DPに出力する。
【0091】
I=(Ia+Ic)−(Ib+Id) …(1)
従って、横軸をデフォーカス量ΔL、縦軸にフォーカスエラーIとする直交座標系上にフォーカスエラーI(出力信号)の変化を描画するといわゆるSカーブ信号が得られることになる。
【0092】
駆動部DPは、アクチュエータ、例えばボイスコイルモータを含み、ボイスコイルモータの可動子及び固定子の一方は、センサ本体ZHに、他方はセンサ本体ZH及び計測部ZE等を収容する不図示の筐体の一部に、それぞれ固定されている。駆動部DPは、第1演算回路CC1からの出力信号に従って、センサ本体ZHと計測面との距離を一定に保つように(より正確には、計測面をフォーカスセンサFSの受光光学系のベストフォーカス位置に保つように)、センサ本体ZHをZ軸方向に駆動する。これにより、センサ本体ZHは計測面のZ軸方向の変位に追従し、フォーカスロック状態が保たれる。
【0093】
フォーカスロック状態において、センサ本体ZHのZ位置が計測部ZEによって計測され、Zヘッド72aの計測値(計測結果)Zaとして出力される。
【0094】
計測部ZEとしては、一例として、前述のエンコーダ70A〜70Fと同様の回折干渉方式のエンコーダが用いられている。計測部ZEは、センサ本体ZHの上面に固定されたZ軸方向に延びる支持部材SMの側面に設けられたZ軸方向を周期方向とする反射型の回折格子EGと、回折格子EGに対向して不図示の筐体に取付けられたエンコーダヘッドEHとを含む。エンコーダヘッドEHは、計測ビームELを回折格子EGに投射し、回折格子EGからの反射・回折光を受光して計測ビームELの投射点の変位を読み取ることで、センサ本体ZHのZ軸方向の変位、すなわち計測面のZ軸方向の変位を計測する。このエンコーダヘッドEHの計測値が、Zヘッド72aの計測値Zaとして前述の信号処理・選択装置170を介して主制御装置20に供給される。
【0095】
なお、計測部ZE内のエンコーダに対しても、前述のYヘッド64と同様に、送光用ファイバを介して照明系から計測ビームを計測部ZEに送光し、受光用ファイバを介して計測部ZEからの出力ビームを受光系に送光することができる。
【0096】
その他のZヘッド72b〜72d,741〜745,761〜765も、上述のZヘッド72aと同様に構成され機能する。
【0097】
図15には、露光装置100の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。
【0098】
次に、本実施形態における相対変位ΔYの算出方法について、その原理を含め説明する。簡単のため、計測ビームLB1,LB2の強度は互いに等しいとする。エンコーダの出力I1,I2,I3,I4は、次のように表される。
【0099】
I1=A(1+cos(φ)) …(2a)
I2=A(1+cos(φ+π/2)) …(2b)
I3=A(1+cos(φ+π)) …(2c)
I4=A(1+cos(φ+3π/2)) …(2d)
ここで、φは、計測ビームLB1,LB2(それらに由来する合成ビームLB3のS,P偏光成分)の間の位相差である。
【0100】
まず、主制御装置20は、Yエンコーダ70Cの出力I1,I2,I3,I4を用いて、次式(3a)、(3b)で表される差I13,I42を求める。
【0101】
I13=I1−I3=2Acos(φ) …(3a)
I42=I4−I2=2Asin(φ) …(3b)
【0102】
図16(A)及び図16(B)には、横軸に関して原点Oからの距離が差I13、縦軸に関して原点Oからの距離が差I42、となる点ρ(I13,I42)の軌道が示されている。ここで、点ρ(I13,I42)はベクトルρを用いて表され、点ρ(I13,I42)の位相がφと表記されている。ベクトルρの長さ、すなわち点ρ(I13,I42)の原点Oからの距離は2Aである。
【0103】
点ρ(I13,I42)の動きを考える。理想状態では、合成ビームLB3の強度は常に一定である。従って、出力I1,I2,I3,I4,IRの振幅Aも常に一定である。そのため、点ρ(I13,I42)は、出力I1,I2,I3,I4の変化とともに、原点からの距離(半径)が2Aの円周上を移動する。
【0104】
また、干渉ビーム(出力ビーム)LB31〜LB34の強度I1,I2,I3,I4は、Yスケール39Y2(すなわちウエハステージWST)が計測方向(回折格子の周期方向、すなわちY軸方向)に変位することにより、それぞれ式(2a),(2b),(2c),(2d)のように、正弦的に変化する。従って、位相差φは、図16(A)における点ρ(I13,I42)の位相φと等価である。位相差φは、相対変位ΔYに対し、次のように変化する。
【0105】
φ(ΔY)=2πΔY/(p/4n)+φ0 …(4)
ここで、pはスケール39Y2が有する回折格子のピッチ、nは回折次数(例えばn=1)、φ0は境界条件(例えば変位ΔYの基準位置の定義など)より定まる定位相項である。
【0106】
式(4)より、位相φは、計測ビームLB1,LB2の波長λに依存しないことがわかる。また、位相φは、変位ΔYが計測単位(計測ピッチとも呼ぶ)p/4n増加(減少)すると2π増加(減少)することがわかる。従って、干渉光LB4の強度I及び出力I1,I2,I3,I4は、変位ΔYが計測単位増加又は減少する毎に、振動することがわかる。
【0107】
式(4)によって表わされる位相φと変位ΔYとの関係及び式(2a)〜(2d)によって表される出力I1〜I4と位相φとの関係(すなわち差I13,I42と変位ΔYとの関係)より、変位ΔYの増加に応じて、点ρ(I13,I42)は、半径2Aの円周上を、例えば図16(B)に示されるように点aから点bへと、左回りに回転する。逆に、変位ΔYの減少に応じて、点ρ(I13,I42)は、上記円周上を右回りに回転する。そして、点ρ(I13,I42)は、変位ΔYが計測単位増加(減少)する毎に、円周上を一周する。
【0108】
そこで、主制御装置20は、予め定められた基準位相(例えば定位相φ0)を基準にして、点ρ(I13,I42)の周回数を数える。この周回数は、干渉光LB4の強度Iの振動回数に等しい。その計数値(カウント値)をcΔYと表記する。さらに、主制御装置20は、点ρ(I13,I42)の基準位相に対する位相の変位φ’=φ−φ0を求める。これらのカウント値cΔYと位相変位φ’から、変位ΔYの計測値CΔYが、次のように求められる。
【0109】
CΔY=(p/4n)×(cΔY+φ’/2π) …(5)
ここで、定位相φ0を位相オフセット(ただし、0≦φ0<2πと定義する)とし、変位ΔYの基準位置での位相φ(ΔY=0)を保持することとする。
【0110】
ヘッドユニット62C内のその他のヘッド、ヘッドユニット62A,62B,62D,62E,62Fがそれぞれ備えるヘッド65,66,67,68も、ヘッド64(エンコーダ70C)と同様に構成されている。
【0111】
また、本実施形態では、前述のようなエンコーダヘッドの配置を採用したことにより、常時、Xスケール39X1又は39X2に少なくとも1つのXヘッド66が、Yスケール39Y1に少なくとも1つのYヘッド65(又は68)が、Yスケール39Y2に少なくとも1つのYヘッド64(又は67)が、それぞれ対向する。スケールに対向しているエンコーダヘッドからは、上述の干渉ビーム(出力ビーム)LB31〜LB34の強度I1,I2,I3,I4の測定結果が、主制御装置20に供給される。主制御装置20は、供給された測定結果I1,I2,I3,I4から、それぞれのヘッドの計測方向についてのウエハステージWSTの変位(より正確には計測ビームが投射されるスケールの変位)を求める。求められた結果は、上述のエンコーダ70A、70C及び70B又は70D(又はエンコーダ70E1,70F1及び70B又は70D)の計測値として扱われる。
【0112】
主制御装置20は、エンコーダ70A〜70Dのうちの3つ、又はエンコーダ70E1,70F1,70B及び70Dのうちの3つの計測値に基づいて、例えば米国特許出願公開第2009/0027640号明細書などに開示されるようにして、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出し、この算出結果に基づいて、ウエハステージWSTを駆動(位置制御)する。
【0113】
また、主制御装置20は、リニアエンコーダ70E2,70F2の計測値に基づいて、FDバー46(ウエハステージWST)のθz方向の回転を制御する。
【0114】
また、主制御装置20は、前述の面位置計測システム180(図15参照)を用いて、ウエハステージWSTの有効ストローク領域、すなわち露光及びアライメント計測のためにウエハステージWSTが移動する領域において、その2自由度方向(Z,θy)の位置座標を計測する。かかる位置座標の計測(演算を含む)の詳細については、以下の露光時、及びフォーカスキャリブレーション、フォーカスマッピング時を含み、例えば前述の米国特許出願公開第2009/0051895号明細書などに開示されている。
【0115】
主制御装置20は、露光時には、少なくとも各1つのZヘッド74i,76j(i,jは1〜5のいずれか)の計測値に従って、テーブル面上の基準点(テーブル面と光軸AXとの交点)における、ウエハステージWSTの高さZ0とローリングθyを算出する。
【0116】
主制御装置20は、フォーカスキャリブレーションとフォーカスマッピング時には、4つのZヘッド72a〜72dの計測値(それぞれZa,Zb,Zc,Zdと表記する)を用いて、多点AF系(90a,90b)の複数の検出点の中心におけるウエハテーブルWTBの高さZ0とローリングθyを、算出する。
【0117】
説明は前後するが、ここで、光ファイバの継ぎ部において光の漏れが生じた場合に生じる、エンコーダシステム150(及び面位置計測システム180)の計測誤差の発生(計測精度が低下する)について説明する。
【0118】
一例として、エンコーダヘッドから出力される4つの出力ビームLB31〜LB34(図7参照)のうちの出力ビームLB34が、光ファイバ844,834,824の継ぎ部(パネルP1又はP2)において光漏れが生じ、その強度がI4から次式で表されるI4’に減少した場合を考えてみる。
【0119】
I4’=A’(1+cos(φ+3π/2)) …(2d’)
ただし、振幅A’<Aである。この場合、差I42’は、次のように求まる。
【0120】
I42’=I4’−I2=(A+A’)sin(φ)+(A’−A) …(3b’)
【0121】
図16(C)には、横軸に関して原点Oからの距離が差I13、縦軸に関して原点Oからの距離が差I42’、となる点ρ’(I13,I42’)の軌道が実線を用いて示されている。また、理想状態(光漏れのない状態)における点ρ(I13,I42)の軌道が破線を用いて示されている。図16(C)より明らかなように、点ρ’(I13,I42’)の軌道が点ρ(I13,I42)の軌道からずれ、例えば点cから点c’にずれることにより、位相誤差Δφが発生する。従って、式(4)を通じて位相誤差Δφに対応する変位ΔYの計測誤差が発生することがわかる。このように、特に、エンコーダ(Xヘッド、Yヘッド(、及びZヘッド内の計測部))から受光系(検出器)へ送られる出力ビームの漏れは深刻な計測精度の低下をもたらす。
【0122】
また、照明系からエンコーダ(Xヘッド、Yヘッド)又はZヘッドへ送られる計測ビームの漏れは、それぞれ、出力ビームの強度I1〜I4の低下(式(2a)〜式(2d)内の定数Aの減少及び図16(A)における点ρの軌道半径2Aの減少)、又は式(1)で表されるフォーカスエラーIの低下(Sカーブ信号の振幅の減少)をもたらす。これらにより、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180の計測精度が低下し得る。
【0123】
本実施形態の露光装置100では、主制御装置20は、エンコーダシステム150を用いてウエハステージWSTの(X,Y,θz)位置を計測し、その結果に従ってウエハステージWSTを駆動制御する。また、主制御装置20は、面位置計測システム180を用いてウエハステージWSTの(Z、θy)位置を計測し、その結果に従ってウエハステージWSTをフォーカスレベリング制御する。主制御装置20は、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書の実施形態中に開示されている手順と同様の手順に従って、ウエハステージWSTを用いた通常のシーケンスの処理を実行する。
【0124】
なお、シーケンスの処理の詳細は省略するが、所定の準備作業の後、エンコーダシステム150及びZヘッド72a〜72dを用いてウエハステージWSTの6自由度方向の位置を計測しつつ、アライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、ウエハW上の複数のサンプルショット領域のアライメントマークを検出するアライメント計測が実行され、これと並行して多点AF系(90a、90b)を用いてフォーカスマッピング(Zヘッド72a〜72dの計測値を基準とする、ウエハWの面位置(Z位置)情報の計測)が行われる。
【0125】
そして、アライメント計測及びフォーカスマッピングが終了すると、アライメント計測の結果求められるウエハ上の各ショット領域の位置情報と、最新のアライメント系のベースラインとに基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の複数のショット領域が露光され、レチクルのパターンが転写される。露光動作中、フォーカスマッピングにより得られた情報に基づいて、ウエハWのフォーカスレベリング制御が行われる。なお、露光中のウエハのZ、θyは、Zヘッド74,76の計測値に基づいて制御されるが、θxは、Y干渉計16の計測値に基づいて制御される。
【0126】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100では、エンコーダシステム150の受光系(検出器)64cとエンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)とは、互いに対向する端面同士が当接した状態で接続された複数本の光ファイバからそれぞれ構成される光ファイバケーブル801〜804を介して接続されている。また、光ファイバケーブル801〜804のそれぞれを構成する互いに接続された光ファイバ同士の接続面では、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面の全面は、下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面の一部と当接している。従って、光ファイバケーブル801〜804を構成する互いに接続された2つの光ファイバでは上流側に位置する光ファイバから射出される光の全てが下流側に位置する光ファイバ内に入射し、接続面において外部への光の漏れが生じない(接続損失が発生しない)。この結果、光ファイバケーブル801〜804により光を外部に漏らすことなくエンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)から受光系(検出器)64cへ送ることができ、結果的にエンコーダシステム150によるウエハステージWSTの位置の高精度な計測を実現することが可能となる。
また、エンコーダシステム150では、照明系(光源)64aから光ファイバケーブル800を介してエンコーダヘッド(Xヘッド、Yヘッド)に接続損失なく光を送ることができ、この点においてもエンコーダシステム150によるウエハステージWSTの位置の高精度な計測を実現している。
【0127】
また、本実施形態では、面位置計測システム180においても、照明系(光源)64aから光ファイバケーブル805を介してZヘッドに外部に漏らすことなく(接続損失なく)光を送ることができるので、高精度なウエハテーブルWTBの位置計測が可能となる
。
【0128】
また、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置20が、エンコーダシステム150、及び面位置計測システム180の計測値に基づいて、ウエハアライメント時、フォーカスマッピング時及び露光時に、ウエハテーブルWTB(及びウエハステージWST)を高精度な駆動を行うことができる。従って、高精度なウエハW上へのレチクルRのパターンの転写が可能になる。
【0129】
なお、上述した光コネクタは、一例であって、本発明がこれに限られないことは勿論である。例えば、可動係止部材94の連結部材97を中心から半分以上の長さにして、可動係止部材94同士を対向して90度回転させて組み合わせることも可能である。あるいは、次の変形例のようにしても良い。
【0130】
《変形例》
図17には、変形例に係る光コネクタの図10に対応する部分、すなわち整列スリーブSL内部の部分が一部断面して示されている。この図17の変形例では、光ガイドLGを介して2つの光ファイバF1,F2が接続されている。ここで、光ガイドLGは、光ファイバF1のコアの径d10よりも幾分大きい径(d01>d10)を有する受光面と光ファイバF2のコアの径d20よりも幾分小さい径(d02<d20)を有する射光面とを有する透光部材である。光ガイドLGは、一例として、長さの非常に短い光ファイバ(コアのみを有する)の一種であるとも言える。この場合、光は、光ファイバF1から光ガイドLGを介して光ファイバF2(図中の黒塗り矢印の方向)へ、送られるとする。なお、光ガイドとして、例えばコアの直径d01の光ファイバとコアの直径d02(d02<d01)の光ファイバとを接続する際に光通信の分野などで用いられるコア拡大ファイバ(TECファイバ)を、本来の使用法とは逆向きで用いても良い。
【0131】
光ガイドLGは、例えばフェルールFL1,FL2と同様にジルコニアセラミックスから構成される固定部材FL0により固定されている。固定部材FL0の外径は、フェルールFL1,FL2の外径に等しい。また、光ガイドLGの端面は、固定部材FL0の端面と一体的に研磨され、一定の曲率を有する凸形状に鏡面加工されている。
【0132】
予めアダプタADの貫通孔(整列用スリープSL)の中央に光ガイドLGが挿入され、その上で、前述と同様の手順により、光プラグPG1、PG2をアダプタADに対して挿入することにより、光ガイドLGと光ファイバF1,F2とが同軸上に位置決めされる。また、両光プラグPG1,PG2の係止溝92に、2つのフック95がそれぞれ嵌合し、圧縮コイルばね98の作用により差し違い状態にある2つの可動係止部材94のフック95はアダプタADに向かって引きつけられ、アダプタADを介して、プラグPG1,PG2が固定される。ここで、圧縮コイルばね98によりフェルールFL1の先端が光ガイドLGの受光面に押し付けられ、それらの端面が微小に潰れて光ファイバF1の先端面と光ガイドLGの受光面とが接触する。同様に、圧縮コイルばね98によりフェルールFL2の先端が光ガイドLGの射光面に押し付けられ、それらの端面が微小に潰れて光ファイバF2の先端面と光ガイドLGの射光面とが接触する。これにより、光ガイドLGを介して、光ファイバF1,F2が光学的に接続され、光ファイバF1から光ファイバF2へ、光は、漏れることなく送られる。
【0133】
なお、フェルールFL1,FL2と光ファイバF1,F2との偏心、固定部材FL0と光ガイドLGとの偏心、整列用スリープSLの歪み等により、光ファイバF1,F2の中心軸の位置決め誤差Δdが生じ得る。そこで、少なくとも位置決め誤差Δdの分、光ガイドLGの受光面の径d01を光ファイバF1のコアの径d10より大きく(d01≧d10+Δd)、光ガイドLGの射光面の径d02を光ファイバF2のコアの径d20より小さく(d02≦d20−Δd)設計することとする。
【0134】
この変形例の光ファイバの接続方法を用いて複数の光ファイバを接続した光ファイバケーブルを、前述の光ファイバケーブル800〜805のいずれかに代えて用いても、前述した実施形態と同様にファイバの接続部(継ぎ部)において光の漏れが生じることがなく、エンコーダシステム及び/又は面位置計測システムの高い計測精度を実現できる他、互いに接続される光ファイバF1,F2のコアの径d10,d20を統一することができる(d10=d20)。
【0135】
なお、干渉計システム118及びレチクル干渉計116についても、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180と同様に、移動鏡に測長ビームを照射して反射ビームを受光するヘッド部と、計測ビームを発生する照明系及び反射ビームを検出する受光系とを離間して設置し、上記実施形態と同様の光ファイバケーブルを用いて照明系からヘッド部へ計測ビームを送光し、ヘッド部から受光系へ反射ビームを送光するように構成することも可能である。
【0136】
また、上記実施形態で説明したエンコーダシステムなどの各計測装置の構成は一例に過ぎず、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えば、上記実施形態では、ウエハテーブル(ウエハステージ)上に格子部(Yスケール、Xスケール)を設け、これに対向してXヘッド、Yヘッドをウエハステージの外部に配置する構成のエンコーダシステムを採用した場合について例示したが、これに限らず、例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハステージにエンコーダヘッドを設け、これに対向してウエハステージの外部に格子部(例えば2次元格子又は2次元に配置された1次元の格子部)を配置する構成のエンコーダシステムを採用しても良い。この場合も、上記実施形態と同様の光ファイバケーブルにより、光源及び検出器の少なくとも一方とヘッドとを、接続することができ、同様の効果が得られる。この場合において、Zヘッドもウエハステージに設け、その格子部の面を、Zヘッドの計測ビームが照射される反射面としても良い。
【0137】
また、上記実施形態では、例えばヘッドユニット62A,62Cの内部にエンコーダヘッドとZヘッドとが、別々に設けられている場合について説明したが、エンコーダヘッドとZヘッドとの機能を備えた単一のヘッドを、エンコーダヘッドとZヘッドの組に代えて用いても良い。
【0138】
また、上述の実施形態では、本発明が、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば欧州特許出願公開第1420298号明細書、国際公開第2004/055803号、米国特許第6,952,253号明細書などに開示されているように、投影光学系とウエハとの間に照明光の光路を含む液浸空間を形成し、投影光学系及び液浸空間の液体を介して照明光でウエハを露光する露光装置にも本発明を適用することができる。また、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示される、液浸露光装置などにも、本発明を適用することができる。
【0139】
また、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置を上記実施形態と同様に、エンコーダを用いて計測することができるので、同様の効果を得ることができる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、又はミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明は適用することができる。さらに、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを備えたマルチステージ型の露光装置にも本発明を適用できる。また、例えば米国特許第7,589,822号明細書などに開示されているように、ウエハステージとは別に、計測部材(例えば、基準マーク、及び/又はセンサなど)を含む計測ステージを備える露光装置にも本発明は適用が可能である。
【0140】
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。また、前述の照明領域及び露光領域はその形状が矩形であるものとしたが、これに限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
【0141】
なお、上記実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、例えば米国特許7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0142】
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられるので、かかる装置にも本発明を好適に適用することができる。この他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
【0143】
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
【0144】
また、例えば干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0145】
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
【0146】
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
【0147】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0148】
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の移動体装置は、所定平面内で移動体を駆動するのに適している。また、本発明の露光装置は、物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、電子デバイスを製造するのに適している。
【符号の説明】
【0150】
10…照明系、20…主制御装置、39X1,39X2…Xスケール、39Y1,39Y2…Yスケール、50…ステージ装置、62A〜62F…ヘッドユニット、64,65…Yヘッド、66…Xヘッド、67,68…Yヘッド、70A,70C…Yエンコーダ、70B,70D…Xエンコーダ、72a〜72d,74,76…Zヘッド、800〜805…光ファイバケーブル、820〜825,830〜835,840〜845…光ファイバ、100…露光装置、118…干渉計システム、124…ステージ駆動系、150…エンコーダシステム、180…面位置計測システム、LG…光ガイド、PL…投影光学系、PU…投影ユニット,RST…レチクルステージ、R…レチクル、W…ウエハ、WST…ウエハステージ、WTB…ウエハテーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定平面内を移動する移動体を含む移動体装置であって、
前記移動体と該移動体の外部との一方に設けられた光源、ヘッド及び検出器を有し、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に前記光源からの光を前記ヘッドから計測光として照射し、前記計測面からの光を前記ヘッドを介して前記検出器で受光し、受光結果に基づいて前記移動体の位置を計測する位置計測系と;
前記位置計測系の計測情報に基づいて前記移動体を駆動する駆動系と;を備え、
前記光源及び前記検出器の少なくとも一方と前記ヘッドとは、互いに対向する端面同士が当接した状態で接続された複数本の光ファイバから成る光ファイバケーブルを介して接続され、前記光ファイバケーブルを構成する互いに接続された光ファイバ同士の接続面では、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面の全面は、下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面の一部と当接している移動体装置。
【請求項2】
前記互いに接続された光ファイバ同士は、接続部材により接続され、
前記下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面は、前記上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面より少なくとも前記接続部材による軸合わせずれの分大きい請求項1に記載の移動体装置。
【請求項3】
前記光ファイバケーブルを構成する複数の光ファイバのそれぞれは一様断面のコアを有し、前記上流側に位置する光ファイバから下流側に位置する光ファイバの順にコアの断面の直径が順次大きくなっている請求項1又は2に記載の移動体装置。
【請求項4】
前記光ファイバケーブルを構成する複数の光ファイバのうち、少なくとも1つの光ファイバは、両側に位置する同一直径の一様断面のコアを有する2本の光ファイバ同士を連結するコアの入射端面と射出端面との直径が異なる中継用光ファイバである請求項1又は2に記載の移動体装置。
【請求項5】
前記位置計測系は、その一部を構成する前記ヘッドと前記光源とが、前記光ファイバケーブルを介して接続されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項6】
前記位置計測系は、前記所定平面に垂直な方向を計測方向とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項7】
前記計測面は、前記所定平面内の少なくとも一軸方向を周期方向とするグレーティングを有し、
前記位置計測系は、その一部を構成する前記ヘッドと前記検出器とが、前記光ファイバケーブルを介して互いに接続され、前記周期方向を計測方向とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項8】
前記位置計測系は、その一部を構成する前記ヘッドと前記検出器との間が、複数本の光ファイバケーブルを介して接続されている請求項7に記載の移動体装置。
【請求項9】
エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、
物体が前記移動体に載置される請求項1〜8のいずれか一項に記載の移動体装置と;
前記物体に前記エネルギビームを照射する照射システムと;を備える露光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の露光装置により物体を露光することと;
露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。
【請求項1】
所定平面内を移動する移動体を含む移動体装置であって、
前記移動体と該移動体の外部との一方に設けられた光源、ヘッド及び検出器を有し、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に前記光源からの光を前記ヘッドから計測光として照射し、前記計測面からの光を前記ヘッドを介して前記検出器で受光し、受光結果に基づいて前記移動体の位置を計測する位置計測系と;
前記位置計測系の計測情報に基づいて前記移動体を駆動する駆動系と;を備え、
前記光源及び前記検出器の少なくとも一方と前記ヘッドとは、互いに対向する端面同士が当接した状態で接続された複数本の光ファイバから成る光ファイバケーブルを介して接続され、前記光ファイバケーブルを構成する互いに接続された光ファイバ同士の接続面では、光の進行方向に関して上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面の全面は、下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面の一部と当接している移動体装置。
【請求項2】
前記互いに接続された光ファイバ同士は、接続部材により接続され、
前記下流側に位置する光ファイバのコアの入射端面は、前記上流側に位置する光ファイバのコアの射出端面より少なくとも前記接続部材による軸合わせずれの分大きい請求項1に記載の移動体装置。
【請求項3】
前記光ファイバケーブルを構成する複数の光ファイバのそれぞれは一様断面のコアを有し、前記上流側に位置する光ファイバから下流側に位置する光ファイバの順にコアの断面の直径が順次大きくなっている請求項1又は2に記載の移動体装置。
【請求項4】
前記光ファイバケーブルを構成する複数の光ファイバのうち、少なくとも1つの光ファイバは、両側に位置する同一直径の一様断面のコアを有する2本の光ファイバ同士を連結するコアの入射端面と射出端面との直径が異なる中継用光ファイバである請求項1又は2に記載の移動体装置。
【請求項5】
前記位置計測系は、その一部を構成する前記ヘッドと前記光源とが、前記光ファイバケーブルを介して接続されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項6】
前記位置計測系は、前記所定平面に垂直な方向を計測方向とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項7】
前記計測面は、前記所定平面内の少なくとも一軸方向を周期方向とするグレーティングを有し、
前記位置計測系は、その一部を構成する前記ヘッドと前記検出器とが、前記光ファイバケーブルを介して互いに接続され、前記周期方向を計測方向とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項8】
前記位置計測系は、その一部を構成する前記ヘッドと前記検出器との間が、複数本の光ファイバケーブルを介して接続されている請求項7に記載の移動体装置。
【請求項9】
エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、
物体が前記移動体に載置される請求項1〜8のいずれか一項に記載の移動体装置と;
前記物体に前記エネルギビームを照射する照射システムと;を備える露光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の露光装置により物体を露光することと;
露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図11】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−165919(P2011−165919A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27374(P2010−27374)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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