空気入りタイヤの製造方法及びそれに用いるカラーラインの塗装装置
【課題】 空気入りタイヤの製造方法及びそれに用いるカラーラインの塗装装置に関する。
【解決手段】 生カバーを加硫して空気入りタイヤを成型する加硫工程と、前記加硫済みの空気入りタイヤ1のトレッド面2に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインを形成するカラーライン塗装工程とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
【解決手段】 生カバーを加硫して空気入りタイヤを成型する加硫工程と、前記加硫済みの空気入りタイヤ1のトレッド面2に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインを形成するカラーライン塗装工程とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造方法及びそれに用いるカラーラインの塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤのトレッド面には、有色のカラーラインが設けられる(例えば下記特許文献1参照)。このカラーラインは、例えば1ないし3本設けられ、それぞれタイヤ周方向にほぼ1周のびている。カラーラインは、例えばタイヤが横積み状態で保管されている場合でも、その色、線状などによって、タイヤを容易に識別するのに役立つ。
【0003】
従来、このようなカラーラインは、下記特許文献1に示されるように、ゴム押出機から押し出された帯状かつ未加硫のトレッドゴムに、ローラ状のスタンパーを接触、転動させて有色のゴム糊を付着させることで形成されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−36692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カラーラインが加硫前にトレッドゴムに塗布されると、タイヤ加硫金型の成形面にカラーラインのゴム糊等が付着して該金型を汚損したり、またゴムの特性を悪化させるおそれがある。
【0006】
また、近年では、図11に示されるように、タイヤ成形用ドラムd(又はベルト層等の外側)に、小巾のゴムストリップaをタイヤ周方向に螺旋状に直接巻き重ねることにより所定の断面形状をなす環状のトレッドゴムbを形成するいわゆるストリップワインド方式が種々提案されている。ストリップワインド方式で作られた未加硫のトレッドゴムbは、従来の押出タイプのトレッドゴムに比べると変形しやすい。このため、カラーライン形成用のスタンパーなどを表面に押し付けると、その断面形状が変形し、ひいては加硫後のタイヤのユニフォミティを悪化させるという問題がある。
【0007】
また、ストリップワインド方式のトレッドゴムbは、タイヤの耐久性を確保するために、加硫前の状態においてゴムストリップa、aの界面を密に粘着させておくことが重要である。しかし、カラーラインのゴム糊をストリップワインド方式で作られたトレッドゴムbに塗布すると、該ゴム糊が前記界面に進入し、ゴムストリップa,aの界面の粘着力を低下させ、ひいては加硫後のタイヤの耐久性を悪化させるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、加硫済みの空気入りタイヤのトレッド面に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインを形成することを基本として、ストリップワインド方式で作られた空気入りタイヤにも簡単かつ能率良くカラーラインを形成しうる空気入りタイヤの製造方法及びそれに用いるカラーラインの塗装装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち請求項1記載の発明は、生カバーを加硫して空気入りタイヤを成型する加硫工程と、前記加硫済みの空気入りタイヤのトレッド面に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインを形成するカラーライン塗装工程とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
【0010】
また請求項2記載の発明は、前記塗料は、速乾性塗料である請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0011】
また請求項3記載の発明は、前記生カバーは、小巾のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に巻き重ねたストリップワインド方式で作られたトレッドゴムを具える請求項1又は2記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0012】
また請求項4記載の発明は、前記カラーライン塗装工程は、前記空気入りタイヤのビード部が囲む空隙に、タイヤ軸方向両外側から分割式のリム状体を嵌入して前記空気入りタイヤを支持する段階と、前記トレッド面と前記スプレーガンとを位置合わせして接近させる段階と、前記スプレーガンから塗料を噴霧するとともに前記空気入りタイヤをその回転軸の回りに少なくとも1周回転させる段階と、前記空気入りタイヤを前記リム状体から取り外す段階とを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0013】
また請求項5記載の発明は、前記スプレーガンは、塗料タンクから0.01〜0.1MPaの圧力で前記塗料が圧送されるとともに、0.05〜0.3MPaの吹き付け圧力で前記塗料を噴霧する請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0014】
また請求項6記載の発明は、請求項1乃至5に記載されたカラーライン塗装工程に用いられるカラーラインの塗装装置であって、空気入りタイヤのビード部が囲む空隙に、タイヤ軸方向両外側から嵌入して該空気入りタイヤを支持しうる分割式のリム状体を含むタイヤ支持部、塗料を噴霧しうる少なくとも一つのスプレーガンを含む塗装ユニット、前記スプレーガンを、前記タイヤ支持部で支持された空気入りタイヤの少なくとも軸方向及び半径方向に位置調節可能に移動させて前記空気入りタイヤのトレッド面に接近させるスプレーガン移動具、前記リム状体をタイヤ回転軸の回りに回転させる回転具及び前記回転している空気入りタイヤのトレッド面に向けて前記スプレーガンから塗料を噴霧させる制御装置を含むことを特徴とするカラーラインの塗装装置である。
【0015】
また請求項7記載の発明は、前記リム状体は、前記空気入りタイヤと前記リム状体とが囲むタイヤ内腔に0.1〜0.3MPaの空気を充填するための高圧空気源が接続されるとともに、前記回転具は前記空気入りタイヤを20〜200rpmで回転させる請求項6記載のカラーラインの塗装装置である。
【0016】
また請求項8記載の発明は、前記塗装ユニットは、前記空気入りタイヤのトレッド面に関して、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向で噴霧位置が異なる少なくとも2つのスプレーガンを含む請求項6又は7に記載のカラーラインの塗装装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、加硫済みの空気入りタイヤのトレッド面に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインが形成される。従って、カラーラインの塗料によってタイヤ加硫金型を汚損することが無い。また、例えば生カバーが、ストリップワインド方式で作られた場合でも、タイヤの耐久性やユニフォミティを悪化させることなくカラーラインを形成できる。また、カラーラインは、スプレーガンによって描かれるため、トレッド面に、タイヤ軸方向にのびるトレッド溝があっても途切れることなくタイヤ周方向に連続したカラーラインを形成しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の空気入りタイヤの製造方法で用いられるカラーラインの塗装装置3の全体斜視図、図2はその拡大図、図3はその正面図、図4はその平面略図がそれぞれ示される。
【0019】
本発明の空気入りタイヤの製造方法では、先ず、生カバーを加硫して空気入りタイヤを成型する加硫工程が行われる。生カバーは、特に限定されることなく慣例に従って種々の方法で成型される。図10には生カバー1Rの一例が示される。本実施形態の生カバー1Rは、ストリップワインド方式で作られたトレッドゴムTgを有する。即ち、該トレッドゴムTgは、幅の細いリボン状のゴムストリップaをタイヤ周方向に螺旋状に巻き重ねることによって所定の断面形状に仕上げられている。このようなトレッドゴムTgは、ゴムストリップaを、トロイド状のカーカスhを含む生カバー本体fに直接巻き付けて形成されても良いし、またベルト層gとともにタイヤ成形用ドラムに巻き付けられて成形された後、生カバー本体fと合体させても良い。
【0020】
また、生カバー1Rは、カラーラインの形成に先立ち、図示しないタイヤ加硫金型で加硫成形される。そして本発明では、図1に示されるように、加硫済みの空気入りタイヤ1aのトレッド面2に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインCLを形成するカラーラインの塗装工程を経て空気入りタイヤ1が製造される。
【0021】
前記カラーライン塗装工程は、カラーラインの塗装装置3を用いて行われる。該塗装装置3は、ほぼ垂直にのびる左右の縦フレームFL、FRと、それらの上端を継ぎかつほぼ水平にのびる横フレームFHとを含む門型の主フレームFを有する。
【0022】
また、塗装装置3の一方側には、加硫された空気入りタイヤ1aがその回転軸が垂直となる横倒し状態で該塗装装置3に向かって搬送される上流側コンベヤY1が設けられる。また、塗装装置3の他方側には、該塗装装置3によってカラーラインCLが形成された空気入りタイヤ1を搬送する下流側コンベヤY2が設けられる。各コンベヤY1、Y2は、搬送されるタイヤ1aの外径よりも大きいコンベヤ幅を有する。また、前記塗装装置3の縦フレームFL、FRの間にも前記タイヤ1aが横倒し状態で通過しうる十分な大きさの空間が提供されている。
【0023】
また、前記塗装装置3は、前記空気入りタイヤ1aを支持しうるタイヤ支持部4、スプレーガン18を有する塗装ユニット5(図5に示される)、前記スプレーガンを所定の位置に移動させ得るスプレーガン移動具6、前記タイヤ支持部4を回転させる回転具7及びこれらを全体として制御しうる制御装置8(図7に示される。)を含んで構成される。
【0024】
前記タイヤ支持部4は、上下に距離を隔てて配された一対のリム片9a、9bを含む分割式のリム状体9と、下側のリム片9bを昇降させる昇降具11とを含んで構成される。
【0025】
前記各リム片9a、9bは、空気入りタイヤ1aのビード部が囲む空隙O(ビード底面が囲む円形の空隙)に、タイヤ軸方向の両外側からそれぞれ嵌入し、あたかもリムのように空気入りタイヤ1aを支持することができる。
【0026】
各リム片9a、9bは、円盤状の主部9Aと、その外周縁に連設されて円周方向にのびかつ前記ビード底面が着座しうるシート部9Bとを含む。本実施形態において、前記シート部9Bは、ビード内径が異なる複数種類の空気入りタイヤの前記空隙Oに嵌合しうるよう、外径が異なる3つのシート面SS、SM、SLがタイヤ軸方向に併設されている。各シート面SS、SM、SLは、タイヤ軸方向内側から外側に向かって外径が大きくなるようステップ状に配されている。このようなリム片9a、9bは、異なるビード内径のタイヤにも嵌合させ得るため、装置の汎用性を高め、空気入りタイヤ1の生産性を向上させ得る。
【0027】
また、本実施形態では、各リム片9a、9bに支軸11が固着される。上側のリム片9aに固着された支軸11は上方に向かって、また下側のリム片9bに固着された支軸11は下方に向かってそれぞれのびている。これにより、各リム片9a、9bの主部9A、9Aの間には、空気入りタイヤ1aが通過可能な十分な空所が提供される。
【0028】
また、本実施形態において、前記昇降具11は、固定台12と、該固定台12に載置されたアクチュエータ13と、このアクチュエータ13によって昇降動させられる移動枠14とを含んで構成される。
【0029】
前記固定台12は、例えば塗装装置3の基台3Bに固定される。また、固定台12の上には、前記アクチュエータ13が固定されている。該アクチュエータ13は、例えば電動機13aと、この電動機13aの回転運動を直線運動に変換する運動方向変換用のギアボックス13bと、該ギアボックス13bから昇降動可能に突設された昇降ロッド13cとを含んで構成される。
【0030】
前記移動枠14は、前記縦フレームFL、FR間を跨りかつ縦フレームFL、FRに直線ガイド部Rを介して上下移動可能に配された枠本体14aと、この枠本体14aの上端部に設けられかつ水平方向に張り出した受片14bとを含む。該受片14bは、前記アクチュエータ13の昇降ロッド13cの上面が当接可能に設けられている。
【0031】
このように構成された昇降具11は、前記電動機13aを一定の向きに回転させることにより、昇降ロッド13cがギアボックス13bから上向きに突出し、前記受片14bを押すことで移動枠14、ひいては下側のリム片9bを上昇させ得る。また、前記電動機13aを逆向きに回転させることにより、前記昇降ロッド13cを縮め得る。これにより、移動枠14は自重によって昇降ロッド13cとともに下降できる。
【0032】
上側のリム片9aの支軸11は、本実施形態では、横フレームFHの側面に固着された軸受部17に回動自在に軸支されている。また、上側のリム片9aの支軸11は、下側のリム片9bの支軸11と同一軸線上に配されている。つまり、上、下の支軸11は、互いの軸中心線が一致するように配置される。
【0033】
また、本実施形態のリム状体9には、前記空気入りタイヤ1aに空気を充填するための高圧空気源P1が接続される。上、下のリム片9a、9bを空気入りタイヤの前記空隙Oに嵌合させると、該空気入りタイヤ1aとリム状体9とが囲むタイヤ内腔が形成される。本実施形態では、下側のリム片9bに空気バルブVが取り付けられている。従って、該空気バルブVを入り切りすることにより、タイヤ内腔に高圧空気源P1からの空気を調圧して供給できる。
【0034】
ここで、空気入りタイヤ1aのトレッド面2にスプレーガン18を用いて塗料を吹き付ける場合、前記タイヤ内腔の圧力を大気圧よりも大とすること、より好ましくは0.1〜0.3MPaに調節することが望ましい。これによって、タイヤの各部を均一かつ適度に膨張させ、トレッド面2の部分的な凹みなどを減じて見映えの良いカラーラインCLの形成が可能となる。前記タイヤ内腔の圧力が0.1MPa未満の場合、トレッド部を含めタイヤの各部が十分に膨張しない傾向があり、逆に0.3MPaを超える場合、タイヤの膨張に伴ってトレッド面2の表面歪が大きくなる。このため、カラーラインCLの形成後にタイヤ内腔の空気を減じると、表面歪の回復によってカラーラインCLの塗膜に割れ等が生じやすくなる。
【0035】
前記塗装ユニット5は、図5に示されるように、塗料を噴霧しうる少なくとも一つのスプレーガン18と、該スプレーガン18に塗料を送給しうる塗料タンクTと、前記スプレーガン18に高圧空気を送給しうる高圧空気源P2とを含んで構成される。
【0036】
本実施形態では、スプレーガン18として、第1のスプレーガン18Lと、第2のスプレーガン18Rとが含まれる。図5には、一つのスプレーガンを示すが、他のものも同一の構成を具えている。また、第1、第2のスプレーガン18L、18Rは、図4に示されるように、空気入りタイヤ1aのトレッド面2に関して、タイヤ周方向の異なる位置、実質的にほぼ180゜を隔てた反対位置にそれぞれ配されている。これにより、複数個のスプレーガンの配設及び移動スペースが十分に確保される。
【0037】
各スプレーガン18は、図5に示されるように、切欠き部19の一方側に設けられたガン本体部20と、その他方側に設けられた被動部21とを一体に具えて構成され、本実施形態のスプレーガン18は、制御装置8によって塗料の噴霧及び停止が制御される自動スプレーガンが示される。
【0038】
前記ガン本体部20は、略角筒状の基筒部20aと、この基筒部20aの前部に螺着されたノズル口20boを有する塗料ノズル20bと、この塗料ノズル20bを覆うように前記基筒部20aの前部に螺着された空気キャップ20cとを含む。
【0039】
前記基筒部20aには、その中央部をのび前記塗料ノズル20bのノズル口20boに連通する塗料流路20a1と、該塗料流路20a1の後端側に連通しかつ内径が減じられたガイド穴20a2とが形成されている。前記塗料流路20a1には、塗料タンクTからの塗料が、塗料供給口20a4を介して圧送される。本実施形態の塗料タンクT内は、高圧空気源P2からの空気が調圧されて負荷される圧送式タンクが示される。そして、塗料タンクTの圧送圧力は、好ましくは、0.01〜0.1MPaの比較的低い圧力に調節される。
【0040】
ここで、塗料タンクの塗料圧送圧力は、スプレーガン18で塗装するカラーラインCLの太さ(線幅)に影響を与えるもので、前記圧力が0.1MPa未満であると、カラーラインが著しく細くなって識別性が低下しやすく、逆に0.1MPaを超える場合、カラーラインが著しく太くなってタイヤの外観を損ねやすくなる。そして、本実施形態では、塗料の圧送圧力を上述の0.01〜0.1MPaとすることによって、1〜10mmの線幅を有するカラーラインの形成を可能としている。
【0041】
また、前記基筒部20aのガイド穴20a2の後端には、シールリングを介してスリーブ部材20eが固着される。またガイド穴20a2とスリーブ部材20eには、針弁20dが摺動自在に挿入される。該針弁20dは、前記塗料流路20a1を通って塗料ノズル20bにまでのび、その後端部にはピストン部20fが一体に設けられる。そして、針弁20dは、前向きの軸方向移動により前記ノズル口20boを閉止するとともに、後向きの軸方向移動によって、前記ノズル口20boを開き、塗料流路20a1の塗料をノズル口20boから吐出できる。また、前記スリーブ部材20eは、内挿されたOリングにより、針弁20dの摺動に伴う塗料の漏れなどを防ぐのに役立つ。
【0042】
また、基筒部20aには、空気接続口20a3が設けられる。この空気接続口20a3には、高圧空気源P2から、高圧空気が調圧弁V2によって所定の圧力に調節されて供給される。また空気接続口20a3には、基筒部20a内に穿設された空気流路20a5の一端が接続されるとともに、該空気流路20a5の他端は、塗料ノズル20bと空気キャップ20cとの間の微小隙間に連通している。従って、高圧空気源P2からの空気は、空気キャップ20cから大気へと放出され、塗料ノズル20bのノズル口20boから吐出される塗料を霧状として吹き出しうる。
【0043】
ここで、塗料の吹き付け空気圧は、カラーラインCLの鮮明さに影響を与える傾向がある。即ち、塗前記空気圧が著しく小さいと、空気キャップ20cから解放された空気の流速が大幅に低下し、塗料が均一に霧化され難く、塗料粒子にバラツキが生じやすい。また、塗りむらが生じカラーラインCLの鮮明さが失わる傾向がある。逆に前記空気圧が大きすぎる場合、塗料粒子の速度が増すため、トレッド面2で塗料が跳ね返り、周囲に飛散するなど、カラーラインCLの見映えを悪化させる傾向がある。とりわけ、塗料の前記吹き付け空気圧を、0.05〜0.3MPaの適切な低圧とすることによって、塗料を均一に霧化しつつ周囲への跳ね返りを減じ、鮮明なカラーラインCLの形成に特に好ましい。なお前記吹き付け空気の入り切りは、例えば高圧空気源P2と前記空気接続口20a3との間に配された電磁弁SL2のオンオフによって制御できる。
【0044】
前記被動部21は、角筒状の副筒部21aと、その前部に螺着されたスリーブ部材21bと、前記副筒部21aの後端部に螺着されたエンドキャップ21cとを含み、前記スリーブ部材21bとエンドキャップ21cとの間にシリンダ室21dが形成される。そして、このシリンダ室21dには、前記針弁20dに固着されたピストン部20fが前後に摺動可能に配されている。
【0045】
本実施形態において、前記ピストン部20fは、ロックナット21eで固着された円盤状のピストン片20f1と、このピストン片20f1の外周面に設けた環状溝に内挿されることにより前記シリンダ室21dの内周面との間を気密に保持するOリング20f2とを含んで構成されている。またピストン片20f1と前記エンドキャップ部21cとの間には、バネ21gを圧縮して介在させることにより、ピストン部20fは、常時、針弁21dを前向きに付勢しうる。
【0046】
また、前記シリンダ室21dのうち、ピストン部20fとスリーブ部材21bとの空間には、高圧空気源P2からの高圧空気が、空気接続口21h、空気流路21iを介して供給される。高圧空気が空気接続口21hに供給されると、ピストン部20fはバネ21gを圧縮しながらシリンダ室21dを後退移動する。その結果、針弁20dの先端はノズル口20boを開く。他方、前記空気接続口21hへの高圧空気の送給を遮断することにより、ピストン部20fは、バネ21gの復元力で付勢されて前向きに移動し、針弁20dは、前記ノズル口20boを閉止できる。
【0047】
このような、空気接続口21hへの高圧空気の送給の入り切りは、例えば空気接続口21hと高圧空気源P2との間に介在する電磁弁SL1を、予め記憶された処理手順に従い制御装置8がオンオフ動作することで容易に実現できる。その結果、塗料ノズル20bからの塗料の吐出及び停止を自在にかつ正確に制御できる。なおこの電磁弁SL1は、塗料吹き付け用の空気をコンロールする前記電磁弁SL2と連動して制御される。
【0048】
また、カラーラインCLの形成に用いられる前記塗料は、特に限定されるものではないが、塗布することによってタイヤの性能、とりわけゴム劣化が生じない塗料が望ましく、かつ、常温(25±3℃)雰囲気下において早期に乾燥する速乾性塗料が好適である。速乾性塗料としては、例えば常温で指触乾燥(手で塗膜を押さえても手に塗料が着かなくなるまでの時間)が10分以内であるものが特に好ましい。
【0049】
前記塗料としては、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂又はこれらの樹脂の1以上を含む複合樹脂系塗料に、顔料を配合したものが好適である。本実施形態で用いられた塗料の配合例が以下の通りである。
成 分 含有量(%)
アクリル樹脂 8.5
アルキド樹脂 8.4
フッ素樹脂 1.3
顔料 11.5
トルエン 63.8
芳香族溶剤 6.5
【0050】
前記スプレーガン移動具6は、前記スプレーガン18を、前記タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aのトレッド面2に接近させるもので、本実施形態ではスプレーガン18をタイヤ軸方向及びタイヤ半径方向に調節できる。該スプレーガン移動具6は、一方の縦フレームFLに設けられかつ前記第1のスプレーガン18Lを移動させる第1の移動具6Lと、他方の縦フレームFRに設けられかつ前記第2のスプレーガン18を移動させる第2の移動具6Rとを含む。
【0051】
図6には、第1の移動具6Lの拡大斜視図が示される(なお、第2の移動具6Rも実質的に同様の構成を具えている。)。該第1の移動具6Lは、縦フレームFLに固着された幅広の板状体からなるベース24と、該ベース24に直線ガイド部28を介して水平方向に移動可能に取り付けられた水平移動部25と、該水平移動部25に直線ガイド部32を介して上下方向に移動可能に取り付けられた上下移動部26と、該上下移動部26に、アクチュエータ35を介して取り付けられ、前記タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aのタイヤ半径方向に移動可能な半径方向移動部27とを含んで構成され、この半径方向移動部27にスプレーガン18(この例では第1のスプレーガン18L)が取り付けられている。
【0052】
前記直線ガイド部28は、ベース24に固着されかつ水平方向にのびるレール部28aと、前記水平移動部25に固着されかつ前記レール部28aに案内されて移動しうるスライド軸受28bとを含む。また、ベース24には、軸受30、30で支持された水平方向にのびるボールネジ軸29が設けられる。該ボールネジ軸29は、その一端側に接続された減速電動機M1で被動される。さらに、水平移動部25には、前記ボールネジ軸29に螺合するボールナット部31が固着されている。従って、前記減速電動機M1を所定の向きに回動させることにより、水平移動部25はボールネジ軸29に沿って左右に移動できる。この移動量は、例えばボールネジ軸29の回転量などを検知しうるパルスエンコーダなどのセンサーD1によって検知されて制御装置8へ入力される。
【0053】
同様に、前記直線ガイド部32は、水平移動部25に固着されかつ上下方向にのびるレール部32aと、前記上下移動部26に固着されかつ前記レール部32aに案内されて移動しうるスライド軸受32bとを含む。また、水平移動部25には、軸受34、34で支持された上下方向にのびるボールネジ軸33が設けられる。該ボールネジ軸33は、その一端側に接続された減速電動機M2で被動される。さらに、上下移動部26には、前記ボールネジ軸33に螺合するボールナット部35が設けられる。従って、前記減速電動機M2を所定の向きに回動させることにより、上下移動部26はボールネジ軸33に沿って上下に移動できる。この移動量は、例えばボールネジ軸33の回転量などを検知しうるセンサーD2によって検知されて制御装置8へ入力される。
【0054】
また、上下移動部26は、本実施形態では、垂直片と水平片とを有するL字状のアングル状をなし、その水平片に前記アクチュエータ35が固着される。該アクチュエータ35は、例えば流体圧シリンダ又は電動シリンダであって、箱体状の本体35aと、該本体35aから水平面内で出没自在な2本のロッド35bとを含む。そして、このロッド35bの先端部には、半径方向移動部27が固着されている。
【0055】
前記半径方向移動部27は、取付ベース38cと、それに上、下に距離を隔てて配され前方に突出する支持片38a、38bとを有し、該支持片38a、38b間に本実施形態では一対のローラ39、39が回動自在に支持されている。該ローラ39は、空気入りタイヤ1aのトレッド面2に接触しかつその円周方向に沿って転動しうるように、垂直軸回りで回動可能に支持される。また、本実施形態では上の支持片38aに、前記スプレーガン18が取り付けられている。図6に示されるように、スプレーガン18は、トレッド面2と接触しないように、前記ローラ39の先端部よりも後方に控えた位置に設けられる。
【0056】
また、塗装装置3の平面視において、半径方向移動部27は、スプレーガン18の塗料の噴霧方向の延長線PLが、前記タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aの回転軸Zと実質的に交差する第1の位置に位置決め可能に設けられる。本実施形態では、アクチュエータ35のロッド35bの出没方向と前記延長線PLとを一致させているため、水平移動部25の水平移動量のコントロールのみで半径方向移動部27を前記第1の位置へ容易に位置決めできる。
【0057】
また、図6に示されるように、第1の移動具6Lにおいて、第1のスプレーガン18Lは半径方向移動部27の上側の支持片38aの上面に固着されている。しかし、第2の移動具6Rにおいては、図3に示されるように、第2のスプレーガン18Rが下側の支持片38bの下面に固着される。それ以外の構造は、実質的に同一(対称)に構成されている。このため、第1の移動具6L及び第2の移動具6Rの各半径方向移動部27を同じ高さに設定した場合、図8(C)に示されるように、タイヤ軸方向に関して各スプレーガン18L、18Rを異なる位置に配置できる。
【0058】
前記回転具7は、図2に示されるように、前記上側に配されたリム片9aの支軸11に固着された第1の回転体40と、前記主フレームFに固着された電動機M4と、該電動機M4によって被動される第2の回転体41と、前記第1の回転体10と第2の回転体41とに連係した無端連紐42とを含んで構成される。
【0059】
前記第1、第2の回転体40、41は、例えばプーリ、スプロケット又は歯車等からなり、前記無端連紐42は、摩擦ベルト、歯付ベルト又はチェーン等が用いられる。従って、前記電動機M4を駆動することによって上側のリム片9aをその支軸11の回りで回転させることができる。また、この電動機M4は、制御装置8により駆動制御される。
【0060】
また、本実施形態の塗装装置3は、タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aを取り外すためのタイヤ取り外し装置45が設けられる。該タイヤ取り外し装置45は、図2、図4に示されるように、前記上側のリム片9aの両側に設けられた一対のシリンダ筒45aと、該シリンダ筒45aから下向きに突出できかつこの突出により上側のリム片9aに嵌合された空気入りタイヤ1aの側部を下方に押し込んで該リム片9から脱落させるロッド45bとを含んで構成される。このロッド45bの作動は、制御装置8によってコントロールされる。
【0061】
図7には、前記制御装置8を含む塗装装置3の制御ブロック図が示される。制御装置8は、複数の電動機、アクチュエータなどを予め記憶された処理手順及び入力されてくる信号に従って制御可能な例えばコンピュータ又はシーケンサ等を含んで構成される。本実施形態のの制御装置8は、前記回転具7、タイヤ支持部4の昇降具11、リム状体9の空気バルブV、スプレーガン移動具6、アクチュエータ35、塗装ユニット5の電磁弁SL1、SL2を、予め設定された処理手順に従って、コントロールすることができる。また、前記各センサーD1、D2などを始め各種の信号が入力される。
【0062】
以上のように構成された塗装装置の作用3について述べる。
先ず、図8(A)に示されるように、上流側コンベヤY1から運ばれてきた加硫済みの空気入りタイヤ1aは、下側のリム片9bの上に位置決めされる。この際、空気入りタイヤ1aは、例えば上流側コンベヤY1及び下流側コンベヤY2の両方に跨らせて保持できる。なお空気入りタイヤ1aのサイズは、予め制御装置8に入力される。また、制御装置8は、入力されたタイヤサイズに応じた制御パラメータがセットされる。
【0063】
次に、制御装置8は、図8(B)に示されるように、昇降具11の電動機13aを所定の向きに回転駆動し、下側のリム片9bを上昇させる。これにより、空気入りタイヤ1aは、コンベヤY1、Y2から持ち上げられ下側のリム片9bとともに上昇する。また、上側のリム片9aは上下方向には移動できないので、空気入りタイヤ1aがある高さまで上昇すると、空気入りタイヤ1aのビード部が囲む空隙Oに、タイヤ軸方向両外側からリム片9a、9bが押し込まれ、かつ、嵌合する。これにより、タイヤ支持部4は、空気入りタイヤ1aをその回転軸が垂直となる向きで保持できる。
【0064】
また、本実施形態では、リム状体9によって空気入りタイヤ1aが支持された後、制御装置8によって空気バルブVが開動作され、高圧空気源P1からタイヤ内腔に0.1〜0.3MPaの空気圧が充填される。これにより、トレッド面2を適度に膨張させて凹み等を無くし、その真円性を高め、ひいては見映えの良いカラーラインCLの塗装を可能とする。
【0065】
次に、図8(C)に示されるように、第1、第2の移動具6L、6Rを用いて、スプレーガン18L、18Rをタイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aのトレッド面2に位置合わせする。本実施形態では、半径方向移動部27の厚さの中心が空気入りタイヤ1aのタイヤ赤道Cと等しい高さになるよう、上下移動部26を移動させて高さの調整が行われる。なおタイヤ赤道Cの位置は、入力されたタイヤサイズに基づいて予め既知の情報として得ることができる。
【0066】
次に、水平移動部25を移動させることにより、スプレーガン18を、その塗料の噴霧方向の延長線PLが、前記タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aの回転中心Zと実質的に交差する前記第1の位置に移動させる。しかる後、アクチュエータ35のロッド35bを突出させ、ローラ39がトレッド面2に接触するまで半径方向移動部27をトレッド面2に接近させる。このロッド35bの移動量も、タイヤサイズに応じて予め決定される。これにより、各スプレーガン18L、18Rの噴霧方向は、トレッド面のラジアル方向(法線方向)に正対するため、塗料を正確にかつ無駄なくトレッド面2に吹き付けしうる。従って、これは、見映えの良いカラーラインの形成を可能とする。
【0067】
また、第1のスプレーガン18Lの塗料ノズルはタイヤ赤道Cよりも上方の位置に、第2のスプレーガン18Rの塗料ノズルはタイヤ赤道Cよりも下方の位置でトレッド面2に近接して位置決めされる。
【0068】
次に、前記各スプレーガン18L、18Rからそれぞれ塗料を噴霧するとともに、前記回転具7の電動機M4を駆動することにより、タイヤ支持部4で支持されている空気入りタイヤ1aをその回転軸Z回りで少なくとも1周回転させる。これにより、図9(A)に示されるように、空気入りタイヤ1aのトレッド面2には、タイヤ赤道Cの両側でタイヤ周方向に連続する計2本のカラーラインCL1、CL2が形成される。また、カラーラインCLは、スプレーガン18によって描かれるため、トレッド面2にタイヤ軸方向にのびるトレッド溝があっても途切れることなくタイヤ周方向に連続して形成される。
【0069】
なお特に限定されるものではないが、空気入りタイヤ1aの回転速度が大きすぎると、カラーラインが薄くなる傾向があり、逆に遅すぎると、塗料が同じ箇所により多く付着して液だれ等が生じる傾向がある。このような観点より、前記空気入りタイヤ1aの回転速度(回転数)は、好ましくは20〜200rpmが望ましい。また、前記2本のカラーラインCLは、例えば異なる色彩で形成されるのが一般的であるが、特に限定されるものではない。
【0070】
また本実施形態では、両側の移動具6L、6Rを同じ高さに制御するというシンプルな制御によって、タイヤ軸方向に高さを異ならせてスプレーガン18L、18Rを位置決めできる。従って、移動具6L、6Rの制御を簡素化しつつ容易に平行なカラーラインの形成が可能となる。
【0071】
また、トレッド面2にカラーラインCLが形成された空気入りタイヤ1が得られると、制御装置8は、各スプレーガン18L、18Rからの塗料の噴霧及び空気入りタイヤ1aの回転を停止させる。しかる後、図9(A)に示されるように、制御装置8は、アクチュエータ35及び水平移動部25を作動させてスプレーガン18L、18Rを前記トレッド面2から離間させる。
【0072】
次に、図9(B)に示されるように、制御装置8は、昇降具11を作動させ、下側のリム片9bを下降させる。また、本実施形態では、このリム片9bの下降と同時に、横フレームFHに設けられたタイヤ取り外し具45のロッド45bを押し下げる。これにより、上側のリム片9aから確実に空気入りタイヤ1が下方に取り外しされる。
【0073】
下側のリム片9bの下降に伴い、空気入りタイヤ1は、再び、上流側コンベヤY1及び下流側コンベヤY2に跨った状態で双方に接触する。そして、さらに下側のリム片9bが下降することによって、空気入りタイヤ1は、コンベヤY1、Y2へと移載される。しかる後、下流側コンベヤY2を駆動し、カラーラインCLが形成された空気入りタイヤ1が搬送される。
【0074】
以上説明したように、本実施形態のカラーラインの塗装装置3を用いた空気入りタイヤの製造方法では、能率良く加硫後の空気入りタイヤ1aにカラーラインを形成することができる。従って、タイヤ加硫金型を汚損することがなく、またストリップワインド方式で作られたトレッドゴムを有する空気入りタイヤにあっても耐久性を損ねることなくカラーラインを形成できる。
【0075】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変更して実施しうるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施形態のカラーラインの塗装装置の全体斜視図である。
【図2】その拡大図である。
【図3】その正面図である。
【図4】その平面図である。
【図5】塗装ユニットのブロック図である。
【図6】移動具の拡大斜視図である。
【図7】カラーラインの塗装装置のブロック図である。
【図8】(A)〜(C)は塗装装置の作用を説明する略図である。
【図9】(A)〜(C)は塗装装置の作用を説明する略図である。
【図10】生カバーの断面図である。
【図11】ストリップワインド方式のトレッドゴムの断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 空気入りタイヤ
3 トレッド面
3 カラーラインの塗装装置
4 タイヤ支持部
5 塗装ユニット
6 スプレーガン移動具
7 回転具
8 制御装置
18 スプレーガン
18L 第1のスプレーガン
18R 第2のスプレーガン
CL カラーライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造方法及びそれに用いるカラーラインの塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤのトレッド面には、有色のカラーラインが設けられる(例えば下記特許文献1参照)。このカラーラインは、例えば1ないし3本設けられ、それぞれタイヤ周方向にほぼ1周のびている。カラーラインは、例えばタイヤが横積み状態で保管されている場合でも、その色、線状などによって、タイヤを容易に識別するのに役立つ。
【0003】
従来、このようなカラーラインは、下記特許文献1に示されるように、ゴム押出機から押し出された帯状かつ未加硫のトレッドゴムに、ローラ状のスタンパーを接触、転動させて有色のゴム糊を付着させることで形成されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−36692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カラーラインが加硫前にトレッドゴムに塗布されると、タイヤ加硫金型の成形面にカラーラインのゴム糊等が付着して該金型を汚損したり、またゴムの特性を悪化させるおそれがある。
【0006】
また、近年では、図11に示されるように、タイヤ成形用ドラムd(又はベルト層等の外側)に、小巾のゴムストリップaをタイヤ周方向に螺旋状に直接巻き重ねることにより所定の断面形状をなす環状のトレッドゴムbを形成するいわゆるストリップワインド方式が種々提案されている。ストリップワインド方式で作られた未加硫のトレッドゴムbは、従来の押出タイプのトレッドゴムに比べると変形しやすい。このため、カラーライン形成用のスタンパーなどを表面に押し付けると、その断面形状が変形し、ひいては加硫後のタイヤのユニフォミティを悪化させるという問題がある。
【0007】
また、ストリップワインド方式のトレッドゴムbは、タイヤの耐久性を確保するために、加硫前の状態においてゴムストリップa、aの界面を密に粘着させておくことが重要である。しかし、カラーラインのゴム糊をストリップワインド方式で作られたトレッドゴムbに塗布すると、該ゴム糊が前記界面に進入し、ゴムストリップa,aの界面の粘着力を低下させ、ひいては加硫後のタイヤの耐久性を悪化させるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、加硫済みの空気入りタイヤのトレッド面に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインを形成することを基本として、ストリップワインド方式で作られた空気入りタイヤにも簡単かつ能率良くカラーラインを形成しうる空気入りタイヤの製造方法及びそれに用いるカラーラインの塗装装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち請求項1記載の発明は、生カバーを加硫して空気入りタイヤを成型する加硫工程と、前記加硫済みの空気入りタイヤのトレッド面に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインを形成するカラーライン塗装工程とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
【0010】
また請求項2記載の発明は、前記塗料は、速乾性塗料である請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0011】
また請求項3記載の発明は、前記生カバーは、小巾のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に巻き重ねたストリップワインド方式で作られたトレッドゴムを具える請求項1又は2記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0012】
また請求項4記載の発明は、前記カラーライン塗装工程は、前記空気入りタイヤのビード部が囲む空隙に、タイヤ軸方向両外側から分割式のリム状体を嵌入して前記空気入りタイヤを支持する段階と、前記トレッド面と前記スプレーガンとを位置合わせして接近させる段階と、前記スプレーガンから塗料を噴霧するとともに前記空気入りタイヤをその回転軸の回りに少なくとも1周回転させる段階と、前記空気入りタイヤを前記リム状体から取り外す段階とを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0013】
また請求項5記載の発明は、前記スプレーガンは、塗料タンクから0.01〜0.1MPaの圧力で前記塗料が圧送されるとともに、0.05〜0.3MPaの吹き付け圧力で前記塗料を噴霧する請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0014】
また請求項6記載の発明は、請求項1乃至5に記載されたカラーライン塗装工程に用いられるカラーラインの塗装装置であって、空気入りタイヤのビード部が囲む空隙に、タイヤ軸方向両外側から嵌入して該空気入りタイヤを支持しうる分割式のリム状体を含むタイヤ支持部、塗料を噴霧しうる少なくとも一つのスプレーガンを含む塗装ユニット、前記スプレーガンを、前記タイヤ支持部で支持された空気入りタイヤの少なくとも軸方向及び半径方向に位置調節可能に移動させて前記空気入りタイヤのトレッド面に接近させるスプレーガン移動具、前記リム状体をタイヤ回転軸の回りに回転させる回転具及び前記回転している空気入りタイヤのトレッド面に向けて前記スプレーガンから塗料を噴霧させる制御装置を含むことを特徴とするカラーラインの塗装装置である。
【0015】
また請求項7記載の発明は、前記リム状体は、前記空気入りタイヤと前記リム状体とが囲むタイヤ内腔に0.1〜0.3MPaの空気を充填するための高圧空気源が接続されるとともに、前記回転具は前記空気入りタイヤを20〜200rpmで回転させる請求項6記載のカラーラインの塗装装置である。
【0016】
また請求項8記載の発明は、前記塗装ユニットは、前記空気入りタイヤのトレッド面に関して、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向で噴霧位置が異なる少なくとも2つのスプレーガンを含む請求項6又は7に記載のカラーラインの塗装装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、加硫済みの空気入りタイヤのトレッド面に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインが形成される。従って、カラーラインの塗料によってタイヤ加硫金型を汚損することが無い。また、例えば生カバーが、ストリップワインド方式で作られた場合でも、タイヤの耐久性やユニフォミティを悪化させることなくカラーラインを形成できる。また、カラーラインは、スプレーガンによって描かれるため、トレッド面に、タイヤ軸方向にのびるトレッド溝があっても途切れることなくタイヤ周方向に連続したカラーラインを形成しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の空気入りタイヤの製造方法で用いられるカラーラインの塗装装置3の全体斜視図、図2はその拡大図、図3はその正面図、図4はその平面略図がそれぞれ示される。
【0019】
本発明の空気入りタイヤの製造方法では、先ず、生カバーを加硫して空気入りタイヤを成型する加硫工程が行われる。生カバーは、特に限定されることなく慣例に従って種々の方法で成型される。図10には生カバー1Rの一例が示される。本実施形態の生カバー1Rは、ストリップワインド方式で作られたトレッドゴムTgを有する。即ち、該トレッドゴムTgは、幅の細いリボン状のゴムストリップaをタイヤ周方向に螺旋状に巻き重ねることによって所定の断面形状に仕上げられている。このようなトレッドゴムTgは、ゴムストリップaを、トロイド状のカーカスhを含む生カバー本体fに直接巻き付けて形成されても良いし、またベルト層gとともにタイヤ成形用ドラムに巻き付けられて成形された後、生カバー本体fと合体させても良い。
【0020】
また、生カバー1Rは、カラーラインの形成に先立ち、図示しないタイヤ加硫金型で加硫成形される。そして本発明では、図1に示されるように、加硫済みの空気入りタイヤ1aのトレッド面2に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインCLを形成するカラーラインの塗装工程を経て空気入りタイヤ1が製造される。
【0021】
前記カラーライン塗装工程は、カラーラインの塗装装置3を用いて行われる。該塗装装置3は、ほぼ垂直にのびる左右の縦フレームFL、FRと、それらの上端を継ぎかつほぼ水平にのびる横フレームFHとを含む門型の主フレームFを有する。
【0022】
また、塗装装置3の一方側には、加硫された空気入りタイヤ1aがその回転軸が垂直となる横倒し状態で該塗装装置3に向かって搬送される上流側コンベヤY1が設けられる。また、塗装装置3の他方側には、該塗装装置3によってカラーラインCLが形成された空気入りタイヤ1を搬送する下流側コンベヤY2が設けられる。各コンベヤY1、Y2は、搬送されるタイヤ1aの外径よりも大きいコンベヤ幅を有する。また、前記塗装装置3の縦フレームFL、FRの間にも前記タイヤ1aが横倒し状態で通過しうる十分な大きさの空間が提供されている。
【0023】
また、前記塗装装置3は、前記空気入りタイヤ1aを支持しうるタイヤ支持部4、スプレーガン18を有する塗装ユニット5(図5に示される)、前記スプレーガンを所定の位置に移動させ得るスプレーガン移動具6、前記タイヤ支持部4を回転させる回転具7及びこれらを全体として制御しうる制御装置8(図7に示される。)を含んで構成される。
【0024】
前記タイヤ支持部4は、上下に距離を隔てて配された一対のリム片9a、9bを含む分割式のリム状体9と、下側のリム片9bを昇降させる昇降具11とを含んで構成される。
【0025】
前記各リム片9a、9bは、空気入りタイヤ1aのビード部が囲む空隙O(ビード底面が囲む円形の空隙)に、タイヤ軸方向の両外側からそれぞれ嵌入し、あたかもリムのように空気入りタイヤ1aを支持することができる。
【0026】
各リム片9a、9bは、円盤状の主部9Aと、その外周縁に連設されて円周方向にのびかつ前記ビード底面が着座しうるシート部9Bとを含む。本実施形態において、前記シート部9Bは、ビード内径が異なる複数種類の空気入りタイヤの前記空隙Oに嵌合しうるよう、外径が異なる3つのシート面SS、SM、SLがタイヤ軸方向に併設されている。各シート面SS、SM、SLは、タイヤ軸方向内側から外側に向かって外径が大きくなるようステップ状に配されている。このようなリム片9a、9bは、異なるビード内径のタイヤにも嵌合させ得るため、装置の汎用性を高め、空気入りタイヤ1の生産性を向上させ得る。
【0027】
また、本実施形態では、各リム片9a、9bに支軸11が固着される。上側のリム片9aに固着された支軸11は上方に向かって、また下側のリム片9bに固着された支軸11は下方に向かってそれぞれのびている。これにより、各リム片9a、9bの主部9A、9Aの間には、空気入りタイヤ1aが通過可能な十分な空所が提供される。
【0028】
また、本実施形態において、前記昇降具11は、固定台12と、該固定台12に載置されたアクチュエータ13と、このアクチュエータ13によって昇降動させられる移動枠14とを含んで構成される。
【0029】
前記固定台12は、例えば塗装装置3の基台3Bに固定される。また、固定台12の上には、前記アクチュエータ13が固定されている。該アクチュエータ13は、例えば電動機13aと、この電動機13aの回転運動を直線運動に変換する運動方向変換用のギアボックス13bと、該ギアボックス13bから昇降動可能に突設された昇降ロッド13cとを含んで構成される。
【0030】
前記移動枠14は、前記縦フレームFL、FR間を跨りかつ縦フレームFL、FRに直線ガイド部Rを介して上下移動可能に配された枠本体14aと、この枠本体14aの上端部に設けられかつ水平方向に張り出した受片14bとを含む。該受片14bは、前記アクチュエータ13の昇降ロッド13cの上面が当接可能に設けられている。
【0031】
このように構成された昇降具11は、前記電動機13aを一定の向きに回転させることにより、昇降ロッド13cがギアボックス13bから上向きに突出し、前記受片14bを押すことで移動枠14、ひいては下側のリム片9bを上昇させ得る。また、前記電動機13aを逆向きに回転させることにより、前記昇降ロッド13cを縮め得る。これにより、移動枠14は自重によって昇降ロッド13cとともに下降できる。
【0032】
上側のリム片9aの支軸11は、本実施形態では、横フレームFHの側面に固着された軸受部17に回動自在に軸支されている。また、上側のリム片9aの支軸11は、下側のリム片9bの支軸11と同一軸線上に配されている。つまり、上、下の支軸11は、互いの軸中心線が一致するように配置される。
【0033】
また、本実施形態のリム状体9には、前記空気入りタイヤ1aに空気を充填するための高圧空気源P1が接続される。上、下のリム片9a、9bを空気入りタイヤの前記空隙Oに嵌合させると、該空気入りタイヤ1aとリム状体9とが囲むタイヤ内腔が形成される。本実施形態では、下側のリム片9bに空気バルブVが取り付けられている。従って、該空気バルブVを入り切りすることにより、タイヤ内腔に高圧空気源P1からの空気を調圧して供給できる。
【0034】
ここで、空気入りタイヤ1aのトレッド面2にスプレーガン18を用いて塗料を吹き付ける場合、前記タイヤ内腔の圧力を大気圧よりも大とすること、より好ましくは0.1〜0.3MPaに調節することが望ましい。これによって、タイヤの各部を均一かつ適度に膨張させ、トレッド面2の部分的な凹みなどを減じて見映えの良いカラーラインCLの形成が可能となる。前記タイヤ内腔の圧力が0.1MPa未満の場合、トレッド部を含めタイヤの各部が十分に膨張しない傾向があり、逆に0.3MPaを超える場合、タイヤの膨張に伴ってトレッド面2の表面歪が大きくなる。このため、カラーラインCLの形成後にタイヤ内腔の空気を減じると、表面歪の回復によってカラーラインCLの塗膜に割れ等が生じやすくなる。
【0035】
前記塗装ユニット5は、図5に示されるように、塗料を噴霧しうる少なくとも一つのスプレーガン18と、該スプレーガン18に塗料を送給しうる塗料タンクTと、前記スプレーガン18に高圧空気を送給しうる高圧空気源P2とを含んで構成される。
【0036】
本実施形態では、スプレーガン18として、第1のスプレーガン18Lと、第2のスプレーガン18Rとが含まれる。図5には、一つのスプレーガンを示すが、他のものも同一の構成を具えている。また、第1、第2のスプレーガン18L、18Rは、図4に示されるように、空気入りタイヤ1aのトレッド面2に関して、タイヤ周方向の異なる位置、実質的にほぼ180゜を隔てた反対位置にそれぞれ配されている。これにより、複数個のスプレーガンの配設及び移動スペースが十分に確保される。
【0037】
各スプレーガン18は、図5に示されるように、切欠き部19の一方側に設けられたガン本体部20と、その他方側に設けられた被動部21とを一体に具えて構成され、本実施形態のスプレーガン18は、制御装置8によって塗料の噴霧及び停止が制御される自動スプレーガンが示される。
【0038】
前記ガン本体部20は、略角筒状の基筒部20aと、この基筒部20aの前部に螺着されたノズル口20boを有する塗料ノズル20bと、この塗料ノズル20bを覆うように前記基筒部20aの前部に螺着された空気キャップ20cとを含む。
【0039】
前記基筒部20aには、その中央部をのび前記塗料ノズル20bのノズル口20boに連通する塗料流路20a1と、該塗料流路20a1の後端側に連通しかつ内径が減じられたガイド穴20a2とが形成されている。前記塗料流路20a1には、塗料タンクTからの塗料が、塗料供給口20a4を介して圧送される。本実施形態の塗料タンクT内は、高圧空気源P2からの空気が調圧されて負荷される圧送式タンクが示される。そして、塗料タンクTの圧送圧力は、好ましくは、0.01〜0.1MPaの比較的低い圧力に調節される。
【0040】
ここで、塗料タンクの塗料圧送圧力は、スプレーガン18で塗装するカラーラインCLの太さ(線幅)に影響を与えるもので、前記圧力が0.1MPa未満であると、カラーラインが著しく細くなって識別性が低下しやすく、逆に0.1MPaを超える場合、カラーラインが著しく太くなってタイヤの外観を損ねやすくなる。そして、本実施形態では、塗料の圧送圧力を上述の0.01〜0.1MPaとすることによって、1〜10mmの線幅を有するカラーラインの形成を可能としている。
【0041】
また、前記基筒部20aのガイド穴20a2の後端には、シールリングを介してスリーブ部材20eが固着される。またガイド穴20a2とスリーブ部材20eには、針弁20dが摺動自在に挿入される。該針弁20dは、前記塗料流路20a1を通って塗料ノズル20bにまでのび、その後端部にはピストン部20fが一体に設けられる。そして、針弁20dは、前向きの軸方向移動により前記ノズル口20boを閉止するとともに、後向きの軸方向移動によって、前記ノズル口20boを開き、塗料流路20a1の塗料をノズル口20boから吐出できる。また、前記スリーブ部材20eは、内挿されたOリングにより、針弁20dの摺動に伴う塗料の漏れなどを防ぐのに役立つ。
【0042】
また、基筒部20aには、空気接続口20a3が設けられる。この空気接続口20a3には、高圧空気源P2から、高圧空気が調圧弁V2によって所定の圧力に調節されて供給される。また空気接続口20a3には、基筒部20a内に穿設された空気流路20a5の一端が接続されるとともに、該空気流路20a5の他端は、塗料ノズル20bと空気キャップ20cとの間の微小隙間に連通している。従って、高圧空気源P2からの空気は、空気キャップ20cから大気へと放出され、塗料ノズル20bのノズル口20boから吐出される塗料を霧状として吹き出しうる。
【0043】
ここで、塗料の吹き付け空気圧は、カラーラインCLの鮮明さに影響を与える傾向がある。即ち、塗前記空気圧が著しく小さいと、空気キャップ20cから解放された空気の流速が大幅に低下し、塗料が均一に霧化され難く、塗料粒子にバラツキが生じやすい。また、塗りむらが生じカラーラインCLの鮮明さが失わる傾向がある。逆に前記空気圧が大きすぎる場合、塗料粒子の速度が増すため、トレッド面2で塗料が跳ね返り、周囲に飛散するなど、カラーラインCLの見映えを悪化させる傾向がある。とりわけ、塗料の前記吹き付け空気圧を、0.05〜0.3MPaの適切な低圧とすることによって、塗料を均一に霧化しつつ周囲への跳ね返りを減じ、鮮明なカラーラインCLの形成に特に好ましい。なお前記吹き付け空気の入り切りは、例えば高圧空気源P2と前記空気接続口20a3との間に配された電磁弁SL2のオンオフによって制御できる。
【0044】
前記被動部21は、角筒状の副筒部21aと、その前部に螺着されたスリーブ部材21bと、前記副筒部21aの後端部に螺着されたエンドキャップ21cとを含み、前記スリーブ部材21bとエンドキャップ21cとの間にシリンダ室21dが形成される。そして、このシリンダ室21dには、前記針弁20dに固着されたピストン部20fが前後に摺動可能に配されている。
【0045】
本実施形態において、前記ピストン部20fは、ロックナット21eで固着された円盤状のピストン片20f1と、このピストン片20f1の外周面に設けた環状溝に内挿されることにより前記シリンダ室21dの内周面との間を気密に保持するOリング20f2とを含んで構成されている。またピストン片20f1と前記エンドキャップ部21cとの間には、バネ21gを圧縮して介在させることにより、ピストン部20fは、常時、針弁21dを前向きに付勢しうる。
【0046】
また、前記シリンダ室21dのうち、ピストン部20fとスリーブ部材21bとの空間には、高圧空気源P2からの高圧空気が、空気接続口21h、空気流路21iを介して供給される。高圧空気が空気接続口21hに供給されると、ピストン部20fはバネ21gを圧縮しながらシリンダ室21dを後退移動する。その結果、針弁20dの先端はノズル口20boを開く。他方、前記空気接続口21hへの高圧空気の送給を遮断することにより、ピストン部20fは、バネ21gの復元力で付勢されて前向きに移動し、針弁20dは、前記ノズル口20boを閉止できる。
【0047】
このような、空気接続口21hへの高圧空気の送給の入り切りは、例えば空気接続口21hと高圧空気源P2との間に介在する電磁弁SL1を、予め記憶された処理手順に従い制御装置8がオンオフ動作することで容易に実現できる。その結果、塗料ノズル20bからの塗料の吐出及び停止を自在にかつ正確に制御できる。なおこの電磁弁SL1は、塗料吹き付け用の空気をコンロールする前記電磁弁SL2と連動して制御される。
【0048】
また、カラーラインCLの形成に用いられる前記塗料は、特に限定されるものではないが、塗布することによってタイヤの性能、とりわけゴム劣化が生じない塗料が望ましく、かつ、常温(25±3℃)雰囲気下において早期に乾燥する速乾性塗料が好適である。速乾性塗料としては、例えば常温で指触乾燥(手で塗膜を押さえても手に塗料が着かなくなるまでの時間)が10分以内であるものが特に好ましい。
【0049】
前記塗料としては、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂又はこれらの樹脂の1以上を含む複合樹脂系塗料に、顔料を配合したものが好適である。本実施形態で用いられた塗料の配合例が以下の通りである。
成 分 含有量(%)
アクリル樹脂 8.5
アルキド樹脂 8.4
フッ素樹脂 1.3
顔料 11.5
トルエン 63.8
芳香族溶剤 6.5
【0050】
前記スプレーガン移動具6は、前記スプレーガン18を、前記タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aのトレッド面2に接近させるもので、本実施形態ではスプレーガン18をタイヤ軸方向及びタイヤ半径方向に調節できる。該スプレーガン移動具6は、一方の縦フレームFLに設けられかつ前記第1のスプレーガン18Lを移動させる第1の移動具6Lと、他方の縦フレームFRに設けられかつ前記第2のスプレーガン18を移動させる第2の移動具6Rとを含む。
【0051】
図6には、第1の移動具6Lの拡大斜視図が示される(なお、第2の移動具6Rも実質的に同様の構成を具えている。)。該第1の移動具6Lは、縦フレームFLに固着された幅広の板状体からなるベース24と、該ベース24に直線ガイド部28を介して水平方向に移動可能に取り付けられた水平移動部25と、該水平移動部25に直線ガイド部32を介して上下方向に移動可能に取り付けられた上下移動部26と、該上下移動部26に、アクチュエータ35を介して取り付けられ、前記タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aのタイヤ半径方向に移動可能な半径方向移動部27とを含んで構成され、この半径方向移動部27にスプレーガン18(この例では第1のスプレーガン18L)が取り付けられている。
【0052】
前記直線ガイド部28は、ベース24に固着されかつ水平方向にのびるレール部28aと、前記水平移動部25に固着されかつ前記レール部28aに案内されて移動しうるスライド軸受28bとを含む。また、ベース24には、軸受30、30で支持された水平方向にのびるボールネジ軸29が設けられる。該ボールネジ軸29は、その一端側に接続された減速電動機M1で被動される。さらに、水平移動部25には、前記ボールネジ軸29に螺合するボールナット部31が固着されている。従って、前記減速電動機M1を所定の向きに回動させることにより、水平移動部25はボールネジ軸29に沿って左右に移動できる。この移動量は、例えばボールネジ軸29の回転量などを検知しうるパルスエンコーダなどのセンサーD1によって検知されて制御装置8へ入力される。
【0053】
同様に、前記直線ガイド部32は、水平移動部25に固着されかつ上下方向にのびるレール部32aと、前記上下移動部26に固着されかつ前記レール部32aに案内されて移動しうるスライド軸受32bとを含む。また、水平移動部25には、軸受34、34で支持された上下方向にのびるボールネジ軸33が設けられる。該ボールネジ軸33は、その一端側に接続された減速電動機M2で被動される。さらに、上下移動部26には、前記ボールネジ軸33に螺合するボールナット部35が設けられる。従って、前記減速電動機M2を所定の向きに回動させることにより、上下移動部26はボールネジ軸33に沿って上下に移動できる。この移動量は、例えばボールネジ軸33の回転量などを検知しうるセンサーD2によって検知されて制御装置8へ入力される。
【0054】
また、上下移動部26は、本実施形態では、垂直片と水平片とを有するL字状のアングル状をなし、その水平片に前記アクチュエータ35が固着される。該アクチュエータ35は、例えば流体圧シリンダ又は電動シリンダであって、箱体状の本体35aと、該本体35aから水平面内で出没自在な2本のロッド35bとを含む。そして、このロッド35bの先端部には、半径方向移動部27が固着されている。
【0055】
前記半径方向移動部27は、取付ベース38cと、それに上、下に距離を隔てて配され前方に突出する支持片38a、38bとを有し、該支持片38a、38b間に本実施形態では一対のローラ39、39が回動自在に支持されている。該ローラ39は、空気入りタイヤ1aのトレッド面2に接触しかつその円周方向に沿って転動しうるように、垂直軸回りで回動可能に支持される。また、本実施形態では上の支持片38aに、前記スプレーガン18が取り付けられている。図6に示されるように、スプレーガン18は、トレッド面2と接触しないように、前記ローラ39の先端部よりも後方に控えた位置に設けられる。
【0056】
また、塗装装置3の平面視において、半径方向移動部27は、スプレーガン18の塗料の噴霧方向の延長線PLが、前記タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aの回転軸Zと実質的に交差する第1の位置に位置決め可能に設けられる。本実施形態では、アクチュエータ35のロッド35bの出没方向と前記延長線PLとを一致させているため、水平移動部25の水平移動量のコントロールのみで半径方向移動部27を前記第1の位置へ容易に位置決めできる。
【0057】
また、図6に示されるように、第1の移動具6Lにおいて、第1のスプレーガン18Lは半径方向移動部27の上側の支持片38aの上面に固着されている。しかし、第2の移動具6Rにおいては、図3に示されるように、第2のスプレーガン18Rが下側の支持片38bの下面に固着される。それ以外の構造は、実質的に同一(対称)に構成されている。このため、第1の移動具6L及び第2の移動具6Rの各半径方向移動部27を同じ高さに設定した場合、図8(C)に示されるように、タイヤ軸方向に関して各スプレーガン18L、18Rを異なる位置に配置できる。
【0058】
前記回転具7は、図2に示されるように、前記上側に配されたリム片9aの支軸11に固着された第1の回転体40と、前記主フレームFに固着された電動機M4と、該電動機M4によって被動される第2の回転体41と、前記第1の回転体10と第2の回転体41とに連係した無端連紐42とを含んで構成される。
【0059】
前記第1、第2の回転体40、41は、例えばプーリ、スプロケット又は歯車等からなり、前記無端連紐42は、摩擦ベルト、歯付ベルト又はチェーン等が用いられる。従って、前記電動機M4を駆動することによって上側のリム片9aをその支軸11の回りで回転させることができる。また、この電動機M4は、制御装置8により駆動制御される。
【0060】
また、本実施形態の塗装装置3は、タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aを取り外すためのタイヤ取り外し装置45が設けられる。該タイヤ取り外し装置45は、図2、図4に示されるように、前記上側のリム片9aの両側に設けられた一対のシリンダ筒45aと、該シリンダ筒45aから下向きに突出できかつこの突出により上側のリム片9aに嵌合された空気入りタイヤ1aの側部を下方に押し込んで該リム片9から脱落させるロッド45bとを含んで構成される。このロッド45bの作動は、制御装置8によってコントロールされる。
【0061】
図7には、前記制御装置8を含む塗装装置3の制御ブロック図が示される。制御装置8は、複数の電動機、アクチュエータなどを予め記憶された処理手順及び入力されてくる信号に従って制御可能な例えばコンピュータ又はシーケンサ等を含んで構成される。本実施形態のの制御装置8は、前記回転具7、タイヤ支持部4の昇降具11、リム状体9の空気バルブV、スプレーガン移動具6、アクチュエータ35、塗装ユニット5の電磁弁SL1、SL2を、予め設定された処理手順に従って、コントロールすることができる。また、前記各センサーD1、D2などを始め各種の信号が入力される。
【0062】
以上のように構成された塗装装置の作用3について述べる。
先ず、図8(A)に示されるように、上流側コンベヤY1から運ばれてきた加硫済みの空気入りタイヤ1aは、下側のリム片9bの上に位置決めされる。この際、空気入りタイヤ1aは、例えば上流側コンベヤY1及び下流側コンベヤY2の両方に跨らせて保持できる。なお空気入りタイヤ1aのサイズは、予め制御装置8に入力される。また、制御装置8は、入力されたタイヤサイズに応じた制御パラメータがセットされる。
【0063】
次に、制御装置8は、図8(B)に示されるように、昇降具11の電動機13aを所定の向きに回転駆動し、下側のリム片9bを上昇させる。これにより、空気入りタイヤ1aは、コンベヤY1、Y2から持ち上げられ下側のリム片9bとともに上昇する。また、上側のリム片9aは上下方向には移動できないので、空気入りタイヤ1aがある高さまで上昇すると、空気入りタイヤ1aのビード部が囲む空隙Oに、タイヤ軸方向両外側からリム片9a、9bが押し込まれ、かつ、嵌合する。これにより、タイヤ支持部4は、空気入りタイヤ1aをその回転軸が垂直となる向きで保持できる。
【0064】
また、本実施形態では、リム状体9によって空気入りタイヤ1aが支持された後、制御装置8によって空気バルブVが開動作され、高圧空気源P1からタイヤ内腔に0.1〜0.3MPaの空気圧が充填される。これにより、トレッド面2を適度に膨張させて凹み等を無くし、その真円性を高め、ひいては見映えの良いカラーラインCLの塗装を可能とする。
【0065】
次に、図8(C)に示されるように、第1、第2の移動具6L、6Rを用いて、スプレーガン18L、18Rをタイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aのトレッド面2に位置合わせする。本実施形態では、半径方向移動部27の厚さの中心が空気入りタイヤ1aのタイヤ赤道Cと等しい高さになるよう、上下移動部26を移動させて高さの調整が行われる。なおタイヤ赤道Cの位置は、入力されたタイヤサイズに基づいて予め既知の情報として得ることができる。
【0066】
次に、水平移動部25を移動させることにより、スプレーガン18を、その塗料の噴霧方向の延長線PLが、前記タイヤ支持部4で支持された空気入りタイヤ1aの回転中心Zと実質的に交差する前記第1の位置に移動させる。しかる後、アクチュエータ35のロッド35bを突出させ、ローラ39がトレッド面2に接触するまで半径方向移動部27をトレッド面2に接近させる。このロッド35bの移動量も、タイヤサイズに応じて予め決定される。これにより、各スプレーガン18L、18Rの噴霧方向は、トレッド面のラジアル方向(法線方向)に正対するため、塗料を正確にかつ無駄なくトレッド面2に吹き付けしうる。従って、これは、見映えの良いカラーラインの形成を可能とする。
【0067】
また、第1のスプレーガン18Lの塗料ノズルはタイヤ赤道Cよりも上方の位置に、第2のスプレーガン18Rの塗料ノズルはタイヤ赤道Cよりも下方の位置でトレッド面2に近接して位置決めされる。
【0068】
次に、前記各スプレーガン18L、18Rからそれぞれ塗料を噴霧するとともに、前記回転具7の電動機M4を駆動することにより、タイヤ支持部4で支持されている空気入りタイヤ1aをその回転軸Z回りで少なくとも1周回転させる。これにより、図9(A)に示されるように、空気入りタイヤ1aのトレッド面2には、タイヤ赤道Cの両側でタイヤ周方向に連続する計2本のカラーラインCL1、CL2が形成される。また、カラーラインCLは、スプレーガン18によって描かれるため、トレッド面2にタイヤ軸方向にのびるトレッド溝があっても途切れることなくタイヤ周方向に連続して形成される。
【0069】
なお特に限定されるものではないが、空気入りタイヤ1aの回転速度が大きすぎると、カラーラインが薄くなる傾向があり、逆に遅すぎると、塗料が同じ箇所により多く付着して液だれ等が生じる傾向がある。このような観点より、前記空気入りタイヤ1aの回転速度(回転数)は、好ましくは20〜200rpmが望ましい。また、前記2本のカラーラインCLは、例えば異なる色彩で形成されるのが一般的であるが、特に限定されるものではない。
【0070】
また本実施形態では、両側の移動具6L、6Rを同じ高さに制御するというシンプルな制御によって、タイヤ軸方向に高さを異ならせてスプレーガン18L、18Rを位置決めできる。従って、移動具6L、6Rの制御を簡素化しつつ容易に平行なカラーラインの形成が可能となる。
【0071】
また、トレッド面2にカラーラインCLが形成された空気入りタイヤ1が得られると、制御装置8は、各スプレーガン18L、18Rからの塗料の噴霧及び空気入りタイヤ1aの回転を停止させる。しかる後、図9(A)に示されるように、制御装置8は、アクチュエータ35及び水平移動部25を作動させてスプレーガン18L、18Rを前記トレッド面2から離間させる。
【0072】
次に、図9(B)に示されるように、制御装置8は、昇降具11を作動させ、下側のリム片9bを下降させる。また、本実施形態では、このリム片9bの下降と同時に、横フレームFHに設けられたタイヤ取り外し具45のロッド45bを押し下げる。これにより、上側のリム片9aから確実に空気入りタイヤ1が下方に取り外しされる。
【0073】
下側のリム片9bの下降に伴い、空気入りタイヤ1は、再び、上流側コンベヤY1及び下流側コンベヤY2に跨った状態で双方に接触する。そして、さらに下側のリム片9bが下降することによって、空気入りタイヤ1は、コンベヤY1、Y2へと移載される。しかる後、下流側コンベヤY2を駆動し、カラーラインCLが形成された空気入りタイヤ1が搬送される。
【0074】
以上説明したように、本実施形態のカラーラインの塗装装置3を用いた空気入りタイヤの製造方法では、能率良く加硫後の空気入りタイヤ1aにカラーラインを形成することができる。従って、タイヤ加硫金型を汚損することがなく、またストリップワインド方式で作られたトレッドゴムを有する空気入りタイヤにあっても耐久性を損ねることなくカラーラインを形成できる。
【0075】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変更して実施しうるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施形態のカラーラインの塗装装置の全体斜視図である。
【図2】その拡大図である。
【図3】その正面図である。
【図4】その平面図である。
【図5】塗装ユニットのブロック図である。
【図6】移動具の拡大斜視図である。
【図7】カラーラインの塗装装置のブロック図である。
【図8】(A)〜(C)は塗装装置の作用を説明する略図である。
【図9】(A)〜(C)は塗装装置の作用を説明する略図である。
【図10】生カバーの断面図である。
【図11】ストリップワインド方式のトレッドゴムの断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 空気入りタイヤ
3 トレッド面
3 カラーラインの塗装装置
4 タイヤ支持部
5 塗装ユニット
6 スプレーガン移動具
7 回転具
8 制御装置
18 スプレーガン
18L 第1のスプレーガン
18R 第2のスプレーガン
CL カラーライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生カバーを加硫して空気入りタイヤを成型する加硫工程と、
前記加硫済みの空気入りタイヤのトレッド面に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインを形成するカラーライン塗装工程とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記塗料は、速乾性塗料である請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記生カバーは、小巾のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に巻き重ねたストリップワインド方式で作られたトレッドゴムを具える請求項1又は2記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記カラーライン塗装工程は、
前記空気入りタイヤのビード部が囲む空隙に、タイヤ軸方向両外側から分割式のリム状体を嵌入して前記空気入りタイヤを支持する段階と、
前記トレッド面と前記スプレーガンとを位置合わせして接近させる段階と、
前記スプレーガンから塗料を噴霧するとともに前記空気入りタイヤをその回転軸の回りに少なくとも1周回転させる段階と、
前記空気入りタイヤを前記リム状体から取り外す段階とを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記スプレーガンは、塗料タンクから0.01〜0.1MPaの圧力で前記塗料が圧送されるとともに、0.05〜0.3MPaの吹き付け圧力で前記塗料を噴霧する請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載されたカラーライン塗装工程に用いられるカラーラインの塗装装置であって、
空気入りタイヤのビード部が囲む空隙に、タイヤ軸方向両外側から嵌入して該空気入りタイヤを支持しうる分割式のリム状体を含むタイヤ支持部、
塗料を噴霧しうる少なくとも一つのスプレーガンを含む塗装ユニット、
前記スプレーガンを、前記タイヤ支持部で支持された空気入りタイヤの少なくとも軸方向及び半径方向に位置調節可能に移動させて前記空気入りタイヤのトレッド面に接近させるスプレーガン移動具、
前記リム状体をタイヤ回転軸の回りに回転させる回転具及び
前記回転している空気入りタイヤのトレッド面に向けて前記スプレーガンから塗料を噴霧させる制御装置を含むことを特徴とするカラーラインの塗装装置。
【請求項7】
前記リム状体は、前記空気入りタイヤと前記リム状体とが囲むタイヤ内腔に0.1〜0.3MPaの空気を充填するための高圧空気源が接続されるとともに、
前記回転具は前記空気入りタイヤを20〜200rpmで回転させる請求項6記載のカラーラインの塗装装置。
【請求項8】
前記塗装ユニットは、前記空気入りタイヤのトレッド面に関して、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向で噴霧位置が異なる少なくとも2つのスプレーガンを含む請求項6又は7に記載のカラーラインの塗装装置。
【請求項1】
生カバーを加硫して空気入りタイヤを成型する加硫工程と、
前記加硫済みの空気入りタイヤのトレッド面に、有色の塗料をスプレーガンを用いてタイヤ周方向に塗布することによりタイヤ識別用のカラーラインを形成するカラーライン塗装工程とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記塗料は、速乾性塗料である請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記生カバーは、小巾のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に巻き重ねたストリップワインド方式で作られたトレッドゴムを具える請求項1又は2記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記カラーライン塗装工程は、
前記空気入りタイヤのビード部が囲む空隙に、タイヤ軸方向両外側から分割式のリム状体を嵌入して前記空気入りタイヤを支持する段階と、
前記トレッド面と前記スプレーガンとを位置合わせして接近させる段階と、
前記スプレーガンから塗料を噴霧するとともに前記空気入りタイヤをその回転軸の回りに少なくとも1周回転させる段階と、
前記空気入りタイヤを前記リム状体から取り外す段階とを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記スプレーガンは、塗料タンクから0.01〜0.1MPaの圧力で前記塗料が圧送されるとともに、0.05〜0.3MPaの吹き付け圧力で前記塗料を噴霧する請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載されたカラーライン塗装工程に用いられるカラーラインの塗装装置であって、
空気入りタイヤのビード部が囲む空隙に、タイヤ軸方向両外側から嵌入して該空気入りタイヤを支持しうる分割式のリム状体を含むタイヤ支持部、
塗料を噴霧しうる少なくとも一つのスプレーガンを含む塗装ユニット、
前記スプレーガンを、前記タイヤ支持部で支持された空気入りタイヤの少なくとも軸方向及び半径方向に位置調節可能に移動させて前記空気入りタイヤのトレッド面に接近させるスプレーガン移動具、
前記リム状体をタイヤ回転軸の回りに回転させる回転具及び
前記回転している空気入りタイヤのトレッド面に向けて前記スプレーガンから塗料を噴霧させる制御装置を含むことを特徴とするカラーラインの塗装装置。
【請求項7】
前記リム状体は、前記空気入りタイヤと前記リム状体とが囲むタイヤ内腔に0.1〜0.3MPaの空気を充填するための高圧空気源が接続されるとともに、
前記回転具は前記空気入りタイヤを20〜200rpmで回転させる請求項6記載のカラーラインの塗装装置。
【請求項8】
前記塗装ユニットは、前記空気入りタイヤのトレッド面に関して、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向で噴霧位置が異なる少なくとも2つのスプレーガンを含む請求項6又は7に記載のカラーラインの塗装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−83511(P2007−83511A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274318(P2005−274318)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
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