説明

窒化ガリウム単結晶厚膜およびその製造方法

【課題】数mmの厚さに成長しても反りがほとんどない、独立した窒化ガリウム単結晶厚膜およびその成長方法を提供する。
【解決手段】サファイヤ基板上に、ハイドライド気相成長法(HVPE)を用いてシリコン(Si)が過剰にドープされた窒化ガリウム膜を20〜50μm範囲の厚さに成長させてクラックを誘導し、該積層体を冷却して基板の下部までクラックを伝播させたあと、該窒化ガリウム積層体上にHVPEによって窒化ガリウム厚膜を成長させる。こうして得られた基板/Si過剰ドープされた窒化ガリウム/窒化ガリウム積層体から、誘導されたクラックを有する基板とSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜とを除去することにより、表面距離当り<0001>方向に対するc軸方向の結晶チルト角の値が0.0022(°/mm)以下の、独立した窒化ガリウム厚膜が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高品質の窒化ガリウム(GaN)単結晶厚膜およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、1mm以上の厚さに成長させてもほとんど反り(bending deformation)がない窒化ガリウム単結晶厚膜およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウムは、エネルギーバンドギャップが3.39eVの直接遷移型半導体物質であって、短波長領域の発光素子などの製作に有用であり、高い温度でも化学的に非常に安定し、高い硬度を有する。通常、窒化ガリウム膜は、異種の基板上に有機金属化学蒸着法(MOCVD: metal organic chemical vapor deposition)またはハイドライド気相成長法(HVPE: hydride vapor phase epitaxy)などのような気相成長法によって製造されている。
【0003】
窒化ガリウム膜を製造するための基板としてはサファイア基板が最も多用されているが、これは、サファイアが窒化ガリウムのような六方晶系構造を有し、安価かつ高温で安定するためである。しかし、サファイアは窒化ガリウムと、格子常数の差(約16%)および熱膨張係数の差(約35%)が大きいため、窒化ガリウムと接合される場合、界面で歪みが誘発され、この歪みが窒化ガリウムに結晶内の格子欠陥、反りおよびクラックを発生させて高品質の窒化ガリウム膜の成長を難しくし、窒化ガリウム膜で製造された素子の寿命を短縮させる。
【0004】
サファイアと窒化ガリウムに存在する応力が等方的であり、窒化ガリウム膜によってサファイア基板に発生する歪みが降伏点よりも小さい場合、図1に示すように、成長した窒化ガリウム膜12がサファイア基板11の方に反るが、窒化ガリウム膜の厚さが増加するほど曲げ半径(curvature radius)が減少し、反りの程度が大きくなる。このような反りは、窒化ガリウム厚膜が成長した基板中心部と周りの部位との間の結晶性の違いを誘発させ、このような基板を用いて、たとえば、発光ダイオード素子を製作する場合、発光波長が不均一になるという問題が生じる。
【0005】
このようなサファイア/窒化ガリウム単結晶積層体の反りは、サファイア基板とその上に成長する窒化ガリウム膜の界面で発生する応力によって惹起されるので、このような応力を減少させるため、通常低温窒化ガリウムバッファ成長法[US5,290,393(1994)]、人為的な気孔を含むPENDEO成長法[US6,177,688(2001)]、窒化アルミニウムバッファ成長法[Applied Physics Letter, Vol 56, p185 (1988)]、窒化アルミニウム凹凸構造成長法[US6,528,394B1(2003)]などのような様々な界面状態調節法が利用されている。しかし、前記界面状態調節方法は、数〜数十μm厚さの窒化ガリウム膜を成長させる際に適用可能な方法であって、数百μm厚さの厚膜の成長時には応力が十分に緩和されないため窒化ガリウム膜にクラックが発生する。このように、数百μm以上の厚さを有する窒化ガリウム膜の成長時には、サファイア基板に発生する歪みが降伏点よりも大きくなり、図2に示すように、サファイア11/窒化ガリウム12積層体にクラック13が発生するので、サファイア基板に成長する窒化ガリウム膜の厚さを最大数百μm以下に制限するほかなかった。
【0006】
したがって、このような膜厚増加による問題を解決するため、従来は、図3に示すように、サファイア基板11上にクラックが発生しない程度の数十〜数百μm厚さの窒化ガリウム膜31を成長させ、これをサファイア基板から分離して応力を除去した後、分離した窒化ガリウム膜31上に窒化ガリウム厚膜32を再成長させる方法が一般的に用いられてきた(ヨーロッパ特許第01946718号および第01116827号参照)。しかし、前記方法は、サファイアなどの異種基板をレーザーや機械的研磨を通じて除去しなければならないという複雑な工程が必要であり、再成長のための窒化ガリウム基板自体にも成長時の引張り応力と冷却時の圧縮応力が印加されているため、同種基板を用いた成長方法であるにもかかわらず、再成長させた窒化ガリウム厚膜に反りまたはクラックが発生するという問題がある。
【0007】
また、文献[J. of Crystal Growth, High-quality and crack-free GaN films grown on cracked Si-doped GaN templates, accepted in press(2001), M. Hao et al.]には、サファイア基板上にクラックのない窒化ガリウム膜を形成させるために、サファイア基板上に有機金属化学蒸着法(MOCVD)によってSiドープされた数μm厚さの窒化ガリウム膜を成長させて窒化ガリウム膜の表面に人為的にクラックを誘導した後、その上にさらに窒化ガリウム膜を成長させることによって、クラックが発生しない窒化ガリウム膜を形成させる方法が開示されている。
【0008】
しかし、前記のように有機金属化学蒸着法(MOCVD)を用いる場合には、膜成長速度が数μm/hの水準と遅いため、数十〜数百μm厚さの厚膜を成長させることが難しく、基板上に数μm厚さのSiドープされた窒化ガリウム膜が成長した構造では、基板との熱膨張係数および格子常数の差によって誘導される界面応力の差が基板までクラックが伝播され得る程度に大きくなく、基板の下部までクラックを完全に伝播させて内部応力を緩和させることが難しいので、その上に優れた特性を有する厚さ1mm以上の窒化ガリウム厚膜を成長させることが難しいという短所がある。
【0009】
そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、サファイア基板とGaN厚膜との間に発生する歪みを除去するために、ハイドライド気相成長法(HVPE)を用いてサファイア基板に人為的にクラックを誘導することによって、GaN厚膜の反りおよび厚さの制約の問題を解決できることを発見し、本発明を完成するに至った。
【特許文献1】米国特許第5,290,393号
【特許文献2】米国特許第6,177,688号
【特許文献3】米国特許第6,528,394B1号
【特許文献4】ヨーロッパ特許第01946718号
【特許文献5】ヨーロッパ特許第01116827号
【非特許文献1】Applied Physics Letter, Vol 56, p185 (1988)
【非特許文献2】M. Haoら著、J. of Crystal Growth, High-quality and crack-free GaN films grown on cracked Si-doped GaN templates, accepted in press(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、数mmの厚さに成長しても反りがほとんどない、独立した(free standing)窒化ガリウム単結晶厚膜、およびサファイア基板上にこのような窒化ガリウム単結晶厚膜を成長させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、表面距離当り<0001>方向に対するc軸方向の結晶チルト角(crystal tilt-angle)の値が0.0022(°/mm)以下である窒化ガリウム単結晶厚膜を提供する。
【0012】
また、本発明は、1)基板上に、ハイドライド気相成長法(HVPE)を用いてシリコンが過剰にドープされた(Si過剰ドープされた)窒化ガリウム膜を20〜50μmの範囲の厚さに成長させてクラックを誘導する段階、2)段階1)で得られた基板/Si過剰ドープされた窒化ガリウム積層体を冷却して基板の下部までクラックを伝播させる段階、3)段階2)で得られた基板/Si過剰ドープされた窒化ガリウム積層体上にHVPEによって窒化ガリウム厚膜を成長させる段階、および4)段階3)で得られた基板/Si過剰ドープされた窒化ガリウム/窒化ガリウム積層体から、誘導されたクラックを有する基板とSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜とを除去して独立した(free-standing)窒化ガリウム厚膜を得る段階を含む、窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法によれば、サファイア基板<0001>上に、表面距離当り<0001>方向に対するc軸方向の結晶チルト角の値が0.0022(°/mm)以下の窒化ガリウム単結晶厚膜を、既存のGaN膜厚の厚さよりも2倍以上厚く成長させることができ、このように製造された窒化ガリウム厚膜は、発光ダイオードなどのような発光素子用基板材料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明の好ましい実施様態によれば、サファイア基板上へのGaN厚膜の初期成長時、成長速度が速いハイドライド気相成長法(HVPE)を用いてシリコン(Si)が過剰にドープされた窒化ガリウム層を形成させて人為的にクラックを誘導し、そのクラックを基板の下部まで伝播させることによってサファイア基板とGaN膜積層体の界面に存在する歪みを除去した後、その上に連続して純粋なGaN厚膜を成長させることによって、サファイア基板とGaN膜が接合された状態でも反りの程度が相当改善されたGaN単結晶厚膜を製造できる。
【0016】
本発明において、サファイア/窒化ガリウム積層体に人為的にクラックを誘導するために用いられる工法はHVPEであって、このHVPEは有機金属化学蒸着法(MOCVD)に比べて成長速度が速いため、数十〜数百μmの範囲のGaN厚膜が容易に得られ、基板の下部までクラックを容易に誘導できるため、連続して反りがほとんどない厚さ数百μm以上の窒化ガリウム厚膜を成長させることができる。
【0017】
本発明の実施様態に用いられる独立したGaN単結晶厚膜の概略的な製造工程を図4(a)および4(b)に示す。具体的には、サファイア基板11をハイドライド気相成長反応槽に装入した後、その上にSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜41をクラックが発生し始める厚さまで成長させ、400℃以下に冷却してサファイア基板の下部までクラックを伝播させた後、その上に連続して純粋な窒化ガリウム厚膜42を成長させた後、常温に冷却し、クラックが誘導された基板およびSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜を除去して窒化ガリウム厚膜を製造する。
【0018】
本発明の好ましい実施様態によれば、900〜1,100℃の範囲の成長温度および10〜100μm/hの成長速度を有するハイドライド気相成長法(HVPE)を用いて、窒化ガリウム厚膜の成長初期にSiを過剰にドープしてサファイア基板の下部までクラックを誘導した後、その上に連続して窒化ガリウム厚膜を成長させることによって、目的とする厚さのほとんど反りがない窒化ガリウム単結晶厚膜をサファイア基板<0001>上に成長させることができる。
【0019】
成長温度が900℃よりも低いと、成長表面における物質拡散が円滑に行われないため結晶性が低下し、1,100℃を超えると窒化ガリウムの熱力学的に安定した温度範囲を外れるため、成長した結晶が再分解するので成長速度が減少し、結晶性もまた低下する。成長速度もまた100μm/hを超えると速い成長速度によって結晶性が低下する。
【0020】
本発明の方法では、ハイドライド気相成長反応槽内に液体または固体状態のGa金属を位置させ、その温度を600〜900℃に保持しながら、これに塩化水素(HCl)ガスを流して塩化ガリウム(GaCl)ガスを生成させ、前記塩化水素注入口とは異なる注入口を介してアンモニア(NH3)ガス、およびシラン(SiH4)またはジクロロシラン(SiH2Cl2)などのようなSi前駆体ガスを供給することによって、塩化ガリウムガスとシリコンおよびアンモニアガスとの反応を通じてSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜を20〜50μmの厚さに成長させてクラックを誘導する。この際、HClガス、アンモニアガスおよびSi前駆体ガスは20:30:1〜70:300:1の体積比で供給し、Si過剰ドープされた窒化ガリウム膜上のSiドーピング濃度は2次イオン質量分析法(secondary ion mass spectroscopy, SIMS)によって測定したとき、5×1018〜2×1019(atoms/cm3)の範囲であることが好ましい。
【0021】
次いで、前記クラックが誘導されたサファイア/Si過剰ドープされた窒化ガリウム積層体を200〜400℃に冷却すると、クラックがサファイア基板の下部まで伝達されて積層体界面の応力がほとんど除去され、さらにその上にGa元素、HClガスおよびNH3ガスを用いて前記と同様な条件のハイドライド気相成長法(HVPE)を行うことによって、窒化ガリウム厚膜を目的とする厚さになるように成長させる。
【0022】
次いで、たとえば、米国特許第6,652,648号に公知のような通常のレーザー基板分離工法によってクラックが発生した基板とSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜を除去すると、反りがほとんどない1mm以上のフリースタンディング窒化ガリウム単結晶厚膜が得られる。この際、Si過剰ドープされた窒化ガリウム膜およびサファイア基板は、誘導されたクラックによって数百μmサイズの均一な粒状に分離される。
【0023】
本発明の窒化ガリウム単結晶厚膜の直径は0.5〜2インチであり、厚さは200〜1,500μmの範囲であり得る。
【0024】
生成した膜の反りの程度は、膜の中心部と中心部から所定間隔離れたエッジ部の(002)X線ロッキングカーブ(rocking curve)ピークの中心位置の移動から、表面距離当り基板<0001>方向に対するc軸方向の結晶チルト角の値を測定することによって得られる、結晶格子の傾斜程度から分かるが、この値が小さいほど反りの程度が小さい。
【0025】
本発明の方法によれば、サファイア基板上に厚さ1mm以上の窒化ガリウム厚膜を成長させても、表面距離当り<0001>方向に対するc軸方向の結晶チルト角の値が従来よりも遥かに小さい0.0022(°/mm)以下である独立した窒化ガリウム厚膜が得られる。また、前記窒化ガリウム厚膜は、<0001>等価方向面を有する窒化ガリウム単結晶だけでなく、(0001)面(すなわち、オンアクシス(on−axis)面)から7°以下のオフアクシス(off−axis)面を有する単結晶窒化ガリウムにおいても、表面距離当り<0001>方向に対するc軸方向の結晶チルト角の値が0.0022(°/mm)以下であり得る。
【0026】
このような本発明の方法によって製造された窒化ガリウム単結晶厚膜は、既存の窒化ガリウム厚膜よりも厚さおよび反りの程度が大きく改善され、発光ダイオードなどのような発光素子を初めとする電気電子素子用基板として有用である。
【0027】
以下、本発明を下記実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、これらは本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を制限しない。
【0028】
<実施例>
直径2インチのサファイア基板をハイドライド気相成長(HVPE)反応槽に装入した後、900〜1100℃の温度でアンモニアガスを流して第1次窒化処理し、アンモニアと塩化水素との混合ガス(10:1〜30:1体積比)を用いて熱処理し、さらにアンモニアガスを流して第2次窒化処理した。次いで、ハイドライド気相成長反応槽内に取り付けられたガリウム容器にガリウムを過量積載し、温度を600℃以上に保持しながら、これに塩化水素(HCl)ガスを流して塩化ガリウム(GaCl)ガスを生成させた。塩化水素ガス注入口とは異なる注入口を介してアンモニア(NH3)ガスおよびジクロロシラン(SiH2Cl2)を反応器に供給して、熱い基板表面上でこれらを塩化ガリウムガスと反応させることによって、基板と膜との間の界面近くまでクラックが発生する50μm程度の厚さにSi過剰ドープされた窒化ガリウム(GaN)膜を成長させた。この際、アンモニア、塩化水素およびジクロロシランは30:20:1〜300:70:1の体積比で供給し、成長温度を950〜1,050℃に、成長速度を20〜40μm/hにした。
【0029】
成長したSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜の顕微鏡写真を図5に示す。この写真から、Si過剰ドープによる脆性増加のため、成長したSiドープされた窒化ガリウム膜上に数十〜数百μm程度の均一な分布を示すクラックが誘導されることが観察できる。このクラックは、図6に示すように、窒化ガリウム膜41だけでなく、サファイア基板11にも同時に誘導されていることが分かる。
【0030】
次いで、得られたサファイア/Si過剰ドープの窒化ガリウム積層体を約400℃に冷却してクラックをサファイア基板の下部までさらに伝播させた後、その上に連続してGa元素、NH3ガスおよびHClガスを用いて前記と同様な条件でハイドライド気相成長工程を行って厚さ1mmの純粋な窒化ガリウム厚膜42を成長させた。このようにして得られた複合体に対して355nmのNd:YAGエキシマーレーザーを用いることによって、クラック誘導によって粒状にGaN厚膜に付着している基板11とSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜41を純粋窒化ガリウム厚膜42から除去分離し(図7参照)、1mm厚さの独立した窒化ガリウム単結晶厚膜(図8参照)を得た。
【0031】
また、得られた窒化ガリウム単結晶厚膜の中心部分と、中心部から18mm離れた部分で得た(002)X線ロッキングカーブでのピーク中心移動を分析した結果(図9参照)、中心部から18mm離れた部分のチルト角の値が0.039°、すなわち、表面距離当り基板<0001>方向に対するc軸方向の結晶チルト角の値が0.0022(°/mm)であって、既存の窒化ガリウム厚膜のチルト角の値よりも遥かに小さかった。また、曲げ半径は約3m程度であって、既存の平均曲げ半径である0.5mよりも遥かに大きかった。これらの結果から、本発明によって製造されたGaN厚膜は、シリコン(Si)過剰ドープ工法を提供していない既存のGaN膜の最大厚さ400μmよりも2倍以上厚い1mm厚さに成長したにもかかわらず、反りの程度が遥かに改善されたことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】サファイア/GaN積層体から発生する反りを示す図である。
【図2】サファイア/GaN積層体から発生するクラックを示す図である。
【図3】従来のクラック防止型GaN厚膜の成長方法を示す図である。
【図4】本発明による、人為的なクラック誘導工法を用いたGaN厚膜の製造工程を示す概略図である。
【図5】本発明の実施例に従ってSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜に形成されたクラックを観察した顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例で得られたサファイア/Si過剰ドープされた窒化ガリウム積層体に発生したクラックを観察した顕微鏡写真である。
【図7】本発明の実施例に従ってレーザー分離工法によって粒状に分離されるサファイア基板を観察した顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例で製造した、独立したGaN厚膜の顕微鏡観察写真である。
【図9】本発明の実施例で製造したGaN厚膜のX線回折(XRD)分析結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0033】
11:サファイア基板<0001>
12:GaN膜
13:クラック
31:再成長基板用GaN膜
32:再成長したGaN厚膜
41:Si過剰ドープされた窒化ガリウム膜
42:窒化ガリウム厚膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面距離当り<0001>方向に対するc軸方向の結晶チルト角の値が0.0022(°/mm)以下である窒化ガリウム(GaN)単結晶厚膜。
【請求項2】
直径が0.5〜2インチ、厚さが200〜1500μmの範囲であることを特徴とする、請求項1記載の窒化ガリウム(GaN)単結晶厚膜。
【請求項3】
1)基板上に、ハイドライド気相成長法(HVPE)を用いてシリコン(Si)が過剰にドープされた窒化ガリウム膜を20〜50μm範囲の厚さに成長させてクラックを誘導する段階、
2)段階1)で得られた基板/Si過剰ドープされた窒化ガリウム積層体を冷却して基板の下部までクラックを伝播させる段階、
3)段階2)で得られた基板/Si過剰ドープされた窒化ガリウム積層体上にHVPEによって窒化ガリウム厚膜を成長させる段階、および
4)段階3)で得られた基板/Si過剰ドープされた窒化ガリウム/窒化ガリウム積層体から、誘導されたクラックを有する基板とSi過剰ドープされた窒化ガリウム膜とを除去して独立した窒化ガリウム厚膜を得る段階を含む、窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項4】
前記基板がサファイア単結晶基板であることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記段階1)において、Si過剰ドープされた窒化ガリウム膜を、ハイドライド気相成長反応槽内にGa金属を位置させ、反応槽の温度を600〜900℃に保持しながら、これに塩化水素(HCl)ガスを流して塩化ガリウム(GaCl)ガスを生成させ、HClとは別途にアンモニア(NH3)ガス、およびシリコン(Si)前駆体ガスを供給して、塩化ガリウムガスとシリコンとアンモニアガスとの反応を誘導することによって成長させることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記塩化水素ガス、アンモニアガスおよびSi前駆体ガスを20:30:1〜70:300:1の体積比で供給することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
Si過剰ドープされた窒化ガリウム膜のSiドーピング濃度が5×1018〜2×1019(atoms/cm3)の範囲であることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記段階1)または3)において、HVPE工程が900〜1,100℃の範囲の成長温度で行われることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記HPVE工程が10〜100μm/hの範囲の成長速度で行われることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記段階2)において、基板/Si過剰ドープされた窒化ガリウム積層体を200〜400℃に冷却することを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項11】
請求項1または請求項2記載の窒化ガリウム単結晶厚膜を基板として含む電気または電子素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−143581(P2006−143581A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338774(P2005−338774)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(501379281)三星コーニング株式会社 (16)
【Fターム(参考)】