説明

窒化物半導体装置の製造方法

【課題】p型電極のコンタクト抵抗を低減することができる窒化物半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】n型GaN基板上に、V族原料としてアンモニアとヒドラジン誘導体を用いて、p型GaN層(p型窒化物半導体層)を形成する。次に、p型GaN層にオーミック接触するp側電極を形成する。p型GaN層を形成した後に450℃より高い温度で熱処理を行わない。これにより、p側電極58のコンタクト抵抗を低減することができる。従って、動作電圧を低くすることができるため、発熱による電力消費を低減することができ、高出力でも劣化の少ない長寿命の半導体レーザーを得ることができる。また、コンタクト抵抗が低いため、高速の応答が可能になる。さらに、高温の熱処理を必要としないため、プロセス変動の影響を受けにくく、歩留まりを向上させることができ、低コスト化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p型窒化物半導体層にオーミック接触するp側電極を備えた窒化物半導体装置の製造方法に関し、特にp側電極のコンタクト抵抗を低減することができる窒化物半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルーレイ−ディスクの記録・読み出しに用いるレーザー光源として窒化物系青紫色半導体レーザーが用いられている。現在は光出力250mWレベルの半導体レーザーを用いて最大で2層に6分の1の時間(6倍速)で記録が可能な製品が市販されている。
【0003】
更に記録速度を向上させ記録密度を増やすための多層記録化を推し進めるには400mWを越す高出力化が必要となる。高出力動作時の経時劣化を抑制するには、電力の消費を抑えて温度上昇を抑制する必要がある。そのためには、電極のコンタクトにおける電圧降下を低減して、動作電圧を低減するのが効果的である。
【0004】
特に細いリッジ上に形成するp側電極は接触面積が狭いため、コンタクト抵抗率に大きく左右される。このコンタクト抵抗率は、p型半導体層の最表面にあるコンタクト層のキャリア濃度、界面のトラップ濃度、及び電極材料の仕事関数によって決まる。
【0005】
窒化物系半導体層を有機金属気相成長(MOCVD)する際に、p型ドーパントとして例えばMgをドーピングした場合、窒素原料のアンモニアが分解して生じる水素が結晶中に取り込まれてMgの隣のサイトに入ることで、Mgの活性化が妨げられる。そこで、p型キャリアの増加を図るために、水素の無い雰囲気で600℃以上の熱処理を行ってp型不純物の活性化を増進している(例えば、特許文献1参照)。例えば窒素雰囲気で900℃以上の熱処理を行うことで、良好な特性のコンタクト抵抗を得ることができる。このような方法により製造された250mWレベルの半導体レーザーが市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−154829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
p型不純物の活性化を増進するための熱処理を行うと、結晶表面からの窒素抜けや表面酸化が生じる。これにより、結晶表面に窒素欠損起因のn型キャリアが発生し、トラップ濃度が増加するため、p側電極のコンタクト抵抗率が大きくなる。実際にはこれらを考慮した最適化を行うことで必要な特性を得ている。しかし、熱処理の温度に大きく依存するため、プロセスの変動によって特性がばらつく。また、p側電極のコンタクト抵抗を更に低減することは困難であった。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、p側電極のコンタクト抵抗を低減することができる窒化物半導体装置の製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基板上に、n型窒化物半導体層、活性層、p型窒化物半導体層を順次形成する工程と、前記p型窒化物半導体層にオーミック接触するp側電極を形成する工程とを備え、前記p型窒化物半導体層の結晶成長においてヒドラジン誘導体とアンモニアを含むV族ガスを用い、前記p型窒化物半導体層を形成した後に450℃より高い温度で熱処理を行わないことを特徴とする窒化物半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、p側電極のコンタクト抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係る窒化物半導体装置を示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係る窒化物半導体装置を製造するためのMOCVD装置である。
【図3】実施の形態1及び比較例の製造方法によりそれぞれ製造した窒化物半導体装置について、シンター処理の温度とコンタクト抵抗率の関係を示す図である。
【図4】p型GaN層成長時の原料ガスの流速とp型GaN層のMgのドーピング効率の関係を示す図である。
【図5】p型GaN層の抵抗率の炭素濃度依存性を示す図である。
【図6】p型GaN層の抵抗率のヒドラジン/III族原料供給モル比依存性を示す図である。
【図7】p型GaN層の抵抗率のNH/ヒドラジン供給モル比依存性を示す図である。
【図8】p型GaN層の炭素濃度の成長温度依存性を示す図である。
【図9】p型GaN層の成長時間を変えたときのp型AlGaN層中の水素濃度をSIMS分析により測定した結果である。
【図10】MOCVD装置の変形例である。
【図11】実施の形態2に係る窒化物半導体装置を示す斜視図である。
【図12】実施の形態2に係る窒化物半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る窒化物半導体装置を示す断面図である。この窒化物半導体装置は例えば青紫色LDの積層構造である。ただし、青紫色LDなどの光半導体装置に限らず、例えばトランジスタなどの一般的な半導体装置の積層構造でもよい。
【0013】
n型GaN基板10の主面である(0001)面上に層厚2μmのp型Al0.07Ga0.93N層12が形成されている。このp型Al0.07Ga0.93N層12上に層厚50nmのp型GaN層14が形成されている。p型Al0.07Ga0.93N層12中の水素濃度は1×1019cm−3以下であり、p型GaN層14の炭素濃度は5×1016cm−3以上1×1018cm−3以下である。p型GaN層14上にPd/Ta/Pdの3層構造のp側電極16が形成されている。n型GaN基板10の裏面にn側電極18が形成されている。
【0014】
次に、本実施の形態に係る窒化物半導体装置の製造方法について説明する。結晶成長方法としてMOCVD法を用いる。III族原料として、有機金属化合物であるトリメチルガリウム(TMG)とトリメチルアルミニウム(TMA)を用いる。p型不純物原料として、シクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を用いる。V族原料として、アンモニア(NH)と1,2ジメチルヒドラジン(ヒドラジン誘導体)を用いる。これらの原料ガスのキャリアガスとして、水素(H)ガス、窒素(N)ガスを用いる。ただし、p型不純物としてMgの代わりにZnやCaなどを用いてもよい。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る窒化物半導体装置を製造するためのMOCVD装置である。MOCVD装置は、カーボン製のサセプタ20と、石英の反応管22と、高周波コイル24と、第1のガス導入部26と、第2のガス導入部28と、排気口30を有する。n型GaN基板10はサセプタ20にセットされて反応管22内に設置される。高周波コイル24は、サセプタ20を介してn型GaN基板10を加熱する。第1のガス導入部26は反応管22内にIII族原料、p型不純物原料及びキャリアガスを導入し、第2のガス導入部28はV族原料及びキャリアガスを導入する。排気口30は、これらの原料ガスを反応管22から排気する。
【0016】
まず、予めサーマルクリーニングなどにより表面を清浄化したn型GaN基板10を用意する。そして、n型GaN基板10をMOCVD装置の反応炉内に載置した後、流量4.5×10−1mol/minのアンモニアと流量20l/minの窒素ガスを供給しながら、n型GaN基板10の温度を1000℃まで上昇させる。
【0017】
次に、窒素ガスとアンモニアに加えて、流量2.4×10−4mol/minのTMG、流量1.4×10−5mol/minのTMA、流量3.0×10−7mol/minのCPMgを供給する。これにより、n型GaN基板10の主面上にp型Al0.07Ga0.93N層12を形成する。
【0018】
次に、TMAの供給を停止し、キャリアガスと共に流量1.2×10−4mol/minのTMG、流量9.0×10−7mol/minのCPMg、V族原料として4.5×10−2mol/minのアンモニアに加えて流量5.6×10−4mol/minの1,2ジメチルヒドラジンを供給する。これにより、p型Al0.07Ga0.93N層12上にp型GaN層14を形成する。このときの成長時間は5minである。
【0019】
また、p型GaN層14形成時におけるIII族原料、V族原料及びp型不純物原料を含む原料ガスの流速を0.25m/secとする。ここで、原料ガスの流速は、単位時間あたりのIII族原料ガス、V族原料ガス、キャリアガスの供給量、反応炉内の圧力と反応炉の断面積から算出したものである。原料ガスの流速を変化させるために、キャリアガスの供給量や反応炉内の圧力を変化させる。
【0020】
次に、TMGとCPMgの供給を停止し、V族原料を供給しながら300℃程度まで冷却する。その後、V族原料の供給も停止してn型GaN基板10の温度を室温まで冷却する。なお、TMGとCPMgの供給を停止する時に、V族原料であるアンモニアと1,2ジメチルヒドラジンの供給も停止してもよい。また、アンモニアの供給も停止して、1,2ジメチルヒドラジンだけを供給しながら300℃程度まで冷却してもよい。1,2ジメチルヒドラジンはアンモニアよりも低い温度で分解されるので、結晶面からの窒素の再離脱が少なくなり、表面のモフォロジが良くなる。以上の結晶成長を行った後にMg活性化増進のためのアニールは行わない。
【0021】
次に、ウェハ上にコンタクト抵抗評価用のテストパターンをレジスト(不図示)に転写した後、Pd/Ta/Pdを50nm/20nm/100nmの厚さで蒸着して、p型GaN層14にオーミック接触するp側電極16を形成する。その後、窒素:酸素=4:1の雰囲気でシンター処理を行う。そして、n型GaN基板10の裏面にn側電極18を形成する。以上の製造工程により実施の形態1の窒化物半導体装置が製造される。
【0022】
図3は、実施の形態1及び比較例の製造方法によりそれぞれ製造した窒化物半導体装置について、シンター処理の温度とコンタクト抵抗率の関係を示す図である。比較例の製造方法では、V族原料としてヒドラジン誘導体を用いずにアンモニアだけを用いてp型GaN層14を結晶成長させ、Mg活性化増進のために窒素雰囲気中900℃で1分間のアニールを行った。その他の工程は実施の形態1と同じである。
【0023】
比較例では、蒸着直後の熱処理無しの状態でのコンタクト抵抗率は高い。そして、500℃程度のシンター処理を行うとコンタクト抵抗率は4E−4Ωcm−2程度と最も低くなる。これは、熱処理によりp型GaN層14の最表面とp側電極16が反応してオーミック接触が形成されるからである。
【0024】
一方、実施の形態1では、蒸着後の熱処理無しの状態でコンタクト抵抗率が4E−5Ωcm−2と最も低い。これは、p型GaN層14の表面の窒素抜けが最小限に抑えられ、表面のキャリア濃度が十分だからである。しかし、シンター処理の温度を高くするほど、界面の劣化が進んでコンタクト抵抗率が高くなる。
【0025】
そこで、実施の形態1では、シンター処理の温度をコンタクト抵抗が急激に増加し始める450℃以下とする。より好ましくはシンター処理の温度を400℃以下とする。これにより、1E−4Ωcm−2以下のコンタクト抵抗率を実現できる。従って、p側電極16で発生する電圧降下を比較例の1/4以下に抑えることができる。
【0026】
本実施の形態では、V族原料としてアンモニアとヒドラジン誘導体を用いてp型GaN層14を形成し、その後に450℃より高い温度で熱処理を行わないため、p側電極16のコンタクト抵抗を低くすることができる。従って、動作電圧を低くすることができるため、発熱による電力消費を低減することができ、高出力でも劣化の少ない長寿命の半導体レーザーを得ることができる。また、コンタクト抵抗が低いため、高速の応答が可能になる。さらに、高温の熱処理を必要としないため、プロセス変動の影響を受けにくく、歩留まりを向上させることができ、低コスト化が可能になる。
【0027】
また、p側電極16を450℃以下でシンター処理することで、p側電極16のコンタクト抵抗を低くしつつ、後のプロセスで特性が変動するのを防ぐことができる。
【0028】
また、本実施の形態の窒化物半導体装置についてSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析によりMg濃度を定量したところ、p型GaN層14中のMg濃度は9×1019cm−3であり、Mgのドーピング効率は0.56%と実用上十分なレベルであった。ここで、Mgのドーピング効率とは、Mg原料ガスの供給量に対する結晶中に入ったMgの割合である。
【0029】
図4は、p型GaN層成長時の原料ガスの流速とp型GaN層のMgのドーピング効率の関係を示す図である。原料ガスの流速が0.25m/secより遅いと、ドーピング効率が急激に低下することが分かる。流速を0.17m/secとした場合のドーピング効率は、0.13まで低下し、実用上十分なレベルではない。このように流速が遅い場合にMgのドーピング効率が急激に低下するのは、V族原料である1,2ジメチルヒドラジンとp型不純物原料であるCPMgが気相中で反応を起こし、結晶中へ取り込まれることなく排気されるためと考えられる。従って、原料ガスの流速を上げることで気相反応を抑制できる。具体的は、原料ガスの流速を0.2m/secより大きくすると、Mgのドーピング効率が0.3%より大きくなり、実用上十分なレベルのドーピング量を実現することができる。
【0030】
なお、原料ガスの流速を大きくし過ぎると、結晶の成長効率が落ちる。本実施の形態の場合、原料ガスの流速を1.0m/secより小さくすることが望ましく、0.5m/secより小さくすることが更に望ましい。
【0031】
また、図2のMOCVD装置では、第1のガス導入部26によりp型不純物原料であるCPMgを導入し、第2のガス導入部28によりV族原料である1,2ジメチルヒドラジンを導入する。即ち、n型GaN基板10の近傍までは、V族原料を含む原料ガスと、p型不純物原料を含む原料ガスとを分けて導入する。これにより、V族原料である1,2ジメチルヒドラジンとp型不純物原料であるCPMgが、n型GaN基板10の近傍に来る前に気相反応を起こしてしまうのを防ぐことができる。
【0032】
また、本実施の形態では、V族原料としてアンモニアとヒドラジン誘導体を用いてp型GaN層14を形成する。ヒドラジン誘導体からHラジカルと同時にCHラジカルが生成される。このCHラジカルがHラジカルと反応してCHとして排出されるため、Hラジカルが結晶中に取り込まれるのを防ぐことができる。
【0033】
本実施の形態の窒化物半導体装置についてVan der Pauw法によりホール測定を行うと、キャリア(正孔)濃度が室温において7.0×1017cm−3、抵抗率が0.7Ωcmであった。一方、p型GaN層の成長時にV族原料としてアンモニアのみを用いた同様の積層構造についてホール測定を行ったが、as-grownでは抵抗率が高くホールは測定できなかった。そこで、900℃程度の熱処理を施して同様の測定を行った結果、正孔濃度は7.0×1017cm−3、抵抗率は1.0Ωcmであった。従って、本実施の形態では、熱処理を行うことなく同程度以下の抵抗率を実現できることが分かった。
【0034】
また、III族原料のTMGから遊離したCHラジカルもCHとして排出する必要がある。しかし、V族原料としてジメチルヒドラジンのみを用いた場合は、CHラジカルからCHを生成するために必要となるHラジカルが不足する。そこで、本実施の形態では、所定量のアンモニアを添加して、CHの生成に必要な量のHラジカルを供給する。これにより、p型GaN層14の炭素濃度を1×1018cm−3以下にすることができる。ただし、Hラジカルが多過ぎるとHパッシベーションが発生するので、NHの供給量を最小限に抑える必要がある。
【0035】
図5は、p型GaN層の抵抗率の炭素濃度依存性を示す図である。1×1016cm−3が炭素の検出限界である。この結果から分かるように、p型GaN層14は、炭素濃度が1×1018cm−3以下であるため、抵抗率がデバイスとして使用できる程度に十分に低い。
【0036】
また、p型GaN層14を形成する際に、キャリアガスとして、水素ガスの体積組成比をx(0≦x≦1)、窒素ガスの体積組成比を1−xとした水素ガスと窒素ガスの混合ガスを用いる。即ち、p型層を形成する際のキャリアガスは、窒素ガス単独、窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、水素ガス単独の何れでも良い。ここで、n型GaN基板10の温度が1000℃程度では水素ガスは解離せず、水素分子の状態のままで存在し、結晶中に取り込まれることはない。従って、結晶中に取り込まれるHラジカルはNHから分解されたHラジカルが主体であると考えられるので、キャリアガスを水素ガス単独にしても抵抗率が低いp型GaN層14を形成することができる。
【0037】
例えば水素ガス:窒素ガスが1:1の混合ガスを用いる場合、供給流量10l/minの窒素ガスと供給流量10l/minの水素ガスを混合する。このようにキャリアガスを混合ガスとした場合には、キャリアガスを窒素ガス単独とした場合に比べて、p型GaN層の表面モフォロジが良好であった。また、Van der Pauw法によりホール測定を行った結果、室温において正孔濃度が5×1017cm−3、抵抗率が0.9Ωcmであった。そして、窒素ガス雰囲気中で700℃の熱処理を行うと、正孔濃度は7×1017cm−3に増大し、抵抗率は0.6Ωcmに減少した。このように追加の熱処理を行うと、窒素ガス単独の場合と比べて抵抗率が低くなったのは、混合ガスを用いることにより、表面の平坦性が向上して結晶性が改善されたためと考えられる。
【0038】
図6は、p型GaN層の抵抗率のヒドラジン/III族原料供給モル比依存性を示す図である。ヒドラジン/III族原料供給モル比とは、III族原料供給モル流量に対するヒドラジンの供給モル流量である。n型GaN基板10の温度を1000℃、NH/ヒドラジン供給モル比を120、キャリアガスとして窒素ガスと水素ガスを比率1:1で混合したガスを用いた。この結果、ヒドラジン/III族原料供給モル比20と25との間で抵抗率が急激に上昇した。これは結晶中に含まれる炭素濃度が増加したことに起因している。一方、ヒドラジン/III族原料供給モル比が1未満では、結晶中にV族の空孔が発生し結晶劣化を引き起こす。従って、p型GaN層14を形成する際に、有機金属化合物に対するヒドラジン誘導体の供給モル比を望ましくは1以上20未満、更に望ましくは3以上15以下とする。
【0039】
図7は、p型GaN層の抵抗率のNH/ヒドラジン供給モル比依存性を示す図である。NH/ヒドラジン供給モル比とは、ヒドラジンの供給モル流量に対するNHの供給モル流量である。n型GaN基板10の温度を1000℃、III族原料供給モル流量に対するヒドラジンの供給モル流量を9.4とし、キャリアガスとして窒素ガスと水素ガスを1:1で混合したガスを用いた。この結果、NH/ヒドラジン供給モル比が10以下になると、Hラジカルの供給が不足し結晶中の炭素濃度が増加するため抵抗率が高くなった。一方、NH/ヒドラジン供給モル比が500から1000の間で抵抗率が急峻に上昇した。これはNHの過剰供給により結晶中にHが取り込まれることでHパッシベーションが発生したためである。従って、p型GaN層14を形成する際に、ヒドラジン誘導体に対するアンモニアの供給モル比を望ましくは10以上1000未満、更に望ましくは20以上500以下とする。
【0040】
図8は、p型GaN層の炭素濃度の成長温度依存性を示す図である。成長温度は基板の温度と同じである。ヒドラジン/III族原料供給モル比を9.4、NH/ヒドラジン供給モル比を120、キャリアガスとして窒素ガスと水素ガスを比率1:1で混合したガスを用いた。この結果、800℃から900℃にかけて結晶中の炭素濃度が急激に減少した。また、成長温度が低くなるとNHの分解が減少し、CHラジカルがCHとなって放出されなくなり、結晶中に取り込まれると考えられる。一方、p型GaNの結晶成長が可能な温度は1200℃未満である。従って、p型GaN層14を形成する際に、n型GaN基板10の温度を望ましくは800℃以上1200℃未満、更に望ましくは900℃以上1200℃未満とする。
【0041】
また、V族原料としてヒドラジン誘導体とアンモニアを用いて形成するのは全てのp型層でもいいし、最上層であるp型GaN層14のみでも良い。ただし、V族原料としてアンモニアのみを用いてp型Al0.07Ga0.93N層12を形成することが好ましい。即ち、Alがある層は炭素が入り込みやすいので、p型Al0.07Ga0.93N層12の成長時には、炭素を含むヒドラジン誘導体を用いないことが好ましい。ただし、基板上にp型AlGaN層だけを成長させてSIMS分析を行ったところ、水素濃度がMg濃度と同程度の2.0×1019cm−3になった。これに対し、本実施の形態ではp型Al0.07Ga0.93N層12の水素濃度は1×1019cm−3以下である。このように水素濃度を抑制することができたのは、p型GaN層14の成長中にp型Al0.07Ga0.93N層12内の水素の取り込みを防止できたためである。
【0042】
p型Al0.07Ga0.93N層12中の水素濃度が高いと、Hラジカルとp型不純物が反応するHパッシベーションが発生し、p型不純物の活性化率が低下する。そして、p型不純物を活性化させるために熱処理を行うと、p型半導体層の表面から窒素(N)が脱離し、結晶が劣化する。これに対し、p型Al0.07Ga0.93N層12は、水素濃度が1×1019cm−3以下であるため、抵抗率が十分に低く、熱処理が不要で結晶性も良い。
【0043】
図9は、p型GaN層の成長時間を変えたときのp型AlGaN層中の水素濃度をSIMS分析により測定した結果である。このときp型Al0.07Ga0.93N層12中のMg濃度は2×1019cm−3である。これにより、p型GaN層14の成長時間が0sec、即ち成長を行わなかった場合、水素濃度はMgと同等の2×1019cm−3であるのに対し、成長時間が10sec以上であれば水素濃度は5×1018cm−3以下となる。水素濃度が1×1019cm−3以下になれば、十分に抵抗率が低いp型窒化物半導体層を形成することができる。さらに、120秒以上であれば水素濃度は2×1018cm−3以下となることが分かった。従って、p型GaN層14の成長時間を望ましくは10秒以上、更に望ましくは120秒以上とする。
【0044】
図10は、MOCVD装置の変形例である。第1のガス導入部26及び第2のガス導入部28の上に設けられた第3のガス導入部32を更に有する。第1のガス導入部26は反応管22内にIII族原料及びp型不純物原料を導入し、第2のガス導入部28はV族原料を導入し、第3のガス導入部32はキャリアガスを導入する。この第3のガス導入部32から導入されるキャリアガスにより、原料ガスの上方への対流を抑えることができる。
【0045】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る窒化物半導体装置を示す斜視図である。この窒化物半導体装置はリッジ導波路型の青紫色LDである。ただし、これに限らず、青紫色LD全般や発光ダイオードにも同様に適用できる。
【0046】
n型GaN基板34の主面である(0001)面上に、層厚1μmのn型GaNバッファ層36、層厚1.0μmのn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層38、層厚0.1μmのn型GaN光ガイド層40、活性層42、層厚0.02μmのp型Al0.2Ga0.8N電子障壁層44、層厚0.1μmのp型GaN光ガイド層46、層厚0.4μmのp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層48、層厚0.1μmのp型GaNコンタクト層50が順番に形成されている。
【0047】
活性層42は、層厚3.5nmのIn0.12Ga0.88N井戸層と層厚7.0nmのGaN障壁層とを交互に3対積層した多重量子井戸構造である。p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層48とp型GaNコンタクト層50は導波路リッジ52を形成している。導波路リッジ52は共振器の幅方向の中央部分に形成され、共振器端面となる両劈開面の間に延在している。
【0048】
導波路リッジ52の側壁及び露呈しているp型GaN光ガイド層46の表面上にシリコン酸化膜54が配設されている。導波路リッジ52の上面にシリコン酸化膜54の開口部56が設けられ、この開口部56からp型GaNコンタクト層50の表面が露出している。この露出したp型GaNコンタクト層50上にp側電極58が形成されている。n型GaN基板34の裏面にはn側電極60が形成されている。p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層48中の水素濃度は1×1019cm−3以下であり、p型GaNコンタクト層50の炭素濃度は5×1016cm−3以上1×1018cm−3以下である。
【0049】
実施の形態2に係る窒化物半導体装置の製造方法について説明する。結晶成長方法としてMOCVD法を用いる。III族原料として、有機金属化合物であるトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)を用いる。V族原料として、アンモニア(NH)と1,2ジメチルヒドラジン(ヒドラジン誘導体)を用いる。n型不純物原料としてモノシラン(SiH)を用い、p型不純物原料としてシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を用いる。これらの原料ガスのキャリアガスとして、水素(H)ガス、窒素(N)ガスを用いる。ただし、p型不純物としてMgの代わりにZnやCaなどを用いてもよい。
【0050】
まず、予めサーマルクリーニングなどにより表面を清浄化したn型GaN基板34を用意する。そして、n型GaN基板34を図2又は図10のMOCVD装置の反応炉内に載置した後、アンモニアを供給しながら、n型GaN基板34の温度を1000℃まで上昇させる。次に、TMGとモノシランの供給を開始して、n型GaN基板34の主面上にn型GaNバッファ層36を形成する。次に、TMAの供給を開始して、n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層38を形成する。次に、TMAの供給を停止して、n型GaN光ガイド層40を形成する。次に、TMGとモノシランの供給を停止して、n型GaN基板34の温度を700℃まで降温する。
【0051】
次に、TMGとTMIとアンモニアを供給してIn0.12Ga0.88N井戸層を形成する。そして、TMIを停止し、TMGとアンモニアとを供給してGaN障壁層を形成する。これを交互に3対積層することにより多重量子井戸(MQW)構造の活性層42を形成する。
【0052】
次に、アンモニアを供給しながら、n型GaN基板34の温度を1000℃まで再び上昇させる。そして、TMGとTMAとCPMgを供給して、n型GaN基板34の主面上にp型Al0.2Ga0.8N電子障壁層44を形成する。次に、TMAの供給を停止してp型GaN光ガイド層46を形成する。
【0053】
次に、TMAの供給を再度開始し、流量2.4×10−4mol/minのTMG、流量1.4×10−5mol/minのTMA、流量3.0×10−7mol/minのCPMg、V族原料としてアンモニアをそれぞれ供給して、p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層48を形成する。このp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層48の炭素濃度は1×1018cm−3以下である。
【0054】
次に、TMAの供給を停止し、キャリアガスと共に流量1.2×10−4mol/minのTMG、流量9.0×10−7mol/minのCPMg、V族原料として流量4.5×10−2mol/minのアンモニアに加えて流量5.6×10−4mol/minの1,2ジメチルヒドラジンをそれぞれ供給して、p型GaNコンタクト層50を形成する。このp型GaNコンタクト層50形成時におけるIII族原料、V族原料及びp型不純物原料を含む原料ガスの流速を0.25m/secとする。
【0055】
次に、TMGとCPMgの供給を停止し、V族原料を供給しながら300℃程度まで冷却する。なお、TMGとCPMgの供給を停止する時に、アンモニアも停止して、V族原料として1,2ジメチルヒドラジンだけを供給しながら300℃程度まで冷却してもよい。
【0056】
以上の結晶成長を行った後にMg活性化増進のためのアニールは行わない。このため、p型GaNコンタクト層50の表面は親水性を示し、レジストの密着性が悪い。そこで、p型GaNコンタクト層50の表面の疎水化処理を行う。ここでは窒素雰囲気中で450℃以下のベーキングを行う。例えば350℃、10分のベーキングを行う。
【0057】
次に、図12に示すように、表面を疎水化したp型GaNコンタクト層50の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりメサ状部の形状に対応したレジストパターン62を形成する。このレジストパターン62をマスクとして、反応性イオンエッチング(RIE)法により、p型GaNコンタクト層50からp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層48の途中までエッチングして、光導波構造となる導波路リッジ52を形成する。RIEのエッチングガスとしては、例えば塩素系ガスを用いる。
【0058】
次に、レジストパターンを残したまま、n型GaN基板34上の全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより、膜厚が0.2μmのシリコン酸化膜54を形成する。そして、レジストパターンの除去と同時に、いわゆるリフトオフ法により導波路リッジ52上にあるシリコン酸化膜54を除去する。これにより、導波路リッジ52上においてシリコン酸化膜54に開口部56が形成される。
【0059】
次に、p型GaNコンタクト層50上にPd/Ta/Pdを50nm/20nm/100nmの厚さで蒸着する。その後、レジスト(不図示)を塗布し、リソグラフィー及びウエットエッチング又はドライエッチングを行うことで、p型GaNコンタクト層50にオーミック接触するp側電極58を形成する。なお、p型GaNコンタクト層50にオーミック接触するPd膜の代わりに、Pdを主成分とする金属膜を用いてもよい。p側電極58形成後のシンター処理は行わない。その後、通常の方法でパッシベーション膜やパッド電極(不図示)を形成する。
【0060】
次に、Siプラズマ処理と酸素プラズマ処理の少なくとも一方を行うことでn型GaN基板34の裏面の最表面に変性層を形成する。この変性層が損なわれるのを防ぐために、n型GaN基板34の裏面に対して塩酸、フッ酸、硝酸、硫酸などの強酸による表面処理を行わない。その後に、n型GaN基板34の裏面にTi/Pt/Auを順次成膜してn側電極60を形成する。なお、n型GaN基板34の裏面にオーミック接触するTi膜の代わりにTa膜を用いてもよい。このn側電極60を360℃以下でシンター処理する。
【0061】
次に、n型GaN基板34を劈開などによりバー形状に加工して共振器の両端面を形成する。そして、共振器の端面にコーティングを施した後、バーをチップ形状に劈開することで、実施の形態2に係る窒化物半導体装置が製造される。
【0062】
比較例として、V族原料としてヒドラジン誘導体を用いずにアンモニアだけを用いてp型GaN層14を結晶成長させ、Mg活性化増進のために窒素雰囲気中900℃で1分間のアニールを行い、その他の工程は実施の形態2と同様にして半導体レーザーを製造した。この比較例の半導体レーザーでは、150mA連続通電時の動作電圧は約5Vであった。一方、実施の形態2に係る半導体レーザーでは約4.8V以下であった。
【0063】
本実施の形態では、V族原料としてアンモニアとヒドラジン誘導体を用いてp型GaNコンタクト層50を形成し、その後に450℃より高い温度で熱処理を行わないため、p側電極58のコンタクト抵抗を低くすることができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、p型GaNコンタクト層50の表面を疎水化する疎水化処理を行うため、レジスト剥がれの無い安定したプロセスが可能となり歩留まりが改善される。
【0065】
また、n側電極60を360℃以下でシンター処理することで、p側電極58のコンタクト抵抗を低くしつつ、後のプロセスで特性が変動するのを防ぐことができる。
【0066】
また、n側電極60を形成する前に、Siプラズマ処理と酸素プラズマ処理の少なくとも一方を行うことでn型GaN基板34の裏面の最表面に変性層を形成することにより、高温熱処理を必要としない低抵抗のn側電極60を形成できる。
【0067】
また、p側電極58は、p型GaNコンタクト層50にオーミック接触する金属膜を有し、金属膜はPdを主成分とする。これにより、p側電極58のコンタクト抵抗を低くすることができる。そして、p側電極58は、金属膜を覆うTa膜を更に有する。これにより、p側電極58の特性が安定する。
【0068】
また、n側電極60は、n型GaN基板34の裏面にオーミック接触するTi膜又はTa膜を有する。これにより、n側電極60のコンタクト抵抗を低くすることができる。
【0069】
また、本実施の形態では、V族原料としてアンモニアとヒドラジン誘導体を用いてp型GaNコンタクト層50を形成し、V族原料としてアンモニアのみを用いてp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層48を形成した。これにより、実施の形態1と同様に、十分に抵抗率が低いp型窒化物半導体層を形成することができる。また、結晶成長後にp型不純物を活性化させるための熱処理を行う必要が無いため、結晶性が良い。また、実施の形態1と同様に、原料ガスの流速を0.2m/secより大きくしたため、Mgのドーピング効率を0.3%より大きくすることができる。
【0070】
また、実施の形態1と同様に、p型GaNコンタクト層50を形成する際に、キャリアガスとして、水素ガスの体積組成比をx(0≦x≦1)、窒素ガスの体積組成比を1−xとした水素ガスと窒素ガスの混合ガスを用いる。即ち、p型層を形成する際のキャリアガスは、窒素ガス単独、窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、水素ガス単独の何れでも良い。
【0071】
また、実施の形態1と同様に、p型GaNコンタクト層50の成長時間を望ましくは10秒以上、更に望ましくは120秒以上とする。p型GaNコンタクト層50を形成する際に、有機金属化合物に対するヒドラジン誘導体の供給モル比を望ましくは1以上20未満、更に望ましくは3以上15以下とする。p型GaNコンタクト層50を形成する際に、ヒドラジン誘導体に対するアンモニアの供給モル比を望ましくは10以上1000未満、更に望ましくは20以上500以下とする。p型GaNコンタクト層50を形成する際に、n型GaN基板34の温度を望ましくは800℃以上1200℃未満、更に望ましくは900℃以上1200℃未満とする。
【0072】
実施の形態3.
実施の形態2では、p型GaNコンタクト層50の表面を疎水化するために加熱処理を行った。この加熱処理に代えて、実施の形態3では、疎水化処理としてp型GaNコンタクト層50の表面をヘキサメチルジシラザン雰囲気に晒す。これにより、p型GaNコンタクト層50の表面にヘキサメチルジシラザンコートが形成され、レジスト剥がれの無い安定したプロセスが可能となり歩留まりが改善される。
【0073】
また、ヘキサメチルジシラザンに代えて、p型GaNコンタクト層50の表面をフッ素原子を含有する表面処理剤で処理して当該表面処理剤のコートを形成しても、同様の効果を得ることができる。例えばCF、C、H、SiCl雰囲気に晒すことで、p型GaNコンタクト層50の表面にCF、C、H、SiClコートを形成する。
【0074】
なお、実施の形態1−3において、n型GaN基板34の代わりにサファイア、SiC、Siウェハなどの基板を用いてもよい。TMGの代わりにトリエチルガリウム(TEG)を用いてもよい。ヒドラジン誘導体として1,2ジメチルヒドラジンの代わりに1,1ジメチルヒドラジンを用いてもよい。
【0075】
また、p型Al0.07Ga0.93N層12、p型GaN層14、p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層48又はp型GaNコンタクト層50の代わりにInAlGa1−x−yN層(0≦x≦1,0≦y≦1)を用いてもよい。しかし、実施の形態1で説明したように下側のp型窒化物半導体層がAlGaN層、上側のp型窒化物半導体層がGaN層の場合に最も効果が高い。
【符号の説明】
【0076】
10,34 n型GaN基板(基板)
14 p型GaN層(p型窒化物半導体層)
16,58 p側電極
18,60 n側電極
50 p型GaNコンタクト層(p型窒化物半導体層)
62 レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、V族原料としてアンモニアとヒドラジン誘導体を用いて、p型窒化物半導体層を形成する工程と、
前記p型窒化物半導体層にオーミック接触するp側電極を形成する工程とを備え、
前記p型窒化物半導体層を形成した後に450℃より高い温度で熱処理を行わないことを特徴とする窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記p側電極を450℃以下でシンター処理する工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記p型窒化物半導体層の表面を疎水化する疎水化処理を行う工程と、
表面を疎水化した前記p型窒化物半導体層上にレジストパターンを形成する工程とを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記疎水化処理として、窒素雰囲気中で450℃以下のベーキングを行うことを特徴とする請求項3に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記疎水化処理として、前記p型窒化物半導体層の表面をヘキサメチルジシラザン雰囲気に晒すことを特徴とする請求項3に記載の窒化物半導体装置の製造方法
【請求項6】
前記疎水化処理として、前記p型窒化物半導体層の表面をフッ素原子を含有する表面処理剤で処理することを特徴とする請求項3に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記p型窒化物半導体層を形成した後に前記基板の裏面にn側電極を形成する工程と、
前記n側電極を360℃以下でシンター処理する工程を更に備えることを特徴とする請求項1−6の何れかに記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記n側電極を形成する前に、Siプラズマ処理と酸素プラズマ処理の少なくとも一方を行うことで前記基板の裏面の最表面に変性層を形成することを特徴とする請求項7に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記変性層を形成した後に、前記基板の裏面に対して強酸による表面処理を行わないことを特徴とする請求項8に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記p側電極は、前記p型窒化物半導体層にオーミック接触する金属膜を有し、
前記金属膜はPdを主成分とすることを特徴とする請求項1−9の何れかに記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記p側電極は、前記金属膜を覆うTa膜を更に有することを特徴とする請求項10に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記n側電極は、前記基板の裏面にオーミック接触するTi膜又はTa膜を有することを特徴とする請求項7−9の何れかに記載の窒化物半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−263140(P2010−263140A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114405(P2009−114405)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】