説明

耐酸化性が良好な次世代ダマシンバリヤ適用のための二層膜

基板を処理する方法であって、フェニル基を含む有機シリコン化合物を含む処理ガスを処理チャンバに供給するステップと、処理ガスを反応させて低k誘電物質によるダマシン又はデュアルダマシン適用においてバリヤ層として用いられる低kシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させるステップとを含む、前記方法が提供される。低kシリコンカーバイドバリヤ層上に酸素を含まない有機シリコン化合物を含む処理ガスからのシリコン原子にフェニル基がほとんど結合されていないシリコンカーバイドキャップ層を堆積する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明は、集積回路の製造、更に詳細には、基板上に誘電体層を堆積させる方法、及び誘電体層によって形成された構造に関する。本発明は、更に、基板上にバリヤ層を堆積させる方法、およびバリヤ層によって形成された構造に関する。
関連技術の説明
【0002】
[0002]半導体デバイスの形は、数十年前にそのようなデバイスが最初に導入されてから、サイズが劇的に縮小してきた。それ以来、集積回路は、一般に二年/半分のサイズという法則(しばしばムーアの法則と呼ばれる)が続き、それはチップ上で適合するデバイスの数が二年毎に2倍になることを意味している。今日の製造プラントは、特徴部サイズが0.35μm、更に0.18μmであるデバイスを日常的に製造している。未来のプラントはまもなく更に形が小さいなデバイスを製造するであろう。
【0003】
[0003]集積回路についてデバイスのサイズを更に縮小させるために、抵抗率の低い導電物質を用い、隣接した金属ライン間の容量結合を更に低下させるために誘電率が低い(4.0未満の誘電率)の絶縁物質を用いる必要がある。そのような低k物質は、化学気相堆積プロセスによって堆積されるシリコンオキシカーバイドおよびシリコンカーバイドを含み、これらのいずれもがダマシン特徴部を製造するのに絶縁物質として用いることができる。
【0004】
[0004]抵抗率が低い一導電物質銅やその合金であり、銅がアルミニウムより抵抗率が低く(アルミニウムの3.1μΩ-cmと比べて1.7μΩ-cm)、電流が大きく、送電力が大きいことから、サブクウォータミクロン相互接続技術に選択される物質になった。これらの特性は、高レベルの集積化と高デバイス速度で経験した高い電流密度を支持するために重要である。更に、銅は熱導電性が良好であり、高度に純粋な状態で用いうる。
【0005】
[0005]半導体デバイスにおいて銅を用いる際の一つの難しさは、銅がエッチングしにくく正確なパターンを得にくいことである。相互接続部を形成する従来の堆積/エッチングプロセスを用いて銅をエッチングすることは満足なものではなかった。それ故、銅含有物質と低k誘電物質を有する相互接続部の新規な製造方法が開発されている。
【0006】
[0006]垂直な相互接続部や水平な相互接続部を形成するための一方法は、ダマシン法又はデュアルダマシン法によるものである。ダマシン法においては、1種以上の誘電物質、例えば、低k誘電物質を堆積しパターンエッチングして垂直な相互接続部、例えば、バイア、水平な相互接続部、例えば、ラインを形成する。その後、銅含有物質のような導電材料や他の材料、例えば、銅含有物質の周囲の低k誘電体への拡散を防止するために用いられるバリヤ層物質が、エッチングパターンへはめ込まれる。その後、エッチングされたパターン外部の、例えば、基板のフィールド上のあらゆる過剰の銅含有物質や過剰のバリヤ層物質が除去される。
【0007】
[0007]しかしながら、低k誘電物質は、しばしば多孔性であり、銅のような導電材料の中間層拡散を受けやすく、短絡の形成やデバイスの故障を引き起こし得る。更に、低k誘電物質はしばしば酸化を受けやすい。誘電バリヤ層物質は、しばしば中間層拡散を防止するために銅物質と周囲の低k物質間にしばしば配置されている。しかしながら、窒化シリコンのような従来の誘電バリヤ層物質は、しばしば7以上の高誘電率を有する。そのような高k誘電物質と周囲の低k絶縁物質との組合わせによって、所望の誘電率より高い誘電体の積み重ね絶縁物の積層が生じる。
【0008】
[0008]それ故、低誘電率とダマシン適用に対して良好な耐酸化性をもった誘電バリヤ層物質の改善された堆積方法が依然として求められている。
【発明の概要】
【0009】
[0009]本発明の態様は、一般的には、低誘電率とバリヤ層に隣接したキャップ層を有するバリヤ層を堆積させる方法を提供する。一態様においては、本発明は、基板を処理する方法であって、有機シリコン化合物を含む第一処理ガスを処理チャンバへ導入し、ここで、有機シリコン化合物は式SiHa(CH3)b(C65)c(式中、aは0〜3であり、bは0〜3であり、cは1〜4である。)を有する、その処理ガス混合物を反応させてバリヤ層を堆積させることにより基板上にシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させるステップであって、該バリヤ層の誘電率は4未満であり、シリコン原子に結合したフェニル基を含有する、前記ステップと、酸素を含まない有機シリコン化合物を含む第二処理ガス混合物を処理チャンバへ導入し、第二処理ガス混合物を反応させてシリコンカーバイドキャップ層を堆積させることによりバリヤ層上にシリコンカーバイドキャップ層を堆積させるステップであって、シリコンカーバイドキャップ層がシリコン原子に結合したフェニル基をほとんど有しない、前記ステップと、を含む、前記方法を提供する。
【0010】
[00010]他の態様においては、基板を処理する方法であって、第一有機シリコン化合物を含む第一処理ガス混合物を処理チャンバへ導入し、ここで、第一有機シリコン化合物は式SiHa(CH3)b(C65)c(式中、aは0〜3であり、bは0〜3であり、cは1〜4である。)を有する、その処理ガスを反応させてバリヤ層を堆積させることにより基板上にシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させるステップであって、バリヤ層の誘電率が4未満である、前記ステップと、式SiHx(CH3)y(C25)z(式中、xは1〜3であり、yは0〜3であり、zは0〜3である。)を有する第二有機シリコン化合物を含む第二処理ガス混合物を処理チャンバへ導入し、第二処理ガス混合物を反応させてシリコンカーバイドキャップ層を堆積させることにより該バリヤ層上にシリコンカーバイドキャップ層を堆積させるステップと、を含む、前記方法が提供される。
【0011】
[0011]本発明の上記態様が達成される方法が詳細に理解され得るように、上で簡単に纏めた本発明のより具体的な説明は、添付の図面で示されるその実施形態によってなされるものである。
【0012】
[0012]しかしながら、添付の図面には本発明の典型的な実施形態のみ示されているので、本発明の範囲を制限するものとみなすべきでなく、本発明が他の等しく有効な実施形態を許容することができることは留意すべきである。
【0013】
[0015]本発明の態様を更に理解するために、次の詳細な説明を参照しなければならない。
【好適実施形態の詳細な説明】
【0014】
[0016]本明細書に記載される本発明の態様は、低誘電率を有するシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させるための方法および前駆物質に言及する。シリコンカーバイドバリヤ層は水素を含むことができ、膜特性を改善するために酸素、窒素、臭素、リン、又はその組合わせでドープすることができる。ドープされたシリコンカーバイドは、一般的には約15原子パーセント(原子%)以下のドーパント、例えば、酸素、窒素、臭素、リン、又はその組合わせを含んでいる。
【0015】
[0017]シリコンカーバイドバリヤ層は、式SiHa(CH3)b(C65)c(式中、aは0〜3であり、bは0〜3であり、cは1〜4である。)を有する有機シリコン化合物を含む処理ガスをプラズマ内で反応させて炭素-シリコン結合を含み且つ誘電率が4未満、好ましくは約3.5未満である誘電体層を形成することにより堆積させる。酸素(O2)又は酸素をドープするシロキサン化合物、又は臭素をドープするボラン(BH3)のようなドーパント物質も堆積プロセス中に存在させることができる。
【0016】
[0018]予想外にまた驚くべきことに、シリコンカーバイド物質を式SiHa(CH3)b(C65)c(式中、aは0〜3であり、bは0〜3であり、cは1〜4である。)を有する有機シリコン化合物で本明細書に記載される処理パラメータによって堆積させると、トリメチルシラン(TMS)のような市販のアルキルシラン前駆物質によって製造されたシリコンカーバイド膜より中間層拡散抵抗が約100%高いようなバリヤ層特性が改善された誘電率が4未満のシリコンカーバイド膜を製造することが発見がされた。これは、フェニル基が堆積した誘電物質の多孔性を増大させ、それにより堆積した誘電物質の中間層拡散抵抗が減少することが見出されたことから、予期しないものである。バリヤ層を誘電体層に隣接して堆積させる実施形態においては、バリヤ層はシリコン、酸素、炭素、および水素を含む誘電体層に隣接して堆積させることが好ましく、その誘電率は約4未満、例えば、約3未満である。
【0017】
[0019]バリヤ層物質に用いられる有機シリコン化合物は、一般的には下記の構造を含んでいる。
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、Rはフェニル基であり、R1、R2、R3はH、C、および/又はSiを含む基である。)有機シリコン化合物は、式SiHa(CH3)b(C65)c、(式中、aは0〜3であり、bは0〜3であり、cは1〜4であり、a+b+cは4である。)を含む。この式から得られる適切な前駆物質の例は、ジフェニルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジフェニルメチルシラン、フェニルメチルシラン、およびその組合わせを含んでいる。好ましくは、bは1〜3であり、cは1〜3である。バリヤ層物質として堆積に最も好ましい有機シリコン化合物は、式SiHa(CH3)b(C65)c(式中、aは1又は2であり、bは1又は2であり、cは1又は2である。)を有する有機シリコン化合物を含んでいる。好ましい前駆物質の例は、ジメチルフェニルシランやジフェニルメチルシランを含んでいる。処理ガスは、不活性ガス、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、窒素(N2)、およびその組合わせを含むことができる。
【0020】
[0020]処理ガスは、酸素および窒素を堆積したシリコンカーバイド物質をドープするために、それぞれSi-O-Si結合基を有する化合物、例えば、有機シロキサン化合物、Si-N-Si結合基を有する化合物、例えば、シラザン化合物、又はその組合わせを更に含むことができる。アルキルシラン前駆物質、例えば、トリメチルシラン(TMS)は、所望の膜特性を修正又は変更させるように本明細書に記載される有機シリコン前駆物質と用いることもできる。
【0021】
[0021]シロキサン結合を有する前駆物質は、膜の誘電率を低下させるとともに膜の電流漏れを減少させることができる酸素を結合したシリコンカーバイド膜を与える。適切なシロキサン前駆物質の例としては、環状化合物、例えば、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロコキサン(TMCTS)又はオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、脂肪族化合物、例えば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(TMDSO)が含まれる。
【0022】
[0022]シラザン化合物中のように結合窒素を有する化合物は、膜の硬度を改善させるとともに膜の電流漏れを減少させることができる。適切なシリザン前駆物質の例としては、脂肪族化合物、例えば、ヘキサメチルジシラザンやジビニルテトラメチルジシリザン、環状化合物、例えば、ヘキサメチルシクロトリシラザンが含まれる。
【0023】
[0023]バリヤ層は、堆積物質の誘電率を低下させるために酸素、臭素、又はリンで更にドープされてもよい。処理ガス中のドーパントと有機シリコン化合物の原子比は、約1:5以上、例えば、約1:5〜約1:100である。低kシリコンカーバイド層のリンおよび/又は臭素ドーピングは、堆積プロセスの間チャンバへのような、ホスフィン(PH3)又はボラン(BH3)、又はそのボラン誘導体、例えば、ジボラン(B26)を導入することにより行うことができる。
【0024】
[0024]酸素ドーピングは、酸素含有ガス、例えば、酸素(O2)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、又はその組合わせを任意により含むことにより行うことができる。シロキサン化合物は、堆積した物質の酸素ドーピングのために処理ガスにおいて用いることができる。窒素ドーピングは、窒素含有ガス、例えば、アンモニア(NH3)、窒素(N2)、シラザン化合物、又はその組合わせを任意により含むことによって行うことができる。
【0025】
[0025]シリコンカーバイドバリヤ層は、一実施形態においては、有機シリコン化合物、例えば、ジフェニルシランをプラズマ処理チャンバに約10ミリグラム/分(mgm)〜約1500mgmの流量で供給し、任意によりドーパントを約10sccm〜約2000sccmの流量で供給し、不活性ガスを約1sccm〜約10000sccmで供給し、基板温度を約0℃〜約500℃に維持し、チャンバ圧を約500Torrより低く、RF電力を約0.03ワット/cm2〜約1500ワット/cm2に維持することにより堆積させることができる。
【0026】
[0026]RF電力は、約13MHz〜14MHzの高周波、および/又は100kHz〜1000kHzの低周波で供給され得る。RF電力は、電力が約200Hz未満の前述のサイクルレベルでオンであり、全デューティサイクルの約10%〜30%の全体のオンサイクルである持続サイクルを連続的に又は短く供給することができる。処理ガスはガス分配器によってチャンバへ導入することができ、ガス分配器は基板表面から約200ミル〜約1200ミルに位置することができる。ガス分配器は、堆積プロセスの間の約300ミル〜約800ミルに配置することができる。
【0027】
[0027]本明細書に記載されるプロセスを行うのに適したリアクタは、アプライドマテリアルズ社、カリフォルニア州サンタクララから市販されているDxZ(登録商標)化学気相堆積チャンバである。本明細書のプロセスにおいて用いることができるCVDリアクタの例は、Wangらに発行され本発明の譲受人であるアプライドマテリアルズ社に譲渡された、熱CVD/PECVDリアクタおよび二酸化シリコンの熱化学気相堆積のための使用およびインサイチュ多段平坦化プロセスと称する米国特許第5,000,113号に記載されている。
【0028】
[0028]アプライドマテリアルズ社、カリフォルニア州サンタクララから入手できる堆積チャンバで200mm(ミリメートル)基板上に具備された場合、上記プロセスパラメータは、約50オングストローム/分〜約20,000オングストローム/分の範囲、例えば、約100オングストローム/分〜約3000オングストローム/分の範囲内にシリコンカーバイド層の堆積割合を与える。
【0029】
[0029]好ましいシリコンカーバイドバリヤ層堆積プロセスの例としては、ジメチルフェニルシランを約500mg/分で処理チャンバへ導入するステップと、ヘリウムを約1000sccmで処理チャンバへ導入するステップと、200ワットのRF電力を印加することにより処理チャンバ内にプラズマを生成させるステップと、基板温度を約350℃に維持するステップと、チャンバ圧を約6Torrに維持してシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させるステップが含まれる。ガス分配器と基板表面の間隔は、450ミルであった。シリコンカーバイド層バリヤは、このプロセスによって約1500オングストローム/分で堆積させることができる。堆積したシリコンカーバイドバリヤ層は、誘電率約3.4を示した。
【0030】
[0030]好ましいシリコンカーバイドバリヤ層堆積プロセスの他の例は、ジメチルフェニルシランを約100mg/分で処理チャンバへ導入するステップと、ヘリウムを約2000sccmで処理チャンバへ導入するステップと、100、200、又は300ワットのRF電力を印加することにより処理チャンバ内でプラズマを生成させるステップと、基板温度を約350℃に維持するステップと、チャンバ圧を約6Torrに維持してシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させるステップとを含んでいる。ガス分配器と基板表面との間隔は、650ミルであった。堆積したシリコンカーバイドバリヤ層は、誘電率が約3.42〜約3.96を示した。
【0031】
[0031]堆積後、堆積した誘電物質、即ち、堆積したシリコンカーバイドバリヤ層は、所望される場合には誘電物質の水分を減少させ、固体性と硬度を増加させるために約100℃〜約450℃の温度で、約1分〜約60分間、好ましくは約30分間アニールされてもよい。アニールは、好ましくは、誘電体層の収縮又は変形を防止する次層の堆積前に行われる。不活性ガス、例えば、アルゴンやヘリウムをアニール雰囲気に添加することができる。
【0032】
[0032]堆積したシリコンカーバイドバリヤ層は、次の堆積物質がその上に堆積される前に、シリコンカーバイド層の露出した表面の汚染物質を除去、さもなければ洗浄するためにプラズマ処理されてもよい。プラズマ処理は、シリコンと炭素含有物質を堆積するために用いた同様のチャンバで行うことができる。プラズマ処理は、未処理のシリコンカーバイド物質より高密度物質の保護層を形成することにより膜の安定性を改善すると考えられる。プラズマ処理は、また、次の層の膜接着を改善すると考えられる。更に高密度のシリコンカーバイド物質は、未処理のシリコンカーバイド物質より、酸素に晒された時に酸化物を形成するように化学反応に対する耐性が大きくなると考えられる。
【0033】
[0033]プラズマ処理は、一般的には、処理チャンバにヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトン、又はその組合わせを含む不活性ガス、好ましくはヘリウム、および/又は水素、アンモニア、又はその組合わせを含む還元ガスを供給することを含んでいる。不活性ガス又は還元ガスは、約500sccm〜約3000sccmの流量で処理チャンバへ導入され、処理チャンバ内でプラズマを生成する。
【0034】
[0034]プラズマは、約0.03W/cm2〜約3.2W/cm2の間の範囲の電力密度を用いて生成することができ、それは200mm基板に対して約10W〜約1000WのRF電力レベルである。好ましくは、電力レベルは200mm基板上のシリコンカーバイドに対して約100ワットである。RF電力は、13MHz〜14MHzのような高周波および/又は100kHz〜1000kHzのような低周波で供給することができる。RF電力は、電力が約200Hz未満のサイクルに対して述べたレベルでオンであり、全デューティサイクルの約10%〜約30%の全体のオンサイクルである持続サイクルを連続的に又は短く供給することができる。
【0035】
[0035]処理チャンバは、好ましくは約1Torr〜約12Torrの間のチャンバ圧、例えば、約3Torrで維持される。基板は、好ましくは、プラズマ処理の間約200℃〜約450℃の間の温度で維持される。シリコンカーバイド堆積プロセスとほぼ同じ温度の基板温度、例えば、約290℃をプラズマ処理の間に用いることができる。プラズマ処理は約2秒〜約100秒間行うことができ、約15秒〜約60秒間のプラズマ処理が好ましく用いられる。処理ガスは、ガス分配器によってチャンバへ導入することができ、ガス分配器は基板表面から約200ミル〜約1200ミルに配置されてもよい。ガス分配器は、プラズマ処理の間、約300ミル〜約800ミルの間に配置されてもよい。
【0036】
[0036]しかしながら、各々のパラメータは、様々なチャンバで異なる基板サイズ、例えば、300mm基板にプラズマプロセスを行うように修正することができることは留意すべきである。シリコンと炭素を含有する膜に対するプラズマ処理の例は、1999年6月18日出願の“接着を高め且つ炭素含有層の酸化を最少にするためのプラズマ処理”と称する米国特許出願第09/336,525号で更に開示され、この開示内容は開示と本明細書に記載される本発明の特許請求した態様と一致する程度によって本明細書に援用されている。
【0037】
[0037]バリヤ層は、好ましくは、隣接したキャップ層と任意により、誘電率が約4未満、例えば、約3未満のシリコンの酸素、炭素を含む誘電体層を堆積させる。本明細書に記載されるバリヤ層材料と用いられる隣接又は近傍の誘電体層の炭素含量は、水素原子を除く約1原子パーセントであり、好ましくは水素原子を除く約5〜約30原子パーセントである。本明細書で用いられるような、“近傍”誘電体層は、介在保護層によってバリヤ層から分離される誘電体層を意味する。隣接又は近傍誘電体層は、プラズマ増強化学気相堆積技術において有機シラン化合物を酸化させることにより堆積させることができる。例えば、適切な隣接又は近傍誘電物質は、プラズマ増強化学気相堆積技術においてトリメチルシランと酸素を反応させることにより堆積させることができ、プラズマは約0.16W/cm2〜約0.48W/cm2の高周波RF電力密度を含む条件下で形成される。
【0038】
[0038] 誘電率が約3未満である、シリコン、酸素、炭素を含む隣接又は近傍誘電体層の方法および使用の例は、2000年5月25日発行の米国特許第6,054,379号、2001年9月11日発行の米国特許第6,287,990号、2001年10月16日発行の米国特許第6,303,523号に更に詳述され、本明細書に記載される開示内容と特許請求の範囲と一致する程度まで本明細書に援用されている。
【0039】
[0039]隣接したキャップ層は、プラズマ中に酸素を含有しない有機シリコン化合物を含む処理ガスを反応させシリコンカーバイドキャップ層を形成することにより本明細書に記載されたバリヤ層に隣接して堆積される。一実施形態においては、酸素を含まない有機シリコン化合物は、式SiHx(CH3)y(C25)z(式中、xは1〜3であり、yは0〜3であり、zは0〜3であり、x+y+zは4である。)酸素を含まない有機シリコン化合物は、アルキルシラン、例えば、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、又はテトラメチルシランであってもよい。好ましくは、酸素を含まない有機シリコン化合物はトリメチルシランである。シリコンカーバイドキャップ層は、窒素を含むこともできる。
【0040】
[0040]他の実施形態においては、酸素を含まない有機シリコン化合物は、フェニル含有有機シリコン化合物であってもよい。フェニル含有有機シリコン化合物は、キャップ層が堆積されるその上にシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させるために用いられる有機シリコン化合物であってもよい。しかしながら、バリヤ層は、堆積したバリヤ層においてフェニル基をシリコン原子と結合したままにすることを可能にする処理条件を用いて堆積させる。シリコンカーバイドキャップ層は、実質的にフェニル基が堆積したキャップ層のシリコン原子に結合されないような処理条件を用いて堆積させる。
【0041】
[0041]シリコンカーバイドキャップ層は、一実施形態においては、プラズマ処理チャンバに約50sccm〜約800sccmの流量で酸素を含まない有機シリコン化合物、例えば、トリメチルシランを供給するステップと、酸素を含まないキャリアガス、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、又はアンモニアを約50sccm〜約2000sccmの流量で供給するステップと、基板温度を約250℃〜約450℃に維持し、チャンバ圧を約3Torr〜約15Torr、RF電力を約0.02ワット/cm2〜約5ワット/cm2、又は約200ワット〜約800ワットに維持するステップにより堆積することができる。
【0042】
[0042]RF電力は、13MHz〜14MHzのような高周波および/又は100kHz〜1000kHzのような低周波で供給し得る。RF電力は、電力が約200Hz未満のサイクルに対して述べたレベルでオンであり、全体のデューティサイクルの約10%〜30%の全体のオンサイクルにある持続サイクルを連続的に又は短く供給することができる。処理ガスはガス分配器によってチャンバへ導入することができ、ガス分配器は基板表面から約200ミル〜約1200ミルに配置することができる。ガス分配器は、堆積プロセスの間、約300ミル〜約800ミルの間に配置することができる。
【0043】
[0043]キャップ層は、バリヤ層が堆積されるのと同様のチャンバ内に堆積させることができる。一実施形態において、キャップ層は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手できるProducer(登録商標)チャンバ内で堆積させ、この開示内容は本明細書に援用されている。
【0044】
[0044]上記のプロセスパラメータは、堆積チャンバ内に200mm基板上に具備された場合、キャップ層の堆積速度を約100オングストローム/分〜約1000オングストローム/分の範囲で与える。
【0045】
[0045]好ましいシリコンカーバイドキャップ層堆積プロセスの例は、トリメチルシランを約320sccmで処理チャンバへ導入するステップと、ヘリウムを約800sccmで処理チャンバへ導入するステップと、約400ワットのRF電力を印加することにより処理チャンバにプラズマを生成させるステップと、基板温度を約350℃に維持するステップと、チャンバ圧を約12Torrに維持してシリコンカーバイドキャップ層を堆積させるステップとを含んでいる。ガス分配器と基板表面との間隔は、約400ミルである。シリコンカーバイド保護層は、このプロセスにより約370オングストローム/分で堆積させることができ、誘電率は約4.2である。
【0046】
[0046]堆積したシリコンカーバイド保護層は、堆積されたシリコンカーバイドバリヤ層に関して記載されたように、プラズマ処理することができる。
【0047】
[0047]低k誘電体層に隣接したシリコンカーバイド層を堆積するために本明細書に記載される実施形態は本発明を具体的に説明するために示され、示された具体的な実施形態は本発明の範囲を制限するために用いるべきではない。
デュアルダマシン構造に対するバリヤ層の堆積
[0048]バリヤ層として本明細書に記載されるシリコンカーバイド物質を用いて形成されたダマシン構造50の例を図1に示す。シリコンカーバイドバリヤ層10は、一般的には、基板と続いて堆積した物質との間の中間レベルの拡散を排除するために基板表面上に本明細書に記載されたプロセスに従って前駆物質を用いて堆積される。基板表面は、誘電物質5中に形成された金属特徴部7を含むことができる。
【0048】
[0049]第一シリコンカーバイドキャップ層11は、一般的には、シリコンカーバイドキャップ層を堆積させるために本明細書に記載される前駆物質を用いてシリコンカーバイドバリヤ層10上に堆積させる。本明細書に記載される、シリコン、酸素、炭素を含む第一誘電体層12は、シリコンカーバイドキャップ層11上に堆積させる。その後、シリコンカーバイド物質又は酸化された有機シラン層のエッチングストップ(又は第二バリヤ層)14は、第一誘電体層12上に堆積させる。エッチングストップ14は、本明細書に記載される有機シリコン前駆物質又は酸化された有機シラン層から堆積されたシリコンカーバイド物質を含むことができる。或いは、エッチングストップ14は、窒素含有シリコンカーバイド物質であってもよい。その後、エッチングストップ14は、相互接続部又はコンタクト/バイア16の開口を画成するためにパターンエッチングされる。
【0049】
[0050]その後、第二誘電体層18をパターン形成エッチングストップ上に堆積させる。その後、フォトレジストが、当該技術において既知の従来の手段によって堆積、パターン形成されたコンタクト/バイア16が画成される。その後、単一エッチングプロセスが、エッチングストップの下にコンタクト/バイア16を画成するとともにパターン形成エッチングストップによって晒された保護されていない誘電体をエッチングしてコンタクト/バイア16を画成する。その後、1種以上の導電材料20、例えば、銅を堆積させてコンタクト/バイア16を充填する。
【0050】
[0051]本明細書に記載されたプロセスによって堆積されたシリコンカーバイドバリヤ層とシリコンカーバイドキャップ層を含む本発明に従って製造された好ましいデュアルダマシン構造は図2A-図2Hに連続して概略図で示され、これらはそこで行われた本発明のステップを有する基板の断面図である。
【0051】
[0052]図2Aに示されるように、シリコンカーバイドバリヤ層110はシリコンカーバイドバリヤ層を堆積するために本明細書に記載された有機シリコン前駆物質から基板表面上に堆積される。シリコンカーバイドバリヤ層110は、酸素、臭素、リン、又はその組合わせをドープすることができる。シリコンカーバイドバリヤ層110は、ジフェニルシランを約500mg/分で処理チャンバへ導入するステップと、ヘリウムを約500sccmで導入するステップと、100ワットのRFエネルギーを印加することにより処理チャンバ内にプラズマを生成させるステップと、基板温度を約290℃に維持するステップと、チャンバ圧を約3Torrに維持することによりシリコンカーバイド層を堆積させるステップにより堆積させることができる。シリコンカーバイド物質は、このプロセスにより約1500オングストローム/分で堆積させる。堆積したシリコンカーバイド層の誘電率は約3.4である。
【0052】
[0053]シリコンカーバイドのキャップ層111は、バリヤ層110上に堆積させる。シリコンカーバイドキャップ層は、堆積プロセスの間窒素源が最少又は排除された窒素ドープシリコンカーバイドプロセスによりインサイチュで堆積させることができる。好ましくは、キャップ層111は酸素を含まない有機シリコン化合物を含み、反応させてプラズマを形成するガス混合物からシリコンカーバイドキャップ層を堆積させるために本明細書に記載されるプロセスによって堆積される。
【0053】
[0054]シリコンカーバイドバリヤ層110とキャップ層111は、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、又はその組合わせを含む不活性ガス、および/又は水素、アンモニア、又はその組合わせを含む還元ガスでプラズマ処理することができる。プラズマ処理は、バリヤ層とキャップ層の堆積とインサイチュで行われてもよい。上に形成される層との密着性だけでなく、大気条件下で水分および/又は酸素との反応をほぼ無くさせるので、そのようなプラズマ処理はシリコンカーバイド物質の露出した表面から汚染物質を洗浄すると考えられ、層を安定させるために用いることができる。
【0054】
[0055]プラズマプロセスは、200ミリメートル基板に対して約5秒〜約60秒間、約200ワット〜約800ワットの電力レベルでヘリウムの処理ガス又は水素のような還元ガス含んでいる。処理チャンバは、反応性洗浄プロセスの間、ジメチルフェニルシランが約8.7Torr以下の圧力で維持され、層の堆積温度付近の基板温度、例えば、約350℃に維持される。
【0055】
[0056]中間層誘電物質の第一誘電体層112は、トリメチルシランのような、有機シラン又は有機シロキサン、例えば、トリメチルシランを製造すべき構造のサイズによっては厚さが約5,000〜約15,000オングストロームまで酸化することによってキャップ層111上に堆積させる。中間層誘電物質として用いることができる低誘電率物質の例は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているBlack Diamond(登録商標)膜である。或いは、第一誘電体層は、パレリンを含む低k高分子材料又はドープされていないシリコンガラス(USG)又はフッ素ドープシリコンガラス(FSG)のような低kスピンオンガラスのような他の低k誘電物質を含むこともできる。
【0056】
[0057]その後、第一誘電体層112は、200ミリメートル基板に対して約200ワット〜約800ワットの電力レベルで約5秒〜約60秒間、ヘリウム又は水素のような還元ガスを含むプラズマプロセスによって処理することができる。処理チャンバは、反応性洗浄プロセスの間、第一誘電体層112のほぼ堆積圧力と温度の圧力と基板温度に維持される。
【0057】
[0058]図2Bに示されるように、その後、シリコンカーバイド物質であってもよい低kエッチングストップ114は、約200〜約1000オングストロームの厚さまで第一誘電体層上に堆積させる。低kエッチングストップ114は、シリコンカーバイドバリヤ層110と同様の前駆物質から同様のプロセスによって堆積させることができる。低kエッチングストップ114は、シリコンカーバイドバリヤ層110に対して本明細書に記載されるようにプラズマ処理することができる。その後、低kエッチングストップ114は、図2Cに示されるようにコンタクト/バイアが形成される領域にコンタクト/バイア開口部116を画成するとともに第一誘電体層112を晒すためにパターンエッチングされる。好ましくは、低kエッチングストップ114は、従来のフォトリソグラフィとフッ素イオン、炭素イオン、酸素イオンを用いたエッチングプロセスを用いてパターンエッチングされる。約100オングストローム〜約500オングストロームの厚さ、例えば、約30オングストローム〜約100オングストロームの窒素を含まないシリコンカーバイド、又は酸化シリコンキャップ層115は、その他の物質を堆積させる前にエッチングストップ114上に堆積させることができる。窒素を含まないシリコンカーバイドキャップ層115は、酸素を含まない有機シリコン化合物を含むガス混合物からキャップ層を堆積するために本明細書に記載されるプロセスによって堆積させることができる。
【0058】
[0059]低kエッチングストップ114と、存在する場合には、キャップ層115はコンタクト/バイアをパターン形成するためにエッチングされ、フォトレジストが除去された後、シリコンオキシカーバイドの第二誘電体層118が図2Dに示されるように厚さが約5,000オングストローム〜約15,000オングストロームまで堆積させる。第二誘電体層118は、200ミリメートル基板に対して約600ワット〜約800ワットの電力レベルで約15秒〜約60秒間、ヘリウム又は水素のような還元ガスでプラズマ処理することができる。処理チャンバは、反応性洗浄処理の間、約20Torr以下の圧力で約450℃以下の基板温度に維持される。プラズマ処理は、続いての堆積物質に対する層118の表面の反応性を低下させると考えられる。
【0059】
[0060]代替的実施形態においては、約100オングストローム〜約500オングストロームの窒素を含まないシリコンカーバイド又は酸化シリコンキャップ層(図示せず)は、フォトレジスト物質のような追加の物質を堆積させる前に第二誘電体層118上に堆積されてもよい。その他の代替的実施形態においては、シリコンカーバイドキャップ層(図示せず)は、フォトレジスト物質のような追加の物質を堆積させる前に第二誘電体層118上にシリコンカーバイドバリヤ層110と同様の前駆物質と同様のプロセスによって堆積させることができる。
【0060】
[0061]その後、フォトレジスト物質122は第二誘電体層118(又はキャップ層)上に堆積され、好ましくは従来のフォトリソグラフィプロセスを用いてパターン形成して図2Eに示されるように相互接続ライン120を画成する。フォトレジスト物質122は、当該技術において慣用的に既知の物質、好ましくは高活性化エネルギーフォトレジスト、例えば、マサチューセッツ州マールボロウのシプレイ社から市販されているUV-5を含んでいる。その後、相互接続部とコンタクト/バイアを反応性イオンエッチング又は他の異方性エッチング技術を用いてエッチングして図2Fに示されるメタライゼーション構造(即ち、相互接続部とコンタクト/バイア)を画成する。エッチングストップ114、キャップ層115、又は第二誘電体層118をパターン形成するために用いられるあらゆるフォトレジスト又は他の物質は、酸素ストリップ又は他の適切なプロセスを用いて除去される。
【0061】
[0062]その後、メタライゼーション構造は、導電材料、例えば、アルミニウム、銅、タングステン又はその組合わせで形成される。現在、銅が低抵抗率(アルミニウムの3.1μΩ-cmに比べて1.7μΩ-cm)であるために、より小さな特徴部を形成するために銅を用いる傾向がある。図2Gに示されるように、窒化タンタルのような適切なバリヤ層124は、まず、周囲のシリコンおよび/又は誘電物質への銅マイグレーションを防止するためにメタライゼーションパターン内に等角に堆積される。その後、銅126が化学気相堆積、物理気相堆積、電気めっき、又はその組み合わせを用いて堆積されて導電構造が形成される。構造が銅又は他の金属で充填されるとすぐに、その表面は図2Hに示されるように化学機械的研磨を用いて平坦化される。
実施例
[0063]本明細書に記載された有機シリコン化合物を、基板表面上にバリヤ層として堆積させ、解析した。一例においては、シリコンカーバイドバリヤ膜を、ジフェニルシラン化合物から堆積させ、従来のシリコンカーバイド前駆物質であるトリメチルシランからのシリコンカーバイドバリヤ膜と比較した。
【0062】
[0064]ジフェニルシランとトリメチルシランの両前駆物質は、ジフェニルシラン又はトリメチルシランを約500mg/分で処理チャンバへ導入し、ヘリウムを約500sccmで導入し、100ワットのRFエネルギーを印加することにより処理チャンバ内でプラズマを生成させ、基板温度を約290℃に維持し、チャンバ圧を約3Torrに維持してシリコンカーバイド層を堆積させることにより堆積させた。ヒータの間隔は、基板表面から約450ミルとした。
【0063】
[0065]堆積した膜を調べ、誘電率とバリヤ層拡散を解析した。ジフェニルシランシリコンカーバイド膜の計測した誘電率は約3.4であり、トリメチルシランシリコンカーバイド膜の計測した誘電率は約4.3であった。
【0064】
[0066]バリヤ層特性は、バイアス温度試験によって試験し、これは上記シリコンカーバイド膜を用いたダマシンデバイスを形成し、堆積した膜をデバイスの漏れ電流を測定しつつ約275℃の基板温度に供することにより行った。漏れ電流は、バリヤ層特性が低下するにつれて増加する。漏れ電流が約10-3amp/cm2に達したときに、バリヤ層が故障したとみなされる。これらの処理条件下でデバイスの50%が故障したときに、時間を計って堆積した膜のバリヤ有効性とした。膜の比較から、ジフェニルシランシリコンカーバイドの漏れ電流が約1メガボルト/cm(MV/cm)において約1e-09amp/cm2、約2MV/cmにおいて約1e-8amp/cm2であり、50%故障速度が約7.9時間後であり、トリメチルシランシリコンカーバイド膜の漏れ電流が約1MV/cmにおいて約1e-09amp/cm2、約2MV/cmにおいて約1e-6amp/cm2であり、50%故障速度が約4.4時間後であることが示された。
【0065】
[0067]その他の実施例においては、ジフェニルメチルシランを約500mg/分で処理チャンバへ導入し、ヘリウムを約500sccmで処理チャンバへ導入し、100ワットのRFエネルギーを印加することにより処理チャンバ内でプラズマを生成させ、ジフェニルシラン堆積膜をについて基板温度を約290℃に維持し、チャンバ圧を約3Torrに維持してシリコンカーバイド層を堆積することにより、ジフェニルメチルシランを用いてシリコンカーバイドバリヤ層を堆積した。ヒータの間隔は、基板表面から約450ミルであった。
【0066】
[0068]堆積された膜を調べ、誘電率とバリヤ層拡散を解析した。ジフェニルメチルシランシリコンカーバイド膜は、計測した誘電率がトリメチルシラン堆積シリコンカーバイド膜の4.3に比べて約3.6の誘電率であった。膜の比較から、ジフェニルメチルシランシリコンカーバイドの漏れ電流が約1MV/cmにおいて約3e-9amp/cm2、約2MV/cmにおいて漏れ電流が約4e-8amp/cm2であり、50%故障速度が約10時間後であり、トリメチルシランシリコンカーバイド膜の漏れ電流が約1MV/cmにおいて約1e-09amp/cm2、約2MV/cmにおいて約1e-6amp/cm2であり、50%故障速度が約4.4時間後であることが示された。
【0067】
[0069]その他の実施例においては、ジメチルフェニルシランを約500mg/分で処理チャンバへ導入し、ヘリウムを約1000sccmで処理チャンバへ導入し、200ワットのRFエネルギーを印加することにより処理チャンバ内にプラズマを生成させ、ジフェニルシラン堆積膜に対して基板温度を約350℃に維持し、シリコンカーバイド層を堆積するためチャンバ圧を約6Torrに維持してシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させることによりジメチルフェニルシランを用いてシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させた。ヒータの間隔は、基板表面から約450ミルであった。
【0068】
[0070]堆積した膜を調べ、誘電率とバリヤ層拡散を解析した。ジメチルフェニルシランシリコンカーバイド膜の測定した誘電率はトリメチルシラン堆積シリコンカーバイド膜の約4.3に比べて約3.5であった。膜の比較から、ジメチルフェニルシランシリコンカーバイドの漏れ電流が約1MV/cmにおいて約1e-9amp/cm2、約2MV/cmにおいて漏れ電流が約2e-8amp/cm2であり、50%故障速度が約11時間後であり、トリメチルシランシリコンカーバイド膜の漏れ電流が約1MV/cmにおいて約1e-09amp/cm2、約2MV/cmにおいて約1e-6amp/cm2であり、50%故障速度が約4.4時間後であることが示された。
【0069】
[0071]このデータは、用いうるバリヤ層プロセスと比較して、バリヤ層特性とジフェニルシラン又はアルキル置換ジフェニルシラン化合物の誘電率が顕著にかつ予想外に改善されたことを示している。
【0070】
[0072]また、本明細書に記載されたバリヤ層の特性と本明細書に記載されたバリヤ層とキャップ層の組み合わせの特性を比較するためにデータを集めた。バリヤ層を、ジメチルフェニルシラン流量が約100mg/分〜約300mg/分、ヘリウム流量が約500sccm〜約2000sccm、間隔が約350ミル〜約600ミル、RF電力が約200ワット〜約500ワットから生成されるプラズマを用いてProducer(登録商標)チャンバ内で堆積させた。バリヤ層の誘電率は3.4、1MV/cmにおける漏れ電流が約2e-9amp/cm2であった。シリコンカーバイド保護層は、トリメチルシランの流量を320sccmで、ヘリウム流量を約800sccmで、約400ミルの間隔、12Torrの圧力、400ワットのRF電力からのプラズマを用いたProducer(登録商標)チャンバを用いて堆積させた。シリコンカーバイドキャップ層は、誘電率k4.2、1MV/cmにおける漏れ電流3.5e-9amp/cm2であった。組み合わせ、即ち、バリヤ層とキャップ層の積み重ねの誘電率kは3.43、1MV/cmにおける漏れ電流2e-9amp/cm2であった。このように、バリヤ層と保護層の積み重ねは、バリヤ層単独よりkがほとんど高くなかった。
【0071】
[0073]本明細書に記載されるバリヤ層、キャップ層、バリヤ層と保護層の積み重ねを酸素(O2)プラズマで処理して層の酸化を測定した。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
[0074]データをProducer(登録商標)チャンバの2処理領域のそれぞれにおいて堆積された層から集めたので、2組の数値を各タイプの堆積した層について示されている。酸素プラズマ処理後の酸化層の厚さは、表1に示されるように、バリヤ層とキャップ層よりキャップ層を含まないバリヤ層が著しく大きい。このように、本明細書に記載されたキャップ層は、本明細書に記載されたバリヤ層の酸化量、即ち、深さを減少させると考えられる。
【0074】
[0075]上記は本発明の好適実施形態に関するが、更に多くの実施形態を本発明の基本的な範囲から逸脱することなく構成させることができ、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は本明細書に記載された低kバリヤ層と低k誘電体層を含むデュアルダマシン構造を示す断面図である。
【図2A】図2Aは本発明のデュアルダマシン堆積シーケンスの一実施形態を示す断面図である。
【図2B】図2Bは本発明のデュアルダマシン堆積シーケンスの一実施形態を示す断面図である。
【図2C】図2Cは本発明のデュアルダマシン堆積シーケンスの一実施形態を示す断面図である。
【図2D】図2Dは本発明のデュアルダマシン堆積シーケンスの一実施形態を示す断面図である。
【図2E】図2Eは本発明のデュアルダマシン堆積シーケンスの一実施形態を示す断面図である。
【図2F】図2Fは本発明のデュアルダマシン堆積シーケンスの一実施形態を示す断面図である。
【図2G】図2Gは本発明のデュアルダマシン堆積シーケンスの一実施形態を示す断面図である。
【図2H】図2Hは本発明のデュアルダマシン堆積シーケンスの一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
5…誘電物質、7…特徴部、10…バリヤ層、11…キャップ層、12…誘電体層、14…エッチングストップ、16…コンタクト/バイア、18…誘電体層、20…導電材料,
50…ダマシン構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
有機シリコン化合物を含む第一処理ガスを処理チャンバへ導入し、ここで、該有機シリコン化合物は式SiHa(CH3)b(C65)c(式中、aは0〜3であり、bは0〜3であり、cは1〜4である。)を有する、該第一処理ガス混合物を反応させてバリヤ層を堆積させることにより、シリコンカーバイドバリヤ層を堆積させるステップであって、該バリヤ層の誘電率は4未満であり、シリコン原子に結合したフェニル基を含有する、前記ステップと、
酸素を含まない有機シリコン化合物を含む第二処理ガス混合物を処理チャンバへ導入し、該第二処理ガス混合物を反応させてシリコンカーバイドキャップ層を堆積させることにより、該バリヤ層を堆積させる前又は後に該バリヤ層に隣接してシリコンカーバイドキャップ層を堆積させるステップであって、該シリコンカーバイドキャップ層がシリコン原子に結合したフェニル基をほとんど有しない、前記ステップと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
該第二処理ガス混合物の該酸素を含まない有機シリコン化合物がトリメチルシランであり、該第二処理ガス混合物がヘリウムを更に含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該シリコンカーバイドキャップ層を、約0.02W/cm2〜約5W/cm2の高周波RF電力密度を含むプラズマ条件下で堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
該第二処理ガス混合物の該酸素を含まない有機シリコン化合物が約50sccm〜約800sccmの流量で該チャンバへ流される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
該第二処理ガス混合物が、アルゴン、ヘリウム、窒素、及びアンモニアの群より選ばれた、酸素を含まないガスを更に含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
該第二処理ガス混合物の該酸素を含まないガスが約50sccm〜約2000sccmの流量で該チャンバへ流される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
該第一処理ガス混合物の該有機シリコン化合物がジフェニルメチルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジフェニルシラン、又はその混合物を含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
該第一処理ガス混合物が、酸素含有化合物、窒素含有化合物、ホウ素含有化合物、リン含有化合物、及びその組合わせの群より選ばれたドーパント成分を更に含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
該酸素含有化合物が、酸素、オゾン、シロキサン、及びその組合わせの群より選ばれる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
該窒素含有化合物が、窒素ガス、アンモニア、シラザン、及びその組合わせの群より選ばれる、請求項8記載の方法。
【請求項11】
該第一処理ガス混合物が、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトン、又はその組合わせの群より選ばれた不活性ガスを更に含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
該バリヤ層が約15原子パーセント未満の酸素を含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
aが1又は2であり、bが1又は2であり、cが1又は2である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
基板を処理する方法であって、第一有機シリコン化合物を含む第一処理ガス混合物を処理チャンバへ導入し、ここで、該第一有機シリコン化合物は式SiHa(CH3)b(C65)c(式中、aは0〜3であり、bは0〜3であり、cは1〜4である。)を有する、該処理ガスを反応させてバリヤ層を堆積させることにより、該基板上にシリコンカーバイドバリヤ層を堆積させるステップであって、該バリヤ層の誘電率が4未満である、前記ステップと、式SiHx(CH3)y(C25)z(式中、xは1〜3であり、yは0〜3であり、zは0〜3である。)を有する第二有機シリコン化合物を含む第二処理ガス混合物を該処理チャンバへ導入し、該第二処理ガス混合物を反応させてシリコンカーバイドキャップ層を堆積させることにより、該バリヤ層上にシリコンカーバイドキャップ層を堆積させるステップと、
を含む、前記方法。
【請求項15】
該第二処理ガス混合物の第二有機シリコン化合物がトリメチルシランであり、該第二処理ガス混合物がヘリウムを更に含んでいる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
該シリコンカーバイドキャップ層を、約0.02W/cm2〜約5W/cm2の高周波RF電力密度を含むプラズマ条件下で堆積させる、請求項14記載の方法。
【請求項17】
該第二処理ガス混合物の該第二有機シリコン化合物が約50sccm〜約800sccmの流量で該チャンバへ流される、請求項14記載の方法。
【請求項18】
該第二処理ガス混合物が、アルゴン、ヘリウム、窒素、及びアンモニアの群より選ばれた酸素を含まないガスを更に含んでいる、請求項14記載の方法。
【請求項19】
該第二処理ガス混合物の該酸素を含まないガスが約50sccm〜約2000sccmの流量で該チャンバへ流される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
該第一処理ガス混合物の該第一有機シリコン化合物がジフェニルメチルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジフェニルシラン、又はその組合わせを含んでいる、請求項14記載の方法。
【請求項21】
該第一処理ガス混合物を反応させるステップが、該第一処理ガス混合物の該第一有機シリコン化合物と酸素、オゾン、シロキサン、及びその組合わせの群より選ばれた酸素含有化合物とを反応させる工程を含んでいる、請求項14記載の方法。
【請求項22】
該酸素含有化合物が、酸素、オゾン、シロキサン、及びその組合わせの群より選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
該第一処理ガス混合物が、窒素含有化合物、ホウ素含有化合物、リン含有化合物、及びその組合わせの群より選ばれたドーパント成分を更に含んでいる、請求項14記載の方法。
【請求項24】
該窒素含有化合物が、窒素ガス、アンモニア、シラザン、及びその組合わせの群より選ばれる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
該第一処理ガス混合物が、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、又はクリプトン、及びその組合わせの群より選ばれた不活性ガスを更に含んでいる、請求項14記載の方法。
【請求項26】
該バリヤ層が約15原子パーセント未満の酸素を含んでいる、請求項14記載の方法。
【請求項27】
aが1又は2であり、bが1又は2であり、cが1又は2である、請求項14記載の方法。
【請求項28】
該キャップ層上に誘電体層を堆積させるステップを更に含み、該誘電体層の誘電率が約4未満である、請求項14記載の方法。
【請求項29】
該誘電体層の炭素含量が水素原子を除く約5〜約30原子パーセントである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
該誘電体層を、有機シラン又は有機シロキサン化合物をプラズマ増強化学気相堆積技術において酸化することにより堆積させる、請求項29記載の方法。
【請求項31】
該誘電体層を、トリメチルシランと酸素をプラズマ増強化学気相堆積技術において反応させることにより堆積させる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
該誘電体層を、約0.16W/cm2〜約0.48W/cm2の高周波RF電力密度を含むプラズマ条件下で堆積させる、請求項31記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−502586(P2006−502586A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543368(P2004−543368)
【出願日】平成15年10月7日(2003.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/031559
【国際公開番号】WO2004/033752
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】