説明

自動車用内装部品及びその製造方法

【課題】自動車用内装部品及びその製造方法であって、軽量化及びコストダウンを図るとともに、端末処理工程を簡素化する。
【解決手段】内装部品(ドアトリム)10は、積層構造体(ドアトリムアッパー)20と樹脂単体品(ドアトリムロア)30とから構成する。ドアトリムアッパー20は、発泡樹脂基材21と樹脂リブ22とからなり、所望ならば製品表面に加飾材23が貼付される。従って、重量の嵩む樹脂芯材を廃止することで軽量化並びにコストダウンを図る。更に、ドアトリムアッパー20の外周端末部は、加熱治具70により発泡樹脂基材21を加熱軟化処理すると同時に、薄肉ヒンジ部24を形成し、その後、シリンダ駆動される巻込み駒81により巻込みシロ25を起立させるとともに、加熱治具70に当接させて加熱軟化させた後、巻込み駒81をスライドさせて巻込みシロ25の巻込み処理を行ない、剛性並びに見栄え上、好ましい端末処理部Aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、ラゲージトリム、トランクトリム、リヤサイドトリム、ルーフトリム等の自動車用内装部品及びその製造方法に係り、特に、外周端末部の見栄え並びに強度に優れ、しかも、簡単かつ廉価に製作できる自動車用内装部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用内装部品の構成をドアトリムを例示して図28,図29を基に説明する。ドアトリム1は、保形性及びドアパネルへの取付剛性を備え、製品面のほぼ全面にゆきわたっている樹脂芯材2の表面に、表面外観に優れた表皮3を積層一体化して構成されている。上記樹脂芯材2としては、タルクを混入したポリプロピレン系樹脂を素材としており、また、表皮3は、それ自体保形性を備えておらず、塩ビシート等の合成樹脂シート裏面にポリエチレンフォーム等のクッション材が積層された積層シート材料が使用され、最近では、環境面やリサイクル面を考慮して、サーモプラスチックオレフィン(以下TPOという)シート等のエラストマーシートが多用される傾向にある。
【0003】
次に、上記ドアトリム1の成形方法における従来例について図30を基に説明する。まず、ドアトリム1を成形する成形金型4は、所定ストローク上下動可能な成形上型5と、成形上型5と対をなす固定側の成形下型6と、成形下型6と接続される射出機7とから大略構成されている。そして、成形上下型5,6を型締めした際、ドアトリム1の製品形状を形造るために成形上型5にはキャビティ部5aが形成され、成形下型6にはコア部6aが設けられている。上記成形上型5を所定ストローク上下動作させるために、昇降シリンダ5bが連結され、成形下型6には射出機7からの溶融樹脂の通路となるマニホールド6b、ゲート6cが設けられている。また、上下動作する成形上型5は、適正姿勢を維持させるために、成形下型6の4隅部にガイドポスト6dが設けられ、このガイドポスト6dに対応して成形上型5にはガイドブッシュ5cが設けられている。
【0004】
従って、成形上下型5,6が型開き状態にある時、表皮3を金型内にセットし、その後、成形上下型5,6を型締めする直前か、または型締めした後のいずれかのタイミングで両金型間の製品キャビティ内に射出機7からマニホールド6b、ゲート6cを通じて溶融樹脂Mを射出充填することにより、樹脂芯材2を所要の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材2の表面に表皮3を一体成形している(例えば、特許文献1参照。)。尚、図30では、説明の便宜上、コア部6aの型面にオープン状態で溶融樹脂Mが供給されているが、実際は、溶融樹脂Mは成形上下型5,6の型締め後にキャビティ内に射出充填されても良い。
【0005】
更に、ドアトリム1の製品の外周端末の処理については、図31に示すように、芯材2の表面に表皮3を同時プレス成形した後、型内の型刃により芯材2と表皮3とをピアスカット処理するか、あるいは成形後、別工程でピアスカット処理が行なわれている。また、図32に示すように、芯材2のプレス成形後、表皮3を別工程で真空圧着、プレス圧着等により一体化した後、表皮3の端末3aを芯材2の裏面側に巻込み処理することも従来から行なわれている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−138268号公報 (第2頁、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のドアトリム1においては、樹脂芯材2の投影面積が大きいため、材料コストが高く、かつ製品が重量化するという問題点が指摘されている。また、樹脂芯材2の投影面積が大きいことから、成形時における射出圧を高く設定せざるを得ず、高い射出圧に耐え得る金型構造が必要となり、金型の作製費用も嵩み、しかも、大量の溶融樹脂を冷却固化させるため、成形サイクルが長期化し、生産性を低下させる大きな要因となっている。
【0008】
更に、ドアトリム1の外周縁においては、図31に示すように、表皮同時プレス成形を行なった場合、外周の端末処理が困難で、見栄えが悪く、外観性能を低下させる欠点があるとともに、図32に示すように、別工程で表皮3を巻込み処理する方法では、工数が多く、コストアップが避けられない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、軽量化を促進でき、高剛性でコストダウンを図れる自動車用内装部品及びその製造方法であって、成形金型費用を低減でき、成形サイクルも短縮化できるとともに、特に、製品外周端末部の見栄え並びに剛性を高めることで、外観性能を向上させた自動車用内装部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究の結果、従来から表皮として使用していた発泡樹脂シートに保形性を付与することで、芯材としての機能をもたせ、より以上に剛性が必要な箇所、すなわち製品の周縁部分やパネル、相手部品との合わせ部で密接可能、または一定クリアランスを確保する箇所、あるいは部品取付箇所並びに荷重がかかる部分には、剛性に優れた樹脂リブを配置して、その他の部分は肉抜き形状とすることで従来の投影面積の広い樹脂芯材に比べ軽量化して対応するとともに、製品外周の端末処理については、発泡樹脂基材の縁部に沿う巻込み重合部分を加熱治具により軟化溶融させるとともに、同時に薄肉ヒンジ部を形成することで、簡単かつ美麗に端末処理を達成できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明に係る自動車用内装部品は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に積層一体化される所定パターン形状の樹脂リブとからなる積層構造体を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品において、前記積層構造体の縁部に沿って、発泡樹脂基材の裏面が加熱治具により加熱軟化処理されるとともに、加熱治具により巻込みシロとの境界部に薄肉ヒンジ部が形成され、この薄肉ヒンジ部を基に巻込みシロが発泡樹脂基材の裏面側に巻き込まれ、熱溶着されていることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明に係る別の実施の態様においては、前記積層構造体における加熱軟化部位は、加熱治具からのプレス圧で薄肉化され、巻込みシロを巻き込んだ端末処理部の厚みが一般部の厚みに比べ薄肉に設定されていることを特徴とする。
【0013】
ここで、自動車用内装部品としては、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、ラゲージトリム、トランクトリム、リヤサイドトリム、ルーフトリム等に適用できる。また、積層構造体の一部を構成する発泡樹脂基材は、フラット形状に近い場合は、加熱軟化工程を省略して、成形型により所望形状に成形するが、三次元形状の製品に適用する場合は、発泡樹脂シートを加熱軟化処理した後、成形金型内で所要の曲面形状に成形することで、その形状を保持する。尚、ここで言う「保形性」とは、リブ等の補強材がなくても、成形後脱型した時、その形状を保持する程度の剛性を備えていることである。また、製品形状が高展開率部分を含む場合には、発泡樹脂シートを加熱軟化処理した後、成形金型に真空吸引機構を配設して成形金型の内面に沿って発泡樹脂シートに真空吸引力を作用させるようにしても良い。
【0014】
上記発泡樹脂シートとしては、熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した素材を使用する。尚、熱可塑性樹脂は、1種類の熱可塑性樹脂でも2種類以上の熱可塑性樹脂からなっても良い。好ましくは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が使用できる。また、発泡剤としては、アゾ化合物、スルホヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、アジド化合物等の有機発泡剤、あるいは重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤の使用が可能である。上記発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、所要形状に成形して得た発泡樹脂基材は、製品の重量と強度とのバランスを考慮した場合、2〜10倍の発泡倍率が好ましい。その時の発泡樹脂基材のセル径は、0.1μm〜2.0mmの範囲であることが好ましく、厚みは0.5〜30mm、好ましくは1〜10mmのものが良い。
【0015】
一方、樹脂リブとして使用する熱可塑性樹脂材料は、広範な熱可塑性樹脂から適宜選択することができる。通常好ましく使用できるものとして、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が使用できる。また、これら熱可塑性樹脂中に各種充填剤を混入しても良い。使用できる充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子などがある。また、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、低収縮剤等の各種の添加剤が配合されても良い。
【0016】
そして、外観意匠性を高めるために、発泡樹脂基材の表面に加飾材を積層一体化しても良い。この加飾材としては、TPOシート、サーモプラスチックウレタン(以下TPUという)シート、塩ビシート等の合成樹脂シート、あるいは織布、不織布、編布等の布地シート、またはフィルム、発泡体、網状物等の単体シートの形態で使用するか、または、合成樹脂シートや布地シートの裏面にポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリウレタンフォーム等のクッション層を裏打ちした積層シート材料の形態で使用することもできる。これら加飾材を構成する材料は特に限定されないが、織布、不織布、編布等、通気性を有する素材を使用したほうが、発泡樹脂基材の吸音性能を生かす上で好ましい。
【0017】
加えて、発泡樹脂基材の多孔質吸音機能により、吸音性能に優れた内装部品が得られるとともに、発泡樹脂基材及び樹脂リブの素材として、ポリオレフィン系樹脂を使用した場合、オールオレフィン系樹脂に統一されるため、分離工程が廃止でき、リサイクル作業が簡素化できる。更に、樹脂リブのリブ厚みは、例えば、製品に外力が大きく加わる部位などはリブ厚みを厚く設定し、比較的外力が加わりにくい部位はリブ厚みを薄肉にするなど、リブ厚みを適宜可変させることができる。従って、必要最小限度の樹脂材料を使用すれば足り、製品の軽量化やコストダウンに寄与できる。また、樹脂リブにクリップ座、あるいは各種エスカッション部品を取り付けるための取付座を一体に形成することもできる。
【0018】
そして、本発明に係る自動車用内装部品によれば、内装部品の全体、あるいは一部に採用される積層構造体は、保形性を有する発泡樹脂基材の裏面側に剛性を強化する意味で樹脂リブが積層一体化されるという構成であるため、従来の樹脂芯材を廃止することができる。従って、従来の投影面積の非常に広い樹脂芯材を廃止することで、製品の軽量化を図ることができ、しかも、樹脂材料を節約できることから、材料コストの低減化も同時に達成できる。更に、積層構造体の外周縁部については、薄肉ヒンジ部を折り返し基点として、その外側部分の巻込みシロを巻込み処理するため、切断木口等が外部に目立たず、外観意匠性に優れ、かつ端末部分は、発泡樹脂基材が二重構造となり、剛性も強化できる。
【0019】
次いで、本発明に係る自動車用内装部品の製造方法は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に積層一体化される所定パターン形状の樹脂リブとからなる積層構造体を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品の製造方法において、前記積層構造体は、発泡樹脂基材の素材である発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、成形金型内にセットした後、成形金型同士を型締めして、成形金型のキャビティ形状に沿って発泡樹脂基材を所要形状に成形する際、成形金型の型締め直前、または型締め後のいずれかのタイミングで成形金型の溝部内に溶融樹脂を射出機から射出充填して、樹脂リブを発泡樹脂基材の裏面側に積層一体化する積層構造体の成形工程と、前記成形工程で成形された積層構造体を成形金型から脱型し、受け治具上にセットした後、積層構造体の端縁部における発泡樹脂基材の裏面側に加熱治具を近接、あるいは当接させて巻込みシロより内側の発泡樹脂基材を加熱軟化処理するとともに、加熱治具の突起により、巻込みシロとの境界部に薄肉ヒンジ部を形成した後、巻込み機構部の巻込み駒により薄肉ヒンジ部を基に巻込みシロを起立させ、巻込みシロの裏面を加熱治具の側面にあてがい加熱軟化処理し、その後、巻込み駒により巻込みシロを巻込み処理する積層構造体の端末処理工程との2工程により製造されることを特徴とする。
【0020】
ここで、本発明方法に使用する成形金型は、所定ストローク上下動可能な成形上型と、この成形上型の下方側に位置する固定側である成形下型と、成形下型に連結される射出機から構成される。射出機から供給される溶融樹脂は、成形下型に設けられたマニホールド、ゲート等の樹脂通路を通じて成形下型の型面、詳しくは、成形下型の型面上に形成される溝部内に供給される。尚、成形上型が下死点まで下降して、成形上下型を型締めした後、溶融樹脂を所定の射出圧で成形下型の型面に設けられた溝部に射出充填しても良いが、溶融樹脂の射出充填のタイミングとして、型締め前に行なうようにしても良い。
【0021】
従って、成形上下型の型締めにより、発泡樹脂シートは成形金型の型面形状に沿って所望の曲面形状に成形されるとともに、更に、溶融樹脂が射出充填されることで、発泡樹脂基材の裏面に樹脂リブが積層一体化される。この時、前工程でヒーター等により加熱軟化処理を行なった後、発泡樹脂シートを成形金型内にセットする。そして、発泡樹脂基材の成形と同時に、発泡樹脂基材裏面に樹脂リブを積層一体化すれば良い。尚、最終製品形状が高展開率部分を備えている場合には、成形金型の型締めを複数回行ない、最終の型締め工程で溶融樹脂の射出充填を行なうと良い。また、製品形状がより高展開率部分を含む場合には、成形上型に真空吸引機構を配設し、成形上型の型面に沿って真空吸引力により発泡樹脂基材を所要形状に成形するのが良い。
【0022】
従って、本発明方法によれば、従来の投影面積の広い樹脂芯材に比べ、樹脂リブだけを成形するため、射出圧力を従来に比べて低く設定できることにより、成形金型の負荷が少なくて済むとともに、樹脂量も少なく、材料費を節約でき、しかも、従来の樹脂芯材に比べ、冷却時間も少なくて済むため、製品の成形サイクルも短縮化できる。
【0023】
次に、積層構造体の端末処理に使用する端末処理装置としては、成形後の積層構造体をセットする受け治具と、積層構造体の端縁部における発泡樹脂基材の裏面側を加熱軟化及びヒンジ基点となる薄肉ヒンジ部を形成する加熱治具と、積層構造体端縁の巻込みシロを発泡樹脂基材本体の裏面側に折り返すための巻込み機構部とからなる。上記受け治具は、積層構造体をセットするためのセット台と、セット台上にセットされた積層構造体を固定するためのスペーサ及び受け治具押さえを備えている。また、加熱治具としては、ブロック状、あるいはプレート状の熱刃を使用するが、熱刃を上下駆動するためのシリンダが配設されている。尚、ヒンジ基点となる薄肉ヒンジ部を発泡樹脂基材に形成するために、鋭利状の突起が設けられている。この突起は、ブロック状の熱刃の場合には、下面の外側縁に沿うコーナー部、また、複数のプレート状の熱刃であれば、外側に位置するプレート状の熱刃の下縁に設けられている。また、巻込み機構部としては、巻込み駒がスライダに連結され、このスライダは、進退用シリンダにより巻込みシロの巻込み方向に進退駆動されるとともに、進退用シリンダやスライダを支持するテーブルがテーブル駆動用シリンダにより上下方向に駆動される。尚、スライダとテーブルとの間には、ガイド機構が備わっている。
【0024】
次いで、積層構造体の端末処理工程としては、積層構造体を成形金型から取り出し、セット台上にセットして受け治具押さえにより固定した後、加熱治具をシリンダの上下動作により積層構造体の端縁部の裏面側に当接、あるいは近接させて、巻込みシロが折り返される部位を加熱溶融させるとともに、巻込みシロの折り返し基点となる部位に薄肉ヒンジ部を形成する。その後、巻込み機構部のテーブル駆動用シリンダを動作させれば、スライダと一体に巻込み駒が上昇する。そして、巻込みシロを加熱治具の外側面に沿って起立させる。この時、巻込みシロの裏面が加熱治具の側面により軟化溶融する。その後、巻込みシロを折り返すように進退用シリンダが動作して、巻込み駒により巻込みシロが折り返され、溶着一体化される。
【0025】
従って、積層構造体の端末処理部は、巻込みシロを巻き込んだ二重構造であるため、剛性が強化でき、変形の恐れがないとともに、切断木口等の露出がなく、外観見栄えも好ましい。更に、別途接着剤の塗布工程、乾燥工程等が不要となり、発泡樹脂基材の加熱軟化処理後、加熱軟化部位が冷却固化する際に巻込みシロの一体化が行なわれるため、接着剤レス構造であり、端末処理工数も簡素化できる。
【0026】
次いで、本発明に係る積層構造体の端末処理工程における別の実施の形態においては、前記積層構造体の端末処理工程において、加熱治具により、発泡樹脂基材の裏面側を加熱軟化処理する際、加熱治具からのプレス圧により、巻込みシロ及び巻込みシロを重合させる部位を薄肉状にプレス偏平化することで、積層構造体における端末処理部の厚みを一般部の厚みに比べ薄肉に設定したことを特徴とする。
【0027】
そして、この実施の形態によれば、積層構造体の端縁部における巻込みシロ及び巻込みシロが重合される部位の厚みが薄肉に設定されているため、端縁部分の発泡樹脂基材の密度が高くなることにより、剛性をより強化でき、かつ薄肉であるため、相手部品との干渉等の問題を有効に回避できる。
【0028】
更に、本発明に係る積層構造体の端末処理工程における別の好ましい実施の形態においては、前記積層構造体の端末処理工程において、加熱治具のコーナー部にギザ刃を形成し、加熱治具により発泡樹脂基材の裏面を加熱軟化処理した後、巻込み駒を上昇させて巻込みシロを加熱治具の側面に沿わせて起立かつ加熱軟化処理した後、加熱治具を上昇させて巻込みシロの発泡樹脂基材をこのギザ刃により剥ぎ取り、巻込みシロの厚みを薄肉にした後、薄肉状の巻込みシロを折り返し、溶着固定することを特徴とする。
【0029】
そして、この実施の形態によれば、積層構造体の巻込みシロを巻込み駒の上昇動作により起立させた後、加熱治具を上昇させる際、加熱治具のコーナー部に設けた鋭利状刃先をもつギザ刃により、巻込みシロにおける発泡樹脂基材を剥ぎ取ることで巻込みシロの厚みを薄肉にでき、巻込み作業をより簡単に行なうことができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明した通り、本発明によれば、自動車用内装部品の全体、あるいは一部を構成する積層構造体は、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面で、かつ製品の外周縁など、剛性が要求される部位に積層一体化される樹脂リブとから構成されているため、従来の重量の嵩む樹脂芯材を廃止できることから、軽量で低コスト、しかも多孔質素材であるため、吸音性能に優れた自動車用内装部品を提供できるという効果を有する。
【0031】
更に、本発明によれば、成形金型のキャビティ形状に沿って、発泡樹脂基材を所要形状に成形すると同時に発泡樹脂基材の裏面側に樹脂リブを成形するという工程を採用すれば、樹脂成形体である樹脂リブの投影面積が少ないため、従来の樹脂芯材に比べ、成形金型にかかる負荷も少なく、かつ冷却時間も短縮化でき、歩留まりを高めることができることから、作業能率を高めることができるとともに、大幅なコストダウンを招来できるという作用効果を有する。
【0032】
また、本発明によれば、積層構造体における外周縁部の裏面側が加熱治具により加熱軟化処理されるとともに、巻込みシロの折り返し基点となる薄肉ヒンジ部が同時に形成され、巻込みシロが容易に巻込み処理されることにより、シャープな外周ラインが形成でき、外観意匠性に優れるとともに、特に、端末部分においては、巻込みシロを折り返した二重構造であるため、剛性が強化されており、波打ち不良等が生じることがなく、かつパネルまたは隣接する相手部品に対する合わせ精度を高めることができるなどの種々の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係る自動車用内装部品及びその製造方法の好適な実施の形態について、自動車用ドアトリム及びその製造方法を例示して説明する。
【実施例1】
【0034】
図1乃至図13は、本発明の第1実施例を示し、図1はツートンタイプの自動車用ドアトリムを示す正面図、図2は同自動車用ドアトリムの構成を示す断面図、図3は同自動車用ドアトリムにおけるドアトリムアッパーの樹脂リブとドアトリムロアを示す正面図、図4は同自動車用ドアトリムにおけるドアトリムアッパーの端末処理部の構成を示す断面図、図5,図6は同自動車用ドアトリムの成形工程を示す各工程説明図、図7はドアトリムアッパーの端末処理に使用する端末処理装置の構成を示す説明図、図8乃至図10はドアトリムアッパーにおける端末処理工程をそれぞれ示す説明図、図11は端末処理装置の変形例を示す説明図、図12,図13は端末処理方法の変形例を示す説明図である。
【0035】
図1,図2において、ツートンタイプの自動車用ドアトリム10は、積層構造体からなるドアトリムアッパー20と樹脂単体品からなるドアトリムロア30との上下二分割体から構成されている。上記ドアトリム10に装着される機能部品としては、ドアトリムアッパー20にインサイドハンドルエスカッション11、パワーウインドウスイッチエスカッション12が取り付けられている。ドアトリムロア30には、ドアポケット用開口13が開設され、その背面側には、図2に示すように、ポケットバックカバー(樹脂成形体からなる)14が取り付けられており、ドアトリムロア30のフロント側にスピーカグリル15がドアトリムロア30と一体あるいは別体に形成されている。
【0036】
ところで、本発明に係る自動車用ドアトリム10は、積層構造体であるドアトリムアッパー20の構造に本発明を適用し、製品の軽量化を図るとともに、外周端末部の見栄えを高め、かつ成形工程、端末処理工程を簡素化したことが特徴である。すなわち、ドアトリムアッパー20は、図2に示すように、所望の曲面形状に成形され、保形性を有する発泡樹脂基材21と、この発泡樹脂基材21の裏面側に積層一体化される樹脂リブ22と、発泡樹脂基材21の表面側に積層一体化される加飾機能をもつ加飾材23とから大略構成されている。尚、図中符合16はドアパネルを示す。
【0037】
上記発泡樹脂基材21は、保形性を備えるように発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、所要形状に熱成形、例えば、所望の型面を有する成形金型でコールドプレス成形されるが、更に高展開率部分については、真空成形により発泡樹脂基材21を賦形しても良い。上記発泡樹脂シートは、汎用の熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した構成であり、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が使用でき、発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤や重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤が使用できる。この実施形態では、ポリプロピレン系樹脂に発泡剤として重炭酸ナトリウムを適宜添加した発泡樹脂シートを使用している。また、この発泡樹脂基材21の発泡倍率は、2〜10倍に設定され、厚みは0.5〜30mm、特に1〜10mmの範囲に設定されている。
【0038】
次いで、樹脂リブ22は、発泡樹脂基材21の裏面側に配設され、特に、図3に示すように、交差状に延びる所定パターンに設定されており、ドアトリムアッパー20の外周縁に沿う端末(巻込み部)においては、樹脂リブ22を設けない部分が存在している。尚、このパターンは、縦横方向、斜め方向、あるいはその組み合わせ等、交差状であれば任意のパターンが選択されて良い。この樹脂リブ22は、汎用の合成樹脂成形体からなり、通常好ましく使用できる合成樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート系樹脂等から適宜選択されて良く、本実施形態では、環境面、リサイクル面を考慮してポリプロピレン系樹脂が使用されている。また、この樹脂リブ22には、上記熱可塑性樹脂中に適宜フィラー、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維や、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子等の充填剤が混入されていても良い。
【0039】
このように、図1乃至図3に示すドアトリム10は、積層構造体からなるドアトリムアッパー20と、合成樹脂単体品のドアトリムロア30とから構成され、外観上のアクセント効果により、優れた外観意匠性を備えている。更にドアトリムアッパー20は、保形性を有する発泡樹脂基材21と、発泡樹脂基材21の裏面に積層一体化される樹脂リブ22と、加飾性を有する加飾材23とから構成されているため、従来のように製品の全周に亘り占有していた重量の嵩む樹脂芯材を廃止でき、かつ軽量な発泡樹脂基材21を使用する関係で、製品の重量について、従来例に比し40%以上の軽量化を図ることができるとともに、樹脂材料も大幅に節約でき、コストダウンにも貢献できる。
【0040】
更に、発泡樹脂基材21は、多孔質構造であるため、ドアトリムアッパー20は、吸音性能に優れ、車室内の騒音を低減することができる。また、発泡樹脂基材21の吸音性を維持するために、発泡樹脂基材21の表面に予めラミネートされるか、または成形時に一体化されて積層一体化される加飾材23は、織布、不織布、編布等の通気性を備えた布地シートが好ましい。尚、加飾材23は、織布、不織布、編布等の布地シート以外にも塩ビシート、TPOシート、TPUシート等の合成樹脂シート、合成樹脂フィルム、発泡体、網状体等の単体シートが使用できる。また、合成樹脂シートや布地シートの裏面にポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリウレタンフォーム等のクッション層を裏打ちした積層シート材料を使用することができる。尚、TPOシートを使用した場合、オレフィン系樹脂材料で統一できるため、リサイクル面で有利である。
【0041】
次に、ドアトリム10におけるドアトリムアッパー20の外周縁に沿う端末構造について、図4を基に説明する。すなわち、ドアトリムアッパー20は、上述したように、保形性を有する軽量な発泡樹脂基材21の裏面に、剛性を強化する樹脂リブ22が一体化され、かつ発泡樹脂基材21の表面には、加飾性を有する加飾材23が積層一体化されている。更に、ドアトリムアッパー20の製品外周部に沿って縦壁フランジ部211が下向き(ドアパネル16)側に向けて延設されるとともに、更に、この縦壁フランジ部211の先端部分には、ドアパネル16と平行に延長部212が水平状に延設され、この延長部212は、薄肉ヒンジ部24を基に巻込みシロ25が延長部212の発泡樹脂基材21側に巻込み固着されている。そして、ドアパネル16に対して端末処理部Aがドアパネル16に対して面当て状態で当接している。
【0042】
従って、ドアトリムアッパー20の端末処理部Aは、切断木口が露出することがなく、巻込みシロ25が延長部212裏面側に折り返し固着されている。特に、ドアトリムアッパー20の外周ラインとしては、薄肉ヒンジ部24が該当するため、シャープな製品の外周ラインが確保でき、外観見栄えに優れるとともに、延長部212の裏面に巻込みシロ25が折り返し固着された二重構造となっているため、端末部分の剛性が強化でき、波打ち変形等の恐れがなく、ドアパネル16に対してスキなく密着でき、合わせ精度を高めることができるという利点がある。また、相手部品と一定クリアランスを設けた合わせ形状とする場合においても、その合わせ精度を高めることができる。
【0043】
次に、ドアトリムアッパー20の外周端末部の端末処理工程を含めたドアトリム10の製造方法の概要について、以下に説明する。まず、図5,図6に基づいて、ドアトリム10の成形工程について説明する。図5に示すように、ドアトリム10の成形に使用する成形金型40は、所定ストローク上下動可能な成形上型41と、成形上型41と対をなす固定側の成形下型42と、成形下型42に接続される2基の射出機43a,43bとから大略構成されている。更に詳しくは、成形上型41は、製品形状に合致したキャビティ部411が形成されており、成形上型41の上面に連結された昇降シリンダ412により所定ストローク上下駆動される。また、成形上型41の4隅部には、ガイド機構となるガイドブッシュ413が設けられている。
【0044】
一方、成形下型42には、成形上型41のキャビティ部411に対応するコア部421が設けられている。また、このコア部421の型面に溶融樹脂を供給するために、マニホールド422a,422b、ゲート423a,423bが設けられており、このマニホールド422a,422b、ゲート423a,423bの樹脂通路を経て射出機43a,43bから供給される溶融樹脂M1,M2がコア部421の上面に形成された溝部424内、及びドアトリムロア30を形成するためのキャビティ425内に供給される。また、成形下型42の4隅部には、ガイド機構となるガイドポスト426が突設され、このガイドポスト426は、成形上下型41,42が型締めされる際、ガイドブッシュ413内に案内されることで成形上型41のプレス姿勢を適正に維持できる。
【0045】
次いで、上述したドアトリム10の製造方法の各工程について説明する。まず、ヒーター装置(図示せず)により発泡樹脂シートSの一方面に加飾材23をラミネートしたものを所定温度に加熱軟化させる。この発泡樹脂シートSとしては、本実施例では、ポリプロピレン製発泡シート(住化プラステック製、商品名:スミセラー発泡PPシート、発泡倍率=3倍、厚み3mm)が使用されている。続いて、図5に示すように、加熱軟化処理した発泡樹脂シートS(加飾材23をラミネートしている)をドアトリムアッパー20対応箇所における成形上型41のキャビティ部411と成形下型42のコア部421で画成されるキャビティの上半部分にセットする。
【0046】
そして、発泡樹脂シートSをセットした後、成形上型41における昇降シリンダ412の駆動により、成形上型41が所定ストローク下降して、図6に示すように、成形上下型41,42が型締めされて発泡樹脂シートSが所望の型面形状に沿って賦形され、発泡樹脂基材21が成形される。更に、第1の射出機43aからマニホールド422a、ゲート423aを通じてドアトリムアッパー20における樹脂リブ22を形成するために、溶融樹脂M1がコア部421の溝部424内に射出充填される。続いて、ドアトリムロア30を成形するために、第2の射出機43bからマニホールド422b、ゲート423bを通じてドアトリムロア成形用のキャビティ425内に溶融樹脂M2が射出充填され、ドアトリムロア30が所要形状に成形される。
【0047】
従って、第1の射出機43a、第2の射出機43bからそれぞれ溶融樹脂M1,M2をキャビティ内に射出充填することにより、ドアトリムアッパー20における樹脂リブ22を所要形状に成形するとともに、これと一体にドアトリムロア30が成形される。尚、この溶融樹脂M1,M2としては、住友ノーブレンBUE81E6(住友化学工業製ポリプロピレン、メルトインデックス=65g/10分)でタルクが適宜割り合いで混入されている。尚、溶融樹脂M1,M2の射出のタイミングを成形上下型41,42の型締め前に設定しても良い。このように、ツートンタイプのドアトリム10を製造するには、成形下型42に2基の射出機43a,43bを連結して、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30とについて、各樹脂通路を通じて溶融樹脂M1,M2を射出充填することで、単一の成形金型40で、かつ工程数が短縮化された形でツートンタイプのドアトリム10を成形することができる。
【0048】
そして、上述したドアトリム10の製造方法において、特に、ドアトリムアッパー20については、後述する端末処理工程が必要である。この端末処理工程を施すには、図7に示す端末処理装置50を使用する。この端末処理装置50の全体構成について、図面を基に説明する。端末処理装置50は、ドアトリムアッパー20をセットする受け治具60と、ドアトリムアッパー20における端縁側に相当する延長部212の発泡樹脂基材21を加熱軟化させ、かつ薄肉ヒンジ部24を形成するための加熱治具70と、巻込みシロ25を延長部212の裏面側に巻込み処理する巻込み機構部80とから大略構成されている。
【0049】
更に詳しくは、受け治具60は、ドアトリムアッパー20をセットするためのセット台61とドアトリムアッパー20を所定位置に位置決め固定するためのスペーサ62と、受け治具押さえ63とから構成されている。更に、加熱治具70としては、第1実施例では、ブロック状の熱刃71が使用され、熱刃71下面の外側縁に沿って鋭利状の突起72が形成され、この熱刃71はシリンダ73により所定ストローク上下動作を行なう。尚、シリンダ73のピストンロッド73aの先端に熱刃71が取り付けられているとともに、シリンダ73は、サポート架台73bにより支持されている。また、巻込み機構部80は、巻込みシロ25を巻込み処理する巻込み駒81がスライダ82に連結され、進退用シリンダ83によりスライダ82が進退駆動される。そして、このスライダ82は進退用シリンダ83を取り付けたテーブル84のガイドレール85に沿って進退駆動する。また、テーブル84は、テーブル駆動用シリンダ86により所定ストローク上下駆動されるという構成である。
【0050】
次に、図7に示す端末処理装置50を使用して、ドアトリムアッパー20の端末処理工程について説明する。まず、図8に示すように、受け治具60のセット台61上にドアトリムアッパー20をセットし、スペーサ62及び受け治具押さえ63により所定位置で固定する。その後、ブロック状の熱刃71がシリンダ73の駆動により下降して、図示するように、ドアトリムアッパー20の延長部212の発泡樹脂基材21に当接、あるいは微小クリアランスを介して対峙することで、この部位の発泡樹脂基材21を加熱軟化させるとともに、熱刃71の下面コーナー部に設けた鋭利状の突起72により、巻込みシロ25との境界部分に薄肉ヒンジ部24を形成する。この時の熱刃71の温度は、150℃以上が必要であり、この実施例では180℃に設定され、発泡樹脂基材21と熱刃71とを10秒間当接させて、発泡樹脂基材21が加熱軟化処理される。
【0051】
その後、図9に示すように、巻込み機構部80におけるテーブル駆動用シリンダ86が動作してテーブル84が上昇し、巻込み駒81がドアトリムアッパー20における巻込みシロ25を熱刃71の外側面71aに沿って起立させる。この時、熱刃71からの伝熱作用により、巻込みシロ25裏面の発泡樹脂基材21も加熱軟化処理される。その後、図10に示すように、熱刃71がシリンダ73の動作により、待機位置まで上昇するとともに、巻込み機構部80における進退用シリンダ83が動作して、スライダ82が前進することで、巻込み駒81が巻込みシロ25を延長部212の裏面側に折り返すことで巻込みシロ25が溶着一体化される。このようにして、ドアトリムアッパー20の端末処理が行なわれる。従って、接着剤を使用することがないため、工数的には有利であり、作業環境上も好ましく、図4に示すように外観上も優れ、かつ剛性も強化された端末処理部Aが簡単に形成できる。
【0052】
次いで、図11乃至図13は、第1実施例の変形例を示すもので、上述実施例と同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。図11に示すように、この変形例においては、加熱治具70の構成について、ブロック状の熱刃71に替えて、プレート状の熱刃74が使用されており、この変形例では、4枚のプレート状の熱刃74a〜74dが使用されている。そして、特に、外方に位置するプレート状の熱刃74aが他のプレート状の熱刃74b〜74dに比べ長寸でかつ先端に鋭利な突起72が形成されている。尚、各プレート状の熱刃74a〜74dは、シリンダ73のピストンロッド73aにサポート体74eを介して取り付けられている。
【0053】
そして、図12に示すように、加熱治具70による加熱軟化工程では、延長部212の発泡樹脂基材21に対して、各熱刃74a〜74dが当接、あるいは近接し、当接部位の発泡樹脂基材21を加熱軟化させるとともに、特に、最も外側に位置する熱刃74aにより、巻込みシロ25との境界部となる薄肉ヒンジ部24が形成される。次いで、図13に示すように、巻込み機構部80のテーブル駆動用シリンダ86が動作して、テーブル84が上昇すれば、巻込み駒81により、巻込みシロ25が熱刃74aの外側面に沿って起立するとともに、巻込みシロ25の裏面が加熱軟化処理される。以降の工程は、上述した第1実施例と同様であり、各熱刃74a〜74dが上方に回避した後、巻込み駒81がスライドして、巻込みシロ25を折り返し溶着する。そして、このプレート状の熱刃74a〜74dを使用することの利点としては、ブロック状の熱刃71に比べ、巻込み部に対して加熱が均等に行なわれるとともに、伝熱効果が高いことである。
【0054】
以上のように、本発明の第1実施例においては、ドアトリムアッパー20における延長部212の裏面の発泡樹脂基材21に対して、ブロック状の熱刃71、あるいは複数のプレート状の熱刃74等の加熱治具70により加熱軟化処理すると同時に、巻込みシロ25を区画する薄肉ヒンジ部24を同時に形成し、次いで、巻込み機構部80により巻込みシロ25を起立かつ加熱軟化させ、その後、延長部212の裏面側に巻込みシロ25を巻込み駒81のスライド動作により簡単に巻込み処理を行なうというものであるから、従来の接着剤を使用するタイプや、端末をカット処理する構造のものに比べ、接着剤が不要となり、接着剤の塗布工程、乾燥工程等の工数を短縮化でき、かつ作業環境も良好に維持できるとともに、外観見栄えにも優れ、かつ二重芯材であることから、剛性を強固に維持できるという効果がある。
【0055】
尚、この第1実施例においては、成形金型40を使用してドアトリムアッパー20とドアトリムロア30とを一体成形した後、ドアトリムアッパー20について端末処理装置50を使用して、端末処理工程を施したが、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30とを別個の金型でそれぞれ成形し、ドアトリムアッパー20について、端末処理装置50を使用して、端末処理を行なった後、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30とを接合固定する工程を採用することもできる。また、巻込み駒81が巻込みシロ25を延長部212の裏面側に折り返した後に、テーブル駆動用シリンダ86を動作させ、テーブル84を下降させて巻込み駒81で巻込みシロ25を延長部212側に潰すことで、端末処理部の剛性を強固にし、ドアパネル16との合わせを向上させても良い。
【実施例2】
【0056】
図14乃至図16は、本発明の第2実施例を示すもので、第1実施例と同様に、ツートンタイプの自動車用ドアトリム10におけるドアトリムアッパー20の端末処理構造に適用されている。図14は第2実施例に使用する端末処理装置の全体図を示し、図15,図16は同端末処理装置を使用したドアトリムアッパーの端末処理工程を示す説明図である。この第2実施例においては、図14に示すように、端末処理装置50は、受け治具60及び巻込み機構部80は第1実施例と同一構成であるが、加熱治具70の構成については、図14に示すように、ケース状の熱刃75を使用し、このケース状の熱刃75に熱風吹込み孔75aを形成し、熱風供給機構75bから熱風吹込み孔75aを通してケース状の熱刃75内に熱風を吹き入れ、この熱風により発泡樹脂基材21を加熱軟化処理するというものであり、このケース状の熱刃75の外側下縁には、突起72が形成されている。
【0057】
そして、この第2実施例においては、図15に示すように、受け治具60のセット台61にドアトリムアッパー20をセットして位置決め固定した後、ケース状の熱刃75をシリンダ73の駆動により、下降操作し、ケース状の熱刃75内に熱風供給機構75bから熱風を吹き入れ、熱風をベースとして発泡樹脂基材21を加熱軟化処理すると同時に、突起72により巻込みシロ25の折り返し基点となる薄肉ヒンジ部24を形成する。このように、熱風を吹き付けて発泡樹脂基材21の巻込み部を軟化させた場合には、発泡樹脂基材21表面の凹凸等に影響されることなく、短時間に均一な加熱軟化処理が行なえ、端末処理時間を短縮化することができる。
【0058】
その後、図16に示すように、巻込み機構部80のテーブル駆動用シリンダ86が動作して、テーブル84が上昇すれば、巻込み駒81により、巻込みシロ25がケース状の熱刃75の外側面75cに沿って起立し、ケース状の熱刃75からの伝熱作用で巻込みシロ25裏面の発泡樹脂基材21が加熱軟化処理される。次いで、ケース状の熱刃75が待機位置に後退した後、巻込み駒81が進退用シリンダ83の動作により、巻込みシロ25を巻込み処理するという第1実施例と同一の工程が行なわれることになる。
【0059】
この第2実施例においても、ドアトリムアッパー20の端末処理工程は、接着剤を使用することがないため、作業環境が好ましく、かつ処理時間を短縮化できるとともに、端末をカット処理するのに比べて、巻込みシロ25を巻込み処理するため、二重芯材となり、剛性が強化でき、かつ切断木口が目立たず、外周ラインもシャープに形成できる等、外観見栄えも優れるという利点がある。また、第1実施例に比べ、ケース状の熱刃75に加えて、熱風を利用するため、発泡樹脂基材21の軟化時間が短縮化でき、かつ均一な軟化状態が得られる等の利点がある。
【実施例3】
【0060】
図17乃至図21は、本発明の第3実施例を示すもので、図17はドアトリムアッパーの端末部の構成を示す断面図、図18,図19は同ドアトリムアッパーの端末処理工程を示す説明図、図20は第3実施例の変形例を示すドアトリムアッパーの端末部の構成を示す断面図、図21は同ドアトリムアッパーの端末処理工程を示す説明図である。
【0061】
図17に示すように、第3実施例におけるドアトリムアッパー20は、端末処理部Aにおいて、薄肉ヒンジ部24を基に巻込みシロ25が延長部212の裏面側に巻込み処理されており、上述した第1実施例、第2実施例同様、美麗な外周ラインを確保でき、外観見栄えを高めることができるとともに、特に、端末処理部Aの厚みが一般部の厚みに比べ薄肉に設定されていることが特徴である。従って、端末処理部Aの剛性がより強固なものとなり、変形等が確実に防止できるとともに、相手部品に対する合わせ精度をより向上させることができる。
【0062】
この図17に示す断面構造を達成するためには、図18に示すように、加熱治具70としては、加熱ブロック76と受けブロック77とを使用し、両者間で巻込みシロ25及び巻込みシロ25を重合させる延長部212における双方の発泡樹脂基材21を加熱軟化させると同時に薄肉状にプレス加工を行なう必要がある。その後は、図19に示すように、巻込み機構部80における巻込み駒81の動作により、巻込みシロ25を薄肉ヒンジ部24を基に折り返し操作して、巻込みシロ25を本体側に一体化することで端末処理工程が完了する。
【0063】
従って、この第3実施例においては、第1実施例における発泡樹脂基材21の加熱治具70による加熱軟化工程、薄肉ヒンジ部24の形成工程に替えて、巻込みシロ25及び巻込みシロ25と重合させる延長部212の発泡樹脂基材21を加熱軟化すると同時に薄肉偏平化する工程を採用したことが特徴である。そして、このことにより、端末処理部Aの剛性をより強固なものとできるとともに、端末処理部Aを薄肉化することで、相手部品との干渉等の問題を回避でき、合わせ精度を高めることができるという利点がある。
【0064】
また、図20,図21は、加熱ブロック76により薄肉化する部位を縦壁フランジ部211の先端まで延ばした変形例である。この場合、巻込みシロ25による重合面積が拡大されて、剛性がより強固にできるという付随的な利点がある。
【実施例4】
【0065】
図22乃至図27は、本発明の第4実施例を示すもので、図22は端末処理装置の全体構成を示す説明図、図23乃至図26は同端末処理装置を使用したドアトリムアッパーの端末処理工程を示す各説明図、図27は端末処理部の構成を示す断面図である。図22に示すように、この第4実施例における端末処理装置50は、受け治具60並びに巻込み機構部80の構成は上述した各実施例と同一であり、異なる点は、加熱治具70の構成にある。すなわち、ブロック状の熱刃71のコーナー部(下面の外縁に沿う部分)には、巻込みシロ25裏面の発泡樹脂基材21を剥ぎ取り除去するため、鋭利な刃先を有するギザ刃78が形成されている。その他の構成は第1実施例と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0066】
次に、第4実施例における端末処理工程について説明する。まず、図23に示すように、ドアトリムアッパー20を受け治具60のセット台61上にセットし、スペーサ62、受け治具押さえ63によりドアトリムアッパー20を位置決め固定した後、シリンダ73の動作により、熱刃71を延長部212の発泡樹脂基材21の裏面に当接、あるいは微小クリアランスを介して対峙させることで、延長部212の発泡樹脂基材21を加熱軟化させるとともに、ギザ刃78により薄肉ヒンジ部24が形成される。
【0067】
次いで、図24に示すように、巻込み機構部80におけるテーブル84を上昇させることで、同時に巻込み駒81が上昇して、ブロック状の熱刃71の外側面71aに沿ってドアトリムアッパー20の巻込みシロ25を起立させるとともに、巻込みシロ25裏面の発泡樹脂基材21を加熱軟化させる。この時、薄肉ヒンジ部24は、図24中拡大して示すように、巻込みアシスト形状に規制されることで、巻込み時における巻込みシロ25の折り返し作業が円滑に行なえることになる。
【0068】
その後、図25に示すように、熱刃71がシリンダ73の駆動により上昇する際、熱刃71のコーナー部に形成したギザ刃78により、巻込みシロ25裏面の発泡樹脂基材21を剥ぎ取ることになる。その後、図26に示すように、巻込み機構部80における進退用シリンダ83が動作して、スライダ82、巻込み駒81が前進して巻込みシロ25を薄肉ヒンジ部24を基に折り返し処理することで、図27に示すドアトリムアッパー20の端末部の処理が完了する。図示するように、巻込みシロ25において、熱刃71に設けたギザ刃78により発泡樹脂基材21が剥ぎ取られているため、巻込みシロ25は極めて薄肉であり、端末処理部Aの厚み(図中h寸法)を短寸化でき、合わせ精度を高めることができるとともに、巻込みシロ25の可撓性を生かすことができ、巻込み作業もやり易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明した実施例は、ツートンタイプの自動車用ドアトリム10におけるドアトリムアッパー20の端末処理構造及び端末処理方法に適用したものであるが、一体型のドアトリムに適用することもでき、また、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、ラゲージトリム、トランクトリム、リヤサイドトリム、ルーフトリム等、ドアトリム10以外の内装部品全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る自動車用内装部品を適用した自動車用ドアトリムの第1実施例を示す正面図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】図1に示す自動車用ドアトリムにおけるドアトリムアッパーの樹脂リブとドアトリムロアとを示す正面図である。
【図4】図1中IV−IV線断面図であり、ドアトリムアッパーの端末処理部の構成を示す断面図である。
【図5】図1に示すドアトリムアッパーの製造方法における成形金型内への素材のセット工程を示す説明図である。
【図6】図1に示すドアトリムアッパーの製造方法における成形工程を示す説明図である。
【図7】図1に示すドアトリムアッパーの製造方法における端末処理工程の第1実施例に使用する端末処理装置の全体構成を示す説明図である。
【図8】図1に示すドアトリムアッパーの製造方法における端末処理工程の第1実施例を示す説明図である。
【図9】図1に示すドアトリムアッパーの製造方法における端末処理工程の第1実施例を示す説明図である。
【図10】図1に示すドアトリムアッパーの製造方法における端末処理工程の第1実施例を示す説明図である。
【図11】図1に示すドアトリムアッパーの製造方法における端末処理工程の第1実施例の変形例に使用する端末処理装置の全体構成を示す説明図である。
【図12】図11に示す端末処理装置を使用した加熱治具による加熱軟化処理工程を示す説明図である。
【図13】図11に示す端末処理装置を使用した巻込みシロの起立・加熱軟化処理工程を示す説明図である。
【図14】本発明に係る自動車用内装部品の製造方法の第2実施例に使用する端末処理装置の全体構成を示す説明図である。
【図15】図14に示す端末処理装置を使用した加熱治具による加熱軟化処理工程を示す説明図である。
【図16】図14に示す端末処理装置を使用した巻込みシロの起立・加熱軟化処理工程を示す説明図である。
【図17】本発明に係る自動車用内装部品をドアトリムアッパーに適用した第3実施例を示すドアトリムアッパーの端末処理部の構成を示す断面図である。
【図18】図17に示すドアトリムアッパーにおける端末処理部の加熱軟化処理工程を示す説明図である。
【図19】図17に示すドアトリムアッパーにおける端末処理部の巻込み処理工程を示す説明図である。
【図20】図17に示すドアトリムアッパーにおける端末処理部の変形例を示す断面図である。
【図21】図20に示す端末処理部を形成するための端末処理工程を示す説明図である。
【図22】本発明に係る自動車用内装部品の製造方法の第4実施例に使用する端末処理装置の全体構成を示す説明図である。
【図23】図22に示す端末処理装置を使用した加熱治具による加熱軟化処理工程を示す説明図である。
【図24】図22に示す端末処理装置を使用した巻込みシロの起立・加熱軟化処理工程を示す説明図である。
【図25】図22に示す端末処理装置を使用した巻込みシロ裏面の発泡樹脂基材の剥ぎ取り工程を示す説明図である。
【図26】図22に示す端末処理装置を使用した巻込みシロの折り返し工程を示す説明図である。
【図27】本発明に係る自動車用内装部品の第4実施例であるドアトリムアッパーの端末処理部の構成を示す断面図である。
【図28】従来のドアトリムを示す正面図である。
【図29】図28中XXIX−XXIX線断面図である。
【図30】従来の自動車用ドアトリムの成形方法の概要を示す説明図である。
【図31】プレス成形による自動車用ドアトリムの端末部分の従来例を示す説明図である。
【図32】表皮巻込みタイプの自動車用ドアトリムにおける端末部分の従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
10 ツートンタイプの自動車用ドアトリム
20 ドアトリムアッパー(積層構造体)
21 発泡樹脂基材
211 縦壁フランジ
212 延長部
22 樹脂リブ
23 加飾材
24 薄肉ヒンジ部
25 巻込みシロ
30 ドアトリムロア(樹脂単体品)
40 成形金型
41 成形上型
42 成形下型
43a,43b 射出機
50 端末処理装置
60 受け治具
61 セット台
62 スペーサ
63 受け治具押さえ
70 加熱治具
71 熱刃(ブロック状)
72 突起
73 シリンダ
74 熱刃(プレート状)
75 熱刃(ケース状)
75a 熱風吹込み孔
75b 熱風供給機構
76 加熱ブロック
77 受けブロック
78 ギザ刃
80 巻込み機構部
81 巻込み駒
82 スライダ
83 進退用シリンダ
84 テーブル
85 ガイドレール
86 テーブル駆動用シリンダ
S 発泡樹脂シート
M1,M2 溶融樹脂
A 端末処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(21)と、この発泡樹脂基材(21)の裏面に積層一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(22)とからなる積層構造体(20)を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品(10)において、
前記積層構造体(20)の縁部に沿って、発泡樹脂基材(21)の裏面が加熱治具(70)により加熱軟化処理されるとともに、加熱治具(70)により巻込みシロ(25)との境界部に薄肉ヒンジ部(24)が形成され、この薄肉ヒンジ部(24)を基に巻込みシロ(25)が発泡樹脂基材(21)の裏面側に巻き込まれ、熱溶着されていることを特徴とする自動車用内装部品。
【請求項2】
前記積層構造体(20)における加熱軟化部位は、加熱治具(70)からのプレス圧で薄肉化され、巻込みシロ(25)を巻き込んだ端末処理部(A)の厚みが一般部の厚みに比べ薄肉に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用内装部品。
【請求項3】
所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(21)と、この発泡樹脂基材(21)の裏面に積層一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(22)とからなる積層構造体(20)を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品(10)の製造方法において、
前記積層構造体(20)は、発泡樹脂基材(21)の素材である発泡樹脂シート(S)を加熱軟化処理後、成形金型(41,42)内にセットした後、成形金型(41,42)同士を型締めして、成形金型(41,42)のキャビティ形状に沿って発泡樹脂基材(21)を所要形状に成形する際、成形金型(41,42)の型締め直前、または型締め後のいずれかのタイミングで成形金型(41,42)の溝部(424)内に溶融樹脂(M1)を射出機(43)から射出充填して、樹脂リブ(22)を発泡樹脂基材(21)の裏面側に積層一体化する積層構造体(20)の成形工程と、
前記成形工程で成形された積層構造体(20)を成形金型(41,42)から脱型し、受け治具(60)上にセットした後、積層構造体(20)の端縁部における発泡樹脂基材(21)の裏面側に加熱治具(70)を近接、あるいは当接させて巻込みシロ(25)より内側の発泡樹脂基材(21)を加熱軟化処理するとともに、加熱治具(70)の突起(72)により、巻込みシロ(25)との境界部に薄肉ヒンジ部(24)を形成した後、巻込み機構部(80)の巻込み駒(81)により薄肉ヒンジ部(24)を基に巻込みシロ(25)を起立させ、巻込みシロ(25)の裏面を加熱治具(70)の側面にあてがい加熱軟化処理し、その後、巻込み駒(81)により巻込みシロ(25)を巻込み処理する積層構造体(20)の端末処理工程との2工程により製造されることを特徴とする自動車用内装部品の製造方法。
【請求項4】
前記積層構造体(20)の端末処理工程において、加熱治具(70)により、発泡樹脂基材(21)の裏面側を加熱軟化処理する際、加熱治具(70)からのプレス圧により、巻込みシロ(25)及び巻込みシロ(25)を重合させる部位を薄肉状に圧縮偏平化することで、積層構造体(20)における端末処理部(A)の厚みを一般部の厚みに比べ薄肉に設定したことを特徴とする請求項3に記載の自動車用内装部品の製造方法。
【請求項5】
前記積層構造体(20)の端末処理工程において、加熱治具(70)のコーナー部にギザ刃(78)を形成し、加熱治具(70)により発泡樹脂基材(21)の裏面を加熱軟化処理した後、巻込み駒(81)を上昇させて巻込みシロ(25)を加熱治具(70)の側面に沿わせて起立かつ加熱軟化処理した後、加熱治具(70)を上昇させて巻込みシロ(25)の発泡樹脂基材(21)をこのギザ刃(78)により剥ぎ取り、巻込みシロ(25)の厚みを薄肉にした後、薄肉状の巻込みシロ(25)を折り返し、溶着固定することを特徴とする請求項3に記載の自動車用内装部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2006−123322(P2006−123322A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314119(P2004−314119)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】