説明

薄膜の変換方法及びそれを用いた薄膜トランジスタとその製造方法

【課題】本発明の目的は、熱パターンの適用により、金属酸化物前駆体からの酸化物半導体への転換を、容易にかつ効率よく行うことのできる新しい酸化物半導体を活性層に用いる薄膜トランジスタの製造方法を提供することにある。
【解決手段】マイクロ波(周波数0.3〜50GHz)を吸収して発熱する発熱源パターンを有する基体と、薄膜を有する基板を接合させ、これにマイクロ波を照射することにより、該発熱源パターンを発熱させ、発熱源パターンに接する基板上の薄膜を発熱源パターン様に熱変換することを特徴とする薄膜の変換方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパターン化された加熱により酸化物半導体層を得る薄膜の変換方法及びそれを用いた薄膜トランジスタとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタにおいて、半導体の前駆体から、これを半導体に転換して薄膜トランジスタを製造する方法が知られている。
【0003】
例えば、金属膜を酸化し酸化物半導体膜に変換する技術として、基板上に形成したCu、Zn、Al等の金属膜を、熱酸化やプラズマ酸化等により酸化し酸化物半導体膜に変換する試みがされている(例えば特許文献1)。ドーパントにIn等の記載もある。
【0004】
また、有機金属を分解酸化(加熱、分解反応)することで、非晶質酸化物を形成するものも知られている(例えば特許文献2)。
【0005】
これらは、前駆体を、直接熱酸化または、プラズマ酸化等を用いて、酸化し酸化物半導体を得るものであるが、予め前駆体を半導体チャネル領域にパターン形成してのち、これを酸化して半導体薄膜を活性層として得ている。前駆体等のパターニングにはインクジェットプリンティングや、レジスト等を用いるパターニングなど、前駆体のパターニングと、これを酸化物半導体とする過程を独立に行う方法となっている。
【0006】
レジスト等を用いるパターニングはフォトレジストを用いるなど工程が長く煩雑であり、これらのパターン化には多くの工数を要していた。
【0007】
また、特許文献3、また特許文献4に記載のように、従来TFT素子等に用いられる薄膜の成膜には蒸着法、パルスレーザー堆積法またスパッタ法等を用いており、これらにおいては電極や絶縁膜等についてもフォトリソグラフを用いてパターン化するのが一般的であった。フォトリソグラフ法はフォトレジストを用いるなど工程が長く煩雑であり、これらのパターン化には多くの工数を要していた。
【0008】
本発明は、半導体形成、又絶縁膜や電極等について、パターニングと半導体への変換を熱パターンの適用により同時に容易に行うことのできる新規な方法を提供するものである。
【特許文献1】特開平8−264794号公報
【特許文献2】特開2003−179242号公報
【特許文献3】特開2006−165528号公報
【特許文献4】特開2006−186319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、熱パターンの適用により、機能材料である、半導体、絶縁膜また電極層等の形成に、その機能材料前駆体薄膜から、半導体、絶縁膜等の機能層への転換を、容易にかつ効率よく行うことのできる新しい薄膜の変換方法を提供することにあり、又、これらを用いた酸化物半導体を活性層に用いる薄膜トランジスタおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.マイクロ波(周波数0.3〜50GHz)を吸収して発熱する発熱源パターンを有する基体と、薄膜を有する基板を接合させ、これにマイクロ波を照射することにより、該発熱源パターンを発熱させ、発熱源パターンに接する基板上の薄膜を発熱源パターン様に熱変換することを特徴とする薄膜の変換方法。
【0011】
2.熱変換後に、現像工程によって、基板から熱変換しなかった薄膜を除くことを特徴とする前記1に記載の薄膜の変換方法。
【0012】
3.前記薄膜が、半導体前駆体の塗布膜であり、熱変換されたのちに、酸化物半導体パターンが形成されることを特徴とする前記1または2に記載の薄膜の変換方法。
【0013】
4.酸化物半導体が少なくともIn、Sn、Znのいずれかの酸化物を含むことを特徴とする前記3に記載の薄膜の変換方法。
【0014】
5.酸化物半導体がGa、Alのいずれかを含むことを特徴とする前記3または4に記載の薄膜の変換方法。
【0015】
6.前記薄膜が、絶縁膜前駆体材料の塗布膜であり、熱変換されたのちに、絶縁膜が形成されることを特徴とする前記1または2に記載の薄膜の変換方法。
【0016】
7.前記薄膜が、電極材料前駆体の塗布膜であり、熱変換されたのちに、電極が形成されることを特徴とする前記1または2に記載の薄膜の変換方法。
【0017】
8.前記基板が樹脂基板であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の薄膜の変換方法。
【0018】
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の薄膜の変換方法を用いることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【0019】
10.前記1〜8のいずれか1項に記載の薄膜の変換方法を用いて作製されたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、マイクロ波を用いた発熱を利用する簡便なる操作によって酸化物半導体、絶縁膜また電極等をその前駆体材料からパターニング形成でき、薄膜トランジスタを容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0022】
本発明は、マイクロ波(周波数0.3〜50GHz)を吸収して発熱する発熱源パターンを形成した基体と、機能材料の前駆体薄膜を成膜した基板、例えば、酸化物半導体前駆体、絶縁膜前駆体、又電極材料前駆体等の薄膜を形成した基板とを接合させて、基板にマイクロ波を照射することにより、該発熱源パターンを発熱させ、これに接する薄膜を発熱源のパターン様に熱変換することを特徴とする薄膜の変換方法であり、これを用いて、薄膜トランジスタおよび薄膜トランジスタの製造方法を提供するものである。
【0023】
接合させるとは、加熱中、伝熱が充分に起こるよう密着させ重ね合わせることを意味し、マイクロ波照射時以外は密着されていなくともよい。また接するとは前駆体薄膜と発熱源パターン同士が密着していなくともよく、近傍にそれぞれが位置し、基板同士が密着して重なり、輻射熱あるいは伝熱による加熱が充分でき薄膜の変換が起こる状態であればよい。例えば、基板の反対面側を発熱源パターンと密着させてもよい。
【0024】
マイクロ波照射によって吸収体を発熱させ、これに接した前駆体薄膜を熱変換させた後に、現像工程によって、熱変換しなかった薄膜を除くことで、機能材料パターンのみが、基板上に残り、例えば、酸化物半導体、絶縁膜、又電極等の機能材料薄膜がパターニング形成される。
【0025】
薄膜トランジスタにおいては、例えば、酸化物半導体層は、チャネルを形成する活性層領域に形成され、電極、絶縁膜等も、それぞれ、各パターンに従って、薄膜トランジスタシート上に形成される。
【0026】
本発明は、前駆体材料を熱変換によって機能材料に転換するものであり、熱変換により機能材料層をパターニング形成するものであれば特定の機能材料に限定されるものではないが、先ず、塗布により半導体前駆体材料薄膜を形成した基板を、マイクロ波(周波数0.3〜50GHz)を吸収して発熱するパターンを有する基体に接合させ、これにマイクロ波照射して、半導体前駆体材を熱変換させることで、酸化物半導体パターンを形成する態様について説明する。
【0027】
本発明は、一態様においては基板上に形成した酸化物半導体の前駆体薄膜を、マイクロ波を吸収して発熱するパターンを有する基体に接合させ、該前駆体薄膜を、マイクロ波を利用しパターン状に加熱することで、これを酸化物に転換し、基板上の薄膜中に半導体のパターンを形成し、残存した前駆体薄膜を除去して、活性層として酸化物半導体パターンを基板上に得ることで、薄膜トランジスタを製造するものである。
【0028】
本発明において活性層とは、薄膜トランジスタにおいて、チャネルを形成する半導体層のことであり、電界の印加により活性化してキャリア移動度が変化する半導体層であり、これによりスイッチング等の動作を行うものである。
【0029】
酸化物半導体の形成においては、先ず、前駆体薄膜を、塗布等のウェットプロセスによって基板上に一様に形成したのち、これを、マイクロ波を吸収して発熱する発熱源と密着させ、マイクロ波を照射して、マイクロ波の吸収によって発生する熱パターンにより加熱することで、発熱源に対応して酸化物薄膜のパターンを形成する。以下、本発明の方法について、図を用いて説明する。
【0030】
図1に、薄膜トランジスタの構成およびその形成プロセスを示す。
【0031】
図1の如く、先ず、例えばプラスチックシートからなる基板1上に、ゲート電極2、ゲート絶縁層3、さらにソース電極4、ドレイン電極5のパターンを形成した基板上に、本発明に係る酸化物半導体の前駆体材料、例えば、金属の硝酸塩、より具体的には、例えば、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウムを金属比率で1:1:1(モル比)で混合した(10質量%)水溶液等を、塗布により適用して、一様に基板上に、前駆体材料薄膜6’を形成する。(図1(2))。
【0032】
図1においては、薄膜トランジスタ素子部分のみの断面構成を示したが、トランジスタ素子のチャネルとなる領域に酸化物半導体層が活性層として形成されると薄膜トランジスタ素子が構成される。
【0033】
本発明においては、酸化物半導体層の形成を、このように、酸化物半導体の前駆体材料薄膜を一様にウェットプロセスにより形成したのち、これを、マイクロ波を用いた選択的加熱によって素子のチャネル領域に酸化物半導体層6を形成するものである。
【0034】
マイクロ波による選択的加熱は、マイクロ波を吸収して発熱源となる材料(例えばITO等)をパターン状に有する基体を、前記酸化物半導体の前駆体材料薄膜(層)を塗布した基板(シート)に、前駆体材料薄膜(層)と発熱源となるパターンが対向するよう重ね、密着させて、これにマイクロ波を照射することで行うことができる。
【0035】
マイクロ波の吸収により発熱源は急激に発熱し、これに接した前駆体材料層中の前駆体は加熱されて酸化物半導体に転換される。
【0036】
マイクロ波の照射は、どちら側からでもよいが、マイクロ波の吸収により発熱する発熱源を有する基体がマイクロ波を透過する材料である場合、マイクロ波吸収源に直接照射できることから吸収源を有する基体の側(裏面側;前駆体材料層と重ね合わされた側とは反対側))から照射することが好ましい。
【0037】
従って、例えば、複数の薄膜トランジスタ素子を搭載した表示素子等の電子デバイスを構成するTFTシート等において、発熱源を有する基体上に形成された発熱源のパターンを、予め、基板上のTFTシートの、各薄膜トランジスタ素子の活性層(チャネル)を構成する領域と対応するようパターン化しておけば、これと重ね合わせ、マイクロ波照射を行うことでTFTシート上に複数の薄膜トランジスタ素子を形成できる。
【0038】
図1(3)は、発熱源としてITOのパターンを有する基体P(マイクロ波透過性)を、前駆体材料薄膜6’を形成した基板(シート)上に重ねて薄膜にマイクロ波を照射することにより、前記基板上に一様に形成された前駆体材料薄膜のソース、ドレイン電極間のチャネルを構成する領域において、前駆体材料が酸化物半導体からなる酸化物半導体層6に転換したところを示す。半導体に転化しなかった領域において前駆体材料層を例えば洗浄等によって除くことで、活性層として酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタ素子が形成される(図1(4))。
【0039】
マイクロ波を吸収する発熱源パターンを有する基体を用い、マイクロ波照射によって、発熱源パターンに対応して酸化物半導体層を形成し薄膜トランジスタ素子を製造する、本発明に係る方法は、複数の素子を同時に形成するTFTシート等の製造において好ましい。
【0040】
例えば、複数の薄膜トランジスタ素子を搭載するTFTシート上に、前駆体材料薄膜を形成したのち、前駆体材料薄膜中の各TFT素子の活性層となる領域に酸化物半導体層を形成するには、これと位置を合わせ正確に重ね合わされるよう、TFTシート上の各薄膜トランジスタ素子のチャネル領域に対応させた発熱源を有する基体を別に作製する。
【0041】
図2には、マイクロ波を吸収し発熱源となる例えばITO等の物質を、例えばガラス製(マイクロ波を透過する)のロール表面に形成した基体、および前駆体材料薄膜を形成した基板を接合させ、これにマイクロ波照射を行って、前駆体を、酸化物半導体に転化させる態様について概略図で示した。
【0042】
図2では、このマイクロ波を吸収する発熱源(ITO)を基体上に有するガラス製のロールAを用い、これと別に搬送した、前駆体材料薄膜6’を形成したTFTシートCとを、重ね合わせ、発熱源を有するロールと、同期して回転するバックアップロール間で、重ね合わせ(密着させ)、搬送しつつ、マイクロ波を、発熱源を有するロールAの側から照射する。
【0043】
発熱源としてITOを有する基体(ロールA)はその発熱源パターンを、各トランジスタ素子の活性層となる領域に対応するよう、予めTFTシート上のトランジスタ素子の配置に合わせて作製されており、前駆体層を有する基板(TFTシートC)と位置合わせされた上で重ね合わせされ接合されて(密着されて)用いられる。
【0044】
ITOパターンと前駆体材料薄膜を接合させる方法については、限定されない。
【0045】
図3(1)にその一態様を示す。
【0046】
図3(1)では、例えば、ガラス製のロールAの表面にITOのパターンを形成しておき、前駆体材料薄膜を有する基板(TFTシートC)をロールA上を搬送させながら、ロールA上でマイクロ波を照射すると、ITOパターンが加熱して、基材上の薄膜がパターン状に加熱される。
【0047】
マイクロ波の照射はいずれの方向からでも可能であるが、ロールが金属の場合は反射してしまうので、TFTシートC(基材)側から照射するのが好ましい。又、基材側にメタルを含む層が存在する場合には一部が反射するため、ガラスロールを用い、図3に示したような方向、あるいは前記同様にロールの内側から照射するのが好ましい。
【0048】
また、別の実施の態様を図3(2)に示す。ここにおいては、ITOのバターンをガラス製のロールB上に設け、TFTシートC(基材)を、図のようにロールA上を搬送させつつ(バックアップロール)、接合させてもよい。マイクロ波は、発熱源を有するロールBの側から照射する。この態様は図2に示した態様を含む。
【0049】
発熱源を有する担体が、例えばガラスやプラスチック製のマイクロ波を透過する材料で構成したとき、ITO等の発熱源を有する基体の側から(裏面から)、重ね合わされた前駆体材料薄膜(或いはITOパターン)にマイクロ波を照射するのが好ましい。
【0050】
図3(3)は、ロール上にTFTシートC(基材)を巻きつけ、固定した後に、電磁シールドが施された箱の中で、マイクロ波を照射する方法である。回転させながらマイクロ波を照射することで、照射強度の均一性を高めることができる。
【0051】
このようにして、マイクロ波の照射により、TFTシートの各薄膜トランジスタ素子において、チャネル領域に酸化物半導体層が形成される。
【0052】
前駆体材料層中のITO等の発熱源に接した前駆体が熱酸化を受け酸化物半導体に転化するので、前駆体材料層中に、発熱源のパターンに合わせて酸化物半導体が形成される。
【0053】
前駆体材料層と発熱源パターンの密着は、半導体層への転換が均一に起こるよう、全体が均一に接合させるため10〜300Pa程度の圧力で密着させることが好ましい。また、減圧等によって密着させることも好ましい。密着が不充分だと、各素子の性能として所望の特性が得られずバラツキが出るためである。
【0054】
前駆体材料層を半導体層に転化させたのちは、前駆体材料層中にパターン状に酸化物半導体層が形成されているが、これを現像して酸化物半導体層パターンをうるには、残存する前駆体材料層を、これを溶解する溶媒、例えば、前駆体材料層を塗布形成したときの塗布液の溶媒を用いて洗浄する(現像工程)。現像工程により前駆体材料層は容易に除かれ、酸化物半導体層が顕れる。これにより酸化物半導体を活性層とした薄膜トランジスタを構成することができる。
【0055】
TFTシートと発熱源を有する基体は上記のようにそれぞれ担体をロールとして別のロールとの間で重ね合わせてもよく、また、発熱源パターンが形成された基体ロール上をTFTシートを搬送させ、基体ロール側からまたロール内部からマイクロ波照射を行ってもよい。前駆体材料層を有する基板と発熱源パターンが形成された基体ロールを重ね合わせ密着搬送させて一定時間マイクロ波照射によるパターン状加熱が行うことができる形態であれば限定されない。
【0056】
また、発熱源パターンは基体ロール上に直接形成してもよいが、また別に耐熱性プラスチックシート等の上に発熱源パターンを形成し、これを基体ロールに巻きつけて使用してもよい。この場合も発熱源の位置が、TFTシートの素子の配置と整合するよう位置決めを正確にする必要がある。
【0057】
発熱源を有する基体と、前駆体を有する基板の重ね合わせ方法およびマイクロ波照射の方法には幾つかのバリエーションがあるが、本発明において特にその方法は限定されない。
【0058】
前記基体ロールの代わりに、ITOを発熱源パターンとして形成した例えば耐熱性樹脂からなるシート状基体P’を用い、これに前駆体材料薄膜6’を形成したTFTシートCを重ねて搬送しつつ、シート状基体A’の裏面側からマイクロ波照射を行って、前駆体を、酸化物半導体に転化させてもよい。図4にこの実施の態様を概略図で示した。
【0059】
マイクロ波による加熱では、マイクロ波の吸収が強い物質に集中し、尚且つ、非常に短時間で500〜600℃にまで昇温することが可能なため、電子デバイスが形成される基板、シートまたマイクロ波吸収源をもつ基体自身は殆ど加熱の影響を受けず、短時間に電磁波吸収能をもつ物質のみを昇温できるので、これに隣接する層についてこれを効率よく加熱することが可能であり、本発明において、TFTシート等における半導体形成において有利に用いることができる。
【0060】
また、加熱温度、加熱時間は照射するマイクロ波の出力、照射時間で制御することが可能であり、前駆体材料、基板材料等に合わせて調整することが可能である。
【0061】
例えば、樹脂基板を用いるとき、耐熱性が低いため、電磁波の出力、照射時間、さらには照射回数を制御することで基板温度は50℃〜200℃、前駆体を含有する薄膜の表面温度が200〜600℃になる様に処理することが好ましい。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計により測定できる。
【0062】
マイクロ波を吸収して発熱する発熱源となる物質のパターンを形成する基体としては、マイクロ波吸収のないこれを透過する材料であれば特に限定はなく、例えば、ガラス、セラミクス(石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素など)またプラスチックなどが挙げられるが、発熱源がマイクロ波を吸収して発熱するので、プラスチックであればポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性の樹脂が好ましい。
【0063】
これらの基体上への、マイクロ波吸収源物質のパターニングは、基体の形状(ロール、またシート等)によっても基本的には変わらない。吸収源となる材料の、蒸着、スパッタ、また塗布等による一様な形成と、レジストによるパターニングを用いるか、あるいは、マスク等を用いて蒸着、スパッタ等により形成することで、作製することができる。
【0064】
例えばガラス製の中空ロール上に形成する場合、表面に感光性樹脂を塗布後、光パターニングによりレジストパターンを形成後、ITOを表面にスパッタにより一様に形成後、レジストを除き、リフトオフによりITOパターンを得ることができる。
【0065】
以上において、薄膜トランジスタ素子としては、ボトムゲート、トップコンタクト型の素子の形成について説明したが、本発明の方法により半導体層を形成するかぎり限定されない。
【0066】
図5に本発明の薄膜トランジスタの製造方法によって製造される素子の構成例を示す。
【0067】
(素子構成)
図5(a)〜(c)はトップゲート型の素子の例である。
【0068】
同図(a)は、支持体106上にソース電極102、ドレイン電極103を形成し、これを基材(基板)として、両電極間に半導体層101を形成し、その上に絶縁層105を形成し、さらにその上にゲート電極104を形成して電界効果薄膜トランジスタを形成したものである。同図(b)は、半導体層101を、(a)では電極間に形成したものを、電極および支持体表面全体を覆うように形成した例を表す。(c)は、支持体106上に先ず半導体層101を形成し、その後ソース電極102、ドレイン電極103、絶縁層105、ゲート電極104を形成したものを表す。
【0069】
図5(d)〜(f)はトップゲート型の例であり、同図(d)は、前記の例の如く、支持体106上にゲート電104、絶縁層105を形成し、その上に、ソース電極102およびドレイン電極103を形成し、該電極間に半導体層101を形成したものである。その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。
【0070】
これらの図における半導体層の形成過程において本発明を適用することができる。
【0071】
また、図6には、複数の薄膜トランジスタが配置される薄膜トランジスタ(TFT)シートの一例を等価回路図で示した。
【0072】
図6は、例えばプラスチックのシート(フィルム)上に、複数の表示素子(画素)また複数の薄膜トランジスタ素子が配置された薄膜トランジスタシート10を示している。
【0073】
薄膜トランジスタシート10はマトリクス配置された多数の薄膜トランジスタ素子14を有する。11は各薄膜トランジスタ素子14のゲート電極のゲートバスラインであり、12は各薄膜トランジスタ素子14のソース電極のソースバスラインである。各薄膜トランジスタ素子14のドレイン電極には、出力素子16が接続され、この出力素子16は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子16として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。15は蓄積コンデンサ、17は垂直駆動回路、18は水平駆動回路である。
【0074】
この様な、支持体上にTFT素子を2次元的に配列した薄膜トランジスタシートの作製に本発明の方法を用いることができる。
【0075】
本発明において、前駆体は、熱酸化、またプラズマ酸化等でもよいが、酸化的な分解により金属酸化物(半導体)に転換する材料であり、本発明においては、マイクロ波の吸収を利用した熱パターンの印加(選択的な加熱)により、加熱された領域における前駆体材料を酸化物半導体に転化させる。
【0076】
(前駆体)
本発明において酸化物半導体の前駆体材料としては、金属原子含有化合物が挙げられ、金属原子含有化合物としては、金属原子を含む、金属塩、ハロゲン化金属化合物、有機金属化合物等を挙げることができる。
【0077】
金属塩、ハロゲン金属化合物、有機金属化合物の金属としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。
【0078】
それらの金属塩のうち、In(インジウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)のいずれかの金属イオンを含むことが好ましく、それらを併用して混合させてもよい。
【0079】
また、その他の金属として、Ga(ガリウム)またはAl(アルミニウム)を含むことが好ましい。
【0080】
金属塩としては、硝酸塩、酢酸塩等を、ハロゲン金属化合物としては塩化物、ヨウ化物、臭化物等を好適に用いることができる。
【0081】
有機金属化合物としては、下記の一般式(I)で示すものが挙げられる。
【0082】
一般式(I) RxMRyR
式中、Mは金属、Rはアルキル基、Rはアルコキシ基、Rはβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基およびケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基であり、金属Mの価数をmとした場合、x+y+z=mであり、x=0〜m、またはx=0〜m−1であり、y=0〜m、z=0〜mで、いずれも0または正の整数である。R1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。R2のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等を挙げることができる。またアルキル基の水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。R3のβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基としては、β−ジケトン錯体基として、例えば、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトンあるいはアセトアセトンともいう)、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸エステル錯体基として、例えばアセト酢酸メチルエステル、アセト酢酸エチルエステル、アセト酢酸プロピルエステル、トリメチルアセト酢酸エチル、トリフルオロアセト酢酸メチル等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸として、例えば、アセト酢酸、トリメチルアセト酢酸等を挙げることができ、またケトオキシとして、例えば、アセトオキシ基(またはアセトキシ基)、プロピオニルオキシ基、ブチリロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等を挙げることができる。これらの基の炭素原子数は18以下が好ましい。また直鎖または分岐のもの、また水素原子をフッ素原子にしたものでもよい。有機金属化合物の中では、分子内に少なくとも1つ以上の酸素を有するものが好ましい。このようなものとしてRのアルコキシ基を少なくとも1つを含有する有機金属化合物、またRのβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基およびケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基を少なくとも1つ有する金属化合物が最も好ましい。金属塩のうちでは、硝酸塩が好ましい。硝酸塩は高純度品が入手しやすく、また使用時の媒体として好ましい水に対する溶解度が高い。硝酸塩としては、硝酸インジウム、硝酸錫、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム等が挙げられる。
【0083】
以上の酸化物半導体の前駆体のうち、好ましいのは、金属の硝酸塩、金属のハロゲン化物、アルコキシド類である。具体例としては、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム、硝酸スズ、硝酸アルミニウム、塩化インジウム、塩化亜鉛、塩化スズ(2価)、塩化スズ(4価)、塩化ガリウム、塩化アルミニウム、トリ−i−プロポキシインジウム、ジエトキシ亜鉛、ビス(ジピバロイルメタナト)亜鉛、テトラエトキシスズ、テトラ−i−プロポキシスズ、トリ−i−プロポキシガリウム、トリ−i−プロポキシアルミニウムなどが挙げられる。
【0084】
(酸化物半導体の前駆体薄膜の成膜方法)
これらの酸化物半導体の前駆体となる金属を含有する薄膜を形成するためには、公知の成膜法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法など種々の方法を用いることができるが、本発明においては金属塩、ハロゲン化物、有機金属化合物等を適切な溶媒に溶解した溶液を用いて基板上に連続的に塗設することで生産性を大幅に向上することができ好ましい。溶解性の観点からも、金属化合物として、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、金属アルコキシド等を用いることが好ましい。
【0085】
溶媒としては、水のほか、金属化合物を溶解するものであれば特に制限されるところではないが、水や、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリルなど、さらに、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を好適に用いることができる。
【0086】
金属ハロゲン化物および/または金属アルコキシドを用いた場合には、比較的極性の高い溶媒が好ましく、中でも沸点が100℃以下の水、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、またはこれらの混合物を用いると乾燥温度を低くすることができため、樹脂基板に塗設することが可能となりより好ましい。
【0087】
また、溶媒中に金属アルコキシドと種々のアルカノールアミン、α−ヒドロキシケトン、β−ジケトンなどの多座配位子であるキレート配位子を添加すると、金属アルコキシドを安定化したり、カルボン酸塩の溶解度を増加させることができ、悪影響が出ない範囲で添加することが好ましい。
【0088】
酸化物半導体の前駆体材料を含有する液体を基材上に適用して薄膜を形成する方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、バーコート法、ダイコート法など塗布法、また、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法等、広い意味での塗布による方法が挙げられる。薄膜の塗布が可能な、インクジェット法、スプレーコート法等も好ましい方法である。
【0089】
成膜する場合、塗布後、50〜150℃程度で溶媒を揮発させることにより金属酸化物前駆体の薄膜が形成される。なお、溶液を滴下する際、基板自体を上記温度に加熱しておくと、塗布、乾燥の二つのプロセスを同時に行えるので好ましい。
【0090】
(金属の組成比)
好ましい、金属の組成比としては、Inを1としたとき、ZnSn1−y(ここにおいてyは0〜1の正数)は0.2〜5、好ましくは0.5〜2とする。さらにInを1としたときに、Gaの組成比は0.2〜5、好ましくは0.5〜2が好ましい。
【0091】
また、前駆体薄膜の膜厚は1〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。
【0092】
(非晶質酸化物)
熱酸化によって形成される酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜である。
【0093】
酸化物半導体の前駆体となる金属化合物材料から形成された、本発明に係る金属酸化物である非晶質酸化物の電子キャリア濃度は1018/cm未満が実現されていればよい。電子キャリア濃度は室温で測定する場合の値である。室温とは、例えば25℃であり、具体的には0℃から40℃程度の範囲から適宜選択される温度である。なお、本発明に係るアモルファス(非晶質)酸化物の電子キャリア濃度は、0℃から40℃の範囲全てにおいて、1018/cm未満を充足する必要はない。例えば、25℃において、キャリア電子密度1018/cm未満が実現されていればよい。また、電子キャリア濃度をさらに下げ、1017/cm以下、より好ましくは1016/cm以下にするとノーマリーオフの薄膜トランジスタが歩留まりよく得られる。
【0094】
電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることができる。
【0095】
金属酸化物である半導体の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
【0096】
本発明においては、前駆体材料、組成比、製造条件などを制御して、例えば、電子キャリア濃度を、1012/cm以上1018/cm未満とする。より好ましくは1013/cm以上1017/cm以下、さらには1015/cm以上1016/cm以下の範囲にすることが好ましい。
【0097】
有機半導体前駆体材料として、例えば、前記特開2003−304014号公報に記載のような環状構造をもつビシクロ化合物(ビシクロポルフィリン化合物)も酸化物半導体ではないが、前駆体から有機半導体への熱変換を行う材料として挙げられ、本発明に用いることができる。これらの化合物で形成された膜は、加熱により、脱エチレン化反応が進行して、平面性の高いテトラベンゾポルフィリン等の膜を得ることができ、高効率の有機半導体層を形成する。半導体前駆体として、これらのビシクロポルフィリン化合物又その金属錯体を用いることで、ITO発熱によって同じく平面性の高い有機半導体層が形成できる。
【0098】
これらビシクロポルフィリン化合物の具体的化合物例としては、前記有機特開2003−304014号明細書、段落(0022)〜(0025)に記載されている。
【0099】
これらのビシクロ化合物も必要に応じ溶媒に溶解して塗布することができる。また、前駆体層は、この塗布溶媒により洗浄することで洗い流すことができる。特に脱エチレン反応にて変換される有機半導体分子が溶媒に難溶なものが有用である。塗布の方法としては、キャスティング法、スピンコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、バーコート法、ダイコート法など塗布法、また、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法等、広い意味での塗布による方法を用いることができる。また、これによりパターン化する方法などが挙げられる。
【0100】
次に、基体上にパターン形成され、マイクロ波(周波数0.3〜50GHz)を吸収して発熱する発熱源となるマイクロ波吸収能をもつ物質について以下説明する。
【0101】
(マイクロ波吸収能をもつ物質)
本発明において、マイクロ波吸収能をもつ物質としては、1つは、金属酸化物材料微粒子であり、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、IZO、ITO等が好ましく、少なくともIn、Snの酸化物を含むことが好ましい。本発明においては、これら電磁波吸収能を有する物質をパターニングして用いることができる。
【0102】
酸化インジウムに錫をドーピングして得られるITO膜においては得られるITO膜のIn:Snの原子数比が好ましくは、100:0.5〜100:10の範囲なるよう調整される。In:Snの原子数比はXPS測定により求めることができる。また、酸化錫にフッ素をドーピング(Sn:Fの原子数比が100:0.01〜100:50の範囲)して得られる透明導電膜(FTO膜という)、In−ZnO系アモルファス導電膜(In:Znの原子数比が100:50〜100:5の範囲)等を用いることができる。原子数比はXPS測定により求めることができる。
【0103】
電磁波吸収能をもつ金属酸化物材料微粒子からなる導電性の薄膜の形成は、真空蒸着やスパッタ法等を用いることにより、また、インジウム、スズ等の金属アルコキシド、アルキル金属等の有機金属化合物を用いてプラズマCVD法により形成することも好ましい。また、インジウム、スズ等の金属アルコキシド等を用いたゾルゲル法等塗布法によっても製造でき、比抵抗値で10−4Ω・cmオーダーの優れた導電性を有するITO膜を得ることができる。フォトレジスト或いは公知の他のパターニング方法と組み合わせてITOパターンを得る。
【0104】
電磁波吸収能をもつ物質としては、上記のように、蒸着、スパッタあるいはプラズマCVD等により形成された導電性のIZO、ITO等の薄膜であってよいが、また、少なくともIn、Snの酸化物を含む金属酸化物微粒子の分散体を含むであってもよく、この場合には、成膜後に、焼成することで導電性となるので、電極パターンに従い、例えばインクジェット法等塗布法により、これにて電極前駆体エリアを形成した後、これを焼成して、導電性とする。焼成は、また、マイクロ波照射によって行ってもよい。
【0105】
少なくともIn、Snの酸化物を含む金属酸化物微粒子の分散体としては、特にITO微粒子が非常に微細且つ高分散であり好ましい。Sn酸化物は電磁波吸収能が高く、Sn酸化物を含むパターン部は高温になるので好ましい。
【0106】
これらの金属酸化物微粒子は、例えば、pHを調製した溶液を加熱して得たゲル状物から、これを加熱、低温焼結する等の方法により得られるもので、これらを水あるいはアルコール等の適宜な溶媒に分散させた塗料(インク)は、塗布にあるいはインクジェットまた印刷法等に用いても凝集等による目詰まりが発生しない微粒子であり、高分散である。
【0107】
このような粒子として好ましくは、粒径は5nm〜50nmの範囲である。
【0108】
これらは市販されており、市場から直接入手することもできる。シーアイ化成社製、NanoTek Slurry ITO、また、SnOなどが挙げられる。
【0109】
これら微粒子分散液を前駆体として用いると、スパッタ法等によらず、ITO等の材料がインクジェット法等、塗布法により容易にパターニング形成でき、且つ、薄膜の表面温度が200〜600℃という比較的低温の熱処理あるいは焼結により、微粒子の結晶化が起こり導電性の高い薄膜が得られる。
【0110】
また、また発熱源となる材料の前駆体材料薄膜を形成し、これを熱酸化、またプラズマ酸化等によって金属酸化物材料微粒子として、これを発熱源として用いることもできる。
【0111】
発熱源となる材料の前駆体としては、少なくともIn、Sn、Zn原子含有化合物が挙げられ、これらの金属原子を含む、金属塩、ハロゲン化金属化合物、有機金属化合物等を挙げることができる。
【0112】
少なくともIn、Sn、Znを含む金属塩としては、硝酸塩、酢酸塩等を、ハロゲン金属化合物としては塩化物、ヨウ化物、臭化物等を好適に用いることができる。
【0113】
以上の電極材料前駆体のうち、好ましいのは、インジウム、錫、亜鉛の硝酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド類である。具体例としては、硝酸インジウム、硝酸スズ、硝酸亜鉛、塩化インジウム、塩化スズ(2価)、塩化スズ(4価)、塩化亜鉛、トリ−i−プロポキシインジウム、ジエトキシ亜鉛、ビス(ジピバロイルメタナト)亜鉛、テトラエトキシスズ、テトラ−i−プロポキシスズなどが挙げられる。
【0114】
これらの前駆体、例えば硝酸インジウム、硝酸スズ等の溶液を、基体上にパターンに従い前駆体エリアを形成し、前記同様にこれにマイクロ波を照射することで、前駆体中に一部形成される金属酸化物が、発熱体として作用するために、触媒的に金属酸化物微粒子となり発熱源となる。
【0115】
本発明は、酸化物半導体の前駆体材料薄膜(層)を、ITO等のマイクロ波を吸収する発熱源となる材料と密着させ、マイクロ波を照射して、前駆体材料層中の前駆体を、酸化物半導体に転化させるものであるが、次に、マイクロ波について説明する。
【0116】
(マイクロ波の照射)
本発明においては、照射する電磁波として、マイクロ波が好ましく、マイクロ波照射が好ましい。マイクロ波とは、周波数0.3〜50GHzの電磁波であり、これを照射することにより、マイクロ波吸収能をもつITO等の材料は発熱し、ITO等の材料からなるパターンに接した、前駆体薄膜を加熱して、前駆体中に金属酸化物半導体を形成する。
【0117】
なお、マイクロ波を吸収して発熱する発熱源がパターン化された基体と共に、酸化物半導体の前駆体を含む薄膜を加熱するとき、酸化物半導体への転化は基本的には熱酸化であり、酸素の存在下(例えば大気中)で、マイクロ波を照射することが、短時間で金属酸化物半導体前駆体の酸化反応を進行させる上で好ましい。
【0118】
また、前記の如く、樹脂基板の様に耐熱性が低い基板の場合は、マイクロ波照射において、基板上の前駆体薄膜の表面温度は200〜600℃になるようできると共に、熱伝導により基板に伝わる熱については、マイクロ波の出力、照射時間を制御することで、それ程高くならないよう、例えば、50℃〜200℃の範囲に調整することができる。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計により測定できる。
【0119】
また、酸化物半導体の前駆体を含む薄膜は、形成後、マイクロ波照射前に、例えば、酸素プラズマ、UVオゾン洗浄などのドライ洗浄プロセスによって洗浄し、薄膜中および薄膜表面に存在し不純物の原因となる有機物を分解、洗浄して、金属成分以外の有機物を排除しておくことも好ましい。
【0120】
一般的に、マイクロ波とは0.3〜50GHzの周波数を持つ電磁波のことを指し、携帯通信で用いられる0.8MHzおよび1.5GHz帯、2GHz帯、アマチュア無線、航空機レーダー等で用いられる1.2GHz帯、電子レンジ、構内無線、VICS等で用いられる2.4GHz帯、船舶レーダー等に用いられる3GHz帯、その他ETCの通信に用いられる5.6GHzなどは全てマイクロ波の範疇に入る電磁波である。
【0121】
セラミクスの分野では、この様な電磁波を焼結に利用することが既に公知となっている。本発明においては、磁性を含む材料に電磁波を照射すると、その物質の複素透磁率の損失部の大きさに応じて発熱することを利用し、短時間で均一に、かつ高温にすることができる。
【0122】
本発明においては、これらのマイクロ波はパターン化されたマイクロ波吸収源に、基体材料を通して、前駆体材料層の反対側から照射されるのが一般的である。
【0123】
マイクロ波は内部に設置されたマイクロ波発振機により発生させられ、基体を通してマイクロ波吸収源パターンに照射される。マイクロ波発振機としては、例えば、ヒッタイト・マイクロウェーブ社(2GHz〜24.8GHz)、テクトロール・サイクロティック社(電圧制御クリスタル発振器、40MHz〜600MHz)、モドコ社(電圧制御発振器5MHz〜6.4GHz)、スピンネーカー・マイクロウェーブ社(1.0GHzから20GHz)等があり、またこれ以外にも各種市販されており、用いることができる。
【0124】
例えば、図2に示したガラス製ロールを基体として用いる場合には、円筒形ガラス製ロールの内部に均一な照射エネルギーとなるよう発振機を配置すればよいし、図4の平面の架台を通して照射する場合も同様である。前駆体材料層またマイクロ波吸収源である発熱源が前記の温度となるようマイクロ波照射のエネルギー、また、照射時間等を調整して照射する。
【0125】
以上、本発明の方法による半導体前駆体の塗布膜から酸化物半導体を形成する態様について説明したが、次に、第二の態様として、熱変換材料が絶縁膜前駆体材料である場合が挙げられ、第三の態様としては、熱変換材料が電極前駆体材料である場合も挙げられる。
【0126】
前駆体材料薄膜が、絶縁膜前駆体材料の塗布膜であり、熱変換されたのちに、絶縁膜が形成される第二の態様について説明する。
【0127】
絶縁膜前駆体材料としては、代表的にはパーヒドロポリシラザン溶液等が挙げられ、例えば、アクアミカNN110(パーヒドロポリシラザン/キシレン溶液:AZエレクトロニックマテリアル製)を基板上に塗布、乾燥し絶縁膜前駆体材料層を形成したのち(例えば、厚み50nm〜500nm)、同様に、マイクロ波を吸収する発熱源パターンを有する基体と接合させ、マイクロ波照射を行う。例えば、大気圧条件で、マイクロ波(2.45GHz)を照射することで、ITOパターンの発熱によりこれに接した絶縁膜前駆体材料層は熱処理(焼成)を受けシリカガラス膜となり絶縁層を形成する。
【0128】
また、有機の絶縁膜として、例えば、熱硬化性のポリマー材料である、例えば、熱硬化ポリイミド(京セラケミカル社製CT4112)等は、熱によりポリイミド膜を形成するので、形成したポリイミド膜は有機のポリマー絶縁膜として用いることができる。
【0129】
例えば、スピンコート等により全面塗布(例えば、厚み50nm〜500nm)後、マイクロ波照射を行うことで、熱硬化ポリイミド絶縁膜前駆体材料層は発熱源と接した部分で熱硬化してポリイミド膜からなる絶縁膜に変換することができる。
【0130】
熱硬化ポリイミドに限らず、このような熱硬化性ポリマー材料膜を絶縁膜前駆体として用いることができる。
【0131】
また、第三の態様として挙げられる前駆体材料薄膜が、電極材料前駆体の塗布膜であり、これを熱変換して電極(層)を形成する態様について説明する。
【0132】
本発明において電極材料の前駆体としては、金属微粒子またその分散体が挙げられる。金属微粒子の分散体は、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した金属微粒子の分散物を用いるのが好ましい。
【0133】
また、形成する金属を含む薄膜の膜厚は1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜100nmである。
【0134】
このような金属微粒子の分散物の作製方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報、特許第2561537号などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
【0135】
金属微粒子の平均粒子径は1〜300nmであることが好ましく、加熱(焼成)により融着が進行し電極とするものである。
【0136】
金属微粒子分散物から形成される金属微粒子を含む前駆体薄膜の形成方法としては、すなわちスプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法など、分散液を塗布する方法、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法でパターン化する方法などが挙げられる。塗布膜からフォトリソグラフ法、レーザーアブレーションなどによりパターン化してもよい。金属微粒子を含む薄膜の成膜、パターン化には従来の公知な方法が適用できる。
【0137】
また、金属微粒子の分散物を、例えばインクジェットなどで滴下し、分散媒を揮発させることで薄膜が形成される。
【0138】
この金属微粒子からなる薄膜を加熱・焼成することにより、微粒子を融着させ金属の薄膜を得ることができる。
【0139】
融着温度は粒径が300nm以下の金属微粒子の場合、400℃以下の低温、好ましくは200℃〜350℃の温度にて行うことができる。
【0140】
金属微粒子は、分散安定性の観点で、分散剤を用いて分散媒に分散されている形態が好ましいが、金属微粒子を含む薄膜は、形成後、前記融着前、また酸化工程の前に、例えば、酸素プラズマ、UVオゾン洗浄などのドライ洗浄プロセスによって洗浄し、分散剤など薄膜中に含まれる有機物を分解、洗浄して、金属成分以外の有機物を排除しておくことも好ましい。
【0141】
前駆体薄膜形成後は、マイクロ波を吸収する発熱源パターンに接合させ、マイクロ波を照射して、発熱源パターンに接した金属微粒子分散体層からなる電極前駆体層を、加熱して融着させ(焼成)、電極(層)化することが出来る。
【0142】
電極パターン形成後は、同様に、金属微粒子分散体の分散媒体である溶媒を用いて、洗浄することで、電極パターンが現像される。
【0143】
以下、本発明において、薄膜トランジスタまた薄膜トランジスタシートを構成する各要素についてさらに説明する。
【0144】
半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
【0145】
次いで、以下、薄膜トランジスタを構成する他の各要素について説明する。
【0146】
(電極)
本発明において、TFT素子を構成するソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の電極に用いられる導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、また、例えば、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛等の電磁波吸収能をもつ電極材料、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
【0147】
また、導電性材料として、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。
【0148】
金属微粒子を含有する分散物としては、例えば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。金属微粒子から電極を形成するには、前述の方法を同様に用いることができ、金属微粒子の材料としては上記の金属を用いることができる。
【0149】
(電極等の形成方法)
電極の形成方法としては、本発明の方法を用いない場合、上記を原料として、マスクを介して蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成する方法、また蒸着やスパッタリング等の方法により形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0150】
また、ソース、ドレイン、またゲート電極等、またゲートバスライン、ソースバスライン等を、エッチングまたはリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。
【0151】
無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805号にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
【0152】
無電解メッキの触媒とメッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
【0153】
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版又インクジェット法による印刷などが用いられる。
【0154】
(ゲート絶縁膜)
薄膜トランジスタのゲート絶縁膜としては、種々の絶縁膜を用いることができる。特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
【0155】
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0156】
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
【0157】
これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法である。
【0158】
ゲート絶縁膜(層)が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
【0159】
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
【0160】
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂等を用いることもできる。
【0161】
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
【0162】
〔保護層〕
また有機薄膜トランジスタ素子上には保護層を設けることも可能である。保護層としては無機酸化物または無機窒化物、アルミニウム等の金属薄膜、ガス透過性の低いポリマーフィルムおよびこれらの積層物等が挙げられ、このような保護層を有することにより、有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。これらの保護層の形成方法としては、前述したゲート絶縁膜の形成法と同様の方法を挙げることができる。また、ポリマーフィルム上に各種の無機酸化物等が積層されたフィルムを単にラミネートするなどといった方法で保護層を設けても良い。
【0163】
(基板)
基板を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体(基板)は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができると共に、衝撃に対する耐性を向上できる。
【実施例】
【0164】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれにより限定されるものでは
ない。
【0165】
実施例1
本実施例では、電極の形成について実施形態を例示する。
【0166】
本発明の電極形成プロセスについて図7において断面図を用いて例示する。
【0167】
先ず、ガラス基板上に電極パターンに従って、発熱源パターンを形成した。
【0168】
(発熱源としてITOのパターンを有する基体)
薄膜トランジスタ素子のソース、ドレイン電極間の半導体チャネルを形成する部分の配置に合わせてITO薄膜を、厚み同じく0.5mmの厚みを有するガラス基体上に形成した発熱源を有する基体Pを用意した。
【0169】
〈ITO膜の作製〉
即ち、洗浄したガラス基体(厚み0.5mm)を真空チャンバー内に導入し、SnO含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基板支持体の温度250℃、酸素圧1×10−3Pa)により、厚さ50nmのITO薄膜を形成した。
【0170】
続いて、ITO膜を形成したガラス基板を湿式法でエッチングし薄膜トランジスタ素子の電極形成領域にのみ、ITOパターンを形成した。具体的には、電極領域をノボラック樹脂からなる厚さ2μmのレジストでマスクした後、2.5%塩酸水溶液に浸漬して露出部分のITO膜を除去した。この後、1.5%珪酸ナトリウム水溶液に浸してレジストを除去し、さらに水洗と乾燥を行った。
【0171】
次いで、基板106として、ポリイミドフィルム(200μm)の上に、先ず、50W/m/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後接着性向上のため下記樹脂層からなる下引き層を形成した。
【0172】
(下引き層の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
【0173】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜(バリア層)を設け、これらの層を下引き層106’とした。
【0174】
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
【0175】
(電極前駆体層の形成)
次いで、下引き層上に、ナノメタル分散体からなる電極前駆体層9’を塗布により全面に形成した(図7(1))。
【0176】
即ち、下引き層を形成した基板上に基板温度を100℃に保って、電極材料前駆体として銀ナノ粒子インク(特開平11−80647号公報に記載の方法に準じた方法で作製した)をスピンコートにより塗布して、電極前駆体層9’を形成した(厚み50nm)。図7(1)
(接合)
次に、形成した発熱源としてITOのパターンを有する基体Pを、前記電極前駆体層9’を有する基板106と、重ね合わせ、押圧して(ブロックで全体に0.5Paの圧力を印加)、均一に密着・接合させた(図7(2))。
【0177】
(マイクロ波照射)
次いで、ITOパターンを有する基体Pの側から、ガラスを通し電極前駆体層9’面にマイクロ波を照射した。
【0178】
マイクロ波の照射は、大気圧条件で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射した。またマイクロ波の照射は、電磁波出力を調整しながら熱源(ITO)温度が300℃以上となる温度で10分間保持した。
【0179】
基板106上に形成した電極前駆体層9’中、ITOパターンと接した領域において前駆体材料が融着して電極層(厚さ約20nm)を形成した図7(3))。
【0180】
(現像)
次いで、電極層が形成された基板をITOパターンを有する基体と分離し、基板を水(銀ナノ粒子分散体の分散媒)にて洗浄した(現像処理)。融着した電極層のみが基板上に残りITOパターンに対応して電極層9のパターンが形成されていた(図7(4))。
【0181】
形成された電極パターンは、実施例4に示す。TFTシートのゲート電極として用いることができる。
【0182】
なお、接合工程において、図7(5)に示すように、ITOパターンと電極前駆体層が直接密着接合せず、裏面側から基板106を通して接合する態様についても実施したところ、その場合においても、同様に金属微粒子間の融着は進行し、均一な金属層が得られ電極を形成した。
【0183】
実施例2
実施例1において、電極前駆体層を形成する代わりに、アクアミカNN110(パーヒドロポリシラザン/キシレン溶液:AZエレクトロニックマテリアル製)をスピンコート(3000rpm×30sec)にて基板上に塗布、乾燥し、厚み200nmの絶縁膜前駆体材料層を形成した。後は実施例1と同様に行ったところ、ITOパターンの発熱により、これに接した絶縁膜前駆体材料層が熱処理(焼成)を受けシリカガラス膜となり絶縁層を形成した。
【0184】
キシレンで充分洗うことにより(現像)、前駆体層は除かれ、絶縁体層が基板上に形成した。ITOのマイクロ波吸収による発熱で絶縁膜前駆体が絶縁膜に転換することが示された。
【0185】
実施例3
図1に断面図で示した、ボトムゲート・トップコンタクト構成の薄膜トランジスタを用いた薄膜トランジスタシートを以下のプロセスに従って製造した。
【0186】
なお、表示素子部分(蓄積コンデンサ、また表示電極部分等)は別途作製するのでこれを除き、薄膜トランジスタ素子および配線部分についてガラス基板上に作製した。
【0187】
支持体1(ガラス基板;厚み1.0mm)を用いて、スパッタ法にて厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフ法により、エッチングしてパターニング、ゲート電極2(厚み100nm)およびゲートバスライン等を形成した。
【0188】
次いで、大気圧プラズマCVD法により、厚さ200nmの酸化珪素からなるゲート絶縁膜5を形成した。大気圧プラズマ処理装置は、特開2003−303520号公報に記載の図6に準じた装置を用いた。
【0189】
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
【0190】
次に、マスクを介して金を蒸着することで、ソース電極4、ドレイン電極5を形成した(薄膜トランジスタ素子部分図1(1))。また、同時にソースバスライン、およびドレイン電極に接続する蓄積コンデンサおよび表示電極への配線等について前記マスクを用いて同時に形成した。それぞれのサイズは、幅10μm、長さ50μm(チャネル幅)厚さ50nmであり、ソース電極、ドレイン電極の距離(チャネル長)は15μmとなるようにした。
【0191】
(前駆体材料薄膜の形成)
次いで、ゲート絶縁膜上に、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウムを金属比率で1:1:1(モル比)で混合した10質量%水溶液としたものをスピンコート(3000RPM)によって、塗布し、乾燥後、さらに150℃で30分間よく乾燥し厚み100nmの前駆体材料薄膜6’を形成した(薄膜トランジスタ素子部分図1(2))。
【0192】
(発熱源パターンを有する基体)
次いで、各薄膜トランジスタ素子の半導体層を形成する部分の配置に合わせてITO薄膜を、厚み同じく0.5mmの厚みを有するガラス基体上に形成した発熱源を有する基体を用意した。
【0193】
〈ITO膜の作製〉
即ち、洗浄したガラス基体(厚み0.5mm)を真空チャンバー内に導入し、SnO含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基板支持体の温度250℃、酸素圧1×10−3Pa)により、厚さ50nmのITO薄膜を形成した。
【0194】
続いて、ITO膜を形成したガラス基板を湿式法でエッチングし前記薄膜トランジスタ素子の半導体形成領域にのみ、ITOパターンを形成した。具体的には、半導体膜に相当する領域をレジストでマスクした後、2.5%塩酸水溶液に浸漬して露出部分のITO膜を除去した。この後、メチルエチルケトンに浸してレジストを除去し、さらに水洗と乾燥を行った。
【0195】
(半導体層の形成)
このようにして形成したITOを発熱源として有する基体を、図1に示すように前記前駆体材料薄膜6’までを形成した前記の基板と、各素子のチャネル領域とITOパターンが重なるよう位置合わせを行って重ね、押圧して(ブロックで全体に0.5Paの圧力を印加)、均一に密着させた上で、ITOパターンを有する基体の、TFT素子基板とは反対側から、ガラス基板を通しマイクロ波を照射した。
【0196】
マイクロ波の照射は、酸素と窒素の分圧が1:1の雰囲気下、大気圧条件で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射した。またマイクロ波の照射は、電磁波出力を調整しながら熱源(ITO)温度が200℃以上となる温度で15分間保持した。
【0197】
基板上に形成した前駆体材料薄膜6’中、チャネル領域において前駆体材料は酸化物半導体に転化し、厚さ約60nmの酸化物半導体層6が形成された(薄膜トランジスタ素子部分図1(3))。
【0198】
次いで、純水を用いて基板をよく洗浄し、半導体に転換しなかった残った前駆体薄膜を洗い流し、よく洗浄して、充分に乾燥した(100℃、1時間)。
【0199】
ボトムゲート・トップコンタクト構成の薄膜トランジスタ素子をもつ基板が得られた。
【0200】
作製した薄膜トランジスタ素子の性能について評価したところ、これらの素子は良好に駆動していずれもn型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−10Vから+20Vまで掃引したときのドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられた移動度は、いずれも2cm/Vs、on/off比は6桁以上であった。
【0201】
実施例4
次に、半導体前駆体薄膜の形成を以下に代えた以外は、実施例3と同様に薄膜トランジスタの製造を行った。
【0202】
(半導体前駆体材料薄膜の形成)
半導体薄膜の形成を前記の水溶液に代えて、Sn、Znの組成比で1:1となるよう、それぞれ塩化錫(純度99.995% シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製)、塩化亜鉛(純度99.995% シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製)を0.02モル濃度でアセトニトリルに超音波を用いて溶解した溶解液を用いた。これをスピンコートにより(1500RPM)、ゲート絶縁膜の配置された基板上に塗布、乾燥して、半導体前駆体薄膜を形成した。乾燥後、さらに150℃で30分間よく乾燥した(図2(1))。
【0203】
その後、同様に、半導体前駆体薄膜を、金属酸化物に転化して半導体層とし、同様に、マスクを用い金を真空蒸着してソース電極およびドレイン電極をそれぞれ形成し、薄膜トランジスタを作製した。
【0204】
作製した薄膜トランジスタは実施例3と同様に良好に駆動し、n型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−10Vから+20Vまで掃引したときのドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられた移動度は1cm/Vs、on/off比は5桁以上であった。
【0205】
実施例5
支持体1として、樹脂フィルムを用い、ゲート絶縁膜までは、以下のように作製したほかは、実施例3と同様にして、薄膜トランジスタシートを作製した。
【0206】
即ち、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)の上に、先ず、50W/m/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
【0207】
(下引き層の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
【0208】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層とした。
【0209】
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
【0210】
次いで、下引き層上に、ゲート電極2を形成する。スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフ法により、エッチングしてゲート電極2を形成した。
【0211】
(陽極酸化被膜形成工程)
ゲート電極2を形成したのち基板をよく洗浄し、30質量%燐酸アンモニウム水溶液中で、2分間、30Vの定電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化を行った(図では省略)。
【0212】
次いで、さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法により厚さ30nmの酸化珪素膜を設け、前記した陽極酸化アルミニウム層を併せて、厚さ150nmのゲート絶縁層3を形成した。
【0213】
ゲート絶縁層まで作製後は、実施例3と同様に行った。
【0214】
即ち、次いで、実施例3と同様にして、金を蒸着により、ソース電極4、ドレイン電極5を形成し、同様の半導体前駆体薄膜の形成し、よく乾燥後、実施例3と同様に、ITOパターンをもつ基体を用いて、マイクロ波照射により、酸化物半導体に転化させ、さらに未変化の前駆体材料層を洗い流しよく洗浄し、乾燥して薄膜トランジスタ素子を有するシートを作製した。
【0215】
以上の方法により樹脂基板上に作製した各薄膜トランジスタについて評価を行ったところ、薄膜トランジスタは良好に駆動し、n型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−10Vから+20Vまで掃引したときのドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられた移動度はそれおれ、1cm/Vs、on/off比は6桁であった。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】薄膜トランジスタの構成およびその形成プロセスを示す断面概略図である。
【図2】マイクロ波を吸収し発熱源となる物質を表面に形成した基体およびマイクロ波照射により前駆体を酸化物半導体に転化させる態様について示した概略図である。
【図3】ITOパターンと前駆体材料薄膜の接合を行う別の態様について示す概略図である。
【図4】マイクロ波照射により前駆体を酸化物半導体に転化させる更に別の態様を示す概略図である。
【図5】薄膜トランジスタ素子の代表的な構成を示す図である。
【図6】薄膜トランジスタ素子が複数配置される電子デバイスである薄膜トランジスタシート10の1例の概略の等価回路図である。
【図7】本発明による電極形成プロセスを示す断面図である。
【符号の説明】
【0217】
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁層
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 酸化物半導体層
6’ 前駆体材料薄膜
10 薄膜トランジスタシート
11 ゲートバスライン
12 ソースバスライン
14 薄膜トランジスタ素子
15 蓄積コンデンサ
16 出力素子
17 垂直駆動回路
18 水平駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波(周波数0.3〜50GHz)を吸収して発熱する発熱源パターンを有する基体と、薄膜を有する基板を接合させ、これにマイクロ波を照射することにより、該発熱源パターンを発熱させ、発熱源パターンに接する基板上の薄膜を発熱源パターン様に熱変換することを特徴とする薄膜の変換方法。
【請求項2】
熱変換後に、現像工程によって、基板から熱変換しなかった薄膜を除くことを特徴とする請求項1に記載の薄膜の変換方法。
【請求項3】
前記薄膜が、半導体前駆体の塗布膜であり、熱変換されたのちに、酸化物半導体パターンが形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜の変換方法。
【請求項4】
酸化物半導体が少なくともIn、Sn、Znのいずれかの酸化物を含むことを特徴とする請求項3に記載の薄膜の変換方法。
【請求項5】
酸化物半導体がGa、Alのいずれかを含むことを特徴とする請求項3または4に記載の薄膜の変換方法。
【請求項6】
前記薄膜が、絶縁膜前駆体材料の塗布膜であり、熱変換されたのちに、絶縁膜が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜の変換方法。
【請求項7】
前記薄膜が、電極材料前駆体の塗布膜であり、熱変換されたのちに、電極が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜の変換方法。
【請求項8】
前記基板が樹脂基板であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の薄膜の変換方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の薄膜の変換方法を用いることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の薄膜の変換方法を用いて作製されたことを特徴とする薄膜トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−21182(P2010−21182A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177705(P2008−177705)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】