説明

薄膜トランジスタ、配線板、及びそれらの製造方法

【課題】段差が無く、且つ、密着性及び平坦性の良い配線層を透明基板上に形成できなかったため、表示装置の大型化が困難な状況にある。
【解決手段】薄膜トランジスタのゲート電極或いはゲート配線を、下地密着層、触媒層、配線金属層、配線金属拡散抑止層の順に積層して4層構造にすることよって、密着性及び平坦性を改善した。この場合、下地密着層は金属に配位可能な構造を有する樹脂により形成され、絶縁基板との密着性を改善できた。また、配線金属層上に配線金属拡散抑止層を設けることにより、配線金属の拡散を防止できるため、薄膜トランジスタの特性を改善できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ、配線板、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置等の表示装置等の電子装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置等の表示装置は、平坦な一主面を有する透明基板等上に、配線パターン、電極パターン等の導電パターンを順次、成膜、パターニングすることによって形成されている。具体的に言えば、透明基板の一主面上に、表示装置に必要な配線を形成する導電膜を被着する。当該導電膜をフォトリソグラフィー技術等を使用して選択的にエッチングし、配線パターンが形成される。以下同様にして電極膜、表示装置を構成する素子に必要な各種の膜等を順次成膜、パターニングすることによって、表示装置が製作されている。表示装置に使用される薄膜トランジスタ、配線板も同様な手法を用いて製作されている。
【0003】
近年、この種の表示装置に対しては大型化の要望が強くなっている。大型の表示装置を形成するには、より多くの表示素子を高精度で透明基板上に形成し、これらの素子を配線パターンと電気的に接続する必要がある。この場合、透明基板上には配線パターンの他に、絶縁膜、TFT(薄膜トランジスタ)素子、発光素子等が多層化された状態で形成されている。その結果、透明基板上には、階段状に段差ができるのが普通であり、配線パターンはこれらの段差を越えて配線されている。
【0004】
更に、表示装置を大型化する際、配線パターン自体が長くなるため、当該配線パターンの抵抗を低くすることが必要になってくる。特許文献1(WO 2004/110117)には、液晶ディスプレイのような平面ディスプレイ用配線を低抵抗化する手法が開示されている。特許文献1では、透明な基板表面に配線と、これと同等の高さの透明な絶縁材料を配線パターンに接するように形成することで配線パターンを低抵抗化している。具体的には、ガラス基板上の透明樹脂膜をパターン化して形成された溝に配線材料としてCuを含有するインク剤を充填して得られた、配線部が該膜の表面と実質的に同一平面をなす、単層の配線部を有する配線埋設型基板が記載されている。
【0005】
【特許文献1】WO 2004/110117
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、樹脂パターンにより形成された溝の中に配線を埋設し厚膜配線化することにより表示装置の特性の向上が可能であることが開示されている。しかしながら、表示装置がより大型化するに従って、基板と電極又は配線との密着性、及び得られた基板の表面の平坦性が不充分な場合が認められた。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題が解決された、優れた電子装置等およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
詳しくは本発明の目的は、密着性が良く、且つ、平坦性の優れた薄膜トランジスタ(TFT)及び当該薄膜トランジスタを有する配線板及びその製造方法を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、密着性の良い配線パターンを備え、大型の表示装置を構成できる配線板及びその製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の更に他の目的は、密着性が良く、且つ、平坦性の優れた薄膜トランジスタを含む表示装置及びその製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、微細なパターンを迅速に形成でき、且つ、高速動作可能な薄膜トランジスタ等の電子装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、絶縁基板上にゲート電極を有し、該絶縁基板とは反対側に該ゲート電極上にゲート絶縁膜を介して配置された半導体層と、該半導体層に接続されたソース電極とドレイン電極とを少なくとも有し、該ゲート電極に印加される電流制御信号により、該ソース電極と該ドレイン電極との間に通じる電流量を可変することのできる薄膜トランジスタであって、該ゲート電極は、該絶縁基板側から該ゲート絶縁膜側に向かって、下地密着層、触媒層、配線金属層、配線金属拡散抑止層の順に積層され、且つ、前記下地密着層は金属に配位可能な構造を含有する樹脂によって形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタが得られる。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、前記ゲート電極は、前記ゲート電極表面と略同一平面を形成する平坦化層に形成された溝に埋設されてなることを特徴とする第1の態様に係る薄膜トランジスタが得られる。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、前記絶縁基板は透明ガラス基板もしくは透明樹脂基板であって、前記平坦化層は透明樹脂層であることを特徴とする第2の態様に係る薄膜トランジスタが得られる。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、前記触媒層は前記ゲート電極部にのみ形成されていることを特徴とする第1の態様に係る薄膜トランジスタが得られる。
【0016】
本発明の第5の態様によれば、前記透明樹脂層がアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、およびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれた一種以上の樹脂を含むことを特徴とする第3の態様に係る薄膜トランジスタが得られる。
【0017】
本発明の第6の態様によれば、前記透明樹脂層が、アルカリ可溶性脂環式オレフィン系樹脂と感放射線成分とを含有する感光性樹脂組成物で形成されたものであることを特徴とする第3の態様に係る薄膜トランジスタが得られる。
【0018】
本発明の第7の態様によれば、前記金属に配位可能な構造を有する樹脂は、樹脂に、極性基をもつ処理剤、または金属との配位能を有する複素環化合物を含浸させてなるものであることを特徴とする第1の態様に係る薄膜トランジスタが得られる。
【0019】
本発明の第8の態様によれば、前記複素環化合物は金属に配位可能な官能基を有していることを特徴とする第7の態様に係る薄膜トランジスタが得られる。
【0020】
本発明の第9の態様によれば、前記複素環化合物は、ピロール類、ピロリン類、ピロリジン類、ピラゾール類、ピラゾリン類、ピラゾリジン類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、テトラゾール類、ピリジン類、ピペリジン類、ピリダジン類、ピリミジン類、ピラジン類、ピペラジン類、トリアジン類、テトラジン類、インドール類、イソインドール類、インダゾール類、プリン類、ノルハルマン類、ペリミジン類、キノリン類、イソキノリン類、シノリン類、キノサリン類、キナゾリン類、ナフチリジン類、プテリジン類、カルバゾール類、アクリジン類、フェナジン類、フェナントリジン類、フェナントロリン類、フラン類、ジオキソラン類、ピラン類、ジオキサン類、ベンゾフラン類、イソベンゾフラン類、コルマリン類、ジベンゾフラン類、フラボン類、トリチアン類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、イソベンゾチオフェン類、ジチイン類、チアントレン類、チエノチオフェン類、オキサゾール類、イソオキサゾール類、オキサジアゾール類、オキサジン類、モルフォリン類、チアゾール類、イソチアゾール類、チアジアゾール類、チアジン類、フェノチアジン類からなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする第7の態様に係る薄膜トランジスタが得られる。
【0021】
本発明の第10の態様によれば、絶縁基板上に配線を有する配線板の断面構造において、絶縁基板側から配線が形成されている側に向かって、下地密着層、触媒層、配線金属層、配線金属拡散抑止層の順に積層されてなる部分構造を有し、前記下地密着層は金属に配位可能な構造を有する樹脂によって形成されていることを特徴とする配線板が得られる。
【0022】
本発明の第11の態様によれば、前記配線は、前記配線と略同一平面を形成する平坦化層に形成された溝に埋設されてなることを特徴とする第10の態様に係る配線板が得られる。
【0023】
本発明の第12の態様によれば、前記絶縁基板は透明ガラス基板もしくは透明樹脂基板であって、前記平坦化層は透明樹脂層であることを特徴とする第11の態様に係る配線板が得られる。
【0024】
本発明の第13の態様によれば、前記触媒層は前記部分構造にのみ形成されていることを特徴とする第10の態様に係る配線板が得られる。
【0025】
本発明の第14の態様によれば、前記透明樹脂層がアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、およびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれた一種以上の樹脂を含むことを特徴とする第12の態様に係る配線板が得られる。
【0026】
本発明の第15の態様によれば、前記透明樹脂層が、アルカリ可溶性脂環式オレフィン系樹脂と感放射線成分とを含有する感光性樹脂組成物で形成されたものであることを特徴とする第12の態様に係る配線板が得られる。
【0027】
本発明の第16の態様によれば、第1から9の態様のいずれかに係る薄膜トランジスタを用いて製造されたことを特徴とする表示装置が得られる。
【0028】
本発明の第17の態様によれば、前記表示装置は液晶表示装置またはEL表示装置であることを特徴とする第16の態様に係る表示装置が得られる。
【0029】
本発明の第18の態様によれば、第10から15の態様のいずれかに係る配線板を用いて製造されたことを特徴とする表示装置が得られる。
【0030】
本発明の第19の態様によれば、前記表示装置は液晶表示装置またはEL表示装置であることを特徴とする第18の態様に係る表示装置が得られる。
【0031】
本発明の第20の態様によれば、絶縁基板上に金属に配位可能な官能基を有する非感光性透明樹脂を用いて成膜する工程と、感光性樹脂膜を形成する工程と、該感光性樹脂膜をパターニングすることで電極もしくは配線が収容される凹部を形成する工程と、該凹部に触媒付与する工程と、該樹脂膜を加熱硬化する工程と、該凹部にめっき法により導電性材料層を形成する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする電子装置の製造方法が得られる。
【0032】
本発明の第21の態様によれば、前記触媒付与工程に用いる触媒が銅、銀、パラジウム、白金、ニッケル、亜鉛、またはコバルトを含有することを特徴とする第20の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0033】
本発明の第22の態様によれば、前記凹部にめっき法により形成された導電性材料層を加熱処理する工程をさらに含むことを特徴とする第20の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0034】
本発明の第23の態様によれば、前記感光性樹脂膜の加熱硬化を不活性ガス雰囲気中または還元ガス雰囲気中で行うことを特徴とする第20の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0035】
本発明の第24の態様によれば、前記触媒付与工程を、浸漬法、液盛り法、蒸着法、スプレー法、塗布法、印刷法のいずれかで行うことを特徴とする第20の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0036】
本発明の第25の態様によれば、前記導電性材料層の表面に拡散抑止膜をCVDまたはめっきによって形成する工程を更に含むことを特徴とする第20の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0037】
本発明の第26の態様によれば、絶縁基板上に非感光性透明樹脂を用いて成膜する工程と、得られた非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程と、感光性樹脂膜を形成する工程と、該感光性樹脂膜をパターニングすることで電極もしくは配線が収容される凹部を形成する工程と、該樹脂膜を加熱硬化する工程と、該凹部に触媒付与する工程と、該凹部にめっき法により導電性材料層を形成する工程と、該導電性材料層上に選択的に該導電性材料拡散抑止膜を形成する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする電子装置の製造方法が得られる。
【0038】
本発明の第27の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記非感光性透明樹脂層に金属に配位可能な官能基を有する密着処理剤を含浸させる工程を含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0039】
本発明の第28の態様によれば、前記密着処理剤を含浸させる工程を、浸漬法、液盛り法、蒸着法、スプレー法、塗布法、および印刷法のいずれかで行うことを特徴とする第27の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0040】
本発明の第29の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記密着処理剤を含浸させる工程の後、前記非感光性透明樹脂層の表面をスライトエッチする工程をさらに含むことを特徴とする第27の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0041】
本発明の第30の態様によれば、前記密着処理剤として、シランカップリング剤を用いる工程を少なくとも含む第27の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0042】
本発明の第31の態様によれば、前記シランカップリング剤は、金属に配位可能な官能基を樹脂表面に付与するものであることを特徴とする第30の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0043】
本発明の第32の態様によれば、前記官能基として、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、イソシアネート基から選択された少なくとも1種であることを特徴とする第31の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0044】
本発明の第33の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、濃度1ppm以上のオゾンを含有する水を用いて前記非感光性透明樹脂層の表面を酸化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0045】
本発明の第34の態様によれば、前記オゾン濃度を5ppm〜50ppmとしたことを特徴とする第33の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0046】
本発明の第35の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、酸素元素を含むガス中で、加熱処理、UV処理もしくはプラズマ処理を行って、前記非感光性透明樹脂層の表面を酸化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0047】
本発明の第36の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、窒素元素を含むガス中で、加熱処理もしくはプラズマ処理を行って、前記非感光性透明樹脂層の表面を窒化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0048】
本発明の第37の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、加熱処理もしくはプラズマ処理により、金属をもしくは金属を配位可能な官能基を前記非感光性透明樹脂層の表面上に付与する工程を含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0049】
本発明の第38の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、酸化剤を用いて前記非感光性透明樹脂層の表面を酸化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0050】
本発明の第39の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、窒素元素を含む溶液を用いて、前記非感光性透明樹脂層の表面を窒化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0051】
本発明の第40の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記非感光性透明樹脂層の表面をエッチングする工程を含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0052】
本発明の第41の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記非感光性透明樹脂層の表面を酸化、窒化、または粗化する工程と、しかる後に前記非感光性透明樹脂層に金属に配位可能な官能基を有する密着処理剤を含浸させる工程とを含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0053】
本発明の第42の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記非感光性透明樹脂層の表面に水酸基を導入する工程と、金属に配位可能な官能基と水酸基とを有する密着剤を縮合する工程と含むことを特徴とする第26の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0054】
本発明の第43の態様によれば、前記金属に配位可能な官能基と水酸基を有する密着剤はシラノール基とカルボキシル基、スルホン酸基、メルカプト基、アミノ基、イミノ基、エーテル基、ケトン基、チオール基、イミダゾール基を有する、または加水分解によりこれらと同等の機能を発現できるシランカップリング剤より選ばれることを特徴とする第42の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0055】
本発明の第44の態様によれば、前記非感光性透明樹脂層の表面に水酸基を導入する工程が、酸化処理によることを特徴とする第42の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0056】
本発明の第45の態様によれば、前記酸化処理する工程が、オゾン添加純水、または硫酸と過酸化水素水の混合水溶液、または紫外線照射のうちいずれかを用いて行うことを特徴とする第44の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0057】
本発明の第46の態様によれば、前記触媒付与工程に用いる触媒が銅、銀、パラジウム、白金、ニッケル、亜鉛、またはコバルトを含有することを特徴とする第27の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0058】
本発明の第47の態様によれば、前記凹部にめっき法により形成された導電性材料層を加熱処理する工程をさらに含むことを特徴とする第27の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0059】
本発明の第48の態様によれば、前記感光性樹脂膜の加熱硬化を不活性ガス雰囲気中または還元ガス雰囲気中で行うことを特徴とする第27の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0060】
本発明の第49の態様によれば、前記触媒付与工程を、浸漬法、液盛り法、蒸着法、スプレー法、塗布法、および印刷法のいずれかで行うことを特徴とする第27の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0061】
本発明の第50の態様によれば、前記拡散抑止膜の形成を、Ni、W、Ta、Nb、CoおよびTiのいずれかから選択される金属を含む無電解めっき法もしくは電解めっき法、または上記金属元素を含むフッ化物ガスを原料とする化学気相成長法により行うことを特徴とする第27の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0062】
本発明の第51の態様によれば、形成された拡散抑止膜の表面を窒素プラズマにより窒化する工程をさらに有することを特徴とする第27の態様に係る電子装置の製造方法が得られる。
【0063】
本発明の第52の態様によれば、電子装置が薄膜トランジスタもしくは配線板であることを特徴とする第20から51の態様のいずれかに係る電子装置の製造方法が得られる。
【0064】
本発明の第53の態様によれば、第20から51の態様のいずれかに係る方法を用いて形成することを特徴とする液晶表示装置またはEL表示装置の製造方法が得られる。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、例えば、透明基板上に設けられた感光性透明樹脂膜に選択的に透明基板に達する溝を形成し、当該溝に配線部を埋設することによって、従来に比較して厚さの厚い配線部を構成することができる。配線を厚くすることで幅を細くできるので、表示装置の場合、開口部を大きくできる。また配線板としては、配線の寄生容量を減少させることができ、駆動時の信号の速度を挙げ、消費電力を低減させることができる。透明樹脂膜に設けられた配線溝もしくは電極溝部の底面の透明基板表面には配線の密着性を向上する下地密着層が形成されているため、大型の表示装置の場合でも、信頼性の高い配線もしくは電極構造を得ることができる。本発明によれば、優れた表面平坦性を備えた配線或いは電極を有する電子装置を製造することができる。更に、本発明では、拡散抑止層を設けているため、銅によって薄膜トランジスタのゲート電極を構成しても、銅の拡散を抑止でき、この結果、リーク電流の少ない薄膜トランジスタを構成することができる。また、本発明は、微細パターンを正確に形成できると言う利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。
【実施例1】
【0067】
図1は本発明の薄膜トランジスタの構造の一例を示す断面図である。絶縁基板であるガラス基板11上に形成された下地密着層(図示せず)と、下地密着層上に成膜された透明樹脂膜13と、該透明樹脂膜13に下地密着層に達するように形成され、該透明樹脂膜13と略同一の高さまで形成されたゲート電極17と、該透明樹脂膜13と該ゲート電極17上にわたって形成されたゲート絶縁膜18と、該ゲート電極17上に該ゲート絶縁膜18を介して形成されてなる半導体層21と、該半導体層21に接続されたソース電極22とドレイン電極23とを有している。比較例として公知の技術により形成した薄膜トランジスタの断面構造の一例を図2に示す。
【0068】
図3はゲート電極部の構造の一例を模式的に示した断面図である。ゲート電極17は絶縁基板(ガラス基板11)側からゲート絶縁膜18側に向かって、下地密着層12、触媒層14、配線金属層15、配線金属拡散抑止層16の順に積層されて構成されている。当該ゲート電極は平坦な透明樹脂膜13(即ち、平坦化層)に形成された溝中に埋設されている。図示されているように、ゲート電極17の表面と透明樹脂膜13とは略同一平面を形成するように、透明樹脂膜の溝に埋設されている。このため、ゲート電極は、前記ゲート電極表面と略同一平面を形成する平坦化層に形成された溝に埋設されてなり、半導体層にゲート電極に起因する段差を生じることなくTFTを形成できる。表面が平坦であるため、オフリーク電流の低減や膜質の向上による実効的な移動度の向上が可能である。また、めっき法により埋設配線を形成できるため、表示装置の製造コストを安価にできる。
【0069】
一方、本発明の配線板は、絶縁基板上に配線を有してなり、配線の断面構造において、本発明の薄膜トランジスタにおけるゲート電極と同様の構造を部分構造として有する。また、本発明の薄膜トランジスタと同様、当該配線は平坦な透明樹脂膜(即ち、平坦化層)に形成された溝中に埋設されている。配線の表面と透明樹脂膜とは略同一平面を形成するように、透明樹脂膜の溝に埋設されている。
【0070】
次に、本発明の電子装置の製造方法の具体例として、本発明の薄膜トランジスタの形成方法について図を用いて説明する。なお、本発明の配線板も同様にして製造することができる。
【0071】
図4〜12は本発明の薄膜トランジスタの製造方法を示す模式図である。まず、絶縁基板としてガラス基板11を用意する。このガラス基板としては30インチ以上の大型画面を形成できるような大型の基板でも良い。絶縁基板としてはガラスに限定されることなく、透明樹脂基板でもよい。このガラス基板11を0.5体積%のフッ酸水溶液で10秒間処理し、純水で水洗、乾燥して表面の汚染をリフトオフ除去する(図4)。
【0072】
次に、例えば、ガラス基板11を、ヘキサメチルジシラザンの蒸気で処理する。さらに、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンの開環重合体を水素添加した後、無水マレイン酸をグラフト反応させて得た、Mn=33,200、Mw=68,300、Tg=170℃、マレイン酸残基含有率=25モル%の脂環式オレフィン重合体100重量部、ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテル40重量部、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール0.1重量部、液状ポリブタジエン10重量部を、キシレン680重量部及びシクロペンタノン170重量部からなる混合溶剤に溶解させて得た非感光性透明樹脂液を塗布する。さらに80℃で5分間乾燥した後、密着処理剤としての1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾールが0.3体積%になるように調整した水溶液に25℃で10分間浸漬させたのち、別の水槽に1分間浸漬する事を3回繰り返して水洗する。
【0073】
次いで、エアーナイフにて余分な溶液を除去したのち、これを170℃の窒素オーブン中に60分間放置する。続いて、過マンガン酸濃度80g/リットル、水酸化ナトリウム濃度40g/リットルになるように調整した80℃の水溶液に5分間浸漬することで、厚さ1μmの下地密着層12を形成する(図5)。
【0074】
図5について説明した上記態様は、(1)下地密着層を、樹脂を絶縁基板上に塗布して樹脂膜を得た後、該樹脂膜に密着処理剤(例えば、後述する、極性基を持つ処理剤や金属配位能を持つ複素環化合物)を含浸させて形成するものであるが、(2)下地密着層は、金属に配位可能な構造を本来的に供えた樹脂を絶縁基板上に塗布し樹脂膜を形成して得てもよい。本明細書において「下地密着層は金属に配位可能な構造を有する樹脂によって形成されている」には、前記2つの態様のいずれかにより下地密着層が形成される場合が包含される。
【0075】
前記非感光性透明樹脂としては上記の他、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、上記以外の脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体、液晶ポリマー、ポリイミド等が挙げられる。非感光性透明樹脂としては、金属に配位可能な構造を本来的に供えた樹脂、例えば、後述のような、金属に配位可能な官能基を有する樹脂が好適に使用される。
【0076】
前記密着処理剤とは、処理対象物に対し、金属に配位可能な構造を付与し得る性質を有する化合物をいう。例えば、図5について説明した上記態様では、非感光性透明樹脂膜に密着処理剤を含浸させることにより、下地密着層12表面に実質的にアミノ基およびイミダゾール基が配置され、金属錯体が配位しやすい構造を作ることができる。このような作用を示す密着処理剤としては、金属に配位可能な官能基を有するものが好ましく、アミノ基や水酸基、チオール基やジスルフィド基といった極性基をもつ処理剤や、金属との配位能を有する複素環化合物などを好適に選択することができる。窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含有する複素環化合物が特に好ましく、とりわけ窒素原子を含有する複素環化合物が好ましい。
【0077】
前記処理剤としては、例えば、3−(アミノプロピル)トリエトキシシランなど加水分解によりシラノール基が生成され、かつアミノ基等を有するシランカップリング剤等が好適に挙げられ、上述の含浸法や表面への塗布法、縮合法などが好適に使用できる。
【0078】
前記密着処理剤としての極性基をもつ処理剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルホルムアミドなどの鎖状3級アミン化合物;イミダゾール類:イミダゾール;2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−(2−メルカプトエチル)−ベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4−アザベンゾイミダゾール等のチオール基を有するイミダゾール類;イミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−メチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−エチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−イソプロピルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−n−ブチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−フェニルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、4−メチルイミダゾール−5−ジチオカルボン酸、2−フェニル−4−メチルイミダゾール−5−ジチオカルボン酸、2−エチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−n−ウンデシルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸などのイミダゾールジチオカルボン酸;イミダゾール−2−カルボン酸、イミダゾール−4−カルボン酸、2−メチルイミダゾール−4−カルボン酸、2−フェニルイミダゾール−4−カルボン酸、2−メチル−4−メチルイミダゾール−5−カルボン酸、2−(2−カルボキシエチル)−ベンゾイミダゾール、イミダゾール−2−カルボキシアミド等のカルボキシル基を有するイミダゾール類;1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−アミノエチル)−2−エチルイミダゾール、2−アミノイミダゾールサルフェート、2−(2−アミノエチル)−ベンゾイミダゾールなどのアミノ基を有するイミダゾール類;2−シアノイミダゾール、4−シアノイミダゾール、4−メチル−5−シアノイミダゾール、2−メチル−5−シアノイミダゾール、2−フェニル−5−シアノイミダゾール、4−シアノメチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾールなどのシアノ基を有するイミダゾール類;
2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、2−n−ブチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−n−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−n−ブチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−n−ブチル−4−クロロ−5−ホルミルイミダゾール、2−ホルミルイミダゾール、4−ホルミルイミダゾール、2−メチル−4−ホルミルイミダゾール、2−n−ブチル−4−ホルミルイミダゾール、2−フェニル−4−ホルミルイミダゾール、4−メチル−5−ホルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−ホルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ホルミルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−エチル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−イソプロピル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−n−プロピル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−n−ブチル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−n−ウンデシル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−ニトロイミダゾール、1−{2−ヒドロキシ−3−(3−トリメトキシシリルプロピルオキシ)}プロピルイミダゾール、4−ヒドロキシメチルイミダゾールハイドロクロライド、2−ヒドロキシメチルイミダゾールハイドロクロライド、2−メチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−イソプロピル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−n−プロピル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−n−ブチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−n−ウンデシル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシメチルベンゾイミダゾール、2−クロロメチルベンゾイミダゾール、1−{3−(3−トリメトキシシリルプロピルオキシ)}プロピルイミダゾール、4−チオカルバモイルイミダゾール、2−メチル−4−チオカルバモイルイミダゾール、4−メチル−5−チオカルバモイルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−チオカルバモイルイミダゾール、2−フェニル−4−チオカルバモイルイミダゾール、2−(2’−メチルイミダゾリル−4’)−ベンゾイミダゾール、2−(2’−フェニルイミダゾリル−4’)−ベンゾイミダゾール、4−アザベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシ−4−アザベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシメチル−4−アザベンゾイミダゾールのその他の基を有するイミダゾール類;等。
【0079】
ピラゾール類:ピラゾール;4−カルボキシメチルピラゾール、5−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−5−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−5−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−5−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−5−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−5−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−5−カルボキシメチルピラゾール、1,5−ジメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−メチル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4−カルボキシメチル−5−クロロピラゾール、1−イソプロピル−4−カルボキシメチル−5−メチルピラゾール、1−イソプロピル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−4−ジカルボキシメチル−5−クロロピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチル−5−メチルピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチル−5−クロロピラゾール、3−メチル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、3,5−ジメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、3−メチル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、3−メチル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾール、3−メチル−4−ジカルボキシメチル−5−クロロピラゾール、1,3,5−トリメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−3,5−ジメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1,3−ジメチル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾールなどのカルボキシル基を有するピラゾール類;
4−シアノピラゾール、1−メチル−4−シアノピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノピラゾール、1−ベンジル−4−シアノピラゾール、1,3−ジメチル−4−シアノピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−4−シアノピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−4−シアノピラゾール、1,5−ジメチル−4−シアノピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−メチルピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−クロロピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−メチルピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−クロロピラゾール、3,5−ジメチル−4−シアノピラゾール、3−メチル−4−シアノ−5−ヒドロキシピラゾール、3−メチル−4−シアノ−5−クロロピラゾール、1,3,5−トリメチル−4−シアノピラゾール、1−ベンジル−3,5−ジメチル−4−シアノピラゾール、1,3−ジメチル−4−シアノ−5−ヒドロキシピラゾールなどのシアノ基を有するピラゾール類;5−アミノピラゾール、1−メチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、3−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−4−クロロ−5−アミノピラゾールなどのアミノ基を有するピラゾール類;
1−メチル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、3−メチル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−アミノピラゾール、3−メチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−カルボキシメチルピラゾール、3−メチル−4−シアノ−5−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−4−シアノ−5−カルボキシメチルピラゾールなどのアミノ基、カルボキシル基又はシアノ基のいずれかを2以上有するピラゾール類;
1−メチルピラゾール、1−イソプロピルピラゾール、1−ベンジルピラゾール、3−メチルピラゾール、5−メチルピラゾール、1,3−ジメチルピラゾール、4−クロロピラゾール、5−ヒドロキシピラゾール、5−クロロピラゾール、1−メチル−4−クロロピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロピラゾール、1,5−ジメチルピラゾール、1−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−メチル−5−クロロピラゾール、1−イソプロピル−5−メチルピラゾール、1−イソプロピル−5−ヒドロキシピラゾール、1−イソプロピル−5−クロロピラゾール、1−ベンジル−5−メチルピラゾール、1−ベンジル−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−5−クロロピラゾール、1,3−ジメチル−4−クロロピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−4−クロロピラゾール、1,3,5−トリメチルピラゾール、1,3−ジメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1,3−ジメチル−5−クロロピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−5−エチルピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−メチル−4,5−ジクロロピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−クロロピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−メチルピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−ヒドロキシピラゾール、1−イソプロピル−4,5−ジクロロピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−メチルピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−4,5−ジクロロピラゾール、3,5−ジメチル−4−クロロピラゾール、3−メチル−4−クロロ−5−ヒドロキシピラゾール、3−メチル−4,5−ジクロロピラゾール、1,3,5−トリメチル−4−クロロピラゾール、1−イソプロピル−3,5−ジメチル−4−クロロピラゾール、1,3−ジメチル−4−クロロ−5−ヒドロキシピラゾールなどのその他の基を有するピラゾール類;等。
【0080】
トリアゾール類:1,2,4−トリアゾール;1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−1,2,4−トリアゾール、1,2−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−2−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、2,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−5−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、1,2,5−トリアミノ−1,2,4−トリアゾール、1,2−ジアミノ−5−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾールなどのアミノ基を有するトリアゾール類;1−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−1,2,4−トリアゾールなどのチオール基を有するトリアゾール類;1−アミノ−2−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メルカプト−2−アミノ−1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1,2−ジアミノ−5−メルカプトトリアゾール、1−メルカプト−2,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、1−メルカプト−2−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メルカプト−2−アミノ−5−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、1,5−ジメルカプト−2−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸などのアミノ基、チオール基又はカルボキシル基のいずれかを2以上を有するトリアゾール類;2−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾールなどのその他の基を有するトリアゾール類;等。
【0081】
トリアジン類:2−アミノトリアジン、2,4−ジアミノトリアジン、2,4−ジアミノ−6−(6−(2−(2メチル−1−イミダゾリル)エチル)トリアジンなどのアミノ基を有するトリアジン類;2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−モルホリル−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−モノラウリル−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン−モノソデイウムソルト、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン−トリソデイウムソルトなどのチオール基を有するトリアジン類;2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどのアミノ基とチオール基とを有するトリアジン類;等が挙げられる。
【0082】
これらの極性基をもつ処理剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0083】
前記複素環化合物としては、更に、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−エチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−メチルイミダゾール−4−カルボン酸、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−エチル−4−チオカルバモイルイミダゾール等のイミダゾール類;ピラゾール、3−アミノ−4−シアノ−ピラゾール等のピラゾール類;1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−1,2,4−トリアゾール、1,2−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、1−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類;2−アミノトリアジン、2,4−ジアミノ−6−(6−(2−(2メチル−1−イミダゾリル)エチル)トリアジン2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン−トリソデイウムソルト等のトリアジン類;等の他に金属に配位可能な官能基を有するものであってもよい。例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、またはシアノ基等の、金属に配位可能な官能基を有するものが好適である。金属に配位可能な官能基を有する複素環化合物は、より高いパターン密着性を与える点で好ましい。酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子を含有する複素環化合物としては、ピロール類、ピロリン類、ピロリジン類、ピラゾール類、ピラゾリン類、ピラゾリジン類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、テトラゾール類、ピリジン類、ピペリジン類、ピリダジン類、ピリミジン類、ピラジン類、ピペラジン類、トリアジン類、テトラジン類、インドール類、イソインドール類、インダゾール類、プリン類、ノルハルマン類、ペリミジン類、キノリン類、イソキノリン類、シノリン類、キノサリン類、キナゾリン類、ナフチリジン類、プテリジン類、カルバゾール類、アクリジン類、フェナジン類、フェナントリジン類、フェナントロリン類、フラン類、ジオキソラン類、ピラン類、ジオキサン類、ベンゾフラン類、イソベンゾフラン類、コルマリン類、ジベンゾフラン類、フラボン類、トリチアン類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、イソベンゾチオフェン類、ジチイン類、チアントレン類、チエノチオフェン類、オキサゾール類、イソオキサゾール類、オキサジアゾール類、オキサジン類、モルフォリン類、チアゾール類、イソチアゾール類、チアジアゾール類、チアジン類、フェノチアジン類などが挙げられる。
【0084】
これらの複素環化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0085】
これらの中でも後述の感光性樹脂組成物中の成分と反応し、この後に形成される配線金属層(導電性材料層)が剥離しにくい効果を有する点から、特開2003−158373号公報に記載の複素環化合物が好適に使用できる。
【0086】
前記(1)の態様において、樹脂膜に密着処理剤を含浸させる方法としては、特に限定はなく、例えば、浸漬法の他、液盛り法、蒸着法、スプレー法、塗布法、印刷法などの公知の方法を採用することができる。本発明の方法において、密着処理剤の含浸後、形成された下地密着層上に感光性樹脂膜を形成するが、所望により、感光性樹脂膜の形成前に下地密着層(例えば、非感光性透明樹脂層)の表面を、スライトエッチしてもよい。
【0087】
尚、下地密着層12は、樹脂を用いず、金属に配位可能な構造を有する樹脂に代えて前記のような密着処理剤そのものにより形成してもよい。
【0088】
また、下地密着層は、絶縁基板に下地樹脂層を公知のスピン塗布法やスリット塗布法、ドクターブレード法、ロールコート法などを用いて成膜した後、該樹脂膜を、アンモニア等の電子供与性窒素原子を含んだ液体や、アンモニアや窒素分子等の窒素原子を含んだガスをプラズマ処理によりラジカル化したものを用いて直接窒化する方法により、金属配位能を有するアミノ基を導入することにより形成してもよい。
【0089】
次に、上記した処理によって形成された下地密着層12の表面全体に亘って、スピンナーを用いて、例えば、ポジ型フォトレジスト液を塗布する。ホットプレート上で、100℃で120秒間加熱プリベーク処理することにより、2μmの厚さを有する感光性の透明樹脂膜13を形成する(図6)。上記したポジ型フォトレジストとしては、例えば、特開2002−296780号公報記載の、アルカリ可溶性脂環式オレフィン系樹脂と感放射線成分とを含有した感光性樹脂組成物を使用する。
【0090】
ここで、脂環式オレフィン系樹脂とは、環状オレフィン単量体、すなわち、環状構造を有するオレフィン単量体を重合してなり、該単量体単位を構造単位として有する重合体である。環状オレフィン単量体の環状構造は、単環であっても、多環(縮合多環、橋架け環、これらの組み合わせ多環など)であってもよい。環状構造の一単位を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、機械的強度、耐熱性、及び成形性の諸特性が高度にバランスされることから、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式オレフィン系樹脂は、環状オレフィン単量体以外の単量体単位を構造単位として有していてもよい。
【0091】
脂環式オレフィン系樹脂としては極性基を有するものが好適である。かかる樹脂中の極性基の存在割合は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0092】
前記極性基としては、例えば、カルボキシル基(ヒドロキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基、ジカルボン酸無水物基(カルボニルオキシカルボニル基)、水酸基(ヒドロキシル基)、ニトリル基、エポキシ基、オキセタニル基、及びイミド基からなる群より選択される1種以上の基(以下、これらをまとめて「特定極性基」という)が挙げられる。
【0093】
特定極性基が水酸基である例としては、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニルアルキル基などのフェノール性水酸基を含む置換基;ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルコキシカルボニル基などのアルコール性水酸基を含む置換基;が挙げられ、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基などが好ましい。
【0094】
特定極性基がイミド基である例としては、N−フェニルジカルボキシイミド基などが挙げられる。
【0095】
脂環式オレフィン系樹脂は前記特定極性基を1種類だけ有していてもよいし、2種類以上有していてもよい。特に2種類以上を組み合わせるのが好ましく、特にカルボキシル基とイミド基の組み合わせが好ましい。
【0096】
極性基を有する環状オレフィン単量体としては、例えば、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−カルボキシメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどの1つのカルボキシル基を有する環状オレフィン単量体;5−エキソ−6−エンド−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−エキソ−9−エンド−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8,9−ジカルボン酸無水物、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エン−11,12−ジカルボン酸無水物などの2つのカルボキシル基を有する環状オレフィン単量体;5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メチル−8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−カルボキシメチル−8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどの1つのヒドロキシフェニル基を有する環状オレフィン単量体;N−(4−フェニル)−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)などのN−置換イミド基含有環状オレフィン単量体;等が挙げられる。
【0097】
本発明に使用される脂環式オレフィン系樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常3,000〜500,000、好ましくは3,500〜100,000、より好ましくは4,000〜50,000の範囲である。
【0098】
透明樹脂膜を形成する有機材料としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、およびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれた透明樹脂が使用可能である。以降の工程を容易にする観点からは、透明樹脂膜は、感光性樹脂組成物を用いて形成するのが好都合である。
【0099】
この場合、透明樹脂膜11を形成するのに好適に使用される感光性樹脂組成物としては、例えば、脂環式オレフィン系樹脂として、極性基を有する、アルカリ可溶性脂環式オレフィン系樹脂;エポキシ基を2つ以上、好ましくはエポキシ基を3つ以上有する、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル、エポキシアクリレート重合体等の多官能エポキシ化合物などの架橋剤;及び、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド等のキノンジアジドスルホン酸ハライドと、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4'−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール等のフェノール性水酸基を有する化合物とのエステル化合物などの光酸発生剤(感放射線成分)を含んでなる組成物が挙げられる。かかる組成物には、無機微粒子として、例えば、コロイダルシリカが含まれていてもよい。また、本発明で使用される感光性樹脂組成物はポジ型であっても良いし、ネガ型であってもよい。
【0100】
図6に示すように、透明樹脂膜13を形成後、マスクアライナーにより、g、h、i線の混合光を、マスクパターンを介して、透明樹脂膜13に選択的に照射する。その後、0.3重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で90秒間現像した後、純水で60秒間リンス処理を行い、ガラス基板11上に所定のパターンを有する、該ガラス基板11の表面に達する溝(ゲート電極を収容するための凹部)を形成する。その後、窒素雰囲気中で230℃、60分間の熱処理をし、透明樹脂膜13を硬化する(図7)。尚、透明樹脂膜の熱処理(加熱硬化)は、続く凹部への触媒付与工程の後に行ってもよい。また、熱処理は、上記のように、窒素雰囲気などの不活性ガス雰囲気中で行う他、還元ガス雰囲気中で行ってもよい。
【0101】
上記のようにして得られた基板を、次に、塩化パラジウム−塩酸水溶液(塩化パラジウム0.005体積%、塩酸0.01体積%)に室温で3分間、浸漬し、還元剤(上村工業(株)製レデューサーMAB−2)で処理し水洗することで、形成された溝(凹部)内に選択的にパラジウム触媒層14(厚さ10〜50nm)を付与した(図8)。パラジウム触媒層14は連続膜である必要はなく、微粒子状のパラジウム粒子がこの後に析出されるめっき膜の成膜に阻害が生じない程度に密に析出されたものでも良い。なお、触媒層は、特に限定はないが、パラジウムの他、銅、銀、白金、ニッケル、亜鉛、又はコバルトを用いて同様にして形成することができる。また、凹部に触媒を付与する方法としては、特に限定はないが、例えば、浸漬法の他、液盛り法、蒸着法、スプレー法、塗布法、印刷法などの公知の方法を採用することができる。以上のようにして触媒層を形成することにより、触媒層はゲート電極部のみに形成されることになる。一方、配線板を製造する場合にあっては、触媒層は前記部分構造のみに形成されることになる。
【0102】
得られた基板を、例えば、銅無電解めっき液(上村工業(株)製PGT)に浸漬し、前述の溝内に選択的に銅配線金属層15(厚さ1.9μm)を形成する(図9)。銅配線金属層15は、続く拡散抑止膜の膜厚の分だけ、透明樹脂膜13の表面高さより低い位置で処理を終了することが好ましい。なお、配線金属層15は、銅の他、アルミ、タングステン等の不透明な金属で形成してもよく、また、例えば、ITOのような透明な導電性膜で形成してもよい。このようにして配線金属層が形成されるが、配線金属層形成後、所望により該層の加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、例えば、透明樹脂膜の加熱処理と同様の方法で行うことができる。
【0103】
図9の状態で、純水による水洗、Nブローによる乾燥を行った後、析出したCu膜を下地とする無電解Niめっき、無電解Ni−Pめっき、無電解Ni−Bめっき、もしくは電解Niめっき、無電解コバルトタングステン合金めっき等により拡散抑止膜を成膜する。拡散抑止膜としてはNi、W、Ta、Nb、CoおよびTiのいずれかから選択される金属を用いてよい。本実施例においては無電解Ni層を成膜し、拡散抑止膜(厚さ0.1μm)とした(図10)。必要に応じて、無電解Ni層の成膜前処理として、Cu表面にパラジウム等の触媒処理を行うと良好な反応活性が得られ好ましい。
【0104】
なお、拡散抑止膜は、純水による水洗、N2ブローによる乾燥後、この基板を減圧チャンバ内に導入し、WF、SiH、及びArの混合ガス中で、大気圧化下200℃で処理することで、以下の反応式:
WF+1.5SiH → W +1.5SiF+3H
による反応を生じせしめ、Cu表面にのみWの選択堆積を行行い、これを拡散抑止膜としてもよい。WFは、分解温度が1,000℃であるが、水素があると低温で(室温でも)分解するという特性があり、その性質を利用して、200℃程度の低温でCu上のみにWをデポジットさせることができる。キャリアガスHで運搬されたシラン・ガスSiHはCu表面のみで約180℃で分解し、水素ラジカルを発生させる。この水素ラジカルが同じく運搬されたWFガスのFと激しく反応してWFを分解させ、WがCu表面にデポジットする。Fと反応した水素は、HFとなって出てゆく。Siは付着されない。このようにして、堆積された膜表面の高さが、透明樹脂膜11の高さと略同一になるまで成膜し、配線金属拡散抑止層とすることができる。
【0105】
以上の処理によって、ガラス基板上に透明樹脂膜13でパターニングされた溝内に選択的にTFTのゲート電極を形成する。この方法によれば、透明樹脂のパターンとして、ゲート電極とゲート配線を同時に用意することで、ゲート配線の製造にも使用できる。また、配線のみを形成して配線板として利用しても、本発明の効果を得ることができる。配線板として単独で使用する場合には、拡散抑止膜を形成しなくとも良い。この場合には、めっき時間の調整により、めっき金属表面と透明樹脂膜表面を略同一の高さとすることが好ましい。
【0106】
次に、公知のPECVD法により、ゲート絶縁膜18としてのシリコン窒化膜を配線金属拡散抑止層上に成膜する。さらに半導体層として、半導体層アモルファスシリコン膜19、n+型アモルファスシリコン膜20を連続堆積する。フォトリソグラフィー法および公知のRIE法により半導体層アモルファスシリコン膜19、n+型アモルファスシリコン膜20を一部除去し、半導体層21を形成する(図11)。
【0107】
引き続き、公知のスパッタ法などにより、ソース電極22およびドレイン電極23とすべく、Ti、Al、Tiの順で成膜を行い、フォトリソグラフィー法でパターニングを行うことによって、ソース電極およびドレイン電極を形成する。次に、形成されたソース電極およびドレイン電極をマスクとして、公知の手法によりn+型アモルファスシリコン膜をエッチングすることで、ソース領域とドレイン領域の分離を行う(図12)。次に、公知のPECVD法により、保護膜としてシリコン窒化膜を形成して、本発明の薄膜トランジスタは完成する。
【0108】
さらに本発明の参考例を説明する。実施形態で説明した透明樹脂膜13の硬化(図7)の後、透明樹脂膜13の表面をフッ化する。フッ化としては、大気圧のFガス雰囲気(5体積%)中(N希釈)で、130℃、3分間の処理を行う。透明樹脂膜13の表面をフッ化し、透明樹脂膜表面の疎水性を高めることで、レジスト表面の不純物などによる触媒(パラジウム)の異常析出が抑制され、製造歩留まりが向上する。
【実施例2】
【0109】
実施例1で説明した薄膜トランジスタの製造方法において、絶縁基板に対し、下地非感光性樹脂を塗布し、150℃にて90秒硬化ベークを行い、下地非感光性樹脂膜を形成した後、濃度5ppmのオゾン添加純水が流水する容器に20分間浸漬させて下地樹脂表面の酸化を行った。硬化ベークは80℃から300℃が好ましく、100℃から250℃がさらに好ましい。硬化温度が低い場合、未反応の樹脂成分が残留し薬液耐性が低下するなどの問題を発生する。逆に硬化温度が上記範囲より高い場合、透明性が失われるなどの問題を発生する。オゾン添加純水のオゾン濃度は1ppmから100ppmが好ましく、5ppmから50ppmがさらに好ましい。この範囲よりオゾン濃度が低い場合にはめっきが析出せず、高い場合には下地樹脂の過剰酸化による樹脂膜およびめっき膜の剥離現象がおき、好ましくない。次にこれを0.1から5体積%のシランカップリング剤(アミノプロピルトリエトキシシラン:信越化学製KBE903)に30から60℃で1から5分間浸漬させ、水洗、乾燥、加熱処理を行い、金属の配位する部位のもつ官能基を樹脂表面に均一に付与した。本実施例に用いるシランカップリング剤の有する金属の配位する部位のもつ官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、メルカプト基、アミノ基、イミノ基、エーテル基、ケトン基、チオール基、イミダゾール基等が好ましく、中でもアミノ基を有するものが取り扱い等の観点から好ましい。本実施例においては、シランカップリング剤の濃度は1.0体積%、処理温度は、30℃、処理時間は1分としたが、上述の範囲においては好適な密着性が得られる。シランカップリング剤濃度が高いほど、機材表面への分子衝突確率があがり、処理時間が短くとも同等の性能を得ることができるようになるが、上記範囲よりも高い場合、薬液中においてシランカップリング剤同士の縮合がおきやすくなり薬液寿命が短くなってしまい好ましくない。一方上記範囲より濃度が低い場合、処理時間が数十時間となり、製造工程上好ましくない。一方上記範囲より温度が高い場合、シランカップリング剤同士の縮合反応がおきやすく、薬液寿命が短くなってしまい、好ましくない。上記範囲より温度が低い場合、基材表面との反応性が著しく低下し処理時間が数十時間となり、製造工程上好ましくない。
【0110】
上記のようにして得られた基板に、その後、実施例1と同様な工程で処理したところ、ガラス基板上に透明樹脂でパターニングされた溝内に選択的にTFTのゲート電極を形成し、最終的に薄膜トランジスタを完成した(図12)。
【実施例3】
【0111】
実施例2と同様の方法にて、下地透明樹脂膜の形成を行った後、酸化剤である過酸化水素水6体積%と硫酸80体積%の混合溶液に室温で1分間浸漬させて下地樹脂表面の改質を行った。
【0112】
次に、1.0体積%のシランカップリング剤(アミノプロピルトリエトキシシラン)に室温にて2分間浸漬させ、洗浄、乾燥、加熱処理を行い、シランカップリング剤を樹脂表面に縮合した。以上の処理により、下地透明樹脂層の酸化処理の時間短縮とシランカップリング剤の室温での基板への縮合が可能となり、製造時間の短縮が実現できた。
【0113】
上記のようにして得られた基板に、その後、実施例1と同様な工程で処理したところ、ガラス基板上に透明樹脂でパターニングされた溝内に選択的にTFTのゲート電極を形成し、最終的に薄膜トランジスタを完成した(図12)。
【実施例4】
【0114】
ガラス基板を、過酸化水素水6体積%と硫酸80体積%の混合溶液にて6分間洗浄後、純水で水洗、乾燥して、基板表面の汚染を除去した。(図4)。
【0115】
次にガラス基板を、ヘキサメチルジシラザンの蒸気処理後、下地となる透明樹脂をスピンコーターにて0.5μmの厚さに均一に塗布し、100℃にてベーク処理を行った(図5)。
【0116】
次いで、濃度8ppmのオゾン水が流水する容器に10分間浸漬させて下地樹脂表面の改質を行った。
【0117】
次に、2体積%の信越化学工業(株)製シランカップリング剤に50℃で2分間浸漬させ、洗浄、乾燥、加熱処理を行い、金属の配位する部位のもつ官能基を樹脂表面に均一に付与した。
【0118】
図6に示したように、感光性透明樹脂膜を形成後、マスクアライナーにより、g、h、i線の混合光を、マスクパターンを介して、感光性透明樹脂膜に選択的に照射した。その後、0.3重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で90秒間現像した後、純水で60秒間リンス処理を行い、ガラス基板上に所定のパターンを有する溝を形成した。その後、窒素雰囲気中で230℃、60分の熱処理をし、透明感光性樹脂膜を硬化した(図7)。
【0119】
上記のようにして得られた基板を、パラジウム付与剤(日本カニゼン(株))に室温で3分間、浸漬し、還元剤(上村工業(株)製レデューサーMAB−2)で処理し水洗することで、形成された溝内に選択的にパラジウム触媒を付与した(図8)。
【0120】
得られた基板を、銅無電解めっき液(上村工業(株)製PGT)に浸漬し、前述の溝内に選択的に銅配線を形成した(図9)。銅配線は、続く拡散抑止膜の膜厚の分だけ、透明感光性樹脂の表面高さより低い位置で処理を終了することが好ましい。
【0121】
図9の状態で、純水による水洗、N2ブローによる乾燥を行った後、析出したCu膜を下地とする無電解Niもしくは電解NiめっきによりNi層を成膜し、拡散抑止膜とした(図10)。
【0122】
以上の処理によって、ガラス基板上に透明樹脂でパターニングされた溝内に選択的にTFTのゲート電極を形成した。その後、最終的に実施例1と同様な方法で本発明の薄膜トランジスタを完成した(図12)。
【0123】
本発明により製造され得る電子装置、中でも薄膜トランジスタ及び配線板は、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置等の各種表示装置の製造に好適に用いられる。それらの表示装置は、公知の方法に従って製造することができる。従って、本発明の一態様として、本発明の前記電子装置の製造方法を用いて形成することを特徴とする液晶表示装置又はEL表示装置の製造方法が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置等の表示装置に適用して、これらの表示装置を大型化することができると共に、表示装置以外の配線にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明に係る薄膜トランジスタの構造の一例を示す断面図である。
【図2】従来の薄膜トランジスタの構造の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る薄膜トランジスタを構成するゲート電極部の構造の一例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【図5】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【図6】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【図7】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【図8】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【図9】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【図10】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【図11】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【図12】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【符号の説明】
【0126】
11 ガラス基板
12 下地密着層
13 透明樹脂膜
14 触媒層
15 配線金属層
16 配線金属拡散抑止層
17 ゲート電極
18 ゲート絶縁膜
19 アモルファスシリコン膜
20 n+型アモルファスシリコン膜
21 半導体層
22 ソース電極
23 ドレイン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上にゲート電極を有し、該絶縁基板とは反対側に該ゲート電極上にゲート絶縁膜を介して配置された半導体層と、該半導体層に接続されたソース電極とドレイン電極とを少なくとも有し、該ゲート電極に印加される電流制御信号により、該ソース電極と該ドレイン電極との間に通じる電流量を可変することのできる薄膜トランジスタであって、該ゲート電極は、該絶縁基板側から該ゲート絶縁膜側に向かって、下地密着層、触媒層、配線金属層、配線金属拡散抑止層の順に積層されてなり、且つ、前記下地密着層は金属に配位可能な構造を有する樹脂によって形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記ゲート電極は、前記ゲート電極表面と略同一平面を形成する平坦化層に形成された溝に埋設されてなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記絶縁基板は透明ガラス基板もしくは透明樹脂基板であって、前記平坦化層は透明樹脂層であることを特徴とする請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記触媒層は前記ゲート電極部にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記透明樹脂層がアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、およびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれた一種以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項3に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記透明樹脂層がアルカリ可溶性脂環式オレフィン系樹脂と感放射線成分とを含有する感光性樹脂組成物で形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記金属に配位可能な構造を有する樹脂は、樹脂に、極性基をもつ処理剤、または金属との配位能を有する複素環化合物を含浸させてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記複素環化合物は金属に配位可能な官能基を有していることを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記複素環化合物は、ピロール類、ピロリン類、ピロリジン類、ピラゾール類、ピラゾリン類、ピラゾリジン類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、テトラゾール類、ピリジン類、ピペリジン類、ピリダジン類、ピリミジン類、ピラジン類、ピペラジン類、トリアジン類、テトラジン類、インドール類、イソインドール類、インダゾール類、プリン類、ノルハルマン類、ペリミジン類、キノリン類、イソキノリン類、シノリン類、キノサリン類、キナゾリン類、ナフチリジン類、プテリジン類、カルバゾール類、アクリジン類、フェナジン類、フェナントリジン類、フェナントロリン類、フラン類、ジオキソラン類、ピラン類、ジオキサン類、ベンゾフラン類、イソベンゾフラン類、コルマリン類、ジベンゾフラン類、フラボン類、トリチアン類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、イソベンゾチオフェン類、ジチイン類、チアントレン類、チエノチオフェン類、オキサゾール類、イソオキサゾール類、オキサジアゾール類、オキサジン類、モルフォリン類、チアゾール類、イソチアゾール類、チアジアゾール類、チアジン類、およびフェノチアジン類からなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項10】
絶縁基板上に配線を有する配線板の断面構造において、絶縁基板側から配線が形成されている側に向かって、下地密着層、触媒層、配線金属層、配線金属拡散抑止層の順に積層されてなる部分構造を有し、前記下地密着層は金属に配位可能な構造を有する樹脂によって形成されていることを特徴とする配線板。
【請求項11】
前記配線は、前記配線と略同一平面を形成する平坦化層に形成された溝に埋設されてなることを特徴とする請求項10に記載の配線板。
【請求項12】
前記絶縁基板は透明ガラス基板もしくは透明樹脂基板であって、前記平坦化層は透明樹脂層であることを特徴とする請求項11に記載の配線板。
【請求項13】
前記触媒層は前記部分構造にのみ形成されていることを特徴とする請求項10に記載の配線板。
【請求項14】
前記透明樹脂層がアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、およびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれた一種以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項12に記載の配線板。
【請求項15】
前記透明樹脂層が、アルカリ可溶性脂環式オレフィン系樹脂と感放射線成分とを含有する感光性樹脂組成物で形成されたものであることを特徴とする請求項12に記載の配線板。
【請求項16】
請求項1から9のいずれかに記載の薄膜トランジスタを用いて製造されたことを特徴とする表示装置。
【請求項17】
前記表示装置は液晶表示装置またはEL表示装置のいずれかであることを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
請求項10から15のいずれかに記載の配線板を用いて製造されたことを特徴とする表示装置。
【請求項19】
前記表示装置は液晶表示装置またはEL表示装置のいずれかであることを特徴とする請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
絶縁基板上に金属に配位可能な官能基を少なくとも表面に有する非感光性透明樹脂膜を形成する工程と、感光性樹脂膜を形成する工程と、該感光性樹脂膜をパターニングすることで電極もしくは配線が収容される凹部を形成する工程と、該凹部に触媒付与する工程と、該樹脂膜を加熱硬化する工程と、該凹部にめっき法により導電性材料層を形成する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項21】
前記触媒付与工程に用いる触媒が銅、銀、パラジウム、白金、ニッケル、亜鉛、またはコバルトを含有することを特徴とする請求項20に記載の電子装置の製造方法。
【請求項22】
前記凹部にめっき法により形成された導電性材料層を加熱処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の電子装置の製造方法。
【請求項23】
前記感光性樹脂膜の加熱硬化を不活性ガス雰囲気中または還元ガス雰囲気中で行うことを特徴とする請求項20に記載の電子装置の製造方法。
【請求項24】
前記触媒付与工程を、浸漬法、液盛り法、蒸着法、スプレー法、塗布法、および印刷法のいずれかで行うことを特徴とする請求項20に記載の電子装置の製造方法。
【請求項25】
前記導電性材料層の表面に拡散抑止膜をCVDまたはめっきによって形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項20に記載の電子装置の製造方法。
【請求項26】
絶縁基板上に非感光性透明樹脂を用いて成膜する工程と、得られた非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程と、感光性樹脂膜を形成する工程と、該感光性樹脂膜をパターニングすることで電極もしくは配線が収容される凹部を形成する工程と、該樹脂膜を加熱硬化する工程と、該凹部に触媒付与する工程と、該凹部にめっき法により導電性材料層を形成する工程と、該導電性材料層上に選択的に該導電性材料拡散抑止膜を形成する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項27】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記非感光性透明樹脂層に金属に配位可能な官能基を有する密着処理剤を含浸させる工程を含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項28】
前記密着処理剤を含浸させる工程を、浸漬法、液盛り法、蒸着法、スプレー法、塗布法、および印刷法のいずれかで行うことを特徴とする請求項27に記載の電子装置の製造方法。
【請求項29】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記密着処理剤を含浸させる工程の後、前記非感光性透明樹脂層の表面をスライトエッチする工程をさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の電子装置の製造方法。
【請求項30】
前記密着処理剤として、シランカップリング剤を用いる工程を少なくとも含むことを特徴とする請求項27に記載の電子装置の製造方法。
【請求項31】
前記シランカップリング剤は、金属に配位可能な官能基を樹脂表面に付与するものであることを特徴とする請求項30に記載の電子装置の製造方法。
【請求項32】
前記官能基として、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、イソシアネート基から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項31に記載の電子装置の製造方法。
【請求項33】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、濃度1ppm以上のオゾンを含有する水を用いて前記非感光性透明樹脂層の表面を酸化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項34】
前記オゾン濃度を5ppm〜50ppmとしたことを特徴とする請求項33に記載の電子装置の製造方法。
【請求項35】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、酸素元素を含むガス中で、加熱処理、UV処理もしくはプラズマ処理を行って、前記非感光性透明樹脂層の表面を酸化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項36】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、窒素元素を含むガス中で、加熱処理もしくはプラズマ処理を行って、前記非感光性透明樹脂層の表面を窒化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項37】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、加熱処理もしくはプラズマ処理により、金属をもしくは金属を配位可能な官能基を前記非感光性透明樹脂層の表面上に付与する工程を含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項38】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、酸化剤を用いて前記非感光性透明樹脂層の表面を酸化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項39】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、窒素元素を含む溶液を用いて、前記非感光性透明樹脂層の表面を窒化もしくは粗化をする工程を含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項40】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記非感光性透明樹脂層の表面をエッチングする工程を含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項41】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記非感光性透明樹脂層の表面を酸化、窒化、または粗化する工程と、しかる後に前記非感光性透明樹脂層に金属に配位可能な官能基を有する密着処理剤を含浸させる工程とを含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項42】
前記非感光性透明樹脂層に前処理を行う工程は、前記非感光性透明樹脂層の表面に水酸基を導入する工程と、金属に配位可能な官能基と水酸基とを有する密着剤を縮合する工程と含むことを特徴とする請求項26に記載の電子装置の製造方法。
【請求項43】
前記金属に配位可能な官能基と水酸基を有する密着剤はシラノール基とカルボキシル基、スルホン酸基、メルカプト基、アミノ基、イミノ基、エーテル基、ケトン基、チオール基、イミダゾール基を有する、または加水分解によりこれらと同等の機能を発現できるシランカップリング剤より選ばれることを特徴とする請求項42に記載の電子装置の製造方法。
【請求項44】
前記非感光性透明樹脂層の表面に水酸基を導入する工程が、酸化処理によることを特徴とする請求項42に記載の電子装置の製造方法。
【請求項45】
前記酸化処理する工程が、オゾン添加純水、または硫酸と過酸化水素水の混合水溶液、または紫外線照射のうちいずれかを用いて行うことを特徴とする請求項44に記載の電子装置の製造方法。
【請求項46】
前記触媒付与工程に用いる触媒が銅、銀、パラジウム、白金、ニッケル、亜鉛、またはコバルトを含有することを特徴とする請求項27に記載の電子装置の製造方法。
【請求項47】
前記凹部にめっき法により形成された導電性材料層を加熱処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の電子装置の製造方法。
【請求項48】
前記感光性樹脂膜の加熱硬化を不活性ガス雰囲気中または還元ガス雰囲気中で行うことを特徴とする請求項27に記載の電子装置の製造方法。
【請求項49】
前記触媒付与工程を、浸漬法、液盛り法、蒸着法、スプレー法、塗布法、および印刷法のいずれかで行うことを特徴とする請求項27に記載の電子装置の製造方法。
【請求項50】
前記拡散抑止膜の形成を、Ni、W、Ta、Nb、CoおよびTiのいずれかから選択される金属を含む無電解めっき法もしくは電解めっき法、または上記金属元素を含むフッ化物ガスを原料とする化学気相成長法により行うことを特徴とする請求項27に記載の電子装置の製造方法。
【請求項51】
形成された拡散抑止膜の表面を窒素プラズマにより窒化する工程をさらに有することを特徴とする請求項50に記載の電子装置の製造方法。
【請求項52】
電子装置が薄膜トランジスタもしくは配線板であることを特徴とする請求項20から51のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項53】
請求項20から51のいずれかに記載の方法を用いて形成することを特徴とする液晶表示装置またはEL表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−43131(P2007−43131A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185481(P2006−185481)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【出願人】(591005453)青森県 (52)
【Fターム(参考)】