説明

薄膜トランジスタ及びその作製方法、表示装置及びその作製方法、並びに電子機器

【課題】光電流による影響が小さく、オンオフ比が高い薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】ボトムゲートボトムコンタクト型(コプラナ型)の薄膜トランジスタにおいて、チャネル形成領域をゲート電極と重畳させ、チャネル形成領域と、配線層と接触する第2の不純物半導体層と、の間に第1の不純物半導体層を設け、好ましくはチャネル形成領域となる半導体層と第1の不純物半導体層はゲート電極と重畳する領域で接し、第1の不純物半導体層と第2の不純物半導体層はゲート電極と重畳しない領域で接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、薄膜トランジスタ及びその作製方法、並びに表示装置及びその作製方法に関する。更には、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、絶縁性表面を有する基板(例えば、ガラス基板)上に半導体薄膜(厚さ数nm以上数百nm以下程度)が設けられた、薄膜トランジスタ(以下、TFTと呼ぶ。)が注目されている。TFTは、例えば、液晶表示装置などの表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。TFTの半導体薄膜としては、主に非晶質半導体膜または多結晶半導体膜が用いられ、更には微結晶半導体膜が用いられたものもある(例えば、特許文献1)。表示装置では、搭載するTFTのスイッチング特性が表示品質及び消費電力などに影響する。
【0003】
TFTのスイッチング特性を評価するパラメータの1つとして、電流のオンオフ比が挙げられる。ここで、電流のオンオフ比とは、オフ電流に対するオン電流の比をいう。なお、オフ電流とは、TFTがオフしているときにソースとドレインの間に流れる電流をいい、オン電流とは、TFTがオンしているときにソースとドレインの間に流れる電流をいう。従って、電流のオンオフ比を高くするためには、オン電流を大きくし、オフ電流を小さくすればよい。
【0004】
なお、本明細書中において、単に「ソース」と記載するときには、ソース電極とソース領域の一方または双方を含み、両者を特に区別しないものとする。同様に、「ドレイン」と記載するときには、ドレイン電極とドレイン領域の一方または双方を含み、両者を特に区別しないものとする。
【0005】
ただし、TFTにおいては、オンオフ比が大きければよいというわけではなく、例えば光リーク電流を低減することも重要である。ここで、光リーク電流とは、TFTの半導体薄膜に光が照射されることで光起電効果が生じ、ソースとドレインの間に流れてしまう電流をいう。特に、液晶表示装置の画素トランジスタとして用いられるTFTには、バックライトから照射された光が基板側から入射するため、光リーク電流を十分に低く抑える必要がある。そのため、TFTの半導体薄膜を遮光するための技術開発が数多くなされてきた(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−44134号公報
【特許文献2】特開平10−20298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、オンオフ比が高く、光リーク電流が小さいTFTを提供することを課題とする。
【0008】
または、本発明の一態様は、コントラスト比が高く、消費電力が小さい表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1の配線層と重畳することで遮光されたチャネル形成領域となる半導体層と、チャネル形成領域となる前記半導体層に接して設けられた第1の不純物半導体層と、前記第1の不純物半導体層に接し、且つチャネル形成領域となる前記半導体層には接さずして設けられた第2の不純物半導体層と、第2の不純物半導体層の全面に設けられた第2の配線層を有し、チャネル形成領域となる前記半導体層と前記第1の不純物半導体層の接触箇所は前記第1の配線層と重畳する領域に配され、前記第1の不純物半導体層と前記第2の不純物半導体層の接触箇所は、前記第1の配線層と重畳しない領域に配されていることを特徴とするTFTとその作製方法である。
【0010】
なお、上記構成の本発明の一態様である前記TFTにおいて、前記第1の配線層は、少なくとも前記TFTのゲート電極を構成し、前記第2の配線層は、少なくとも前記TFTのソース電極及びドレイン電極を構成するとよい。
【0011】
または、本発明の一態様は、上記構成のTFTに画素電極が接続された表示装置とその作製方法である。
【0012】
なお、本明細書において、「膜」とは、CVD法(プラズマCVD法などを含む)またはスパッタリング法などにより、被形成面の全面に形成されたものをいう。一方で、「層」とは、「膜」が加工されて形成されたもの、または被形成面の全面に形成された状態で加工を要しないものをいう。ただし、「膜」と「層」を特に区別することなく用いてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によると、光リーク電流が小さく、且つオンオフ比が高いTFTを得ることができる。
【0014】
本発明の一態様によると、コントラスト比が高く、消費電力が小さい表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一態様であるTFTを説明する断面図及び上面図。
【図2】本発明の一態様であるTFTの作製方法を説明する断面図。
【図3】本発明の一態様であるTFTの作製方法を説明する断面図。
【図4】本発明の一態様であるTFTの作製方法を説明する断面図。
【図5】本発明の一態様であるTFTの一例を説明する断面図及び上面図。
【図6】本発明の一態様であるTFTの作製方法を説明する断面図。
【図7】本発明の一態様であるTFTの作製方法を説明する断面図。
【図8】本発明の一態様であるTFTの作製方法を説明する断面図。
【図9】本発明の一態様である電子機器の一例を説明する図。
【図10】本発明の一態様である電子機器の一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。そして、便宜上、絶縁層は上面図には表さない場合がある。
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態は、本発明の一態様であるTFTとその作製方法について説明する。
【0018】
本実施の形態のTFTは、第1の配線層と、前記第1の配線層を覆って設けられたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に前記第1の配線層と一部が重畳して設けられた一対の第1の不純物半導体層と、前記一対の第1の不純物半導体層の間に、少なくともこれらに接して設けられたチャネル形成領域となる半導体層と、前記一対の第1の不純物半導体層の少なくとも端部を覆い、且つチャネル形成領域となる前記半導体層とは離間して設けられた第2の不純物半導体層と、前記第2の不純物半導体層上の全面に設けられた第2の配線層と、を有する。
【0019】
なお、ここで、第1の配線層は、少なくともゲート電極とゲート配線を構成すればよい。そして、第2の配線層は、少なくともソース電極及びドレイン電極と、ソース配線を構成すればよい。
【0020】
上記構成のTFTにおいて、チャネル形成領域となる前記半導体層上にはチャネルストップ層が設けられていることが好ましい。チャネル形成領域となる前記半導体層上にチャネルストップ層が設けられることで、チャネル形成領域となる前記半導体層の厚さがエッチングにより目減りすることを防ぎ、TFTの電気的特性のばらつきを小さくすることができるからである。
【0021】
上記構成のTFTにおいて、前記第2の配線層と前記第2の不純物半導体層は、前記第1の配線層と重畳しない領域で接することが好ましい。
【0022】
上記構成のTFTにおいて、前記第1の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度は、前記第2の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度よりも低いことが好ましい。特に好ましくは、前記第2の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度を1.0×1019cm−3以上1.0×1021cm−3以下とし、前記第1の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度を1.0×1018cm−3以上1.0×1019cm−3以下とする。前記第1の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度を前記第2の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度よりも低くすることで、前記第1の不純物半導体層をLDD(Lightly Doped Drain)領域とすることができるからである。
【0023】
なお、本明細書中における濃度は、特記しない限り、二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectroscopy。以下、SIMSと呼ぶ。)法による測定値である。
【0024】
本実施の形態のTFTの作製方法は、第1の配線層を形成し、前記第1の配線層を覆ってゲート絶縁層を形成し、前記ゲート絶縁層上に第1の不純物半導体層を形成し、前記第1の不純物半導体層を覆って半導体膜と絶縁膜を積層して形成し、前記絶縁膜をエッチングしてチャネルストップ層を形成し、前記チャネルストップ層を用いてエッチングしてチャネル形成領域となる半導体層を形成し、少なくとも前記第1の不純物半導体層に接して第2の不純物半導体層と第2の配線層を積層して形成するものである。
【0025】
上記構成のTFTの作製方法において、前記第1の不純物半導体層となる第1の不純物半導体膜は、前記半導体膜及び前記第2の不純物半導体層となる第2の不純物半導体膜よりも厚く形成されていることが好ましい。第1の不純物半導体膜は複数回のエッチング工程に曝されるので、該複数回のエッチング工程により第1の不純物半導体層が断線してしまうことを防ぐためである。
【0026】
まず、本実施の形態のTFTについて図1を参照して説明する。
【0027】
図1に示すTFTは、第1の配線層102と、第1の配線層102を覆って設けられたゲート絶縁層104と、ゲート絶縁層104上に第1の配線層102と一部が重畳して設けられた一対の第1の不純物半導体層106と、第1の不純物半導体層106の間に、少なくともこれらに接して設けられたチャネル形成領域となる半導体層108と、半導体層108上に設けられたチャネルストップ層110と、第1の不純物半導体層106の少なくとも端部を覆い、且つ半導体層108と離間して設けられ、ソース領域及びドレイン領域として機能する第2の不純物半導体層112と、第2の不純物半導体層112上の全面に設けられた第2の配線層114と、を有する。
【0028】
なお、ここで、第1の配線層102は、少なくともゲート電極とゲート配線を構成すればよい。そして、第2の配線層114は、少なくともソース電極及びドレイン電極とソース配線を構成すればよい。
【0029】
なお、図1に示すTFTは、画素トランジスタに適用することも可能である。そのため、図1に示すTFTは、保護絶縁層116に覆われ、保護絶縁層116が有する開口部を介して第2の配線層114に接続される画素電極層118を有する。
【0030】
図1に示すTFTにおいて、チャネルストップ層110は半導体層108上に設けられている。そのため、半導体層108の表面の酸化を防止し、半導体層108の表面へのリークパスを生じうる物質の付着を防止することができ、オフ電流を低減することができる。
【0031】
図1に示すTFTにおいて、半導体層108上にはチャネルストップ層110が設けられているため、作製工程中における半導体層108の厚さの目減りを防ぐことができる。そのため、半導体層108のキャリア移動度の低下を防ぐことができ、TFTのオン電流の低下を抑制することもできる。更には、半導体層108の厚さの均一性を高め、基板面内におけるTFTの特性のばらつきを防止することができる。そして、半導体層108上にチャネルストップ層110が設けられており、作製工程中において半導体層108の全面に不純物半導体膜が形成されないため、半導体層108のオフ電流を低く抑えることができる。
【0032】
図1に示すTFTは、半導体層108と、第1の不純物半導体層106と、第2の不純物半導体層112と、第2の配線層114においてゲート電極に逆バイアスが印加されてチャネル形成領域の導電型が反転したとしても、正孔が流れやすい領域を有していないため、オフ電流を低く抑えることができる。更には、仕事関数を考慮することなく第2の配線層114に用いる材料を選択することができる。
【0033】
更には、チャネル形成領域となる半導体層108が第1の配線層102と重畳しているため、基板100側からの光が半導体層108に入ることを防止することができ、光リーク電流を小さくすることができる。
【0034】
以上説明したように、図1に示すTFTは、光リーク電流が小さく、オンオフ比が高いものとなる。
【0035】
次に、図1に示すTFTの作製方法について、図2乃至図4を参照して説明する。
【0036】
まず、第1の導電膜を形成し、該第1の導電膜上にレジストマスクを形成してエッチングを行い、第1の配線層102を形成する(図2(A))。この工程では第1のフォトマスクを使用する。
【0037】
第1の導電膜は、導電性材料を用いてスパッタリング法またはCVD法などにより形成すればよい。例えば、Mo、Ti、Cr、Ta、W、Al、Cuなどの金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。または、Nd若しくはScを添加したAl合金材料を用いてもよい。そして、これらは単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ここで、第1の導電膜の厚さは、10nm以上1000nm以下、好ましくは10nm以上500nm以下、より好ましくは50nm以上300nm以下にするとよい。
【0038】
次に、第1の配線層102を覆ってゲート絶縁層104を形成する(図2(B))。
【0039】
ゲート絶縁層104は、絶縁性材料を用いてスパッタリング法またはCVD法などにより形成すればよい。絶縁性材料として、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを用いることができる。なお、これらは単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ゲート絶縁層104上に結晶性半導体膜が形成される場合には、該結晶性半導体膜に接するゲート絶縁層104を酸化シリコン層とすると、結晶性半導体膜の結晶性を向上させることができる。そこで、ゲート絶縁層104として酸化シリコン層を形成する場合には、材料ガスに珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)を用いることが好ましい。ここで、ゲート絶縁層104の厚さは、10nm以上1000nm以下、好ましくは10nm以上550nm以下、より好ましくは50nm以上150nm以下にするとよい。
【0040】
なお、ここで、結晶性半導体膜とは、結晶性を有する半導体を含む半導体膜をいう。
【0041】
なお、ここで、「酸化窒化シリコン」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。
【0042】
なお、ここで、「窒化酸化シリコン」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上30原子%以下の範囲で含まれるものをいう。
【0043】
ただし、「酸化窒化シリコン」または「窒化酸化シリコン」を構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0044】
次に、ゲート絶縁層104上に第1の不純物半導体膜105Aを形成する(図2(C))。
【0045】
第1の不純物半導体膜105Aは、シランなどの堆積性ガスに一導電型を付与する不純物元素を含む気体を加えて形成することができる。導電型がn型のTFTを形成する場合には、例えば不純物元素としてリンを添加すればよく、水素化シリコンにフォスフィンなどのn型の導電型を付与する不純物元素を含む気体を加えればよい。導電型がp型のTFTを形成する場合には、例えば不純物元素としてボロンを添加すればよく、水素化シリコンにジボランなどのp型の導電型を付与する不純物元素を含む気体を加えればよい。
【0046】
なお、第1の不純物半導体膜105Aの結晶性は特に限定されず、結晶性であってもよいし、非晶質であってもよいが、結晶性半導体により設けることが好ましい。第1の不純物半導体膜105Aを結晶性半導体により設けることで、オン電流が大きくなるからである。第1の不純物半導体膜105Aを結晶性半導体により設ける場合には、堆積性ガスの流量に対する希釈ガスの流量を10倍以上2000倍以下、好ましくは50倍以上200倍以下とすればよい。ここでは、一例として、シランガスの流量を10sccm、フォスフィンガスを水素ガスにより100ppmまで希釈した混合ガスの流量を30sccm、水素ガスの流量を1470sccmとして材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数を13.56MHzとし、電力300Wでプラズマ放電を行うことで、第1の不純物半導体膜105Aを形成する。このように形成した第1の不純物半導体膜105Aには、概ね1.3×1019cm−3の濃度でリンが含まれる。または、シランガスの流量を10sccm、フォスフィンガスを水素ガスにより100ppmまで希釈した混合ガスの流量を150sccm、水素ガスの流量を1350sccmとして材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数を13.56MHzとし、電力300Wでプラズマ放電を行うことで、第1の不純物半導体膜105Aを形成する。このように形成した第1の不純物半導体膜105Aには、概ね6.7×1019cm−3の濃度でリンが含まれる。
【0047】
ここで、第1の不純物半導体膜105Aは、後に説明する半導体膜107及び第2の不純物半導体膜111よりも厚く形成するとよく、厚さが10nm以上1000nm以下、好ましくは20nm以上200nm以下、より好ましくは100nm以上200nm以下となるように形成すればよい。
【0048】
次に、第1の不純物半導体膜105A上にレジストマスクを形成してエッチングを行い、第1の不純物半導体層105Bを形成する(図3(A))。この工程では第2のフォトマスクを使用する。
【0049】
次に、ゲート絶縁層104上に第1の不純物半導体層105Bを覆って半導体膜107を形成し、半導体膜107を覆って絶縁膜109を形成する(図3(B))。
【0050】
半導体膜107は、結晶性半導体により形成することが好ましい。ここで、結晶性半導体には、多結晶半導体または微結晶半導体などが含まれるが、好ましくは、結晶化工程が不要な微結晶半導体により形成する。ただし、これに限定されず、非晶質半導体により形成してもよい。
【0051】
ここで、微結晶半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む。)の中間的な構造の半導体をいう。微結晶半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶性半導体であり、結晶粒径が2nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上80nm以下、より好ましくは、20nm以上50nm以下の柱状結晶または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長している半導体である。柱状結晶または針状結晶の界面には、結晶粒界が形成されることもある。
【0052】
微結晶半導体の一である微結晶シリコンでは、そのラマンスペクトルのピークが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側にシフトしている。すなわち、単結晶シリコンのピークが生じる520cm−1とアモルファスシリコンのピークが生じる480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。そして、未結合手(ダングリングボンド)を終端するために、水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、He、Ar、KrまたはNeなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性の高い微結晶半導体が得られる。
【0053】
なお、半導体膜107に含まれる酸素及び窒素の濃度(SIMS法による測定値)を、1×1018cm−3未満とすると、半導体膜107の結晶性を高めることができる。
【0054】
半導体膜107としては、例えばプラズマCVD法などにより微結晶シリコンを形成すればよい。なお、半導体膜107の厚さは、10nm以上500nm以下、好ましくは20nm以上50nm以下とすればよい。微結晶半導体層の厚さは、例えば、膜を形成する工程におけるシランの流量と時間により制御することができる。なお、膜の形成時には、酸素または窒素などの結晶化を阻害する成分を低減させ、シランなどの堆積性ガスの流量に対する水素などの希釈ガスの流量を大きくするとよい。このとき、堆積性ガスの流量に対する希釈ガスの流量を10倍以上2000倍以下、好ましくは50倍以上200倍以下とすればよい。このようにして、所謂、微結晶半導体膜が形成される。
【0055】
絶縁膜109は、絶縁性材料を用いてスパッタリング法またはCVD法などにより形成すればよい。絶縁性材料として、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを用いることができる。なお、これらは単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ここで、厚さは10nm以上1000nm以下、好ましくは50nm以上500nm以下、より好ましくは100nm以上300nm以下となるように形成すればよい。絶縁膜109は、半導体膜107をエッチングする際にエッチングされず、またはされにくい材料を選択する。
【0056】
次に、絶縁膜109上にレジストマスクを形成してエッチングを行い、チャネルストップ層110を形成する(図3(C))。チャネルストップ層110は、半導体膜107をエッチングする工程でマスクとして用いる。この工程では第3のフォトマスクを使用する。
【0057】
次に、チャネルストップ層110をマスクとして半導体膜107をエッチングし、半導体層108を形成する(図4(A))。ここで、第1の不純物半導体層105Bの上面もエッチングされて第1の不純物半導体層105Cが形成される。
【0058】
次に、チャネルストップ層110などを覆って第2の不純物半導体膜111を形成し、第2の不純物半導体膜111を覆って第2の導電膜113を形成する(図4(B))。
【0059】
第2の不純物半導体膜111は、第1の不純物半導体膜105Aと同様に形成することができる。
【0060】
なお、第2の不純物半導体膜111の結晶性についても、第1の不純物半導体膜105Aと同様に限定されないが、結晶性半導体により設けることが好ましい。第2の不純物半導体膜111を結晶性半導体により設けることで、オン電流が大きくなるからである。第2の不純物半導体膜111を結晶性半導体により設ける場合には、堆積性ガスの流量に対する希釈ガスの流量を10倍以上2000倍以下、好ましくは50倍以上200倍以下とすればよい。ここでは、一例として、シランガスの流量を10sccm、フォスフィンガスを水素ガスにより0.5vol%まで希釈した混合ガスの流量を30sccm、水素ガスの流量を1500sccmとして材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数を13.56MHzとし、電力300Wでプラズマ放電を行うことで、第2の不純物半導体膜111を形成する。このように形成した第2の不純物半導体膜111には、概ね6.7×1020cm−3程度のリンが含まれる。なお、混合ガスは0.5vol%まで希釈するが、これは第1の不純物半導体膜105Aの形成時のフォスフィンの濃度100ppmよりも明らかに大きいことを注記する。
【0061】
ここで、第2の不純物半導体膜111は、第1の不純物半導体膜105Aよりも薄く形成するとよく、厚さが10nm以上500nm以下、好ましくは20nm以上100nm以下となるように形成すればよい。
【0062】
第2の導電膜113は、導電性材料を用いてスパッタリング法またはCVD法などにより形成すればよい。第2の導電膜113の材料としては、第1の導電膜と同様の材料を用いることができる。そして、これらは単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ここで、第2の導電膜113の厚さは、10nm以上1000nm以下、好ましくは50nm以上500nm以下にするとよい。
【0063】
次に、第2の導電膜113上にレジストマスクを形成してエッチングを行い、第2の不純物半導体層112と第2の配線層114を形成する(図4(C))。この工程では第4のフォトマスクを使用する。
【0064】
以上説明したように、TFTを作製することができる。なお、上記説明したように、本実施の形態では、TFTを作製するに際して、フォトマスクを4枚使用することになる。
【0065】
その後、上記のTFTを覆って、第2の配線層114に達する開口部が設けられた保護絶縁層116を形成し、該開口部を介して第2の配線層114に接続されるように第3の導電膜を形成し、該第3の導電膜をエッチングして画素電極層118を形成することで、図1に示す画素TFTを完成させることができる。
【0066】
なお、保護絶縁層116は、絶縁性材料を用いてスパッタリング法またはCVD法などにより形成し、フォトリソグラフィ法により第2の配線層114に達する開口部を形成すればよい。例えば、保護絶縁層116として、例えばゲート絶縁層104と同様の材料を用いることができる。保護絶縁層116は、窒化シリコンにより形成することが特に好ましい。ここで、保護絶縁層116の厚さは、5nm以上1000nm以下、好ましくは50nm以上300nm以下にするとよい。特に、大気中に浮遊する有機物、金属または水蒸気などの汚染源となりうるものの侵入を効果的に防ぐことができるよう、緻密な窒化シリコン層とすることが好ましい。緻密な窒化シリコン層は、例えば、周波数が1GHz以上のプラズマを用いたプラズマCVD法により形成することができる。
【0067】
なお、画素電極層118は、透光性を有する導電性高分子(導電性ポリマーともいう。)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、またはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。または、例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物または酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などを用いて形成してもよい。画素電極層118は、10nm以上1000nm以下、好ましくは50nm以上300nm以下の厚さで形成すればよい。
【0068】
なお、図1に示すTFTにおいて、第1の不純物半導体層106に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度が、第2の不純物半導体層112に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度よりも低いと、LDD領域が設けられるため好ましい。このとき、第1の不純物半導体層106に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度を1.0×1018cm−3以上1.0×1019cm−3以下とし、第2の不純物半導体層112に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度を1.0×1019cm−3以上1.0×1021cm−3以下とすることが特に好ましい。LDD領域が設けられた場合には、ドレイン領域近傍の電界が緩和され、ホットキャリア注入による劣化が抑制される。従って、第1の不純物半導体層106は、ドレイン側にのみ設けられていてもよい。更には、この場合に、図1に示すTFTにおいては、第1の不純物半導体層106が第1の配線層102と重畳しているのみならず、第1の不純物半導体層106が第2の不純物半導体層112とも重畳しているため、オン電流の低下を防ぐことができる。
【0069】
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明の一態様であるTFTとその作製方法であって、実施の形態1とは異なるものについて説明する。
【0070】
本実施の形態では、第1の不純物半導体層の形成と、第2の不純物半導体層及び第2の配線層の形成に同一のフォトマスクを用いることで、使用するフォトマスクの枚数を少なくすることができる。
【0071】
なお、本実施の形態においても、第1の不純物半導体膜は、チャネル形成領域となる半導体膜及び第2の不純物半導体膜よりも厚く形成されていることが好ましい。第1の不純物半導体層は複数回のエッチング工程に曝されるので、十分な厚さを有せしめることを要するからである。
【0072】
なお、本実施の形態のTFTは、実施の形態1のTFTとは構造が異なる。本実施の形態のTFTは、第1の配線層と、前記第1の配線層を覆って設けられたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に前記第1の配線層と一部が重畳して設けられた一対の第1の不純物半導体層と、前記一対の第1の不純物半導体層の間に、少なくともこれらに接して設けられた半導体層と、前記一対の第1の不純物半導体層上に前記半導体層とは離間して設けられた第2の不純物半導体層と、前記第2の不純物半導体層上の全面に設けられた第2の配線層と、を有する。すなわち、第2の不純物半導体層が、一対の第1の不純物半導体層上に設けられている点が実施の形態1のTFTとは異なる。
【0073】
なお、ここで、第1の配線層は、少なくともゲート電極とゲート配線を構成すればよい。そして、第2の配線層は、少なくともソース電極及びドレイン電極と、ソース配線を構成すればよい。
【0074】
上記構成のTFTにおいても、チャネル形成領域となる前記半導体層上にはチャネルストップ層が設けられていることが好ましい。チャネル形成領域となる前記半導体層上にチャネルストップ層が設けられることで、チャネル形成領域となる前記半導体層の厚さがエッチングにより目減りすることを防ぎ、TFTの電気的特性のばらつきを小さくすることができるからである。
【0075】
上記構成のTFTにおいて、前記第2の配線層と前記第2の不純物半導体層は、前記第1の配線層と重畳しない領域で接することが好ましい。
【0076】
なお、実施の形態1と同様に、上記構成のTFTにおいて、前記第1の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度は、前記第2の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度よりも低いことが好ましい。特に好ましくは、前記第2の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度を1.0×1019cm−3以上1.0×1021cm−3以下とし、前記第1の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度を1.0×1018cm−3以上1.0×1019cm−3以下とする。前記第1の不純物半導体層をLDD領域とすることができるからである。
【0077】
まず、実施の形態1(図2(C))と同様に第1の不純物半導体膜までを形成する。すなわち、基板200上に第1の配線層202を形成し、第1の配線層202を覆ってゲート絶縁層204を形成し、ゲート絶縁層204上に第1の不純物半導体膜205Aを形成する(図6(A))。なお、第1の配線層202の形成には第1のフォトマスクを使用する。
【0078】
次に、第1の不純物半導体膜205A上にレジストマスク220を形成してエッチングを行って、第1の不純物半導体層205Bを形成する(図6(B))。この工程では第2のフォトマスクを使用する。
【0079】
次に、ゲート絶縁層204上に第1の不純物半導体層205Bを覆って半導体膜207と絶縁膜209を形成する(図6(C))。
【0080】
次に、絶縁膜209上にレジストマスクを形成してエッチングを行って、チャネルストップ層210を形成する(図7(A))。チャネルストップ層210は、次の工程でマスクとして用いる。この工程では第3のフォトマスクを使用する。
【0081】
次に、チャネルストップ層210をマスクとして半導体膜207をエッチングし、半導体層208を形成する(図7(B))。ここで、第1の不純物半導体層205Bの上面もエッチングされて第1の不純物半導体層205Cが形成される。
【0082】
次に、少なくとも半導体層208に一部が接触するように、チャネルストップ層210を覆って第2の不純物半導体膜211を形成し、第2の不純物半導体膜211上に第2の導電膜213を形成する(図7(C))。
【0083】
次に、第2の導電膜213上にレジストマスク222を形成してエッチングを行い、第2の不純物半導体層212と第2の配線層214を形成する(図8(A))。
【0084】
ここで、レジストマスク222を形成するフォトマスクは、レジストマスク220と同一のフォトマスクまたは同一形状のフォトマスクを用いることが好ましい。すなわち、レジストマスク220を第2の導電膜213上に形成(図8(A)の点線)し、レジストマスク220を縮小(後退)させてレジストマスク222を形成する。
【0085】
なお、レジストマスク220を縮小(後退)させる手段として、例えば、酸素プラズマによるアッシング処理を挙げることができる。ただし、これに限定されず、水プラズマによるプラズマ処理またはオゾン水による処理などを用いてもよい。
【0086】
以上説明したように、TFTを作製することができる(図8(B))。なお、上記説明したように、本実施の形態では、TFTを作製するに際して、フォトマスクを3枚使用することになる。
【0087】
その後、上記のTFTを覆って、第2の配線層214に達する開口部が設けられた保護絶縁層216を形成し、該開口部を介して第2の配線層214に接続されるように第3の導電膜を形成し、該第3の導電膜をエッチングして画素電極層218を形成することで、図5に示す画素トランジスタを完成させることができる。
【0088】
なお、図5に示すTFTにおいても第1の不純物半導体層206に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度が、第2の不純物半導体層212に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度よりも低いと、LDD領域が設けられるため好ましい。
【0089】
(実施の形態3)
実施の形態1及び実施の形態2で説明したTFTとその作製方法は、表示装置のアレイ基板に適用することができる。従って、実施の形態1及び実施の形態2を適用した画素TFTにより表示装置を作製することができる。
【0090】
なお、ここで表示装置には、アクティブマトリクス型の液晶表示装置及びアクティブマトリクス型のEL表示装置が含まれる。ただし、これらに限定されず、本実施の形態の表示装置は、TFTを有する表示装置であればよい。
【0091】
実施の形態1及び実施の形態2で説明したTFTは、光リーク電流が小さく、且つオンオフ比が高い。そのため、本実施の形態の表示装置は、コントラスト比が高く、消費電力が小さいものとなる。
【0092】
(実施の形態4)
実施の形態3にて説明した表示装置は、様々な電子機器(遊技機も含む。)に適用することができる。電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう。)、コンピュータ用のモニタ、電子ペーパー、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう。)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0093】
実施の形態3にて説明した表示装置は、例えば電子ペーパーに適用することができる。電子ペーパーは、情報を表示する電子機器であれば、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカードなどの各種カードにおける表示部などに適用することができる。電子機器の一例を図9に示す。
【0094】
図9(A)は、電子書籍の一例を示している。図9(A)に示す電子書籍は、筐体400と筐体401で構成されている。筐体400と筐体401は、蝶番404により連結されており、開閉させることができる。このような構成により、紙の書籍と同様に扱うことができる。
【0095】
筐体400には表示部402が搭載され、筐体401には表示部403が搭載されている。表示部402と表示部403は、一の画面を構成していてもよいし、それぞれが異なる画面を構成していてもよい。表示部402と表示部403のそれぞれが異なる画面を構成する場合には、例えば右側の表示部(図9(A)では表示部402)に文章を表示させ、左側の表示部(図9(A)では表示部403)に画像を表示させることができる。表示部402と表示部403は、実施の形態3にて説明した表示装置を適用することができる。
【0096】
図9(A)では、筐体400に操作部などを備えた例を示している。図9(A)では、筐体400は、電源入力端子405、操作キー406及びスピーカ407などを備えている。操作キー406は、例えば頁を送る機能を備えることができる。なお、筐体400の表示部と同一の面にキーボードやポインティングデバイスなどを備えていてもよい。そして、筐体400の裏面または側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備えていてもよい。さらに、図9(A)に示す電子書籍は、電子辞書としての機能を有していてもよい。
【0097】
更には、図9(A)に示す電子書籍は、無線で情報を送受信できる構成を備えていてもよい。無線で情報を送受信できる構成により、電子書籍サーバから所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする機能を有していてもよい。
【0098】
図9(B)は、デジタルフォトフレームの一例を示している。例えば、図9(B)に示すデジタルフォトフレームは、筐体411に表示部412が搭載されている。表示部412には各種画像を表示することが可能であり、例えば、デジタルカメラなどで撮影した画像を表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。表示部412は、実施の形態3にて説明した表示装置を適用することができる。
【0099】
なお、図9(B)に示すデジタルフォトフレームは、操作部、外部接続用端子(USB端子及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備えていてもよい。これらは、表示部412と同一の面に備えられていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データの画像を表示部412に表示させることができる。
【0100】
更には、図9(B)に示すデジタルフォトフレームは、無線で情報を送受信出来る構成を備えていてもよい。無線で情報を送受信できる構成により、所望の画像データを取り込み、表示させる機能を有していてもよい。
【0101】
図9(C)は、テレビジョン装置の一例を示している。図9(C)に示すテレビジョン装置は、筐体421に表示部422が搭載されている。表示部422には、映像を表示することができる。なお、ここでは、スタンド423により筐体421が支持されている構成を示している。表示部422は、実施の形態3にて説明した表示装置を適用することができる。
【0102】
図9(C)に示すテレビジョン装置の操作は、筐体421に設けられた操作スイッチ、またはリモコン操作機により行うことができる。リモコン操作機に備えられた操作キーにより、チャンネルや音量の操作を行うことができる。更には、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部が設けられていてもよい。
【0103】
なお、図9(C)に示すテレビジョン装置は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、更にモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、片方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0104】
図9(D)は、携帯電話機の一例を示している。図9(D)に示す携帯電話機は、筐体431に搭載された表示部432の他、操作ボタン433、操作ボタン437、外部接続ポート434、スピーカ435、及びマイク436などを備えている。表示部432は、実施の形態3にて説明した表示装置を適用することができる。
【0105】
図9(D)に示す携帯電話機は、表示部432がタッチパネルであってもよく、指などの接触により、表示部432の表示内容などを操作することができる機能を有していてもよい。この場合、電話の発信及びメールの作成などは、表示部432を指などで接触することにより行うことができる。
【0106】
表示部432の画面には、例えば3つのモードを設定すればよい。第1のモードは画像の表示を主とする表示モードであり、第2のモードは文字などの情報の入力を主とする入力モードであり、第3のモードは表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0107】
例えば、電話の発信及びメールの作成を行う場合には、表示部432を入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合には、表示部432の画面の大部分を使用してキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0108】
または、図9(D)に示す携帯電話機の内部に、ジャイロセンサ、加速度センサなどの傾きを検出するセンサを備えた検出装置を設けることで、携帯電話機の向き(縦または横)を判別して、表示部432の表示情報を自動的に切り替える構成としてもよい。
【0109】
なお、画面モードの切り替えは、表示部432への接触または筐体431の操作ボタン437を操作することにより行われる構成とすればよい。または、表示部432に表示される画像の種類によって切り替える構成としてもよい。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える構成にすればよい。
【0110】
なお、入力モードにおいて、表示部432の光センサで検出される信号を検知し、表示部432のタッチ操作による入力が一定期間検出されない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替える構成としてもよい。
【0111】
表示部432は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部432を掌または指で触れ、掌紋または指紋などをイメージセンサで撮像することで、本人認証を行うことができる。なお、表示部432に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈または掌静脈などを撮像することもできる。
【0112】
ところで、図10は、携帯電話機の一例であり、図10(A)が正面図を示し、図10(B)が背面図を示し、図10(C)が2つの筐体をスライドさせたときの正面図を示す。携帯電話機は、筐体451と筐体452の二つの筐体で構成されている。携帯電話機は、携帯電話機と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
【0113】
筐体451は、表示部453、スピーカ454、マイクロフォン455、操作キー456、ポインティングデバイス457、表面カメラ用レンズ458、外部接続端子ジャック459及びイヤホン端子460などを備え、筐体452は、キーボード461、外部メモリスロット462、裏面カメラ463、ライト464などを備えている。なお、アンテナは筐体451に内蔵されている。
【0114】
更に、携帯電話機には、上記の構成に加えて、非接触型ICチップまたは小型記録装置などが内蔵されていてもよい。
【0115】
図10(A)に示す重なり合った筐体451と筐体452は、スライドさせることが可能であり、スライドさせることで図10(C)のように展開することができる。表示部453には、実施の形態3の表示装置を搭載することが可能である。なお、図10に示す携帯電話機は、表示部453と表面カメラ用レンズ458が同一の面に備えられているため、テレビ電話としての使用が可能である。更には、表示部453をファインダーとして用いることで、裏面カメラ463とライト464で静止画及び動画の撮影が可能である。
【0116】
なお、図10に示す携帯電話機は、スピーカ454とマイクロフォン455を用いることで、音声記録装置(録音装置)または音声再生装置として使用することもできる。そして、操作キー456により、電話の発着信操作、電子メールなどの簡単な情報入力操作、表示部に表示する画面のスクロール操作及び表示部に表示する情報の選択を行うカーソルの操作などが可能である。
【0117】
なお、重なり合った筐体451と筐体452をスライドさせることで、図10(C)のように展開させることができる。書類の作成及び携帯情報端末として使用する場合には、キーボード461とポインティングデバイス457を用いるとよい。外部接続端子ジャック459はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。更には、外部メモリスロット462に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動が可能になる。
【0118】
筐体452の裏面(図10(B))には、裏面カメラ463及びライト464が備えられ、表示部453をファインダーとして静止画及び動画の撮影が可能である。
【0119】
そして、上記の機能構成に加えて、赤外線通信機能、USBポート、テレビワンセグ受信機能、非接触ICチップまたはイヤホンジャックなどを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0120】
100 基板
102 第1の配線層
104 ゲート絶縁層
105A 第1の不純物半導体膜
105B 第1の不純物半導体層
105C 第1の不純物半導体層
106 第1の不純物半導体層
107 半導体膜
108 半導体層
109 絶縁膜
110 チャネルストップ層
111 第2の不純物半導体膜
112 第2の不純物半導体層
113 第2の導電膜
114 第2の配線層
116 保護絶縁層
118 画素電極層
200 基板
202 第1の配線層
204 ゲート絶縁層
205A 第1の不純物半導体膜
205B 第1の不純物半導体層
205C 第1の不純物半導体層
206 第1の不純物半導体層
207 半導体膜
208 半導体層
209 絶縁膜
210 チャネルストップ層
211 第2の不純物半導体膜
212 第2の不純物半導体層
213 第2の導電膜
214 第2の配線層
216 保護絶縁層
218 画素電極層
400 筐体
401 筐体
402 表示部
403 表示部
404 蝶番
405 電源入力端子
406 操作キー
407 スピーカ
411 筐体
412 表示部
421 筐体
422 表示部
423 スタンド
431 筐体
432 表示部
433 操作ボタン
434 外部接続ポート
435 スピーカ
436 マイク
437 操作ボタン
451 筐体
452 筐体
453 表示部
454 スピーカ
455 マイクロフォン
456 操作キー
457 ポインティングデバイス
458 表面カメラ用レンズ
459 外部接続端子ジャック
460 イヤホン端子
461 キーボード
462 外部メモリスロット
463 裏面カメラ
464 ライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線層と、
前記第1の配線層を覆って設けられたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に前記第1の配線層と一部が重畳して設けられた一対の第1の不純物半導体層と、
前記一対の第1の不純物半導体層の間に、これらに接して設けられた半導体層と、
前記一対の第1の不純物半導体層の少なくとも端部を覆い、且つ前記半導体層とは離間して設けられた第2の不純物半導体層と、
前記第2の不純物半導体層上の全面に設けられた第2の配線層と、を有することを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
第1の配線層と、
前記第1の配線層を覆って設けられたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に前記第1の配線層と一部が重畳して設けられた一対の第1の不純物半導体層と、
前記一対の第1の不純物半導体層の間に、これらに接して設けられた半導体層と、
前記一対の第1の不純物半導体層上に前記半導体層とは離間して設けられた第2の不純物半導体層と、
前記第2の不純物半導体層上の全面に設けられた第2の配線層と、を有することを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記半導体層上にはチャネルストップ層が設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第1の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度は1.0×1018cm−3以上1.0×1019cm−3以下であり、
前記第2の不純物半導体層に含まれる一導電性を付与する不純物元素の濃度は1.0×1019cm−3以上1.0×1021cm−3以下であることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第2の不純物半導体層上の全面に第2の配線層が設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記半導体層、前記第1の不純物半導体層、及び前記第2の不純物半導体層が結晶性半導体により設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の薄膜トランジスタの前記第2の配線層に電気的に接続されるように画素電極層が設けられた画素トランジスタを有する表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の表示装置が搭載された電子機器。
【請求項9】
第1の配線層を形成し、
前記第1の配線層を覆ってゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上に第1の不純物半導体層を形成し、
前記第1の不純物半導体層を覆って半導体膜と絶縁膜を積層して形成し、
前記絶縁膜をエッチングしてチャネルストップ層を形成し、
前記チャネルストップ層を用いて半導体層を形成し、
少なくとも前記第1の不純物半導体層に接して第2の不純物半導体層と第2の配線層を積層して形成されることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項10】
第1の配線層を形成し、
前記第1の配線層を覆ってゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上に第1の不純物半導体層を形成し、
前記第1の不純物半導体層を覆って半導体膜と絶縁膜を積層して形成し、
前記絶縁膜をエッチングしてチャネルストップ層を形成し、
前記チャネルストップ層を用いて半導体層を形成し、
少なくとも前記第1の不純物半導体層に接して第2の不純物半導体層と第2の配線層を積層して形成し、
前記第1の不純物半導体層、前記第2の不純物半導体層及び前記第2の配線層が、同一のフォトマスクを用いて形成されることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10において、
前記第1の不純物半導体層は第1の不純物半導体膜をエッチングして形成され、
前記第1の不純物半導体膜が、前記半導体膜及び前記第2の不純物半導体膜よりも厚く形成されることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項12】
請求項9乃至請求項11のいずれか一に記載の前記第2の配線層に電気的に接続されるように画素電極層を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−9730(P2011−9730A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120563(P2010−120563)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】