薄膜形成装置システムおよび薄膜形成方法
【課題】基板の変形および熱割れを防止することができる、薄膜形成システムおよび薄膜形成方法を提供する。
【解決手段】処理室の一つであり、基板16を加熱する加熱装置、および、基板16と加熱装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された加熱室3と、処理室の一つであり、加熱された基板16に薄膜を形成するスパッタ装置26が配置されたZnOスパッタ室4と、駆動装置を操作する制御装置22とを備えている。駆動装置は、加熱室3からの基板16の搬送が不能となった際に、加熱室3内の基板16と加熱装置とを相対的に移動させ続けるように制御装置22により操作される。
【解決手段】処理室の一つであり、基板16を加熱する加熱装置、および、基板16と加熱装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された加熱室3と、処理室の一つであり、加熱された基板16に薄膜を形成するスパッタ装置26が配置されたZnOスパッタ室4と、駆動装置を操作する制御装置22とを備えている。駆動装置は、加熱室3からの基板16の搬送が不能となった際に、加熱室3内の基板16と加熱装置とを相対的に移動させ続けるように制御装置22により操作される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成装置システムおよび薄膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に薄膜を形成する方法として、予め基板を加熱した後に、スパッタリング装置またはプラズマCVD装置などにより薄膜を形成する方法がある。その薄膜形成方法を開示した先行文献として、特許文献1(特開昭59−199036号公報)がある。特許文献1に記載された薄膜形成方法においては、予備加熱室内に対向配置された基板と加熱源とを相対的に移動させながら加熱している。このように加熱することにより、基板温度の均一性を得ている。
【0003】
基板がローラなどの搬送装置の上面に載置された状態で加熱室に搬送され、加熱室内において、搬送装置が往復駆動されて均熱処理を行う基板の焼成方法を開示した先行文献として、特許文献2(特開平10−67541号公報)がある。特許文献2に記載された基板の焼成方法においては、加熱室内の搬送装置と加熱室の後方側の搬送装置とが同期して駆動するように制御されている。
【0004】
また、基板を各チャンバ間で移動するための基板搬送機構を備えた多層膜製造装置を開示した先行文献として特許文献3(特開2002−363744号公報)がある。特許文献3に記載された多層膜製造装置においては、スパッタ成膜部を備えた第1,3チャンバの間に、高真空排気機構および基板加熱機構を備えた第2チャンバが設けられている。
【0005】
第2チャンバにおいて、基板が加熱されるとともに、チャンバ内が高真空排気されることにより、第1チャンバからの残留ガスが減じられている。その後、基板が第3チャンバに搬送されることにより、雰囲気ガスの相互拡散を減じた状態で複数の膜が基板上に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−199036号公報
【特許文献2】特開平10−67541号公報
【特許文献3】特開2002−363744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1から3に記載の薄膜形成方法においては、基板を搬送装置により加熱室内に搬送し、加熱室内において搬送装置を往復移動させることにより、基板の均熱処理を行っている。
【0008】
しかしながら、従来の薄膜形成装置システムにおいては、装置トラブルによる異常停止が発生した場合、各処理室内の搬送装置、および、各処理室間において基板を移動させる搬送装置が、一斉に停止していた。そのため、加熱室内において加熱されていた基板の往復動作も停止し、基板が一定の位置に停止した状態で、加熱室内に待機していた。その結果、基板の加熱源に近い領域が早く加熱されて高温となり、基板面内において熱膨張の異なる領域が局所的に発生することにより、基板が熱割れによって破損するという課題を発明者は新たに見出した。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、各処理室の何れかにおいて異常停止が発生した場合にも、基板の均熱処理を行うための動作を停止させず、継続して動作させることにより、基板の歪みおよび熱割れを低減することができる、薄膜形成方法および薄膜形成装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある局面に従うと、薄膜形成装置システムは、複数の処理室を含み、基板が処理室を順次経由して処理されることにより、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置システムである。
【0011】
上記の薄膜形成装置システムは、処理室の一つであり、基板を加熱する加熱装置、および、基板と加熱装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された加熱室と、処理室の一つであり、加熱された基板に薄膜を形成する膜形成装置が配置された膜形成室と、駆動装置を操作する制御装置とを備えている。薄膜形成装置システムを構成する処理室のそれぞれにおいて、順次搬入された異なる基板が並行処理される。
【0012】
薄膜形成装置システムにおいては、駆動装置は、膜形成室などにおいて異常停止が発生して、加熱室からの基板の搬送が不能となった際に、基板の搬送が可能となるまで、加熱室内の基板と加熱装置とを相対的に移動させる均熱動作が継続されるように制御装置により操作される。
【0013】
上記の薄膜形成装置システムによると、異常停止が発生して、基板の搬送が停止した場合においても、搬送装置により加熱装置と基板とを相対的に移動させ続けるように制御することにより、基板の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【0014】
本発明の一形態においては、薄膜形成装置システムは、膜形成室を複数備え、表面電極および光電変換層が形成された基板が複数の膜形成室を順次経由して処理されることにより、基板上に複数の異なる導電性材料層が形成される。
【0015】
本発明の一形態においては、駆動装置は、加熱室内の基板を移動させることができ、かつ、加熱室からの基板の搬送が不能となった際に、加熱室内の基板と加熱装置とを相対的に移動させ続けるように制御装置により操作される。
【0016】
本発明の一形態においては、駆動装置が基板搬送装置であり、この基板搬送装置の往復動作により、基板と加熱装置とを相対的に移動させる。
【0017】
本発明の一形態においては、処理室内に基板が載置されるステージがそれぞれ配置され、基板を保持して一のステージから他のステージに移動させることにより基板を搬送する基板搬送装置を備えている。駆動装置が、ステージを揺動させることにより、基板と加熱装置とを相対的に移動させる。
【0018】
本発明の一形態においては、駆動装置が加熱装置を揺動させることにより、基板と加熱装置とを相対的に移動させる。
【0019】
本発明の他の局面に従うと、薄膜形成装置システムは、複数の処理室を含み、基板が処理室を順次経由して処理されることにより、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置システムである。
【0020】
薄膜形成装置システムは、処理室の一つであり、基板に薄膜を形成する膜形成装置が配置された膜形成室と、処理室の一つであり、薄膜が形成された基板を冷却する冷却装置、および、基板と冷却装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された冷却室と、駆動装置を操作する制御装置とを備えている。薄膜形成装置システムを構成する処理室のそれぞれにおいて、順次搬入された異なる基板が並行処理される。
【0021】
薄膜形成装置システムにおいては、駆動装置は、搬送装置などに異常停止が発生して、冷却室からの基板の搬送が不能となった際に、冷却室からの基板の搬送が可能になるまで、冷却室内の基板と冷却装置とを相対的に移動させる均熱動作が継続されるように制御装置により操作される。
【0022】
上記の薄膜形成装置システムによると、異常停止が発生して、基板の搬送が停止した場合においても、搬送装置により冷却装置と基板とを相対的に移動させ続けるように制御することにより、基板の歪みおよび破損を低減することができる。
【0023】
本発明のある局面に従うと、薄膜形成方法は、基板を加熱する工程を含む複数の工程を順次処理することにより、基板に薄膜構造を形成する方法である。
【0024】
上記の薄膜形成方法は、基板および基板に対向した加熱装置を相対的に移動させつつ基板を加熱する第1工程と、加熱された基板を薄膜形成位置に搬送する第2工程と、薄膜形成位置に搬送された基板に薄膜を形成する第3工程とを備えている。基板を装置内に順次搬送し、第1工程および第3工程のそれぞれにおいて異なる基板が並行処理される。
【0025】
薄膜形成方法においては、第3工程にて異常停止が発生して、第2工程における基板の搬送が不能となった際に、第1工程において処理されている基板について、第2工程における搬送が可能となるまで、基板と加熱装置とを相対的に移動させる均熱動作を継続させる。
【0026】
上記の薄膜形成方法によると、基板に薄膜を形成する第3工程において異常停止が発生して、基板の搬送が停止した場合においても、加熱装置と基板とを相対的に移動させ続けることにより、基板の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【0027】
本発明の他の局面に従うと、薄膜形成方法は、基板を冷却する工程を含む複数の工程に順次処理することにより、基板に薄膜構造を形成する方法である。
【0028】
上記の薄膜形成方法は、薄膜が形成された基板を冷却位置に搬送する第1工程と、冷却位置に搬送された基板および基板に対向した冷却装置を相対的に移動させつつ基板を冷却する第2工程と、冷却された基板を冷却位置から搬送する第3工程とを備えている。
【0029】
薄膜形成方法においては、第3工程における基板の搬送が不能となった際に、第3工程における搬送が可能となるまで、第2工程において処理されている基板と冷却装置とを相対的に移動させる均熱動作を継続させる。
【0030】
上記の薄膜形成方法によると、第3工程において異常停止が発生して、基板の搬送が停止した場合においても、冷却装置と基板とを相対的に移動させ続けることにより、基板の歪みおよび破損を低減することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、各処理室の何れかにおいて異常停止が発生した場合にも、基板の均熱処理を行うための動作が停止しないようにすることにより、基板の面内温度のムラを抑制することができ、基板の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態1に係わる薄膜形成装置システムの構成を示す模式図である。
【図2】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムに搬入され、薄膜を形成される前の基板の断面構造を示す模式図である。
【図3】図3は、同実施形態に係わる薄膜形成装置システムにて薄膜が形成され、搬出された後の基板の断面構造を示す模式図である。
【図4】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室内に基板が搬入される状態を模式的に示す平面図である。
【図5】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室内に基板が配置された状態を模式的に示す平面図である。
【図6】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの冷却室内に基板が搬入される途中の状態を模式的に示す平面図である。
【図7】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの冷却室内に基板が搬入された状態を模式的に示す平面図である。
【図8】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態2に係わる薄膜形成装置システムのバッファ室および冷却室を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態3に係わる、薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態4に係わる、薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態1に係わる薄膜形成方法および薄膜形成装置システムについて、図を参照しながら説明する。
【0034】
実施形態1
図1は、本発明の実施形態1に係わる薄膜形成装置システムの構成を示す模式図である。本実施形態における薄膜形成装置システム1においては、基板に薄膜を形成する薄膜形成室として、スパッタリング装置を備えたZnOスパッタ室およびAgスパッタ室を示しているが、薄膜を形成する装置としてはスパッタリング装置に限られず、たとえば、プラズマCVD装置または蒸着装置を備えた薄膜形成室であってもよい。また、本実施形態においては、薄膜太陽電池の透明電極および裏面電極を形成する場合について説明するが、本発明は上記の場合に限られず、薄膜を形成する製造工程全般に適用可能である。
【0035】
図1に示すように、本実施形態に係わる薄膜形成装置システム1においては、基板が図中の矢印方向に搬送されて仕込み室2に投入される。基板が仕込み室2に搬入された後、仕込み室2の入口側のゲートバルブ11が閉じられる。その状態で、仕込み室2に接続されたポンプ10が起動され、仕込み室2の内部が真空にひかれる。仕込み室2の内部が加熱室3と同等の真空度まで到達した後、加熱室3側のゲートバルブ11が開放され、基板は加熱室3内に搬送される。
【0036】
加熱室3の内部には、基板を加熱する加熱装置が基板と対向するように配置されている。また、加熱室3の内部には、加熱装置と基板とを相対的に移動させることができる搬送装置が配置されている。基板は、加熱室3内に搬入された後、加熱装置により製造条件として示された目標温度まで加熱される。加熱中は、搬送装置により基板を往復動作させることで加熱装置に対して基板を相対的に移動することで、基板の面内温度が略一様になるように加熱できる。
【0037】
加熱装置の設定温度は、基板の製造条件として示された目標温度以上に設定される。たとえば、基板を100℃を目標として加熱する場合、加熱装置の設定温度は100℃以上500℃以下の温度に設定される。加熱装置の設定温度を目標温度に対してより高く設定するほど、基板を目標温度まで加熱するために必要な時間を短縮することができる。上記は加熱装置の設定温度が固定の場合であるが、図示しない温度測定装置にて基板温度を随時モニタリングし、測定した基板温度に応じて、加熱装置の設定温度を随時可変させてもよい。
【0038】
基板の加熱が終了した後、基板は搬送装置によりZnOスパッタ室4に搬送される。ZnOスパッタ室4内において、基板の上面にZnO透明導電層が積層される。本実施形態においては、透明導電層をZnOにより形成したが、別途SnO2またはITOなどの透明導電膜を用いて形成してもよい。
【0039】
ZnO積層後の基板は、搬送装置によりガス分離室5に搬送される。ガス分離室5は、ZnOスパッタ室4からAgスパッタ室6に酸素ガスが流入しないようにするための雰囲気分離室である。ガス分離室5の内部は、ガス分離室5に接続されたポンプ10により真空にひかれており、酸素ガスの流入を防止している。
【0040】
基板は、ガス分離室5から搬送装置によりAgスパッタ室6に搬送される。Agスパッタ室6内において、基板の表面にAg金属層が形成されて裏面電極が設けられる。本実施形態においては、金属層の材料としてAgを用いたが、たとえば、別途Alなどの金属材料を用いてもよい。
【0041】
裏面電極が形成された基板は、搬送装置によりバッファ室7に搬送される。ZnOスパッタ室4からバッファ室7までの処理室が、膜形成室に含まれる。バッファ室7に待機している基板は、搬送装置により冷却室8に搬送される。基板が冷却室8内に搬入された後、バッファ室7側のゲートバルブ11が閉じられる。
【0042】
冷却室8の内部には、基板を冷却する冷却装置が基板と対向するように配置されている。冷却中は、搬送装置により基板を往復動作させて冷却装置に対して基板を相対的に移動させることで、基板の面内温度を略一様になるように保ちつつ冷却することができる。冷却は、基板を搬出しても安全性または品質に問題のないと判断できる、予め設定された搬出可能温度になるまで行われる。
たとえば、冷却中の基板温度を図示しない温度測定装置にて随時モニタリングし、搬出可能温度として予め設定した90℃以下に冷却された時点で基板を搬出するように制御する。もしくは、各製造条件において、搬出可能温度に到達する冷却時間を事前に実験などを行って予め導き出しておき、処理する基板の製造条件に応じて、上記実験結果から導出された各冷却時間を適宜選択してもよい。この場合、基板温度をモニタリングする必要はない。
【0043】
冷却終了後の基板は、搬送装置により取出し室9に搬送される。取出し室9内において、大気またはN2などの不活性ガスによるパージによって、真空圧から大気圧にさせる。取出し室9内が大気圧になった後、搬出側のゲートバルブ11を開放し、基板が装置外に搬出されて処理完了となる。
【0044】
上記のように、薄膜形成装置システム1に基板が搬入され、順次各処理室で処理されていく。各処理室で異なる基板が、それぞれの処理室において並行に処理を行うことで装置システムのスループットを短縮している。また、薄膜形成装置システムは、図示しないプロセスコントローラーなどのコンピュータ制御装置を備えており、上記制御装置によって各処理室および搬送装置の動作が制御されている。
【0045】
図2は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムに搬入され、薄膜を形成される前の基板の断面構造を示す模式図である。図3は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムにて薄膜が形成され、搬出された後の基板の断面構造を示す模式図である。
【0046】
図2に示すように、本実施形態に係わる薄膜形成装置システム1に搬入される前の基板16は、搬送装置12に載置されて搬送される。搬送装置12としては、本実施形態においては、ベルト方式の基板搬送コンベアで構成されているが、別途、ローラー搬送またはエア浮上搬送装置で構成されていてもよい。もしくは、基板を保持して搬送できるロボットにより搬送する構成でもよい。基板16は、ガラス基板13の上面に表面電極14および光電変換層15が形成されている状態である。
【0047】
図3に示すように、搬送装置12により薄膜形成装置システム1にて薄膜を形成された後、搬出される際には、基板16の上面に導電性材料層である、透明導電層17および裏面電極18が形成されている。
【0048】
図4は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室内に基板が搬入される途中の状態を模式的に示す平面図である。図5は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室内に基板が搬入された状態を模式的に示す平面図である。
【0049】
図4に示すように、基板16が図中の矢印方向に搬送されて、加熱室3に搬入される。なお、図4においては、仕込み室2の図示を省略している。図4に示すように、加熱室3内において、基板16は、搬送装置12の上面に載置された状態で、加熱室3の内部に搬送される。
【0050】
搬送装置12の下方に、加熱装置に含まれる複数の加熱源20が基板に対向して並べて配置されている。加熱源20としては、電熱線、セラミックヒータまたは石英加熱管などを用いることができる。また、各加熱源20を加熱室内にそれぞれ別個で並べて設置する構成のほか、金属などのプレート間に加熱源を挟みこんで一体の平板状発熱体とした、プレートヒータなどを用いてもよい。
【0051】
図5に示すように、加熱室3内に搬送された基板16は、加熱源20により加熱される。基板16の平面内において、加熱源20に近い位置ほど、より早く高温に加熱されるため、基板16と配列された加熱源20との相対的位置が一定の場合、基板の面内温度にムラが発生する。
【0052】
前記基板面内温度のムラを低減するため、加熱中に搬送装置12を往復駆動40し、基板16と加熱源20との相対的位置を変化させることで、基板16を略均一に保ちつつ加熱できる(均熱処理)。それにより、基板16の面内における温度分布が略一様に保たれ、局所的な熱膨張の違いから発生する基板16のダメージを低減することができる。
【0053】
本実施形態においては、コンベア式の搬送装置12の往復動作駆動により基板16を均熱処理する構成を示しているが、別途、基板16を載置するステージを揺動させる機構を設けた構成を用いてもよい。
【0054】
本実施形態においては、加熱時の往復動作の向きは基板搬送方向に平行であるが、搬送装置12に基板搬送方向と直交する向きに往復または揺動する図示しない機構を設け、加熱時に基板16を基板搬送方向と直交する向きに往復または揺動するようにしてもよい。また、基板搬送方向に対して平行方向および直交方向の両方向に往復または揺動するようにしてもよい。
【0055】
このように、加熱室が、加熱源と基板を相対的に移動させることができる駆動装置を備えることで、基板面内温度を略均一に保ちつつ加熱することができる。
【0056】
図6は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの冷却室内に基板が搬入される途中の状態を模式的に示す平面図である。図7は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの冷却室内に基板が搬入された状態を模式的に示す平面図である。
【0057】
図6に示すように、基板19が図中の矢印方向に搬送されて、冷却室8に搬入される。なお、図6においては、バッファ室7の図示を省略している。図6に示すように、冷却室8内において、基板19は、搬送装置12の上面に載置された状態で、冷却室8の内部に搬送される。搬送装置の12の下方に、冷却装置を構成する冷却源である、内部に冷却液または冷却ガスなどの冷媒が流動する冷却パイプ21が、基板19に対向して並べて配置されている。
【0058】
本実施形態においては、冷却源として冷却パイプ21を用いたが、冷却源として電子冷却素子などを用いてもよい。また、各冷却源を冷却室内にそれぞれ別個で並べて設置する構成のほか、金属などのプレート間に冷却源を挟みこんで一体の平板状冷却体とした冷却プレートなどを用いてもよい。
【0059】
図7に示すように、冷却室8内に搬送された基板19は、冷却パイプ21により冷却される。基板19の平面内において、冷却パイプ21に近い位置ほどより早く冷却されるため、基板19と冷却パイプ21との相対的位置が一定の場合、基板の面内温度にムラが発生する。
【0060】
上記基板面内温度のムラを低減するため、冷却中に搬送装置12を往復駆動41し、基板19と冷却パイプ21との相対的位置を変化させることで、基板19を面内温度を略均一に保ちつつ冷却することができる(均熱処理)。それにより、基板19の面内温度が略一様に保たれ、局所的な熱収縮の違いにより発生する基板19のダメージを低減することができる。
【0061】
本実施形態においては、冷却時の往復動作の向きは基板搬送方向に平行であるが、搬送装置12に基板搬送方向と直交する向きに往復または揺動する図示しない機構を設け、冷却時に基板19を基板搬送方向と直交する向きに往復または揺動するようにしてもよい。また、基板搬送方向に対して平行方向および直交方向の両方向に往復または揺動するようにしてもよい。
【0062】
このように、冷却室が、冷却源と基板を相対的に移動させることができる駆動装置を備えることで、基板面内温度を略均一に保ちつつ冷却することができる。
【0063】
図8は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。図8に示すように、上述の通り、加熱室3内には、搬送装置12Aが配置され、その上面に基板16が載置されている。搬送装置12Aの下方に加熱源20が配置されている。加熱室3の前方にゲートバルブ11Aが設けられ、加熱室3とZnOスパッタ室4との間にゲートバルブ11Bが設けられている。
【0064】
ZnOスパッタ室4内には、搬送装置12Bが配置され、搬送装置12Bの上方にスパッタ装置26が配置されている。搬送装置12Aと搬送装置12Bには、それぞれの動作を制御する制御装置22が接続されている。
【0065】
加熱室3において基板16の加熱が終了した後に、ゲートバルブ11Bが開放されて、搬送装置12Aおよび搬送装置12Bが同期して駆動されることにより、基板16が加熱室3からZnOスパッタ室4内の薄膜形成位置に搬送される。ZnOスパッタ室4に基板が搬送された後、ゲートバルブ11Bが閉じられて、スパッタ装置26により基板16の上面に透明導電層17が形成される。
【0066】
ZnOスパッタ室4において処理が行われている際、加熱室3においては、次に搬入された異なる基板16を加熱することができる。この加熱の際、搬送装置12Aは、往復駆動23されている。
【0067】
従来の薄膜形成装置システムにおいて、たとえば、ZnOスパッタ室4で装置トラブルによる異常停止が発生した場合、搬送装置12Bおよび搬送装置12Aが一斉に停止していた。そのため、加熱室3内で加熱されていた基板16の往復動作も停止し、基板が一定の位置に停止された状態で、加熱源20により加熱されていた。その結果、基板16の面内において加熱源20により近い領域が局所的に早く加熱されて、基板面内で熱膨張の異なる領域が局所的に発生することで基板16に歪みまたは熱割れが発生する。
【0068】
また、トラブル時に加熱源を停止させた場合においても、加熱源自体の温度降下に時間がかかるため、加熱源の温度が低下するまでの間、加熱源との距離によって基板16の温度降下速度が異なり、面内温度が不均一となる。その結果、基板16に歪みまたは熱割れが生ずる。
【0069】
本実施形態に係わる薄膜形成装置システム1においては、制御装置22を設けて、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合に、搬送装置12Bは停止させるが、搬送装置12Aの往復駆動は継続するように駆動装置であるコンベア形式の基板搬送装置12Aを操作する。そのように操作することにより、加熱室3内の基板16は、加熱源20との相対的位置を移動させられつつ加熱されるため、基板16の面内温度が略一様に保たれるようにできる。その結果、基板16の温度ムラを抑制でき、温度ムラに起因する基板19の歪みまたは熱割れを低減することができる。
【0070】
本実施形態においては、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合について説明したが、薄膜形成装置システムを構成する各処理室について搬送停止するトラブルなどがどの位置で発生したとしても、制御装置22により加熱室3内の搬送装置12Aの往復駆動が継続されるように制御されている。また、加熱源20は、搬送装置12Aを挟んで基板16の下方に配置されているが、基板16の上方もしくは上下両方に配置するようにしてもよい。
【0071】
以下、本発明の実施形態2に係わる薄膜形成方法および薄膜形成装置システムについて、図を参照しながら説明する。
【0072】
実施形態2
図9は、本発明の実施形態2に係わる薄膜形成装置システムのバッファ室および冷却室を模式的に示す断面図である。図9に示すように、バッファ室7の内部には、基板19を搬送する搬送装置12Cが配置されている。バッファ室7と冷却室8との間にゲートバルブ11Eが設けられている。
【0073】
上述の通り、冷却室8内には、搬送装置12Dが配置され、その上面に基板19が載置されている。搬送装置12Dの下方に冷却パイプ21が配置されている。冷却室8の後方にゲートバルブ11Fが設けられている。搬送装置12Cと搬送装置12Dには、それぞれの動作を制御する制御装置24が接続されている。
【0074】
冷却室8において基板19の冷却が終了した後に、ゲートバルブ11Fが開いて、搬送装置12Dが駆動されることにより、基板19が冷却室8から搬送される。そのとき、バッファ室7内で待機していた別の基板19が、搬送装置12Cおよび搬送装置12Dが駆動されることにより、冷却室8内に搬送される。冷却室8内において、基板19が冷却されている間は、搬送装置12Dは、往復駆動25されている。
【0075】
従来の薄膜形成装置システムにおいて、バッファ室7で異常停止が発生した場合、搬送装置12Cおよび搬送装置12Dが一斉に停止していた。そのため、冷却室8内で冷却されていた基板19の往復動作も停止し、基板が一定の位置に停止した状態で、冷却パイプ21により冷却されていた。その結果、基板19が局所的に早く冷却されて、基板面内で熱収縮の異なる領域が局所的に発生することで歪みまたはたわみが発生した。
【0076】
また、トラブル時に冷却源を停止させた場合においても、冷却源自体の温度上昇に時間がかかるため、冷却源の温度が上昇するまでの間、冷却源との距離によって基板19の温度上昇速度が異なり、面内温度が不均一となる。その結果、基板19に歪みまたはたわみが生ずる。
【0077】
本実施形態に係わる薄膜形成装置システム1においては、制御装置24を設けて、バッファ室7において異常停止が発生した場合に、搬送装置12Cは停止させるが、搬送装置12Dの往復駆動は継続させるように駆動装置である基板搬送装置12Dを操作する。そのように操作することにより、冷却室8内の基板19は、冷却パイプ21との相対的位置を移動させ続けることができるため、基板19の面内温度を略一様に保たれるようにできる。その結果、基板19の温度ムラを抑制でき、温度ムラに起因する基板19の歪みまたはたわみを低減することができる。
【0078】
本実施形態においては、バッファ室7において異常停止が発生した場合について説明したが、薄膜形成装置システムを構成する各処理室について搬送停止するトラブルがどの位置で発生したとしても、制御装置24により冷却室8内の搬送装置12Dの往復駆動が継続されるように制御されている。
【0079】
本実施形態においては、冷却源は、搬送装置12Dを挟んで基板19の下方に配置されているが、基板19の上方もしくは上下両方に配置するようにしてもよい。本実施形態に係わる薄膜形成装置システムは、他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を繰り返さない。
【0080】
以下、本発明の実施形態3に係わる薄膜形成方法および薄膜形成装置システムについて、図を参照しながら説明する。
【0081】
図10は、本発明の実施形態3に係わる、薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。図10に示すように、加熱室3内には、搬送装置12Eが配置され、その上面に基板31が載置されている。搬送装置12Eの上方および下方に加熱源27が配置されている。複数の加熱源27は、板28が取り付けられて一体にされている。加熱室3の前方にゲートバルブ11Aが設けられ、加熱室3とZnOスパッタ室4との間にゲートバルブ11Bが設けられている。ZnOスパッタ室4内には、搬送装置12Bが配置され、搬送装置12Bの上方にスパッタ装置26が配置されている。
【0082】
加熱源27は任意の方向に揺動可能なように、駆動装置29が接続されて加熱室3内に設置されている。図10においては、加熱源27を上下それぞれ一体とし、それぞれ一つの駆動装置29にて揺動される構成を示しているが、加熱源27を一体とせずそれぞれ別個の複数の駆動装置にて設置される構成でもよい。駆動装置29と搬送装置12Eと搬送装置12Bには、それぞれの動作を操作する制御装置22が接続されている。
【0083】
ZnOスパッタ室4において基板32が処理されている際、加熱室3においては、次に搬入された異なる基板31を加熱することができる。この加熱の間、駆動装置29により、加熱源27が揺動動作30され、均熱処理されている。
【0084】
異常停止が発生した場合に、制御装置22により、搬送装置12Eおよび搬送装置12Bは停止させるが、駆動装置29の揺動動作30は継続させるように操作する。そのように操作することにより、加熱室3内の基板31は、加熱源27との相対的位置を移動させられつつ加熱されるため、基板31の面内温度が略一様に保たれるようにできる。その結果、基板31の温度ムラを抑制でき、温度ムラに起因する基板31の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【0085】
本実施形態においては、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合について説明したが、薄膜形成装置システムを構成する各処理室について搬送停止するトラブルなどがどの位置で発生したとしても、制御装置22により加熱室3内の駆動装置29の揺動動作30が継続されるように制御されている。
【0086】
以上、図10を参照して加熱室3における本発明の実施形態3について説明したが、冷却室においても同様の実施形態を適用できることは明らかである為、冷却室における図および説明は省略する。なお、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムは、他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を繰り返さない。
【0087】
以下、本発明の実施形態4に係わる薄膜形成方法および薄膜形成装置システムについて、図を参照しながら説明する。
【0088】
実施形態4
図11は、本発明の実施形態4に係わる、薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。図11に示すように、加熱室3内には、基板が戴地されるステージ33と基板搬送装置であるアーム36が配置され、ステージ33の上面に基板37が載置される。ステージ33の上方に加熱源20が設置されている。加熱室3の前方にゲートバルブ11Aが設けられ、加熱室3とZnOスパッタ室4との間にゲートバルブ11Bが設けられている。ZnOスパッタ室4内には、ステージ39が設置され、その上方にスパッタ装置26が配置されている。
【0089】
加熱室3内のステージ33は、ステージ33を任意の方向に揺動可能とする駆動装置34を備える。また、駆動装置34とアーム36には、それぞれの動作を操作する制御装置22が接続されている。
【0090】
ZnOスパッタ室4において基板38が処理されている際、加熱室3においては、次に搬入された異なる基板37を加熱することができる。この加熱の際、駆動装置34により、ステージ33が揺動動作35され、均熱処理されている。
【0091】
制御装置22により、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合に、アーム36は停止させるが、駆動装置34の往復駆動は継続させるように操作する。そのように操作することにより、加熱室3内の基板37は、加熱源20との相対的位置を移動させられつつ加熱されるため、基板37の面内温度が略一様に保たれるようにできる。その結果、基板37の温度ムラを抑制でき、温度ムラに起因する基板37の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【0092】
本実施形態においては、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合について説明したが、薄膜形成装置システムを構成する各処理室について搬送停止するトラブルなどがどの位置で発生したとしても、制御装置22により加熱室3内の駆動装置34の揺動動作35が継続されるように操作されている。
【0093】
以上、図11を参照して加熱室3の本発明の実施形態4について説明したが、冷却室においても同様の実施形態を適用できることは明らかである為、冷却室における図および説明は省略する。なお、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムは、他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を繰り返さない。
【0094】
上記実施形態に示したように、薄膜形成装置システムを構成する各処理室の何れかにおいて異常停止が発生した場合にも、基板の均熱処理を行うための基板または加熱(冷却)装置の往復または揺動動作を停止させず継続する制御を行うことにより、基板の歪みおよび熱割れを低減して、薄膜形成装置システムのダウンタイムを削減し、装置稼働率の向上を図ることができる。
【0095】
また、各実施例に示した制御装置としては、別途新たな制御用ハードウェアを追加するか、または、薄膜形成装置システム全体を制御する図示しないプロセスコントローラにプログラムを追加することで実現することもできる。
【0096】
従来の薄膜形成装置システムにおける均熱動作の停止要因として、装置トラブルによる異常停止のほか、薄膜形成装置システムの次工程となる製造装置のトラブルによる基板搬出ストップ、および/または、各基板の製造条件における処理時間の違いによる処理待ちなどもあり、本発明はこれら様々な事項に起因する搬送停止に対しても適用することができる。
【0097】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 薄膜形成装置システム、2 仕込み室、3 加熱室、4 ZnOスパッタ室、5 ガス分離室、6 Agスパッタ室、7 バッファ室、8 冷却室、9 取り出し室、10 ポンプ、11 ゲートバルブ、12 搬送装置、13 ガラス基板、14 表面電極、15 光電変換層、16,19,31,32,37,38 基板、17 透明導電層、18 裏面電極、20 加熱源、21 冷却パイプ、22,24 制御装置、23,25,40,41 往復駆動、26 スパッタ装置、27 加熱源、28 板、29,34 駆動装置、30,35 揺動動作、33,39 ステージ、36 アーム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成装置システムおよび薄膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に薄膜を形成する方法として、予め基板を加熱した後に、スパッタリング装置またはプラズマCVD装置などにより薄膜を形成する方法がある。その薄膜形成方法を開示した先行文献として、特許文献1(特開昭59−199036号公報)がある。特許文献1に記載された薄膜形成方法においては、予備加熱室内に対向配置された基板と加熱源とを相対的に移動させながら加熱している。このように加熱することにより、基板温度の均一性を得ている。
【0003】
基板がローラなどの搬送装置の上面に載置された状態で加熱室に搬送され、加熱室内において、搬送装置が往復駆動されて均熱処理を行う基板の焼成方法を開示した先行文献として、特許文献2(特開平10−67541号公報)がある。特許文献2に記載された基板の焼成方法においては、加熱室内の搬送装置と加熱室の後方側の搬送装置とが同期して駆動するように制御されている。
【0004】
また、基板を各チャンバ間で移動するための基板搬送機構を備えた多層膜製造装置を開示した先行文献として特許文献3(特開2002−363744号公報)がある。特許文献3に記載された多層膜製造装置においては、スパッタ成膜部を備えた第1,3チャンバの間に、高真空排気機構および基板加熱機構を備えた第2チャンバが設けられている。
【0005】
第2チャンバにおいて、基板が加熱されるとともに、チャンバ内が高真空排気されることにより、第1チャンバからの残留ガスが減じられている。その後、基板が第3チャンバに搬送されることにより、雰囲気ガスの相互拡散を減じた状態で複数の膜が基板上に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−199036号公報
【特許文献2】特開平10−67541号公報
【特許文献3】特開2002−363744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1から3に記載の薄膜形成方法においては、基板を搬送装置により加熱室内に搬送し、加熱室内において搬送装置を往復移動させることにより、基板の均熱処理を行っている。
【0008】
しかしながら、従来の薄膜形成装置システムにおいては、装置トラブルによる異常停止が発生した場合、各処理室内の搬送装置、および、各処理室間において基板を移動させる搬送装置が、一斉に停止していた。そのため、加熱室内において加熱されていた基板の往復動作も停止し、基板が一定の位置に停止した状態で、加熱室内に待機していた。その結果、基板の加熱源に近い領域が早く加熱されて高温となり、基板面内において熱膨張の異なる領域が局所的に発生することにより、基板が熱割れによって破損するという課題を発明者は新たに見出した。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、各処理室の何れかにおいて異常停止が発生した場合にも、基板の均熱処理を行うための動作を停止させず、継続して動作させることにより、基板の歪みおよび熱割れを低減することができる、薄膜形成方法および薄膜形成装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある局面に従うと、薄膜形成装置システムは、複数の処理室を含み、基板が処理室を順次経由して処理されることにより、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置システムである。
【0011】
上記の薄膜形成装置システムは、処理室の一つであり、基板を加熱する加熱装置、および、基板と加熱装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された加熱室と、処理室の一つであり、加熱された基板に薄膜を形成する膜形成装置が配置された膜形成室と、駆動装置を操作する制御装置とを備えている。薄膜形成装置システムを構成する処理室のそれぞれにおいて、順次搬入された異なる基板が並行処理される。
【0012】
薄膜形成装置システムにおいては、駆動装置は、膜形成室などにおいて異常停止が発生して、加熱室からの基板の搬送が不能となった際に、基板の搬送が可能となるまで、加熱室内の基板と加熱装置とを相対的に移動させる均熱動作が継続されるように制御装置により操作される。
【0013】
上記の薄膜形成装置システムによると、異常停止が発生して、基板の搬送が停止した場合においても、搬送装置により加熱装置と基板とを相対的に移動させ続けるように制御することにより、基板の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【0014】
本発明の一形態においては、薄膜形成装置システムは、膜形成室を複数備え、表面電極および光電変換層が形成された基板が複数の膜形成室を順次経由して処理されることにより、基板上に複数の異なる導電性材料層が形成される。
【0015】
本発明の一形態においては、駆動装置は、加熱室内の基板を移動させることができ、かつ、加熱室からの基板の搬送が不能となった際に、加熱室内の基板と加熱装置とを相対的に移動させ続けるように制御装置により操作される。
【0016】
本発明の一形態においては、駆動装置が基板搬送装置であり、この基板搬送装置の往復動作により、基板と加熱装置とを相対的に移動させる。
【0017】
本発明の一形態においては、処理室内に基板が載置されるステージがそれぞれ配置され、基板を保持して一のステージから他のステージに移動させることにより基板を搬送する基板搬送装置を備えている。駆動装置が、ステージを揺動させることにより、基板と加熱装置とを相対的に移動させる。
【0018】
本発明の一形態においては、駆動装置が加熱装置を揺動させることにより、基板と加熱装置とを相対的に移動させる。
【0019】
本発明の他の局面に従うと、薄膜形成装置システムは、複数の処理室を含み、基板が処理室を順次経由して処理されることにより、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置システムである。
【0020】
薄膜形成装置システムは、処理室の一つであり、基板に薄膜を形成する膜形成装置が配置された膜形成室と、処理室の一つであり、薄膜が形成された基板を冷却する冷却装置、および、基板と冷却装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された冷却室と、駆動装置を操作する制御装置とを備えている。薄膜形成装置システムを構成する処理室のそれぞれにおいて、順次搬入された異なる基板が並行処理される。
【0021】
薄膜形成装置システムにおいては、駆動装置は、搬送装置などに異常停止が発生して、冷却室からの基板の搬送が不能となった際に、冷却室からの基板の搬送が可能になるまで、冷却室内の基板と冷却装置とを相対的に移動させる均熱動作が継続されるように制御装置により操作される。
【0022】
上記の薄膜形成装置システムによると、異常停止が発生して、基板の搬送が停止した場合においても、搬送装置により冷却装置と基板とを相対的に移動させ続けるように制御することにより、基板の歪みおよび破損を低減することができる。
【0023】
本発明のある局面に従うと、薄膜形成方法は、基板を加熱する工程を含む複数の工程を順次処理することにより、基板に薄膜構造を形成する方法である。
【0024】
上記の薄膜形成方法は、基板および基板に対向した加熱装置を相対的に移動させつつ基板を加熱する第1工程と、加熱された基板を薄膜形成位置に搬送する第2工程と、薄膜形成位置に搬送された基板に薄膜を形成する第3工程とを備えている。基板を装置内に順次搬送し、第1工程および第3工程のそれぞれにおいて異なる基板が並行処理される。
【0025】
薄膜形成方法においては、第3工程にて異常停止が発生して、第2工程における基板の搬送が不能となった際に、第1工程において処理されている基板について、第2工程における搬送が可能となるまで、基板と加熱装置とを相対的に移動させる均熱動作を継続させる。
【0026】
上記の薄膜形成方法によると、基板に薄膜を形成する第3工程において異常停止が発生して、基板の搬送が停止した場合においても、加熱装置と基板とを相対的に移動させ続けることにより、基板の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【0027】
本発明の他の局面に従うと、薄膜形成方法は、基板を冷却する工程を含む複数の工程に順次処理することにより、基板に薄膜構造を形成する方法である。
【0028】
上記の薄膜形成方法は、薄膜が形成された基板を冷却位置に搬送する第1工程と、冷却位置に搬送された基板および基板に対向した冷却装置を相対的に移動させつつ基板を冷却する第2工程と、冷却された基板を冷却位置から搬送する第3工程とを備えている。
【0029】
薄膜形成方法においては、第3工程における基板の搬送が不能となった際に、第3工程における搬送が可能となるまで、第2工程において処理されている基板と冷却装置とを相対的に移動させる均熱動作を継続させる。
【0030】
上記の薄膜形成方法によると、第3工程において異常停止が発生して、基板の搬送が停止した場合においても、冷却装置と基板とを相対的に移動させ続けることにより、基板の歪みおよび破損を低減することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、各処理室の何れかにおいて異常停止が発生した場合にも、基板の均熱処理を行うための動作が停止しないようにすることにより、基板の面内温度のムラを抑制することができ、基板の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態1に係わる薄膜形成装置システムの構成を示す模式図である。
【図2】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムに搬入され、薄膜を形成される前の基板の断面構造を示す模式図である。
【図3】図3は、同実施形態に係わる薄膜形成装置システムにて薄膜が形成され、搬出された後の基板の断面構造を示す模式図である。
【図4】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室内に基板が搬入される状態を模式的に示す平面図である。
【図5】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室内に基板が配置された状態を模式的に示す平面図である。
【図6】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの冷却室内に基板が搬入される途中の状態を模式的に示す平面図である。
【図7】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの冷却室内に基板が搬入された状態を模式的に示す平面図である。
【図8】同実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態2に係わる薄膜形成装置システムのバッファ室および冷却室を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態3に係わる、薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態4に係わる、薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態1に係わる薄膜形成方法および薄膜形成装置システムについて、図を参照しながら説明する。
【0034】
実施形態1
図1は、本発明の実施形態1に係わる薄膜形成装置システムの構成を示す模式図である。本実施形態における薄膜形成装置システム1においては、基板に薄膜を形成する薄膜形成室として、スパッタリング装置を備えたZnOスパッタ室およびAgスパッタ室を示しているが、薄膜を形成する装置としてはスパッタリング装置に限られず、たとえば、プラズマCVD装置または蒸着装置を備えた薄膜形成室であってもよい。また、本実施形態においては、薄膜太陽電池の透明電極および裏面電極を形成する場合について説明するが、本発明は上記の場合に限られず、薄膜を形成する製造工程全般に適用可能である。
【0035】
図1に示すように、本実施形態に係わる薄膜形成装置システム1においては、基板が図中の矢印方向に搬送されて仕込み室2に投入される。基板が仕込み室2に搬入された後、仕込み室2の入口側のゲートバルブ11が閉じられる。その状態で、仕込み室2に接続されたポンプ10が起動され、仕込み室2の内部が真空にひかれる。仕込み室2の内部が加熱室3と同等の真空度まで到達した後、加熱室3側のゲートバルブ11が開放され、基板は加熱室3内に搬送される。
【0036】
加熱室3の内部には、基板を加熱する加熱装置が基板と対向するように配置されている。また、加熱室3の内部には、加熱装置と基板とを相対的に移動させることができる搬送装置が配置されている。基板は、加熱室3内に搬入された後、加熱装置により製造条件として示された目標温度まで加熱される。加熱中は、搬送装置により基板を往復動作させることで加熱装置に対して基板を相対的に移動することで、基板の面内温度が略一様になるように加熱できる。
【0037】
加熱装置の設定温度は、基板の製造条件として示された目標温度以上に設定される。たとえば、基板を100℃を目標として加熱する場合、加熱装置の設定温度は100℃以上500℃以下の温度に設定される。加熱装置の設定温度を目標温度に対してより高く設定するほど、基板を目標温度まで加熱するために必要な時間を短縮することができる。上記は加熱装置の設定温度が固定の場合であるが、図示しない温度測定装置にて基板温度を随時モニタリングし、測定した基板温度に応じて、加熱装置の設定温度を随時可変させてもよい。
【0038】
基板の加熱が終了した後、基板は搬送装置によりZnOスパッタ室4に搬送される。ZnOスパッタ室4内において、基板の上面にZnO透明導電層が積層される。本実施形態においては、透明導電層をZnOにより形成したが、別途SnO2またはITOなどの透明導電膜を用いて形成してもよい。
【0039】
ZnO積層後の基板は、搬送装置によりガス分離室5に搬送される。ガス分離室5は、ZnOスパッタ室4からAgスパッタ室6に酸素ガスが流入しないようにするための雰囲気分離室である。ガス分離室5の内部は、ガス分離室5に接続されたポンプ10により真空にひかれており、酸素ガスの流入を防止している。
【0040】
基板は、ガス分離室5から搬送装置によりAgスパッタ室6に搬送される。Agスパッタ室6内において、基板の表面にAg金属層が形成されて裏面電極が設けられる。本実施形態においては、金属層の材料としてAgを用いたが、たとえば、別途Alなどの金属材料を用いてもよい。
【0041】
裏面電極が形成された基板は、搬送装置によりバッファ室7に搬送される。ZnOスパッタ室4からバッファ室7までの処理室が、膜形成室に含まれる。バッファ室7に待機している基板は、搬送装置により冷却室8に搬送される。基板が冷却室8内に搬入された後、バッファ室7側のゲートバルブ11が閉じられる。
【0042】
冷却室8の内部には、基板を冷却する冷却装置が基板と対向するように配置されている。冷却中は、搬送装置により基板を往復動作させて冷却装置に対して基板を相対的に移動させることで、基板の面内温度を略一様になるように保ちつつ冷却することができる。冷却は、基板を搬出しても安全性または品質に問題のないと判断できる、予め設定された搬出可能温度になるまで行われる。
たとえば、冷却中の基板温度を図示しない温度測定装置にて随時モニタリングし、搬出可能温度として予め設定した90℃以下に冷却された時点で基板を搬出するように制御する。もしくは、各製造条件において、搬出可能温度に到達する冷却時間を事前に実験などを行って予め導き出しておき、処理する基板の製造条件に応じて、上記実験結果から導出された各冷却時間を適宜選択してもよい。この場合、基板温度をモニタリングする必要はない。
【0043】
冷却終了後の基板は、搬送装置により取出し室9に搬送される。取出し室9内において、大気またはN2などの不活性ガスによるパージによって、真空圧から大気圧にさせる。取出し室9内が大気圧になった後、搬出側のゲートバルブ11を開放し、基板が装置外に搬出されて処理完了となる。
【0044】
上記のように、薄膜形成装置システム1に基板が搬入され、順次各処理室で処理されていく。各処理室で異なる基板が、それぞれの処理室において並行に処理を行うことで装置システムのスループットを短縮している。また、薄膜形成装置システムは、図示しないプロセスコントローラーなどのコンピュータ制御装置を備えており、上記制御装置によって各処理室および搬送装置の動作が制御されている。
【0045】
図2は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムに搬入され、薄膜を形成される前の基板の断面構造を示す模式図である。図3は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムにて薄膜が形成され、搬出された後の基板の断面構造を示す模式図である。
【0046】
図2に示すように、本実施形態に係わる薄膜形成装置システム1に搬入される前の基板16は、搬送装置12に載置されて搬送される。搬送装置12としては、本実施形態においては、ベルト方式の基板搬送コンベアで構成されているが、別途、ローラー搬送またはエア浮上搬送装置で構成されていてもよい。もしくは、基板を保持して搬送できるロボットにより搬送する構成でもよい。基板16は、ガラス基板13の上面に表面電極14および光電変換層15が形成されている状態である。
【0047】
図3に示すように、搬送装置12により薄膜形成装置システム1にて薄膜を形成された後、搬出される際には、基板16の上面に導電性材料層である、透明導電層17および裏面電極18が形成されている。
【0048】
図4は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室内に基板が搬入される途中の状態を模式的に示す平面図である。図5は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室内に基板が搬入された状態を模式的に示す平面図である。
【0049】
図4に示すように、基板16が図中の矢印方向に搬送されて、加熱室3に搬入される。なお、図4においては、仕込み室2の図示を省略している。図4に示すように、加熱室3内において、基板16は、搬送装置12の上面に載置された状態で、加熱室3の内部に搬送される。
【0050】
搬送装置12の下方に、加熱装置に含まれる複数の加熱源20が基板に対向して並べて配置されている。加熱源20としては、電熱線、セラミックヒータまたは石英加熱管などを用いることができる。また、各加熱源20を加熱室内にそれぞれ別個で並べて設置する構成のほか、金属などのプレート間に加熱源を挟みこんで一体の平板状発熱体とした、プレートヒータなどを用いてもよい。
【0051】
図5に示すように、加熱室3内に搬送された基板16は、加熱源20により加熱される。基板16の平面内において、加熱源20に近い位置ほど、より早く高温に加熱されるため、基板16と配列された加熱源20との相対的位置が一定の場合、基板の面内温度にムラが発生する。
【0052】
前記基板面内温度のムラを低減するため、加熱中に搬送装置12を往復駆動40し、基板16と加熱源20との相対的位置を変化させることで、基板16を略均一に保ちつつ加熱できる(均熱処理)。それにより、基板16の面内における温度分布が略一様に保たれ、局所的な熱膨張の違いから発生する基板16のダメージを低減することができる。
【0053】
本実施形態においては、コンベア式の搬送装置12の往復動作駆動により基板16を均熱処理する構成を示しているが、別途、基板16を載置するステージを揺動させる機構を設けた構成を用いてもよい。
【0054】
本実施形態においては、加熱時の往復動作の向きは基板搬送方向に平行であるが、搬送装置12に基板搬送方向と直交する向きに往復または揺動する図示しない機構を設け、加熱時に基板16を基板搬送方向と直交する向きに往復または揺動するようにしてもよい。また、基板搬送方向に対して平行方向および直交方向の両方向に往復または揺動するようにしてもよい。
【0055】
このように、加熱室が、加熱源と基板を相対的に移動させることができる駆動装置を備えることで、基板面内温度を略均一に保ちつつ加熱することができる。
【0056】
図6は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの冷却室内に基板が搬入される途中の状態を模式的に示す平面図である。図7は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの冷却室内に基板が搬入された状態を模式的に示す平面図である。
【0057】
図6に示すように、基板19が図中の矢印方向に搬送されて、冷却室8に搬入される。なお、図6においては、バッファ室7の図示を省略している。図6に示すように、冷却室8内において、基板19は、搬送装置12の上面に載置された状態で、冷却室8の内部に搬送される。搬送装置の12の下方に、冷却装置を構成する冷却源である、内部に冷却液または冷却ガスなどの冷媒が流動する冷却パイプ21が、基板19に対向して並べて配置されている。
【0058】
本実施形態においては、冷却源として冷却パイプ21を用いたが、冷却源として電子冷却素子などを用いてもよい。また、各冷却源を冷却室内にそれぞれ別個で並べて設置する構成のほか、金属などのプレート間に冷却源を挟みこんで一体の平板状冷却体とした冷却プレートなどを用いてもよい。
【0059】
図7に示すように、冷却室8内に搬送された基板19は、冷却パイプ21により冷却される。基板19の平面内において、冷却パイプ21に近い位置ほどより早く冷却されるため、基板19と冷却パイプ21との相対的位置が一定の場合、基板の面内温度にムラが発生する。
【0060】
上記基板面内温度のムラを低減するため、冷却中に搬送装置12を往復駆動41し、基板19と冷却パイプ21との相対的位置を変化させることで、基板19を面内温度を略均一に保ちつつ冷却することができる(均熱処理)。それにより、基板19の面内温度が略一様に保たれ、局所的な熱収縮の違いにより発生する基板19のダメージを低減することができる。
【0061】
本実施形態においては、冷却時の往復動作の向きは基板搬送方向に平行であるが、搬送装置12に基板搬送方向と直交する向きに往復または揺動する図示しない機構を設け、冷却時に基板19を基板搬送方向と直交する向きに往復または揺動するようにしてもよい。また、基板搬送方向に対して平行方向および直交方向の両方向に往復または揺動するようにしてもよい。
【0062】
このように、冷却室が、冷却源と基板を相対的に移動させることができる駆動装置を備えることで、基板面内温度を略均一に保ちつつ冷却することができる。
【0063】
図8は、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。図8に示すように、上述の通り、加熱室3内には、搬送装置12Aが配置され、その上面に基板16が載置されている。搬送装置12Aの下方に加熱源20が配置されている。加熱室3の前方にゲートバルブ11Aが設けられ、加熱室3とZnOスパッタ室4との間にゲートバルブ11Bが設けられている。
【0064】
ZnOスパッタ室4内には、搬送装置12Bが配置され、搬送装置12Bの上方にスパッタ装置26が配置されている。搬送装置12Aと搬送装置12Bには、それぞれの動作を制御する制御装置22が接続されている。
【0065】
加熱室3において基板16の加熱が終了した後に、ゲートバルブ11Bが開放されて、搬送装置12Aおよび搬送装置12Bが同期して駆動されることにより、基板16が加熱室3からZnOスパッタ室4内の薄膜形成位置に搬送される。ZnOスパッタ室4に基板が搬送された後、ゲートバルブ11Bが閉じられて、スパッタ装置26により基板16の上面に透明導電層17が形成される。
【0066】
ZnOスパッタ室4において処理が行われている際、加熱室3においては、次に搬入された異なる基板16を加熱することができる。この加熱の際、搬送装置12Aは、往復駆動23されている。
【0067】
従来の薄膜形成装置システムにおいて、たとえば、ZnOスパッタ室4で装置トラブルによる異常停止が発生した場合、搬送装置12Bおよび搬送装置12Aが一斉に停止していた。そのため、加熱室3内で加熱されていた基板16の往復動作も停止し、基板が一定の位置に停止された状態で、加熱源20により加熱されていた。その結果、基板16の面内において加熱源20により近い領域が局所的に早く加熱されて、基板面内で熱膨張の異なる領域が局所的に発生することで基板16に歪みまたは熱割れが発生する。
【0068】
また、トラブル時に加熱源を停止させた場合においても、加熱源自体の温度降下に時間がかかるため、加熱源の温度が低下するまでの間、加熱源との距離によって基板16の温度降下速度が異なり、面内温度が不均一となる。その結果、基板16に歪みまたは熱割れが生ずる。
【0069】
本実施形態に係わる薄膜形成装置システム1においては、制御装置22を設けて、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合に、搬送装置12Bは停止させるが、搬送装置12Aの往復駆動は継続するように駆動装置であるコンベア形式の基板搬送装置12Aを操作する。そのように操作することにより、加熱室3内の基板16は、加熱源20との相対的位置を移動させられつつ加熱されるため、基板16の面内温度が略一様に保たれるようにできる。その結果、基板16の温度ムラを抑制でき、温度ムラに起因する基板19の歪みまたは熱割れを低減することができる。
【0070】
本実施形態においては、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合について説明したが、薄膜形成装置システムを構成する各処理室について搬送停止するトラブルなどがどの位置で発生したとしても、制御装置22により加熱室3内の搬送装置12Aの往復駆動が継続されるように制御されている。また、加熱源20は、搬送装置12Aを挟んで基板16の下方に配置されているが、基板16の上方もしくは上下両方に配置するようにしてもよい。
【0071】
以下、本発明の実施形態2に係わる薄膜形成方法および薄膜形成装置システムについて、図を参照しながら説明する。
【0072】
実施形態2
図9は、本発明の実施形態2に係わる薄膜形成装置システムのバッファ室および冷却室を模式的に示す断面図である。図9に示すように、バッファ室7の内部には、基板19を搬送する搬送装置12Cが配置されている。バッファ室7と冷却室8との間にゲートバルブ11Eが設けられている。
【0073】
上述の通り、冷却室8内には、搬送装置12Dが配置され、その上面に基板19が載置されている。搬送装置12Dの下方に冷却パイプ21が配置されている。冷却室8の後方にゲートバルブ11Fが設けられている。搬送装置12Cと搬送装置12Dには、それぞれの動作を制御する制御装置24が接続されている。
【0074】
冷却室8において基板19の冷却が終了した後に、ゲートバルブ11Fが開いて、搬送装置12Dが駆動されることにより、基板19が冷却室8から搬送される。そのとき、バッファ室7内で待機していた別の基板19が、搬送装置12Cおよび搬送装置12Dが駆動されることにより、冷却室8内に搬送される。冷却室8内において、基板19が冷却されている間は、搬送装置12Dは、往復駆動25されている。
【0075】
従来の薄膜形成装置システムにおいて、バッファ室7で異常停止が発生した場合、搬送装置12Cおよび搬送装置12Dが一斉に停止していた。そのため、冷却室8内で冷却されていた基板19の往復動作も停止し、基板が一定の位置に停止した状態で、冷却パイプ21により冷却されていた。その結果、基板19が局所的に早く冷却されて、基板面内で熱収縮の異なる領域が局所的に発生することで歪みまたはたわみが発生した。
【0076】
また、トラブル時に冷却源を停止させた場合においても、冷却源自体の温度上昇に時間がかかるため、冷却源の温度が上昇するまでの間、冷却源との距離によって基板19の温度上昇速度が異なり、面内温度が不均一となる。その結果、基板19に歪みまたはたわみが生ずる。
【0077】
本実施形態に係わる薄膜形成装置システム1においては、制御装置24を設けて、バッファ室7において異常停止が発生した場合に、搬送装置12Cは停止させるが、搬送装置12Dの往復駆動は継続させるように駆動装置である基板搬送装置12Dを操作する。そのように操作することにより、冷却室8内の基板19は、冷却パイプ21との相対的位置を移動させ続けることができるため、基板19の面内温度を略一様に保たれるようにできる。その結果、基板19の温度ムラを抑制でき、温度ムラに起因する基板19の歪みまたはたわみを低減することができる。
【0078】
本実施形態においては、バッファ室7において異常停止が発生した場合について説明したが、薄膜形成装置システムを構成する各処理室について搬送停止するトラブルがどの位置で発生したとしても、制御装置24により冷却室8内の搬送装置12Dの往復駆動が継続されるように制御されている。
【0079】
本実施形態においては、冷却源は、搬送装置12Dを挟んで基板19の下方に配置されているが、基板19の上方もしくは上下両方に配置するようにしてもよい。本実施形態に係わる薄膜形成装置システムは、他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を繰り返さない。
【0080】
以下、本発明の実施形態3に係わる薄膜形成方法および薄膜形成装置システムについて、図を参照しながら説明する。
【0081】
図10は、本発明の実施形態3に係わる、薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。図10に示すように、加熱室3内には、搬送装置12Eが配置され、その上面に基板31が載置されている。搬送装置12Eの上方および下方に加熱源27が配置されている。複数の加熱源27は、板28が取り付けられて一体にされている。加熱室3の前方にゲートバルブ11Aが設けられ、加熱室3とZnOスパッタ室4との間にゲートバルブ11Bが設けられている。ZnOスパッタ室4内には、搬送装置12Bが配置され、搬送装置12Bの上方にスパッタ装置26が配置されている。
【0082】
加熱源27は任意の方向に揺動可能なように、駆動装置29が接続されて加熱室3内に設置されている。図10においては、加熱源27を上下それぞれ一体とし、それぞれ一つの駆動装置29にて揺動される構成を示しているが、加熱源27を一体とせずそれぞれ別個の複数の駆動装置にて設置される構成でもよい。駆動装置29と搬送装置12Eと搬送装置12Bには、それぞれの動作を操作する制御装置22が接続されている。
【0083】
ZnOスパッタ室4において基板32が処理されている際、加熱室3においては、次に搬入された異なる基板31を加熱することができる。この加熱の間、駆動装置29により、加熱源27が揺動動作30され、均熱処理されている。
【0084】
異常停止が発生した場合に、制御装置22により、搬送装置12Eおよび搬送装置12Bは停止させるが、駆動装置29の揺動動作30は継続させるように操作する。そのように操作することにより、加熱室3内の基板31は、加熱源27との相対的位置を移動させられつつ加熱されるため、基板31の面内温度が略一様に保たれるようにできる。その結果、基板31の温度ムラを抑制でき、温度ムラに起因する基板31の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【0085】
本実施形態においては、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合について説明したが、薄膜形成装置システムを構成する各処理室について搬送停止するトラブルなどがどの位置で発生したとしても、制御装置22により加熱室3内の駆動装置29の揺動動作30が継続されるように制御されている。
【0086】
以上、図10を参照して加熱室3における本発明の実施形態3について説明したが、冷却室においても同様の実施形態を適用できることは明らかである為、冷却室における図および説明は省略する。なお、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムは、他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を繰り返さない。
【0087】
以下、本発明の実施形態4に係わる薄膜形成方法および薄膜形成装置システムについて、図を参照しながら説明する。
【0088】
実施形態4
図11は、本発明の実施形態4に係わる、薄膜形成装置システムの加熱室およびZnOスパッタ室を模式的に示す断面図である。図11に示すように、加熱室3内には、基板が戴地されるステージ33と基板搬送装置であるアーム36が配置され、ステージ33の上面に基板37が載置される。ステージ33の上方に加熱源20が設置されている。加熱室3の前方にゲートバルブ11Aが設けられ、加熱室3とZnOスパッタ室4との間にゲートバルブ11Bが設けられている。ZnOスパッタ室4内には、ステージ39が設置され、その上方にスパッタ装置26が配置されている。
【0089】
加熱室3内のステージ33は、ステージ33を任意の方向に揺動可能とする駆動装置34を備える。また、駆動装置34とアーム36には、それぞれの動作を操作する制御装置22が接続されている。
【0090】
ZnOスパッタ室4において基板38が処理されている際、加熱室3においては、次に搬入された異なる基板37を加熱することができる。この加熱の際、駆動装置34により、ステージ33が揺動動作35され、均熱処理されている。
【0091】
制御装置22により、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合に、アーム36は停止させるが、駆動装置34の往復駆動は継続させるように操作する。そのように操作することにより、加熱室3内の基板37は、加熱源20との相対的位置を移動させられつつ加熱されるため、基板37の面内温度が略一様に保たれるようにできる。その結果、基板37の温度ムラを抑制でき、温度ムラに起因する基板37の歪みおよび熱割れを低減することができる。
【0092】
本実施形態においては、ZnOスパッタ室4において異常停止が発生した場合について説明したが、薄膜形成装置システムを構成する各処理室について搬送停止するトラブルなどがどの位置で発生したとしても、制御装置22により加熱室3内の駆動装置34の揺動動作35が継続されるように操作されている。
【0093】
以上、図11を参照して加熱室3の本発明の実施形態4について説明したが、冷却室においても同様の実施形態を適用できることは明らかである為、冷却室における図および説明は省略する。なお、本実施形態に係わる薄膜形成装置システムは、他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を繰り返さない。
【0094】
上記実施形態に示したように、薄膜形成装置システムを構成する各処理室の何れかにおいて異常停止が発生した場合にも、基板の均熱処理を行うための基板または加熱(冷却)装置の往復または揺動動作を停止させず継続する制御を行うことにより、基板の歪みおよび熱割れを低減して、薄膜形成装置システムのダウンタイムを削減し、装置稼働率の向上を図ることができる。
【0095】
また、各実施例に示した制御装置としては、別途新たな制御用ハードウェアを追加するか、または、薄膜形成装置システム全体を制御する図示しないプロセスコントローラにプログラムを追加することで実現することもできる。
【0096】
従来の薄膜形成装置システムにおける均熱動作の停止要因として、装置トラブルによる異常停止のほか、薄膜形成装置システムの次工程となる製造装置のトラブルによる基板搬出ストップ、および/または、各基板の製造条件における処理時間の違いによる処理待ちなどもあり、本発明はこれら様々な事項に起因する搬送停止に対しても適用することができる。
【0097】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 薄膜形成装置システム、2 仕込み室、3 加熱室、4 ZnOスパッタ室、5 ガス分離室、6 Agスパッタ室、7 バッファ室、8 冷却室、9 取り出し室、10 ポンプ、11 ゲートバルブ、12 搬送装置、13 ガラス基板、14 表面電極、15 光電変換層、16,19,31,32,37,38 基板、17 透明導電層、18 裏面電極、20 加熱源、21 冷却パイプ、22,24 制御装置、23,25,40,41 往復駆動、26 スパッタ装置、27 加熱源、28 板、29,34 駆動装置、30,35 揺動動作、33,39 ステージ、36 アーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理室を含み、基板が前記処理室を順次経由して処理されることにより、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置システムであって、
前記処理室の一つであり、基板を加熱する加熱装置、および、基板と前記加熱装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された加熱室と、
前記処理室の一つであり、加熱された基板に薄膜を形成する膜形成装置が配置された膜形成室と、
前記駆動装置を操作する制御装置と
を備え、
前記駆動装置は、前記加熱室からの基板の搬送が不能となった際に、前記加熱室内の基板と前記加熱装置とを相対的に移動させ続けるように前記制御装置により操作される、薄膜形成装置システム。
【請求項2】
前記駆動装置が基板搬送装置であり、該基板搬送装置の往復動作により、基板と前記加熱装置とを相対的に移動させる、請求項1に記載の薄膜形成装置システム。
【請求項3】
複数の処理室を含み、基板が前記処理室を順次経由して処理されることにより、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置システムであって、
前記処理室の一つであり、基板に薄膜を形成する膜形成装置が配置された膜形成室と、
前記処理室の一つであり、薄膜が形成された基板を冷却する冷却装置、および、基板と前記冷却装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された冷却室と、
前記駆動装置を操作する制御装置と
を備え、
前記駆動装置は、前記冷却室からの基板の搬送が不能となった際に、前記冷却室内の基板と前記冷却装置とを相対的に移動させ続けるように前記制御装置により操作される、薄膜形成装置システム。
【請求項4】
複数の工程を順次処理することにより、基板に薄膜を形成する方法であって、
基板および基板に対向した加熱装置を相対的に移動させつつ基板を加熱する第1工程と、
加熱された基板を薄膜形成位置に搬送する第2工程と、
前記薄膜形成位置に搬送された基板に薄膜を形成する第3工程と
を備え、
前記第2工程における基板の搬送が不能となった際に、前記第1工程において処理されている基板と前記加熱装置とを相対的に移動させ続ける、薄膜形成方法。
【請求項5】
複数の工程を順次処理することにより、基板に薄膜を形成する方法であって、
薄膜が形成された基板を冷却位置に搬送する第1工程と、
前記冷却位置に搬送された基板および基板に対向した冷却装置を相対的に移動させつつ基板を冷却する第2工程と、
冷却された基板を前記冷却位置から搬送する第3工程と
を備え、
前記第3工程における基板の搬送が不能となった際に、前記第2工程において処理されている基板と前記冷却装置とを相対的に移動させ続ける、薄膜形成方法。
【請求項1】
複数の処理室を含み、基板が前記処理室を順次経由して処理されることにより、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置システムであって、
前記処理室の一つであり、基板を加熱する加熱装置、および、基板と前記加熱装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された加熱室と、
前記処理室の一つであり、加熱された基板に薄膜を形成する膜形成装置が配置された膜形成室と、
前記駆動装置を操作する制御装置と
を備え、
前記駆動装置は、前記加熱室からの基板の搬送が不能となった際に、前記加熱室内の基板と前記加熱装置とを相対的に移動させ続けるように前記制御装置により操作される、薄膜形成装置システム。
【請求項2】
前記駆動装置が基板搬送装置であり、該基板搬送装置の往復動作により、基板と前記加熱装置とを相対的に移動させる、請求項1に記載の薄膜形成装置システム。
【請求項3】
複数の処理室を含み、基板が前記処理室を順次経由して処理されることにより、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置システムであって、
前記処理室の一つであり、基板に薄膜を形成する膜形成装置が配置された膜形成室と、
前記処理室の一つであり、薄膜が形成された基板を冷却する冷却装置、および、基板と前記冷却装置とを相対的に移動させる駆動装置が配置された冷却室と、
前記駆動装置を操作する制御装置と
を備え、
前記駆動装置は、前記冷却室からの基板の搬送が不能となった際に、前記冷却室内の基板と前記冷却装置とを相対的に移動させ続けるように前記制御装置により操作される、薄膜形成装置システム。
【請求項4】
複数の工程を順次処理することにより、基板に薄膜を形成する方法であって、
基板および基板に対向した加熱装置を相対的に移動させつつ基板を加熱する第1工程と、
加熱された基板を薄膜形成位置に搬送する第2工程と、
前記薄膜形成位置に搬送された基板に薄膜を形成する第3工程と
を備え、
前記第2工程における基板の搬送が不能となった際に、前記第1工程において処理されている基板と前記加熱装置とを相対的に移動させ続ける、薄膜形成方法。
【請求項5】
複数の工程を順次処理することにより、基板に薄膜を形成する方法であって、
薄膜が形成された基板を冷却位置に搬送する第1工程と、
前記冷却位置に搬送された基板および基板に対向した冷却装置を相対的に移動させつつ基板を冷却する第2工程と、
冷却された基板を前記冷却位置から搬送する第3工程と
を備え、
前記第3工程における基板の搬送が不能となった際に、前記第2工程において処理されている基板と前記冷却装置とを相対的に移動させ続ける、薄膜形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−146565(P2011−146565A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6776(P2010−6776)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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