説明

表示装置およびそれを備えるハイブリッド車両

【課題】走行モードを切替えて走行可能なハイブリッド車両において、ユーザフレンドリーな表示を実現する。
【解決手段】表示部172は、SOC表示部302と、走行距離表示部304とを含む。SOC表示部302は、蓄電装置のSOCに応じて表示領域が変化するようにSOCを表示する。ここで、SOC表示部302は、CDモード時、CDモードからCSモードへの切替を示すSOCのしきい値よりもSOCが多い領域306の表示形態(たとえば表示色)が、上記しきい値よりもSOCが少ない領域308の表示形態と異なるように、蓄電装置のSOCを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置およびそれを備えるハイブリッド車両に関し、特に、車両の駆動力を発生する動力源として内燃機関および電動機を搭載するハイブリッド車両に用いられる表示装置およびそれを備えるハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008−120186号公報(特許文献1)は、車両の駆動力を発生する動力源としてエンジンおよびモータを搭載したハイブリッド車両において、モータ走行を継続可能な範囲をより適切に運転者に表示する技術を開示する。この公報に開示されるハイブリッド車両においては、EVスイッチがオンのときには、バッテリの残容量と単位時間走行パワーとに基づく第1のモータ走行継続時間が算出され、浄化装置の触媒が機能可能な下限温度に至るまでの時間としての第2のモータ走行継続時間がさらに算出され、これらのうち小さい方が運転者に視認可能に表示される。これにより、モータ走行を継続することができる範囲をより適正に運転者に表示し、エンジンが予期せずに始動されることによる運転者の違和感を低減することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−120186号公報
【特許文献2】特開2008−55963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータへ供給される電力を蓄える蓄電装置の残存容量(以下「SOC(State Of Charge)」と称する。)が所定量よりも多い場合にエンジンを停止してモータのみを用いての走行を優先する走行モード(以下「CD(Charge Depleting)モード」と称する。)と、SOCが上記所定量に一旦達すると、エンジンが発生する運動エネルギーを用いて発電し蓄電装置を充電可能な発電装置とエンジンとを動作させてSOCを上記所定量近傍に維持する走行モード(以下「CS(Charge Sustaining)モード」と称する。)とを切替えて走行可能なハイブリッド車両において、運転者の違和感を低減可能なユーザフレンドリーな表示が望まれている。しかしながら、上記の特開2008−120186号公報では、上記のような走行モードを切替えて走行可能なハイブリッド車両におけるユーザフレンドリーな表示については、特に検討されていない。
【0005】
それゆえに、この発明の目的は、走行モードを切替えて走行可能なハイブリッド車両において、ユーザフレンドリーな表示を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によれば、表示装置は、車両の駆動力を発生する動力源として内燃機関および電動機を搭載するハイブリッド車両に用いられる表示装置である。ハイブリッド車両は、内燃機関および電動機と、電動機へ供給可能な電力を蓄える蓄電装置と、発電装置と、走行モード制御部とを含む。発電装置は、内燃機関が発生する運動エネルギーを用いて発電し、蓄電装置を充電可能に構成される。走行モード制御部は、電動機へ供給される電力を蓄える蓄電装置のSOCが所定量よりも多い場合に内燃機関を停止して電動機のみを用いての走行を優先するCDモードと、SOCが所定量に一旦達すると、内燃機関および発電装置を動作させてSOCを所定量近傍に維持するCSモードとの切替を制御する。表示装置は、表示部と、表示制御部とを備える。表示部は、蓄電装置のSOCを表示する。表示制御部は、CDモードとCSモードとでSOCの表示状態を切替えるように表示部を制御する。
【0007】
好ましくは、表示部は、SOCに応じて表示領域が変化するようにSOCを表示する。表示制御部は、CDモード時、SOCが所定量よりも多い第1の領域とSOCが所定量よりも少ない第2の領域とで表示形態が異なるように表示部を制御し、CSモード時、SOCと所定量との大小関係に拘わらずCDモード時における第2の領域と同じ表示形態でSOCを表示するように表示部を制御する。
【0008】
好ましくは、表示装置は、演算部をさらに備える。演算部は、SOCに基づいて、CDモードで走行可能な距離を算出する。表示部は、算出された距離をさらに表示可能に構成される。表示制御部は、CDモード時、算出された距離を表示するように表示部を制御し、CSモード時、算出された距離を非表示とするように表示部を制御する。
【0009】
また、この発明によれば、ハイブリッド車両は、内燃機関および電動機と、蓄電装置と、車両外部の電源から供給される電力を受けて蓄電装置を充電するように構成された充電装置と、上述したいずれかの表示装置とを備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明においては、蓄電装置のSOCが表示部に表示されるところ、CDモードとCSモードとでSOCの表示状態が切替えられるので、SOCの表示とともに、そのSOCの表示により走行モードも利用者に告知できる。したがって、この発明によれば、走行モードを切替えて走行可能なハイブリッド車両においてユーザフレンドリーな表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態による表示装置が適用されるハイブリッド車両の全体ブロック図である。
【図2】図1に示すハイブリッド車両の電気システムの全体構成図である。
【図3】蓄電装置のSOCと走行モードとの関係を説明するための図である。
【図4】図1に示す表示部の構成およびCDモード時の表示状態を示した図である。
【図5】図1に示す表示部におけるCSモード時の表示状態を示した図である。
【図6】SOCの変化を示したである。
【図7】図1に示す表示部におけるCSモード時の他の表示状態を示した図である。
【図8】図1に示すECUにおける、表示部の表示制御に関する部分の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0013】
図1は、この発明の実施の形態による表示装置が適用されるハイブリッド車両の全体ブロック図である。図1を参照して、このハイブリッド車両は、エンジン100と、第1MG(Motor-Generator)110と、第2MG120と、動力分割装置130と、減速機140と、蓄電装置150と、駆動輪160と、ECU(Electronic Control Unit)170と、表示部172と、充電器180と、充電インレット190とを備える。
【0014】
エンジン100、第1MG110および第2MG120は、動力分割装置130に連結される。そして、このハイブリッド車両は、エンジン100および第2MG120の少なくとも一方からの駆動力によって走行する。エンジン100が発生する動力は、動力分割装置130によって2経路に分割される。すなわち、一方は減速機140を介して駆動輪160へ伝達される経路であり、もう一方は第1MG110へ伝達される経路である。
【0015】
第1MG110は、交流回転電機であり、たとえば三相交流同期電動機である。第1MG110は、動力分割装置130によって分割されたエンジン100の動力を用いて発電する。具体的には、蓄電装置150のSOCが低下すると、エンジン100が始動して第1MG110により発電が行なわれる。そして、第1MG110によって発電された電力は、インバータ(後述)により交流から直流に変換され、コンバータ(後述)により電圧が調整されて蓄電装置150に蓄えられる。
【0016】
第2MG120は、交流回転電機であり、たとえば三相交流同期電動機である。第2MG120は、蓄電装置150に蓄えられた電力および第1MG110により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。そして、第2MG120の駆動力は、減速機140を介して駆動輪160に伝達される。これにより、第2MG120はエンジン100をアシストしたり、第2MG120からの駆動力によって車両を走行させたりする。なお、図1では、駆動輪160は前輪として示されているが、前輪に代えて、または前輪とともに、第2MG120によって後輪を駆動してもよい。
【0017】
なお、車両の制動時等には、減速機140を介して駆動輪160により第2MG120が駆動され、第2MG120が発電機として作動する。これにより、第2MG120は、制動エネルギーを電力に変換する回生ブレーキとして作動する。第2MG120により発電された電力は、蓄電装置150に蓄えられる。
【0018】
動力分割装置130は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車から成る。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン100のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、第1MG110の回転軸に連結される。リングギヤは第2MG120の回転軸および減速機140に連結される。
【0019】
蓄電装置150は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池から成る。蓄電装置150の電圧は、たとえば200V程度である。蓄電装置150には、第1MG110および第2MG120によって発電される電力の他、後述のように、車両外部の電源(以下「外部電源」とも称し、さらに、外部電源による蓄電装置の充電を「外部充電」とも称する。)から供給される電力が蓄えられる。なお、蓄電装置150として、大容量のキャパシタも採用可能であり、第1MG110および第2MG120による発電電力や外部電源からの電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を第2MG120へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
【0020】
ECU170は、蓄電装置150のSOCに基づいて走行モードの切替制御を行なう。具体的には、ECU170は、蓄電装置150のSOCが所定量よりも多い場合にエンジン100を停止して第2MG120のみを用いての走行を優先するCDモードと、SOCが上記所定量に達した後、エンジン100が発生する運動エネルギーを用いて発電しエンジン100および第1MG110を動作させてSOCを上記所定量近傍に維持するCSモードとの切替を制御する。そして、ECU170は、走行モードに応じて、エンジン100、第1MG110および第2MG120の動作を制御する。また、ECU170は、後述する表示部172の表示制御を行なう。なお、ECU170は、機能ごとに複数のECUに分割してもよい。なお、ECU170の構成については後述する。
【0021】
表示部172は、蓄電装置150のSOCを表示する。詳しくは、表示部172は、SOCに応じて表示領域が変化するようにSOCを表示し、さらに、CDモードとCSモードとでSOCの表示状態を切替える。具体的には、表示部172は、外部充電により外部電源から供給されてCDモード時に消費されるSOC分と、CSモード時に維持されるSOC分とを区別して表示する。
【0022】
また、表示部172は、CDモードで走行可能な距離を表示する。ここで、表示部172は、CDモードで走行可能な距離をCDモード時にのみ表示し、走行モードがCDモードからCSモードに切替わると、上記の距離表示を非表示とする。なお、表示部172の構成および表示状態については、後ほど詳しく説明する。
【0023】
充電器180は、外部電源(図示せず)から供給され充電インレット190に入力される電力を所定の充電電圧に変換する。そして、充電器180によって電圧変換された電力は、蓄電装置10へ供給され、蓄電装置10が充電される。充電器180は、たとえばAC/DCコンバータによって構成される。充電インレット190は、外部電源に接続される充電ケーブルを接続可能に構成され、外部電源から供給される電力を受電するための電力インターフェースである。
【0024】
図2は、図1に示したハイブリッド車両の電気システムの全体構成図である。図2を参照して、この電気システムは、蓄電装置150と、SMR(System Main Relay)230と、コンバータ200と、第1インバータ210と、第2インバータ220と、第1MG110と、第2MG120と、充電器180と、充電インレット190とによって構成される。
【0025】
SMR230は、蓄電装置150とコンバータ200との間に設けられる。SMR230は、蓄電装置150と電気システムとの電気的な接続/遮断を行なうためのリレーであり、ECU170(図1)によってオン/オフ制御される。すなわち、車両走行時および外部充電時、SMR230はオンされ、蓄電装置150は電気システムに電気的に接続される。一方、車両システムの停止時、SMR230はオフされ、蓄電装置150は電気システムから電気的に切離される。
【0026】
コンバータ200は、リアクトルと、2つのnpn型トランジスタと、2つダイオードとを含む。リアクトルは、蓄電装置150の正極側に一端が接続され、2つのnpn型トランジスタの接続ノードに他端が接続される。2つのnpn型トランジスタは、直列に接続され、各npn型トランジスタにダイオードが逆並列に接続される。
【0027】
なお、npn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。また、npn型トランジスタに代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いてもよい。
【0028】
コンバータ200は、蓄電装置150から第1MG110または第2MG120へ電力が供給される際、蓄電装置150から放電される電力を昇圧して第1MG110または第2MG120へ供給する。また、コンバータ200は、蓄電装置150を充電する際、第1MG110または第2MG120から供給される電力を降圧して蓄電装置150へ出力する。
【0029】
第1インバータ210は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、互いに並列に接続される。各相アームは、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを含み、各npn型トランジスタにはダイオードが逆並列に接続される。各相アームにおける2つのnpn型トランジスタの接続点は、第1MG110における対応のコイル端であって中性点とは異なる端部に接続される。
【0030】
そして、第1インバータ210は、コンバータ200から供給される直流電力を交流電力に変換して第1MG110へ供給する。また、第1インバータ210は、第1MG110により発電された交流電力を直流電力に変換してコンバータ200へ供給する。
【0031】
第2インバータ220も、第1インバータ210と同様の構成から成り、各相アームにおける2つのnpn型トランジスタの接続点は、第2MG120における対応のコイル端であって中性点とは異なる端部に接続される。
【0032】
そして、第2インバータ220は、コンバータ200から供給される直流電力を交流電力に変換して第2MG120へ供給する。また、第2インバータ220は、第2MG120により発電された交流電力を直流電流に電力してコンバータ200へ供給する。
【0033】
充電器180は、SMR230とコンバータ200との間に接続される。そして、外部充電が行なわれるとき、充電器180は、充電インレット190に入力される外部電源からの電力を電圧変換して蓄電装置150へ供給する。
【0034】
なお、この図2では、SMR230とコンバータ200との間に充電器180が接続される構成を示したが、SMR230とは別に設けられるリレーを介して蓄電装置150に充電器180を接続してもよい。あるいは、特に図示しないが、第1MG110および第2MG120の中性点に外部電源からの電力を入力し、第1インバータ210および第2インバータ220を用いて電圧変換して蓄電装置150へ供給することも可能である。
【0035】
図3は、蓄電装置150のSOCと走行モードとの関係を説明するための図である。図3を参照して、外部充電の実施後、車両走行が開始されるものとする。走行開始後、蓄電装置150のSOCが規定値Sthを下回るまでは、ハイブリッド車両は、エンジン100を停止して第2MG120のみを用いての走行を優先するCDモードで走行する。このCDモードは、外部電源から供給される電力を積極的に走行に使用するモードであり、急加速時や登坂走行時など大きな走行駆動力が要求されることがない限り、エンジン100を停止して走行する。
【0036】
蓄電装置150のSOCが規定値Sthに一旦達した後は、エンジン100および第1MG110を動作させてSOCを規定値Sth近傍に維持するCSモードで走行する。なお、規定値Sthは、車両の諸元やCDモードでの要求走行距離などにより設定されるものであり、蓄電装置150の容量に応じて適宜決められる。
【0037】
なお、CDモードにおいても、大きな走行駆動力が要求されるとエンジン100は動作し、CSモードにおいても、SOCが規定値Sthよりも高いとエンジン100は停止し得る。
【0038】
図4,5は、図1に示した表示部172の構成および表示状態を示した図である。図4は、CDモードにおける表示状態を示し、図5は、CSモードにおける表示状態を示す。
【0039】
図4を参照して、表示部172は、SOC表示部302と、走行距離表示部304とを含む。SOC表示部302は、蓄電装置150のSOCに応じて表示領域が変化するようにSOCを表示する。ここで、CDモード時においては、SOC表示部302は、CDモードからCSモードへの切替を示すSOCのしきい値(規定値Sth)よりもSOCが多い領域306の表示形態(たとえば表示色)が、上記しきい値よりもSOCが少ない領域308の表示形態と異なるように、蓄電装置150のSOCを表示する。
【0040】
すなわち、CDモードは、急加速時や登坂走行時など大きな走行駆動力が要求されることがない限りエンジン100を停止して、外部電源から供給される電力を積極的に走行に使用するモードであり、SOC表示部302は、外部充電により外部電源から供給されてCDモード時に消費されるSOC分(領域306)を、CSモード時にエンジン100を動作させて維持されるSOC分(領域308)と区別して蓄電装置150のSOCを表示する。なお、たとえば、領域308は白色で表示され、領域306は緑色で表示される。
【0041】
走行距離表示部304は、CDモードで走行可能な残り距離を表示する。ここで、走行距離表示部304は、上記の走行距離をCDモード時のみ表示し、走行モードがCDモードからCSモードに切替わると、上記の走行距離を非表示とする。
【0042】
図5を参照して、CSモード時においては、SOC表示部302は、CDモードからCSモードへの切替を示すSOCのしきい値と実際のSOCとの大小関係に拘わらず、CDモード時における領域308と同じ表示形態(たとえば表示色)で、蓄電装置150のSOCを表示する。
【0043】
すなわち、このハイブリッド車両においては、蓄電装置150のSOCが規定値Sthに達すると、走行モードがCDモードからCSモードに切替わり、次の外部充電が行なわれるまでCSモードが維持される。したがって、図6に示すように、CSモード時にSOCが規定値Sthより増加しても、CSモードが維持される。このとき、SOC表示部302は、図7に示すように、規定値Sthを超えたSOC分についても、領域308として、CDモード時における領域308と同じ表示形態で表示する。
【0044】
なお、図5,図7に示されるように、CSモード時は、走行距離表示部304は、CDモードで走行可能な距離を非表示とする。
【0045】
このように、CDモードとCSモードとで表示部172の表示状態を切替えることにより、運転者は、SOCやCDモードで走行可能な距離を把握しつつ走行モードを直感的に判別することができる。
【0046】
図8は、図1に示したECU170における、表示部172の表示制御に関する部分の機能ブロック図である。図8を参照して、ECU170は、SOC算出部322と、走行モード制御部324と、CDモード走行距離算出部326と、表示制御部328とを含む。
【0047】
SOC算出部322は、蓄電装置150(図1)の電圧VBおよび蓄電装置150に対して入出力される電流IBに基づいて、蓄電装置150のSOCを算出する。なお、SOCの算出方法については、種々の公知の手法を用いることができる。また、電圧VBおよび電流IBは、それぞれ図示しない電圧センサおよび電流センサによって検出される。
【0048】
走行モード制御部324は、SOC算出部322によって算出されたSOCに基づいて、CDモードおよびCSモードの切替を制御する。具体的には、外部充電が実施されると、走行モード制御部324は、走行モードをCDモードとし、SOCが規定値Sthを下回るまでCDモードとする。そして、SOCが規定値Sthに一旦達すると、走行モード制御部324は、CDモードからCSモードへ切替え、以降、次回の外部充電が実施されるまでCSモードとする。
【0049】
CDモード走行距離算出部326は、SOC算出部322によって算出されたSOCに基づいて、CDモードで走行可能な残り距離DEVを算出する。一例として、CDモード走行距離算出部326は、SOC算出部322によって算出されたSOCから規定値Sthを差引いた値ΔSOCに所定の係数を乗算することによって、CDモードで走行可能な残り距離DEVを算出する。なお、上記の係数については、利用者が調整可能としてもよいし、蓄電装置150の劣化状況に応じて学習してもよい。
【0050】
表示制御部328は、SOC算出部322からSOCの算出値を受け、CDモードかCSモードかを示すモード信号MDを走行モード制御部324から受ける。そして、表示制御部328は、その受けたSOCおよびモード信号MDに基づいて、上述のように表示部172のSOC表示部302における表示を制御する。
【0051】
また、表示制御部328は、CDモードで走行可能な残り距離DEVの算出値をCDモード走行距離算出部326から受け、走行モード制御部324から受けるモード信号MDがCDモードを示しているとき、その受けた距離DEVを走行距離表示部304に表示するように表示部172を制御する。一方、表示制御部328は、モード信号MDがCSモードを示しているときは、走行距離表示部304が表示を行なわないように表示部172を制御する。
【0052】
以上のように、この実施の形態においては、CDモードとCSモードとでSOCの表示状態が切替えられる。すなわち、CDモード時は、外部充電により外部電源から供給されてCDモード時に消費されるSOC分(SOC表示部302の領域306)を、CSモード時にエンジン100を動作させて維持されるSOC分(領域308)と区別してSOCが表示され、CSモード時は、回生発電によりSOCが規定値Sthを上回っても、CDモード時における領域308と同じ表示形態(たとえば、同じ表示色)でSOCが表示される。
【0053】
したがって、この実施の形態によれば、SOCの表示とともに、そのSOCの表示により走行モードも利用者に告知できるので、走行モードを切替えて走行可能なハイブリッド車両においてユーザフレンドリーな表示を実現することができる。
【0054】
また、この実施の形態によれば、CDモード時に、CDモードで走行可能な残り距離が表示され、CSモード時は非表示とされるので、運転者は走行モードを直感的に判別することができる。
【0055】
なお、上記の実施の形態においては、蓄電装置150は、充電器180によって外部電源から充電可能としたが、外部電源から蓄電装置150の充電方法は、このような方法に限られない。たとえば、充電インレット190に接続される電力線対を第1MG110および第2MG120の中性点に接続し、充電インレット190から第1MG110および第2MG120の中性点に与えられる外部電源からの電力を第1インバータ210および第2インバータ220により変換することによって蓄電装置150を充電してもよい。
【0056】
また、上記においては、ハイブリッド車両は、外部電源から蓄電装置150を充電可能としたが、この発明の適用範囲は、外部電源から蓄電装置を充電可能なハイブリッド車両(プラグイン・ハイブリッド車)に限定されるものではない。しかしながら、プラグイン・ハイブリッド車では、外部電源から供給される安価な電力を積極的に使用するためにCDモードでの走行が推奨されるので、当該発明は、プラグイン・ハイブリッド車において特に有用である。
【0057】
なお、上記において、エンジン100は、この発明における「内燃機関」の一実施例に対応し、第2MG120は、この発明における「電動機」の一実施例に対応する。また、第1MG110および第1インバータ210は、この発明における「発電装置」の一実施例を形成し、CDモード走行距離算出部326は、この発明における「演算部」の一実施例に対応する。さらに、充電器180および充電インレット190は、この発明における「充電装置」の一実施例を形成する。
【0058】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
100 エンジン、110,120 MG、130 動力分割装置、140 減速機、150 蓄電装置、160 駆動輪、170 ECU、172 表示部、180 充電器、190 充電インレット、200 コンバータ、210,220 インバータ、230 SMR、302 SOC表示部、304 走行距離表示部、306,308 領域、322 SOC算出部、324 走行モード制御部、326 CDモード走行距離算出部、328 表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動力を発生する動力源として内燃機関および電動機を搭載するハイブリッド車両に用いられる表示装置であって、
前記ハイブリッド車両は、
前記内燃機関および前記電動機と、
前記電動機へ供給可能な電力を蓄える蓄電装置と、
前記内燃機関が発生する運動エネルギーを用いて発電し、前記蓄電装置を充電可能に構成された発電装置と、
前記電動機へ供給される電力を蓄える蓄電装置の残存容量が所定量よりも多い場合に前記内燃機関を停止して前記電動機のみを用いての走行を優先する第1走行のモードと、前記残存容量が前記所定量に一旦達すると、前記内燃機関および前記発電装置を動作させて前記残存容量を前記所定量近傍に維持する第2の走行モードとの切替を制御する走行モード制御部とを含み、
前記表示装置は、
前記残存容量を表示する表示部と、
前記第1の走行モードと前記第2の走行モードとで前記残存容量の表示状態を切替えるように前記表示部を制御する表示制御部とを備える、表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記残存容量に応じて表示領域が変化するように前記残存容量を表示し、
前記表示制御部は、前記第1の走行モード時、前記残存容量が前記所定量よりも多い第1の領域と前記残存容量が前記所定量よりも少ない第2の領域とで表示形態が異なるように前記表示部を制御し、前記第2の走行モード時、前記残存容量と前記所定量との大小関係に拘わらず前記第1の走行モード時における前記第2の領域と同じ表示形態で前記残存容量を表示するように前記表示部を制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記残存容量に基づいて、前記第1の走行モードで走行可能な距離を算出する演算部をさらに備え、
前記表示部は、前記算出された距離をさらに表示可能に構成され、
前記表示制御部は、前記第1の走行モード時、前記算出された距離を表示するように前記表示部を制御し、前記第2の走行モード時、前記算出された距離を非表示とするように前記表示部を制御する、請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記内燃機関および前記電動機と、
前記蓄電装置と、
車両外部の電源から供給される電力を受けて前記蓄電装置を充電するように構成された充電装置と、
請求項1に記載の表示装置とを備えるハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−57116(P2011−57116A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210138(P2009−210138)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】