説明

表面形状計測装置、露光装置、露光方法及びデバイス製造方法

【課題】 ウエハ上に形成されたパターンの反射率の影響やウエハに塗布されたレジストの厚さむらに起因する表面位置検出手段の計測誤差を低減する形状計測装置、及びそれを具備した投影露光装置を実現することを目的とする。
【解決手段】 光源からの広帯域光を計測光と参照光とに分離し、s偏光成分とp偏光成分の強度が等しい偏光状態であり、かつブリュースター角(偏光角とも呼ばれる)以上の入射角で、計測光を被計測物の表面に、参照光を参照ミラーにそれぞれ入射させ、被測定物で反射した計測光と前記参照ミラーで反射した参照光とを光電変換素子へ導き、計測光と参照光とが干渉することにより形成される干渉パターンを、光電変換素子により検出し、被計測物の表面形状を求める構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面形状計測装置、及び露光装置に関するものである。具体的には、膜(例えばレジスト等の感光剤)が塗布されたウエハの表面形状計測装置などに適用できる。また、別の実施形態として、露光装置に係り、特に、半導体ウエハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの被処理体を投影露光する露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面形状計測装置とそれを具備した装置の背景技術として、特に、高い表面形状計測精度が要求される半導体露光装置の例を用いて説明する。
【0003】
フォトリソグラフィー(焼き付け)技術を用いて半導体メモリや論理回路などの微細な半導体素子又は液晶表示素子を製造する際、レチクル(マスク)に描画された回路パターンを投影光学系によってウエハ等に投影して転写する投影露光装置が使用されている。
【0004】
投影露光装置においては、半導体素子の高集積化に伴い、より高い解像力でレチクルの回路パターンをウエハに投影露光することが要求されている。投影露光装置で転写できる最小の寸法(解像度)は、露光に用いる光の波長に比例し、投影光学系の開口数(NA)に反比例する。従って、露光波長を短くすればするほど解像力は向上する。このため、近年の光源は、超高圧水銀ランプ(g線(波長約436nm)、i線(波長約365nm))から波長の短いKrFエキシマレーザー(波長約248nm)やArFエキシマレーザー(波長約193nm)になり、液浸露光の実用化検討も進んでいる。更に、露光領域の一層の拡大も要求されている。
【0005】
これらの要求を達成するために、略正方形形状の露光領域をウエハに縮小して一括露光するステップ・アンド・リピート方式の露光装置(「ステッパー」とも呼ばれる)から、露光領域を矩形のスリット形状としてレチクルとウエハを相対的に高速走査し、大画面を精度よく露光するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(「スキャナー」とも呼ばれる)が主流になりつつある。
【0006】
スキャナーでは、露光中において、ウエハの所定の位置が露光スリット領域に達する前に、光斜入射系の表面位置検出手段で前記ウエハ位置における表面位置(投影光学系の光軸方向の位置、フォーカスとも記す)を計測し、前記ウエハ位置を露光する際にウエハ表面を最適な露光結像位置に合わせ込む補正を行っている。
【0007】
特に、露光スリットの長手方向(即ち、走査方向と垂直方向)には、ウエハの表面位置の高さ(フォーカス)だけではなく、表面の傾き(チルト)を計測するために、露光スリット領域に複数の計測点を有している。かかるフォーカス及びチルトの計測方法は数々提案されている。例えば、ウエハの面位置の計測方法として、光学式のセンサを使用した「特許文献1」や「特許文献2」、空気をウエハに吹き付けて、面位置を計測するガスゲージセンサを使用した「特許文献3」や、静電容量センサを使用した例などが挙げられる。
【特許文献1】特開平06−260391号
【特許文献2】米国特許第6249351号
【特許文献3】特表2006−514744号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、近年では露光光の短波長化及び投影光学系の高NA化が進み、焦点深度が極めて小さくなり、露光すべきウエハ表面を最良結像面に合わせ込む精度、所謂、フォーカス精度もますます厳しくなってきている。特に、ウエハ上のパターンの影響やウエハに塗布されたレジストの厚さむらに起因する表面位置検出手段の計測誤差が無視することができなくなってきている。
【0009】
例えば、レジストの厚さむらによって、周辺回路パターンやスクライブライン近傍には、焦点深度と比べれば小さいものの、フォーカス計測にとっては大きな段差が発生している。このため、レジスト表面の傾斜角度が大きくなり、表面位置検出手段の検出する反射光の内、レジスト裏面からの反射光が反射や屈折によって正反射角度からずれを生じてしまう。また、ウエハ上パターンの粗密の違いによって、パターンが密な領域と粗な領域とでは、反射率に差が生じてしまう。このように、表面位置検出手段が検出する反射光の内、レジスト裏面からの反射光の反射角や反射強度が変化するため、かかる反射光を検出した検出波形に非対称性が発生して計測誤差を生じてしまうことになる。
【0010】
図19には、特許文献1などによる光学式センサの場合に、反射率に差のある基板上SB上に計測光MMが照射されている模式図を示している。計測光は、角度Aだけ反射率の境界線に対して傾いている場合を示しており、計測方向はα’方向になる。ここで反射光の強度分布に関して、β’方向の3つの断面、すなわち、AA’断面、BB’断面、CC’断面における反射光の強度分布を図20に示す。同図のように、反射率が一様な領域である、AA’面とCC’面においては、反射光の対称性は良いものの、反射率に分布のある領域BB’面は、非対称な反射光のプロファイルとなり、その重心がずれることにより、計測誤差を生じることになる。これにより、その反射光を受光した際の検出波形に非対称性が生じたり、検出波形のコントラストが著しく低下したりして、ウエハ表面位置を正確に計測することが困難になる。その結果、大きなデフォーカスを生じてしまい、チップ不良を発生させてしまうことになる。
【0011】
このように、ウエハ上パターンによってレジスト表裏面の干渉により、反射光強度が変化してしまうため、その反射光を受光して正確なウエハ表面の位置を検出することが困難となってしまう場合がある。
【0012】
特許文献2のように、斜めから基板に光を照射して、その干渉信号から基板の形状を計測する装置(図23に構成図を示す)においては、受光系で受光する光にはレジスト表面からの反射光とともにレジスト裏面からの反射光が含まれる。このため、正確なレジスト表面の形状計測が困難になるという問題が発生する。図21は従来例図23に基づいて、アクチュエータ397により、サンプル表面に垂直方向に走査した場合に得られる干渉信号を示したものである。図21の干渉信号は図22のようなウエハ上パターンが無く、レジストのみ塗布された構造のサンプルを計測した場合の干渉信号である。受光する光にはレジスト表面反射光とともにレジスト裏面反射光が含まれるため、得られる干渉信号においても、レジスト表面反射光の干渉にレジスト裏面で反射した光の干渉の影響が重なり合って計測される。このため、レジスト表面の反射光だけを使用してレジスト表面の高さ情報を正確に検出することは困難である。そこで、レジスト表面と裏面からの反射光を区別して計測する方法として、特許文献2では、基板への入射角度を大きくすることで、レジスト表面からの反射率を高くする方法が提案されている。これにより、基板上のレジスト表面からの反射光を、レジスト裏面からの反射光に対して、相対的に強くすることができるとしている。
【0013】
しかしながら、AlやCuなどの高反射率基板構造の場合、レジスト裏面(レジスト/基板界面)の反射率が高く、基板への光の入射角度を大きくしてもレジスト裏面からの反射光の影響を十分に抑制することができない。このため、レジスト表面形状の計測値には誤差が発生するという課題が存在する。
【0014】
また更に、特許文献3のようなガスゲージセンサを使用する場合、ガスに混入している微小なパーティクルをウエハ上に吹き付けてしまう、あるいは、極端紫外光を用いたEUV露光装置など真空中で動作する露光装置において真空度を落とすため使用出来ないという固有の課題がある。
【0015】
そこで、本発明は、基板の反射率分布や薄膜干渉よる影響を受けずに、高精度に面形状を計測できる表面形状計測装置を提供することを目的とし、特にそれを具備した露光装置及び方法を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の表面形状計測装置及び露光装置は、
光源からの広帯域光を計測光と参照光とに分割し、計測光を前記膜の表面に斜入射させ、参照光を参照ミラーに斜入射させる照射系と、
前記膜の表面で反射した計測光と前記参照ミラーで反射した参照光とを合成し、光電変換素子に導く受光系と、
前記光電変換素子で検知された干渉信号に基づいて、前記膜の表面形状を決定する演算手段と、
を備え、
前記計測光の前記膜の表面への入射角度および前記参照光の前記参照ミラーへの入射角度は、それぞれブリュースター角よりも大きく、
前記基板の表面(該膜と基板の境界面、該膜の裏面)へ入射する計測光に含まれるs偏光の強度とp偏光の該光電変換素子の上での強度が等しい
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入射角度がブリュースター角よりも大きい場合にp偏光の位相が変化する特徴を利用してレジスト裏面からの反射光の影響を抑制することで、光学的計測の際に発生する計測誤差を低減することができる。このため、本発明は、正確にレジスト等の膜表面の面位置を計測できる表面形状計測装置を提供することができる。また、これにより、小さな焦点深度に対して高いフォーカス精度を実現し、歩留まりの向上を達成する露光装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1は、本発明の一側面としての表面形状計測装置200の構成を示す概略図である。表面形状計測装置200は、計測対象物である表面に膜の形成された基板3の膜表面の高さ方向(Z方向)の位置を検出する装置であり、以下のように構成される。すなわち、広帯域光を発するハロゲンランプまたは、LED(所謂白色LEDを含む)による光源1と、光を分岐させるためのビームスプリッタ2aと、計測対象物3を保持する基板チャックCKが配置される。さらに、計測対象物の位置を位置合わせするZステージ5、Yステージ6、Xステージ7と、参照ミラー4と、参照ミラー4で反射した光と基板3で反射した光を合波させるためのビームスプリッタ2bと、CCD又はCMOSなどの撮像素子8を加えた構成となる。なお、本実施形態では、基板3の表面にはレジストが膜として形成されている。
【0020】
以下、各構成要素の機能ならびに好ましい実施形態について説明を行う。図1において、光源1を発した光は、ビームスプリッタ2aでほぼ半分の光量の二つの光に分離され、同じ入射角度θで基板3と参照ミラー4にそれぞれ入射する。
【0021】
ここで、光源1の波長の帯域としては、400nmから800nmの波長が好ましい。但し、波長帯域は、この範囲に限らず、100nm以上の帯域が好ましく、基板3上にレジストが構成さている場合は、レジストの感光を防ぐ目的で、紫外線(350nm)以下の波長の光を、基板3上には照射しない方が好ましい。
【0022】
ビームスプリッタ2aとしては、金属膜や、誘電体多層膜など膜をスプリット膜としたキューブ型のブームスプリッタや、1μmから5μm程度の厚さの薄い膜(材質はSiCやSiNなど)で構成されるペリクル型ビームスプリッタを使用することも出来る。
【0023】
ビームスプリッタ2aで分割された計測光と参照光のうち、計測光は基板3上に照射され、基板3で反射した後、ビームスプリッタ2bに入射する。一方、参照光は参照ミラー4上に照射され、参照ミラー4で反射した後、ビームスプリッタ2bに入射する。参照ミラー4としては、面精度が10nmから20nm程度のガラス平面ミラーを使用することが好ましい。
【0024】
基板3で反射した計測光と参照ミラー4で反射した参照光は、ビームスプリッタ2bで合成され、共に撮像素子8で受光される。撮像素子8の受光面上には、基板3で反射した計測光と参照ミラー4で反射した参照光が重なった干渉光が入射する。なお、ビームスプリッタ2bは、ビームスプリッタ2aと同じものを使用することができる。
【0025】
本実施形態においては基板3と参照ミラー4への入射角度、参照ミラー4の物性、光の偏光状態の三点が、基板上の膜の裏面からの反射光の影響を抑制するための重要なポイントとなる。以下、そのポイントについて説明する。
【0026】
まず、本実施形態では、参照光と計測光をそれぞれ参照ミラー4と基板3の膜表面に対し、ブリュースター角以上の入射角で入射させている。入射光は、その入射角がブリュースター角(偏光角とも呼ばれる)以上の場合、反射光のp偏光成分の位相が反転する特徴がある。図2を用いてこの特徴について説明する。図2は、図3の構造に基づいたs偏光とp偏光の入射角に対する振幅反射率の変化を表している。ここで、レジストの屈折率(550nmの波長の光に対する値)は1.5として計算した。図2より、レジストへの入射角θの変化に対してs偏光の振幅反射率は負であるのに対して、p偏光の振幅反射率は入射角度が約57度の時に0となり、符号が正から負へと変化することが分かる。このp偏光の振幅反射率が0となる時の入射角度をブリュースター角あるいは偏光角と呼ぶ。入射角度がブリュースター角以上の場合には、s偏光とp偏光の符号は共に負となり、同位相になるという特徴がある。
【0027】
続いて、AlやCuなどの高反射率基板の構造を図4に示す。なお、高反射率基板とは、基板そのものが高反射率である場合のほか、例えばSi基板上に高反射率の膜が形成されているものも含む。また、図4の高反射率基板構造の場合における反射光のs偏光成分とp偏光成分の位相変化を図5に示す。図5(A)のように、レジスト表面への入射角度θがブリュースター角以上の時、レジスト表面から反射した光のp偏向成分の位相は反転し、s偏光成分とp偏光成分が同位相となる。一方、スネルの法則より、レジストの屈折角θ’はレジスト表面への入射角度に比べて小さくなり、基板に対する入射角度はブリュースター角以下となる。このため、図5(B)のようにレジスト裏面(レジスト/基板界面)から反射した光のs偏光成分とp偏光成分には大きさがおよそπの位相差が生じる。
【0028】
参照ミラー4においては、ブリュースター角以上の入射角度で光を入射させて、図5(A)に示すように反射した光のs偏光成分とp偏光成分を同位相とする。また、干渉信号のコントラストなどの観点から、参照ミラー4の基板および基板上の膜には、基板3上のレジスト等の膜に近い屈折率をもつSiOやSiN、SiCなどの材料を使用することが好ましい。なお、白色干渉の可干渉距離は数μmと短いことから、参照ミラーには裏面で反射した光が干渉しないように、数μm以上の厚さの基板を使用すると良い。又は、測定対象基板上の膜に近い屈折率の膜を数μm以上の厚さで成膜した基板を使用するとよい。
【0029】
図6に、図4の基板構造に入射角80度で入射させた場合に計測される干渉信号のシミュレーション波形を示す。シミュレーションでは、レジストの膜厚を2μmとすることで、レジスト表面の反射光による干渉信号とレジスト裏面の反射光による干渉信号とを分離させている。レジスト表面からの反射光と参照ミラーからの反射光は同位相であるため、レジスト表面反射光の干渉信号のs偏光成分とp偏光成分に位相ずれは生じない。一方でレジスト裏面反射光からの干渉信号は、レジスト裏面からの反射光と参照ミラーからの反射光で位相差πが生じるため、s偏光成分とp偏光成分の干渉信号波形の位相は反転する。このため、計測光と参照光がそれぞれ強度の等しいs偏光とp偏光をもつように調整することで、レジスト裏面からの反射信号のs偏光成分とp偏光成分とが打ち消し合い、レジスト裏面反射光の信号強度を低減させることができる。
【0030】
以上より、ブリュースター角以上の入射角度θ、レジストに近い屈折率の材料を使用した参照ミラー4、無偏光の三つの条件を満たすことで正確に基板表面の面位置を計測することができる。
【0031】
一般に、光源からの光には偏りが存在する。また干渉計においては、仮に、光源からの光のs偏光とp偏光の強度が等しい場合であっても、ビームスプリッタによる光の反射率と透過率の違いなどから、レジスト裏面反射光の干渉信号のs偏光とp偏光の強度を完全に一致させることは困難である。これにより、例えば無偏光での入射の場合には、レジスト裏面反射光の干渉信号は完全には打ち消し合わず、正確なレジスト表面位置の計測を妨げる原因となってしまう場合がある。以下、本実施形態における光の偏光状態の好ましい調整方法について説明する。
【0032】
計測基板上の薄膜(この場合レジスト)と同じか、屈折率が同等の膜を、数μmの膜厚で成膜した基板を、本装置上に搭載して、レジスト裏面反射光の干渉信号の影響が最も小さくなるようにs偏光とp偏光の強度比を調整するようにしている。ここで、前記強度比の調整に用いる基板の材料としては、実際に半導体プロセスで使用する材料を用いることが必要である。具体的にはSi、Al、W、Cuが現在使用されている材料である。本発明においては、例えばSi基板を用いて調整を行うことで、現状の半導体プロセスで使用される材料が基板となった場合に、本発明の効果が発揮されると考えられる。尚、将来的にSiとは異なる材料が半導体プロセスの基板の材料として使用される場合には、その材料を基板として用いて調整を行うことで本発明の目的を達成することは自明である。ここで、Si以外の材料の基板を用いた場合には前記強度比の調整状態が変化する可能性があり、ニ種類以上複数の切り替え可能な偏光調整素子を構成して、基板に応じて挿入して使用し、前記強度比の調整を行うことで本発明の目的を達成することができる。
【0033】
図1では不図示であるが、アクロマティックλ/2板が、光源1とビームスプリッタ2aの間に、光源1から発せられた光の偏光状態の調整手段として設けられている。アクロマティックλ/2板は、リターデーション特性の異なる二種類の結晶材料のエアスペース構成で組み合わせることにより、光源1の波長域において直交する偏光成分の間にλ/2の位相差を与えるものであり、市販されているものを使用することができる。更に、λ/2板には、不図示の回転駆動部が設けられており、λ/2板を回転させながら、レジスト裏面反射光の干渉信号の強度比を調整する。この調整方法においては、厚いレジストの構造の基板を使用することで、斜入射白色干渉計のレジスト表面反射光の干渉信号とレジスト裏面反射光の干渉信号とを分離させることができる。また、基板を搭載する替わりに、ウエハステージ上に設けられた基準マーク39上に計測対象基板上の膜に近い屈折率の膜を数μm以上の厚さで成膜した構造を作製しておいて、この基準マークを使用して、上述の偏光状態の調整をすることも出来る。このように、分離させたレジスト裏面反射光の干渉信号の前記強度比を調整することで、レジスト裏面反射光の干渉信号の影響を抑制することが可能となる。薄膜表面の形状を計測する場合には、入射角度が大きいほど膜の表面の反射率が高いため、入射角度は大きい方が好ましい。具体的には入射角度は70度以上が好ましい実施形態と言える。なお、入射角度が90度に近くなると、光学系の組立てが難しくなるという問題が生じる。
【0034】
続いて、干渉信号の取得方法について説明する。図1において、基板3は基板チャックCkで保持され、Zステージ5、Yステージ6、Xステージ7上に設置されている。図7のような干渉信号を撮像素子8で得るために、Zステージ5を駆動させ、基板3上の反射点に対応する撮像素子8の各画素の光強度を不図示の記憶装置に記憶するようにしている。また、基板3の計測領域を変更させる場合には、Xステージまたは、Yステージを使用して、所望の領域が撮像素子8の受光領域に位置するように位置合わせした後に、上述の計測を行うようにしている。なお、図1には図示しなかったが、Xステージ、Yステージ、Zステージの位置を正確に制御するために、レーザー干渉計をX、Y、Z軸および、ωx、ωyのチルト軸の5軸分設けるようにする。そして、レーザー干渉計の出力を元にクローズドループ制御を行うようにすることで、より高い精度で形状計測を行うことが出来る。また、基板3を、複数領域に分けて計測し、基板3全体のグローバルな形状計測を必要とする場合、レーザー干渉計を使った方が、より正確に形状データのつなぎ合わせ(ステッチィング)が出来るため、好ましい構成と言える。
【0035】
続いて、撮像素子8で取得され、記憶装置に記憶された干渉信号を信号処理して、基板3の形状を求める方法について説明する。撮像素子8におけるある画素での干渉信号を図7に示す。この干渉信号はインターフェログラムとも呼ばれており、図7の横軸はZ軸測長干渉計(測長センサとしては、静電容量センサでも良い)による計測値(Zステージ位置)、縦軸が撮像素子8の出力である。干渉信号の信号ピークの位置を算出し、それに対応したZ軸測長干渉計による計測値がその画素での高さ計測値となる。撮像素子8の全画素で高さを計測することで、基板3の三次元形状計測が可能となる。信号ピーク位置の算出としては、信号ピークの位置およびその前後の数点のデータを元に曲線(例えば2次関数)近似することで、図7の横軸であるZ軸のサンプリングピッチZpの1/10以下の分解能でピーク位置の算出が可能である。サンプリングピッチZpは、実際にZpの等ピッチでステップ的に駆動させるか、Zステージ5を等速度で駆動させ、サンプリングピッチZpになるような時間サンプリングで干渉信号を取り込むようにしても良い。なお、ピークの位置を計測する方法として、公知の技術であるFDA(US特許登録番号:5398113)を使用することも出来る。FDA法では、フーリエスペクトルの位相勾配を用いてコントラストのピーク位置を求めている。
【0036】
白色干渉方式においては、その分解能を決める鍵は,参照光と計測光の光路長差が0となる位置をいかに正確に求めるかにある。そのため、FDA法以外に、位相シフト法やフーリエ変換法により白色干渉縞の包絡線を求め,縞コントラストの最大位置から光路差のゼロ点を求め方法、位相クロス法等、いくつかの縞解析法が公知の技術として提案されている。
【0037】
(実施の形態2)
続いて、本発明の第2の実施形態として、別の構成例である表面形状計測装置に適用した実施形態について説明を行う。図8は、本発明の一側面としての表面形状計測装置200の構成を示す概略図である。表面形状計測装置200は、計測対象物である基板3の表面のZ方向位置を検出する装置であり、以下のように構成される。すなわち、前記光源1と、第1の偏光板9aと、光を分岐させるためのビームスプリッタ2aと、計測対象物3を保持する基板チャックCKと計測対象物の位置を位置合わせするZステージ5、Yステージ6、Xステージ7が配置される。さらに、参照ミラー4と、参照ミラー4で反射した参照光と基板3で反射した計測光とを重ね合わせるためのビームスプリッタ2bと、第2の偏光板9bと、CCD又はCMOSなどの撮像素子8を加えた構成となる。基板3はウエハであり、その表面にはレジストの膜が形成されている。
【0038】
以下、各構成要素の機能ならびに好ましい実施形態についての説明を行う。
【0039】
図8において、光源1を発した光は、基板3および参照ミラー4へ入射前に、第1の偏光板9aを通る。ビームスプリッタ2aで分岐された光が等しい入射角度θで基板3と参照ミラー4にそれぞれ入射する。基板3で反射した計測光と、参照ミラー4で反射した参照光は、共にビームスプリッタ2bに入射する。ここで光源1、入射角度θ、ビームスプリッタ、参照ミラーなどは実施形態1と同様なので説明は省略する。なお、ビームスプリッタ2bは、ビームスプリッタ2aと同じものを使用することができる。計測光と参照光は、第2の偏光板9bを通った後に撮像素子8で受光される。計測光と参照光は、基板3と参照ミラー4の表面で反射した後ビームスプリッタ2bで重ね合わされて干渉光となり、撮像素子8の受光面に入射する。
【0040】
以下、光源から干渉信号の取得方法や干渉信号の処理方法に関しては、実施形態1に記載の方法が、そのまま適用できるので説明は省略する。
【0041】
本実施形態では、実施の形態1に比べ、基板3と参照ミラー4での入射前と反射後に、偏光板9a,9bをそれぞれ備える。これにより、光源1を発した光は偏光状態を直線偏光に変えた後に、基板3と参照ミラー4にブリュースター角以上の角度で入射させる。基板3と参照ミラー4での反射後は、基板3と参照ミラー4への入射偏光と同じ直線偏光として受光する。
【0042】
本実施形態において、光源から発した光が撮像素子8で受光されるまでの偏光状態の変化について図9を用いて説明する。光源1を発した光は、偏光板9aによってその偏光状態が直線偏光に変化する。図9では、光源1を発して偏光板9aを通った光の偏光状態が+45°方向の直線偏光の場合について示す。
【0043】
基板3と参照ミラー4の入射角に対する反射光の位相変化は図2のようになる。このため、膜の表面から反射した光の偏光の回転方向は変わらず、+45°方向の直線偏光のままである。一方、膜/基板界面で反射した光と参照ミラー4で反射した光との間には位相差πが生じるため、膜/基板界面から反射した光は−45°方向の直線偏光に変化する。この結果、膜表面と膜/基板界面からの反射光の干渉信号は、+45°方向と−45°方向の直線偏光の二つの直交する成分となる。基板3と参照ミラー4での反射後に偏光板9bを用いて、+45°方向の直線偏光の成分のみを取り出せば、膜/基板界面からの干渉信号の成分のみを取り出すことができる。同様に、光源1を発して偏光板9aを通った光の偏光状態が−45°方向の直線偏光の場合も同様に、膜/基板界面で反射した光と参照ミラー4で反射した光との間には位相差πが生じ、膜/基板界面からの干渉信号の成分のみを取り出すことが可能となる。これより、前記参照ミラー4を用い、入射角度θをブリュースター角以上かつ偏光状態を直線偏光で入射させることで、膜/基板界面からの反射光の干渉信号の影響を抑制することができる。偏光板を使用するため、実施形態1に比べて光量が要求されるが、レジスト裏面反射光の干渉信号を効果的に取り除くことができ、ウエハ上に塗布されたレジストの表面形状を正確に計測することができる。
【0044】
以下、本実施形態の光の偏光状態の好ましい調整方法について説明する。
【0045】
計測基板上の薄膜(この場合レジスト)と同じか、屈折率が同等の膜を、数μmの膜厚で成膜した基板を、本装置上に搭載して、レジスト裏面反射光の干渉信号の影響が最も小さくなるようにs偏光とp偏光の強度比を調整するようにしている。図8の偏光板9aおよび偏光板9bには不図示の回転駆動部が設けられており、偏光版9a,9bをそれぞれ回転させながら、レジスト裏面反射光の干渉信号の強度比を調整する。この調整方法においては、厚いレジストの構造の基板を使用することで、斜入射白色干渉計のレジスト表面反射光の干渉信号とレジスト裏面反射光の干渉信号とを分離させることができる。また、基板を搭載する替わりに、ウエハステージ上に設けられた基準マーク39上に計測対象基板上の膜に近い屈折率の膜を数μm以上の厚さで成膜した構造を作製しておいて、この基準マークを使用して、上述の偏光状態の調整をすることも出来る。このように、分離させたレジスト裏面反射光の干渉信号の前記強度比を調整することで、レジスト裏面反射光の干渉信号の影響を抑制することが可能となる。
【0046】
なお、光源からの光の偏光状態を調整する際は、偏光板を回転させるかわりに、偏光板の後ろに、回転駆動部を有するλ/2板を設けて、このλ/2板を回転させて調整することも出来る。レジスト表面位置計測の場合、レジスト表面反射光の干渉信号がシグナル(S)であって、レジスト裏面反射光の干渉信号がノイズ(N)となる。したがって、このS/N比が大きいほど、高精度なレジスト表面形状計測が可能となるため、必要な形状計測精度に合わせて、前記強度比を調整することになる。例えば、調整すべき強度比の値としては、S/N比は10以上であることが望ましく、高精度な計測が必要な場合は、S/N比は20以上あるいは30以上が好ましい。このため、本実施形態の場合、偏光板9aを通った直線偏光の光は+45°方向および−45°方向に対して±1°の範囲内で調整することが望ましい。この理由は、前記直線偏光の光が±45°方向以外の角度の場合、膜表面と膜/基板界面からの反射光の干渉信号は直交せず、膜/基板界面からの反射光と干渉を起こす成分が存在するため、S/N比が低下し、高精度な表面形状計測が困難になるからである。
【0047】
偏光状態の調整の頻度は、装置出荷時に一度だけ調整し、その後は、光源の交換など、装置内の部品交換の際に調整するようにしている。又は、計測する基板に合わせて、厚め(数μm)の膜を別途用意して、その厚めの膜が形成された基板を用いて偏光状態を調整した後に、計測する基板の膜表面形状を計測することも可能である。
【0048】
なお、第2の偏光板9bが無い場合でも、レジスト表面とレジスト裏面からの反射光は二つの成分の直線偏光として受光される。このとき、受光した光が直交する二つの成分の直線偏光である場合には、同位相の参照光とレジスト表面からの反射光でのみ干渉が生じるため、レジスト裏面の干渉信号の影響を抑制することができる。干渉信号のコントラストの観点から、受光する光は直交する二つの成分の直線偏光であることが好ましい。実際にはビームスプリッタなどの影響により、位相変化にずれが生じ、完全な直線偏光を得ることが容易ではないため、本実施形態では第2の偏光板9bを用いてレジスト裏面からの反射光の影響を抑制している。
【0049】
また、基板3上の複数計測領域の形状を計測する場合には、先の実施形態と同様に、Xステージ、Yステージを駆動して、所定の領域に位置合わせをした後に、干渉信号の取得、および処理を行うようにしている。
【0050】
(実施の形態3)
続いて、本発明の第3の実施形態として、別の構成例である表面形状計測装置に適用した実施形態について説明を行う。図10は、本発明の一側面としての表面形状計測装置200の構成を示す概略図である。表面形状計測装置200は、計測対象物である基板3の表面のZ方向位置を検出する装置であり、以下のように構成される。すなわち、前記光源1と、第1の偏光板9aと、第1の波長板10aと、光を分岐させるためのビームスプリッタ2aと、計測対象物3を保持する基板チャックCKと計測対象物の位置を位置合わせするZステージ5、Yステージ6、Xステージ7が配置される。さらに、参照ミラー4と、参照ミラー4で反射した光と基板3で反射した光を合波させるためのビームスプリッタ2bと、第2の偏光板9bと、第2の波長板10bと、CCDやCMOSなどの撮像素子8を加えた構成となる。
【0051】
以下、詳細に各構成要素の機能ならびに好ましい実施形態について説明を行う。
【0052】
図10において、光源1を発した光は、基板3および参照ミラー4へ入射前に、第1の偏光板9aと第1の波長板10aを通る。ビームスプリッタ2aで分岐された光が等しい入射角度θで基板3と参照ミラー4にそれぞれ入射する。基板3上に照射され、基板3で反射した計測光と、参照ミラー4上に照射され、参照ミラー4で反射した参照光は、共にビームスプリッタ2bに入射する。ここで光源1、入射角度θ、ビームスプリッタ、参照ミラーなどは実施形態1と同様なので詳細な説明は省略する。なお、ビームスプリッタ2bは、ビームスプリッタ2aと同じものを使用することができる。計測光と参照光は、第2の波長板10bと、第2の偏光板9bを通った後に撮像素子8で受光される。計測光と参照光は基板3と参照ミラー4の表面で反射した後、撮像素子8の受光面上で重なり、光の干渉が生じる。
【0053】
ここで、波長板はアクロマティックλ/4板とする。アクロマティックλ/4板は、リターデーション特性の異なる二種類の結晶材料のエアスペース構成で組み合わせることにより、広帯域な波長域において直交する偏光成分間にλ/4の位相差を与えるものであり、市販されているものを使用することができる。
【0054】
以下、光源から干渉信号の取得方法や干渉信号の処理方法に関しては、実施形態1に記載の方法が、そのまま適用できるので説明は省略する。
【0055】
本実施形態では、実施形態1に比べ、基板3と参照ミラー4での入射前と反射後に、偏光板9aと波長板10a、偏光板9bと波長板10bをそれぞれ備える。これにより、光源1を発した光の偏光状態を直線偏光(例えばp偏光)から円偏光に変えた後に、基板3と参照ミラー4に入射角度θで入射させる。また、基板3と参照ミラー4での反射後は先の直線偏光と同じ方向に振動する光の成分のみを受光するようにしている。
【0056】
以下では本実施形態における光の偏光状態の変化を、図11を用いて説明する。光源1を発した光の偏光状態は、偏光板9aによって直線偏光に変わった後に、波長板10aにより円偏光に変化する。図11では、光源1を発して偏光板9aと波長板10aを通った光の偏光状態が右回り円偏光の場合について示す。
【0057】
参照ミラーを用いた場合、基板3と参照ミラー4の入射角に対する位相変化は図2のようになる。このため、膜表面から反射した光の偏光の回転方向は変わらず、右回り円偏光のままである。一方、膜/基板界面で反射した光と参照ミラー4で反射した光との間には位相差πが生じるため、膜/基板界面から反射した光は左回り円偏光に変化する。この結果、膜表面と膜/基板界面からの反射光の干渉信号は、波長板10bで円偏光を直線偏光に変えることで、右回りと左回りの円偏光をそれぞれ直線偏光のp偏光成分とs偏光成分に変換できる。さらに偏光板9bにより、p偏光成分のみを取り出せば、膜/基板界面からの干渉信号の成分のみを取り出すことができる。これより、前記参照ミラー4を用い、入射角度θをブリュースター角以上かつ偏光状態を円偏光で入射させた後に、波長板で直交する直線偏光成分として偏光板でレジスト反射光成分を取り出すことで、レジスト裏面の干渉信号の影響を抑制することができる。偏光板と波長版を使用するため、実施形態1に比べて光量が要求されるが、レジスト裏面からの干渉信号を効果的に取り除くことができ、ウエハ上に塗布されたレジストの表面形状を正確に計測することができる。調整方法として図6で示したように、はじめに表面信号と裏面信号が十分に分離する程度の厚い膜を基板に形成し、表面信号に対して裏面信号の相対強度が最も小さくなるように、偏光板9a,9bと波長板10a,10bの角度を調整するようにしても良い。
【0058】
なお、本実施形態において、第2の偏光板9bを用いない場合でも、レジスト表面とレジスト裏面からの反射光は直交する二つの成分の直線偏光として受光されるため、同位相の参照光とレジスト表面からの反射光でのみ干渉が生じる。これにより、レジスト裏面の干渉信号の影響を抑制することができる。実際にはビームスプリッタなどの影響により、位相変化にずれが生じ、完全な直線偏光を得ることは容易ではないため、本実施形態では第2の偏光板9bを用いてレジスト裏面からの反射光の影響を抑制している。
【0059】
光の偏光状態の調整方法については、偏光板9a,9bまたは、波長板10a,10bに回転駆動部を設けておき、先の実施形態と同様に調整を行う。すなわち、計測する基板上の薄膜(この場合レジスト)と同じか、屈折率が同等の膜を、数μmの膜厚で成膜した基板を、本装置上に搭載する。その後、偏光板9a,9bまたは、波長板10a,10bを回転させ、レジスト裏面反射光の干渉信号の影響が最も小さくなるようにs偏光とp偏光の強度比を調整するようにしている。
【0060】
基板3面上の複数の測定領域の形状を計測する場合には、先の実施例と同様に、Xステージ、Yステージを駆動して、所定の領域に位置合わせした後に、干渉信号の取得、および処理を行うようにしている。
【0061】
以上、三つの実施形態ではその説明の簡略化のため、レンズ等を使用した場合の実施形態についての説明は省略してきた。図12は本発明の一側面としての表面形状計測装置200の構成を示す概略図である。以下では、レンズ等により構成される光学系を使用した場合の実施形態について図12を用いて説明する。前記光源1から発した光はコンデンサレンズ11で集光され、透過スリット板30を通過し、レンズ12、42から構成される結像光学系16により、ビームスプリッタ2aで分岐された後に基板3と参照ミラー4の面上に結像させるようにしている。基板3と参照ミラー4で反射した光はビームスプリッタ2bで重ね合わせられた後、レンズ52、62から構成される結像光学系24により撮像素子8に結像させることで、基板3の表面を撮像素子8に結像させてもよい。なお、透過スリット板30は計測範囲を規定するために用いる。
【0062】
また、上記の三つの実施形態では基板3と参照ミラー4への入射角度が等しい場合についてのみ説明したが、参照ミラー4が前述した条件を満たせば、基板3と参照ミラー4への入射角度は一致していなくてもよい。さらに、干渉信号のコントラスト向上などを目的とし、基板3と参照ミラー4への入射角度をそれぞれ調整し、基板3と参照ミラー4からの反射光の干渉信号の強度を変えることもできる。
【0063】
(第4の実施形態)
図13は、本発明の表面形状計測装置を具備した半導体露光装置のブロック図を示す図である。図13に示すように、照明装置800と、レチクル31を載置するレチクルステージRSと、投影光学系32と、ウエハ3を載置するウエハステージWSと、ウエハステージWS上に配置された基準プレート39が配置される。加えて、表面位置計測装置33と、その演算処理部400と、表面形状計測装置200とその演算処理部410をと有する。表面形状計測装置200は、第1から第3の実施例のいずれかを用いることが出来る。なお、本実施形態の中では、それぞれの機能を明確にする目的で、表面位置計測装置33をフォーカス計測用装置33、また、表面形状計測装置200をフォーカス較正用装置200として、以下呼ぶことにする。制御部1100は、CPUやメモリを有し、照明装置800、レチクルステージRS、ウエハステージWS、フォーカス計測用33、フォーカス較正用装置200と電気的に接続され、露光装置の動作を制御する。制御部1100は、本実施形態では、フォーカス計測用装置33がウエハ3の表面位置を検出する際の計測値の補正演算及び制御も行う。
【0064】
照明装置800は、転写用の回路パターンが形成されたレチクル31を照明し、光源部800と、照明光学系801とを有する。照明光学系801は、レチクル31を均一に照明する機能や、偏光照明機能を有する。
【0065】
光源部800は、例えば、レーザーを使用する。レーザーは、波長約193nmのArFエキシマレーザー、波長約248nmのKrFエキシマレーザーなどを使用することができるが、光源の種類はエキシマレーザーに限定されない。具体的には、波長約157nmのF2レーザーや波長20nm以下のEUV(Extreme ultraviolet)光を使用してもよい。
【0066】
照明光学系801は、光源部800から射出した光束を用いて被照明面を照明する光学系であり、本実施形態では、光束を露光に最適な所定の形状の露光スリットに成形し、レチクル21を照明する。照明光学系801は、レンズ、ミラー、オプティカルインテグレーター、絞り等を含み、例えば、コンデンサーレンズ、ハエの目レンズ、開口絞り、コンデンサーレンズ、スリット、結像光学系の順で配置する。
【0067】
レチクル31は、例えば、石英製で、その上には転写されるべき回路パターンが形成され、レチクルステージRSに支持及び駆動されている。レチクル31から発せられた回折光は、投影光学系32を通り、ウエハ3上に投影される。レチクル31とウエハ3とは、光学的に共役の関係に配置される。レチクル31とウエハ3を縮小倍率比の速度比で走査することによりレチクル31のパターンをウエハ3上に転写する。なお、露光装置には、不図示の光斜入射系のレチクル検出手段が設けられており、レチクル31は、レチクル検出手段によって位置が検出され、所定の位置に配置される。
【0068】
レチクルステージRSは、図示しないレチクルチャックを介してレチクル31を支持し、図示しない移動機構に接続されている。移動機構は、リニアモーターなどで構成され、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及び各軸の回転方向にレチクルステージRSを駆動することでレチクル31を移動させることができる。
【0069】
投影光学系32は、物体面からの光束を像面に結像する機能を有し、本実施形態では、レチクル31に形成されたパターンを経た回折光をウエハ3上に結像する。投影光学系32は、複数のレンズ素子からなる光学系、複数のレンズ素子と少なくとも一枚の凹面鏡とを有する光学系(カタディオプトリック光学系)、複数のレンズ素子と少なくとも一枚のキノフォームなどの回折光学素子とを有する光学系等の使用が可能である。
【0070】
ウエハ3は、被処理体であり、フォトレジストが基板上に塗布されている。なお、本実施形態では、ウエハ3は、フォーカス計測用装置33およびフォーカス較正用装置200が面位置を検出する被検出体でもある。ウエハ3は、別の実施形態では、液晶基板やその他の被処理体に置換される。
【0071】
ウエハステージWSは、図示しないウエハチャックによってウエハ3を支持する。ウエハステージWSは、レチクルステージRSと同様に、リニアモーターを利用して、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及び各軸の回転方向にウエハ3を移動させる。また、レチクルステージRSの位置とウエハステージWSの位置は、例えば、6軸のレーザー干渉計81などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
【0072】
続いて、ウエハ3の表面位置(フォーカス)の計測点について説明する。本実施形態では、ウエハ3の全域に渡って、スキャン方向(Y方向)にウエハステージWSをスキャンしながら、フォーカス計測用装置33でウエハ面形状を計測し、スキャン方向と垂直な方向(X方向)には、WSステージをΔXだけステップする。続いて、スキャン方向にウエハの表面位置を計測する動作を繰り返し行うことにより、ウエハ3全面の形状計測を行うようにしている。なお、高スループット化のためには、フォーカス計測用装置33を複数用いて、ウエハ3上の異なるポイントの面位置を同時に計測するようにしても良い。
【0073】
このフォーカス計測用装置33は光学的な高さ計測システムを使用している。ウエハ表面に対して高入射角度で光束を入射させ、反射光の像ズレをCCDなどの位置検出素子で検出する方法をとっている。特に、ウエハ上の複数の計測すべき点に光束を入射させ、各々の光束を個別のセンサに導き、異なる位置の高さ計測情報から露光すべき面のチルトを算出している。
【0074】
以下に、フォーカス、チルト検出系33の詳細を説明する。はじめに、フォーカス計測用装置33の構成および動作について述べる。図14において、105は光源、106はコンデンサレンズ、107は複数の長方形の透過スリットが並んだパターン板、108,111はレンズ、103がウエハ、104がウエハステージ、109,110はミラー、112はCCDなどの受光素子である。なお、102は不図示のレチクルをウエハ上に投影露光するための縮小投影レンズである。光源105から出射した光は、コンデンサレンズ106により、集光され、パターン板107を照明する。パターン板107のスリットを透過した光はレンズ108、ミラー109を介してウエハ103上に所定角度で照射される。パターン板107とウエハ103はレンズ108に関して結像関係をなし、パターン板107のスリットの空中像がウエハ上に形成される。ウエハ103で反射した光は、ミラー110、レンズ111を介して、CCD112で受光される。ウエハ103のスリット像は、レンズ111によりCCD112上に再結像され、107iのようなパターン板107の各スリットに対応したスリット像からなる信号が得られる。この信号のCCD上での位置ずれを検出することにより、ウエハ103のZ方向の位置を計測するようにしている。ウエハ表面がZ方向の位置w1から、w2の位置にdZ変化した場合のウエハ3上の光軸シフト量m1は、入射角度をθinとして、以下の式で表すことができる。
m1=2・dZ・tanθin (1)
例えば、入射角θinを84度とすると、m1=19*dZとなり、ウエハの変位を19倍に拡大された変位量になる。受光素子上での変位量は(1)式に、光学系の倍率(レンズ111によるの結像倍率)が掛け合わされる。
【0075】
このようにして構成される本発明の露光装置を用いた露光方法について、詳細に説明する。図15は本発明の露光装置を使用する場合の露光方法の全体のシーケンスを示すフォローチャートである。まず、ステップS1でウエハ3を装置に搬入し、ステップS10で、このウエハに対して、フォーカス計測用装置33のフォーカス較正を行うかを判断する。ユーザーが予め、露光装置に登録しておいた「ロットの先頭ウエハであるか、複数ロットの先頭ロットのウエハであるか、フォーカス精度が厳しく求められる工程のウエハであるか」などの情報を元に自動的に判断するようにしている。ステップS10でフォーカス較正が不要と判断されたウエハはステップS1000に進み、通常の露光シーケンスが行われる。一方、ステップS10で、フォーカス較正が必要と判断された場合、ステップS100のフォーカス較正シーケンスに進む。
【0076】
ステップS100では、図16に示すフローチャートが実施される。まず、ウエハステージWSを駆動させて、フォーカス計測用装置33の下の基準プレート39が位置するように位置決めする。基準プレート39は、オプティカルフラットと呼ばれる面精度の良いガラス板などが使用され、その表面は面位置検出装置33の計測誤差が発生しないように、反射率分布のない均一な領域が設けられており、この領域を計測するようにしている。なお、基準プレート39は、露光装置の他のキャリブレーション用(例えばアライメント検出計用や、投影光学系の評価用)に必要な各種較正用マークを設けたプレートの一部を使用するようにしても良い。ステップS101で、フォーカス計測用装置33により基準プレート39のZ方向の位置を検出し、ステップ102でその計測値Omを装置上に格納する。次にステップS103では、ウエハステージWSを駆動させ、フォーカス較正用装置200の下に位置決めした後、基準プレート39上で、フォーカス計測用装置33の計測領域とXY面に関して同じ場所をフォーカス較正用装置200にて形状計測する。ステップS104では、その形状計測データPmを装置上に格納する。ステップS105で第1のオフセット1を算出する。図14に示すように、フォーカス較正用装置200の計測値Pmとフォーカス計測用装置33の計測値Omの差として、オフセット1を求める。このオフセット1は、基準プレート39の光学的に均一な面を計測しているためフォーカス計測用装置33の計測誤差が発生しない。よって、このオフセット1は本来ゼロになるべきものであるが、WSの走査方向のシステム的なオフセットや、フォーカス計測用装置33または、フォーカス較正用装置200の長期的なドリフトによって生じるものである。従って、定期的にオフセット1を取得する方が好ましいと言える。
【0077】
これで、基準プレート39を用いたフォーカス較正シーケンスS100を終了する。S100に続いて、ウエハ3のフォーカス較正シーケンスS200を行う。図16のステップS201で、ウエハステージWSを駆動させて、フォーカス計測用装置33の計測位置にウエハ3が位置するように位置決めする。ウエハ3上の計測位置Wp(ウエハ面内)は、後述する露光シーケンスの計測位置と一致させて行うこととする。ステップS201で、フォーカス計測用装置33によりウエハ3上計測位置WpのZ方向の位置を検出し、ステップ202でその計測値Owを装置上に格納する。次に、ステップS203では、ウエハステージWSを駆動させて、フォーカス較正用装置200の下に位置決めした後、ウエハ3上の計測位置Wpをフォーカス較正用装置200にて形状計測する。ステップS204では、その形状計測データPwを装置上に格納する。なお、ウエハ6上の計測点であるWpは、ウエハ内1点、ショット内1点、ショット内全点、複数ショット内全点、ウエハ内全点などの各種モードから選択できるようになっている。
【0078】
ステップS205では、第2のオフセット2を算出する。図17に示すように、フォーカス較正用装置200の計測値Pwとフォーカス計測用装置33の計測値Owの差として、オフセット2を、ウエハ3上の計測点Wp毎に求める。
【0079】
更にステップS206で、ウエハ上の計測ポイント毎に、オフセット2とオフセット1の差分を取りデータを装置に格納する。ウエハ6上の各計測ポイントにおけるオフセット量Opは、下記の式により求めることが出来る。
Op(i)=[Ow(i)−Pw(i)]−(Om−Pm) (2)
ここで、iはウエハ3上の計測位置を表すポイントNoである。
これで、ウエハ3のフォーカス較正シーケンスS200を終了する。
【0080】
続いて、較正シーケンスS100、S200が終了して行われる露光シーケンスS1000の説明を行う。図18は、露光シーケンスS1000の詳細を示したものである。図18において、ステップS1010で、ウエハアライメントを行う。ウエハアライメントは、アライメントスコープ(不図示)により、ウエハ上のマークの位置を検出して、露光装置に対して、ウエハのXY平面の位置合わせを行うものである。その後ステップS1011で、フォーカス計測用装置33により、ウエハ3上の所定箇所の面位置を計測する。この所定箇所は、先のウエハ3の較正シーケンスで計測した箇所を含むものになっている。従って、(2)式に従ったオフセット量Op(i)で、計測値を補正してウエハ全面の形状を計測する。露光装置には、この補正後のウエハ面形状データが保存される。ステップS1012では、ウエハ3はウエハステージWSにより、フォーカス計測用装置33の下の位置から、投影レンズ32の下の露光位置に第1露光ショットが位置するように移動される。同時に、露光装置の処理手段により、ウエハ3の面形状データを元に、第1露光ショットの面形状データを作成し、露光像面からのずれ量を算出する。そしてこの露光像面からのずれ量に基づいたZ方向および傾き(チルト)方向へのステージ駆動により、ほぼ露光スリット単位でウエハ表面の高さ方向の形状に合わせこむ動作を行う。ステップS1103では、露光およびウエハステージWSのY方向スキャンが行われる。こうして、第1露光ショットが露光終了するとステップS1015で未露光ショットの有無を判断し、未露光ショットが有り場合には、ステップS1012に戻る。そして第1露光ショットの場合と同様に次の露光ショットの面形状データを作成して、Z方向および傾き(チルト)方向へのステージ駆動によりほぼ露光スリット単位でウエハ表面の高さ方向の形状に合わせこむ動作を行いながら露光が行われる。ステップS1014で、露光すべきショット(即ち、未露光ショット)がないかどうかを判断し、未露光ショットがなくなるまで、上述の動作を繰り返す。全ての露光ショットの露光が終了したら、ステップS1015でウエハ3を回収し、終了する。
【0081】
本実施形態では、各ショットの露光直前に、露光ショットの面形状データを作成、露光像面からのずれ量を算出、ウエハステージの駆動量の算出を行っている。しかし、この各工程のタイミングについては、第1ショットの露光前に、全ての露光ショットに関して、面形状データを作成、露光像面からのずれ量を算出、ウエハステージの駆動量の算出を行うようにしても良い。
【0082】
また、ウエハステージWSは、シングルステージに限らず、露光時に使用する露光ステージとウエハのアライメントや面形状を計測するための計測ステージの2つを持つ、所謂、ツインステージの構成としても良い。この場合、フォーカス計測用装置33およびフォーカス較正用装置200は、計測ステージ側に配置することになる。
【0083】
最後に、本実施形態のように、露光装置に表面形状計測装置200を具備した場合の、表面形状計測装置200の光の偏光状態の調整方法について説明する。実施形態2で説明したように、数μmと厚いレジストを塗布した基板を用いて、光の偏光状態の調整を行っても良いが、ここでは、更に、露光装置の露光光の偏光を基準にした調整方法の実施形態について説明する。露光装置の照明光学系801には、通常、レチクルに照明する偏光状態を規定するための偏光照明手段が設けられている。そこで、露光装置の出荷時に、この露光光の偏光を基準にして、表面形状計測装置200の光の偏光状態を調整している。はじめに、露光光の照明光学系801内の偏光照明手段を用いて、所定の直線偏光(例えば、p偏光)を作る。次に、回転駆動部を有する偏光板に、この直線偏光の露光光を垂直に入射させる。更に、偏光板を回転させて、透過率が最大または、最小になる位置を求める。この状態が、露光光のp偏光、またはs偏光に相当する偏光状態である。この後、この偏光板を、表面形状計測装置200内の光源からの光が垂直に入射するように、取り付けるようにしている。更に、図8に示す第2の実施形態の表面形状計測装置の場合は、回転駆動部により偏光板を45度回転させて調整を終了する。このように、偏光状態の調整を、特別な基板を準備することなく、露光装置単体で行うことも可能である。
【0084】
更に、露光装置出荷時に、表面形状計測装置の偏光状態を露光光の偏光を基準に調整した後に、処理するウエハ構造に合わせて、厚膜レジスト基板で偏光状態を、回転駆動部を使用して微調整することも出来る。
【0085】
半導体露光装置の計測、加工の基板であるウエハ上には、複雑な回路パターンや、スクライブラインなどが存在するので、反射率分布やローカルチルトなどの発生率が高いため、反射率分布やローカルチルトによる計測誤差を低減できる本発明の効果は大きいと言える。ウエハ表面の面位置が正確に計測できるようになると、最適露光面とウエハ表面のフォーカス合わせの精度が向上することになり、半導体素子の性能向上や、製造歩止まりの向上にも繋がるという効果もある。
【0086】
〔デバイス製造方法の実施例〕
デバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)は、前述の実施例の露光装置を使用して感光剤を塗布した基板(ウエハ、ガラスプレート等)を露光する工程と、その基板を現像する工程と、他の周知の工程と、を経ることにより製造される。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施形態1としての形状計測装置の構成を示す図である。
【図2】入射角に対する振幅反射率の変化を説明するための図である。
【図3】図19のシミュレーションの際に用いたモデルを示す図である。
【図4】図22、図23のシミュレーションの際に用いたモデルを示す図である。
【図5】(A)(B)入射角に対するレジスト表裏面反射光の位相変化を示す図である。
【図6】レジスト表裏面反射光の干渉信号を示す図である。
【図7】本発明で得られる干渉信号を示す図である。
【図8】本発明の実施形態2としての形状計測装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態2としての形状計測装置における偏光状態を示す図である。
【図10】本発明の実施形態3としての形状計測装置の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態3としての形状計測装置における偏光状態を示す図である。
【図12】本発明の一側面としての形状測定装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施形態4における露光方法のフローチャート図である。
【図14】本発明の実施形態4における表面位置測定装置の構成を示す図である。
【図15】本発明の実施形態4における露光シーケンスのフローチャート図である。
【図16】本発明の実施形態4における較正方法のフローチャート図である。
【図17】本発明の実施形態4における較正方法を説明する図である。
【図18】本発明の実施形態4における露光方法のフローチャート図である。
【図19】従来の表面位置測定装置の課題を説明するための図である。
【図20】従来の表面位置測定装置で測定される信号プロファイルの例を示す図である。
【図21】従来の形状測定装置の課題を説明するための図である。
【図22】従来の形状測定装置の課題を説明するための図である。
【図23】従来の形状測定装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1、105 光源
2a、2b ビームスプリッタ
3 基板(計測対象物)
4 参照ミラー
5 Zステージ
6 Yステージ
7 Xステージ
8 撮像素子
9a、9b 波長版
10a、10b 偏光板
11 コンデンサレンズ
12、42、52、62、106、111 レンズ
13、22 開口絞り
16、24 結像光学系
30 スリット板
30i スリット像
31 レチクル
32 投影光学系
33 表面位置計測装置
39 基準プレート
81 6軸レーザー干渉計
103 ウエハ
107 マルチスリット板
109、110 ミラー
112 CCD
200 表面形状計測装置
400、401 信号処理装置
800 露光用光源
801 照明光学系
RS レチクルステージ
WS ウエハステージ
CK チャック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された膜の表面形状を計測する表面形状計測装置であって、
光源からの広帯域光を計測光と参照光とに分割し、計測光を前記膜の表面に斜入射させ、参照光を参照ミラーに斜入射させる照射系と、
前記膜の表面で反射した計測光と前記参照ミラーで反射した参照光とを合成し、光電変換素子に導く受光系と、
前記光電変換素子で検知された干渉信号に基づいて、前記膜の表面形状を決定する演算手段と、
を備え、
前記計測光の前記膜の表面への入射角度および前記参照光の前記参照ミラーへの入射角度は、それぞれブリュースター角よりも大きく、
前記基板の表面(該膜と基板の境界面、該膜の裏面)へ入射する計測光に含まれるs偏光の強度とp偏光の該光電変換素子の上での強度が等しい
ことを特徴とする表面形状計測装置。
【請求項2】
前記光源からの広帯域光に含まれるs偏光とp偏光との強度比を調整する偏光調整手段を備え、
その偏光調整手段は、前記基板の表面へ入射する計測光に含まれるs偏光の強度とp偏光の強度が等しくなるように、前記強度比を調整する
ことを特徴とする請求項1記載の表面形状計測装置。
【請求項3】
前記照射系は、偏光板または位相板を有し、
前記偏光調整手段は、前記偏光板または位相板を回転させる駆動部を有し、その駆動部で前記偏光板または位相板を回転させることによって前記強度比を調整する
ことを特徴とする請求項2記載の表面形状計測装置。
【請求項4】
基板に形成された膜の表面形状を計測する表面形状計測装置であって、
光源からの広帯域光を計測光と参照光とに分割し、計測光を前記膜の表面に斜入射させ、参照光を参照ミラーに斜入射させる照射系と、
前記膜の表面で反射した計測光と前記参照ミラーで反射した参照光とを合成し、光電変換素子に導く受光系と、
前記光電変換素子で検知された干渉信号に基づいて、前記膜の表面形状を決定する演算手段と、
を備え、
前記計測光の前記膜の表面への入射角度および前記参照光の前記参照ミラーへの入射角度は、それぞれブリュースター角よりも大きく、
前記照射系は、前記光源からの広帯域光に含まれる所定方向の直線偏光を透過する第1の偏光板を有し、
その所定方向の直線偏光は、s偏光およびp偏光を含む
ことを特徴とする表面形状計測装置。
【請求項5】
前記受光系は、前記膜の表面で反射した計測光および前記基板の表面で反射した計測光ならびに前記参照ミラーで反射した参照光に含まれる前記所定方向の直線偏光を透過する第2の偏光板を有する
ことを特徴とする請求項4記載の表面形状計測装置。
【請求項6】
前記所定方向は、+45°方向または−45°方向である
ことを特徴とする請求項4記載の表面形状計測装置。
【請求項7】
基板に形成された膜の表面形状を計測する表面形状計測装置であって、
光源からの広帯域光を計測光と参照光とに分割し、計測光を前記膜の表面に斜入射させ、参照光を参照ミラーに斜入射させる照射系と、
前記膜の表面で反射した計測光と前記参照ミラーで反射した参照光とを合成し、光電変換素子に導く受光系と、
前記光電変換素子で検知された干渉信号に基づいて、前記膜の表面形状を決定する演算手段と、
を備え、
前記計測光の前記膜の表面への入射角度および前記参照光の前記参照ミラーへの入射角度は、それぞれブリュースター角よりも大きく、
前記照射系は、前記光源からの広帯域光に含まれる所定方向の直線偏光を透過する第1の偏光板と、その第1の偏光板を透過した光を透過する第1の波長板と、を有し、
前記受光系は、前記膜の表面で反射した計測光および前記基板の表面で反射した計測光ならびに前記参照ミラーで反射した参照光を透過する第2の波長板を有する
ことを特徴とする表面形状計測装置。
【請求項8】
前記受光系は、前記第2の波長板を透過した光に含まれる前記所定方向の直線偏光を透過する第2の偏光板を有する
ことを特徴とする請求項7記載の表面形状計測装置。
【請求項9】
前記第1の波長板は、λ/4板である
ことを特徴とする請求項7記載の表面形状計測装置。
【請求項10】
前記参照ミラーの前記光源からの広帯域光に対する屈折率は、1.4以上2.5未満であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項記載の表面形状計測装置。
【請求項11】
原版のパターンで基板を露光する露光装置において、
請求項1乃至10のいずれか一項記載の表面形状計測装置を備える
ことを特徴とする露光装置。
【請求項12】
原版のパターンで基板を露光する露光装置において、
光を前記基板に形成された膜の表面に斜入射させて、その膜の表面で反射した光の位置を検出することで、前記膜の表面形状を計測する第1の表面形状計測ユニットと、
第2の表面形状計測ユニットとしての、請求項1乃至10のいずれか一項記載の表面形状計測装置と、
を備え、
前記第1の表面形状計測ユニットの計測結果の較正を、前記第2の表面形状計測ユニットの計測結果に基いて行う
ことを特徴とする露光装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の露光装置によって基板を露光するステップと、
前記露光された基板を現像するステップと、
を有するデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−204512(P2009−204512A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48176(P2008−48176)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】