説明

製品又はサンプルを製造又は処理するための装置及び方法

本発明は、分配工程を経て、複数の試料を処理するための、又は複数の製品を生産するための装置及び方法を提供する。この装置及び方法は、製品/試料のリアルタイムの監視を行い、かつ、リアルタイムの制御を行うことができる。この装置及び方法は、液体を、担持基部に添加する前及び添加した後の両方において、監視することができる。この装置及び方法は、処理される各製品/試料の監視を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品又はサンプルの製造又は処理に関するものである。より特定すれば、本発明は、分配によって製品又はサンプルを製造又は処理するための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造プロセス(製造処理過程)は、しばしば、異なる材料を結合することを必要とする。例えば、プリント回路ボードへの半田付け、又は薬剤の基材への活性剤の添加などを必要とする。このような材料を結合するための種々の方法が開発されてきた。例えば、プリント回路ボードに集積回路チップを接続するための半田付け方法が開発されてきた。1つのこのような方法は、チップの底面に少量の半田を供給する過程と、この半田をプリント回路ボードの表面の上の接着パッドに対して整列させる過程と、半田をリフローが起こるまで加熱するといった過程とを含んでいる。もう1つのこのような方法は、プリント回路ボードの上の接着パッドに半田を供給する過程と、続いて半田の上に部品を位置決めするとともに、半田を加熱してリフローを起こさせることにより、プリント回路ボードに電気部品を結合する過程とを含んでいる。その他の方法においては、ステンシル(型板)内の穴を介して薄い層状の半田ペーストをプリント回路ボードに供給するとともに、選択された半田のパターンをプリント回路ボード上に残すことにより生成されたパターン化された半田の層にチップを結合する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような方法は、効率及び品質に関する欠点を有している。したがって、従来の装置及び技術の製造及び品質管理に係る欠点を低減又は解消することができる、分配により製品を製造するための装置及び方法が必要とされている。
【0004】
本発明の1つの目的は、分配された構成要素を含む製品又はサンプルを製造又は処理するためのより有効な方法及び/又は装置を提供することである。
【0005】
本発明のもう1つの目的は、リアルタイムで処理過程を監視することができるこの種の方法及び/又は装置を提供することである。
【0006】
本発明のさらにもう1つの目的は、処理過程及び製品の品質のリアルタイムのフィードバック及び制御を行うことができるこの種の方法及び/又は装置を提供することである。
【0007】
本発明のさらにもう1つの目的は、製品の各々を監視することができるこの種の方法及び/又は装置、又は製造又は処理されたサンプルを提供することである。
【0008】
本発明のさらにもう1つの目的は、オフラインによる品質制御検査を最小限にし、又はなくして製品のリアルタイムの放出を容易に行うことができるこの種の方法及び/又は装置を提供することである。
【0009】
本発明のさらにもう1つの目的は、異なる製品の製造への切り替えを容易に行うことができるこの種の方法及び/又は装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の及びその他の目的を達することができ、かつ種々の利点を有する本発明は、1つ又は複数の担持基材に液体の小滴を分配することによって複数の製品を製造する設備(マシン)のための監視システムを提供する。この監視システムは、マイクロプロセッサと、マイクロプロセッサと通信を行う第1のカメラ又は映像記録装置と、第1のカメラ又は映像記録装置に動作的に接続されたトリガ装置とを有する検査システムを備えている。この検査システムは、担持基材の各々に添加されている液体の量を決定する。トリガ装置は、飛行中の液体小滴の各々の第1の画像を取得するために、第1のカメラ又は映像記録装置を作動させる。マイクロプロセッサは、第1の画像に基づいて上記液体の量を決定する。本明細書において、カメラはビデオ/デジタル記録装置を意味する。
【0011】
もう1つの態様においては、本発明は、複数の製品を製造するための装置を提供する。複数の製品の各々は、担持基材と、該担持基材上に存在する分配液体とを有している。この装置は、担持基材の各々に分配液体を液滴として分配するための分配システムと、分配システムによって担持基材の各々に添加されている分配液体の量を決定する検査システムを備えた監視システムとを備えている。検査システムは、マイクロプロセッサと、マイクロプロセッサと通信を行う第1のカメラ又は映像記録装置と、第1のカメラ又は映像記録装置に動作的に接続されたトリガ装置とを備えている。トリガ装置は、飛行中の液滴の第1の画像を取得するために、第1のカメラ又は映像記録装置を作動させる。マイクロプロセッサは、第1の画像に基づいて分配液体の量を決定する。
【0012】
もう1つの態様においては、本発明は、それぞれが担持基材と該担持基材上に分配された液体とを有している複数の製品を製造するための装置を提供する。この装置は、担持基材の各々に、分配された液体を添加する分配システムを備えている。さらに、この装置は、分配システムのリアルタイムの監視を実施して、担持基材の各々の上の分配された液体の量を決定する監視システムを備えている。
【0013】
もう1つの態様においては、本発明は、それぞれが担持基材と分配された液体とを有している複数の製品を製造する設備(マシン)のための監視システムを提供する。この監視システムは、上記設備に動作的に接続され、上記設備によって担持基材の各々に添加された、分配された液体の量を決定する確認システムを備えている。この確認システムは、担持基材の各々に光学形状測定を実施して、分配された液体の上記量を決定する。
【0014】
もう1つの態様においては、本発明は、それぞれが担持基材と分配された液体とを有している複数の製品を製造する設備(マシン)を提供する。この設備は、担持基材の各々に分配された液体を添加するための分配システムと、担持基材の各々に添加された分配された液体の量を決定するための確認システムとを備えている。確認システムは、担持基材の各々に光学形状測定を実施して、分配された液体の量を決定する。
【0015】
もう1つの態様においては、本発明は、設備(マシン)を監視する方法を提供する。上記設備は、担持基材に液体の小滴を分配することにより、複数の製品を製造する。この方法は、液体の小滴の分配に基づいてカメラを作動させる過程と、飛行中の液体の小滴の第1の画像を取得する過程と、第1の画像に基づいて液体の小滴の体積を決定する過程とを含んでいる。
【0016】
もう1つの態様においては、本発明は、それぞれが担持基材と該担持基材上に分配された液体とを有している複数の製品を製造する方法を提供する。この方法は、担持基材の各々に、分配された液体を液滴として分配する過程を含んでいる。さらに、この方法は、分配システムによって担持基材の各々に添加されている分配された液体の量を、飛行中の液滴の第1の画像を取得することにより決定し、第1の画像に基づいて分配された液体の量を決定する過程を含んでいる。検査システムが分配された液体の量を決定する際に、担持基材の各々は該装置に沿って移動を継続することができる。監視システムは、担持基材の各々に添加された分配された液体に分光法分析を実施するプローブを有する確認システムをさらに備えている。プローブが分光法分析を実施する際に、担持基材の各々は、該装置に沿って移動を継続することができる。分光法分析は、近赤外線と、中赤外線と、紫外線/可視光線と、蛍光と、レーザにより誘起された蛍光と、ラマンと、テラヘルツと、これらを任意に組み合わせたものとで構成されるグループから選択されたものを用いるものであってもよい。
【0017】
この監視システムは、担持基材の各々の上の分配された液体の第2の画像を取得する第2のカメラ又は映像記録装置を有する確認システムをさらに備えていてもよい。確認システムは、第2の画像に基づいて、担持基材の各々について、分配された液体の位置を決定する。第2のカメラ又は映像記録装置が第2の画像を取得する際に、担持基材の各々は、該設備に沿って移動を継続してもよい。
【0018】
本発明に係るこの装置は、分配された液体の温度を変化させて担持基材上での形成を促進する温度調節システムをさらに備えていてもよい。温度調節システムは、担持基材の各々に対する環境パラメータを監視するようになっていて、この環境パラメータが、温度と、空気流量と、湿度と、放射(radiation)と、製品表面温度と、これらを任意に組み合わせたものとで構成されるグループから選択されたものであってもよい。
【0019】
本発明に係るこの装置は、担持基材の各々に識別マーカーを付与する(apply)ための印刷システムを備えていてもよい。この印刷システムは、検査のために識別マーカーの第3の画像を取得するための第3のカメラ又は映像記録装置をさらに備えていてもよい。第3のカメラ又は映像記録装置が第3の画像を取得する際に、担持基材の各々は、該装置に沿って移動を継続してもよい。
【0020】
本発明に係るこの装置は、リアルタイムの監視に基づいて、分配システムのリアルタイムの制御を実施するための制御システムをさらに備えていてもよい。リアルタイムの制御は、分配システムからの分配量を調整する手段を含んでいてもよい。分配システムはノズルを有していてもよい。ここで、リアルタイムの制御は、担持基材の各々に対してノズルの位置を調整し、これにより、担持基材の各々に分配された液体の位置を調整することを含んでいてもよい。確認システムは、担持基材の各々に光学形状測定を実施して、分配された液体の上記量を決定してもよい。光学形状測定を実施する際に、担持基材の各々は、該装置に沿って移動を継続してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のその他の及びさらなる目的、特徴並びに利点は添付の図面を参照することにより、理解されるであろう。
【0022】
添付の図面、とくに図1〜図3に示すように、本発明の好ましい実施の形態に係る装置(apparatus)ないしは設備(machine)は、参照番号10で包括的に示されている。設備10は、後でより詳しく説明するように、製品を製造し、又はサンプル(試料)を処理するために、好ましくは回分量(1バッチ分)の製品又はサンプルを製造又は処理ために、互いに動作的に接続された複数の部品(構成要素)を有している。回分量は、ある量の製品であり、例えば、一定時間にわたる1回若しくは複数回の稼働、又は、一定回数の稼働などといった所定のサイクルを実施して製造又は処理されたものである。設備10は、直線状又は実質的に直線状に配置された種々の部品を有している。しかしながら、本発明は、種々の部品に対して、例えば、円形の経路又は矩形の経路などといった、その他の配置及び位置決めを行うことも想定している(意図している)。典型的な実施の形態は、分配を経由しての製品の製造について説明を行っているが、本発明は本明細書に記載された設備によって実施されるその他の処理過程(プロセス)、例えば分配を経由してのサンプルのテスト又は処理なども想定している。
【0023】
設備10の部品のこのような配置及び位置決め(配置)は、設置場所を節約するために設置面積(footprint)を小さくするともに、操作を迅速化することができる、より効率的で人間工学的な設備を実現するものである。設備10は、空間を鉛直方向に有効利用するとともに、例えば設備10によって実施される処理過程において重力を用いることを可能にすることより操作を迅速化するために、異なる高さのものとされ、又は、互いに積み重ねられた複数の部品を有していてもよい。
【0024】
設備10は、ローディングシステム100と、保持システム200と、コンベアシステム300と、分配システム400と、コーティングシステム600と、印刷システム(プリントシステム)700と、製品受入・排除システム800と、制御システム900とを有している。これらの各システム100〜900は、互いに動作的に接続され、包装(パッケージ)の準備が整った製品を効率的かつ人間工学的に製造するとともに、それぞれリアルタイムの監視を行い、好ましくはリアルタイムのフィードバックにより調整又は制御を行う。
【0025】
設備10は、基材1000と液体2000とを結合した(組み合わせた)製品を供給する。後でより詳しく説明するように、液体2000は、基材1000に分配された液滴2100(図3参照)の形態であり、分配システム400によって分配される。液体2000は、種々の物性を有している可能性があり、例えば、低粘度のもの又は高粘度のものである可能性があるので、本明細書において液体との語は、純然たる液体に限定することは意図していないということを理解すべきである。液体2000は、基材1000に分配することができるすべてのものであり、例えば、ICチップへの半田や、担持錠剤への治療用活性剤などである。当業者であれば、本発明を、種々の基材1000を種々の液体2000で処理するために利用することができるであろう。さらに、基材1000への液体2000の分配は、液滴2100の形態に限定されるものではなく、その他の流れパターン、例えば部分的又は連続的な流れの形態であってもよい。さらに、本発明は、液体2000を分配することができる種々の物質や、種々の特性(物性)を有している基材1000も想定しているということを理解すべきである。基材1000に対するこのような物質はまた、その他の液体を含んでいてもよい。
【0026】
液滴2100は、基材1000の外表面に、又は、実質的に該外表面に沿って分配され、例えば半田の場合は加熱されて基材1000に分配される。基材1000、液体2000及び結果として得られる製品に対しては、リアルタイムの監視とフィードバックと調整とが行われ、品質制御の向上が図られる。
【0027】
図1に示す好ましい実施の形態においては、ローディングシステム100は、ローディングシュート120に連結されたローディングコンテナ又はホッパ110を有している。ホッパ110は、好ましくは、移動可能であり、これにより1つ又は複数の基材1000をホッパ110にロード(供給)することができ、この後ホッパ110をローディングシュート120と連携させて移動させることができる。ローディングシュート120は、保持システム200及びコンベアシステム300に連結(連携)されている。これにより基材1000を、コンベアシステム300により、設備10を通し、ないしはこれに沿って移動させ、該基材1000をホッパ110から保持システム200に移動させることができる。
【0028】
ホッパ110及びローディングシュート120は、例えば、駆動された輪(wheel)若しくは楔型部材(wedge)、駆動されたベルト又は重力などの種々の装置及び方法を用いており、基材1000の各々を保持システム200内の指定された位置(置き場)に移動させることができる。設備10においては、ローディングシステム100の一部分は、好ましくは、コンベアシステム300の一部分の上方に配置され、機械的なローディング装置と連携させて重力を利用する。
【0029】
好ましい実施の形態においては、保持システム200は、基材1000の各々を保持することを可能にする寸法及び形状を有する基材置き場220(基材位置)を伴った複数の保持部又は保持トレー210を有している。好ましくは、保持トレー210の各々が矩形であり、基材置き場220は、等間隔で離間した行及び列の形態に配列されている。後で説明するように、この配列は、液滴2100を基材1000に添加する際に、分配システム400の操作を迅速化する。しかしながら、本発明は、基材1000の各々及び結果として生じる製品を設備10に沿って移動させる際に、これらを固定する(secure)ためのその他の構造及び方法を用いることも想定(意図)している。
【0030】
当業者であれば、保持トレー210及び基材置き場220の寸法、容量及び形状を変えて、前記と異なる形状及び/又は寸法の基材1000を収容し、効率を高めることができるであろう。さらに、保持トレー210は、単に、基材1000を一時的にコンベアシステム300に接続するための機構であってもよく、この場合は、基材、例えばその上に複数の分配物を受け入れている大きな基材などは、設備10に沿って移動する。
【0031】
保持システム200は、基材置き場220の各々に個々の基材1000を指定することにより、基材1000を追跡する(track)。これは、設備10が、基材1000、液滴2100及び製品の各々について種々のリアルタイムの監視、フィードバック及び調整の活動(activities)を行って、基材、液滴又は結果として得られる製品の各々が特定の製品に対して指定された品質制御基準に合致するか否かについての決定を行うことを可能にする。設備10によって実施される処理過程全体について、基材1000、液滴2100及び/又は製品の各々の追跡(トラッキング)を行うことは、処理過程の実施時における受入(容認)及び排除(拒絶)を可能にする。本発明はまた、リアルタイムの監視に基づいて、受入・排除システム800により除去するための容認できない基材1000の追跡も想定している。
【0032】
基材1000の各々に対して、保持システム200により、種々の追跡方法又は識別方法を用いることができる。好ましい実施の形態に係る設備10においては、保持トレー210は、制御システム900に対して情報及び識別を提供するために走査(スキャン)することができるバーコード230を有している。これはまた、処理過程全体について、個々の基材1000、液滴2100及び/又は製品を追跡及び監視するために用いることができる。後でより詳しく説明するように、処理過程全体について編集された(compiled)データは、制御システム900によって蓄積される。これらのデータは、回分式のサンプリングを用いる従来の品質制御方法とは対照的に、個々の基材1000、液滴2100及び/又は製品に基づいている。
【0033】
実施の形態に係る設備10においては、保持システム200は基材1000の各々を位置決めし、その結果、分配システム400は、液滴2100を、保持トレー210とは背向している基材の外表面1100に添加することができる。本発明は、分配システム400もまた、液滴2100を、基材1000の背向している外表面1200に添加することを想定している。これは、より大きい容量の液体2000が、基材1000によって担持されることを可能にするであろう(両方の外表面について)。
【0034】
基材1000の両側での分配はまた、例えば、異なる液体が両立せず、これらを一緒にして液体の形態で混合することができない場合、又は、異なる液体が互いの頂部に積層することができない場合などに、異なる液体2000を単一の基材に分配することを可能にする。本発明は、分配システム400が、背向する両外表面の一方に、及び/又は、両外表面に供給(堆積)することにより、1つ又は複数の異なる液体2000を基材1000に積層により添加することも想定(意図)している。本発明はまた、複数の液体が基材の外表面の一方又は両方に同時に存在する場合は、分配システム400が基材1000に複数の異なる液体2000を添加することも想定している。
【0035】
設備10はまた、異なる複数の液体2000の各々を添加するために、分配システム400により、任意の回数だけ、基材1000を再処理するのにも用いることができる。設備10は、複数の異なる液体2000の各々を基材1000に添加する、直列に接続された追加の分配システム400を有していてもよい。
【0036】
前記のものに代えて、保持システム200は、基材の両側に対してアクセスする分配システム400を設けることにより、基材1000の両側に液体2000(又は複数の異なる液体)を分配するようにしてもよい。このような代替的な分配方法の例は、これに限定する訳ではないが、反転保持トレー210を設け、これにより基材1000の各々を第2の保持トレー210に移動させるようにしているものである。その結果、背向する外表面は、第2の保持トレーと背向する。あるいは、それらの周囲又は外側の周縁部のまわりで、基材の各々を保持する保持トレーを用いて、これにより両外表面に同時にアクセスすることが可能となる。
【0037】
担持基材1000又はそれらの保持トレー210の各々の反転又は逆転は、処理過程(プロセス)の終端付近で行うことができる。その結果、背向する外表面は同一の部品によって再処理され、又は、部品の第2の集合を設備10に付加して、背向する外表面に対して処理過程を続行することができる。さらに、基材1000又はそれらの保持トレー210の各々の反転は、保持システム200により行うことができ、これにより背向している外表面において、例えば製品の両側にコーティング又は印刷などといった他の操作又は処理過程を実施することを可能にする。
【0038】
コンベアシステム300は、設備10の種々の段階又はシステムを介する、設備10に沿っての保持トレー210の移動を生じさせる。好ましい実施の形態に係る設備10においては、コンベアシステム300は、実質的に水平方向の経路に沿っての保持トレー210の移動を生じさせる。しかしながら、本発明は、空間的な経済性や重力の利用やその他の理由により移動方向の提示又は要求がある場合は、保持トレー210を、例えば鉛直方向の経路などといった、その他の方向の経路で移動させることも想定(意図)している。
【0039】
コンベアシステム300は駆動コンベア310を有している。駆動コンベア310は、図1に示す制御システム900によって制御され、好ましくは可変速のものである。保持トレー210は、好ましくは、駆動コンベア310に取り外し可能に接続される。保持トレー210は、基材1000、液滴2100及び/又は製品の分配及び監視を正確に行うために、駆動コンベア310に固定して接続され、これにより、基材置き場220の各々は、駆動コンベアに対して一定位置に維持される。好ましい実施の形態に係る設備10おいては、駆動コンベア310は、設備10の長手方向と交差する(横切る)循環式コンベアであり、より好ましくは、直列のリアルタイムの連携システム駆動ユニットである。しかしながら、本発明は、例えば、平行駆動チェーンやトラック(tracks)やベルトや輪(ホイール)などといった、保持トレーを取り外し可能に接続することができるその他のタイプ及び手法の保持トレー210の移動も想定している。
【0040】
本発明はまた、駆動コンベア310に動作的に接続することができる、互いにピボット旋回可能に結合されてベルト状の構造又はトレーベルトを形成する多数の又は一連の保持トレー210を用いることも想定している。設備10は、異なる寸法及び/又は形状の基材1000を収容するための、異なる寸法及び/又は形状の基材置き場220を備えた複数のトレーベルトを有していてもよい。このトレーベルトは、背向する端部で接続してループを形成することができる、ある長さの又は線状の保持トレー210である。異なる製品に対して保持トレー210が取り替えられるようになっている場合、トレーベルトは、駆動コンベア310に沿って供給され、この後、設備10に沿ってベルトを形成するように、背向する端部同士が固定(締結)される。駆動コンベア310に対する第2のトレーベルトの接続を促進する(容易にする)ために、好ましくは、第1のトレーベルトが駆動コンベアに沿ってかつこれとは離れて駆動される際に、第2のトレーベルトを、除去されている第1のトレーベルトの端部に接続してもよい。
【0041】
本発明はまた、任意の数の駆動コンベア310を用いることも想定している。例えば、設備10の異なるシステムは、例えば処理過程の終端で製品をより迅速に除去するために、駆動コンベアの速度の独立した制御を可能にする独立した駆動コンベア310を有していてもよい。このような代替的な実施の形態においては、制御システム900は、好ましくは、種々の独立した駆動コンベア310を制御し、これらの移動を調整する(調和させる)ことができる。
【0042】
好ましい実施の形態においては、分配システム400は、基材1000の各々に対して液体2000の添加を行い、リアルタイムの監視とフィードバックと調整とを行う。液体2000を分配するために、分配システム400は、駆動コンベア310の上方においてこれと交差する横方向に隔てられているとともに、駆動コンベアに対して長手方向(縦方向)に移動することができる構台(ガントリー)410を有している。速度及び位置を含む構台410の移動は、制御システム900によって制御される。
【0043】
構台410は、これに移動可能に接続された分配モジュール420を有している。この分配モジュール420は、駆動コンベア310と交差して横方向に伸びる、構台410の長手方向の軸(縦軸)に沿って移動することができる。速度及び位置を含む分配モジュール420の移動もまた、制御システム900によって制御される。
【0044】
構台410の移動に基づいて、かつ構台に対するそれ自体の移動に基づいて、分配モジュール420は、駆動コンベア310と保持トレー210とに対して、X軸及びY軸に沿って移動することができる。さらに、本発明は、駆動コンベア310と保持トレー210とに対して、Z軸に沿って、構台410、分配モジュール420及び/又はこれらの両方が移動することも想定している。分配モジュール420の移動は、保持トレー210上の基材置き場220に配列されている基材1000の各々に液滴2100を正確に分配することを可能にする。制御システム900はまた、分配モジュール420及び構台410の移動を調整して、異なる寸法及び形状の保持トレー210を収容することができるとともに、保持トレー上に異なる配列の基材置き場220を収容することができる。
【0045】
X軸及びY軸(要望があればZ軸も)に沿って分配モジュール420を移動させるために構台410を用いることは、基材1000の各々について、分配モジュールの正確な配列と円滑な移動とを生じさせる。これは、とくに、液滴2100が分配されている際に駆動コンベア310が分配システム400を経由して保持トレー210を移動させ続ける好ましい実施の形態に係る設備10において重要である。分配ステップ(分配段階)における基材1000の各々の設備10に沿っての連続移動は、製造処理過程の高速化を生じさせる。さらに、保持トレー210及びこれの上に載っている基材1000の円滑な連続移動は、間欠的(indexing)又は非連続な移動を介しての基材への分配とは対照的に、設備10及びその部品、とくに駆動コンベア310における摩耗及び破損を低減する。分配モジュール420は、好ましくは、X字状の経路で移動し、基材1000の各々に正確に分配を行う。図2a及び図2bに示すように、X字状の経路の寸法及び形状は、基材置き場220の間隔と分配速度とに依存する。さらに、分配モジュール420は、好ましくは分配時に基材1000の連続移動を可能にする
代替的な経路に沿って移動することができるということを、当業者は理解すべきである。
【0046】
基材1000の各々についての分配モジュール420の配列の正確さ、及び、該モジュールの移動の効率は、直交座標系における該モジュール及び構台410の移動の制御、及び、保持トレー210に沿っての基材置き場220の直交配列(矩形配列)を用いることにより、向上する。しかしながら、本発明は、例えば複数軸のロボットアームを用いる場合及び/又は異なる座標系に沿って移動させる場合などにおいて、駆動コンベア310が分配システム400を介して移動し続ける際に、基材1000の各々に対して分配モジュール420を移動させるために用いることができるその他の構造及び方法を用いることも想定している。
【0047】
好ましい実施の形態に係る設備10においては、分配システム400は、構台410に接続された1対の分配モジュール420を有している。1つより多い分配モジュール420を用いることは、液体2000を分配する上において、速度及び効率を高める。さらに、1つより多い分配モジュール420を用いることは、例えば、分配システムを介して基材を戻して再処理することにより、背向する外表面の上において、又は層状化する上において、分配システム400が、モジュールの洗浄又は交換を行うことなく、基材1000に異なる液体2000を添加することを可能にする。
【0048】
分配モジュール420は、基材1000に、所望の量の液体2000を分配する。好ましい実施の形態に係る設備10においては、分配モジュール420は、ポンプ425と、フローセル430(flow cell)と、分配ヘッド435(dispensing head)とを有している。本発明は、例えば1対の分配ヘッド435と流体をやり取りするように接続されたフローセル430及びポンプ425、及び/又は、任意の数の分配モジュールのための複数の部品又はこれらの組み合わせなどといった、複式(2重式)の部品を有する単一の分配モジュール420も想定している。
【0049】
ポンプ425は液体供給源440に接続されている。好ましい実施の形態に係る設備10においては、液体供給源440は、取り外し可能に接続することができる導管447を介してポンプ425に接続された移動可能なコンテナ445であり、これにより、液体2000を迅速かつ効率的に置き換えることができる。例えば、液体が室温では一般に固体の状態である半田又はその他のこのタイプの材料である場合、液体供給源440は、コンテナ445からポンプ425への液体2000の流れを促進するための加熱器(図示せず)を有していてもよい。
【0050】
本発明は、液体供給源440に容易に挿入又は接続することができる、取り替え可能なカートリッジ、コンテナ又はキャニスタ(図示せず)を備えた液体供給源440を用いることも想定している。少量の液体2000のみを分配するようになっている場合、取り替え可能なカートリッジ、コンテナ又はキャニスタに保持される液体供給源を備えることは、とくに、設備10の動作を迅速化するのに有利である。
【0051】
ポンプ425は、好ましくは、分配ヘッド435に、1つの液滴2100を分配させる定量型の容積式ポンプである(図2c〜図2f参照)。この定量型の容積式ポンプ425は、制御システム900によって制御され、所望の寸法の1つの液滴2100の正確な分配と分配制御とを促進する。これにより、適切な量の液体2000が基材1000に添加される。しかしながら、本発明は、例えば、基材1000に液体2000を添加する上において、同一の度合いの正確さ及び速度で液体を供給することができる分配モジュールに接続された時間制約ポンプ(time-pressure pump)又は往復動ピストンポンプなどといった、その他のタイプのポンプを用いることも想定している。
【0052】
図2e及び図2fに示すように、ポンプ425は、モータモジュール4250とピストンモジュール4280とを有している。モータモジュール4250は、モータ4255と、接続ポート4260と、調整機構4265とを有している。ピストンモジュール4280は、ピストン組立体4285とシリンダ4290とを有している。ピストンモジュール4260が接続ポート4260を介してモータモジュール4250に動作的に接続されている場合、ピストン組立体4285のピストンは駆動され、該ピストンは、往復運動及び回転運動の両方を行う。ピストンの行程(ストローク)の大きさは調整機構4265によって手動で調整することができる。本発明は、本明細書で説明しているように、リアルタイムの監視、フィードバック及び制御を用いることにより、調整を自動的に行うことも想定している。ポンプ425は、制御システム900によって制御され、選択された基材置き場220にスキップすることができる。この基材置き場220においては、その中に収容されている基材1000は、排除するように指定されている。設備10は、基材1000が前記の分配処理過程を経る前に、該基材1000の検査を行う。好ましい実施の形態においては、基材の検査は、制御システム900による検査のための基材1000の各々の画像を生成するビデオカメラ426及び構台組立体(図示せず)によって実施される。本明細書において、カメラは、ビデオ/デジタル記録装置を意味する。
【0053】
基材の状態を決定するとともに、基材置き場220において基材を適切に位置決めすることを確実化する代替的な検査装置及び検査方法を用いることができる。ポンプ425による選択的な分配は、すでに製品の要求される許容範囲(公差)に合致しないと思われ、又は液滴2100を受け取るための適切な位置に存在しないと思われる、どの基材1000についても液体2000を無駄にすることがないので、効率を高める。
【0054】
ポンプ425はフローセル430に接続されている。フローセル430は、分配ヘッド435介して分配されることになっているコンテナ445内に収容されている液体2000の量を決定する。このフローセル430は、液滴2100のリアルタイムの監視に用いられる。
【0055】
分配ヘッド435は分配ノズル450(図2d参照)を有している。この分配ノズル450を介して、加圧された定量の液体2000が分配され、液滴2100を形成する。液滴2100は基材1000の外表面に分配される。
【0056】
ノズル450は、正確な量で、分配されている液体2000を生成する。液体2000は、好ましくは、ノズル450につながるチューブを介して液体をポンプ輸送する非常に精密な容量式ピストンポンプ425によって分配される。液体の組成、粘度、ノズル450のオリフィス寸法及び構成材料を適切に選択することは、形成された液滴の再現性に対する重要及び/又は臨界的なパラメータである。
【0057】
ノズル450はまた、液体溶媒の組成/構造(composition/formulation)及び表面張力を補償することにより液滴2100の形成及び分配を促進するために、疎水性の材料で形成することができ、及び/又は、疎水性のコーティングを施すことができる。
【0058】
図2gに示す代替的な実施の形態においては、ノズル450は内部プランジャ4510を有している。この内部プランジャ4510は、正確な量の液体2000が、ポンプ425の加圧の下で分配室4520に入ることを可能にするように待避させられている(retracted)。好ましくは、プランジャ4510は、ばね4530又はその他の付勢装置によってばね荷重がかけられ、空気の圧力により、例えばソレノイド駆動の圧力源などにより、待避させることができる。液体2000は、プランジャ4510の待避の結果として分配される。自動制御の下では、プランジャ4510が開放位置にある時間、液体の容器内に保持されている圧力、及び、媒体の組成は、形成された液滴の再現性に対する重要及び/又は臨界的なパラメータである。
【0059】
室4520は、好ましくは、選択的にシール(密封)され、これにより、室と、該室内に収容されている液体2000とが、加圧下に維持される。放出過程を迅速化するために加熱器4540を利用してもよい。ノズル450は、ミクロ調整器4550(micro-adjuster)又はその他の調整機構、手動式又は自動式の調整機構(例えば、リアルタイムの監視、フィードバック及び制御を伴った制御システム900によって制御される)を有していてもよい。これにより、分配室4520を出ることが可能となる液体2000の量の調整が行われる。ノズル4560は、液体2000の分配をさらに促進する、共軸の空気排出部4560(co-axial air exhaust)であってもよい。
【0060】
分配システム400は、ポンプ及びノズルの組立体を用いて液滴2100を形成し分配する。これは、前記のとおり部品(components)が正確であり、かつそれらの挙動(activity)のリアルタイムの監視を実施する能力を有するので有利である。また、分配システム400は、ノズル450を用いることにより、球形又は実質的に球形の液滴2100を好ましく生成することができ、はね散り及びしぶきの発生を低減又は防止する。適宜に分配を促進するために、液体2000に添加剤を添加してもよい。
【0061】
分配システム400、並びに、基材1000に分配される液体2000及び液滴2100の使用は、設備10が配置された製造施設又は製造場所が中心となって液体を処理する上において、従来のシステム又は方法を超える利点を生じさせる。これは、現場外の製造及び供給を除去するなどして製造工程を減少させ、また製造に要する時間を低減してコストを低減する。液体2000中に有害な化合物が用いられている場合、これは、とくに、作業者による化合物の取り扱いを低減する上において有利である。
【0062】
分配システム400は、代替的に、液滴2100を形成して分配するためのノズルプレート組立体4600(nozzle-plate assembly)を有していてもよい(図2h〜図2jに模式的に示された部分)。この組立体4600は、貫通する孔又はノズル開口部4620を備えたプレート4610を有している。矢印4630で示すように、プレート4610は、液体2000の供給部に対して移動することができる。このような移動は、これに限定される訳ではないが、分配を起こさせるためのプレート4610の振動を含んでいる。プレート4610が液体供給部に向かって選択的に移動させられるときに、液体2000がノズル開口部4620を介して分配される。
【0063】
図2iに示すように、ノズル開口部4620の寸法は、液滴2100が異なる寸法又は体積の範囲となるように、調整又は変更することができる。プレート4610の非常に小さい開口部の寸法を正確に形成する能力及び組立体4600の分配力学構造(dispensing dynamics)は、非常に少量の液体2000を分配することを可能にする。図2jに示すように、プレート4610に複数(多数)のノズル開口部4620を設けて、列単位で分配を行うことができるようにしてもよい。
【0064】
ノズルプレート組立体4600は、液体2000と接触する材料がより低減されるように部品を最小化するのが有利である。狭い通路(channel)が存在せず、かつ、その設計仕様が空気の取り込みに対して不感性であるので、組立体4600の分配操作は信頼性が高い。プレート4610の移動による分配は、組立体4600の搭載(load)を容易にするとともに、その洗浄を容易にする。液体2000の供給部に対する死空間は、平坦な又は実質的に平坦な形状のプレート4610により最小化され、又は除去される。
【0065】
さらに、本発明は、例えば液体2000がインクカートリッジ内に搭載(load)される場合は、パッド印刷装置を用いるなどといった、基材1000に液体2000を分配するためのその他の構造及び方法を用いることも想定している。
【0066】
分配システム400は、基材1000に添加されるべき各液滴2100のリアルタイムの監視を行う分配検査システム460を有している。好ましい実施の形態に係る設備10においては、分配検査システム460は、液滴2100の高速画像化技術を用いて、液滴の体積を決定する。分配検査システム460は、構台410に接続され、かつ、各液滴2100の高速画像470(図3参照)を撮影することができる高速デジタルカメラ465を有している。好ましい実施の形態に係る設備10においては、2つの分配モジュール420の各々に対応する2つの高速デジタルカメラ465が用いられる。
【0067】
液滴2100の画像470は、好ましくは、液滴がノズル450を離れた後であって、かつ、基材1000と接触する前において、飛行中に(in-flight)撮影される。設備10は、液滴2100が高速であるので、カメラ465を起動させるためのレーザ検出器を用いて、液滴2100の画像470を取得(獲得)する(一般的には図2d参照)。しかしながら、本発明は、カメラ465を起動するとともに画像470を取得するためのその他の起動装置(トリガ装置)及び起動方法を用いることも想定している。
【0068】
制御システム900は、画像470を用いて、液滴2100の各々の体積を計算する。計算された液滴2100の体積は、基材1000に分配されている液体2000の量を決定するのに用いられる。その量が許容範囲に合致しないすべての液体2000は、制御システム900によってエラーコードが付けられる。これにより、この特定の液滴2100を有する基材1000を排除することができる。
【0069】
製品においてより大量の液体2000を必要とする場合、分配モジュール420は、複数(多数)の液滴2100又は液体2000の流れ(stream)を分配してもよい。分配検査システム460はまた、液体2000の流れの画像を獲得する能力を有し、これに基づいて液体の体積の計算を行うことができる。
【0070】
分配システム400は、分配された特定の液体2000に依存して、基材1000について液滴2100の冷却/加熱/乾燥を行う温度調節システム475を有している。例えば、半田の場合は冷却を施してこれを固体の状態とし、他方治療用活性剤の場合は乾燥を行って担持錠剤の上にフィルムを形成する。好ましい実施の形態に係る設備10においては、温度調節システム475は、温度調節器480と、温度調節器センサ又は温度調節器モニタ482(詳しくは図示していない)とを有している。温度調節器480は、例えば加熱、冷却及び/又は空気流などにより、液滴2100及び基材1000に温度変化を生じさせる。温度調節器480には、例えば炉(オーブン)、冷凍/冷却装置及び/又は送風機などといった種々の部品(構成要素)を用いることができる。温度調節器センサ482は、分配された液滴2100及び基材1000の各々の環境パラメータを又は状態を監視し、製品が要求される許容範囲に合致することを確実化する。
【0071】
例えば、温度、空気流量、湿度などの状態(条件)は、温度調節器センサ482によって監視され、温度調節器480に沿って状態の変化を獲得するために複数(多数)のこのようなセンサが用いられる。センサによって集められたデータは、各保持トレー220中の投与量分の液滴2100及び基材1000の性質(品質)を評価するために制御システム900に供給される。
【0072】
好ましい実施の形態においては、乾燥状態は保持トレー220全体で監視され、要求される許容範囲に合致しない温度調節器480の状態によって影響を受けている保持トレーに基づいて、個々の基材1000及びこれに含まれている液滴2100に対してエラーコードを指定することができる。代替的に、温度調節器480内の重要な地点に、より多くのセンサ482を配置することにより、トレーの乾燥状態を部分的に監視するようにしてもよい。さらに、本発明は、温度調節過程に関連するその他の状態(条件)又は基準、例えば、特定の製品に対してより重要である状態(条件)などを監視することも想定している。
【0073】
本発明はまた、赤外線(IR)温度調節器である温度調節器480、及び/又は、IR加熱、対流加熱、伝導加熱及び/又はマイクロ波加熱の組み合わせを用いる温度調節器480の使用も想定している。温度調節システム475は、例えば基材1000の表面温度、又はIR放射などといった状態量を検出するためのセンサ備えていてもよい。温度調節システム475はまた、例えば温度調節器480に入る、保持トレー210によって起動される光電管(フォトセル)などといった、温度調節器480を作動させるためのセンサを備えていてもよい。さらに、例えば分配された半田などのリフローを生じさせるための基材1000の加熱に温度調節器480を利用してもよい。
【0074】
分配システム400は、基材1000にすでに添加され、液体2000に対してリアルタイムの監視、フィードバック及び調整を行う分配確認システム500を有している。とくに、分配確認システム500は、基材1000における液体2000の位置決めと、基材に収容されている液体の量とを監視する。さらに、分配確認システム500は、例えば基材1000上に存在する汚染物を特定(確認)するなどしてその他の物質を監視するとともに、このようなその他の物質の量を監視してもよい。
【0075】
分配確認システム500によって得られたデータは制御システム900に供給される。制御システム900は、製品に要求される許容範囲に合致しない個々の基材1000及びそれらの液体2000に対してエラーコードを指定する。
【0076】
好ましい実施の形態に係る設備10おいては、分配量確認システム500は、基材1000の各々の画像525を取得する1対の電荷結合素子(CCD)カメラ520を備えた構台510(前記の構台410に類似する)を有している。この画像525は、基材1000に対する液体2000の位置を決定するために、制御システム900に供給される。例えば、ICチップの上の半田の位置を、画像525を分析(解析)することにより、結合(bond)の強度を決定することができるとともに、回路の短絡又は可能性のある短絡の危険性を決定することができる。
【0077】
分配確認システム500はまた、基材1000における液体2000の量、タイプ及び/又は分布を決定するために用いられるプローブ(探針)530(図2参照)を有している。好ましい実施の形態に係る設備10おいては、プローブ530は、化学画像化技術を用いて、基材1000の上に存在する液体2000の量を決定する。本発明は、分配確認システム500が、液体2000に対するその他の分析(解析)、例えば機械的ストレス(機械的応力)、結晶化度(透明性)、結晶方位(結晶方向)、組成、結晶相及び/又はドーピングなどの分析を行うことも想定している。
【0078】
プローブ530は、保持トレー210内の基材1000の各々について化学的画像化を実施する部品(構成要素)、例えば光ファイバ、焦点面アレイ(FPA)検出器、及び/又は、電荷結合素子(CCD)検出器などを有している。さらに、化学的画像化のための波長選択器として液晶可変フィルタ(liquid crystal tunable filter)を用いてもよい。化学的画像化は、液体の量の正確な測定のために、基材1000の上側表面と液体2000とへの良好な透過(penetration)を生じさせる。
【0079】
好ましい実施の形態に係る設備10においては、プローブ530は、焦点面アレイ検出器を用いて、サンプル領域内のあらゆる点から信号を取得する。サンプル領域は、好ましくは、保持トレー210の全体を含む。その結果、基材1000の全てが同時に測定され、この処理過程の効率がさらに改善される。焦点面アレイ検出器は、サンプル領域に対して全ての周波数で同時にスペクトルの情報を取得することができる。プローブ530は、液体2000の種々の特徴(特性)迅速にかつ非破壊的に測定することができる。限定されるわけではないが、例えば、液体の量、構造(formulation)及び/又は分布を検出することができるとともに、基材1000の上又は中に含有されているその他の物質を検出することができる。
【0080】
本発明は、基材1000についての特定の液体2000の存在、タイプ、分布、量又はその他の特性を決定するための種々の方法及び装置を用いることも想定している。例えば、ラマン及びUV反射を利用する化学的画像化及び/又は分光法分析、及び/又は種々のその他のタイプの画像化、化学的画像化及び/又は分光法分析などを用いることも想定している。また、例えば、UV/可視光吸収、蛍光、レーザにより誘起された蛍光、ルミネッセンス、フォトルミネッセンス、テラヘルツ、NIR及び/又は中IRなどを用いることも想定している。本発明は、製品の分析のための化学的画像化及び/又は分光法分析の使用を促進する種々の装置又は部品(構成要素)を使用することも想定している。例えば、レーザ(例えば、パルスレーザ)、ビームスプリッタ、水蒸気が存在しない環境(例えば、窒素封止(nitrogen shroud))、光学遅延(例えば、可変光学遅延)、アンテナ、及び/又は、半導体を使用することも想定している。本発明は、室温ソリッドステート検出器及び/又はパルス時間ゲートの技術及び部品を使用することも想定している。本発明は、非電離性、非侵襲性、非破壊性及び/又は要求電力が小さい、製品を分析するための技術を用いることも想定している。
【0081】
本発明は、液体2000及び基材1000の分析を可能にする任意の領域の電磁スペクトルを用いるともに、特定のタイプの分光法分析を用いる上において励起を起こさせるための種々の技術及び励起源を用いることも想定している。本発明はまた、液体2000及び基材1000の化学的画像化を用いることを可能にするデジタル画像化のためのその他の技術及び部品を用いることも想定している。さらに、分配確認システム500はあらゆるスペクトル範囲において代用検出(surrogate detection)を用いることも想定しているということを理解すべきである。
【0082】
設備10のコーティングシステム600は、基材1000及び/又は液体2000、又はこれらの一部の上に配置されたコーティング(図示せず)を形成する。コーティング2300はシール剤(シーラント)又は保護層であってもよい。コーティングシステム600は、コーティング装置610と、コーティング材源620と、コーティング乾燥機630とを有する(必要であれば、用いられる特定のコーティングに応じて)。コーティング装置610は、コーティングを基材1000の上側表面1100に移動させる。コーティング装置610のためにパッド印刷装置を用いてもよい。パッド印刷装置は、コーティング材の浪費、例えば過剰な吹きかけ(スプレー)を生じさせることなく、コーティング材を基材に有効に移動させるので、有利である。代替的な装置はまた、例えばスプレー装置(図示せず)又はインクジェット装置を用いて、基材1000にコーティングをスプレーするようになっていてもよい。スプレー装置はまた、構台615に移動可能に接続して、基材置き場220の各々を通り過ぎるようにしてもよい。本発明は、基材1000にコーティングを施すためのその他の装置及び方法、例えば超音波噴霧器(アトマイザ)などを用いることも想定している。コーティングシステム600は、間欠的な低容量噴霧スプレーを用いて、基材1000の表面の全部又は一部にコーティングを局所的に施してもよい。スプレー装置は、容積ポンプを用いて、間欠的にコーティング材料を供給するようにしてもよい。空気−液体の2流体噴霧スプレーを用いて、微細なスプレーを生成するようにしてもよい。
【0083】
好ましい実施の形態に係る設備10においては、コーティング装置610は、設備10に接続され、又はこれと隣り合って配置され、各往復行程でもって基材の配列にコーティングを施す。コーティング装置610は、構台615又はその他の同様の装置に移動可能に接続して、保持トレー220に対するコーティング装置610の移動を促進するようにしてもよい。コーティング装置610によってコーティングが施される際に、保持トレー220は移動し続ける。しかしながら、本発明は、基材置き場220の各々に対してコーティング装置610を位置決めするその他の装置及び方法を用いて、コーティングを正確に施すことも想定している。
【0084】
コーティング装置610は、コーティング材源620に取り外し可能に接続されている。好ましい実施の形態に係る設備10においては、コーティング材源620は、取り外し可能に接続することができる導管627を介してコーティング装置610に接続された移動可能なコンテナ625であり、これにより、コーティング材を迅速かつ効率的に交換することができる。
【0085】
層内に又は背向する側に基材1000を分配する場合について前記したとおり、コーティングシステムは、液体2000がどのように基材に添加されたかに応じて、例えば両側に添加されたか層間に添加されたかに応じて、必要なコーティングを施してもよい。これは、体積が大きい液体を用いることを容易にする。
【0086】
コーティング乾燥機630は、基材1000に施されたコーティング(適切であれば)と液体2000とを乾燥させるのに用いてもよい。コーティング乾燥機630は、好ましくは、炉640と、1つ又は複数の炉センサ650(詳しくは図示していない)とを有している。炉640は、コーティングに熱と空気流とを供給する。炉センサ650は、前記の温度調節センサ482と同様に、コーティングの乾燥状態を監視し、製品が要求される許容範囲に合致することを確実化する。
【0087】
設備10の印刷システム700は、基材1000に識別マーカーを付与する。この印刷システムは、好ましくは、マーカーを基材1000に移動させるパッド印刷装置710と、識別マーカーの各々の画像730を取得して画像の質を点検する(verify)1対のビデオカメラ720を有している。容認(受入)できない基材は、制御システム900によって特定され、この後システム800によって排除されるであろう。
【0088】
好ましい実施の形態に係る設備10においては、パッド印刷装置710及びカメラ720は、構台735に移動可能に接続され(構台410、510及び615と同様に)、識別マーカーが付与されている際に移動し続ける保持トレー210に対するパッド印刷装置の移動を促進する。しかしながら、本発明は、基材置き場220の各々に対して識別マーカーを正確に付与するために、パッド印刷装置710又はこれに代わる装置、例えばレーザマーキング装置、インクジェット装置又は輪転グラビア装置などを位置決めするためのその他の装置及び/又は方法を用いることも想定している。各マーカー画像730は、検査のための制御システム900のために設けられ、印刷された識別マーカーが製品の要求される許容範囲に合致するかどうかを決定する。また、本発明は、インク乾燥機(図示せず)、例えば、識別マーカーに熱及び/又は空気流を供給してこれを乾燥させる炉などを有する設備10も想定している。
【0089】
受入・排除システム800は、品質制御のためのリアルタイムの監視と調整とが行われた製品を提供し、各製品が要求される許容範囲に合致することを確実化する。設備10による処理過程の種々の段階で連続的に実施されているリアルタイムの監視に基づいて、制御システム900は、すべての製品について、それぞれ受け入れるか排除するかを指定する。
【0090】
受け入れることができる製品は、好ましくは制御システム900によって選択的に制御される付勢(bias)の下で、供給領域(詳しくは示していない)を通る一方、排除される製品は、好ましくは重力により廃物領域に落下させられる。しかしながら、本発明は、すでに制御システムによって排除すべきであると指定された製品から、制御システム900によって受け入れることができる指定される製品を分離するその他の構造及び方法を用いることも想定している。
【0091】
制御システム900は、設備10の種々の段階及びシステムを調整する(coordinate)とともに同期させる。好ましい実施の形態においては、制御システム900は、設備10の異なるシステムを制御する複数(多数)のマイクロプロセッサ910を有する分散型のプロセス制御システムである。マイクロプロセッサ910は、好ましくは、ワークステーション920を通って調整される。しかしながら、本発明は、中央の及び局所的な制御を含むその他のタイプのシステム制御、例えば複数のマイクロプロセッサ910のうちの1つによって制御されている同様のシステム又はすべてのシステムを制御する単一のマイクロプロセッサ910も想定している。
【0092】
マイクロプロセッサ910及びワークステーション920は、好ましくはイーサネットスイッチ935を用いるネットワーク930を介して、互いに通信を行うようになっている。これは、設備10によって実施されている処理過程のリアルタイムの監視、フィードバック及び調整を可能にする。本発明は、例えば配線(hardwiring)などといった通信のためのその他の構造及び方法を用いることも想定している。制御システム900はまた、保管用の(archive)マイクロプロセッサ又はヒストリアン940(historian)も有している。このヒストリアン940は、設備10によって処理されるすべての製品のそれぞれのために編集(コンパイル)された大量のデータを集中的に格納するのに用いられる。しかしながら、本発明は、例えば編集されたデータを個々に格納するマイクロプロセッサ910などといった、プロセスデータを格納するその他の方法も想定している。
【0093】
制御システム900は、好ましくは、データ、データの一部、データの要約及び/又はデータに基づく計算及び結論を表示する複数のモニタ950を有している。これにより、作業者は、行っている処理過程の監視及び/又は調整を行うことができる。より好ましくは、モニタ950は、種々のマイクロプロセッサ910及び/又はワークステーション920を用いることにより、データ、データの一部、データの要約、データに基づく計算、及びデータに基づく結論を選択的に表示することができる。好ましくは、制御システム900は、全ての製品のためのデータを記録する。これらのデータは、以下のデータの大半、好ましくは全部を含む。すなわち、時間、基材の初期状態、液滴の体積、温度調節器の温度、温度調節器の湿度、温度調節器の空気流量、基材上の液体の位置、液体の量、及び、受け入れ可能性を含む。
【0094】
本発明はまた、分配検査システム460が、リアルタイムの監視及びフィードバック制御のために光学的形状測定を利用することも想定している。光学的形状測定を実施するために分配検査システム460によって利用される部品(構成要素)、例えばレーザ及びカメラなどは、当業者に知られている。光学的形状測定の技術は、分配システム400が液滴2100ではなく流れを分配している場合は、より大きい体積、例えば10マイクロリットルより多い液体2000に対してとくに有用である。
【0095】
光学的形状測定の技術に対して、分配検査システム460は、基材1000の第1の輪郭形状(profile)を取得するために、液体2000の分配に先立って、基材1000の第1の走査(スキャン)を実施する。この後、その上に液体2000を伴った基材1000の第2の輪郭形状を取得するために、分配検査システム460によって第2の走査が実施される。第1の輪郭形状と第2の輪郭形状の相違により、基材1000にすでに分配された液体2000の体積の測定を行う。さらに、本発明は、液体2000が基材1000の上ですでに乾燥させられた後における基材1000の光学的形状を用いることも想定している。また、第1の輪郭形状は、処理過程を迅速化するとともに2つの走査の必要性をなくすために、同一の基材1000に対して予め決定された値に基づいて求めるようにしてもよい。
【0096】
本発明はまた、コンベアシステム300及び分配システム400に対して、リアルタイムのフィードバック及び調整を行うためにリアルタイムの監視を用いることも想定している。例えば、基材1000において液滴2100のより良好な位置決めを行うために速度を調整し、あるいは、液滴2100の体積を増加又は減少させ、ひいては基材において最終的には乾燥させられる液体の量を増加又は減少させるために、ポンプ425及び/又はノズル450を調整することも想定している。基材1000との接触の前及び後の両方において、液滴2100のリアルタイムの監視を用いることはまた、処理過程の実施時に生じるあらゆる損失(losses)の究明をより有効に行うことを可能にする。
【0097】
図4、図6及び図7は、本発明のもう1つの実施の形態に係る、包括的に参照番号20が付された装置ないしは設備を示している。設備20は、図1に示す好ましい実施の形態に係る前記の種々の部品と同様でありかつ同様の参照番号が付された種々の部品、すなわちコンベアシステム300、分配システム400及び制御システム900などを有している。設備20は、好ましい実施の形態をスケールダウン(縮小)したものであるが、処理段階においてリアルタイムの監視を行うものである。これらのシステム300、400及び900の各々は、互いに動作的に接続され、それぞれリアルタイムの監視が行われ、好ましくはリアルタイムのフィードバック及び調整がなされた製品を効率的かつ人間工学的に製造する。
【0098】
保持トレー210は、基材1000が設備20に対して降下を始める部位において、駆動コンベア310の上に手動で配置される。各保持トレー210は、該トレー上のバーコード230及びスキャナ235を用いることにより特定される。保持トレー210は、設備20に沿って移動し続け、分配システム400に至る。分配システム400では、構台410に取り付けられた分配モジュール420が、基材1000の各々に液滴2100を分配する。ビデオカメラ465は、分配されている各液滴の画像を撮影し、この画像とフローセル430とを関連させて用いて、分配されている液体の量のリアルタイムの監視が行われる。
【0099】
温度調整器480を通り抜けた後、基材1000の外表面に、又は実質的に外表面に沿って液体2000が形成され。そして、基材1000の各々について、液体2000の位置及び量のリアルタイムの監視が行われる。構台510に取り付けられたビデオカメラ520は、各基材1000及びその上の各液体2000の画像525を取得する。この画像525は、液体2000の位置及び量を得るために、制御システム900によって処理される。
【0100】
分光法分析を用いて、カメラ520は、分配及び乾燥を行った後に残っている堆積スポット(堆積部位)の画像525を獲得する。画像解析ソフトウエアは、グレースケールを用いて、画素の数と画素の相対強度とを表にし、背後に残っている乾燥されたスポットの画像を現像する。この情報に基づいて、基材1000の上の液体2000の量が決定される。
【0101】
この後、保持トレー210は、駆動コンベア310から手動で除去される。データは、分配位置、液体2000の量、及び乾燥状態に関して、製品毎に編集(コンパイル)される。このデータは、制御システム900によって、各製品が受け入れ可能であるか排除すべきかの指定を行うために用いられる。設備20は、個々の基材1000の特定を行うために、該設備の異なる段階で個別のスキャナ235を用いる。
【0102】
図5に、本発明の第2の代替的な実施の形態に係る、包括的に参照番号20’が付された装置ないしは設備を示す。図4、図6及び図7に関して説明した前記の実施の形態と同様に、設備20’は、図1に示す好ましい実施の形態に係る設備10をスケールダウンしたものである。設備20’は、設備10及び設備20と同様の特徴を多く有している。そして、これらの特徴、例えばコンベアシステム300や分配システム400などには、同様の参照番号が付されている。設備20’は、設備20の特徴を含み、さらに構台510を有し、分配システム500と容易に結合して用いることができるので、本発明のモジュール性(modularity)を例示している。
【0103】
設備10、20及び20’に関して説明したシステム及び/又は部品(構成要素)中の一部のものは、ある種の製品のために利用することは必ずしも必要とされないということを理解すべきである。例えば、これに限定される訳ではないが、厳しく規制される製品は厳格な品質制御を必要とする。制御システム900は、あるシステムを用いないことにより、他のシステムを同期させるであろう。これは、例えば基材1000及び液体2000の乾燥が最小限であるか又は必要とされない場合は、処理過程の効率を最大限に高めることができ、その他の活動を大幅に迅速化することができる。
【0104】
本発明は、設備10、20、20’並びにその種々の部品及びシステムがモジュール式の組立品であることを想定している。これは、設備10、20、20’が、選択された不必要な部品を除去することによって、特定の製品に対してのみ必要とされる活動を行い、時間を節約することを可能にする。例えば、コーティングを施さない場合は、保持トレー220がコーティング温度調整器630を通るのを回避することができる。
本発明は、設備10、20、20’の種々の活動を行う異なる部品が互換性を備えることも想定している。例えば、化学画像化を実施するプローブ530を、その他のタイプの分析を実施するその他のプローブ、例えばラマン、UV反射率、蛍光及び/又はテラヘルツを利用する分光法分析及び化学画像化などと取り換えることも想定している。設備10、20、20’は、特定の製品に対して最も効果的で正確なタイプの分析、ひいてはこのような分析を実施する部品(構成要素)を利用してもよい。本発明はまた、制御システム900が、特定の製品に対して、どのようなタイプの分析及びこれに対応する部品を用いるべきかを指示することも想定している。
【0105】
さらに、本発明は、設備10、20、20’によって実施される処理過程が包装ステップを含むことも想定しているが、この場合は、とくに製品のリアルタイムの提供が利用される場合に、最終段階で、出荷の準備が整った製品を提供することができる。設備10、20、20’の設計仕様及びモジュール性は、処理過程(適切であれば)に包装ステップを付加することを容易にする。
【0106】
設備10、20、20’はまた、従来の設備に対して同様の調整を行う場合に比べて非常に短時間で、異なる製品に製造品目を変更する能力を有する。異なる製品への製造の変更を行うための設備10、20、20’の洗浄は、迅速に取り外すことができる分配モジュール420の洗浄を必要とするだけである。分配モジュール420は、時間がかかる修理ではなく取り換えを行うことが可能であるので、比較的低コストである。
【0107】
設備10、20、20’は、製造ステップと品質制御ステップとに基づいて、製品を製造する上における効率を改善する。処理過程の連続処理方式は、直接の包装が非常に容易である製品を迅速かつ効率的に製造する。この場合、製品に実施されるその他の品質制御テストを行うことは何ら必要とはされない。また、設備10、20、20’は、従来の装置及び技術のように製造を停止することを必要とせずに、処理過程を連続的に実施することができる。
【0108】
本発明に係るリアルタイムの監視、フィードバック及び調整は、不必要な製造ステップ(例えば、排除される基材への分配)を生じさせず、基材の各々の個々の特性(物性)に基づいて品質管理を行わせる。本発明は、コストの点で有効(有利)である。なぜなら、従来の製品のサンプリング方法のようにかなり多数の不良錠剤を有する回分量の製品を全部廃棄するのではなく、制御システム900によって特定された不良の薬剤製品300を廃棄するだけですむからである。
【0109】
本発明は、設備10、20、20’の個々のシステム又はこれらの組み合わせを、他の装置と組み合わせて用い、本明細書において説明している1つ又は複数のステップを行うことも想定している。さらに、当業者は、リアルタイムの監視及び/又はフィードバックの程度(degree)は、製造される特定の製品に依存して、及び/又は、その他の因子に基づいて変更することができるということを理解すべきである。例えば、しかしこれに限定される訳ではないが、設備10、20、20’は、液滴2100が担持基材1000に正確に分配されたか否かを検出するために高速の画像化を利用するだけでもよい。好ましくは、分配検査システム460の体積計算(volume calculation)はまた、液滴2100中の液体2000の量を計算するためにも利用される。しかしながら、従来の品質管理技術の使用はまた、回分式のサンプリングなどを用いることも想定している。また、本発明は、従来の品質管理技術、例えば本明細書で説明している設備10、20、20’のためのリアルタイムの監視及び/又はフィードバックと並行して回分式のサンプリングを用いることも想定している。
【0110】
さらに、当業者は、製品を製造するために、設備10、20、20’について本明細書で説明している種々の装置、技術及び/又はシステムを、それ自体で利用することができ、また設備10、20、20’の1つ又は複数のその他のシステムと組み合わせて利用することができ、あるいは、従来の装置と組み合わせて利用することができるということを理解すべきである。例えば、しかしこれに限定される訳ではないが、分配検査システム460の体積計算及び高速の画像化に続いて、結果的に得られる製品の品質制御のために従来の回分式のサンプリング技術を利用してもよい。
【0111】
分配検査システム460の体積計算及びビデオ画像化は、製品のための多目的のリアルタイムの監視及びフィードバック制御をもたらす。このタイプの品質管理は、液体2000の特定の構造(formulation)に依存しない。これは、このような依存性をもつ化学画像化のある種の形態とは対照的である。
【0112】
本明細書においては、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「上側」、「下側」及びこれらに類似する語句は、種々の構成要素を修正するために用いられているということにも注目すべきである。これらの修正は、とくにことわらない限り、修正された構成要素に対して、空間的、連続的(sequential)又は階層的な順序を意味するものではない。
【0113】
本明細書では、1つ又は複数の典型的な実施の形態を用いて本発明を説明しているが、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変形を行うことができ、かつその構成要素をその等価物と置き換えることができるということを理解すべきである。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の事情(situation)又は材料を本明細書の開示事項の教示に適合するように多くの修正を行うことができる。それゆえ、本発明は、最良の形態が想定されているここに開示された特定の実施の形態によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に属するすべての実施態様を含むものであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る設備の斜視図である。
【図2】図1に示す設備の自動化機構の構成部品を示す模式図である。
【図2a】図1に示す設備の分配モジュールの連続した移動の1つの経路を示す図である。
【図2b】図1に示す設備の分配モジュールの連続した移動のもう1つの経路を示す図である。
【図2c】図1に示す設備の分配アセンブリの斜視図である。
【図2d】図2cに示す分配アセンブリの斜視断面図である。
【図2e】図2cに示す分配アセンブリのポンプモジュールの斜視図である。
【図2f】図2cに示す分配アセンブリのモータモジュールの斜視図である。
【図2g】図1に示す設備のノズルのもう1つの実施例の斜視断面図である。
【図2h】図1に示す設備の分配アセンブリのもう1つの実施例を示す模式図である。
【図2i】図2hに示す分配アセンブリから分配することができる液滴の範囲を示す模式図である。
【図2j】複数のノズル又は孔を備えた、図2hに示す分配アセンブリの模式図である。
【図3】図1に示す設備によって分配された液滴の高速ビデオ画像示す図である。
【図4】本発明の代替的な実施の形態に係る設備の斜視図である。
【図5】本発明のもう1つの代替的な実施の形態に係る設備の斜視図である。
【図6】図4に示す設備を構成する部品の模式図である。
【図7】図4に示す設備を構成する部品の相互間の通信系統を示す模式図である。
【符号の説明】
【0115】
10 設備、100 ローディングシステム、110 ホッパ、120 ローディングシュート、200 保持システム、300 コンベアシステム、400 分配システム、600 コーティングシステム、700 印刷システム、800 受入・排除システム、900 制御システム、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持基材に液体の小滴を分配することによって複数の製品を製造する設備のための監視システムであって、
マイクロプロセッサと、上記マイクロプロセッサと通信を行う第1のカメラ又は映像記録装置と、上記第1のカメラ又は映像記録装置に動作的に接続されたトリガ装置とを有する検査システムを備えていて、
上記検査システムが、上記担持基材の各々に添加されている液体の量を決定し、
上記トリガ装置が、飛行中の上記小滴の各々の第1の画像を取得するために、上記第1のカメラ又は映像記録装置を作動させ、
上記マイクロプロセッサが、上記第1の画像に基づいて上記液体の上記量を決定する監視システム。
【請求項2】
上記検査システムが上記液体の上記量を決定する際に、上記担持基材の各々が上記設備に沿って移動を継続する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
担持基材の各々に添加された上記液体に分光法分析を実施するプローブを有する確認システムをさらに備えている、請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
上記プローブが上記分光法分析を実施する際に、上記担持基材の各々が上記設備に沿って移動を継続する、請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
上記分光法分析が、近赤外線と、中赤外線と、紫外線/可視光線と、蛍光と、レーザにより誘起された蛍光と、ラマンと、テラヘルツと、これらを任意に組み合わせたものとで構成されるグループから選択されたものを用いるものである、請求項3に記載の監視システム。
【請求項6】
上記担持基材の各々の上の上記液体の第2の画像を取得する第2のカメラ又は映像記録装置を有する確認システムをさらに備えていて、
上記確認システムが、上記第2の画像に基づいて、上記担持基材の各々について上記液体の位置を決定する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項7】
上記第2のカメラ又は映像記録装置が上記第2の画像を取得する際に、上記担持基材の各々が上記設備に沿って移動を継続する、請求項6に記載の監視システム。
【請求項8】
それぞれが担持基材と該担持基材上に分配された液体とを有している複数の製品を製造するための装置であって、
上記担持基材の各々の上に、上記の分配された液体を液滴として分配する分配システムと、
上記分配システムによって上記担持基材の各々に添加されている上記の分配された液体の量を決定する検査システムを有する監視システムとを備えていて、
上記検査システムが、マイクロプロセッサと、上記マイクロプロセッサと通信を行う第1のカメラ又は映像記録装置と、上記第1のカメラ又は映像記録装置に動作的に接続されたトリガ装置とを有し、
上記トリガ装置が、飛行中の上記液滴の第1の画像を取得するために、上記第1のカメラ又は映像記録装置を作動させ、
上記マイクロプロセッサが、上記第1の画像に基づいて上記の分配された液体の上記量を決定する装置。
【請求項9】
上記検査システムが上記の分配された液体の上記量を決定する際に、上記担持基材の各々が該装置に沿って移動を継続する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
上記監視システムが、担持基材の各々に添加された上記の分配された液体に分光法分析を実施するプローブを有する確認システムをさらに備えている、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
上記プローブが上記分光法分析を実施する際に、上記担持基材の各々が該装置に沿って移動を継続する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記分光法分析が、近赤外線と、中赤外線と、紫外線/可視光線と、蛍光と、レーザにより誘起された蛍光と、ラマンと、テラヘルツと、これらを任意に組み合わせたものとで構成されるグループから選択されたものを用いるものである、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
上記監視システムが、上記担持基材の各々の上の上記の分配された液体の第2の画像を取得する第2のカメラ又は映像記録装置を有する確認システムをさらに備えていて、
上記確認システムが、上記第2の画像に基づいて、上記担持基材の各々について上記の分配された液体の位置を決定する、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
上記第2のカメラ又は映像記録装置が上記第2の画像を取得する際に、上記担持基材の各々が該装置に沿って移動を継続する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
上記の分配された液体の温度を変化させて上記担持基材上での形成を促進する温度調節システムをさらに備えている、請求項8に記載の装置。
【請求項16】
上記温度調節システムが上記担持基材の各々に対する環境パラメータを監視し、
上記環境パラメータが、温度と、空気流量と、湿度と、放射と、製品表面温度と、これらを任意に組み合わせたものとで構成されるグループから選択されたものである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
担持基材の各々に識別マーカーを付与するための印刷システムと、検査のために上記識別マーカーの第3の画像を取得するための第3のカメラ又は映像記録装置とをさらに備えている、請求項8に記載の装置。
【請求項18】
上記第3のカメラ又は映像記録装置が上記第3の画像を取得する際に、上記担持基材の各々が該装置に沿って移動を継続する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
それぞれが担持基材と該担持基材上に分配された液体とを有している複数の製品を製造するための装置であって、
上記担持基材の各々に、上記の分配された液体を添加する分配システムと、
上記分配システムのリアルタイムの監視を実施して、上記担持基材の各々の上の上記の分配された液体の量を決定する監視システムとを備えている装置。
【請求項20】
上記リアルタイムの監視に基づいて、上記分配システムのリアルタイムの制御を実施するための制御システムをさらに備えていて、
上記リアルタイムの制御が、上記分配システムから分配している、分配された液体の量を調整することを含んでいる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
上記分配システムがノズルを有し、
上記リアルタイムの制御が、上記担持基材の各々に対して上記ノズルの位置を調整し、これにより、上記担持基材の各々の上の、上記の分配された液体の位置を調整することを含んでいる、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
それぞれが担持基材と分配された液体とを有している複数の製品を製造する設備のための監視システムであって、
上記設備に動作的に接続され、上記設備によって上記担持基材の各々に添加された、上記の分配された液体の量を決定する確認システムを備えていて、
上記確認システムが、上記担持基材の各々に光学形状測定を実施して、上記の分配された液体の上記量を決定する監視システム。
【請求項23】
上記担持基材の各々が上記設備に沿って移動を継続しているときに、上記確認システムが上記光学形状測定を実施する、請求項22に記載の監視システム。
【請求項24】
それぞれが担持基材と分配された液体とを有している複数の製品を製造する設備であって、
上記担持基材の各々に、上記の分配された液体を添加するための分配システムと、
上記担持基材の各々に添加された、上記の分配された液体の量を決定するための確認システムとを備えていて、
上記確認システムが、上記担持基材の各々に光学形状測定を実施して、上記の分配された液体の上記量を決定する設備。
【請求項25】
上記担持基材の各々が該設備に沿って移動を継続しているときに、上記確認システムが上記光学形状測定を実施する、請求項24に記載の設備。
【請求項26】
担持基材に液体の小滴を分配することにより複数の製品を製造する設備を監視する方法であって、
上記液体の小滴の分配に基づいて、カメラ又は映像記録装置を作動させる過程と、
飛行中の液体の小滴の第1の画像を取得する過程と、
上記第1の画像に基づいて上記液体の小滴の体積を決定する過程とを含む方法。
【請求項27】
上記第1の画像を取得している際に、上記担持基材の各々を上記設備に沿って連続的に移動させる過程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
上記担持基材の各々に添加された上記液体に分光法分析を実施する過程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
上記分光法分析を実施している際に、上記担持基材の各々を上記設備に沿って連続的に移動させる過程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
上記担持基材の各々の上の上記液体の第2の画像を取得する過程と、
上記第2の画像に基づいて、上記担持基材の各々に対する上記液体の位置を決定する過程とをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
上記第2の画像を取得している際に、上記担持基材の各々を上記設備に沿って連続的に移動させる過程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
それぞれが担持基材と該担持基材上に分配された液体とを有している複数の製品を製造する方法であって、
上記担持基材の各々に、上記の分配された液体を、液滴として分配する過程と、
分配システムによって上記担持基材の各々に添加されている上記の分配された液体の量を、飛行中の上記液滴の第1の画像を取得することにより決定し、上記第1の画像に基づいて、上記の分配された液体の上記量を決定する過程とを含む方法。
【請求項33】
上記第1の画像を取得している際に、上記担持基材の各々を上記設備に沿って連続的に移動させる過程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
上記担持基材の各々に添加された、上記の分配された液体に分光法分析を実施する過程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
上記分光法分析を実施している際に、上記担持基材の各々を上記設備に沿って連続的に移動させる過程をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
上記担持基材の各々の上の上記の分配された液体の第2の画像を取得する過程と、
上記第2の画像に基づいて、上記担持基材の各々に対する上記の分配された液体の位置を決定する過程とをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
上記第2の画像を取得している際に、上記担持基材の各々を上記設備に沿って連続的に移動させる過程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
上記の分配された液体の温度を変化させて、上記担持基材上での形成を促進する過程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
上記担持基材の各々に識別マーカーを付与する過程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
検査のために上記識別マーカーの第3の画像を取得する過程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
上記第3の画像を取得している際に、上記担持基材の各々を上記設備に沿って連続的に移動させる過程をさらに含む、請求項40に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図2g】
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【図2h】
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【図2i】
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【図2j】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−506531(P2008−506531A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527750(P2007−527750)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/020390
【国際公開番号】WO2005/124297
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】