説明

貫通導電体を有する半導体装置およびその製造方法

【課題】 より簡単な方法(プロセス)で且つより低い製造コストで製造できる、貫通導電体を有する半導体装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】
SiO2膜(第1絶縁膜)23は、シリコン基板11の貫通孔14の内側面とシリコン基板11の裏面を覆うと共に、表面電極15の裏面に達する透孔31を貫通孔14の内部に持つ。配線膜24は、SiO2膜23上に所定パターンで形成されると共に、貫通孔14の内部で透孔31を介して表面電極15の裏面に接触せしめられている。外部電極25は、配線膜24上に形成されていて、貫通孔14の内部で配線膜24の内側に残存する空隙を充填する充填部25aを持ち、配線膜24の貫通孔14の内部にある部分と充填部25aとが、貫通導電体として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、さらに言えば、半導体基板をその厚さ方向に貫通して延在する導電体(以下、貫通導電体という)を有する半導体装置(例えば固体撮像装置)と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置は近年、いっそうの小型化・高機能化が進んでいるが、それに伴って携帯電話機、携帯型コンピュータ等の携帯機器、さらには自動車等への搭載が進んでおり、利用分野がますます広がりつつある。
【0003】
固体撮像装置は一般に、透明カバー(ガラスカバー)を含む合成樹脂製パッケージ中にチップ状の固体撮像素子を封止して構成され、前記透明カバーを通って当該固体撮像素子の内部に入射した光が前記固体撮像素子の表面側に設けられた撮像面(受光面)に照射されるようにしている。前記固体撮像素子の出力端子は、当該パッケージに設けられた複数の外部電極に電気的に接続されており、入射光に応じて前記固体撮像素子で生成された電気信号は、前記外部電極を通じて当該固体撮像装置の外部の回路に供給される。このような構成のパッケージは、チップ状の固体撮像素子とほぼ同じ大きさであることから、チップサイズパッケージ(Chip-Size Package,CSP)と呼ばれている。
【0004】
ところで、この種の固体撮像装置において、前記外部電極を前記固体撮像素子(あるいはパッケージ)の裏面側に配置する場合、当該固体撮像装置を小型化するために、前記固体撮像素子を構成する半導体基板をその厚さ方向に貫通して延在する導電体(貫通導電体)が使用されることがある。これは、前記固体撮像素子(前記半導体基板)の表面側にある前記出力端子と、その裏面側にある前記外部電極とを電気的に接続する配線を、前記固体撮像素子の外部に配置すると、当該固体撮像装置のサイズがそれだけ大きくなるが、前記貫通導電体を利用すればそれが不要となり、当該固体撮像装置をいっそう小型化できるからである。なお、前記貫通導電体は、貫通電極、埋込配線、導電性プラグなどとも呼ばれる。
【0005】
このような貫通導電体を有する固体撮像装置の例は、例えば、非特許文献1(「日経エレクトロニクス」2005年11月21日号、「ワイヤ接続にこだわらず代替パッケージで価値向上」、105頁〜109頁)に開示されている。非特許文献1の108頁の図3に記載されている固体撮像装置(株式会社ザイキューブ製)は、固体撮像素子(ベアチップ)をその厚さ方向に貫通する貫通導電体を有しており、それら貫通導電体を介して、前記固体撮像素子の表面側にある電極(パッド)を固体撮像素子の裏面側にあるプリント回路基板の配線に電気的に接続している。
【0006】
このような貫通導電体の一般的形成方法は、次のようなものである。まず、半導体基板の裏面側からエッチングして、半導体基板の表面側にあるパッド(表面電極または配線膜)までそれぞれ達する複数の貫通孔を形成する。次に、それら貫通孔の内側面を絶縁膜で覆ってから、それら貫通孔の内部に充填されるように導電材を堆積した後、これをパターニングし、一端が対応する前記パッドに接触せしめられた導電性プラグ(貫通導電体)を得る。これら導電性プラグが貫通導電体である。その後、シリコン基板の裏面側に絶縁膜を介して所定パターンの配線膜を形成する。これらの配線膜は、対応する前記導電性プラグの他端に接触している。最後に、前記配線膜上の所望の位置に外部電極をそれぞれ形成する。こうして、前記外部電極の各々を、前記配線膜および前記導電性プラグを介して対応する前記パッド(表面電極または配線膜)に電気的に接続することができる。
【0007】
このような貫通導電体の公知の形成方法としては、特許文献1に開示されたものがある。これは、三次元積層構造を持つ半導体装置に使用される貫通電極について述べたものである(第4実施形態、図17〜図20、段落0182〜0187を参照)。
【非特許文献1】「日経エレクトロニクス」2005年11月21日号 (105頁〜109頁)
【特許文献1】WO2006/019156A1(第4実施形態、図17〜図20、段落0182〜0187)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した貫通導電体の一般的形成方法では、半導体基板のエッチングによる貫通孔の形成、貫通孔の内側面への絶縁膜の被覆、貫通孔への導電材の充填、導電材のパターニングによる導電性プラグ(貫通導電体)の形成、半導体基板の裏面への絶縁膜の被覆、半導体基板の裏面の絶縁膜上への配線膜の形成、配線膜上への外部電極の形成といった多くの工程が必要であるため、製造工程が煩雑であり、したがって製造コストが高いという難点がある。よって、より少ない工程数で且つ実施が簡単な方法(プロセス)で貫通導電体と外部電極を形成できるようにして製造コストを低減させることが望まれる。
【0009】
このようにして製造コストを下げることは、固体撮像装置だけではなく、固体撮像装置以外の貫通導電体を有する各種半導体装置にとっても必要なことである。
【0010】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、上述した貫通導電体の一般的形成方法よりも簡単な方法(プロセス)で、且つそれよりも低い製造コストで貫通導電体を形成することができる半導体装置と、その製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、貫通導電体と外部電極を含む経路の電気抵抗を低くすることができる半導体装置と、その製造方法を提供することにある。
【0012】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1) 本発明の第1の観点による半導体装置は、
半導体基板を貫通する貫通導電体を有する半導体装置であって、
表面側に所定の素子または回路が形成されると共に、表面側から裏面側まで貫通した貫通孔を有する半導体基板と、
前記半導体基板の表面側において前記貫通孔と重なり合う位置に形成された、前記素子または回路に電気的に接続された表面電極と、
前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に所定パターンで形成されると共に、前記貫通孔の内部において前記透孔を介して前記表面電極の裏面に接触せしめられた配線膜と、
前記配線膜上に形成された外部電極とを備え
前記外部電極は、前記貫通孔の内部において前記配線膜の内側に残存する空隙を充填する充填部を有しており、
前記配線膜の前記貫通孔の内部にある部分と前記充填部とが、前記貫通導電体として機能することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第1の観点による半導体装置では、前記半導体基板の貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面は、前記第1絶縁膜で覆われているが、前記第1絶縁膜上に形成された前記配線膜は、前記貫通孔の内部において前記第1絶縁膜の透孔を介して前記表面電極の裏面に接触せしめられている。また、前記配線膜上に形成された前記外部電極は、前記充填部を有していて、その充填部により、前記貫通孔の内部において前記配線膜の内側に残存する前記空隙を充填している。そして、前記配線膜の前記貫通孔の内部にある部分と前記充填部が、前記貫通導電体として機能する。このため、上述した貫通導電体の一般的形成方法のような、前記貫通孔の内部に充填されるように導電材(ポリシリコン等)を堆積した後、その導電材をパターニングして導電性プラグ(貫通導電体)を形成するという工程が不要である。
【0015】
また、前記貫通孔の内部で前記第1絶縁膜の透孔を介して前記表面電極に接触するように前記配線膜を形成した後、その配線膜上に前記外部電極を形成して前記空隙を充填すればよいので、例えば、前記配線膜を金属で作製し、それをシードメタルとして使用して導電性の良好な金属の無電解メッキ法により、前記充填部を持つ前記外部電極を形成することができる。したがって、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて導電膜を堆積してからそれをパターニングする方法に比べて、前記外部電極の形成工程が簡略化されるだけでなく、その工程自体も低コストで実施できる。
【0016】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法よりも簡単な方法(プロセス)で、且つそれよりも低い製造コストで、貫通導電体を有する半導体装置を製造することができる。
【0017】
さらに、本発明の第1の観点による半導体装置では、前記第1絶縁膜上に前記配線膜が形成され、その配線膜上に前記外部電極が形成されている。また、前記貫通孔の内部において、前記第1絶縁膜の透孔を介して前記配線膜が前記表面電極の裏面に接触している。このため、前記表面電極と前記外部電極の間に存在するのは前記配線膜だけであるから、構造的にポリシリコン等の他の導電材を介在させる必要がない。また、前記配線膜と前記外部電極に電気抵抗の低い金属(例えば銅)を使用することができるので、それらの電気抵抗を下げることも容易である。よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、前記貫通導電体と前記外部電極を含む経路の電気抵抗を低くすることが可能である。
【0018】
(2) 本発明の第1の観点による半導体装置の好ましい例では、前記貫通孔の内部では、前記第1絶縁膜が前記貫通孔の内側面上に直接形成され、前記貫通孔の外部では、前記半導体基板の裏面と前記第1絶縁膜の間に第2絶縁膜が形成される。
【0019】
この例では、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間に前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜が存在するので、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間の電気的絶縁性が良好となり、その結果、前記第2絶縁膜が存在しない場合に比べて前記第1絶縁膜を薄くすることができるという利点がある。
【0020】
(3) 本発明の第1の観点による半導体装置の他の好ましい例では、前記貫通孔の内部では、前記第1絶縁膜が前記貫通孔の内側面上に直接形成され、前記貫通孔の外部では、前記第1絶縁膜が前記半導体基板の裏面上に直接形成される。
【0021】
この例では、前記第1絶縁膜が、前記貫通孔の内側面上と前記半導体基板の裏面上に直接形成されるので、前記第1絶縁膜の形成が簡単であるという利点がある。この場合、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間の電気的絶縁性を確保するため、前記第1絶縁膜の厚さを大きめに設定するか、他の絶縁膜を重ねて形成するのが好ましい。
【0022】
(4) 本発明の第1の観点による半導体装置のさらに他の好ましい例では、前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜に重ねて形成される。
【0023】
この例では、前記貫通孔の内側面と前記配線膜の間および前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間に、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜が存在するので、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間の電気的絶縁性が良好となるという利点がある。前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜は同じ材質(例えばいずれもSiO2)であってもよいし、異なる材質(例えば一方がSiO2で他方がSiNx)であってもよい。
【0024】
(5) 本発明の第1の観点による半導体装置のさらに他の好ましい例では、前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜に重ねて形成され、前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第3絶縁膜が、前記第2絶縁膜に重ねて形成される。
【0025】
この例では、前記貫通孔の内側面と前記配線膜の間および前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間に、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜が存在するので、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間の電気的絶縁性がより良好となるという利点がある。また、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜の種類と厚さを調整することによって寄生容量の低減が可能であるという利点もある。
【0026】
(6) 本発明の第1の観点による半導体装置のさらに他の好ましい例では、前記外部電極がメッキ金属により形成される。
【0027】
この例では、メッキ法を用いて前記充填部を持つ前記外部電極を容易に且つ低コストで形成することができるという利点がある。
【0028】
(7) 本発明の第1の観点による半導体装置のさらに他の好ましい例では、前記第1絶縁膜の前記貫通孔の内側面上における厚さが、前記第1絶縁膜の前記半導体基板の裏面上の厚さよりも小さく設定される。
【0029】
この例では、前記表面電極の裏面と前記貫通孔の内側面と前記半導体基板の裏面とを覆うように前記第1絶縁膜を形成した後、それをマスクなしで異方性エッチングして、前記第1絶縁膜の前記表面電極の裏面上にある部分のみを選択的に除去して前記透孔を形成することが可能となるので、前記第1絶縁膜の形成が容易であるという利点がある。
【0030】
(8) 本発明の第1の観点による半導体装置のさらに他の好ましい例では、前記半導体装置が固体撮像装置とされる。
【0031】
(9) 本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法は、
半導体基板を貫通する貫通導電体を有する半導体装置の製造方法であって、
所定の素子または回路が表面側に形成されていると共に、前記素子または回路に電気的に接続された表面電極を表面側に備えている半導体基板を用意し、
前記半導体基板をその裏面側から選択的に除去して、前記半導体基板をその裏面側から表面側まで貫通して前記表面電極に達する貫通孔を形成し、
前記半導体基板の裏面側から第1絶縁膜を形成して、前記半導体基板の裏面と前記貫通孔の内側面と前記表面電極の裏面とを覆い、
前記半導体基板の裏面側から前記第1絶縁膜の前記表面電極の裏面上にある部分を選択的に除去することによって、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記第1絶縁膜に形成し、
前記貫通孔の内部において前記第1絶縁膜の前記透孔を介して前記表面電極の裏面に接触するように、前記第1絶縁膜上に所定パターンで配線膜を形成し、
前記貫通孔の内部に残存する空隙を充填する充填部を持つように、外部電極を前記配線膜の表面に形成し、
前記配線膜の前記貫通孔の内部にある部分と前記充填部とを、前記貫通導電体として機能させることを特徴とするものである。
【0032】
本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法では、前記半導体基板にその裏面側から前記貫通孔を形成した後、前記半導体基板の裏面側から前記第1絶縁膜を形成して、前記半導体基板の裏面と前記貫通孔の内側面と前記表面電極の裏面とを覆う。その後、前記半導体基板の裏面側から前記第1絶縁膜の前記表面電極の裏面上にある部分を選択的に除去することによって、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記第1絶縁膜に形成し、もって前記表面電極の裏面を露出させる。そして、前記貫通孔の内部において前記第1絶縁膜の前記透孔を介して前記表面電極の裏面に接触するように、前記第1絶縁膜上に所定パターンで前記配線膜を形成する。最後に、前記貫通孔の内部に残存する空隙を充填する充填部を持つように、前記外部電極を前記配線膜の表面に形成する。
【0033】
このため、前記外部電極を形成する際に、前記空隙を充填する前記充填部(これと前記配線膜の前記貫通孔の内部にある部分とが前記貫通導電体として機能する)が一緒に形成される。したがって、上述した貫通導電体の一般的形成方法のような、前記貫通孔の内部に充填されるように導電材(ポリシリコン等)を堆積した後、その導電材をパターニングして導電性プラグ(貫通導電体)を形成するという工程が不要である。
【0034】
また、前記貫通孔の内部で前記透孔を介して前記表面電極の裏面に接触するように前記配線膜を形成した後、その配線膜上に前記外部電極を形成して前記空隙を充填すればよいので、例えば、前記配線膜を金属で作製し、それをシードメタルとして使用して導電性の良好な金属の無電解メッキ法により、前記充填部を持つ前記外部電極を形成することができる。したがって、CVD法やPVD法を用いて導電膜を堆積してからそれをパターニングする方法に比べて、前記外部電極の形成工程が簡略化されるだけでなく、その工程自体も低コストで実施できる。
【0035】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法よりも簡単な方法(プロセス)で、且つそれよりも低い製造コストで、貫通導電体を有する半導体装置を製造することができる。
【0036】
さらに、本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法では、前記第1絶縁膜上に所定パターンで前記配線膜を形成して、前記貫通孔の内部において前記透孔を介して前記表面電極の裏面に接触させた後、その配線膜上に前記外部電極を形成する。このため、前記表面電極と前記外部電極の間に存在するのは前記配線膜だけであるから、ポリシリコン等の他の導電材を介在させる工程が不要である。また、前記配線膜と前記外部電極に電気抵抗の低い金属(例えば銅)を使用することができるので、それらの電気抵抗を下げることも容易である。よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、よりも、前記貫通導電体と前記外部電極を含む経路の電気抵抗を低くすることが可能である。
【0037】
(10) 本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法の好ましい例では、前記貫通孔の内部では、前記第1絶縁膜が前記貫通孔の内側面上に直接形成され、前記貫通孔の外部では、前記半導体基板の裏面と前記第1絶縁膜の間に第2絶縁膜が形成される。
【0038】
この例では、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間に前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜が存在するので、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間の電気的絶縁性が良好となり、その結果、前記第2絶縁膜が存在しない場合に比べて前記第1絶縁膜を薄くすることができるという利点がある。
【0039】
(11) 本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法の他の好ましい例では、前記貫通孔の内部では、前記第1絶縁膜が前記貫通孔の内側面上に直接形成され、前記貫通孔の外部では、前記第1絶縁膜が前記半導体基板の裏面上に直接形成される。
【0040】
この例では、前記第1絶縁膜が、前記貫通孔の内側面上と前記半導体基板の裏面上に直接形成されるので、前記第1絶縁膜の形成が簡単であるという利点がある。この場合、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間の電気的絶縁性を確保するため、前記第1絶縁膜の厚さを大きめに設定するか、他の絶縁膜を重ねて形成するのが好ましい。
【0041】
(12) 本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜に重ねて形成される。
【0042】
この例では、前記貫通孔の内側面と前記配線膜の間および前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間に、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜が存在するので、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間の電気的絶縁性が良好となるという利点がある。前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜は同じ材質(例えばいずれもSiO2)であってもよいし、異なる材質(例えば一方がSiO2で他方がSiNx)であってもよい。
【0043】
(13) 本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜に重ねて形成され、前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第3絶縁膜が、前記第2絶縁膜に重ねて形成される。
【0044】
この例では、前記貫通孔の内側面と前記配線膜の間および前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間に、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜が存在するので、前記半導体基板の裏面と前記配線膜の間の電気的絶縁性がより良好となるという利点がある。また、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜の種類と厚さを調整することによって寄生容量の低減が可能であるという利点もある。
【0045】
(14) 本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記外部電極が導電性金属のメッキ法により形成される。
【0046】
この例では、メッキ法を用いて前記充填部を持つ前記外部電極を容易に且つ低コストで形成することができるという利点がある。
【0047】
(15) 本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記表面電極の裏面と前記貫通孔の内側面と前記半導体基板の裏面とを覆うように前記第1絶縁膜を形成した後、それをマスクなしで異方性エッチングして、前記第1絶縁膜の前記表面電極の裏面上にある部分のみを選択的に除去して前記透孔が形成される。
【0048】
この例では、前記第1絶縁膜の形成が容易であるという利点がある。
【0049】
(16) 本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記半導体装置が固体撮像装置とされる。
【発明の効果】
【0050】
本発明の第1の観点による半導体装置および本発明の第2の観点による半導体装置の製造方法では、(a)上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、簡単な方法(プロセス)で、且つそれよりも低い製造コストで貫通導電体を形成することができる、(b)上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、貫通導電体と外部電極を含む経路の電気抵抗を従来よりも低くすることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0052】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1の概略構成を示す要部断面図、図2はその固体撮像装置1の全体構成を示す一部切欠断面図である。
【0053】
(第1実施形態の固体撮像装置の構成)
この固体撮像装置1は、図1および図2に示すように、チップサイズパッケージ(CSP)中にチップ状の固体撮像素子10を封止して構成されている。このパッケージは、不透明な(つまり遮光性を持つ)絶縁性合成樹脂50と、透明なガラスカバー40とから形成されている。絶縁性合成樹脂50は、固体撮像素子10とガラスカバー40の側面のみを覆っている。ガラスカバー40は、固体撮像素子10の上面を覆っており、固体撮像素子10の下面は露出している。
【0054】
この固体撮像装置1は、固体撮像素子10の表面にある撮像面Sとガラスカバー40との間にキャビティを有していないが、有していてもよい。また、固体撮像素子10とガラスカバー40の側面を覆っている絶縁性合成樹脂50は、当該側面からの入射光が問題にならない場合は、省略してもよい。
【0055】
固体撮像素子10は、単結晶シリコン(Si)基板11を備えている。シリコン基板11の表面には、所定レイアウトで複数の受光素子領域21が形成されており、それらの受光素子領域21の各々には受光素子(図示せず)が形成されている。シリコン基板11の全表面は、透明な層間絶縁膜12で覆われており、その層間絶縁膜12の上には透明な層間絶縁膜13が形成されている。
【0056】
層間絶縁膜13の表面は、固体撮像素子10の撮像面Sであって、そこには、R(赤)、G(緑)、B(青)三色用の(これら三色に黒色を加えた四色用でもよい)マイクロカラーフィルタ17がアレイ状に形成されている。マイクロカラーフィルタ17の上には、同じくアレイ状に配置された複数のマイクロレンズ18a、すなわちマイクロレンズアレイ18が形成されている。これらのマイクロレンズ18aは、撮像面S上において、マイクロカラーフィルタ17のR、G、B各色の要素に対して一つづつ形成されている。マイクロレンズ18aおよびマイクロカラーフィルタ17の各要素は、層間絶縁膜12と13を介して、シリコン基板11中の対応する受光素子領域21にそれぞれ重なり合うように配置されている。
【0057】
R、G、B三色用の三つの隣接する受光素子領域21と、それらと重なり合ったマイクロカラーフィルタ17の三つの要素と三つのマイクロレンズ18aとが、一つの画素に対応する。
【0058】
固体撮像素子10は、受光素子領域21の全体を包含する矩形の撮像領域を撮像面S上に画定しており、その撮像領域に照射された光を感知するようになっている。外部の被写体からガラスカバー40を透過して固体撮像装置1の内部に入射した光(入射光)は、マイクロレンズアレイ18とマイクロカラーフィルタ17とを介して受光素子領域21の各々に照射され、受光素子領域21毎に受光強度に応じた電気信号に変換される。それら電気信号には、図示しない信号処理回路によって所定の信号処理が施され、前記被写体の画像が再生される。こうして被写体の撮像が行われる。
【0059】
層間絶縁膜12の表面には、受光素子領域21の外周領域(撮像領域の周辺領域)において、受光素子領域21を取り囲むように複数の表面電極15が形成されている。これら表面電極15は、矩形リング状の前記外周領域のほぼ全体にわたって、所定間隔で配置されている。表面電極15は、各受光素子領域21で受光素子により生成された電気信号を固体撮像素子10の裏側に導出するために使用されるものであり、シリコン基板11の表面と層間絶縁膜12の内部に形成された引出用配線(図示せず)を介して、対応する受光素子領域21に電気的に接続されている。
【0060】
各表面電極15の周辺部は、層間絶縁膜13によって覆われているが、それ以外の部分は層間絶縁膜13から露出している。つまり、表面電極15が配置されている矩形リング状の領域(表面電極領域)では、各表面電極15の周辺部以外の部分を露出させる透孔が複数個、所定間隔で配置されている。しかし、各表面電極15の全面が層間絶縁膜13によって覆われていてもよい。
【0061】
層間絶縁膜13の表面(すなわち撮像面S)には、マイクロレンズ22とマイクロカラーフィルタ17と表面電極15に起因する凹凸が存在している。
【0062】
層間絶縁膜13の表面(撮像面S)には、SOG材料膜は存在せず、当該表面に直接、透明な接着剤膜30が形成されており、層間絶縁膜13の全面を覆っている。層間絶縁膜13の表面(撮像面S)を基準とした接着剤膜30の厚さは、マイクロレンズ22とマイクロカラーフィルタ17の厚さ(高さ)の和よりも大きいので、マイクロレンズ22とマイクロカラーフィルタ17は接着剤膜30中に埋め込まれている。また、各表面電極15上で層間絶縁膜13に形成された透孔も、接着剤膜30によって充填されているため、表面電極15も接着剤膜30中に埋め込まれている。したがってマイクロレンズ22とマイクロカラーフィルタ17と表面電極15によって撮像面Sに形成された凹凸は、接着剤膜30中に埋没していて、接着剤膜30の表面は平坦である。
【0063】
透明なガラスカバー40は、接着剤膜30の平坦な表面に載置されている。換言すれば、ガラスカバー40は、接着剤膜30によって層間絶縁膜13の表面(撮像面S)に接着されて、チップ状の固体撮像素子10と一体化されている。ガラスカバー40は、ここでは透明なボロシリケートガラス(B23/SiO2)板の切断片から構成されている。しかし、これ以外のガラスや他の透明材料を使用してもよいことは言うまでもない。
【0064】
必要に応じて、層間絶縁膜13の表面(撮像面S)と接着剤膜30との間に適当なSOG材料膜を配置してもよい。
【0065】
各表面電極15の直下には、層間絶縁膜12を貫通する貫通孔12aと、シリコン基板11を貫通する貫通孔11aと、二酸化シリコン(SiO2)膜22を貫通する貫通孔22aとが、相互に重なり合って形成されている。ここでは、こうして重なり合った三つの貫通孔12a、11aおよび22aの組み合わせを、全体として貫通孔14と称することにする。つまり、貫通孔14は、固体撮像素子10をその表面側から裏面側まで貫通する孔である。各貫通孔14(すなわち重なり合った貫通孔12a、11aおよび22a)は、各表面電極15を固体撮像素子10の裏面に引き出すために使用される。
【0066】
シリコン基板11の裏面は、貫通孔14の開口部を除いてSiO2膜22で覆われている。SiO2膜22は、各貫通孔14の中には延在していない。つまり、SiO2膜22は、シリコン基板11の裏面のみを覆っている。
【0067】
SiO2膜22の上には、SiO2膜23が形成されている。SiO2膜23は、シリコン基板11の裏面だけでなく、各貫通孔14の中にも延在しており、各貫通孔14の内側面をも覆っている。
【0068】
シリコン基板11の裏面では、SiO2膜23の上に直接、所定形状にパターン化された配線膜24が複数個、形成されている。各配線膜24は、対応する貫通孔14の近傍に配置されており、当該貫通孔14の内部ではその内側面(SiO2膜23の貫通孔14の内部に露出している面)に沿って延在して(入り込んで)いて、その内側面の全体を覆っている。また、当該貫通孔14の最奥部では、各配線膜24は、対応する表面電極15(の裏面)に面接触しており、ここでは表面電極15の裏面全体を覆っている。これは、当該貫通孔14の最奥部にはSiO2膜23が存在せず、対応する表面電極15(の裏面)が露出しているからである。
【0069】
SiO2膜22のシリコン基板11の裏面における厚さは、例えば0.3μm〜4μmの範囲に設定する。SiO2膜23についても同様である。
【0070】
各配線膜24の上には、直接、所定形状にパターン化された外部電極25がそれぞれ形成されている。各外部電極25は、対応する貫通孔14の内部において対応する配線膜24の内側に残存する空隙26(図13を参照)を充填する充填部25aと、対応する貫通孔14の外部にあって対応する配線膜24の上に膜状に延在する電極部25bとから形成されている。したがって、各外部電極25は、電極としての機能を有する電極部25bと、導電性プラグと同等の機能を有する充填部25aとから形成されている、と言うことができる。充填部25aは、配線膜24を介して、電極部25bと表面電極15とを電気的に接続するからである。
【0071】
シリコン基板11(固体撮像素子10)の表面側にある表面電極15の各々は、このようにして、対応する配線膜24を介して、シリコン基板11(固体撮像素子10)の裏面側にある対応する外部電極25に電気的に接続されている。したがって、貫通孔14の内部にある外部電極25の充填部25a(と配線膜19)が、表面電極15と外部電極20とをシリコン基板11(固体撮像素子10)を貫通して電気的に相互接続する「貫通導電体」を構成している、と言うことができる。
【0072】
各配線膜19の外部電極25からはみ出している部分は、シリコン基板111の裏側において所望の外部電極25同士を接続する配線として使用される。そのような配線としての機能が不要であれば、各配線膜19のパターンと外部電極20のパターンと同一としてもよい。
【0073】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1では、シリコン基板11と層間絶縁膜12とSiO2膜22の貫通孔11aと12aと22a(これは貫通孔14に等しい)の内側面を、SiO2膜23(第1絶縁膜)で覆っており、また、貫通孔14のシリコン基板11の裏面側の開口部を除いてシリコン基板11の裏面をSiO2膜22(第2絶縁膜)で覆っている。さらに、SiO2膜23上に貫通孔14を介して表面電極15に接触せしめられた配線膜24を形成し、貫通孔14を充填する充填部25aを有する外部電極25を配線膜24上に形成している。このため、貫通孔14の内部を充填する程度に厚いポリシリコン等の導電材を堆積した後、その導電材を選択的にエッチングして導電性プラグを形成するという工程が不要である。
【0074】
また、貫通孔14の内部でSiO2膜23の透孔31を介して表面電極15に接触するように配線膜24を形成した後、その配線膜24上に外部電極25を形成して空隙26を充填すればよいので、配線膜24を金属で作製し、それをシードメタルとして使用した無電解メッキ法により外部電極25を形成することができる。したがって、CVDやPVDを用いて導電膜を堆積してからそれをパターニングする方法に比べて、工程が大幅に簡略化されるだけでなく、それらの工程を低コストで実施できるようになる。
【0075】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、簡単な方法で、且つ低い製造コストで、貫通導電体を有する固体撮像装置1を製造することができる。
【0076】
さらに、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1では、配線膜24が表面電極15の裏面に接触せしめられていると共に、外部電極25が配線膜24上に形成されているので、表面電極15と外部電極25の間に存在するのは配線膜24だけである。このため、ポリシリコン等の導電材が不要である。また、配線膜24と外部電極25に電気抵抗の低い金属(例えば銅)を使用することができるので、それらの電気抵抗を下げることができる。
【0077】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、貫通導電体を介した電気的接続の電気抵抗を従来よりも低くすることが可能である。
【0078】
(第1実施形態の固体撮像装置の製造方法)
次に、図3〜図16を参照しながら、上記構成を持つ固体撮像装置1の製造方法について説明する。
【0079】
以下に説明する製造方法の各工程は、いずれもウェハーレベルで実行される。これらの工程(ウェハープロセス)の最終工程では、図16に示すように、シリコンウェハー11A上にマトリックス状に配置された複数の撮像装置部2が同時に形成される。各々の撮像装置部2は、上述した構成の固体撮像装置1が形成される領域である。撮像装置部2の形成後、碁盤状に設定された複数のスクライブライン53aと53bに沿ってシリコンウェハー11Aのダイシングを行い、各撮像装置部2を相互に分離する。その後、固体撮像素子10とガラスカバー40の側面を絶縁性合成樹脂50で覆うと、図1および図2に示す構成の固体撮像装置1が製造される。
【0080】
まず最初に、公知の方法によって、シリコンウェハー11A上に図3に示す構成を持つ固体撮像素子10すなわち撮像装置部2を複数個、所定レイアウトで形成する。これらの撮像装置部2は、所定の試験を行って良品であることを確認しておく。図を簡単化するため、図3では一つの撮像装置部2の要部のみを示しているが、実際は、図16に示すように、同じ構成の撮像装置部2が複数個、マトリックス状にシリコンウェーハ11A上に配置されている。
【0081】
次に、図4に示すように、シリコンウェーハ11Aの表面、正確に言えば層間絶縁膜13の表面(撮像面S)に、接着剤の塗膜を形成する。この工程は、大気中で室温にて流動状の接着剤をスピンコーティング法(スプレー法でもよい)により塗布することで行う。接着剤の塗膜の表面は極めて平坦になる。
【0082】
次に、図5に示すように、ウェハー状のボロシリケートガラス板40A(これはシリコンウェハー11Aと同じ形状と大きさを持つ)を接着剤の塗膜の表面に載せる。その後、その塗膜に所定波長の紫外線を所定強度で照射して塗膜を硬化させると、ガラス板40Aは硬化した塗膜(すなわち接着剤膜30)によってシリコンウェーハ11Aの表面に接合される。
【0083】
このようにして、ガラスカバー40を形成するガラス板40Aの接合が終了すると、続いて、シリコンウェハー11Aと接着剤膜30とガラス板40Aからなる積層体を、適当な粘着剤を用いてハンドリング用ホルダ(図示せず)に取り付ける。粘着剤を塗布する面はガラス板40Aの表面とする。これは、次に行われるシリコンウェハー11Aの加工(処理)を容易にするためである。ハンドリング用ホルダは、シリコンウェハー11Aよりも少し大きい。
【0084】
そして、シリコンウェハー11Aの全体を薄くするために、所定厚さ(例えば100μm〜50μm)になるまでシリコンウェハー11Aをその裏面側から除去する。この工程は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)や公知のドライあるいはウェットエッチングにより行うことができる。機械的研磨法を併用してもよい。この時の状態は図5に示すようになる。
【0085】
次に、薄くされたシリコンウェハー11Aの裏面に、図6に示すように、CVD法でSiO2膜22を形成し、シリコンウェハー11Aの裏面全体を覆う。SiO2膜22の厚さは、例えば0.2μm〜3μmとするのが好ましい。SiO2膜に代えて、窒化シリコン(SiNx)膜も使用可能である。そして、SiO2膜22の上に、パターン化されたレジスト膜を形成し、そのレジスト膜をマスク51として、SiO2膜22を選択的にエッチングする。マスク51は、透孔14が形成されるべき箇所にそれぞれ透孔51Aを有しているので、図7に示すように、透孔51Aから露出している位置においてSiO2膜22に貫通孔22aが形成される。ここでは、バッファード弗酸を用いた等方性ウェットエッチングを使用するので、貫通孔22aはマスク51の透孔51Aよりも少し大きく形成される。
【0086】
続いて、マスク51を除去することなく、SiO2膜22の貫通孔22aを介してシリコンウェハー11Aをその裏面側から選択的にエッチングする。すると、貫通孔22aから露出している位置において、シリコンウェハー11Aに貫通孔11aが形成される。さらに、マスク51を除去することなく、シリコンウェハー11Aの貫通孔11aを介してシリコンウェハー11Aをその裏面側から選択的にエッチングする。すると、貫通孔11aから露出している位置において、層間絶縁膜12に貫通孔12aが形成される。三つの貫通孔22aと11aと12aは相互に重なり合っているので、これらは全体として固体撮像素子10を貫通する一つの貫通孔14となる。こうして、固体撮像素子10の表面電極15の各々に対応する箇所に、貫通孔14が形成される。この時の状態は図8のようになる。
【0087】
これらの貫通孔14の形成位置は、各表面電極15の直下(各表面電極15と重なり合う位置)である。各貫通孔14の表面側の一端(図8では上端)は、対応する表面電極15の裏面まで達している。この工程は、RIE(Reactive Ion Etching)、ICE(Inductively Coupled Etching)等のドライエッチングにより行うことができる。しかし、レーザー加工、陽極酸化等の方法で行ってもよい。
【0088】
マスク51を剥離すると、図9に示すような状態になるので、続いてCVD法により、シリコンウェハー11Aの裏面にSiO2膜23を形成する。この時、SiO2膜23は、シリコンウェハー11Aの裏面では当該裏面上に形成されたSiO2膜22の上に形成されると同時に、貫通孔14の内部の露出面全体にも形成される。その結果、図10に示すように、SiO2膜22の表面だけでなく、貫通孔14の内側面と表面電極15の裏面にも形成される。
【0089】
SiO2膜23の厚さは、例えば0.2μm〜3μmの範囲に設定するのが好ましい。この場合、例えば、SiO2膜22の表面でのSiO2膜23の厚さを1μmとすると、CVDの条件によって変わるが、貫通孔14の内側面での厚さは約0.8μm〜約1μmとなり、表面電極15の裏面での厚さは約0.5μm〜約0.6μmとなる。
【0090】
次に、SiO2膜23をRIE法により異方性エッチングして、表面電極15の裏面にあるSiO2膜23の部分を選択的に除去し、表面電極15の裏面を露出させる。この工程では、マスクを使用していないので、SiO2膜22の表面と貫通孔14の内側面にあるSiO2膜23の各部分も一部除去され、いずれも厚さが減少する。例えば、SiO2膜23の厚さは、SiO2膜22の表面では1μmから約0.5μmに減少し、貫通孔14の内側面では0.8μmから約0.6μmに減少する。
【0091】
SiO2膜23とシリコンウェハー11Aの裏面の間には、SiO2膜22が形成されているので、SiO2膜23を異方性エッチングする工程でSiO2膜22の表面にあるSiO2膜23の部分が薄くなり過ぎても、配線膜24がシリコンウェハー11Aに接触して短絡することはない。
【0092】
続いて、スパッタリング法、蒸着法、メタルCVD法等により金属膜を形成した後、その金属膜をパターニングすることにより、SiO2膜23の表面に、図12に示すようにパターン化された配線膜24を複数個形成する。これらの配線膜24の各々は、シリコンウェハー11Aの裏面の所定箇所だけでなく、対応する貫通孔14の内部と表面電極15の露出した裏面をも覆っている。各貫通孔14の内部では、配線膜24の内側に空隙26が形成されている。
【0093】
具体的に言えば、例えば、バリヤ層としてのチタン(Ti)膜を形成してから、その上に導電材としての銅(Cu)膜を形成して、Ti/Cuの二層膜を得る。その後、適当なマスクを用いてその二層膜を選択的にエッチングすれば、所望の配線膜24が得られる。なお、Ti/Cuの二層膜に代えて、TiW/Cuの二層膜、Ti/TiN/TiCuの三層膜、TaN/Cuの二層膜、TaN/Alの二層膜などを使用してもよい。
【0094】
その後、フォトリソグラフィとエッチングにより、各配線膜24の表面にパターン化したレジスト膜(例えばフォトレジスト膜)を形成し、図13に示すようなマスク52とする。そして、そのマスク52を使用して、各配線膜24の表面に選択的に金属膜を形成し、図14に示すような外部電極25とする。
【0095】
具体的に言えば、例えば、配線膜24のCu膜をシードメタルとした無電解メッキ法により、マスク52で囲まれた領域にCu膜を形成し、外部電極25とする。
【0096】
図14から明らかなように、外部電極25の各々は、対応する貫通孔14の内部にあって対応する配線膜24の内側に残存する空隙26を充填する充填部25aと、対応する貫通孔14の外部にあって対応する配線膜24の上に膜状に延在する電極部25bとから形成される。充填部25aは、導電性プラグと同等の機能を持つので、外部電極25を形成する工程で導電性プラグが一緒に形成されることになり、したがって、空隙26を導電材で充填して導電性プラグを形成するといった工程が不要である。
【0097】
外部電極25の形成後、マスク52を剥離すると、図15に示すように、各配線膜24の表面に外部電極25が形成され、シリコンウェハー11A上に複数の撮像装置部2が完成する。
【0098】
このようにしてシリコンウェハー11A上に複数の撮像装置部2が形成されると、ダイシングブレードを用いて、碁盤状に形成されたスクライブライン53aと53b(図16を参照)に沿ってシリコンウェハー11Aのダイシングを行う。その際には、切断後に撮像装置部2が分散しないように、シリコンウェハー11Aの裏面に公知のダイシングテープ(図示せず)を予め貼り付けておく。この動作を繰り返すことにより、ガラス板40Aと接着剤膜30、そして内部に固体撮像素子10が形成されたシリコンウェハー11Aは、当該スクライブライン53aおよび53bに沿って切断される。その結果、シリコンウェハー11A上にある撮像装置部2が相互に分離される。
【0099】
以上のような工程により、図1の構成を持つ固体撮像装置1が複数個、同時に得られる。そこで、各々の固体撮像装置1の側面全体を絶縁性合成樹脂50で被覆すると、図2に示すようなCSPに実装された固体撮像装置1が得られる。なお、固体撮像装置1の側面全体をCSPの一部を構成する絶縁性合成樹脂50で覆う必要がない場合は、撮像装置部2が相互に分離した段階で製造工程が終了する。
【0100】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法では、シリコンウェハー11Aと層間絶縁膜12とSiO2膜22の貫通孔11aと12aと22a(これは貫通孔14に等しい)の内側面とを、SiO2膜23(第1絶縁膜)で覆ってから、貫通孔14のシリコンウェハー11Aの裏面側の開口部を除いてシリコンウェハー11Aの裏面をSiO2膜22(第2絶縁膜)で覆い、さらに、SiO2膜23上に貫通孔14を介して表面電極15に接触せしめられた配線膜24を形成し、最後に、貫通孔14を充填する充填部25aを有する外部電極25を配線膜24上に形成する。このため、貫通孔14の内部を充填する程度に厚いポリシリコン等の導電材を堆積した後、その導電材を選択的にエッチングして導電性プラグを形成するという工程が不要である。
【0101】
また、配線膜24を金属で作製すれば、それをシードメタルとして使用して無電解メッキ法により外部電極25を形成することができる。したがって、CVDやPVDを用いて導電膜を堆積してからそれをパターニングする方法に比べて、工程が大幅に簡略化されるだけでなく、それらの工程を低コストで実施できるようになる。
【0102】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、簡単な方法で、且つ低い製造コストで、貫通導電体を有する固体撮像装置1を製造することができる。
【0103】
さらに、配線膜24が表面電極15に接触せしめられていると共に、外部電極25が配線膜24上に形成されているので、表面電極15と外部電極25の間に存在するのは配線膜24だけである。このため、ポリシリコン等の導電材が不要である。また、配線膜24と外部電極25に電気抵抗の低い金属(例えば銅)を使用することができるので、それらの電気抵抗を下げることができる。
【0104】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、貫通導電体を介した電気的接続の電気抵抗を低くすることが可能である。
【0105】
(第2実施形態の固体撮像装置の構成)
図17は、本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置1Aの概略構成を示す断面図である。
【0106】
本実施形態の固体撮像装置1Aは、シリコン基板11の裏面と貫通孔14の内側面とが、SiO2膜27とSiNx膜28とSiO2膜29の三つの絶縁膜で覆われている点と、各配線膜24が、それら三つの絶縁膜27、28および29を貫通する透孔31を介して対応する表面電極15に接触している点とを除いて、上述した第1実施形態に係る固体撮像装置1と同じ構成を有しているので、同一構成の部分については第1実施形態に係る固体撮像装置1と同一符号を付してその説明を省略する。
【0107】
本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置1Aでは、各表面電極15の直下に、層間絶縁膜12を貫通する貫通孔12aと、シリコン基板11を貫通する貫通孔11aとが、相互に重なり合って形成されている。第2実施形態では、こうして重なり合った二つの貫通孔12aと11aの組み合わせを、全体として貫通孔14と称する。つまり、貫通孔14は、固体撮像素子10をその表面側から裏面側まで貫通する孔である。各貫通孔14(すなわち重なり合った貫通孔12aおよび11a)は、各表面電極15を固体撮像素子10の裏面に引き出すために使用される。
【0108】
シリコン基板11の裏面は、貫通孔14の開口部を除いてSiO2膜27で覆われているが、そのSiO2膜27は、各貫通孔14の中まで延在しており、シリコン基板11の裏面だけでなく、各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面をも覆っている。
【0109】
SiO2膜27の上には、SiNx膜28が重ねて形成されている。SiNx膜28は、SiO2膜27と同様に、各貫通孔14の中まで延在しており、シリコン基板11の裏面だけでなく、各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面をも覆っている。
【0110】
SiNx膜28の上には、SiO2膜29が重ねて形成されている。SiO2膜29は、SiO2膜27と同様に、各貫通孔14の中まで延在しており、シリコン基板11の裏面だけでなく、各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面をも覆っている。
【0111】
このように、シリコン基板11の裏面と各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面は、SiO2膜27とSiNx膜28とSiO2膜29からなる三層構造の絶縁膜によって覆われている点が、上述した第1実施形態に係る固体撮像装置1とは異なっている。
【0112】
SiO2膜27のシリコン基板11の裏面における厚さは、第1実施形態と同様に、例えば0.3μm〜4μmの範囲で設定する。SiNx膜28のシリコン基板11の裏面における厚さは、例えば0.02μm〜2.5μmの範囲に設定する。SiO2膜29のシリコン基板11の裏面における厚さは、SiO2膜27の場合と同様である。
【0113】
シリコン基板11の裏面では、SiO2膜29の上に所定形状にパターン化された配線膜24が複数個、形成されている。各配線膜24は、対応する貫通孔14の近傍に配置されており、当該貫通孔14の内部ではその内側に沿って延在して(入り込んで)いて、その内側の全面を覆っている。また、当該貫通孔14の最奥部では、各配線膜24は、SiO2膜27とSiNx膜28とSiO2膜29を貫通して形成された透孔31を介して、対応する表面電極15(の裏面)に面接触している。
【0114】
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置1Aでは、シリコン基板11と層間絶縁膜12とSiO2膜22の貫通孔11aと12aと22a(これは貫通孔14に等しい)の内側面が、SiO2膜23(第1絶縁膜)で覆われており、貫通孔14のシリコン基板11の裏面側の開口部を除いて、シリコン基板11の裏面がSiO2膜22(第2絶縁膜)で覆われている。さらに、SiO2膜23上に、貫通孔14を介して表面電極15に接触せしめられた配線膜24が形成されていて、配線膜24上には、貫通孔14を充填する充填部25aを有する外部電極25が形成されている。このため、貫通孔14の内部を充填する程度に厚いポリシリコン等の導電材を堆積した後、その導電材を選択的にエッチングして導電性プラグを形成するという工程が不要である。
【0115】
また、配線膜24を金属で作製すれば、それをシードメタルとして使用して無電解メッキ法により外部電極25を形成することができる。したがって、CVDやPVDを用いて導電膜を堆積してからそれをパターニングする方法に比べて、工程が大幅に簡略化されるだけでなく、それらの工程を低コストで実施できるようになる。
【0116】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、簡単な方法で、且つ低い製造コストで、貫通導電体を有する固体撮像装置1Aを製造することができる。
【0117】
さらに、本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置1Aでは、配線膜24が対応する貫通孔14を介して対応する表面電極15に接触せしめられていると共に、対応する外部電極25がその配線膜24上に形成されているので、表面電極15と外部電極25の間に存在するのは配線膜24だけである。このため、ポリシリコン等の導電材が不要である。また、配線膜24と外部電極25に電気抵抗の低い金属(例えば銅)を使用することができるので、それらの電気抵抗を下げることができる。
【0118】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、貫通導電体を介した電気的接続の電気抵抗を低くすることが可能である。
【0119】
(第2実施形態の固体撮像装置の製造方法)
次に、図18〜図26を参照しながら、上記構成を持つ固体撮像装置1Aの製造方法について説明する。
【0120】
以下に説明する製造方法の各工程は、第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様に、いずれもウェハーレベルで実行され、その最終工程で、シリコンウェハー11A上にマトリックス状に配置された複数の撮像装置部2が同時に形成される。その後、スクライブライン53aと53bに沿ってシリコンウェハー11Aのダイシングを行い、各撮像装置部2を相互に分離してから、固体撮像素子10とガラスカバー40の側面を絶縁性合成樹脂50で覆うと、図17に示す構成の固体撮像装置1Aが得られる。
【0121】
まず、第1実施形態と同様にして、シリコンウェハー11Aをその裏面側から除去して薄くした図5の構成を得る。そして、そのシリコンウェハー11Aの裏面に直接、パターン化されたレジスト膜を形成し、そのレジスト膜をマスク54として、第1実施形態と同様にして、シリコンウェハー11Aを選択的にエッチングする。第1実施形態とは異なり、シリコンウェハー11Aの裏面にはSiO2膜22を形成しない。マスク54は、透孔14が形成されるべき箇所にそれぞれ透孔54Aを有しているので、図18に示すように、透孔54Aから露出している位置においてシリコンウェハー11Aに貫通孔11aが形成される。ここでは、バッファード弗酸を用いた等方性ウェットエッチングを使用するので、貫通孔22aはマスク51の透孔51Aよりも少し大きく形成される。
【0122】
さらに、第1実施形態と同様にして、マスク54を除去することなく、シリコンウェハー11Aの貫通孔11aを介して層間絶縁膜12を選択的にエッチングする。すると、貫通孔11aから露出している位置において、層間絶縁膜12に貫通孔12aが形成される。二つの貫通孔11aと12aは相互に重なり合っているので、これらは全体として固体撮像素子10を貫通する一つの貫通孔14となる。こうして、固体撮像素子10の表面電極15の各々に対応する箇所に、貫通孔14が形成される。この時の状態は図18のようになる。
【0123】
これらの貫通孔14の形成位置は、各表面電極15の直下(各表面電極15と重なり合う位置)である。各貫通孔14の表面側の一端(図18では上端)は、対応する表面電極15の裏面まで達している。
【0124】
マスク54を剥離すると、図19に示すような状態になるので、続いてCVD法によりSiO2膜27を形成する。この時、SiO2膜27は、シリコンウェハー11Aの裏面上に形成されると同時に、貫通孔14の内部の露出面全体にも形成される。その結果、図20に示すように、シリコンウェハー11Aの裏面だけでなく、貫通孔14の内側面と表面電極15の裏面にも形成される。
【0125】
SiO2膜27の厚さは、例えば0.2μm〜3μmの範囲に設定するのが好ましい。この場合、例えば、シリコンウェハー11Aの裏面でのSiO2膜27の厚さを1μmとすると、CVDの条件によって変わるが、貫通孔14の内側面での厚さは約0.8μm〜約1μmとなり、表面電極15の裏面での厚さは約0.5μm〜約0.6μmとなる。
【0126】
次に、SiO2膜27の上に重ねて、CVD法によりSiNx膜28を形成する。SiNx膜28は、図21に示すように、シリコンウェハー11Aの裏面だけでなく、貫通孔14の内部の露出面全体も覆っている。
【0127】
SiNx膜28の厚さは、例えば0.05μm〜0.2μmの範囲に設定するのが好ましい。この場合、例えば、シリコンウェハー11Aの裏面でのSiO2膜27の厚さを0.1μmとすると、CVDの条件によって変わるが、貫通孔14の内側面での厚さは約0.08μm〜約0.1μmとなり、表面電極15の裏面での厚さは約0.05μm〜約0.06μmとなる。
【0128】
さらに、SiNx膜28の上に重ねて、CVD法によりSiO2膜29を形成する。SiO2膜29は、図22に示すように、シリコンウェハー11Aの裏面だけでなく、貫通孔14の内部の露出面全体も覆っている。
【0129】
SiO2膜29の厚さは、例えば0.2μm〜3μmの範囲に設定するのが好ましい。この場合、例えば、シリコンウェハー11Aの裏面でのSiO2膜29の厚さを1μmとすると、CVDの条件によって変わるが、貫通孔14の内側面での厚さは約0.8μm〜約1μmとなり、表面電極15の裏面での厚さは約0.5μm〜約0.6μmとなる。
【0130】
次に、こうして積層されたSiO2膜29とSiNx膜28とSiO2膜27をRIE法により異方性エッチングして、これら三つの膜29、28および27の表面電極15の裏面にある部分を選択的に除去し、透孔31を形成する。この時、図23に示すように、透孔31を通って表面電極15の裏面が露出せしめられる。この工程では、マスクを使用していないので、SiO2膜29は一部がエッチングされて厚さが減少する。例えば、SiO2膜29の厚さは、シリコンウェハー11Aの裏面では1μmから約0.5μmに減少し、貫通孔14の内側面では0.8μmから約0.6μmに減少する。
【0131】
SiO2膜27とシリコンウェハー11Aの裏面の間には、SiNx膜28とSiO2膜27とが形成されているので、SiO2膜29を異方性エッチングする工程でシリコンウェハー11A上のSiO2膜29が薄くなり過ぎても、配線膜24がシリコンウェハー11Aに接触して短絡することはない。
【0132】
第2実施形態に係る固体撮像装置1Aでは、第1実施形態とは異なり、シリコン基板11の裏面と各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面が、SiO2膜27とSiNx膜28とSiO2膜29からなる三層構造の絶縁膜によって覆われているので、ピンホール、膜厚バラツキ等の欠陥を容易に補正できると共に、第1実施形態よりも絶縁耐圧と耐湿性が向上し、結果として信頼性が向上するという利点がある。
【0133】
続いて、第1実施形態と同様の方法により、金属膜を形成してからその金属膜をパターニングすることにより、SiO2膜23の表面に、図24に示すようにパターン化された配線膜24を複数個形成する。これらの配線膜24の各々は、シリコンウェハー11Aの裏面の所定箇所だけでなく、対応する貫通孔14の内部と表面電極15の露出した裏面をも覆っている。各貫通孔14の内部では、配線膜24の内側に空隙26が形成されている。
【0134】
具体的に言えば、例えば、バリヤ層としてのチタン(Ti)膜を形成してから、その上に導電材としての銅(Cu)膜を形成して、Ti/Cuの二層膜を得る。その後、適当なマスクを用いてその二層膜を選択的にエッチングすれば、所望の配線膜24が得られる。なお、Ti/Cuの二層膜に代えて、TiW/Cuの二層膜、Ti/TiN/TiCuの三層膜、TaN/Cuの二層膜、TaN/Alの二層膜などを使用してもよい。この点は第1実施形態と同様である。
【0135】
その後、フォトリソグラフィとエッチングにより、各配線膜24の表面にパターン化したレジスト膜(例えばフォトレジスト膜)を形成し、図25に示すようなマスク55とする。そして、そのマスク55を使用して、各配線膜24の表面に選択的に金属膜を形成し、図25に示すような外部電極25を得る。
【0136】
具体的に言えば、例えば、配線膜24のCu膜をシードメタルとした無電解メッキ法により、マスク52で囲まれた領域にCu膜を形成し、外部電極25とする。
【0137】
図25から明らかなように、外部電極25の各々は、対応する貫通孔14の内部にあって対応する配線膜24の内側に残存する空隙26を充填する充填部25aと、対応する貫通孔14の外部にあって対応する配線膜24の上に膜状に延在する電極部25bとから形成される。充填部25aは、導電性プラグと同等の機能を持つので、外部電極25を形成する工程で導電性プラグが一緒に形成されることになり、したがって、空隙26を導電材で充填して導電性プラグを形成する工程が不要である。
【0138】
外部電極25の形成後、マスク52を剥離すると、図26に示すように、各配線膜24の表面に外部電極25が形成され、シリコンウェハー11A上に複数の撮像装置部2が完成する。
【0139】
このようにしてシリコンウェハー11A上に複数の撮像装置部2が形成されると、第1実施形態と同様にして、ガラス板40Aと接着剤膜30、そして内部に固体撮像素子10が形成されたシリコンウェハー11Aは、スクライブライン53aおよび53bに沿って切断され、撮像装置部2が相互に分離される。そこで、各々の固体撮像装置1の側面全体を絶縁性合成樹脂50で被覆すると、図2に示すようなCSPに実装された固体撮像装置1が得られる。なお、固体撮像装置1の側面全体をCSPの一部を構成する絶縁性合成樹脂50で覆う必要がない場合は、撮像装置部2が相互に分離した段階で製造工程が終了する。
【0140】
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置1Aの製造方法では、シリコンウェハー11Aの所定箇所にその裏面側から複数の貫通孔14を形成した後、シリコンウェハー11Aの裏面側からSiO2膜27(第1絶縁膜)とSiNx膜28(第2絶縁膜)とSiO2膜29(第3絶縁膜)とをこの順に積層形成し、シリコンウェハー11Aの裏面と各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面とを覆っている。その後、SiO2膜27とSiNx膜28とSiO2膜29の各表面電極15の裏面上にある部分を選択的に除去することにより、それら三つの膜27、28および29を貫通する透孔31を各貫通孔14の内部に形成し、各表面電極15の裏面を露出させる。そして、対応する貫通孔30を介して各表面電極15の裏面に接触するように複数の配線膜24をSiO2膜29上の所定位置に形成する。最後に、各貫通孔14の内部において配線膜24の内側に残存する空隙26を充填する充填部25aを持つように、複数の外部電極25を配線膜24上に所定位置に形成する。
【0141】
このため、外部電極25を形成する際に、空隙26を充填する充填部25a(これが貫通導電体の機能を果たす)が一緒に形成される。したがって、空隙26を充填する程度に厚いポリシリコン等の導電材を堆積した後、その導電材を選択的にエッチングして導電性プラグを形成するという工程が不要である。
【0142】
また、配線膜24を金属で作製すれば、それをシードメタルとして使用して無電解メッキ法により外部電極25を形成することができる。したがって、CVDやPVDを用いて導電膜を堆積してからそれをパターニングする方法に比べて、工程が大幅に簡略化されるだけでなく、それらの工程を低コストで実施できるようになる。
【0143】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、簡単な方法で、且つ低い製造コストで、貫通導電体を有する固体撮像装置1Aを製造することができる。
【0144】
さらに、本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法では、各配線膜24が対応する貫通孔14の内部で対応する表面電極15に接触して形成されると共に、その配線膜24上に対応する外部電極25が形成されるので、表面電極15と外部電極25の間に存在するのは配線膜24のみとなる。このため、ポリシリコン等の導電材が不要である。また、配線膜24と外部電極25に電気抵抗の低い金属(例えば銅)を使用することができるので、それらの電気抵抗を下げることができる。
【0145】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、貫通導電体を介した電気的接続の電気抵抗を低くすることが可能である。
【0146】
(第3実施形態の固体撮像装置の構成)
図27は、本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置1Bの概略構成を示す断面図である。
【0147】
本実施形態の固体撮像装置1Bは、シリコン基板11の裏面と貫通孔14の内側面とが、SiO2膜27とSiNx膜28の二つの絶縁膜で覆われている点と、各配線膜24が、対応する貫通孔14の内部において、それら二つの絶縁膜27および28を貫通する透孔31を介して対応する表面電極15に接触している点とを除いて、上述した第1実施形態に係る固体撮像装置1と同じ構成を有しているので、同一構成の部分については第1実施形態に係る固体撮像装置1と同一符号を付してその説明を省略する。
【0148】
本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置1Bでは、各表面電極15の直下に、層間絶縁膜12を貫通する貫通孔12aと、シリコン基板11を貫通する貫通孔11aとが、相互に重なり合って形成されている。第3実施形態では、第2実施形態と同様に、こうして重なり合った二つの貫通孔12aと11aの組み合わせを、全体として貫通孔14と称する。つまり、貫通孔14は、固体撮像素子10をその表面側から裏面側まで貫通する孔である。各貫通孔14(すなわち重なり合った貫通孔12aおよび11a)は、各表面電極15を固体撮像素子10の裏面に引き出すために使用される。
【0149】
シリコン基板11の裏面は、貫通孔14の開口部を除いてSiO2膜27で覆われているが、そのSiO2膜27は、各貫通孔14の中まで延在しており、シリコン基板11の裏面だけでなく、各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面をも覆っている。
【0150】
SiO2膜27の上には、SiNx膜28が重ねて形成されている。SiNx膜28は、SiO2膜27と同様に、各貫通孔14の中まで延在しており、シリコン基板11の裏面だけでなく、各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面をも覆っている。
【0151】
このように、シリコン基板11の裏面と各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面は、SiO2膜27とSiNx膜28からなる二層構造の絶縁膜によって覆われている点が、上述した第1実施形態に係る固体撮像装置1および第2実施形態に係る固体撮像装置1Aとは異なっている。
【0152】
SiO2膜27のシリコン基板11の裏面における厚さは、第1実施形態と同様に、例えば0.3μm〜4μmの範囲に設定する。SiNx膜28のシリコン基板11の裏面における厚さは、第2実施形態と同様に、例えば0.02μm〜2.5μmの範囲に設定する。
【0153】
シリコン基板11の裏面では、SiNx膜28の上に所定形状にパターン化された配線膜24が複数個、形成されている。各配線膜24は、対応する貫通孔14の近傍に配置されており、当該貫通孔14の内部ではその内側面に沿って延在して(入り込んで)いて、その内側面の全面を覆っている。また、当該貫通孔14の最奥部では、各配線膜24は、SiO2膜27とSiNx膜28を貫通して形成された透孔31を介して、対応する表面電極15(の裏面)に面接触している。
【0154】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置1Bでは、シリコン基板11の裏面と貫通孔14の内側面を、SiO2膜27(第1絶縁膜)とSiNx膜28(第2絶縁膜)で覆ってから、SiNx膜28上に表面電極15に接触せしめられた配線膜24を形成し、最後に、空隙26を充填する充填部25aを有する外部電極25を配線膜24上に形成する。このため、貫通孔14の内部を充填する程度に厚いポリシリコン等の導電材を堆積した後、その導電材を選択的にエッチングして導電性プラグを形成するという工程が不要である。
【0155】
また、配線膜24を金属で作製すれば、それをシードメタルとして使用して無電解メッキ法により外部電極25を形成することができる。したがって、CVDやPVDを用いて導電膜を堆積してからそれをパターニングする方法に比べて、工程が大幅に簡略化されるだけでなく、それらの工程を低コストで実施できるようになる。
【0156】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、簡単な方法で、且つ低い製造コストで、貫通導電体を有する固体撮像装置1Bを製造することができる。
【0157】
さらに、配線膜24が対応する貫通孔14を介して対応する表面電極15に接触せしめられていると共に、対応する外部電極25がその配線膜24上に形成されているので、表面電極15と外部電極25の間に存在するのは配線膜24だけである。このため、ポリシリコン等の導電材が不要である。また、配線膜24と外部電極25に電気抵抗の低い金属(例えば銅)を使用することができるので、それらの電気抵抗を下げることができる。
【0158】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、貫通導電体を介した電気的接続の電気抵抗を低くすることが可能である。
【0159】
(第3実施形態の固体撮像装置の製造方法)
次に、図28〜図32を参照しながら、上記構成を持つ固体撮像装置1Bの製造方法について説明する。
【0160】
以下に説明する製造方法の各工程は、第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様に、いずれもウェハーレベルで実行され、その最終工程で、シリコンウェハー11A上にマトリックス状に配置された複数の撮像装置部2が同時に形成される。その後、ダイシングを行って各撮像装置部2を相互に分離してから、固体撮像素子10とガラスカバー40の側面を絶縁性合成樹脂50で覆うと、図27に示す構成の固体撮像装置1Bが得られる。
【0161】
まず、第2実施形態と同様にして、シリコンウェハー11Aをその裏面側から除去して薄くしてから、貫通孔14を形成した図19の構成を得る。そして、そのシリコンウェハー11Aの裏面に、第2実施形態と同様に、CVD法によりSiO2膜27を形成する。この時、SiO2膜27は、シリコンウェハー11Aの裏面上に形成されると同時に、貫通孔14の内部の露出面全体にも形成される。その結果、図28に示すように、シリコンウェハー11Aの裏面だけでなく、貫通孔14の内側面と表面電極15の裏面にも形成される。
【0162】
SiO2膜27の厚さは、例えば0.2μm〜3μmの範囲に設定するのが好ましい。この場合、例えば、シリコンウェハー11Aの裏面でのSiO2膜27の厚さを1μmとすると、CVDの条件によって変わるが、貫通孔14の内側面での厚さは約0.8μm〜約1μmとなり、表面電極15の裏面での厚さは約0.5μm〜約0.6μmとなる。
【0163】
その後、SiO2膜27の上に重ねて、第2実施形態と同様に、CVD法によりSiNx膜28を形成する。SiNx膜28は、図28に示すように、シリコンウェハー11Aの裏面だけでなく、貫通孔14の内側面と表面電極15の裏面も覆っている。
【0164】
SiNx膜28の厚さは、第2実施形態の場合より少し大きくし、例えば0.1μm〜1.5μmの範囲に設定するのが好ましい。この場合、例えば、シリコンウェハー11Aの裏面でのSiNx膜28の厚さを1μmとすると、CVDの条件によって変わるが、貫通孔14の内側面での厚さは約0.8μm〜約1μmとなり、表面電極15の裏面での厚さは約0.5μm〜約0.6μmとなる。
【0165】
次に、こうして積層されたSiO2膜29とSiNx膜28を、第2実施形態と同様に、RIE法により異方性エッチングして、これら二つの膜29および28の表面電極15の裏面にある部分を選択的に除去し、膜29および28を貫通する透孔31を形成する。この時、図29に示すように、透孔31を通って表面電極15の裏面が露出せしめられる。この工程では、マスクを使用していないので、SiNx膜28は一部がエッチングされて厚さが減少する。例えば、SiNx膜28の厚さは、シリコンウェハー11Aの裏面では1μmから約0.5μmに減少し、貫通孔14の内側面では0.8μmから約0.6μmに減少する。
【0166】
SiNx膜28とシリコンウェハー11Aの裏面の間には、SiO2膜27が形成されているので、SiNx膜28を異方性エッチングする工程でシリコンウェハー11A上のSiNx膜28が薄くなり過ぎても、配線膜24がシリコンウェハー11Aに接触して短絡することはない。
【0167】
第3実施形態に係る固体撮像装置1Bでは、第1実施形態とは異なり、シリコン基板11の裏面と各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面が、SiO2膜27とSiNx膜28からなる二層構造の絶縁膜によって覆われているので、ピンホール、膜厚バラツキ等の欠陥を容易に補正できると共に、第1実施形態よりも絶縁耐圧が向上するという利点がある。また、SiNx膜28は金属原子に対するバリア性が高い(つまり、隣接する金属膜中の金属原子がSiNx膜28中に拡散し難い)ので、金属原子の拡散に起因する不良が防止され、その結果、信頼性が向上するという利点もある。
【0168】
続いて、第1実施形態と同様の方法により、SiO2膜23の表面に、図30に示すようにパターン化された配線膜24を複数個形成する。これらの配線膜24の各々は、シリコンウェハー11Aの裏面の所定箇所だけでなく、対応する貫通孔14の内部と表面電極15の露出した裏面をも覆っている。各貫通孔14の内部では、配線膜24の内側に空隙26が形成されている。
【0169】
その後、フォトリソグラフィとエッチングにより、各配線膜24の表面に図31に示すマスク55を形成してから、そのマスク55を使用して、例えば、配線膜24のCu膜をシードメタルとした無電解メッキ法により、マスク52で囲まれた領域にCu膜を形成し、外部電極25とする。
【0170】
図31から明らかなように、外部電極25の各々は、対応する貫通孔14の内部にあって対応する配線膜24の内側に残存する空隙26を充填する充填部25aと、対応する貫通孔14の外部にあって対応する配線膜24の上に膜状に延在する電極部25bとから形成される。充填部25aは、導電性プラグ(貫通導電体、貫通電極)と同等の機能を持つので、外部電極25を形成する工程で導電性プラグが一緒に形成されることになり、したがって、空隙26を導電材で充填して導電性プラグを形成する工程が不要である。
【0171】
外部電極25の形成後、マスク52を剥離すると、図32に示すように、各配線膜24の表面に外部電極25が形成され、シリコンウェハー11A上に複数の撮像装置部2が完成する。
【0172】
このようにしてシリコンウェハー11A上に複数の撮像装置部2が形成されると、第1実施形態と同様にして撮像装置部2が相互に分離される。そこで、各々の固体撮像装置1の側面全体を絶縁性合成樹脂50で被覆すると、図2に示すようなCSPに実装された固体撮像装置1が得られる。なお、固体撮像装置1の側面全体をCSPの一部を構成する絶縁性合成樹脂50で覆う必要がない場合は、撮像装置部2が相互に分離した段階で製造工程が終了する。
【0173】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置1Bの製造方法では、シリコンウェハー11Aの所定箇所にその裏面側から複数の貫通孔14を形成した後、シリコンウェハー11Aの裏面側からSiO2膜27(第1絶縁膜)とSiNx膜28(第2絶縁膜)をこの順に積層形成し、シリコンウェハー11Aの裏面と各貫通孔14の内側面と各表面電極15の裏面とを覆っている。その後、SiO2膜27とSiNx膜28の各表面電極15の裏面上にある部分を選択的に除去することにより、それら二つの膜27および28を貫通する透孔31を各貫通孔14の内部に形成し、各表面電極15の裏面を露出させる。そして、対応する貫通孔31を介して各表面電極15の裏面に接触するように複数の配線膜24をSiNx膜28上の所定位置に形成する。最後に、各貫通孔14の内部において配線膜24の内側に残存する空隙26を充填する充填部25aを持つように、複数の外部電極25を配線膜24上に所定位置に形成する。
【0174】
このため、外部電極25を形成する際に、空隙26を充填する充填部25a(これが貫通導電体の機能を果たす)が一緒に形成される。したがって、空隙26を充填する程度に厚いポリシリコン等の導電材を堆積した後、その導電材を選択的にエッチングして導電性プラグを形成するという工程が不要である。
【0175】
また、配線膜24を金属で作製すれば、それをシードメタルとして使用して無電解メッキ法により外部電極25を形成することができる。したがって、CVDやPVDを用いて導電膜を堆積してからそれをパターニングする方法に比べて、工程が大幅に簡略化されるだけでなく、それらの工程を低コストで実施できるようになる。
【0176】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、簡単な方法で、且つ低い製造コストで、貫通導電体を有する固体撮像装置1Bを製造することができる。
【0177】
さらに、本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置1Bの製造方法では、各配線膜24が対応する貫通孔14の内部で対応する表面電極15に接触して形成されると共に、その配線膜24上に対応する外部電極25が形成されるので、表面電極15と外部電極25の間に存在するのは配線膜24のみとなる。このため、ポリシリコン等の導電材が不要である。また、配線膜24と外部電極25に電気抵抗の低い金属(例えば銅)を使用することができるので、それらの電気抵抗を下げることができる。
【0178】
よって、上述した貫通導電体の一般的形成方法を用いたものよりも、貫通導電体を介した電気的接続の電気抵抗を低くすることが可能である。
【0179】
(他の実施形態)
上述した第1〜第3の実施形態は本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0180】
例えば、上述した第1〜第3の実施形態では固体撮像素子として説明しているが、本発明は固体撮像素子に限定されない。固体撮像素子以外の各種半導体装置にも適用可能である。また、上述した第1〜第3の実施形態で使用したCVD、メッキ、エッチング等の各種プロセスも、これらに限定される趣旨ではなく、必要に応じて他のプロセスも使用可能である。
【0181】
また、上述した第1〜第3の実施形態では、固体撮像素子がマイクロレンズアレイとマイクロカラーフィルタを有しているが、これらは省略してもよい。必要に応じて、各外部電極の上にハンダボール(図示せず)等の導電部材を追加形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す一部切欠断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図3の続きである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図4の続きである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図5の続きである。
【図7】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図6の続きである。
【図8】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図7の続きである。
【図9】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図8の続きである。
【図10】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図9の続きである。
【図11】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図10の続きである。
【図12】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図11の続きである。
【図13】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図12の続きである。
【図14】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図13の続きである。
【図15】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図14の続きである。
【図16】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法において、シリコンウェハー上にマトリックス状に配置された複数の撮像装置部を示す平面図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図18の続きである。
【図20】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図19の続きである。
【図21】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図20の続きである。
【図22】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図21の続きである。
【図23】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図22の続きである。
【図24】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図23の続きである。
【図25】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図24の続きである。
【図26】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図25の続きである。
【図27】本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図28】本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図である。
【図29】本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図28の続きである。
【図30】本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図29の続きである。
【図31】本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図30の続きである。
【図32】本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図31の続きである。
【符号の説明】
【0183】
1、1A、1B 固体撮像装置
2 撮像装置部
10 固体撮像素子
11 シリコン基板
11a シリコン基板・シリコンウェハーの貫通孔
11A シリコンウェハー
12 層間絶縁膜
12a 層間絶縁膜の貫通孔
13 層間絶縁膜
14 貫通孔
15 表面電極
17 マイクロカラーフィルタ
18 マイクロレンズアレイ
18a マイクロレンズ
22 SiO2
22a SiO2膜の貫通孔
23 SiO2
24 配線膜
25 外部電極
25a 外部電極の充填部
25b 外部電極の電極部
26 空隙
27 SiO2
28 SiNx
29 SiO2
30 接着剤膜
31 透孔
40 ガラスカバー
40A ガラス板
50 絶縁性合成樹脂
51 マスク
51A マスクの透孔
52 マスク
53a、53b スクライブライン
54 マスク
54A マスクの透孔
S 撮像面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を貫通する貫通導電体を有する半導体装置であって、
表面側に所定の素子または回路が形成されると共に、表面側から裏面側まで貫通した貫通孔を有する半導体基板と、
前記半導体基板の表面側において前記貫通孔と重なり合う位置に形成された、前記素子または回路に電気的に接続された表面電極と、
前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に所定パターンで形成されると共に、前記貫通孔の内部において前記透孔を介して前記表面電極の裏面に接触せしめられた配線膜と、
前記配線膜上に形成された外部電極とを備え
前記外部電極は、前記貫通孔の内部において前記配線膜の内側に残存する空隙を充填する充填部を有しており、
前記配線膜の前記貫通孔の内部にある部分と前記充填部とが、前記貫通導電体として機能することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記貫通孔の内部では、前記第1絶縁膜が前記貫通孔の内側面上に直接形成され、前記貫通孔の外部では、前記半導体基板の裏面と前記第1絶縁膜の間に第2絶縁膜が形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記貫通孔の内部では、前記第1絶縁膜が前記貫通孔の内側面上に直接形成され、前記貫通孔の外部では、前記第1絶縁膜が前記半導体基板の裏面上に直接形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜に重ねて形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜に重ねて形成され、前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第3絶縁膜が、前記第2絶縁膜に重ねて形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記外部電極がメッキ金属により形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1絶縁膜の前記貫通孔の内側面上における厚さが、前記第1絶縁膜の前記半導体基板の裏面上の厚さよりも小さく設定されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置が固体撮像装置とされている請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体基板を貫通する貫通導電体を有する半導体装置の製造方法であって、
所定の素子または回路が表面側に形成されていると共に、前記素子または回路に電気的に接続された表面電極を表面側に備えている半導体基板を用意し、
前記半導体基板をその裏面側から選択的に除去して、前記半導体基板をその裏面側から表面側まで貫通して前記表面電極に達する貫通孔を形成し、
前記半導体基板の裏面側から第1絶縁膜を形成して、前記半導体基板の裏面と前記貫通孔の内側面と前記表面電極の裏面とを覆い、
前記半導体基板の裏面側から前記第1絶縁膜の前記表面電極の裏面上にある部分を選択的に除去することによって、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記第1絶縁膜に形成し、
前記貫通孔の内部において前記第1絶縁膜の前記透孔を介して前記表面電極の裏面に接触するように、前記第1絶縁膜上に所定パターンで配線膜を形成し、
前記貫通孔の内部に残存する空隙を充填する充填部を持つように、外部電極を前記配線膜の表面に形成し、
前記配線膜の前記貫通孔の内部にある部分と前記充填部とを、前記貫通導電体として機能させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記貫通孔の内部では、前記第1絶縁膜が前記貫通孔の内側面上に直接形成され、
前記貫通孔の外部では、前記半導体基板の裏面と前記第1絶縁膜の間に第2絶縁膜が形成される請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記貫通孔の内部では、前記第1絶縁膜が前記貫通孔の内側面上に直接形成され、前記貫通孔の外部では、前記第1絶縁膜が前記半導体基板の裏面上に直接形成される請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜に重ねて形成される請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜に重ねて形成され、
前記貫通孔の内側面および前記半導体基板の裏面を覆うと共に、前記表面電極の裏面に達する透孔を前記貫通孔の内部に有している第3絶縁膜が、前記第2絶縁膜に重ねて形成される請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記外部電極が導電性金属のメッキ法により形成される請求項9〜13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記表面電極の裏面と前記貫通孔の内側面と前記半導体基板の裏面とを覆うように前記第1絶縁膜を形成した後、それをマスクなしで異方性エッチングして、前記第1絶縁膜の前記表面電極の裏面上にある部分のみを選択的に除去して前記透孔が形成される請求項9〜14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記半導体装置が固体撮像装置である請求項9〜15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2009−16406(P2009−16406A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173587(P2007−173587)
【出願日】平成19年6月30日(2007.6.30)
【出願人】(503456832)株式会社ザイキューブ (36)
【Fターム(参考)】