距離情報入力装置
【課題】本発明は、クロストークの低減された高精度な距離情報を取得可能にする距離情報入力装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によると、輝度変調光源によって輝度変調された光が照射された前記対象物からの反射光を受光し、光電変換を行うと共に、前記輝度変調光源と同期して感度変調可能な受光素子を備えた距離情報入力装置において、前記受光素子は、光電変換部と、二つの電荷蓄積部と、二つの電荷振り分けゲートと、二つの電荷検出部と、二つの電荷転送部とを有し、前記受光素子のリセット動作と前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を読み出す読み出し動作との間に、前記電荷振り分けゲートをオフして前記電荷蓄積部のポテンシャルを上げることによって飽和電荷量以上の余剰電子を排出する動作を少なくとも一回行なうことを特徴とする距離情報入力装置が提供される。
【解決手段】本発明の一態様によると、輝度変調光源によって輝度変調された光が照射された前記対象物からの反射光を受光し、光電変換を行うと共に、前記輝度変調光源と同期して感度変調可能な受光素子を備えた距離情報入力装置において、前記受光素子は、光電変換部と、二つの電荷蓄積部と、二つの電荷振り分けゲートと、二つの電荷検出部と、二つの電荷転送部とを有し、前記受光素子のリセット動作と前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を読み出す読み出し動作との間に、前記電荷振り分けゲートをオフして前記電荷蓄積部のポテンシャルを上げることによって飽和電荷量以上の余剰電子を排出する動作を少なくとも一回行なうことを特徴とする距離情報入力装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象物に向けて光を照射し、その反射光を受光することにより対象物までの距離を検出する距離情報入力装置に関わり、対象物の距離情報を画像としてリアルタイムに取り込む距離情報入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、対象物までの距離を検出する測距方法の一つに光の空間伝搬時間計測(Time of Flight法;TOF法)がある。
【0003】このTOF法に基づいて、対象物の距離情報を2次元的に表現するには、輝度変調したスポット光を2次元的に走査して1つの感度変調素子で受光するか、あるいは輝度変調光をエリア照明して一括して感度変調素子アレイで受光するといった方法がとられる。
【0004】以下、輝度変調光源と感度変調素子を用いてリアルタイムに距離情報(対象物の奥行きに関する情報を2次元的に並べたもの)を取得する方法について、R.Miyagawaらによる発表(1995 IEEE Workshop onCharge−Coupled Devices and AdvancedImage Sensors,April20−22;”Integration−Time Based Computational Image Sensors”)を例にとって説明する。
【0005】図8の(a),(b)は、上記したR.Miyagawaらが用いた感度変調素子の受光部について、1画素分の断面構造(a)とポテンシャルダイアグラム(b)を示したものである。
【0006】入射光が遮光層808の開口部から感度変調素子の光電変換部805に入射すると、この光電変換部805で入射光の光量に応じた光生成電子が発生する。
【0007】ここで、光電変換部805は、MOSフォトゲート800の下に形成されている。
【0008】そして、この光電変換部805で生成された電子は、電荷振り分けゲート801及び802を介して、それぞれ電荷蓄積ゲート803下の電荷蓄積部806及び電荷蓄積ゲート804下の電荷蓄積部807に転送されるように構成されている。
【0009】このとき、電荷蓄積ゲート803及び804には、フォトゲート800よりも高い電圧が印加され、かつ電荷振り分けゲート801及び802には、相補的、すなわち電荷振り分けゲート801に転送パルスを印加するときには電荷振り分けゲート802がオフするような、逆に電荷振り分けゲート802に転送パルスを印加するときには電荷振り分けゲート802がオフするようなパルスが入力される。
【0010】このように駆動することにより、入射光の光量に応じて光電変換部800で発生した電子を時間的に選択し、振り分けながら電荷蓄積部806及び807に蓄積することができる。
【0011】そして、電荷蓄積部806及び807に蓄積された電荷は、それぞれ読みだしゲート808及び809を介して増幅器(AMP1及び2)からOut1及び2として出力される。
【0012】次に、図9により、上記感度変調素子を用いた測距原理について説明する。
【0013】図9は、送光時の輝度変調光と受光時の対象物からの反射光の光強度、電荷振り分けゲート801及び802の印加電圧、受光部805で生成される信号電荷量及び電荷蓄積部806、807の電荷蓄積量の時間変化を表している。
【0014】ここで、パルス変調された輝度変調光は、一方の電荷振り分けゲート801に印加される電圧とは同位相であり、他方の電荷振り分けゲート802に印加される電圧とは180度位相がずれている。
【0015】また、反射光は、送光時の輝度変調光に対して、対象物までの距離Rを往復するのにかかる時間△tだけ位相が遅れている。
【0016】この反射光が、受光部805に達すると、その光強度に比例した量の電荷Qが生成される。
【0017】この電荷Qは、電荷振り分けゲート801及び802のオン/オフに対応して、それぞれの位相と揃った成分ごとに電荷振り分けゲート801及び802を介し、電荷蓄積部806及び807にそれぞれ振り分けられ、電荷Q1、電荷Q2が蓄積される。
【0018】このとき対象物までの距離Rは、光速c、変調パルス幅Tとすると、 R=c・△t/2 =(cT/2)・{Q2/(Q1+Q2)}
=(cT/4)・[1−{(Q1−Q2)/(Q1+Q2)}]…(1)
と表される。
【0019】したがって、電荷蓄積部806及び807の電荷を各々検出し、式(1)に基づいて処理することにより、対象物までの距離を検出することが可能となる。
【0020】このように、TOF法に基づく測距において、電荷振り分けゲート801及びゲート802のオン/オフにより、電荷を振り分けるタイプの感度変調画素(以下、電荷振り分け方式画素)を用いると、対象物までの距離は振り分けられた電荷Q1とQ2の比から求められるので、一度の検出で距離情報を得ることができる。
【0021】また、電荷振り分け方式は、対象物までの距離Rが電荷蓄積部806及び807に蓄えられた電荷量の比Q1とQ2により定められるから、入射光の強度に影響されにくいという利点がある。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上記の電荷振り分け方式において、飽和光量を超える入射光や外光成分の増大などにより、電荷蓄積部から溢れだした余剰電子が引き起こすクロストークについて、図10を用いて説明する。
【0023】図10の(a),(b)は、1画素分の断面構造に対応したポテンシャルダイヤグラムを示している。
【0024】まず、図10の(a)に示すように、電荷蓄積部1003に過剰に溜まった状態から電荷振り分けのためにゲートの印加電圧をオンすると、余剰電子が電荷振り分けゲート1001へと溢れる。
【0025】さらに、図10の(b)に示すように、電荷振り分けゲート1001に溢れた電子は、電荷振り分けゲート1001がオフするのに合わせてフォトゲート1000へと流れ込む。
【0026】このフォトゲート1000へと送られた電子は、電荷振り分け動作により入射光によりフォトゲートの下に生成された光生成電子とともに、反対側の電荷振り分けゲート1002を介して反対側の電荷蓄積部1004へと送られる。
【0027】この結果、一旦、電荷蓄積部1003に振り分けられた電子が反対側の蓄積部1004へと混入してしまうことになり、いわゆる、クロストークが起こる。
【0028】このクロストークは、信号のS/Nの低下あるいは測定誤差の増大を招く原因につながる。
【0029】ここに、上記電荷振り分け方式による問題がある。
【0030】本発明は、この点に着目し、クロストークの低減された高精度な距離情報を取得可能にする距離情報入力装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】まず、本発明の電荷振り分け方式におけるクロストークの軽減方法の考え方を図1111にて説明する。
【0032】図11の(a),(b)は、1画素分の断面構造に対応したポテンシャルダイヤグラムを示している。
【0033】すなわち、本発明による電荷振り分け方式においては、図11の(a)に示すように電荷振り分けゲート1101及び1102のオンオフを繰り返すことにより電荷を振り分けながら蓄積する合間に、図11の(b)に示すように、間欠的に蓄積動作を休止して両方の電荷振り分けゲート1101及び1102をオフして電荷蓄積部1103及び1104の電位を上げることにより、電子がフォトゲート1100へ逆流するのを防止する。
【0034】また、本発明による電荷振り分け方式においては、上述と同時に、電荷蓄積部1103及び1104の電位を上げるのに合わせて信号転送ゲート1105及び1106の電位を下げて、余剰電子を画素ドレイン電極1107及び1108にオーバーフローさせる。
【0035】このオーバーフロー動作を電荷振り分け蓄積期間中に間欠的に設けることにより、電荷振り分け時にフォトゲート1100へ電子が逆流するのを防止する。
【0036】このとき、信号転送ゲート1105及び1106と電荷蓄積部1103及び1104のそれぞれの電位差は、信号の飽和電荷量を決定する。
【0037】この方法により、本発明による電荷振り分け方式では、余剰電子が原因で引き起こされるクロストークを防止することができる。
【0038】本発明によると、上記課題を解決するために、(1) 対象物に輝度変調した光を照射する輝度変調光源、前記輝度変調光源によって輝度変調された光が照射された前記対象物からの反射光を受光し、光電変換を行うと共に、前記輝度変調光源と同期して感度変調可能な受光素子を備えた距離情報入力装置において、前記受光素子は、前記対象物からの反射光を電荷に変換する光電変換部と、前記光電変換部で変換された電荷を蓄積記憶する二つの電荷蓄積部と、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に設けられ、前記光電変換部で変換された電荷を前記輝度変調光源と同期して前記二つの電荷蓄積部に振り分ける二つの電荷振り分けゲートと、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を検出する二つの電荷検出部と、前記電荷蓄積部と前記電荷検出部との間に設けられるとともに、二つの信号振り分けゲートで構成され、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を前記電荷蓄積部から前記電荷検出部に転送する二つの電荷転送部と、を有し、前記受光素子のリセット動作と前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を読み出す読み出し動作との間に、前記電荷振り分けゲートをオフして前記電荷蓄積部のポテンシャルを上げることによって飽和電荷量以上の余剰電子を排出する動作を少なくとも一回行なうことを特徴とする距離情報入力装置が提供される。
【0039】(対応する発明の実施の形態)この本発明に関する実施の形態は、後述する第1の実施の形態が対応する。
【0040】(作用)本発明による電荷振り分け方式では、受光素子のリセット動作と前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を読み出す読み出し動作との間に、前記電荷振り分けゲートをオフして前記電荷蓄積部のポテンシャルを上げることによって飽和電荷量以上の余剰電子を排出する動作を少なくとも一回行なうことを特徴とする。
【0041】本発明によれば、余剰電子が引き起こすクロストークの問題を防止しながら、高精度な距離情報を取得することが可能になる。
【0042】また、本発明によると、上記課題を解決するために、(2) 前記電荷振り分けゲートがオフされるのと同期して、前記電荷転送部のポテンシャルを下げることを特徴とする(1)に記載の距離情報入力装置が提供される。
【0043】(対応する発明の実施の形態)この本発明に関する実施の形態は、後述する第1の実施の形態が対応する。
【0044】(作用)本発明による電荷振り分け方式では、前記電荷振り分けゲートがオフされるのと同期して、前記電荷転送部のポテンシャルを下げることを特徴とする。
【0045】本発明によれば、余剰電子が引き起こすクロストークの問題を防止しながら、より高精度な距離情報を取得することが可能になる。
【0046】また、本発明によると、上記課題を解決するために、(3) 前記光電変換部が一次元または二次元のアレイ状に配置されていることを特徴とする(1)に記載の距離情報入力装置が提供される。
【0047】(対応する発明の実施の形態)この本発明に関する実施の形態は、後述する第2の実施の形態が対応する。
【0048】(作用)本発明によれば、クロストークの低減された高精度な距離情報を画像としてリアルタイムに取得することが可能になる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0050】(第1の実施の形態)図1を用いて本発明の第1の実施の形態による距離情報入力装置について説明する。
【0051】図1は、本発明の第1の実施の形態による距離情報入力装置における感度変調素子の1画素分の画素の構成例を示したものである。
【0052】図1に示すように、距離情報入力装置における感度変調素子としての1画素は、入射光が入射される開口部100aを有する遮光層100と、MOSフォトゲート部101aと、このMOSフォトゲート部101aへの印加電圧入力端子101と、電荷振り分けゲート102a及び103aと、これら電荷振り分けゲート102a及び103aへの電荷振り分けパルス入力端子102及び103と、電荷蓄積ゲート104a及び104bと、これら電荷蓄積ゲート104a及び104bへの制御パルス入力端子104と、信号電荷転送ゲート105a及び105bと、これら信号電荷転送ゲート105a及び105bへの制御パルス入力端子105と、画素電極リセットパルス入力端子106と、画素電極リセット電圧入力端子107と、画素ドレイン電圧入力端子108と、画素選択パルス入力端子109と、画素リセットMOSトランジスタ110及び111と、画素信号増幅トランジスタ112及び113と、画素選択トランジスタ114及び115、画素信号出力端子116及び117とで構成されている。
【0053】入射光が遮光層100の開口部100aから感度変調素子を構成する光電変換部120に入射すると、この光電変換部120で入射光の光量に応じた光生成電子が発生する。
【0054】ここで、光電変換部120は、MOSフォトゲート部101aと電荷振り分けゲート102a及び103aの下に形成されている。
【0055】このように構成された感度変調素子の1画素を使って実際に感度変調信号を読み出す駆動方法を図2R>2、図3、図4を用いて説明する。
【0056】なお、図1において、MOSフォトゲート部101aへの印加電圧入力端子101には、フォトゲート部印加電圧が印加され、画素電極リセット電圧入力端子107には画素電極リセット電圧が印加され、画素ドレイン電圧入力端子108には画素ドレイン電圧が印加されているものとする。
【0057】(画素リセット動作)図2を用いて図1の画素のリセット動作を説明する。
【0058】まず、(1)の期間において、画素ドレイン電圧入力端子108を画素電極リセットパルス入力端子106から印加されたリセット電圧に固定したまま全ての端子をオンすることにより、MOSフォトゲート部101aと電荷振り分けゲート102a及び103aの下の光電変換部120で入射光の光量に応じて発生した光生成電子による電荷を画素ドレイン電圧入力端子108へと排出する。
【0059】次に、(2)の期間において、電荷振り分けパルス入力端子102及び103の電荷振り分けパルスをオフすることにより、電荷蓄積ゲート104a及び104bからMOSフォトゲート部101aヘの電荷逆流を防止する。
【0060】次に、(3)の期間において、電荷蓄積ゲート制御パルス入力端子104のパルスをオフすることにより、上記電荷蓄積ゲート104a及び104b下の電荷を信号電荷転送ゲート105a及び105bと画素ドレイン電圧入力端子108へ排出する。
【0061】次に、(4)の期間において、信号電荷転送ゲート制御パルス入力端子105をオフすることにより、信号電荷転送ゲート105a及び105b下の電荷を画素ドレイン電圧入力端子108へと排出する。
【0062】(感度変調動作:電荷振り分けとオーバーフロー)図3を用いて図1の画素による感度変調動作(電荷振り分けとオーバーフロー)を説明する。
【0063】まず、(5)の期間において、電荷振り分けパルス入力端子102及び103に対して相補的にオンオフするようなパルスを入力することにより、MOSフォトゲート101a下の光電変換部120で生成された光電荷をそれぞれの電荷蓄積ゲート104a及び104bに振り分ける。
【0064】次に、(6)の期間において、電荷蓄積ゲート制御パルス入力端子104の印加電圧を下げることにより、電荷蓄積ゲート104a及び104bに溜まった余剰電子を信号電荷転送ゲート105a及び105bを介して画素ドレイン電圧入力端子108へとオーバーフローさせる。
【0065】この(5)と(6)の期間を交互に繰り返し行うことにより、クローストークを防止しながら、感度変調された信号電荷を蓄積することができる。
【0066】(読み出し動作)図4を用いて図1の画素の読み出し動作を説明する。
【0067】まず、(7)の期間において、画素選択パルス入力端子109をオンすることにより、信号電荷転送前のオフセット信号を画素信号出力端子116及び117から読み出す。
【0068】次に、(8)の期間において、信号電荷転送ゲート制御パルス入力端子105をオンすることにより、蓄積した電荷をフローティング状態にされた画素ドレイン電圧入力端子108へ転送する。
【0069】次に、(9)の期間において、信号電荷転送後の信号レベルを画素信号出力端子116及び117からそれぞれ読み出し、(7)の期間において読み出したオフセットレベルとの差をとることにより、オフセット成分を除去する。
【0070】以上の動作をすることにより、感度変調信号を読み出すことができる。
【0071】この感度変調信号から式(1)における電荷Q1とQ2を算出し、式(1)に代入することにより距離情報が抽出される。
【0072】本実施の形態によれば、余剰電子が引き起こすクロストークの問題を防止しながら、高精度な距離情報を取得することが可能になる。
【0073】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2の実施の形態について、図5、図6、図7、を用いて説明する。
【0074】図5において、参照符号500は光源部、参照符号501は輝度変調光源、参照符号505は光源駆動回路、参照符号502はコリメータレンズ、参照符号503はスリット光走査用のミラー、参照符号506はミラー503の向きを制御するミラー駆動回路、参照符号504はシリンドリカルレンズ、参照符号509は画素アレイ、参照符号507はTOF法に基づいた測距を行うための輝度変調信号及び感度変調信号を光源駆動回路505及び画素駆動回路508にそれぞれ送るとともに、スリット光の走査と同期して画素信号を読み出せるようにミラー駆動回路506と画素駆動回路508とに信号を送るコントローラ、参照符号510は撮像光学系、参照符号511は信号処理回路、参照符号512は対象物、参照符号513は撮像部を表している。
【0075】図6はm行×n列に配列された電荷振り分け方式の画素アレイ509でXYアドレス型エリアセンサを構成したときの構成例を表す。
【0076】受光したスリット光の位置変化と同期して、画素駆動回路508により画素アレイ509の行ごとに、感度変調、リセット、信号読み出しが行われる。
【0077】画素アレイ509からの画素出力信号は、信号処理回路511でオフセット除去などの前処理後に、画素駆動回路508で水平走査されることによって時系列信号に変換され、この後、距離画像化される。
【0078】図7は、図6の画素アレイ509の各行における感度変調期間及び輝度変調光照射期間、画素信号のリセット及び読み出しのタイミング、水平走査期間を表している。
【0079】ここで、感度変調期間とは、感度変調信号が図6の画素駆動回路508から出力される期間を表している。
【0080】また、輝度変調光照射期間とは、輝度変調光が図6の光源501から出射される期間を表している。
【0081】そして、感度変調期間と、輝度変調光照射期間との、それぞれの期間中に感度変調及び輝度変調がなされている。
【0082】なお、この感度変調期間は、前述した第1の実施の形態で示した電荷振り分け蓄積と余剰電子のオーバーフローの繰り返しにより構成されている。
【0083】また、水平走査期間とは、水平走査信号φH1,φH2,…,φHnが図6の画素駆動回路508(水平走査回路)から順次出力される期間を表し、この期間中に図6の画素アレイ509の1行分の画素出力信号が時系列信号として変換される。
【0084】そして、感度変調期間及び輝度変調光照射期間、画素信号のリセット及び読み出しのタイミングは、スリット光の走査に同期してシフトするとともに、感度変調期間及び輝度変調光照射期間はどの行においても画素信号のリセット及び読み出しのタイミングと重ならないようになっている。
【0085】このような装置構成により、対象物をスリット光で走査しながら、TOF法に基づく距離画像生成が可能になる。
【0086】本実施の形態の特徴は、電荷振り分け方式画素をXYアドレス型エリアセンサに適用し、本発明の距離情報入力装置におけるクロストーク低減のための駆動方法を用いることにより、一度の検出でクロストークの軽減された距離(画像)情報を生成することができ、かつスリット光を用いることによって1画素あたりの蓄積時間が短くなるので外光の影響が少なくなるとともに、上述の画素駆動タイミングを用いることにより、消費電力を抑え、リアルタイムに高精度な距離画像の取得が小型の装置で行えるところにある。
【0087】
【発明の効果】従って、以上説明したように、本発明によれば、クロストークの低減された高精度な距離情報を取得可能にする距離情報入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態による距離情報入力装置における感度変調素子の1画素分の画素の構成例を示す図である。
【図2】図2は、図1の画素のリセット動作を説明するために示す図である。
【図3】図3は、図1の画素による感度変調動作(電荷振り分けとオーバーフロー)を説明するために示す図である。
【図4】図4は、図1の画素の読み出し動作を説明するために示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施の形態による距離情報入力装置の構成例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態による距離情報入力装置において、m行×n列に配列された電荷振り分け方式の画素アレイ509でXYアドレス型エリアセンサを構成したときの構成例を示す図である。
【図7】図7は、図6の画素アレイ509の各行における感度変調期間及び輝度変調光照射期間、画素信号のリセット及び読み出しのタイミング、水平走査期間を示す図である。
【図8】図8の(a),(b)は、R.Miyagawaらが用いた感度変調素子の受光部について、1画素分の断面構造(a)とポテンシャルダイアグラム(b)を示す図である。
【図9】図9は、図8の(a)に示すような受光部を有する感度変調素子を用いた測距原理を説明するために、送光時の輝度変調光と受光時の対象物からの反射光の光強度、電荷振り分けゲート801及び802の印加電圧、受光部805で生成される信号電荷量及び電荷蓄積部806、807の電荷蓄積量の時間変化を示す図である。
【図10】図10の(a),(b)は、図8の(a)に示すような受光部を有する感度変調素子による電荷振り分け方式において、飽和光量を超える入射光や外光成分の増大などにより、電荷蓄積部から溢れだした余剰電子が引き起こすクロストークを説明するために、1画素分の断面構造に対応したポテンシャルダイヤグラムを示す図である。
【図11】図11の(a),(b)は、本発明の電荷振り分け方式におけるクロストークの軽減方法の考え方を説明するために、1画素分の断面構造に対応したポテンシャルダイヤグラムを示す図である。
【符号の説明】
100a…開口部、
100…遮光層、
101a…MOSフォトゲート部、
101…MOSフォトゲート部への印加電圧入力端子、
102a,103a…電荷振り分けゲート、
102…電荷振り分けゲート102aへの電荷振り分けパルス入力端子、
103…電荷振り分けゲート103aへの電荷振り分けパルス入力端子、
104a,104b…電荷蓄積ゲート、
104…電荷蓄積ゲート104a,104bへの制御パルス入力端子、
105a,105b…信号電荷転送ゲート、
105…信号電荷転送ゲート105a,105bへの制御パルス入力端子、
106…画素電極リセットパルス入力端子、
107…画素電極リセット電圧入力端子、
108…画素ドレイン電圧入力端子、
109…画素選択パルス入力端子、
110,111…画素リセットMOSトランジスタ、
112,113…画素信号増幅トランジスタ、
114,115…画素選択トランジスタ、
116,117…画素信号出力端子、
120…光電変換部、
500…光源部、
501…輝度変調光源、
505…光源駆動回路、
502…コリメータレンズ、
503…スリット光走査用のミラー、
506…ミラー503の向きを制御するミラー駆動回路、
504…シリンドリカルレンズ、
509…画素アレイ、
507…コントローラ、
508…画素駆動回路、
510…撮像光学系、
511…信号処理回路、
512…対象物、
513…撮像部、
1101,1102…電荷振り分けゲート、
1100…フォトゲート、
1103,1104…電荷蓄積部、
1105,1106…信号転送ゲート、
1107,1108…画素ドレイン電極。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象物に向けて光を照射し、その反射光を受光することにより対象物までの距離を検出する距離情報入力装置に関わり、対象物の距離情報を画像としてリアルタイムに取り込む距離情報入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、対象物までの距離を検出する測距方法の一つに光の空間伝搬時間計測(Time of Flight法;TOF法)がある。
【0003】このTOF法に基づいて、対象物の距離情報を2次元的に表現するには、輝度変調したスポット光を2次元的に走査して1つの感度変調素子で受光するか、あるいは輝度変調光をエリア照明して一括して感度変調素子アレイで受光するといった方法がとられる。
【0004】以下、輝度変調光源と感度変調素子を用いてリアルタイムに距離情報(対象物の奥行きに関する情報を2次元的に並べたもの)を取得する方法について、R.Miyagawaらによる発表(1995 IEEE Workshop onCharge−Coupled Devices and AdvancedImage Sensors,April20−22;”Integration−Time Based Computational Image Sensors”)を例にとって説明する。
【0005】図8の(a),(b)は、上記したR.Miyagawaらが用いた感度変調素子の受光部について、1画素分の断面構造(a)とポテンシャルダイアグラム(b)を示したものである。
【0006】入射光が遮光層808の開口部から感度変調素子の光電変換部805に入射すると、この光電変換部805で入射光の光量に応じた光生成電子が発生する。
【0007】ここで、光電変換部805は、MOSフォトゲート800の下に形成されている。
【0008】そして、この光電変換部805で生成された電子は、電荷振り分けゲート801及び802を介して、それぞれ電荷蓄積ゲート803下の電荷蓄積部806及び電荷蓄積ゲート804下の電荷蓄積部807に転送されるように構成されている。
【0009】このとき、電荷蓄積ゲート803及び804には、フォトゲート800よりも高い電圧が印加され、かつ電荷振り分けゲート801及び802には、相補的、すなわち電荷振り分けゲート801に転送パルスを印加するときには電荷振り分けゲート802がオフするような、逆に電荷振り分けゲート802に転送パルスを印加するときには電荷振り分けゲート802がオフするようなパルスが入力される。
【0010】このように駆動することにより、入射光の光量に応じて光電変換部800で発生した電子を時間的に選択し、振り分けながら電荷蓄積部806及び807に蓄積することができる。
【0011】そして、電荷蓄積部806及び807に蓄積された電荷は、それぞれ読みだしゲート808及び809を介して増幅器(AMP1及び2)からOut1及び2として出力される。
【0012】次に、図9により、上記感度変調素子を用いた測距原理について説明する。
【0013】図9は、送光時の輝度変調光と受光時の対象物からの反射光の光強度、電荷振り分けゲート801及び802の印加電圧、受光部805で生成される信号電荷量及び電荷蓄積部806、807の電荷蓄積量の時間変化を表している。
【0014】ここで、パルス変調された輝度変調光は、一方の電荷振り分けゲート801に印加される電圧とは同位相であり、他方の電荷振り分けゲート802に印加される電圧とは180度位相がずれている。
【0015】また、反射光は、送光時の輝度変調光に対して、対象物までの距離Rを往復するのにかかる時間△tだけ位相が遅れている。
【0016】この反射光が、受光部805に達すると、その光強度に比例した量の電荷Qが生成される。
【0017】この電荷Qは、電荷振り分けゲート801及び802のオン/オフに対応して、それぞれの位相と揃った成分ごとに電荷振り分けゲート801及び802を介し、電荷蓄積部806及び807にそれぞれ振り分けられ、電荷Q1、電荷Q2が蓄積される。
【0018】このとき対象物までの距離Rは、光速c、変調パルス幅Tとすると、 R=c・△t/2 =(cT/2)・{Q2/(Q1+Q2)}
=(cT/4)・[1−{(Q1−Q2)/(Q1+Q2)}]…(1)
と表される。
【0019】したがって、電荷蓄積部806及び807の電荷を各々検出し、式(1)に基づいて処理することにより、対象物までの距離を検出することが可能となる。
【0020】このように、TOF法に基づく測距において、電荷振り分けゲート801及びゲート802のオン/オフにより、電荷を振り分けるタイプの感度変調画素(以下、電荷振り分け方式画素)を用いると、対象物までの距離は振り分けられた電荷Q1とQ2の比から求められるので、一度の検出で距離情報を得ることができる。
【0021】また、電荷振り分け方式は、対象物までの距離Rが電荷蓄積部806及び807に蓄えられた電荷量の比Q1とQ2により定められるから、入射光の強度に影響されにくいという利点がある。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上記の電荷振り分け方式において、飽和光量を超える入射光や外光成分の増大などにより、電荷蓄積部から溢れだした余剰電子が引き起こすクロストークについて、図10を用いて説明する。
【0023】図10の(a),(b)は、1画素分の断面構造に対応したポテンシャルダイヤグラムを示している。
【0024】まず、図10の(a)に示すように、電荷蓄積部1003に過剰に溜まった状態から電荷振り分けのためにゲートの印加電圧をオンすると、余剰電子が電荷振り分けゲート1001へと溢れる。
【0025】さらに、図10の(b)に示すように、電荷振り分けゲート1001に溢れた電子は、電荷振り分けゲート1001がオフするのに合わせてフォトゲート1000へと流れ込む。
【0026】このフォトゲート1000へと送られた電子は、電荷振り分け動作により入射光によりフォトゲートの下に生成された光生成電子とともに、反対側の電荷振り分けゲート1002を介して反対側の電荷蓄積部1004へと送られる。
【0027】この結果、一旦、電荷蓄積部1003に振り分けられた電子が反対側の蓄積部1004へと混入してしまうことになり、いわゆる、クロストークが起こる。
【0028】このクロストークは、信号のS/Nの低下あるいは測定誤差の増大を招く原因につながる。
【0029】ここに、上記電荷振り分け方式による問題がある。
【0030】本発明は、この点に着目し、クロストークの低減された高精度な距離情報を取得可能にする距離情報入力装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】まず、本発明の電荷振り分け方式におけるクロストークの軽減方法の考え方を図1111にて説明する。
【0032】図11の(a),(b)は、1画素分の断面構造に対応したポテンシャルダイヤグラムを示している。
【0033】すなわち、本発明による電荷振り分け方式においては、図11の(a)に示すように電荷振り分けゲート1101及び1102のオンオフを繰り返すことにより電荷を振り分けながら蓄積する合間に、図11の(b)に示すように、間欠的に蓄積動作を休止して両方の電荷振り分けゲート1101及び1102をオフして電荷蓄積部1103及び1104の電位を上げることにより、電子がフォトゲート1100へ逆流するのを防止する。
【0034】また、本発明による電荷振り分け方式においては、上述と同時に、電荷蓄積部1103及び1104の電位を上げるのに合わせて信号転送ゲート1105及び1106の電位を下げて、余剰電子を画素ドレイン電極1107及び1108にオーバーフローさせる。
【0035】このオーバーフロー動作を電荷振り分け蓄積期間中に間欠的に設けることにより、電荷振り分け時にフォトゲート1100へ電子が逆流するのを防止する。
【0036】このとき、信号転送ゲート1105及び1106と電荷蓄積部1103及び1104のそれぞれの電位差は、信号の飽和電荷量を決定する。
【0037】この方法により、本発明による電荷振り分け方式では、余剰電子が原因で引き起こされるクロストークを防止することができる。
【0038】本発明によると、上記課題を解決するために、(1) 対象物に輝度変調した光を照射する輝度変調光源、前記輝度変調光源によって輝度変調された光が照射された前記対象物からの反射光を受光し、光電変換を行うと共に、前記輝度変調光源と同期して感度変調可能な受光素子を備えた距離情報入力装置において、前記受光素子は、前記対象物からの反射光を電荷に変換する光電変換部と、前記光電変換部で変換された電荷を蓄積記憶する二つの電荷蓄積部と、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に設けられ、前記光電変換部で変換された電荷を前記輝度変調光源と同期して前記二つの電荷蓄積部に振り分ける二つの電荷振り分けゲートと、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を検出する二つの電荷検出部と、前記電荷蓄積部と前記電荷検出部との間に設けられるとともに、二つの信号振り分けゲートで構成され、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を前記電荷蓄積部から前記電荷検出部に転送する二つの電荷転送部と、を有し、前記受光素子のリセット動作と前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を読み出す読み出し動作との間に、前記電荷振り分けゲートをオフして前記電荷蓄積部のポテンシャルを上げることによって飽和電荷量以上の余剰電子を排出する動作を少なくとも一回行なうことを特徴とする距離情報入力装置が提供される。
【0039】(対応する発明の実施の形態)この本発明に関する実施の形態は、後述する第1の実施の形態が対応する。
【0040】(作用)本発明による電荷振り分け方式では、受光素子のリセット動作と前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を読み出す読み出し動作との間に、前記電荷振り分けゲートをオフして前記電荷蓄積部のポテンシャルを上げることによって飽和電荷量以上の余剰電子を排出する動作を少なくとも一回行なうことを特徴とする。
【0041】本発明によれば、余剰電子が引き起こすクロストークの問題を防止しながら、高精度な距離情報を取得することが可能になる。
【0042】また、本発明によると、上記課題を解決するために、(2) 前記電荷振り分けゲートがオフされるのと同期して、前記電荷転送部のポテンシャルを下げることを特徴とする(1)に記載の距離情報入力装置が提供される。
【0043】(対応する発明の実施の形態)この本発明に関する実施の形態は、後述する第1の実施の形態が対応する。
【0044】(作用)本発明による電荷振り分け方式では、前記電荷振り分けゲートがオフされるのと同期して、前記電荷転送部のポテンシャルを下げることを特徴とする。
【0045】本発明によれば、余剰電子が引き起こすクロストークの問題を防止しながら、より高精度な距離情報を取得することが可能になる。
【0046】また、本発明によると、上記課題を解決するために、(3) 前記光電変換部が一次元または二次元のアレイ状に配置されていることを特徴とする(1)に記載の距離情報入力装置が提供される。
【0047】(対応する発明の実施の形態)この本発明に関する実施の形態は、後述する第2の実施の形態が対応する。
【0048】(作用)本発明によれば、クロストークの低減された高精度な距離情報を画像としてリアルタイムに取得することが可能になる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0050】(第1の実施の形態)図1を用いて本発明の第1の実施の形態による距離情報入力装置について説明する。
【0051】図1は、本発明の第1の実施の形態による距離情報入力装置における感度変調素子の1画素分の画素の構成例を示したものである。
【0052】図1に示すように、距離情報入力装置における感度変調素子としての1画素は、入射光が入射される開口部100aを有する遮光層100と、MOSフォトゲート部101aと、このMOSフォトゲート部101aへの印加電圧入力端子101と、電荷振り分けゲート102a及び103aと、これら電荷振り分けゲート102a及び103aへの電荷振り分けパルス入力端子102及び103と、電荷蓄積ゲート104a及び104bと、これら電荷蓄積ゲート104a及び104bへの制御パルス入力端子104と、信号電荷転送ゲート105a及び105bと、これら信号電荷転送ゲート105a及び105bへの制御パルス入力端子105と、画素電極リセットパルス入力端子106と、画素電極リセット電圧入力端子107と、画素ドレイン電圧入力端子108と、画素選択パルス入力端子109と、画素リセットMOSトランジスタ110及び111と、画素信号増幅トランジスタ112及び113と、画素選択トランジスタ114及び115、画素信号出力端子116及び117とで構成されている。
【0053】入射光が遮光層100の開口部100aから感度変調素子を構成する光電変換部120に入射すると、この光電変換部120で入射光の光量に応じた光生成電子が発生する。
【0054】ここで、光電変換部120は、MOSフォトゲート部101aと電荷振り分けゲート102a及び103aの下に形成されている。
【0055】このように構成された感度変調素子の1画素を使って実際に感度変調信号を読み出す駆動方法を図2R>2、図3、図4を用いて説明する。
【0056】なお、図1において、MOSフォトゲート部101aへの印加電圧入力端子101には、フォトゲート部印加電圧が印加され、画素電極リセット電圧入力端子107には画素電極リセット電圧が印加され、画素ドレイン電圧入力端子108には画素ドレイン電圧が印加されているものとする。
【0057】(画素リセット動作)図2を用いて図1の画素のリセット動作を説明する。
【0058】まず、(1)の期間において、画素ドレイン電圧入力端子108を画素電極リセットパルス入力端子106から印加されたリセット電圧に固定したまま全ての端子をオンすることにより、MOSフォトゲート部101aと電荷振り分けゲート102a及び103aの下の光電変換部120で入射光の光量に応じて発生した光生成電子による電荷を画素ドレイン電圧入力端子108へと排出する。
【0059】次に、(2)の期間において、電荷振り分けパルス入力端子102及び103の電荷振り分けパルスをオフすることにより、電荷蓄積ゲート104a及び104bからMOSフォトゲート部101aヘの電荷逆流を防止する。
【0060】次に、(3)の期間において、電荷蓄積ゲート制御パルス入力端子104のパルスをオフすることにより、上記電荷蓄積ゲート104a及び104b下の電荷を信号電荷転送ゲート105a及び105bと画素ドレイン電圧入力端子108へ排出する。
【0061】次に、(4)の期間において、信号電荷転送ゲート制御パルス入力端子105をオフすることにより、信号電荷転送ゲート105a及び105b下の電荷を画素ドレイン電圧入力端子108へと排出する。
【0062】(感度変調動作:電荷振り分けとオーバーフロー)図3を用いて図1の画素による感度変調動作(電荷振り分けとオーバーフロー)を説明する。
【0063】まず、(5)の期間において、電荷振り分けパルス入力端子102及び103に対して相補的にオンオフするようなパルスを入力することにより、MOSフォトゲート101a下の光電変換部120で生成された光電荷をそれぞれの電荷蓄積ゲート104a及び104bに振り分ける。
【0064】次に、(6)の期間において、電荷蓄積ゲート制御パルス入力端子104の印加電圧を下げることにより、電荷蓄積ゲート104a及び104bに溜まった余剰電子を信号電荷転送ゲート105a及び105bを介して画素ドレイン電圧入力端子108へとオーバーフローさせる。
【0065】この(5)と(6)の期間を交互に繰り返し行うことにより、クローストークを防止しながら、感度変調された信号電荷を蓄積することができる。
【0066】(読み出し動作)図4を用いて図1の画素の読み出し動作を説明する。
【0067】まず、(7)の期間において、画素選択パルス入力端子109をオンすることにより、信号電荷転送前のオフセット信号を画素信号出力端子116及び117から読み出す。
【0068】次に、(8)の期間において、信号電荷転送ゲート制御パルス入力端子105をオンすることにより、蓄積した電荷をフローティング状態にされた画素ドレイン電圧入力端子108へ転送する。
【0069】次に、(9)の期間において、信号電荷転送後の信号レベルを画素信号出力端子116及び117からそれぞれ読み出し、(7)の期間において読み出したオフセットレベルとの差をとることにより、オフセット成分を除去する。
【0070】以上の動作をすることにより、感度変調信号を読み出すことができる。
【0071】この感度変調信号から式(1)における電荷Q1とQ2を算出し、式(1)に代入することにより距離情報が抽出される。
【0072】本実施の形態によれば、余剰電子が引き起こすクロストークの問題を防止しながら、高精度な距離情報を取得することが可能になる。
【0073】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2の実施の形態について、図5、図6、図7、を用いて説明する。
【0074】図5において、参照符号500は光源部、参照符号501は輝度変調光源、参照符号505は光源駆動回路、参照符号502はコリメータレンズ、参照符号503はスリット光走査用のミラー、参照符号506はミラー503の向きを制御するミラー駆動回路、参照符号504はシリンドリカルレンズ、参照符号509は画素アレイ、参照符号507はTOF法に基づいた測距を行うための輝度変調信号及び感度変調信号を光源駆動回路505及び画素駆動回路508にそれぞれ送るとともに、スリット光の走査と同期して画素信号を読み出せるようにミラー駆動回路506と画素駆動回路508とに信号を送るコントローラ、参照符号510は撮像光学系、参照符号511は信号処理回路、参照符号512は対象物、参照符号513は撮像部を表している。
【0075】図6はm行×n列に配列された電荷振り分け方式の画素アレイ509でXYアドレス型エリアセンサを構成したときの構成例を表す。
【0076】受光したスリット光の位置変化と同期して、画素駆動回路508により画素アレイ509の行ごとに、感度変調、リセット、信号読み出しが行われる。
【0077】画素アレイ509からの画素出力信号は、信号処理回路511でオフセット除去などの前処理後に、画素駆動回路508で水平走査されることによって時系列信号に変換され、この後、距離画像化される。
【0078】図7は、図6の画素アレイ509の各行における感度変調期間及び輝度変調光照射期間、画素信号のリセット及び読み出しのタイミング、水平走査期間を表している。
【0079】ここで、感度変調期間とは、感度変調信号が図6の画素駆動回路508から出力される期間を表している。
【0080】また、輝度変調光照射期間とは、輝度変調光が図6の光源501から出射される期間を表している。
【0081】そして、感度変調期間と、輝度変調光照射期間との、それぞれの期間中に感度変調及び輝度変調がなされている。
【0082】なお、この感度変調期間は、前述した第1の実施の形態で示した電荷振り分け蓄積と余剰電子のオーバーフローの繰り返しにより構成されている。
【0083】また、水平走査期間とは、水平走査信号φH1,φH2,…,φHnが図6の画素駆動回路508(水平走査回路)から順次出力される期間を表し、この期間中に図6の画素アレイ509の1行分の画素出力信号が時系列信号として変換される。
【0084】そして、感度変調期間及び輝度変調光照射期間、画素信号のリセット及び読み出しのタイミングは、スリット光の走査に同期してシフトするとともに、感度変調期間及び輝度変調光照射期間はどの行においても画素信号のリセット及び読み出しのタイミングと重ならないようになっている。
【0085】このような装置構成により、対象物をスリット光で走査しながら、TOF法に基づく距離画像生成が可能になる。
【0086】本実施の形態の特徴は、電荷振り分け方式画素をXYアドレス型エリアセンサに適用し、本発明の距離情報入力装置におけるクロストーク低減のための駆動方法を用いることにより、一度の検出でクロストークの軽減された距離(画像)情報を生成することができ、かつスリット光を用いることによって1画素あたりの蓄積時間が短くなるので外光の影響が少なくなるとともに、上述の画素駆動タイミングを用いることにより、消費電力を抑え、リアルタイムに高精度な距離画像の取得が小型の装置で行えるところにある。
【0087】
【発明の効果】従って、以上説明したように、本発明によれば、クロストークの低減された高精度な距離情報を取得可能にする距離情報入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態による距離情報入力装置における感度変調素子の1画素分の画素の構成例を示す図である。
【図2】図2は、図1の画素のリセット動作を説明するために示す図である。
【図3】図3は、図1の画素による感度変調動作(電荷振り分けとオーバーフロー)を説明するために示す図である。
【図4】図4は、図1の画素の読み出し動作を説明するために示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施の形態による距離情報入力装置の構成例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態による距離情報入力装置において、m行×n列に配列された電荷振り分け方式の画素アレイ509でXYアドレス型エリアセンサを構成したときの構成例を示す図である。
【図7】図7は、図6の画素アレイ509の各行における感度変調期間及び輝度変調光照射期間、画素信号のリセット及び読み出しのタイミング、水平走査期間を示す図である。
【図8】図8の(a),(b)は、R.Miyagawaらが用いた感度変調素子の受光部について、1画素分の断面構造(a)とポテンシャルダイアグラム(b)を示す図である。
【図9】図9は、図8の(a)に示すような受光部を有する感度変調素子を用いた測距原理を説明するために、送光時の輝度変調光と受光時の対象物からの反射光の光強度、電荷振り分けゲート801及び802の印加電圧、受光部805で生成される信号電荷量及び電荷蓄積部806、807の電荷蓄積量の時間変化を示す図である。
【図10】図10の(a),(b)は、図8の(a)に示すような受光部を有する感度変調素子による電荷振り分け方式において、飽和光量を超える入射光や外光成分の増大などにより、電荷蓄積部から溢れだした余剰電子が引き起こすクロストークを説明するために、1画素分の断面構造に対応したポテンシャルダイヤグラムを示す図である。
【図11】図11の(a),(b)は、本発明の電荷振り分け方式におけるクロストークの軽減方法の考え方を説明するために、1画素分の断面構造に対応したポテンシャルダイヤグラムを示す図である。
【符号の説明】
100a…開口部、
100…遮光層、
101a…MOSフォトゲート部、
101…MOSフォトゲート部への印加電圧入力端子、
102a,103a…電荷振り分けゲート、
102…電荷振り分けゲート102aへの電荷振り分けパルス入力端子、
103…電荷振り分けゲート103aへの電荷振り分けパルス入力端子、
104a,104b…電荷蓄積ゲート、
104…電荷蓄積ゲート104a,104bへの制御パルス入力端子、
105a,105b…信号電荷転送ゲート、
105…信号電荷転送ゲート105a,105bへの制御パルス入力端子、
106…画素電極リセットパルス入力端子、
107…画素電極リセット電圧入力端子、
108…画素ドレイン電圧入力端子、
109…画素選択パルス入力端子、
110,111…画素リセットMOSトランジスタ、
112,113…画素信号増幅トランジスタ、
114,115…画素選択トランジスタ、
116,117…画素信号出力端子、
120…光電変換部、
500…光源部、
501…輝度変調光源、
505…光源駆動回路、
502…コリメータレンズ、
503…スリット光走査用のミラー、
506…ミラー503の向きを制御するミラー駆動回路、
504…シリンドリカルレンズ、
509…画素アレイ、
507…コントローラ、
508…画素駆動回路、
510…撮像光学系、
511…信号処理回路、
512…対象物、
513…撮像部、
1101,1102…電荷振り分けゲート、
1100…フォトゲート、
1103,1104…電荷蓄積部、
1105,1106…信号転送ゲート、
1107,1108…画素ドレイン電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対象物に輝度変調した光を照射する輝度変調光源、前記輝度変調光源によって輝度変調された光が照射された前記対象物からの反射光を受光し、光電変換を行うと共に、前記輝度変調光源と同期して感度変調可能な受光素子を備えた距離情報入力装置において、前記受光素子は、前記対象物からの反射光を電荷に変換する光電変換部と、前記光電変換部で変換された電荷を蓄積記憶する二つの電荷蓄積部と、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に設けられ、前記光電変換部で変換された電荷を前記輝度変調光源と同期して前記二つの電荷蓄積部に振り分ける二つの電荷振り分けゲートと、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を検出する二つの電荷検出部と、前記電荷蓄積部と前記電荷検出部との間に設けられるとともに、二つの信号振り分けゲートで構成され、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を前記電荷蓄積部から前記電荷検出部に転送する二つの電荷転送部と、を有し、前記受光素子のリセット動作と前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を読み出す読み出し動作との間に、前記電荷振り分けゲートをオフして前記電荷蓄積部のポテンシャルを上げることによって飽和電荷量以上の余剰電子を排出する動作を少なくとも一回行なうことを特徴とする距離情報入力装置。
【請求項2】 前記電荷振り分けゲートがオフされるのと同期して、前記電荷転送部のポテンシャルを下げることを特徴とする請求項1に記載の距離情報入力装置。
【請求項3】 前記光電変換部が一次元または二次元のアレイ状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の距離情報入力装置。
【請求項1】 対象物に輝度変調した光を照射する輝度変調光源、前記輝度変調光源によって輝度変調された光が照射された前記対象物からの反射光を受光し、光電変換を行うと共に、前記輝度変調光源と同期して感度変調可能な受光素子を備えた距離情報入力装置において、前記受光素子は、前記対象物からの反射光を電荷に変換する光電変換部と、前記光電変換部で変換された電荷を蓄積記憶する二つの電荷蓄積部と、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に設けられ、前記光電変換部で変換された電荷を前記輝度変調光源と同期して前記二つの電荷蓄積部に振り分ける二つの電荷振り分けゲートと、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を検出する二つの電荷検出部と、前記電荷蓄積部と前記電荷検出部との間に設けられるとともに、二つの信号振り分けゲートで構成され、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を前記電荷蓄積部から前記電荷検出部に転送する二つの電荷転送部と、を有し、前記受光素子のリセット動作と前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を読み出す読み出し動作との間に、前記電荷振り分けゲートをオフして前記電荷蓄積部のポテンシャルを上げることによって飽和電荷量以上の余剰電子を排出する動作を少なくとも一回行なうことを特徴とする距離情報入力装置。
【請求項2】 前記電荷振り分けゲートがオフされるのと同期して、前記電荷転送部のポテンシャルを下げることを特徴とする請求項1に記載の距離情報入力装置。
【請求項3】 前記光電変換部が一次元または二次元のアレイ状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の距離情報入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2003−247809(P2003−247809A)
【公開日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−50178(P2002−50178)
【出願日】平成14年2月26日(2002.2.26)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年2月26日(2002.2.26)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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