車両の下部車体構造
【課題】後列シートに着座した乗員の居住環境を損なうことなく、かつ車両に搭乗可能な乗員数を確保しつつ必要に応じて車室の内部に物品を安全に収納できるようにする。
【解決手段】車室１のフロアパネル２上に運転席および助手席からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シート５，６が並設された車両において、上記フロアパネル２の車幅方向中央部に設置されたトンネル部８の車幅方向の一方側には、第１後列シート５の設置部となる第１フロアパネル側部９が配設されるとともに、上記トンネル部８の車幅方向の他方側には、第２後列シート６の設置部となる第２フロアパネル側部１０が配設され、かつ上記第２フロアパネル側部１０が第１フロアパネル側部９よりも下方に配設されるとともに、上記第２フロアパネル側部１０と第２後列シート６との間に物品収納部３８が設けられた。
【解決手段】車室１のフロアパネル２上に運転席および助手席からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シート５，６が並設された車両において、上記フロアパネル２の車幅方向中央部に設置されたトンネル部８の車幅方向の一方側には、第１後列シート５の設置部となる第１フロアパネル側部９が配設されるとともに、上記トンネル部８の車幅方向の他方側には、第２後列シート６の設置部となる第２フロアパネル側部１０が配設され、かつ上記第２フロアパネル側部１０が第１フロアパネル側部９よりも下方に配設されるとともに、上記第２フロアパネル側部１０と第２後列シート６との間に物品収納部３８が設けられた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車室のフロアパネル上に運転席および助手席からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シートが並設された車両の下部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、下記特許文献１に示されるように、リヤシート設置用のリヤフロアパネルの後方部を上方へ持ち上げ形成するとともに、後部が前部よりも高い位置にある形状の燃料タンクを上記リヤフロアの下面に沿って取り付けた自動車の後部車体構造において、上記リヤフロアパネルとその後方のラゲッジフロアパネルとの間に縦面部を形成するとともに、フロアパネルの前側に第１クロスメンバを配し、上記縦面部の燃料タンクとスペアタイヤとの間に第２クロスメンバを配するとともに、燃料タンクの下側にサスペンションメンバを配設することが行われている。
【０００３】
また、下記特許文献２には、自動車の車体後部のフロアパネルの下側に配設される燃料タンクにおいて、リヤシートの下方に位置する略水平なタンク前部と、上記フロアの傾斜状のリアキックアップ部の下方に位置するタンク傾斜部と、上記フロアのリヤキックアップフロア部の上端に連なるリヤフロア前部とを一体に形成してなる側面視略クランク形状に形成された燃料タンクが開示されている。
【特許文献１】特開平６−２１１１６９号公報
【特許文献２】特開平５−６２７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上記特許文献１，２に開示されているように、後列シート（リヤシート）の設置部に位置するフロアパネルの下方に燃料タンク等からなる車両用補機を配設した場合には、車体の前後寸法をコンパクト化しつつ、上記後列シートの設置部をキックアップさせることによりその下方に形成された空間部を有効に利用して所定の容量を有する上記燃料タンク等を設置できるという利点がある。
【０００５】
しかし、上記後列シートの下方に大容量の車両用補機を設置するためにフロアパネルを上方に位置させると、これに応じて車高が高くなったり、後列シートに高身長者が着座した場合にその頭部とルーフ部との間隔が狭くなったりする等の問題がある。また、車両に搭乗可能な乗員数を確保しつつ、必要に応じて車室の内部に物品を安全に収納できるようにすることが望まれていた。
【０００６】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で後列シートに着座した乗員の居住環境を損なうことなく、かつ車両に搭乗可能な乗員数を確保しつつ必要に応じて車室の内部に物品を安全に収納することができる車両の下部車体構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
請求項１に係る発明は、車室のフロアパネル上に運転席および助手席からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シートが並設された車両において、上記フロアパネルの車幅方向中央部には、車室内側に向けて突出するトンネル部が車両の前後方向に延びるように設置され、このトンネル部の車幅方向の一方側には、第１後列シートの設置部となる第１フロアパネル側部が配設されるとともに、上記トンネル部の車幅方向の他方側には、第２後列シートの設置部となる第２フロアパネル側部が配設され、かつ上記第２フロアパネル側部が第１フロアパネル側部よりも下方に配設されるとともに、上記第２フロアパネル側部と第２後列シートとの間に物品収納部が設けられたものである。
【０００８】
請求項２に係る発明は、上記請求項１に記載の車両の下部車体構造において、上記物品収納部が、第２後列シートのシートクッションに隠蔽された状態で設置されたものである。
【０００９】
請求項３に係る発明は、上記請求項２に記載の車両の下部車体構造において、上記第２後列シートのシートクッションが略水平状態となった使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持されるとともに、上記シートクッションに対応した切欠きが形成されたものである。
【００１０】
請求項４に係る発明は、上記請求項１〜３のいずれか１項に記載の車両の下部車体構造において、上記第１フロアパネル側部上に配設された第１後列シートが、第２後列シートよりも小型に形成されたものである。
【００１１】
請求項５に係る発明は、上記請求項１〜４のいずれか１項に記載の車両の下部車体構造において、上記運転席の後方側に第１フロアパネル側部が配設され、上記助手席の後方側に第２フロアパネル側部が配設されたものである。
【００１２】
請求項６に係る発明は、上記請求項１〜５の何れか１項に記載の車両の下部車体構造において、少なくとも上記第１フロアパネル側部の下方に車両用補機が配設されたものである。
【００１３】
請求項７に係る発明は、上記請求項６に記載の車両の下部車体構造において、上記第２フロアパネル側部の下方に、上記第１フロアパネル側部下方の車両用補機よりも小型の車両用補機が配設されたものである。
【００１４】
請求項８に係る発明は、上記請求項１または２に記載の車両の下部車体構造において、上記物品収納部には、その前面に蓋体が開閉可能に取り付けられるとともに、第２後列シートのシートクッションには、上記蓋体を開閉操作するための開口部が設けられたものである。
【発明の効果】
【００１５】
請求項１に係る発明では、上記第１フロアパネル側部を第２フロアパネル側部よりも上方に配設し、上記第２フロアパネル側部と第２後列シートとの間に物品収納部を設けたため、上記第２後列シートに着座した乗員の頭部とルーフ部との間隔が狭くなりすぎて乗員が威圧感を受けること等を防止しつつ、上記第１，第２後列シートに乗員が安楽姿勢で着座することを可能として乗員の居住環境を効果的に向上させることができるとともに、上記第２フロアパネル側部と第２後列シートとの間に形成された広いスペースを有効に利用して貴重品等を収納できるという利点がある。
【００１６】
請求項２に係る発明では、上記物品収納部の不使用時には、第２後列シートのシートクッションにより上記物品収納部を隠蔽することにより、収納物が盗難に遭うのを効果的に防止できるという利点がある。
【００１７】
請求項３に係る発明では、第２後列シートのシートクッションを略水平状態の使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持するとともに、上記シートクッションに対応した切欠きを形成したため、通常時には、第２後列シートのシートクッションにより上記物品収納部を完全に隠蔽することにより、収納物が盗難に遭うのを効果的に防止できるとともに、上記物品収納部に対する物品の出し入れを行う際には、上記第２後列シートのシートクッションを上記退避位置に跳ね上げた状態で、蓋体を開閉することにより上記物品の出し入れを行うことが可能である。
【００１８】
請求項４に係る発明では、上記第１フロアパネル側部上に配設された第１後列シートを第２後列シートよりも小型に形成して、この第２後列シートを相対的に大型に形成したため、車両のルーフ部を高い位置に設置する等の手段を講じることなく、上記第２後列シートに高身長者が着座することを可能とし、その頭部とルーフ部との間隔を充分に確保して乗員が威圧感を受けるのを防止することにより、車体デザインの自由度を確保しつつ、第２後列シートに着座した乗員の快適性を効果的に確保することができる。また、上記第１フロアパネル側部上には、第２後列シートよりも小型に形成されて子供または小柄の女性等用に使用される第１後列シートを設置したため、そのシートクッションの上面位置を変位可能に構成する等の手段を採用することなく、上記第１後列シートに着座した上記乗員の頭部とルーフ部との間隔を充分に確保して乗員が威圧感を受けるのを防止しつつ、上記車両を四人乗りとすることができる。
【００１９】
請求項５に係る発明では、相対的に小型の第１後列シートが設置される第１フロアパネル側部を運転席の後方側に配設するとともに、通常の大きさを有する第２後列シートが設置される上記第２フロアパネル側部を助手席の後方側に配設したため、上記助手席を運転席よりも前方に位置させることにより、上記第２後列シート上に着座した高身長等からなる乗員の前方に充分なスペースを確保して、その居住性を効果的に向上できるという利点がある。しかも、助手席の後方に設置された上記第２後列シートの設置部を荷物の収納部として効果的に利用することができる。
【００２０】
請求項６に係る発明では、上記第２フロアパネル側部よりも上方に位置させた第１フロアパネル側部の下方に燃料タンク等なる車両用補機を配設するように構成したため、上記第２フロアパネル側部の下方に形成された広いスペースを有効に利用して所定の容量を有する上記車両用補機を配設することができる。
【００２１】
請求項７に係る発明では、上記第２フロアパネル側部の下方に、第１フロアパネル側部下方の上記車両用補機よりも小型の車両用補機を配設したため、上記第２フロアパネル側部の下方部に設けられたスペースを有効に利用できるという利点がある。
【００２２】
請求項８に係る発明では、物品収納部には、その前面に蓋体を開閉可能に取り付けるとともに、第２後列シートのシートクッションには、上記蓋体を開閉操作するための開口部を設けたため、第２後列シートのシートクッションを上方に跳ね上げたり、あるいはこのシートクッションを第２フロアパネル側部から取り外したりすることなく、上記開口部を介して蓋体を開閉することにより、上記物品収納部に対する物品の出し入れを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
図１および図２は、本発明の第１実施形態に係るシート装置を備えた車両の概略構成を示している。この車両の車室１内には、そのフロアパネル２上に運転席３および助手席４からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、その後方側に左右一対の後列シート５，６が並設され、かつ上記フロアパネル２の下面左右両側辺部には、車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム７が設置されている。また、上記フロアパネル２の車幅方向中央部には、車室１内側（上方）に向けて突出するトンネル部８が車両の前後方向に延びるように設置されている。
【００２４】
上記トンネル部８の車幅方向の一方側には、図３および図４に示すように、第１後列シート５の設置部となる第１フロアパネル側部９が配設されるとともに、上記トンネル部８の車幅方向の他方側には、図３および図５に示すように、第２後列シート６の設置部となる第２フロアパネル側部１０が配設されている。上記左右のリヤサイドフレーム７間に位置する上記第１フロアパネル側部９および第２フロアパネル側部１０の下方には、燃料タンク１１からなる車両用補機が配設されている。
【００２５】
また、上記トンネル部８の下方には、プロペラシャフト１２、排気管１３およびクランク型の断面形状を有する補強フレーム１４等が車体の前後方向に延びるように設置されている。さらに、上記第１フロアパネル側部９および第２フロアパネル側部１０の後方側には、キックアップ部１５を介してリヤフロアパネル１６が接続され、このリヤフロアパネル１６の前部下方には、上記プロペラシャフト１２の駆動力を左右後輪に伝達するディファレンシャル１７および図示を省略した後輪用サスペンション部材等が配設されている。
【００２６】
上記第１フロアパネル側部９は、その前端部に設けられた第１キックアップ部１８を介して前方のフロアパネル２に接続されることにより、第１フロアパネル側部９の底面が前方のフロアパネル２よりも上方で、上記リヤサイドフレーム７の底面７ａよりも上方に位置するように配設されている。一方、上記第２フロアパネル側部１０は、その前端部に設けられた第２キックアップ部１９を介して前方のフロアパネル２に接続されることにより、第２フロアパネル側部１０の底面が、上記フロアパネル２よりも上方で、リヤサイドフレーム７の底面７ａよりも下方に位置するように配設されている。すなわち、上記第１キックアップ部１８のキックアブ量が第２キックアップ部１９よりも大きく形成されることにより、上記第１フロアパネル側部９が第２フロアパネル側部１０よりも上方に配設されている。
【００２７】
この第１実施形態では、車室１の左側に位置する運転席３の後方側に、第１フロアパネル側部９が配設されるとともに、車室１の右側に位置する助手席４の後方側に上記第２フロアパネル側部１０が配設されている。また、上記運転席３および助手席４の前方には、図２に示すように、車両の後方側に向けて凹入する中央凹部２０と、左右両端部から車幅方向に外方側に延びる左右一対のダッシュ側部２１，２２とを有するダッシュパネル２３が配設されている。上記両ダッシュ側部２１，２２の一方、具体的には上記助手席４の前方側に位置する右側のダッシュ側部２１が、上記運転席３の前方に位置する左側のダッシュ側部２２よりも車両の前方側にオフセットして配設されることにより、助手席４を運転席３よりも前方に移動させ得るようになっている。
【００２８】
上記運転席３および助手席４は、フロアパネル２上に設置されたスライドレール（図示せず）に沿って車体の前後方向にスライド可能に支持されたシートクッション２５と、その後端部に立設されたシートバック２６と、このシートバック２６を傾動可能に支持するリクライニング機構２７とを備えている。このリクライニング機構２７は、少なくとも上記シートバック２６を起立させた使用位置と、これを車体の前方側に傾動させた収納位置とに変位可能に支持するように構成されている。また、上記助手席４のシートバック２６は、その上端部に設けられたヘッドレスト２６ａが着脱可能に設置されるとともに、上記リクライニング機構２７により、後述するように上記シートバック２６を第２後列シート６の設置部上に移動させた荷物載置位置に変位可能に支持されている。
【００２９】
上記運転席３の後方側に位置する上記第１フロアパネル側部９上に設置された第１後列シート５は、子供または小柄の女性等用に使用される比較的に小型のシートであり、そのシートクッション２８は、高反発ウレタンフォーム材等からなる比較的に硬質な素材を主体に構成されるとともに、上記第１フロアパネル側部９上に設置されている。また、上記第１後列シート５のシートバック２９は、通常の乗員用シートと同様に、その下端部に設けられた水平軸からなる第１支持軸３０を支点として揺動可能に支持されている。
【００３０】
一方、助手席４の後方側に位置する第２フロアパネル側部１０上に設置された第２後列シート６は、高身長者が着座可能な通常のシートであり、そのシートクッション３１は、例えば低反発ウレタンフォーム材等からなる比較的軟質な素材を主体に構成されることにより、第１後列シート５のシートクッション２８よりも柔軟に形成されている。そして、上記第２後列シート６のシートクッション３１は、図３，図５および図６に示すように、その内部に角パイプ材等からなるシートクッションフレーム３２が配設されるとともに、このシートクッションフレーム３２の後端部が跳上機構３３を介して回動可能に支持されることにより、上記シートクッション３１が略水平状態となった使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持されている。
【００３１】
上記跳上機構３３は、左右両端部が上記トンネル部８の側壁面およびリヤサイドフレーム７の側壁面に設けられた支持部に支持された水平軸からなる第２支持軸３４と、この第２支持軸３４に基端部が回動自在に支持されるとともに、先端部が上記シートクッションフレーム３２の後端部に接続された略Ｊ字状のブラケット３５とを有している。このブラケット３５およびシートクッションフレーム３２が、上記第２支持軸３４を支点として回動変位することにより、第２後列シート６のシートクッション３１が、上記使用位置と退避位置とに揺動変位可能に支持されるとともに、この使用位置および退避位置に、図外のロック機構を介して係止されるようになっている。
【００３２】
上記第２後列シート６のシートクッション３１は、その厚みが、上記第１フロアパネル側部９および第２フロアパネル側部１０の高低差に対応する距離だけ、第１後列シート５のシートクッション２８よりも大きく設定されることにより、通常時には、図３に示すように、上記使用位置において、第２後列シート６のシートクッション３１の上面と、上記第１後列シート５のシートクッション２８の上面とが同一高さとなるように構成されている。また、上記第２フロアパネル側部１０上には、セキュリティボックス等からなる物品収納部３６が設置されるとともに、上記第２後列シート６のシートクッション３１には、物品収納部３６に対応した切欠き３７が形成されている。
【００３３】
上記物品収納部３６は、第２フロアパネル側部１０上に着脱可能に設置された収納部本体３８と、その後端部を支点として開閉可能に設置された蓋体３９とを有している。そして、通常時には、上記物品収納部３６が上記第２フロアパネル側部１０と第２後列シート６のシートクッション３１との間に配設された状態で、第２後列シート６のシートクッション３１に隠蔽されるようになっている。また、図６に示すように、上記跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を上記退避位置に跳ね上げて係止した状態で、上記蓋体３９を開閉することにより、物品収納部３６に対する物品の出し入れを行うように構成されている。
【００３４】
さらに、図７に示すように、上記跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を上記退避位置に跳ね上げた状態で係止するとともに、第２フロアパネル側部１０上から上記物品収納部３６を取り外し、かつその前方に位置する助手席４のシートバック２６からヘッドレスト２６ａを取り外した状態で、上記シートバック２６を車体の後方側に揺動変位させることにより、上記第２後列シート６のシートクッション３１の下方に上記助手席４のシートバック２６を移動可能に構成されている。このように助手席４のシートバック２６を、車体の後方側に揺動変位させて第２後列シート６のシートクッション３１の下方に移動させることにより、上記助手席４のシートクッション２５とシートバック２６とを略水平状態に連続させてなる荷物の載置部が形成されるようになっている。
【００３５】
上記燃料タンク１１は、第１フロアパネル側部９の下方に配設された第１タンク部４２と、第２フロアパネル側部１０の下方に配設された第２タンク部４３と、上記トンネル部８内に配設された逆Ｕ字状の連通タンク部４４とにより鞍型形状に形成されている。上記第１タンク部４２は、その厚みが、上記第１フロアパネル側部９および第２フロアパネル側部１０の高低差に対応する距離だけ、第２タンク部４３に比べて小さく設定されている。これにより、上記第１，第２タンク部４２，４３の上面を、それぞれ第１，第２フロアパネル側部９，１０の下面に沿って設置した場合に、上記第１，第２タンク部４２，４３の下面が略同一高さとなるように構成されている。
【００３６】
また、図３、図４および図８に示すように、上記第１フロアパネル側部９の下面には、その前後方向中間部に沿ってリヤサイドフレーム７の側壁面から上記トンネル部８に向けて車幅方向に延びる中間クロスメンバ４５からなる車両用機能部が設けられている。また、上記第１タンク部４２の上面には、上記中間クロスメンバ４５に対応した凹部４６が車幅方向に延びるように形成されている。そして、上記キックアップ部１５の背面には、車幅方向に延びる後部クロスメンバ４７が設置されるとともに、上記燃料タンク１１の前方に位置するフロアパネル２の下面には、車幅方向に延びる前部クロスメンバ４８が設置され、かつこの前部クロスメンバ４８に前端部がボルト止めされるとともに、上記後部クロスメンバ４７に後端部がボルト止めされたタンクバンド４９により上記燃料タンク１１が車体に固定されるようになっている。
【００３７】
上記のように車室１のフロアパネル２上に運転席３および助手席４からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シート５，６が並設された車両において、上記フロアパネル２の車幅方向中央部には、車室１内側に向けて突出するトンネル部８を車両の前後方向に延びるように設置し、このトンネル部８の車幅方向の一方側に、第１後列シート５の設置部となる第１フロアパネル側部９を配設するとともに、上記トンネル部８の車幅方向の他方側に、第２後列シート６の設置部となる第２フロアパネル側部１０を配設し、かつ上記第１フロアパネル側部９を第２フロアパネル側部１０よりも上方に配設するとともに、上記第２フロアパネル側部１０と第２後列シート６との間に物品収納部３６を設けたため、簡単な構成で第２後列シート６に着座した乗員の居住環境を損なうことなく、かつ車両に搭乗可能な乗員数を確保しつつ必要に応じて車室の内部を荷物の収納部として効率よく利用できるという利点がある。
【００３８】
すなわち、上記第２後列シート６が設置される第２フロアパネル側部１０を上記第１フロアパネル側部９よりも下方に配設したため、上記第２後列シート６のシートクッション３１とルーフ部との間隔を第１後列シート５と同一の値に設定しつつ、上記第２後列シート６のシートクッション３１の厚さを第１後列シート５よりも大きく設定することができる。したがって、第２後列シート６に着座した乗員の頭部とルーフ部との間隔が狭くなりすぎて乗員が威圧感を受けること等を防止しつつ、上記第２フロアパネル側部１０と第２後列シート６との間に物品収納部３６を配設して貴重品等を収納することができる。
【００３９】
また、上記第１実施形態では、第２後列シート６のシートクッション３１の後端部を回動可能に支持する跳上機構３３を設け、この跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を略水平状態の使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持するとともに、上記物品収納部３６に対応した切欠き３７をシートクッション３１に形成したため、通常時には、第２後列シート６のシートクッション３１により上記物品収納部３６を完全に隠蔽することにより、収納物が盗難に遭うのを効果的に防止できるという利点がある。そして、上記物品収納部３６に対する物品の出し入れを行う際には、図６に示すように、上記跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を上記退避位置に跳ね上げて係止した状態で、蓋体３９を開閉して上記物品の出し入れを容易に行うことが可能である。
【００４０】
さらに、上記跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を略水平状態の使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持するとともに、上記物品収納部３６を第２フロアパネル側部１０上に着脱可能に設置し、かつ助手席４のシートバック２６をリクライニング機構２７により車体の後方側に傾動させた荷物載置状態とに変位可能に支持した場合には、図７に示すように、上記助手席４のシートクッション２５およびシートバック２６を略水平に展開してその上面にゴルフバック、スキー板またはサーフボード等からなる長尺の荷物を載置することができるという利点がある。
【００４１】
また、上記のように第１フロアパネル側部９上に配設された第１後列シート５を、第２フロアパネル側部１０上に配設された第２後列シート６よりも小型に形成し、上記第１フロアパネル側部９よりも相対的に下方に位置させた第２フロアパネル側部１０上に、高身長者が着座可能な通常の大きさを有する第２後列シート６を設置した構造とした上記第１実施形態によれば、車高を高くすることなく、第２後列シート６を設置するための上下スペース、つまり上記第２フロアパネル側部１０から天井部までの距離を充分に確保することができる。
【００４２】
したがって、上記第１実施形態に係る車両の下部車体構造によれば、第２後列シート６に着座した乗員の頭部とルーフ部との間隔が狭くなりすぎて乗員が威圧感を受けること等を防止しつつ、上記後列シート６に高身長者が安楽姿勢で着座することを可能として乗員の居住環境を効果的に向上させるとともに、車体デザインの自由度を増大させて車体を効果的にコンパクト化できる等の利点がある。また、上記第２フロアパネル側部１０よりも上方に位置する第１フロアパネル側部９上に、第２後列シート６よりも小型に形成されて子供または小柄の女性等用に使用される第１後列シート５を配設したため、その下方に車両用補機の設置するための広いスペースを確保しつつ、上記車両を四人乗りとすることができる。
【００４３】
また、上記第１実施形態では、第２後列シート６のシートクッション３１を、例えば低反発ウレタンフォーム材等からなる比較的に軟質な素材を主体に構成するとともに、上記第１後列シート５のシートクッション２８を、例えば高反発ウレタンフォーム材等からなる比較的に硬質な素材を主体に構成することにより、第２後列シート６のシートクッション３１を第１後列シート５のシートクッション２８よりも柔軟な構造としている。
【００４４】
これにより乗員の非着座時には、図３に示すように、第１後列シート５のシートクッション２８の上面と略同一高さに設置された上記第２後列シート６のシートクッション３１を、図９に示すように、乗員の着座時にその体重に応じて上記第１後列シート５のシートクッション２８よりも大きく変形させることにより、上記シートクッション３１の上面を、第１後列シート５のシートクッション２８よりも下方へと変位させることができるように構成したため、乗員の非着座時に、略同一高さに設置された上記両シートクッション２８，３１上に長尺の荷物を水平状態で載置できるという利点がある。
【００４５】
さらに、上記第１実施形態では、運転席３の後方側に相対的に小型の第１後列シート５が設置される第１フロアパネル側部９を配設するとともに、上記助手席４の後方側に通常の大きさを有する第２後列シート６が設置される上記第２フロアパネル側部１０を配設したため、上記助手席４を運転席３よりも前方に位置させることにより、上記第２後列シート６上に着座した高身長の乗員の前方に充分なスペースを確保して、その居住性を効果的に向上させることができるという利点がある。
【００４６】
特に、上記第１実施形態に示すように、上記助手席４の前方側に位置する右側のダッシュ側部２１を、上記運転席３の前方に位置する左側のダッシュ側部２２よりも車両の前方側にオフセットさせて配設することにより、上記助手席４を運転席３よりも前方に位置させ得るように構成した場合には、上記第２後列シート６上に着座した乗員のその居住性を、より効果的に向上させることができる。
【００４７】
また、上記第１実施形態に示すように、フロアパネル２の左右両側部に、車体の前後方向に延びるリヤサイドフレーム７が設置された車両において、上記中間クロスメンバ４５をリヤサイドフレーム７から上記トンネル部８に向けて設置した場合には、車両の側突時に入力された衝撃荷重を上記中間クロスメンバ４５により効果的に支持することができるため、簡単な構成で車体の剛性を充分に向上させることができる。
【００４８】
特に、上記第１実施形態では、第１フロアパネル側部１０の下方に燃料タンク１１からなる車両用補機を配設するとともに、その上面に上記中間クロスメンバ４５に対応した凹部４６を形成したため、この中間クロスメンバ４５が燃料タンク１１に干渉するのを防止しつつ、この燃料タンク１１の上面を上記第１フロアパネル側部１０の下面に近接させた状態で設置することにより、燃料タンク１１の容量を充分に確保することができるという利点がある。
【００４９】
さらに、上記のように第２フロアパネル側部１０の下方に位置する第１フロアパネル側部９の下方に、第１フロアパネル側部９の下方に設置された車両用補機（第１タンク部４２）よりも小型の車両用補機、例えば燃料タンク１１の第２タンク部４３を配設するように構成した場合には、上記第２フロアパネル側部１０の下方に形成されたスペースの有効利用を図ることができる。
【００５０】
なお、上記第１，第２フロアパネル側部９，１０の下方に燃料タンク１１の第１，第２タンク部４２，４３を配設してなる上記第１実施形態に代え、上記第１フロアパネル側部９の下方にリチウムイオンバッテリ等からなる車両用補機を配設するとともに、必要に応じて上記第１フロアパネル側部９の下方に配設された車両用補機よりも小型の車両用補機、例えば車両用制御ユニットボックス等を第２フロアパネル側部１０の下方に配設することにより、第１，第２フロアパネル側部９，１０の下方空間を有効に利用するように構成してもよい。
【００５１】
上記第１フロアパネル側部９の下方に燃料タンク１１の第１タンク部４２を配設するとともに、上記第２フロアパネル側部１０の下方に第２タンク部４３を配設し、この第２タンク部４３を上記第１タンク部４２よりも大きな容量に形成するとともに、上記第１タンク部４２に連通させてなる上記第１実施形態の構成によれば、上記のように底面の高さが異なる位置に設定された第１，第２フロアパネル側部９，１０の下方空間を有効に利用して充分な容量を有する燃料タンク１１を設置できるとともに、上記第１，第２タンク部４２，４３の下面を略同一高さに設定できるという利点がある。
【００５２】
さらに、上記第１実施形態では、図３に示すように、第１，第２フロアパネル側部９，１０の下方に配設された第１，第２タンク部４２，４３と、トンネル部８内に配設された連通タンク部４４とにより、上記燃料タンク１１を鞍型形状に形成したため、上記第１，第２フロアパネル側部９，１０およびトンネル部８の下方に位置するスペースを有効に利用して上記燃料タンク１１の容量を充分に確保できるという利点がある。特に、上記連通タンク部４４を逆Ｕ字状に形成した場合には、上記トンネル部８内に配設されたプロペラシャフト１２、排気管１３および補強フレーム１４と上記燃料タンク１１とが干渉するのを防止しつつ、この燃料タンク１１の容量を効果的に増大できるという利点がある。
【００５３】
なお、上記第１実施形態では、第２後列シート６のシートクッション３１を跳ね上げ可能に支持する跳上機構３３を設け、上記シートクッション３１を上方に跳ね上げた状態で、物品収納部３６の蓋体３９を開閉するように構成した例について説明したが、上記跳上機構３３を省略し、第２フロアパネル側部１０上に上記シートクッション３１を着脱可能に設置し、このシートクッション３１を取り外した状態で上記物品収納部３６の蓋体３９を開閉するように構成してもよい。
【００５４】
図１０は、本発明の第２実施形態を示している。この第２実施形態では、上記第２フロアパネル側部１０上に設置された物品収納部３６ａの前面に蓋体４０を開閉可能に取り付けるとともに、第２後列シート６のシートクッション３１の前部に上記蓋体４１を開閉操作するための開口部４２を形成している。このように構成した場合には、上記シートクッション３１を上方に跳ね上げたり、あるいはこのシートクッション３１を第２フロアパネル側部１０から取り外したりすることなく、上記開口部４２を介して蓋体４０を開閉することにより、上記物品収納部３６ａに対する物品の出し入れを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００５５】
【図１】本発明に係る車両の下部車体構造の第１実施形態を示す側面図である。
【図２】上記下部車体構造の実施形態を示す平面図である。
【図３】後列シートの設置状態を示す正面断面図である。
【図４】第１後列シートの具体的構成を示す側面断面図である。
【図５】第２後列シートの具体的構成を示す側面断面図である。
【図６】第２後列シートのシートクッションを跳ね上げた状態を示す側面断面図である。
【図７】助手席のシートバックを後傾させた状態を示す説明図である。
【図８】燃料タンクの設置部を上面から見た状態を示す説明図ある。
【図９】後部シートに乗員が着座した状態を示す説明図である。
【図１０】本発明に係る車両の下部車体構造の第２実施形態を示す図５相当図である。
【符号の説明】
【００５６】
１ 車室
２ フロアパネル
３ 運転席
４ 助手席
５ 第１後列シート
６ 第２後列シート
８ トンネル部
９ 第１フロアパネル側部
１０ 第２フロアパネル側部
１１ 燃料タンク（車両用補機）
３１ 後列シートのシートクッション
３３ 跳上機構
３６ 物品収納部
３８ 収納部本体
３９，４０ 蓋体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車室のフロアパネル上に運転席および助手席からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シートが並設された車両の下部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、下記特許文献１に示されるように、リヤシート設置用のリヤフロアパネルの後方部を上方へ持ち上げ形成するとともに、後部が前部よりも高い位置にある形状の燃料タンクを上記リヤフロアの下面に沿って取り付けた自動車の後部車体構造において、上記リヤフロアパネルとその後方のラゲッジフロアパネルとの間に縦面部を形成するとともに、フロアパネルの前側に第１クロスメンバを配し、上記縦面部の燃料タンクとスペアタイヤとの間に第２クロスメンバを配するとともに、燃料タンクの下側にサスペンションメンバを配設することが行われている。
【０００３】
また、下記特許文献２には、自動車の車体後部のフロアパネルの下側に配設される燃料タンクにおいて、リヤシートの下方に位置する略水平なタンク前部と、上記フロアの傾斜状のリアキックアップ部の下方に位置するタンク傾斜部と、上記フロアのリヤキックアップフロア部の上端に連なるリヤフロア前部とを一体に形成してなる側面視略クランク形状に形成された燃料タンクが開示されている。
【特許文献１】特開平６−２１１１６９号公報
【特許文献２】特開平５−６２７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上記特許文献１，２に開示されているように、後列シート（リヤシート）の設置部に位置するフロアパネルの下方に燃料タンク等からなる車両用補機を配設した場合には、車体の前後寸法をコンパクト化しつつ、上記後列シートの設置部をキックアップさせることによりその下方に形成された空間部を有効に利用して所定の容量を有する上記燃料タンク等を設置できるという利点がある。
【０００５】
しかし、上記後列シートの下方に大容量の車両用補機を設置するためにフロアパネルを上方に位置させると、これに応じて車高が高くなったり、後列シートに高身長者が着座した場合にその頭部とルーフ部との間隔が狭くなったりする等の問題がある。また、車両に搭乗可能な乗員数を確保しつつ、必要に応じて車室の内部に物品を安全に収納できるようにすることが望まれていた。
【０００６】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で後列シートに着座した乗員の居住環境を損なうことなく、かつ車両に搭乗可能な乗員数を確保しつつ必要に応じて車室の内部に物品を安全に収納することができる車両の下部車体構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
請求項１に係る発明は、車室のフロアパネル上に運転席および助手席からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シートが並設された車両において、上記フロアパネルの車幅方向中央部には、車室内側に向けて突出するトンネル部が車両の前後方向に延びるように設置され、このトンネル部の車幅方向の一方側には、第１後列シートの設置部となる第１フロアパネル側部が配設されるとともに、上記トンネル部の車幅方向の他方側には、第２後列シートの設置部となる第２フロアパネル側部が配設され、かつ上記第２フロアパネル側部が第１フロアパネル側部よりも下方に配設されるとともに、上記第２フロアパネル側部と第２後列シートとの間に物品収納部が設けられたものである。
【０００８】
請求項２に係る発明は、上記請求項１に記載の車両の下部車体構造において、上記物品収納部が、第２後列シートのシートクッションに隠蔽された状態で設置されたものである。
【０００９】
請求項３に係る発明は、上記請求項２に記載の車両の下部車体構造において、上記第２後列シートのシートクッションが略水平状態となった使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持されるとともに、上記シートクッションに対応した切欠きが形成されたものである。
【００１０】
請求項４に係る発明は、上記請求項１〜３のいずれか１項に記載の車両の下部車体構造において、上記第１フロアパネル側部上に配設された第１後列シートが、第２後列シートよりも小型に形成されたものである。
【００１１】
請求項５に係る発明は、上記請求項１〜４のいずれか１項に記載の車両の下部車体構造において、上記運転席の後方側に第１フロアパネル側部が配設され、上記助手席の後方側に第２フロアパネル側部が配設されたものである。
【００１２】
請求項６に係る発明は、上記請求項１〜５の何れか１項に記載の車両の下部車体構造において、少なくとも上記第１フロアパネル側部の下方に車両用補機が配設されたものである。
【００１３】
請求項７に係る発明は、上記請求項６に記載の車両の下部車体構造において、上記第２フロアパネル側部の下方に、上記第１フロアパネル側部下方の車両用補機よりも小型の車両用補機が配設されたものである。
【００１４】
請求項８に係る発明は、上記請求項１または２に記載の車両の下部車体構造において、上記物品収納部には、その前面に蓋体が開閉可能に取り付けられるとともに、第２後列シートのシートクッションには、上記蓋体を開閉操作するための開口部が設けられたものである。
【発明の効果】
【００１５】
請求項１に係る発明では、上記第１フロアパネル側部を第２フロアパネル側部よりも上方に配設し、上記第２フロアパネル側部と第２後列シートとの間に物品収納部を設けたため、上記第２後列シートに着座した乗員の頭部とルーフ部との間隔が狭くなりすぎて乗員が威圧感を受けること等を防止しつつ、上記第１，第２後列シートに乗員が安楽姿勢で着座することを可能として乗員の居住環境を効果的に向上させることができるとともに、上記第２フロアパネル側部と第２後列シートとの間に形成された広いスペースを有効に利用して貴重品等を収納できるという利点がある。
【００１６】
請求項２に係る発明では、上記物品収納部の不使用時には、第２後列シートのシートクッションにより上記物品収納部を隠蔽することにより、収納物が盗難に遭うのを効果的に防止できるという利点がある。
【００１７】
請求項３に係る発明では、第２後列シートのシートクッションを略水平状態の使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持するとともに、上記シートクッションに対応した切欠きを形成したため、通常時には、第２後列シートのシートクッションにより上記物品収納部を完全に隠蔽することにより、収納物が盗難に遭うのを効果的に防止できるとともに、上記物品収納部に対する物品の出し入れを行う際には、上記第２後列シートのシートクッションを上記退避位置に跳ね上げた状態で、蓋体を開閉することにより上記物品の出し入れを行うことが可能である。
【００１８】
請求項４に係る発明では、上記第１フロアパネル側部上に配設された第１後列シートを第２後列シートよりも小型に形成して、この第２後列シートを相対的に大型に形成したため、車両のルーフ部を高い位置に設置する等の手段を講じることなく、上記第２後列シートに高身長者が着座することを可能とし、その頭部とルーフ部との間隔を充分に確保して乗員が威圧感を受けるのを防止することにより、車体デザインの自由度を確保しつつ、第２後列シートに着座した乗員の快適性を効果的に確保することができる。また、上記第１フロアパネル側部上には、第２後列シートよりも小型に形成されて子供または小柄の女性等用に使用される第１後列シートを設置したため、そのシートクッションの上面位置を変位可能に構成する等の手段を採用することなく、上記第１後列シートに着座した上記乗員の頭部とルーフ部との間隔を充分に確保して乗員が威圧感を受けるのを防止しつつ、上記車両を四人乗りとすることができる。
【００１９】
請求項５に係る発明では、相対的に小型の第１後列シートが設置される第１フロアパネル側部を運転席の後方側に配設するとともに、通常の大きさを有する第２後列シートが設置される上記第２フロアパネル側部を助手席の後方側に配設したため、上記助手席を運転席よりも前方に位置させることにより、上記第２後列シート上に着座した高身長等からなる乗員の前方に充分なスペースを確保して、その居住性を効果的に向上できるという利点がある。しかも、助手席の後方に設置された上記第２後列シートの設置部を荷物の収納部として効果的に利用することができる。
【００２０】
請求項６に係る発明では、上記第２フロアパネル側部よりも上方に位置させた第１フロアパネル側部の下方に燃料タンク等なる車両用補機を配設するように構成したため、上記第２フロアパネル側部の下方に形成された広いスペースを有効に利用して所定の容量を有する上記車両用補機を配設することができる。
【００２１】
請求項７に係る発明では、上記第２フロアパネル側部の下方に、第１フロアパネル側部下方の上記車両用補機よりも小型の車両用補機を配設したため、上記第２フロアパネル側部の下方部に設けられたスペースを有効に利用できるという利点がある。
【００２２】
請求項８に係る発明では、物品収納部には、その前面に蓋体を開閉可能に取り付けるとともに、第２後列シートのシートクッションには、上記蓋体を開閉操作するための開口部を設けたため、第２後列シートのシートクッションを上方に跳ね上げたり、あるいはこのシートクッションを第２フロアパネル側部から取り外したりすることなく、上記開口部を介して蓋体を開閉することにより、上記物品収納部に対する物品の出し入れを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
図１および図２は、本発明の第１実施形態に係るシート装置を備えた車両の概略構成を示している。この車両の車室１内には、そのフロアパネル２上に運転席３および助手席４からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、その後方側に左右一対の後列シート５，６が並設され、かつ上記フロアパネル２の下面左右両側辺部には、車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム７が設置されている。また、上記フロアパネル２の車幅方向中央部には、車室１内側（上方）に向けて突出するトンネル部８が車両の前後方向に延びるように設置されている。
【００２４】
上記トンネル部８の車幅方向の一方側には、図３および図４に示すように、第１後列シート５の設置部となる第１フロアパネル側部９が配設されるとともに、上記トンネル部８の車幅方向の他方側には、図３および図５に示すように、第２後列シート６の設置部となる第２フロアパネル側部１０が配設されている。上記左右のリヤサイドフレーム７間に位置する上記第１フロアパネル側部９および第２フロアパネル側部１０の下方には、燃料タンク１１からなる車両用補機が配設されている。
【００２５】
また、上記トンネル部８の下方には、プロペラシャフト１２、排気管１３およびクランク型の断面形状を有する補強フレーム１４等が車体の前後方向に延びるように設置されている。さらに、上記第１フロアパネル側部９および第２フロアパネル側部１０の後方側には、キックアップ部１５を介してリヤフロアパネル１６が接続され、このリヤフロアパネル１６の前部下方には、上記プロペラシャフト１２の駆動力を左右後輪に伝達するディファレンシャル１７および図示を省略した後輪用サスペンション部材等が配設されている。
【００２６】
上記第１フロアパネル側部９は、その前端部に設けられた第１キックアップ部１８を介して前方のフロアパネル２に接続されることにより、第１フロアパネル側部９の底面が前方のフロアパネル２よりも上方で、上記リヤサイドフレーム７の底面７ａよりも上方に位置するように配設されている。一方、上記第２フロアパネル側部１０は、その前端部に設けられた第２キックアップ部１９を介して前方のフロアパネル２に接続されることにより、第２フロアパネル側部１０の底面が、上記フロアパネル２よりも上方で、リヤサイドフレーム７の底面７ａよりも下方に位置するように配設されている。すなわち、上記第１キックアップ部１８のキックアブ量が第２キックアップ部１９よりも大きく形成されることにより、上記第１フロアパネル側部９が第２フロアパネル側部１０よりも上方に配設されている。
【００２７】
この第１実施形態では、車室１の左側に位置する運転席３の後方側に、第１フロアパネル側部９が配設されるとともに、車室１の右側に位置する助手席４の後方側に上記第２フロアパネル側部１０が配設されている。また、上記運転席３および助手席４の前方には、図２に示すように、車両の後方側に向けて凹入する中央凹部２０と、左右両端部から車幅方向に外方側に延びる左右一対のダッシュ側部２１，２２とを有するダッシュパネル２３が配設されている。上記両ダッシュ側部２１，２２の一方、具体的には上記助手席４の前方側に位置する右側のダッシュ側部２１が、上記運転席３の前方に位置する左側のダッシュ側部２２よりも車両の前方側にオフセットして配設されることにより、助手席４を運転席３よりも前方に移動させ得るようになっている。
【００２８】
上記運転席３および助手席４は、フロアパネル２上に設置されたスライドレール（図示せず）に沿って車体の前後方向にスライド可能に支持されたシートクッション２５と、その後端部に立設されたシートバック２６と、このシートバック２６を傾動可能に支持するリクライニング機構２７とを備えている。このリクライニング機構２７は、少なくとも上記シートバック２６を起立させた使用位置と、これを車体の前方側に傾動させた収納位置とに変位可能に支持するように構成されている。また、上記助手席４のシートバック２６は、その上端部に設けられたヘッドレスト２６ａが着脱可能に設置されるとともに、上記リクライニング機構２７により、後述するように上記シートバック２６を第２後列シート６の設置部上に移動させた荷物載置位置に変位可能に支持されている。
【００２９】
上記運転席３の後方側に位置する上記第１フロアパネル側部９上に設置された第１後列シート５は、子供または小柄の女性等用に使用される比較的に小型のシートであり、そのシートクッション２８は、高反発ウレタンフォーム材等からなる比較的に硬質な素材を主体に構成されるとともに、上記第１フロアパネル側部９上に設置されている。また、上記第１後列シート５のシートバック２９は、通常の乗員用シートと同様に、その下端部に設けられた水平軸からなる第１支持軸３０を支点として揺動可能に支持されている。
【００３０】
一方、助手席４の後方側に位置する第２フロアパネル側部１０上に設置された第２後列シート６は、高身長者が着座可能な通常のシートであり、そのシートクッション３１は、例えば低反発ウレタンフォーム材等からなる比較的軟質な素材を主体に構成されることにより、第１後列シート５のシートクッション２８よりも柔軟に形成されている。そして、上記第２後列シート６のシートクッション３１は、図３，図５および図６に示すように、その内部に角パイプ材等からなるシートクッションフレーム３２が配設されるとともに、このシートクッションフレーム３２の後端部が跳上機構３３を介して回動可能に支持されることにより、上記シートクッション３１が略水平状態となった使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持されている。
【００３１】
上記跳上機構３３は、左右両端部が上記トンネル部８の側壁面およびリヤサイドフレーム７の側壁面に設けられた支持部に支持された水平軸からなる第２支持軸３４と、この第２支持軸３４に基端部が回動自在に支持されるとともに、先端部が上記シートクッションフレーム３２の後端部に接続された略Ｊ字状のブラケット３５とを有している。このブラケット３５およびシートクッションフレーム３２が、上記第２支持軸３４を支点として回動変位することにより、第２後列シート６のシートクッション３１が、上記使用位置と退避位置とに揺動変位可能に支持されるとともに、この使用位置および退避位置に、図外のロック機構を介して係止されるようになっている。
【００３２】
上記第２後列シート６のシートクッション３１は、その厚みが、上記第１フロアパネル側部９および第２フロアパネル側部１０の高低差に対応する距離だけ、第１後列シート５のシートクッション２８よりも大きく設定されることにより、通常時には、図３に示すように、上記使用位置において、第２後列シート６のシートクッション３１の上面と、上記第１後列シート５のシートクッション２８の上面とが同一高さとなるように構成されている。また、上記第２フロアパネル側部１０上には、セキュリティボックス等からなる物品収納部３６が設置されるとともに、上記第２後列シート６のシートクッション３１には、物品収納部３６に対応した切欠き３７が形成されている。
【００３３】
上記物品収納部３６は、第２フロアパネル側部１０上に着脱可能に設置された収納部本体３８と、その後端部を支点として開閉可能に設置された蓋体３９とを有している。そして、通常時には、上記物品収納部３６が上記第２フロアパネル側部１０と第２後列シート６のシートクッション３１との間に配設された状態で、第２後列シート６のシートクッション３１に隠蔽されるようになっている。また、図６に示すように、上記跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を上記退避位置に跳ね上げて係止した状態で、上記蓋体３９を開閉することにより、物品収納部３６に対する物品の出し入れを行うように構成されている。
【００３４】
さらに、図７に示すように、上記跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を上記退避位置に跳ね上げた状態で係止するとともに、第２フロアパネル側部１０上から上記物品収納部３６を取り外し、かつその前方に位置する助手席４のシートバック２６からヘッドレスト２６ａを取り外した状態で、上記シートバック２６を車体の後方側に揺動変位させることにより、上記第２後列シート６のシートクッション３１の下方に上記助手席４のシートバック２６を移動可能に構成されている。このように助手席４のシートバック２６を、車体の後方側に揺動変位させて第２後列シート６のシートクッション３１の下方に移動させることにより、上記助手席４のシートクッション２５とシートバック２６とを略水平状態に連続させてなる荷物の載置部が形成されるようになっている。
【００３５】
上記燃料タンク１１は、第１フロアパネル側部９の下方に配設された第１タンク部４２と、第２フロアパネル側部１０の下方に配設された第２タンク部４３と、上記トンネル部８内に配設された逆Ｕ字状の連通タンク部４４とにより鞍型形状に形成されている。上記第１タンク部４２は、その厚みが、上記第１フロアパネル側部９および第２フロアパネル側部１０の高低差に対応する距離だけ、第２タンク部４３に比べて小さく設定されている。これにより、上記第１，第２タンク部４２，４３の上面を、それぞれ第１，第２フロアパネル側部９，１０の下面に沿って設置した場合に、上記第１，第２タンク部４２，４３の下面が略同一高さとなるように構成されている。
【００３６】
また、図３、図４および図８に示すように、上記第１フロアパネル側部９の下面には、その前後方向中間部に沿ってリヤサイドフレーム７の側壁面から上記トンネル部８に向けて車幅方向に延びる中間クロスメンバ４５からなる車両用機能部が設けられている。また、上記第１タンク部４２の上面には、上記中間クロスメンバ４５に対応した凹部４６が車幅方向に延びるように形成されている。そして、上記キックアップ部１５の背面には、車幅方向に延びる後部クロスメンバ４７が設置されるとともに、上記燃料タンク１１の前方に位置するフロアパネル２の下面には、車幅方向に延びる前部クロスメンバ４８が設置され、かつこの前部クロスメンバ４８に前端部がボルト止めされるとともに、上記後部クロスメンバ４７に後端部がボルト止めされたタンクバンド４９により上記燃料タンク１１が車体に固定されるようになっている。
【００３７】
上記のように車室１のフロアパネル２上に運転席３および助手席４からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シート５，６が並設された車両において、上記フロアパネル２の車幅方向中央部には、車室１内側に向けて突出するトンネル部８を車両の前後方向に延びるように設置し、このトンネル部８の車幅方向の一方側に、第１後列シート５の設置部となる第１フロアパネル側部９を配設するとともに、上記トンネル部８の車幅方向の他方側に、第２後列シート６の設置部となる第２フロアパネル側部１０を配設し、かつ上記第１フロアパネル側部９を第２フロアパネル側部１０よりも上方に配設するとともに、上記第２フロアパネル側部１０と第２後列シート６との間に物品収納部３６を設けたため、簡単な構成で第２後列シート６に着座した乗員の居住環境を損なうことなく、かつ車両に搭乗可能な乗員数を確保しつつ必要に応じて車室の内部を荷物の収納部として効率よく利用できるという利点がある。
【００３８】
すなわち、上記第２後列シート６が設置される第２フロアパネル側部１０を上記第１フロアパネル側部９よりも下方に配設したため、上記第２後列シート６のシートクッション３１とルーフ部との間隔を第１後列シート５と同一の値に設定しつつ、上記第２後列シート６のシートクッション３１の厚さを第１後列シート５よりも大きく設定することができる。したがって、第２後列シート６に着座した乗員の頭部とルーフ部との間隔が狭くなりすぎて乗員が威圧感を受けること等を防止しつつ、上記第２フロアパネル側部１０と第２後列シート６との間に物品収納部３６を配設して貴重品等を収納することができる。
【００３９】
また、上記第１実施形態では、第２後列シート６のシートクッション３１の後端部を回動可能に支持する跳上機構３３を設け、この跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を略水平状態の使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持するとともに、上記物品収納部３６に対応した切欠き３７をシートクッション３１に形成したため、通常時には、第２後列シート６のシートクッション３１により上記物品収納部３６を完全に隠蔽することにより、収納物が盗難に遭うのを効果的に防止できるという利点がある。そして、上記物品収納部３６に対する物品の出し入れを行う際には、図６に示すように、上記跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を上記退避位置に跳ね上げて係止した状態で、蓋体３９を開閉して上記物品の出し入れを容易に行うことが可能である。
【００４０】
さらに、上記跳上機構３３により第２後列シート６のシートクッション３１を略水平状態の使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持するとともに、上記物品収納部３６を第２フロアパネル側部１０上に着脱可能に設置し、かつ助手席４のシートバック２６をリクライニング機構２７により車体の後方側に傾動させた荷物載置状態とに変位可能に支持した場合には、図７に示すように、上記助手席４のシートクッション２５およびシートバック２６を略水平に展開してその上面にゴルフバック、スキー板またはサーフボード等からなる長尺の荷物を載置することができるという利点がある。
【００４１】
また、上記のように第１フロアパネル側部９上に配設された第１後列シート５を、第２フロアパネル側部１０上に配設された第２後列シート６よりも小型に形成し、上記第１フロアパネル側部９よりも相対的に下方に位置させた第２フロアパネル側部１０上に、高身長者が着座可能な通常の大きさを有する第２後列シート６を設置した構造とした上記第１実施形態によれば、車高を高くすることなく、第２後列シート６を設置するための上下スペース、つまり上記第２フロアパネル側部１０から天井部までの距離を充分に確保することができる。
【００４２】
したがって、上記第１実施形態に係る車両の下部車体構造によれば、第２後列シート６に着座した乗員の頭部とルーフ部との間隔が狭くなりすぎて乗員が威圧感を受けること等を防止しつつ、上記後列シート６に高身長者が安楽姿勢で着座することを可能として乗員の居住環境を効果的に向上させるとともに、車体デザインの自由度を増大させて車体を効果的にコンパクト化できる等の利点がある。また、上記第２フロアパネル側部１０よりも上方に位置する第１フロアパネル側部９上に、第２後列シート６よりも小型に形成されて子供または小柄の女性等用に使用される第１後列シート５を配設したため、その下方に車両用補機の設置するための広いスペースを確保しつつ、上記車両を四人乗りとすることができる。
【００４３】
また、上記第１実施形態では、第２後列シート６のシートクッション３１を、例えば低反発ウレタンフォーム材等からなる比較的に軟質な素材を主体に構成するとともに、上記第１後列シート５のシートクッション２８を、例えば高反発ウレタンフォーム材等からなる比較的に硬質な素材を主体に構成することにより、第２後列シート６のシートクッション３１を第１後列シート５のシートクッション２８よりも柔軟な構造としている。
【００４４】
これにより乗員の非着座時には、図３に示すように、第１後列シート５のシートクッション２８の上面と略同一高さに設置された上記第２後列シート６のシートクッション３１を、図９に示すように、乗員の着座時にその体重に応じて上記第１後列シート５のシートクッション２８よりも大きく変形させることにより、上記シートクッション３１の上面を、第１後列シート５のシートクッション２８よりも下方へと変位させることができるように構成したため、乗員の非着座時に、略同一高さに設置された上記両シートクッション２８，３１上に長尺の荷物を水平状態で載置できるという利点がある。
【００４５】
さらに、上記第１実施形態では、運転席３の後方側に相対的に小型の第１後列シート５が設置される第１フロアパネル側部９を配設するとともに、上記助手席４の後方側に通常の大きさを有する第２後列シート６が設置される上記第２フロアパネル側部１０を配設したため、上記助手席４を運転席３よりも前方に位置させることにより、上記第２後列シート６上に着座した高身長の乗員の前方に充分なスペースを確保して、その居住性を効果的に向上させることができるという利点がある。
【００４６】
特に、上記第１実施形態に示すように、上記助手席４の前方側に位置する右側のダッシュ側部２１を、上記運転席３の前方に位置する左側のダッシュ側部２２よりも車両の前方側にオフセットさせて配設することにより、上記助手席４を運転席３よりも前方に位置させ得るように構成した場合には、上記第２後列シート６上に着座した乗員のその居住性を、より効果的に向上させることができる。
【００４７】
また、上記第１実施形態に示すように、フロアパネル２の左右両側部に、車体の前後方向に延びるリヤサイドフレーム７が設置された車両において、上記中間クロスメンバ４５をリヤサイドフレーム７から上記トンネル部８に向けて設置した場合には、車両の側突時に入力された衝撃荷重を上記中間クロスメンバ４５により効果的に支持することができるため、簡単な構成で車体の剛性を充分に向上させることができる。
【００４８】
特に、上記第１実施形態では、第１フロアパネル側部１０の下方に燃料タンク１１からなる車両用補機を配設するとともに、その上面に上記中間クロスメンバ４５に対応した凹部４６を形成したため、この中間クロスメンバ４５が燃料タンク１１に干渉するのを防止しつつ、この燃料タンク１１の上面を上記第１フロアパネル側部１０の下面に近接させた状態で設置することにより、燃料タンク１１の容量を充分に確保することができるという利点がある。
【００４９】
さらに、上記のように第２フロアパネル側部１０の下方に位置する第１フロアパネル側部９の下方に、第１フロアパネル側部９の下方に設置された車両用補機（第１タンク部４２）よりも小型の車両用補機、例えば燃料タンク１１の第２タンク部４３を配設するように構成した場合には、上記第２フロアパネル側部１０の下方に形成されたスペースの有効利用を図ることができる。
【００５０】
なお、上記第１，第２フロアパネル側部９，１０の下方に燃料タンク１１の第１，第２タンク部４２，４３を配設してなる上記第１実施形態に代え、上記第１フロアパネル側部９の下方にリチウムイオンバッテリ等からなる車両用補機を配設するとともに、必要に応じて上記第１フロアパネル側部９の下方に配設された車両用補機よりも小型の車両用補機、例えば車両用制御ユニットボックス等を第２フロアパネル側部１０の下方に配設することにより、第１，第２フロアパネル側部９，１０の下方空間を有効に利用するように構成してもよい。
【００５１】
上記第１フロアパネル側部９の下方に燃料タンク１１の第１タンク部４２を配設するとともに、上記第２フロアパネル側部１０の下方に第２タンク部４３を配設し、この第２タンク部４３を上記第１タンク部４２よりも大きな容量に形成するとともに、上記第１タンク部４２に連通させてなる上記第１実施形態の構成によれば、上記のように底面の高さが異なる位置に設定された第１，第２フロアパネル側部９，１０の下方空間を有効に利用して充分な容量を有する燃料タンク１１を設置できるとともに、上記第１，第２タンク部４２，４３の下面を略同一高さに設定できるという利点がある。
【００５２】
さらに、上記第１実施形態では、図３に示すように、第１，第２フロアパネル側部９，１０の下方に配設された第１，第２タンク部４２，４３と、トンネル部８内に配設された連通タンク部４４とにより、上記燃料タンク１１を鞍型形状に形成したため、上記第１，第２フロアパネル側部９，１０およびトンネル部８の下方に位置するスペースを有効に利用して上記燃料タンク１１の容量を充分に確保できるという利点がある。特に、上記連通タンク部４４を逆Ｕ字状に形成した場合には、上記トンネル部８内に配設されたプロペラシャフト１２、排気管１３および補強フレーム１４と上記燃料タンク１１とが干渉するのを防止しつつ、この燃料タンク１１の容量を効果的に増大できるという利点がある。
【００５３】
なお、上記第１実施形態では、第２後列シート６のシートクッション３１を跳ね上げ可能に支持する跳上機構３３を設け、上記シートクッション３１を上方に跳ね上げた状態で、物品収納部３６の蓋体３９を開閉するように構成した例について説明したが、上記跳上機構３３を省略し、第２フロアパネル側部１０上に上記シートクッション３１を着脱可能に設置し、このシートクッション３１を取り外した状態で上記物品収納部３６の蓋体３９を開閉するように構成してもよい。
【００５４】
図１０は、本発明の第２実施形態を示している。この第２実施形態では、上記第２フロアパネル側部１０上に設置された物品収納部３６ａの前面に蓋体４０を開閉可能に取り付けるとともに、第２後列シート６のシートクッション３１の前部に上記蓋体４１を開閉操作するための開口部４２を形成している。このように構成した場合には、上記シートクッション３１を上方に跳ね上げたり、あるいはこのシートクッション３１を第２フロアパネル側部１０から取り外したりすることなく、上記開口部４２を介して蓋体４０を開閉することにより、上記物品収納部３６ａに対する物品の出し入れを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００５５】
【図１】本発明に係る車両の下部車体構造の第１実施形態を示す側面図である。
【図２】上記下部車体構造の実施形態を示す平面図である。
【図３】後列シートの設置状態を示す正面断面図である。
【図４】第１後列シートの具体的構成を示す側面断面図である。
【図５】第２後列シートの具体的構成を示す側面断面図である。
【図６】第２後列シートのシートクッションを跳ね上げた状態を示す側面断面図である。
【図７】助手席のシートバックを後傾させた状態を示す説明図である。
【図８】燃料タンクの設置部を上面から見た状態を示す説明図ある。
【図９】後部シートに乗員が着座した状態を示す説明図である。
【図１０】本発明に係る車両の下部車体構造の第２実施形態を示す図５相当図である。
【符号の説明】
【００５６】
１ 車室
２ フロアパネル
３ 運転席
４ 助手席
５ 第１後列シート
６ 第２後列シート
８ トンネル部
９ 第１フロアパネル側部
１０ 第２フロアパネル側部
１１ 燃料タンク（車両用補機）
３１ 後列シートのシートクッション
３３ 跳上機構
３６ 物品収納部
３８ 収納部本体
３９，４０ 蓋体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
車室のフロアパネル上に運転席および助手席からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シートが並設された車両において、上記フロアパネルの車幅方向中央部には、車室内側に向けて突出するトンネル部が車両の前後方向に延びるように設置され、このトンネル部の車幅方向の一方側には、第１後列シートの設置部となる第１フロアパネル側部が配設されるとともに、上記トンネル部の車幅方向の他方側には、第２後列シートの設置部となる第２フロアパネル側部が上記第１フロアパネル側部よりも下方に配設され、かつ上記第２フロアパネル側部と第２後列シートとの間に物品収納部が設けられたことを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項２】
上記物品収納部は、第２後列シートのシートクッションに隠蔽された状態で設置されたことを特徴とする請求項１に記載の車両の下部車体構造。
【請求項３】
上記第２後列シートのシートクッションが略水平状態となった使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持されるとともに、上記シートクッションに対応した切欠きが形成されたことを特徴とする請求項２に記載の車両の下部車体構造。
【請求項４】
上記第１フロアパネル側部上に配設された第１後列シートが、第２後列シートよりも小型に形成されたことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項５】
上記運転席の後方側に第１フロアパネル側部が配設され、上記助手席の後方側に第２フロアパネル側部が配設されたことを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項６】
少なくとも上記第１フロアパネル側部の下方に車両用補機が配設されたことを特徴とする請求項１〜５の何れか１項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項７】
上記第２フロアパネル側部の下方に、上記第１フロアパネル側部下方の車両用補機よりも小型の車両用補機が配設されたことを特徴とする請求項６に記載の車両の下部車体構造。
【請求項８】
上記物品収納部には、その前面に蓋体が開閉可能に取り付けられるとともに、第２後列シートのシートクッションには、上記蓋体を開閉操作するための開口部が設けられたことを特徴とする請求項１または２に記載の車両の下部車体構造。
【請求項１】
車室のフロアパネル上に運転席および助手席からなる左右一対の前列シートが並設されるとともに、この前列シートの後方に左右一対の後列シートが並設された車両において、上記フロアパネルの車幅方向中央部には、車室内側に向けて突出するトンネル部が車両の前後方向に延びるように設置され、このトンネル部の車幅方向の一方側には、第１後列シートの設置部となる第１フロアパネル側部が配設されるとともに、上記トンネル部の車幅方向の他方側には、第２後列シートの設置部となる第２フロアパネル側部が上記第１フロアパネル側部よりも下方に配設され、かつ上記第２フロアパネル側部と第２後列シートとの間に物品収納部が設けられたことを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項２】
上記物品収納部は、第２後列シートのシートクッションに隠蔽された状態で設置されたことを特徴とする請求項１に記載の車両の下部車体構造。
【請求項３】
上記第２後列シートのシートクッションが略水平状態となった使用位置と、その前端部が上方に跳ね上げられた退避位置とに変位可能に支持されるとともに、上記シートクッションに対応した切欠きが形成されたことを特徴とする請求項２に記載の車両の下部車体構造。
【請求項４】
上記第１フロアパネル側部上に配設された第１後列シートが、第２後列シートよりも小型に形成されたことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項５】
上記運転席の後方側に第１フロアパネル側部が配設され、上記助手席の後方側に第２フロアパネル側部が配設されたことを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項６】
少なくとも上記第１フロアパネル側部の下方に車両用補機が配設されたことを特徴とする請求項１〜５の何れか１項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項７】
上記第２フロアパネル側部の下方に、上記第１フロアパネル側部下方の車両用補機よりも小型の車両用補機が配設されたことを特徴とする請求項６に記載の車両の下部車体構造。
【請求項８】
上記物品収納部には、その前面に蓋体が開閉可能に取り付けられるとともに、第２後列シートのシートクッションには、上記蓋体を開閉操作するための開口部が設けられたことを特徴とする請求項１または２に記載の車両の下部車体構造。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２０１０−７６６７４（Ｐ２０１０−７６６７４Ａ）
【公開日】平成２２年４月８日（２０１０．４．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２４９０８６（Ｐ２００８−２４９０８６）
【出願日】平成２０年９月２６日（２００８．９．２６）
【出願人】（０００００３１３７）マツダ株式会社 (6,115)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年４月８日（２０１０．４．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年９月２６日（２００８．９．２６）
【出願人】（０００００３１３７）マツダ株式会社 (6,115)
【Ｆターム（参考）】
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