説明

車両の位置を設定するための方法及び装置

無線ネットワーク測位システム(2)によって、接続可能なターミナル(12)の位置を検出し、車両(1)の第1の位置信号をターミナル(12)及び/又は計算ユニット(11)に伝送する、無線ネットワーク測位システム(2)の少なくとも1つの接続可能なターミナル(12)と計算ユニット(11)とによって車両(1)の位置を設定するための方法及び装置において、第1の運転様式では、第1の位置信号が直接ポーリング毎に伝送され、その際、このポーリングは、手動及び/又は自動で発生され、第2の運転様式では、第1の位置信号が周期的に周波数(f)で伝送され、その際、この周波数(f)は、変更可能であるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の位置を設定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の位置の設定は、自動車の範囲においては多数の異なった適用のために、例えば目的地案内システム、情報サービス、非常時通話システム及び/又は故障時通話システムのために必要である。
【0003】
この場合、携帯無線ネットワークのターミナルを有する車両を形成することが公知である。ターミナルは、この場合車両の固定の構成要素、例えば永続的に搭載される自動車電話設備、及び/又は携帯ユニット、例えば携帯電話である。
【0004】
携帯無線ネットワーク内の携帯ターミナルの位置を設定するため、種々の方法が、例えば特許文献1から公知である。公知の方法による車両の位置の設定にとって不利であるのは、このためにターミナルのオペレータ及び/又は車両のオペレータと携帯無線のオペレータ間で情報が交換されなければならないことである。従って、車両内の適用のための利用は、携帯無線ネットワークに付加的な負荷を与えることに通じる。加えて、ユーザに対し情報を伝送するためのコストが生じる。
【特許文献1】独国特許出願公開第101 24 811号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の基本にある技術的な課題は、伝送すべき情報の数を低減する位置設定をするための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決は、特許請求項1及び6の特徴を有する対象によって得られる。本発明の更なる有利な形成は、下位の請求項から得られる。
【0007】
このため無線ネットワーク測位システムによって第1の位置信号を検出する場合、これは、2つの運転様式に区別される。第1の運転様式では、第1の位置信号が直接ポーリング毎に伝送され、その際、このポーリングは、手動及び/又は自動で発生され、第2の運転用式では、第1の位置信号が一定の周波数で周期的に伝送され、その際、この周波数は、変更可能である。自動車の範囲内の適用のための確認される位置の品質にとっての重要な基準は、必要な時点での位置の調達である。この場合、これは、2つの様式の適用に区別できる。即ち、これは、連続的に位置を要する適用、例えば目的地案内システムと、特殊な場合にだけ位置を要する適用である。それぞれの適用の特性を考慮することによって、情報交換は、携帯無線ネットワークを介して低減可能である。加えて、位置信号を周期的に伝送するための周波数を車両の状態に依存して選択することが考えられる。こうして、例えば速度が高い場合の目的地案内システムのためには、迅速なデータの更新が必要であるのに対し、渋滞及び/又は信号に基づいた停止中には、いかなる更新も必要ない。
【0008】
好ましい実施形では、車両の位置を要求する適用が、その安全上の重要性に応じて格付けされ、運転様式及び/又は周波数が、安全上の重要性に依存して選択される。こうして、例えば非常時通話の場合には、即座の位置確認が必要である。これに対して、例えば旅行のルートに沿った名所に関して情報提供をする情報サービスには、僅かな安全上の重要性だけが適当であり、従って、位置データは、僅かな周波数でのみ更新される。この場合、安全上の重要性に関する格付けがユーザによって変更可能である、及び/又はターミナルがユーザによって遮断可能であることが考えられる。しかしながら、安全上危険な適用の安全上の重要性は、可能性に応じてユーザによって操作可能ではない。安全上危険なシステムとして、例えば自動運転中の車間距離システムのための位置データの利用が考えられる。
【0009】
更なる好ましい実施形では、第2の位置信号が、衛星測位システムによって確認され、第1の位置信号と結合されて1つの共通の位置信号に成る。無線ネットワーク測位システムは、付属の無線セルを確認することによって、ターミナルが存在するターミナルの位置を確認する。従って、無線ネットワーク測位システムによって検出される位置の品質は、それぞれの無線セルの大きさに依存している。人の密集が高い地域、例えば人口密度の高い都市では、無線セルが一般的に小さいので、そこでは、無線セルを確認することによる良好な位置設定が可能である。これに対して、田舎の地域では、無線セルは、大抵は非常に大きい。これには、無線ネットワークによると、はるかに不正確な位置確認しか可能でないという結果を伴う。衛星測位システムは、同様に地域特性に応じて異なった精度を供給する。この場合、通常は人口密度の高い地域では精度が低減されている。何故なら、家の狭間によって衛星への視界が遮られているからである。しかしながら、田舎の地域では、通常の場合には、このように視界を限定することにはならない。従って、衛星測位システムと無線ネットワーク測位システムを組み合せることによって、位置設定の品質は改善される。加えて、必要なデータフローは、携帯無線ネットワークによって更に低減可能である。こうして、例えば、十分な位置精度が衛星測位システムの情報を基にして得られる場合に、安全上危険でない適用のための無線ネットワーク測位システムのターミナルを遮断することが考えられる。
【0010】
更なる実施形では、衛星測位システムによって確認可能な第2の位置信号の精度が設定され、第1の位置信号を確認するための運転様式が、この精度に依存して選択される。信号の品質が十分である場合には、周波数を低減すること、又は無線ネットワークシステムに関する確認を完全に省略することができる。無線ネットワーク測位を実施すべきであるかどうかの決定は、安全上危険でない適用の場合、ユーザによって行なうことができる。このため、システムが自動的に質問をユーザに送ることが考えられる。この場合は、特に、ユーザは、組み合わされた位置設定による期待される改善能力を介して情報提供を受ける。
【0011】
更なる実施形では、位置信号の結合が妥当性の比較を包含する。この場合、例えば第2の位置信号は、携帯無線ネットワークのオペレータに送られるので、この携帯無線ネットワークのオペレータにおいて、第1の位置信号との調整が実施可能である。これ以外に、妥当性の比較が車両内の計算ユニットによって実施されることも考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を、以下で好ましい実施例を基にして詳細に説明する。
【0013】
図1には、適用14,15を有する車両1が図示されている。車両1内の種々の異なった適用14,15のために、車両1の位置の設定が必要である。この場合、車両1の位置は、無線ネットワーク測位システム2及び/又は衛星測位システム3によって確認可能である。
【0014】
このため、車両は、計算ユニット11、無線ネットワーク測位システム2のターミナル12及び衛星測位システム3のターミナル13と共に形成されている。この場合、車両1内でのターミナル12,13及び計算ユニット11の配設は、模範的であると理解すべきであり、強制的に車両1内の位置を反映するものではない。
【0015】
ターミナル12が接続された場合、無線ネットワーク測位システム2によって、何処の無線セル内にターミナル12が存在するのかが確認される。これから、車両1の位置に関する情報を導き出し、車両の計算ユニット11に伝送することができる。最も単純な場合には、例えば車両1の位置として、確認された無線セルの幾何学的な中心点が仮定される。設定された位置の品質は、無線セルの大きさに依存している。著しく遮られた地域では、無線セルは一般的に非常に小さいので、そこでは、良好な位置設定は、無線ネットワーク測位システムによって可能である。しかしながら田舎の地域では、精度は、しばしば十分ではない。位置情報の伝送は、通常の場合、コストをかけて携帯無線ネットワークのオペレータによって行なわれる。従って、特に適用14,15が多い場合は、位置情報を使用すべきか、又はどの程度の頻度で位置情報を使用すべきかが、ユーザの自由に任される。ユーザによる調整は、例えばユーザインターフェースを介して行なわれる。
【0016】
位置データを要する適用14,15は、2つのグループに分割することができる。第1のグループは、連続的に情報を要する適用によって構成される。これには、ナビゲーションシステム、並びに車両の自動運転を行なう多数の安全上重要なシステムが付属する。第2のグループは、特殊な状況でのみ車両1の位置に関する情報を要する適用によって構成される。例えば、サービスセンターへの自動的な非常時通話及び故障時通話である。
【0017】
ユーザにとってのコストを低く抑えるため、並びにデータを伝送することによる携帯無線ネットワークの負荷を低減するため、適用の各グループには、1つの運転様式が割り当てられている。第1のグループの適用に対しては、無線ネットワーク測位によって周期的に信号が確認される。この場合、付属の周波数は、ユーザによって選択可能である。しかしながら、安全上危険な適用の場合、適用の機能性を保証するために、ユーザの影響力を限定することが考えられる。第2のグループの適用に対しては、車両1の位置が、ポーリング毎に確認される。この場合、このポーリングは、ユーザによって、例えば適当な地表を介して、及び/又は自動的にシステムによって、例えば自動的な非常時通話によって発生可能である。
【0018】
衛星測位システム2によって確認されたデータは、通常コストがかからずにユーザに提供される。従って、データは、あからさまにユーザの同意を得ることなくユーザに提供することができる。考えられる衛星測位システム2は、例えばGPS又は「ガリレオ」である。しかしながら、人口密度の高い地域では、部分的に衛星測位システム2の衛星に対する視界が限定されている。これは、受信が中断され、車両1にいかなる位置情報もないことに通じる。衛星に対して自由な視界が可能である場合、位置決め精度は、典型的には100メートル以下である。
【0019】
多数の適用にとっては、衛星測位によって得ることのできる位置決め精度で十分である。衛星測位のためのターミナル13及び無線ネットワーク測位のためのターミナル12を有する車両1の形成において、位置データは、いかなるコストもユーザに生じさせないためには、特に衛星測位によって確認される。受信信号が中断する場合、及び/又は衛星測位の位置決め精度が十分でない場合、位置データの検出は、通常の場合コストのかかる無線ネットワーク測位によって可能である。コストのかかる検出は、安全上危険な適用である場合に特に自動的に行なわれる。安全上危険な適用の場合、特に、無線ネットワーク測位によるデータの検出を望むかどうかの質問がユーザに提起される。この場合、無線ネットワーク測位の周波数は、適用によって確定される、及び/又はユーザによって選択可能である。
【0020】
例えば、位置データを要求する車両内の唯一の適用が目的地案内システムであることが考えられる。目的地案内システムは、周期的に更新された位置データを要する。位置データは、特に衛星測位システム3によって検出される。しかしながら、位置の精製のために付加的に無線ネットワーク測位システム2による位置設定を実施することが、ユーザの自由に任される。例えばユーザインターフェースを介する自動的な質問によって、ユーザは、付加的な位置データを無線ネットワーク測位システム2を介して確認すべきか、場合によってはどのような周波数でこれをすべきかを選択することができる。しかしながら、システムを介して、無線ネットワーク測位によるデータの改善が一般に可能であるかという点検が行なわれることが有利である。いかなる改善も可能でない場合は、ユーザに相応の指摘を伝送することができる。
【0021】
衛星測位システム3による位置設定の品質が望ましい品質標準以下に下がった場合、及び/又は受信の中断に基づいて衛星測位システム3を介する位置データの確認が可能でない場合、ユーザは、特にそれに関して情報提供を受ける。その際、目的地案内システムの更なる利用を放棄したいか、必要なデータが一般的にコストのかかる無線ネットワーク測位によって確認すべきであるかは、ユーザの自由に任される。それ以外には、ユーザが前段階で所望の品質標準を確定し、この品質標準が衛星測位によって維持されなかったら直ちに、システムが自動的に無線ネットワーク測位に交替することも考えられる。この場合は特に、無線ネットワークの周波数が同様に自動的に適合される。この適合は、例えば、品質標準の満足のために必要である最低の周波数が確認されるように行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】概略的に位置を設定するための装置を有する車両を示す。
【符号の説明】
【0023】
1 車両
2 無線ネットワーク測位システム
3 衛星測位システム
11 計算ユニット
12 無線ネットワーク測位システムのターミナル
13 衛星測位システムのターミナル
14 適用
15 適用

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク測位システムによって、接続可能なターミナルの位置を検出し、車両の第1の位置信号をターミナル及び/又は計算ユニットに伝送する、無線ネットワーク測位システムの少なくとも1つの接続可能なターミナルと計算ユニットとによって車両の位置を設定するための方法において、
第1の運転様式では、第1の位置信号が直接ポーリング毎に伝送され、その際、このポーリングは、手動及び/又は自動で発生され、
第2の運転様式では、第1の位置信号が周期的に周波数(f)で伝送され、その際、この周波数(f)は、変更可能であることを特徴とする方法。
【請求項2】
位置データを要求する適用(14,15)の安全上の重要性が設定され、運転様式及び/又は周波数(f)が、この安全上の重要性に依存して選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
衛星測位システム(3)のターミナル(13)によって、少なくとも1つの第2の位置信号が検出され、計算ユニット(11)に伝送され、そしてこの計算ユニット(11)によって第1の位置信号と結合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第2の位置信号の精度が確認され、周波数(f)がこの精度に依存して選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
結合が、妥当性の比較を包含することを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
無線ネットワーク測位システムによってターミナルの位置が検出可能であり、車両の第1の位置信号がターミナル及び/又は計算ユニットに伝送可能である、無線ネットワーク測位システムの少なくとも1つの接続可能なターミナルと計算ユニットとを有する車両の位置を設定するための装置において、
第1の運転様式では、第1の位置信号が直接ポーリング毎に伝送可能であり、その際、このポーリングは、手動及び/又は自動で発生可能であり、
第2の運転様式では、第1の位置信号が周期的に周波数(f)で伝送可能であり、その際、周波数(f)は、変更可能であることを特徴とする装置。
【請求項7】
位置データを要求する適用(14,15)の安全上の重要性が設定可能であり、運転様式及び/又は周波数(f)が、この安全上の重要性に依存して選択可能であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
衛星測位システム(3)のターミナル(13)を有し、その際、この衛星測位システム(3)によって、少なくとも1つの第2の位置信号が検出可能であり、計算ユニット(11)に伝送可能であり、そしてこの計算ユニット(11)によって第1の位置信号と結合可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
第2の位置信号の精度が確認可能であり、周波数(f)がこの精度に依存して選択可能であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
結合が、妥当性の比較を包含することを特徴とする請求項8又は9に記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2006−519367(P2006−519367A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501566(P2006−501566)
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000433
【国際公開番号】WO2004/068161
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(591037096)フオルクスワーゲン・アクチエンゲゼルシヤフト (56)
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】