説明

車載器

【課題】エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなる低燃費走行を可能にする制御下での走行時に突発的にエンジン出力を迅速に高める必要性が生じた状況において、より適切にエンジン出力を迅速に高めることを可能にする。
【解決手段】エコドライブECU2がエコドライブモードに切り替えている場合に、ナビ側制御装置48で取得した自車両の各種センサからの情報に基づいて、自車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあるか否かを判断し、自車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断した場合には、エコドライブモードから通常モードに切り替えさせる信号をナビ側制御装置48がエコドライブECU2に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の状況を判断し、それに応じた車両の制御を行わせる車載器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護を目的とし、排出ガスを抑制した車両や運転を推奨する観点から、ドライバに対して低燃費走行(いわゆるエコドライブ)を補助するための装置や表示器が車両に搭載されるようになってきている。
【0003】
一般的には、低燃費走行を実現するにあたっては、加速時、特に発進加速時の滑らかなアクセルペダルの踏み込み操作が求められる。しかしながら、足によるアクセルペダルの踏み込み操作では、靴を履いていることなどから踏み込み量に対する感覚が鈍くなり、ドライバの意図する踏み込み量よりも多く踏み込んでしまう場合があるなどのずれが生じやすい。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、アクセルペダルだけでなく、ボタンスイッチなどの手動操作によっても車両を加速させることができるようにする技術が開示されている。詳しくは、特許文献1に開示の技術では、車速に応じてアクセルペダルによる加速量と手動操作による加速量との寄与度を変更することで、過度の急加速を防止し、低燃費走行を実現することを試みている。
【0005】
しかしながら、特許文献1には、突発的に急加速が必要となった場合についての対処が定義されていないため、特許文献1に開示の技術には、突発的に急加速が必要となった場合にもドライバの意図するように加速できないという問題点が生じる。
【0006】
そこで、この問題を解決する手段として、例えば、特許文献2には、急加速を防止することによって環境に配慮した走行モード(つまり、低燃費走行)を選択可能にしながらも、必要に応じて急加速を可能にする技術が開示されている。
【0007】
詳しくは、特許文献2に開示の技術では、アクセル開度に対するスロットル開度を、通常の走行状態時のモード(以下、通常モード)よりも抑えたスロットル開度特性で走行するモード(以下、緩慢モード)に切り替えることができる技術が開示されている。従来、このような緩慢モードでは、突発的に急加速が必要となった場合に、アクセルペダルを踏み込んでアクセル開度を上げてもスロットル開度が通常モードのようには上がらないため、ドライバの意図するように加速できないという問題点があった。しかしながら、特許文献2に開示の技術では、ドライバの加速意図を判定し、加速意図があると判定した場合は、アクセル開度に対するスロットル開度がより大きいスロットル開度特性に切り替えることで、急加速を可能にすることを試みている。
【0008】
また、低燃費走行を可能にする制御としては、上述したようにエンジン出力を迅速に高めにくくして急加速を抑える制御以外にも、一時停止時に自動的にエンジンを停止させることによって燃料消費を抑えるアイドリングストップや減速時に自動的に燃料の供給を停止させることによって燃料消費を抑える減速時フューエルカットといった制御がある。なお、アイドリングストップや減速時フューエルカットといった制御によっても結果としてエンジン出力を迅速に高めにくくなり、急加速を行いにくくなる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−83732号公報
【特許文献2】特開2008−63944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に開示の技術では、ドライバに加速意図があるかどうかを、ドライバの過去のアクセル開度情報に基づいた学習の結果をもとに判断するため、購入直後の車両であったり、レンタカーや社有車など不特定多数のドライバが使用する車両であったりした場合など、学習が不十分であることによりドライバの加速意図を適切に判断できないという問題点があった。
【0011】
また、特許文献2に開示の技術では、通常の走行環境下に限定した学習の結果をもとにドライバの加速意図を判断するため、偶発的な状況に応じたドライバの加速意図を適切に判断できないという問題点もあった。
【0012】
つまり、従来の技術は、急加速が行いにくくなる低燃費走行を可能にする制御下での走行時に突発的に急加速が必要となった状況において、適切に急加速を行うことができないという問題点を有していた。言い換えると、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなる低燃費走行を可能にする制御下での走行時に突発的にエンジン出力を迅速に高める必要性が生じた状況において、エンジン出力を迅速に高めることができないという問題点を有していた。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなる低燃費走行を可能にする制御下での走行時に突発的にエンジン出力を迅速に高める必要性が生じた状況において、より適切にエンジン出力を迅速に高めることを可能にする車載器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の車載器によれば、車両の状態を逐次検出するセンサで検出した車両の状態の情報に基づいて、車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあるか否かを必要性判断手段で判断するので、偶発的な状況であっても、エンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあるか否かをその時点の車両の状態の情報に基づいてより適切に判断することができる。
【0015】
また、請求項1の構成によれば、制御装置が低燃費モードに切り替えている場合であっても、必要性判断手段で車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断した場合に、低燃費モードから通常モードに切り替えさせる信号を制御装置に出力するので、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなる低燃費走行を可能にする制御下での走行時に突発的にエンジン出力を迅速に高める必要性が生じた状況においても、より適切にエンジン出力を迅速に高めることが可能になる。
【0016】
また、請求項2の構成によれば、必要性判断手段で車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断して、低燃費モードから通常モードへの切り替えが行われた後に、車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況を脱した場合に、自動的に通常モードから低燃費モードに切り替えることが可能になる。よって、以上の構成によれば、通常モードへの切り替えを必要最小限に抑えながら、低燃費走行を実現することが可能になる。
【0017】
また、請求項3の構成によれば、車両の状態を検出するセンサで検出した車両の状態の情報に基づいて、車両のスタック状態、スピン状態、および上り勾配における坂道発進のうちの少なくともいずれかの駆動力を高めることが必要な状況を検出した場合に、車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断することになる。よって、以上の構成によれば、車両のスタック状態、スピン状態、および上り勾配における坂道発進のうちの少なくともいずれかの駆動力を高めることが必要な状況において、より適切にエンジン出力を迅速に高めることが可能になる。
【0018】
また、請求項4の構成によれば、車両の状態を検出するセンサで検出した車両の状態の情報に基づいて、車両の後続車両との接触危険性がある状態、進路変更先の他車両との接触危険性がある状態、および高速道路本線合流先の他車両との接触危険性がある状態のうちの少なくともいずれかの急加速が必要な状況を検出した場合に、車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断することになる。よって、以上の構成によれば、車両の後続車両との接触危険性がある状態、進路変更先の他車両との接触危険性がある状態、および高速道路本線合流先の他車両との接触危険性がある状態のうちの少なくともいずれかの急加速が必要な状況において、より適切にエンジン出力を迅速に高めることが可能になる。
【0019】
なお、車両のエンジン回転数が上がっても車両の現在位置が変化しない場合には、ぬかるみにタイヤをとられていたり、脱輪を起こしていたりして車両がスタック状態である可能性が高い。
【0020】
これに対して、請求項5の構成によれば、車両状態情報取得手段で取得した車両の現在位置およびエンジン回転数をもとに、車両のエンジン回転数が所定の回転数以上となっても車両の現在位置が変化しないと判定した場合に、車両のスタック状態を検出するので、車両のスタック状態をより精度良く検出することが可能になる。そして、車両のスタック状態を検出した場合に、低燃費モードから通常モードに切り替えさせる信号を制御装置に出力するので、車両がスタック状態である場合に、適切に車両のエンジン出力を迅速に高めて駆動力を高め、スタック状態から抜け出すことができるようにすることが可能となる。
【0021】
なお、車両の傾斜度が大きい状態で停止している場合には、上り勾配における坂道発進となる可能性が高い。
【0022】
これに対して、請求項6の構成によれば、車両状態情報取得手段で取得した車両の傾斜度および速度をもとに、車両の傾斜度が所定の角度以上の状態で停止していると判定した場合に、上り勾配における車両の坂道発進を検出するので、上り勾配における車両の坂道発進をより精度良く検出することが可能になる。そして、上り勾配における車両の坂道発進を検出した場合に、低燃費モードから通常モードに切り替えさせる信号を制御装置に出力するので、上り勾配において坂道発進する場合に、適切に車両のエンジン出力を迅速に高めて駆動力を高め、スムーズに上り勾配における坂道発進を行うことができるようにすることが可能となる。
【0023】
なお、自車両に対する後続車両の相対速度が大きく、且つ、自車両の後続車両との距離が小さい場合には、後続車両との接触危険性がある状態である可能性が高い。
【0024】
これに対して、請求項7の構成によれば、後方監視装置で逐次検出した車両の後続車両との距離および車両状態情報取得手段で取得した車両の速度をもとに、車両に対する後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、車両の後続車両との距離が所定の距離以下であると判定した場合に、後続車両との接触危険性がある状態を検出するので、後続車両との接触危険性がある状態をより精度良く検出することが可能になる。そして、後続車両との接触危険性がある状態を検出した場合に、低燃費モードから通常モードに切り替えさせる信号を制御装置に出力するので、後続車両との接触危険性がある場合に、適切に車両のエンジン出力を迅速に高めて急加速を可能にし、後続車両との接触を避けることができるようにすることが可能となる。
【0025】
また、請求項8のように、要急加速状況検出手段が、後方監視装置で逐次検出した車両の後続車両との距離および車両状態情報取得手段で取得した車両の速度をもとに、車両に対する後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、車両の後続車両との距離が所定の距離以下であるとともに車両が停止していると判定した場合に、急加速が必要な状況として後続車両との接触危険性がある状態を検出する態様としてもよい。
【0026】
なお、車両が高速道路本線への合流地点に位置している場合には、高速道路本線合流先の他車両との接触危険性がある状態である可能性が高い。
【0027】
これに対して、請求項9の構成によれば、地図データ取得手段で取得した地図データおよび車両状態情報取得手段で取得した車両の現在位置をもとに、車両が高速道路本線への合流地点に位置していると判定した場合に、高速道路本線合流先の他車両との接触危険性がある状態を検出するので、高速道路本線合流先の他車両との接触危険性がある状態をより精度良く検出することが可能になる。そして、高速道路本線合流先の他車両との接触危険性がある状態を検出した場合に、低燃費モードから通常モードに切り替えさせる信号を制御装置に出力するので、車両がインターチェンジ(IC)付近等の高速道路本線への合流地点に位置しており、高速道路本線合流先の他車両との接触危険性がある場合に、適切に車両のエンジン出力を迅速に高めて急加速を可能にし、高速道路本線合流先の他車両との接触を避けることができるようにすることが可能となる。
【0028】
また、請求項10のように、要急加速状況検出手段が、後方監視装置で逐次検出した車両の後続車両との距離および車両状態情報取得手段で取得した車両の速度をもとに、車両に対する後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、車両の後続車両との距離が所定の距離以下であるとともに車両が走行中であると判定した場合に、急加速が必要な状況として後続車両との接触危険性がある状態を検出する態様としてもよい。
【0029】
なお、車両の角速度が大きい場合には、車両がスピン状態である可能性が高い。
【0030】
これに対して、請求項11の構成によれば、車両状態情報取得手段で取得した車両の角速度をもとに、車両の角速度が所定の角速度以上であると判定した場合に、車両のスピン状態を検出するので、車両のスピン状態をより精度良く検出することが可能になる。そして、車両のスピン状態を検出した場合に、低燃費モードから通常モードに切り替えさせる信号を制御装置に出力するので、車両がスピン状態にある場合に、適切に車両のエンジン出力を迅速に高めて駆動力を高め、スピン状態から抜け出すことができるようにすることが可能となる。
【0031】
なお、自車両の進路変更先に存在する他車両に対する自車両の相対速度が遅い場合には、車線変更先の他車両との接触危険性がある状態である可能性が高い。
【0032】
これに対して、請求項12の構成によれば、側方撮像装置で逐次撮像した他車両の画像、および車両状態情報取得手段で取得した車両の速度ならびに進路変更方向をもとに、車両の進路変更先に存在する他車両に対する車両の相対速度が第2の所定の速度以下であると判定した場合に、進路変更先の他車両との接触危険性がある状態を検出するので、進路変更先の他車両との接触危険性がある状態をより精度良く検出することが可能になる。そして、進路変更先の他車両との接触危険性がある状態を検出した場合に、低燃費モードから通常モードに切り替えさせる信号を制御装置に出力するので、車両が追い越しや割り込みのために進路変更するときに、進路変更先の他車両との接触危険性がある場合に、適切に車両のエンジン出力を迅速に高めて急加速を可能にし、進路変更先の他車両との接触を避けることができるようにすることが可能となる。
【0033】
また、請求項13のように、車両のアクセルペダルの踏み込み量に対して所定の開度でスロットルを開く第1スロットル開度特性で走行する制御を行うことで低燃費走行を可能にする制御を行う低燃費モードとアクセルの踏み込み量に対して第1スロットル開度特性が示す開度よりも大きな開度でスロットルを開く第2スロットル開度特性で走行する制御を行うことで低燃費走行を可能にする制御を行わない通常モードとを切り替える制御装置に信号を出力する態様としてもよい。
【0034】
また、請求項14のように、車両の一時停止時に自動的にエンジンを停止させるアイドリングストップを行うことで低燃費走行を可能にする制御を行う低燃費モードとアイドリングストップを行わないことで低燃費走行を可能にする制御を行わない通常モードとを切り替える制御装置に信号を出力する態様としてもよい。
【0035】
また、請求項15のように、車両の減速時に自動的に燃料の供給を停止させる減速時フューエルカットを行うことで低燃費走行を可能にする制御を行う低燃費モードと減速時フューエルカットを行わないことで低燃費走行を可能にする制御を行わない通常モードとを切り替える制御装置に信号を出力する態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】エコドライブシステム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】第1スロットル開度特性と第2スロットル開度特性との一例を示した図である。
【図3】ナビゲーション装置3の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】ナビゲーション装置3のナビ側制御装置48での動作フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用されたエコドライブシステム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示すエコドライブシステム100は、車両に搭載されるものであり、周辺監視装置1、エコドライブECU2、およびナビゲーション装置3を含んでいる。なお、エコドライブシステム100を搭載している車両を以降では自車両と呼ぶ。
【0038】
周辺監視装置1は、自車両に搭載され、自車両の周辺の障害物の監視を行う装置である。本実施形態では、周辺監視装置1として自車両の後方の障害物の監視を逐次行う後方監視ユニット11と自車両の側方の障害物の監視を逐次行う側方監視ユニット12とを備えるものとする。なお、後方監視ユニット11が請求項の後方監視装置に相当し、なお、側方監視ユニット12が請求項の側方撮像装置に相当する。
【0039】
後方監視ユニット11は、例えば自車両の後方を撮像する後方カメラと、自車両の後方の障害物(ここでは後続車両)を電磁波や音波の反射によって得られる反射波を利用して検知する障害物センサとからなる構成とする。なお、障害物センサは、送波のタイミングとその送波の反射波の受信のタイミングとのずれをもとに後続車両までの距離を検出できるものとする。
【0040】
例えば後方カメラとしてはCCDカメラを用いる構成とすればよい。また、後方カメラで撮像した自車両の後方の画像情報は、ナビゲーション装置3に供給される。なお、以下、後方カメラによって撮像された画像を車両後方画像という。また、例えば障害物センサとしてはミリ波レーダや赤外線センサや超音波センサなどを用いる構成とすればよい。なお、以降では、障害物センサとして超音波センサを用いる場合を例に挙げて説明を続ける。また、障害物センサで検知した障害物の情報は、ナビゲーション装置3に供給される。
【0041】
後方監視ユニット11では、後方カメラの画像情報を用いた画像認識等によって後続車両の存在を検知するとともに、障害物センサでその後続車両までの距離を算出する構成とすればよい。なお、後方監視ユニット11では、後方カメラを備えずに、障害物センサのみによって後続車両までの距離を検出する構成としてもよい。この場合、例えば障害物の大きさから後続車両か否かを推定する構成とすればよい。また、障害物センサを備えずに、後方カメラの画像情報のみによって後続車両までの距離を検出する構成としてもよい。この場合には、例えば画像中の後続車両の大きさから後続車両までの距離を推定する構成とすればよい。
【0042】
側方監視ユニット12は、例えば自車両の左右それぞれの側方を撮像する側方からなる構成とする。例えば側方カメラとしてはCCDカメラを用いる構成とすればよい。また、側方カメラで撮像した自車両の側方の画像情報は、ナビゲーション装置3に供給される。なお、ここで言うところの側方とは、自車両の後側方まで含むものとする。
【0043】
エコドライブECU2は、周知のCPU、ROMやRAM等のメモリよりなるコンピュータを主体として構成され、種々のセンサの検出信号に基づいてROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、低燃費走行を可能にする制御を行う。また、エコドライブECU2によって低燃費走行を可能にする制御を行うモードを、以降ではエコドライブモードと呼ぶ。なお、エコドライブECU2が請求項の制御装置に相当する。また、エコドライブモードが請求項の低燃費モードに相当する。
【0044】
また、エコドライブECU2は、前述の低燃費走行を可能にする制御を行うエコドライブモードと前述の低燃費走行を可能にする制御を行わない通常モードとを切り替えることが可能となっている。エコドライブECU2は、ナビゲーション装置3から出力される信号に従って、エコドライブモードと通常モードとを切り替えるものとする。
【0045】
例えば、エコドライブECU2は、自車両のアクセルペダルの踏み込み量に対して所定の開度でスロットルを開く第1スロットル開度特性で走行する制御を行うことで低燃費走行を可能にする制御を行うエコドライブモードとアクセルペダルの踏み込み量に対して第1スロットル開度特性が示す開度よりも大きな開度でスロットルを開く第2スロットル開度特性で走行する制御を行うことで低燃費走行を可能にする制御を行わない通常モードとの切り替えが可能となっている。
【0046】
ここで、図2を用いて第1スロットル開度特性と第2スロットル開度特性とについての説明を行う。図2は、第1スロットル開度特性と第2スロットル開度特性との一例を示した図である。図2において、横軸はアクセル開度(つまり、アクセルペダルの踏み込み量)、縦軸はスロットル開度(つまり、トルク)を表しており、アクセル開度に対するスロットル開度の特性が表現されている。
【0047】
アクセル開度に対して、非線形の曲線を描いているのが第1スロットル開度特性であり、アクセル開度を上げてもスロットル開度は抑え気味にしか開かない特性となっている。これは、例えば、通常の車両走行時よりもスロットル開度を抑え、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくする(つまり、自車両の急加速を行いにくくする)ことによって、低燃費走行を可能にするために設定されたスロットル開度特性である。
【0048】
一方、アクセル開度の増加に対して略線形でスロットル開度も増加している特性曲線が
第2スロットル開度特性である。エンジンの持つ能力をそのまま発揮させた場合のスロッ
トル開度特性であり、アクセルペダルを踏み込むのにほぼ比例したトルクが得られるので、急加速を行いたい場合には好ましい特性である。
【0049】
なお、これらのスロットル開度特性は、例えばユーザの選択により、後述する操作スイッチ群41に含まれる切り替えスイッチ等で切り替えることができるようにしてよい。また、第1スロットル開度特性で走行する制御および第2スロットル開度特性で走行する制御自体は、例えば特許文献2に開示されているような周知の技術と同様にして行う構成とすればよい。なお、アクセル開度については、アクセル開度センサ45で検出したものを用いる。
【0050】
また、一例として、エコドライブECU2は、自車両の一時停止時に自動的にエンジンを停止させるアイドリングストップを行うことで低燃費走行を可能にする制御を行うエコドライブモードとアイドリングストップを行わないことで低燃費走行を可能にする制御を行わない通常モードとの切り替えが可能となっている構成としてもよい。なお、アイドリングストップを行う制御およびアイドリングストップを行わない制御自体は、周知の技術と同様にして行う構成とすればよい。また、アイドリングストップを行う場合には、一時停止後の発進時に自車両のエンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなる。
【0051】
さらに、一例として、エコドライブECU2は、自車両の減速時に自動的に燃料の供給を停止させる減速時フューエルカットを行うことで低燃費走行を可能にする制御を行うエコドライブモードと減速時フューエルカットを行わないことで低燃費走行を可能にする通常モードとの切り替えが可能となっている構成としてもよい。なお、減速時フューエルカットを行う制御および減速時フューエルカットを行わない制御自体は、周知の技術と同様にして行う構成とすればよい。また、減速時フューエルカットを行う場合には、減速後の加速時に自車両のエンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなる。
【0052】
また、エコドライブECU2は、エコドライブモード時の制御として、上述した制御以外の、自車両のエンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなる低燃費走行を可能にする制御を行う構成としてもよいものとする。
【0053】
ナビゲーション装置3は、車両に搭載されるものであり、経路探索や経路案内等のナビゲーション機能を有している他に、例えば、エコドライブECU2に信号を出力し、エコドライブモードと通常モードとを切り替えさせることのできる機能を有している。なお、ナビゲーション装置3が請求項の車載器に相当する。
【0054】
ここで、図3を用いてナビゲーション装置3の概略的な構成について説明を行う。図3は、ナビゲーション装置3の概略的な構成を示すブロック図である。図3に示すようにナビゲーション装置3は、位置検出器31、地図データ入力器36、記憶媒体37、外部メモリ38、表示装置39、音声出力装置40、操作スイッチ群41、リモートコントロール端末(以下リモコン)42、リモコンセンサ43、エンジン回転数センサ44、アクセル開度センサ45、ウインカースイッチ46、外部入力部47、およびナビ側制御装置48を備えている。
【0055】
位置検出器31は、自車両の加速度を検出する加速度センサ32、自車両の鉛直方向周りの角速度を検出するジャイロスコープ33、各転動輪の回転速度から自車両の速度を検出する車輪速センサ34、および人工衛星からの電波に基づいて自車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機35を有しており、定期的に自車両の現在位置および進行方向の検出を行う。なお、ジャイロスコープ33が請求項の角速度センサに相当し、車輪速センサ34が請求項の車速センサに相当する。
【0056】
また、これらの各センサ32〜35は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器31を上述した内の一部で構成してもよく、さらに、図示しない地磁気センサ、ステアリングの回転センサ、自車両の走行速度を検出する車速センサ等を用いてもよい。
【0057】
なお、本実施形態では、加速度センサ32は、例えばX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサであって、自車両の傾斜度を検出するものとする。よって、加速度センサ32が請求項の傾斜センサに相当する。すなわち、加速度センサ32は、自車両が水平な位置に駐車したときに水平面に対して平行となるように設置されており、自車両の傾斜度に応じた加速度を検出する。なお、加速度センサとしては、ピエゾ抵抗型、静電容量型、磁気センサ型等が知られているが加速度センサ32としていずれの形式も用いることができる。
【0058】
また、本実施形態において、請求項の傾斜センサとして3軸加速度センサを用いる例を示したが、必ずしもこれに限らず、自車両の傾斜度を検出することができるセンサであれば他のセンサを用いる構成としてもよい。
【0059】
地図データ入力器36は、記憶媒体37が装着され、その記憶媒体37に格納されている位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、および目印データを含む各種データを入力するための装置である。なお、地図データには、道路データ、背景データ、および文字データなどが含まれるものとする。また、記憶媒体37としては、CD−ROMまたはDVD−ROM、メモリカード、HDD等が用いられる。
【0060】
道路データには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。なお、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。
【0061】
リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの形状情報、セグメントの長さを示すセグメント長、リンクの始端および終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、および制限速度等の各データから構成される。
【0062】
一方、ノードデータは、地図上のノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、および交差点種類等の各データから構成される。なお、高速道路の出入り口(インターチェンジ:IC)や中継点(ジャンクション:JCT)、サービスエリア(SA)と高速道路本線との分岐点、パーキングエリア(PA)と高速道路本線との分岐点などもノードに該当し、ノードデータに含まれているものとする。
【0063】
また、背景データは、地図上の各施設や地形等と、それに対応する地図上の座標とを関連付けたデータである。なお、施設に関しては、各種施設の種類、名称、住所のデータなども含まれる。また、文字データは、地名、施設名、道路名等を地図上に表示するためのデータであって、その表示すべき位置に対応する座標データと関連付けられている。
【0064】
外部メモリ38は、書き込み可能なHDD等の大容量記憶装置である。外部メモリ38には大量のデータや電源をオフしても消去してはいけないデータを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データ入力器36からコピーして利用したりする等の用途がある。なお、外部メモリ38は、比較的記憶容量の小さいリムーバブルなメモリであってもよい。
【0065】
表示装置39は、車両の走行を案内するための地図および目的地選択画面等を表示するものであって、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。また、音声出力装置40は、スピーカ等から構成され、ナビ側制御装置48の指示に基づいて、経路案内時の案内音声等を出力する。
【0066】
操作スイッチ群41は、例えば表示装置39と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作によりナビ側制御装置48へ各種機能の操作指示を行う。なお、操作スイッチ群41は、出発地および目的地を設定するためのスイッチを含んでいる。そのスイッチを操作することによって、ユーザは、予め登録しておいた地点、施設名、電話番号、住所などから、出発地および目的地を設定することができる。
【0067】
また、操作スイッチ群41は、エコドライブモードと通常モードとを切り替えるためのスイッチを含んでいる構成としてもよい。そして、ユーザは、このスイッチを操作することによって、ナビ側制御装置48を介してエコドライブECU2にエコドライブモードと通常モードとの切り替えを行わせる構成としてもよい。
【0068】
リモコン42には複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられ、スイッチ操作によりリモコンセンサ43を介して各種指令信号をナビ側制御装置48に入力することにより、操作スイッチ群41と同じ機能をナビ側制御装置48に対して実行させることが可能である。
【0069】
エンジン回転数センサ44は、自車両のエンジン回転数を検出するセンサである。また、アクセル開度センサ45は、自車両のアクセルペダルの踏み込み量(つまり、アクセル開度)を検出するセンサである。
【0070】
ウインカースイッチ46は、進路変更時のドライバの方向指示器のランプ点灯操作を検出するものであって、左右のそれぞれの進路変更時の方向指示器のランプ点灯操作を検出可能に設けられている。よって、ウインカースイッチ46は、左右のそれぞれの進路変更時の方向指示器のランプ点灯操作を検出することにより、自車両の進路変更方向を検出することができる。
【0071】
例えば、左のウインカースイッチは、左折時・左方向への進路変更時ドライバの方向指示器のランプ点灯操作、すなわち、ウインカーレバーを上方に上げる操作に対応してオン状態とされる。なお、左のウインカースイッチがオン状態とされると、方向指示器における左側のランプが所定の点滅周期で点滅する。また、例えば右のウインカースイッチは、右折時・右方向への進路変更時のドライバの方向指示器のランプ点灯操作、すなわち、ウインカーレバーを下方に下げる操作に対応してオン状態とされる。なお、右のウインカースイッチがオン状態とされると、方向指示器における右側のランプが所定の点滅周期で点滅する。
【0072】
外部入力部47は、周辺監視装置1から供給される情報をナビ側制御装置48が取得するためのインターフェースである。
【0073】
ナビ側制御装置48は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROMやRAMなどのメモリ、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。なお、ナビ側制御装置48が請求項の車載器に相当するとも言える。ナビ側制御装置48は、位置検出器31、地図データ入力器36、外部メモリ38、操作スイッチ群41、リモコンセンサ43、エンジン回転数センサ44、アクセル開度センサ45、ウインカースイッチ46、外部入力部47から入力された各種情報に基づき、ナビゲーション機能としての処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、マップマッチング処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理、コスト決定処理等)や緊急時の判断に関連する処理やエコドライブモードと通常モードとの切り替えに関連する処理等を実行する。
【0074】
なお、ここで言うところの緊急時とは、自車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況を示している。ここで、ナビ側制御装置48における自車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況の判断について説明を行う。なお、自車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況としては、自車両の駆動力を高めることが必要な状況や自車両の急加速が必要な状況などがある。
【0075】
まず、ナビ側制御装置48における自車両の駆動力を高めることが必要な状況の判断について説明を行う。ナビ側制御装置48は、位置検出器31で検出した自車両の現在位置およびエンジン回転数センサ44で検出した自車両のエンジン回転数を取得し、取得した自車両の現在位置およびエンジン回転数をもとにスタック判定処理を行い、自車両のスタック状態を検出する。
【0076】
詳しくは、スタック判定処理では、自車両のエンジン回転数が所定の回転数以上となっても自車両の現在位置が変化しないか否かを判定し、自車両のエンジン回転数が所定の回転数以上となっても自車両の現在位置が変化しないと判定した場合に、自車両のスタック状態を検出し、自車両の駆動力を高めることが必要な状況であると判断する。なお、ここで言うところの所定の回転数とは、スタック状態から抜け出そうとしてアクセルペダルを踏み込んだ場合のエンジン回転数程度の値であって、任意に設定可能な値である。例えば、所定の回転数として3000rpmなどを設定する構成とすればよい。
【0077】
自車両がぬかるみ等にタイヤがとられてしまったり、脱輪などを起こしてしまったりなどしてスタック状態となった場合、エンジン回転数があがっても自車両の現在位置が変化しないことになる。なお、自車両がスタック状態となった場合、強大な駆動力を発揮してスタック状態から抜けださないと、他車両から衝突される危険性がある。よって、本実施形態では、自車両のエンジン回転数が所定の回転数以上となっても自車両の現在位置が変化しない場合に、自車両のスタック状態を検出し、自車両の駆動力を高めることが必要な状況であると判断する。
【0078】
そして、ナビ側制御装置48は、エコドライブモードに切り替え中に自車両のスタック状態を検出した場合には、エコドライブモードから通常モードに切り替えさせる信号をエコドライブECU2に出力し、第2スロットル開度特性で走行する制御を行わせたり、アイドリングストップを行わせない制御を行わせたりする。
【0079】
これによれば、強大な駆動力を発揮してスタック状態から抜けださないと他車両から衝突される危険性がある場合に、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなるエコドライブモードを解除し、通常モードでの制御に切り替えることによって、エンジン出力を迅速に高めることができるように制御を変更することが可能になる。その結果、エコドライブモードに切り替え中に自車両がスタック状態となった場合に、適切に自車両のエンジン出力を迅速に高めて駆動力を高め、スタック状態から抜け出すことができるようにすることが可能となる。
【0080】
また、ナビ側制御装置48は、加速度センサ32で検出した自車両の傾斜度および車輪速センサ34で検出した自車両の速度を取得し、取得した自車両の傾斜度および速度をもとに坂道発進判定処理を行い、自車両の上り勾配における坂道発進を検出する。
【0081】
詳しくは、坂道発進判定処理では、自車両の傾斜度が所定の角度以上の状態で停止しているか否かを判定し、自車両の傾斜度が所定の角度以上の状態で停止していると判定した場合に、自車両の上り勾配における坂道発進を検出し、自車両の駆動力を高めることが必要な状況であると判断する。なお、ここで言うところの所定の角度とは、上り勾配の坂道の傾斜度程度の角度であって、任意に設定可能な値である。例えば、所定の角度として+20度などを設定する構成とすればよい。また、ここで言うところの停止とは、例えば自車両の速度が車輪速センサ34で検出不可能な程度にまで小さくなり、実質的に0km/hとなった状態を示す。
【0082】
自車両が上り勾配における坂道発進を行うこととなった場合、自車両の傾斜度が大きい状態で停止していることになる。なお、自車両が上り勾配における坂道発進を行うこととなった場合、迅速に強大な駆動力を発揮して発進しないと、自車両が後退して他車両に衝突する危険性がある。よって、本実施形態では、自車両の傾斜度が所定の角度以上の状態で停止している場合に、自車両の上り勾配における坂道発進を検出し、自車両の駆動力を高めることが必要な状況であると判断する。
【0083】
ナビ側制御装置48は、エコドライブモードに切り替え中に自車両の上り勾配における坂道発進を検出した場合には、エコドライブモードから通常モードに切り替えさせる信号をエコドライブECU2に出力し、第2スロットル開度特性で走行する制御を行わせたり、アイドリングストップを行わせない制御を行わせたりする。
【0084】
これによれば、迅速に強大な駆動力を発揮して上り勾配における坂道発進を行わないと他車両と衝突する危険性がある場合に、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなるエコドライブモードを解除し、通常モードでの制御に切り替えることによって、エンジン出力を迅速に高めることができるように制御を変更することが可能になる。その結果、エコドライブモードに切り替え中に自車両が上り勾配における坂道発進となった場合に、適切に自車両のエンジン出力を迅速に高めて駆動力を高め、スムーズに上り勾配における坂道発進を行うことができるようにすることが可能となる。
【0085】
また、ナビ側制御装置48は、ジャイロスコープ33で検出した自車両の角速度を取得し、取得した自車両の角速度をもとにスピン判定処理を行い、自車両のスピン状態を検出する。
【0086】
詳しくは、スピン判定処理では、自車両の角速度が所定の角速度以上であるか否かを判定し、自車両の角速度が所定の角速度以上であると判定した場合に、自車両のスピン状態を検出し、自車両の駆動力を高めることが必要な状況であると判断する。なお、ここで言うところの所定の角速度とは、カーブの走行時の自車両の角速度よりも大きい値であって、任意に設定可能な値である。例えば、所定の角速度として実際にスピン状態にある場合の角速度を測定して得た値を設定する構成としてもよい。
【0087】
自車両が雨の路面で滑ってしまうなどしてスピン状態となった場合、自車両の角速度が過大になる。なお、自車両がスピン状態となって制御不能となった場合、迅速に強大な駆動力を発揮してスピン状態から抜け出さないと、他車両や歩行者や周囲の構造物に衝突する危険性がある。よって、本実施形態では、自車両の角速度が所定の角速度以上の場合に、自車両のスピン状態を検出し、自車両の駆動力を高めることが必要な状況であると判断する。
【0088】
ナビ側制御装置48は、エコドライブモードに切り替え中に自車両のスピン状態を検出した場合には、エコドライブモードから通常モードに切り替えさせる信号をエコドライブECU2に出力し、第2スロットル開度特性で走行する制御を行わせたり、減速時フューエルカットを行わせない制御を行わせたりする。
【0089】
これによれば、迅速に強大な駆動力を発揮してスピン状態から抜け出さないと他車両や歩行者や周囲の構造物と衝突する危険性がある場合に、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなるエコドライブモードを解除し、通常モードでの制御に切り替えることによって、エンジン出力を迅速に高めることができるように制御を変更することが可能になる。その結果、エコドライブモードに切り替え中に自車両がスピン状態となった場合に、適切に自車両のエンジン出力を迅速に高めて駆動力を高め、スピン状態から抜け出すことができるようにすることが可能となる。
【0090】
よって、ナビ側制御装置48が請求項の車両状態情報取得手段、必要性判断手段、および要駆動力状況検出手段に相当する。
【0091】
続いて、ナビ側制御装置48における自車両の急加速が必要な状況の判断について説明を行う。ナビ側制御装置48は、位置検出器31で検出した自車両の現在位置および地図データ入力器36から入力される地図データを取得し、取得した自車両の現在位置および地図データをもとに高速道路本線合流判定処理を行い、高速道路本線合流先の他車両との自車両の接触危険性がある状態を検出する。よって、ナビ側制御装置48が請求項の地図データ取得手段に相当する。
【0092】
詳しくは、高速道路本線合流判定処理では、自車両が高速道路本線への合流地点に位置しているか否かを判定し、自車両が高速道路本線への合流地点に位置していると判定した場合に、高速道路本線合流先の他車両との自車両の接触危険性がある状態を検出し、自車両の急加速が必要な状況であると判断する。なお、ここで言うところの高速道路本線への合流地点としては、例えば高速道路のIC、JCT、SAと高速道路本線との分岐点、PAと高速道路本線との分岐点などがある。なお、高速道路本線への合流地点には、これらの地点の付近も当然含む。
【0093】
高速道路のIC、JCT、SAと高速道路本線との分岐点、PAと高速道路本線との分岐点付近では、高速道路本線に合流する場合には、自車両の急加速を行って十分に自車両の速度を上げないと高速道路本線合流先の他車両と衝突する危険性がある。よって、本実施形態では、自車両が高速道路本線への合流地点に位置している場合に、高速道路本線合流先の他車両との自車両の接触危険性がある状態を検出し、自車両の急加速が必要な状況であると判断する。
【0094】
ナビ側制御装置48は、エコドライブモードに切り替え中に高速道路本線合流先の他車両との自車両の接触危険性がある状態を検出した場合には、エコドライブモードから通常モードに切り替えさせる信号をエコドライブECU2に出力し、第2スロットル開度特性で走行する制御を行わせたり、アイドリングストップを行わせない制御を行わせたり、減速時フューエルカットを行わせない制御を行わせたりする。
【0095】
これによれば、急加速を行って十分に自車両の速度を上げないと高速道路本線合流先の他車両と衝突する危険性がある場合に、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなるエコドライブモードを解除し、通常モードでの制御に切り替えることによって、エンジン出力を迅速に高めることができるように制御を変更することが可能になる。その結果、エコドライブモードに切り替え中に高速道路本線合流先の他車両との自車両の接触危険性がある状態となった場合に、適切に自車両のエンジン出力を迅速に高めて急加速を可能にし、高速道路本線合流先の他車両との衝突を避けることができるようにすることが可能となる。
【0096】
また、ナビ側制御装置48は、後方監視ユニット11で逐次検出した自車両の後続車両との距離および車輪速センサ34で検出した自車両の速度を取得し、取得した自車両の後続車両との距離および自車両の速度をもとに後続接触判定処理を行い、自車両と後続車両との接触危険性がある状態を検出する。
【0097】
詳しくは、後続接触判定処理では、自車両に対する後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、自車両の後続車両との距離が所定の距離以下であるか否かを判定し、肯定判定した場合に、自車両と後続車両との接触危険性がある状態を検出し、自車両の急加速が必要な状況であると判断する。なお、自車両に対する後続車両の相対速度は、後方監視ユニット11で逐次検出した自車両の後続車両との距離の変化の度合いから算出する構成とすればよい。
【0098】
また、ここで言うところの第1の所定の速度とは、自車両に後続車両が逐次近付いてくる程度の値であって、任意に設定可能な正の値である。さらに、ここで言うところの所定の距離とは、自車両と後続車両との速度によって決まる距離であって、自車両と後続車両とがブレーキ操作を行っても接触する危険性が高い距離である。なお、自車両と後続車両との速度は、例えば車輪速センサ34で検出した自車両の速度と前述した自車両に対する後続車両の相対速度とから設定する構成としてもよい。
【0099】
自車両に対する後続車両の相対速度が大きく、且つ、自車両の後続車両との距離が小さい場合には、自車両が後続車両と衝突する危険性がある。よって、本実施形態では、自車両に対する後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、自車両の後続車両との距離が所定の距離以下である場合に、車両と後続車両との接触危険性がある状態を検出し、自車両の急加速が必要な状況であると判断する。
【0100】
また、一時停止中の自車両に後続車両が突っ込んできたときのために、ナビ側制御装置48が、後方監視ユニット11で逐次検出した自車両の後続車両との距離および車輪速センサ34で検出した自車両の速度をもとに、自車両に対する後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、自車両の後続車両との距離が所定の距離以下であるとともに自車両が停止していると判定した場合に、急加速が必要な状況として後続車両との接触危険性がある状態を検出する構成としてもよい。なお、ここで言うところの停止とは、例えば自車両の速度が車輪速センサ34で検出不可能な程度にまで小さくなり、実質的に0km/hとなった状態を示す。
【0101】
この場合、ナビ側制御装置48は、エコドライブモードに切り替え中に自車両と後続車両との接触危険性がある状態を検出した場合には、エコドライブモードから通常モードに切り替えさせる信号をエコドライブECU2に出力し、第2スロットル開度特性で走行する制御を行わせたり、アイドリングストップを行わせない制御を行わせたりする。
【0102】
これによれば、後続車両の減速が不十分であって交差点などで一時停止中の自車両に当該後続車両が追突する可能性がある場合に、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなるエコドライブモードを解除し、通常モードでの制御に切り替えることによって、エンジン出力を迅速に高めることができるように制御を変更することが可能になる。その結果、エコドライブモードに切り替え中に自車両と後続車両との接触危険性がある状態となった場合に、適切に自車両のエンジン出力を迅速に高めて急加速を可能にし、後続車両との衝突を避けることができるようにすることが可能となる。
【0103】
また、走行中の自車両に後続車両が追突してきそうなときのために、ナビ側制御装置48が、後方監視ユニット11で逐次検出した自車両の後続車両との距離および車輪速センサ34で検出した自車両の速度をもとに、自車両に対する後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、自車両の後続車両との距離が所定の距離以下であるとともに自車両が走行中であると判定した場合に、急加速が必要な状況として後続車両との接触危険性がある状態を検出する構成としてもよい。ここで言うところの走行とは、例えば自車両の速度が車輪速センサ34で検出可能な程度以上である状態を示す。
【0104】
この場合、ナビ側制御装置48は、エコドライブモードに切り替え中に自車両と後続車両との接触危険性がある状態を検出した場合には、エコドライブモードから通常モードに切り替えさせる信号をエコドライブECU2に出力し、第2スロットル開度特性で走行する制御を行わせたり、減速時フューエルカットを行わせない制御を行わせたりする。
【0105】
これによれば、後続車両に対して自車両の速度が遅く、自車両に当該後続車両が追突する可能性がある場合に、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなるエコドライブモードを解除し、通常モードでの制御に切り替えることによって、エンジン出力を迅速に高めることができるように制御を変更することが可能になる。その結果、エコドライブモードに切り替え中に自車両と後続車両との接触危険性がある状態となった場合に、適切に自車両のエンジン出力を迅速に高めて急加速を可能にし、後続車両との衝突を避けることができるようにすることが可能となる。
【0106】
また、ナビ側制御装置48は、側方監視ユニット12で逐次撮像した自車両に並走する他車両(以下、並走車両)の画像およびウインカースイッチ46で検出した自車両の進路変更方向を取得し、取得した並走車両の画像および自車両の進路変更方向をもとに進路変更先接触判定処理を行い、自車両と進路変更先の並走車両との接触危険性がある状態を検出する。
【0107】
詳しくは、進路変更先接触判定処理では、自車両の進路変更先に存在する並走車両に対する自車両の相対速度が第2の所定の速度以下であるか否かを判定し、自車両の進路変更先に存在する並走車両に対する自車両の相対速度が第2の所定の速度以下であると判定した場合に、自車両と進路変更先の並走車両との接触危険性がある状態を検出し、自車両の急加速が必要な状況であると判断する。なお、自車両に対する並走車両の相対速度は、側方監視ユニット12で逐次撮像した並走車両の画像中での位置の変化の度合いから算出する構成とすればよい。また、ここで言うところの第2の所定の速度とは、数秒で並走車両を追い越すことができる程度の値であって、任意に設定可能な正の値である。さらに、自車両の進路変更先はウインカースイッチ46で検出した自車両の進路変更方向から求める構成とすればよい。
【0108】
自車両の進路変更先に存在する並走車両に対する自車両の相対速度が遅い場合には、自車両が並走車両と衝突する危険性がある。よって、本実施形態では、自車両の進路変更先に存在する並走車両に対する自車両の相対速度が第2の所定の速度以下である場合に、自車両と進路変更先の並走車両との接触危険性がある状態を検出し、自車両の急加速が必要な状況であると判断する。
【0109】
ナビ側制御装置48は、エコドライブモードに切り替え中に自車両と進路変更先の並走車両との接触危険性がある状態を検出した場合には、エコドライブモードから通常モードに切り替えさせる信号をエコドライブECU2に出力し、第2スロットル開度特性で走行する制御を行わせたり、減速時フューエルカットを行わせない制御を行わせたりする。
【0110】
これによれば、自車両の進路変更先に存在する並走車両に対する自車両の相対速度が遅く、当該並走車両に自車両が衝突する危険性がある場合に、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなるエコドライブモードを解除し、通常モードでの制御に切り替えることによって、エンジン出力を迅速に高めることができるように制御を変更することが可能になる。その結果、エコドライブモードに切り替え中に自車両と進路変更先の並走車両との接触危険性がある状態となった場合に、適切に自車両のエンジン出力を迅速に高めて急加速を可能にし、進路変更先の並走車両との衝突を避けることができるようにすることが可能となる。よって、ナビ側制御装置48が請求項の要急加速状況検出手段に相当する。
【0111】
次に、図4を用いて、ナビゲーション装置3のナビ側制御装置48での動作フローについての説明を行う。図4は、ナビゲーション装置3のナビ側制御装置48での動作フローを示すフローチャートである。なお、本フローは、エコドライブモードに切り替えられたときに開始される。
【0112】
まず、ステップS1では、ナビ側制御装置48が前述のスタック判定処理を行う。そして、自車両のスタック状態を検出した場合(ステップS1でYES)には、ステップS8に移る。また、自車両のスタック状態を検出しなかった場合(ステップS1でNO)には、ステップS2に移る。
【0113】
ステップS2では、ナビ側制御装置48が前述のスピン判定処理を行う。そして、自車両のスピン状態を検出した場合(ステップS2でYES)には、ステップS8に移る。また、自車両のスピン状態を検出しなかった場合(ステップS2でNO)には、ステップS3に移る。
【0114】
ステップS3では、ナビ側制御装置48が前述の坂道発進判定処理を行う。そして、自車両の上り勾配における坂道発進を検出した場合(ステップS3でYES)には、ステップS8に移る。また、自車両の上り勾配における坂道発進を検出しなかった場合(ステップS3でNO)には、ステップS4に移る。
【0115】
ステップS4では、ナビ側制御装置48が前述の後続接触判定処理を行う。そして、自車両と後続車両との接触危険性がある状態を検出した場合(ステップS4でYES)には、ステップS8に移る。また、自車両と後続車両との接触危険性がある状態を検出しなかった場合(ステップS4でNO)には、ステップS5に移る。
【0116】
ステップS5では、ナビ側制御装置48が前述の高速道路本線合流判定処理を行う。そして、高速道路本線合流先の他車両との自車両の接触危険性がある状態を検出した場合(ステップS5でYES)には、ステップS8に移る。また、高速道路本線合流先の他車両との自車両の接触危険性がある状態を検出しなかった場合(ステップS5でNO)には、ステップS6に移る。
【0117】
ステップS6では、ナビ側制御装置48が前述の進路変更先接触判定処理を行う。そして、自車両と進路変更先の並走車両との接触危険性がある状態を検出した場合(ステップS6でYES)には、ステップS8に移る。また、自車両と進路変更先の並走車両との接触危険性がある状態を検出しなかった場合(ステップS6でNO)には、ステップS7に移る。
【0118】
ステップS7では、ナビ側制御装置48がエコドライブモード設定処理を行い、ステップS9に移る。エコドライブモード設定処理では、エコドライブECU2がエコドライブモードに切り替えられている場合には、エコドライブモードを維持させる。また、エコドライブECU2が通常モードに切り替えられている場合には、ナビ側制御装置48からエコドライブECU2に信号を出力してエコドライブモードに切り替えさせる。
【0119】
つまり、自車両のエンジン出力を迅速に高める必要性がなくなった場合には、ナビ側制御装置48がエコドライブECU2に信号を出力してエコドライブモードに自動的に切り替えさせる。よって、以上の構成によれば、通常モードへの切り替えを必要最小限に抑えながら、低燃費走行を実現することが可能になる。
【0120】
ステップS8では、ナビ側制御装置48がエコドライブモード解除処理を行い、ステップS9に移る。エコドライブモード解除処理では、エコドライブECU2がエコドライブモードに切り替えられている場合には、ナビ側制御装置48からエコドライブECU2に信号を出力して前述したように通常モードに切り替えさせる。また、エコドライブECU2が通常モードに切り替えられている場合には、通常モードを維持させる。
【0121】
ステップS9では、自車両のイグニッションスイッチがオフになった場合(ステップS9でYES)には、フローを終了する。また、自車両のイグニッションスイッチがオフになっていない場合(ステップS9でNO)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。
【0122】
以上の構成によれば、自車両の状態を検出するセンサ(例えば位置検出器31の各種センサ32〜35、エンジン回転数センサ44、ウインカースイッチ46)で逐次検出した自車両の状態の情報に基づいて、自車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあるか否かをナビ側制御装置48で判断するので、偶発的な状況であっても、エンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあるか否かをその時点の自車両の状態の情報に基づいてより適切に判断することができる。
【0123】
また、以上の構成によれば、エコドライブECU2がエコドライブモードに切り替えている場合であっても、ナビ側制御装置48で自車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断した場合に、エコドライブモードから通常モードに切り替えさせる信号をエコドライブECU2に出力するので、エンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなる低燃費走行を可能にする制御下での走行時に突発的にエンジン出力を迅速に高める必要性が生じた状況においても、より適切にエンジン出力を迅速に高めることが可能になる。
【0124】
さらに、以上の構成によれば、自車両の状態を検出するセンサで検出した自車両の状態の情報に基づいて、自車両のスタック状態、スピン状態、および上り勾配における坂道発進のうちの少なくともいずれかの駆動力を高めることが必要な状況を検出した場合に、自車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断することになる。よって、以上の構成によれば、自車両のスタック状態、スピン状態、および上り勾配における坂道発進のうちの少なくともいずれかの駆動力を高めることが必要な状況において、より適切にエンジン出力を迅速に高めることが可能になる。
【0125】
また、以上の構成によれば、自車両の状態を検出するセンサで検出した車両の状態の情報に基づいて、自車両と後続車両との接触危険性がある状態、自車両と進路変更先の他車両との接触危険性がある状態、および高速道路本線合流先の他車両と自車両との接触危険性がある状態のうちの少なくともいずれかの急加速が必要な状況を検出した場合に、自車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断することになる。よって、以上の構成によれば、自車両と後続車両との接触危険性がある状態、自車両と進路変更先の他車両との接触危険性がある状態、および高速道路本線合流先の他車両と自車両との接触危険性がある状態のうちの少なくともいずれかの急加速が必要な状況において、より適切にエンジン出力を迅速に高めることが可能になる。
【0126】
なお、前述の実施形態では、請求項の角速度センサとしてジャイロスコープ33を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。自車両の角速度を検出することができるセンサであれば他のセンサを用いる構成としてもよく、例えばヨーレートセンサを用いる構成としてもよい。
【0127】
また、前述の実施形態では、請求項の車速センサとして車輪速センサ34を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、自車両の走行速度を検出する車速センサを用いる構成としてもよい。
【0128】
さらに、前述の実施形態では、車載のナビゲーション装置に本発明を適用した例を挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、車載のナビゲーション装置とは独立した車載の装置に本発明を適用する構成としてもよい。
【0129】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1 周辺監視装置、2 エコドライブECU(制御装置)、3 ナビゲーション装置(車載器)、11 後方監視ユニット(後方監視装置)、12 側方監視ユニット(側方撮像装置)、31 位置検出器(センサ)、32 加速度センサ(傾斜センサ)、33 ジャイロスコープ(角速度センサ)、34 車輪速センサ(車速センサ)、35 GPS受信機、36 地図データ入力器、37 記憶媒体、38 外部メモリ、39 表示装置、40 音声出力装置、41 操作スイッチ群、42 リモコン、43 リモコンセンサ、44 エンジン回転数センサ、45 アクセル開度センサ、46 ウインカースイッチ、47 外部入力部、48 ナビ側制御装置(車両状態情報取得手段、必要性判断手段、要駆動力状況検出手段、地図データ取得手段、要急加速状況検出手段)、100 エコドライブシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
前記車両の状態を逐次検出するセンサで検出した前記車両の状態の情報を取得する車両状態情報取得手段を備え、
前記車両のエンジン出力を迅速に高めることが行いにくくなる低燃費走行を可能にする制御を行う低燃費モードと前記低燃費走行を可能にする制御を行わない通常モードとを切り替える制御装置に信号を出力することができる車載器であって、
前記制御装置が前記低燃費モードに切り替えている場合に、前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の状態の情報に基づいて、前記車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあるか否かを判断する必要性判断手段を備え、
前記必要性判断手段で前記車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断した場合に、前記低燃費モードから前記通常モードに切り替えさせる信号を前記制御装置に出力することを特徴とする車載器。
【請求項2】
請求項1において、
前記必要性判断手段で前記車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断し、前記低燃費モードから前記通常モードに切り替えさせる信号を前記制御装置に出力した後に、前記必要性判断手段で前記車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断しなくなった場合に、前記通常モードから前記低燃費モードに切り替えさせる信号を前記制御装置に出力することを特徴とする車載器。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の状態の情報に基づいて、前記車両のスタック状態、スピン状態、および上り勾配における坂道発進のうちの少なくともいずれかの駆動力を高めることが必要な状況を検出する要駆動力状況検出手段を備え、
前記必要性判断手段は、前記要駆動力状況検出手段で前記駆動力を高めることが必要な状況を検出した場合に、前記車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断することを特徴とする車載器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の状態の情報に基づいて、前記車両の後続車両との接触危険性がある状態、進路変更先の他車両との接触危険性がある状態、および高速道路本線合流先の他車両との接触危険性がある状態のうちの少なくともいずれかの急加速が必要な状況を検出する要急加速状況検出手段を備え、
前記必要性判断手段は、前記要急加速状況検出手段で前記急加速が必要な状況を検出した場合に、前記車両のエンジン出力を迅速に高めることが必要な状況にあると判断することを特徴とする車載器。
【請求項5】
請求項3において、
前記車両状態情報取得手段は、前記車両の現在位置を検出する位置検出器で検出した前記車両の現在位置および前記車両のエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサで検出した前記車両のエンジン回転数を少なくとも前記車両の状態の情報として取得するものであって、
前記要駆動力状況検出手段は、前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の現在位置およびエンジン回転数をもとに、前記車両のエンジン回転数が所定の回転数以上となっても前記車両の現在位置が変化しないと判定した場合に、前記駆動力を高めることが必要な状況として前記車両のスタック状態を検出することを特徴とする車載器。
【請求項6】
請求項3において、
前記車両状態情報取得手段は、前記車両の傾斜度を検出する傾斜センサで検出した前記車両の傾斜度および前記車両の速度を検出する車速センサで検出した前記車両の速度を少なくとも前記車両の状態の情報として取得するものであって、
前記要駆動力状況検出手段は、前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の傾斜度および速度をもとに、前記車両の傾斜度が所定の角度以上の状態で停止していると判定した場合に、前記駆動力を高めることが必要な状況として上り勾配における前記車両の坂道発進を検出することを特徴とする車載器。
【請求項7】
請求項4において、
前記車両の後続車両との距離を逐次検出することが可能な後方監視装置を備え、
前記車両状態情報取得手段は、前記車両の速度を検出する車速センサで検出した前記車両の速度を少なくとも前記車両の状態の情報として取得するものであって、
前記要急加速状況検出手段は、前記後方監視装置で逐次検出した前記車両の後続車両との距離および前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の速度をもとに、前記車両に対する前記後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、前記車両の後続車両との距離が所定の距離以下であると判定した場合に、前記急加速が必要な状況として前記後続車両との接触危険性がある状態を検出することを特徴とする車載器。
【請求項8】
請求項7において、
前記要急加速状況検出手段は、前記後方監視装置で逐次検出した前記車両の後続車両との距離および前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の速度をもとに、前記車両に対する前記後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、前記車両の後続車両との距離が所定の距離以下であるとともに前記車両が停止していると判定した場合に、前記急加速が必要な状況として前記後続車両との接触危険性がある状態を検出することを特徴とする車載器。
【請求項9】
請求項4において、
地図データを取得する地図データ取得手段を備え、
前記車両状態情報取得手段は、前記車両の現在位置を検出する位置検出器で検出した前記車両の現在位置を少なくとも前記車両の状態の情報として取得するものであって、
前記要急加速状況検出手段は、前記地図データ取得手段で取得した前記地図データおよび前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の現在位置をもとに、前記車両が高速道路本線への合流地点に位置していると判定した場合に、前記急加速が必要な状況として高速道路本線合流先の他車両との接触危険性がある状態を検出することを特徴とする車載器。
【請求項10】
請求項7において、
前記要急加速状況検出手段は、前記後方監視装置で逐次検出した前記車両の後続車両との距離および前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の速度をもとに、前記車両に対する前記後続車両の相対速度が第1の所定の速度以上、且つ、前記車両の後続車両との距離が所定の距離以下であるとともに前記車両が走行中であると判定した場合に、前記急加速が必要な状況として前記後続車両との接触危険性がある状態を検出することを特徴とする車載器。
【請求項11】
請求項3において、
前記車両状態情報取得手段は、前記車両の角速度を検出する角速度センサで検出した前記車両の角速度を少なくとも前記車両の状態の情報として取得するものであって、
前記要駆動力状況検出手段は、前記車両状態情報取得手段で取得した前記車両の角速度をもとに、前記車両の角速度が所定の角速度以上であると判定した場合に、前記駆動力を高めることが必要な状況として前記車両のスピン状態を検出することを特徴とする車載器。
【請求項12】
請求項4において、
前記車両の側方の他車両を逐次撮像する側方撮像装置を備え、
前記車両状態情報取得手段は、前記車両のウインカースイッチで検出した前記車両の進路変更方向を少なくとも前記車両の状態の情報として取得するものであって、
前記要急加速状況検出手段は、前記側方撮像装置で逐次撮像した前記他車両の画像、および前記車両状態情報取得手段で取得した進路変更方向をもとに、前記車両の進路変更先に存在する前記他車両に対する前記車両の相対速度が第2の所定の速度以下であると判定した場合に、前記急加速が必要な状況として進路変更先の他車両との接触危険性がある状態を検出することを特徴とする車載器。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項において、
前記車両のアクセルペダルの踏み込み量に対して所定の開度でスロットルを開く第1スロットル開度特性で走行する制御を行うことで前記低燃費走行を可能にする制御を行う前記低燃費モードと前記アクセルの踏み込み量に対して第1スロットル開度特性が示す開度よりも大きな開度でスロットルを開く第2スロットル開度特性で走行する制御を行うことで前記低燃費走行を可能にする制御を行わない前記通常モードとを切り替える制御装置に信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項14】
請求項5〜9のいずれか1項において、
前記車両の一時停止時に自動的にエンジンを停止させるアイドリングストップを行うことで前記低燃費走行を可能にする制御を行う前記低燃費モードと前記アイドリングストップを行わないことで前記低燃費走行を可能にする制御を行わない前記通常モードとを切り替える制御装置に信号を出力することを特徴とする車載器。
【請求項15】
請求項9〜12のいずれか1項において、
前記車両の減速時に自動的に燃料の供給を停止させる減速時フューエルカットを行うことで前記低燃費走行を可能にする制御を行う前記低燃費モードと前記減速時フューエルカットを行わないことで前記低燃費走行を可能にする制御を行わない前記通常モードとを切り替える制御装置に信号を出力することを特徴とする車載器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−196346(P2011−196346A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66902(P2010−66902)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】