説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】 絶対傾斜角を検出することによって、傾斜を有する地点においても自車位置を高精度に検出することができ、ひいては、自車を目的地まで迅速かつ適切に案内することができる「車載用ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】 自車の進行方向に対する自車の絶対的な傾斜角度である絶対傾斜角を計算する絶対傾斜角計算手段32と、この絶対傾斜角計算手段32によって算出された前記絶対傾斜角に応じたジャイロセンサ6の感度の補正を行う補正手段33とを備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に係り、特に、自車位置を高精度に検出するのに好適な車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載用ナビゲーション装置は、自車が走行中の道路を正確に追尾するために、位置情報や方位、移動距離などから、自車が今までに走行してきた軌跡の形状と、地図データ上の道路形状データとを照合し、自車位置を、地図データにおける該当する道路上の位置に整合させるように補正するマップマッチング処理を行うようになっていた。
【0003】
このようなマッチング処理を行うには、まず、自車位置を検出する必要があるが、この自車位置の検出方法としては、GPSを用いて自車位置を絶対座標として検出する電波航法が知られている。
【0004】
しかしながら、立体駐車場の中や、トンネル内等においては、GPSから自車位置を取得することができないことがある。
【0005】
そこで、従来から、自車位置の検出方法として、ジャイロセンサによって方位を検出し、車速パルスを用いて自車の移動距離を計算することによって、自車位置を、1つ前の検出位置からの変化分である相対位置として検出する自律航法も用いられていた。
【0006】
さらに、従来から、車載用ナビゲーション装置には、立体駐車場や峠道等の傾斜を有する地点における自車位置を検出することを目的として、自車の進行方向に対する自車の傾斜角度(換言すれば、自車が走行している道路の傾斜角度)の検出が可能とされた加速度センサが備えられていた。
【0007】
【特許文献1】特開平11−304513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、加速度センサは、水平状態における正確な出力値を得ることができず、また、基準となる出力値(ゼロ点)は、個体ごとにばらつきがあった。
【0009】
そのため、加速度センサでは、自車の進行方向に対する自車の傾斜角度の相対的な変化を検出することはできても、自車の進行方向に対する自車(自車が走行している道路)の絶対的な傾斜角度である絶対傾斜角(以下、同様)を検出することはできなかった。
【0010】
この結果、従来は、例えば、自車が走行している道路が、急な下り坂から緩い下り坂に変化した場合においても、自車が上り坂を走行していると判断されることがあった。
【0011】
さらに、例えば、立体駐車場や峠道等の傾斜を有する地点において、傾斜に応じたジャイロセンサの感度の補正を正確に行うことができず、自車方位誤差が大きくなる場合があった。
【0012】
このように、従来は、絶対傾斜角を検出することができないことによって、自車位置を高精度に検出することができないといった問題が生じていた。
【0013】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、絶対傾斜角を検出することによって、傾斜を有する地点においても自車位置を高精度に検出することができ、ひいては、自車を目的地まで迅速かつ適切に案内することができる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するため、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、自車の進行方向に対する自車の絶対的な傾斜角度である絶対傾斜角を計算する絶対傾斜角計算手段と、この絶対傾斜角計算手段によって算出された前記絶対傾斜角に応じた前記ジャイロセンサの感度の補正を行う補正手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
そして、このような構成によれば、補正手段により、絶対傾斜角計算手段によって算出された絶対傾斜角に応じたジャイロセンサの感度の補正を行うことが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、絶対傾斜角計算手段が、GPSによる測位結果に基づいて、絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0017】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、GPSによる測位結果に基づいて絶対傾斜角を高精度に算出することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、絶対傾斜角計算手段が、自車の所定の走行距離あたりのGPSによって測位された自車の絶対的な高度の変化に基づいて、絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0019】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、自車の所定の走行距離あたりの自車の絶対的な高度(GPS高度)の変化に基づいて、絶対傾斜角をさらに高精度に算出することが可能となる。
【0020】
さらにまた、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、絶対傾斜角計算手段が、θ=asin((h−h)/L)・・・(1)式(ただし、θ:瞬間傾斜、h:GPSによる今回の測位によって取得された自車の絶対的な高度、h:GPSによる前回の測位によって取得された自車の絶対的な高度、L:GPSによる前回の測位から今回の測位までの間における自車の走行距離)によって表される瞬間傾斜に基づいて、絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0021】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、(1)式によって算出される瞬間傾斜に基づいて、絶対傾斜角をより高精度に算出することが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、(1)式に、GPSによる今回の測位が行われた地点に至るまでの自車の所定の走行距離の範囲内に存在する複数の地点でのGPSによる測位によって取得された複数のhの値と、これら複数のhの値にそれぞれ対応する複数のLの値との組をそれぞれ代入することによって複数のθの値を算出し、この算出した複数のθの値を用いることによってGPS高度型傾斜角を計算するGPS高度型傾斜角計算手段を備え、絶対傾斜角計算手段が、このGPS高度型傾斜角計算手段によって算出されたGPS高度型傾斜角に基づいて、絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0023】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、GPS高度型傾斜角計算手段によって算出されたGPS高度型傾斜角に基づいて、絶対傾斜角をさらに良好な精度で算出することが可能となる。
【0024】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、GPS高度型傾斜角が、複数のθの値を用いることによって算出された平均値であることを特徴としている。
【0025】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、GPS高度型傾斜角としての複数のθの値を用いることによって算出された平均値に基づいて、絶対傾斜角をより良好な精度で算出することが可能となる。
【0026】
さらにまた、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、絶対傾斜角計算手段が、GPSによる測位によって取得された3次元の速度ベクトルであるドップラベクトルから取り出された自車の進行方向に対する自車の傾斜角に基づいて、絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0027】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、ドップラベクトルから取り出された自車の進行方向に対する自車の傾斜角に基づいて、絶対傾斜角を高精度に算出することが可能となる。
【0028】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、GPSによる今回の測位が行われた地点を含めた自車の所定の走行距離の範囲内に存在する複数の地点でのGPSによる測位によって取得された複数のドップラベクトルからそれぞれ取り出された複数の傾斜角を用いることによって、ドップラベクトル型傾斜角を計算するドップラベクトル型傾斜角計算手段を備え、絶対傾斜角計算手段が、前記ドップラベクトル型傾斜角計算手段によって算出されたドップラベクトル型傾斜角に基づいて、絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0029】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、ドップラベクトル型傾斜角計算手段によって算出されたドップラベクトル型傾斜角に基づいて、絶対傾斜角をさらに高精度に算出することが可能となる。
【0030】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、ドップラベクトル型傾斜角が、複数のドップラベクトルからそれぞれ取り出された複数の傾斜角を用いることによって算出された平均値であることを特徴としている。
【0031】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、ドップラベクトル型傾斜角としての複数のドップラベクトルからそれぞれ取り出された複数の傾斜角を用いることによって算出された平均値に基づいて、絶対傾斜角をより高精度に算出することが可能となる。
【0032】
さらにまた、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、GPS高度型傾斜角およびドップラベクトル型傾斜角に基づいてGPS傾斜角を計算するGPS傾斜角計算手段を備え、絶対傾斜角計算手段が、前記GPS傾斜角計算手段によって算出されたGPS傾斜角に基づいて、絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0033】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、GPS傾斜角計算手段によって算出されたGPS傾斜角に基づいて、絶対傾斜角をさらに良好な精度で算出することが可能となる。
【0034】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、GPS傾斜角計算手段が、θGPS=θ×k+θ×(1−k)・・・(2)式(ただし、θGPS:GPS傾斜角、θ:GPS高度型傾斜角、θ:ドップラベクトル型傾斜角、k:GPS高度型傾斜角の使用割合(0≦k≦1))によってGPS傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0035】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、(2)式によって算出されるGPS傾斜角に基づいて、絶対傾斜角をより良好な精度で算出することが可能となる。
【0036】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、絶対傾斜角計算手段が、V=VAVE−θGPS×加速度センサ感度・・・(3)式(ただし、V:水平時加速度センサ出力値、VAVE:自車の所定の走行距離あたりの加速度センサの出力値の平均値)によって表される水平状態における加速度センサの出力値である水平時加速度センサ出力値を用いることによって絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0037】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、(3)式によって算出される水平時加速度センサ出力値を用いることによって、絶対傾斜角をさらに精度良く算出することが可能となる。
【0038】
さらにまた、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、絶対傾斜角計算手段が、Θ=V−V×加速度センサ感度・・・(4)式(ただし、Θ:絶対傾斜角、V:現在の加速度センサ出力値)によって、絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴としている。
【0039】
そして、このような構成によれば、絶対傾斜角計算手段により、(4)式によって絶対傾斜角をさらに正確に算出することが可能となる。
【0040】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、補正手段が、ジャイロ方位=前回のジャイロ方位+今回の変化方位×1/cos(絶対傾斜角)・・・(5)式によって、絶対傾斜角に応じたジャイロセンサの感度の補正を行うことを特徴としている。
【0041】
そして、このような構成によれば、補正手段により、(5)式によって絶対傾斜角に応じたジャイロセンサの感度の補正を適切に行うことが可能となる。
【0042】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、ジャイロセンサの感度の補正を行った上で、自車位置を2次元の地図データにおける該当する道路上の位置に整合させるように補正するマップマッチング処理を行うことを特徴としている。
【0043】
そして、このような構成によれば、ジャイロセンサの感度の補正を行った上で、2次元の地図データを用いたマップマッチング処理を高精度に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0044】
本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、補正手段により、絶対傾斜角計算手段によって算出された絶対傾斜角に応じたジャイロセンサの感度の補正を行うことができる結果、傾斜を有する地点においても自車位置を高精度に検出することができ、ひいては、自車を目的地まで迅速かつ適切に案内することができる。
【0045】
特に、立体駐車場等の傾斜を有する場所を旋回しながら移動する場合においても、補正手段による補正がなされたジャイロセンサによって、自車方位を正確に検出することができ、良好な自車位置精度を得ることができる。例えば、傾斜を有する立体駐車場において、自車が360°旋回した場合には、元の自車位置から360°旋回した後の自車位置を確実に検出することができる。
【0046】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、GPSの測位結果に基づいて絶対傾斜角を高精度に算出することができる結果、自車位置を高精度に検出することができる。
【0047】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、自車の所定の走行距離あたりの自車の絶対的な高度(GPS高度)の変化に基づいて、絶対傾斜角をさらに高精度に算出することができる結果、自車位置をさらに高精度に検出することができる。
【0048】
さらにまた、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、(1)式によって算出される瞬間傾斜に基づいて、絶対傾斜角をより高精度に算出することができる結果、自車位置をより高精度に検出することができる。
【0049】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、GPS高度型傾斜角計算手段によって算出されたGPS高度型傾斜角に基づいて、絶対傾斜角をさらに良好な精度で算出することができる結果、さらに良好な自車位置精度を得ることができる。
【0050】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、GPS高度型傾斜角としての複数のθの値を用いることによって算出された平均値に基づいて、絶対傾斜角をより良好な精度で算出することができる結果、より良好な自車位置精度を得ることができる。
【0051】
さらにまた、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、ドップラベクトルから取り出された自車の進行方向に対する自車の傾斜角に基づいて、絶対傾斜角を高精度に算出することができる結果、自車位置を高精度に検出することができる。
【0052】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、ドップラベクトル型傾斜角計算手段によって算出されたドップラベクトル型傾斜角に基づいて、絶対傾斜角をさらに高精度に算出することができる結果、自車位置をさらに高精度に検出することができる。
【0053】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、ドップラベクトル型傾斜角としての複数のドップラベクトルからそれぞれ取り出された複数の傾斜角を用いることによって算出された平均値に基づいて、絶対傾斜角をより高精度に算出することができる結果、自車位置をより高精度に検出することができる。
【0054】
さらにまた、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、GPS傾斜角計算手段によって算出されたGPS傾斜角に基づいて、絶対傾斜角をさらに良好な精度で算出することができる結果、自車位置精度をさらに向上させることができる。
【0055】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、(2)式によって算出されるGPS傾斜角に基づいて、絶対傾斜角をより良好な精度で算出することができる結果、より良好な精度で自車位置を検出することができる。
【0056】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、(3)式によって算出される水平時加速度センサ出力値を用いることによって、絶対傾斜角をさらに精度良く算出することができる結果、さらに精度良く自車位置を検出することができる。
【0057】
さらにまた、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、絶対傾斜角計算手段により、(4)式によって絶対傾斜角をさらに正確に算出することができる結果、自車位置をさらに正確に検出することができる。
【0058】
また、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、補正手段により、(5)式によって絶対傾斜角に応じたジャイロセンサの感度の補正を適切に行うことができる結果、ジャイロセンサの方位誤差を有効に低減して、きわめて良好な自車位置精度を得ることができる。
【0059】
さらに、本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、簡易な2次元の地図データを用いる場合であっても、傾斜を有する地点におけるマップマッチング処理を高精度に行うことができる結果、安価な構成によって、自車を目的地まで適切に案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0061】
図1に示すように、本実施形態における車載用ナビゲーション装置1は、自車を現在地から目的地まで誘導するナビゲーションのための主制御を行うナビゲーションメインユニット2を有している。
【0062】
ナビゲーションメインユニット2の入力側には、GPSレシーバ3、加速度センサ5、ジャイロセンサ6、ディスク読取装置7および入力操作部8がそれぞれ接続されている。ディスク読取装置7には、地図データ等のナビゲーションに必要な情報が格納されたディスク10が搭載されている。さらに、ナビゲーションメインユニット2には、車速パルスが入力されるようになっている。
【0063】
なお、入力操作部8としては、リモコン、タッチパネルおよびリニアエンコーダ等の種々の手段を用いることができる。
【0064】
一方、ナビゲーションメインユニット2の出力側には、ディスプレイ11およびスピーカ12がそれぞれ接続されている。
【0065】
ナビゲーションメインユニット2について詳述すると、このナビゲーションメインユニット2は、自車位置計算部14を有しており、この自車位置計算部14の入力側には、前述したGPSレシーバ3が接続されている。
【0066】
自車位置計算部14は、GPSレシーバ3から入力される軌道および時刻を含む情報に基づいて、現在の自車位置(絶対位置)を計算することができるようになっている(電波航法)。
【0067】
また、自車位置計算部14の入力側には、前述した加速度センサ5およびジャイロセンサ6が接続されている。さらに、自車位置計算部14には、前述した車速パルスが入力されるようになっている。
【0068】
自車位置計算部14は、車速パルスと、ジャイロセンサ6から入力される自車の方位情報と、加速度センサ5から入力される自車の加速度情報とに基づいて、自車位置(相対位置)を計算することができるようになっている(自律航法)。
【0069】
自車位置計算部14は、算出した自車位置が、地図データにおける道路上にない場合には、地図データにおける該当する道路上の位置に自車位置を補正するマップマッチング処理を行うようになっている。
【0070】
自車位置計算部14および入力操作部8には、地図読出制御部15が接続されており、この地図読出制御部15には、前述したディスク読取装置7が接続されている。
【0071】
地図読出制御部15は、ディスク読取装置7に対して、自車位置計算部14によって算出された自車位置およびその周辺の地図データの読み出し要求を出力するようになっている。
【0072】
また、地図読出制御部15は、ディスク読取装置7に対して、入力操作部8の操作によって指定された地点およびその周辺の地図データの読み出し要求を出力するようになっている。
【0073】
そして、ディスク読取装置7は、地図読出制御部15の読み出し要求に応じた地図データを、ディスクから読み取るようになっている。
【0074】
ナビゲーションメインユニット2は、ディスク読取装置7に接続された地図バッファ16を有しており、この地図バッファ16には、ディスク読取装置7によって読み取られた地図データが一時的に保存されるようになっている。
【0075】
地図バッファ16には、地図描画部18が接続されており、この地図描画部18には、地図バッファ16に保存された地図データが入力されるようになっている。
【0076】
そして、地図描画部18は、地図バッファ16から入力された地図データに基づいて、自車位置およびその周辺の地図の画像や、入力操作部8の操作によってユーザが指定した地点およびその周辺の地図の画像を表示するための描画処理として、地図描画データの生成を行うようになっている。
【0077】
地図描画部18には、表示処理部19が接続されており、この表示処理部19には、前述したディスプレイ11が接続されている。
【0078】
表示処理部19には、地図描画部18によって生成された地図描画データが入力されるようになっている。
【0079】
そして、表示処理部19は、地図描画部18から入力された地図描画データを、ディスプレイ11の表示画面上に表示する表示処理を行うようになっている。
【0080】
自車位置計算部14には、自車位置描画部20が接続されており、この自車位置描画部20には、前述した表示処理部19が接続されている。
【0081】
自車位置描画部20には、自車位置計算部14によって算出された自車位置の情報が入力されるようになっている。なお、この自車位置の情報は、自車位置計算部14によってマップマッチング処理が行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置の情報となる。
【0082】
自車位置描画部20は、自車位置計算部14から入力された自車位置の情報に基づいて、自車位置のマークを表示するための自車位置描画処理として、自車位置描画データの生成を行うようになっている。
【0083】
自車位置描画部20によって生成された自車位置描画データは、表示処理部19に入力されるようになっている。
【0084】
そして、表示処理部19は、自車位置描画部20から入力された自車位置描画データに基づいて、自車位置のマークを前述した自車位置および周辺の地図の画像上に重ねて表示するための表示処理を行うようになっている。
【0085】
入力操作部8、自車位置計算部14、地図読出制御部15および地図バッファ16には、ルート計算部22が接続されている。
【0086】
ルート計算部22は、自車位置計算部14によって算出された自車位置から、入力操作部8の入力操作によって指定された目的地までの推奨ルートを算出するためのルート計算を行うようになっている。
【0087】
ルート計算部22は、ルート計算の際に、地図読出制御部15を介してディスク読取装置7に地図データ(道路ネットワークデータ等)を読み取らせ、この読み取らせた地図データをルート計算に利用するようになっている。
【0088】
ルート計算部22および地図バッファ16には、案内画像描画部23が接続されており、この案内画像描画部23には、表示処理部19が接続されている。
【0089】
案内画像描画部23は、ルート計算部22によって算出された推奨ルートに基づいて、推奨ルートの画像や交差点拡大画像等の案内画像を表示するための案内画像描画処理として、案内画像描画データの生成を行うようになっている。
【0090】
案内画像描画データの生成には、必要に応じて地図バッファ16に格納された地図データが利用されるようになっている。
【0091】
ルート計算部22には、音声案内部24が接続されており、この音声案内部24には、前述したスピーカ12が接続されている。
【0092】
音声案内部24は、ルート計算部22によって算出された推奨ルートに基づいて、交差点右左折案内等の音声案内を行うための案内音声データを生成し、生成した案内音声データをスピーカ12に対して出力するようになっている。
【0093】
スピーカ12は、音声案内部24によって生成された音声データを音声出力するようになっている。
【0094】
そして、本実施形態における車載用ナビゲーション装置1は、ナビゲーションメインユニット2内に、ジャイロセンサ6の感度を、絶対傾斜角に応じて最適な状態に制御するためのジャイロ感度制御部26を有している。
【0095】
このジャイロ感度制御部26の入力側には、GPSレシーバ3、加速度センサ5およびジャイロセンサ6がそれぞれ接続されている。また、ジャイロ感度制御部26には、車速パルスが入力されるようになっている。
【0096】
一方、ジャイロ感度制御部26の出力側には、ジャイロセンサ6が接続されている。
【0097】
ジャイロ感度制御部26について詳述すると、このジャイロ感度制御部26は、図2に示すように、GPS高度型傾斜角計算手段としてのGPS高度型傾斜角計算部28を有しており、このGPS高度型傾斜角計算部28には、GPSレシーバ3から、GPSによる測位結果として、自車の絶対的な高度の情報が逐次入力されるようになっている。
【0098】
また、GPS高度型傾斜角計算部28には、車速パルスが逐次入力されるようになっている。
【0099】
そして、GPS高度型傾斜角計算部28は、GPSレシーバ3から入力された自車の絶対的な高度の情報と、車速パルスとに基づいて、自車の所定の走行距離あたりの自車の絶対的な高度の変化を示す次式の瞬間傾斜を計算するようになっている。
【0100】
θ=asin((h−h)/L) (1)
【0101】
ただし、(1)式において、θは、瞬間傾斜、hは、GPSによる今回の測位によって取得された自車の絶対的な高度、hは、GPSによる前回の測位によって取得された自車の絶対的な高度(h≠h)、Lは、GPSによる前回の測位から今回の測位までの間における自車の走行距離を示す。
【0102】
GPS高度型傾斜角計算部28は、(1)式に、GPSによる今回の測位が行われた地点に至るまでの自車の所定の走行距離(例えば、過去50m)の範囲内に存在する複数の地点でのGPSによる測位によって取得された複数のhの値と、これら複数のhの値にそれぞれ対応するLの値との組(h1i、L)(i:各地点を識別する地点番号)を、それぞれ代入するようになっている。
【0103】
これにより、GPS高度型傾斜角計算部28は、複数のθの値(瞬間傾斜)を計算するようになっている。
【0104】
これら複数のθの値は、GPSによる測位(前回の測位)が行われた各地点において順次算出するようにしてもよいし、GPSによる今回の測位がなされた地点においてまとめて算出するようにしてもよい。
【0105】
そして、GPS高度型傾斜角計算部28は、(1)式によって算出された前記複数のθの値の分散:σ(以下、同様)が小さい場合(例えば、2〔deg〕以下)には、これら複数のθの値の平均値(以下、GPS高度型第1段階平均値と称する)を計算するようになっている。
【0106】
次に、GPS高度型傾斜角計算部28は、前記複数のθの値のうち、前記GPS高度型第1段階平均値との差が大きい所定数(例えば2つ)のθの値を除外し、残りの複数のθの値の平均値(以下、GPS高度型第2段階平均値と称する)を計算するようになっている。
【0107】
そして、GPS高度型傾斜角計算部28は、前記GPS高度型第2段階平均値を、GPS高度型傾斜角と決定するようになっている。
【0108】
ジャイロ感度制御部26は、ドップラベクトル型傾斜角計算手段としてのドップラベクトル型傾斜角計算部29を有しており、このドップラベクトル型傾斜角計算部29には、GPSレシーバ3から、GPSによる測位結果として、3次元の速度ベクトルであるドップラベクトルが入力されるようになっている。
【0109】
そして、ドップラベクトル型傾斜角計算部29は、GPSレシーバ3から入力されたドップラベクトルから、自車の進行方向に対する自車の傾斜角の成分を取り出すようになっている。
【0110】
このドップラベクトル型傾斜角計算部29による傾斜角の取り出しは、GPSによる今回の測位が行われた地点を含めた自車の所定の走行距離(例えば、過去50m)の範囲内に存在する複数の地点でのGPSによる測位によって取得された複数のドップラベクトルに対して行われるようになっている。
【0111】
すなわち、ドップラベクトル型傾斜角計算部29は、前記複数のドップラベクトルからそれぞれ傾斜角を取り出すことによって、複数の傾斜角を取得するようになっている。
【0112】
これら複数の傾斜角の取り出しは、GPSによる測位(前回の測位)が行われた各地点において順次行うようにしてもよいし、GPSによる今回の測位がなされた地点においてまとめて行うようにしてもよい。
【0113】
そして、ドップラベクトル型傾斜角計算部29は、前記複数の傾斜角の分散:σ(以下、同様)が小さい場合(例えば、2〔deg〕以下)には、これら複数の傾斜角の平均値(以下、ドップラベクトル型第1段階平均値と称する)を計算するようになっている。
【0114】
次に、ドップラベクトル型傾斜角計算部29は、前記複数の傾斜角のうち、前記ドップラベクトル型第1段階平均値との差が大きい所定数(例えば2つ)の傾斜角を除外し、残りの複数の傾斜角の平均値(以下、ドップラベクトル型第2段階平均値と称する)を計算するようになっている。
【0115】
そして、ドップラベクトル型傾斜角計算部29は、前記ドップラベクトル型第2段階平均値を、ドップラベクトル型傾斜角と決定するようになっている。
【0116】
GPS高度型傾斜角計算部28およびドップラベクトル型傾斜角計算部29には、GPS傾斜角計算手段としてのGPS傾斜角計算部30が接続されている。
【0117】
このGPS傾斜角計算部30には、GPS高度型傾斜角計算部28によって算出されたGPS高度型傾斜角(GPS高度型第2段階平均値)と、ドップラベクトル型傾斜角計算部29によって算出されたドップラベクトル型傾斜角(ドップラベクトル型第2段階平均値)とがそれぞれ入力されるようになっている。
【0118】
そして、GPS傾斜角計算部30は、入力されたGPS高度型傾斜角と、ドップラベクトル型傾斜角とを総合的に判断して、これらの傾斜角に基づいてGPS傾斜角を計算するようになっている。
【0119】
なお、本実施形態において、GPS傾斜角計算部30は、次式によって、GPS傾斜角を計算するようになっている。
【0120】
θGPS=θ×k+θ×(1−k) (2)
【0121】
ただし、(2)式において、θGPSは、GPS傾斜角、θは、GPS高度型傾斜角、θは、ドップラベクトル型傾斜角、kは、GPS高度型傾斜角の使用割合(0≦k≦1)を示す。
【0122】
kの値は、例えば、次式のように規定してもよい。
【0123】
k=σ/(σ+σ) (2の2)
【0124】
そして、GPS傾斜角計算部30には、絶対傾斜角計算手段としての傾斜計算部32が接続されており、この傾斜計算部32には、GPS傾斜角計算部30によって算出されたGPS傾斜角が入力されるようになっている。
【0125】
さらに、傾斜計算部32には、加速度センサ5が接続されており、この加速度センサ5の出力値が、車速パルスとともに傾斜計算部32に逐次入力されるようになっている。なお、加速度センサ5の出力値は、自車の進行方向に対する自車の傾斜角度を、前の地点における傾斜角度からの相対的な変化として検出することができるものである。
【0126】
傾斜計算部32は、次式によって表される水平状態における加速度センサ5の出力値である水平時加速度センサ出力値を計算するようになっている。
【0127】
=VAVE−θGPS×加速度センサ感度 (3)
【0128】
ただし、(3)式において、Vは、水平時加速度センサ出力値、VAVEは、自車の所定の走行距離(例えば、GPSによる今回の測位がなされた地点までの自車の走行距離(例えば過去50m))あたりの加速度センサ5の出力値の平均値を示す。
【0129】
そして、傾斜計算部32は、次式によって、絶対傾斜角を計算するようになっている。
【0130】
Θ=V−V×加速度センサ感度 (4)
【0131】
ただし、(4)式において、Θは、絶対傾斜角、Vは、現在の加速度センサ5の出力値を示す。
【0132】
なお、(4)式において、右辺第2項の値は、理想的な加速度センサ5の出力値を示している。
【0133】
したがって、本実施形態においては、(1)〜(4)式によって、絶対傾斜角をきわめて高精度に算出することが可能となる。
【0134】
傾斜計算部32には、補正手段としてのジャイロ方位補正部33が接続されており、このジャイロ方位補正部33には、傾斜計算部32によって算出された絶対傾斜角が入力されるようになっている。
【0135】
そして、ジャイロ方位補正部33は、傾斜計算部32から入力された絶対傾斜角に基づいて、絶対傾斜角に応じたジャイロセンサ6の感度の補正を行うようになっている。
【0136】
本実施形態において、ジャイロ方位補正部33は、次式によって、絶対傾斜角に応じたジャイロセンサ6の感度の補正を行うようになっている。
【0137】
ジャイロ方位
=前回のジャイロ方位+今回の変化方位×1/cos(絶対傾斜角) (5)
【0138】
なお、(5)式において、1/cos(絶対傾斜角)は、ジャイロセンサ6の感度補正の補正値となる。
【0139】
ジャイロ方位補正部33には、前述したジャイロセンサ6が接続されており、このジャイロセンサ6には、ジャイロ方位補正部33による補正後のジャイロ方位の値が入力されるようになっている。
【0140】
ジャイロセンサ6は、入力されたジャイロ方位の値を、ナビゲーションメインユニット2に対して出力する自車の方位情報として設定するようになっている。
【0141】
したがって、本実施形態においては、(1)〜(4)によって高精度に算出された絶対傾斜角を用いてジャイロセンサ6の感度の補正を行うことができるため、自車の方位誤差を有効に低減することが可能となる。
【0142】
そして、このような補正が行われた後のジャイロセンサ6によって出力される自車方位の情報を用いることによって、自車位置を高精度に検出することが可能となり、また、マップマッチング処理を高精度に行うことが可能となる。
【0143】
次に、本実施形態における車載用ナビゲーション装置1の主たる作用について説明する。
【0144】
まず、図3のステップ1(ST1)においては、GPS高度型傾斜角を計算するためのGPS高度側1次サンプリングとして、GPS高度型傾斜角計算部28により、GPSレシーバ3および車速パルスを介して、自車の絶対的な高度(GPS高度)と、そのときの自車の走行距離とを抽出する。
【0145】
また、GPS高度側1次サンプリングにおいては、傾斜計算部32によって、自車の絶対的な高度が抽出されたときの加速度センサ5の出力値を抽出する。
【0146】
さらに、ステップ1(ST1)においては、ドップラベクトル型傾斜角を計算するためのドップラベクトル側サンプリングとして、ドップラベクトル型傾斜角計算部29により、GPSレシーバ3を介して、GPSによる測位が行われた各地点(走行地点)に対応する複数のドップラベクトルを順次取得するとともに、これら複数のドップラベクトルから複数の傾斜角をそれぞれ取り出す。
【0147】
また、ドップラベクトル側サンプリングにおいては、傾斜計算部32によって、ドップラベクトルが取得されたときの加速度センサ5の出力値を抽出する。
【0148】
なお、GPS高度側1次サンプリングにおける加速度センサ5の出力値の抽出と、ドップラベクトル側サンプリングにおける加速度センサ5の出力値の抽出とは、全く同じタイミングで行うのであれば、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。
【0149】
次いで、ステップ2(ST2)においては、GPS高度側2次サンプリングとして、GPS高度型傾斜角計算部28により、(1)式を用いた複数の瞬間傾斜(θ)の算出を行う。
【0150】
次いで、ステップ3(ST3)においては、GPS高度型傾斜角計算部28によって、ステップ2(ST2)において算出した複数の瞬間傾斜から、前述したGPS高度型第1段階平均値を算出し、次いで、このGPS高度型第1段階平均値から、GPS高度型傾斜角(GPS高度型第2段階平均値)を計算する。
【0151】
また、ステップ3(ST3)においては、ドップラベクトル型傾斜角計算部29によって、ステップ1(ST1)において取得された複数の傾斜角から、前述したドップラベクトル型第1段階平均値を算出し、次いで、このドップラベクトル型第1段階平均値から、ドップラベクトル型傾斜角(ドップラベクトル型第2段階平均値)を計算する。
【0152】
次いで、ステップ4(ST4)においては、GPS傾斜角計算部30により、ステップ3(ST3)において算出されたGPS高度型傾斜角とドップラベクトル型傾斜角とに基づいて、GPS傾斜角を(2)式を用いて計算する。
【0153】
次いで、ステップ5(ST5)においては、傾斜計算部32により、ステップ4(ST4)において算出されたGPS傾斜角と、ステップ1(ST1)におけるGPS高度側1次サンプリングまたはドップラベクトル側サンプリングにおいて抽出した加速度センサ5の出力値とに基づいて、水平時加速度センサ出力値を(3)式を用いて算出する。
【0154】
次いで、ステップ6(ST6)においては、傾斜計算部32により、ステップ5(ST5)において算出された水平時加速度センサ出力値に基づいて、絶対傾斜角を(4)式を用いて算出する。
【0155】
最後に、ステップ7(ST7)においては、ジャイロ方位補正部33により、ステップ6(ST6)において算出された絶対傾斜角に基づいて、ジャイロ方位を(5)式を用いて補正する。
【0156】
したがって、本実施形態によれば、ジャイロ方位補正部33により、傾斜計算部32によって高精度に算出された絶対傾斜角に応じたジャイロセンサ6の感度の補正を適正に行うことができる。
【0157】
この結果、傾斜を有する地点においても自車位置を高精度に検出することができ、ひいては、自車を目的地まで迅速かつ適切に案内することができる。
【0158】
特に、立体駐車場等の傾斜を有する場所を旋回しながら移動する場合においても、自車方位を正確に検出することができ、良好な自車位置精度を得ることができる。
【0159】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0160】
例えば、前記実施形態における絶対傾斜角は、GPSによる測位結果に基づいて、(1)〜(4)式を経て算出されたものであるが、これに限る必要はなく、GPSによる測位を安定的に行うことができる地域等においては、前述したGPS高度型傾斜角、ドップラベクトル型傾斜角またはGPS傾斜角を絶対傾斜角として、(5)式を用いた補正を行うようにしてもよい。この場合においても、絶対傾斜角に応じたジャイロセンサ6の感度補正を高精度に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明に係る車載用ナビゲーション装置1の実施形態を示すブロック図
【図2】本発明に係る車載用ナビゲーション装置1の実施形態において、ジャイロ感度制御部26の具体的な構成を示すブロック図
【図3】本発明に係る車載用ナビゲーション装置1の実施形態を示すフローチャート
【符号の説明】
【0162】
1 車載用ナビゲーション装置
3 GPSレシーバ
5 加速度センサ
6 ジャイロセンサ
28 GPS高度型傾斜角計算部
29 ドップラベクトル型傾斜角計算部
30 GPS傾斜角計算部
32 傾斜計算部
33 ジャイロ方位補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の方位を検出するジャイロセンサと、自車の進行方向に対する自車の傾斜角を検出する加速度センサとを備えた車載用ナビゲーション装置であって、
自車の進行方向に対する自車の絶対的な傾斜角度である絶対傾斜角を計算する絶対傾斜角計算手段と、
この絶対傾斜角計算手段によって算出された前記絶対傾斜角に応じた前記ジャイロセンサの感度の補正を行う補正手段と
を備えたことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記絶対傾斜角計算手段は、GPSによる測位結果に基づいて、前記絶対傾斜角を計算するように形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記絶対傾斜角計算手段は、自車の所定の走行距離あたりの前記GPSによって測位された自車の絶対的な高度の変化に基づいて、前記絶対傾斜角を計算するように形成されていること
を特徴とする請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記絶対傾斜角計算手段は、次式によって表される瞬間傾斜、
θ=asin((h−h)/L) (1)
ただし、
θ:瞬間傾斜
:GPSによる今回の測位によって取得された自車の絶対的な高度
:GPSによる前回の測位によって取得された自車の絶対的な高度
L:GPSによる前回の測位から今回の測位までの間における自車の走行距離
に基づいて、前記絶対傾斜角を計算するように形成されていること
を特徴とする請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
(1)式に、GPSによる今回の測位が行われた地点に至るまでの自車の所定の走行距離の範囲内に存在する複数の地点でのGPSによる測位によって取得された複数のhの値と、これら複数のhの値にそれぞれ対応する複数のLの値との組をそれぞれ代入することによって複数のθの値を算出し、この算出した複数のθの値を用いることによってGPS高度型傾斜角を計算するGPS高度型傾斜角計算手段を備え、
前記絶対傾斜角計算手段は、このGPS高度型傾斜角計算手段によって算出されたGPS高度型傾斜角に基づいて、前記絶対傾斜角を計算するように形成されていること
を特徴とする請求項4に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記GPS高度型傾斜角は、前記複数のθの値を用いることによって算出された平均値であること
を特徴とする請求項5に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記絶対傾斜角計算手段は、前記GPSによる測位によって取得された3次元の速度ベクトルであるドップラベクトルから取り出された自車の進行方向に対する自車の傾斜角に基づいて、前記絶対傾斜角を計算するように形成されていること
を特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記GPSによる今回の測位が行われた地点を含めた自車の所定の走行距離の範囲内に存在する複数の地点でのGPSによる測位によって取得された複数のドップラベクトルからそれぞれ取り出された複数の傾斜角を用いることによって、ドップラベクトル型傾斜角を計算するドップラベクトル型傾斜角計算手段を備え、
前記絶対傾斜角計算手段は、前記ドップラベクトル型傾斜角計算手段によって算出されたドップラベクトル型傾斜角に基づいて、前記絶対傾斜角を計算するように形成されていること
を特徴とする請求項7に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記ドップラベクトル型傾斜角は、前記複数のドップラベクトルからそれぞれ取り出された複数の傾斜角を用いることによって算出された平均値であること
を特徴とする請求項8に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記GPS高度型傾斜角および前記ドップラベクトル型傾斜角に基づいてGPS傾斜角を計算するGPS傾斜角計算手段を備え、
前記絶対傾斜角計算手段は、前記GPS傾斜角計算手段によって算出されたGPS傾斜角に基づいて、前記絶対傾斜角を計算するように形成されていること
を特徴とする請求項8または請求項9に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項11】
前記GPS傾斜角計算手段は、次式、
θGPS=θ×k+θ×(1−k) (2)
ただし、
θGPS:GPS傾斜角
θ:GPS高度型傾斜角
θ:ドップラベクトル型傾斜角
k:GPS高度型傾斜角の使用割合(0≦k≦1)
によって前記GPS傾斜角を計算するように形成されていること
を特徴とする請求項10に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項12】
前記絶対傾斜角計算手段は、次式によって表される水平状態における前記加速度センサの出力値である水平時加速度センサ出力値、
=VAVE−θGPS×加速度センサ感度 (3)
ただし、
:水平時加速度センサ出力値
AVE:自車の所定の走行距離あたりの加速度センサの出力値の平均値
を用いることによって前記絶対傾斜角を計算するように形成されていること
を特徴とする請求項10または請求項11に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項13】
前記絶対傾斜角計算手段は、次式、
Θ=V−V×加速度センサ感度 (4)
ただし、
Θ:絶対傾斜角
V:現在の加速度センサ出力値
によって、前記絶対傾斜角を計算するように形成されていることを特徴とする請求項12に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項14】
前記補正手段は、次式、
ジャイロ方位=
前回のジャイロ方位+今回の変化方位×1/cos(絶対傾斜角) (5)
によって、前記絶対傾斜角に応じたジャイロセンサの感度の補正を行うこと
を特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項15】
前記絶対傾斜角に応じたジャイロセンサの感度の補正を行った上で、自車位置を2次元の地図データにおける該当する道路上の位置に整合させるように補正するマップマッチング処理を行うこと
を特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−3206(P2007−3206A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180383(P2005−180383)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】