説明

進路予測方法及び進路予測装置並びに進路予測情報利用システム

【課題】 多種多様な条件に基づいて、移動体の進路の予測を行い、特に、ナビゲーション装置において目的地が設定されていない場合でも、分岐点における移動体の進路の予測を行う。
【解決手段】 ナビゲーション装置10が搭載された移動体が、分岐点に侵入することが予想された場合、移動体の過去の移動(走行)の履歴(分岐点交差履歴個人統計情報47、走行経路履歴個人統計情報48、目的地登録・利用履歴個人統計情報49)や、ユーザの現在の状況(ユーザTPO情報50)、分岐点における一般的な脱出進路の傾向(道路交通流量履歴社会統計情報23や分岐点交差履歴社会統計情報33)などの様々な条件を考慮して、分岐点における移動体の脱出進路を予測する。予測される分岐点の脱出進路は確率的に表現可能であり、また、予測結果を実際に移動体が選択する脱出進路とみなし、その脱出進路を取った場合に有用となる処理を、事前に行うことも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
移動体の移動方向や移動経路を予測するための進路予測方法及び進路予測装置並びに進路予測情報利用システムに関し、特に、移動体に付随するナビゲーション装置において、移動体の移動に基づいた情報を提供するための進路や経路の予測を行う進路予測方法及び進路予測装置並びに進路予測情報利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載装置、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)などには、音声や画像などによって、例えば、ユーザの現在位置から所望の目的地までの経路案内を行う経路案内機能(ナビゲーション機能)を搭載するものが存在している。こうした経路案内機能が搭載された装置では、GPS(Global Positioning System)などによって、ユーザの現在位置の座標情報(現在地情報)が取得され、この現在地情報に基づく経路案内が行われる。
【0003】
また、経路案内は、基本的に、ユーザによって目的地が設定された後、ユーザの現在地から、設定された目的地までの最適経路の計算、及び、計算された最適経路における誘導が行われる。したがって、経路案内は、目的地が設定され、目的地までの経路が算出された状況において行われるユーザへの情報提供サービスであるが、こうした目的地や目的地までの経路が設定されていない状況下でも、ユーザの移動に応じた情報を提供するための技術が存在している。
【0004】
例えば、下記の特許文献1には、ナビゲーション装置において、目的地が設定されない場合であっても、現在地及び進行方向に基づいて、利用者が向かっているエリア(予測目的エリア)を予測し、この予測目的エリアに関連する情報や、予測目的エリアまでの経路に関連する情報を、利用者に提供する技術が開示されている。また、この場合における予測目的エリアの算出方法としては、進行方向に向かって左右方向の所定角度内の座標領域を予測目的エリアとする進行方向優先モードと、走行中の道路の進行方向側の部分の道路沿線の所定幅を予測目的エリアとする走行道路優先モードとが存在する。
【特許文献1】特開2003−57049号公報(図2〜4、段落0031〜0040)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示されている技術によれば、目的地が設定されていない場合であっても、目的地が設定された場合と同様に、利用者に有益と予測される情報を提供することが可能となる。しかしながら、算出される予測目的エリアは、進行方向を中心とした扇状、又は、進行方向に基づく道路沿線であり、すなわち、現在地及び現在の進行方向に基づいて、簡単な予測が行われるに過ぎない。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明は、多種多様な条件に基づいて、移動体の進路の予測を行うための進路予測方法及び進路予測装置並びに進路予測情報利用システムを提供することを目的とし、特に、ナビゲーション装置において目的地が設定されていない場合でも、多種多様な条件に基づいて、交差点などの分岐点における移動体の進路の予測を行うための進路予測方法及び進路予測装置並びに進路予測情報利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によれば、移動体の進路を予測するための進路予測方法であって、
前記移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、
前記現在位置情報の蓄積によって把握される前記移動体の移動履歴を示す移動履歴統計情報を生成する移動履歴統計情報生成ステップと、
前記現在位置情報によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、前記移動履歴統計情報に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算ステップと、
前記進路予測計算ステップで予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示ステップとを、
有する進路予測方法が提供される。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明によれば、移動体の進路を予測するための進路予測方法であって、
一般的な移動体の進路及び交通流量を監視することが可能な所定の分岐点付近に設置されたプローブ装置による監視結果に基づいて算出される、前記所定の分岐点における前記一般的な移動体の進路傾向を含む交通履歴を示す分岐点交通情報を取得する分岐点交通情報取得ステップと、
前記移動体が前記所定の分岐点に進入する旨を把握する分岐点進入把握ステップと、
前記分岐点進入把握ステップで前記移動体が分岐点に進入することが把握された場合に、進入が予想される前記分岐点に係る前記分岐点交通情報に基づいて、前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算ステップと、
前記進路予測計算ステップで予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示ステップとを、
有する進路予測方法が提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、
前記現在位置情報の蓄積によって把握される前記移動体の移動履歴を示す移動履歴統計情報を生成する移動履歴統計情報生成ステップとを有し、
前記現在位置情報によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、前記進路予測計算ステップにおいて、前記移動履歴統計情報及び前記分岐点交通情報のいずれか一方又は両方に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の前記分岐点脱出進路を予測する進路予測方法が提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記移動履歴統計情報の移動履歴又は前記分岐点交通情報の交通履歴が時間情報と関連付けられており、前記進路予測計算ステップにおいて、各時間帯における前記移動履歴又は前記交通履歴を考慮して、前記移動体の前記分岐点脱出進路の予測を行う進路予測方法が提供される。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明によれば、移動体の進路を予測するための進路予測方法であって、
前記移動体に係るユーザの現在の状況を把握するためのユーザ状況把握ステップと、
前記移動体が前記所定の分岐点に進入する旨を把握する分岐点進入把握ステップとを有し、
前記分岐点進入把握ステップで前記移動体が分岐点に進入することが把握された場合に、前記ユーザの現在の状況に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算ステップと、
前記進路予測計算ステップで予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示ステップとを、
有する進路予測方法が提供される。
【0012】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記移動体に係るユーザの現在の状況を把握するためのユーザ状況把握ステップを有し、
前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、前記進路予測計算ステップにおいて、前記移動履歴統計情報、前記分岐点交通情報、前記ユーザの現在の状況のいずれか1つ又はそれらの組み合わせに基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の前記分岐点脱出進路を予測する進路予測方法が提供される。
【0013】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記進路予測計算ステップにおいて、進入が予想される前記分岐点における前記分岐点脱出進路ごとに、前記移動体が進み得る可能性を確率によって表現する進路予測方法が提供される。
【0014】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記現在位置情報取得ステップにおいて、座標ベースで前記現在位置情報を取得するとともに、前記移動履歴統計情報生成ステップにおいて、前記座標ベースで前記移動履歴統計情報を生成する進路予測方法が提供される。
【0015】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記現在位置情報取得ステップにおいて、分岐点ベースで前記現在位置情報、及び前記移動体の前記現在位置における進行方向情報を取得するとともに、前記移動履歴統計情報生成ステップにおいて、前記分岐点ベースで前記移動履歴統計情報を生成する進路予測方法が提供される。
【0016】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記現在位置情報取得ステップにおいて、リンクベースで前記現在位置情報、及び前記移動体の前記現在位置における進行方向情報を取得するとともに、前記移動履歴統計情報生成ステップにおいて、前記リンクベースで前記移動履歴統計情報を生成する進路予測方法が提供される。
【0017】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記現在位置情報取得ステップにおいて、地図セルベースで前記現在位置情報、及び前記移動体の前記現在位置における進行方向情報を取得するとともに、前記移動履歴統計情報生成ステップにおいて、前記地図セルベースで前記移動履歴統計情報を生成する進路予測方法が提供される。
【0018】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記進路予測計算ステップにおいて、逐次型の進路予測計算方法を利用して、その後の前記移動体が任意の到達場所までに至る確率を計算する進路予測方法が提供される。
【0019】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記予測進路提示ステップにおいて、前記移動体が任意の到達場所までに至る確率を、文字、前記現在位置から前記任意の到達場所までの道路の色階調、前記現在位置から前記任意の到達場所までの道路の太さのいずれか1つ又はこれらの組み合わせによって表現する進路予測方法が提供される。
【0020】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記進路予測計算ステップにおいて、連文型の進路予測計算方法を利用して、その後の前記移動体が任意の到達場所までに至る確率を計算する進路予測方法が提供される。
【0021】
さらに、本発明によれば、上記発明に加えて、前記予測進路提示ステップにおいて、前記移動体が前記任意の到達場所までに至る確率を、360度ベクトル確率表現、2次元空間における確率分布表現、3次元空間における確率分布表現のいずれか1つ又はこれらの組み合わせによって表現する進路予測方法が提供される。
【0022】
また、上記目的を達成するため、本発明によれば、移動体の進路を予測するための進路予測装置であって、
前記移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、
前記現在位置情報の蓄積によって把握される移動体の移動履歴を示す移動履歴統計情報を生成する移動履歴統計情報生成手段と、
前記現在位置情報によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、前記移動履歴統計情報に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算手段と、
前記進路予測計算手段で予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示手段とを、
有する進路予測装置が提供される。
【0023】
また、上記目的を達成するため、本発明によれば、移動体の進路を予測するための進路予測装置であって、
前記移動体が所定の分岐点に進入する旨を把握する分岐点進入把握手段と、
一般的な移動体の進路及び交通流量を監視することが可能な前記所定の分岐点付近に設置されたプローブ装置による監視結果に基づいて算出される、前記所定の分岐点における前記一般的な移動体の進路傾向を含む交通履歴を示す分岐点交通情報を取得する分岐点交通情報取得手段と、
前記分岐点進入把握手段によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、進入が予想される前記分岐点に係る前記分岐点交通情報に基づいて、前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算手段と、
前記進路予測計算手段で予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示手段とを、
有する進路予測装置が提供される。
【0024】
また、上記目的を達成するため、本発明によれば、移動体の進路を予測するための進路予測装置であって、
前記移動体が所定の分岐点に進入する旨を把握する分岐点進入把握手段と、
前記移動体に係るユーザの現在の状況を把握するためのユーザ状況把握手段と、
前記分岐点進入把握手段によって前記移動体が分岐点に進入することが把握された場合に、前記ユーザの現在の状況に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算手段と、
前記進路予測計算手段で予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示手段とを、
有する進路予測装置が提供される。
【0025】
また、上記目的を達成するため、本発明によれば、自身の現在位置を示す現在位置情報を取得することが可能な移動体の前記現在位置情報によって、前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測装置と、前記移動体における移動案内を行い、前記移動体に搭載されているナビゲーション装置とにより構成されている進路予測情報利用システムであって、
前記進路予測装置によって予測された前記移動体の前記分岐点脱出進路を含む進路予測情報が、前記ナビゲーション装置に供給され、前記ナビゲーション装置によって、前記移動体が前記予測された前記分岐点脱出進路に進む場合を想定した情報の報知が行われるように構成されている進路予測情報利用システムが提供される。
【0026】
また、上記目的を達成するため、本発明によれば、自身の現在位置を示す現在位置情報を取得することが可能な移動体の前記現在位置情報によって、前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測装置と、前記移動体における無線通信に係る通信ハンドオーバの制御を行うハンドオーバ制御装置とにより構成されている進路予測情報利用システムであって、
前記進路予測装置によって予測された前記移動体の前記分岐点脱出進路を含む進路予測情報が、前記ハンドオーバ制御装置に供給され、前記ハンドオーバ制御装置によって、前記移動体が前記予測された前記分岐点脱出進路に進む場合を想定した次の通信ハンドオーバに係る事前準備が行えるように構成されている進路予測情報利用システムが提供される。
【0027】
また、上記目的を達成するため、本発明によれば、複数の移動体のそれぞれが有する進路予測装置であって、自身の現在位置を示す現在位置情報を取得することが可能な移動体の前記現在位置情報によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する前記進路予測装置と、道路交通流量の予測を行うことが可能な道路交通予測装置とにより構成されている進路予測情報利用システムであって、
複数の移動体のそれぞれが有する前記進路予測装置によって予測された前記複数の移動体のそれぞれに関する前記分岐点脱出進路を含む進路予測情報が、前記道路交通予測装置に供給され、前記道路交通予測装置によって、複数の前記進路予測情報に基づく前記道路交通流量の予測が行われるように構成されている進路予測情報利用システムが提供される。
【0028】
また、上記目的を達成するため、本発明によれば、複数の移動体のそれぞれが有する進路予測装置であって、前記複数の移動体のそれぞれの進路を予測する進路予測装置と、前記複数の移動体のそれぞれ行動履歴を収集することが可能な行動履歴収集装置とにより構成されている進路予測情報利用システムであって、
所定の移動体に係る前記進路予測装置によって前記進路の予測が行われた場合に、前記所定の移動体に係る予測された進路上における前記行動履歴を参照して、前記予測された進路上に存在する店舗の広告を前記所定の移動体に配信するように構成されている進路予測情報利用システムが提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の進路予測方法及び進路予測装置並びに進路予測情報利用システムは、上述の構成を有しており、多種多様な条件に基づいて、移動体の進路の予測を行い、特に、ナビゲーション装置において目的地が設定されていない場合でも、多種多様な条件に基づいて、分岐点における移動体の進路の予測を行うとともに、このようにして予測された移動体の進路予測結果を様々なシステムにおいて利用できるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る進路予測情報の生成過程を模式的に示すシステム全体の構成図である。図1には、ナビゲーション装置10、道路交通情報プローブ装置20、分岐点交通情報プローブ装置30、進路予測装置40が図示されている。以下、ナビゲーション装置10、道路交通情報プローブ装置20、分岐点交通情報プローブ装置30、進路予測装置40について、順に説明する。
【0031】
まず、ナビゲーション装置10について説明する。ナビゲーション装置10は、移動体の移動案内機能を有している。なお、本明細書において、移動体とは、ナビゲーション装置(車載ナビゲーション装置、ナビゲーション機能付き携帯電話機やナビゲーション機能付きPDAなどのモバイル通信機器付きのモバイル情報端末など)10を所有し、これを伴って主体性を持って移動する物体と定義する。すなわち、移動体は、主に、上述のモバイル情報端末を所有する人間や、その他のオブジェクト(ナビゲーション装置10が設置された移動可能な車両自体など)を指すものとする。
【0032】
また、本明細書において、ナビゲーション装置10によって提供される移動案内とは、移動体が目的地(移動体が向かおうとする目的地点)へ移動する行動を支援するサービスと定義する。この移動案内の基本サービスとしては、提案・案内・状態把握などがあり、例えば、目的地までの提案、目的地までの経路案内、目的地が動的に変化する状況の表示案内、さらには、同様のナビゲーション装置10を所有する相手との通信を行うことが可能な場合には、相手の状況(現在の状態(位置、行動)、過去の状態(位置履歴、行動履歴)、将来の状態(予定位置、行動予定)、自分との相対状態(距離、相違点、影響刺激))の表示案内などが提供される。
【0033】
図1に示すナビゲーション装置10は、移動体の移動案内機能を有しており、現在位置測位部11、走行経路記録部12、目的地設定部13、目的地経路計算部14、ナビゲーション情報格納部15を有している。現在位置測位部11は、移動体の現在位置を測位する処理部である。具体的には、GPS、車速パルス、ジャイロセンサを利用して自律的に現在位置を測位し、この測位結果を現在位置情報16として、他に公開する機能を有している。なお、ここでは、現在位置測位部11によって生成された現在位置情報16は、ナビゲーション情報格納部15に対して出力され、格納されるものとする。また、現在位置情報16や目的地情報18などの位置を特定するための情報としては、緯度/経度などの測位座標が利用可能であり、さらには、この測位座標に基づく住所などを利用することも可能である。
【0034】
また、走行経路記録部12は、現在位置測位部11が出力する現在位置情報16を参照し、現在位置情報16をプロットした位置の軌跡(移動体の移動に係る軌跡)に基づいて、今までの走行経路を記録する処理部である。なお、移動体の移動に係る軌跡の記録によって、移動体が今までに走行した経路が把握できるだけでなく、移動体が現在進行している進行方向に係る情報(進行方向情報17)も把握可能である。また、ここでは、走行経路記録部12によって生成された進行方向情報17は、ナビゲーション情報格納部15に対して出力され、格納されるものとする。
【0035】
なお、本明細書において、進行方向情報17とは、緯度/経度や東西南北の方位などによって特定される移動体の進行方向を示すベクトル情報と定義する。また、進行方向情報17として、地面に平行な面内のベクトル情報だけではなく、地面に対する上下角(仰角)をさらに含んでもよい。
【0036】
また、目的地設定部13は、移動体が到着予定とする目的地の設定を行う処理部である。なお、目的地は、移動体(ユーザ)自らが入力設定できるほか、上述のように、移動案内によって提案されたり、相手(他のユーザ)との通信を通じて相手によって設定されたりできるようにしてもよい。なお、ここでは、目的地設定部13によって生成された目的地情報18は、ナビゲーション情報格納部15に対して出力され、格納されるものとする。
【0037】
また、目的地経路計算部14は、目的地設定部13によって設定された目的地情報18を参照して、この目的地までの経路リンク情報、経路コスト情報、他の推薦経路などを計算する処理部である。
【0038】
また、ナビゲーション情報格納部15は、上述の現在位置情報16、進行方向情報17、目的地情報18などの各種の情報や、移動案内に必要な地図情報(不図示)、所定の場所の施設・店舗情報(不図示)、移動案内用のプログラム情報(不図示)などを格納するための記憶媒体を模式的に表すものである。なお、このナビゲーション情報格納部15は、ナビゲーション装置10に搭載されているハードディスク、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などによって実現可能であり、特に、上述の現在位置情報16、進行方向情報17、目的地情報18は、書き換え可能な記憶媒体に格納されることが望ましい。
【0039】
次に、道路交通情報プローブ装置20について説明する。道路交通情報プローブ装置20は、社会環境(具体的には、路側)に設置されており、道路交通情報を収集し、提供するための装置であり、主に、道路交通に渋滞が生じた場合などの交通障害状況(例外状況)を監視し、交通障害状況の発生時に、これをセンタ(不図示)に通知する機能を有している。交通障害状況の発生通知を受けたセンタは、これを道路交通情報として、FM多重放送、電波ビーコン、光ビーコンなどを利用して、移動体にリアルタイムで提供することが可能である。なお、この道路交通情報プローブ装置20は、例えば、既存のVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)の一部であり、道路交通情報プローブ装置20が、道路交通情報を収集したい各主要箇所に配置される。
【0040】
図1に示す道路交通情報プローブ装置20は、上述の道路交通情報の収集・提供機能を模式的に表しており、道路交通流量測定部21、道路交通情報格納部22を有している。道路交通流量測定部21は、道路を走行している車などの移動体をカメラや赤外線センサで監視し、道路交通流量を測定するユニットであり、道路交通流量測定部21によって測定された道路交通流量から、上述の交通障害状況などが導出可能である。なお、ここでは、道路交通流量測定部21によって測定された道路交通情報(現在の道路交通流量、現在の道路渋滞状況、現在の道路事故状況などの道路交通に係る情報)は、道路交通情報格納部22に対して出力され、格納及び蓄積されるものとする。
【0041】
また、道路交通情報格納部22は、上述のように、道路交通流量測定部21からの道路交通情報を格納し、蓄積する記憶媒体である。道路交通情報を履歴化して統計化することによって、道路交通情報に渋滞する時間に係る情報や事故の発生率に係る情報を含む道路交通流量履歴社会統計情報23を生成することが可能であり、図1では、模式的に、道路交通情報格納部22に道路交通流量履歴社会統計情報23が格納されている様子が図示されている。なお、道路交通情報を統計化して道路交通流量履歴社会統計情報23を生成する作業は、例えば、不図示のセンタなどによって行われる。
【0042】
また、分岐点交通情報プローブ装置30は、特に、分岐点(三叉路以上)に設置されていることを特徴とする道路交通情報プローブ装置20であり、すなわち、道路交通情報プローブ装置20のサブセットである。分岐点交通情報プローブ装置30は、特に、分岐点における道路交通流量(以下、分岐点における道路交通流量を分岐点交差流量と呼ぶ)や移動体の進路(右折、左折直進など)に係る道路交通情報(以下、分岐点における道路交通情報を分岐点交通情報と呼ぶ)を収集し、提供するための装置である。また、分岐点交通情報プローブ装置30は、道路交通情報プローブ装置20と同様に、分岐点交差流量を測定する分岐点交通情報測定部31と、分岐点交通情報(又は、分岐点交通情報が統計化された分岐点交差履歴社会統計情報33)を格納する分岐点交通情報格納部32とを有している。なお、分岐点交差履歴社会統計情報33は、分岐点の通過における道路交通流量履歴社会統計情報23であり、分岐点における時間別の進路脱出傾向、分岐点において渋滞する時間帯、分岐点における事故の発生率なども含まれている。
【0043】
次に、進路予測装置40について説明する。進路予測装置40は、多種多様な条件に基づいて、移動体の進路の予測を行うための装置であり、特に、ナビゲーション装置10において目的地が設定されていない場合でも、移動体の過去の行動(自分の過去の行動又は他の移動体の過去の行動)や移動体の現在の状況などに基づいて、分岐点における移動体の進路の予測を行うことが可能な装置である。なお、この進路予測装置40の設置場所は任意であり、例えば、ナビゲーション装置10と同一の装置(同一のCPU(Central Processing Unit:中央制御処理装置))、ナビゲーション装置10とは異なる移動体内の装置、ユーザの自宅などに設置されたコンピュータ、所定のネットワーク上に存在するサーバなどによって実現可能である。
【0044】
図1に示す進路予測装置40は、個人統計情報生成部41、個人統計的予測部42、社会統計的予測部43、ユーザTPO設定部44、分岐点交差方向予測部45、個人交通情報格納部46を有している。
【0045】
個人統計情報生成部41は、ナビゲーション装置10によって生成されたナビゲーション情報(現在位置情報16、進行方向情報17、目的地情報18など)を参照して、分岐点交差履歴個人統計情報47、走行経路履歴個人統計情報48、目的地登録・利用履歴個人統計情報49を生成する処理部である。
【0046】
分岐点交差履歴個人統計情報47は、各分岐点又は分岐点全般において、移動体(ユーザ)が分岐点の通過する際の時間別の進路脱出傾向や、事故の発生率などを含む統計情報であり、すなわち、所定の分岐点又は分岐点全般に係るユーザ行動の履歴である。また、走行経路履歴個人統計情報48は、移動体(ユーザ)の走行履歴(移動履歴)を含む統計情報であり、すなわち、各道路や各分岐点などの走行頻度や走行時間帯、走行状況(速度など)の履歴である。また、目的地登録・利用履歴個人統計情報49は、移動体のナビゲーション装置10において、設定された目的地に係る履歴(目的地の場所や設定回数など)や、ナビゲーション装置10に登録された登録地点に係る情報を含む統計情報である。なお、ここでは、個人統計情報生成部42によって生成された分岐点交差履歴個人統計情報47、走行経路履歴個人統計情報48、目的地登録・利用履歴個人統計情報49は、個人交通情報格納部46に対して出力され、格納及び蓄積されるものとする。
【0047】
また、ユーザTPO設定部44は、時間(Time)、場所(Place)、場合(Occasion)を考慮した現在の状況を把握し、その把握結果(現在の状況)を出力することが可能な処理部である。すなわち、ユーザTPO設定部44は、ユーザの現在の状況を示すユーザTPO情報50を生成することが可能である。なお、ユーザTPO設定部44が、時間、場所、場合を考慮したユーザの現在の状況を把握する方法は任意であり、各種センサによってユーザの行動を監視して把握したり、ユーザにスケジュール(行動予定)を直接入力してもらうことによって把握したりすることが可能である。
【0048】
なお、ここでは、ユーザTPO設定部44によって生成されたユーザTPO情報50が、個人交通情報格納部46に対して出力され、格納されるように図示されているが、例えば、ユーザTPO設定部44に対して、必要な情報(移動体の現在位置や時間などに係る情報)と共にユーザTPO情報50の生成要求がリアルタイムで供給され、この生成要求に応じて、ユーザTPO設定部44がユーザTPO情報50の生成を行うようにしてもよい。
【0049】
また、個人統計的予測部42は、個人交通情報格納部46に格納されている個人交通情報(分岐点交差履歴個人統計情報47、走行経路履歴個人統計情報48、目的地登録・利用履歴個人統計情報49、ユーザTPO情報50などのうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせ)を参照して、これらの複数の個人的な統計情報の統合化を行い、ユーザの個人的な統計情報に基づく、分岐点における進路の予測結果を出力する処理部である。一方、社会統計的予測部43は、個人統計的予測部42とは対照的に、一般的な(社会的な)傾向が反映された道路交通流量履歴社会統計情報23及び分岐点交差履歴社会統計情報33のいずれか一方又は両方を参照し、これらの複数の社会的な統計情報に基づいて、分岐点における進路の予測結果を出力する処理部である。
【0050】
また、分岐点交差方向予測部45は、上述の個人統計的予測部42及び社会統計的予測部43の少なくとも一方からの出力結果を受けて、分岐点における進路の最終予測結果に係る情報(進路予測情報)を出力する処理部である。この分岐点交差方向予測部45では、個人統計的予測部42及び社会統計的予測部43の両方から供給される予測結果の統合化や、進路の予測に係る様々な表現態様(確率的な表現による進路の可能性の表現や、最も可能性の高い進路のみを特定)による進路予測情報の生成などが行われる。
【0051】
また、個人交通情報格納部46は、上述のように、分岐点交差履歴個人統計情報47、走行経路履歴個人統計情報48、目的地登録・利用履歴個人統計情報49、ユーザTPO情報50などの個人交通情報を格納するための記憶媒体を模式的に表すものである。
【0052】
なお、図1に示す進路予測装置40の内部構成から分かるように、進路予測情報は、個人統計的予測や社会統計的予測の結果に基づいて生成される。個人統計的予測は、3つの個人統計情報(分岐点交差履歴個人統計情報47、走行経路履歴個人統計情報48、目的地登録・利用履歴個人統計情報49)及びユーザTPO情報50の少なくとも1つを参照することによって可能となり、社会統計的予測は、2つの社会統計情報(道路交通流量履歴社会統計情報23や分岐点交差履歴社会統計情報33)の少なくとも一方を参照することによって可能となる。すなわち、進路予測情報は、3つの個人統計情報、ユーザTPO情報50、2つの社会統計情報のいずれか1つ又はそれらの組み合わせに基づいて生成される。
【0053】
次に、図1に示す進路予測装置40における動作の概要について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る進路予測方法における動作の概要を示すフローチャートである。まず、個人統計情報生成部41は、ナビゲーション装置10において生成されたナビゲーション情報(現在位置情報16、進行方向情報17、目的地情報18など)を取得して、このナビゲーション情報から、個人統計情報(分岐点交差履歴個人統計情報47、走行経路履歴個人統計情報48、目的地登録・利用履歴個人統計情報49)を生成する(ステップS201:個人統計情報生成部による個人統計情報の生成)。なお。この個人統計情報は、移動体の移動に伴って時々刻々と変化する現在位置情報16や進行方向情報17などの情報を反映させるために、常に又は定期的に生成されることが望ましい。
【0054】
また、ユーザTPO設定部44では、ユーザの現在の状況を示すユーザTPO情報50の生成が行われる(ステップS203:ユーザTPO設定部によるユーザTPO情報の生成)。なお、本実施の形態では、あらかじめユーザTPO情報50が生成されて、個人交通情報格納部46に格納され、個人統計的予測部42が、個人交通情報格納部46にあらかじめ格納されたユーザTPO情報50を参照する態様について説明するが、例えば、進路予測情報の生成開始のタイミング(具体的には、例えば、後述のステップS205)で、必要なユーザTPO情報50が生成されるようにしてもよい。
【0055】
ステップS203までの処理に基づく状態において、例えば、ナビゲーション装置10に目的地の設定がされておらず、かつ、移動中の移動体が分岐点に接近した場合について説明する。例えば、現在位置情報16と地図データとから、移動体が分岐点に接近することが把握される(ステップS205:分岐点に接近?(現在位置情報の確認))。なお、移動体が分岐点に接近しているか否かは、ナビゲーション装置10において判断可能であるが、進路予測装置40やその他の装置において判断することも可能である。また、移動体自体が、現在位置情報16を取得する機能を有する装置を備える必要はなく、例えば、分岐点付近に設置されている装置や他の移動体から、分岐点に接近している旨を示す通知を受信することによって、当該移動体が分岐点に接近している旨を把握することも可能である。
【0056】
例えば、ナビゲーション装置10が、移動体が分岐点に接近していることを検出した場合、その旨を通知する情報が進路予測装置40に送られ、進路予測装置40において、分岐点における進路予測情報の生成が行われる。具体的には、個人統計情報やユーザTPO情報50を参照して、このユーザに固有の過去の行動パターンや現在の状況などから、この分岐点における脱出進路の傾向を解析する個人統計的予測(ステップS207:個人統計情報、ユーザTPO情報を参照して、個人統計的予測を行う)や、道路交通流量履歴社会統計情報23や分岐点交差履歴社会統計情報33(社会統計情報)を参照して、この分岐点における脱出進路の一般的傾向を解析する社会統計的予測(ステップS209:社会統計情報を参照して、社会統計的予測を行う)の結果に基づいて、分岐点交差方向予測部45によって、この分岐点における進路予測情報の生成及び出力が行われる(ステップS211:分岐点における進路予測情報を生成、出力)。
【0057】
図3は、本発明の実施の形態に係る進路予測装置によって生成される進路予測情報の内容を模式的に示す図である。なお、ここでは、ナビゲーション装置10において目的地(及び目的地までの経路(案内経路))が設定されていない場合に、移動体が、A地点を通過して分岐点(十字路)に接近する例が図示されている。移動体が分岐点に接近すると、図2を用いて説明した各動作によって、分岐点における進路の予測が行われ、最終的に、進路予測装置40から進路予測情報が出力される。
【0058】
分岐点における進路の予測結果の表現方法は、様々なものが考えられるが、例えば、図3に示すように確率的な表現によって、「左折(70%)、直進(20%)、右折(10%)」のように進路の可能性を示したり、さらに、上述の確率が最も高いものを選択して、予測される進路=「左折」と決定したりすることも可能である。
【0059】
また、この分岐点における進路の予測結果と、移動体による実際の分岐点における脱出進路とが、例えば、個人統計的予測部42に戻されることにより、個人統計的予測部42において学習が行われ、より精度の高い進路の予測が行われるようにすることも可能である。これにより、進路予測情報の信頼性(正確性)が向上される。
【0060】
以下、より具体的に、上述の情報のそれぞれに基づいた進路の予測に係るアルゴリズムについて説明する。3つの個人統計情報は、この移動体の移動や利用などの過去の履歴に係る統計情報であり、例えば、この移動体が過去に通った経路、過去に取った分岐点の進路、時間帯や曜日などによる経路・進路の傾向などを示している。すなわち、個人統計的予測部42は、3つの個人統計情報から、個人的な経験則によって、分岐点における進路の予測が可能となる。また、2つの社会統計情報は、他の多数の移動体に係る経路・進路の一般的な傾向などを示しており、社会統計的予測部43は、2つの社会統計情報から、社会的な経験則によって、分岐点における進路の予測が可能となる。
【0061】
一方、ユーザTPO情報50は、移動体の移動に係る現在の状況(例えば、現在日時、周辺施設の配置や時間帯、現在位置に移動体が存在していることの意味や目的)を総合的に表すための情報である。したがって、個人統計的予測部42は、このユーザTPO情報50から、例えば、ユーザが何を目的として、どの方向に向かおうとしているのか、スケジュールとのずれが生じてないかなどを把握し、分岐点における進路の予測が可能となる。
【0062】
なお、例えば、移動体が普段からよく通る分岐点に接近している場合には、個人統計情報やユーザTPO情報50に基づく進路の予測が有用であり、また、移動体が過去に通ったことのない分岐点に接近している場合には、社会統計情報やユーザTPO情報50に基づく進路の予測が有用であると言える。
【0063】
次に、進路予測装置40によって生成された進路予測情報の利用に係る態様について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る進路予測装置によって生成された進路予測情報の利用に係る態様を説明するための模式図であり、図4(A)は、進路予測情報に基づいて、ナビゲーション装置が、予測される進路に関連した情報をユーザに提供する態様を示す模式図、図4(B)は、進路予測情報に基づいて、ハンドオーバ制御装置が、移動体の通信ハンドオーバ先を予測する態様を示す模式図、図4(C)は、多数の移動体に係る進路予測情報に基づいて、渋滞予測装置が道路交通流量の予測を行う態様を示す模式図である。
【0064】
図4(A)に示すように、例えば、進路予測装置40からナビゲーション装置10に対して、進路予測情報の通知が行われるように構成することによって、ナビゲーション装置10は、目的地や案内経路が設定されていない状態であっても、予測される進路に係る道路交通情報やその他の案内情報を、報知手段(画像情報を表示する表示手段や、音声情報を出力する音声出力手段)61を介して、ユーザに提供することが可能となる。すなわち、ナビゲーション装置10は、ユーザに対して、進路予測情報に基づいて、予測される進路における交通障害状況や、予測される進路となる道路沿いに存在する施設・店舗などの情報(広告情報)、予測される進路方向の天候情報などを、優先的かつ詳細に報知することが可能となる。
【0065】
また、図4(B)に示すように、例えば、進路予測装置40からハンドオーバ制御装置70に対して、進路予測情報の通知が行われるように構成することによって、ハンドオーバ制御装置70は、目的地や案内経路が設定されていない状態であっても、移動体の無線通信における次のハンドオーバ地点や、次の接続基地局を予測することが可能となり、ハンドオーバ前の早期の段階でハンドオーバに係る処理準備を行って、迅速かつシームレスな通信ハンドオーバを実現することが可能となる。ただし、ハンドオーバ制御装置70は、移動体の現在位置付近の基地局の配置(さらに詳細には、各基地局の通信セルの配置)やその他の情報(例えば、基地局のID)を把握する必要があり、例えば、通信セルの配置が地図データにマッピングされた所定の通信セル配置データベース71を参照できるようにすることが望ましい。なお、ハンドオーバ制御装置70や通信セル配置データベース71は、任意の位置に配置可能であり、例えば、当該移動体又は他の移動体内、ネットワーク上などに配置可能である。
【0066】
また、図4(C)に示すように、複数の移動体のそれぞれが進路予測装置40を有している場合において、各移動体のそれぞれの進路予測情報を集約することによって、大局的な見地による複数の移動体の移動経路の予測を行い、さらには、渋滞の予測(渋滞予測情報の生成)を行えるようにすることが可能となる。これは、例えば、各移動体で生成された進路予測情報が、渋滞予測装置90に通知され、渋滞予測装置90が、各移動体の予測される進路から将来的な道路交通流量を分析することによって実現可能である。この道路交通流量の予測分析結果は、例えば、移動体において、近々発生することが予想される渋滞の警告として報知され、これによって、移動体は、渋滞に巻き込まれる前に、迂回道路の選択などの渋滞回避行動を行うことが可能となる。なお、図4(C)に図示されている渋滞予測装置90は、任意の位置に配置可能であり、例えば、当該移動体又は他の移動体内、ネットワーク上などに配置可能である。
【0067】
また、図4(C)では、各移動体がそれぞれの通信手段81を介して、集中制御型の渋滞予測装置90に接続するとともに進路予測情報の通知を行う構成が図示されているが、例えば、複数の移動体が相互にP2P(Peer-to-Peer)通信を行ったり、アドホックネットワークを形成したりすることによって、複数の移動体が、各移動体の予測される進路を共有できるようにすることも可能である。また、特に、分岐点に接近している移動体同士で、予測される進路を相互に連絡し合い、進路が分散されるように(異なる進路を取るように)交渉を行って、交渉によって定められた進路を各移動体における好適な進路とすることにより、分岐点における局所的な道路交通流量の分散が実現され、ひいては、大局的な道路交通流量の分散化や渋滞の抑制・解消などが実現可能となる。
【0068】
また、上述の本発明の実施の形態を利用して、各ユーザの移動履歴に加えて、行動履歴(例えば、客が物品を購入した(若しくは立ち寄った)地点などに関する情報)を取得してデータベース化することも可能である。そして、進路予測装置を含むシステムが、移動体の予測される進路に加えて、各ユーザの又は一般的な行動履歴や、各ユーザの又は一般的な嗜好情報などを利用することで、利用者が店舗間を移動する経路を予測し、この予測される経路の途中に存在する店舗に係る広告を効率良く配信することも可能となる。
【0069】
次に、本発明の実施の形態に係る好適な動作の具体例について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る好適な動作の具体例を示すフローチャートである。なお、図5のフローチャートは、移動体の予測される進路をユーザに提示するための処理が示されている。
【0070】
移動体の予測される進路を提示するために、進路予測装置では、移動履歴統計情報の生成処理(ステップS501)がバックプロセスとして動作している。この移動履歴統計情報の生成処理では、例えば、移動体の現在位置情報と、移動体の現在の進行方向に係る情報とを取得して、これらの情報から移動履歴統計情報が生成される。なお、この移動履歴統計情報の生成処理は、移動体が移動している間、随時定期的に行われることが望ましい。
【0071】
一方、移動履歴統計情報の生成処理に並列して、例えば、予測される進路が必要となった場合に、移動体の予測される進路の計算処理(ステップS502)が行われる。この移動体の予測される進路の計算処理では、例えば、移動体の現在位置情報の取得、移動履歴統計情報の参照、移動体の現在の進行方向に係る情報の取得、予測される進路の計算の各処理が行われ、この進路の計算結果が、移動体の進路予測情報として出力される(ステップS503)。
【0072】
なお、移動体の予測される進路の計算処理に関しても、移動履歴統計情報の生成処理と同様に、バックプロセスとして動作させることが可能である。この場合には、移動体が移動している間、予測される進路の計算が随時定期的に行われ、その計算結果が進路予測情報としてキャッシュされることで、進路予測装置は、進路予測情報が必要となった場合に、高速にキャッシュ内から進路予測情報を取得できるようになる。
【0073】
次に、本発明において利用される、上述の移動体全般における移動履歴統計情報(道路交通流量履歴社会統計情報23及び分岐点交差履歴社会統計情報33)や特定の移動体における移動履歴統計情報(分岐点交差履歴個人統計情報47及び走行経路履歴個人統計情報48)の収集方法について説明する。以下、移動履歴統計情報の収集方法として、4つのモデルを例示する。なお、下記の4つのモデルによって収集された移動履歴統計情報は、移動体の進路の予測を行う際の基データとして利用可能である。
【0074】
(座標軌跡モデル) 図6は、本発明において利用される移動履歴統計情報の収集方法の一例である座標軌跡モデルを説明するための図であり、図6(A)は、移動体の所定の時間間隔ごとの移動体の位置座標及び進行方向を示す座標プロット点の一例を示す図であり、図6(B)は、移動体の位置座標(例えば経度及び緯度表記)及び進行方向(例えば真北方向を基準として時計回り方向の角度)の時系列情報の一例を示す図である。図6(A)及び図6(B)に図示されているように、移動体の各時刻における位置座標及び進行方向を収集して、移動履歴統計情報とすることが可能である。
【0075】
なお、上記の座標軌跡モデルの応用として、ショッピングモールやデパートの商品棚、店舗区画、レジなどを座標プロット点として表現し、客が購入した(立ち寄った)地点をプローブ情報として取り扱うことで、利用者の店舗間移動の経路予測を行うことも可能である。これにより、例えば利用者のユーザ嗜好などが更に考慮され、利用者の途中経路上の店舗が利用者に対して広告配信を行うことが可能となる。
【0076】
(分岐点通過モデル)
また、図7は、本発明において利用される移動履歴統計情報の収集方法の一例である分岐点通過モデルを説明するための図であり、図7(A)は、所定の分岐点(交差点)において、地点Aを進入口とする移動体の脱出経路及び脱出回数の一例を示す図であり、図7(B)は、地点A〜Dのそれぞれを進入口及び脱出口とする組み合わせの頻出回数の一例を示す図である。図7(A)及び図7(B)に図示されているように、各分岐点における移動体の進入口及び脱出口の組み合わせの頻出回数を収集して、移動履歴統計情報とすることが可能である。なお、図7(A)及び図7(B)において表されている各組み合わせの頻出回数を、割り合いによって表すことも可能である。
【0077】
(リンクリスト通過モデル)
また、図8は、本発明において利用される移動履歴統計情報の収集方法の一例であるリンクリスト通過モデルを説明するための図であり、図8(A)は、所定の分岐点(交差点)間のリンク(すなわち、分岐点間を接続する道路)において、地点A及び地点Bに関連するリンク通過回数の一例を示す図であり、図8(B)は、地点Aと地点Bとを結ぶリンクに係る通過回数の一例を示す図である。図8(A)及び図8(B)に図示されているように、各リンクにおける移動体の通過方向の頻出回数を収集して、移動履歴統計情報とすることが可能である。なお、図8(A)及び図8(B)において表されている各組み合わせの頻出回数を、割り合いによって表すことも可能である。
【0078】
(セル通過モデル)
また、図9は、本発明において利用される移動履歴統計情報の収集方法の一例であるセル通過モデルを説明するための図であり、図9(A)は、所定のセル(地図を格子状に区切った場合に移動体の現在位置を含む領域)において、移動体の進行方向が真北方向の場合の移動体の脱出セルに係る脱出回数の一例を示す図であり、図9(B)は、移動体の進行方向のそれぞれと脱出セルとの組み合わせに係る頻出回数の一例を示す図である。図9(A)及び図9(B)に図示されているように、例えば、移動体の進行方向(図9(A)には真北方向の場合を図示)に対する脱出セルの組み合わせの頻出回数を収集して、移動履歴統計情報とすることが可能である。
【0079】
なお、図9(B)における前後左右は、移動体の進行方向を基準とするものであり、例えば、進行方向が斜め45°(北東方向)の場合の前セルは、現在位置から北東方向に存在するセルである。また、図9の例では分解能を45°とし、進行方向に対して8方向の脱出セルを考えているため、移動履歴統計情報は、1つのセルに対して8×8のデータによって表現されるが、より細かな分解能としてもよく、また、例えば90°に最適化(すなわち、4×4のテーブルで表現)してもよい。
【0080】
上述の4つのモデルのそれぞれにより、移動体の位置、分岐点、リンク、セルに基づいて、移動体の移動履歴統計情報が構成される。これらの各モデルに関する移動履歴統計情報の数値や構造は異なるものの、基本的には、同一内容の移動履歴統計情報である。
【0081】
次に、本発明において利用される、上述の進路予測計算方法について説明する。以下、進路予測計算方法として、2つの方法(逐次型及び連文型)を例示する。
【0082】
(逐次型:単一計算)
本発明に係る進路予測計算方法として、逐次型の進路予測計算方法を利用することが可能である。この逐次型の進路予測計算方法は、移動体の現在位置及び進行方向を取得し、その現在位置及び進行方向に関連する移動履歴統計情報を用いて、移動体の進路を段階的に予測していく方法である。
【0083】
具体的には、例えば移動履歴統計情報が図7に図示されている分岐点通過モデルの場合には、まず、移動体の現在位置及び進行方向を取得して、最初に進入する分岐点を特定し、その分岐点において各脱出口に向かう確率を求める。続いて、各脱出口を通過して次に進入する各分岐点を求め、同様にその分岐点において各脱出口に向かう確率を求める。このような計算を逐次繰り返し行うことによって、移動体が任意の場所に到達する確率が計算でき、移動体が最も到達しそうな場所の予測も行うことが可能となる。なお、移動体が任意の場所に到達する確率は、現在位置からその場所までに到達する各ルートに係る確率(各分岐点における確率の積)の和によって表すことが可能である。
【0084】
また、本発明に係る逐次型の進路予測計算方法の進路予測結果として求められた確率の値(あるいはレベル(確率の値の範囲を示す情報))を単に文字で表現するだけではなく、例えば、現在位置から任意の場所までを結ぶ道路の色階調や太さなどによって表現することで、本発明に係る逐次型の進路予測計算方法の進路予測結果を視覚的かつ直感的に表現することが可能である。
【0085】
(連文型:行列計算)
一方、本発明に係る進路予測計算方法として、連文型の進路予測計算方法を利用することも可能である。この連文型の進路予測計算方法は、任意の場所(あるいは方向)を定め、移動体の現在位置と、その任意の場所とを結ぶルートに関連する移動履歴統計情報を行列の要素として、逆行列計算を行うことによって、所定時間経過後又は所定距離走行後などにおける移動体の存在位置の確率分布の予測を行う方法である。
【0086】
図10は、本発明に係る連文型の進路予測計算方法によって得られる移動体の進行方向の予測結果の一例を示す図である。なお、図10では、移動体の現在位置を中心として360度のベクトルの確率表現が表されている。また、図10では、分解能が22.5°(すなわち、現在位置を中心とする円を16分にする)の場合の予測結果が図示されているが、任意の分解能を設定することが可能である。
【0087】
図10に図示されているように、連文型の進路予測計算方法によれば、例えば、移動体が、移動体から所定の距離(移動体の現在位置を中心として等距離)だけ離れた任意の場所に到達する確率を、移動履歴予測情報の逆行列計算によって一気に求めることが可能である。その結果、所定時間経過後又は所定距離走行後などにおける移動体の存在位置の確率分布予測を代数計算によって比較的容易に求めることが可能となる。
【0088】
また、図11は、本発明に係る連文型の進路予測計算方法によって得られる移動体の進行方向の予測結果の表現方法の一例を示す図であり、図11(A)は、3D(3次元)表現の一例を示す図であり、図11(B)は、2D(2次元)表現の一例を示す図である。
【0089】
本発明に係る連文型の進路予測計算方法によれば、所定時間経過後又は所定距離走行後などにおける移動体の任意の場所への到達確率が得られるため、その到達確率をマッピングすることによって、移動体の所定時間経過後又は所定距離走行後などにおける存在確率を、視覚的かつ直感的に把握可能な状態で表現することが可能である。すなわち、図11(A)に図示されているように、移動体の所定時間経過後又は所定距離走行後などにおける到達確率を高さとした3D表現としたり、図11(B)に図示されているように、上記の3D表現における高さを等高線による2D表現としたりすることによって、ユーザが容易に把握可能な状態で、到達確率の表現を行うことが可能である。なお、図11(A)には、移動体の現在位置を中心とした全方位のうちの90°(1/4)分のみの3D表現が図示されている。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明によれば、多種多様な条件に基づいて、移動体の進路の予測を行い、特に、ナビゲーション装置において目的地が設定されていない場合でも、多種多様な条件に基づいて、分岐点における移動体の進路の予測を行うという効果を有する進路予測方法及び進路予測装置並びに進路予測情報利用システムが提供され、移動体の移動方向や移動経路を予測し、特に、移動体に付随するナビゲーション装置において、移動体の移動に基づいた情報を提供するための進路や経路の予測を行うための技術分野や、移動体の近々に取り得る進路情報を利用する技術分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態に係る進路予測情報の生成過程を模式的に示すシステム全体の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る進路予測方法における動作の概要を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る進路予測装置によって生成される進路予測情報の内容を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る進路予測装置によって生成された進路予測情報の利用に係る態様を説明するための模式図であり、(A)は、進路予測情報に基づいて、ナビゲーション装置が、予測される進路に関連した情報をユーザに提供する態様を示す模式図、(B)は、進路予測情報に基づいて、ハンドオーバ制御装置が、移動体の通信ハンドオーバ先を予測する態様を示す模式図、(C)は、多数の移動体に係る進路予測情報に基づいて、渋滞予測装置が道路交通流量の予測を行う態様を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る好適な動作の具体例を示すフローチャートである。
【図6】本発明において利用される移動履歴統計情報の収集方法の一例である座標軌跡モデルを説明するための図であり、(A)は、移動体の所定の時間間隔ごとの移動体の位置座標及び進行方向を示す座標プロット点の一例を示す図、(B)は、移動体の位置座標(例えば経度及び緯度表記)及び進行方向(例えば真北方向を基準として時計回り方向の角度)の時系列情報の一例を示す図である。
【図7】本発明において利用される移動履歴統計情報の収集方法の一例である分岐点通過モデルを説明するための図であり、(A)は、所定の分岐点(交差点)において、地点Aを進入口とする移動体の脱出経路及び脱出回数の一例を示す図であり、(B)は、地点A〜Dのそれぞれを進入口及び脱出口とする組み合わせの頻出回数の一例を示す図である。
【図8】本発明において利用される移動履歴統計情報の収集方法の一例であるリンクリスト通過モデルを説明するための図であり、(A)は、所定の分岐点(交差点)間のリンク(すなわち、分岐点間を接続する道路)において、地点A及び地点Bに関連するリンク通過回数の一例を示す図であり、(B)は、地点Aと地点Bとを結ぶリンクに係る通過回数の一例を示す図である。
【図9】本発明において利用される移動履歴統計情報の収集方法の一例であるセル通過モデルを説明するための図であり、(A)は、所定のセル(地図を格子状に区切った場合に移動体の現在位置を含む領域)において、移動体の進行方向が真北方向の場合の移動体の脱出セルに係る脱出回数の一例を示す図であり、(B)は、移動体の進行方向のそれぞれと脱出セルとの組み合わせに係る頻出回数の一例を示す図である。
【図10】本発明に係る連文型の進路予測計算方法によって得られる移動体の進行方向の予測結果の一例を示す図である。
【図11】本発明に係る連文型の進路予測計算方法によって得られる移動体の進行方向の予測結果の表現方法の一例を示す図であり、(A)は、3D(3次元)表現の一例を示す図であり、(B)は、2D(2次元)表現の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
10 ナビゲーション装置
11 現在位置測位部
12 走行経路記録部
13 目的地設定部
14 目的地経路計算部
15 ナビゲーション情報格納部
16 現在位置情報
17 進行方向情報
18 目的地情報
20 道路交通情報プローブ装置
21 道路交通流量測定部
22 道路交通情報格納部
23 道路交通流量履歴社会統計情報
30 分岐点交通情報プローブ装置
31 分岐点交通情報測定部
32 分岐点交通情報格納部
33 分岐点交差履歴社会統計情報
40 進路予測装置
41 個人統計情報生成部
42 個人統計的予測部
43 社会統計的予測部
44 ユーザTPO設定部
45 分岐点交差方向予測部
46 個人交通情報格納部
47 分岐点交差履歴個人統計情報
48 走行経路履歴個人統計情報
49 目的地登録・利用履歴個人統計情報
50 ユーザTPO情報
61 報知手段
70 ハンドオーバ制御装置
71 通信セル配置データベース
81 通信手段
90 渋滞予測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の進路を予測するための進路予測方法であって、
前記移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、
前記現在位置情報の蓄積によって把握される前記移動体の移動履歴を示す移動履歴統計情報を生成する移動履歴統計情報生成ステップと、
前記現在位置情報によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、前記移動履歴統計情報に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算ステップと、
前記進路予測計算ステップで予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示ステップとを、
有する進路予測方法。
【請求項2】
移動体の進路を予測するための進路予測方法であって、
一般的な移動体の進路及び交通流量を監視することが可能な所定の分岐点付近に設置されたプローブ装置による監視結果に基づいて算出される、前記所定の分岐点における前記一般的な移動体の進路傾向を含む交通履歴を示す分岐点交通情報を取得する分岐点交通情報取得ステップと、
前記移動体が前記所定の分岐点に進入する旨を把握する分岐点進入把握ステップと、
前記分岐点進入把握ステップで前記移動体が分岐点に進入することが把握された場合に、進入が予想される前記分岐点に係る前記分岐点交通情報に基づいて、前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算ステップと、
前記進路予測計算ステップで予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示ステップとを、
有する進路予測方法。
【請求項3】
前記移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、
前記現在位置情報の蓄積によって把握される前記移動体の移動履歴を示す移動履歴統計情報を生成する移動履歴統計情報生成ステップとを有し、
前記現在位置情報によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、前記進路予測計算ステップにおいて、前記移動履歴統計情報及び前記分岐点交通情報のいずれか一方又は両方に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の前記分岐点脱出進路を予測する請求項2に記載の進路予測方法。
【請求項4】
前記移動履歴統計情報の移動履歴又は前記分岐点交通情報の交通履歴が時間情報と関連付けられており、前記進路予測計算ステップにおいて、各時間帯における前記移動履歴又は前記交通履歴を考慮して、前記移動体の前記分岐点脱出進路の予測を行う請求項1又は3に記載の進路予測方法。
【請求項5】
移動体の進路を予測するための進路予測方法であって、
前記移動体に係るユーザの現在の状況を把握するためのユーザ状況把握ステップと、
前記移動体が前記所定の分岐点に進入する旨を把握する分岐点進入把握ステップとを有し、
前記分岐点進入把握ステップで前記移動体が分岐点に進入することが把握された場合に、前記ユーザの現在の状況に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算ステップと、
前記進路予測計算ステップで予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示ステップとを、
有する進路予測方法。
【請求項6】
前記移動体に係るユーザの現在の状況を把握するためのユーザ状況把握ステップを有し、
前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、前記進路予測計算ステップにおいて、前記移動履歴統計情報、前記分岐点交通情報、前記ユーザの現在の状況のいずれか1つ又はそれらの組み合わせに基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の前記分岐点脱出進路を予測する請求項1から4のいずれか1つに記載の進路予測方法。
【請求項7】
前記進路予測計算ステップにおいて、進入が予想される前記分岐点における前記分岐点脱出進路ごとに、前記移動体が進み得る可能性を確率によって表現する請求項1から6のいずれか1つに記載の進路予測方法。
【請求項8】
前記現在位置情報取得ステップにおいて、座標ベースで前記現在位置情報を取得するとともに、前記移動履歴統計情報生成ステップにおいて、前記座標ベースで前記移動履歴統計情報を生成する請求項1又は3に記載の進路予測方法。
【請求項9】
前記現在位置情報取得ステップにおいて、分岐点ベースで前記現在位置情報、及び前記移動体の前記現在位置における進行方向情報を取得するとともに、前記移動履歴統計情報生成ステップにおいて、前記分岐点ベースで前記移動履歴統計情報を生成する請求項1又は3に記載の進路予測方法。
【請求項10】
前記現在位置情報取得ステップにおいて、リンクベースで前記現在位置情報、及び前記移動体の前記現在位置における進行方向情報を取得するとともに、前記移動履歴統計情報生成ステップにおいて、前記リンクベースで前記移動履歴統計情報を生成する請求項1又は3に記載の進路予測方法。
【請求項11】
前記現在位置情報取得ステップにおいて、地図セルベースで前記現在位置情報、及び前記移動体の前記現在位置における進行方向情報を取得するとともに、前記移動履歴統計情報生成ステップにおいて、前記地図セルベースで前記移動履歴統計情報を生成する請求項1又は3に記載の進路予測方法。
【請求項12】
前記進路予測計算ステップにおいて、逐次型の進路予測計算方法を利用して、その後の前記移動体が任意の到達場所までに至る確率を計算する請求項1から11のいずれか1つに記載の進路予測方法。
【請求項13】
前記予測進路提示ステップにおいて、前記移動体が任意の到達場所までに至る確率を、文字、前記現在位置から前記任意の到達場所までの道路の色階調、前記現在位置から前記任意の到達場所までの道路の太さのいずれか1つ又はこれらの組み合わせによって表現する請求項11に記載の進路予測方法。
【請求項14】
前記進路予測計算ステップにおいて、連文型の進路予測計算方法を利用して、その後の前記移動体が任意の到達場所までに至る確率を計算する請求項1から11のいずれか1つに記載の進路予測方法。
【請求項15】
前記予測進路提示ステップにおいて、前記移動体が前記任意の到達場所までに至る確率を、360度ベクトル確率表現、2次元空間における確率分布表現、3次元空間における確率分布表現のいずれか1つ又はこれらの組み合わせによって表現する請求項14に記載の進路予測方法。
【請求項16】
移動体の進路を予測するための進路予測装置であって、
前記移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、
前記現在位置情報の蓄積によって把握される移動体の移動履歴を示す移動履歴統計情報を生成する移動履歴統計情報生成手段と、
前記現在位置情報によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、前記移動履歴統計情報に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算手段と、
前記進路予測計算手段で予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示手段とを、
有する進路予測装置。
【請求項17】
移動体の進路を予測するための進路予測装置であって、
前記移動体が所定の分岐点に進入する旨を把握する分岐点進入把握手段と、
一般的な移動体の進路及び交通流量を監視することが可能な前記所定の分岐点付近に設置されたプローブ装置による監視結果に基づいて算出される、前記所定の分岐点における前記一般的な移動体の進路傾向を含む交通履歴を示す分岐点交通情報を取得する分岐点交通情報取得手段と、
前記分岐点進入把握手段によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、進入が予想される前記分岐点に係る前記分岐点交通情報に基づいて、前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算手段と、
前記進路予測計算手段で予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示手段とを、
有する進路予測装置。
【請求項18】
移動体の進路を予測するための進路予測装置であって、
前記移動体が所定の分岐点に進入する旨を把握する分岐点進入把握手段と、
前記移動体に係るユーザの現在の状況を把握するためのユーザ状況把握手段と、
前記分岐点進入把握手段によって前記移動体が分岐点に進入することが把握された場合に、前記ユーザの現在の状況に基づいて、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測計算手段と、
前記進路予測計算手段で予測した前記分岐点脱出進路を提示する予測進路提示手段とを、
有する進路予測装置。
【請求項19】
自身の現在位置を示す現在位置情報を取得することが可能な移動体の前記現在位置情報によって、前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測装置と、前記移動体における移動案内を行い、前記移動体に搭載されているナビゲーション装置とにより構成されている進路予測情報利用システムであって、
前記進路予測装置によって予測された前記移動体の前記分岐点脱出進路を含む進路予測情報が、前記ナビゲーション装置に供給され、前記ナビゲーション装置によって、前記移動体が前記予測された前記分岐点脱出進路に進む場合を想定した情報の報知が行われるように構成されている進路予測情報利用システム。
【請求項20】
自身の現在位置を示す現在位置情報を取得することが可能な移動体の前記現在位置情報によって、前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する進路予測装置と、前記移動体における無線通信に係る通信ハンドオーバの制御を行うハンドオーバ制御装置とにより構成されている進路予測情報利用システムであって、
前記進路予測装置によって予測された前記移動体の前記分岐点脱出進路を含む進路予測情報が、前記ハンドオーバ制御装置に供給され、前記ハンドオーバ制御装置によって、前記移動体が前記予測された前記分岐点脱出進路に進む場合を想定した次の通信ハンドオーバに係る事前準備が行えるように構成されている進路予測情報利用システム。
【請求項21】
複数の移動体のそれぞれが有する進路予測装置であって、自身の現在位置を示す現在位置情報を取得することが可能な移動体の前記現在位置情報によって前記移動体が分岐点に進入することが予想される場合に、進入が予想される前記分岐点における前記移動体の分岐点脱出進路を予測する前記進路予測装置と、道路交通流量の予測を行うことが可能な道路交通予測装置とにより構成されている進路予測情報利用システムであって、
複数の移動体のそれぞれが有する前記進路予測装置によって予測された前記複数の移動体のそれぞれに関する前記分岐点脱出進路を含む進路予測情報が、前記道路交通予測装置に供給され、前記道路交通予測装置によって、複数の前記進路予測情報に基づく前記道路交通流量の予測が行われるように構成されている進路予測情報利用システム。
【請求項22】
複数の移動体のそれぞれが有する進路予測装置であって、前記複数の移動体のそれぞれの進路を予測する前記進路予測装置と、前記複数の移動体のそれぞれの行動履歴を収集することが可能な行動履歴収集装置とにより構成されている進路予測情報利用システムであって、
所定の移動体に係る前記進路予測装置によって前記進路の予測が行われた場合に、前記所定の移動体に係る予測された進路上における前記行動履歴を参照して、前記予測された進路上に存在する店舗の広告を前記所定の移動体に配信するように構成されている進路予測情報利用システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−284254(P2006−284254A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101946(P2005−101946)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】