説明

道路標識表示装置

【課題】異国の道路標識の内容を翻訳し認識が容易な状態で運転者に通知する。
【解決手段】車両が走行している地域の道路標識と、運転者の母国における道路標識とを対応させて記憶している各国標識データベース103bを備え、カメラ113又は地図データベース102から経路案内処理部101により抽出した道路標識を、各国標識データベース103bで照合して、運転者の母国の道路標識に翻訳して表示装置114に表示する。この際、母国の道路標識に対応する意味の道路標識がない場合には、同等の意味となるように、母国の道路標識を組み合わせて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路標識表示装置にかかり、母国語圏以外の地域を走行する際に、運転者に道路標識の内容を母国の道路標識で表示する道路標識表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者は、走行中に道路標識を認識し、その内容に基づき走行経路の状況や法規上の制限などを理解する。しかし、車両の走行速度が速い場合や、後続車両などの周囲の走行状態に意識を向けている場合などでは、道路標識を見落とす場合もある。
また、運転者が母国以外の地域を走行している場合には、道路標識が母国の標識と異なるため、走行中に標識を視認できたとしても、瞬時に標識の内容を正確に把握することは困難な場合がある。
そこで、特許文献1のように、車両に搭載されたカメラの撮影画像から道路標識を認識し、音声や文字表示などにより運転者にその内容を通知する装置が提案されている。一方、特許文献2のように、母国以外の地域を走行している場合においては、道路標識を撮像画像等から認識し、その道路標識と同じ意味を有する母国の道路標識を表示装置に表示する装置が提案されている。
【特許文献1】特開平5−174294号
【特許文献2】特開2006−156261号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の装置では、道路標識情報を文字情報として運転者に標識の内容が表示されるため、運転中の運転者は、画面に表示された文字情報を読む必要があり、視線の移動に伴い前方不注意となる可能性があり、安全上問題がある。また、道路標識情報を音声で通知する場合には、運転者は、出力された音声を最後まで聴き取る必要があるため、通知内容を理解するまでに時間がかかる。
また、特許文献2に記載の装置では、母国の道路標識に対応する道路標識がない場合には、その意味を文字情報で表示する構成となっており、特許文献1と同様に安全上の問題がある。
【0004】
本発明の目的は、上記事実に鑑みて成されたものであり、異国の道路標識の内容を翻訳し認識が容易な状態で運転者に通知することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
(1) 車両の進行方向に位置する道路標識の視覚情報を取得する標識情報取得手段と、
車両が位置する国における道路標識の視覚情報を蓄積した第1の記憶手段と、
運転者の母国における道路標識の視覚情報を蓄積した第2の記憶手段と、
前記標識情報取得手段により取得された視覚情報に対応する意味を有する母国の道路標識が存在するかを判定する道路標識判定手段と、
前記道路標識判定手段によって、母国の道路標識が存在しないと判定された場合には、第2の記憶装置に記録されている道路標識の視覚情報を複数組み合わせて、前記取得された視覚情報に対応する意味を有する視覚情報を生成する視覚情報生成手段と、
前記視覚情報生成手段で生成された視覚情報を表示する表示手段とを有することを特徴とする道路標識表示装置。
【0006】
(2) 前記標識情報取得手段は、
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
道路標識の位置と視覚情報を含む地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
前記現在位置取得手段によって取得された位置情報に基づき、進行方向に位置する道路標識を、前記地図情報記憶装置に記憶された地図情報から検索する道路標識検索手段とを有する上記(1)に記載の道路標識表示装置。
【0007】
(3) 前記標識情報取得手段は、
更に、車両の外側の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された画像から道路標識の視覚情報を抽出する道路標識抽出手段とを有する上記(1)又は(2)に記載の道路標識表示装置。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、取得した標識情報が第1の記憶装置に記録されている場合には、これに対応する母国の道路標識が第2の記憶装置に記録されているか判断し、記録されていない場合には、第2の記録装置に記録された母国の道路標識を組み合わせて、取得された道路標識に対応する意味を有する視覚情報を生成し、これを表示する。これにより、運転者は、母国の道路標識の組み合わせにより、外部の取得された道路標識の意味を直感的に理解することができ、文字情報を読解し、或いは音声情報を聴くために、意識を運転操作以外に割く時間を短縮することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、現在位置に基づき、地図情報から検索することにより道路標識に関する情報を取得する。このため、街路樹や車高の高い前方車両の陰になって視認できない道路標識や、霧や雨などの悪天候、暗がりなどの外部環境の変化により視認することが困難となった道路標識についても、確実に認識することができる。
請求項3記載の発明によれば、撮像手段により取得された画像から実際の道路標識の視覚情報を抽出するので、現実に存在する道路標識に基づいて、道路標識の内容を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の道路標識表示装置において、好適実施形態について、図1〜図5に参照しつつ、詳細に説明する。
(1)本実施形態の概要
本実施形態では、ナビゲーションシステムを搭載する車両において、走行中に道路標識に関する情報をカメラにより取得し、或いはナビゲーションシステムに記憶されている情報から検索し、該道路標識を運転者へ対して表示する。
【0011】
この際、車両の走行領域が、運転者の母国でない場合には、取得した道路標識を、母国の道路標識に変更して表示する。また、対応する道路標識が母国の道路標識として存在しない場合には、母国の道路標識を組み合わせて表示することで、取得された道路標識の意味と同様の意味を表示する。
【0012】
また、複数の道路標識を取得した場合には、所定の優先順位に基づいて表示する順番を決定し、道路標識を表示装置にする。例えば、取得された道路標識の中に規制標識が存在する場合には、これを最優先で表示し、規制違反を未然に抑制する。さらに、車両の走行速度や、ウインカー、車両の大きさ(車幅、車高など)を取得し、道路標識の表示する条件に合致している場合、例えば、制限速度を表示した道路標識を取得した場合に、走行速度が制限速度以内である場合、車幅制限を示す道路標識を取得して、車幅が制限幅以内であった場合など、あえて表示を行なわない。また、進入禁止の道路標識を取得して、車両が進入し、或いは進入しそうになった場合、右折禁止の道路標識を取得して、左ウインカーが作動している場合には、報知手段によって報知を行なう。
【0013】
(2)実施形態の詳細
図1は、車両に搭載される道路標識表示装置1の構成を示すブロック図である。道路標識表示装置1は、経路案内処理部101と、地図データベース102と、案内優先順位判定部103と、道路標識位置データベース103aと、各国標識データベース103bと、標識表示優先度データベース103cと、表示履歴記憶部103dと、道路標識認識処理部104と、マッチング用道路標識パターンデータベース104aと、現在位置検出手段としてのGPS(全地球測位システム:Global Positioning System)111と、車両情報検出部112と、撮像手段としてのカメラ113と、表示装置114と、音声出力装置115とを備えている。
【0014】
経路案内処理部101は、CPUからなる処理部、経路探索処理等を行なうプログラム格納するプログラム格納部、ワーキングエリアとしてのRAM等を備えている。経路案内処理部101は、地図データベース102から取得したデータ及びGPS111から取得したデータに基づいて、経路探索、道路標識に関するデータの抽出等を行なう。経路案内処理部101によって、道路標識検索手段が構成される。
【0015】
地図データベース102は、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスクドライブ装置等の大容量記憶媒体が使用され、交差点データファイル、道路データファイル、ノードデータファイルのそれぞれが格納された、交差点データ、道路データ、ノードデータからなる道路網データが格納されている。地図データベース102によって、地図情報記憶手段が構成される。
案内優先順位判定部103は、複数の道路標識が取得された場合に、表示装置114に道路標識を表示する順番を決定する。この順番は、標識表示優先度データベースに記録されている優先順位(0〜9:優先度は、0が最も高く、9が最も低い)を決定するデータテーブル(図2参照)に基づいて決定される。また表示履歴データベースは、過去に表示した道路標識の内容及び時刻、位置を記録している。
【0016】
道路標識位置データベース103aは、道路標識の位置データ、各標識の属性(例えば、規制標識、指示標識、警戒標識の何れであるか否か?/車両の状態にする制限事項:例えば、制限時速、車高制限、車幅制限/車両の挙動に対する制限事項:例えば、進入禁止、左折又は右折禁止、一時停止、ユーターン禁止、追越禁止、駐停車禁止/歩行者に対して注意を喚起する歩行者注意事項:例えば、この先横断歩道、スクールゾーン/その他の注意を喚起する注意事項:例えば、踏切、工事中、落石注意など)が含まれる。なお、記憶されている道路標識には、路面に表示されている道路標識も含まれている。
【0017】
各国標識データベース103bには、各国における道路標識が記憶されており、道路標識の視覚情報、及び、内容が記録され、それぞれ同様の内容を有する道路標識毎に関連付けられて記憶されている。例えば、図3に示されているように、一国の道路標識に対して、同様の意味を有する他国の道路標識を抽出できるように対応付けられて記憶されている。
道路標識認識処理部104は、車両の外側へ向けて設けられているカメラ113から供給される画像から、道路標識の画像を抽出する。カメラ113によって撮像手段が構成される。そして、抽出した画像と、マッチング用道路標識パターンデータベース104aに記録されている道路標識パターンと比較し、抽出した道路標識画像ともっとも近似しているパターンを、抽出した道路標識として案内優先順位判定部103へ供給する。道路標識認識処理部104により、道路標識抽出手段が構成される。
【0018】
GPS111は、車両の現在位置情報を取得して、経路案内処理部101へ、取得した情報を供給する。GPS111によって、現在位置取得手段が構成される。車両情報検出部112は、車両の走行速度を検出する車速センサ、操舵角度を検出するステアリングセンサ、ウインカーのオン状態を検出するウインカーセンサ、アクセルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ、ブレーキの踏み込みを検出するブレーキセンサ、ヘッドライトのオン状態を検出するライトセンサ、ワイパーのオン状態を検出するワイパーセンサを備え、さらに、車幅、車高、車両の前後幅、車両重量、車種、排気量等の車両情報を記憶する車両情報記憶部を備えている。
【0019】
車両情報検出部112からは、走行速度、操舵角度、ウインカーのオン状態、アクセル踏み込み量、ブレーキの踏み込み、ヘッドライトのオン状態、ワイパーのオン状態、車幅、車高、車両の前後幅、車両重量、車種、排気量が、経路案内処理部101を介して、案内優先順位判定部103へ供給される。
表示装置114は、例えば、液晶表示画面で構成され、取得された道路標識に対して、母国の標識に翻訳された標識が表示され、また、案内優先順位判定部103によって順位が並べ替えられて順に表示される。表示装置114によって表示手段が構成される。音声出力装置115には、経路案内処理部101から供給される経路案内情報が音声で出力され、また、表示装置114に表示される道路標識に示す規制に違反した場合、或いは違反することが予想される場合に、音声を出力し、注意を喚起する。表示装置114又は音声出力装置115によって、報知手段が構成される。
【0020】
上記のように構成された道路標識表示装置1の処理内容について、図4に示されているフローチャートに基づき説明する。
初期設定値を参照する(ステップS101)。運転者が設定した母国語(例えば、日本語)、及び車体情報(例えば、車幅、車高、車体全長、車種、重量など)車体情報は、車両情報検出部112から取得する。また、母国語は、運転者が予め入力したデータに基づき決定される。GPS111から、現在位置データを取得し、車両の位置する場所がどの地域(国)に属するか否か判断する(ステップS103)。
【0021】
ステップS101で確認した運転者の母国と、ステップS103で取得した車両の位置する国が異なるか否か判定する(ステップS105)。異なる場合には、翻訳変換フラグをオンとし(ステップS107)、同一である場合には、翻訳変換フラグをオフとする(ステップS109)。
そして、カメラ113から画像データを取り込む(ステップS111)。さらに、地図データベース102を参照する(ステップS113)。抽出される道路標識は、運転者の視覚で把握できる程度の距離であり、例えば、200〜50m程度前方の範囲内に存在する道路標識である。この抽出する範囲及び車両から該範囲までの距離は、車両の速度に応じて変更され、速度が速くなるに従って該範囲および距離が共に長くなり、遅くなるに従って短くなるように設定される。地図データベース102から道路標識の情報を抽出して取得する方式によれば、植木などの影になって視認できない道路標識や、悪天候や暗がりによって視認することが困難な道路標識の情報を取得することができる。
【0022】
カメラ認識(ステップS111)により取得された画像データは、道路標識認識処理部104に供給される。道路標識処理部104では、供給された画像データから、道路標識に相当すると思われる部分を抽出する。そして、抽出された画像データと、マッチング用道路標識パターンデータベース104aに記録されているパターンを比較し、抽出画像データに最も近いパターンを有する道路標識を選定し、選定された道路標識を取得した道路標識として案内優先順位判定部103に供給する。この際、画像データを取得した時刻と、道路標識の大きさが、供給される道路標識データに添付される。この時刻と大きさによって、カメラによって複数の道路標識データが取得された場合に、優先順位の判定に利用される。
【0023】
このように、カメラ113によって実際に存在する道路標識を撮影し、画像から道路標識に関する視覚情報を取得することによって、地図データベース102に記録されていない、最も新しい道路標識の情報を取得することができる。ステップS111及びステップS113によって、標識情報取得手段が構成される。
ステップS111、ステップS113において、道路標識が取得されたか否かを判断する(ステップS115)。
【0024】
取得された場合には、車両情報検出部112から車両の走行速度を取得する(ステップS117)。さらに、運転者操作データを車両情報検出部112から取得する(ステップS119)。運転者操作データとは、例えば、車速、操舵角度、ブレーキの踏み込みの有無、アクセルの踏み込み量、左又は右のウインカーのオン・オフ、ヘッドライトのオン・オフ、ワイパーのオン・オフなどである。車速によって、停止、徐行、走行のいずれの状態であるか判断できる。操舵角度によって、車両が右折又は左折しようとしているのか否かを判断することができる。ブレーキの踏み込み量の変化によって、減速しようとしているのか否かを判断することができる。ウインカーの点滅の有無によって、左折又は右折或いは車線変更を行なおうとしているのか否かを判断することができる。 ヘッドライトのオン・オフによって、暗がりで走行しているのか否かを判断することができる。また、ワイパーのオン・オフによって、雨天又は雪などの天候を推量することができる。ヘッドライトとワイパーは、その状況によって、運転者が道路標識を容易に視認できない状況であるか否かを判定することが可能となり、その状況に応じて、表示装置114に表示される優先順位が変更される。
【0025】
次に表示履歴を表示履歴データベース103dから取得する(ステップS121)。過去に表示装置114に表示された道路標識と、その表示が行なわれた時刻、及び表示が行なわれた車両位置が取得される。
標識表示優先度データベース103cに記録されている優先順位を決定するりためのデータテーブル(図2)を取得する(ステップS123)。取得した道路標識が(N+1)[Nは自然数]個以上であるか判断する(ステップS125)。N+1個以上でない場合には、表示する必要のない標識を除いて、優先順位(0〜9)に従って、順に道路標識を表示装置114に表示する(ステップS127)。N+1個以上である場合には、最も優先度の高いNつの道路標識を抽出する(ステップS129)。
【0026】
翻訳変換フラグがオンであるか否か判断する(ステップS131)。オンである場合には、ステップS127又は129で抽出された道路標識を、各国標識データベース130bに記録されている表(図3)に基づいて、対応する母国(日本)の道路標識が存在するか判断する(ステップS133)。存在する場合には、図3の表に基づいて、対応する道路標識を選択する(ステップS137)。
対応する道路標識が存在しない場合には、対応する意味が認識できるように、母国の既存の道路標識を組み合わせる(ステップS135)。道路標識の組み合わせパターンは、図3のf〜j列に示されているように、予め対応する組み合わせが記憶されており、記憶されているデータ(図3)から対応する組み合わせを抽出することにより行なわれる。ステップS133によって、道路標識判定手段が構成され、ステップS135によって、視覚情報生成手段が構成される。本実施形態では、各国標識データベース103bに格納されている、図3に示されている表において、日本の標識が記録されている日列が第2の記憶手段を構成し、ドイツの標識が記録されている独列が第1の記憶手段を構成する。
【0027】
翻訳変換フラグがオフである場合には、ステップS133、S135、S137はスキップされる。
【0028】
Nつの道路標識が、優先順位に従って、表示装置114に順に表示される(ステップS139)。同時に、表示された道路標識は、表示履歴データベース103dに記録される(ステップS141)。
以下、図5に基づいて、本発明の道路路標識表示装置1の作用について説明する。日本を母国とする運転者が、外国(ドイツ国)で運転操作している場合を例に挙げて説明する。走行位置p1で、最高速度60の道路標識A1と、追越規制解除を意味する道路標識A2を取得した場合、日本の道路標識として追越規制を解除を示す単一の道路標識は存在しない。そこで、追越禁止を示す道路標識a21と、制限の終わる地点を示す補助標識a22を同時に表示し、追越規制が解除されたことを表示する。また、速度制限を示す道路標識は、表示履歴データベース103dを参照して、すでに一度表示されており、その後走行速度に変更がない場合には、表示されない。
【0029】
走行位置p2では、駐車禁止を示す道路標識B1を取得すると、これに対応する日本の道路標識として駐車禁止を示す道路標識b1が選択される。また、駐車禁止が開始されることを示す表示B2が設けられているので、これを補助するため、道路標識b1に簡単な文字表示として「ここから」と表示する。
しかし、車両の走行速度が時速20キロ以上である場合には、駐車又は停車する可能性が低いため、道路標識b1は、あえて表示しない。また、時速20キロ以下である場合には、道路標識b1は表示され、さらに速度がゼロになった場合や、シフトレバーをニュートラルやパーキング位置にセットした場合には、報知手段により、報知する。報知方法としては、表示されている道路標識c1を点滅表示する、表示画面の背景を赤にする、音声で知らせる、その他の警告音で知らせる等の方法を取ることができる。
【0030】
走行位置p3では、優先通行を示す道路標識C1が取得されると、これに対応する日本の道路標識として優先道路を示す道路標識c1が表示される。また、優先道路と交差する交差点に差し掛かった走行位置p0においては、優先道路を示す標識E1、制限速度を示す標識E2が取得されると、これに対応する日本の道路標識は存在しないため、一時停止を示す日本の道路標識e11と、禁止を暗示する標識e12が表示され、結果として同じ運転操作が実行されるように、日本の道路標識の組み合わせが表示される。
【0031】
橋BRに差し掛かった走行位置p4で、対向車優先を示す道路標識D1と、車両重量制限を示す道路標識D2が取得されると、道路標識D1に対応する意味を有する日本の道路標識は存在しないので、一時停止を示す日本の道路標識d11を表示し、補助表示として「対向車優先」という、一見して読める程度の短い文字情報を表示する。
また、道路標識D2に対しては、車両情報検出部112から取得した車両の重量が、制限重量以下である場合には、道路標識の表示は行なわれない。
以上のように、日本の道路標識の組み合わせ、及び、一見して読解可能な短い文章(単語)によって、道路標識を見慣れている母国の道路標識に翻訳して表示することにより、見慣れぬ道路標識を感覚的に瞬時に理解することが可能となる。
【0032】
以上説明した翻訳例の他、図3のデータテーブルに表示されているように、ドイツ国又は英国で使用される道路標識に対応する日本の道路標識が存在しない場合には、日本の他の道路標識を組み合わせて、1画面で、同様の意味を示すことができるように、(例えば、図3中のf〜j列)予めデータテーブルとして作成されており、ステップS133では、図3の表を参照して道路標識の組み合わせが決定される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の道路標識表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】道路標識を表示する優先順位を示すデータテーブルである。
【図3】多国間で意味が対応する道路標識を示すデータテーブルである。
【図4】道路標識表示装置の作用を示すフローチャートである。
【図5】車両の進行と共に表示される道路標識の内容を示す摸式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 道路標識表示装置
101 経路案内処理部
102 地図データベース
103 案内優先順位判定部
103b 各国標識データベース
104 道路標識認識処理部
111 GPS
112 車両情報検出部
114 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向に位置する道路標識の視覚情報を取得する標識情報取得手段と、
車両が位置する国における道路標識の視覚情報を蓄積した第1の記憶手段と、
運転者の母国における道路標識の視覚情報を蓄積した第2の記憶手段と、
前記標識情報取得手段により取得された視覚情報に対応する意味を有する母国の道路標識が存在するかを判定する道路標識判定手段と、
前記道路標識判定手段によって、母国の道路標識が存在しないと判定された場合には、第2の記憶装置に記録されている道路標識の視覚情報を複数組み合わせて、前記取得された視覚情報に対応する意味を有する視覚情報を生成する視覚情報生成手段と、
前記視覚情報生成手段で生成された視覚情報を表示する表示手段とを有することを特徴とする道路標識表示装置。
【請求項2】
前記標識情報取得手段は、
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
道路標識の位置と視覚情報を含む地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
前記現在位置取得手段によって取得された位置情報に基づき、進行方向に位置する道路標識を、前記地図情報記憶装置に記憶された地図情報から検索する道路標識検索手段とを有する請求項1に記載の道路標識表示装置。
【請求項3】
前記標識情報取得手段は、
更に、車両の外側の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された画像から道路標識の視覚情報を抽出する道路標識抽出手段とを有する請求項1又は2に記載の道路標識表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−109404(P2009−109404A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283572(P2007−283572)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】