説明

遠隔映像再生システム、受信装置、及び送信装置

【課題】通信不能な状態になってもその間の映像を確認することができる遠隔映像再生システム、受信装置、及び送信装置を提供する。
【解決手段】走行状況取得部が取得した走行状況に基づいて、地図データ記憶部を参照して、通信不能時間を予測する予測部と、遠隔地に設置され、設置された遠隔地周辺を撮影する撮影部と、予測部が予測した通信不能時間を含む所定時間内に撮影部が撮影した撮影画像データを一時記憶する撮影画像データ記憶部と、撮影画像データ記憶部に一時記憶された撮影画像データを間引いた間引き画像データを生成する間引き画像データ生成部と、間引き画像データ生成部が生成した間引き画像データの表す映像を通信可能となってから所定時間が経過するまでに再生し、撮影部が撮影したリアルタイム画像データの表す映像を所定時間が経過した後に再生する再生部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔映像再生システム、受信装置、及び送信装置に関し、より特定的には、通信ネットワークを介して遠隔地の映像を再生する遠隔映像再生システム、受信装置、及び送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラで撮像した映像を遠隔地で再生するという装置が存在し、監視カメラシステム等で利用されている。このような監視カメラシステムにおいて、例えば、カメラが住居内に設置されている場合、ユーザは遠隔地にいるときでも、通信ネットワークを介して住居内の映像を再生装置によって確認することができる。
【0003】
特許文献1の監視システムでは、ネットワークのトラフィック量がある一定値を超えた場合、カメラから送信される画像データを動画像データからデータ量が少ない静止画像データに切り替えるように指示する。従って、遠隔地にいるユーザは、トラフィック量がある一定値を超えない場合は動画像で、トラフィック量がある一定値を超えた場合は静止画像で、カメラ映像を確認することができる。このように、トラフィック量が増大しているときでも解像度を下げることなく遠隔地からの監視が可能である。
【特許文献1】特開2003−163914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の監視システムは、トラフィック量が増大したときには有効であるが、通信が完全に途切れたときには何の効果も奏さない。すなわち、通信不能である間の映像をユーザは確認することができない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされた。すなわち、通信不能な状態になってもその間の映像を確認することができる遠隔映像再生システム、受信装置、及び送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面は、通信ネットワークを介して遠隔地の映像を再生する遠隔映像再生システムに向けられている。本発明は、走行状況を取得する走行状況取得部と、地図データを記憶する地図データ記憶部と、走行状況取得部が取得した走行状況に基づいて、地図データ記憶部を参照して、通信不能時間を予測する予測部と、遠隔地に設置され、設置された遠隔地周辺を撮影する撮影部と、予測部が予測した通信不能時間を含む所定時間内に撮影部が撮影した撮影画像データを一時記憶する撮影画像データ記憶部と、撮影画像データ記憶部に一時記憶された撮影画像データを間引いた間引き画像データを生成する間引き画像データ生成部と、間引き画像データ生成部が生成した間引き画像データの表す映像を通信可能となってから所定時間が経過するまでに再生し、撮影部が撮影したリアルタイム画像データの表す映像を所定時間が経過した後に再生する再生部とを備える。
【0007】
また、走行状況取得部、地図データ記憶部、予測部、及び再生部が設けられ、遠隔地の映像を再生する受信装置と、撮影部、撮影画像データ記憶部、及び間引き画像データ生成部が設けられ、受信装置と通信ネットワークを介して接続された送信装置とを更に備え、送信装置は、間引き画像データ生成部が撮影画像データ記憶部から撮影画像データを読み出して間引いた間引き画像データを受信装置に送信する間引き画像データ送信部を更に含み、受信装置は、送信装置から送信されてくる間引き画像データを受信する間引き画像データ受信部を更に含むことが好ましい。
【0008】
また、所定時間は、撮影画像データ記憶部から撮影画像データが読み出されてなくなるまでの時間であることが好ましい。
【0009】
また、走行状況取得部、地図データ記憶部、予測部、間引き画像データ生成部、及び再生部が設けられ、遠隔地の映像を再生する受信装置と、撮影部、及び撮影画像データ記憶部が設けられ、受信装置と通信ネットワークを介して接続された送信装置とを更に備え、送信装置は、撮影画像データ記憶部に一時記憶された撮影画像データを受信装置に送信する撮影画像データ送信部を更に含み、受信装置は、送信装置から送信されてくる撮影画像データを受信する撮影画像データ受信部を更に含むことが好ましい。
【0010】
また、所定時間は、撮影画像データ記憶部から撮影画像データが送信されてなくなるまでの時間であることが好ましい。
【0011】
本発明の第2の局面は、通信ネットワークを介して接続された遠隔地の送信装置から送信された画像データの表す映像を再生する受信装置に向けられている。本発明は、走行状況を取得する走行状況取得部と、地図データを記憶する地図データ記憶部と、走行状況取得部が取得した走行状況に基づいて、地図データ記憶部を参照して、通信不能時間を予測する予測部と、送信装置から送信されてくる予測部が予測した通信不能時間を含む所定時間内に撮影された撮影画像データを間引いた間引き画像データを受信する間引き画像データ受信部と、間引き画像データ受信部が受信した間引き画像データの表す映像を通信可能となってから所定時間が経過するまでに再生し、撮影部が撮影したリアルタイム画像データの表す映像を所定時間が経過した後に再生する再生部とを備える。
【0012】
また、所定時間は、送信装置から間引き画像データが送信されてなくなるまでの時間であることが好ましい。
【0013】
本発明の第3の局面は、通信ネットワークを介して接続された遠隔地の送信装置から送信された画像データの表す映像を再生する受信装置に向けられている。本発明は、走行状況を取得する走行状況取得部と、地図データを記憶する地図データ記憶部と、走行状況取得部が取得した走行状況に基づいて、地図データ記憶部を参照して、通信不能時間を予測する予測部と、送信装置から送信されてくる予測部が予測した通信不能時間を含む所定時間内に撮影された撮影画像データを受信する撮影画像データ受信部と、撮影画像データ受信部が受信した撮影画像データを間引いた間引き画像データを生成する間引き画像データ生成部と、間引き画像データ生成部が生成した間引き画像データの表す映像を通信可能となってから所定時間が経過するまでに再生し、撮影部が撮影したリアルタイム画像データの表す映像を所定時間が経過した後に再生する再生部とを備える。
【0014】
また、所定時間は、送信装置から撮影画像データが送信されてなくなるまでの時間であることが好ましい。
【0015】
また、受信装置は、車載装置であることが好ましい。
【0016】
本発明の第4の局面は、通信ネットワークを介して接続された受信装置に対して画像データを送信する送信装置に向けられている。本発明は、遠隔地に設置され、設置された遠隔地周辺を撮影する撮影部と、通信不能時間を含む所定時間内に撮影部が撮影した撮影画像データを一時記憶する撮影画像データ記憶部と、撮影画像データ記憶部に一時記憶された撮影画像データを読み出して間引いた間引き画像データを生成する間引き画像データ生成部と、間引き画像データ生成部が生成した間引き画像データを受信装置に送信する間引き画像データ送信部とを備える。
【0017】
また、所定時間は、撮影画像データ記憶部から撮影画像データが読み出されてなくなるまでの時間であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の各局面によれば、通信不能な状態になってもその間の映像を確認することができる遠隔映像再生システム、受信装置、及び送信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る遠隔映像再生システム、車載装置、及び画像送信装置について、図面を参照しながら説明する。なお、車載装置は、画像送信装置から送信されてくる画像データを受信する受信装置である。
【0020】
図1は、車載装置100と画像送信装置120とがネットワーク110を介して接続された遠隔映像再生システムの全体構成を示す模式図である。図1において、車載装置100は自動車内に配置される。画像送信装置120は、例えば、任意の遠隔地、例えば、住居内に設置される。また、ネットワーク110は、例えば、インターネットであるが、これに限らず他のネットワークでもよい。
【0021】
次に、車載装置100と画像送信装置120の内部の構成について、図2を用いて説明する。図2に示すように、車載装置100は、通信部102、復号化部103、制御部104、記憶部105、及び位置情報取得部106を備える。また、車載装置100には、GPS(Global Positioning System)アンテナ107、及び表示部108が接続される。
【0022】
通信部102は、外部の機器と通信を行い、画像データを受信する。通信には、例えば、無線LAN(IEEE802.11a,11b,11g)が用いられる。なお、通信は、無線LANに限られるものではなく、他の無線通信が用いられてもよい。
【0023】
復号化部103は、通信部102を介して受信した画像データを復号化して表示部108に出力する。制御部104は、適切なタイミングで通信部102を介して画像データの送信元に対してコマンドを送信する。
【0024】
記憶部105は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。この記憶部105には、地図情報が記録されている。更に、車載装置100が通信を行うことができない領域情報が通信不能領域情報として記録されている。通信不能領域とは、例えば、トンネル内や山間部など無線通信の電波を受信できない領域のことである。なお、この通信不能領域情報は、随時更新されてもよい。
【0025】
位置情報取得部106は、車載装置100に接続されたGPSアンテナ107がGPS衛星から受信した信号を入力として現在位置を算出する。なお、GPSアンテナ107がGPS衛星から信号を受信できない時はジャイロスコープ(図示せず)を用いて現在位置が算出される。表示部108には復号化部103から出力された画像データが表示される。
【0026】
図2に示すように、画像送信装置120は、通信部202、カメラ203、送信制御部204、及び一時記録部205を備える。
【0027】
通信部202は、外部機器と通信を行い、画像データを送信する。図1の遠隔映像再生システムにおいては、車載装置100が外部機器となる。通信は、例えば、有線LANにてインターネット接続されるものとするが、無線通信にて接続されてもよい。
【0028】
カメラ203は、撮像した映像をデジタル画像データ(以後、画像データと記す)に変換して送信制御部204へ出力する。ここで、画像データは、例えば、Motion−JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式で圧縮されるものとする。なお、圧縮方式は他の方式であってもよいし、或いは、非圧縮であってもよい。また、カメラ203の出力はアナログ信号としてもよく、この場合は、A/D変換部と圧縮部とが用意されてもよい。
【0029】
送信制御部204は、カメラ203から受信した画像データを通信部202、或いは一時記録部205へ出力する。また、一時記録部205に記録された画像データを読み出して通信部202へ出力する。送信制御部204の詳細な動作については後述する。
【0030】
一時記録部205は、例えば、半導体メモリである。一時記録部205には送信制御部204から受信した画像データを記録する。また、記録している画像データを送信制御部204から要求された場合は、対応する画像データを送信制御部204へ出力する。
【0031】
図3は、車載装置100における画像視聴処理のフロー図である。以下、画像視聴処理の動作について、図3を用いて説明する。
【0032】
まず、車載装置100は、通信が可能であるか否かを判断する(ステップS301)。これは、通信部102が受信する無線通信用電波の受信強度を制御部104へ通知し、制御部104が通信可能か否かを判断する。ステップS301において、通信不能な場合、制御部104は、通信可能になるまで処理を繰り返す。一方、通信が可能な場合、制御部104は、ステップS302に処理を移す。
【0033】
ステップS301で通信可能と判断されたら、制御部104は、受信装置用記録フラッグがOFFになっているか否かを確認する(ステップS302)。この受信装置用記録フラッグは、画像送信装置120に画像の記録要求がされているときはONとなっており、記録要求がされていないときはOFFとなっている。なお、受信装置用記録フラッグは、例えば、車載装置100内のメモリ領域等(図示せず)に記録されている。
【0034】
ステップS302において、受信装置用記録フラッグがONになっている場合、車載装置100は送信装置用記録フラッグをOFFにする(ステップS303)。具体的には、制御部104が通信部102を介して画像送信装置120の送信装置用記録フラッグをOFFに設定する。
【0035】
一方、ステップS302において、受信装置用記録フラッグがOFFになっている場合、車載装置100は画像送信装置120に対して画像データ要求を送信する(ステップS304)。具体的には、制御部104が通信部102を介して画像送信装置120へ画像データ要求のコマンドを送信する。
【0036】
次に、現在位置が確認される(ステップS305)。先にも述べたように、現在位置は位置情報取得部106がGPSアンテナ107からの入力を基に算出する。算出された現在位置情報は、制御部104へ入力される。
【0037】
現在位置情報を受信した制御部104は、通信領域について問題無いか否かを判定する(ステップS306)。具体的には、記憶部105に記録されている地図情報、及び通信不能領域情報、そしてステップS305にて算出した現在位置情報を用いて判断する。
【0038】
図4は、ステップS306における判定の一例を説明するための図である。図4中、401は現在位置周辺の地図を表している。マーク402、403、及び404は、現在位置マークである。領域405は通信不能領域であり、例えば、トンネルを表している。なお、地図401は、例えば、カーナビゲーション機能として表示部108に表示されていてもよい。なお、この場合に表示される現在位置マークは1つである。
【0039】
図4において、現在位置が現在位置マーク402の地点であると仮定する。この場合、進行方向に通信不能領域405があり、このまま進めば車載装置100は通信不能になってしまう。そこで、例えば、通信不能領域405へ進入する30秒前に到達した時点から、”通信領域NG“と判断する。なお、制御部104は、例えば、車速パルス取得部(図示せず)から車速パルス信号を受信し、通信不能領域405へ到達するまでの時間を算出する。また、図4において、現在位置が現在位置マーク403の地点であると仮定する。この場合、進行方向には通信不能領域はない。したがって、“通信領域OK”と判断する。更に、図4において、現在位置が現在位置マーク404の地点であると仮定する。この場合、既に通信不能領域405に進入しているため“通信領域NG”である。すなわち、”通信領域NG“の判断は、走行状況と地図情報とに基づいて行われる。なお、走行状況は、現在位置の情報を少なくとも含み、更に、向き、及び速度のいずれか1つ以上の情報を含んでいてもよい。
【0040】
地図401は記憶部105に記録された地図情報内に含まれる情報である。また、通信不能領域405は、記憶部105に記録された通信不能領域情報に含まれる情報である。このように、地図情報と通信不能領域情報を用いることで、車載装置100は事前に通信不能となることを知ることができる。したがって、ステップS306における“通信領域に問題無し”とは車載装置100は以後30秒間は通信可能であるということを意味し、“通信領域に問題あり”とは車載装置100は以後30秒以内に通信不能になるということを意味する。
【0041】
ステップS306において、問題がないと判断された場合、制御部104は、ステップS308に処理を移す。
【0042】
一方、ステップS306において、問題ありと判断された場合、制御部104は、ステップS307に処理を移す。通信領域に問題ありと判断された場合、車載装置100は、記録指示送信処理を行う(ステップS307)。具体的には、制御部104が通信部102を介して、画像送信装置120へ記録指示を送信し、送信装置用記録フラッグをONに設定する。
【0043】
次に、車載装置100は、画像送信装置120から送信された画像データを通信部102にて受信する(ステップS308)。受信された画像データは、復号化部103にて復号化され、表示部108に表示される(ステップS309)。
【0044】
そして、画像視聴処理を終了するか否かが判断され(ステップS310)、終了しない場合はステップS301に処理を戻して処理を繰り返し、終了する場合は処理を終了する。ステップS310では、例えば、ユーザの操作によりアプリケーションを終了したとき等に画像視聴処理を終了すると判断される。
【0045】
以上、説明した動作によって車載装置100にて画像送信装置120から送信される画像データを視聴することができる。
【0046】
次に、画像送信装置120の画像送信処理について、図5のフロー図を用いて説明する。
【0047】
まず、画像送信装置120は車載装置100から送信された画像データ要求を受信する(ステップS501)。なお、画像送信装置120は常時インターネットに接続されており、いつでも画像データ要求のコマンドを受信できる状態であると仮定する。
【0048】
次に、カメラ画像の撮像が開始される(ステップS502)。具体的には、ステップS501後に送信制御部204がカメラ203へ撮像開始を指示する。撮像開始の指示を受けたカメラ203は撮像を開始し、送信制御部204へ画像データの出力を開始する。
【0049】
次に、画像データを受信した送信制御部204は、送信装置用記録フラッグがOFFになっているか否かを確認する(ステップS503)。送信装置用記録フラッグは、画像送信装置120が現在のカメラ画像を記録する必要がある場合にONになっている。画像送信装置120が現在のカメラ画像を記録する必要がない場合は送信装置用フラッグがOFFとなる。この送信装置用記録フラッグについては後述する。送信装置用記録フラッグがOFFでない場合はステップS504へ、送信装置用記録フラッグがOFFの場合はステップS505へ処理が進められる。なお、この送信装置用記録フラッグは、例えば、メモリ領域等(図示せず)に状態が保存されている。
【0050】
ステップS503において、ONになっている場合、画像データの記録を行う(ステップS504)。具体的には、送信制御部204がカメラ203から入力された画像データを一時記録部205へ記録する。
【0051】
一方、ステップS503において、OFFになっている場合、送信制御部204は、ステップS505へ処理を移す。画像送信装置120の送信制御部204は、車載装置100と通信可能であるか否かを確認する(ステップS505)。
【0052】
ステップS505において、車載装置100と通信が可能な場合、送信制御部204は、ステップS506に処理を移す。
【0053】
一方、ステップS505において、車載装置100が通信不能領域を通過中である等の理由で通信不能な場合、送信制御部204は、ステップS502に処理を戻し、処理を繰り返す。なお、通信不能と判断された後は、車載装置100から再度画像データ要求を受信したとき(図示せず)に通信可能になったものと判断されてもよい。
【0054】
次に、画像送信装置120は、車載装置100へ送信する画像データがリアルタイム画像データか否かを判断する(ステップS506)。具体的には、送信制御部204が一時記録部205に未送信の画像データがあるか否かを確認する。
【0055】
一時記録部205に未送信の画像データがない場合、送信制御部204は、リアルタイム画像データであると判断し、カメラ203が出力した画像データを車載装置100へ送信する。
【0056】
一方、一時記録部205に未送信のデータがある場合、送信制御部204は、ステップS507に処理を移す。送信制御部204は、一時記録部205に記録された画像データを未送信の画像データの先頭位置から読み出す(ステップS507)。そして、送信制御部204は、読み出した画像データを、例えば、1秒間隔で間引き処理を行う(ステップS508)。
【0057】
従って、読み出された画像データは、1秒毎の静止画データとして送信されることになる。なお、読み出された画像データは一時記録部205から消去されるものとしてもよいし、消去されずに蓄積されてもよい。蓄積されることにより、ユーザは静止画でしか視聴できなかったシーンを後から動画として確認することができる。
【0058】
更に、送信制御部204は、画像データを車載装置100に送信する(ステップS509)。ステップS506において一時記録部205に未送信の画像データがない場合は、リアルタイム画像データが送信データとなり、一時記録部205に未送信の画像データがある場合はステップS508にて生成された間引き画像データが送信データとなる。
【0059】
画像データ要求が終了、すなわち、車載装置100が画像視聴処理を終了したならば、画像送信装置120の送信制御部204は、画像データ送信処理を終了する。一方、画像データ要求が終了していない、すなわち、車載装置100が画像視聴処理を終了していないならば、画像送信装置120の送信制御部204は、ステップS502に処理を戻し、処理を繰り返す(ステップS510)。
【0060】
ここで、画像送信装置120の送信装置用記録フラッグの設定について説明する。先にも述べたとおり、この送信装置用記録フラッグは画像送信装置120が画像データの記録を必要とするときにON、必要としないときにOFFと設定される。送信装置用記録フラッグの初期値はOFFと設定されている。そして、車載装置100から記録指示を受信したときに送信装置用記録フラッグはONに設定される。その後、画像送信装置120は一時記録部205に記録された画像データを間引きしながら車載装置100に送信する。そして、一時記録部205に未送信の画像データがなくなったら送信装置用記録フラッグをOFFに設定する。
【0061】
図6を用いて詳細を説明する。図6は送信装置用記録フラッグ設定の一例の図である。この例では、画像送信装置120は、記録指示を受信して送信装置用記録フラッグをONに設定し、その後一時記録部205に未送信の画像データがなくなったら送信装置用記録フラッグをOFFにしている。
【0062】
図6において、ポイント601は、画像送信装置120が車載装置100から記録指示を受信したポイントである。ポイント602は、通信不能な状態から通信可能となったポイントである。ポイント603は、一時記録部205内に未送信の画像データがなくなったポイントである。
【0063】
ポイント601からポイント602までは通信不能であるため、その間は送信データはない。そして、通信可能となったポイント602から、画像送信装置120は、ポイント601からポイント603の間に記録された画像データをポイント602からポイント603までの間に間引きして車載装置100に送信する。ポイント603で、一時記録部205内に未送信データがなくなるので、画像送信装置120カメラ203が出力するリアルタイムデータを車載装置100に送信する。
【0064】
受信装置用記録フラッグは、記録指示を受信したポイント601でONに設定される。つまり、ポイント601から画像送信装置120は画像データの記録を開始する。そして、一時記録部205内の未送信データがなくなったポイント603でカメラ203が出力するリアルタイムデータの送信が可能となるため、画像送信装置120は受信装置用記録フラッグをOFFに設定し、画像データの記録を停止する。
【0065】
以上説明したとおり、通信不能な状態になってもその間の映像を確認することができる遠隔映像再生システム、受信装置、及び送信装置を提供することができる。すなわち、通信不能となることが予め判断され、カメラ画像の記録指示の後、通信可能となったら静止画として画像が送信される。これはカメラ画像を早送りで視聴していることになり、通信不能な状態があるときでもその間のカメラ画像を見落とすことなく、リアルタイムデータの視聴を再開することができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、間引き処理が画像送信装置120側で行われる構成を説明したが、車載装置100側で行われる構成としてもよい。この場合、車載装置100は、画像送信装置120から送信されてくる画像データを受信して、間引き処理をした後、間引き画像データを再生すればよい。但し、この場合、リアルタイム画像に追い付くためには、画像送信装置120は一時記録部205のデータを1倍速再生を実現するより早いレートで送信する必要がある。
【0067】
また、本実施の形態では、カメラ画像を視聴するデータに限らず、TV信号等であってもよい。また、受信装置は、車載装置に限らず、GPS付携帯端末等であってもよい。
【0068】
また、画像送信装置は、住居に設置されるに限らず、インターネットに常時接続可能な場所であれば他の場所に設置されてもよい。
【0069】
また、地図情報、及び通信不能領域情報は記録部に記録されている場合に限らず、例えば、インターネット上のサーバからダウンロードされてもよい。
【0070】
また、地図情報と通信不能領域情報のいずれか1つが記録部に記録されて、もう一方がインターネット上のサーバにあるとしてもよい。
【0071】
また、カメラは車載装置からデータ要求を受信したら撮像するとしたが、常時撮像しているとしてもよい。
【0072】
また、一時記録部は半導体メモリに限られるものでなく、他の記録媒体であってもよい。
【0073】
また、画像送信装置から車載装置に送信される画像データは1秒間隔の静止画としたが、これに限られたものではない。間隔時間は1秒でなくてもよく、或いは数秒毎に間引いた動画データが送信されてもよい。
【0074】
上記実施の形態で説明した構成は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を制限するものではない。本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る遠隔映像再生システムは、監視カメラシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態に係る遠隔映像再生システムの全体構成を示す模式図
【図2】本発明の実施の形態に係る遠隔映像再生システムの全体構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態に係る車載装置の画像視聴処理の動作を示すフロー図
【図4】本発明の実施の形態に係る車載装置の画像視聴処理のステップS306における判定の一例を説明するための図
【図5】本発明の実施の形態に係る画像送信装置の画像データ送信処理の動作を示すフロー図
【図6】受信装置用記録フラッグ設定の一例を説明するための図
【符号の説明】
【0077】
100 車載装置
102 通信部
103 復号化部
104 制御部
105 記憶部
106 位置情報取得部
107 GPSアンテナ
108 表示部
110 ネットワーク
120 画像送信装置
202 通信部
203 カメラ
204 送信制御部
205 一時記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して遠隔地の映像を再生する遠隔映像再生システムであって、
走行状況を取得する走行状況取得部と、
地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記走行状況取得部が取得した走行状況に基づいて、前記地図データ記憶部を参照して、通信不能時間を予測する予測部と、
遠隔地に設置され、設置された遠隔地周辺を撮影する撮影部と、
前記予測部が予測した通信不能時間を含む所定時間内に前記撮影部が撮影した撮影画像データを一時記憶する撮影画像データ記憶部と、
前記撮影画像データ記憶部に一時記憶された撮影画像データを間引いた間引き画像データを生成する間引き画像データ生成部と、
前記間引き画像データ生成部が生成した間引き画像データの表す映像を通信可能となってから前記所定時間が経過するまでに再生し、前記撮影部が撮影したリアルタイム画像データの表す映像を前記所定時間が経過した後に再生する再生部とを備える、遠隔映像再生システム。
【請求項2】
前記走行状況取得部、前記地図データ記憶部、前記予測部、及び前記再生部が設けられ、遠隔地の映像を再生する受信装置と、
前記撮影部、前記撮影画像データ記憶部、及び前記間引き画像データ生成部が設けられ、前記受信装置と通信ネットワークを介して接続された送信装置とを更に備え、
前記送信装置は、
前記間引き画像データ生成部が前記撮影画像データ記憶部から撮影画像データを読み出して間引いた間引き画像データを前記受信装置に送信する間引き画像データ送信部を更に含み、
前記受信装置は、
前記送信装置から送信されてくる間引き画像データを受信する間引き画像データ受信部を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の遠隔映像再生システム。
【請求項3】
前記所定時間は、前記撮影画像データ記憶部から撮影画像データが読み出されてなくなるまでの時間であることを特徴とする、請求項2に記載の遠隔映像再生システム。
【請求項4】
前記走行状況取得部、前記地図データ記憶部、前記予測部、前記間引き画像データ生成部、及び前記再生部が設けられ、遠隔地の映像を再生する受信装置と、
前記撮影部、及び前記撮影画像データ記憶部が設けられ、前記受信装置と通信ネットワークを介して接続された送信装置とを更に備え、
前記送信装置は、
前記撮影画像データ記憶部に一時記憶された撮影画像データを前記受信装置に送信する撮影画像データ送信部を更に含み、
前記受信装置は、
前記送信装置から送信されてくる撮影画像データを受信する撮影画像データ受信部を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の遠隔映像再生システム。
【請求項5】
前記所定時間は、前記撮影画像データ記憶部から撮影画像データが送信されてなくなるまでの時間であることを特徴とする、請求項4に記載の遠隔映像再生システム。
【請求項6】
通信ネットワークを介して接続された遠隔地の送信装置から送信された画像データの表す映像を再生する受信装置であって、
走行状況を取得する走行状況取得部と、
地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記走行状況取得部が取得した走行状況に基づいて、前記地図データ記憶部を参照して、通信不能時間を予測する予測部と、
前記送信装置から送信されてくる前記予測部が予測した通信不能時間を含む所定時間内に撮影された撮影画像データを間引いた間引き画像データを受信する間引き画像データ受信部と、
前記間引き画像データ受信部が受信した間引き画像データの表す映像を通信可能となってから前記所定時間が経過するまでに再生し、前記撮影部が撮影したリアルタイム画像データの表す映像を前記所定時間が経過した後に再生する再生部とを備える、受信装置。
【請求項7】
前記所定時間は、前記送信装置から間引き画像データが送信されてなくなるまでの時間であることを特徴とする、請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
通信ネットワークを介して接続された遠隔地の送信装置から送信された画像データの表す映像を再生する受信装置であって、
走行状況を取得する走行状況取得部と、
地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記走行状況取得部が取得した走行状況に基づいて、前記地図データ記憶部を参照して、通信不能時間を予測する予測部と、
前記送信装置から送信されてくる前記予測部が予測した通信不能時間を含む所定時間内に撮影された撮影画像データを受信する撮影画像データ受信部と、
前記撮影画像データ受信部が受信した撮影画像データを間引いた間引き画像データを生成する間引き画像データ生成部と、
前記間引き画像データ生成部が生成した間引き画像データの表す映像を通信可能となってから前記所定時間が経過するまでに再生し、前記撮影部が撮影したリアルタイム画像データの表す映像を前記所定時間が経過した後に再生する再生部とを備える、受信装置。
【請求項9】
前記所定時間は、前記送信装置から撮影画像データが送信されてなくなるまでの時間であることを特徴とする、請求項8に記載の受信装置。
【請求項10】
前記受信装置は、車載装置であることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の受信装置。
【請求項11】
通信ネットワークを介して接続された受信装置に対して画像データを送信する送信装置であって、
遠隔地に設置され、設置された遠隔地周辺を撮影する撮影部と、
通信不能時間を含む所定時間内に前記撮影部が撮影した撮影画像データを一時記憶する撮影画像データ記憶部と、
前記撮影画像データ記憶部に一時記憶された撮影画像データを読み出して間引いた間引き画像データを生成する間引き画像データ生成部と、
前記間引き画像データ生成部が生成した間引き画像データを前記受信装置に送信する間引き画像データ送信部とを備える、送信装置。
【請求項12】
前記所定時間は、前記撮影画像データ記憶部から撮影画像データが読み出されてなくなるまでの時間であることを特徴とする、請求項10に記載の送信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−98846(P2008−98846A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276655(P2006−276655)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】