説明

配列構造を有するコーティングの蒸着方法および設備

シート状基材を処理するための方法および設備を提供する。前記方法および設備は、シート状基材の両主表面上へのコーティングの蒸着に有用である。また、両主表面上にコーティングを有する基材を提供する。好ましくは、基材の対向する主表面上のコーティングは、構造が異なるが、少なくとも2つの膜領域、いくつかの実施形態においては、少なくとも3つの膜領域の構造配列が共通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスおよびその他の基材用のコーティングを提供する。本発明はまた、ガラスおよびその他の基材上にコーティングを蒸着するための方法および設備を提供する。とりわけ、本発明は、薄膜コーティング、薄膜コーティングを蒸着するための方法および設備、ならびに、そのようなコーティングを有する基材を提供する。
【背景技術】
【0002】
ガラスシートやその他のシート状基材にさまざまなコーティングを施し、基材に所望の特性および特徴を与えることができる。よく知られているコーティングの種類には、低放射率コーティング、ソーラーコントロールコーティング、親水性コーティング、疎水性コーティング、光触媒コーティング、光起電力コーティング、エレクトロクロミックコーティング、ミラーコーティングおよび反射防止コーティングがある。場合によっては、シート状基材の両面にコーティングを施すことが望ましいことがある。例えば、基材の一方の面に低放射率コーティング、他方の面に光触媒コーティングを施してもよい。あるいは、基材の一方の面に低放射率コーティング、他方の面に疎水性コーティングを施してもよい。さらに、基材の一方の面に低放射率コーティング、他方の面に親水性コーティングを施してもよい。また、さらに、基材の一方の面に光触媒コーティング、他方の面にミラーコーティングを施してもよい。さらに数多くの変形が可能である。
【0003】
基材の両面にコーティングを施す際、例えば、下向き蒸着法専用に適合されたコータを用いて(例えば、従来の下向きスパッタリング専用に適合されたコータを用いて)コーティングを蒸着することができる。これは、1回目のコータ通過で基材の一方の面にコーティングを施し、1回目の通過と2回目の通過との間で基材を裏返し、その後、2回目のコータ通過で基材の他方の面に別のコーティングを施すことを含むことがある。あるいは、基材を第1コータ(例えば、熱分解蒸着法に適合されたコータ)を通過させて搬送することにより、基材の一方の面をコーティングすることができ、次いで、基材を第2コータ(例えば、スパッタ蒸着法に適合されたコータ)を通過させて搬送することにより、基材の他方の面をコーティングすることができる。しかしながら、このようなプロセスは、非効率的であり、かつ、商業生産には適さないと考えられている。
【0004】
一般に単一のコーティング装置を経る1回の通過で基材の両面をコーティングすることにより、シート状基材の両面をコーティングするためのより効率的な方法を提供する試みがなされてきた。米国特許第5,683,561号(Hollarsら)(特許文献1)および米国特許第5,762,674号(Maltby,Jr.ら)(特許文献2)に言及する。これら各々の内容全体を、引用によりここに開示する。基材の両面をコーティングするためにとりわけ有用な技術が、国際特許出願PCT/US99/02208(国際公開番号WO00/37377(Bondら)、特許文献3)に開示されており、その内容全体を、引用によりここに開示する。
【特許文献1】米国特許第5,683,561号明細書
【特許文献2】米国特許第5,762,674号明細書
【特許文献3】国際公開第00/37377号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら最近の技術は、旧来の方法に比べて大幅に改良されているが、基材の両面にコーティングを施すより高度な技術が必要である。例えば、新たな、かつ、より複雑なコーティングの急速な進化と、コーティング設計および蒸着設備の継続した発展とに伴い、基材の両面を高品質コーティングでコーティングすることの可能なより効率的な方法が必要とされている。とりわけこれは、ガラスシートおよびその他の大面積基材、特に、建築用および自動車用ガラスのために設計されたものに関して当てはまる。最後に、用いられる方法および必要とされる設備の点において、コーティング特性だけでなく、生産効率をも最適化するコーティング構造が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の詳細な説明は、図面を参照して解釈されるものであり、その中で、異なる図面における同様の構成要素には、同様の参照番号が付されている。必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない該図面は、選択された実施形態を示しており、発明の範囲を限定するよう意図されてはいない。熟練技術者は、ここに示されている実施例には、発明の範囲内の数多くの有用な他の選択肢があることをはっきりと理解するだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
さまざまな基材が、本発明における使用に適している。たいていの場合、基材10は、透明材料のシート(すなわち、透明シート)である。しかしながら、基材10は、透明である必要はない。例えば、不透明基材が有用な場合もあるかもしれない。しかしながら、たいていの用途において、基材は、ガラスや透き通ったプラスチックなどのような透明材料または透光性材料を含むと期待される。多くの場合、基材10は、窓ガラスである。さまざまな種類のガラスを用いることが可能であり、ソーダ石灰ガラスが好適であると予想される。
【0008】
本発明において、さまざまな大きさの基材を用いることができる。通例、大面積基材を用いる。ある実施形態は、主要寸法(例えば、幅や長さ)が約0.5m以上、好ましくは約1m以上、おそらくより好ましくは約1.5m以上(例えば、約2mから約4mの間)、また、場合によっては、約3m以上である基材10を含む。
【0009】
本発明において、さまざまな厚さの基材を用いることができる。通例、厚さ約1〜5mmの基材を用いる。いくつかの実施形態は、厚さが約2.3mmから約4.8mmの間、おそらくより好ましくは約2.5mmから約4.8mmの間である基材10を含む。場合によっては、厚さ約3mmのガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス)のシートを用いる。
【0010】
ある実施形態において、本発明は、シート状基材(例えば、ガラスシート)の対向する面上に配列コーティングを蒸着する方法を提供する。この方法は、製造業者が、高品質コーティングで非常に効率的に基材の両面をコーティングできるようになるという点で、利点を有する。これは、既存のコータにより多くの蒸着チャンバを追加したり、または、並外れて多くのチャンバを有する新たなコータを獲得した場合に生じるであろう経費および複雑さを回避する。また、共有チャンバにおいて同時に蒸着される膜が、スプレーしぶきやさまざまな種類の材料の混じり合いにより汚染されることがない、とりわけ高品質なコーティングを達成することもできる。本開示から明らかになるように、その他多くの利点もまた達成される。
【0011】
一般に、本発明の方法は、基材が単一のコータを1回通過することで基材上にコーティングを蒸着することを含む。コーティングは、基材の対向する主表面上に施す。これら2枚のコーティングの正確な性質は、本発明の基本的実施形態において限定されない。むしろ、これら実施形態において、コータを通過させて基材を搬送し、かつ、各コーティングの特定の構造に関わらず、基材の両面上に結果として形成されるコーティングが共通した膜領域の配列を有するように、基材の両面上に膜を蒸着する。すなわち、第1コーティング(例えば、基材の上部表面上のコーティング)は、ある配列の膜領域を含み、かつ、第2コーティング(例えば、基材の底部表面上のコーティング)は、同じ配列の膜領域を含む。一方または両方のコーティングは、上記配列の一部をなす膜領域に加えて他の膜領域を含むことができ、通例、これを含む。
【0012】
好ましくは、本発明の方法は、下向きコーティング設備DEと、上向きコーティング設備UEと、コータを通過して延在する基材走行路60を規定する基材支持体140とを含むコータ99を準備することを含む。下向きコーティング設備DEは、基材支持体140上に位置する基材10の上部主表面をコーティングするために適合されており、かつ、上向きコーティング設備は、基材支持体140上の基材10の底部主表面12をコーティングするために適合されている。好ましくは、下向きコーティング設備は、基材走行路の上方(すなわち、より高い位置)に搭載されている一方、上向きコーティング設備は、基材走行路の下方(すなわち、より低い位置)に搭載されている。
【0013】
図1〜図4および図7は、コータ99のさまざまな実施形態を例示している。一般に、下向きコーティング設備DEは、少なくとも1つの下向きコーティング装置Dを含み、かつ、上向きコーティング設備UEは、少なくとも1つの上向きコーティング装置Uを含む。好ましくは、コータは、真空コータである。すなわち、コータ99は、スパッタリング、化学気相蒸着、蒸着、イオン補助蒸着などのような少なくとも1つの真空蒸着プロセスを行うよう適合されていることが好ましい。
【0014】
コータ99は、制御環境を作り出すことができる少なくとも1つのチャンバを含むことが好ましい。そのようなチャンバは各々、約140トル未満、より好ましくは約0.1トル未満、おそらくたいていの場合約1ミリトルから約0.1トルの間(例えば、約1ミリトルから約30ミリトルの間)の全圧での使用に適合されていることが好ましい(例えば、その中で作り出し、かつ、維持するよう適合されている)。したがって、コータ99は、この段落に記載されているいずれか1つ以上の範囲内の圧力を作り出し、かつ、維持するよう適合された気体送出ポンプシステムを有することが好ましい。
【0015】
コータ99は、1つ以上の蒸着チャンバを含む。事実上あらゆる数のチャンバを用いることができる。ある実施形態において、コータは、連結された一連のチャンバを含む。例えば、コータ99は、連結された一続きの蒸着チャンバ(すなわち、コーティングライン)を含んでいてもよい。より詳細には、そのようなコーティングラインは、互いに間隔のあいた移送ローラ上に水平に支持された1枚の基材(または、互いに間隔のあいたガラスシートのような複数のシート状基材)を、ラインのチャンバを通過させて順に搬送可能なように配置され、かつ、連結された一連のチャンバを含んでいてもよい。好ましくは、そのようなコーティングラインは、隣り合うチャンバを連結する狭い真空トンネルを含み、これを通って、水平方向を向いた基材が、あるチャンバから次のチャンバへ搬送される。典型的には、膜蒸着の間、基材10は、そのようなコーティングラインのすべてのチャンバを通過して搬送される。そのようなチャンバにおいて行われる特定の蒸着プロセスに関わらず、コータ99が、このように配置され、かつ、連結された複数のチャンバを含み得ることは理解されるだろう。
【0016】
一般に、隣り合う蒸着チャンバは、それらの間に物理的障壁を有する。例えば、図8は、3つのチャンバ(または「ベイ」)SBを含むコーティング区域を示しており、隣り合うチャンバは、チャンバ壁340(例えば、基材をあるチャンバから次のチャンバへ搬送可能な狭いトンネルTUのそれぞれ上方および下方の上部壁および下部壁)により分離されている。
【0017】
コータ99は、異なる蒸着プロセスを行うようにそれぞれ適合された種々のチャンバを含むことができる。例えば、コータは、スパッタリングを行う1つ以上のチャンバと、イオンビーム膜蒸着を行う1つ以上のチャンバとを含むことができる。さらに、コータ99は、スパッタリングを行う1つ以上のチャンバと、化学気相蒸着を行う1つ以上のチャンバとを含むことができる。あるいは、コータは、化学気相蒸着を行う1つ以上のチャンバと、蒸着を行う1つ以上のチャンバとを含むことができる。本教示を指針として、この性質のさまざまな他の選択肢が熟練技術者にとって明らかとなるだろう。
【0018】
コータ99は、コータを通過して延在する基材走行路60を規定する基材支持体140を含む。好ましくは、基材走行路60は、コータ99を通過して概してまたは実質的に水平に延在する。コータ99が2つ以上のチャンバを含む実施形態において、典型的には、基材走行路60が各チャンバを通過して延在するように、チャンバを連結する。図1〜図4および図7は、コータ入口115とコータ出口120との間でコータ99全体を通過して延在している基材走行路60を基材支持体140が規定する実施形態を例示している。
【0019】
基材がコーティングされているとき(例えば、基材10がコータ99を通過して搬送されている間)、基材支持体140は、概してまたは実質的に水平な位置に基材10を維持する(例えば、支持する)ように構成されていることが好ましい。したがって、支持体140は、概してまたは実質的に水平な向き(例えば、基材10の上部主表面14が上向きである一方、基材の底部主表面12が下向き)に基材10を維持しながら、コータ99を通過させてシート状基材10、好ましくは、互いに間隔のあいた複数のシート状基材を搬送するよう適合されていることが望ましい。基材支持体140は、互いに間隔のあいた複数の移送ローラ310を含むことが好ましい。ある実施形態における移送ローラは、実質的に基材走行路60全体に沿って、概してまたは実質的に等しい間隔が空いている。典型的には、基材10が基材走行路60に沿ってコータ99を通過して搬送されるように、(例えば、ローラと操作可能に接続されたモータに通電することにより)少なくとも1つのローラを回転させる。基材10がそのようなローラの上方を搬送されているとき、基材の底部表面12は、ローラと物理的(すなわち、支持的)に直接接触している。したがって、本発明のある方法は、ガラスシートと、互いに間隔のあいた移送ローラを含む基材支持体とを含む方法であって、少なくとも1つの移送ローラを回転させて、ガラスシートの搬送を容易にし、その結果、搬送の間、ガラスシートの底部主表面が、ローラと物理的に直接接触するようになる方法である。
【0020】
典型的には、基材10は、毎分約100〜500インチの間の速さでコータ99を通過して搬送される。ある実施形態において、基材10は、ガラスのシートであり、かつ、搬送の間は支持体140上に存在する(例えば、上部に位置している)。この性質のいくつかの実施形態において、ガラスの他の複数のシートもまた支持体140上に位置しており、そのようなガラスのシートは、支持体140上で互いに間隔が空いており、かつ、そのような間隔のあいた構成で搬送される。図示した支持体140は、複数の移送ローラ310を含んでいるが、他の種類の基材支持体の使用が可能なことは理解されるであろう。
【0021】
基材支持体140が移送ローラからなる実施形態において、ローラは、あらゆる従来からの構造とすることができる。ロープを螺旋状に巻きつけた円筒(例えば、アルミニウム)管を使用することによって、良い結果が得られることが分かっている。そのようなロープは、基材が直接接触する表面をなしている。例えば、ロープは、ケブラー(Kevlar)(商標)、すなわち、ポリパラフェニレンテレフタルアミドや、別のポリマー(例えば、ナイロンのようなポリマー)からなっていてもよい。好ましくは、高融点ポリマー(例えば、所望の蒸着プロセスにおいて定められた最高処理温度より高い融点、例えば、約165℃以上、より好ましくは約200℃以上、おそらく最適には約400℃以上を有するポリマー)を用いる。上向きコーティングプロセスが行われる実施形態では、螺旋状に巻きつけられたロープ(または別々の複数の帯状体)が付いている円筒がとりわけ望ましい。というのも、ロープにより、ローラと基材の底部表面との接触面積が減少するので、基材のコーティングされたばかりの底部表面をとりわけ傷つけない支持体となるからである。したがって、ある実施形態において、基材支持体は、円筒の回りに配置された少なくとも1本のロープをそれぞれ含む間隔のあいた複数のローラを含む。
【0022】
支持体140が間隔のあいたローラ310を含む実施形態において、小さな基材が間隔のあいたローラの間に落下する危険をさほど伴わずに処理可能なように、ローラ310の間隔をかなり小さく保つことが好ましい。最大安全間隔は、基材の大きさの所望の範囲により場合ごとに決定することが好ましい。
【0023】
小さな基材をコーティングすることはできるが、本発明は、建築用および自動車用ガラスのためのガラスシートのような大面積基材の処理にとりわけ有利である。したがって、本発明のある方法において、コータを通過して搬送される基材は、主要寸法が約0.5m以上の大面積基材である。とりわけ大面積基材(特にガラスからなるもの)では、垂直な向きというよりむしろ概してまたは実質的に水平な向きに、コータを通過させて基材10を搬送することが望ましい。
【0024】
上に述べたように、コータ99は、下向きコーティング設備DEおよび上向きコーティング設備UEの両方を含む。下向き設備DEは、基材10の上部主表面14をコーティングするよう適合されている一方、上向き設備UEは、基材の底部主表面12をコーティングするよう適合されている。したがって、下向き設備DEは、基材走行路60の上方に搭載されていることが好ましい一方、上向き設備UEは、基材走行路の下方に搭載されていることが好ましい。
【0025】
ある実施形態において、コータは、真空コータであり、下向きコーティング設備は、少なくとも1つの下向き真空コーティング装置を含み、かつ、上向きコーティング設備は、少なくとも1つの上向き真空コーティング装置を含む。好ましくは、下向きコーティング設備は、複数の下向き真空コーティング装置を含み、かつ、上向きコーティング設備は、複数の上向き真空コーティング装置を含む。この性質のさまざまな実施形態を以下に説明する。
【0026】
下向きコーティング設備DEに関して、各下向きコーティング装置は、コータ99内側の基材走行路60上方の位置に搭載され、かつ、基材の上部表面14をコーティングするよう適合されていることが好ましい。図1〜図4および図7〜図8は、下向きコーティング設備DEが、複数の下向きコーティング装置を含む実施形態を示している。例えば、図1〜図2は、コータ99が、11以上の下向きコーティング装置D1〜D11を含む実施形態を示している。コータ99は、あらゆる数の下向きコーティング装置を含むことができることは理解されるであろう。
【0027】
コータ99における各下向きコーティング装置は、あらゆる種類の下向きコーティング装置とすることができる。ある実施形態において、コータは、少なくとも1つの下向きスパッタリング装置を含む。これらの実施形態において、各下向きスパッタリング装置は、基材走行路の上方に搭載された上側スパッタリングターゲットを含む。図8は、そのような一実施形態に係るコーティング区域CZの一例を示す。ここでは、コーティング区域CZは、3つのチャンバ(または「ベイ」)SB1〜SB3を有する。なお、コーティング区域へのチャンバ/ベイの配置の面でのコータ99の特定の構成は、用いられるコータの特定の種類により異なる。例えば、代わりに、各コーティング区域は、1つ、2つまたは3つより多くのベイを含むこともできる。各コーティング区域CZは、希望により2つ、3つまたはそれより多くのベイを有することができるが、図3〜図4および図7は、各々単一のチャンバ/ベイを有するように示されているコーティング区域CZを図示している。
【0028】
再度図8を参照して、各チャンバSBは、2つの上側ターゲット320を有するように図示されている。しかしながら、これは決して必須ではない。むしろ、所与のチャンバSBは、事実上あらゆる所望の数の上側ターゲットを備えることができる。例えば、所与のチャンバは、上側ターゲットを有さないことがあり、1つのみ有することもあるなどである。好ましくは、各上側ターゲット320は、基材走行路の上方に位置した1つ以上の(例えば、各々が少なくとも1つの気体送出出口を有する)上側気体散布管335に隣接している。各上側ターゲット320はまた、基材走行路の上方に位置した1つ以上の上側アノード330に隣接していることが好ましい。
【0029】
図8における各ターゲットは、円筒形ターゲットとして示されているが、平面ターゲットを用いることもできる。好ましくは、備えられている各スパッタリングターゲットは、ターゲット本体に隣接して位置する(円筒形ターゲット内側に搭載される、平面ターゲットの背後に搭載される、など)マグネットアセンブリを含む。
【0030】
ある実施形態において、コータ99は、少なくとも1つの下向き化学気相蒸着(CVD)装置を含む。そのような装置は、コータの上側領域(すなわち、基材走行路の上方のコータ領域)に前駆気体を送出するための気体送出システムを含んでいてもよい。好ましくは、そのような装置は、基材走行路の上方に位置する気体送出出口を含み、その結果、前駆気体から、コーティング材料が基材10の上部表面14上に凝結する。この性質のCVD装置は、典型的には、気体出口からコータの上側領域へ気体ラインを通じて前駆気体が送出される気体供給部を含む。希望により、そのような下向き化学気相蒸着装置を、「プラズマ増強膜蒸着(Plasma−Enhanced Film Deposition)」という名称の米国特許出願10/373,703(Hartig)に記載されている種類のプラズマ増強化学気相蒸着装置とすることができる。その教示全体を、引用によりここに開示する。
【0031】
ある実施形態において、コータ99は、イオン銃を含む少なくとも1つの下向きコーティング装置を含む。この性質の上側イオン銃は、あらゆる所望のイオン補助蒸着(IAD)プロセスを行うのに適合させることができる。例えば、そのようなイオン銃は、直接膜蒸着に適合させることができる。あるいは、そのようなイオン銃は、上側スパッタリングターゲットを含むイオンビームスパッタ蒸着源の一部をなすことができ、イオン銃が該上側スパッタリングターゲットに対してイオンを加速させ、その結果、ターゲット材料の原子が、ターゲットから下向きに基材の上部表面に向かって射出される。これらの種類のIAD法は、多くの他の適切なIAD法と同様、当該技術において知られている。
【0032】
上向きコーティング設備UEに関して、各上向きコーティング装置は、コータ99内側の基材走行路下方の位置に搭載され、かつ、基材の底部表面12をコーティングするよう適合されていることが好ましい。図1〜図4および図7〜図8は、上向きコーティング設備UEが、複数の上向きコーティング装置を含む実施形態を示している。例えば、図1は、コータ99が、2以上の上向きコーティング装置U1〜U2を含む実施形態を示しており、図2は、上向きコーティング設備が、3以上の上向きコーティング装置U1〜U3を含む実施形態を示している。コータ99は、あらゆる数の上向きコーティング装置を含むことができることは理解されるであろう。
【0033】
コータ99における各上向きコーティング装置は、あらゆる種類の上向きコーティング装置とすることができる。ある実施形態において、コータは、少なくとも1つの上向きスパッタリング装置を含む。これらの実施形態において、各上向きスパッタリング装置は、基材走行路の下方に搭載された下側スパッタリングターゲットを含む。これはおそらく、図8を参照して最もよく理解されるであろう。ここで、各上向きスパッタリング装置361〜366は、基材走行路60の下方に位置した(例えば、各々が少なくとも1つの気体送出出口を有する)1つ以上の下側気体散布管375に隣接して設けられていることが好ましい。したがって、図8において、図示されているコーティング区域CZは、下側スパッタリングターゲット360a〜360fと、該下側ターゲットに隣接した下側気体散布管375とを含む。図8には任意の下側アノード370もまた示されており、これは、基材走行路の下方で、かつ、少なくとも1つの下側ターゲット360に隣接して位置していることが好ましい。各下側ターゲット360はまた、上に述べたように、マグネットアセンブリを含むことが望ましい。とりわけ有用な上向きスパッタリング装置が、米国特許出願09/868,542、09/868,543、09/979,314、09/572,766および09/599,301に記載されており、これら各々の内容全体を、引用によりここに開示する。
【0034】
ある実施形態において、コータ99は、少なくとも1つの上向き蒸着コーティング装置を含む。そのような装置は、蒸着されるコーティング材料の供給源を含んでいてもよく、該供給源は、典型的には、基材走行路の下方に位置している。この材料供給源は、所望の供給源材料を収容している、もしくはその材料からなる、ボート、るつぼ、細片、もしくはコイルの形で提供することができる。そのような装置は、典型的には、供給源材料にエネルギーを送る手段をも含む。例えば、供給源材料は、直接または間接抵抗、熱伝導、放射もしくは誘導、電子ビーム、レーザ照射またはアーク発生により供給源材料を加熱するよう適合された熱源(例えば、加熱素子)とともに提供することができる。上向き蒸着により基材をコーティングするための技術において、さまざまなプロセスおよび装置が知られている。
【0035】
ある実施形態において、コータ99は、少なくとも1つずつ上向きCVD装置を含む。そのような装置は、コータの下側領域に前駆気体を送出するための気体送出システムを含んでいてもよい。好ましくは、そのような装置は、基材走行路の下方に位置する気体送出出口を含み、その結果、前駆気体から、コーティング材料が基材10の底部表面12上に凝結する。この性質のCVD装置は、典型的には、気体出口からコータの下側領域へ気体ラインを通じて前駆気体が送出される気体供給部を含む。あらゆる公知のCVD装置を用いることができる。希望により、そのような上向きCVD装置を、「プラズマ増強膜蒸着(Plasma−Enhanced Film Deposition)」という名称の米国特許出願10/373,703(Hartig)に記載されている種類のプラズマ増強化学気相蒸着装置とすることができる。
【0036】
ある好適な実施形態において、コータ99は、イオン銃を含む少なくとも1つの上向きコーティング装置を含む。この性質の下側イオン銃は、あらゆる所望のIADプロセスを行うのに適合させることができる。例えば、そのようなイオン銃は、直接膜蒸着を行うのに適合させることができる。あるいは、そのようなイオン銃は、下側スパッタリングターゲットを含むイオンビームスパッタ蒸着源の一部をなすことができ、イオン銃が該下側スパッタリングターゲットに対してイオンを加速させ、その結果、ターゲット材料の原子が、ターゲットから上向きに基材の底部表面に向かって射出される。これらの種類のIAD法は、多くの他の適切なIAD法と同様、当該技術において知られている。ある実施形態において、コータ99は、刊行物「イオン方式の光学薄膜蒸着方法(Ion−Based Methods For Optical Thin Film Deposition)」(Journal of Material Science;J.P.Marting、21(1986)1〜25)に開示されているような、イオン補助蒸着装置を行うのに適合された1つ以上の上側および/または下側イオン銃を含む。この内容全体を、引用によりここに開示する。
【0037】
各上向きコーティング装置は、隣り合う一対の移送ローラ310の間の隙間145の下方に位置することが好ましい。これはおそらく、図8を参照して最もよく理解されるであろう。隙間145は、従来の移送ローラ間隔から生じていてもよい。あるいは、隙間145は、従来のローラ間隔より広くてもよい。これは、そのような隙間145の各々を規定するローラをさらに離して搭載すること、および/または、これらローラを小さくすることにより達成可能である。
【0038】
ある実施形態において、コータ99を(例えば、上向きコーティング設備を操作することにより)操作し、これにより、基材10の底部表面12上に、光学的全厚が約690オングストローム未満の(場合によっては、屈折率が約2.3以上の何らかの高屈折率膜を少なくとも含む)コーティング16を蒸着する。これらの実施形態において、このコーティング16上に残る基材支持体(例えば、移送ローラ)との接触跡はいずれも、肉眼では見えないか、または、少なくとも非常に知覚しづらい(例えば、実質的に見えない)傾向にある。この性質のいくつかの実施形態において、コータ99を(例えば、下向きコーティング設備を操作することにより)操作し、これにより、基材の上部表面14上に、光学的全厚が約1,000オングストローム以上のコーティング40を蒸着する。例えば、コータ99は、基材の上部表面上に低放射率コーティングを蒸着し、かつ、基材の底部表面上に表面効果コーティングを蒸着するよう操作可能である。この性質の他の実施形態において、コータは、基材の上部表面上にミラーコーティングを蒸着し、かつ、基材の底部表面上に表面効果コーティングを蒸着するよう操作される。設けられる際は、表面効果コーティングは、光触媒コーティング、親水性コーティングおよび疎水性コーティングからなる群から選ばれることが好ましい。ある実施形態において、酸化チタンおよび/または酸化ケイ素を含む表面効果コーティングが提供される。そのような一実施形態において、酸化チタンを含む光触媒コーティングである表面効果コーティングが提供される。
【0039】
低放射率コーティングは、当該技術においてよく知られており、かつ、典型的には少なくとも2つの透明誘電体膜領域に挟まれた少なくとも1つの赤外反射膜領域を含む。赤外反射膜は、典型的には銀、金または銅のような導電金属を含んでおり、コーティングを通過する放射熱の伝導を低減する。透明誘電体膜は、可視反射率を低減し、かつ、色のようなコーティングの他の特性を制御するのに主に用いられる。通例用いられる透明誘電体には、亜鉛、錫、インジウム、ビスマスおよびチタンの酸化物、それらの合金および混合物、ならびに、ある窒化物(例えば、窒化ケイ素)がある。有用な低放射率コーティングが、米国特許出願09/728,435に記載されており、その教示全体を、引用によりここに開示する。
【0040】
下向きコーティング設備DEを、基材の上部表面14上に低放射率コーティングを施すよう操作するとき、その方法は典型的に、2つの透明誘電体膜の間に反射金属の薄い(例えば、200オングストローム未満の薄さの)膜を施すことを含む。場合によっては、(例えば、表面14から外向きに)少なくとも1層の内部透明誘電体膜30、第1反射金属膜50、少なくとも1層の中間透明誘電体膜90、第2反射金属膜150、そして、少なくとも1層の外部透明誘電体膜130という配列の膜を蒸着することを含む。そのような方法は、通例、各反射金属膜50、150を約40オングストロームから約185オングストロームの間の厚さに蒸着することを含むだろう。さまざまな下向きコーティング装置を用いたさまざまな低放射率コーティングの蒸着が、当該技術において知られている。本発明の方法は、任意に、コーティング40内に他の膜を蒸着することを含んでもよい。例えば、該方法は、任意に、各反射金属膜50、150を覆って非常に薄い(例えば、30オングストローム未満の厚さの)保護金属膜80、180を蒸着することを含んでもよい。
【0041】
さまざまなミラーコーティングが、当該技術においてよく知られている。従来のミラーコーティングは、銀、クロム、銅またはアルミニウムのような厚い反射金属層を含む。下向きに施されたコーティング40がミラーコーティングである場合、コーティング40を単なる反射金属の厚い層とすることができる。希望により、表面14と接触している面の反対側の厚い反射金属層の面を覆って、透明誘電体材料の保護膜を設けることができる。当該技術において知られているように、該保護膜は、金属層が化学的および物理的に侵されることのないよう保護するのに役立つ。また、反射金属膜の両面に透明誘電体膜の層を含むような、当該技術において知られているさまざまなミラーコーティングが使用可能であろう。当該技術において知られている多くのダイクロイックミラーは、そのような構造を採用している。
【0042】
したがって、下向きコーティング設備DEを、基材の上部表面14上にミラーコーティングを施すよう操作するとき、その方法は典型的に、反射金属の比較的厚い(例えば、200オングストロームを超える厚さの)膜を蒸着することを含む。該方法は、任意に、ミラーコーティングの一部として他の膜を蒸着することを含んでもよい。場合によっては、このようにコーティングを施すことは、(例えば、表面14から外向きに)内部透明誘電体膜、反射金属膜、そして、外部透明誘電体膜という配列の膜を蒸着することを含む。さまざまな下向きコーティング装置を用いたさまざまなミラーコーティングの蒸着が、当該技術においてよく知られている。一実施形態において、下向きに施されたコーティング40は、電子式ミラーコーティングであり、表面14上のコーティング40は、エレクトロクロミックミラーの一部である透明電極膜である。米国特許第6,193,378号に言及し、その教示全体を、引用によりここに開示する。
【0043】
親水性コーティングは、水に対する親和性があり、かつ、そのようなコーティングに接触させた水を一面に広がらせる傾向がある。有用な親水性コーティングが、米国特許出願09/868,542、09/868,543、09/599,301および09/572,766に記載されており、これら各々の内容全体を、引用によりここに開示する。疎水性コーティングは、ガラスに施されて水をはじき、これにより、そのようなコーティング上の水が、シート状に広がるのではなく、むしろ玉状になる。有用な疎水性コーティングが、Nakanishiらに発行された米国特許第5,424,130号に記載されており、その教示全体を、引用によりここに開示する。
【0044】
ある実施形態において、上向きコーティング設備UEを操作して、基材10の底部表面12を覆って透明誘電体膜領域を蒸着し、次いで、該透明誘電体膜領域を覆って親水性膜領域または疎水性膜領域を蒸着する。これらの実施形態において、誘電体膜領域は、酸化錫または放射率が低い別の酸化物のような酸化物であってもよい。例えば、この膜領域は、米国特許第5,698,262号に記載されているようなフッ素ドープ酸化錫膜であってもよく、その内容全体を、引用によりここに開示する。透明誘電体膜領域を覆って蒸着された親水性膜領域または疎水性膜領域は、あらゆる公知の親水性膜または疎水性膜を含むことができる。この性質のある実施形態において、コーティング16は、米国特許出願09/868,543に記載されている性質の水を一面に広がらせる低放射率コーティングであり、その内容全体を、引用によりここに開示する。
【0045】
光触媒コーティングは、典型的には、紫外線放射を吸収可能で、かつ、油、植物性物質、脂肪および油脂のような有機物質を光触媒作用で分解可能な半導体を含む。光触媒の中で最も強力なものは、酸化チタン(例えば、二酸化チタン)のようである。有用な光触媒コーティングが、米国特許第5,874,701号(Watanabeら)、米国特許第5,853,866号(Watanabeら)、米国特許第5,961,843号(Hayakawaら)、米国特許第6,139,803号(Watanabeら)、米国特許第6,191,062号(Hayakawaら)、米国特許第5,939,194号(Hashimotoら)、米国特許第6,013,372号(Hayakawaら)、米国特許第6,090,489号(Hayakawaら)、米国特許第6,210,779号(Watanabeら)、米国特許第6,165,256号(Hayakawaら)および米国特許第5,616,532号(Hellerら)に記載されており、これら各々の内容全体を、引用によりここに開示する。
【0046】
ある実施形態において、上向きコーティング設備UEは、光触媒コーティングを施すよう適合されている。この性質のある実施形態において、上向きコーティング設備UEは、酸化チタンを含む(そして、おそらく最適には実質的にこれからなる)光触媒コーティングを施すよう適合されている。これらの実施形態において、上向きコーティング設備UEは、チタンおよび酸素の1つまたは複数の供給源を含むことが望ましい。例えば、上向きコーティング設備UEは、任意に、チタン(例えば、金属チタンまたは酸化チタン)を含む下側スパッタリングターゲットを含むことができる。共同して、そのようなターゲットに隣接したコータ99の下側領域は、任意に、酸化雰囲気を備えることができる。一実施形態において、上向きコーティング設備UEは、米国特許出願60/262,878に記載されている性質の少なくとも1つの下側スパッタリングターゲットを含み、その教示全体を、引用によりここに開示する。
【0047】
光触媒酸化チタンコーティングおよびその他の高屈折率光触媒では特に、そのようなコーティングに次に続くスプレーしぶきがかからないようにすることが有利である。というのも、これらのコーティングにスプレーしぶきがかかると、これらコーティングの多少の反射性のため、他の種類のコーティングにかかったスプレーしぶきよりも目に見えやすい可能性があるからである。したがって、ある実施形態においては、少なくとも1つの上向きコーティング装置を用いて、基材の底部表面上に光触媒コーティングを蒸着し、かつ、この特定の上向きコーティング装置の後には(すなわち、基材走行路に沿ってさらに)、次の下向きコーティング装置を用いない(または、少なくとも下向きコーティング装置を操作しない)。しかしながら、このことは、決して本発明のすべての実施形態において要求されるわけではない。
【0048】
本発明の好適な方法において、基材10を、基材の上部主表面14が上向きで、かつ、基材の底部主表面12が下向きの概してまたは実質的に水平な構成で基材走行路60に沿って搬送する。好適な実施形態において、コータ99を経る基材の1回の通過で、第1コーティング40および第2コーティング16を基材10上に蒸着する。好ましくは、コータ99を通過する基材10の搬送の間、下向きコーティング設備DEを操作して、基材の上部表面14上に(すなわち、表面14上に直接、またはそのような表面に前もって蒸着された膜上に)膜を蒸着する。より詳細には、下向きコーティング設備DEを操作して、基材の上部表面上に、上部表面14から離れる順に、第1膜材料を含む第1膜領域および第2膜材料を含む第2膜領域により特徴付けられる配列の膜領域(例えば、個別のフィルムを有する層またはグレーデッドフィルム領域)を含む構造を有する第1コーティング40を蒸着する。ある実施形態において、第1膜領域は、実質的に上記第1膜材料からなり、かつ、第2膜領域は、実質的に上記第2膜材料からなる。
【0049】
本方法において、上向きコーティング設備UEを操作して、基材10の底部主表面12上に膜を蒸着する。好ましくは、上向きコーティング設備UEを操作して、基材の底部表面上に、第1コーティング40の構造とは異なる構造を有する第2コーティング16を蒸着する。第1コーティングの構造とは異なることが好ましいが、第2コーティング16の構造は、底部表面12から離れる順に、上記第1膜材料(すなわち、第1コーティング40の第1膜領域が含むものと同じ膜材料)を含む第1次膜領域および上記第2膜材料(すなわち、第1コーティング40の第2膜領域が含むものと同じ膜材料)を含む第2次膜領域により特徴付けられる配列の膜領域を含む。ある実施形態において、第1次膜領域は、実質的に上記第1膜材料からなり、かつ、第2次膜領域は、実質的に上記第2膜材料からなる。場合によっては、上記第1膜材料と第2膜材料とは、互いに異なる材料である。
【0050】
好ましくは、第1コーティング40の第1膜領域と第2コーティング16の第1次膜領域とは、コータ99の共通のチャンバにおいて(すなわち、共有の雰囲気において)同時に蒸着される。同様に、第1コーティング40の第2膜領域と第2コーティング16の第2次膜領域とは、コータの共通のチャンバにおいて同時に蒸着されることが好ましい。
【0051】
本発明の方法の例はおそらく、図1〜図4および図7を参照して最もよく理解されるであろう。図1を参照すると、コータ99は、下向きコーティング設備DEおよび上向きコーティング設備UEを含むことが分かる。上に述べたように、下向きコーティング設備DEおよび上向きコーティング設備UEはいずれも、同じ基本的種類のコーティング設備(例えば、コータは、スパッタリング設備しか有さなくともよい)とすることができる。あるいは、下向きコーティング設備DEをある種類のコーティング設備とすることができる一方、上向きコーティング設備UEを別の種類のコーティング設備とする(例えば、下向きコーティング設備を従来のマグネトロンスパッタリング設備とすることができる一方、上向きコーティング設備をイオンビーム膜蒸着設備とする)。別の選択肢として、上向きコーティング設備UEおよび/または下向きコーティング設備DEは、異なる種類のコーティング設備の組み合わせを含んでいてもよい(例えば、コータは、何らかの上向きスパッタリング設備および何らかの上向き蒸着設備を有することができる)。
【0052】
図1を参照して、コータ99は、少なくとも11の下向きコーティング装置D1〜D11と、少なくとも2つの上向きコーティング装置U1〜U2とを含む。この特定のコータ配置において、第1上向きコーティング装置U1は、第1下向きコーティング装置D1と同じコーティング区域CZ7に存在する。好ましくは、これら2つのコーティング装置U1およびコーティング装置D1は、同じチャンバ/ベイにあり、その結果、共通の蒸着雰囲気を共有する。したがって、この実施形態において基材が第1コーティング区域CZ1を通過して搬送されるとき、第1上向きコーティング装置U1および第1下向きコーティング装置D1は、基材10の両面12、14上に同時に膜を蒸着するように、同時に操作することができる。例えば、第1コーティング40の第1膜領域および第2コーティング16の第1次膜領域は、上に述べたように、基材10の上部主表面14および底部主表面12上にそれぞれこのように蒸着することができる。これら2つの膜領域はいずれも、コーティング16およびコーティング40の所望の構造によりさまざまな異なる材料とすることができる第1膜材料を含む。ある実施形態において、ここでの第1膜材料はシリカを含む。他の実施形態において、ここでの第1膜材料はジルコニアを含む。さらに他の実施形態において、第1膜材料は酸化錫を含む。さらに他の実施形態において、ここでの第1膜材料は酸化亜鉛を含む。
【0053】
引き続き図1を参照して、第1コーティング区域CZ1において行われた膜蒸着の後、基材は、下向きコーティング装置D2〜D10のみが操作されているその後の複数のコーティング区域CZ2〜CZ10を通過して搬送される。ここで、最後の下向きコーティング装置D11は、最後の上向きコーティング装置U2と同じコーティング区域CZ11に存在する。したがって、ここで、最後の上向きコーティング装置U2および最後の下向きコーティング装置D11は、基材10の上部表面14および底部表面上に第1コーティング40の第2膜領域および第2コーティング16の第2次膜領域をそれぞれ同時に蒸着するように、同時に操作することができる。上に述べたように、これら2つの膜領域はいずれも、コーティング16およびコーティング40の所望の構造によりさまざまな異なる材料とすることができる第2膜材料を含む。ある実施形態において、第2膜領域は、チタニア(例えば、TiO2)を含む。
【0054】
図2を参照して、コータ99は、少なくとも11の下向きコーティング装置D1〜D11と、少なくとも3つの上向きコーティング装置V1〜V3とを含む。このコータ配置において、第1上向きコーティング装置U1は、第1下向きコーティング装置D1と同じコーティング区域CZ1、好ましくは、同じチャンバに存在している。したがって、この実施形態において基材10が第1コーティング区域CZ1を通過して搬送されるとき、第1上向きコーティング装置V1および第1下向きコーティング装置D1は、基材10の両面12、14上に同時に膜を蒸着するように、同時に操作することができる。例えば、第1コーティング40の「第3」膜領域および第2コーティング16の「第3次」膜領域は、基材10の上部表面14および底部表面11上にそれぞれこのように蒸着することができる。上に述べたように、これら2つの膜領域はいずれも、第3膜材料を含み、この第3膜材料は、コーティング16およびコーティング40の所望の構造によりさまざまな異なる材料とすることができる。ある実施形態において、第3膜材料はシリカを含む。他の実施形態において、第3膜材料は酸化亜鉛を含む。
【0055】
引き続き図2を参照して、第1コーティング区域CZ1において行われた膜蒸着の後、下向きコーティング装置D2〜D5のみが操作されている複数のコーティング区域CZ2〜CZ5を通過させて基材を搬送する。その後、下向きコーティング装置D6および上向きコーティング装置V2の両方を含むコーティング区域CZ6内へ、好ましくは、このコーティング区域の単一のチャンバ/ベイへ基材を搬送する。これら上向きコーティング装置V2および下向きコーティング装置D6は、第1コーティング40の「第1」膜領域および第2コーティング16の「第1次」膜領域を同時に蒸着するように、同時に操作することができる。上に述べたように、これら2つの膜領域はいずれも、コーティング16およびコーティング40の所望の構造によりさまざまな異なる材料とすることができる第1膜材料を含む。ある実施形態において、第1膜材料は、ジルコニアを含む。
【0056】
図2のコータ配置のもとで、次に、下向きコーティング装置D7〜D10のみが操作されている複数のコーティング区域CZ7〜CZ10を通過させて基材を搬送する。その後、下向きコーティング装置D11および上向きコーティング装置V3の両方を含むコーティング区域CZ11、好ましくは、このコーティング区域の単一のチャンバ/ベイ内へ基材を搬送する。ここで、このコーティング区域CZ11は、コータ99の最後のコーティング区域として示されているが、必ずしもそうでなくともよい。このコーティング区域CZ11において、上向きコーティング装置V3および下向きコーティング装置D11は、第1コーティング40の「第2」膜領域および第2コーティング16の「第2次」膜領域を同時に蒸着するように、同時に操作することができる。上に述べたように、これら2つの膜領域はいずれも、コーティング16およびコーティング40の所望の構造によりさまざまな異なる材料とすることができる第2膜材料を含む。ある実施形態において、上に述べたように、第2膜領域は、チタニア(例えば、TiO2)を含む。
【0057】
図5〜図6は、基材10の対向する面上のコーティング40およびコーティング16が、共通配列の膜領域により特徴付けられている特定の実施形態を示す。基材の各面上の2つ以上の配列膜領域に加えて、コーティング40およびコーティング16には他の膜領域が含まれてもよく、通例、含まれるであろうことは理解される。
【0058】
図5を参照すると、第2コーティング16の第1次膜領域が膜6として示されていることが分かる。第2コーティング16の第2次膜領域は、図5において膜7として示されている。第1コーティング40について、6層の最内膜(またはその膜領域)のいずれも、第1コーティング40の上記第1膜領域となり得ることが分かる。共同して、6層の最外膜(またはその膜領域)のいずれも、第1コーティング40の上記第2膜領域となり得る。図5において、第1コーティング40は、低放射率コーティングである。この性質のある実施形態において、第2コーティング16は、光触媒コーティングである。そのような一実施形態において、第1コーティング40の第2膜領域および第2コーティング16の第2次膜領域7はいずれも、酸化チタンを含む。この性質のとりわけ好適な実施形態において、第1コーティング40の第1膜領域および第2コーティング16の第1次膜領域6はいずれも、シリカまたはジルコニアを含む。あるいは、これら2つの膜領域はいずれも、酸化錫または酸化亜鉛を含んでもよい。
【0059】
したがって、図5は、第1コーティング40が低放射率コーティングであるコーティング実施形態を例示する。ここで、第2コーティング16は、2つ以上の膜領域6、7を含む。図3は、ある関連した方法/コータ実施形態を例示している。
【0060】
ある実施形態において、第1コーティング40は、上記第1膜領域と基材10の上部主表面14との間に第3膜領域を含み、かつ、第2コーティング16は、上記第1次膜領域と基材の底部主表面12との間に第3次膜領域を含む。図6は、この性質のあるコーティング実施形態を例示している。図2、図4および図7は、関連の方法/コータ実施形態を例示している。ここで、第1コーティング40の第3膜領域および第2コーティング16の第3次膜領域はいずれも、第3膜材料を含む。第1コーティング40の第3膜領域および第2コーティング16の第3次膜領域7は、コータの共通のチャンバ内で同時に蒸着することが好ましい。この性質の一実施形態において、第1コーティング40の第3膜領域および第2コーティング16の第3次膜領域7はいずれも、シリカを含む。別の実施形態において、第1コーティング40の第3膜領域および第2コーティング16の第3次膜領域7はいずれも、酸化錫を含む。
【0061】
発明のある実施形態において、上記第1膜材料と第2膜材料とは、異なった材料であり、上記第1膜材料と第3膜材料とは、異なった材料であり、かつ、上記第2膜材料と第3膜材料とは、異なった材料である。例えば、ある好適な実施形態において、第1膜材料は、酸化ジルコニウムであり、第2膜材料は、酸化チタンであり、第3膜材料は、シリカである。これら実施形態において、第2コーティング16は、表面12から外向きに、シリカ、ジルコニア、そして、チタニアという配列の膜領域を含む。ここで、他の膜領域は、任意に、基材表面12と上記シリカ膜領域との間、上記シリカ膜領域とジルコニア膜領域との間、および/または、上記チタニア膜領域より基材表面12からさらに遠くに蒸着することができる。これらの実施形態において、第1コーティング40は、同じ配列の膜領域を含む。すなわち、第1コーティングは、基材表面14から離れる順に、シリカ膜領域、ジルコニア膜領域、そして、チタニア膜領域により特徴付けられる配列を含む。通例、第1コーティング40は、基材表面14の間、上記シリカ膜領域とジルコニア膜領域との間、および/または、上記チタニア膜領域より基材表面14からさらに遠くに他の膜領域を含むだろう。
【0062】
ここから図3を参照する。ここで、基材10の上面14に、表面14から外向きに、ジルコニア、チタニアという配列の膜領域を含む低放射率コーティングを蒸着するために適合されているコータの実施形態が示されている。この実施形態において、上記ジルコニア膜領域は、希望により、シリカ膜領域と置き換えることができる。図3において、まず、下向きコーティング装置のみが操作されている複数のコーティング区域CZ1〜CZ3を通過させて基材を搬送する。ここで、はじめの3つのコーティング区域CZ1〜CZ3は、基材表面14を覆ってZnO層を、この第1のZnO層を覆って銀層を、この銀層を覆ってニオブ層を、そして、このニオブ層を覆って酸化亜鉛層を蒸着するよう操作される。ここで、基材がコータ99のはじめの3つのコーティング区域CZ1〜CZ3を通過して搬送される間、基材の底面12上に膜は蒸着されない。次いで、このようにコーティングされた基材をコーティング区域CZ4内へ搬送し、そこでジルコニアを基材の両面に施す。その後、基材をコーティング区域CZ5内へ搬送し、そこでチタニアを基材の両面に施す。次いで、基材をさらに6つのコーティング区域CZ5を通過させて搬送し、そこでチタニアを基材の両面に施す。次に、基材を、下向きコーティング装置のみが操作されているさらに6つのコーティング区域CZ6〜CZ11を通過させて搬送する。これら6つのコーティング区域は、基材の上面14上のチタニア層を覆ってジルコニア層を、このジルコニア層を覆って酸化亜鉛層を、この酸化亜鉛層を覆って銀層を、この銀層を覆ってニオブ層を、このニオブ層を覆って窒化ケイ素層を、この窒化ケイ素層を覆って窒化チタン層を、そして最後に最外層の窒化ケイ素層を蒸着するよう操作される。
【0063】
ここから図4および図7を参照する。ここで、基材10の上面に、基材表面14から外向きに、シリカ、ジルコニアそしてチタニアという配列の膜領域を含む第1コーティング40を蒸着するために適合されているコータの2つの実施形態が示されている。これらコータの実施形態は、基材の底面に、基材表面12から外向きに、同じ配列の膜領域を含む第2コーティング16を蒸着するために適合されている。これら実施形態の両方において、基材10の上面14および底面12は、第1コーティング区域CZ1において、好ましくは、このコーティング区域の第1チャンバにおいて、1つ以上の上向きコーティング装置と1つ以上の下向きコーティング装置とを操作することにより、シリカでコーティングすることができる。図34において、次いで、下向きコーティング装置が操作されている他の複数のコーティング区域を通過させて基材を搬送する。図4において、次に、基材を、2つの次のコーティング区域CZ3〜CZ3を通過させて搬送し、その後、上向きコーティング装置および下向きコーティング装置の両方が操作されている2つの隣接したコーティング区域CZ4およびCZ5を通過させて搬送する。これら2つのコーティング区域CZ4〜CZ5のうち1番目のCZ4において、ジルコニアを基材の両面に同時に蒸着し、かつ、これら2つのコーティング区域CZ4〜CZ5のうち2番目のCZ5において、チタニアを基材の両面に同時に蒸着する。図7において、次に、基材を7つの次のコーティング区域CZ2〜CZ9を通過させて搬送し、その後、下向きコーティング装置および上向きコーティング装置の両方が操作されている2つの隣接したコーティング区域CZ9〜CZ10を通過させて搬送する。ここで、これら2つのコーティング区域CZ9〜CZ10は、チャンバの最後の2つのコーティング区域であるが、必ずしもそうでなくともよい。これら2つのコーティング区域CZ9〜CZ10のうち1番目のCZ9において、ジルコニアを基材の両面に同時に蒸着し、かつ、これら2つのコーティング区域CZ9〜CZ10のうち2番目のCZ10において、チタニアを基材の両面に同時に蒸着する。
【0064】
このように、本発明のある実施形態は、第1および第2の概して対向した主表面を有する基材(例えば、シート状基材、好ましくは、ガラスシート)を提供する。基材の第1(または「上部」)主表面14は、第1コーティング40を有し、かつ、基材の第2(または「底部」)主表面12は、第2コーティング16を有する。第1コーティング40は、基材の第1主表面14から離れる順に、第1膜材料を含む第1膜領域および第2膜材料を含む第2膜領域により特徴付けられる配列の膜領域を含む構造を有する。ここで、第2コーティング16は、第1コーティング40の構造とは異なった構造を有する。共同して、第2コーティング16の構造は、基材の第2主表面12から離れる順に、上記第1膜材料を含む第1次膜領域および上記第2膜材料を含む第2次膜領域により特徴付けられる配列の膜領域を含む。
【0065】
ある実施形態において、上記第1膜材料と第2膜材料とは、異なった材料である。上に述べたように、いくつかの実施形態において、第1コーティング40は低放射率コーティングである。この性質のある好適な実施形態において、第2コーティング16は、光触媒コーティングである。そのようないくつかの実施形態において、第1コーティング40の第2膜領域および第2コーティング16の第2次膜領域はいずれも、酸化チタンを含む。上に述べたように、この性質の一実施形態において、第1コーティング40の第1膜領域および第2コーティング16の第1次膜領域はいずれも、酸化ジルコニウムを含む。
【0066】
任意に、第1コーティング40は、上記第1膜領域と基材の第1主表面14との間に第3膜領域を含むことができ、かつ、第2コーティング16は、上記第1次膜領域と基材の第2主表面12との間に第3次膜領域を含むことができる。設けられる際は、第3膜領域および第3次膜領域はいずれも、第3膜材料を含むことが望ましい。一実施形態において、第1コーティング40の第3膜領域および第2コーティング16の第3次膜領域はいずれも、シリカを含む。ある実施形態において、上記第1膜材料と第2膜材料とは、異なった材料であり、上記第1膜材料と第3膜材料とは、異なった材料であり、かつ、上記第2膜材料と第3膜材料とは、異なった材料である。そのようないくつかの実施形態において、第1コーティング40の第1膜領域および第2コーティング16の第1次膜領域はいずれも、ジルコニアを含み、第1コーティング40の第2膜領域および第2コーティング16の第2次膜領域はいずれも、チタニアを含み、かつ、第1コーティング40の第3膜領域および第2コーティング16の第3次膜領域はいずれも、シリカを含む。
【0067】
本発明の好適な実施形態であると考えられているものを説明してきたが、本発明の精神を逸脱することなく他のさらなる変更および修正が可能であることを、当業者ははっきりと理解するだろう。また、そのような変更および修正はすべて本発明の範囲内であることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明のある実施形態に係るコータの略側面図である。
【図2】図2は、発明のある実施形態に係るコータの略側面図である。
【図3】図3は、発明のある実施形態に係るコータの略側面図である。
【図4】図4は、発明のある実施形態に係るコータの略側面図である。
【図5】図5は、発明のある実施形態に係る基材上のコーティングの略断面図である。
【図6】図6は、発明のある実施形態に係る基材上のコーティングの略断面図である。
【図7】図7は、発明のある実施形態に係るコータの略側面図である。
【図8】図8は、発明のある実施形態に係るコーティング区域の略側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状基材の対向する面上に配列コーティングを蒸着する方法であって、
a)基材走行路の上方に搭載された下向きコーティング設備と、前記基材走行路の下方に搭載された上向きコーティング設備と、コータを通過して延在する前記基材走行路を規定する基材支持体とを含む前記コータを準備し、
b)ガラスシートの上部主表面が上向きで、かつ、前記ガラスシートの底部主表面が下向きの概して水平な向きで前記基材走行路に沿って前記ガラスシートを搬送し、
c)前記下向きコーティング設備を操作して、前記ガラスシートの上部主表面上に、前記ガラスシートの上部主表面から離れる順に、第1膜材料を含む第1膜領域および第2膜材料を含む第2膜領域により特徴付けられる配列の膜領域を含む構造を有する第1コーティングを蒸着し、
d)前記上向きコーティング設備を操作して、前記ガラスシートの底部主表面上に、前記第1コーティングの構造とは異なる構造を有し、かつ、前記ガラスシートの底部主表面から離れる順に、前記第1膜材料を含む第1次膜領域および前記第2膜材料を含む第2次膜領域により特徴付けられる配列の膜領域を含む第2コーティングを蒸着することを含み、
前記第1コーティングの前記第1膜領域および前記第2コーティングの前記第1次膜領域は、前記コータの共有チャンバにおいて同時に蒸着され、かつ、前記第1コーティングの前記第2膜領域および前記第2コーティングの前記第2次膜領域は、前記コータの共有チャンバにおいて同時に蒸着されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コータが真空コータであり、前記下向きコーティング設備が、少なくとも1つの下向き真空コーティング装置を含み、かつ、前記上向きコーティング設備は、少なくとも1つの上向き真空コーティング装置を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記下向きコーティング設備が、複数の下向き真空コーティング装置を含み、かつ、前記上向きコーティング設備が、複数の上向き真空コーティング装置を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1コーティングおよび前記第2コーティングが、前記コータを経る前記ガラスシートの1回の通過において前記ガラスシート上に蒸着される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガラスシートが、主要寸法が約0.5m以上の大面積基材である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラスシートが、前記搬送の間、前記基材支持体上に存在し、かつ、ガラスの他の複数のシートもまた、前記搬送の間、前記基材支持体上に存在し、そのようなガラスのシートは、前記基材支持体上で互いに間隔が空いており、かつ、そのような間隔のあいた構成で搬送される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基材支持体は、互いに間隔のあいた複数の移送ローラを含み、前記方法は、前記移送ローラのうちの少なくとも1つを回転させて、前記ガラスシートの前記搬送を容易にし、その結果、前記搬送の間、前記ガラスシートの前記底部主表面が、前記ローラと物理的に直接接触するようになることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1膜材料と前記第2膜材料とが、互いに異なる材料である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1コーティングが、低放射率コーティングである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2コーティングが、光触媒コーティングである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2膜材料がチタニアであり、その結果、前記第1コーティングの前記第2膜領域および前記第2コーティングの前記第2次膜領域がいずれも、チタニアを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1材料がシリカであり、その結果、前記第1コーティングの前記第1膜領域および前記第2コーティングの前記第1次膜領域がいずれも、シリカを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1膜材料がジルコニアであり、その結果、前記第1コーティングの前記第1膜領域および前記第2コーティングの前記第1次膜領域がいずれも、ジルコニアを含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1コーティングは、前記第1膜領域と前記ガラスシートの上部主表面との間に第3膜領域を含み、かつ、前記第2コーティングは、前記第1次膜領域と前記ガラスシートの底部主表面との間に第3次膜領域を含み、前記第1コーティングの前記第3膜領域および前記第2コーティングの前記第3次膜領域はいずれも、第3膜材料を含み、前記第1コーティングの前記第3膜領域および前記第2コーティングの前記第3次膜領域は、前記コータの共有チャンバ内で同時に蒸着される請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1膜材料と前記第2膜材料とが、異なった材料であり、前記第1膜材料と前記第3膜材料とが、異なった材料であり、かつ、前記第2膜材料と前記第3膜材料とが、異なった材料である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第3膜材料がシリカであり、その結果、前記第1コーティングの前記第3膜領域および前記第2コーティングの前記第3次膜領域がいずれも、シリカを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1膜材料がジルコニアであり、その結果、前記第1コーティングの前記第1膜領域および前記第2コーティングの前記第1次膜領域がいずれも、ジルコニアを含み、かつ、前記第2膜材料がチタニアであり、その結果、前記第1コーティングの前記第2膜領域および前記第2コーティングの前記第2次膜領域がいずれも、チタニアを含む請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−520525(P2008−520525A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541439(P2007−541439)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/041351
【国際公開番号】WO2006/080968
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】