説明

金属屑、金属屑の洗浄装置および金属屑の洗浄方法

【課題】金属屑から分離した異物が金属屑に再付着することを抑制することができる金属屑の洗浄装置を得る。
【解決手段】異物5が付着した金属屑6が内側に入れられ、洗浄水1を貯留する洗浄槽2と、金属屑6を攪拌する攪拌機7と、洗浄槽2に貯留された洗浄水1に気泡3を供給し、気泡3を異物5に吸着させ、異物5を金属屑6から分離させ、気泡3が洗浄水1の水面に向かって浮上するのに伴って異物5を浮上させる気泡生成器4と、洗浄水1を洗浄槽2からオーバーフローさせて、異物5を洗浄槽2の外側へ排出する異物排出手段11とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、異物が付着した金属屑が内側に入れられ、洗浄液を貯留する洗浄槽と、洗浄液に気泡を供給する気泡供給手段とを備えた金属屑の洗浄装置およびこの装置を用いた金属屑の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異物が付着した金属屑が内側に入れられ、洗浄液を貯留する洗浄槽と、金属屑を移動させる搬送手段と、移動する金属屑に向かって洗浄液を吹き付けて金属屑を浮遊させる洗浄液吹き付け手段と、浮遊した金属屑に超音波を照射して金属屑から異物を分離させる超音波発生手段とを備えた金属屑の洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−271972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、金属屑から分離した異物は、そのまま、洗浄槽に貯留された洗浄液に存在しているので、金属屑に異物が再付着してしまう恐れがあるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、金属屑から分離した異物が金属屑に再付着することを抑制することができる洗浄装置および洗浄方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る金属屑の洗浄装置は、異物が表面に付着した金属屑が内側に入れられ、洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽の内側に設けられた回転部を有し、前記回転部が回転することで前記金属屑を攪拌する攪拌手段と、前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液に気泡を供給し、前記気泡を前記異物に吸着させ、前記気泡の衝突によって前記異物を前記金属屑から分離させ、前記気泡が前記洗浄液の液面に向かって浮上するのに伴って前記異物を浮上させる気泡供給手段と、前記洗浄液を前記洗浄槽からオーバーフローさせて、浮上した前記異物を前記洗浄槽の外側へ排出する異物排出手段とを備え、前記気泡供給手段は、前記洗浄液とともに前記気泡を噴射する気泡生成器であり、前記気泡生成器の流出口は、前記攪拌手段によって攪拌される前記金属屑に指向している。
【0007】
また、この発明に係る金属屑の洗浄装置は、異物が表面に付着した金属屑が内側に入れられ、洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記金属屑を攪拌する攪拌手段と、前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液に気泡を供給し、前記気泡を前記異物に吸着させ、前記気泡の衝突によって前記異物を前記金属屑から分離させ、前記気泡が前記洗浄液の液面に向かって浮上するのに伴って前記異物を浮上させる気泡供給手段と、前記洗浄液を前記洗浄槽からオーバーフローさせて、浮上した前記異物を前記洗浄槽の外側へ排出する異物排出手段とを備え、前記気泡供給手段は、前記攪拌手段を兼用する。
【0008】
また、この発明に係る金属屑の洗浄方法は、洗浄液が貯留された洗浄槽の内側に設けられた回転部を回転させて、前記洗浄槽の内側に入れられた、異物が表面に付着した金属屑を攪拌する攪拌工程と、攪拌された前記金属屑に向かって気泡生成器から前記洗浄液とともに気泡を噴射して、前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液に前記気泡を供給し、前記気泡を前記異物に吸着させ、前記気泡の衝突によって前記異物を前記金属屑から分離させ、前記気泡が前記洗浄液の液面に向かって浮上するのに伴って前記異物を浮上させる気泡供給工程と、前記洗浄液を前記洗浄槽からオーバーフローさせて、浮上した前記異物を前記洗浄槽の外側へ排出する異物排出工程とを備えている。
【0009】
また、この発明に係る金属屑の洗浄方法は、洗浄液が貯留された洗浄槽に気泡供給手段から前記洗浄液とともに気泡を噴射して、洗浄槽の内側に入れられた、異物が表面に付着した金属屑を攪拌する攪拌工程と、攪拌された前記金属屑に向かって前記気泡供給手段から前記洗浄液とともに前記気泡を噴射して、前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液に前記気泡を供給し、前記気泡を前記異物に吸着させ、前記気泡の衝突によって前記異物を前記金属屑から分離させ、前記気泡が前記洗浄液の液面に向かって浮上するのに伴って前記異物を浮上させる気泡供給工程と、前記洗浄液を前記洗浄槽からオーバーフローさせて、浮上した前記異物を前記洗浄槽の外側へ排出する異物排出工程とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る金属屑の洗浄装置によれば、異物排出手段が、金属屑から分離して浮上した異物を洗浄槽の外側に排出するので、金属屑から分離した異物が金属屑に再付着することを抑制することができる。
また、この発明に係る金属屑の洗浄方法によれば、異物排出工程により、金属屑から分離して浮上した異物が洗浄槽の外側に排出されるので、金属屑から分離した異物が金属屑に再付着することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る金属屑の洗浄装置を示す構成図である。
【図2】図1の気泡生成器を示す断面図である。
【図3】図1の気泡生成器を駆動させて、異物が付着した金属屑を洗浄する洗浄方法を示す説明図である。
【図4】図1の気泡生成器および超音波発生器を駆動させて、異物が固着した金属屑を洗浄する洗浄方法を示す説明図である。
【図5】図1の気泡生成器および超音波発生器を駆動させて、微細な凹凸部の内側に異物が付着した金属屑を洗浄する洗浄方法を示す説明図である。
【図6】銅屑の洗浄前後における銅屑に付着した残留油分密度を測定した結果を示した図である。
【図7】気泡を用いた金属屑の洗浄を繰り返し行ったときの残留油分密度の変化と、超音波とアルカリ洗剤とを用いた金属屑の洗浄を繰り返し行ったときの残留油分密度の変化とを示した図である。
【図8】金属屑が工場の金属切断・切削工程で排出されてから溶解・再利用工程に供されるまでのシーケンスを示す説明図である。
【図9】樹脂微粉末が付着した銅屑に、ふるいによる前処理を行ったときの樹脂微粉末の総重量を示した図である。
【図10】水溶性油が付着した銅屑に、湯洗による前処理を行ったときの銅屑に付着した残留油分密度を示した図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る金属屑の洗浄装置の要部を示す断面図である。
【図12】銅屑の洗浄前後における銅屑に付着した残留油分密度を測定した結果を示した図である。
【図13】この発明の実施の形態3に係る金属屑の洗浄装置の要部を示す断面図である。
【図14】銅屑の洗浄前後における銅屑に付着した残留油分密度を測定した結果を示した図である。
【図15】図15(a)はこの発明の実施の形態4に係る金属屑の洗浄装置の要部を示す断面図、図15(b)は図15(a)の洗浄装置の要部を示す平面図である。
【図16】銅屑の洗浄前後における銅屑に付着した残留油分密度を測定した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置を示す構成図である。
この実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置は、洗浄液である洗浄水1を貯留する洗浄槽2と、洗浄水1に気泡3を供給する気泡供給手段である複数の気泡生成器4とを備えている。
ここで、気泡3とは、球状となる微細な気泡3のことである。微細な気泡3と異なる通常の大きな気泡は、水中を浮上するときに受ける水からの抗力によって、球状でなくなり、歪んだ形となる。
これに対して、微細な気泡3は気泡3の内部の圧力が高いため、水の抗力による歪みがなく、球状となることが広く知られている。
具体的には、気泡3の径が1mm以下となる場合に、気泡3は球状となる。
洗浄槽2は、開口部が上方を向いた有底円筒形状であり、異物5が付着した金属屑6を上方から内側に入れることができる。
気泡生成器4から供給された気泡3は、異物5を吸着し、金属屑6から異物5を分離させて、異物5を洗浄水1の水面に向かって浮上させる。
それぞれの気泡生成器4は、洗浄槽2の上部に取り付けられている。
【0013】
洗浄水1には、微細な気泡3を安定して維持するために、アルコール系化合物または界面活性材等の添加剤が添加されている。
この添加剤は、分子内にカルボキシル基とアミノ基とを有した、分子量をカルボキシル基の数で割った値が94以上280以下の物質、分子内に複数の水酸基を有した、分子量を水酸基の数で割った値が38以上73以下の物質、分子内にエステル基を有した、分子量をエステル基の数で割った値が47以上140以下の物質、または、分子内にスルホン酸基を有した、分子量をスルホン酸基の数で割った値が47以上140以下の物質等である。
この添加剤を、洗浄水1中に0.001[mol/L]以上1[mol/L]以下の微量を添加することで、微細な気泡3を安定して維持することができる。
また、その他の添加剤としては、アルコール系化合物を主とする水酸基含有化合物(a1)、アミノ基含有化合物(a2)、カルボキシル基含有化合物(a3)が好ましい。
また、水酸基含有化合物(a1)のうち、1価のアルコール(a11)および2価〜8価の多価アルコール(a12)、フェノール類(a13)、多価フェノール類(a14)、その他の多価アルコール類(a15)がより好ましい。
また、アミノ基含有化合物(a2)のうち、モノアミン類(a21)、ポリアミン類(a22)およびアルカノールアミン類(a23)がより好ましい。
また、特に好ましいのは、1価のアルコール(a11)および2価〜8価の多価アルコール(a12)であり、とりわけ好ましいのは、1価のアルコール(a11)である。
【0014】
1価のアルコール(a11)としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、1−ペンタノール、アリルアルコール、および合成または天然の高級アルコール(例えば、炭素数14〜15の合成アルコール(市販品としては、ドバノール45(三菱化学株式会社製))等の炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜8の1価のアルコールが挙げられる。
【0015】
多価アルコール(a12)としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンおよび2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の炭素数2〜18の2価アルコールが挙げられる。
また、多価アルコール(a12)としては、グリセリンおよびトリメチロールプロパン等の炭素数3〜18の3価アルコールが挙げられる。
また、多価アルコール(a12)としては、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリグリセリン、αーメチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトースおよびショ糖等の4〜8価のアルコールが挙げられる。
【0016】
フェノール類(a13)としては、フェノールおよび炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルフェノール(例えば、クレゾールおよびp−エチルフェノール等)等の1価のフェノールが挙げられる。
【0017】
多価フェノール類(a14)としては、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)およびトリスフェノール(例えば、トリスフェノールPA等)等の多価アルコールが挙げられる。
【0018】
その他の多価アルコール類(a15)としては、セルロール系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらのケン化物等)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、ノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)、ポリフェノール、ポリブタジエンポリオール、ひまし油系ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体およびポリビニルアルコールなどの多官能(2〜100)ポリオール等のその他の多価アルコールが挙げられる。
【0019】
アミノ基含有化合物(a2)としては、アンモニア、モノアミン類(a21)、ポリアミン類(a22)、アルカノールアミン類(a23)およびその他の多価アルコールが挙げられる。
【0020】
モノアミン類(a21)の具体例としては、炭素数1〜20のアルキルモノアミン類(ブチルアミン等)、炭素数6〜18の芳香族モノアミン(アニリン等)のモノアミン類等が挙げられる。
【0021】
ポリアミン類(a22)としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン、ピペラジンおよびN−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン類、並びに、ジシクロヘキシルメタンジアミン、およびイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミンが挙げられる。
また、ポリアミン類(a22)としては、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミンおよびポリフェニルメタンポリアミン等の芳香族ポリアミン、ジカルボン酸と過剰のポリアミン類との縮合により得られるポリアミドポリアミン、並びに、ポリエーテルポリアミンが挙げられる。
【0022】
アルカノールアミン(a23)としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミン等のアミノアルコール(この場合は、アルコールとアミンの両方の活性水素がp価の価数に相当する。)が挙げられる。
【0023】
添加剤の濃度としては、1ppmから1000ppmの濃度の範囲で用いることが好ましく、特に好ましいのは、5ppmから100ppmの濃度の範囲である。
【0024】
また、この洗浄装置は、洗浄槽2の内側に入れられた金属屑6を攪拌する攪拌手段である攪拌機7を備えている。
この攪拌機7は、洗浄槽2の底面に設けられた回転部である攪拌翼7aと、基端部がこの攪拌翼7aの中心に固定され、先端部が上方向に延びた回転軸7bと、この回転軸7bの先端部に設けられたモータ部7cとを有している。
回転軸7bの軸線は鉛直方向であり、攪拌翼7aは回転軸7bを回転中心に回転する。
気泡生成器4の先端部は、攪拌機7によって攪拌される金属屑6に指向している。
【0025】
金属屑6は、金属の切断、切削またはその他の機械加工において発生するものであり、粒径0.1[μm]〜50,000[μm]の大きさである。
金属屑6は、鉄または銅等の重金属、アルミニウム、マグネシウムまたはチタン等の軽金属、金、銀、白金またはパラジウム等の貴金属、リチウム、チタンまたはモリブデン等のレアメタル、またはこれらの合金である。
なお、金属屑6は、これらの材料に限らず、比重が水より重いものであれば、例えば、熱硬化性樹脂、ポリエチレンまたはポリプロピレン等の汎用プラスチック、またはポリエチレンテレフタラート等のエンジニアリング・プラスチックまたはABS樹脂等の特殊な合成樹脂であってもよい。
【0026】
また、この洗浄装置は、それぞれの気泡生成器4に接続された空気管8と、この空気管8に接続されたガスポンプ9と、空気管8に取り付けられたガス流量計10とを備えている。
ガスポンプ9は、空気管8を介して、気泡生成器4に空気を供給する。
ガス流量計10は、空気管8を流れる空気の量を計測する。
【0027】
また、この洗浄装置は、洗浄槽2から洗浄水1をオーバーフローさせて、金属屑6から分離して洗浄水1の水面に向かって浮上した異物5を洗浄槽2の外側に排出する異物排出手段11を備えている。
異物排出手段11は、それぞれの気泡生成器4に接続された洗浄水循環管12と、この洗浄水循環管12に接続された水循環ポンプ13とを有している。
水循環ポンプ13は、洗浄水循環管12を介して、気泡生成器4に洗浄水1を供給し、気泡生成器4から洗浄槽2へ洗浄水1が供給され、洗浄水1が洗浄槽2の許容量を超えて洗浄槽2に供給されることで、洗浄水1が洗浄槽2からオーバーフローする。
また、この洗浄装置は、洗浄水循環管12に取り付けられた第1の水量計14aおよび水圧計14bを備えている。
第1の水量計14aは、洗浄水循環管12を流れる洗浄水1の量を計測する。
【0028】
また、この洗浄装置は、洗浄槽2の外側に取り付けられた桶15と、一端部がこの桶15に接続された配管16と、この配管16の他端部が内側に臨んだ油水分離槽17とを備えている。
桶15は洗浄槽2からオーバーフローした洗浄水1を受け、桶15で集められた洗浄水1は、配管16を介して、油水分離槽17へ送られて、油水分離槽17に貯留される。
油水分離槽17には洗浄水循環管12が接続されており、油水分離槽17に貯留された洗浄水1は、異物5が除去された後に、水循環ポンプ13の駆動によって、再び洗浄槽2に送り込まれる。
【0029】
また、この洗浄装置は、洗浄槽2の上部に取り付けられた複数枚の第1のメッシュ18を備えている。
それぞれの第1のメッシュ18は、上方から視たときに、一方の第1のメッシュ18の開口部と他方の第1のメッシュ18の開口部とが、互いにずれて積み重ねられている。
浮上した金属屑6が第1のメッシュ18に衝突することで、金属屑6は洗浄槽2の底面に沈殿する。
【0030】
また、この洗浄装置は、一端部が洗浄槽2の内側に臨み、他端部が油水分離槽17の内側に臨んだ流路管19と、この流路管19の中間部に取り付けられた水ポンプ20と、この水ポンプ20より下流側の流路管19に取り付けられた第2の水量計21とを備えている。
水ポンプ20が駆動することで、洗浄槽2に貯留された洗浄水1は、流路管19を介して、油水分離槽17へ送り込まれる。
第2の水量計21は、流路管19を流れる洗浄水1の量を計測する。
【0031】
また、この洗浄装置は、洗浄槽2に取り付けられた複数の超音波発生器22を備えている。
超音波発生器22は、洗浄槽2に貯留された洗浄水1に超音波を供給し、この超音波が金属屑6に照射されることで、金属屑6に付着した異物5が、金属屑6から分離する。
【0032】
また、この洗浄装置は、洗浄槽2の底面に取り付けられた洗浄槽搬出手段23と、油水分離槽17の底面に取り付けられた油水分離槽搬出手段24とを備えている。
洗浄槽搬出手段23は、洗浄槽2の底面に形成された搬出口を開閉する開閉蓋23aと、この開閉蓋23aを開閉させるレバー23bとを有している。
レバー23bを用いて開閉蓋23aを回動させて、搬出口を開くことで、洗浄後の金属屑6を洗浄槽2から搬出することができる。
油水分離槽搬出手段24は、油水分離槽17の底面に形成された搬出口を開閉する開閉蓋24aと、この開閉蓋24aを開閉させるレバー24bとを有している。
レバー24bを用いて開閉蓋24aを回動させて、搬出口を開くことで、油水分離槽17の内側に混入した金属屑6を油水分離槽17から搬出することができる。
【0033】
図2は、図1の気泡生成器4を示す断面図である。
気泡生成器4は、ベンチュリータイプの管であり、この気泡生成器4は、基端部に、洗浄水1が流入する流入口4aが形成され、先端部に、洗浄水1が流出する流出口4bが形成されている。
また、この気泡生成器4は、中間部に、流入口4aと流出口4bとを連通した狭窄部4cと、外側から狭窄部4cの内部空間に連通したガス吸引口4dとが形成されている。
狭窄部4cは、流入口4aおよび流出口4bより流路が狭く形成されている。
流入口4aから流入した洗浄水1は、狭窄部4cで流速が早くなり、この狭窄部4cで発生する減圧現象(ベルヌーイの定理)を利用して、ガス吸引口4dから外側の空気が吸引され、洗浄水1に気泡3が混入する。
したがって、ガスポンプ9を駆動させなくても、気泡3を洗浄水1に混入させることができる。
なお、ガスポンプ9を駆動させて気泡生成器4に空気を送り、ガス流量計10で空気の量を検出し、検出される空気の量が所定の量となるように、ガスポンプ9の駆動を調整することで、気泡3の径および気泡3の密度を調整することができる。
【0034】
また、この洗浄装置は、気泡生成器4の流出口4bに設けられた逆止弁25を備えている。
この逆止弁25は、異物5または金属屑6が気泡生成器4の内側に流入することを防ぐ。
なお、逆止弁25に限らず、例えば、微細な第3のメッシュであってもよい。ただし、この第3のメッシュの場合、目詰まりが発生する可能性があるので、定期的に第3のメッシュを交換し、または、第3のメッシュの逆洗手段を洗浄装置に取り付けることが好ましい。
気泡生成器4が洗浄水1および気泡3を噴射している間は、気泡生成器4の中では、流入口4aから流出口4bに向かって洗浄水1および気泡3が流れる。
一方、気泡生成器4からの洗浄水1および気泡3の噴射を停止したときには、気泡生成器4の中では、洗浄水1および気泡3の流れが停止し、または流出口4bから流入口4aに向かって洗浄水1および気泡3が流れる。
この流出口4bから流入口4aに向かって洗浄水1および気泡3が流れた場合には、逆止弁25によって、異物5または金属屑6が気泡生成器4の内側に流入することが防止されるので、狭窄部4cに異物5または金属屑6が詰まってしまうことが防止され、また、異物5または金属屑6が気泡生成器4を通過して水循環ポンプ13の内側に入り込むことが防止される。
【0035】
図3は図1の気泡生成器4を駆動させて、異物5が付着した金属屑6を洗浄する洗浄方法を示す説明図である。
金属屑6の洗浄を行う前では、洗浄水1のすべては、油水分離槽17に貯留されており、洗浄槽2には洗浄水1が存在していない。
まず、洗浄槽2の内側に異物5が付着した金属屑6を入れる。
次に、図3の(a)に示すように、攪拌機7が金属屑6を攪拌する攪拌工程を行うとともに、気泡生成器4が洗浄水1とともに気泡3を垂直下向きに噴射する気泡供給工程を行う。
気泡生成器4が洗浄水1および気泡3を噴射することにより、洗浄槽2には、洗浄水1が貯留される。
このとき、洗浄水1とともに気泡生成器4から噴射された気泡3は、図3の(b)に示すように、金属屑6に衝突して、金属屑6の表面に付着した異物5を吸着する。
気泡3に吸着された異物5は、図3の(c)に示すように、金属屑6から分離する。
【0036】
洗浄槽2の許容量の9割程度まで洗浄水1が洗浄槽2に貯留されたときには、攪拌機7による金属屑6の攪拌を停止し、気泡生成器4への洗浄水1の供給量および空気の供給量を2分の1以上10分の1以下まで下げる金属屑沈殿工程を行う。
これにより、気泡生成器4から洗浄槽2へ噴射される洗浄水1および気泡3の量が低減され、図3の(d)に示すように、気泡3に吸着された異物5および気泡3に吸着された金属屑6は、気泡3が洗浄水1の水面に向かって浮上するのに伴って浮上し、気泡3に吸着されていない金属屑6は洗浄槽2の底面に沈殿する。
気泡3に吸着された異物5は、洗浄水1の水面付近で第1のメッシュ18に衝突する。
第1のメッシュ18に衝突した異物5は、疎水性であるので、気泡3に吸着されたまま、さらに洗浄水1の水面に向かって浮上し、気泡3が洗浄水1の水面で波泡して、洗浄水1の水面に放出される。
気泡3に吸着された金属屑6は、洗浄水1の水面付近で第1のメッシュ18に衝突する。
第1のメッシュ18に衝突した金属屑6は、親水性であるので、気泡3と分離して、洗浄槽2の底面に沈殿する。
【0037】
次に、気泡生成器4への気泡3の供給を停止する異物排出工程を行う。
これにより、気泡生成器4から洗浄槽2への気泡3の供給が停止され、金属屑6は洗浄槽2の底面に完全に沈殿する。
また、気泡生成器4からは洗浄水1が噴射され続けるので、洗浄水1は、洗浄水1の表面近くに浮上した異物5とともに、洗浄槽2からオーバーフローして桶15に集められる。
桶15に集められた洗浄水1および異物5は、配管16を介して、油水分離槽17に貯留される。
次に、気泡生成器4への洗浄水1の供給を停止し、水ポンプ20を駆動させて、洗浄槽2に貯留された洗浄水1を、流路管19を介して、油水分離槽17へ送り込む。
最後に、レバー23bを用いて開閉蓋23aを回動させて、洗浄後の金属屑6を洗浄槽2から搬出する。
【0038】
図4は、図1の気泡生成器4および超音波発生器22を駆動させて、異物5が固着した金属屑6を洗浄する洗浄方法を示す説明図である。
例えば、異物5が金属屑6に付着してから長時間経過した場合には、金属屑6に付着した異物5は金属屑6に固着した状態となり、気泡生成器4を駆動させただけでは、金属屑6から異物5を分離させることが困難となる場合がある。
この場合、気泡生成器4の駆動と、超音波発生器22の駆動とを、例えば、5秒〜5分間隔で切り換えて行う。
まず、気泡生成器4を駆動させ、金属屑6に付着した大まかな異物5を金属屑6から分離させる気泡供給工程を行う。
次に、超音波発生器22を駆動させ、超音波発生器22から洗浄水1へ超音波を供給する超音波供給工程を行い、図4(a)に示すように、超音波が金属屑6に照射される。
これにより、金属屑6に固着していた異物5は、図4(b)に示すように、金属屑6から分離し、金属屑6の周辺に存在する。
次に、超音波発生器22の駆動を停止し、再度、気泡生成器4を駆動させる気泡供給工程を行うことで、図4(c)に示すように、洗浄水1に気泡3が供給され、この気泡3が金属屑6の周辺に存在する異物5を吸着する。
気泡3に吸着された異物5は、洗浄水1の水面に向かって浮上するので、金属屑6に再付着することが抑制される。
【0039】
図5は、図1の気泡生成器4および超音波発生器22を駆動させて、微細な凹凸部の内側に異物5が付着した金属屑6を洗浄する洗浄方法を示す説明図である。
例えば、金属屑6の微細な凹凸部の内側に異物5が付着し、かつ、この凹凸部に気泡3が入り込むことができない場合には、気泡生成器4を駆動させただけでは、金属屑6から異物5を分離させることが困難となる場合がある。
この場合、気泡生成器4の駆動と、超音波発生器22の駆動とを、例えば、10秒〜5分間隔で切り換えて行う。
まず、気泡生成器4を駆動させ、金属屑6に付着した大まかな異物5を金属屑6から分離させる気泡供給工程を行った後、超音波発生器22を駆動させ、超音波発生器22から洗浄水1へ超音波を供給する超音波供給工程を行い、図5(a)に示すように、超音波が金属屑6に照射される。
これにより、金属屑6の凹凸部の内側に付着していた異物5は、図5(b)に示すように、金属屑6の凹凸部から分離し、金属屑6の周辺に存在する。
次に、超音波発生器22の駆動を停止し、再度、気泡生成器4を駆動させる気泡供給工程を行うことで、図5(c)に示すように、洗浄水1に気泡3が供給され、この気泡3が金属屑6の周辺に存在する異物5を吸着する。
気泡3に吸着された異物5は、洗浄水1の水面に向かって浮上するので、金属屑6に再付着することが抑制される。
【0040】
実際、本願発明者は、この洗浄装置を用いて、銅製品の製造工程から排出された、異物5である油が付着した金属屑6である銅屑を洗浄する実験を行った。
図6は、銅屑の洗浄前後における銅屑に付着した残留油分密度を測定した結果を示した図である。
なお、効果を比較するために、従来から行われているアルカリ洗剤が添加された洗浄水1を用いた洗浄の結果も図6に示している。
このときのアルカリ洗剤の洗浄水1中の濃度を10%とした。
実験条件として、銅屑の粒径を500[μm]〜1,000[μm]、銅屑の洗浄槽2内での占有率を10[%]以下、攪拌機7の攪拌速度を30〜60[rpm]、洗浄水1中の添加剤の濃度を0.005[mol/L]、洗浄水1の温度を50[℃]、気泡生成器4から噴射される洗浄水1の量と空気の量との比を1:1〜1:3とした。
微細な気泡3を用いた洗浄では、5分間の洗浄を行い、微細な気泡3と超音波とを用いた洗浄では、微細な気泡3を用いた2分間の洗浄と、超音波を用いた2分間の洗浄と、微細な気泡3を用いた2分間の洗浄と、超音波を用いた2分間の洗浄と、微細な気泡3を用いた1分間の洗浄とからなる5段階の切換運転によって洗浄を行った。
その後、攪拌機7の駆動を止め、気泡生成器4から噴射される洗浄水1および気泡3の量を、洗浄時の3分の1に減少させて銅屑と油とを分離させた。
さらに、気泡生成器4からの気泡3の噴射を完全に止め、洗浄水1のみを噴射させて、浮上した油を洗浄水1とともに洗浄槽2からオーバーフローさせ、油を洗浄水1とともに桶15および配管16を介して油水分離槽17に移動させた。
油水分離槽17では、スキマーを用いて油を取り除き、その後、水ポンプ20を駆動させて、洗浄槽2の洗浄水1を全て、油水分離槽17に移動させた。
洗浄槽2から銅屑を取り出し、水洗いした後に、60[℃]の乾燥機で銅屑の水分を完全に蒸発させた。
乾燥後の銅屑を1[g]測り取って、油分抽出溶媒に浸漬させ残留油分を抽出し、油分濃度計を用いて残留油分濃度を測定した。
測定された残留油分濃度と、銅屑1[g]の総表面積とから残留油分密度を算出した。
なお、光学顕微鏡で1粒の銅屑の表面積を測定し、それぞれの銅屑の表面積が同一であるとして、1粒の表面積に1[g]あたりの粒数を乗じて、銅屑1[g]の総表面積を算出した。
図6に示すように、洗浄を行う前の銅屑の残留油分密度が、518.1[μg/cm]であり、また、アルカリ洗浄を行った後の銅屑に付着した残留油分密度は、112.5[μg/cm]であるのに対し、微細な気泡3を用いた洗浄を行った後の銅屑に付着した残留油分密度は、30.7[μg/cm]まで低下し、また、微細な気泡3と超音波とを用いた洗浄を行った後の銅屑に付着した残留油分密度は、3.2[μg/cm]まで低下した。
【0041】
金属屑6の洗浄装置を実際にライン化するためには、金属屑6を繰り返し洗浄した場合であっても、安定して良好な洗浄効果が得られることを確かめる必要がある。つまり、繰り返し洗浄にともない速やかに洗浄液が劣化し、洗浄効果が低下してしまう場合には、洗浄効果を保つために、定期的に洗浄液の補充または交換が必要となる。
そこで、実際に、本願発明者は、金属屑6の洗浄を繰り返し行う実験を行った。
図7は、気泡3を用いた金属屑6の洗浄を繰り返し行ったときの残留油分密度の変化と、超音波とアルカリ洗剤とを用いた金属屑6の洗浄を繰り返し行ったときの残留油分密度の変化とを示した図である。
気泡3を用いた金属屑6の洗浄実験は、上述した方法で繰り返し行った。
超音波とアルカリ洗剤とを用いた金属屑6の洗浄実験は、上述したアルカリ洗剤が添加された洗浄水1に超音波を照射した。
気泡3を用いた洗浄では、洗浄バッチ回数が1回のときに、金属屑6の残留油分密度が30.7[μg/cm]であり、洗浄バッチ回数を6回行っても、金属屑6の残留油分密度は同程度であり、洗浄水1の劣化が全く見られなかった。
一方、超音波とアルカリ洗剤とを用いた洗浄では、洗浄バッチ回数が1回のときに、22.3[μg/cm]となり、図6のアルカリ洗剤を用いた洗浄結果と比較して、良い洗浄効果が得られたが、繰り返して洗浄を行うにつれて、洗浄効果が低下し、洗浄バッチ回数が6回のときに、金属屑6の残留油分密度が58.3[μg/cm]まで悪化した。
これは、超音波とアルカリ洗剤とを用いた洗浄では、洗浄水1中に異物5が蓄積されて、金属屑6の周辺に存在するため、洗浄水1が速やかに劣化する一方、気泡3を用いた洗浄では、洗浄水1中の異物5が気泡3に吸着されて洗浄水1の水面に向かって浮上して、さらに浮上した異物5が除去されるので、洗浄水1の劣化が低減されることによる。
【0042】
次に、工場の金属切断・切削工程で金属屑6が排出されてから、この金属屑6が溶解・再利用工程に供されるまでのシーケンスについて説明する。
図8は、金属屑6が工場の金属切断・切削工程で排出されてから溶解・再利用工程に供されるまでのシーケンスを示す説明図である。
まず、工場で発生した金属屑6に大量の異物5が付着している場合には、ふるいまたは湯洗等の前処理を行って大体の異物5を金属屑6から除去する(ステップS1)。
次に、上述したように、気泡3と超音波とを用いた洗浄を行う(ステップS2)。
洗浄後の金属屑6を洗浄槽2から取り出した後、水切り(エアブロー)によって、金属屑6に付着した洗浄水1を飛ばす(ステップS3)。
その後、必要に応じて、水すすぎを行い(ステップS4)、さらに、熱風乾燥を行って金属屑6に付着した残水分を確実に除去し(ステップS5)、金属屑6が溶解工程に供される。
【0043】
次に、上述した前工程について説明する。
金属の切断・切削工程によって金属屑6が発生した際、金属屑6には、油または樹脂微粉末等の異物5が大量に付着している。この状態で金属屑6を洗浄装置に入れて洗浄することで、洗浄水1中に大量の異物5が放出される。
その結果、洗浄水1から異物5を分離・回収するために長い時間が必要となり、洗浄水1中の異物5が確実に分離されずに洗浄水1が劣化してしまう場合がある。
そこで、この洗浄装置に金属屑6を入れる前に、金属屑6に前処理を行って、付着した異物5の量を減らすことで、洗浄装置による金属屑6の洗浄を円滑に行うことができる。
実際、本願発明者は、前処理として、ふるいと、湯洗との2つ処理を実験した。
【0044】
図9は、異物5である樹脂微粉末が付着した金属屑6である銅屑に、ふるいによる前処理を行ったときの樹脂微粉末の総重量を示した図である。
なお、銅屑の粒径は、800〜1,200[μm]である。
開口部の径が500[μm]のメッシュから構成されたかごに、5[kg]の銅屑を入れて、機械的に1分間、上下に振動させた。
気泡3を用いた洗浄の後には、銅屑から樹脂微粉末が全て除去されていることから、前処理を行う前の銅屑の総重量と、前処理を行った後の銅屑の総重量と、気泡3を用いた洗浄の後の銅屑の総重量とから、前処理を行う前の樹脂微粉末の総重量と、前処理を行った後の樹脂微粉末の総重量とを算出した。
図9に示すように、前処理をする前の1[kg]の銅屑に付着した樹脂微粉末の総重量が、142.5[g]であるのに対し、ふるいによる前処理をした後の1[kg]の銅屑に付着した樹脂微粉末の総重量は30.1[g]となり、簡単な前処理を行うことにより、約80%の樹脂微粉末を金属屑6から除去することができた。
【0045】
図10は、異物5である水溶性油が付着した金属屑6である銅屑に、湯洗による前処理を行ったときの銅屑に付着した残留油分密度を示した図である。
なお、銅屑の粒径は、800〜1,200[μm]である。
上述したメッシュから構成されたかごに、5[kg]の銅屑を入れて、50[℃]の水を1[L]、銅屑に滴下した後、水切り(エアブロー)を行った。
図10に示すように、前処理を行う前の銅屑に付着した残留油分密度は、522.3[μg/cm]であるのに対し、湯洗による前処理を行った後の銅屑に付着した残留油分密度は、194.6[μg/cm]となり、簡単な前処理を行うことにより、約60%の水溶性油を金属屑6から除去することができた。
【0046】
以上説明したように、この実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置によれば、攪拌機7によって金属屑6が攪拌され、攪拌された金属屑6に付着している異物5を、気泡生成器4から供給された気泡3が吸着し、気泡3に吸着された異物5が金属屑6から分離して洗浄水1の水面に向かって浮上し、異物排出手段11により、洗浄槽2から洗浄水1がオーバーフローして、洗浄水1の水面付近まで浮上した異物5を洗浄槽2の外側に排出するので、金属屑6から分離した異物5が金属屑6に再付着することを抑制することができる。
その結果、再付着した異物5をさらに洗浄する必要がなくなるので、洗浄装置のエネルギー消費量を削減することができる。
また、洗浄水1および気泡3によって異物5を金属屑から分離するので、有害性または有毒性のある洗浄液を用いた場合と比較して、有害性または有毒性の物質を削減することができ、環境負荷を低減させることができる。
また、攪拌機7は、洗浄槽2の内側に取り付けられた、回転することで金属屑6を攪拌する回転部を有し、気泡生成器4は、金属屑6に指向して洗浄水1および気泡3を噴射するので、攪拌機7が金属屑6を攪拌するとともに、気泡生成器4が洗浄水1および気泡3を金属屑6に衝突させることができ、金属屑6に固着した異物5を金属屑6から除去することができる。
【0047】
また、この実施の形態に係る金属屑6の洗浄方法によれば、攪拌機7を回転させて金属屑6を攪拌する攪拌工程と、攪拌された金属屑6に向かって気泡生成器4から洗浄水1および気泡3を噴射する気泡供給工程と、洗浄水1を洗浄槽2からオーバーフローさせて、異物5を洗浄槽2の外側へ排出する異物排出工程とを備えているので、金属屑6から分離した異物5が金属屑6に再付着することを抑制することができる。
【0048】
また、攪拌翼7aは、洗浄槽2の内側の底面に設けられ、回転中心が鉛直方向を向いて回転するので、簡単な構成で、金属屑6を攪拌して、気泡生成器4から噴射された気泡3を金属屑6に衝突させることができる。
【0049】
また、洗浄槽2の上部には、浮上した金属屑6と衝突する第1のメッシュ18が取り付けられ、気泡3とともに浮上した金属屑6を第1のメッシュ18に衝突させるので、衝突により気泡3から金属屑6を分離させて、気泡3から分離した金属屑6を洗浄槽2の底面に沈殿させることができる。
【0050】
また、気泡生成器4には、流出口4bに、金属屑6または異物5の流入を防ぐ逆止弁25または第3のメッシュが設けられ、気泡生成器4からの洗浄水1および気泡3の噴射を停止したときに、気泡生成器4の内部に金属屑6または異物5が流入することを抑制するので、気泡生成器4の洗浄水1および気泡3の噴射能力が低下することを抑制することができ、さらに、水循環ポンプ13の内部に金属屑6または異物5が流入することを抑制して、水循環ポンプ13の洗浄水1の循環能力が低下することを抑制することができる。
その結果、洗浄装置の長寿命化を図ることができる。
【0051】
また、超音波発生器22から洗浄水1に超音波を供給して、超音波によって金属屑6に固着した異物5を金属屑6から分離させる超音波供給工程を備えているので、洗浄効果を向上させることができる。
【0052】
また、攪拌工程および気泡供給工程の後、金属屑6の攪拌および気泡3の供給を低減させることで金属屑6を沈殿させる金属屑沈殿工程を備え、金属屑沈殿工程の後に、異物排出工程を行うので、金属屑6から分離した異物5が金属屑6に再付着することを抑制することができる。
また、この洗浄方法によって洗浄された金属屑6の再資源化または再利用化を図ることができる。
【0053】
実施の形態2.
図11はこの実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置の要部を示す断面図である。
この実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置の攪拌機26は、洗浄槽2の内側に取り付けられた、水平方向に延びた円柱形状の回転軸26aと、洗浄槽2の内側であって回転軸26aの周囲に等間隔に取り付けられた複数の回転部である延出部26bとを有している。
それぞれの延出部26bは回転軸26aから径方向に延びており、延出部26bが回転軸26aを中心に回転することで、金属屑6が延出部26bに掬い取られて攪拌する。
気泡生成器4は、洗浄槽2の上部に取り付けられており、攪拌機26によって攪拌される金属屑6に指向している。
その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0054】
次に、この実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置の動作について説明する。
攪拌機26が駆動することで、延出部26bが回転して金属屑6が少量ずつ持ち上げられる。
一方、気泡生成器4から洗浄水1および気泡3が金属屑6に向かって噴射される。
洗浄水1および気泡3が衝突した金属屑6は、攪拌機26の延出部26bの上で浮遊して、気泡3が金属屑6の細部まで行き渡る。
攪拌機26が金属屑6を少量ずつ持ち上げるので、洗浄槽2の内側に入れられた金属屑6は、均一に洗浄水1および気泡3が当てられ、また、勢い良く洗浄水1および気泡3に衝突される。
【0055】
実際、本願発明者は、この洗浄装置を用いて、銅製品の製造工程から排出された、異物5である油が付着した金属屑6である銅屑を洗浄する実験を行った。
図12は、銅屑の洗浄前後における銅屑に付着した残留油分密度を測定した結果を示した図である。
実験条件は、実施の形態1のときと同様である。
図12に示すように、洗浄を行う前の銅屑に付着した残留油分密度は、518.1[μg/cm]であるのに対し、洗浄を行った後の銅屑に付着した残留油分密度は、29.1[μg/cm]まで低下した。
【0056】
以上説明したように、この実施の形態に係る金属屑6の洗浄方法によれば、攪拌機26の延出部26bの回転中心が鉛直方向であるので、攪拌機26が金属屑6を少量ずつ持ち上げることができる。その結果、洗浄槽2の内側に入れられた金属屑6に均一に洗浄水1および気泡3を当てることができ、また、持ち上げられた金属屑6に洗浄水1および気泡3を勢い良く衝突させることができる。
【0057】
実施の形態3.
図13はこの実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置の要部を示す断面図である。
この実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置は、気泡生成手段が攪拌手段を兼用している。
気泡生成手段は、洗浄槽2の内側の底面に取り付けられた複数の第1の気泡生成器27と洗浄槽2の側面に取り付けられた複数対の第2の気泡生成器28とを有している。
なお、第1の気泡生成器27は1個であってもよく、また第2の気泡生成器28は一対であってもよい。
第1の気泡生成器27は、上方に向かって洗浄水1および気泡3を噴射するように配置されており、第1の気泡生成器27が洗浄水1および気泡3を噴射することで、洗浄槽2の内側に入れられた金属屑6が洗浄槽2の内側で攪拌される。
一対の第2の気泡生成器28は、互いに気泡3が衝突するように対向して配置されており、一対の第2の気泡生成器28から洗浄水1および気泡3が噴射されることで、金属屑6は洗浄水1および気泡3に挟みこまれる。
また、この洗浄装置は、洗浄槽2の上部と桶15との間に、40メッシュまたは60メッシュである微細な第2のメッシュ29を備えている
この第2のメッシュ29は、洗浄水1が通過可能であるとともに、金属屑6の移動を規制する。
したがって、洗浄水1が洗浄槽2からオーバーフローする際に、洗浄水1は第2のメッシュ29を通過するとともに、洗浄水1に含まれる金属屑6は、第2のメッシュ29により移動が規制されて、桶15に到達することが抑制される。
その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0058】
実際、本願発明者は、この洗浄装置を用いて、銅製品の製造工程から排出された、異物5である油が付着した金属屑6である銅屑を洗浄する実験を行った。
図14は、銅屑の洗浄前後における銅屑に付着した残留油分密度を測定した結果を示した図である。
実験条件は、実施の形態1のときと同様である。
図14に示すように、洗浄を行う前の銅屑に付着した残留油分密度は、518.1[μg/cm]であるのに対し、洗浄を行った後の銅屑に付着した残留油分密度は、36.1[μg/cm]まで低下した。
【0059】
以上説明したように、この実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置によれば、気泡生成手段が攪拌手段を兼用しているので、実施の形態1に記載の金属屑6の洗浄方法と比較して、攪拌機7を備える必要がなく、金属屑6の洗浄装置の構造を簡単にすることができ、洗浄装置の分解、分離の容易性を向上させることができる。
【0060】
また、この実施の形態に係る金属屑6の洗浄方法によれば、気泡供給手段が、金属屑6を攪拌するとともに、異物を金属屑6から分離させ、異物を浮上させるので、攪拌機7を駆動させる必要がない。
【0061】
また、第1の気泡生成器27が洗浄水1および気泡3を噴射することで、金属屑6が攪拌され、第2の気泡生成器28が洗浄水1および気泡3を噴射することで、金属屑6が洗浄水1および気泡3に挟みこまれるので、金属屑6に勢い良く気泡3を衝突させることができ、かつ金属屑6を均一に高純度に洗浄することができる。
【0062】
また、洗浄槽2の上部と桶15との間には、洗浄水1が通過可能であるとともに、金属屑6の移動を規制する第2のメッシュ29が設けられ、第2のメッシュ29によって、洗浄槽2からオーバーフローする洗浄水1に含まれる金属屑6を洗浄水1から分離するので、桶15に到達することを抑制することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態1および上記実施の形態2に記載の金属屑の洗浄装置に、この実施の形態に記載の第2のメッシュ29を設けてもよい。
【0064】
実施の形態4.
図15(a)はこの実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置の要部を示す断面図、図15(b)は図15(a)の洗浄装置の要部を示す平面図である。
この実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置は、気泡生成手段が攪拌手段を兼用している。
気泡生成手段は、洗浄槽2の側面に取り付けられた複数の気泡生成器30である。
それぞれの気泡生成器30は、噴射される洗浄水1および気泡3が洗浄槽2の側面に沿って循環移動するように、洗浄槽2の周方向に傾いている。
また、この洗浄装置は、洗浄槽2の内側の底面に取り付けられた円柱形状の支柱31を備えている。
この支柱31は、洗浄槽2の底面から上方に延びている。
その他の構成は、実施の形態3と同様である。
【0065】
気泡生成器30が洗浄水1および気泡3を噴射することで、金属屑6は洗浄水1および気泡3とともに洗浄槽2の側面に沿って回転する。
回転する金属屑6は、新たに気泡生成器30から噴射された気泡3と勢い良く衝突し、金属屑6に固着した異物5が、金属屑6から分離し、周囲にある気泡3に吸着されて浮上する。
また、回転する金属屑6には遠心力が作用するので、金属屑6は洗浄槽2の側面に近づき、金属屑6と気泡3との衝突が増加し、金属屑6から分離する異物5が増大する。
【0066】
実際、本願発明者は、この洗浄装置を用いて、銅製品の製造工程から排出された、異物5である油が付着した金属屑6である銅屑を洗浄する実験を行った。
図16は、銅屑の洗浄前後における銅屑に付着した残留油分密度を測定した結果を示した図である。
実験条件は、実施の形態1のときと同様である。
図16に示すように、洗浄を行う前の銅屑に付着した残留油分密度は、518.1[μg/cm]であるのに対し、洗浄を行った後の銅屑に付着した残留油分密度は、41.1[μg/cm]まで低下した。
【0067】
以上説明したように、この実施の形態に係る金属屑6の洗浄方法によれば、気泡生成器30および支柱31により、洗浄水1および気泡3が洗浄槽2の内側で回転して、金属屑6を洗浄槽2の側面に沿って回転させるので、金属屑6に気泡3を勢い良く衝突させることができ、金属屑6に固着した異物5を、金属屑6から分離させることができる。
また、回転する金属屑6には遠心力が作用するので、金属屑6は洗浄槽2の側面に近づき、洗浄槽2の側面から噴射される気泡3と金属屑6との衝突が増え、金属屑6から分離する異物5を増大させることができる。
【0068】
実施の形態5.
この実施の形態に係る金属屑6の洗浄装置は、洗浄槽2の上部に取り付けられた第1のメッシュ18が磁石から構成されている。
金属屑6が、鉄などの磁性体から構成されている場合に、金属屑6が第1のメッシュ18に衝突することで、金属屑6が第1のメッシュ18に吸着され、金属屑6が油水分離槽17へ排出されることを抑制することができる。
金属屑6の洗浄を行った後に、第1のメッシュ18に付着した金属屑6を回収する。
その他の構成は、実施の形態1と同様である。
なお、実施の形態2ないし実施の形態4に記載の金属屑6の洗浄装置に、磁石から構成された第1のメッシュ18を備えてもよい。
また、実施の形態3に記載の第2のメッシュ29を備えてもよい。
【0069】
以上説明したように、この実施の形態に係る洗浄方法によれば、第1のメッシュ18が磁石から構成され、第1のメッシュ18に衝突して気泡3と分離した金属屑6を第1のメッシュ18に吸引させるので、金属屑6が油水分離槽17へ排出されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 洗浄水(洗浄液)、2 洗浄槽、3 気泡、4 気泡生成器(気泡供給手段)、4a 流入口、4b 流出口、4c 狭窄部、4d ガス吸引口、5 異物、6 金属屑、7 攪拌機(攪拌手段)、7a 攪拌翼(回転部)、7b 回転軸、7c モータ部、8 空気管、9 ガスポンプ、10 ガス流量計、11 異物排出手段、12 洗浄水循環管、13 水循環ポンプ、14a 第1の水量計、14b 水圧計、15 桶、16 配管、17 油水分離槽、18 第1のメッシュ、19 流路管、20 水ポンプ、21 第2の水量計、22 超音波発生器、23 洗浄槽搬出手段、23a 開閉蓋、23b レバー、24 油水分離槽搬出手段、24a 開閉蓋、24b レバー、25 逆止弁、26 攪拌機、26a 回転軸、26b 延出部(回転部)、27 第1の気泡生成器(気泡供給手段、攪拌手段)、28 第2の気泡生成器(気泡供給手段、攪拌手段)、29 第2のメッシュ、30 気泡生成器(気泡供給手段、攪拌手段)、31 支柱。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物が表面に付着した金属屑が内側に入れられ、洗浄液を貯留する洗浄槽と、
前記洗浄槽の内側に設けられた回転部を有し、前記回転部が回転することで前記金属屑を攪拌する攪拌手段と、
前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液に気泡を供給し、前記気泡を前記異物に吸着させ、前記気泡の衝突によって前記異物を前記金属屑から分離させ、前記気泡が前記洗浄液の液面に向かって浮上するのに伴って前記異物を浮上させる気泡供給手段と、
前記洗浄液を前記洗浄槽からオーバーフローさせて、浮上した前記異物を前記洗浄槽の外側へ排出する異物排出手段とを備え、
前記気泡供給手段は、前記洗浄液とともに前記気泡を噴射する気泡生成器であり、
前記気泡生成器の流出口は、前記攪拌手段によって攪拌される前記金属屑に指向していることを特徴とする金属屑の洗浄装置。
【請求項2】
異物が表面に付着した金属屑が内側に入れられ、洗浄液を貯留する洗浄槽と、
前記金属屑を攪拌する攪拌手段と、
前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液に気泡を供給し、前記気泡を前記異物に吸着させ、前記気泡の衝突によって前記異物を前記金属屑から分離させ、前記気泡が前記洗浄液の液面に向かって浮上するのに伴って前記異物を浮上させる気泡供給手段と、
前記洗浄液を前記洗浄槽からオーバーフローさせて、浮上した前記異物を前記洗浄槽の外側へ排出する異物排出手段とを備え、
前記気泡供給手段は、前記攪拌手段を兼用することを特徴とする金属屑の洗浄装置。
【請求項3】
洗浄液が貯留された洗浄槽の内側に設けられた回転部を回転させて、前記洗浄槽の内側に入れられた、異物が表面に付着した金属屑を攪拌する攪拌工程と、
攪拌された前記金属屑に向かって気泡生成器から前記洗浄液とともに気泡を噴射して、前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液に前記気泡を供給し、前記気泡を前記異物に吸着させ、前記気泡の衝突によって前記異物を前記金属屑から分離させ、前記気泡が前記洗浄液の液面に向かって浮上するのに伴って前記異物を浮上させる気泡供給工程と、
前記洗浄液を前記洗浄槽からオーバーフローさせて、浮上した前記異物を前記洗浄槽の外側へ排出する異物排出工程とを備えたことを特徴とする金属屑の洗浄方法。
【請求項4】
前記回転部は、前記洗浄槽の底面に設けられ、回転中心が鉛直方向を向いて回転することを特徴とする請求項3に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項5】
前記回転部は、回転中心が水平方向を向いて回転することを特徴とする請求項3に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項6】
洗浄液が貯留された洗浄槽に気泡供給手段から前記洗浄液とともに気泡を噴射して、洗浄槽の内側に入れられた、異物が表面に付着した金属屑を攪拌する攪拌工程と、
攪拌された前記金属屑に向かって前記気泡供給手段から前記洗浄液とともに前記気泡を噴射して、前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液に前記気泡を供給し、前記気泡を前記異物に吸着させ、前記気泡の衝突によって前記異物を前記金属屑から分離させ、前記気泡が前記洗浄液の液面に向かって浮上するのに伴って前記異物を浮上させる気泡供給工程と、
前記洗浄液を前記洗浄槽からオーバーフローさせて、浮上した前記異物を前記洗浄槽の外側へ排出する異物排出工程とを備えたことを特徴とする金属屑の洗浄方法。
【請求項7】
前記気泡供給手段は、前記洗浄槽の底面から上方向に向かって前記気泡を噴射して前記金属屑を浮遊させ、前記洗浄槽の側面から互いに対向する方向に向かって前記気泡を噴射して、浮上した前記金属屑を前記気泡で挟み込むことを特徴とする請求項6に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄槽の内側の底面には、上方向に延びた円柱形状の支柱が設けられ、
前記気泡供給手段は、前記気泡が前記洗浄槽の側面に沿って回転するように前記洗浄槽の側面から前記洗浄液および前記気泡を噴射して、前記金属屑を前記洗浄槽の側面に沿って回転させることを特徴とする請求項6に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄槽の上部には、浮上した前記金属屑と衝突する第1のメッシュが設けられ、
浮上した前記金属屑を前記第1のメッシュに衝突させて、前記金属屑と前記気泡とを分離させることを特徴とする請求項3ないし請求項8の何れか1項に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄槽の外側には、前記洗浄槽からオーバーフローする前記洗浄液を受ける桶が設けられ、
前記洗浄槽と前記桶との間には、前記洗浄液が通過可能であるとともに前記金属屑の通過を規制する第2のメッシュが設けられ、
前記第2のメッシュによって、前記洗浄槽からオーバーフローする前記洗浄液に含まれる前記金属屑を前記洗浄液から分離することを特徴とする請求項3ないし請求項9の何れか1項に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項11】
前記第1のメッシュは、磁石から構成され、
前記第1のメッシュに衝突して前記気泡と分離した前記金属屑を前記第1のメッシュに吸引させることを特徴とする請求項9に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項12】
前記気泡生成器の前記流出口には、前記金属屑または前記異物の流入を防ぐ逆止弁または第3のメッシュが設けられ、
前記気泡生成器からの前記洗浄液および前記気泡の噴射を停止したときに、前記逆止弁または前記第3のメッシュによって、前記金属屑または前記異物が前記気泡生成器に流入することを抑制することを特徴とする請求項3ないし請求項11の何れか1項に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項13】
前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液に超音波を供給して、前記金属屑に付着した前記異物を前記金属屑から分離させる超音波供給工程をさらに備えたことを特徴とする請求項3ないし請求項12の何れか1項に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項14】
前記攪拌工程および前記気泡供給工程の後、前記金属屑の攪拌および前記気泡の供給を低減させることで、前記金属屑を沈殿させる金属屑沈殿工程を備え、
前記金属屑沈殿工程の後に、前記異物排出工程を行うことを特徴とする請求項3ないし請求項13の何れか1項に記載の金属屑の洗浄方法。
【請求項15】
請求項3ないし請求項14の何れか1項に記載の金属屑の洗浄方法によって洗浄されたことを特徴とする金属屑。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−189742(P2010−189742A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37608(P2009−37608)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】