説明

除電方法及び半導体装置の作製方法

【課題】静電気により、薄膜トランジスタの電気的な特性が著しく変動して設計範囲を逸脱することを抑止し、半導体装置の製造における歩留まり向上を図ることを課題の一とする。
【解決手段】加熱処理で基板に静電気が帯電することを防ぐ、また、半導体装置の製造工程において基板に帯電した静電気を好適に低減するため、薄膜トランジスタが作製された基板を導電性を有する容器内に収納して加熱処理を行う。また、加熱処理を行う加熱装置は、接地電位と電気的に接続し、且つ、容器、及び基板も接地電位と電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体装置の作製を行う生産工場における静電気の除電方法に関する。また、薄膜トランジスタ(以下、TFTという)で構成された回路を有する半導体装置の作製方法に関する。例えば、液晶表示パネルに代表される電気光学装置や有機発光素子を有する発光表示装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
半導体装置の作製を行う生産工場において、例えば半導体、IC、液晶パネル、磁気ヘッドなどの生産工程では、静電気が電子回路に影響を与え、電気的な特性の変動や、回路の破壊を招く恐れがある。また、静電気により製品にゴミが付着しやすくなる問題もある。
【0004】
特に絶縁性基板を用いる場合には静電気を帯電しやすく、絶縁性基板は、静電気を帯びやすい材質、例えばガラス、樹脂などで形成されている。
【0005】
近年、ガラス基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。
【0006】
また、画像表示装置として代表的な液晶パネルの生産工程においては、軽量化によるガラスの薄型化と、ガラス基板のサイズ拡大による生産性向上が図られている。
【0007】
また、金属酸化物は多様に存在しさまざまな用途に用いられている。酸化インジウムはよく知られた材料であり、液晶ディスプレイなどで必要とされる透光性を有する電極材料として用いられている。金属酸化物の中には半導体特性を示すものがある。半導体特性を示す金属酸化物としては、例えば、酸化タングステン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛などがあり、このような半導体特性を示す金属酸化物をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタが既に知られている(特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
静電気により、薄膜トランジスタの電気的な特性が著しく変動して設計範囲を逸脱することを抑止し、半導体装置の製造における歩留まり向上を図る。
【0010】
本発明の一態様は、半導体装置の製造工程において、基板に静電気が帯電することを防ぐことを課題の一とする。
【0011】
また、半導体装置の製造工程において基板に帯電した静電気を好適に低減することを課題の一とする。
【0012】
また、静電気により半導体装置内部の回路が破壊されることを防ぐことを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
帯電防止を図るため、静電気の発生を防ぐ方法と、発生した電荷を漏洩させる方法の2つの方法がある。
【0014】
静電気の発生を防ぐため、薄膜トランジスタが作製されたガラス基板を収納するための導電性を有する収納容器を用いる。導電性を有する材料からなるトレイ本体と、導電性を有する材料からなるトレイ蓋とを用い、トレイ本体に薄膜トランジスタを作製したガラス基板を載置し、さらにトレイ蓋でガラス基板全体を収納する。トレイ本体と、トレイ蓋との対向面のいずれか一方にはガラス基板よりも広い面積を有する凹部を有している。また、開閉蓋を有する箱型の収納容器を用いてもよい。トレイ本体及びトレイ蓋の材料は、導電性を有する材料であれば特に限定されず、アルミニウム、銅、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブなどを用いることができる。
【0015】
また、収納容器として、密閉した空間に基板を配置する中空の気密構造の容器とすることに限定されず、開口を有し、導電性を有する材料からなる四角柱形状や、円筒状の容器に薄膜トランジスタを作製したガラス基板を収納してもよい。
【0016】
そして、これらの収納容器のいずれか一に収納されたガラス基板を乾燥空気または乾燥窒素または乾燥酸素を用いる加熱装置によって100℃以上300℃以下の加熱を行う。これらの収納容器のいずれか一により、ガラス基板に直接風が吹きつけられることを防ぎ、静電気の発生を極力抑える。また、基板と接触する収納容器及び加熱装置を接地電位に接続し、加熱を行うことによって、基板の帯電量を除々に減衰することができる。基板と接触する収納容器及び加熱装置を接地電位に接続する場合、加熱装置内に設けられた棚(収納容器と触れる棚)や、加熱装置の内壁などを電気的に接続し、さらに加熱装置の内壁から導電性を有する床、具体的にはステンレス製の床に流れる静電気の逃避ルートを形成する。接地電位に導くことで、静電気による薄膜トランジスタの電気的特性の変動や、破壊を防止することができ、製品の歩留まりが向上する。
【0017】
本明細書で開示する本発明の一態様は、薄膜トランジスタが作製された基板表面に静電荷が存在することを抑止する、または風切りで発生する静電荷を抑止するとともに内部の電荷を基板の上方の雰囲気中に加熱保管することにより薄膜トランジスタまたはその近傍の電荷を低減することを特徴とする除電方法である。
【0018】
上記構成は、上記課題の少なくとも一つを解決する。
【0019】
また、本発明の他の一態様は、導電性を有する容器内に薄膜トランジスタが作られた基板を配設して加熱処理を行い、薄膜トランジスタが作製された基板表面に静電荷が存在することを抑止する、または風切りで発生する静電荷を抑止することにより薄膜トランジスタまたはその近傍の電荷を低減することを特徴とする除電方法である。
【0020】
アクティブマトリクス型の表示装置においては、薄膜トランジスタのゲート電圧が0Vにできるだけ近い正のしきい値電圧でチャネルが形成されることが望ましい。
【0021】
nチャネル型の薄膜トランジスタの場合、ゲート電圧に正の電圧を印加してはじめてチャネルが形成されて、ドレイン電流が流れ出すトランジスタが望ましい。駆動電圧を高くしないとチャネルが形成されないトランジスタや、負の電圧状態でもチャネルが形成されてドレイン電流が流れるトランジスタは、回路に用いる薄膜トランジスタとしては不向きである。
【0022】
また、酸化物半導体層を用いる薄膜トランジスタは、静電気の影響により薄膜トランジスタの電気的な特性が著しく変動して設計範囲を逸脱する恐れがある。特に、薄膜トランジスタのしきい値電圧値がマイナスであると、ゲート電圧が0Vでもソース電極とドレイン電極の間に電流が流れる、所謂ノーマリーオンとなりやすい。また、酸化物半導体層を用いる薄膜トランジスタは、構造が同じであってもチャネル長が短いとノーマリーオンとなり、チャネル長が長いとノーマリーオフとなるなどチャネル長依存性の問題がある。
【0023】
チャネル長依存性の問題を解決するため、薄膜トランジスタを作製した後、導電性を有する収納容器に入れて100℃以上300℃以下の加熱を行う。その結果、チャネル長が短くとも、しきい値電圧値がプラスであるノーマリーオフの薄膜トランジスタを作製することができる。なお、薄膜トランジスタを作製した後であれば特に限定されず、液晶パネルの作製の場合、薄膜トランジスタ及び画素電極が形成された基板を対向基板と貼り合わせる前に導電性を有する収納容器に入れて100℃以上300℃以下の加熱を行えばよい。
【0024】
また、半導体装置の作製方法に関する本発明の一態様は、基板上に酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタが作製された基板を導電性を有する容器内に収納して加熱処理を行う半導体装置の作製方法である。
【0025】
また、上記構成において、加熱処理を行う加熱装置は、接地電位と電気的に接続し、且つ、容器も接地電位と電気的に接続することを特徴とする。
【0026】
また、収納容器に代えて、導電性を有するシート、例えば金属箔(アルミニウム、銅、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブなど)で薄膜トランジスタを作製したガラス基板を覆い包み静電気の発生を防いでもよい。また、これらの合金箔(例えばアルミニウムと銅のバイメタル箔)を用いてもよい。
【0027】
また、本発明の他の一態様は、薄膜トランジスタが作られた基板を金属箔で包み、加熱処理を行い、薄膜トランジスタが作製された基板表面に静電荷が存在することを抑止する、または風切りなどで発生する静電荷を抑止することにより薄膜トランジスタまたはその近傍の電荷を低減することを特徴とする除電方法である。
【0028】
本明細書で開示する本発明の他の一態様は、基板上に酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタが作製された基板を導電性を有する金属箔で包み、加熱処理を行う半導体装置の作製方法である。なお、加熱処理の温度は100℃以上300℃以下である。
【0029】
また、上記構成において、加熱処理を行う加熱装置は、接地電位と電気的に接続し、且つ、金属箔も接地電位と電気的に接続することを特徴とする。なお、接地電位に代えて、加熱処理を行う加熱装置は、固定電位と電気的に接続してもよく、静電荷を抑止することにより薄膜トランジスタまたはその近傍の電荷を低減することができる。また、金属箔も接地電位に代えて、固定電位と電気的に接続してもよい。
【0030】
なお、静電気とは、2つの物体を摩擦、接触、剥離した時に、一方が正に帯電し、もう一方が負に帯電し、これらの電荷を指す。摩擦などによって2つの物体の間で電子の移動が起こり、電荷が発生する現象を帯電と呼び、帯電が生じると、物体の材料が絶縁体の場合には発生した電荷が流れず、静電気として蓄積される。
【0031】
なお、電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。ただし、一般的に、ある一点における電位と基準となる電位(例えば接地電位)との電位差のことを、単に電位もしくは電圧と呼び、電位と電圧が同義語として用いられることが多い。このため、本明細書では特に指定する場合を除き、電位を電圧と読み替えてもよいし、電圧を電位と読み替えてもよいこととする。
【発明の効果】
【0032】
静電気により、薄膜トランジスタの電気的な特性が著しく変動して設計範囲を逸脱することを抑止し、半導体装置の製造における歩留まり向上を実現する。また、半導体装置の製造工程において、基板に静電気が帯電することを防ぐ。また、半導体装置の製造工程において基板に帯電した静電気を好適に低減する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一態様を示す外観図及び断面図である。
【図2】本発明の一態様を示す断面図である。
【図3】本発明の一態様を示す断面図である。
【図4】本発明の一態様を示す上面図である。
【図5】本発明の一態様を示す断面図である。
【図6】本発明の一態様を示す外観図及び上面図である。
【図7】本発明の一態様を示す外観図である。
【図8】本発明の一態様を示す上面図および断面図である。
【図9】本発明の一態様を示す断面図である。
【図10】本発明の一態様を示す上面図および断面図である。
【図11】電子機器の一例を示す図である。
【図12】電子機器の一例を示す図である。
【図13】電子機器の一例を示す図である。
【図14】電子機器の一例を示す図である。
【図15】Vthの定義を示す図。
【図16】比較例のチャネル長依存性を示すグラフ。(初期特性)
【図17】比較例のチャネル長依存性を示すグラフ。
【図18】チャネル長依存性を示すグラフ。
【図19】チャネル長依存性を示すグラフ。
【図20】チャネル長依存性と時間の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態では、トレイ本体とトレイ蓋とを用いて基板を囲む加熱処理について以下に説明する。
【0036】
図1(A)はトレイ本体11の凹部に基板10を置いた状態の外観図を示している。
【0037】
基板10は、ガラス基板などを用い、一方の面に薄膜トランジスタを含む回路を有している。なお、基板10の形状は四角形状に特に限定されず、例えば円形形状などを用いることもできる。
【0038】
また、トレイ本体11は、導電性を有する材料、アルミニウム、銅、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブなどで形成される。本実施の形態ではアルミニウムを用いる。
【0039】
そして、トレイ本体11と重なるようにトレイ蓋12を配置して図1(B)に示す断面図となるように基板10を囲む。そして重ねたトレイ本体11とトレイ蓋12の周縁部に隙間がないようにカプトンテープなどを用いて密閉する。なお、トレイ蓋12も導電性を有する材料、アルミニウム、銅、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブなどで形成される。また、後に行われる加熱処理中に風が基板に触れないようにするため、トレイ蓋12を用いており、トレイ蓋12に代えて金属箔を用いて閉空間に基板が配置されるようにしてもよい。
【0040】
次いで、図1(B)に示す状態とした基板を加熱装置に入れ、加熱処理を行う。
【0041】
図2に熱風循環方式の加熱装置の断面図を示す。なお、図2に示す加熱装置の構造は一例であって特に限定されない。この熱風循環方式は、熱風により広い容積内の加熱が可能であり、基板10の一辺が1mを超えるような大型基板の加熱にも適している。
【0042】
加熱装置の炉本体21は、金属製の外枠と金属製の内枠との間に断熱材が充填された構造の縦長の方体に形成されており、一方に扉22を有している。また、炉本体21の内部には、一方の側壁に熱風の吹き出し口23と吸い込み口24を有している。
【0043】
熱風の吹き出し口23からはヒータ25によって加熱された空気がファン26で送られて、熱風となって吹き出し口23から炉内へと送られる。
【0044】
この熱風により被処理物である基板10を収納したトレイ本体11及びトレイ蓋12を加熱し、吸い込み口24から排気通路を通って再びファン26によって循環させられる。
【0045】
導電性の材料からなる棚27に載せ、熱風の当たらない場所に基板を収納したトレイを配置することが好ましい。
【0046】
また、接地電位に電気的に接続されたステンレス製の床20の上に加熱装置を設置し、ステンレス製の床20と棚27とが電気的に接続させる。棚27の上に接して置かれたトレイも導電性を有する材料からなるため、トレイも接地電位に電気的に接続されることになる。
【0047】
酸化物半導体層を用いたボトムゲート構造の薄膜トランジスタを有する基板を複数作製して実験を行った。トレイ蓋12で閉空間に基板を配置して加熱した電気特性と、比較例としてトレイ蓋をせずに基板を配置して加熱した電気特性とを比較した。
【0048】
薄膜トランジスタのサイズは、チャネル幅W=50μmとし、チャネル長Lの条件を振り、チャネル長依存性を比較した。チャネル長Lは、それぞれ2μm、3μm、4μm、6μm、10μm、15μm、20μm、50μmとした。
【0049】
薄膜トランジスタの初期特性を測定するため、基板温度を室温とし、ソース−ドレイン間電圧(以下、ドレイン電圧またはVdという)を10Vとし、ソース−ゲート間電圧(以下、ゲート電圧またはVgという)を−20V〜+20Vまで変化させたときのソース−ドレイン電流(以下、ドレイン電流またはIdという)の変化特性、すなわちVg−Id特性を測定した。
【0050】
そして、Vg−Id特性からしきい値と、Vdを10Vとした時のVg−Id曲線の立ち上がりの電圧値(Shift−2)を算出し、これらの値を縦軸、横軸をチャネル長とした初期特性のチャネル長依存性グラフを図16に示す。
【0051】
図16においては、しきい値はプラスであるが、Vg−Id曲線の立ち上がりの電圧値(Shift−2)が20μm以下のサンプルでマイナスの値を示している。なお、Shift−2は、Vdを10VとしVg−Id曲線においてVgが減少すると共にIdが減少して、始めて1×10−12Aとなった電圧値を指す。
【0052】
また、図2に示す加熱装置を用いて、150℃、1時間の熱処理を行った後のチャネル長依存性グラフを図17及び図18に示す。図17は、トレイ蓋をせずに加熱したチャネル長依存性グラフである。また、図18はトレイ蓋をして加熱したチャネル長依存性グラフである。
【0053】
比較例である図17のサンプルは、トレイ蓋をせずに基板を配置して加熱しているため、基板に熱風が直接当たることとなる。図17においては、初期特性の図16と比べてチャネル長2μmのサンプルのしきい値が変動してゼロ以下となっている。また、チャネル長6μm以上のサンプルのShift−2が変動してゼロ以上にとなっている。
【0054】
一方、トレイ蓋をして基板を加熱した図18のチャネル長2μmのサンプルは、しきい値がゼロ以上のままであり、初期特性の図16とほぼ同じ値である。また、チャネル長3μm以上のサンプルのShift−2が変動してゼロ以上にとなっている。
【0055】
また、トレイ蓋をして基板を加熱し、150℃、2時間の熱処理を行った後のチャネル長依存性グラフを図19に示す。熱処理時間を延長することによって、また、チャネル長2μmのサンプルのShift−2もゼロ以上にとなっている。図19に示すサンプルは全てノーマリーオフの薄膜トランジスタと言える。
【0056】
また、トレイ蓋をして基板を加熱し、150℃、3時間の熱処理を行った場合においても同様の結果を得ることができた。なお、図20(A)は、横軸を150℃の熱処理時間とし、縦軸を薄膜トランジスタのしきい値(Vth)としたグラフを示している。また、図20(B)は横軸を150℃の熱処理時間とし、縦軸を薄膜トランジスタのShift−2としたグラフを示している。なお、図20(A)及び図20(B)のデータは、図18及び図19と一部同じデータを用いている。図20(A)及び図20(B)の結果からトレイ蓋をして基板を加熱し、加熱処理温度が150℃であれば、少なくとも2時間以上行うことが好ましいと言える。
【0057】
これらの結果から、酸化物半導体層を用いたボトムゲート構造の薄膜トランジスタは熱風が当たらないように加熱処理することで、チャネル長に関係なく、電気特性をノーマリーオフに変化させることができる。また、熱風が当たらないように加熱処理することで、ノーマリーオフの薄膜トランジスタを安定して作製することができるため、歩留まりを向上することができる。
【0058】
ここで、本明細書におけるVthの定義について説明しておく。図15の横軸はゲート電圧をリニアスケールで示しており、縦軸はドレイン電流の平方根(以下、√Idともいう)をリニアスケールで示している。曲線501は、ゲート電圧の変化に対するドレイン電流の平方根を示しており、Vdを10Vとして測定したVg−Id曲線のIdを、その平方根で表した曲線(以下、√Id曲線ともいう)である。
【0059】
まず、Vdを10Vとして測定したVg−Id曲線から√Id曲線(曲線501)を求める。次に、√Id曲線上の、√Id曲線の微分値が最大になる点(√Id曲線の傾きが最大になる点)の接線504を求める。次に、接線504を延伸し、接線504上でIdが0Aとなる時のVg、すなわち接線504のゲート電圧軸切片505の値をVthとして定義している。
【0060】
また、熱風を当てることは静電気を発生する原因となるため、避けることが好ましい。また、図2に示す加熱装置の炉内に吹き出す熱風の流れや、吹き出し流量を調節する風切り板などの風を調節する部材は設けてもよいが、静電気が発生する恐れがあるため、設ける場合には十分注意が必要である。
【0061】
また、図2に示す加熱装置の風の流れる経路に冷却手段を有していてもよい。また、図2に示す加熱装置の風の流れる経路に塵などを除去するフィルタを設けてもよい。
【0062】
また、以下にチャネル長依存性グラフの結果を得たサンプルの薄膜トランジスタの作製方法を図3を用いて示す。
【0063】
まず、絶縁表面を有する基板である基板100上に、導電膜を形成した後、フォトマスクを用いてフォトリソグラフィ工程によりゲート電極層101を設ける。
【0064】
基板100としては、ガラス基板を用いることが好ましい。基板100として用いるガラス基板は、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。また、基板100には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。なお、酸化ホウ素と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用いることが好ましい。
【0065】
なお、上記の基板100に代えて、セラミック基板、石英ガラス基板、石英基板、サファイア基板などの絶縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。
【0066】
また、下地層となる絶縁層を基板100とゲート電極層101の間に設けてもよい。下地層は、基板100からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、または酸化窒化珪素から選ばれた一または複数の層による積層構造により形成することができる。
【0067】
ゲート電極層101としては、金属導電層を用いることができる。金属導電層の材料としては、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金等を用いるのが好ましい。例えば、チタン層上にアルミニウム層と、該アルミニウム層上にチタン層が積層された三層の積層構造、またはモリブデン層上にアルミニウム層と、該アルミニウム層上にモリブデン層を積層した三層の積層構造とすることが好ましい。勿論、金属導電層として単層、または2層構造、または4層以上の積層構造としてもよい。
【0068】
次いで、ゲート電極層101上にゲート絶縁層102を形成する。
【0069】
本実施の形態において、ゲート絶縁層102の形成は、高密度プラズマ装置により行う。ここでは、高密度プラズマ装置は、1×1011/cm以上のプラズマ密度を達成できる装置を指している。例えば、3kW〜6kWのマイクロ波電力を印加してプラズマを発生させて、絶縁膜の成膜を行う。
【0070】
チャンバーに材料ガスとしてモノシランガス(SiH)と亜酸化窒素(NO)と希ガスを導入し、10Pa〜30Paの圧力下で高密度プラズマを発生させてガラス等の絶縁表面を有する基板上に絶縁膜を形成する。その後、モノシランガスの供給を停止し、大気に曝すことなく亜酸化窒素(NO)と希ガスとを導入して絶縁膜表面にプラズマ処理を行ってもよい。少なくとも亜酸化窒素(NO)と希ガスとを導入して絶縁膜表面に行われるプラズマ処理は、絶縁膜の成膜より後に行う。上記プロセス順序を経た絶縁膜は、膜厚が薄く、例えば100nm未満であっても信頼性を確保することができる絶縁膜である。
【0071】
ゲート絶縁層102の形成の際、チャンバーに導入するモノシランガス(SiH)と亜酸化窒素(NO)との流量比は、1:10から1:200の範囲とする。また、チャンバーに導入する希ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンなどを用いることができるが、中でも安価であるアルゴンを用いることが好ましい。
【0072】
また、高密度プラズマ装置により得られた絶縁膜は、一定した厚さの膜形成ができるため段差被覆性に優れている。また、高密度プラズマ装置により得られる絶縁膜は、薄い膜の厚みを精密に制御することができる。
【0073】
上記プロセス順序を経た絶縁膜は、従来の平行平板型のPCVD装置で得られる絶縁膜とは大きく異なっており、同じエッチャントを用いてエッチング速度を比較した場合において、平行平板型のPCVD装置で得られる絶縁膜の10%以上または20%以上遅く、高密度プラズマ装置で得られる絶縁膜は緻密な膜と言える。
【0074】
本実施の形態では、ゲート絶縁層102として高密度プラズマ装置による膜厚100nmの酸化窒化珪素膜(SiOxNyとも呼ぶ、ただし、x>y>0)を用いる。
【0075】
次いで、ゲート絶縁層102上に、厚さ5nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下の酸化物半導体層を形成する。また、酸化物半導体層は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下においてスパッタ法により形成することができる。
【0076】
酸化物半導体層は、In−Ga−Zn−O系非単結晶層、In−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系、In−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、In−O系、Sn−O系、Zn−O系の酸化物半導体層を用いる。本実施の形態では、例えば、In−Ga−Zn−O系金属酸化物ターゲットを用いてスパッタ法により形成する。
【0077】
ここでは、In、Ga、及びZnを含む金属酸化物ターゲット(モル数比がIn:Ga:ZnO=1:1:1)を用いて、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下で膜厚30nmのIn−Ga−Zn−O系膜を成膜する。
【0078】
また、金属酸化物ターゲット中の酸化物半導体の相対密度は80%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは99.9%以上とするのが好ましい。相対密度の高いターゲットを用いると、形成される酸化物半導体膜中の不純物濃度を低減することができ、電気特性または信頼性の高い薄膜トランジスタを得ることができる。
【0079】
また、酸化物半導体膜の成膜を行う前に、スパッタ装置内壁や、ターゲット表面やターゲット材料中に残存している水分または水素を低減するためにプレヒート処理を行うと良い。プレヒート処理としては成膜チャンバー内を減圧下で200℃〜600℃に加熱する方法や、加熱しながら窒素や不活性ガスの導入と排気を繰り返す方法等がある。この場合のターゲット冷却液は、水ではなく油脂等を用いるとよい。加熱せずに窒素の導入と排気を繰り返しても一定の効果が得られるが、加熱しながら行うとなお良い。プレヒート処理を終えたら、基板またはスパッタ装置を冷却し、酸化物半導体膜の成膜を行う。
【0080】
また、スパッタ法による成膜中に基板を400℃以上700℃以下に加熱してもよい。
【0081】
また、酸化物半導体膜の成膜を行う前、または成膜中、または成膜後に、スパッタ装置内をクライオポンプを用いて中に残存している水分などを低減することが好ましい。
【0082】
また、ゲート絶縁層102、及び酸化物半導体膜を大気に触れさせることなく連続的に形成してもよい。大気に触れさせることなく形成することで、界面が、水やハイドロカーボンなどの、大気成分や大気中に浮遊する不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができるので、薄膜トランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
【0083】
次いで、酸化物半導体層をフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層103に加工する(図3(A)参照。)。また、島状の酸化物半導体層を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0084】
次いで、第1の熱処理を行って、酸化物半導体層103の脱水化または脱水素化を行う。脱水化または脱水素化を行う第1の熱処理の温度は、処理中の最高温度が350℃以上750℃以下、好ましくは425℃以上とする。なお、425℃以上であれば熱処理時間は1時間以下でよいが、425℃未満であれば加熱処理時間は、1時間よりも長時間行うこととする。本実施の形態では、窒素雰囲気下で450℃、1時間の熱処理を行う。
【0085】
なお、第1の熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0086】
また、第1の熱処理は、電気炉を用いた加熱方法を用いることができる。なお、第1の熱処理は、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0087】
次いで、ゲート絶縁層102、及び酸化物半導体層103上にソース電極層及びドレイン電極層を形成するための導電層を形成する。
【0088】
ソース電極層及びドレイン電極層を形成するための導電層としては、ゲート電極層101と同様に、金属導電層を用いることができる。金属導電層の材料としては、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金等を用いるのが好ましい。本実施の形態では、チタン層上にアルミニウム層と、該アルミニウム層上にチタン層が積層された三層の積層構造とする。
【0089】
フォトマスクを用いてフォトリソグラフィ工程により、ソース電極層及びドレイン電極層を形成するための導電層から、ソース電極層105aまたはドレイン電極層105bを形成する(図3(B)参照。)。また、このとき酸化物半導体層103も一部がエッチングされ、溝部(凹部)を有する酸化物半導体層103となる。なお、酸化物半導体層103の材料や、エッチング条件によっては、酸化物半導体層103に溝部(凹部)が形成されない場合もある。
【0090】
次に、ゲート絶縁層102、酸化物半導体層103、ソース電極層105a及びドレイン電極層105bを覆い、酸化物半導体層103の一部と接する保護絶縁層107を形成する(図3(C)参照。)。保護絶縁層107は、少なくとも1nm以上の厚さとし、CVD法、スパッタリング法など、保護絶縁層107に水、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することができる。ここでは、保護絶縁層107は、例えばスパッタリング法の一種である、リアクティブスパッタリング法を用いて形成する。酸化物半導体層103の一部と接して形成される保護絶縁層107は、水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を含まず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁層を用い、代表的には酸化珪素層、窒化酸化珪素層、窒化珪素層、酸化アルミニウム層、酸化窒化アルミニウム層又は窒化アルミニウム層、を用いることができる。
【0091】
また、保護絶縁層107は、酸化珪素層、窒化酸化珪素層、酸化アルミニウム層又は酸化窒化アルミニウム層の上に窒化珪素層又は窒化アルミニウム層を積層する構造としてもよい。特に窒化珪素層は水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を含まず、これらが外部から侵入することをブロックしやすいので好ましい。
【0092】
保護絶縁層107の形成時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、酸化珪素層のスパッタリング法による成膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下において行うことができる。また、ターゲットとして酸化珪素ターゲットまたは珪素ターゲットを用いることができる。例えば、珪素ターゲットを用いて、酸素及び希ガス雰囲気下でスパッタリング法により酸化珪素を形成することができる。本実施の形態では、珪素ターゲットを用いて膜厚300nmの酸化珪素膜を形成する。
【0093】
以上の工程より、絶縁表面を有する基板である基板100上にゲート電極層101が設けられ、ゲート電極層101の上にゲート絶縁層102が設けられ、ゲート絶縁層102の上に酸化物半導体層103が設けられ、酸化物半導体層103の上にソース電極層105aまたはドレイン電極層105bが設けられ、ゲート絶縁層102、酸化物半導体層103、ソース電極層105aまたはドレイン電極層105bを覆い、酸化物半導体層103の一部と接する保護絶縁層107が設けられている、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ150を形成することができる(図3(D)参照。)。
【0094】
図4は、本実施の形態で示した薄膜トランジスタ150の上面図である。図3(D)は、図4のX1−X2部位の断面構成を示している。図4において、Lはチャネル長を示しており、Wはチャネル幅を示している。また、Aはチャネル幅方向と平行な方向において、酸化物半導体層103がソース電極層105aまたはドレイン電極層105bと重ならない領域の長さを示している。Lsはソース電極層105aとゲート電極層101が重なる長さを示しており、Ldはドレイン電極層105bとゲート電極層101が重なる長さを示している。
【0095】
なお、図16、図17、図18、及び図19のチャネル長依存性のデータは、図4のチャネル長Lに基づいている。また、図16、図17、図18、及び図19のサンプルは、保護絶縁層107を形成した段階の薄膜トランジスタ150を用いている。
【0096】
保護絶縁層107として膜厚300nmの酸化珪素膜を形成した後に、第2の熱処理を導電性材料の構造体の中空部分に基板を配置した状態で風に当てないように100℃以上300℃以下の範囲内で行う。本実施の形態では、アルミニウムのトレイに入れてアルミニウムの蓋をした空間に基板を保管し、且つ、接地電位に電気的に接続させた状態で基板を150℃、2時間の加熱を行う。この第2の加熱処理により、酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタのゲート電圧が0Vにできるだけ近いしきい値電圧でチャネルが形成される薄膜トランジスタを作製することができる。
【0097】
また、第2の熱処理のタイミングは、保護絶縁層107形成直後に限定されず、その上に配線や電極(例えば画素電極など)を形成した後に行ってもよい。
【0098】
また、本実施の形態では、図3(D)に示すボトムゲート型の薄膜トランジスタ150の作製方法について説明したが、本実施の形態の構成はこれに限られるものではない。図5(A)に示すような、ボトムゲート構造のボトムコンタクト型(逆コプラナ型とも呼ぶ)の薄膜トランジスタ160や、図5(B)に示すような、チャネル保護層110を有するチャネル保護型(チャネルストップ型ともいう)の薄膜トランジスタ170等も同様の材料、方法を用いて形成することができる。図5(C)は、チャネルエッチ型薄膜トランジスタの他の例を示している。図5(C)に示す薄膜トランジスタ180は、ゲート電極層101が酸化物半導体層103の端部よりも外側に伸びた構造となっている。
【0099】
なお、薄膜トランジスタのチャネル長(図4中のL)は、ソース電極層105aとドレイン電極層105bとの距離で定義されるが、チャネル保護型の薄膜トランジスタのチャネル長は、キャリアの流れる方向と平行な方向のチャネル保護層の幅で定義される。
【0100】
(実施の形態2)
実施の形態1では基板の収納容器としてトレイに蓋をする例を示したが、本実施の形態では、四角柱形状の容器を用いる。
【0101】
図6(A)には、四角柱形状の容器61に基板10を入れる直前の様子の模式図を示している。本実施の形態では、1枚の基板面を垂直にした状態で収納する容器61を示している。なお、図6(B)は基板10を収納後の容器61の上面図を示しており、基板保持部材62が基板と接触するように設けられている。容器61は導電性を有する材料、例えばアルミニウム、銅、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブなどを用いる。基板保持部材62も導電性を有する材料で構成することが好ましい。
【0102】
なお、図6(A)及び図6(B)においては基板一枚のみを収納する容器61を示したが、複数の基板を収納する容器とすることもでき、例えば10枚の基板を収納できる容器とした場合には生産性を向上することができる。また、1枚の基板面を床に対して垂直にした状態で収納する容器に限定されず、基板面を床に対して平行にした状態で収納する容器を用いてもよい。例えば、風が当たらないように円筒状の容器の中に基板を配置して加熱してもよい。
【0103】
また、基板10を収納した容器61は、図2に示す加熱装置の棚に置き、接地電位に電気的に接続して第2の加熱処理を行う。
【0104】
図6(A)に示す容器61を用いることで熱風循環方式の加熱装置内での加熱処理時に、基板10に当たる熱風を低減できるため、静電気の発生を抑止し、基板10に設けられている薄膜トランジスタのしきい値の変動を制御することができる。
【0105】
本実施の形態は実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0106】
(実施の形態3)
また、実施の形態1や実施の形態2は容器を用いる例を示したが、本実施の形態では、金属箔で基板を包み、図2に示す加熱装置の棚に置き、接地電位に電気的に接続して加熱を行う。
【0107】
図7(A)は1枚の基板10を金属箔71で包んだ外観図を示している。また、図7(B)はその断面図を示している。
【0108】
金属箔71の材料としては、アルミニウム、銅、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブなどを用いる。本実施の形態ではアルミニウムホイルを用いる。
【0109】
1枚のアルミニウムホイルを用いて基板10を覆い包んでもよいし、2枚以上の複数のアルミホイルを用いて基板10を覆い包んでもよい。また、外気と触れないようにカプトンテープなどを用いてアルミニウムホイルで囲まれた中空空間に基板を入れて密閉することが好ましい。
【0110】
アルミニウムホイルで包んだ基板を図2に示す加熱装置の棚に置き、接地電位に電気的に接続して100℃以上300℃以下の第2の加熱処理を行う。
【0111】
図7(A)に示すように金属箔71で基板10を包むことで熱風循環方式の加熱装置内での加熱処理時に、基板10に当たる熱風を低減できるため、静電気の発生を抑止し、基板10に設けられている薄膜トランジスタのしきい値の変動を制御することができる。
【0112】
例えば、アルミニウムホイルに包んだ基板をさらに図1に示すトレイ蓋を有するトレイに入れて二重に密閉して第2の加熱処理を行うことができる。また、アルミニウムホイルに包んだ基板を図6に示す容器61に入れて第2の加熱処理を行うことができる。
【0113】
また、図1に示すトレイ蓋の代わりに金属箔を用い、トレイ本体と金属箔とで中空空間を形成し、その中空空間に基板を保管して第2の加熱処理を行ってもよい。
【0114】
また、図6に示す容器61の開口を塞ぐために金属箔を用いて第2の加熱処理を行ってもよい。
【0115】
本実施の形態は実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせることができる。
【0116】
(実施の形態4)
本実施の形態では、薄膜トランジスタを作製し、該薄膜トランジスタを画素部、さらには駆動回路に用いて表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を作製する場合について説明する。また、薄膜トランジスタを用いた駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0117】
表示装置は表示素子を含む。表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)素子、有機EL素子等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0118】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに表示装置は、該表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極のみが形成された状態であっても良いし、画素電極となる導電層を形成した後であって、エッチングして画素電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0119】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0120】
本実施の形態では、本発明の一形態である半導体装置として液晶表示装置の例を示す。まず、半導体装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、図8を用いて説明する。図8(A1)、(A2)は、第1の基板4001上に形成されたIn−Ga−Zn−O系非単結晶層を半導体層として含む薄膜トランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第2の基板4006との間にシール材4005によって封止した、パネルの上面図であり、図8(B)は、図8(A1)、(A2)のM−Nにおける断面図に相当する。
【0121】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、液晶層4008と共に封止されている。また第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体又は多結晶半導体で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。
【0122】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。図8(A1)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図8(A2)は、TAB方法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0123】
また、第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、薄膜トランジスタを複数有しており、図8(B)では、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれる薄膜トランジスタ4011とを例示している。薄膜トランジスタ4010、4011上には絶縁層4020、4021が設けられている。
【0124】
薄膜トランジスタ4010、4011は、実施の形態1で示した酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタを適用することができる。本実施の形態において、薄膜トランジスタ4010、4011はnチャネル型薄膜トランジスタである。
【0125】
絶縁層4021上において、駆動回路用の薄膜トランジスタ4011の酸化物半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に導電層4040が設けられている。導電層4040を酸化物半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に設けることによって、BT試験前後における薄膜トランジスタ4011のしきい値電圧の変化量を低減することができる。また、導電層4040は、電位が薄膜トランジスタ4011のゲート電極層と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させることもできる。また、導電層4040の電位がGND、0V、或いはフローティング状態であってもよい。
【0126】
また、液晶素子4013が有する画素電極層4030は、薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている。そして液晶素子4013の対向電極層4031は第2の基板4006上に形成されている。画素電極層4030と対向電極層4031と液晶層4008とが重なっている部分が、液晶素子4013に相当する。なお、画素電極層4030、対向電極層4031はそれぞれ配向膜として機能する絶縁層4032、4033が設けられ、絶縁層4032、4033を介して液晶層4008を挟持している。
【0127】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、ガラス、金属(代表的にはステンレス)、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0128】
また、4035は絶縁層を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、画素電極層4030と対向電極層4031との間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。また、対向電極層4031は、薄膜トランジスタ4010と同一基板上に設けられる共通電位線と電気的に接続される。また、共通接続部を用いて、一対の基板間に配置される導電性粒子を介して対向電極層4031と共通電位線とを電気的に接続することができる。なお、導電性粒子はシール材4005に含有させる。
【0129】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層4008に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。
【0130】
また、ブルー相を示す液晶を用いると、配向膜へのラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。特に、酸化物半導体層を用いる薄膜トランジスタは、静電気の影響により薄膜トランジスタの電気的な特性が著しく変動して設計範囲を逸脱する恐れがある。よって酸化物半導体層を用いる薄膜トランジスタを有する液晶表示装置にブルー相の液晶材料を用いることはより効果的である。
【0131】
なお、本実施の形態で示す液晶表示装置は透過型液晶表示装置の例であるが、液晶表示装置は反射型液晶表示装置でも半透過型液晶表示装置でも適用できる。
【0132】
また、本実施の形態で示す液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設け、内側に着色層、表示素子に用いる電極層という順に設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。また、偏光板と着色層の積層構造も本実施の形態に限定されず、偏光板及び着色層の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、必要に応じてブラックマトリクスとして機能する遮光層を設けてもよい。
【0133】
また、本実施の形態では、薄膜トランジスタの表面凹凸を低減するため、及び薄膜トランジスタの信頼性を向上させるため、薄膜トランジスタを保護層や平坦化絶縁層として機能する絶縁層(絶縁層4020、絶縁層4021)で覆う構成となっている。なお、保護層は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護層は、スパッタ法を用いて、酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、酸化窒化アルミニウム層、又は窒化酸化アルミニウム層の単層、又は積層で形成すればよい。本実施の形態では保護層をスパッタ法で形成する例を示すが、特に限定されず種々の方法で形成すればよい。
【0134】
ここでは、保護層として積層構造の絶縁層4020を形成する。ここでは、絶縁層4020の一層目として、スパッタ法を用いて酸化珪素層を形成する。保護層として酸化珪素層を用いると、ソース電極層及びドレイン電極層として用いるアルミニウム層のヒロック防止に効果がある。
【0135】
また、保護層の二層目として絶縁層を形成する。ここでは、絶縁層4020の二層目として、スパッタ法を用いて窒化珪素層を形成する。保護層として窒化珪素層を用いると、ナトリウム等のイオンが半導体領域中に侵入して、TFTの電気特性を変化させることを抑制することができる。
【0136】
また、平坦化絶縁層として絶縁層4021を形成する。絶縁層4021としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、絶縁層4021を形成してもよい。
【0137】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
【0138】
絶縁層4021の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。絶縁層4021を材料液を用いて形成する場合、ベークする工程で同時に、半導体層のアニール(300℃〜400℃)を行ってもよい。絶縁層4021の焼成工程と半導体層のアニールを兼ねることで効率よく半導体装置を作製することが可能となる。
【0139】
画素電極層4030、対向電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0140】
また、画素電極層4030、対向電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0141】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0142】
また、画素電極層4030を形成した後に、実施の形態1に示したように、風の当たらないように複数の薄膜トランジスタ4010、4011及び画素電極層4030を有する基板4001をトレイに入れて密封し、第2の加熱処理(100℃以上300℃以下)を行う。第2の加熱処理を行うことによって、しきい値を制御して基板4001に設けられた複数の薄膜トランジスタをノーマリーオフとすることができる。
【0143】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0144】
本実施の形態では、接続端子電極4015が、液晶素子4013が有する画素電極層4030と同じ導電層から形成され、端子電極4016は、薄膜トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電層で形成されている。
【0145】
接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電層4019を介して電気的に接続されている。
【0146】
また図8においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、本実施の形態はこの構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0147】
また、必要であれば、カラーフィルタを各画素に対応して設ける。また、第1の基板4001と第2の基板4006の外側には偏光板や拡散板を設ける。また、バックライトの光源は冷陰極管やLEDにより構成されて液晶表示モジュールとなる。
【0148】
液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0149】
以上の工程により、歩留まりの高い液晶表示装置を作製することができる。
【0150】
また、実施の形態1に示す薄膜トランジスタの作製方法を用いて液晶表示装置の駆動回路の薄膜トランジスタを作製することにより、駆動回路部の薄膜トランジスタのノーマリーオフを実現し、省電力化を図ることができる。
【0151】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0152】
(実施の形態5)
半導体装置の一形態として電子ペーパーの例を示す。
【0153】
実施の形態1の薄膜トランジスタは、スイッチング素子と電気的に接続する素子を利用して電子インクを駆動させる電子ペーパーに用いてもよい。電子ペーパーは、電気泳動表示装置(電気泳動ディスプレイ)とも呼ばれており、紙と同じ読みやすさ、他の表示装置に比べ低消費電力、薄くて軽い形状とすることが可能という利点を有している。
【0154】
電気泳動ディスプレイは、様々な形態が考えられ得るが、プラスの電荷を有する第1の粒子と、マイナスの電荷を有する第2の粒子とを含むマイクロカプセルが溶媒または溶質に複数分散されたものであり、マイクロカプセルに電界を印加することによって、マイクロカプセル中の粒子を互いに反対方向に移動させて一方側に集合した粒子の色のみを表示するものである。なお、第1の粒子または第2の粒子は染料を含み、電界がない場合において移動しないものである。また、第1の粒子の色と第2の粒子の色は異なるもの(無色を含む)とする。
【0155】
このように、電気泳動ディスプレイは、誘電定数の高い物質が高い電界領域に移動する、いわゆる誘電泳動的効果を利用したディスプレイである。
【0156】
上記マイクロカプセルを溶媒中に分散させたものが電子インクと呼ばれるものであり、この電子インクはガラス、プラスチック、布、紙などの表面に印刷することができる。また、カラーフィルタや色素を有する粒子を用いることによってカラー表示も可能である。
【0157】
また、アクティブマトリクス基板上に適宜、二つの電極の間に挟まれるように上記マイクロカプセルを複数配置すればアクティブマトリクス型の表示装置が完成し、マイクロカプセルに電界を印加すれば表示を行うことができる。例えば、実施の形態1の薄膜トランジスタによって得られるアクティブマトリクス基板を用いることができる。
【0158】
なお、マイクロカプセル中の第1の粒子および第2の粒子は、導電体材料、絶縁体材料、半導体材料、磁性材料、液晶材料、強誘電性材料、エレクトロルミネセント材料、エレクトロクロミック材料、磁気泳動材料から選ばれた一種の材料、またはこれらの複合材料を用いればよい。
【0159】
図9は、半導体装置の例としてアクティブマトリクス型の電子ペーパーを示す。半導体装置に用いられる薄膜トランジスタ581としては、実施の形態1で示す薄膜トランジスタと同様に作製でき、酸化物半導体層を含む歩留まりの高い薄膜トランジスタである。
【0160】
図9の電子ペーパーは、ツイストボール表示方式を用いた表示装置の例である。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を表示素子に用いる電極層である第1の電極層及び第2の電極層の間に配置し、第1の電極層及び第2の電極層に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法である。
【0161】
基板580と基板596の間に封止される薄膜トランジスタ581はボトムゲート構造の薄膜トランジスタであり、半導体層と接する絶縁層583に覆われている。薄膜トランジスタ581のソース電極層又はドレイン電極層は、第1の電極層587と、絶縁層583、585に形成する開口で接しており電気的に接続している。第1の電極層587と第2の電極層588との間には黒色領域590a及び白色領域590bを有し、周りに液体で満たされているキャビティ594を含む球形粒子589が設けられており、球形粒子589の周囲は樹脂等の充填材595で充填されている(図9参照。)。第1の電極層587が画素電極に相当し、第2の電極層588が共通電極に相当する。第2の電極層588は、薄膜トランジスタ581と同一基板上に設けられる共通電位線と電気的に接続される。共通接続部を用いて、一対の基板間に配置される導電性粒子を介して第2の電極層588と共通電位線とを電気的に接続することができる。
【0162】
また、ツイストボールの代わりに、電気泳動素子を用いることも可能である。透明な液体と、正に帯電した白い微粒子と負に帯電した黒い微粒子とを封入した直径10μm〜200μm程度のマイクロカプセルを用いる。第1の電極層と第2の電極層との間に設けられるマイクロカプセルは、第1の電極層と第2の電極層によって、電場が与えられると、白い微粒子と、黒い微粒子が逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる。この原理を応用した表示素子が電気泳動表示素子であり、一般的に電子ペーパーとよばれている。電気泳動表示素子は、液晶表示素子に比べて反射率が高いため、補助ライトは不要であり、また消費電力が小さく、薄暗い場所でも表示部を認識することが可能である。また、表示部に電源が供給されない場合であっても、一度表示した像を保持することが可能であるため、電波発信源から表示機能付き半導体装置(単に表示装置、又は表示装置を具備する半導体装置ともいう)を遠ざけた場合であっても、表示された像を保存しておくことが可能となる。
【0163】
以上の工程により、歩留まりの高い電子ペーパーを作製することができる。
【0164】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0165】
(実施の形態6)
半導体装置の一形態に相当する発光表示パネル(発光パネルともいう)の外観及び断面について、図10を用いて説明する。図10(A)は、第1の基板上に形成された薄膜トランジスタ及び発光素子を、第2の基板との間にシール材によって封止した、パネルの上面図であり、図10(B)は、図10(A)のH−Iにおける断面図に相当する。
【0166】
第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bを囲むようにして、シール材4505が設けられている。また画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bの上に第2の基板4506が設けられている。よって画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、第1の基板4501とシール材4505と第2の基板4506とによって、充填材4507と共に密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0167】
また第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、薄膜トランジスタを複数有しており、図10(B)では、画素部4502に含まれる薄膜トランジスタ4510と、信号線駆動回路4503aに含まれる薄膜トランジスタ4509とを例示している。
【0168】
薄膜トランジスタ4509、4510は、実施の形態1で示した酸化物半導体層を含む歩留まりの高い薄膜トランジスタを適用することができる。本実施の形態において、薄膜トランジスタ4509、4510はnチャネル型薄膜トランジスタである。
【0169】
絶縁層4544上において駆動回路用の薄膜トランジスタ4509の酸化物半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に導電層4540が設けられている。導電層4540を酸化物半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に設けることによって、BT試験前後における薄膜トランジスタ4509のしきい値電圧の変化量を低減することができる。また、導電層4540は、電位が薄膜トランジスタ4509のゲート電極層と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させることもできる。また、導電層4540の電位がGND、0V、或いはフローティング状態であってもよい。
【0170】
薄膜トランジスタ4509は、保護絶縁層としてチャネル形成領域を含む半導体層に接して絶縁層4541が形成されている。絶縁層4541は実施の形態1で示した保護絶縁層107と同様な材料及び方法で形成すればよい。また、薄膜トランジスタの表面凹凸を低減するため平坦化絶縁層として機能する絶縁層4544で覆う構成となっている。ここでは、絶縁層4541として、実施の形態1に示す保護絶縁層107を用いてスパッタ法により酸化珪素層を形成する。
【0171】
また、絶縁層4541上に保護絶縁層4542が形成されている。保護絶縁層4542は実施の形態1で示した保護絶縁層107と同様な材料及び方法で形成すればよい。ここでは、保護絶縁層4542として、PCVD法により窒化珪素層を形成する。
【0172】
また、平坦化絶縁層として絶縁層4544を形成する。絶縁層4544としては、実施の形態4で示した絶縁層4021と同様な材料及び方法で形成すればよい。ここでは、絶縁層4544としてアクリルを用いる。
【0173】
また4511は発光素子に相当し、発光素子4511が有する画素電極である第1の電極層4517は、薄膜トランジスタ4510のソース電極層またはドレイン電極層と電気的に接続されている。なお発光素子4511の構成は、第1の電極層4517、電界発光層4512、第2の電極層4513の積層構造であるが、示した構成に限定されない。発光素子4511から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子4511の構成は適宜変えることができる。
【0174】
隔壁4520は、有機樹脂層、無機絶縁層または有機ポリシロキサンを用いて形成する。特に感光性の材料を用い、第1の電極層4517上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0175】
電界発光層4512は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
【0176】
発光素子4511に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層4513及び隔壁4520上に保護層を形成してもよい。保護層としては、窒化珪素層、窒化酸化珪素層、DLC層等を形成することができる。
【0177】
また、信号線駆動回路4503a、4503b、走査線駆動回路4504a、4504b、または画素部4502に与えられる各種信号及び電位は、FPC4518a、4518bから供給されている。
【0178】
接続端子電極4515が、発光素子4511が有する第1の電極層4517と同じ導電層から形成され、端子電極4516は、薄膜トランジスタ4509、4510が有するソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電層から形成されている。
【0179】
接続端子電極4515は、FPC4518aが有する端子と、異方性導電層4519を介して電気的に接続されている。
【0180】
発光素子4511からの光の取り出し方向に位置する第2の基板は透光性でなければならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透光性を有する材料を用いる。
【0181】
また、充填材4507としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。例えば充填材として窒素を用いればよい。
【0182】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0183】
信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、別途用意された基板上に単結晶半導体又は多結晶半導体によって形成された駆動回路で実装されていてもよい。また、信号線駆動回路のみ、或いは一部、又は走査線駆動回路のみ、或いは一部のみを別途形成して実装しても良く、図10の構成に限定されない。
【0184】
以上の工程により、歩留まりの高い発光表示装置(表示パネル)を作製することができる。
【0185】
赤色の発光素子、青色の発光素子、及び緑色の発光素子を画素部に用いるとフルカラー表示装置を実現できる。また、発光表示装置に用いる発光素子として、白色発光を発光する発光素子を用いることで、発光表示装置を照明に用いることもできる。
【0186】
実施の形態1に示す加熱方法を用いて発光表示装置の画素部の薄膜トランジスタを作製することにより、各画素の薄膜トランジスタのしきい値を制御することができる。
【0187】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0188】
(実施の形態7)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機、太陽電池などが挙げられる。
【0189】
図11(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機1100は、筐体1101に組み込まれた表示部1102の他、操作ボタン1103、外部接続ポート1104、スピーカ1105、マイク1106などを備えている。
【0190】
図11(A)に示す携帯電話機1100は、表示部1102を指などで触れることで、情報を入力ことができる。また、電話を掛ける、或いはメールを打つなどの操作は、表示部1102を指などで触れることにより行うことができる。
【0191】
表示部1102の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0192】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部1102を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部1102の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0193】
また、携帯電話機1100内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機1100の向き(縦か横か)を判断して、表示部1102の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0194】
また、画面モードの切り替えは、表示部1102を触れること、又は筐体1101の操作ボタン1103の操作により行われる。また、表示部1102に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0195】
また、入力モードにおいて、表示部1102の光センサで検出される信号を検知し、表示部1102のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0196】
表示部1102は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部1102に掌や指を触れることで、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0197】
表示部1102には、画素のスイッチング素子として、実施の形態1に示す薄膜トランジスタを複数配置する。
【0198】
図11(B)も携帯電話機の一例である。図11(B)を一例とした携帯型情報端末は、複数の機能を備えることができる。例えば電話機能に加えて、コンピュータを内蔵し、様々なデータ処理機能を備えることもできる。
【0199】
図11(B)に示す携帯型情報端末は、筐体2800及び筐体2801の二つの筐体で構成されている。筐体2801には、表示パネル2802、スピーカ2803、マイクロフォン2804、ポインティングデバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続端子2808などを備えている。また、筐体2800には、携帯型情報端末の充電を行う太陽電池セル2810、外部メモリスロット2811などを備えている。また、アンテナは筐体2801内部に内蔵されている。
【0200】
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、図11(B)には映像表示されている複数の操作キー2805を点線で示している。
【0201】
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置などを内蔵していてもよい。
【0202】
発光装置は、表示パネル2802に用いることができ、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカ2803及びマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、図11(B)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。
【0203】
外部接続端子2808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0204】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
【0205】
図12(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。
【0206】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機9610により行うことができる。リモコン操作機9610が備える操作キー9609により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9603に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機9610に、当該リモコン操作機9610から出力する情報を表示する表示部9607を設ける構成としてもよい。
【0207】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0208】
表示部9603には、画素のスイッチング素子として、実施の形態1に示す薄膜トランジスタを複数配置する。
【0209】
図12(B)は、デジタルフォトフレームの一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム9700は、筐体9701に表示部9703が組み込まれている。表示部9703は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0210】
表示部9703には、画素のスイッチング素子として、実施の形態1に示す薄膜トランジスタを複数配置する。
【0211】
なお、デジタルフォトフレーム9700は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部9703に表示させることができる。
【0212】
また、デジタルフォトフレーム9700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0213】
図13は、実施の形態6を適用して形成される発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。実施の形態6で示した発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、実施の形態6で示した発光装置は、卓上照明器具3000として用いることも可能である。なお、照明器具には天井固定型の照明器具、卓上照明器具の他にも、壁掛け型の照明器具、車内用照明、誘導灯なども含まれる。
【0214】
以上のように、実施の形態1で示した薄膜トランジスタは、上記のような様々な電子機器の表示パネルに配置することができる。薄膜トランジスタを表示パネルのスイッチング素子として用いることにより、低消費電力を実現でき、歩留まりの高い電子機器を提供することができる。
【0215】
(実施の形態8)
本明細書に開示する半導体装置は、電子ペーパーとして適用することができる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる。電子機器の一例を図14に示す。
【0216】
図14は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0217】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図14では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図14では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0218】
また、図14では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカ2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0219】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0220】
本実施の形態は、実施の形態1に記載した薄膜トランジスタと、または実施の形態5に記載した電子ペーパーの構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0221】
10 基板
11 トレイ本体
12 トレイ蓋
20 床
21 炉本体
22 扉
23 吹き出し口
24 吸い込み口
25 ヒータ
26 ファン
27 棚
61 容器
62 基板保持部材
71 金属箔
100 基板
101 ゲート電極層
102 ゲート絶縁層
103 酸化物半導体層
105a ソース電極層
105b ドレイン電極層
107 保護絶縁層
110 チャネル保護層
150 薄膜トランジスタ
160 薄膜トランジスタ
170 薄膜トランジスタ
180 薄膜トランジスタ
501 曲線
504 接線
505 ゲート電圧軸切片
580 基板
581 薄膜トランジスタ
583 絶縁層
585 絶縁層
587 電極層
588 電極層
589 球形粒子
590a 黒色領域
590b 白色領域
594 キャビティ
595 充填材
596 基板
1100 携帯電話機
1101 筐体
1102 表示部
1103 操作ボタン
1104 外部接続ポート
1105 スピーカ
1106 マイク
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカ
2800 筐体
2801 筐体
2802 表示パネル
2803 スピーカ
2804 マイクロフォン
2805 操作キー
2806 ポインティングデバイス
2807 カメラ用レンズ
2808 外部接続端子
2810 太陽電池セル
2811 外部メモリスロット
3000 卓上照明器具
3001 照明装置
4001 第1の基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 第2の基板
4008 液晶層
4010 薄膜トランジスタ
4011 薄膜トランジスタ
4013 液晶素子
4015 接続端子電極
4016 端子電極
4018 FPC
4019 異方性導電層
4020 絶縁層
4021 絶縁層
4030 画素電極層
4031 対向電極層
4032 絶縁層
4040 導電層
4501 第1の基板
4502 画素部
4503a、4503b 信号線駆動回路
4504a、4504b 走査線駆動回路
4505 シール材
4506 第2の基板
4507 充填材
4509 薄膜トランジスタ
4510 薄膜トランジスタ
4511 発光素子
4512 電界発光層
4513 電極層
4515 接続端子電極
4516 端子電極
4517 電極層
4518a、4518b FPC
4519 異方性導電層
4520 隔壁
4540 導電層
4541 絶縁層
4542 保護絶縁層
4544 絶縁層
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
9607 表示部
9609 操作キー
9610 リモコン操作機
9700 デジタルフォトフレーム
9701 筐体
9703 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタが作製された基板表面に静電荷が存在することを抑止する、または風切りで発生する静電荷を抑止するとともに内部の電荷を基板の上方の雰囲気中に加熱保管することにより前記薄膜トランジスタまたはその近傍の電荷を低減することを特徴とする除電方法。
【請求項2】
導電性を有する容器内に薄膜トランジスタが作られた基板を配設して加熱処理を行い、前記薄膜トランジスタが作製された基板表面に静電荷が存在することを抑止する、または風切りで発生する静電荷を抑止することにより前記薄膜トランジスタまたはその近傍の電荷を低減することを特徴とする除電方法。
【請求項3】
基板上に酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、
前記薄膜トランジスタが作製された基板を導電性を有する容器内に収納して加熱処理を行う半導体装置の作製方法。
【請求項4】
請求項3において、前記加熱処理の温度は100℃以上300℃以下であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、前記加熱処理を行う加熱装置は、接地電位と電気的に接続し、且つ、前記容器も接地電位と電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
薄膜トランジスタが作られた基板を金属箔で包み、加熱処理を行い、前記薄膜トランジスタが作製された基板表面に静電荷が存在することを抑止する、または風切りで発生する静電荷を抑止することにより前記薄膜トランジスタまたはその近傍の電荷を低減することを特徴とする除電方法。
【請求項7】
基板上に酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、
前記薄膜トランジスタが作製された基板を導電性を有する金属箔で包み、加熱処理を行う半導体装置の作製方法。
【請求項8】
請求項7において、前記加熱処理の温度は100℃以上300℃以下であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、前記加熱処理を行う加熱装置は、接地電位と電気的に接続し、且つ、前記金属箔も接地電位と電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−100984(P2011−100984A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224713(P2010−224713)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】