説明

電子デバイス及びその製造方法

【課題】層間絶縁膜に形成した空隙部を導電材料で充填して配線・接続部を形成する際に問題となる、下層の導電領域と配線・接続部との接続状態に起因する不都合を生ぜしめることなく、微細な配線及び接続部が所望の状態に正確且つ容易に実現されてなる信頼性の高い電子デバイスを実現する。
【解決手段】ダミー構造物16を形成し、ダミー構造物16の側面のみに側壁膜17を形成する。このダミー構造物16を覆うように層間絶縁膜18を形成する。そして、側壁膜17が残るようにダミー構造物16のみを除去し、下層配線14の表面の一部を露出させ、層間絶縁膜18に形成された開口18aをCuで埋め込み、Cuの表層を層間絶縁膜18の表面に合わせて平坦化する。以上により、下層配線14と直接的に接続されるCu接続部22を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、半導体装置に代表される電子デバイス及びその製造方法に関し、配線接続用の導電プラグや、いわゆるダマシン法による配線構造に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体装置に代表される電子デバイスでは、層間絶縁膜に形成した空隙部を導電材料で充填して、配線接続部や埋め込み配線を形成する技術が開発されている。この場合、層間絶縁膜に開口や配線溝等の空隙部を形成し、空隙部を埋め込むように層間絶縁膜上に導電材料を堆積した後、導電材料の表層を平坦化する。
【0003】
配線接続部としては、例えばタングステン(W)プラグがある。Wプラグを形成するには、例えば半導体素子であるMOSトランジスタを覆う層間絶縁膜に、下層の導電領域の一部を露出させる開口を形成し、この開口をTi等の導電性下地膜を介して埋め込むようにCVD法等によりWを堆積する。そして、このWの表層を例えば化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法により平坦化する。以上により、下層の導電領域と接続され、層間絶縁膜の開口をWで充填してなるWプラグが形成される。
【0004】
埋め込み配線としては、いわゆるダマシン法による、銅(Cu)を含む導電材料(Cu又はその合金等)からなる配線(以下、「Cu配線」と言う。)がある。例えばシングルダマシン法によりCu配線を形成するには、例えばMOSトランジスタの上層の層間絶縁膜に、下層の導電領域の一部を露出させる配線溝を形成し、この配線溝をTi等の導電性下地膜(拡散バリア膜)を介して埋め込むように、メッキ法によりCuを形成する。そして、このCuの表層を例えばCMP法により平坦化する。以上により、下層の導電領域と接続され、層間絶縁膜の配線溝をCuで充填してなるCu配線が形成される。
なお、上記のようにして形成されたCu配線と接続される接続部(以下、「Cu接続部」と言う。)を、上記と同様にシングルダマシン法により形成しても良い。また、デュアルグルダマシン法により、層間絶縁膜にCu配線及びCu接続部(以下、両者を合わせて「Cu配線構造」と言う。)を同時に形成することもできる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−40566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、半導体装置等では、素子の微細化・高集積化の要請が益々高まっており、この要請に応えるべく、導電プラグや埋め込み配線も同様に更なる微細化・高集積化を図ることが要求されている。このような微細化・高集積化に対応して、導電材料を充填するための微細な空隙部を層間絶縁膜に形成することが必要となる。しかしながら、導電プラグや埋め込み配線の微細化が進むにつれて、導電プラグや埋め込み配線の下層の導電領域との接続状態に起因する問題が発生している。
【0007】
例えば、層間絶縁膜に形成された開口に導電プラグを形成する場合には、下層の導電領域であるソース/ドレイン領域と導電プラグとは、空隙部である開口の内壁面を覆う導電性下地膜を介して電気的に接続される。この導電性下地膜は、導電プラグの層間絶縁膜との良好な密着性を確保するために必須のものである。この場合、Wがソース/ドレイン領域と導電性下地膜であるTiやTa等を介して接続されるため、導電プラグのコンタクト抵抗が増加する。特に、導電プラグの微細化により、コンタクト抵抗の大幅な増大化は避けられない。
【0008】
また、層間絶縁膜に形成された開口又は配線溝に、例えばダマシン法によるCu接続部又はCu配線構造を形成する場合には、下層の導電領域である下層Cu配線とCu接続部又はCu配線構造とは、空隙部である開口又は配線溝の内壁面を覆う導電性下地膜を介して電気的に接続される。この導電性下地膜は、Cuの層間絶縁膜内への拡散を防止するために必須のものである。この場合、Cu同士が導電性下地膜であるTiやTa等を介して接続されるため、コンタクト抵抗の増加は避けられない。更に、Cuのエレクトロ・マイグレーションに起因してCuが移動することによって下層Cu配線やCu接続部又はCu配線構造にボイドが発生することも多い。
【0009】
以上のように、層間絶縁膜に微細な空隙部を形成し、当該空隙部を導電材料で充填して配線や接続部を形成する場合、配線・接続部としての信頼性の低下を招くという問題がある。
本件は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、層間絶縁膜に形成した空隙部を導電材料で充填して配線・接続部を形成する際に問題となる、下層の導電領域と配線・接続部との接続状態に起因する不都合を生ぜしめることなく、微細な配線及び接続部が所望の状態に正確且つ容易に実現されてなる信頼性の高い電子デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本件の電子デバイスは、基板と、前記基板上に形成された第1の導電層と、前記第1の導電層を埋め込み、前記第1の導電層の表面の一部を露出させる第1の空隙部を有する第1の絶縁膜と、前記第1の空隙部を埋め込み、前記第1の導電層と接続されてなる第2の導電層と、前記第2の導電層の側面部分のみに形成された第1の側壁膜とを含み、前記第2の導電層は、前記第1の空隙部内において、前記側面部分で前記第1の側壁膜を介して前記第1の絶縁膜と対向する。
【0011】
本件の電子デバイスの製造方法は、基板上に第1の導電層を形成する工程と、前記第1の導電層上に、第2の導電層の形状を模した第1の構造物を形成する工程と、前記第1の構造物の側面のみを覆う第1の側壁膜を形成する工程と、前記第1の導電層上に、前記第1の構造物の側面を埋め込む第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の構造物を除去する工程と、前記第1の構造物の除去により前記第1の絶縁膜に形成された第1の空隙部を埋め込むように、前記第2の導電層を形成する工程とを含み、前記第2の導電層を、前記第1の空隙部内において、前記側面部分で前記第1の絶縁膜と前記第1の側壁膜を介して対向するように形成する。
【発明の効果】
【0012】
本件によれば、層間絶縁膜に形成した空隙部を導電材料で充填して配線・接続部を形成する際に問題となる、下層の導電領域と配線・接続部との接続状態に起因する不都合を生ぜしめることなく、微細な配線及び接続部が正確且つ容易に所望の状態とされた信頼性の高い電子デバイスが実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
―本件の基本骨子―
上記したような、層間絶縁膜に形成した空隙部を導電材料で充填して配線・接続部を形成する際に発生する種々の問題を解決するには、空隙部の形成プロセスを抜本的に見直すことが最も有効であると考えられる。
本件では、ソース/ドレイン領域や下層配線等の下層の導電領域上に、加工し易く除去が容易な材料(導電性の有無を問わない)で配線・接続部の形状を模したダミー構造物を形成し、ダミー構造物の側面のみに側壁膜を形成する。側壁膜の材料としては、その目的に応じて、配線・接続部の層間絶縁膜との密着性に優れた材料、或いは配線・接続部の導電材料の層間絶縁膜内への拡散を防止する材料等を選択する。その後、ダミー構造物及び側壁膜を覆うように層間絶縁膜を形成する。そして、側壁膜を残してダミー構造物のみを除去し、当該除去により層間絶縁膜に形成された空隙部を導電材料で埋め込み、導電材料の表層を層間絶縁膜の表面に合わせて平坦化する。以上により、空隙部内を導電材料で充填し、空隙部の内壁側面部分で側壁膜を介して絶縁膜と対向するように、配線・接続部が形成される。
【0014】
上記のように形成した側壁膜により、配線・接続部の層間絶縁膜との密着性や、配線・接続部の導電材料の層間絶縁膜内への拡散防止等
が実現する。従ってこの場合、空隙部の内壁面に導電性下地膜を形成することを要さず、配線・接続部を下層の導電領域と配線・接続部と直接的に接続されるように形成することができる。この構成では、下層の導電領域と配線・接続部との間に、これらとは異種導電材料からなる導電性下地膜が存しないため、コンタクト抵抗は可及的に低く抑えられる。
【0015】
ここで、配線・接続部として、例えばダマシン法によりCu接続部又はCu配線構造を形成する場合、下層のCu配線とCu接続部又はCu配線構造とが直接的に接続される、即ちCu同士が直接的に接続されるため、コンタクト抵抗が可及的に低く抑えられるとともに、ボイド発生が防止される。このように本件では、配線のコンタクト抵抗の増加や配線接続部位のボイド発生を抑止し、電子デバイスの信頼性を更に高めることができる。
【0016】
なお、特許文献1には、ダミー配線を用いてベースメタルを配線箇所に予め埋め込んでおき、ベースメタルの箇所のみに選択的にCuメッキが形成され、自己整合的にCu配線を作製する旨が記載されている。しかしながら特許文献1の技術は、Cuを配線溝に無電界メッキ法により効果的に埋め込むことを目的としており、本件とは構成自体が異なるものである。更に特許文献1には、下層配線が開示されておらず、当然のことながらCu配線と下層配線との接続状態についての問題点に着目する記載や、当該接続状態を示唆する記載も皆無である。
【0017】
―本件を適用した好適な諸実施形態―
以下、本件を適用した具体的な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の各実施形態では、電子デバイスとして半導体装置であるMOSトランジスタを例示するが、半導体装置としては、各種の半導体メモリやバイポーラトランジスタ等に適用可能である。また、半導体装置以外の電子デバイスとして、磁気素子を備えた磁気デバイス等にも適用できる。
【0018】
(第1の実施形態)
本実施形態では、本件をシングルダマシン法によるCu配線の形成に適用した場合について例示する。本件において対象とする配線やその接続部の導電材料としては、Cu以外にも、例えば銀(Ag)又はその合金や金(Au)又はその合金等を用いることも可能である。
図1〜図3は、第1の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。ここで、図1(d)〜図3(d)の各図は、図1(a)〜(c)に直交する断面図であり、図1(d)〜図3(d)の各図では、導電プラグ12から下方に位置する構成部材の図示を省略(層間絶縁膜13から上方の部分のみを図示)する。
【0019】
初めに、図1(a)に示すように、シリコン基板1にゲート電極4、ソース/ドレイン領域7等を形成する。
先ず、リソグラフィー及びドライエッチングによりシリコン基板1を加工して、シリコン基板1の素子分離領域に素子分離溝を形成する。レジストパターンは灰化処理等により除去される。
そして、CVD法等により、素子分離溝を埋め込む絶縁膜、ここではシリコン酸化膜等を堆積し、CMP法等により平坦化して、素子分離溝内をシリコン酸化物で充填するSTI(Shallow Trench Isolation)素子分離構造2を形成する。
【0020】
次に、熱酸化法等により、シリコン基板1上に薄い絶縁膜、ここではシリコン酸化膜を形成した後、CVD法等により多結晶シリコン膜を堆積する。
そして、リソグラフィー及びドライエッチングにより、多結晶シリコン膜及びシリコン酸化膜を加工して、シリコン基板1上にゲート絶縁膜3を介したゲート電極4をパターン形成する。レジストパターンは灰化処理等により除去される。
【0021】
次に、ゲート電極4をマスクとして、シリコン基板1の表層に不純物(P型であればホウ素(B+)等、N型であればリン(P+)や砒素(As+)等)を所定のドーズ量及び加速エネルギーでイオン注入する。これにより、ゲート電極4の両側にエクステンション領域5が形成される。
【0022】
次に、CVD法等により、ゲート電極4を含むシリコン基板1の全面に絶縁膜、ここではシリコン酸化膜を堆積する。
そして、シリコン酸化膜の全面を異方性ドライエッチング(エッチバック)し、シリコン酸化物をゲート電極4及びゲート絶縁膜3の両側のみに残し、サイドウォール絶縁膜6を形成する。
【0023】
次に、ゲート電極4及びサイドウォール絶縁膜6をマスクとして、シリコン基板1の表層に不純物(P型であればホウ素(B+)等、N型であればリン(P+)や砒素(As+)等)を所定のドーズ量及び加速エネルギーでイオン注入する。これにより、サイドウォール絶縁膜6の両側にエクステンション領域5と一部重畳されてなるソース/ドレイン領域7が形成される。
【0024】
続いて、図1(b)に示すように、ゲート電極4を覆う層間絶縁膜8及び導電プラグ12を形成する。
詳細には、先ず、CVD法等により、ゲート電極4を埋め込む膜厚となるように、シリコン基板1の全面に絶縁膜、ここではシリコン酸化膜を堆積し、層間絶縁膜8を形成する。
【0025】
次に、リソグラフィー及びドライエッチングにより層間絶縁膜8を加工し、層間絶縁膜8にソース/ドレイン領域7の表面の一部を露出させるコンタクト孔9を形成する。レジストパターンは灰化処理等により除去される。
【0026】
次に、コンタクト孔9の内壁面を覆うように、所定の下地導電膜11、例えばTi/TiNの積層膜をスパッタ法等により層間絶縁膜8上に堆積する。
そして、コンタクト孔9を埋め込む膜厚に導電材料、ここではWをCVD法等により堆積した後、Wの表層をCMP法等により平坦化して、コンタクト孔9内を下地導電膜11を介してWで充填してなる導電プラグ12を形成する。
【0027】
続いて、図1(c)に示すように、層間絶縁膜13を形成した後、シングルダマシン法により下層Cu配線14を形成する。
詳細には、先ず、CVD法等により、導電プラグ12上を覆うように層間絶縁膜8上に絶縁膜、ここではシリコン酸化膜を堆積し、層間絶縁膜13を形成する。
次に、リソグラフィー及びドライエッチングにより層間絶縁膜13を加工し、導電プラグ12の上面(の少なくとも一部)を露出させる所定の配線溝13aを形成する。
次に、配線溝13aの内壁面を覆うように、層間絶縁膜13上に導電性下地膜14aとして、例えばTa膜をスパッタ法等により例えば膜厚8nm程度に形成する。
【0028】
次に、導電性下地膜14aを介して配線溝13aの内壁面を覆うように、導電性下地膜14a上にCuメッキのシード層(不図示)をスパッタ法等により例えば膜厚5nm程度に形成する。
次に、メッキ法により、シード層に基づいて、導電性下地膜14aを介して配線溝13a内を埋め込むように、導電性下地膜14a上にCuを含む導電材料(Cu又はその合金等)を堆積する。
そして、層間絶縁膜13上の導電材料及び導電性下地膜14aを例えばCMP法により表面研磨して平坦化する。以上により、導電プラグ12と接続され、導電性下地膜14aを介して配線溝13a内を導電材料で充填してなる下層Cu配線14が形成される。
【0029】
続いて、図1(d)に示すように、下層Cu配線14を覆う絶縁性保護膜15を形成する。
詳細には、下層Cu配線14の上面を覆うように、層間絶縁膜13上に保護膜、ここでは絶縁性保護膜15を形成する。絶縁性保護膜15としては、スパッタ法等により例えばSiCN膜を膜厚10nm程度に堆積する。この絶縁性保護膜15は、後述する上層の層間絶縁膜内への下層Cu配線14のCu拡散を防止する機能を有する。絶縁性保護膜15の材料としては、SiCN以外に例えばSiOCやSiN等を用いても良い。
【0030】
続いて、図2(a)に示すように、絶縁性保護膜15上にダミー構造物16を形成する。
詳細には、先ず、絶縁性保護膜15上を覆うように、所定形状への加工が容易な材料、ここではアルミニウム膜(Al膜)をスパッタ法等により膜厚80nm程度に堆積する。
次に、リソグラフィー及びドライエッチングによりAl膜を加工し、絶縁性保護膜15上の下層Cu配線14の上方に相当する部分で、下層Cu配線14と接続される後述のCu接続部を模した形状にAlを残す。これにより、ダミー構造物16が形成される。
なお、ダミー構造物16の材料としては、例えばエッチングにより所定形状への加工が容易であれば絶縁性・導電性の如何を問わない。例えば絶縁材料としては有機材料等、導電材料としてはAl以外でTiNやW等を用いることができる。
【0031】
続いて、図2(b)に示すように、ダミー構造物16の側面のみを覆う側壁膜17を形成する。
詳細には、ダミー構造物16を覆うように絶縁性保護膜15上の全面に、Cuの拡散防止機能を有する材料、ここではTa膜を膜厚8nm程度に堆積する。
次に、Ta膜の全面を異方性ドライエッチング(エッチバック)し、ダミー構造物16の側面のみにTaを残す。これにより、ダミー構造物16の側面のみを覆う側壁膜17が形成される。
【0032】
続いて、図2(c)に示すように、ダミー構造物16及び側壁膜17を覆う層間絶縁膜18を形成する。
詳細には、ダミー構造物16及び側壁膜17を覆うように、絶縁性保護膜15上の全面に低誘電率の層間絶縁膜18を形成する。層間絶縁膜18としては、スピンコート等により、例えばポーラスシリカ系のナノクラスタリング・シリカ(NCS)を膜厚100nm程度に堆積する。
【0033】
ここで、側壁膜17は、後述する空隙部である開口の内壁側面のみに存するものとなり、配線接続の部位には存しない。そのため、側壁膜17の材料としては、層間絶縁膜17内へのCu等の拡散を抑止し得る材料であれば、絶縁性・導電性の如何を問わない。例えば絶縁材料としてはSiNやSiCN等、導電材料としては、Ta以外でTaN,Ta及びTaNの積層膜、Ti,TiN,Ti及びTiNの積層膜等を用いることができる。
また、層間絶縁膜18の低誘電率絶縁材料としては、NCS以外にSiOCや有機膜等も適用可能である。
【0034】
続いて、図2(d)に示すように、層間絶縁膜18を平坦化した後、絶縁性保護膜19及びハードマスク21を形成する。
詳細には、先ず、例えばCMP法により、層間絶縁膜18の表層をダミー構造物16の上面が露出するまで研磨して平坦化する。これにより、層間絶縁膜18は、平坦化された表面からダミー構造物16の上面が露出し、側壁膜17を介してダミー構造物16の側面を埋め込むように加工される。
【0035】
次に、ダミー構造物16の上面を覆うように、層間絶縁膜18上に保護膜、ここでは絶縁性保護膜19を形成する。絶縁性保護膜19としては、スパッタ法等により例えばSiCN膜を膜厚10nm程度に堆積する。この絶縁性保護膜19は、層間絶縁膜18内への後述する上層Cu配線のCu拡散を防止する機能を有する。絶縁性保護膜19の材料としては、SiCN以外に例えばSiOC等を用いても良い。
そして、絶縁性保護膜19上にハードマスク21を、ここではシリコン酸化膜としてCVD法等により膜厚30nm程度に堆積する。
【0036】
続いて、図3(a)に示すように、ハードマスク21に開口21aを、絶縁性保護膜19に開口19aを順次形成し、ダミー構造物16を除去して開口18aを形成する。
詳細には、先ず、リソグラフィー及びドライエッチングによりハードマスク21を加工し、ハードマスク21のダミー構造物16上に相当する部分に開口21aを形成する。
次に、リソグラフィー及びドライエッチングによりハードマスク21を用いて絶縁性保護膜19を加工し、絶縁性保護膜19にハードマスク21の開口21aに倣った形状の開口19aを形成する。この開口19aから、ダミー構造物16の上面の少なくとも一部が露出する。
【0037】
そして、Alに対してエッチング選択比の高い酸やアルカリの薬液、例えば薄い塩酸をエッチング液として用いて、ダミー構造物16をウェットエッチングにより除去する。このとき、層間絶縁膜18には、ダミー構造物16に倣った形状の空隙部である開口18aが形成される。ここで、開口18aにおいては、その内壁面のうち、側面にはウェットエッチングされずに残った側壁膜17が、底面には絶縁性保護膜15の表面の一部がそれぞれ露出する。
【0038】
続いて、図3(b)に示すように、下層Cu配線14の表面の一部を露出させるように絶縁性保護膜15を加工する。
詳細には、リソグラフィー及びドライエッチングにより絶縁性保護膜15をハードマスク21を用いて加工し、絶縁性保護膜15にハードマスク21の開口21aに倣った形状の開口15aを形成する。開口15aから、下層Cu配線14の表面の一部が露出し、露出した当該表面の一部が開口18aの底面となる。
【0039】
続いて、図3(c)に示すように、シングルダマシン法によりCu接続部22を形成する。
詳細には、先ず、ハードマスク21をドライエッチング等により除去した後、開口18aの内壁面を覆うように、絶縁性保護膜19上にCuメッキのシード層(不図示)をスパッタ法等により例えば膜厚5nm程度に形成する。
次に、メッキ法により、シード層に基づいて側壁膜17を介して開口15a,18a,19aを埋め込むように、絶縁性保護膜19上にCuを含む導電材料(Cu又はその合金等)を堆積する。
そして、絶縁性保護膜19上の導電材料を例えばCMP法により表面研磨して平坦化する。以上により、開口15a,18a,19a内を導電材料で充填し、下層Cu配線14と接続されるCu接続部22が形成される。ここで、Cu接続部22は、開口18a内で側壁膜17を介して層間絶縁膜18と対向するように形成される。
【0040】
続いて、図3(d)に示すように、Cu接続部22を覆う絶縁性保護膜23を形成する。
詳細には、Cu接続部22の上面を覆うように、層間絶縁膜18上に保護膜、ここでは絶縁性保護膜23を形成する。絶縁性保護膜23としては、スパッタ法等により例えばSiCN膜を膜厚10nm程度に堆積する。この絶縁性保護膜23は、当該絶縁性保護膜23上に形成される更なる上層Cu配線(不図示)の層間絶縁膜18内へのCu拡散を防止する機能を有する。絶縁性保護膜23の材料としては、SiCN以外に例えばSiOC,SiN等を用いても良い。
しかる後、Cu接続部22と接続させる更なる上層Cu配線及び層間絶縁膜等の形成工程を経て、本実施形態のMOSトランジスタを完成させる。
【0041】
なお、本実施形態では、下層Cu配線14を形成するに際して、層間絶縁膜13に配線溝13aを形成するときにエッチングを用いたが、この場合にもダミー構造物を形成しても良い。即ち、下層Cu配線14を形成するときに本件を適用する場合には、下層Cu配線14に倣った形状のダミー構造物を形成した後、このダミー構造物を除去して配線溝を形成し、配線溝にCuを充填する。
【0042】
本実施形態によれば、開口18aの側壁に側壁膜17が形成され、Cu接続部22は開口18a内で側壁膜17を介して層間絶縁膜18と対向するように形成される。この構成により、開口18a内を充填する導電材料における層間絶縁膜18へのCu拡散が側壁膜17により抑止される。この場合、開口18aの内壁面に導電性下地膜を形成する必要がなく、下層Cu配線14とCu接続部22とを直接的に接続することができる。このように、下層Cu配線14とCu接続部22との間に、これらとは異種導電材料からなる導電性下地膜が存しないため、コンタクト抵抗は可及的に低く抑えられ、エレクトロ・マイグレーションに起因するボイド発生が抑止される。
従って、層間絶縁膜に空隙部である開口をエッチングで形成する際に問題となる下層Cu配線とCu接続部との接続状態に起因する不都合を生ぜしめることなく、微細なCu接続部22が正確且つ容易に所望の状態とされた信頼性の高いMOSトランジスタが実現する。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態では、本件をデュアルダマシン法によるCu配線構造の形成に適用した場合について例示する。本件において対象とするCu配線構造の導電材料としては、Cu以外にも、例えば銀(Ag)又はその合金や金(Au)又はその合金等を用いることも可能である。
【0044】
図4〜図6は、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法の主要工程を工程順に示す概略断面図である。図4〜図6では、導電プラグ12から下方に位置する構成部材の図示を省略する。
初めに、第1の実施形態と同様に、図1(a)〜図2(c)と同様の各工程を順次実行した後、図2(d)と同様に、層間絶縁膜18を平坦化し、絶縁性保護膜19を形成する。
【0045】
続いて、図4(a)に示すように、絶縁性保護膜19上にダミー構造物31を形成する。
詳細には、先ず、絶縁性保護膜19上を覆うように、所定形状への加工が容易な材料、ここではダミー構造物16と同じアルミニウム膜(Al膜)をスパッタ法等により膜厚80nm程度に堆積する。
次に、リソグラフィー及びドライエッチングによりAl膜を加工し、後述のCu接続部22と接続される上層Cu配線を模した形状にAlを残す。これにより、ダミー構造物31が形成される。
なお、ダミー構造物31の材料としては、例えばエッチングにより所定形状への加工が容易であれば絶縁性・導電性の如何を問わない。例えば絶縁材料としては有機膜等、導電材料としてはAl以外でTiNやW等を用いることができる。また、ダミー構造物16とダミー構造物31とを異なる材料で形成しても良い。
【0046】
続いて、図4(b)に示すように、ダミー構造物31の側面のみを覆う側壁膜32を形成する。
詳細には、ダミー構造物31を覆うように絶縁性保護膜19上の全面に、Cuの拡散防止機能を有する材料、ここではTa膜を膜厚8nm程度に堆積する。
次に、Ta膜の全面を異方性ドライエッチング(エッチバック)し、ダミー構造物31の側面のみにTaを残す。これにより、ダミー構造物31の側面のみを覆う側壁膜32が形成される。
【0047】
続いて、図4(c)に示すように、ダミー構造物31及び側壁膜32を覆う層間絶縁膜33を形成する。
詳細には、ダミー構造物31及び側壁膜32を覆うように、絶縁性保護膜19上の全面に低誘電率の層間絶縁膜33を形成する。層間絶縁膜33としては、スピンコート等により、例えばポーラスシリカ系のナノクラスタリング・シリカ(NCS)を膜厚100nm程度に堆積する。
【0048】
なお、側壁膜32は、後述する空隙部である配線溝の内壁側面のみに存するものとなり、配線接続の部位には存しない。そのため、側壁膜32の材料としては、ダミー構造物32を覆う絶縁膜の材料、ここではNCSへのCu等の拡散を抑止し得る材料であれば、絶縁性・導電性の如何を問わない。例えば絶縁材料としてはSiCNやSiN等、導電材料としては、Ta以外でTaN,Ta及びTaNの積層膜、Ti,TiN,Ti及びTiNの積層膜等を用いることができる。
また、層間絶縁膜33の低誘電率絶縁材料としては、NCS以外にSiOC等も適用可能である。
【0049】
続いて、図4(d)に示すように、層間絶縁膜33を平坦化し、絶縁性保護膜34及びハードマスク35を形成する。
詳細には、先ず、例えばCMP法により、層間絶縁膜33の表層をダミー構造物31の上面が露出するまで研磨して平坦化する。これにより、層間絶縁膜33は、平坦化された表面からダミー構造物31の上面が露出し、側壁膜32を介してダミー構造物31の側面を埋め込むように加工される。
【0050】
次に、ダミー構造物31の上面を覆うように、層間絶縁膜33上に保護膜、ここでは絶縁性保護膜34を形成する。絶縁性保護膜34としては、スパッタ法等により例えばSiCN膜を膜厚10nm程度に堆積する。この絶縁性保護膜34は、層間絶縁膜33内への後述するCu接続部のCu拡散を防止する機能を有する。絶縁性保護膜34の材料としては、SiCN以外に例えばSiOC,SiN等を用いても良い。
そして、絶縁性保護膜34上にハードマスク35を、ここではシリコン酸化膜としてCVD法等により膜厚20nm程度に堆積する。
【0051】
続いて、図5(a)に示すように、ハードマスク35に開口35aを、層間絶縁膜33に開口33aを順次形成し、ダミー構造物31を除去して配線溝33aを形成する。
詳細には、先ず、リソグラフィー及びドライエッチングによりハードマスク35を加工し、ハードマスク35のダミー構造物31上に相当する部分に開口35aを形成する。
次に、リソグラフィー及びドライエッチングによりハードマスク35を用いて絶縁性保護膜34を加工し、絶縁性保護膜34にハードマスク35の開口35aに倣った形状の開口34aを形成する。この開口34aから、ダミー構造物31の上面の少なくとも一部が露出する。
【0052】
そして、Alに対してエッチング選択比の高い酸やアルカリの薬液、例えば薄い塩酸をエッチング液として用いて、ダミー構造物をウェットエッチングにより除去する。このとき、層間絶縁膜33には、ダミー構造物31に倣った形状の空隙部である配線溝33aが形成される。ここで、配線溝33aにおいては、その内壁面のうち、側面にはウェットエッチングされずに残った側壁膜32が、底面には絶縁性保護膜19の表面の一部がそれぞれ露出する。
【0053】
続いて、図5(b)に示すように、絶縁性保護膜19に開口19aを形成し、ダミー構造物16を除去して開口18aを形成する。
詳細には、先ず、リソグラフィー及びドライエッチングにより絶縁性保護膜19を加工し、絶縁性保護膜19に開口19aを形成する。この開口19aから、ダミー構造物16の上面の少なくとも一部が露出する。
【0054】
そして、Alに対してエッチング選択比の高い酸やアルカリの薬液、例えば薄い塩酸をエッチング液として用いて、ダミー構造物16をウェットエッチングにより除去する。このとき、層間絶縁膜18には、ダミー構造物16に倣った形状の空隙部である開口18aが形成される。ここで、開口18aにおいては、その内壁面のうち、側面にはウェットエッチングされずに残った側壁膜17が、底面には絶縁性保護膜15の表面の一部がそれぞれ露出する。
ここで、開口19a,34aと共に、開口18aと配線溝33aとが一体となって配線構造溝36aとなり、配線溝33aの底面の一部に開口18aが形成された形となる。
【0055】
続いて、図5(c)に示すように、下層Cu配線14の表面の一部を露出させるように絶縁性保護膜15を加工する。
詳細には、リソグラフィー及びドライエッチングにより絶縁性保護膜15を加工し、絶縁性保護膜15に絶縁性保護膜19の開口19aに倣った形状の開口15aを形成する。開口15aから下層Cu配線14の表面の一部が露出し、露出した当該表面の一部が配線構造溝36aの底面となる。
【0056】
続いて、図6(a)に示すように、デュアルダマシン法によりCu配線構造36を形成する。
詳細には、先ず、ハードマスク35をドライエッチング等により除去した後、配線構造溝36aの内壁面を覆うように、絶縁性保護膜34上にCuメッキのシード層(不図示)をスパッタ法等により例えば膜厚5nm程度に形成する。
次に、メッキ法により、シード層に基づいて配線構造溝36aを埋め込むように、ハードマスク35上にCuを含む導電材料(Cu又はその合金等)を堆積する。
【0057】
そして、絶縁性保護膜34上の導電材料を例えばCMP法により表面研磨して平坦化する。以上により、配線構造溝36a内を導電材料で充填し、下層Cu配線14と接続されるCu配線構造36が形成される。ここで、Cu配線構造36は、配線構造溝36a内で側壁膜17,32を介して層間絶縁膜18,33と対向するように形成される。
なお、上記のようにハードマスク35を形成することなくCuを含む導電材料を堆積し、Cu配線構造36を形成するようにしても良い。
【0058】
続いて、図6(b)に示すように、Cu配線構造36を覆う絶縁性保護膜37を形成する。
詳細には、Cu配線構造36の上面を覆うように、層間絶縁膜33上に保護膜、ここでは絶縁性保護膜37を形成する。絶縁性保護膜37としては、スパッタ法等により例えばSiCN膜を膜厚10nm程度に堆積する。この絶縁性保護膜37は、当該絶縁性保護膜37上に形成される更なる上層Cu配線(不図示)の層間絶縁膜33内へのCu拡散を防止する機能を有する。絶縁性保護膜37の材料としては、SiCN以外に例えばSiOC,SiN等を用いても良い。
しかる後、Cu配線構造36と接続させる更なる上層Cu配線及び層間絶縁膜等の形成工程を経て、本実施形態のMOSトランジスタを完成させる。
【0059】
本実施形態によれば、開口18a及び配線溝33aの側壁に側壁膜17,32がそれぞれ形成され、Cu配線構造36は開口18a,33a内で側壁膜17,32を介して層間絶縁膜18,33と対向するように形成される。この構成により、配線構造溝36a内を充填する導電材料における層間絶縁膜18,33へのCu拡散が側壁膜17,32により抑止される。この場合、配線構造溝36aの内壁面に導電性下地膜を形成する必要がなく、下層Cu配線14とCu配線構造36とを直接的に接続することができる。このように、下層Cu配線14とCu配線構造36との間に、これらとは異種導電材料からなる導電性下地膜が存しないため、コンタクト抵抗は低く抑えられる。また、エレクトロ・マイグレーションに起因するボイド発生の懸念もない。
従って、層間絶縁膜に空隙部である配線構造溝をエッチングで形成する際に問題となる下層Cu配線とCu配線構造との接続状態に起因する不都合を生ぜしめることなく、微細な部分を有するCu配線構造36が正確且つ容易に所望の状態とされた信頼性の高いMOSトランジスタが実現する。
【0060】
(変形例)
ここで、第2の実施形態の変形例について説明する。本例では、配線構造溝36aに側壁膜17,32に加えて保護膜を形成する。
図7は、第2の実施形態の変形例によるMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【0061】
本例では、第2の実施形態における図4(a)〜図5(c)の各工程を経た後、図7(a)に示すように、導電性保護膜38を形成する。
詳細には、先ず、ハードマスク35をドライエッチング等により除去する。
続いて、配線構造溝36aの内壁面を覆うように、絶縁性保護膜34上の全面に、Cuの拡散防止機能を有する材料、ここではTa膜を膜厚8nm程度に堆積し、導電性保護膜38を形成する。導電性保護膜38の材料としては、ダミー構造物32を覆う絶縁膜の材料、ここではNCSへのCu等の拡散を抑止し得る導電材料、Ta以外では例えばTaN,Ta及びTaNの積層膜、Ti,TiN,Ti及びTiNの積層膜等を用いることができる。
【0062】
そして、第2の実施形態における図6(a),(b)の各工程を経て、図7(b)のように、Cu配線構造36及び絶縁性保護膜37等を形成する。なお、Cu配線構造36を形成する際には、絶縁性保護膜34上の導電材料及び導電性保護膜38をCMP法により表面研磨して平坦化する。これにより、Cu配線構造36は、配線構造溝36a内で導電性保護膜38を介するとともに、側壁膜17,32を介して層間絶縁膜18,33と対向するように形成される。
しかる後、Cu配線構造36と接続させる更なる上層Cu配線及び層間絶縁膜等の形成工程を経て、本例のMOSトランジスタを完成させる。
【0063】
本例では、導電性保護膜38の存在により、第2の実施形態に比してコンタクト抵抗が大きくなることは甘受し、側壁膜17,32を補強するように導電性保護膜38を形成する。この構成により、配線構造溝36a内を充填する導電材料における層間絶縁膜18,33へのCu拡散がより確実に抑止され、更に信頼性の高いMOSトランジスタが実現する。
【0064】
(第3の実施形態)
本実施形態では、本件を導電プラグの形成に適用した場合について例示する。
図8及び図9は、第3の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法の主要工程を工程順に示す概略断面図である。
初めに、第1の実施形態と同様に、図1(a)と同様の工程を順次実行し、シリコン基板1にゲート電極4、ソース/ドレイン領域7等を形成する。
【0065】
続いて、図8(a)に示すように、サリサイド法により、ゲート電極4上及びソース/ドレイン領域7上にシリサイド層41を形成する。
詳細には、ゲート電極4及びソース/ドレイン領域7を覆うように、シリコン基板1の全面にシリサイド金属、ここではニッケル(Ni)をスパッタ法等により堆積する。この場合、シリサイド金属としてNiの代わりにCo,Ti等を用いても良い。
次に、シリコン基板1を熱処理し、ゲート電極4及びソース/ドレイン領域7のシリコンとCoとを反応させ、シリサイド層を形成する。
そして、ウェットエッチングにより、未反応のNiを除去する。以上により、ゲート電極4上及びソース/ドレイン領域7上にシリサイド層41がそれぞれ形成される。
【0066】
続いて、図8(b)に示すように、ソース/ドレイン領域7のシリサイド層41上等にダミー構造物42を形成する。
詳細には、先ず、シリコン基板1上に、所定形状への加工が容易な材料、ここではアルミニウム膜(Al膜)をスパッタ法等により膜厚100nm程度に堆積する。
次に、リソグラフィー及びドライエッチングによりAl膜を加工し、ソース/ドレイン領域7のシリサイド層41上等に、当該シリサイド層41と接続される後述の導電プラグを模した形状にAlを残す。これにより、ダミー構造物42が形成される。
なお、ダミー構造物42の材料としては、例えばエッチングにより所定形状への加工が容易であれば絶縁性・導電性の如何を問わない。例えば絶縁材料としては有機物膜等、導電材料としてはAl以外でTiN等を用いることができる。
【0067】
続いて、図8(c)に示すように、ダミー構造物42の側面のみを覆う側壁膜43を形成する。
詳細には、ダミー構造物42を覆うようにシリコン基板1上の全面に、タングステン(W)の密着性を向上させる機能を有する材料、ここではTi/TiNの積層膜を、Tiを膜厚3nm程度、TiNを膜厚5nm程度に順次堆積する。
次に、積層膜の全面を異方性ドライエッチング(エッチバック)し、ダミー構造物42の側面のみに積層膜を残す。これにより、ダミー構造物42の側面のみを覆う側壁膜43が形成される。
【0068】
ここで、側壁膜43は、後述する空隙部である開口の内壁側面のみに存するものとなり、配線接続の部位には存しない。そのため、側壁膜43の材料としては、Wの密着性を向上させる機能を有する材料であれば、絶縁性・導電性の如何を問わない。また、Cuをプラグとして利用する際にはCuの拡散バリアになる材料であれば導電性、絶縁性の如何を問わない。例えば絶縁性の材料としてSiCNやSiOC等、導電性の材料としてTaやTaN,Ti,TiN等を用いることができる。
【0069】
続いて、図8(d)に示すように、ゲート電極4、ダミー構造物42及び側壁膜43を覆う層間絶縁膜44を形成する。
詳細には、ゲート電極4を埋め込む膜厚となるように、シリコン基板1の全面に絶縁膜、ここではSiO2を堆積し、層間絶縁膜44を形成する。層間絶縁膜44の材料としては、例えば低誘電率膜等を用いても良い。
【0070】
続いて、図9(a)に示すように、層間絶縁膜44を平坦化する。
詳細には、例えばCMP法により、層間絶縁膜44の表層をダミー構造物42の上面が露出するまで研磨して平坦化する。これにより、層間絶縁膜44は、平坦化された表面からダミー構造物42の上面が露出し、側壁膜43を介してダミー構造物42の側面を埋め込むように加工される。
【0071】
続いて、図9(b)に示すように、ダミー構造物42を除去して開口44aを形成する。
詳細には、Alに対してエッチング選択比の高い酸やアルカリの薬液、例えば薄い塩酸をエッチング液として用いて、ダミー構造物42をウェットエッチングにより除去する。このとき、層間絶縁膜44には、ダミー構造物42に倣った形状の空隙部である開口44aが形成される。ここで、開口44aにおいては、その内壁面のうち、側面にはウェットエッチングされずに残った側壁膜43が、底面にはシリサイド層41の表面の一部がそれぞれ露出する。
【0072】
続いて、図9(c)に示すように、導電プラグ45を形成する。
詳細には、開口44aを埋め込むように、層間絶縁膜44上にCVD法等により導電材料、ここではWを含む導電材料(W又はその合金等)を堆積する。
そして、層間絶縁膜44上の導電材料を例えばCMP法により表面研磨して平坦化する。以上により、開口44a内を導電材料で充填し、シリサイド層41を介してソース/ドレイン領域7等と接続される導電プラグ45が形成される。ここで、導電プラグ45は、開口44a内で側壁膜43を介して層間絶縁膜44と対向するように形成される。
【0073】
しかる後、層間絶縁膜や、導電プラグ45と接続させる配線(ダマシン法によるCu配線や、リソグラフィー及びドライエッチングによるAl配線等)等の形成工程を経て、本実施形態のMOSトランジスタを完成させる。
【0074】
本実施形態によれば、開口44aの側壁に側壁膜43が形成され、導電プラグ45は開口44a内で側壁膜43を介して層間絶縁膜43と対向するように形成される。この構成により、導電プラグ45の層間絶縁膜43との密着性が十分に確保される。この場合、開口44aの内壁面に導電性下地膜を形成する必要がなく、シリサイド層41と導電プラグ45とを直接的に接続することができる。このように、シリサイド層41と導電プラグ45との間に、これらとは異種導電材料からなる導電性下地膜が存しないため、コンタクト抵抗が可及的に低く抑えられる。従って、層間絶縁膜に空隙部である開口をエッチングで形成する際に問題となるシリサイド層と導電プラグとの接続状態に起因する不都合を生ぜしめることなく、微細な導電プラグ45が正確且つ容易に所望の状態とされた信頼性の高いMOSトランジスタが実現する。
【0075】
なお、シリサイド層41を形成することなく、導電プラグ45を、ソース/ドレイン領域7等と直接的に接続するように形成しても良い。
【0076】
以下、本件の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0077】
(付記1)基板と、
前記基板上に形成された第1の導電層と、
前記第1の導電層を埋め込み、前記第1の導電層の表面の一部を露出させる第1の空隙部を有する第1の絶縁膜と、
前記第1の空隙部を埋め込み、前記第1の導電層と接続されてなる第2の導電層と、
前記第2の導電層の側面部分のみに形成された第1の側壁膜と
を含み、
前記第2の導電層は、前記第1の空隙部内において、前記側面部分で前記第1の側壁膜を介して前記第1の絶縁膜と対向することを特徴とする電子デバイス。
【0078】
(付記2)前記第1の導電層と前記第2の導電層とが直接的に接続されていることを特徴とする付記1に記載の電子デバイス。
【0079】
(付記3)前記側壁膜は、Ti,TiN,Ti及びTiNの積層膜,Ta,TaN,Ta及びTaNの積層膜から選ばれた1種からなることを特徴とする付記1又は2に記載の電子デバイス。
【0080】
(付記4)前記第1の導電層の上面を覆う第1の絶縁性保護膜が形成されており、
前記第1の絶縁膜及び前記第1の絶縁性保護膜を共に貫通するように前記第1の空隙部が形成されていることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【0081】
(付記5)前記第1の絶縁膜の上面を覆う第2の絶縁性保護膜が形成されており、
前記第2の絶縁性保護膜、前記第1の絶縁膜及び前記第1の絶縁性保護膜を共に貫通するように前記第1の空隙部が形成されていることを特徴とする付記4に記載の電子デバイス。
【0082】
(付記6)前記第1の絶縁膜上に形成され、前記第1の絶縁膜の前記第1の空隙部と一体となる配線形状の第2の空隙部を有する第2の絶縁膜と、
第2の導電層と共に、前記第2の構造物の除去により前記第2の絶縁膜に形成された第2の空隙部を埋め込むように、前記第2の導電層と一体形成されてなる第3の導電層と
を更に含むことを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【0083】
(付記7)前記第3の導電層の側面部分に第2の側壁膜が形成されており、
前記第3の導電層は、前記第2の空隙部内において、前記側面部分で前記第2の側壁膜を介して前記第2の絶縁膜と対向することを特徴とする付記6に記載の電子デバイス。
【0084】
(付記8)前記第2の絶縁膜の上面を覆う第3の保護膜が形成されており、
前記第3の保護膜及び前記第2の絶縁膜を共に貫通するように前記第2の空隙部が形成されていることを特徴とする付記6又は7に記載の電子デバイス。
【0085】
(付記9)前記第2の導電層と前記第3の導電層とが同一材料からなることを特徴とする付記5〜8のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【0086】
(付記10)前記第2の導電層がCu,Ag,Auから選ばれた少なくとも1種を含む導電材料からなることを特徴とする付記1〜9のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【0087】
(付記11)前記第2の導電層がWを含む導電材料からなることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【0088】
(付記12)基板上に第1の導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層上に、第2の導電層の形状を模した第1の構造物を形成する工程と、
前記第1の構造物の側面のみを覆う第1の側壁膜を形成する工程と、
前記第1の導電層上に、前記第1の構造物の側面を埋め込む第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の構造物を除去する工程と、
前記第1の構造物の除去により前記第1の絶縁膜に形成された第1の空隙部を埋め込むように、前記第2の導電層を形成する工程と
を含み、
前記第2の導電層を、前記第1の空隙部内において、前記側面部分で前記第1の絶縁膜と前記第1の側壁膜を介して対向するように形成することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【0089】
(付記13)前記第2の導電層を、前記第1の空隙部を埋め込んで前記第1の導電層と直接的に接続されるように形成することを特徴とする付記12に記載の電子デバイスの製造方法。
【0090】
(付記14)前記第1の絶縁膜を形成した後、前記第1の構造物上に、配線となる第3の導電層の形状を模した第2の構造物を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、前記第2の構造物の側面を埋め込む第2の絶縁膜を形成する工程と
を更に含み、
前記第1の構造物及び前記第2の構造物を共に除去した後、
前記第1の空隙部と共に、前記第2の構造物の除去により前記第2の絶縁膜に形成された第2の空隙部を埋め込むように、前記第2の導電層と一体となる第3の導電層を形成することを特徴とする付記12又は13に記載の電子デバイスの製造方法。
【0091】
(付記15)前記第2の構造物を形成した後、前記第2の絶縁膜を形成する前に、前記第2の構造物の側面のみを覆う第2の側壁膜を形成する工程を更に含み、
前記第3の導電層を、前記第2の空隙部内において、前記側面部分で前記第2の絶縁膜と前記第2の側壁膜を介して対向するように形成することを特徴とする付記14に記載の電子デバイスの製造方法。
【0092】
(付記16)前記第2の導電層及び前記第3の導電層を形成する前に、前記第1の空隙部及び前記第2の空隙部の内壁面を連続的に覆うように導電性保護膜を形成する工程を更に含み、
前記導電性保護膜を介して前記第1の空隙部及び前記第2の空隙部を埋め込むように、前記第2の導電層及び前記第3の導電層を形成することを特徴とする付記14又は15に記載の電子デバイスの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】第1の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図2】図1に引き続き、第1の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図3】図2に引き続き、第1の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図4】第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法の主要工程を工程順に示す概略断面図である。
【図5】図4に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法の主要工程を工程順に示す概略断面図である。
【図6】図5に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法の主要工程を工程順に示す概略断面図である。
【図7】第2の実施形態の変形例によるMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図8】第3の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法の主要工程を工程順に示す概略断面図である。
【図9】図8に引き続き、第3の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法の主要工程を工程順に示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 シリコン基板
2 STI素子分離構造
3 ゲート絶縁膜
4 ゲート電極
5 エクステンション領域
6 サイドウォール絶縁膜
7 ソース/ドレイン領域
8,13,18,33,44 層間絶縁膜
9 コンタクト孔
11 下地導電膜
12,45 導電プラグ
13a 配線溝
14 下層Cu配線
14a 導電性下地膜
15,19,23,34,37 絶縁性保護膜
16,31,42 ダミー構造物
17,32,43 側壁膜
18a,19a,21a,33a,34a,35a,44a 開口
21,35 ハードマスク
22 Cu接続部
36 Cu配線構造
36a 配線構造溝
38 導電性保護膜
41 シリサイド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1の導電層と、
前記第1の導電層を埋め込み、前記第1の導電層の表面の一部を露出させる第1の空隙部を有する第1の絶縁膜と、
前記第1の空隙部を埋め込み、前記第1の導電層と接続されてなる第2の導電層と、
前記第2の導電層の側面部分のみに形成された第1の側壁膜と
を含み、
前記第2の導電層は、前記第1の空隙部内において、前記側面部分で前記第1の側壁膜を介して前記第1の絶縁膜と対向することを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記第1の導電層と前記第2の導電層とが直接的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜上に形成され、前記第1の絶縁膜の前記第1の空隙部と一体となる配線形状の第2の空隙部を有する第2の絶縁膜と、
第2の導電層と共に、前記第2の構造物の除去により前記第2の絶縁膜に形成された第2の空隙部を埋め込むように、前記第2の導電層と一体形成されてなる第3の導電層と
を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第3の導電層の側面部分に第2の側壁膜が形成されており、
前記第3の導電層は、前記第2の空隙部内において、前記側面部分で前記第2の側壁膜を介して前記第2の絶縁膜と対向することを特徴とする請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
基板上に第1の導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層上に、第2の導電層の形状を模した第1の構造物を形成する工程と、
前記第1の構造物の側面のみを覆う第1の側壁膜を形成する工程と、
前記第1の導電層上に、前記第1の構造物の側面を埋め込む第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の構造物を除去する工程と、
前記第1の構造物の除去により前記第1の絶縁膜に形成された第1の空隙部を埋め込むように、前記第2の導電層を形成する工程と
を含み、
前記第2の導電層を、前記第1の空隙部内において、前記側面部分で前記第1の絶縁膜と前記第1の側壁膜を介して対向するように形成することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記第2の導電層を、前記第1の空隙部を埋め込んで前記第1の導電層と直接的に接続されるように形成することを特徴とする請求項5に記載の電子デバイスの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−21444(P2010−21444A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181994(P2008−181994)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】