説明

電気機器、とりわけ交流電流機

【課題】電気機器の低回転数領域において磁気ノイズをより大きく減衰し、かつ電力も改善すること。
【解決手段】前記課題は、ステータ巻線(11)が7つの相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)を有し、該相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)は、少なくともほぼ等しい電気角αで相互に直列接続されており、相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)の直列接続では、そのつど少なくとも1つの隣接する相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)が飛ばされるように構成されることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の電気機器に関し、とりわけ、多相ステータ巻線を有する交流電流機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のオルタネータでは主に、駆動モータの無負荷運転時でも各自動車の直流電流車載電源網に十分に給電できるように、直流電流によって励磁されるクローポール可動子を有する電気機器が使用される。このような発電機に課される多くの別の要件の他に、発電機のいわゆる磁気ノイズも減衰しなければならない。この磁気ノイズはとりわけ、交流電流機の低回転数領域で妨害として観察される。このような磁気ノイズを抑圧するために、個々の相巻線が部分的に、隣接する相巻線のスロットに挿入されるように、発電機の3相ステータ巻線に個々の相巻線を分割することが公知である。しかしこのような構成により、発電機の出力電力が低減し、損失が上昇してしまう。出力される直流電流のリプルによってさらに、車両のケーブルストランドに駆動モータの特定の回転数領域で振動ノイズも発生してしまう。
【0003】
さらに、オルタネータに6相システムを設け、整流の周波数を2倍化して、整流ユニットを介して自動車車載電源網の蓄電池に供給される直流電流のリプルを低減することも公知である。EP0454039B1(図6)から、スター結線で相互に接続された相巻線をそれぞれ3つ有する2つの巻線システムからオルタネータのステータ巻線を構成することが公知である。相巻線はこのようなスター結線で、電気的にそれぞれ相互に120°ずれている。これら2つの巻線システムは相互に、電気的に約30°ずれている。しかし、ここで発生する機器の磁気ノイズの減衰は、とりわけ低回転数領域では不十分である。その際の欠点は、このような機器の電圧リプルおよびトルクリプルがなお大きいことであり、このことは、とりわけ高出力の機器に、ジェネレータ動作でもモータ動作でも当てはまる。
【0004】
最後にDE10209054A1から、自動車交流電流機の磁気ノイズを減衰し、電流リプルを低減するために、7相のステータ巻線を使用し、ステータ積層薄片のスロット内に相互に隣接して設けられた、該ステータ巻線の7つの相巻線をスター結線するか、または7角形に直列接続することが公知である。確かにこのような構成は、6相のシステムと比較して小さい電流リプルおよび小さい磁気ノイズを有するが、低回転数領域ではなお、これらの減衰は不十分である。さらにこのような構成では、機器の出力特性曲線の上昇は過度に小さい。というのも、自動車ではしばしば、内燃機関のちょうどアイドリング領域において、車載電源網において高い出力要求が生じるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP0454039B1
【特許文献2】DE10209054A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、電気機器の低回転数領域において磁気ノイズをより大きく減衰し、かつ電力も改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の特徴部分に記載の構成を有する本発明の電気機器は、公知の構成と比較して、7相のステータ巻線の新規の結線により、より良好な電磁的活用を実現し、電圧リプルおよびトルクリプルを低減し、出力特性曲線を引き上げ、とりわけ機器の低回転領域において、磁気的に引き起こされるノイズを十分に抑圧することができる利点を有する。別の利点として、とりわけ高出力の交流電流機の場合、このように電圧リプルおよびトルクリプルが低減されることによって機器の機械的負荷が低減されることが挙げられる。
【0008】
従属請求項に記載された手段により、請求項1に記載された構成を目的に応じて実施および発展することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】クローポールロータを有する自動車用のオルタネータの縦断面図である。
【図2】本発明によるステータ巻線および整流モジュールを有するオルタネータの回路図である。
【図3】異なるオルタネータの回転数‐ノイズ特性曲線を示す。
【図4】対照比較されるジェネレータの回転数‐出力特性曲線を示す。
【図5】本発明による波巻きのステータ巻線の巻線パターンを示す。
【図6】重ね巻のステータ巻線を有する別の巻回パターンを示す。
【図7】本発明によるステータ巻線を有する図2の電気機器のステータ積層薄片の抜粋である。
【図8】7相のステータ巻線の別の結線形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前記機器の可能な限り簡単な製造および均質な負荷を実現するためには、7つすべての相巻線が等しい大きさであり、少なくとも1つのコイルから成り、180°/7≒25.7°〜180°4/7≒102.9°の間の電気角αで相互に接続されるのが、目的に適っている。4相以上の相数の機器の場合にはさらに、ステータ巻線を製造するために個々の相巻線が複数のコイルから構成されること、有利には直列接続された複数のコイルから構成されることが目的に適っている。機器の動作ギャップの周縁における歯ピッチが等しい大きさであるステータ積層薄片の場合、相巻線を相互に180°/73°の電気角αで結線すると、磁気ノイズは最適に減衰され、電圧リプルおよびトルクリプルも最適に減衰される。歯ピッチが不均等である場合、個別に求めるべき最適な電気角αは60°〜100°の間である。その際には、6つの相巻線が直列接続される場合、そのつど電気的に次の相巻線を飛ばすと、特に良好な減衰が得られる。ここでは、相巻線は有利には、P1‐P3‐P5‐P7‐P2‐P4‐P6の相順序で直列接続される。場合によっては、そのつど電気的に次の2つの相巻線を飛ばすこともできる。
【0011】
本発明を車両用のオルタネータに適用する場合、相巻線間の接続部をインバータまで引き出し、とりわけ7つの整流ブリッジを有する整流モジュールまで引き出すことにより、ステータ巻線の特に目的に適った構成が実現される。ここでは、相巻線間の接続部から、7つの整流ブリッジのうち1つの整流ブリッジまでそのつど1つの端子のみが接続されるように、機器の両巻回端部のうち1つの巻回端部において相巻線が相互に結線されるのが、目的に適っている。
【0012】
ステータ巻線が巻回ワイヤによって製造される電気機器の場合、各巻線のコイルは巻回ワイヤによって完全に巻回されるのが目的に適っている。ここでは場合によっては、巻線は直列接続体を低コストで構成するために、1つの巻回ワイヤによって完全に巻回すると、なお有利である。
【0013】
電気機器をオルタネータとして自動車の14V車載電源網に適用することに関しては、相巻線の導体数ないしはステータスロット内のコイル数が5より大きくかつ10未満である場合、有利には8である場合、特に良好なノイズ減衰が実現される。
【0014】
さらに、ノイズ減衰に関しては、相巻線が50%を上回るスロット充填率で、ステータ積層薄片のスロットに挿入されることが目的に適っていることが実証されている。
【0015】
本発明の詳細を以下で、一例として図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1に、自動車用のオルタネータ10として構成された電気機器の断面が示されている。これはとりわけ、2つの部分から成るケーシング33を有し、これは第1の端面シールド33.1および第2の端面シールド33.2から成る。端面シールド33.1および端面シールド33.2はステータ36を収容する。このステータ36は円形環状の積層薄片18を有し、この積層薄片38のスロット35は内側に向かって開放されて軸方向に延在し、このスロット35にステータ巻線11aが嵌め込まれている。環状のステータ36は、半径方向に内側を向く表面で、電磁的に励磁される可動子12を包囲し、該可動子12はクローポール可動子として形成されている。可動子12はとりわけ2つのクローポールプレート42および43から成り、これらのクローポールプレート22および23の外周にはそれぞれ軸方向に延在するクローポールフィンガ44および45が配置されている。両クローポールプレート42および43は可動子12に次のように配置されている。すなわち、該クローポールプレート42および43の軸方向に延在するクローポールフィンガ44,45がロータ12の周縁で相互にN極およびS極として入れ替わるように配置される。このことにより、磁化方向が逆のクローポールフィンガ44,45間で磁気的に必要なクローポールスペースが得られ、自由端部に向かってクローポールフィンガ44,45が先細りになっているので、機器軸に対して軽く傾斜している。本発明の以下の説明では、この軽い傾斜は、簡略的に軸方向と称する。可動子12は、シャフト47と、各側に1つずつ設けられた転がり軸受48とによって、各端面シールド33.1ないしは33.2に回動可能に支承される。可動子20は、軸方向の端面を2つ有し、これら端面にはそれぞれファン50が固定されている。このファン50は基本的に、プレート形ないしはディスク形の部分から成り、この部分からファンブレードが公知のように出ている。ファン50は、端面シールド33.1および33.2の開口60を介して、電気機器10の外側と該電気機器10の内側空間との間で空気交換を行うために使用される。こうするために、開口60は基本的に、端面シールド33.1および33.2の軸方向の端面に設けられており、端面シールド33.1および33.2を介してファン50によって冷気が電気機器10の内側空間に吸入される。この冷気はファン50の回転によって半径方向に外側に加速され、駆動側に設けられた冷気透過性の巻回端部65と電子回路側(スリップリング側、ブラシ側または整流器側)に設けられた冷気透過性の巻回端部66とを透過する。このような作用により、巻回端部は冷却される。冷気は巻回端部を透過するかないしは該巻回端部の周囲を流れた後、半径方向に外側に向かって、図示されているウェブ間の図中に示されていない開口を通る。図1の右側に、種々の部品を周辺の影響から保護する保護キャップ67が設けられている。この保護キャップ67はたとえば、励磁巻線13に励磁電流を供給するスリップリングモジュール69を被覆する。このスリップリングモジュール69の周囲に冷却体73が配置されており、これはここでは正極冷却体として作用する。いわゆる負極冷却体としては、端面シールド33.2が機能する。端面シールド33.2と冷却体73との間に端子プレート76が配置されている。これは、端面シールド33.2に固定された整流器15の負極ダイオード78と、該整流器15の同図には示されていない正極ダイオードとを冷却体73において、ブリッジ回路の形態で相互に接続する。
【0017】
図2に、自動車の車載電源網に給電するためのオルタネータとして構成された本発明の電気機器が概略的に示されている。このオルタネータは10によって示されている。多相ステータ巻線11を有するこのようなジェネレータには通常、電気的に励磁されるクローポール可動子12が備えられており、このクローポール可動子12の励磁巻線13は制御回路14を介して、整流モジュール15の直流電流出力端によって給電され、該制御回路14と一緒に、ジェネレータの図中にない後方の端面シールドに固定され、該端面シールドに固定的に接続されている。ステータ巻線11の相巻線の数および結線に応じて、ジェネレータの動作中には整流モジュール15の出力端で、多かれ少なかれリプル状の直流電圧が、図中にない車載電源網に出力される。この車載電源網内では、整流モジュール15のプラス端子およびマイナス端子16が車両の蓄電バッテリーに直接接続される。
【0018】
このような機器において通常使用されるファンによって、回転数の上昇につれてファンノイズが引き起こされ、ステータ巻線11の種類および結線に応じて、クローポール可動子12と共働してステータ巻線によって引き起こされる磁気ノイズが該ファンノイズに重畳される。このような磁気ノイズはとりわけ低回転数領域で発生するので、特に妨害として認識される。
【0019】
電気機器の磁気ノイズを可能な限り大きく減衰し、電圧リプルおよびトルクリプルを低減するためには、オルタネータ10のステータ巻線11に総じて7つの相巻線P1〜P7が設けられる。7つの相巻線のコイル数および巻線数は等しく、該相巻線は相互に、等しい電気角αで結線される。図2に示された実施例では、そのつど電気的に次の相巻線を飛ばすように、相巻線P1〜P7は相互に直列接続される。このことによって図2によれば、相巻線P1〜P7は相順序P1‐P3‐P5‐P7‐P2‐P4‐P6で直列接続される。このようにしてすべての相巻線P1〜P7は、180/73°≒77.1°の電気角αで相互に結線される。したがって、ステータ積層薄片の歯ピッチの大きさが異なるジェネレータの場合には、7つの相巻線を等しい電気角αで相互に結線しなくてもよい。このような構成でも磁気ノイズおよびリプルの良好な減衰を実現するためには、相巻線P1〜P7を上記の相順序で、60°°〜100°の間の領域にある電気角αで相互に接続することが必要である。
【0020】
このようにして、可動子12と軸方向に延在するクローポールフィンガ44,45とステータ36と環状コイル形の励磁巻線13とを有する自動車用の電気機器、とりわけオルタネータは、次のように構成される。すなわち、前記クローポールフィンガ44,45は可動子12の周縁でN極とS極として交互に交替し、該ステータ36はステータコア18を有し、該ステータコア18のスロット35内にステータ巻線11が配置されており、該ステータ36は可動子12に対向し、該ステータ36および可動子12は2つの端面シールド33によって支持されており、該励磁巻線13は該可動子12に固定されており、該ステータ巻線11は7つの相巻線P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7を有し、該相巻線P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7は、少なくともほぼ等しい電気角αで相互に直列接続されており、該相巻線P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7の直列接続では、それぞれ少なくとも1つの隣接する相巻線P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7が飛ばされるように構成される。相巻線P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7の結線ないしは直列接続は、ステータ巻線11ひいては7つの相巻線P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7の電気的に有効な巻き方が2回巡回した後に終端するように行われる。
【0021】
さらに、次のようなオルタネータ10すなわち、ステータ巻線11が巻回端部65,66を有し、該巻回端部65,66はクローポールプレート42,43の少なくとも一方の軸方向端部に取り付けられたファン50によって発生した近似的に半径方向の冷気流によってそれぞれ冷却されるオルタネータ10が設けられている。
【0022】
図2ではさらに、相巻線P1〜P7間の接続部がそれぞれ、整流モジュール15の7つの整流ブリッジB1〜B7のうち1つにまで案内されることが理解できる。ここでは、整流ブリッジB1〜B7は公知のように、それぞれ2つのダイオードを使用して2方向整流モジュール15に接続される。相巻線P1〜P7の接続はここでは、機器の後方の巻回端部で行われるのが目的に適っており、この巻回端部の領域には公知のように、整流モジュール15も配置されている。ここでは、相巻線P1〜P7間の接続部からそれぞれ1つの端子1a〜7aが、7つの整流ブリッジB1〜B7のうち1つの整流ブリッジまで接続される。
【0023】
図3において、図2のオルタネータから出力される回転数依存性のノイズ特性曲線を、等しい構成サイズの公知のオルタネータのノイズ特性曲線と比較する。ここでは、上方の軸n1に、公知の3相のステータ巻線を有するオルタネータのノイズ特性曲線aが示されている。このノイズ特性曲線aは、1500〜4000rpmの間の低回転数領域において、格段に増幅されたノイズ形成を示している。このノイズはオルタネータの磁気ノイズに起因し、ファンノイズに重畳される。オルタネータの可動子励磁を遮断すると、破線の特性曲線a′に示されたような、機器のファンのみに起因するノイズが生じる。中間の軸n2に、7角形に接続された公知の7相のステータ巻線を有するオルタネータの回転数依存性の騒音レベルが、特性曲線bとして示されている。ここでも、1500〜4000rpmの間の低回転数領域では、特性曲線aと比較して低減されるものの特性曲線b′に示されたような純粋なファンノイズよりはなお上昇された騒音レベルが見て取れる。この騒音レベルもまた、なお妨害として知覚される。図2のように本発明のように接続される7相のステータ巻線を有するオルタネータでようやく、軸n3上の特性曲線cに示されているように、磁気に起因するノイズレベルは低回転数領域でも減衰されるようになり、該ノイズレベルは特性曲線c′に示されたようなファンノイズと比較して、実際に音響的には知覚されなくなる。
【0024】
図4に、回転数を横軸としてジェネレータの出力特性曲線がグラフで示されている。破線の特性曲線Aは、公知の3相のステータ巻線を有するオルタネータの出力パワーの特性経過を示す。この公称出力は100%とされ、6000rpmの回転数nで得られる。一点鎖線の特性曲線Bは、ステータ巻線が公知のように、7角形に結線された7つの相から成るジェネレータの出力パワーを示す。実線の特性曲線Cは、図2のように結線された7相のステータ巻線を有する本発明のジェネレータの回転数依存性の出力パワーを示す。
【0025】
これらの特性曲線の比較で、本発明による構成のジェネレータは特性曲線Cによれば、約5000rpmですでに公称出力に達し、とりわけ低回転数領域では、特性曲線AおよびBで示された公知の構成より格段に高いパワーを出力することができる。このようにして、1800rpmのアイドリング回転数nにおいて出力は、特性曲線AおよびBで示されたような約51%から、特性曲線Cに示された66%まで引き上げられた。
【0026】
図5に、7相のステータ巻線11aの巻線パターンが概略的に示されている。この巻線パターンでは、7つの相巻線P1〜P7が波巻きの形態で、図中にないステータ積層薄片のスロットに嵌入されている。この実施例では、機器は2極可動子12aを有する。図4の右側に破線で、各相巻線P1〜P7が複数の波で、スロットN1〜N14に嵌入されており、各相巻線P1〜P7ごとにそれぞれ、複数の巻線から成るコイルが形成されるのが示されている。ここでは、相巻線P1〜P7の始点は1a〜7aによって示されており、終点は1e〜7eによって示されている。これらの波巻き巻線11aの巻幅は7スロットである。ここでは、相巻線P1〜P7の終点1e〜7eはそれぞれ、次に該相巻線P1〜P7に直列接続される相巻線のコイル始点との接続部を成す。ここでも、相巻線P1〜P7の直列接続で、磁気ノイズおよびリプルの最適な減衰を実現するために、それぞれ電気的に次のコイル相巻線を飛ばすので、ここでもコイルストランドは、図2に示された実施例と同様に直列接続される。最初の相巻線P1の終点1eは相巻線P3の巻線始点3aに接続され、該相巻線P3の終点3eは相巻線P5の始点5aに接続され、該相巻線P5の終点5eは相巻線P7の始点7aに接続され、該相巻線P7の終点7eは相巻線P2の始点2aに接続され、該相巻線P2の終点2eは相巻線P4の始点4aに接続され、該相巻線P4の終点4eは相巻線P6の始点6aに接続され、該相巻線P6の終点6eは最初の相巻線P1の始点1aに接続される。7つの接続部すべてが同一の側で、ステータ巻線11aの後方の巻回端部に接続され、相巻線P1〜P7の始点1a〜7aは、図2に示されたような7つの整流ブリッジを有する整流モジュール15の接続のために、機器から引き出されている。
【0027】
図6に別の実施例として、重ね巻の形態の7相のステータ巻線の巻線パターンが示されている。このステータ巻線は、図5に示されたような2極可動子の場合でも同様に、ステータ積層薄片の14個のスロットN1〜N14に嵌入されている。ここでは、相巻線P1〜P7はそれぞれ、直列接続された2つのコイルS1〜S14から構成され、これらのコイルS1〜S14の巻幅は7スロットである。たとえばコイルストランドP1の場合、巻数がたとえば4である第1のコイルS1はスロットN1とN8とに嵌入されており、コイル始点1aは整流モジュール15の接続のために、後方の巻回端部に接続されている。その後に中断無しで、巻数がそれぞれ4である第2のコイルS2がスロットN8およびN1に嵌入されており、該コイルS2の終点1eも整流モジュール15に接続されている。同様に、巻数がそれぞれ4である第2の相巻線P2のコイルS3およびS4がステータスロットに嵌入されており、コイルS3はスロットN3内とN10内とに配置され、コイルS4はスロットN10内とN3内とに配置される。ここでも、コイルストランドP2の始点2aと該コイルストランドの終点2eとは後方の巻回端部で整流モジュール15に接続されている。それぞれ後続の相巻線P3〜P7でも同様にこのことを繰り返す。ここでは、図2に示された相順序で7つの相巻線を接続することは、整流モジュール15内の適切な導体ブリッジによって行われる。この導体ブリッジは、同図では示されていない。この構成において有利には、各相巻線Pの直列接続された両コイルSは1つの巻回ワイヤ17によって完全に巻回される。7つすべての相巻線Pも同様に、所望の直列接続を行うために1つの巻回ワイヤ17によって完全に巻回され、図4に示されたように、相巻線P1〜P7の終点1e〜7eは、次の次の相巻線Pの各始点3a〜2aとの接続部として、機器の整流側の巻回端部に設けられる。
【0028】
図7に、7相のステータ巻線11を有する図2のオルタネータ10のステータ積層薄片18の抜粋が示されている。ここでは相巻線P1,P5,P2,P6はそれぞれ、各8つの導体Lを備えた隣接するスロットN1,N2,N3,N4に収容される。相巻線Pはそれぞれ、図6に示されたように、各4つの導体Lを有する直列接続された2つのコイルから製造するか、または図5に示されたように、8つのシャフトを有するそれぞれ1つのシャフト巻線から製造することができる。さらに、磁気ノイズを減衰するために有利なのは、図7の実施例で理解できるように、相巻線Pが50%を上回るスロット充填率Nfで、ステータ積層薄片18のスロットNに嵌入されることであることが実証されている。
【0029】
図8に、7相のステータ巻線11の別の結線手法が示されている。ここでは、個々の相巻線P1〜P7の直列接続で、それぞれ2つの連続する相巻線Pが飛ばされる。このようにして、相巻線Pは相順序P1‐P4‐P7‐P3‐P6‐P2‐P5で、接続部1e〜7eを介して直列接続される。ここでも、コイル相巻線P1〜P7の始点1a〜7aは、図2に示された整流モジュール15の接続のために、端面側で引き出される。このような接続構成では、相巻線P1〜P7は180/7°≒25.7°の電気角αで相互に直列接続される。このような変形形態は場合によっては、図2に示された構成と比較してノイズ最適化および出力最適化されないことがある。
【0030】
それゆえ、7ストランドのステータ巻線11を直列接続する種々の接続手法と、異なる歯ピッチとによって、直列接続された相巻線Pではそれぞれ、50°〜90°の電気角αが形成される。
【0031】
本発明は、図1〜8に示されたような実施例に限定されない。全体的に、車載電源網電圧が14Vである自動車用のオルタネータに本発明を適用する場合、ステータ積層薄片18のスロットNに嵌入される導体数Zを5より大きくかつ10より小さく選択するのが目的に適っている。このことは、このことが機器出力の最適化に望まれる場合に限られる。4〜18極のクローポール可動子と制御回路によって制御される励磁電流とを有する自動車用のオルタネータで、本発明の適用が有利である。高出力の電気機器の場合には、1つの巻回ワイヤによって完全に巻回される、ステータ巻線の相巻線の代わりに、事前製造された導体バーをステータ積層薄片のスロットに嵌入し、該導体バーを巻回端部で公知のように相互に接続するのがより目的に適っている場合がある。さらに、相巻線Pの個々のコイルを、相互に直列接続することも、また相互に並列接続することもできる。太い巻回ワイヤの代わりに、2つ以上の平行な巻回ワイヤを完全に巻回して、相巻線を形成することもできる。
【符号の説明】
【0032】
11 ステータ巻線
12 可動子
13 励磁巻線
14 制御回路
15 整流モジュール
16 バッテリー接続用の整流モジュール15の端子
18 ステータコア
33 端面シールド
36 ステータ
P1〜P7 ステータ巻線の各相巻線
1a〜7a 各相巻線の始端
1e〜7e 各相巻線の終端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動子(12)と、該可動子(12)の周縁でN極およびS極として相互に入れ替わって軸方向に延在するクローポールフィンガ(44,45)と、ステータ(36)と、環状コイル形の励磁巻線(13)とを有する電気機器において、
該電気機器は、とりわけ自動車用のオルタネータであり、
該ステータ(36)はステータコア(18)を有し、該ステータコア(18)のスロット(35)内にステータ巻線(11)が配置されており、
該ステータ(36)は該可動子(12)に対向し、
該ステータ(36)および該可動子(12)は2つの端面シールド(33)によって支持されており、
該励磁巻線(13)は該可動子(12)に固定されており、
該ステータ巻線(11)は7つの相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)を有し、
該相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)は、少なくともほぼ等しい電気角αで相互に直列接続されており、該相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)の直列接続では、そのつど少なくとも1つの隣接する相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)が飛ばされるように構成されており、
前記スロットの配置順に、該スロットをN1ないしN14とすると、
・前記ステータ巻線(11)の第1の相巻線(P1)の始端(1a)はスロットN1に入り、かつ該第1の相巻線(P1)の終端(1e)はスロットN8から引き出され、
・前記ステータ巻線(11)の第3の相巻線(P3)の始端(3a)はスロットN5に入り、該第1の相巻線(P1)の終端(1e)と該第3の相巻線(P3)の始端(3a)とが接続され、
・前記第1の相巻線(P1)の始端(1a)と前記第3の相巻線(P3)の始端(3a)との間に前記ステータ巻線(11)の第2の相巻線(P2)の始端(2a)が配置され、
・前記相巻線のうち第5の相巻線(P5)の終端(5e)がスロットN2から引き出され、前記ステータ巻線(11)の第7の相巻線(P7)の始端(7a)がスロットN13から引き出され、該第5の相巻線(P5)の終端(5e)と該第7の相巻線(P7)の始端(7a)とが接続されており、
・スロットN2とスロットN13との間において、スロットN3から前記第2の相巻線(P2)の始端(2a)が引き出され、スロットN5から前記第3の相巻線(P3)の始端(3a)が引き出され、スロットN7から前記ステータ巻線(11)の第4の相巻線(P4)の始端(4a)が引き出され、スロットN9から前記第5の相巻線(P5)の始端(5a)から引き出され、スロットN11から前記ステータ巻線(11)の第6の相巻線(P6)の始端(6a)が引き出される
ように、前記相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)は波巻きを成すように前記スロットに配置されていることを特徴とする、電気機器。
【請求項2】
可動子(12)と、該可動子(12)の周縁でN極およびS極として相互に入れ替わって軸方向に延在するクローポールフィンガ(44,45)と、ステータ(36)と、環状コイル形の励磁巻線(13)とを有する電気機器において、
該電気機器は、とりわけ自動車用のオルタネータであり、
該ステータ(36)はステータコア(18)を有し、該ステータコア(18)のスロット(35)内にステータ巻線(11)が配置されており、
該ステータ(36)は該可動子(12)に対向し、
該ステータ(36)および該可動子(12)は2つの端面シールド(33)によって支持されており、
該励磁巻線(13)は該可動子(12)に固定されており、
該ステータ巻線(11)は7つの相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)を有し、
該相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)は、少なくともほぼ等しい電気角αで相互に直列接続されており、該相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)の直列接続では、そのつど少なくとも1つの隣接する相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)が飛ばされるように構成されており、
前記スロットの配置順に、該スロットをN1ないしN14とすると、
・前記各相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)の各始端(1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a)は、各始端間のスロット間隔を2スロット分として、スロットN1,N3,N5,N7,N9,N11およびN13に入り、
・前記各相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)の各終端(1e,2e,3e,4e,5e,6e,7e)は、各終端間のスロット間隔を2スロット分として、スロットN2,N4,N6,N8,N10,N12,N14に入り、
・前記相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)の始端(1a〜7a)と終端(1e〜7e)とが交互に前記スロットに入る
ように、前記相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)は重ね巻を成して前記スロットに配置されている、ことを特徴とする、電気機器。
【請求項3】
前記ステータ巻線(11)は、近似的に半径方向の冷気流によってそれぞれ冷却される巻回端部(65,66)を有し、
該冷気流は、少なくともクローポールプレート(42,43)の1つの軸方向の端部に取り付けられたファン(50)によって発生される、請求項1または2記載の電気機器。
【請求項4】
7つすべての相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)が等しい大きさであり、少なくとも1つのコイルから成り、とりわけ複数のコイル(S1〜S14)から成り、60°〜100°の間にある電気角αで相互に結線されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の電気機器。
【請求項5】
前記相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)は70°〜90°の間の電気角αで相互に結線されており、有利には180°/7*3≒77.1°の電気角αで相互に結線されている、請求項4記載の電気機器。
【請求項6】
前記相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)は、そのつど1つの相巻線(P)のみが飛ばされる相順序(P1‐P3‐P5‐P7‐P2‐P4‐P6)で直列接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の電気機器。
【請求項7】
前記相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)の結線ないしは直列接続は、前記ステータ巻線(11)ひいては7つの相巻線(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)の電気的に有効な巻き方が2回巡回した後に終端する、請求項1から6までのいずれか1項記載の電気機器。
【請求項8】
前記相巻線(P1〜P7)間の接続部(1e〜7e)がインバータまで、とりわけ7つの整流ブリッジ(B1〜B7)を有する整流モジュール(15)まで引き出されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の電気機器、とりわけ自動車用のオルタネータ。
【請求項9】
前記相巻線(P1〜P7)間の接続部(1e〜7e)からそれぞれ1つの電気的な接続部のみが、前記7つの整流ブリッジ(B1〜B7)のうち1つに接続されるように、該相巻線(P1〜P7)は前記電気機器(10)の両巻回端部のうち1つにおいて相互に接続される、請求項8記載の電気機器。
【請求項10】
各1つの相巻線(P1〜P7)の前記コイル(S1〜S14)は、それぞれ少なくとも1つの巻回ワイヤ(17)によって完全に巻回され、有利にはすべての相巻線(P1〜P7)も、それぞれ少なくとも1つの巻回ワイヤ(17)によって完全に巻回されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の電気機器。
【請求項11】
前記ステータスロット(N1〜N14)内の各相巻線(P1〜P7)ないしは各コイル(S1〜S14)の導体(L)の数は、5より大きくかつ10より小さく、有利には8である、請求項1から10までのいずれか1項記載の電気機器。
【請求項12】
前記相巻線(P1〜P7)は50%を上回るスロット充填率(Nf)で、前記電気機器のステータ積層薄片(18)のスロット(N1〜N14)に嵌入されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−200142(P2012−200142A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137359(P2012−137359)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【分割の表示】特願2008−546492(P2008−546492)の分割
【原出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】