高純度6H−SiC単結晶の成長のための方法および装置
本開示は、スパッタリング技術を用いた高純度6H SiC単結晶の成長のための方法および装置に関する。一実施形態において、本開示は、高純度6H−SiC単結晶フィルムを基板に堆積させる方法に関し、この方法は、エッチングされた表面を有するケイ素基板を提供することと、基板およびSiC供給源を堆積チャンバーの中に置くことと、堆積チャンバーの中で第一の減圧レベルを達成することと、チャンバーをガスで加圧することと、SiCフィルムをスパッタリング供給源から直接、エッチングされたケイ素基板に堆積させることとを包含し、SiCフィルムをスパッタリング供給源から直接、エッチングされたケイ素基板に堆積させることは、基板をケイ素の融点未満の温度に加熱することと、堆積チャンバーの中で低エネルギープラズマを用いることと、六方SiCフィルムの層を基板のエッチングされた表面に堆積させることとによる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、概して、高性能電子デバイスにおいて使用される高純度単結晶フィルムの成長に関する。より具体的には、本開示は、6H型単結晶を有する大直径、低欠陥、高品質のSiC基板と、このSiC基板から作られる半導体デバイスとに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の説明)
炭化ケイ素(「SiC」)は、高電力マイクロ波デバイスに対する優れた特性に起因して、重要な広いバンドギャップの半導体材料となった。SiCは、現在、利得、電力出力およびXバンドにおける効率性の点で、GaAsおよび純ケイ素と競合している。SiCは、より高い周波数(すなわち、KaバンドおよびKuバンド)において、さらに良好な性能の見込みをもたらす。広帯域電力RF送信器は、トランシーバーモジュールに対する高い効率性、高い線形性および低ノイズを必要とされる。炭化ケイ素は、200を超える異なる変形または結晶多形において結晶する。最も重要な結晶多形は、いわゆる2C、4Hおよび6Hを含み、「C」は立方を指し、「H」は六方結晶形状を指す。本明細書において用いられる場合、用語6H結晶SiCと六方SiCとは、相互交換可能である。
【0003】
SiCの材料属性は、通信デバイスおよび電力デバイスを構成することに対してSiCを望ましいものにする。そのような属性は、比較的広いバンドギャップ、高い熱伝導性、高い破壊電界強度および高い電子飽和速度を含む。SiCは、バイポーラジャンクショントランジスタ(「BJT」)およびショットキーダイオードにおいて一般的に用いられている。BJTは、半導体材料の中に形成される2つの背面と背面とのp−n結合によって規定される。動作において、電流は、エミッターと呼ばれるp−n結合のうちの一方に隣接する半導体材料の領域に入る。電流は、コレクターと呼ばれるもう一方のp−n結合に隣接する半導体材料の領域からデバイスを出る(exist)。コレクターとエミッターとは、同じ伝導性タイプを有する。基部と呼ばれる半導体材料の薄い層が、コレクターとエミッターとの間に位置決めされる。基部は、導体およびエミッターと反対の伝導性を有する。高純度6H SiCは、バイポーラジャンクショントランジスタにおける使用に対して有利であることが見出されている。
【0004】
同様に、4H SiCで作られたダイオードは、急速に劣化し、順方向バイアス用途の下で積層欠陥の成長を示すことが、以前から公知である。対照的に、6H Sicで作られたダイオードは、同様の順方向バイアスの下で実質的により劣化しにくい傾向があった。結果として、高純度6H SiCダイオードは、有利であった。
【0005】
SiCはまた、マイクロ波デバイスに対する基板としても用いられる。そのようなデバイスは、典型的には、基板上のGaN、AlNおよびInNの堆積を含む。従来の用途は、欠点のある窒化物フィルム堆積をもたらし、半導体デバイスを信頼できないものにしている。問題は、GaN層とSi基板との格子不整合のゆえに発生する。SiCの格子定数は、GaNの格子定数により近く、そのことによって、格子不整合問題をより小さくすることが公知である。しかしながら、SiCの過大な生産コストは、一般的な基板としてのこの材料の使用を妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、Siウェーハ上でのSiCの経済的な製造の方法およびプロセスに対する必要性が存在する。また、高純度単結晶6Hケイ素の生産のための方法およびプロセスに対する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、本開示は、高純度6H−SiC単結晶フィルムを基板に堆積させる方法に関し、この方法は、エッチングされた表面を有するケイ素基板を提供することと、基板およびSiC供給源を堆積チャンバーの中に置くことと、堆積チャンバーの中で第一の減圧レベルを達成することと、チャンバーをガスで加圧することと、SiCフィルムをスパッタリング供給源から直接、エッチングされたケイ素基板に堆積させることとを包含し、SiCフィルムをスパッタリング供給源から直接、エッチングされたケイ素基板に堆積させることは、基板をケイ素の融点未満の温度に加熱することと、堆積チャンバーの中で低エネルギープラズマを用いることと、六方SiCフィルムの層を基板のエッチングされた表面に堆積させることとによる。
【0008】
別の実施形態において、本開示は、複数のステップを包含するプロセスによって調整される半導体ダイオードに関し、このプロセスは、ケイ素基板を提供するステップと、スパッタリングによってSiC層をケイ素基板の上に堆積させるステップであって、SiC層は、実質的に6H結晶構造を有することと、約2.0度以上の範囲におけるFWHMを有することとによって特徴づけられる、ステップとを包含し、SiCをSiの上に該スパッタリングすることは、ケイ素基板の融点未満の温度で実装される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の原理および本開示の目的および利点は、添付の図面とともに以下の明細書を考慮することから容易に明白になり、類似の参照数字は、本明細書の図全体にわたって類似の部分を指定する。
【図1】図1は、本開示の実施形態に従って6H SiCの層をSi基板上に堆積させるために用いられるスパッタリングシステムを示す。
【図2】図2は、本開示の実施形態に従って処理されたSi111基板のピークと6H SiCフィルムとの両方を示すX線回折走査の結果である。
【図3】図3は、本開示の実施形態に従って処理されたSiCフィルムのロッキングカーブである。
【図4】図4は、本開示の実施形態に従って処理されたSiCフィルムの形態を示すAFM走査である。
【図5】図5は、図4のAFMからの表面微細構造の三次元イラストである。
【図6】図6は、本開示の実施形態に従って調整されたSiCフィルムにおける103反射の60°周期性である。
【図7】図7は、SiCに対する公知の値と比較された場合の、本明細書において開示される実施形態に従って堆積されたSiCフィルムに対して測定された屈折率値の比較である。
【図8】図8は、本明細書において開示される方法に従って調整されたダイオードデバイスの構造である。
【図9】図9は、Si基板および6H SiCフィルムの方向づけを模倣する方向づけを有する六方AlNフィルムのX線回折の結果を示す。
【図10】図10は、約7441 arcsecのFWHM値またはほぼ2.0度を有するAlNフィルムのX線ロッキングカーブを示す。
【図11】図11は、GaNのピークおよびAlGaNのピークを示すX線回折オメガ−2シータカーブを示す。
【図12】図12は、本開示の実施形態に従って調整された3つのダイオードに対するIV特徴のオーバーレイを示す。
【図13】記載なし。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(詳細な説明)
本開示は、高純度6H SiCを生成するための方法および装置に関する。より具体的には、本開示は、ケイ素基板であって、ケイ素基板上にSiCフィルムを有するケイ素基板で構成される費用対効果の高い、高純度半導体構造物を生成するための方法および装置に関し、高純度半導体構造物は、実質的にまったく6H結晶構造のみを含む。本明細書において開示される発明的な実施形態がダイオードまたは半導体デバイスにおいて用いられる6H SiCフィルムを参照して例示されるが、そのような実施形態は、性質上、例示的なものであり、本明細書において開示される原理は、それらに限定されないことが、留意されるべきである。
【0011】
従来の堆積技術は、2000℃に近い温度でケイ素基板上にSiCを成長させる。比較的高い堆積温度は、2000℃に近い温度でより良く成長するという事実に起因する。そのような温度が6H SiCの堆積を可能にするが、そのような温度は、約1150℃であるケイ素の融点温度をはるかに超える。したがって、SiCの堆積および成長は、融解したケイ素の上で発生する。さらに、従来の技術は、化学蒸着法を用いることに限定され、化学蒸着法は、6H SiCの結晶構成に対してほとんど制御を提供しない。
【0012】
これらおよび他の欠点を克服するために、本開示の実施形態は、堆積温度をケイ素の融点未満に維持しながら、プラズマスパッタリング技術を用いてSi基板上に堆積される六方SiCフィルムに関する。堆積は、反応性スパッタリングまたは非反応性スパッタリングであり得る。
【0013】
一実施形態において、高純度6H−SiC単一結晶フィルムが、エッチングされた表面を有するケイ素基板を提供することによって、ケイ素基板上に堆積される。従来のエッチング技術は、堆積の前に不純物を除去するために用いられ得る。堆積チャンバーの圧力は、第一の減圧レベルに低減され、エッチングされた基板は、SiC供給源とともにチャンバー内に置かれる。次いで、チャンバーは、雰囲気ガス、例えば、アルゴンまたはアルゴン/メタン混合物を用いて加圧される。例えば、チャンバーは、約5mtorr〜約8mtorrに加圧され得る。基板および供給源がケイ素の融点未満に維持されている間に、SiCフィルムは、スパッタリング供給源からケイ素基板上に直接、堆積され得る、または成長し得る。一実施形態において、低エネルギーのプラズマが堆積チャンバー内で用いられる。最終的なSiCフィルムは、実質的に完全に6H SiCで構成され得る。別の実施形態において、最終的なSiCフィルムは、約85%の6H SiCを含む。
【0014】
DC堆積またはRF堆積のための堆積チャンバーもまた、用いられ得る。加えて、堆積チャンバーは、堆積の前に約800℃〜約900℃または約800℃〜約1100℃まで加熱され得る。例示的な用途において、Si基板またはSiC供給源のうちの1つまたは両方は、堆積中に互いに対して回転された。
【0015】
フィルムは、任意の所望の厚さに堆積され得る。SiCフィルムは、数オングストロームまで薄いか、または100ミクロンまで厚くあり得る。必要とされる厚さは、デバイス性能に関する複数の因子によって決定される。一用途において、SiCフィルムは、約0.4ミクロンの厚さに堆積された。
【0016】
Si基板は、任意の大きさまたは任意の厚さであり得る。例示的な実装において、2インチの片側が磨かれたSiウェーハが基板として用いられた。Siウェーハは、10%のフッ化水素酸(HF)の中でエッチングされ、自然酸化物を除去する。その後に、ウェーハは、窒素ガスで乾燥され、次いで、成長チャンバーの中に装填された。
【0017】
図1は、Si基板への6H SiCの堆積のために用いられるスパッタリングシステムを示す。DCプラズマおよびRFプラズマが、SiCフィルムをSi基板上に堆積させるために用いられ得る。
【0018】
SiへのSiCの堆積はまた、異なる標的材料を用いることによっても達成され得る。Si標的が、反応性スパッタリングに対してメタンを含む雰囲気の中で用いられ得る。また、別個のSiの標的およびCの標的も、SiCフィルムをSi基板上に堆積させるために用いられ得る。DCプラズマはまた、RFプラズマの代わりとしても用いられ得る。DCプラズマは、特にSiCを反応性スパッタリングする場合に、堆積のより大きな制御を提供し得る。
【0019】
Si上のSiCフィルムがGaN HEMTまたは関連する高周波数窒化物デバイスの基板として用いられるために、半絶縁性Siが、n型Siまたはp型Siに対して選択されるべきである。この実装が高周波数動作におけるデバイスの下の伝導性基板を有することから生成される寄生容量を回避する点において、この実装は、有利である。スパッタリングされるSiC層は、基板へのAlNの堆積中の意図されないp型ドーピングを防ぎ得る。伝導性基板は、高周波デバイスの動作中に寄生容量を生成し得る。
【0020】
SiにRFスパッタリングされる例示的なSiCは、37Å/分までの成長速度を達成し、もたらされるフィルムは、亀裂がなかった。フィルムは、1.31cmの厚さまで成長した。もたらされるフィルムは、X線回折でテストされ、その結果は、6H SiCのSi基板への堆積を裏づけた。
【0021】
図2は、Si基板のピークと六方SiCのピークとの両方を示すX線回折走査の結果である。図2を参照すると、Si 111のピークおよびSi 222のピークが異なるピークによって示されるように存在していることが見られ得る。SiCを表す唯一のピークは、X線回折から得られた。このことは、SiC(6H SiC)の単結晶タイプが堆積され、SiCの他の結晶多形または方向づけは存在しなかったことを立証する。
【0022】
図3は、FWHMを表示するSiCフィルムのロッキングカーブであり、2.0度まで低くあり得る。多結晶SiCは、FWHMを有しないことがあり得る。図3の結果は、実質的に純粋な6H SiCの存在を示す。
【0023】
図4は、SiCフィルムの粒子を示す原子間力顕微鏡(AFM)走査である。見られ得るように、粒子の大きさは、ほぼ250nmで、かなり均一である。表面の粗さは、約2.66nmのRMS値を有した。低いRMS粗さの値は、良いフィルムの質を示し、デバイスの調整のできた表面の指示である。
【0024】
図5は、原子間力顕微鏡からの表面の微細構造の三次元レンダリングである。
【0025】
図6は、6H SiCにおける103反射の60度周期性を示す回転走査であり、堆積されたSiCフィルムの六方構造をさらに実証する。
【0026】
図7は、公知のSiC屈折率値に対してプロットされた、本発明の実施形態に従って調整されたSiCフィルム(file)の屈折率を有する。屈折率は、純度、結晶多形、化学量論および全体的なフィルムの欠点を含む複数の因子によって影響され得る。許容された屈折率値と同様な値を有する上記のSiCフィルムに起因して、フィルムの質は推測され得る。
【0027】
一実施形態において、本開示は、SiC/Siを含むダイオードを処理するための方法および装置に関する。上記のように、高電力マイクロ波デバイスに対する優れた特性のゆえに、SiCは、重要な幅広いバンドキャップの半導体である。SiCは、利得、電力出力およびXバンドにおける効率性の点でGaAsおよびSiと競合し、KaバンドおよびKuバンドのより高い周波数においてさらに良い性能をもたらし得る。
【0028】
SiC/Siダイオードの調整において、六方SiCフィルムは、Si基板の抵抗加熱によるRFプラズマスパッタリングを用いて、Si基板上に堆積された。2インチのSiウェーハが、10%HF酸の中でエッチングされ、自然酸化物を除去した。続いて、ウェーハは、窒素ガスを用いて乾燥され、次いで、図1と同様の成長チャンバーの中にローディングされた。Si基板は、2”抵抗加熱器にクランプ締めされ、チャンバーは、約5e−8Torrのベース圧力にまで吸い出された。いったんベース圧力に達すると、基板/加熱器アセンブリーは、1分に3℃のランプ速度で850℃の成長温度まで上げられた。アルゴンガスは、RFプラズマガスとして用いられた。アルゴンガスの流れは、50sccmに設定され、堆積プロセスの間、約8mTorrに維持された。
【0029】
堆積の間、チャンバーは、活発にポンプでガスを送られた。RFの順方向電力は、ほぼ−250VのDCバイアスを有する100ワットであった。スパッター銃は、3”Sic標的を用いた。Sicは、任意の公知の態様で、本明細書において開示される原理から逸脱することなしに、Si堆積上に堆積され得ることが、留意されるべきである。例えば、Si標的は、反応性スパッタリングのためにメタン雰囲気において用いられ得る。また、別個のSi標的およびC標的は、Si上にSiCを堆積させるためにも利用され得る。DCプラズマはまた、RFプラズマの代わりとしても用いられ得、このことは、堆積プロセス、特にSiCを反応性スパッタリングする場合に、堆積プロセスに対してより大きな制御を提供し得る。
【0030】
SiにRFスパッタリングされるSiCは、37Å/分までの成長速度を達成し、もたらされるSiC層は、何ら外見上の欠点のない、亀裂のないフィルムであった。このSiCフィルムは、1.31μmの厚さまで成長した。X線回折は、六方SiCのSi111基板への堆積を裏づける。図2は、Si111基板のピークと六方SiCのピークとの両方を示すX線回折走査である。
【0031】
図8は、本開示の実施形態に従って調整されたダイオードを図式的に例示する。完成されたダイオードの電気テストは、Keithly 4200 Semiconductor Characterization Systemを用いて実行された。デバイスの電流−電圧(IV)の特徴は、Keithly Interactive Testing Environmentを用いて特徴づけられた。3つのダイオードが調整され、上部表面(アノード)上のAu/Cr接触部と、テスターの減圧チャンクとSi基板との間に作られたオーム接触部との間のDCバイアスの下に置かれた。ダイオードは、リソグラフィーパターン形成およびCr/Au接触部のSiCフィルム表面への蒸着によって作られた。バイアスは、−10から+10ボルトに動き、各デバイスの電流が測定された。
【0032】
別の例示的な例において、約1000Åの厚さを有するAlNの層が、Si基板上に予め調整されたSiCフィルムの上に堆積された。金属・有機化学気相成長(「MOCVD」)が、AlNフィルムをSiC層に堆積させるために用いられた。次いで、最終的な構造がX線回折を用いてテストされ、結果は図9に示されている。図9のX線パターンは、単結晶タイプ6H SiCおよびAlNの存在を裏づける。図9において結晶多形の有意な存在を示すものはない。また、図9において示される方向づけは、Si基板および6H SiCフィルムの方向づけを模倣する。
【0033】
図10は、2.0度で約7441 arcsecのFWHM値を有するAlNフィルムのX線ロッキングカーブを示す。図10が、AlNフィルムがSi基板、堆積されたSiCフィルムによって方向づけられ、エピタキシャルで単結晶であることを示すので、このことは有意である。
【0034】
上記で調整されたAlN層上にGaNフィルムの層を成長させることによって、さらなる実験が行われた。図11は、X線回折カーブによって描かれたGaNの単一のピークを示す。より具体的には、図11は、GaNのピークおよびAlGaNのピークを示すオメガ−2シータカーブのX線を示す。図8に示されるように、新しい層と下にある6H SiCとの格子相溶性を立証する、2360 arcsecのFWHMを有するGaNの単一のピークが得られた。
【0035】
図12は、同じプロット上に重ね合わされる3つのテストされたデバイスのIV特徴を示す。ダイオードは、ダイオードデバイスの整流する挙動の特徴を示した。このことは、作動する半導体デバイスが、堆積されたSiCフィルムとともに活性デバイス材料として作られたことを示す。図12において、ダイオードの順方向のバイアス動作は、負のDCバイアスにおいて達成されたが、このことは、単なるテスト設定における極性の選択の作用にすぎない。この結果は、成功したダイオード製作とテストとを示す。
【0036】
本明細書はここに提供される例示的な実施形態に関して開示されているが、発明的な原理は、これらの実施形態に限定されず、開示の精神から逸脱することなしに、他の置換および偏差を含むことが、留意されるべきである。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、概して、高性能電子デバイスにおいて使用される高純度単結晶フィルムの成長に関する。より具体的には、本開示は、6H型単結晶を有する大直径、低欠陥、高品質のSiC基板と、このSiC基板から作られる半導体デバイスとに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の説明)
炭化ケイ素(「SiC」)は、高電力マイクロ波デバイスに対する優れた特性に起因して、重要な広いバンドギャップの半導体材料となった。SiCは、現在、利得、電力出力およびXバンドにおける効率性の点で、GaAsおよび純ケイ素と競合している。SiCは、より高い周波数(すなわち、KaバンドおよびKuバンド)において、さらに良好な性能の見込みをもたらす。広帯域電力RF送信器は、トランシーバーモジュールに対する高い効率性、高い線形性および低ノイズを必要とされる。炭化ケイ素は、200を超える異なる変形または結晶多形において結晶する。最も重要な結晶多形は、いわゆる2C、4Hおよび6Hを含み、「C」は立方を指し、「H」は六方結晶形状を指す。本明細書において用いられる場合、用語6H結晶SiCと六方SiCとは、相互交換可能である。
【0003】
SiCの材料属性は、通信デバイスおよび電力デバイスを構成することに対してSiCを望ましいものにする。そのような属性は、比較的広いバンドギャップ、高い熱伝導性、高い破壊電界強度および高い電子飽和速度を含む。SiCは、バイポーラジャンクショントランジスタ(「BJT」)およびショットキーダイオードにおいて一般的に用いられている。BJTは、半導体材料の中に形成される2つの背面と背面とのp−n結合によって規定される。動作において、電流は、エミッターと呼ばれるp−n結合のうちの一方に隣接する半導体材料の領域に入る。電流は、コレクターと呼ばれるもう一方のp−n結合に隣接する半導体材料の領域からデバイスを出る(exist)。コレクターとエミッターとは、同じ伝導性タイプを有する。基部と呼ばれる半導体材料の薄い層が、コレクターとエミッターとの間に位置決めされる。基部は、導体およびエミッターと反対の伝導性を有する。高純度6H SiCは、バイポーラジャンクショントランジスタにおける使用に対して有利であることが見出されている。
【0004】
同様に、4H SiCで作られたダイオードは、急速に劣化し、順方向バイアス用途の下で積層欠陥の成長を示すことが、以前から公知である。対照的に、6H Sicで作られたダイオードは、同様の順方向バイアスの下で実質的により劣化しにくい傾向があった。結果として、高純度6H SiCダイオードは、有利であった。
【0005】
SiCはまた、マイクロ波デバイスに対する基板としても用いられる。そのようなデバイスは、典型的には、基板上のGaN、AlNおよびInNの堆積を含む。従来の用途は、欠点のある窒化物フィルム堆積をもたらし、半導体デバイスを信頼できないものにしている。問題は、GaN層とSi基板との格子不整合のゆえに発生する。SiCの格子定数は、GaNの格子定数により近く、そのことによって、格子不整合問題をより小さくすることが公知である。しかしながら、SiCの過大な生産コストは、一般的な基板としてのこの材料の使用を妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、Siウェーハ上でのSiCの経済的な製造の方法およびプロセスに対する必要性が存在する。また、高純度単結晶6Hケイ素の生産のための方法およびプロセスに対する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、本開示は、高純度6H−SiC単結晶フィルムを基板に堆積させる方法に関し、この方法は、エッチングされた表面を有するケイ素基板を提供することと、基板およびSiC供給源を堆積チャンバーの中に置くことと、堆積チャンバーの中で第一の減圧レベルを達成することと、チャンバーをガスで加圧することと、SiCフィルムをスパッタリング供給源から直接、エッチングされたケイ素基板に堆積させることとを包含し、SiCフィルムをスパッタリング供給源から直接、エッチングされたケイ素基板に堆積させることは、基板をケイ素の融点未満の温度に加熱することと、堆積チャンバーの中で低エネルギープラズマを用いることと、六方SiCフィルムの層を基板のエッチングされた表面に堆積させることとによる。
【0008】
別の実施形態において、本開示は、複数のステップを包含するプロセスによって調整される半導体ダイオードに関し、このプロセスは、ケイ素基板を提供するステップと、スパッタリングによってSiC層をケイ素基板の上に堆積させるステップであって、SiC層は、実質的に6H結晶構造を有することと、約2.0度以上の範囲におけるFWHMを有することとによって特徴づけられる、ステップとを包含し、SiCをSiの上に該スパッタリングすることは、ケイ素基板の融点未満の温度で実装される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の原理および本開示の目的および利点は、添付の図面とともに以下の明細書を考慮することから容易に明白になり、類似の参照数字は、本明細書の図全体にわたって類似の部分を指定する。
【図1】図1は、本開示の実施形態に従って6H SiCの層をSi基板上に堆積させるために用いられるスパッタリングシステムを示す。
【図2】図2は、本開示の実施形態に従って処理されたSi111基板のピークと6H SiCフィルムとの両方を示すX線回折走査の結果である。
【図3】図3は、本開示の実施形態に従って処理されたSiCフィルムのロッキングカーブである。
【図4】図4は、本開示の実施形態に従って処理されたSiCフィルムの形態を示すAFM走査である。
【図5】図5は、図4のAFMからの表面微細構造の三次元イラストである。
【図6】図6は、本開示の実施形態に従って調整されたSiCフィルムにおける103反射の60°周期性である。
【図7】図7は、SiCに対する公知の値と比較された場合の、本明細書において開示される実施形態に従って堆積されたSiCフィルムに対して測定された屈折率値の比較である。
【図8】図8は、本明細書において開示される方法に従って調整されたダイオードデバイスの構造である。
【図9】図9は、Si基板および6H SiCフィルムの方向づけを模倣する方向づけを有する六方AlNフィルムのX線回折の結果を示す。
【図10】図10は、約7441 arcsecのFWHM値またはほぼ2.0度を有するAlNフィルムのX線ロッキングカーブを示す。
【図11】図11は、GaNのピークおよびAlGaNのピークを示すX線回折オメガ−2シータカーブを示す。
【図12】図12は、本開示の実施形態に従って調整された3つのダイオードに対するIV特徴のオーバーレイを示す。
【図13】記載なし。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(詳細な説明)
本開示は、高純度6H SiCを生成するための方法および装置に関する。より具体的には、本開示は、ケイ素基板であって、ケイ素基板上にSiCフィルムを有するケイ素基板で構成される費用対効果の高い、高純度半導体構造物を生成するための方法および装置に関し、高純度半導体構造物は、実質的にまったく6H結晶構造のみを含む。本明細書において開示される発明的な実施形態がダイオードまたは半導体デバイスにおいて用いられる6H SiCフィルムを参照して例示されるが、そのような実施形態は、性質上、例示的なものであり、本明細書において開示される原理は、それらに限定されないことが、留意されるべきである。
【0011】
従来の堆積技術は、2000℃に近い温度でケイ素基板上にSiCを成長させる。比較的高い堆積温度は、2000℃に近い温度でより良く成長するという事実に起因する。そのような温度が6H SiCの堆積を可能にするが、そのような温度は、約1150℃であるケイ素の融点温度をはるかに超える。したがって、SiCの堆積および成長は、融解したケイ素の上で発生する。さらに、従来の技術は、化学蒸着法を用いることに限定され、化学蒸着法は、6H SiCの結晶構成に対してほとんど制御を提供しない。
【0012】
これらおよび他の欠点を克服するために、本開示の実施形態は、堆積温度をケイ素の融点未満に維持しながら、プラズマスパッタリング技術を用いてSi基板上に堆積される六方SiCフィルムに関する。堆積は、反応性スパッタリングまたは非反応性スパッタリングであり得る。
【0013】
一実施形態において、高純度6H−SiC単一結晶フィルムが、エッチングされた表面を有するケイ素基板を提供することによって、ケイ素基板上に堆積される。従来のエッチング技術は、堆積の前に不純物を除去するために用いられ得る。堆積チャンバーの圧力は、第一の減圧レベルに低減され、エッチングされた基板は、SiC供給源とともにチャンバー内に置かれる。次いで、チャンバーは、雰囲気ガス、例えば、アルゴンまたはアルゴン/メタン混合物を用いて加圧される。例えば、チャンバーは、約5mtorr〜約8mtorrに加圧され得る。基板および供給源がケイ素の融点未満に維持されている間に、SiCフィルムは、スパッタリング供給源からケイ素基板上に直接、堆積され得る、または成長し得る。一実施形態において、低エネルギーのプラズマが堆積チャンバー内で用いられる。最終的なSiCフィルムは、実質的に完全に6H SiCで構成され得る。別の実施形態において、最終的なSiCフィルムは、約85%の6H SiCを含む。
【0014】
DC堆積またはRF堆積のための堆積チャンバーもまた、用いられ得る。加えて、堆積チャンバーは、堆積の前に約800℃〜約900℃または約800℃〜約1100℃まで加熱され得る。例示的な用途において、Si基板またはSiC供給源のうちの1つまたは両方は、堆積中に互いに対して回転された。
【0015】
フィルムは、任意の所望の厚さに堆積され得る。SiCフィルムは、数オングストロームまで薄いか、または100ミクロンまで厚くあり得る。必要とされる厚さは、デバイス性能に関する複数の因子によって決定される。一用途において、SiCフィルムは、約0.4ミクロンの厚さに堆積された。
【0016】
Si基板は、任意の大きさまたは任意の厚さであり得る。例示的な実装において、2インチの片側が磨かれたSiウェーハが基板として用いられた。Siウェーハは、10%のフッ化水素酸(HF)の中でエッチングされ、自然酸化物を除去する。その後に、ウェーハは、窒素ガスで乾燥され、次いで、成長チャンバーの中に装填された。
【0017】
図1は、Si基板への6H SiCの堆積のために用いられるスパッタリングシステムを示す。DCプラズマおよびRFプラズマが、SiCフィルムをSi基板上に堆積させるために用いられ得る。
【0018】
SiへのSiCの堆積はまた、異なる標的材料を用いることによっても達成され得る。Si標的が、反応性スパッタリングに対してメタンを含む雰囲気の中で用いられ得る。また、別個のSiの標的およびCの標的も、SiCフィルムをSi基板上に堆積させるために用いられ得る。DCプラズマはまた、RFプラズマの代わりとしても用いられ得る。DCプラズマは、特にSiCを反応性スパッタリングする場合に、堆積のより大きな制御を提供し得る。
【0019】
Si上のSiCフィルムがGaN HEMTまたは関連する高周波数窒化物デバイスの基板として用いられるために、半絶縁性Siが、n型Siまたはp型Siに対して選択されるべきである。この実装が高周波数動作におけるデバイスの下の伝導性基板を有することから生成される寄生容量を回避する点において、この実装は、有利である。スパッタリングされるSiC層は、基板へのAlNの堆積中の意図されないp型ドーピングを防ぎ得る。伝導性基板は、高周波デバイスの動作中に寄生容量を生成し得る。
【0020】
SiにRFスパッタリングされる例示的なSiCは、37Å/分までの成長速度を達成し、もたらされるフィルムは、亀裂がなかった。フィルムは、1.31cmの厚さまで成長した。もたらされるフィルムは、X線回折でテストされ、その結果は、6H SiCのSi基板への堆積を裏づけた。
【0021】
図2は、Si基板のピークと六方SiCのピークとの両方を示すX線回折走査の結果である。図2を参照すると、Si 111のピークおよびSi 222のピークが異なるピークによって示されるように存在していることが見られ得る。SiCを表す唯一のピークは、X線回折から得られた。このことは、SiC(6H SiC)の単結晶タイプが堆積され、SiCの他の結晶多形または方向づけは存在しなかったことを立証する。
【0022】
図3は、FWHMを表示するSiCフィルムのロッキングカーブであり、2.0度まで低くあり得る。多結晶SiCは、FWHMを有しないことがあり得る。図3の結果は、実質的に純粋な6H SiCの存在を示す。
【0023】
図4は、SiCフィルムの粒子を示す原子間力顕微鏡(AFM)走査である。見られ得るように、粒子の大きさは、ほぼ250nmで、かなり均一である。表面の粗さは、約2.66nmのRMS値を有した。低いRMS粗さの値は、良いフィルムの質を示し、デバイスの調整のできた表面の指示である。
【0024】
図5は、原子間力顕微鏡からの表面の微細構造の三次元レンダリングである。
【0025】
図6は、6H SiCにおける103反射の60度周期性を示す回転走査であり、堆積されたSiCフィルムの六方構造をさらに実証する。
【0026】
図7は、公知のSiC屈折率値に対してプロットされた、本発明の実施形態に従って調整されたSiCフィルム(file)の屈折率を有する。屈折率は、純度、結晶多形、化学量論および全体的なフィルムの欠点を含む複数の因子によって影響され得る。許容された屈折率値と同様な値を有する上記のSiCフィルムに起因して、フィルムの質は推測され得る。
【0027】
一実施形態において、本開示は、SiC/Siを含むダイオードを処理するための方法および装置に関する。上記のように、高電力マイクロ波デバイスに対する優れた特性のゆえに、SiCは、重要な幅広いバンドキャップの半導体である。SiCは、利得、電力出力およびXバンドにおける効率性の点でGaAsおよびSiと競合し、KaバンドおよびKuバンドのより高い周波数においてさらに良い性能をもたらし得る。
【0028】
SiC/Siダイオードの調整において、六方SiCフィルムは、Si基板の抵抗加熱によるRFプラズマスパッタリングを用いて、Si基板上に堆積された。2インチのSiウェーハが、10%HF酸の中でエッチングされ、自然酸化物を除去した。続いて、ウェーハは、窒素ガスを用いて乾燥され、次いで、図1と同様の成長チャンバーの中にローディングされた。Si基板は、2”抵抗加熱器にクランプ締めされ、チャンバーは、約5e−8Torrのベース圧力にまで吸い出された。いったんベース圧力に達すると、基板/加熱器アセンブリーは、1分に3℃のランプ速度で850℃の成長温度まで上げられた。アルゴンガスは、RFプラズマガスとして用いられた。アルゴンガスの流れは、50sccmに設定され、堆積プロセスの間、約8mTorrに維持された。
【0029】
堆積の間、チャンバーは、活発にポンプでガスを送られた。RFの順方向電力は、ほぼ−250VのDCバイアスを有する100ワットであった。スパッター銃は、3”Sic標的を用いた。Sicは、任意の公知の態様で、本明細書において開示される原理から逸脱することなしに、Si堆積上に堆積され得ることが、留意されるべきである。例えば、Si標的は、反応性スパッタリングのためにメタン雰囲気において用いられ得る。また、別個のSi標的およびC標的は、Si上にSiCを堆積させるためにも利用され得る。DCプラズマはまた、RFプラズマの代わりとしても用いられ得、このことは、堆積プロセス、特にSiCを反応性スパッタリングする場合に、堆積プロセスに対してより大きな制御を提供し得る。
【0030】
SiにRFスパッタリングされるSiCは、37Å/分までの成長速度を達成し、もたらされるSiC層は、何ら外見上の欠点のない、亀裂のないフィルムであった。このSiCフィルムは、1.31μmの厚さまで成長した。X線回折は、六方SiCのSi111基板への堆積を裏づける。図2は、Si111基板のピークと六方SiCのピークとの両方を示すX線回折走査である。
【0031】
図8は、本開示の実施形態に従って調整されたダイオードを図式的に例示する。完成されたダイオードの電気テストは、Keithly 4200 Semiconductor Characterization Systemを用いて実行された。デバイスの電流−電圧(IV)の特徴は、Keithly Interactive Testing Environmentを用いて特徴づけられた。3つのダイオードが調整され、上部表面(アノード)上のAu/Cr接触部と、テスターの減圧チャンクとSi基板との間に作られたオーム接触部との間のDCバイアスの下に置かれた。ダイオードは、リソグラフィーパターン形成およびCr/Au接触部のSiCフィルム表面への蒸着によって作られた。バイアスは、−10から+10ボルトに動き、各デバイスの電流が測定された。
【0032】
別の例示的な例において、約1000Åの厚さを有するAlNの層が、Si基板上に予め調整されたSiCフィルムの上に堆積された。金属・有機化学気相成長(「MOCVD」)が、AlNフィルムをSiC層に堆積させるために用いられた。次いで、最終的な構造がX線回折を用いてテストされ、結果は図9に示されている。図9のX線パターンは、単結晶タイプ6H SiCおよびAlNの存在を裏づける。図9において結晶多形の有意な存在を示すものはない。また、図9において示される方向づけは、Si基板および6H SiCフィルムの方向づけを模倣する。
【0033】
図10は、2.0度で約7441 arcsecのFWHM値を有するAlNフィルムのX線ロッキングカーブを示す。図10が、AlNフィルムがSi基板、堆積されたSiCフィルムによって方向づけられ、エピタキシャルで単結晶であることを示すので、このことは有意である。
【0034】
上記で調整されたAlN層上にGaNフィルムの層を成長させることによって、さらなる実験が行われた。図11は、X線回折カーブによって描かれたGaNの単一のピークを示す。より具体的には、図11は、GaNのピークおよびAlGaNのピークを示すオメガ−2シータカーブのX線を示す。図8に示されるように、新しい層と下にある6H SiCとの格子相溶性を立証する、2360 arcsecのFWHMを有するGaNの単一のピークが得られた。
【0035】
図12は、同じプロット上に重ね合わされる3つのテストされたデバイスのIV特徴を示す。ダイオードは、ダイオードデバイスの整流する挙動の特徴を示した。このことは、作動する半導体デバイスが、堆積されたSiCフィルムとともに活性デバイス材料として作られたことを示す。図12において、ダイオードの順方向のバイアス動作は、負のDCバイアスにおいて達成されたが、このことは、単なるテスト設定における極性の選択の作用にすぎない。この結果は、成功したダイオード製作とテストとを示す。
【0036】
本明細書はここに提供される例示的な実施形態に関して開示されているが、発明的な原理は、これらの実施形態に限定されず、開示の精神から逸脱することなしに、他の置換および偏差を含むことが、留意されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度6H−SiC単結晶フィルムを基板上に堆積させる方法であって、該方法は、
エッチングされた表面を有するケイ素基板を提供することと、
該基板およびSiC供給源を堆積チャンバーの中に配置することと、
該堆積チャンバーの中で第一の減圧レベルを達成することと、
該チャンバーをガスで加圧することと、
該SiCフィルムをスパッタリング供給源から直接、該エッチングされたケイ素基板に堆積させることと
を包含し、該SiCフィルムを該スパッタリング供給源から直接、該エッチングされたケイ素基板に堆積させることは、
該基板をケイ素の融点未満の温度に加熱することと、
該堆積チャンバーの中で低エネルギープラズマを用いることと、
六方SiCフィルムの層を該基板の該エッチングされた表面に堆積させることと
によって行われる、方法。
【請求項2】
前記堆積されたSiCフィルムは、少なくとも85%の純度を有する6H−SiCを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記堆積チャンバーは、DC堆積またはRF堆積のうちの1つに対して構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板をケイ素の融点未満の温度に加熱するステップは、該基板を約800℃〜約900℃に加熱することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板をケイ素の融点未満の温度に加熱するステップは、該基板を約800℃〜約1100℃に加熱することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記SiCフィルムを堆積させるステップは、前記Si基板または前記SiC供給源のうちの1つまたは両方を、堆積の間、互いに対して回転させることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記SiCフィルムを堆積させるステップは、前記堆積チャンバーを第一の減圧圧力まで減圧することと、前記基板をケイ素の融点未満の堆積温度に加熱することと、該堆積温度に達した際にプラズマ堆積プロセスを開始することと、堆積の完了後に該堆積チャンバーを冷却することとをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チャンバーをガスで加圧するステップは、該チャンバーをアルゴンまたはアルゴン/メタン混合物のうちの1つで加圧することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記堆積チャンバーは、前記堆積ステップの間、約5mtorr〜約8mtorrに加圧される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1の方法に従って調整された半導体構造物。
【請求項11】
プロセスによって調整される半導体ダイオードであって、該プロセスは、
ケイ素基板を提供するステップと、
スパッタリングによってSiC層をケイ素基板の上に堆積させるステップであって、該SiC層は、実質的に6H結晶構造を有することと、約2.0度以上の範囲におけるFWHMを有することとによって特徴づけられる、ステップと
を包含し、SiCをSiの上に該スパッタリングすることは、該ケイ素基板の融点未満の温度で実装される、半導体ダイオード。
【請求項12】
前記スパッタリングステップは、反応性スパッタリングまたは非反応性スパッタリングのうちの1つである、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項13】
前記SiC層は、前記ケイ素基板と直接接触している、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項14】
前記ケイ素基板の融点未満の温度は、約800℃〜約900℃の範囲内にある、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項15】
前記6H結晶構造は、約0.3μm〜約0.5μmの範囲内にある厚さを有する、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項16】
前記SiC層の上に堆積された材料をさらに含む、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項17】
基板上に6H−SiC単結晶を形成する方法であって、該方法は、
エッチングされた表面を有する基板を提供することと、
実質的に減圧状態にあるスパッタリングチャンバーを提供することと、
該基板を該チャンバーに導入することと、
該チャンバーを該基板の溶融温度未満の温度に加熱することと、
該チャンバーを加圧することと、
該堆積チャンバー内で低エネルギープラズマを用いることによって、SiCフィルムを直接、エッチングされたケイ素にスパッタリングすることと
を包含し、該フィルムは、実質的に純粋な6H SiC単結晶フィルムである、方法。
【請求項18】
前記基板は、ケイ素基板である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記スパッタリングチャンバーは、DC堆積またはRF堆積のうちの1つに対して構成されている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記基板をケイ素の融点未満の温度に加熱するステップは、該基板を約800℃〜約900℃に加熱することを包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記SiCフィルムを堆積させるステップは、前記堆積チャンバーを第一の減圧圧力まで減圧することと、前記基板をケイ素の融点未満の堆積温度に加熱することと、該堆積温度に達した際にプラズマ堆積プロセスを開始することと、堆積の完了後に該堆積チャンバーを冷却することとをさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記チャンバーを加圧するステップは、該チャンバーをアルゴンまたはアルゴン/メタン混合物のうちの1つで約5mtorr〜約8mtorrの圧力に加圧することをさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法に従って調整された半導体構造物。
【請求項1】
高純度6H−SiC単結晶フィルムを基板上に堆積させる方法であって、該方法は、
エッチングされた表面を有するケイ素基板を提供することと、
該基板およびSiC供給源を堆積チャンバーの中に配置することと、
該堆積チャンバーの中で第一の減圧レベルを達成することと、
該チャンバーをガスで加圧することと、
該SiCフィルムをスパッタリング供給源から直接、該エッチングされたケイ素基板に堆積させることと
を包含し、該SiCフィルムを該スパッタリング供給源から直接、該エッチングされたケイ素基板に堆積させることは、
該基板をケイ素の融点未満の温度に加熱することと、
該堆積チャンバーの中で低エネルギープラズマを用いることと、
六方SiCフィルムの層を該基板の該エッチングされた表面に堆積させることと
によって行われる、方法。
【請求項2】
前記堆積されたSiCフィルムは、少なくとも85%の純度を有する6H−SiCを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記堆積チャンバーは、DC堆積またはRF堆積のうちの1つに対して構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板をケイ素の融点未満の温度に加熱するステップは、該基板を約800℃〜約900℃に加熱することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板をケイ素の融点未満の温度に加熱するステップは、該基板を約800℃〜約1100℃に加熱することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記SiCフィルムを堆積させるステップは、前記Si基板または前記SiC供給源のうちの1つまたは両方を、堆積の間、互いに対して回転させることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記SiCフィルムを堆積させるステップは、前記堆積チャンバーを第一の減圧圧力まで減圧することと、前記基板をケイ素の融点未満の堆積温度に加熱することと、該堆積温度に達した際にプラズマ堆積プロセスを開始することと、堆積の完了後に該堆積チャンバーを冷却することとをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チャンバーをガスで加圧するステップは、該チャンバーをアルゴンまたはアルゴン/メタン混合物のうちの1つで加圧することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記堆積チャンバーは、前記堆積ステップの間、約5mtorr〜約8mtorrに加圧される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1の方法に従って調整された半導体構造物。
【請求項11】
プロセスによって調整される半導体ダイオードであって、該プロセスは、
ケイ素基板を提供するステップと、
スパッタリングによってSiC層をケイ素基板の上に堆積させるステップであって、該SiC層は、実質的に6H結晶構造を有することと、約2.0度以上の範囲におけるFWHMを有することとによって特徴づけられる、ステップと
を包含し、SiCをSiの上に該スパッタリングすることは、該ケイ素基板の融点未満の温度で実装される、半導体ダイオード。
【請求項12】
前記スパッタリングステップは、反応性スパッタリングまたは非反応性スパッタリングのうちの1つである、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項13】
前記SiC層は、前記ケイ素基板と直接接触している、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項14】
前記ケイ素基板の融点未満の温度は、約800℃〜約900℃の範囲内にある、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項15】
前記6H結晶構造は、約0.3μm〜約0.5μmの範囲内にある厚さを有する、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項16】
前記SiC層の上に堆積された材料をさらに含む、請求項11に記載の半導体ダイオード。
【請求項17】
基板上に6H−SiC単結晶を形成する方法であって、該方法は、
エッチングされた表面を有する基板を提供することと、
実質的に減圧状態にあるスパッタリングチャンバーを提供することと、
該基板を該チャンバーに導入することと、
該チャンバーを該基板の溶融温度未満の温度に加熱することと、
該チャンバーを加圧することと、
該堆積チャンバー内で低エネルギープラズマを用いることによって、SiCフィルムを直接、エッチングされたケイ素にスパッタリングすることと
を包含し、該フィルムは、実質的に純粋な6H SiC単結晶フィルムである、方法。
【請求項18】
前記基板は、ケイ素基板である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記スパッタリングチャンバーは、DC堆積またはRF堆積のうちの1つに対して構成されている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記基板をケイ素の融点未満の温度に加熱するステップは、該基板を約800℃〜約900℃に加熱することを包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記SiCフィルムを堆積させるステップは、前記堆積チャンバーを第一の減圧圧力まで減圧することと、前記基板をケイ素の融点未満の堆積温度に加熱することと、該堆積温度に達した際にプラズマ堆積プロセスを開始することと、堆積の完了後に該堆積チャンバーを冷却することとをさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記チャンバーを加圧するステップは、該チャンバーをアルゴンまたはアルゴン/メタン混合物のうちの1つで約5mtorr〜約8mtorrの圧力に加圧することをさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法に従って調整された半導体構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−520742(P2011−520742A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548843(P2010−548843)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/035141
【国際公開番号】WO2009/111245
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(510028280)ノースロップ グルムマン システムズ コーポレイション (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/035141
【国際公開番号】WO2009/111245
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(510028280)ノースロップ グルムマン システムズ コーポレイション (12)
【Fターム(参考)】
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