説明

Cu系配線材料前駆体、Cu系配線材料およびこれらの形成方法

【課題】Cu-Ti系スパッタ膜を従来よりも低い温度で熱処理しても、配線表面にTi系自己拡散バリア膜を形成できるようにする。
【解決手段】極薄のTi系膜を第一の膜2として基材1上に形成した後、Ti系材料のTi系材料とCu系材料との傾斜構造を持つ複合膜を第二の膜3として形成し、その上にCu系電極となる第三の膜4を形成することにより、3層構造の前駆体を形成する。この前駆体を450℃以下で熱処理することで、Ti系バリア膜を有するCu系電極を形成することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、FPD(たとえば液晶パネル(LCD))に使用される長尺配線や、LSIの狭小範囲で用いられる低抵抗の配線として用いられる銅合金に関するものであり、Cu合金配線、及びCu合金配線を形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、FPD(フラットパネルディスプレイ)や半導体素子の配線材料にはAlやAl合金が使われていたが、配線の長尺化や微細化が進むにつれ、信号応答の遅れがないように、または配線の断面積の微細化で配線抵抗が増えないように、低抵抗であるCuやCu合金が配線材料として用いられるようになってきた。
Cuは、低抵抗ではあるが、非常に活性な金属であるためSiやSiO2に拡散しやすく、Cu汚染の問題を引き起こすことがある。また、Cuには、基材との密着性が低い、エレクトロマイグレーションを起こす、といった問題もあるため、Cuと基材との間に、TiNやTaNといったバリア膜を形成した後、CuやCu合金の配線膜を形成する方法が一般的になっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
最近は、バリア膜の厚みの分だけ電極部分が減少するため、LSIの狭幅化に伴い、バリア層が電極の抵抗値に影響するようになってきた。そのため、バリア層を極薄化する研究がなされ、Cu膜の成膜後の別工程での熱処理工程の際に表面に拡散してバリア膜となる合金成分をCuに添加しておいて、予めバリア膜を形成しなくても良いといった研究もなされている(以下では、必要に応じて、このようにして形成されるバリア膜を自己拡散バリア膜と称する)。例えば、特許文献2には、Cu-Mn合金系の記載があり、熱処理により隣接物質との界面にMn酸化物やCuMn複合酸化物の自己拡散バリア膜が形成される旨の記載がある。また、特許文献3には、Cu-Ge合金系の記載があり、やはり合金膜表面にGe酸化物ができて自己拡散バリア膜として働く旨の記載がある。
しかし、これらの材料系での自己拡散バリア膜については、バリア機能の信頼性の点でまだ実用化に至っていない。そこで、多くの企業はTi系バリア膜を予め形成させた後にCu膜を形成する方法を今も採用し続けている。
【0004】
Ti系の自己拡散バリア膜については、Cu-Ti合金により成膜を行なった後に熱処理を施す検討も行なわれている。非特許文献1においては、Cu-Ti合金によるスパッタ膜を400℃で熱処理すると、Tiが表面まで拡散することを見出し、この技術により自己拡散バリア膜を実現できる可能性を示唆しているが、このTi系の膜は完全なバリア膜とはなり得ていなかった。Tiを拡散させてバリア膜とするためには800℃という高い温度が必要なため(例えば特許文献4を参照)、LCD向けでは基板上に形成するゲート電極には適用できるものの、半導体素子形成後に用いるソース/ドレイン電極には適用が困難であるし、LSI向けでは適用できないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−156341号公報
【特許文献2】国際公開第2006/025347号パンフレット
【特許文献3】特開2005−191363号公報
【特許文献4】特開平3−196619号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Journal of Electronic Materials, Vol34,No.5,2005,p592-599
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
もし、LCDの製造工程やLSIの製造工程等で行なわれる熱処理温度程度でTi系の自己拡散バリア膜を形成することができれば、信頼性のあるTi系バリア膜を極薄にしてCu系配線と基材との間に形成させることが可能となるため、LSIの配線狭小化にも十分対応することができる。
そこで、本発明は、Cu-Ti系スパッタ膜を従来よりも低い温度で熱処理しても、配線表面にTi系自己拡散バリア膜を形成させることができるCu系配線材料前駆体、Cu系配線材料およびこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者らは以下の手段を創成した。
(1)第1の膜と、第2の膜と、第3の膜とからなるCu系配線材料前駆体であって、前記第1の膜は、基材上に形成されたTi若しくはTi化合物のみからなる膜であり、前記第2の膜は、前記第1の膜上に形成されたTi若しくはTi化合物とCu若しくはCu合金との複合膜であって、前記第1の膜と接する界面と膜表面との間でTi若しくはTi化合物とCu若しくはCu合金との組成比率が膜厚方向に徐々に変化し、前記第1の膜と接する界面〜前記膜表面間で、Ti若しくはTi化合物の組成比率が1から0に漸減し、Cu若しくはCu合金の組成比率が0から1に漸増する膜であり、前記第3の膜は、前記第2の膜上に形成されたCu若しくはCu合金のみからなる膜である、ことを特徴とするCu系配線材料前駆体。
(2)第1の膜と、第2の膜と、第3の膜とからなるCu系配線材料前駆体であって、前記第1の膜は、基材上に形成されたTi若しくはTi化合物のみからなる膜であり、前記第2の膜は、前記第1の膜上に積層された膜であって、nを正の整数として、2n層の膜からなり、kを1からnまでの整数として、前記第1の膜側から2k−1番目の層はTi若しくはTi化合物からなる層であり、その層厚は、kが1のとき最大で、kがnに近づくほど0に収斂し、前記第1の膜側から2k番目の層はCu若しくはCu合金からなる層であり、その層厚は、kがnのとき最大で、kが1に近づくほど0に収斂し、前記第3の膜は、前記第2の膜上に形成されたCu若しくはCu合金のみからなる膜である、ことを特徴とするCu系配線材料前駆体。
(3)前記第1の膜の厚みは1nm〜10nmであることを特徴とする(1)または(2)に記載のCu系配線材料前駆体。
(4)前記第2の膜の厚みは10nm〜50nmであることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載のCu系配線材料前駆体。
(5)基材上に形成された第1の膜と、前記第1の膜上に形成された第2の膜と、前記第2の膜上に形成された第3の膜とからなるCu配線材料であって、前記第1の膜はTi系バリア膜であって、Ti若しくはTi化合物のみからなる膜であり、前記第2の膜はTi系とCu系との複合膜であって、前記第1の膜と接する界面と膜表面との間でTi若しくはTi化合物とCu若しくはCu合金との組成比率が膜厚方向に徐々に変化し、前記第1の膜と接する界面〜前記膜表面間で、Ti若しくはTi化合物の組成比率が1から0に漸減し、Cu若しくはCu合金の組成比率が0から1に漸増する膜であり、前記第3の膜はCu系の膜であって、Cu若しくはCu合金のみからなる膜である、ことを特徴とするCu系配線材料。
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のCu系配線材料前駆体を熱処理することにより形成される、基材とCu系の膜との間に、Ti系バリア膜と、Ti系とCu系との複合膜とを有することを特徴とするCu系配線材料。
(7)複数個のターゲットを個別に制御して同時にスパッタすることが可能なPVD装置を用いて、Cu若しくはCu合金ターゲットとTi若しくはTi化合物ターゲットとを用いて成膜する方法による、第1の膜と、第2の膜と、第3の膜とからなるCu系配線材料前駆体の形成方法であって、Ti若しくはTi化合物ターゲットを使用して、前記第1の膜として、基材上にTi若しくはTi化合物のみを積層する工程と、Cu若しくはCu合金ターゲットとTi若しくはTi化合物ターゲットとを使用して、前記第2の膜を、前記第1の膜上に積層する工程と、Cu若しくはCu合金ターゲットを使用して、前記第3の膜として、前記第2の膜上にCu若しくはCu合金のみを積層する工程と、と有し、前記第2の膜を積層する工程において、Ti若しくはTi化合物ターゲットとCu若しくはCu合金ターゲットとを同時に点弧するようにして、Ti若しくはTi化合物ターゲットに印加するスパッタ電力を、前記第1の膜を形成する際の電力値から徐々に0まで低減し、Cu若しくはCu合金ターゲットに印加するスパッタ電力を0から前記第3の膜を形成させる際の電力まで徐々に増加させて、前記第2の膜を形成することを特徴とするCu系配線材料前駆体の形成方法。
(8)複数個のターゲットを個別に制御して同時にスパッタすることが可能なPVD装置を用いて、Cu若しくはCu合金ターゲットとTi若しくはTi化合物ターゲットとを用いて成膜する方法による、第1の膜と、第2の膜と、第3の膜とからなるCu系配線材料前駆体の形成方法であって、Ti若しくはTi化合物ターゲットを使用して、前記第1の膜として、基材上にTi若しくはTi化合物のみを積層する工程と、Cu若しくはCu合金ターゲットとTi若しくはTi化合物ターゲットとを使用して、前記第2の膜を、前記第1の膜上に積層する工程と、Cu若しくはCu合金ターゲットを使用して、前記第3の膜として、前記第2の膜上にCu若しくはCu合金のみを積層する工程と、を有し、前記第2の膜を積層する工程において、nを正の整数として、Ti若しくはTi化合物ターゲットとCu若しくはCu合金ターゲットとを交互に使用して2n層の膜を積層し、kを1からnまでの整数として、前記第1の膜側から2k−1番目のTi若しくはTi化合物からなる層は、Ti若しくはTi化合物ターゲットの点弧間隔を徐々に短縮して、kが1のとき最大で、kがnに近づくほど0に収斂するよう、形成し、前記第1の膜側から2k番目のCu若しくはCu合金からなる層は、Cu若しくはCu合金ターゲットの点弧間隔を徐々に拡大して、kがnのとき最大で、kが1に近づくほど0に収斂するよう、形成することを特徴とするCu系配線材料前駆体の形成方法。
(9)前記第1の膜の厚みは1nm〜10nmであることを特徴とする(7)または(8)に記載のCu系配線材料前駆体の形成方法。
(10)前記第2の膜の厚みは10nm〜50nmであることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1項に記載のCu系配線材料前駆体の形成方法。
(11)前記(7)〜(10)のいずれかに記載のCu系配線材料前駆体の形成方法により形成したCu若しくはCu合金配線材料前駆体を熱処理して、基材とCu系の膜との間にTi系バリア膜を有するCu若しくはCu合金配線材料を形成することを特徴とするCu系配線材料の形成方法。
(12)前記熱処理温度が450℃以下であることを特徴とする(11)に記載のCu系配線材料の形成方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来よりも低い熱処理温度で(例えば、LCDの製造工程やLSIの製造工程内で行なわれる熱処理温度程度で)、極薄でも十分にバリア性に優れたTi系の自己拡散バリア膜をCu系配線と基材との間に形成させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態によるCu系配線材料前駆体の断面を模式的に示した図である。
【図2】実施例1−1によるCu系配線材料前駆体を形成する際の、Tiターゲット、Cuターゲットを覆う個別シャッタの開閉の時間経過を示した図である。
【図3】実施例1−2によるCu系配線材料前駆体を形成する際の、Tiターゲット、Cuターゲットを覆う個別シャッタの開閉の時間経過を示した図である。
【図4】比較例1−1によるCu系配線材料前駆体を形成する際の、Tiターゲット、Cuターゲットを覆う個別シャッタの開閉の時間経過を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態のCu配線材料は、例えば、図1に示すような前駆体、即ち、基材1との界面にTiのみから成るTi膜(第一の膜2)が存在し、そのすぐ上層に、相対的にTiの含有量の多いTiとCuの複合膜、若しくはTi膜とCu膜との積層膜(第二の膜3)が、表面側にいくにつれTiの含有量が減少していくという傾斜組成となるよう存在し、配線材料の表面にはCuのみから成るCu膜(第三の膜4)が形成されるという構造の前駆体を熱処理して得られるものである。
なお、図1では、TiおよびCuとして説明しているが、TiはTi化合物、例えばTiNでも構わないし、CuはCu合金でも構わない。最初に窒素ガス混合雰囲気でTiターゲットからスパッタを行なえばTiNの膜をつけることが可能であるし、酸素ガス混合雰囲気でTiターゲットからスパッタを行なえば、TiO2の膜を付けることが可能である。また、Cuターゲットの代りにCu-Mn等の合金ターゲットを用いれば、Cu-Mn等のCu合金を形成することが可能である。以下、TiやTiN等をTi系、CuやCu-Mn等をCu系と称する。
【0012】
前駆体を形成するのに、第一の膜2として、先ず基材1の表面にTi若しくはTi化合物を成膜する。これは、バリア膜となると同時に、Cu若しくはCu合金膜と基材1との密着性の悪さを補う下地層としての効果もある。バリア膜として用いるのに、単独でTi若しくはTi化合物の膜を形成する場合には、数十nm〜百nm程度の厚みのTi若しくはTi化合物をスパッタやCVD等の方法で形成するのが一般的である。しかし、本実施形態の前駆体の場合には、第二の膜3での傾斜組成部からもTi若しくはTi化合物の供給があるため、Ti若しくはTi化合物の膜はもっと薄くすることが可能で、例えば1nm〜10nmで良い。
Ti若しくはTi化合物の膜としては、不活性雰囲気中若しくは真空中で成膜して得られるTi膜、窒素混合雰囲気中で成膜して得られるTiN膜、酸素混合雰囲気中で成膜して得られるTiO2膜、TMS等の炭素源を含む雰囲気中で成膜して得られるTiC膜、等が挙げられる。いずれも、Cu若しくはCu合金が拡散するのを防ぐバリア膜として機能するものであり、さらにCu若しくはCu合金膜と基材との密着性を向上させる効果もある。
【0013】
前駆体の第二の膜3は、Ti若しくはTi化合物と、Cu若しくはCu合金との複合膜であり、Ti若しくはTi化合物の膜より成る第一の膜に近い方から遠い方に向けてTi若しくはTi化合物の含有量がだんだん減少していく傾斜組成を有する。
傾斜組成を形成するには、少なくとも2つのターゲットを有する多元物理的気相成長(PVD)装置を用い、1つのターゲットにTi若しくはTi化合物を、もう1つのターゲットにCu若しくはCu合金を配し、各ターゲットの使用量を制御することで傾斜組成を形成することができる。最初はTi若しくはTi化合物のターゲットの使用量を多くし、徐々にCu若しくはCu合金ターゲットの使用量を多くしていけば良い。ターゲットの使用量は、ターゲットへの印加電力や印加時間を制御することで変化させることができる。傾斜組成を形成する方法として、2通りの方法がある。
【0014】
第1の方法は、Ti若しくはTi化合物ターゲットと、Cu若しくはCu合金ターゲットとを同時に点弧するようにして、Ti若しくはTi化合物ターゲットに印加するスパッタ電力をTi系の膜を形成する際の電力値から徐々に0まで低減し、Cu若しくはCu合金ターゲットに印加するスパッタ電力を0からCu系の膜を形成させる際の電力まで徐々に増加させて、形成する方法である。
第2の方法は、nを正の整数として、Ti若しくはTi化合物ターゲットと、Cu若しくはCu合金ターゲットとをこの順番で交互に使用して2n層の膜を積層する。このとき、kを1からnまでの整数として、第2k−1層(第一の層2側から2k−1番目)のTi若しくはTi化合物からなる層については、Ti若しくはTi化合物ターゲットの点弧間隔を徐々に短縮して、kが1のときの点弧間隔が最大で、kがnに近づくほど点弧間隔が0に収斂するように形成し、第2k層(第一の層2側から2k番目)のCu若しくはCu合金からなる層については、Cu若しくはCu合金ターゲットの点弧間隔を徐々に拡大して、kがnのときの点弧間隔が最大で、kが1に近づくほど点弧間隔が0に収斂するように形成する方法である。
【0015】
また、第二の膜3の成膜中の雰囲気は、不活性ガス雰囲気若しくは真空中が好ましい。これは、酸素混合雰囲気やTMS等の炭素源を含む雰囲気中では、Cu若しくはCu合金も反応してしまう可能性があり、熱処理によってTi若しくはTi化合物とCu成分とを濃化させる際に、Cu成分の濃化を妨げるためである。特に、Ar雰囲気中での成膜がCu若しくはCu合金と反応することがなく経済的でもあることから好ましい。
なお、第二の膜3の厚みは、10nm〜50nm程度が好ましい。第二の膜3の厚みが10nmより薄いと、Ti若しくはTi化合物の供給が不十分となり、バリア膜としての特性を劣化させ、第二の膜3の厚みが50nmより厚いと、Ti若しくはTi化合物は十分に供給されるものの、Ti若しくはTi化合物を十分に濃化させるために熱処理に時間を要してしまうからである。また、Ti若しくはTi化合物の厚みは10nm〜30nmがさらに好ましい。Ti若しくはTi化合物の厚みが30nmより厚いと、中間層として十分な特性は得られるものの、成膜時間が長くなり、ターゲットの消耗も進むことから、経済的に不利になるためである。
【0016】
第二の膜3は、この厚みの中でTi若しくはTi化合物の比率が、第一の膜2側から第三の膜4側に向けて減少していくように調整すれば良いが、少なくとも第一の膜2側からの厚みの5割までの間に、第二の膜3中の全Ti若しくはTi化合物の5割以上のTi若しくはTi化合物が含有されていれば、十分なTi若しくはTi化合物が第一の膜2に拡散することが分かった。即ち、第一の膜2側において、第二の膜3の厚みの半分のところまで単純にTi若しくはTi化合物が減少、若しくは、第一の膜2側において、第二の膜3の厚みの半分のところまで当該単純に減少する場合よりもTi若しくはTi化合物が多く含むようにTi若しくはTi化合物の比率を減少させてやれば良い。
ただし必ずしもこのようにする必要はなく、第二の膜3は、Ti若しくはTi化合物の比率が、第一の膜2側から第三の膜4側に向けて減少していくようにしていれば良い。例えば、第一の膜2と接する界面から膜表面に向けて、Ti若しくはTi化合物の組成比率が1(100%)から0に漸減し、Cu若しくはCu合金の組成比率が0から1(100%)に漸増するように第二の膜3を形成することができる。
【0017】
前駆体の第三の膜4は、Cu若しくはCu合金の単層膜であり、本来の電極としての役割を担う層である。この第三の膜4は、第二の膜3を形成し、Ti若しくはTi化合物の成膜をやめた後、そのままCu若しくはCu合金の単層膜を必要な厚みまで成膜すれば良い。なお、第三の膜4の厚みは、必要とされる電極の厚みであり、例えば、200nm〜500nmである場合が多い。無論、設計上厚い電極が必要であれば、数μmの厚みの膜を成膜すれば良いし、100nm程度の微細間隔で使用する場合には、第三の膜4の厚みをその厚みにすれば良い。
以上の三つの膜を順次積層して前駆体が形成されるのである。
このようにして得られた前駆体に対して熱処理を施すことにより、Ti若しくはTi化合物が基材1(基板)との界面側に濃化すると共に、電極内部はCu若しくはCu合金のみとなり、配線の低抵抗化を実現することができるのである。
前駆体は、好ましくは、真空若しくは不活性雰囲気で熱処理する必要がある。これは、Cu若しくはCu合金が酸化等の反応を起こさずに、Cu若しくはCu成分を内部に濃化させるためである。
【0018】
熱処理温度は、前駆体の厚みによるが、450℃以下が好ましい。従来のCu-Ti合金を用いた自己拡散法であれば、Ti若しくはTi化合物を基材との界面まで十分に拡散させるためには、650℃の熱処理が必要であったが、本実施形態では、Ti若しくはTi化合物の拡散域を傾斜組成により限定することで450℃での熱処理でTi若しくはTi化合物を基材1との界面まで十分に拡散させることが可能となったものである。なお、前駆体の第二の膜3の第一の膜2側に近い部分に大部分のTi若しくはTi化合物を用意した場合、熱処理温度をさらに下げることができ、350℃の熱処理でもTi若しくはTi化合物を基材1との界面まで拡散させることが可能であった。熱処理温度が350℃より低いと、Ti若しくはTi化合物の拡散を起こすのに時間が掛かり過ぎてしまう。また、熱処理温度が450℃超であってもTi若しくはTi化合物は拡散できるが、半導体層等にダメージを与えてしまうため、熱処理温度は450℃以下が好ましい。そのため、350℃〜450℃での熱処理がより好適である。
【0019】
また、熱処理時間は、Ti若しくはTi化合物を基材1との界面まで拡散させバリア膜としての機能を確保することができる範囲で適宜調整することができる。また、熱処理のヒートパターンも熱処理時間と同様に適宜調整することができる。例えば、前述した温度範囲(350℃〜450℃)に達するまでの昇温時間によっては、保持時間はなくともTi若しくはTi化合物の拡散が起こるので保持時間は0時間でも構わない(すなわち、例えば前述した温度範囲まで昇温した後直ちに降温しても構わない)。また、前述した温度範囲の温度を保持するヒートパターンで熱処理を行う場合の保持時間は6時間以下が好ましい。それ以上、長時間熱処理を行なっても、拡散量はさほど変わらないので、工程に時間が掛かることで生産性が悪化してしまうからである。さらに、Ti若しくはTi化合物を基材1との界面まで拡散させバリア膜としての機能を可及的に短時間の熱処理で確保するという観点からすると、前述した温度範囲の温度で熱処理を行う場合の保持時間は1時間〜3時間(例えば2時間程度)がより好ましい。
【0020】
このようにして形成されるCu配線材料において、熱処理後の第一の膜2の厚みは1nm〜15nm、熱処理後の第二の膜3の厚みは1nm〜7nmであるのが好ましい。即ち、熱処理後のTiを含む膜の厚みが2nm〜22nmであるのが好ましい。前述したように、前駆体における第一の膜2の厚みは例えば1nm〜10nmで良く、同じく前駆体における第二の膜3の厚みは、10nm〜50nm程度が好ましいので、熱処理後の厚みがこのような範囲にあれば、熱処理によりTiが十分に濃化していると評価できるからである。
以上のようにすることによって、LCDの製造工程やLSIの製造工程内で行なわれる熱処理温度程度で、極薄でも十分にバリア性に優れたTi系の自己拡散バリア膜をCu系配線と基材との間に形成させることが可能となる。
【0021】
なお、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例を説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
2元ターゲット式のDCマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ社製SPF-430)を用いて、それぞれCuターゲットとTiターゲットとを設置した。このスパッタ装置には、各ターゲットの上にスパッタを個別に遮る個別シャッタが設けられており、この個別シャッタの開閉時間により、2つのターゲットを点弧し続けながら点弧間隔を制御することと同じ効果が得られるスパッタ装置である。このスパッタ装置を用いて、無アルカリガラス基板上に、3層の膜よりなる前駆体を形成した。
その後、真空熱処理装置(東京真空社製RI-1500MH)内にて、所定の温度で熱処理を行ない、Cu電極膜を形成した。前駆体、及び熱処理したCu電極の断面を電顕観察及びEDS(エネルギー分散型X線分光法)分析を用いて、前駆体のそれぞれの膜の厚み(Tiのみ存在する層の厚み、TiとCuとが混在する層の厚み、及びCuのみが存在する層の厚み)を求め、さらに電顕のEDS分析を用いて熱処理後のTiの存在する層の厚みを求めた。
【0023】
(実施例1−1)
無アルカリガラスを2元ターゲット式のDCマグネトロンスパッタ装置中に設置し、窒素雰囲気0.13PaでTiターゲットのみを用いて、300Wの印加電力で30秒間成膜し、前駆体の第一の膜2として、厚みが10nmのTi-N(TiNとTi2Nの混在膜)を形成した。
次に、Ar雰囲気0.13PaでTiターゲット、Cuターゲットとも300Wの印加電力で点弧させ、TiターゲットのシャッタとCuターゲットのシャッタの開閉時間を図2に示すようにして2分間成膜し、Ti/Cuの傾斜組成を有する前駆体の第二の膜3を形成し、その後、Tiターゲットの点弧を止めてCuターゲットを引き続き点弧させ、300Wの印加電力で15分間成膜し、前駆体の第三の膜4を形成した。
第一の膜2の厚みは10nm、第二の膜3の厚みは20nm、第三の膜4の厚みは200nmであった。なお、第二の膜3中のTiは約7割が第一の膜2寄りに濃化していた。
この前駆体付きのガラス基板を基材1とし、真空熱処理装置(真空炉)で450℃2時間の熱処理を行ない、Tiがガラス基板とCu膜との界面に濃化したCu電極膜を得ることができた。
Tiを含む層の厚みは18nmとなり、熱処理前は30nm(=第一の膜2の膜厚10nm+第二の膜3の膜厚20nm)であったので、第二の膜3から第一の膜2に向けてTiが拡散して濃化したことを示している。また、Cu電極膜において、前駆体のときの第二の膜3の第三の膜4寄りの部分にはTiが存在せず、Cuのみの膜となっており、この部分は第三の膜4に吸収されていることが分かった。なお、Ti若しくはTi化合物のみの層の厚みは検出誤差範囲内で14nmであった。
【0024】
(実施例1−2)
実施例1−1に対し、第二の膜3の成膜中のシャッタの開閉時間のみを図3に示すように変えて、前駆体を形成した。第一の膜2の厚みは10nm、第二の膜3の厚みは18nm、第三の膜4の厚みは200nmであり、第二の膜3中ではTiの約8割が第一の膜2寄りに濃化していた。
実施例1−1と同様に、真空熱処理装置(真空炉)で熱処理を施した。Tiを含む層の厚みは13nmとなった。熱処理前のTiを含む層の厚みは28nm(=第一の膜厚10nm+第二の膜厚18nm)であったので、第二の膜3のTiの濃化している領域が第一の膜2寄りにかなり近づいていたことを示唆している。また、Cu電極膜において、前駆体のときの第二の膜3の第三の膜4寄りの部分にはTiが存在せず、Cuのみの膜となっており、この部分は第三の膜4に吸収されていることが分かった。なお、Ti若しくはTi化合物のみの層の厚みは検出誤差範囲内で12nmであった。
【0025】
(比較例1−1)
実施例1−1に対し、第二の膜3の成膜中のシャッタの開閉時間のみを図4に示すように変えて、前駆体を形成した。第一の膜2の厚みは10nm、第二の膜3は20nm、第三の膜4は200nmであり、第二の膜3中ではTiの5割以上は第三の膜4寄りに濃化していた。
実施例1−1と同様に、真空熱処理装置(真空炉)で熱処理を施した。Tiを含む層の厚みは25nmであった。即ち、熱処理前のTiを含む層の厚みは30nm(=第一の膜2の膜厚10nm+第二の膜3の膜厚20nm)であったので、Tiを含む層の厚みは、前駆体の第一の膜2と第二の膜3との合計厚みと余り変わらず、Tiの濃化が不十分であることが示唆される。また、Cuが第一の膜2の近くまで入り込んでいたため、Cuのバリア膜としての働きが不十分となり、この膜は不適であった。
【0026】
(実施例1−3)
実施例1−1と同様に前駆体を形成し、熱処理条件を350℃2時間とした。
Tiを含む層の厚みは20nmとなった。熱処理前のTiを含む層の厚みは30nm(=第一の膜2の膜厚10nm+第二の膜3の膜厚20nm)であったので、第二の膜3から第一の膜2に向けてTiが拡散して濃化したことを示唆している。また、Cu電極膜において、前駆体のときの第二の膜3の第三の膜4寄りの部分にはTiが存在せず、Cuのみ膜となっており、この部分は第三の膜4に吸収されていることが分かった。なお、Ti若しくはTi化合物のみの層の厚みは検出誤差範囲内で13nmであった。
【0027】
(比較例1−2)
実施例1−1と同様に前駆体を形成し、熱処理条件を330℃2時間とした。
Tiを含む層の厚みは25nmであった。即ち、Tiを含む層の厚みは、前駆体の第一の膜2と第二の膜3との合計厚みと変わらず、Tiの濃化が不十分であることが示唆された。Cuが第一の膜の近くまで入り込んでいたため、Cuのバリア膜としての働きが不十分となり、この膜は不適であった。
【0028】
(実施例2)
2元ターゲット式のDCマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ社製SPF-430)を用いて、それぞれCuターゲットとTiターゲットとを設置した。このスパッタ装置は、2つのターゲットに掛かる印加電力を個別に制御することが可能で、同時に点弧した場合には印加電力に応じて膜中の成分比を制御することが可能なスパッタ装置である。
このスパッタ装置を用いて前駆体を形成した。先ず、基材1として無アルカリガラスを2元ターゲット式のDCマグネトロンスパッタ装置中に設置し、窒素雰囲気0.13PaでTiターゲットのみを用いて、300Wの印加電力で1分間成膜し、前駆体の第一の膜2となる20nmのTi-N(TiNとTi2Nの混在膜)を形成した。
次に、Ar雰囲気0.13Paで、Tiターゲットについては300Wの印加電力で点弧させた後、4秒毎に10Wずつ印加電力を低減させ2分後に印加電力を0Wとし、Cuターゲットについては印加電力を0Wとした後、4秒毎に10Wずつ印加電力を増加させるよう点弧させて、Ti/Cuの傾斜組成を有する前駆体の第二の膜3を形成し、2分後には300Wの印加電力でCuターゲットのみを点弧した状態として、さらにその状態で15分間成膜し、前駆体の第三の膜4を形成した。
第一の膜2の厚みは10nm、第二の膜3の厚みは18nm、第三の膜4の厚みは200nmであった。なお、第二の膜3中のTiは約8割が第一の膜2寄りに濃化していた。
この前駆体付きのガラス基板を、真空熱処理装置(真空炉)で450℃2時間の熱処理を行ない、Tiがガラス基板とCu膜との界面に濃化したCu電極膜を得ることができた。
Tiを含む層の厚みは17nmとなり、熱処理前は28nm(=第一の膜2の膜厚10nm+第二の膜3の膜厚18nm)であったので、第二の膜3から第一の膜2に向けてTiが拡散して濃化したことを示している。また、Cu電極膜において、前駆体のときの第二の膜3の第三の膜4寄りの部分はTiが存在せず、Cuのみ膜となっており、この部分は第三の膜4に吸収されていることが分かった。なお、Ti若しくはTi化合物のみの層の厚みは検出誤差範囲内で13nmであった。
【符号の説明】
【0029】
1 基材
2 第一の膜
3 第二の膜
4 第三の膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の膜と、第2の膜と、第3の膜とからなるCu系配線材料前駆体であって、
前記第1の膜は、基材上に形成されたTi若しくはTi化合物のみからなる膜であり、
前記第2の膜は、前記第1の膜上に形成されたTi若しくはTi化合物とCu若しくはCu合金との複合膜であって、前記第1の膜と接する界面と膜表面との間でTi若しくはTi化合物とCu若しくはCu合金との組成比率が膜厚方向に徐々に変化し、前記第1の膜と接する界面〜前記膜表面間で、Ti若しくはTi化合物の組成比率が1から0に漸減し、Cu若しくはCu合金の組成比率が0から1に漸増する膜であり、
前記第3の膜は、前記第2の膜上に形成されたCu若しくはCu合金のみからなる膜である、
ことを特徴とするCu系配線材料前駆体。
【請求項2】
第1の膜と、第2の膜と、第3の膜とからなるCu系配線材料前駆体であって、
前記第1の膜は、基材上に形成されたTi若しくはTi化合物のみからなる膜であり、
前記第2の膜は、前記第1の膜上に積層された膜であって、nを正の整数として、2n層の膜からなり、kを1からnまでの整数として、
前記第1の膜側から2k−1番目の層はTi若しくはTi化合物からなる層であり、その層厚は、kが1のとき最大で、kがnに近づくほど0に収斂し、
前記第1の膜側から2k番目の層はCu若しくはCu合金からなる層であり、その層厚は、kがnのとき最大で、kが1に近づくほど0に収斂し、
前記第3の膜は、前記第2の膜上に形成されたCu若しくはCu合金のみからなる膜である、
ことを特徴とするCu系配線材料前駆体。
【請求項3】
前記第1の膜の厚みは1nm〜10nmであることを特徴とする請求項1または2に記載のCu系配線材料前駆体。
【請求項4】
前記第2の膜の厚みは10nm〜50nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかか1項に記載のCu系配線材料前駆体。
【請求項5】
基材上に形成された第1の膜と、前記第1の膜上に形成された第2の膜と、前記第2の膜上に形成された第3の膜とからなるCu配線材料であって、
前記第1の膜はTi系バリア膜であって、Ti若しくはTi化合物のみからなる膜であり、
前記第2の膜はTi系とCu系との複合膜であって、前記第1の膜と接する界面と膜表面との間でTi若しくはTi化合物とCu若しくはCu合金との組成比率が膜厚方向に徐々に変化し、前記第1の膜と接する界面〜前記膜表面間で、Ti若しくはTi化合物の組成比率が1から0に漸減し、Cu若しくはCu合金の組成比率が0から1に漸増する膜であり、
前記第3の膜はCu系の膜であって、Cu若しくはCu合金のみからなる膜である、
ことを特徴とするCu系配線材料。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のCu系配線材料前駆体を熱処理することにより形成される、基材とCu系の膜との間に、Ti系バリア膜と、Ti系とCu系との複合膜とを有することを特徴とするCu系配線材料。
【請求項7】
複数個のターゲットを個別に制御して同時にスパッタすることが可能なPVD装置を用いて、Cu若しくはCu合金ターゲットとTi若しくはTi化合物ターゲットとを用いて成膜する方法による、第1の膜と、第2の膜と、第3の膜とからなるCu系配線材料前駆体の形成方法であって、
Ti若しくはTi化合物ターゲットを使用して、前記第1の膜として、基材上にTi若しくはTi化合物のみを積層する工程と、
Cu若しくはCu合金ターゲットとTi若しくはTi化合物ターゲットとを使用して、前記第2の膜を、前記第1の膜上に積層する工程と、
Cu若しくはCu合金ターゲットを使用して、前記第3の膜として、前記第2の膜上にCu若しくはCu合金のみを積層する工程と、
を有し、
前記第2の膜を積層する工程において、Ti若しくはTi化合物ターゲットとCu若しくはCu合金ターゲットとを同時に点弧するようにして、Ti若しくはTi化合物ターゲットに印加するスパッタ電力を、前記第1の膜を形成する際の電力値から徐々に0まで低減し、Cu若しくはCu合金ターゲットに印加するスパッタ電力を0から前記第3の膜を形成させる際の電力まで徐々に増加させて、前記第2の膜を形成することを特徴とするCu系配線材料前駆体の形成方法。
【請求項8】
複数個のターゲットを個別に制御して同時にスパッタすることが可能なPVD装置を用いて、Cu若しくはCu合金ターゲットとTi若しくはTi化合物ターゲットとを用いて成膜する方法による、第1の膜と、第2の膜と、第3の膜とからなるCu系配線材料前駆体の形成方法であって、
Ti若しくはTi化合物ターゲットを使用して、前記第1の膜として、基材上にTi若しくはTi化合物のみを積層する工程と、
Cu若しくはCu合金ターゲットとTi若しくはTi化合物ターゲットとを使用して、前記第2の膜を、前記第1の膜上に積層する工程と、
Cu若しくはCu合金ターゲットを使用して、前記第3の膜として、前記第2の膜上にCu若しくはCu合金のみを積層する工程と、
を有し、
前記第2の膜を積層する工程において、nを正の整数として、Ti若しくはTi化合物ターゲットとCu若しくはCu合金ターゲットとを交互に使用して2n層の膜を積層し、kを1からnまでの整数として、
前記第1の膜側から2k−1番目のTi若しくはTi化合物からなる層は、Ti若しくはTi化合物ターゲットの点弧間隔を徐々に短縮して、kが1のとき最大で、kがnに近づくほど0に収斂するよう、形成し、
前記第1の膜側から2k番目のCu若しくはCu合金からなる層は、Cu若しくはCu合金ターゲットの点弧間隔を徐々に拡大して、kがnのとき最大で、kが1に近づくほど0に収斂するよう、形成することを特徴とするCu系配線材料前駆体の形成方法。
【請求項9】
前記第1の膜の厚みは1nm〜10nmであることを特徴とする請求項7または8に記載のCu系配線材料前駆体の形成方法。
【請求項10】
前記第2の膜の厚みは10nm〜50nmであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のCu系配線材料前駆体の形成方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項に記載のCu系配線材料前駆体の形成方法により形成したCu若しくはCu合金配線材料前駆体を熱処理して、基材とCu系の膜との間にTi系バリア膜を有するCu若しくはCu合金配線材料を形成することを特徴とするCu系配線材料の形成方法。
【請求項12】
前記熱処理温度が450℃以下であることを特徴とする請求項11に記載のCu系配線材料の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−60850(P2011−60850A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206221(P2009−206221)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】