説明

GaN結晶自立基板およびその製造方法

【課題】全表面でイエロー発光が少なく、導電性を有するGaN結晶自立基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本GaN結晶自立基板は、HVPE法により、結晶側面を除く結晶成長面として、(0001)面と{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面とが混在する状態で成長させたものであり、(0001)面成長結晶領域において炭素濃度が5×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面を結晶成長面として成長したファセット結晶領域において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつSi濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上5×1018個/cm3以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色純度の高い発光デバイスの作製に好適なGaN結晶自立基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光デバイスに用いられる基板は、発光デバイスの種類によって求められる特性が異なる。たとえば、特開2000−049374号公報(特許文献1)は、基板からのピーク波長が550nmまたはその近傍にあるブロードな発光(以後イエロー発光と呼ぶ)を積極的に利用して白色光を得るため、イエロー発光の強い基板の利用を開示する。また、単色発光の発光デバイスではイエロー発光が存在すると色純度が低下するため、これを防止するため特開平11−1396号公報(特許文献2)に高純度化したGaN基板を開示する。また、特開2007−126320号公報(特許文献3)に基板による光吸収が小さくかつ導電性を兼ね備えたGaN基板を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−049374号公報
【特許文献2】特開平11−1396号公報
【特許文献3】特開2007−126320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基板の純度を高くするとその導電性が損なわれるため、発光デバイス用の基板としては好ましくない。導電性を担う不純物を適量添加すれば、基板による光吸収が小さく、イエロー発光が少なくかつ導電性を兼ね備えたGaN基板が得られるが、HVPE(ハイドライド気相成長)法によるGaN結晶成長では、主たる結晶成長面として(0001)面で成長を開始したとしても、成長の進行に伴い結晶成長面に(0001)面、{10−11}面、{11−22}面が混在するようになり、結晶成長面の全面において、イエロー発光が少なくかつ導電性を兼ね備えることはできなかった。
【0005】
したがって、上記観点から、本発明は、HVPE法により、結晶成長面として(0001)面、{10−11}面、{11−22}面が混在する状態で成長させたGaN結晶を加工して形成されたGaN結晶自立基板であって、全表面でイエロー発光が少なく、導電性を有するGaN結晶自立基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、HVPE法により、結晶側面を除く結晶成長面として、(0001)面と{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面とが混在する状態で成長させたGaN結晶を加工して形成されたGaN結晶自立基板であって、GaN結晶自立基板は、(0001)面を結晶成長面として成長した第1結晶領域において炭素濃度が5×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面を結晶成長面として成長した第2結晶領域において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上5×1018個/cm3以下であるGaN結晶自立基板である。
【0007】
本発明にかかるGaN結晶自立基板において、第1結晶領域において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上1×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下とし、第2結晶領域において炭素濃度が2×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下とすることができる。
【0008】
また、本発明は、HVPE法により、結晶側面を除く結晶成長面として、(0001)面と{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面とが混在する状態でGaN結晶を成長させる工程と、GaN結晶を加工してGaN結晶自立基板を形成する工程と、を備え、GaN結晶自立基板は、(0001)面を結晶成長面として成長した第1結晶領域において炭素濃度が5×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面を結晶成長面として成長した第2結晶領域において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上5×1018個/cm3以下であるGaN結晶自立基板の製造方法である。
【0009】
本発明にかかるGaN結晶自立基板の製造方法において、GaN結晶自立基板は、第1結晶領域において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上1×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下とし、第2結晶領域において炭素濃度が2×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、色純度が高い発光デバイス作製に好適な、全面でイエロー発光が少なく、導電性を有するGaN結晶自立基板およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
本発明の一実施形態であるGaN結晶自立基板は、HVPE法により、結晶側面を除く結晶成長面として、(0001)面と{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面(ファセットともいう、以下同じ。)とが混在する状態で成長させたGaN結晶を加工して形成されたGaN結晶自立基板である。ここで、GaN結晶自立基板は、(0001)面を結晶成長面として成長した第1結晶領域((0001)面成長結晶領域ともいう、以下同じ。)において炭素濃度が5×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面を結晶成長面として成長した第2結晶領域(ファセット成長結晶領域ともいう、以下同じ。)において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上5×1018個/cm3以下である。
【0012】
本実施形態のGaN結晶自立基板は、(0001)面成長結晶領域(第1結晶領域)およびファセット成長結晶領域(第2結晶領域)のそれぞれの炭素濃度、珪素濃度および酸素濃度が所定の範囲内にあるため、イエロー発光が少なく、導電性を有する。
【0013】
上記観点から、本実施形態のGaN結晶自立基板は、(0001)面成長結晶領域(第1結晶領)において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上1×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、ファセット成長結晶領域(第2結晶領域)において炭素濃度が2×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下であることが好ましい。
【0014】
ここで、GaN結晶自立基板の(0001)面成長結晶領域(第1結晶領域)およびファセット成長結晶領域(第2結晶領域)は、蛍光顕微鏡により観察される。また、GaN結晶自立基板の炭素濃度、珪素濃度および酸素濃度は、いずれもSIMS(2次イオン質量分析法)により測定される。また、GaN結晶自立基板の結晶面(たとえば、(0001)面、{10−11}面および{11−22}面など)は、X線回折により測定される。
【0015】
なお、本実施形態のGaN結晶自立基板において、HVPE法により、結晶側面を除く結晶成長面として(0001)面と{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面(ファセット)とが混在する状態でGaN結晶を成長させる方法、および、かかるGaN結晶を加工してGaN結晶自立基板を形成する方法については、実施形態2のGaN結晶自立基板の製造方法において後述する。
【0016】
また、本実施形態のGaN結晶自立基板は、その主表面を貫通する転位の平均密度(平均転位密度という、以下同じ。)が3×106cm-2以下であることが好ましい。かかる平均転位密度が低いほど信頼性が高い発光デバイスが得られる。かかる観点から、平均転位密度は1×106cm-2以下であることがより好ましい。また、現在のGaN結晶自立基板の製造技術の観点から、平均転位密度は、現在のところ、1×104cm-2より小さくすることは困難であり、したがって1×104cm-2程度以上である。ここで、GaN結晶自立基板の平均転位密度は、CL(カソードルミネッセンス)法により測定される。
【0017】
また、本実施形態のGaN結晶自立基板は、その主表面が平坦であって、その主表面に最も近い結晶面の曲率半径が10m以上であることが好ましい。かかる結晶面の曲率半径が大きいほど、基板の表面内で発光波長が均一な発光デバイスが得られる。かかる観点から、主表面に最も近い結晶面の曲率半径は20m以上がより好ましい。また、現在のGaN結晶自立基板の製造技術の観点から、現在のところ、その主表面に最も近い結晶面の曲率半径は、100mより大きくすることは困難であり、したがって100m程度以下である。ここで、結晶面の曲率半径は、対象とされる結晶面に関するX線回折により測定される。
【0018】
また、本実施形態のGaN結晶自立基板は、全表面において高い導電性を有することが好ましい。具体的には、基板の全表面において0.05Ωcm以下の比抵抗であることが好ましく、0.02Ωcm以下の比抵抗であることがより好ましい。ここで、基板の比抵抗はホール測定で測定される。
【0019】
また、本実施形態のGaN結晶自立基板の主表面に最も近い結晶面は、特に制限はないが、その主表面上に結晶性の高い半導体層をエピタキシャル成長させる観点から、(0001)面、{10−10}面、{11−20}面、{10−11}面、{11−22}面、{20−21}面、{22−44}面などが好ましい。また、GaN結晶自立基板の主表面上に結晶性の高い半導体層をエピタキシャル成長させる観点から、GaN結晶自立基板の主表面は、上記結晶面に対するオフ角の絶対値が5°以下であることが好ましい。ここで、GaN基板に最も近い結晶面の面方位およびその主表面とその結晶面とのオフ角は、X線回折により測定される。
【0020】
また、本実施形態のGaN結晶自立基板は、ピーク波長が400nmの光により励起されるイエロー発光(ピーク波長が550nmまたはその近傍にあるブロードな発光)のピーク強度を、基板の全表面において、小さくすることができる。
【0021】
[実施形態2]
本発明の別の実施形態であるGaN結晶自立基板の製造方法は、HVPE法により、結晶側面を除く結晶成長面として、(0001)面と{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面(ファセット)とが混在する状態でGaN結晶を成長させる工程と、GaN結晶を加工してGaN結晶自立基板を形成する工程と、を備える。ここで、GaN結晶自立基板は、(0001)面を結晶成長面として成長した第1結晶領域((0001)面成長結晶領域)において炭素濃度が5×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面(ファセット)を結晶成長面として成長した第2結晶領域(ファセット成長結晶領域)において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上5×1018個/cm3以下である。
【0022】
本実施形態のGaN結晶自立基板の製造方法により、(0001)面成長結晶領域(第1結晶領域)およびファセット成長結晶領域(第2結晶領域)のそれぞれの炭素濃度、珪素濃度および酸素濃度が所定の範囲内にある実施形態1のGaN結晶自立基板が効率的に得られる。本実施形態の製造方法により得られるGaN結晶自立基板(実施形態1のGaN結晶自立基板)は、(0001)面成長結晶領域(第1結晶領域)およびファセット成長結晶領域(第2結晶領域)のそれぞれの炭素濃度、珪素濃度および酸素濃度が所定の範囲内にあるため、イエロー発光が少なく、導電性を有する。
【0023】
〔GaN結晶を成長させる工程〕
本実施形態のGaN結晶自立基板の製造方法におけるGaN結晶を成長させる工程は、特に制限はないが、下地基板を用いる方法として、下地基板を準備するサブ工程と、下地基板上にGaN結晶を成長させるサブ工程とを含むことができる。
【0024】
(下地基板を準備するサブ工程)
下地基板を準備する工程において準備される下地基板は、GaN結晶をエピタキシャル成長させることができる基板であれば特に制限はないが、GaN結晶との格子整合性が高い観点から、GaN下地基板およびAlN下地基板などのIII族窒化物下地基板、サファイア(Al23)下地基板、GaAs下地基板ならびになどが好ましく用いられ、中でもGaN下地基板が特に好ましく用いられる。GaN下地基板を使用することによって、下地基板からの不純物の混入を抑制することができるので好ましい。
【0025】
上記の観点からは下地基板の表面の清浄度が重要である。特に基板の裏側表面は結晶成長前に成長炉内でエッチングすることができないので、成長炉内に投入する前に清浄度を上げる必要がある。そのため基板の裏側表面をエッチングしてから成長炉内に投入することが好ましい。エッチング゛方法としては、アルカリ溶剤などによるウェットエッチング゛、ハロゲン系ガスなどによるドライエッチングなどが挙げられる。
【0026】
下地基板の主表面の面方位としては(0001)面のGaNが成長する面方位を選択すると結晶性の優れたGaN結晶を成長できるので好ましい。
【0027】
〔下地基板上にGaN結晶を成長させるサブ工程〕
下地基板上にGaN結晶をさせるサブ工程におけるGaN結晶の成長方法は、特に制限はないが、結晶性の高いGaN結晶を高速で成長させる観点から、HVPE法が好ましい。
【0028】
ここで、HVPE法では、通常、石英反応管内で結晶成長が行われるので、石英反応管内の結晶を加熱するため、結晶と共に石英反応管も加熱される。そのため高温に加熱された石英反応管からの分解ガスが不純物として結晶に取り込まれてしまう。そこで石英反応管の内部を成長温度下で安定な材質(たとえば、pBN(熱分解窒化硼素)、SiCコートカーボン(炭化珪素で被覆された炭素)など)で構成されたライナー管でカバーすることが好ましい。また、下地基板上に原料ガスを供給するため反応官中に配置するするガス導入管も石英で形成すればよいが、下地基板近傍で高温に加熱されるので、成長温度下で安定な材質(たとえば、pBN、SiCコートカーボンなど)で形成される筒先を高温にさらされるガス導入管の先端部に設置することが好ましい。また、反応管中に加工し易いカーボン製の部材を配置することがあるが、これはカーボン汚染源となるので、pBN、SiCなどでコーティングすることが好ましい。さらに、石英反応管とライナー管の隙間をパージするパージガス(たとえば、H2、N2、Arなど)を流し、不純物が滞留しないようにすることが好ましい。また、下地基板を設置するサセプタも高温になるので、サセプタをpBNで形成したり、サセプタの表面をpBN、AlN、Al23、SiC(炭化珪素)などの高純度で安定な材質でコーティングすることが好ましい。上記のようにして、GaN結晶の成長中に、GaN結晶に意図せずに添加(消極的添加)される炭素および酸素の濃度を抑制することができる。
【0029】
GaN結晶をさせるサブ工程において、HVPE法により、結晶側面を除く結晶成長面として、(0001)面と{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面とが混在する状態でGaN結晶を成長させるのに際して、GaN結晶に添加(上記の消極的添加および下記の積極的添加を含む)される不純物、たとえば、炭素、珪素、炭素の濃度を調節して厚いGaN結晶を成長させることにより、イエロー発光が少なく、導電性を有するGaN結晶およびGaN結晶自立基板が得られる。
【0030】
GaN結晶に意図して添加(積極的添加)される不純物は、イエロー発光の発生が少なく比抵抗が低い観点から、珪素が好ましい。GaN結晶に珪素を添加する方法には、特に制限はなく、ドーピングガスとして、珪素を含有するガス、たとえば、SiF4(四フッ化珪素)ガス、SiH4(シラン)ガス、Si26(ジシラン)ガス、SiH3Cl(一塩化シラン)ガス、SiH2Cl2(二塩化シラン)ガス、SiHCl3(三塩化シラン)ガス、SiCl4(四塩化珪素)ガスなどが好ましく用いられる。これらの中でもSiF4ガスが特に好ましく用いられる。SiF4ガスは、珪素を含有する他のガスに比べて、900℃以上1150℃以下の高温においても分解されにくいため、GaN結晶に効率よく添加することができる。
【0031】
たとえば、ドーパント(意図的に添加(積極的添加)される不純物をいう、以下同じ。)として珪素が添加されたGaN結晶をHVPE法により成長させる方法を、以下に説明する。HVPE装置は、第1原料ガスボンベと、ドーピングガスボンベと、第2原料ガスボンベと、第1ガス導入管と、ドーピングガス導入管と、第2ガス導入管と、ソースボートと、サセプタと、ヒータと、反応管と、排気管と、排ガス処置装置とを備えている。HVPE装置は、たとえば横型反応管であっても縦型反応管であってもよい。
【0032】
反応管は、内部に下地基板を保持して、その下地基板上にGaN結晶を成長させるための容器である。反応管は、たとえば石英反応管などを用いることができる。また、反応管の内部には、ライナー管を配置することが好ましい。第1原料ガスボンベ、第2原料ガスボンベおよびソースボートには、成長させるGaN結晶を構成する元素を含む原料がそれぞれ供給される。ドーピングガスボンベには、ドーパントである珪素を含むガスとしてたとえばSiF4ガスが充填されている。第1ガス導入管、ドーピングガス導入管および第2ガス導入管は、第1原料ガス、ドーピングガスおよび第2原料ガスの各々を反応管の外部から内部へ導入するために反応管に設けられている。ソースボートは、GaN結晶の金属原料としてたとえば金属Gaを収容保持し、第2ガス導入管内に配置されている。サセプタは、下地基板を保持している。
【0033】
ヒータは、反応管の外部に配置され、反応管の内部を全体的にたとえば700℃以上1500℃以下に加熱する能力を有している。排気管は、反応後のガスを反応管の外部に排出するために、反応管に設けられている。排ガス処置装置は、排気管から排出される反応後のガスを環境への負荷を減らすように除害するように構成されている。
【0034】
次に、第1原料ガスとしてのNH3(アンモニア)ガスおよび第2原料ガスとしてのHCl(塩化水素)ガスをそれぞれ充填した第1原料ガスボンベおよび第2原料ガスボンベを準備する。また、ソースボートに金属Gaを供給する。また、SiF4ガスを内部に充填したドーピングガスボンベを準備する。
【0035】
その後、ソースボートを加熱する。そして、第2ガス導入管から供給されるHClガス(第2原料ガス)と、ソースボートの金属Gaとを反応させてGaClガス(塩化ガリウム)ガス(反応ガス)を生成する。第1ガス導入管104から供給されるNH3ガス(第1原料ガス)と、ドーピングガスと、反応ガスとを下地基板の表面に当たるように流して(供給して)反応させる。このとき、これらのガスを下地基板に運搬するためのキャリアガスを用いてもよい。キャリアガスは、たとえばN2(窒素)ガス、H2(水素)ガスおよびAr(アルゴン)ガスなどの不活性ガスを用いることができる。
【0036】
HVPE法では、ヒータを用いて、反応管の内部をGaN結晶が適切な速度で成長する温度に加熱する。GaN結晶を成長させる温度は、好ましくは900℃以上1150℃以下であり、より好ましくは1000℃以上1100℃以下である。
【0037】
上記の条件で下地基板上に、1mm以上、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上の厚さのGaN結晶を成長させると、GaN結晶の結晶側面を除く結晶成長面においても、(0001)面と、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面(ファセット)と、が混在する状態で成長して、得られたGaN結晶にも、その結晶側面を除く結晶成長面において、(0001)面と、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面(ファセット)と、が混在する。ここで、GaN結晶の結晶側面を除く結晶成長面を対象とするのは、結晶側面が結晶成長面となる場合があり、かかる場合の結晶側面には通常ファセットが形成されるため、結晶側面におけるファセットを除く趣旨である。かかるGaN結晶には、上記の結晶成長面に上記のファセットにより構成されるピットが多数形成される。かかるピットの表面(すなわち上記ファセット)の面方位は、主として{10−11}と{11−22}である。かかるピットの深さは、結晶成長条件、結晶成長厚さによって変化するが、GaN結晶からできる多数枚のGaN基板を切り出す観点から、結晶成長厚さの1/2以下であることが好ましい。また、ピットを形成するファセット成長結晶領域を主表面に投影して得られる面の面積が、主表面の全面積に対して占める面積百分率は成長条件、成長膜厚によって変化するが、0.1%以上99%以下の範囲である。
【0038】
GaN結晶の成長時における珪素を含むガス(SiF4ガス)の分圧は、2.0×10-7atm以上1.0×10-5atm以下であることが好ましい。珪素を含むガス(SiF4ガス)の分圧が2.0×10-7atm以上の場合、n型ドーパントとしてのSiが十分にGaN結晶に取り込まれる。一方、SiF4ガスの分圧が1.0×10-5atm以下である場合、Sixy(窒化珪素)系化合物の生成をより抑制できるため、珪素をドーピングする制御性をより良好にできる。また、GaN結晶にドーピングされる珪素の濃度を考慮すると、Siを含むガス(SiF4ガス)の分圧は1.0×10-5atm以下である。
【0039】
ここで、GaN結晶の成長において、(0001)面を結晶成長面として成長する(0001)面成長結晶領域(第1結晶成長)には珪素が取り込まれやすく、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面(ファセット)を結晶成長面として成長するファセット成長結晶領域(第2結晶領域)には酸素が取り込まれやすい。
【0040】
このため、上記のように、GaN結晶の成長の際に、(0001)面成長結晶領域(第1結晶成長)とファセット成長結晶領域(第2結晶領域)とを混在させるとともに、成長するGaN結晶に対して、炭素および酸素の添加を抑制し、珪素の添加を調節することにより、(0001)面成長結晶領域(第1結晶成長)において炭素濃度が5×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、ファセット成長結晶領域(第2結晶領域)において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上5×1018個/cm3以下であるGaN結晶を成長させることができる。さらに、好ましくは、(0001)面成長結晶領域(第1結晶領域)において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上1×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、ファセット成長結晶領域(第2結晶領域)において炭素濃度が2×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下であるGaN結晶を成長させることができる。
【0041】
GaN結晶を成長させるサブ工程においては、上記のようにして、(0001)面成長結晶領域(第1結晶領域)およびファセット成長結晶領域(第2結晶領域)のそれぞれに添加される炭素、珪素および酸素の濃度を調節することにより、GaN結晶の全表面において、好ましくは0.05Ωcm以下の比抵抗、より好ましくは0.02Ωcm以下の比抵抗を有するGaN結晶を成長させることができる。
【0042】
GaN結晶を成長させるサブ工程においては、上記のようにして、GaN結晶の主表面を貫通する転位の平均密度(平均転位密度という、以下同じ。)が、好ましくは3×106cm-2以下、より好ましく1×106cm-2以下であるGaN結晶を成長させることができる。また、現在のGaN結晶の製造技術の観点から、平均転位密度は、現在のところ、1×104cm-2より小さくすることは困難であり、したがって1×104cm-2程度以上である。
【0043】
〔GaN結晶自立基板を形成する工程〕
本実施形態のGaN結晶自立基板の製造方法におけるGaN結晶自立基板を形成する工程は、特に制限はないが、下地基板を除去するサブ工程、GaN結晶の外縁部を除去する工程、GaN結晶をスライスするサブ工程およびスライスされたGaN結晶の主表面を表面処理するサブ工程の少なくともいずれかを含むことができる。
【0044】
(下地基板を除去するサブ工程)
下地基板を除去するサブ工程において、下地基板を除去する方法は、特に制限はなく、外周刃、内周刃、ワイヤーソー、レーザなどで切断する方法、ダイヤモンド砥石などで研削する方法などがある。
【0045】
(GaN結晶の外縁部を除去する工程)
GaN結晶の外縁部を除去するサブ工程において、GaN結晶の外縁部を除去する方法は、特に制限はなく、ダイヤモンド砥石などで研削する方法などがある。
【0046】
(GaN結晶をスライスするサブ工程)
GaN結晶をスライスするサブ工程において、GaN結晶をスライスする方法は、特に制限はなく、外周刃、内周刃、ワイヤーソー、レーザなどで切断する方法などがある。かかるGaN結晶をスライスするサブ工程において、生産性の向上の観点から、複数枚のGaN結晶自立基板を形成することが好ましい。GaN結晶自立基板を形成する観点から、GaN結晶のスライス厚さ(すなわち、GaN結晶自立基板の厚さ)は、100μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましい。
【0047】
(スライスされたGaN結晶の主表面を表面処理するサブ工程)
スライスされたGaN結晶(すなわちGaN結晶自立基板)の主表面を表面処理するサブ工程において、GaN結晶自立基板の主表面を表面処理する方法には、特に制限はないが、機械的研磨、化学機械的研磨などの研磨、ウェットエッチング、ドライエッチングなどのエッチングなどの方法がある。
【0048】
上記のGaN結晶自立基板を形成する工程により、上記のGaN結晶から、(0001)面成長結晶領域(第1結晶成長)において炭素濃度が5×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、ファセット成長結晶領域(第2結晶領域)において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上5×1018個/cm3以下であるGaN結晶自立基板が形成することができる。さらに、好ましくは、(0001)面成長結晶領域(第1結晶領域)において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上1×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、ファセット成長結晶領域(第2結晶領域)において炭素濃度が2×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下であるGaN結晶自立基板を形成することができる。
【0049】
本実施形態の製造方法により得られたGaN結晶自立基板は、その主表面を貫通する転位の平均密度(平均転位密度)が、3×106cm-2以下が好ましく、1×106cm-2以下がより好ましい。かかる転位の平均密度が低いほど信頼性が高い発光デバイスが得られる。
【0050】
また、本実施形態の製造方法により得られたGaN結晶自立基板は、その主表面が平坦であって、その主表面に最も近い結晶面の曲率半径が10m以上であることが好ましく、20m以上であることがより好ましい。かかる結晶面の曲率半径が大きいほど発光波長の面内均一性が高い発光デバイスが得られる。
【0051】
また、本実施形態の製造方法により得られたGaN結晶自立基板は、ピーク波長が400nmの光により励起されるイエロー発光(ピーク波長が550nmまたはその近傍にあるブロードな発光)のピーク強度を、基板の全表面において、小さくすることができる。
【実施例】
【0052】
[実施例1]
本実施例においては、以下の方法により、HVPE法において結晶中に取り込まれる炭素、珪素、および酸素の濃度を調節することにより、(0001)面成長結晶領域、ファセット成長結晶領域({10−11}面成長結晶領域および{11−22}面成長結晶領域)のいずれの結晶領域においても室温で導電性を有しながらイエロー発光の弱いGaN結晶自立基板が得られた。
【0053】
1.下地基板の準備
直径60mmで厚さ400μmのGaN下地基板を準備した。下地基板の主表面は平坦であり、主表面に最も近い結晶面は、X線回折により測定したところ、(0001)面であった。(0001)面の曲率半径は、X線回折により測定したところ、20mであった。下地基板の主表面を貫通する転位の平均密度(平均転位密度)は、CL法により測定したところ、1×106cm-3であった。
【0054】
2.GaN結晶の成長
次にHVPE法により、下地基板上に、SiF4ガスをドーピングガスとして用いることによりGaN結晶を成長させた。
【0055】
かかるGaN結晶の成長には、HVPE装置を用いた。石英反応官の内部にはpBN製のライナー管を設置した。石英反応官とライナー管のあいだにはパージガスとしてN2ガスを導入した。下地基板表面にガスを導入するガス導入管の先端領域はpBN管で構成した。下地基板を配置するサセプターはpBNコートカーボンで形成し、この上に下地基板を配置した。第1原料ガスとしてNH3ガスを、第2原料ガスとしてHClガスを、ドーピングガスとしてSiF4ガスを、キャリアガスとして純度が99.999体積%以上のH2ガスを準備した。第1ガス導入管、第2ガス導入管およびドーピングガス導入管のそれぞれから、キャリアガスを反応管の内部に導入し、ヒータの温度を1000℃に上昇させた。その後、ソースボートに金属Gaを供給して、ソースボートを750℃に加熱した。
【0056】
第2ガス導入管から供給されるHClガスとソースボートのGaとを、Ga+HCl→GaCl+1/2H2のように反応させることにより、反応ガスとしてGaClガスを生成した。
【0057】
次いで、第1ガス導入管から供給される第1原料ガスとしてNH3ガスと、GaClガスとを下地基板のGaN結晶を成長させる主表面に当たるようにキャリアガスとともに流して、その主表面上で、GaCl+NH3→GaN+HCl+H2のように反応させた。
【0058】
結晶成長時間20時間で、直径60mmで厚さ5mmのGaN結晶を成長させた。GaN結晶の結晶成長表面には、(0001)面と、{10−11}面および{11−22}面のファセットが混在しており、かかる複数のファセットにより形成されるピットが多数存在していた。ピットの深さは1mmから1.5mmであった。ピットを形成するファセット成長結晶領域を主表面に投影して得られる面の面積が、主表面の全面積に対して占める面積百分率は約80%であった。
【0059】
3.GaN基板の形成
次に、得られたGaN結晶を、スライサーを用いて、下地基板に平行にスライスした。次いで、スライスして得られたGaN結晶自立基板の外縁部を除去した。次いで、スライス後外縁部を除去して得られたGaN結晶自立基板にCMP(化学機械的研磨)行い、その加工変質層を除去した。こうして、それぞれのGaN結晶から、直径2インチ(50.8mm)で厚さ400μmのGaN結晶自立基板が5枚得られた。
【0060】
4.GaN基板の物性測定
得られた5枚のGaN結晶自立基板のうち、下地基板側から3枚目のGaN基板の(0001)成長結晶領域とファセット({10−11}面および{11−22}面)成長結晶領域において、炭素濃度、珪素濃度、および酸素濃度をSIMS法により測定した。ここで、(0001)面成長結晶領域とファセット成長結晶領域とは、蛍光顕微鏡による観察により識別した。また、室温(25℃)でピーク波長が400nmの光で励起したときの発光スペクトルを測定して、イエロー発光のピーク強度を求めた。得られたイエロー発光のピーク強度は、後述する比較例2で得られたGaN結晶自立基板のファセット成長結晶領域におけるイエロー発光強度に対する相対強度で表わした。
【0061】
また、GaN結晶自立基板の主表面を貫通する転位の平均密度(均転位密度)は、1×106cm-2であり、下地基板と同等に低密度であった。また、GaN結晶自立基板の(0001)面の曲率半径は、X線回折により測定したところ、20mであり、下地基板と同等に大きかった。また、GaN結晶自立基板には、クラックの発生はなかった。また、GaN結晶自立基板は、ホール測定で比抵抗を測定したところ、全ての領域で0.015〜0.030Ωcmであった。結果を表1にまとめた。
【0062】
【表1】

【0063】
表1を参照して、HVPE法において、炭素濃度、珪素濃度および酸素濃度を適切に調節することによって、(0001)面成長結晶領域とファセット成長結晶領域の両方(すなわち、全表面)においてイエロー発光ピーク強度の相対強度が低いGaN結晶自立基板が得られた。なお、ファセット成長結晶領域において、{10−11}面成長結晶領域と{11−22}面成長結晶領域との間では、不純物濃度やイエロー発光強度はほぼ同じであった。
【0064】
[比較例1]
上記実施例に対して、ライナー管、およびガス導入管の筒先を設置せず、サセプタをカーボンで形成した以外は実施例1と同様にして、GaN結晶自立基板を作製した。得られたGaN結晶の厚さおよびピット発生状況、ならびにGaN結晶自立基板の転位密度および曲率半径は実施例1と同様であった。
【0065】
表1を参照して、比較例1では、実施例1に比べて、GaN結晶自立基板のイエロー発光ピーク強度の相対強度が高くなった。特に、GaN結晶自立基板のファセット成長結晶領域におけるイエロー発光ピーク強度の相対強度が著しく高くなった。なお、ファセット成長結晶領域において、{10−11}面成長結晶領域と{11−22}面成長結晶領域との間では、実施例1と同様に、不純物濃度やイエロー発光強度はほぼ同じであった。
【0066】
[比較例2]
上記実施例1に対して、カーボン製のライナー管、およびカーボン製のガス導入管の筒先を設置し、サセプタをカーボンで形成した以外は実施例1と同様にして、GaN結晶自立基板を作製した。得られたGaN結晶の厚さおよびピット発生状況、ならびにGaN結晶自立基板の転位密度および曲率半径は実施例1と同様であった。
【0067】
表1を参照して、比較例2では、実施例1に比べて、GaN結晶自立基板のイエロー発光ピーク強度の相対強度が高くなった。特に、GaN結晶自立基板の(0001)面成長結晶領域におけるイエロー発光ピーク強度の相対強度が著しく高くなった。なお、ファセット成長結晶領域において、{10−11}面成長結晶領域と{11−22}面成長結晶領域との間では、実施例1と同様に、不純物濃度やイエロー発光強度はほぼ同じであった。
【0068】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HVPE法により、結晶側面を除く結晶成長面として、(0001)面と{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面とが混在する状態で成長させたGaN結晶を加工して形成されたGaN結晶自立基板であって、
前記GaN結晶自立基板は、(0001)面を前記結晶成長面として成長した第1結晶領域において炭素濃度が5×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面を前記結晶成長面として成長した第2結晶領域において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつSi濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上5×1018個/cm3以下であるGaN結晶自立基板。
【請求項2】
前記第1結晶領域において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上1×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、前記第2結晶領域において炭素濃度が2×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下である請求項1に記載のGaN結晶自立基板。
【請求項3】
HVPE法により、結晶側面を除く結晶成長面として、(0001)面と{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面とが混在する状態でGaN結晶を成長させる工程と、
前記GaN結晶を加工してGaN結晶自立基板を形成する工程と、を備え、
前記GaN結晶自立基板は、(0001)面を前記結晶成長面として成長した第1結晶領域において炭素濃度が5×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、{10−11}面および{11−22}面の少なくともいずれかの面を前記結晶成長面として成長した第2結晶領域において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつSi濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上5×1018個/cm3以下であるGaN結晶自立基板の製造方法。
【請求項4】
前記GaN結晶自立基板は、前記第1結晶領域において炭素濃度が3×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以上1×1018個/cm3以下かつ酸素濃度が1×1017個/cm3以下であり、前記第2結晶領域において炭素濃度が2×1016個/cm3以下かつ珪素濃度が5×1017個/cm3以下かつ酸素濃度が5×1017個/cm3以上2×1018個/cm3以下である請求項3に記載のGaN結晶自立基板の製造方法。

【公開番号】特開2011−256082(P2011−256082A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132623(P2010−132623)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】