説明

Me−DLC硬質材料コーティングを備えた銅含有導電性材料

本発明は、接点面の少なくとも部分上に析出された、少なくとも支持層と接着層から成るカバー層を有する差込み式もしくは締付け式接続としての使用のための銅含有合金から成る導電性材料に関し、その際、減摩層が40原子%以上70原子%以下の炭素含量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、請求項1の上位概念に記載の、差込み式もしくは締付け式接続としての使用のための銅含有合金から成る導電性材料に関する。さらに請求項18記載の接点ピース、ならびに請求項19記載の半製品ないしは請求項20記載の帯材もしくは異形材。
【背景技術】
【0002】
従来技術
銅含有合金は、表面処理のためのめっき層(galvanischen Schichten)の施与についての銅材料の良好な適性のように、同じく従来技術から公知である。これに対しPVD−、CVD−ないしはPVD/CVD膜は今日まで比較的柔らかい銅材料にあまり使用されてこなかった、というのも、例えば、差込み式もしくは締付け式接続の取付けの場合にも生じうるような高い負荷を伴う滑り荷重の場合に該膜が母材中に押し込まれるかないしは突き破るからであり、かつ工具コーティングに使用される多くの膜系が高すぎる摩擦係数(例えば炭化物WC、ないしはCrは約0.5以上の摩擦係数を有する)、高すぎる粗さまたは不良な導電性を示すからであり、これにより該膜系がこのような使用にあまり適当でなくなる。
【0003】
独国特許出願公開第1802932号明細書には、炭化物の摩耗防止膜で電気接点をコーティングするための高周波プラズマ法が開示されている。同様なのが独国特許出願公開第3011694号明細書であり、この場合、とりわけ硬化もしくは焼もどしされた種々の金属材料へのめっき接着層(galvanischen Haftschicht)の施与が、およびこれに続く高周波プラズマにおけるPVDコーティングが記載されており、その際、とりわけ炭化物の硬質材料膜が析出される。そのことにより良好な導電性ならびに高められた摩耗防止が達成されるが、しかし、その際、該炭化物コーティングから比較的高い摩擦係数が生じる。
【0004】
独国特許出願公開第4421144号明細書から、工具寿命を延ばすために先ず金属炭化物から成る硬質材料膜と、引き続き遊離炭素を含有する減摩膜とが炭化タングステンベースに施与された、コーティングされた工具が公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の開示
本発明の課題は、従来技術の上記欠点が回避されかつ従来のコーティングされた材料に対してより良好な電気的性質ならびにより良好な工具寿命−および滑り特性が達成される、銅含有導電性材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は請求項1の特徴部における本発明による特徴によって解決される。
本発明により改質された、炭素含量40原子%以上であるがしかし70原子%以下である炭素含有の減摩−ないしは硬質層、これは銅−もしくは銅合金上に析出される、が使用されることによって、表面の硬さならびにしたがって材料の耐摩耗性および耐摩擦性を高めることが、そのすぐれた電気的性質が本質的に変わることなく可能である。この場合には炭化物として結合したかもしくは遊離の炭素の含量が炭素含量とみなされ、この含量は炭化物形成物質および任意のさらなる元素とともに100%に補完される。その際、例えば下記のより詳細な方法を用いて、減摩性および電気的性質が限定された硬質膜が析出し
、この硬質膜によって導電性材料の工具寿命の延長がもたされる。この膜は従来の例えば炭化物の硬質膜より若干硬くないが、しかしその担体材料より顕著に硬くかつこれをそのことにより摩耗から保護する。驚くべきことにこの膜はその担体材料を差込み式および締付け式の使用の場合に従来の硬質膜系より良好に保護し、その際、高い単位面積当たりの圧力を伴う使用のために付加的にもう1つの支持層が備えられていてもよい。このことは本硬質膜の場合には比較的低い摩擦係数によるものとも考えられ、この摩擦係数は好ましくは例えば差込み式接続への使用の場合に作用する、というのも、そのことにより同時に挿入力が減じられるからであり、かつコーティングされていない場合もある相対物の引っかき傷が防止されるからである。
【0007】
まさにこれらの性質によって、このような膜は車両−もしくは航空機組立への使用にも、すなわちバイブレーション、振動もしくは類似のものによる不変荷重が場合によっては衝撃荷重も伴って発生するあらゆる使用に適当となる。従来の銅製導電性材料に比してより高い安定性によって、機能を妨害するかもしくは完全に機能を阻止するこのような接続箇所における表面疲労、この表面疲労は銅つまりあらかじめ公知のコーティングされた銅材料の比較的少ない強度によって生じうる、の発生が回避される。さらにその場合、高められた作業温度で生じかつしばしばこのような差込み式および締付け式接続の失敗の原因である摩擦酸化現象(Triboxidationserscheinungen)も効果的に防止されることができる。
【0008】
次の本発明によりコーティングされた銅含有合金で今までに差込み式および締付け式接続としての使用の場合に荷重能力の際立った改善を確認されることができた: 銅、青銅、黄銅または洋銀。しかしながら類似の改善が他の母材、例えばCuBeおよび他の合金の使用の場合にもないしは他の応用への使用の場合に期待することができる。
【0009】
さらに、めっきによりプレコーティングされた導電性材料を使用することは同じく有利でありうる。その例は、支持層の前に施与されるCr−、Ni−ないしはCrNi膜である。
【0010】
低い析出温度ゆえにプラズマCVD−、PVD−もしくはPVD/CVD−ハイブリッド法は、例えば焼もどし可能な銅材料のコーティングのためのMe−DLC膜の析出に特に適当である。
【0011】
しかしもちろん従来の、例えば独国特許出願公開第4421144号明細書に記載された遊離炭素を含有する膜ないしは米国特許第4992153号明細書もしくは独国特許出願公開第10018143号明細書に記載されたMe−DLC膜(DLCは“ダイヤモンド状炭素(diamond like carbon)”のことである)では十分な伝導性は達成されることはできず、かつ同様に公知の炭化物膜の場合のように、例えば上記の母材中への押し込まれに対する十分な保護が達成されることはできない。驚くべきことに炭素含量を40原子%以上に、しかし70原子%以下に調整するだけですでに伝導性の本質的な改善が達成されることができた。特に良好な性質が炭素含量を50原子%以上に、しかし60原子%以下で達成された。
【0012】
元素周期律表の第IV、VおよびVI亜族の元素(すなわちTi、Zr、Hf;V、Nb、Ta;Cr、Mo、W)ないしはアルミニウムもしくはSiからの少なくとも1種の金属Meを含む付加的な支持層の施与によって、もう1つの押し込まれが著しく高い荷重の場合でさえ回避されることができた。その際に、金属相のほかになお非金属、例えばC、N、BもしくはO、および/またはこれら非金属との前記金属の硬質材料化合物をも含有する支持層が特に有利であることが判明している。もっぱら例としてこの場合には支持層系TiNないしはTi/TiN(すなわち金属のチタン膜およびこれに続く窒化チタン
硬質膜)、CrNないしはCr/CrN、CrないしはCr/Cr、Cr(CN)ないしはCr/Cr(CN)、TiAlないしはTiAlNおよびTiAl/TiAlNが挙げられよう。
【0013】
しかしもちろんその際には使用ケースに応じて、支持層が最小膜厚を有することに注意が払われなければならない。これはとりわけ、使用ケースに応じて生じる単位面積当たりの圧力に左右される。例えば単位面積当たりの圧力がわずかである場合にはすでに膜厚0.5μmでDLC膜の十分な支持効果が達成されることができた一方で、0.3μmの支持層ではその支持効果はもはや十分には得られなかった。しかしながら、通常は少なくとも1μmから約3μmの膜厚が推奨に価する。特に高い単位面積当たりの圧力が発生する使用により大きな膜厚、例えば6μm、も有利となりうる。
【0014】
付加的に支持層と減摩層の間になお、漸変移行部を伴うか伴わない金属中間層が施与されていてもよいし、あるいは直接、例えば減摩層に向かって増大する炭素含量を有する漸変層の形の移行層が施与されていてもよい。
【0015】
DLC減摩層そのものはしたがって有利に次のようにして実施される: つまり、直接支持層に第IV、V、VI亜族の元素、AlもしくはSiからの少なくとも1種の金属Meを含む金属中間層を付着させる。この目的に特に適当であることが判明している元素CrまたはTiからの中間層が使用されることが好ましい。しかしまた窒化物、炭化物、ホウ化物もしくは酸化物の中間層ないしは1種以上の金属と上記の非金属の1種以上との混合物が使用される中間層も可能であり、これらは必要の際には漸変移行部を伴うか伴わない金属母材上でさえ施与されていてもよい。炭素−減摩層が直接接着層に施与される場合には、該接着層そのものが金属または接着層として適当な化合物から成る場合には、この中間層をやめることができる。
【0016】
これに、あるいは代替的に直接、中間層なしに、好ましくは移行層は殊に漸変層、この層の経過では加工物表面に垂直に向かって金属含量が減少しかつC含量が増大する、の形で続く。炭素の増大はその場合には場合によっては種々の炭化物相の増大によって、遊離炭素の増大によって、ないしはこの種の相と中間層の金属相との混合によって行なうことができる。漸変層の厚さはその場合には、当業者に公知であるように、適当な経過の傾斜路の調整によって調整されることができる。C含量の増大ないしは金属相の減少は連続的または段階的に行なうことができ、さらに漸変層の少なくとも一部で金属単層とC豊富な単層との並びが膜張力のさらなる崩壊にために備えられてもよい。例えばその場合には、例えばスパッタリングによって施与されるMeC膜から始まってかつ遊離炭素の含量は炭素含有の反応ガスの添加によって連続的または段階的に高められることができる。その場合には例えば炭化タングステンベース上の膜にとって、炭化物として結合した炭素と遊離の炭素の約50:1〜約2:1の比が有利であることが判明している。炭化クロム−、炭化タンタル−ないしは炭化モリブデンベース上の膜についても類似の関係を確認することができた。
【0017】
漸変層の上記形成によって支持−およびDLC膜の材料特性(例えば弾性係数、構造など)はほぼ連続的に相互に適合され、かつそのことによって通常ならば生じる金属ないしはSi/DLC膜の界面に沿った亀裂形成の危険に反対に作用する。
【0018】
DLC減摩層の終了は、炭素含有のプロセスガスの定義された流量の達成時またはある一定の圧力の達成時にスパッタリングおよび/またはバイアス供給のスイッチを切ることによって行なうことができる。他の方法は、外側の機能層の性質を所望の最低膜厚の全体にわたって一定に維持するために、最後の工程段階中にコーティングパラメータを一定に維持することである。
【0019】
炭素層全体の硬さはその場合には0.8GPaより大きい、特に10GPa以上の値に調整され、その際、膜厚>lμm、特に>2μmの場合にも硬さ約60HRCの鋼試験体上でVDI3824、シート4によるHF3に同じかそれより良好な、しかし特にHF1に同じ接着強度が達成される。本発明によるDLC膜の接触抵抗の測定によりδ=0.1mΩとδ=90mΩの間の値が得られ、その際、特に0.5mΩ〜10mΩの値に調整される、というのも一方では0.5mΩ未満のδ値が貴金属の大量の添加によってでしか達成しえないからであり、そのことによって製造コストが顕著に高められ、また他方では数回の使用には10mΩより大きい接触抵抗はすでに大きすぎるからである。
【0020】
同時に本炭素層はMe−炭素に典型的な低い摩擦係数、特に膜粗さR=0.01〜0.04;R DIN<0.8、特に<0.5でのピン・オン・ディスク試験でμ≦0.2、が特徴である。
【0021】
成長速度は約1〜3μm/hでありかつ、プロセスパラメータのほかに、荷重と支持にも依存する。殊にこの場合には、コーティングすべき部材が1回転、2回転または3回転しながら固定されるのがマグネットホルダにか、あるいは締め付けられてかないしは差し込まれてかということが影響する。またホルダの全体質量およびプラズマ透過率も重要であり、したがって例えば、中実材料のディスクの代わりに、例えばスポークディスク(Speichentellern)を使用することによる、軽量のホルダを用いてより高い成長速度および全体的により良好な膜品質が達成される。膜張力は0.8GPaであることができ、したがって硬質のDLC膜の通常範囲内である。さらにこのような膜は、よりやや低い硬度(9〜15GPa)で、顕著により低い摩擦係数を示し、この摩擦係数により発生する挿入力が減じられる。
【0022】
さらにこれらの性質を少量の元素Ag、Au、Cu、Fe、Ir、Mo、Ni、Pd、Pt、Os、Rh、Ru、Wおよび/またはこれらの合金の、例えばCoスパッタリング、−蒸着、ターゲット材料もしくは類似物への合金による、添加によって改善することができ、および/または腐食/酸化に対して安定化させることができる。特に良好な伝導性を達成しようとするならば、最終的な層セット(Schichtpaket)で最低30から最大60%、特に40〜50%、の残留金属含量が有利に定められうる。
【0023】
このような金属含有のDLC膜の優れた機械的性質という理由からこの金属含有のDLC膜は、コーティングされた導電性材料の軸受機能が付加的に所望されている場合にも有利に使用されることができる。例えば、同時に電気信号の伝達に使用されるこのような導電性材料を軸受に有利に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
実施例
次に本発明を種々のにつき説明する。全てのMe−DLC膜ないしは支持層を250℃未満の温度で銅材料上に、例えば独国特許出願公開第10018143号明細書で図1およびこれに属する記載[0076]〜[0085]で改変されたような、バルザース(Balzers)BAI 830 C製造装置で析出させた。さらに全てのコーティングにおいて、例えば上記明細書の方法例1から公知の、低電圧を用いた加熱−およびエッチング処理を伴った前処理を行なった。上記の公開明細書の相応して表示された箇所は、本願の組み込まれた構成要素であると宣言する。
【0025】
比較例1
ここでは最終的な、すなわち外側の層範囲内に金属含有のDLC減摩層をCuSn8青銅上にクロム接着層を用いて、しかし付加的な支持層なしに施与した。上記の前処理の後
に付加的にクロム接着層を独国特許出願公開第10018143号明細書の方法例1と同様にして施与した。
【0026】
引き続き、Crターゲットが活性化させる際に6つのWCターゲットを各1kWの電力で活性化させ、そして両方のターゲットタイプを2分間同時に運転したままにした。その際、WCターゲットの電力を同じままのAr流量で2分間で1kWから3.5kWに高める。同時にそれら部材上で負の基板電圧をCr接着層の端部にかけられた電圧0Vから2分間で傾斜路状に300Vに高める。この300Vはつまり、WCターゲットが最大電力で運転すると達成されている。引き続き、Crターゲットのスイッチを切る。WCターゲットは6分間一定のAr流量および電力3.5kWで運転したままにし、次にアセチレンガス流量を11分間で200sccmに高め、かつ表1に記載したパラメータで60分間一定に維持する。続いてコーティング工程を終了する。
【0027】
【表1】

【0028】
例2
例1との違いは、アセチレンガス流量が最後の工程段階で5分間で80sccmにしか高められず、かつその量で60分間維持されることである。
【0029】
例3
例1との違いは、アセチレンガス流量が最後の工程段階で2分間で30sccmに高められ、かつその量で60分間維持されることである。
【0030】
比較例4
例1との違いは、アセチレンガスは添加されず、かつWCターゲットが、Crターゲットのスイッチが切られた後に60分間一定のAr流量で運転されることである。
【0031】
例5
例5については先ずCrN支持層を析出し、引き続き例3と同様にしてMe−DLC導電層を該支持層上に施与した。CrN支持層の析出は表5)に記載したパラメータに従って行ない、その際、プラズマ密度を高めるために付加的に熱陰極と補助陽極の間の中心軸で点火される低電圧アーク放電を行なった。
【0032】
【表2】

【0033】
例6
例6については先ずクロム接着層を例1の場合と同様に施与した。これに続くWC含有の機能層をAgでドーピングした。
【0034】
さらに、Crターゲットが活性化させる際に4つのWCターゲットを各1kWの電力で活性化させ、そして両方のターゲットタイプを2分間同時に運転したままにし、その際、WCターゲットの電力を同じままのAr流量で2分間で1kWから3.5kWに高める。同じく前記コーティング装置に取り付けられた2つの銀ターゲットをWCターゲットと同時に点火し、その電力を同じ時間で0から1kWに高める。同時にそれら部材上で負の基板電圧をCr接着層の端部にかけられた電圧0Vから2分間で傾斜路状に300Vに高める。引き続き、Crターゲットのスイッチを切る。WC−およびAgターゲットを一緒に6分間一定のAr流量で運転し、次にアセチレンガス流量を2分間で30sccmに高め、そして最後のコーティング段階中に表6によるパラメータを60分間一定に維持する。
【0035】
【表3】

【0036】
膜の評価
表7からわかるように従来技術の膜は、比較例1および4に記載されているように、比較的高い接触抵抗を有する。例1にこの場合には典型的な例として、表面に向かって著しくC含量を有するa−C:H:Me−ないしはMe−DLC膜が示されている。例4には、遊離炭素のさしたる含量なしで、炭化物膜について示されている。
【0037】
記載された測定値を5つの異なる測定点における平均値算出を経て接触ウェート(Kontaktgewicht)100gがかけられた後に各10sで求めた。接触ウェートの先端は、直径3mmの金から成る。各値の測定を金での前後の参考測定によって確認した。
【0038】
差込み式接続の摩擦力の測定をマクロ摩擦試験台(Makroverschleisspruefstand)で次のものについて行なった。
【0039】
DLCプラグ 標準プラグ
(スズ引き)
試験体ジオメトリ ライダ・オン・フラット ライダ・オン・フラット
ライダ直径 4mm 4mm
接点面 0.3mm 0.3m
試験雰囲気 ドライ ドライ
頻度 2.5sで1サイクル 2.5sで1サイクル
試験時間 3000サイクル 25サイクル
垂直力 20N 5N
摩擦行程(Reibweg) 3mm 3mm
【0040】
定義したサイクル数後の摩擦力の表示は試料の摩耗を示す。スズ引きした標準プラグは25サイクル後に摩擦力1000mNを有する。30を超えるサイクル数への増大は完全な破壊をもたらす。DLCコーティングされたプラグについての値は第3欄にある。
【0041】
驚くべきことにこの試験で、その遊離炭素の含量が中間範囲内にある膜(例2〜3)が顕著により低い接触抵抗を有することが明らかとなった。この低い接触抵抗は、例5に記載したような付加的なCrN支持層の施与の場合にもそのままであった。例6に記載したようなAgのCoスパッタリングによって接触抵抗をなおさらに低下させることができた。
【0042】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点面の少なくとも部分上に析出された、少なくとも接着層と炭素含有の減摩層から成るカバー層を有する差込み式もしくは締付け式接続としての使用のための銅含有合金から成る導電性材料において、該減摩層が40原子%以上70原子%以下の炭素含量を有することを特徴とする、導電性材料。
【請求項2】
減摩層が硬質膜でありかつダイヤモンド状炭素を含むことを特徴とする、請求項1記載の導電性材料。
【請求項3】
減摩層が付加的に元素周期律表の第IV、VおよびVI亜族の元素(すなわちTi、Zr、Hf;V、Nb、Ta;Cr、Mo、W)ないしはSiからの少なくとも1種の金属Meを含むことを特徴とする、請求項1記載の導電性材料。
【請求項4】
減摩層が金属炭化物膜と該金属炭化物膜に付着された、表面に向かって増大する遊離炭素の含量を有する金属炭化物膜とを含有することを特徴とする、請求項3記載の導電性材料。
【請求項5】
金属炭化物膜が元素周期律表の第IV、VおよびVI亜族の元素の炭化物、特に炭化タンタル、炭化モリブデン、炭化クロムまたは炭化タングステンベース、であることを特徴とする、請求項4記載の導電性材料。
【請求項6】
接着層と減摩層の間に支持層が備えらえているかあるいは該接着層が支持層として実施されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の導電性材料。
【請求項7】
支持層が元素周期律表の第IV、VおよびVI亜族の元素(すなわちTi、Zr、Hf;V、Nb、Ta;Cr、Mo、W)ないしはアルミニウムもしくはSiからの少なくとも1種の金属Meを含むことを特徴とする、請求項6記載の導電性材料。
【請求項8】
支持層が付加的もしくは排他的に、少なくとも1種の金属Meと少なくとも1種の非金属とを含む1つ以上の硬質材料化合物で、該金属が元素周期律表の第IV、VおよびVI亜族の元素(すなわちTi、Zr、Hf;V、Nb、Ta;Cr、Mo、W)、アルミニウムまたはSiの少なくとも1つでありかつ該非金属が元素C、N、BまたはOの少なくとも1つであり、しかし特に炭素を含有することを特徴とする、請求項6記載の導電性材料。
【請求項9】
支持層と減摩層の間に移行層が施与されていることを特徴とする、請求項6から8までのいずれか1項に記載の導電性材料。
【請求項10】
移行層が元素周期律表の第IV、VおよびVI亜族の元素(すなわちTi、Zr、Hf;V、Nb、Ta;Cr、Mo、W)ないしはアルミニウムもしくはSiからの少なくとも1種の金属Meから成ることを特徴とする、請求項9記載の導電性材料。
【請求項11】
移行層が漸変層であり、その際、該移行層のC含量が減摩層に向かって増大することを特徴とする、請求項9記載の導電性材料。
【請求項12】
接着層および/または支持層、しかし特に少なくとも減摩層が少量の次の元素: Ag、Au、Cu、Fe、Ir、Mo、Ni、Pd、Pt、Os、Rh、Ru、Wおよび/またはこれらの合金の1つ以上を含有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の導電性材料。
【請求項13】
支持層の膜厚が0.5〜6μm、特に1〜3μm、であることを特徴とする、請求項6から11までのいずれか1項に記載の導電性材料。
【請求項14】
接触抵抗が0.1〜90mΩ、特に0.5mΩ〜10mΩであることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の導電性材料。
【請求項15】
銅含有合金が銅、青銅、黄銅または洋銀であることを特徴とする、請求項1記載の導電性材料。
【請求項16】
銅含有合金がめっきによりプレコーティングされていることを特徴とする、請求項1記載の導電性材料。
【請求項17】
銅含有合金がCr、NiないしはCrNi合金でめっきによりプレコーティングされていることを特徴とする、請求項1記載の導電性材料。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項に記載の導電性材料を含むかまたは該導電性材料から成る、電気接点ピース。
【請求項19】
請求項18記載の少なくとも1つの電気接点ピースを備えた導電性の半製品。
【請求項20】
請求項19記載の少なくとも1つの電気接点ピースを備えた導電性の帯材もしくは異形材。

【公表番号】特表2008−506036(P2008−506036A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519589(P2007−519589)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000333
【国際公開番号】WO2006/005200
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(596013501)オー・ツェー・エリコン・バルザース・アクチェンゲゼルシャフト (55)
【氏名又は名称原語表記】OC Oerlikon Balzers AG
【出願人】(507006433)ビーラント−ベルケ・アクチェンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】WIELAND−WERKE AG
【Fターム(参考)】